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1964-06-25 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第58号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十五日(木曜日)    午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君    理事 亀山 孝一君 理事 田中 正巳君    理事 河野  正君 理事 小林  進君    理事 長谷川 保君       伊東 正義君    大坪 保雄君       熊谷 義雄君   小宮山重四郎君       坂村 吉正君    竹内 黎一君       地崎宇三郎君    中野 四郎君       西村 英一君    橋本龍太郎君       藤本 孝雄君    松山千惠子君       亘  四郎君    伊藤よし子君       大原  亨君    高田 富之君       滝井 義高君    八木 一男君       八木  昇君    山口シヅエ君       本島百合子君    吉川 兼光君       谷口善太郎君  出席政府委員         厚生政務次官  砂原  格君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      若松 栄一君         厚生事務官         (薬務局長)  熊崎 正夫君         厚生事務官         (保険局長)  小山進次郎君  委員外出席者         厚生事務官         (薬務局薬事課         長)      横田 陽吉君         専  門  員 安中 忠雄君     ――――――――――――― 六月二十二日  委員大坪保雄君及び松山千惠子辞任につき、  その補欠として前田正男君及び野呂恭一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員野呂恭一君及び前田正男辞任につき、そ  の補欠として松山千惠子君及び大坪保雄君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月十九日  国立東京病院合理化反対闘争実情調査に関す  る請願淡谷悠藏紹介)(第四六〇六号)  同(原彪紹介)(第四六〇七号)  同(八木昇紹介)(第四六〇八号)  同(小林進紹介)(第四六五七号)  同(加藤進紹介)(第四六五八号)  同(八木一男紹介)(第四七六〇号)  同(神近市子紹介)(第四八五一号)  同(鈴木茂三郎紹介)(第四八五二号)  同(滝井義高紹介)(第四八五三号)  同(吉川兼光紹介)(第四八五四号)  同(本島百合子紹介)(第四八五五号)  じん肺法の一部改正等に関する請願外二件(橋  本龍太郎紹介)(第四六〇九号)  全国一律最低賃金制確立に関する請願加藤  清二君紹介)(第四六一〇号)  同(加藤進紹介)(第四六六三号)  同外一件(川上貫一紹介)(第四六六四号)  同(谷口善太郎紹介)(第四六六五号)  同外一件(林百郎君紹介)(第四六六六号)  同(谷口善太郎紹介)(第四八四七号)  原爆被害者援護法制定並びに原子爆弾被爆者の  医療等に関する法律改正に関する請願加藤進  君紹介)(第四六五九号)  同(川上貫一紹介)(第四六六〇号)  同(谷口善太郎紹介)(第四六六一号)  同(林百郎君紹介)(第四六六二号)  業務外災害による外傷性せき髄障害者援護に  関する請願金丸徳重紹介)(第四六六七  号)  同外一件(澁谷直藏紹介)(第四六六八号)  同(井手以誠君紹介)(第四七五五号)  同(内田常雄紹介)(第四七五六号)  同(本島百合子紹介)(第四八五六号)  業務上の災害による外傷性せき髄障害者援護に  関する請願井手以誠君紹介)(第四七五四  号)  日雇労働者健康保険制度改善等に関する請願  (原茂紹介)(第四七五八号)  同(八木一男紹介)(第四七五九号)  最低賃金制確立等に関する請願加藤進君紹  介)(第四八四四号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第四八四五  号)  最低生活保障並びに失業対策事業賃金引き上  げ等に関する請願谷口善太郎紹介)(第四  八四六号)  全国一律最低賃金制即時法制化に関する請願  (谷口善太郎紹介)(第四八四八号)  全国一律最低賃金制法制化に関する請願谷口  善太郎紹介)(第四八四九号)  全国一律最低賃金制即時法制化等に関する請  願(林百郎君紹介)(第四八五〇号) 同月二十二日  日雇労働者健康保険制度改善等に関する請願  (井谷正吉紹介)(第四九二六号)  同(神近市子紹介)(第四九二七号)  同外一件(滝井義高紹介)(第四九二八号)  国立東京病院合理化反対闘争実情調査に関す  る請願伊藤よし子紹介)(第四九二九号)  同(山花秀雄紹介)(第四九三〇号)  業務上の災害による外傷性せき髄障害者援護に  関する請願木部佳昭紹介)(第四九三一  号)  診療報酬引き上げに関する請願外五十五件(野  原覺紹介)(第四九三二号)  原爆被害者援護に関する請願田口長治郎君紹  介)(第四九六七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月二十日  労災保険診療費適正化等に関する陳情書  (第七七三号)  国立療養所用途変更に対する事前協議に関す  る陳情書  (第七七四号)  看護婦需給対策に関する陳情書  (第七七五号)  失業対策事業に関する陳情書  (第七七六号)  伝染病予防費国庫補助金交付基準額引き上げ  に関する陳情書  (第七七七号)  無医地区医療施設設置及び運営に対する財政  援助に関する陳情書  (第七七八号)  妊産婦の栄養強化に関する陳情書  (第七七九号)  国民健康保険制度改善に関する陳情書  (第七八〇号)  原子爆弾被爆者援護強化に関する陳情書  (第七八一号)  常設保育所設置費増額に関する陳情書  (第七八二号)  国民健康保険事業国庫負担増額に  関する陳情書  (第七八三号)  療術師届出制及び身分化反対に関  する陳情書  (第七八四号)  心身障害者福祉施策充実強化に  関する陳情書  (第七八五号)  社会福祉施設補助基準単価等引き  上げに関する陳情書  (第七八六号)  戦傷病者援護に関する陳情書  (第七八  七号)  環境衛生関係営業運営適正化に  関する法律の一部を改正する法律案  の成立促進に関する陳情書  (第七八八号)  国立重度障害者センター設置に関  する陳情書  (第七八九号)  療術師単独立法反対に関する陳情書  (第七九〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  毒物及び劇物取締法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一三〇号)(参  議院送付)  保健所において執行される事業等に  伴う経理事務合理化に関する特別  措置法案内閣提出第一三七号)(参  議院送付)      ――――◇―――――
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  内閣提出毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案、及び内閣提出保健所において執行される事業等に伴う経理事務合理化に関する特別措置法案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案、それから保健所において執行される事業等に伴う経理事務合理化に関する特別措置法案、両案について御質問を申し上げます。  最近の科学技術の進歩によって、いろいろの毒物劇物工業方面にも非常に多く使われるようになったわけです。あとでいろいろ御質問申し上げますけれども、たとえば四日市における新しい石油コンビナートをつくってみたところが、思いもよらず亜硫酸ガスが充満をして、そこに住んでいる人間が、新しい産業のためにみずからの命を断たなければならぬというような、こういう問題も起こってきたわけです。そこで、そういう問題もありますので、まず私は初めに、広い範囲の公害と申しますか、毒物劇物関係のある広い意味の公害のことから少し御質問をしてみたいと思うのです。  いつかも新聞に出ておったのですけれども、たとえば多摩川メッキ工場シアン化ガス流れ込んでいる、こういうことが出たわけです。そして非常に大騒ぎをする、あるいは何か知らぬけれども川に毒物劇物流れ込んで、たくさんな魚類が死滅をして流れに浮かぶというような問題が起こって、公衆衛生農林水産等の上に非常に大きな問題を投げかけておるわけです。こういうものは一体どういうことで取り締まりをすることになるのか。この毒物劇物取り締まり法でそういうことまで取り締まりができるのか、それとも水質保全法とか工場排水規制法といいますか、ああいうことでやるのか、そういうものはもう全然取り締まり方法がないことになるのか、それとも軽犯罪法みたいなもので取り締まるのか、そういう非常に人体に激しい、少量で致死的な危害を与えるものあるいは魚類に非常に損害を与えるというようなもの、そういうものを一体どういうように規制をしていくのか、まずそれをちょっと御説明願いたい。
  4. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 先生指摘の、多摩川の上流で毒物が混入した水が、水道等に悪影響を与えるということで問題になりましたのが昨年の秋でございます。現行法上、毒物劇物につきましては、法律の第十五条で、廃棄方法について政令で定める基準に従わなければならないというふうな規定がございますが、この法律十五条は、毒物または劇物そのもの廃棄する場合の規制でございまして、毒物または劇物を含有しておるもの、つまり毒性が弱くなっておって、含有されたもの自体毒物劇物とは言えないというものについてまでの規制は、現行法では取り上げてないわけでございます。それをこのたびの改正によりまして、法律改正の第十一条の第二項でもって、毒物または劇物取り扱い規制を従来毒物劇物だけに限定いたしておりましたのを、「毒物若しくは劇物を含有する物であって政令で定めるもの」ということで、含有する物、これは中身政令規定をいたしますが、その含有する物までをこの際新たに取り上げまして、含有した物が施設外流れ出たりあるいは施設外へ運搬した場合に、それの規制をいたしましょう、さらに廃棄の場合にも、含有する物も、十五条の二の改正をいたしまして、廃棄する場合に技術的な基準に従わなければならない、こういうふうな規制をいたしまして、工場等から流れ出る場合の規制を新たに加えることにいたしたわけでございます。  さらに、今回の改正でもう一つ重要な点は、法律の二十二条の改正があるわけでございます。法律の二十二条の改正中身は、これはたとえばメッキ工場多摩川の場合にもあの事故を起こしましたのはメッキ工場であったわけでございますが、メッキ工場等毒物劇物を取り扱っておる例がきわめて多いわけでございます。これはシアン化ナトリウム等いわゆる青酸カリを使っている場合が多いわけでございますが、このメッキ工場等につきましては、従来は規制する方法がなかったわけでございます。それを政令で定める事業場につきましては新たに規制対象にいたしまして、業務上の取り扱い責任者をきめまして、それで業務開始と同時に三十日以内に届けなければならないというふうな規制を加えることによりまして、従来町工場あたり毒物劇物取り扱いがきわめておろそかにされておりましたのが、はっきりした業務上の取り扱い責任者設置され、また届け出が行なわれるということによりまして、行政上の把握対象になるという新たな改正をいたしたわけでございます。したがいまして、従来ややもすれば毒物劇物によりますいわゆる公害的なきわめて遺憾な事態がございました点は、本改正によりまして、相当徹底して監督強化されるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  5. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、それらの毒物劇物が含有されておるもの、あるいはそれらを取り扱う工場事業場、そういうようなものが今度取り締まり対象になるということになれば、薬務局のそれに対応する機構と申しますか、人間の配置と申しますか、これは御存じのとおり、最近における食品工業にしても、それからその他の工場にしても、相当広範な工場取り締まり対象になる。たとえば食品の色素なんというものが発ガン、クレプス、ガンを起こす有力な材料になるというようなことさえ学者の中で言われておるわけでしょう。そういうようなものまで取り締まるということになると、あなたのほうの機構を拡大することになるのか公衆衛生局を拡大することになるのか知らぬけれども、相当予算的な措置もし、人的整備もしないと、これはとても含有物まで調べていくのですからやれぬわけですね。私どうしてそういうことを申し上げるかというと、青酸を含むようなものは、非常に微量でも有毒になるわけですね。同時に、これが農村地帯ならば、地下にしみ込んでも地下水に影響してくるわけです。そうしますと、あなたのほうもそういうものを調査をし、検査をし、届け出をした工場事業場等をやはり精密に調査していかなければならぬことになるわけです。そうしないと、ああいうこの前の昭和電工みたいにぱっと大きく爆発するというわけにいかぬわけだから、これはもう知らないうちに見えない状態地下に浸透していき、川の中に流れ込む、こういう状態です。だから、そういう機構をこの法律改正とともに整えるのですか。
  6. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 この法律の成立しました暁には、構造整備基準あるいは廃棄基準等、すべて政令で詳細な規定がつくられることになりまして、やはりその政令ができ上がるまでには若干の時日が必要だと存じますが、先生指摘のように、現在毒物劇物監視をやっておりますのは全部で千九百人程度監視員がおりまして、提出資料も差し上げてございますが、従来とも毒物劇物につきましての監視結果は、私どもは、他の監視に比べましても処分件数あるいは警告、告発件数等相当数にのぼっておると思っておるわけでございます。たまたま数字だけを申し上げますと、三十七年度の統計でございますけれども処分件数は全体で九千件近くございまして、その中で改善命令業務停止等をいたしましたのが約二百件あるわけでございます。その他告発いたしましたものが十件程度ございまして、取り締まりの効果は決して十分とは申しませんけれども被害程度が非常に影響が大きいために、徹底した取り締まりをやるように常時やかましく申し上げておるわけでございます。しかし何ぶんにもこのままの状況では、御指摘のように十分な監督ができるとは私どもも申し上げるわけにはまいりませんけれどもこの辺は今後とも十分、法律施行その他につきまして徹底した取り締まりをやりたいと存じております。  この法律改正によりまして、それじゃ直ちに予算化されるもの、たとえば人をふやすとかいうふうなことを考えておるのかということにつきましては、残念ながらそこまでまだいっておりませんので、いわゆる監視員といいますのは交付税交付金の算定の中に入っておりますので、この辺今後とも自治省当局と話し合って、その人員の増大その他につきましては努力をいたしたいと考えております。
  7. 滝井義高

    滝井委員 いよいよ私の網にひっかかってきた、私言わぬうちに。千九百二十三人ですね。それで、これはあなたが言わなかったんだけれども、恥ずかしいから言わなかったんだと思う。専任幾らおるかといったら、全体で二百二十四名、あと兼任ですよ。しかも兼任も千三百二十二人は保健所です。保健所の問題はあとで出てきますけれども、こんなもので保健所職員一体メッキ工場や何か見て回れる状態がありますか。これは若松さんのほうの所管だ。そういう状態じゃない。ないからこそ多摩川青酸流れ込んで、ああこんなこと知らなかったと東京都の保健所が言っておる。まさか、こういうことが起ころうとは思っていなかった。−飲み水までそうなんです。天下の首都の一番大事な多摩川飲料水の中に、人間をわずかな量で殺し得る青酸カリ流れ込んでおっても、それを知らなかったのです。新聞で書かれてみんなあっと驚いた。驚いたって、水が流れ流れの中に入っちゃったらいかんともしがたい。もう飲料水をストップする以外にない・そして流れ青酸を運んで海の中に流してしまうまでは、いかんともしがたいという状態でしょう。千九百二十三人おるといっても、千三百二十二人は保健所です。しかも、もう一つあなたがいいことをつけ加えた。私、もう調べたんだ、これは交付税対象職員なんです。だから、自治体はこの職員を置こうと置くまいと、交付税ひもつきではないから、交付税に入れておきますと言っておけばそれまでだ。だから法律改正しても、受け入れ態勢機構人間がそろわない限りにおいては、これは何もならないですよ。だから一体あなた方は、毒物劇物監視員体制というものをどうつくるかということが大事なんです。しかも、この行政というものは通産行政にも関係してきますよ。通産省との関係は、一体どうするのかということが出てくるのです。当然、これはあなた方ばかりではなくて、こういう毒物劇物含有物を取り扱って物を製造していく監督行政通産省との関係は、やはりきちっとしなければならぬ。そこで、現実において予算体制をとられておりません。人間交付税対象ですということになれば、まず予算体制をとるということ。交付税でないように、きちっとした専任職員なり、地方の兼任職員交付税対象でない、ほんとうの専任体制をやはり千人くらいはつくらなければ話にならないですよ。大東京で、本庁が四人でしょう。それだけですよ。そしてあとは全部兼任でしょう。東京で百二十八人。これでは、こんなにごちゃごちゃしたところに、ごちゃごちゃと何をやっておるかわからぬような工場が建っておって、そして千万も人口のある東京を百二十八人で回ったって、十年に一回一つ工場を回ればたいしたものですよ。労働基準監督署より悪いですよ。一体、こういう法律をお出しになるならば、やはり竜を描いたら眼まで入れてもらわなければ困る。画竜点睛を欠くようなことでは困るのです。これは一体どう確立するかということです。こういうところを、参議院はすらすらと通ってきたらしいが、衆議院はそうはいかぬですよ。天網恢々疎にして漏らさず。疎にして漏らさない。衆議院はそうはいかぬですよ。だからこれは、まだあと河野さんが綿密にやりますから、もうちょっとここらあたりどうですか。交付税じゃなくて、専任の者に予算を取ってやらないことには話にならないですよ。
  8. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 現在の毒物劇物監視員の数がきわめて少ないという先生の御指摘、あるいはおっしゃられる点も、私ども認めるのにやぶさかではございませんけれども、しかし私が申し上げましたように、毒物劇物の問題が非常に大きな公害問題に波及する点も考慮いたしまして、立ち入り検査その他につきましての実績は、実は相当数実績をあげておるわけでございます。しかしそれだけで十分とは、もちろん私どもは考えておりません。今後ともその拡大強化につきましては十分努力するつもりでおりますけれども、ただこの点、先生に御了解をいただきたいのでございますが、従来の取り扱いは、たとえばメッキ工場とかあるいはトタン工場という、いわゆる中小企業が多いわけでございます。こういったところで毒物劇物を取り扱っておる場合のいわゆる規制といいますか、その点は全然現在行なわれておりませんので、御指摘のようにたとえば多摩川にどうも毒物流れ込んでおるといった場合も、それを発見して初めて驚くということでありまして、その工場に対しましての規制は、従来は何ら行なわれておらない。ところが、このたびの改正によりまして、そういう中小企業段階に至るまで業務取り扱い責任者を置いたり、それから届け出をさしたり、また構造設備につきましても、一定の構造設備をつくらなければならないような基準を作成いたすわけでございますので、従来のほとんど野放し状態に比べれば、相当行政上の把握対象にはなり得るし、またそれぞれの事業者におきまして、この法律、それに基づく政令省令基準に従って、十分な措置をとっていただくように私どもは要望をいたしたいと思っておるわけでございまして、この点につきましては通産当局あるいは農林当局とも事前話し合いをいたしまして、政令省令段階におきましても、十分話をするという事前了解はとっておるわけでございます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 メッキ工場その他というのは、これは中小企業なんですよ。そうしますと、含有物その他構造設備に至るまで厳重な監督をして、構造設備のやりかえをやらせる。それから沈でん池等を掘らせようというようなことになると相当金が要るわけです。これはコストにも影響してくるわけです。そうすると、あなた方は、こういう取り締まり強化をすることになれば、それらの毒物劇物含有物を使用して運転しているそれらの諸工場設備構造改善のための資金融通その他というものを、どういう形で通産省と話し合ってやるのかということが一つ。それからいま一つは、一体いままでこの毒物劇物のための取り締まりの費用として、この法律に関連する予算として予算書を見るけれどもわからないのですが、幾ら予算をあなた方はお持ちなのか。それから、さいぜんの交付税できまっている職員について、本職員に切りかえるということについてはナシのつぶてで答弁がないのです。こういうものについて、一体何カ年計画くらいで——やはりあなたの手元に職員を置かなければ、兼任じゃどうもならぬですよ。あと兼任のところで尋ねますが、どうにもならぬわけです。そこらの点、まず資金融通の問題、予算の問題、職員の本職員化、この三点について……。
  10. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 この法律改正案施行に伴います中小企業等構造設備その他につきましての金額は、私のほうで積算しますと、大体一工場五万円に満たない金額だと思っております。この点は通産当局話し合いをいたしまして、必要な資金手当てにつきましては、業者自体負担が困難な場合には、中小企業金融公庫その他から融資措置をとるような方法で検討するように相なっておるわけでございます。  それから交付税交付金から抱き起こして、完全な補助職員としてやるかどうかということにつきましては、これは私ども来年の予算対策としまして、その辺慎重に検討してまいりたいと思っております。  それから毒物劇物法律施行に伴います予算は、大体百五十万程度毎年計上いたして薫るわけでございます。
  11. 滝井義高

    滝井委員 政務次官、いまお聞きのとおりです。多摩川青酸流れ込んでたいへんだとあれだけ騒いだけれども、とにかく三兆二千五百五十四億の中で百五十万円です。わずか百五十万円でこの法律一つ動くのですからね。いかに毒物劇物行政というものが日陰にあるかということがわかるわけです。こういうことでは、幾らここであなたが百万言を費やしてりっぱな説明をしたって、うしろで与党の人がくすくすと鼻先で笑っているのです。これはもうちょっとがんばらなければいかぬですよ。一工場五万円ということになると、一体どの程度工場毒物劇物の製造をやり、あるいは毒物劇物含有物を使ってやっているか。一工場五万円だとすると、日本全国では数は多いと思うが、どの程度の総額になるかということです。
  12. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 現在の工場で、この構造設備ができました場合に直ちに改正をしなければならない場合と、それから十分やっている場合とそれぞれあると思いますが、本改正に伴いまして規制対象になります新たな工場数は、われわれのほうでは、大体五万工場くらいが対象になるというふうに考えております。
  13. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、五万、五万で二十五億、これだけの金が出ますか。一工場五万円でわずかのようだけれども、五万工場ですからね。これをやらないことには話にならないのですよ。この法律をつくって構造設備改善を命令していくわけです。命令しないことにはどうにもならない。すでに私の故郷の遠賀川を見てみたら、まっ黒い水が流れている。小学校の生徒に図画をかかせると、水の色を水色に書かない、黒くかく。今度は、石炭を洗った洗炭水は黒いから、すぐ目に見えてわかるけれども、これは清らかな水だと思って飲んだところが、そこには青酸が入っておった、これでは困る。やるからには、法律を出すからには、法治国家であるから、池田さんではないが、うそを申しませんと言ってうそを言われては困る。法律を通したら、きちっと実施しなければ困る。そうすると、一工場五万だけれども数が五万だから、一つ工場に五万円の融資体制をつくらなければいかぬわけです。それはできるでしょうね。通産省と話し合ってやるとおっしゃっているのですが、具体的にできることにしておいてもらわなければ話にならぬわけです
  14. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 対象になります事業体としましては、非鉄金属製造業とか、あるいは金属製品製造業、機械製造業、電気機械器具等の製造業、その他いろいろな業態があるわけであります。むろん構造設備その他の廃棄基準ができました場合、その政令省令の事項につきましては、各工場において十分その基準に従うような措置をしていただくつもりでおりますが、資金的な手当て等につきましては、各業種でやれるところとやれないところ、またどうしても資金的な手当てが必要だというところも出てまいるだろうと思います。全部が全部資金的な手当てをしなければならないという性質のものばかりでもないだろうと思いますので、この点は、法律施行後十分に通産当局とも相談しまして、先生指摘資金的な手当てにつきましては真重に措置してまいりたいと思います。
  15. 滝井義高

    滝井委員 そのくらいの答弁で黙っておきましょう。職員の問題も、補助職員にするということについては来年度予算でその対策を検討するということですから、これも、各県に二人や三人は補助職員のおるような体制をぜひつくっていただくことを要望しておきます。  それから、保健所に千三百二十二人の毒物劇物監視員兼任であるのですが、これは保健所のどういう職員毒物劇物監視員兼任しておるのですか。
  16. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 私ども法律が、毒物劇物法以外に薬事法等の仕事も薬務局の仕事として監視体制に置かなければなりませんので、薬事監視員等が兼任をいたしておるように御了解いただきたいと思います。
  17. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、薬事の監視員は、薬局が全国で五、六万ありますね。五、六万の薬局を監視をし、それから今度は、五万のこれらの工場監視するわけですね。そうしますと、いままで薬局が五、六万あるのを監視しておったのを、また新たに五万ふえるわけですね。これから構造設備その他を見ていかなければならぬ。これは新たにふえるのと同じなんです。するといままでの倍になるのです。そうすると職員は、少なくともこれは四千人くらいにしないと見れぬことになるのです。兼任でもいいから、四千人くらいにしなければいかぬ。こういう体制をつくらぬことには話にならぬのです。もしあなた方が、今度新しい法律をやったのだから、人間サービスの保健所を、今度工場事業場検査する方向にかり立てるということになれば、人間サービスがおろそかになる。そうすると、若松さんのほうの公衆衛生はますますだめになる。だからここらの配慮というものをよほど慎重にやっておいてもらわぬと、新しい行政は次から次に法律をつくってつけ加えていくけれども、その受け入れ体制の人的機構が整備しないということになると、やはり同じころに同じような姿で災害が起こってくる。忘れたころに災害が起こるのです。それはだいじょぶでしょうね。薬事監視員ではちょっと気の毒ですよ。若松さんどうですか。そういう形で兼任させてもらって、あなたのほうはだいじょうぶですか。麻薬だ何だ、薬事監視員食品のことからいろいろやらなければいかぬでしょう。ところが食品監視その他ばかりでなくて、工場に行って排水その他がうまくいっておるかどうか、全部五万の工場を見るのですから、そこまではあなたのほうの仕事はできないですよ。これは、そうでなくてさえ、あとで出るのですが、保健所職員は不足で、充足率が七割かそこらくらいでどうにもならないという状態でしょう。それを今度、工場薬務局工場監視構造設備改善状態等見て回らすということになれば、これは平重盛と同じですよ。忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず、一体どうしたらいいのか、そこらの調整を、両局長そこにいらっしゃるのですから、若松さんそれで一体だいじょうぶですか。
  18. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 毎年毎年、薬事監視あるいは毒劇の監視につきまして、非常に業務量が多くなりつつあることは、私どもも十分認めておるわけでございます。先生指摘の増員その他につきましても、今後十分努力してまいりたいと考えております。ただ、このたびの毒劇の法律改正中身に、そういう従来手の及ばなかった工場等に、新たに業務取り扱い責任者ということで薬剤士の資格を持っておる者、あるいはそれと同じような程度の知識を持っておる者を責任者として置くようになっておりますし、また業務取り扱い者の義務といたしまして、いろいろな事故が発生した場合には直ちに保健所あるいは警察署に届け出るような義務を課し、また常に平生から保健衛生上の配慮を加えるような業務取り扱い者の責任も新たに法律規制の中に入れておるわけでございまして、こういう方々の教育訓練と指導等も今後十分徹底をいたしまして、監視をすると同時に、監視しなくても十分基準が守られ、また保健衛生上の措置がとられるような行政指導を徹底してまいる所存でございますので、その点御了解をいただきたいと思います。
  19. 滝井義高

    滝井委員 監視しなくてもいいような体制ができれば一番いいのですけれどもね。石川五右衛門でないけれども、浜のまさごと盗人はなかなか絶えないように、なかなかどうも問題が多いですよ。ひとつしっかりやるようにしてください。  もう一つ問題があるのです。それは農薬です。当初いろいろ農薬が使われ始めた昭和三十二、三年ごろは、千七、八百件くらいいろいろな事故があった、中毒やら自殺やら。最近は千件、三十八年は千九十八件くらいに減っておりますね。しかし依然として相当の農薬の被害があるということです。そこで最近、御存じのとおり、農薬があらゆる野菜類、果樹の類に使われ始めたわけですね。それから抗生物質ですね。それが魚の腐敗を防ぐために使われていますね。こういう防腐剤あるいは毒物劇物の類、特にしぼって質問をしたいのは、野菜やらくだものに使われる農薬ですね。これは一体、人体に害がなくなるという認定は、どういうように農民に指導をやっているのか。たとえば桃の木、ナシの木にボルドー液をかける、あるいはホリドールをかける、あるいはメタシストックスというのですか、これは有機燐製剤ですね、毒性が非常に強いのですよ、こういうものをかけたときに、三日か四日でその実を取り、あるいは白菜を切って出したというときには、これは明らかに人体に害があるのですね。こういうものの指導が、毒物劇物取り扱い上、最近は非常に重要になってきた。生産を上げようとするためには金肥を使う。堆肥その他も使うけれども、主として硫安その他の肥料をどんどん使っていく、同時に農薬を散布していく、こういう形ができているわけです。だから日本の晩秋の詩的情緒を保っておった赤トンボなんというものは、いなくなっちゃったですわ。セミもだんだん少なくなりつつある。チョウチョウなんかもいなくなる。一般にそういうこん虫類は農薬で死滅するが、同時に人間自身も危機にさらされる状態が出てきたわけでしょう。こういう指導というものは、農林省にまかせてしまうのですか、それとも毒物劇物なんですから、有機燐製剤というのは明らかに農薬の含有物です。こういう指導というものは一体どうしているのかということです。
  20. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 農薬につきましての法律的な規制は、農林省で所管しております農薬取締法、それから私どものほうでただいま御審議いただいております毒物劇物取締法、この二つによって取り締りを行なっておるわけでございますが、毒物劇物取り締まりのほうで農薬の問題が登場する場合がきわめて多い点は、先生指摘のとおりでございます。最近農薬の事故は漸減はしてまいりましたけれども、しかし依然として事故は絶えませんので、毎年定期的に農林省と厚生省と共催いたしまして、農薬被害防止運動を大々的に展開をいたして、農薬事故の防止につとめておるわけでございます。ただ、農薬の毒性の強いものが出てそれが使われております場合に、先生指摘のように、それが野菜その他、残留毒性といいますか、毒性が残留するということで、関係者の間でも非常に憂慮されておりまして、この点は、私どもとしましては、これまでに農薬の衛生試験法という試験法を、約一年にわたりまして、衛生試験所その他学者先生が主体になりまして試験法の確立を急ぎ作成いたしますと同時に、また残留毒性の問題はきわめて重要な問題でもございますので、今年から来年にかけまして大々的に各学者に呼びかけまして、残留毒性の許容限度その他につきましての本格的な審査をお願いするような措置をとり、また将来とも至急作成するためにこれをとっていきたいと考えておるわけでございます。しかし、最近の農薬の製造技術の非常な進歩に伴いまして、従来使われました、たとえばパラチオン等は、常時使われておるわけでございますけれども、パラチオン等につきましては毒性は非常に激しいものではございますが、しかし科学技術の進歩によりまして、毒性は非常に少なくて、しかも農薬として有効であるというので、たとえばスミチオンとかあるいはマラソンとかいうふうな新薬ができつつあります。ただ、依然として非常に製造工程が複雑なために価格が高いという難点もございますけれども、これがマスプロの段階に入ってまいりますれば、なるべく毒性のほとんどないものを使うという方向で、この方面からもひとつ農林省と相談いたしまして、その面の転換をはかってまいりたいというふうなことを寄り寄り相談をいたしておるわけでございます。
  21. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、残留毒性に対する明確な指導方針というものはまだ立っていないわけですか。これから学者と相談するというのは、立っていないのですね。
  22. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 結局これは、食品その他を含めまして残留毒性を、許容限度はどの程度にするかというきわめてむずかしい技術的な問題になるわけでございまして、まず衛生試験法を作成するということが第一であり、その試験法が作成されたあとにおきまして残留毒性の問題をきめていくということになるわけでございます。日本の風土、それから日本人の体質に合った許容限度というものはこれを確立していかなければなりませんので、外国で取り上げましたものは重要な参考資料になりますけれども、やはり日本の風土、日本人の体格その他に合わせました許容限度の作成は大いに急がなければならないということで、現在私ども、本格的な仕事として取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  23. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、農薬を病虫害防除に使う時期的な基準というものがおよそないと、これはたいへんなことになりますよ。これは毒物劇物取締法対象になるわけなんですから、当然、学者が具体的な基準を出す前に、現実に使われておって、そうしてブドウにしてもリンゴにしてもナシにしても桃にしても、どんどん切られて市場へ出てくるのですから、決して農民は、それをいまはやりの洗剤で洗って持ってくるのじゃないのですよ。あれは洗って持ってきたら粒が落ちたり腐ったりしますから、そのまま切る。私も農園をやったことがあるのだが、そのまま切って持ってくるのです。そうしますと、子供はそのまま洗わずにまた食うのですから。だから数年前に、リンゴに毒があるといって騒がれたことがあるのです。それを、そんなことはないと打ち消しておるわけです。しかしそれは、消毒をしてから一定の期間を置けば、風雨にさらされて自然に残留の毒性が消えていくわけでしょう。そうすると、やはりしろうとの農民には、あなた方がリンゴの実をとるときには、そのとる時点からさかのぼって一カ月なら一カ月、二週間なら二週間前までに、一切の病虫害の防除の消毒は終わりなさいというような具体的な指導をしないと、消費者がたいへんですよ。そこらの大ざっぱな基準というものをいまつくって、まず流しておいて、それから具体的な、詳細な、科学的なものは、なるほど学者諸先生によってもう一回やってもらうということは必要ですけれども、この法律ができてからおやりになるのはいいです。しかし、とりあえずのものは、いままでの法律でやはりやっておられると思うのですが、それはどういう方針でやっておられますか。
  24. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 農薬の危害防止運動というものを、私どもは本格的に、非常に強力にここ数年にわたりまして指導してまいりまして、それで各都道府県、市町村を通じまして農業団体、あるいは農林省の農業改良普及員、あるいは民間団体であります防除業者、そういったものと県の衛生、薬務課、それから農林部、所管官庁とよく連絡をしながら指導書をつくり、また根本的な散布にあたっての指導を徹底するように現在やっておるところでございます。十分危害のないような措置をとるように、講習会その他を徹底的に繰り返し行ないまして、十分な指導をやっておるつもりでございますけれども、何ぶんにもまだまだ末端におきましては、たとえば農薬につきましてのあぶないという知識が不十分なために、農業協同組合あたりでも、その農薬の取り扱いが多少ルーズにされておる。したがってそのあと始末も十分でない、また散布したあと取り扱いにつきましても、必ずしも御指摘のように十分な態勢になっておらぬ点はあると思いますけれども、今後ともさらに指導を徹底してやってまいりたいと思っております。
  25. 滝井義高

    滝井委員 非常に専門的になるから具体的なことは聞きませんが、これはあるはずですよ。ホリドールならば一週間たたなければ、果樹なら果樹はとって売り出してはいかぬというのはあるのですね。それをひとつしっかり徹底さしてやってください。  それから農薬の被害が起こると、吐きけを催して頭が痛くなって神経が麻痺するわけですが、保健所にパムでしたか、薬を置いてありますね。これはいまどういう使用状況になっておりますか。
  26. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 いわゆる農薬中毒の中にも、有機燐酸の中毒といいますか、それと有機塩酸の中毒と、二種類が大きな中毒の中身になっておるわけでございますけれども、いわゆるパムといいますか、あの薬は有機燐酸の中毒のほらに非常にきくということになっておりまして、一方の塩酸のほらの中毒につきましては、現在まだ完全な治療法というものは発見されておらないというふうに私どもは承っておるわけでございます。ただ、残念ながら、パムの使用状況等につきましては私ども十分な資料を持っておりませんので、やはり製造量その他の点もございまして、中毒が起こった場合に直ちにこれを治療できるような態勢は、今後の重大な研究課題として、新しい薬の開発、またでき上がっております既成剤の使用等につきましても、今後、先生指摘のとおり十分関係団体と連絡をいたしまして、万全の措置をとってまいりたいと思います。
  27. 滝井義高

    滝井委員 いまの、パムを保健所に備えておるから、農薬、特に有機燐酸の中毒患者を見たらすぐに電話をしてください、保健所にありますからと、みな医療機関に配付してあるのですよ。とにかく全国に千件以上もあるわけですから、どこから一体その薬が出て、そしてどういう使用状態かということぐらいはわからなければ、話にならぬですよ。毒物劇物にあなたのほうは専念しているわけでしょう。パムを保健所に備えておるが、いざというときにはすぐに申し出てください、保健所にありますからといって宣伝しているのに、それがどういう配付の状態になっているか、どういう使用状態になっているかわからなければ話にならぬじゃないですか。これは注射液です。
  28. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 非常に恐縮でございますが、私ども、ちょうど田植え時期に入ります五月から六月にかけまして、被害防止運動というものを国民運動として徹底的にやるということでやっております。その段階におきまして、有機燐酸の中毒があった場合には保健所のほうでこういう薬がありますということを徹底的に知っていただくようにPRにつとめているわけでございますが、まことに恐縮でございますけれども、どの程度それが使われておるかという使用状況までは、実は調査ができておりません。今後とも調査いたしまして、十分その方法等を研究してまいりたいと思います。
  29. 滝井義高

    滝井委員 あれはただでくれるわけじゃない、売るわけでしょう。当然どこかで予算で買って、そしてそれを各都道府県に配付しておるわけですからね。それから今度は医師が金を出して買って、その金がまたどこか集まってこなければならぬはずなんですよね。——まあ、いいです。それはちょっと、物の流れと金の流れ、こういうのを見きわめておってください。そうしないと、また投書に書かれて、どこどこの保健所にパムがあるというから行ってみたけれども保健所でパムがなくてくれなかった、だからこの子供が死んじゃったんだということになると、あなたに責任がきますよ。しっかりしてください。  それから条文のことですが、四条の二の、毒物劇物の販売業の登録を分けて、一般販売業の登録、農業用品目販売業の登録と特定品目販売業の登録と三つになりますね。そうしてそれぞれ省令で定めるものを販売していいわけですね。その場合の一般販売業というのは、これは何でも売ることができるのですか。
  30. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 さようでございます。
  31. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、この四条の三の、農業用品目の販売業と特定品目販売業と二つ分けますね。一般販売業は何でも売ることができるのですから、農業品目も特定品目も売ることができる、こうなる。農業品目というのは常識で農薬関係ということがわかる。特定品目というのは一体どういうことになるのか。その省令で定めるものですね。
  32. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 特定品目といいますのは、たとえば塗料用剤の販売業あるいはクリーニング用剤の販売業等の特定の業種を意味しておりまして、それは農業用品目に比べまして取り扱い上の危険度は低い毒物及び劇物というふうにお考えいただきたいと思うのでございますが、大体十二品目で、その十二品目及びその製剤が予定されております。
  33. 滝井義高

    滝井委員 農業品目というのは、農薬を使う非常に大きな層があるから、これはわかるわけです。塗装用剤とかクリーニング用剤、洗剤ですね、こういうものを特定品目として一般販売業から独立させなければならぬという何か特別の理由があるのですか、十二品目だけ特に特定品目販売業として。いままで、旧法ではそういうものはないわけです。一体どういう理由から新法で新しくこういうものをつくらなければならぬようになったのか、その立法の背景というものはどういうことだったのか。
  34. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 今回このような販売業の登録を三つに分けました点は、ただ取り扱い上このように分けただけでございまして、中身は実は従来と全然変わってないわけでございます。したがいまして従来のことを説明すればおわかりと思いますが、従来は販売業の登録は一本になっておりますが、その品目の登録をまた別にとるということになっておりまして、従来ともこのような、ただいま私が申し上げました十二品目程度の品目につきましては特定品目として、登録をしておる販売業は一本でございますが、登録する場合に品目の登録をやるわけで、その販売業の品目の登録をやる場合に、その登録された販売業の事業管理人ですか、古い法律では事業管理人でございますが、その事業管理人の試験をその特定品目についてやるという形になっておるのを、これを一々登録品目が変わるごとに新しい品目を取り扱いたいと思ったときに、わざわざその品目の登録を変えることはたいへんでございますので、あらかじめ特定品目の販売業ということで試験を受け、合格しておればその特定品目は自由に取り扱えるというふうに法律的な形式を変えただけでございます。中身は従来とちっとも変わっておりません。それでクリーニング業あるいは塗料用の製剤につきましては、現実にやはり町の販売店で売られておるわけでございまして、別に新しいことを意図しておるわけでも何らないわけでございます。
  35. 滝井義高

    滝井委員 ちょっと説明がぴんとこなかったけれども、いままでと同じだということですが、一般販売業というのをとりますね。そうしますとその人は、農業品目でも特定品目でも売ることができますね。しかし一般販売業をとっても、農業品目だけをしてもいいし、特定品目だけをしてもいい、説明はこういうことなんですか。いままではそういう規定は何もないのですね。特に今度販売業の登録の種類を三つに分けなければならぬというのが、どうもいまの説明でははっきりのみ込めないのです。一体、どういう立法上の利益があるから、こういう三つに分けなければならないことになるのか。取り締まりの上からこういう三つに分けなければならないことがぜひ必要であったかどうか、その立法の背景がよくわからない。
  36. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 担当の薬事課長から、わかりやすく御説明いたさせます。
  37. 横田陽吉

    ○横田説明員 販売業を三つに分けましたいきさつについて、簡単に御説明申し上げます。  そこで一般販売業、農業用品目販売業、特定品目販売業の三つに分けました理由は、従来は、販売業の登録にあたりましては品目ごとに販売業の登録をする、こういうたてまえでございます。したがって一般販売業、特定品目、農業用というようにある程度定まった範囲内のものは自由に売れる、そういった販売業の登録のやり方はなかったわけであります。したがって、たまたま非常にたくさんの品目の登録をとっておりますと、その中で非常にたくさんのものが売れたわけでありますが、何かの都合で非常に少ないものをとっておられた、しかし、いろいろな必要からほかのものを売らなければならぬということになってまいりますと、そのつど品目ごとの登録をとらなければならない。  それからもう一つは、販売業の場合には事業管理人を置かなければならないわけでありますけれども、その事業管理人の資格が事実上三つに分かれております。それでその資格の分かれ方は、その事業管理人が合格しました試験の内容によって分かれておるわけでございますが、たまたまある程度の品目の販売業の登録をとっておったその品目の範囲が農業用の品目であったという場合には、その販売業の事業管理人は、農業用の品目全般についての試験に合格しておればよろしかったわけでありますけれども、そのほかの工業用の品目などを売りたい場合には、今度は工業用の品目まで含めて試験を通った事業管理人を置かなければならない。言うなれば、事業管理人の合格しました試験の種類によって事実上販売業態が三つに分かれている。しかし、実際に販売業態の登録自体についてはあくまでも品目ごとの登録である、こういう不便があったわけでございます。したがって、今回は、扱える品目も全品目、農業用品目、それから先ほど局長がお答えしました塗料用あるいはクリーニング用剤、そういったものに含まれておる劇物などの販売業、その三つに分けてしまいまして、したがって試験も、一般販売の事業管理人たり得る試験、それから農業用品目の事業管理人たり得る試験、それから特定品目だけの事業管理人たり得る試験、そういうふうに事業管理人のほうも三つにすぱっと分け、販売業のほうも三つにすぱっと分ける。そういうふうに、たまたまたくさんの物を売るように登録をとっておった方は一ぱいのものが売れ、そうでないものは少ししか売れない、そういう不便。それから事業管理人とのからみ合いと申しますか、その販売業の種類と事業管理人の関連性、それをはっきりさせた。ちょっとごたごたいたしましたが、そういうことでございます。
  38. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、事業管理人というのは今度なくなるんですね。今度の新しい法律では、毒物劇物取扱責任者ということになる。そうすると、その責任者の資格というのはどういうことになるかというと、「薬剤師」と、それから「厚生省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者」、それから三が違って、「都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者」、こうなっておって、農業用品目とか特定品目とかいうようなことはないわけですね。とにかく三つのもののどれかに当てはまっておれば、毒物劇物取扱責任者になれるわけです。なれれば、その人は、同時に販売業者としての登録はできるわけです。薬剤師だったら、一般販売業者の登録はできるわけです。それから応用化学に関する学課を修了した者は、そうすると、いま首を横に振っておるのだけれども、薬剤師とこれは違うのですが、違うとすれば、一体応用化学の学課を修了した者は何の品目を扱うことができるか、こういうことになってくる。
  39. 横田陽吉

    ○横田説明員 ただいまいささか舌足らずの説明でございましたが、この取り扱い責任者は、ただいま先生指摘のように薬剤師と、それから応用化学に関する学課を修了した者、これは全品目の販売業の取り扱い責任者になれるわけです。問題は、この三号にございます。「都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者」、これが省令で三区分されまして、全品目についての試験と、農業用品目についての試験と、それから特定品目についての試験と、三区分されるわけでございます。一号、二号のほうについての説明を省略いたしましたので、いささか間違った御印象をお与えいたしましたが、三号のほうは、試験のほうがそういうふうに三区分される。その内容は、法律の八条の三号によりまして、その具体的な課目の内容その他につきましては厚生省令で定める、こういうことにいたしておるわけでございます。
  40. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、一号と二号、薬剤師と応用化学の者は何でもできる、こういうことですね。とにかくそういう説明をしてくれるとすぐにわかるわけです。十一条はさいぜん説明していただきましたから、今度は十五条の二です。十五条の二の「毒物若しくは劇物又は第十一条第二項に規定する政令で定める物は、廃棄してはならない。」と、こうなっておるわけです。そうしますと、ウランをたいたあとの灰は、アメリカでは何か厚い鉄の中に入れて深海に捨てるなんということがあるのだが、これは毒物劇物を処理して廃棄をする、どこか処分をしなければならぬわけです。そうすると、廃棄することができないならば、その毒物劇物を何らかの形で、要らなくなったものは処分をしなければならぬことになる。廃棄をしてはならないならば、一体これはどう処理すればいいかということになるわけですね。
  41. 横田陽吉

    ○横田説明員 おそらく先生ごらんの資料は、新旧対照表をごらんになっているのだと思いますけれども、ミスプリントでございまして、「定める物は、」の次に「廃棄方法について政令で定める技術上の基準に従わなければ、」その大事な字句が抜けております。
  42. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、その「技術上の基準」というのは、やはり一つ一つ劇物について定めるわけですね。たとえばウランを燃やしたあとは深海に捨てるのだというようなぐあいに、何か一々ケース・バイ・ケースでおきめになるわけですね。そういうものはもうできておりますか。
  43. 横田陽吉

    ○横田説明員 その廃棄の技術上の基準につきましては、現行の法律に基づく政令である程度のものは定めております。このやり方といたしましては、現行の政令では、分解、中和、希釈、そういった方法を原則とする、そういうふうなやり方になっておりますけれども、現行の問題としましては、ただいま先生お話しのように、毒物劇物の種類によりまして分解なり、中和なり、あるいは希釈の方法も異なるわけでございますから、非常にたくさん使われる機会の多いそういった毒物劇物については、できるだけ品目ごとにそういった方法を定めていく、こういうふうな方法をとらざるを得ないと思っております。そのようなことの内容を定めますために、現在厚生省の付属機関としてございます中央薬事審議会、この中に毒物劇物特別部会というものがございます。その特別部会に厚生大臣から、毒物劇物廃棄基準についていかにすべきかということを諮問いたしておりまして、その大体の結論がことしの秋ぐらいには出る予定になっております。
  44. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、その技術上の基準は薬事審議会でおきめになると言うが、実はいままでの十五条の二は、この新旧対照表の上の欄をごらんになると、「毒物又は劇物は、廃棄方法について政令で定める技術上の基準に従わなければ、廃棄してはならない。」と書いてあるわけでしょう。いままでと変わっていないわけでしょう。いままでは使っていなかったわけですか。
  45. 横田陽吉

    ○横田説明員 ただいま申し上げましたように、現行の政令で、分解とか中和とか希釈とか、そういったことをしなくては捨ててはならない、そういった抽象的な規定があったわけであります。したがって、それが結果的に分解せずに捨てられておりますと、十五条の二の違反ということになるわけでございますが、現実の問題といたしましては、同じ分解にいたしましても、物によって技術的に非常にむずかしいことがあり得るわけでございます。したがって、先ほど来の御質問の際に局長からお答えいたしましたように、中小企業等が多うございますので、ただ分解しなさいと言いましても、どのような方法で分解するかということを細目定めておりませんと、従うにも従っていただけないという問題がございますので、抽象的な条文をさらに技術的に肉づけをしていきたい、そういうふうなやり方をいたしたいということでございます。現在でも、規定自体は、多少抽象的でございますけれどもございます。  もう一つ一番の問題は、現行法では、毒物劇物それ自体についてだけの廃棄を十五条の二は問題にいたしておりますけれどもメッキ工場等では、御承知のようにシアン化ナトリウムの三%ないし八%溶液を使っております。三%ないし八%溶液は、それ自体毒物でも劇物でもございません。それを含有する物でございますので、現行法では非常に冷たく解釈をいたしまして、そのものを捨てること自体が十五条の二の違反になるかどうかということについては、おそらくならないという解釈のほうが法定解釈だという問題がございますので、今度はそういった含有物まで含めまして、廃棄する際には、事こまかに規定されるその技術上の基準に従って廃棄してください、こういうふうな改正をしておるわけであります。
  46. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、結論的に言うと、いままではこうして技術上の基準に従わなければならぬという法律はあったのだけれども、具体的な技術上の基準がなかった。そこで今度は、含有物毒物劇物を使う工場まで含めるんだから、したがって今度は具体的な基準を薬事審議会にはかってつくります。こういうことですね。わかりました。  そうしますと、同じようなことになるが、十六条の二の事故の際の措置ですね。一番最後の「保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講じなければならない。」というところに関連が今度は出てくるわけです。具体的な中和とか分解とかいうような、そういう科学的な操作をやる基準がわからなければ、応急措置というものがなかなか出てこないのですね。応用問題がきかないわけです。当然これも、新しく改正された条文になるのですが、こういう応急的な措置についても、同時に薬事審議会で方針をある程度、こういう応急措置はこうやるんだということをきめてやることになるのですか。
  47. 横田陽吉

    ○横田説明員 十六条の二のほうの応急の措置基準それ自体について薬事審議会で定めるということはございませんけれども、これは十五条の二のほうの技術上の基準、そういったものを類推するなり何なりということになろうと思います。したがって、はっきりした分解なり中和なりあるいは希釈なりの方法が定まりましたならば、応急の措置の際にそれを応用いたしまして、このようにすべきであるということを事実上行政指導によって周知させる、こういうことになろうと思いますす。
  48. 滝井義高

    滝井委員 その場合に、その応急措置をやるのが保健所と警察なんですね。警察はどこでもそういう技術的なものを知っている人がおるわけではないのです。いまの日本の警察というのは治安警察が主たるものになって、昔のように衛生警察はないわけですから。したがって、これは保健所ということになるのですね。そうすると、大きな十五万とか二十万の市か郡に一つしかないような保健所ですから、さあ川の中に青酸流れているぞといっても、なかなか応急措置といったって、よほどこれは行政的な周知徹底をやっておかないと間に合わないのですね。といって、おまわりさんが堤防の上を行ったり来たりしておるだけではどうにもならぬので、やはり直ちに科学的操作その他をやれる形をとらなければならぬということになるのですね、これは犯人を逮捕するわけではないのだから。究極的に毒物劇物を川の中に流し込んだ犯人はどこだということになればおまわりさんが要るのだけれども、とにかく応急措置はそういうものではないはずなんですね。こういう点は、ぜひひとつ行政上の周知徹底をしっかりやってもらいたいと思います。  だんだん逐条的になりますが、二十三条の手数料です。麻薬取締法では全部手数料を改定したんですね。引き上げたんです。私は引き上げよと言うのではないのですよ。だけれども、一国の行政が、非常に物価が上がって役所の事務費その他がかかるんだから、麻薬取締法は手数料を上げますといって引き上げたわけです。ところが同じ薬務局所管の毒物劇物の手数料はそのままなんですね。これは私たちがやかましく言ったからそのままにしたのですか、それとも何か理由があってそのままにしたのでしょうか。
  49. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 麻薬取締法の手数料の改正は、実は法律ができましてから十年間手数料の改正をやられておらなかったわけであります。それで昨年の大改正をやるときに手数料の改正をしたわけでございますが、この手数料は、法律ができましたのは二十五年でございますけれども、その後手数料の改正をいたしておりますので、十年間全然やってないということではございません。途中で手数料の改正をいたしておりますので、今回は手をつけてない、こういうことです。
  50. 滝井義高

    滝井委員 首尾一貫をしなければいかぬものですから、私は値上げ反対なんです。反対ですけれども、同じ薬務局の所管で、麻薬というのは非常に毒物劇物に近いのですね。それを、これはいま物価が上がって人件費その他も高くなったからといって上げたけれども、こちらのほうはそのままだということも、ちょっとこれはアンバランスになる可能性があるのです。私、これは上げないほうがいいと思いますけれども、何か片や上げて片やそのままということも、同じ手数料ですから。この前の手数料を上げる理由の説明のしかたはそういうものじゃなかったのですね。物価が上がっていろいろと経費もかさむしするからということで、みんなお上げになったのです。ところが今度はお上げになっていないようですけれども、これは善政ですから、池田内閣のたった一つの善政は、薬務行政において手数料を上げなかったということにあらわれておるというのでは、ちょっと涙が出ますよ。  これで今度は保健所のほうに移りますが、その前にちょっと農薬による事故対策について伺います。  御存じのとおり、日本農業というのは非常に危機的な段階を迎えているわけですね。そして農村からはたくさんな労働力が、一年に七十万程度流出してしまうわけです。したがって労働力の不足というものは、三ちゃん農業といわれまして、じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃん農業といわれますけれども、そのほかに、一方においては相当の機械化が進んでいるわけです。そうしますと、農村における新しい労働力の流出によって、日本農業というものは非常に危機的な段階にあるが、激しい変貌状態を続けていることは、労働力が女性化し、老齢化するとともに、一面進歩的な面としての機械化というものが進行しているわけです。いわば非常に封建的な農村の人間関係というものが急激に変化をしているわけです。そういうところに農業における自殺、他殺というのですか、これをごらんになると非常に多いのですね。三十二年で自殺または他殺が六百八十六でしょう。これは減っていないですね。それで三十七年が八百二十三、三十八年が七百三十八と、三十二年、三年当時に比べてむしろ増加傾向にさえあるということなんです。やはり毒物劇物取り締まりをやる薬務局としても、これは農林省だけにまかせておくわけにはいかぬと思うのです。これは人間の機微に触れる問題というものは、農林省よりか厚生省のほうがいいのですね、厚生省はやはり人を扱う省ですから。だからこういう集団中毒の問題その他が出てくる、自殺、他殺の問題が出てくるわけですから、農薬による事故対策というものを、何かあなたのほうで具体的に省議でも決定をして出したことはありますか。
  51. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 農薬の被害の防止につきましては、先ほどから申し上げておりますように、農林、厚生両省でその事故防止を強力に推進しておるところでございますが、毎年四月の初めに厚生事務次官、農林事務次官通牒をもちまして、農薬被害防止運動の実施につきましての細目を通牒でもって流しております。それで最近の農薬の事故につきましては、残念ながら先生の御指摘のように、依然として自殺、他殺の事故例が多いわけでございまして、これがむしろ漸減するというよりもふえておる年もなきにしもあらずで、私どもも非常に心配いたしておるのでございますが、事実上農薬の危害防止運動の実態をあからさまに申し上げますと、農林省のほうは、何と申しましても薬の知識は、私のほうの所管と違いまして乏しいものでございますので、農薬危害防止の月間運動等につきまして、学者を動員し、あるいは農薬の事故防止につきましての知識を普及するというために、県で主催する講習会等に学者を派遣するとか、あるいは関係官を派遣するとかいうことにつきましては、全面的に厚生省のほうにおぶさっておるような状況でございます。たまたま月間運動につきましても、私どもあるいは課長その他関係係官が随時いろいろな報道機関その他にも呼び出されまして、その危害防止の徹底を鼓吹いたしておるわけでございますが、今年度の重点項目も、たとえば例を申し上げますと、血液及び尿検査の実施をするとか、あるいは立ち入り検査を徹底するとか、また最近空中散布の事態が非常にふえてまいりますので、空中散布の実態調査をするとか、空中散布をやる場合の散布の基準等も、この実態調査をやることによりまして今後ともきめていくということを私どもはやっておるわけでございます。ただ、農薬事故の問題は、先ほど先生指摘のように非常に農村人口が減ってまいりまして、オーバーワークになっておる。この農薬を使用する場合には、健康な状態でなければ散布することを避けるようにつとめて呼びかけておりますけれども、何としても人手が足りない。したがって、たとえば妊娠直後の家庭の主婦まで、こういう者は絶対にやってはいけないというのに、かり出されて農薬散布に加わって事故を起こしたというような、日本の農業の実態的な問題に影響のあるような事態から発生する事故も多いわけでございますので、今後ともそういう事故をなくすように、私どもも強力に推進してまいりたいと思っております。
  52. 滝井義高

    滝井委員 毒物劇物取締法の一部を改正する法律案については、大体質問を終わりました。  それで、これから保健所において執行される事業等に伴う経理事務合理化に関する特別措置法に入るのですが、理事さんのほうから、そこでちょっとストップをしてもらいたいという御命令でございますので、これでちょっとやめて午後続けたいと思います。なお、あと少し公害のことがありますから、薬務局は関連がありますから残っておってもらいたいと思います。
  53. 田口長治郎

    田口委員長 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後一時五十一分開議
  54. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。伊藤よし子君。
  55. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ただいま議題となっております毒物及び劇物取締法の一部改正法律案関係があると思いますけれども、広く言って保健所の事務のことにも関係してまいりますし、ちょっと緊急な問題でございますので、一言御質問を申し上げたいと存じます。  最近、御承知のように、輸血による血清肝炎の頻発から、あらためて売血制度が問題になってまいりまして、いわゆる黄色い血だとかよごれた血だとかいうような見出しで盛んに新聞等で取り上げられてまいりましたし、先日は参議院の社労でもこのことを問題として取り上げられたようでございますが、当然これは衆議院の社労委員会の問題として取り上げて、これの解決をしなければならぬ問題ではないかと考えるわけでございます。  私がいまさら申し上げるまでもないことでございますけれども、売血の問題はだいぶ以前から問題になっていたことでございまして、今日医学の発達によって、従来は死病だとされていたものが手術によって命を食いとめるようになり、当然のことでございますけれども、輸血の需要が高まってまいっているわけでございます。今日こういうところへ追い詰められない先に、私はいままでに厚生省として何らかの行政指導がされるべきであったと考えますし、その点について、いままでたいへん手抜かりと申しましょうか、見過ごされてきたのじゃないかと思うのでございます。今日、御存じのように、新聞なりあるいは資料によりましても、売血によるものが現在の輸血の中でほとんど九〇何%くらいになっているようでございます。こういうことから今日のような事態が起きてくるのは、私は必然じゃないかと思うのでございます。そこで、このいまの売血制度というのができましたのは昭和二十六年でございますが、そういうこと自体、本来で言えばかなりこれは非人道的なことじゃないかと思うのですけれども、いままで、やむを得ないからというようなことでずっと今日まできておるのでございますけれども、売血者のほうの側から言えば、大部分の人がいわゆる常習の売血者のようですが、貧困のためにやむなく血を売り、そしてずるずると売血を行なっているというようなことで、本人もたびたびとるのはからだによくないということを知りつつも、現在の血液銀行などの勧誘に引きずられて続けているというようなことが多いのではないかと思います。こういうことから、売血者のほうの側から言えば、貧困、売血、そして廃人、そしてまた貧困というようなコースが続いているわけでございまして、これを受ける側からは、当然のことですけれども、せっかく血を買って輸血をしてもらいましても、それが黄色い血だとかよごれた血だとかいって輸血による効果も少なくなる上に、また、たいへんいま問題になっている血清肝炎というようなおそるべき病気が非常に発生しているのじゃないかと思います。また統計によると、現在ではそれが輸血の二、三割にもなるじゃないかというようなことをいわれております。これは、私はたいへん大きな問題だと思うのでございます。先日、二十三日でございますか、閣議でも小林厚生大臣が、献血制度の推進について、国の具体的な対策が欠けていたことは事実であって、血液行政の転換をはかる考えを明らかにされたということを新聞の記事で拝見したのでございます。おくればせながらこういうことを厚生省でもお取り上げになって、対策をおやりになるということはたいへんけっこうでございますけれども、どうも新聞で拝見しただけでは、解決はなかなか容易ならぬことだと思うのでございます。この点について、国会も休会になりますので、私ども国に帰りましてこの問題はどうなったと聞かれた場合に実は答弁に困るわけでありまして、厚生省は具体的にどういう対策を持っておられるか、その血液行政の転換をはかる考えを明らかになさったということでございますので、それについてお伺いをしたいと思います。
  56. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 医学、医術の進歩に伴いまして非常に手術が盛んになり、手術に用いられます血液の需要が非常に多くなってまいりましたことは、これは事実でございまして、最近のここ四、五年の間に血液の供給量は二倍半程度になってまいりまして、現在大体五十九万リッターくらいの供給をいたしておるわけでございます。その血液の供給が、御指摘のように固定した売血常習者から九七%程度とられておりまして、その事実が現在問題になっているわけでございます。この固定売血常習者から採血をするということにつきましては、厚生省としましては決して望ましいことでもなし、また何とかして固定売血常習者を一掃して、正しい献血運動なりあるいは預血運動でもって血液の需要をまかなっていきたいというふうな考え方を、ここ数年来持っているわけでございますが、ただ、なかなか計画がスムーズにまいりませんで、今日問題になっているような事態に相なっているわけでございます。ただ、過去におきましては献血、預血量というのが非常にわずかでございまして、昭和三十一、二年ごろは〇・〇三%ないし〇・〇五%程度の預血、献血の供給量でございましたが、その後日赤を中心に移動採血車の国庫補助を認めることになりまして、各県に日本赤十字社の血液銀行を設置し、その血液銀行に移動採血車を配置しまして、国が補助金を出しまして、現在二十数台の移動採血車を配置いたしておるわけでございますが、それによりまして、献血、預血のほうは、わずかに率は上昇してまいりまして、現在三%程度に相なっておるわけでございます。ただ、これでもって、私どもはこの制度を正しい方向に持っていくため、望ましい方向に持っていきますためには、さらに預血、献血の運動を促進したいということで、各県にも呼びかけておりまして、現在各県の主要なところにおきましては、その県の血液対策協議会みたいなものを設置いたしまして、最も効果をあげておりますのは、北海道あたりにおきましては、大体三〇%程度は預血、献血でまかなうというふうな実績をあげておるのでございますけれども、まだまだ全国的にこの運動が盛り上がってまいりませんので、今後とも預血、献血によります供給をふやすように一そう努力をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、従来移動採血あるいは血液銀行で採血をいたしておりますけれども、日本赤十字社の方々の非常に強い御要望もございまして、あまりにも採血の場所の規制がきびし過ぎるのではなかろうか。もう少しオープン方式といいますか、移動採血車あるいは血液銀行内で採血する以外に、採血班が出かけていって、多数のグループが集まっておられるところでオープンで採血する方法を考えたらどうだというふうな御意見もございまして、今週の月曜日に薬事審議会の中の血液部会を開催いたしまして、オープン方式についてどのように考えるかということを厚生大臣から諮問をいたしたのであります。その諮問を受けまして、血液部会としましては預血、献血運動を強力に推進するためには当面採血方式としてオープン方式を採用するかどうかを検討することが最も緊要である。したがいまして、オープン方式につきましての技術的な基準あるいはその可否について至急血液部会の下部機関にあります調査会でもって技術的な基準を検討するようにというふうな答申をいただいておるわけでございまして、片や売血制度をどんどんなくしていきますと同時に、移動採血車あるいは血液銀行による採血とあわせまして、オープン方式も技術的な基準ができ上がれば、それによりましてさらに献血、預血の運動を推進してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  57. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ただいま申し上げましたように、私はもう少しいままでにそういう行政指導なりがもっと計画的に行なわれなければならなかったと思うのでございますけれども、特に、滝井先生の御質問もありますので、私は簡単に終わりますが、売血者といえども、やはり手術をして輸血を受ける人と同じ人間なんでございますから、その売血によってみずからの身を削るだけではなくて、廃人になり、あるいは消えてしまわなければならないとしたならば、そういういまのような売血制度のあり方あるいは血銀などのあり方の中に相当問題があるのじゃないかと思うのです。採血は、大体法規によると、一カ月に二百ccのものを一本くらいが健康の上ではいいということになっておるようでございますけれども、いまいろいろ新聞やその他私どもの手元にある資料によりましても、多い人は一カ月に二百の四十本もとっておるような人があって、そういうような、私はいままで比重の検査とか、あるいは採血にあたっての法規上の検査があると思うのですけれども、そういうことが通っている現状というものは、御指導の立場からはたいへんおかしいと思うのです。こういう点もぜひひとつ——もちろん大きくは、売血によって生活を維持するというようなことをしないで済むような政治ということが大切でございますけれども、現実の問題としてそういう点にもいままで行政指導で非常に欠けておるのじゃないかと思いますので、採血の検査、そういうものをぜひ厳重にしていただきますと同時に、もしいまおっしゃるような方面が予算上できないから預血、献血の制度が進まないというようなことがございましたら、十分な予算をとっていただいたり、あるいはオープン採血が可能であるように、心配がないように、その点からもまた十分な御検討をいただいて、一日も早くこういう問題でみんなが安心して輸血が受けられるような状態に早急にやっていっていただきたいと思うわけでございます。
  58. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 関連質問を許します。竹内君。
  59. 竹内黎一

    ○竹内委員 いま局長からインドア・オープンの方式というのですか、そういうような方式の検討をしておるというお話も承ったのですけれども、保険的な考え方、つまり自分が必要とした場合に預けたものの何倍かの提供を受ける、そういう考え方もあるように私も承っておりますが、そういった方面も御検討になっておるのでしょうか、御説明願いたいと思います。
  60. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 現在、民間血液銀行のほうでは個人保険と称しまして、先生指摘のように一本二百分を出せば、五本ないし十本程度返すということで個人の災害保険といいますか、そういったものを実施いたしております。また母子血液保険といいますか、お産の際の血液ということであらかじめ血を預けるという方法も考えておるわけでございますが、私どもの考え方は、そういう民間の血銀の考え方を、売血制度にたよらずにそういう形で伸ばすと同時に、やはり日本赤十字を中心といたしました献血運動もどしどし伸ばしていきたいということで現在その方策を進めておるところであります。
  61. 竹内黎一

    ○竹内委員 もう一点お伺いしますが、私、読売新聞で拝見したところによりますと、いわゆる血清肝炎を防ぐために東大において退院者の追跡調査をやっておる、こういう記事を読んだわけで、非常に大切な調査だろうと思いますが、厚生省全体として何かそういう計画なり事業を実施しているかどうか、追跡調査というものを御説明いただきたいと思います。
  62. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 実は血清肝炎の問題は、最初のうちは原因がわかりませんで、学界でもどうもおかしいということであったのでありますが、最近になりまして、ここ二、三年非常に血清肝炎対策が問題になったわけであります。ただ、血清肝炎の原因自体が非常にわかりにくいという点があるわけでございます。それでまず大体肝炎のビールスから移るのではないかということですが、肝炎のビールスを持っている人は健康人でもあるわけです。ところがそのビールスの実態自体がどのようなものであるか、ビールスらしいということはわかっておりますが、そのビールスを発見する方法自体が全然まだ研究されておらない。これが研究されれば、肝炎のビールスを持っておる血は不合格ということで除去することができるわけでございますが、それがないためにできない。したがいまして、肝炎の発生した場合のトレースといいますか、追及は行政機関の手で追及すると同時に、学者の方々にそれぞれ各大学で手術をいたしました患者のトレースをやっていただくということはもちろんでございますが、やはり根本的な問題は血清肝炎対策といたしまして、私どもは、どのように肝炎を防止するか、あらかじめスクリーンの方法をどのようにするか、それからまた、血清肝炎になった場合にその治療方法をどのようにするかという両面につきまして、学者の先生方にお願いをいたしまして、至急結論を急いでもらうということで、現在検討いたしておるところでございます。
  63. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 関連して。オープン方式というのは一体どういうようにやるのか、まずそれを……。
  64. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 オープン方式ということば自体あるいは適当であるかどうか、たまたまオープン方式ということばになってあらわれたわけでございますが、現在の採血の規制といいますのは、血液銀行内の、無菌状態に置かれましたところで採血する場合と、それから車をもって採血をする、その移動採血車といいますのは、血液銀行内で採血する場合と同じように、完全な無菌状態において採血をする場所ということで、移動採血車を認めておるわけで、それ以外に採血することは現在のところは全然認めてないわけでございます。ところが多数の献血のグループが、たとえば大学だとかあるいは集団的なグループでやる場合に、移動採血車を出しましてそこで採血するということになりますと、どうしても能力に限界がある。せいぜい百人から百五十人ということになっては、せっかくの献血したい人々を長い間待たせるというふうな不合理な面もございますので、看護婦、医師を班といたしました採血班がぴんとベッドを持っていきまして、なるべく消毒をしました清潔な室内で、ベッドを並べて、そこで採血するという考え方をオープン方式というふうにいっておるわけでございますが、これを戸外で認めるか戸内で認めるかという問題もございますので、この前の血液部会では、戸外で認めることは目下のところ反対である、インドアで、しかも十分清潔に室内を保持できるところでやるような方法を考えよう、しかしその場合にどのような清潔方法をやるか、あるいは医師、看護婦がどのくらい行くか、その他必要な器材、器具等につきましてもいろいろの問題がございますので、その辺を調査会の結論に待とう、こういうふうになっておるわけでございます。
  65. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今日血液の、需要というものは非常に大きいことはいまお話しのとおりであります。ことに非常に大きな手術が行なわれておる。たとえば、人工心肺等の手術が行なわれることによって、どうしても一回三千あるいは四千というような大きな血液を必要とするわけです。そういうことによって大きな手術ができて、いままで不治だと思われていたものが助かるようになってきた。あるいは交通災害等で大きな負傷をする、あるいは産業災害で大きな負傷をするというような人々が助かるということになっていっておるのでありまして、この血液の問題については、私も早くから十分な質問をするつもりで用意もしておったのでありますが、たまたまきょう出てまいりましたし、すでに会期末でありますから、関連してごく簡単に伺っておくわけでありますけれども、いずれまた、あらためてこの問題は真剣に取り組みたいと考えております。いま、私さしあたって伺っておきたいことは、こういうような非常に大事になってきた血液、しかもとうてい需要に供給が及ばないというような事態になってきておりますけれども、どうも厚生省の腰の入れ方が足りないと思うのです。先般も私は、自分の病院の従業員とともに、名古屋の日赤から車に来てもらって、いわゆる献血、預血をしたわけです。どんなふうにやっているかといって実態を聞いてみますと、移動採血車を持っておりながら、やっている率というのは非常に少ない。一カ月のうち幾日働くのかといっても、問題にならぬです。あの日赤の移動採血車でやるのを私ども見ていると、非常に気持がいい、非常に清潔であるし、また従業員もよく訓練されておって、私は非常にりっぱだと思いました。問題は、国民の十分知らないいまのような預血というような形、これはあまりに血液の需要供給がアンバランスになっておりますから、私の地区の遠州労働組合会議という、大きな労働組合の協議体と申しますか連合体と申しますか、そういうのがございますが、それに三万人からの組合員がおりますから、諸君どうだ、ひとつ諸君の仲間を万一のときに助けるために君らやってくれぬかと言ったら、執行部はやりましょうというのですよ。ただ、そういう制度というものを全然知らないのです。そういうように、もし自分たちの仲間が産業災害、交通災害等で困る、あるいは自分たちの家族や仲間が手術をしなければならぬときに必要であるということであって、その場合にいま血を出しておけばそういうものが戻ってくるのだということであれば、喜んでやりましょうというのです。そういうことを厚生省がどうも血液銀行や日赤などに依頼しておる、しかも、そこらも必ずしも積極的にはやっておらぬ。私の見るところでは、少なくとも私の地方では全く消極的で、全然PRをやっておらぬといって差しつかえない。でありますから、せっかくの予算で移動採血車をつくることを補助いたしましても、実際においては一カ月のうちに幾日も働かない。そうして採算が合わない。でありますから、従業員等の給与その他を見ると、採算が合わぬというのです。私は、実情を聞いて全部しるしてあります。きょうはそのノートを持ってきておりませんですが、医者としても、自分みずから病院をやっておっても、これだけの血液が必要なときに、いよいよどうしても困ると自衛隊も頼まなければならぬ、自衛隊だってはなはだ迷惑な話でありまして、ある者はそのために演習を休まなければならぬというようなことも聞くのでありますけれども、これは、常に一番都合のいいときに、五十人ないし六十人集まれば採血車がどんどん来てやってくれるわけですから、事業所なら事業所で、従業員の方、労働者の方に集まってやっていただくぐらいのことは、理解されれば何でもないことです。幾らでもできることです。でありますから、問題はPRの足らぬことで、一体本省は、こういうPRその他預血、献血、採血等のためにどれぐらいの予算を使っておるのか。いまの移動採血車の予算は別といたしまして、ほとんど使っていないのじゃないかという気がするのだが、一体どれぐらい予算を使っているのか伺いたい。予算書を見てもどうもないような気がするが、どうなんですか。
  66. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 御指摘のように預血、献血運動のPRが足らないという点は、私は各県の事情にもよると思いますけれども、非常に熱心にやっておるところと熱心にやっておらないところで、いろいろニュアンスはあると思います。しかし、いま国民皆さん方が要望しておられるような、献血、預血運動が非常にほうはいとして出てきておるような事態に対処するPRのしかたといいますものは、従来とも比較的足らなかったという事実は私は率直に認めたいと思います。しかし、これがちょうどいい機会でございますので、私どもとしましては今後予算その他も十分な手当てをいたしまして、預血、献血運動の推進に強力にやってまいりたい覚悟でおります。従来の予算措置につきましては、預血、献血の自動車を毎年五、六台ずつ二分の一の補助を出しておりますと同時に、片一方におきまして民間の血銀のインスペクトをやらなければならないという、この方面に予算の重点が置かれておりまして、これが一千万近くの金額が入っております。しかし、PRの経費につきましては今後ともその予算獲得に十分努力をいたしたいと考えております。
  67. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 この点は私はぜひ大臣がいるときにしっかり注文をつけたいと思いますから、次の機会に譲りますけれども、これは今日非常に大事なことです。しかも早急な仕事でありますから、私はこのPR——なかなか民間の血液銀行等におきましても、あるいは日赤等におきましても、実際にむちゃくちゃにいまの売血者のものを手に入れて商売にするならとにかく、そうでないと、これは実情を直接聞いたところでは勘定は合いません。こんなことをさせてはならぬ。したがって、これほど大事な仕事でありますから、ぜひとも厚生省は本腰を入れてやってもらいたい。これはいずれあらためて申し上げますけれども、強く注文をつけておきます。  それからもう一つ、ついでに伺っておきたいことは、私も買ってきておりますけれどもまだ読んでおりませんが、週刊現代の記事で、ライシャワー大使のあの血清肝炎は黄色い血によったものであるというようなことが書いてあるようです。私も広告の表題だけを見て、どんなことが書いてあるか、きのう買ってこさせてまだ読んでおりませんから、内容を見ておりませんけれども、もしそういうようなことでライシャワー大使が不幸な事件によって、さらにまたそういう不幸になられたとなりますと、何とも非常に相済まぬことであり、気の毒なことであるわけであります。これは電車その他の中の週刊現代の広告にそれが出ているのでありますが、虎の門病院等ではすでに調べているかもしれませんけれども、厚生省はそれについてお調べになったかどうか。
  68. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 血清肝炎の原因につきましては、先ほど御質問にお答えしましたように、固定売血常習者の血ではなくても、普通の健康な方の血であっても、血清肝炎のビールスがあれば、その血を輸血された相手方に血清肝炎が発生するという例は間々あるわけでございまして、これはアメリカその他、わが国のデータにおきましても、固定売血常習者の場合と違いまして、率として非常に少ないけれども、三%ないし五%は発生するというデータがあるわけでございます。   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕  ライシャワー大使の事件につきましては、私どもも病院でどのような血を使ったかということは実情は調査をいたしております。大部分は病院の院内の方々あるいは外人の献血された方々の血を使っておるようでございますが、しかし、医療行為の中身でどのような血がどれだけ、どの数量使われたかということは、なかなかあとになりますとわかりにくい問題でございまして、あるいは応急の場合に売血から得た保存血が使われたかもしれませんし、また大部分が献血された血であったにしましても、その中に肝炎を持っておられる人の血が入れば、その可能性があるわけでございますので、どちらによるかという結論はつけにくい状況でございます。ただ不幸な事件であって、血清肝炎対策というものを早急に確立しなければならぬという問題点につきましては、私どもその重大な事実をひしひしと身に感じておりまして、その対策を急ぎたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  69. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 これらの問題は、私はやはり日本の医学のためにも、虎の門病院の名誉のためにも、またライシャワーといういわばアメリカを代表する重要な立場にあります方のためにも、国際問題といたしましても明らかにしておくべきであると思う。だから事態を明らかにして、週刊現代の広告でもっていかにも無責任なことをしたように——私は中身を読んでおりませんからわかりませんが、あの広告を見ると率直にいってそういう感じを受ける。ですから、そういうような無責任なことをしたのでないということを明確にしておくべきだと思うのです。一ジャーナリズムのいいかげんな記事で事実と違っておっては困りますから、明らかにしておいていただきたい。国際的にもぜひそうしておかなければならぬ。これはライシャワー大使に対する礼儀でもありますから、ひとつ明らかにして、それに対する善後措置をやっておいてもらいたいということをお願いしておきます。
  70. 田口長治郎

  71. 滝井義高

    滝井委員 午前に引き続いて保健所において執行される事業等に伴う経理事務合理化に関する特別措置法案について質問をいたします。  この法律は読んでみてもなかなかわからないのです。非常に事務的な専門的な法律の内容になっておって、読書百ぺん眼光紙背に徹すというけれども、何回読んだってどうも眼光紙背に徹しないのですね。そこでお尋ねすることになるのですが、まず先に条文から尋ねます。  二条の「前条第一号から第四号までに掲げる負担金又は補助金の率は、次の号に掲げる法律規定にかかわらず、会計年度ごとに政令で定める単一の率とする。」この負担金、補助金の率は会計年度ごとに政令で定める単一の率になるというのは、これはどういう意味ですか。これはちょっと説明してくれませんか。
  72. 若松栄一

    若松政府委員 この法律保健所運営のために統轄して運用しようとする金は、結核予防法の金あるいは伝染病予防法の金、保健所法の金、児童福祉法の金等がございます。それがそれぞれ個々の法律で二分の一補助とか、三分の一補助というものがあります。それにもかかわらず、それらを統合して一本の金にまとめて運用し、それに対して同じ特定の率を設けてその補助率で府県に対して補助しようということでございます。
  73. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、会計年度ごとに政令で一定の率を定めることになれば、いままでよりも経費がよけいいくことになるのですか、少なくなることになるのですか。
  74. 若松栄一

    若松政府委員 それはいままでよりも少なくならぬように善処するつもりでおります。といいますのは、二分の一と三分の一のものを加重平均いたしますと、どうしても年によって違ってきます。したがって、その加重平均してあらわれる率は政令で毎年定める。しかし、現実には総金額といたしまして個々の基礎になる法律で計算いたしました補助金の合算額よりは少なくならないようにするつもりであります。
  75. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、いままでよりも多くなる、こういうことですね。そうしますと、補助金等合理化審議会が「保健所に交付される二十六種の補助金及び福祉事務所に交付される六種の補助金等については、統合して総合的な運用をはかりうるようにする。」という答申をしているわけです。そうしますと、この補助金等合理化審議会の「補助金制度に関し改善合理化をはかるための方策について答申、」その中におけるいま私の読んだ二十六種類、それから福祉事務所のほうに交付される六種類、これらを統合して運用をはかる、この立法の精神を盛ったものだと思うのですが、そういうことになるのですか。
  76. 若松栄一

    若松政府委員 補助金に関する答申はこの法律とは直接の関係は持ちません。しかしこの法律を出す前に、この答申が出ておりますので、その趣旨はよく尊重しております。したがって、ただいま御指摘がありました二十六種の補助金の中で、できるだけ多く統一したつもりでございます。
  77. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、二十六種類の補助金が保健所運営費補助金から原爆障害者健康診断費交付金に至るまであるわけです。そのうち幾つをとったのですか。それから同時に福祉事務所のものとも一緒にしなさいと言ったのですが、これはやらなかったのですね。
  78. 若松栄一

    若松政府委員 どれを一緒にしたかということは、お持ちの資料の一番うしろに二十六の項目の一覧表がございます。この一番最後から二枚目でございますが、この項目に並べてあります中で、最初の保健所運営費補助金、その次の結核予防費補助金、その次の法定伝染病予防費補助金、それから六ページの最後から三行目の家族計画普及費補助金、七ページの二行目の母子衛生費補助金、これが目として大きなものでございます。そのほかにいろいろ補助金がございます。たとえば、六ページの五行目に地方病予防費補助金がございますが、これは特定の県、特定の保健所にしかまいりませんので、こういうものは統合いたしておりません。またいまの六ページの終わりから四行目に急性灰白髄炎特別対策費補助金等がございますが、これは本年度からもうなくなっております。また七ページのまん中以降の癩予防事業費補助金、検疫措置委託費、あるいは栄養調査委託費、厚生統計調査委託費、その後半全部の補助金は、これは特定の調査に当たった保健所にしかまいりません。したがって、これも統合するわけにはまいりませんので、実質的に全保健所にいく補助金であって、全保健所に一様に事務的に配られる金は統合してございます。特殊な保健所にいく補助金は統合いたしておりません。また県段階だけに使われて保健所にいかないものは、当然これから除外されております。この費目の中にはそういういろいろのものがありますので、少なくとも保健所で経営的に使われる費用については全部網羅したつもりでおります。  なお、福祉事務所の分は私ども保健所に直接関係がございませんので、ここには全然触れてございません。
  79. 滝井義高

    滝井委員 答申は、「二十六種の補助金及び福祉事務所に交付される六種の補助金等については、統合して総合的な運用をはかりうるようにする。」、こうなっておるから、やはりこれは両方とも統合するということでしょうね。
  80. 若松栄一

    若松政府委員 その趣旨は当然保健所へ回る経費二十六項目は保健所の経費として統合し、福祉事務所へいく六種類のものは福祉事務所へいくものとして統合しろ、そういう趣旨であろうと思います。
  81. 滝井義高

    滝井委員 そういう御解釈ならそういうことに従っていきますが、そうしますと、結局二十六種類のうちに統合ができたのは普遍的、一般的にどの保健所にもいく五種類であった、こういうことなんですね。そして統合して一定の率で補助金を出すけれども、それはいままでの二分の一とか三分の一のもらう補助金よりか額は多くなるはずだ、このことは大蔵省その他も確認をしてくれていることなのでしょうね。
  82. 若松栄一

    若松政府委員 その点は大蔵省も了解しております。
  83. 滝井義高

    滝井委員 次は、経理に関する特例の三条の二項、これも読んでもなかなかわかりかねるのですが、その意味の概要を簡単に説明してください。
  84. 若松栄一

    若松政府委員 非常にわかりにくくて恐縮なのでございますが、これは伝染病予防法、結核予防法というそれぞれの法律に基づく事業を行ないますが、保健所で行なわれる場合には、現実にはそれが混淆いたしてしまいます。同じ旅費にいたしましても、結核と伝染病の両方の目的を持って市町村に出張するという場合がございます。しかし補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律によりますと、それぞれの事業ごとに経費を精算しなければならない。そうしますと、同じ出張でも伝染病予防費に何%、結核予防費に何%というような精算をしなければならぬわけでございます。しかしそれでは非常にやっかいでございますので、この際、この特例法によりまして、保健所運営費一本にして、そのかわりに伝染病の仕事であろうが、結核の仕事であろうが、それを個別に精算する必要がなくて総体として精算してよろしい、そういう規定でございます。
  85. 滝井義高

    滝井委員 前の提案理由の説明を読むと、そういうことは書いてあるのですが、条文を見るとなかなかわからぬのです。そこで私、この前も政府のほうにお願いをしたのですが、こういうむずかしい法律を国会に出すときには、必ず逐条的に簡単な条文の説明を加えてください。そうすればわれわれはその説明と条文を読んでいけば、非常にわかりやすくて逐条的にこういうしろうとくさい質問をしなくてもいいのです。それはすでに労働省がおやりになっているからぜひ厚生省にもお願いします。特に年金のようなむずかしい法律あるいはこういう法律は読んでもしろうとにはなかなかわからぬですよ。だからわかるような簡単な説明をしていただけば読めばよくわかる。内容がわかればもっといい質問ができるわけです。これではまるきり群盲象をなでるような質問になってしまう。これはぜひ政務次官にお願いしておきます。この前お願いしたけれども厚生省は実行してくれない。労働省はわれわれが言う前からそうやってくれている。だから労働省の法律をごらんになると、逐条的に説明してくれていますよ。その説明を見ますとくだらぬ逐条質問をしなくてもいいですよ。ぜひ忘れないように次の国会からお願いします。
  86. 砂原格

    ○砂原政府委員 御趣旨に沿うようにいたします。
  87. 滝井義高

    滝井委員 そこでこれは予算関係があるのですから聞くことになるのですが、ことしの予算保健所費は正確に言うと三十六億七千四百五十五万七千円、運営費が三十三億八千九百三十八万九千円です。そうすると、この法律で計算をすると運営費は三十三億よりふえなければならないことになるわけですね。この法律施行期日はことしから適用することになるのですね、三十九年度分から適用することになるのですから。そうしますとこの予算はこの法律が通ることによって違ってきますか。
  88. 若松栄一

    若松政府委員 この予算はそれを想定して実はやっております。したがってこの法律が通過することによって予算を更正するということは起こらないわけであります。
  89. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この法案は予算関係法案ということになる。政府は、この法律予算関係法案だという説明はしていない。していますか。予算関係法案ならば、衆議院に先にかけるということになっておる。ところが予算関係でないから、参議院で先議されてきておるわけでしょう。この法律に基づいて今年の予算が組まれておるとすると、これは重要な予算関係法案になるわけで、われわれをたぶらかしておることになる。そうでしょう。
  90. 若松栄一

    若松政府委員 予算の編成にあたりましては、従来の個々の法律に基づく補助金の形で全部計上してございます。この法律が通れば、その運用だけをまとめて運用するということになりますので、これは直接の予算関係法案ではないという考えでございます。
  91. 滝井義高

    滝井委員 いままでのことならば、保健所法の十条に書いてあるように、「国庫は、保健所に関する経費を支出する地方公共団体に対し、政令の定めるところにより、その支出額について、保健所の創設費及びこれに伴う初度調弁費については、その二分の一、その他の諸費については、その三分の一を負担する。」こうなっておる。これでやっておることになるのです。ところが、あなたのさいぜんの御答弁によって、今度はそれぞれ項目をまとめますけれども、二分の一や三分の一よりも多くなることになりますという御答弁ですから、もし十条に基づいて今年の予算が組まれておるとすれば、これが通ったあとにはこの三十六億よりふえなければならぬことになるわけです。この附則に、「この法律は、公布の日から施行し、昭和三十九年度分以後の国の負担金及び補助金について適用する。」となっておるわけです。そうすると公布の日は、御存じのとおり、いまごろ国会を通るわけですから、おそらく七月にならぬと公布にならぬでしょう。そうしますと四月、五月、六月の三カ月、四半期については、やった経費は十条でいくのですよ。七月からこれに変わるのですから、明らかに予算は組みかえされなければならぬことになる。違ってくるわけです。通ればそうなるのです。さかのぼってやるというなら、ますます違ってくることになるのですよ。
  92. 若松栄一

    若松政府委員 ただいま申し上げましたように、この経費は、伝染病予防費、結核予防費、保健所費という個々の事業ごとにその事業に見合った積算をいたしまして、それを運用するときに事業がふくそういたしますので、配賦し執行する場合には一括してやるということで、事業量としては個々の法律に基づいて積算されましたものをそのまま計算し、それに必要な経費を充てているわけでございます。したがって、予算書には個々の法律に基づく経費がそのまま載っておるということになるわけであります。
  93. 滝井義高

    滝井委員 あなたのほうは、これは新しいのでやったと言うけれども、新しいのでやったかどうかということは、資料第五の総括表をごらんになると、本来の補助率による補助額というのがあって、三十三億八千九百三十八万九千円ですね。これは保健所運営費なんです。この本来のものでやったのが、われわれのもらった予算書とちょうど同じなんです。この法律でやっておれば、これよりもふえなければならぬことになるのですよ。ところがふえていないのです。だから、あなたの答弁は違うことになる。これはこの法律が通ったことを想定してやりましたと言うけれども、これは本来の補助率による補助額が三十三億八千九百三十八万九千円になるわけですから、いまの説明は間違っておるわけです。これは本来の補助率で計算してやっているわけです。この法律が通れば、明らかにこれは予算を組みかえなければならぬわけです。
  94. 若松栄一

    若松政府委員 それぞれの事業に必要な経費は全部計上してありまして、それをただ統合するというだけでございます。したがって、それぞれの法律に定められた事業を運用する経費は全部入ります。
  95. 滝井義高

    滝井委員 それはわかるのです。いただいた総括表は、本来の補助率による補助額が三十三億八千九百三十八万九千円、われわれのもらっておるものも、保健所運営費は三十三億八千九百三十八万九千円で同じです。ところが、この法律が通ればこれよりかふえますというのが、あなたの御答弁です。それはふえなければうそです。どうしてかと言うと、一括しておるから減るようなことは絶対にございませんという御答弁です。ところが、予算書はふえたことで計算をしておりますと言うけれども、ふえたことで計算していないじゃないかと言うんです。
  96. 若松栄一

    若松政府委員 それは絶対にふえることはあっても、減りっこないという意味で申し上げました。
  97. 滝井義高

    滝井委員 減ることはないけれども、本来の補助率で計算したものが三十三億、だからこの法律が通れば、七月一日から動き出せば、生きてくるのですから前のものはなくなる。したがってやりかえなければいけない。やりかえれば予算が増額するから、組みかえなければならないということを言っておるのです。この法律が通ることを前提として予算を組みましたと言うんだけれども、組んでいないじゃないかと言っておるんです。
  98. 若松栄一

    若松政府委員 これは新しく政令で定める率が、加重平均の千分の千の末端までぴしゃっとやれば、この金額そのままになる。しかし実際には、運用上年々若干の剰余金もあります。そういう点を考慮すれば、従来より絶対下がることはなく、ふえることはあり得るということになるわけです。
  99. 滝井義高

    滝井委員 この法律を通したら、いままでよりか補助金はふえますという御答弁ですが、予算はふえることで組んでおりますと言うけれども、よく見るともとの率で予算は組んでおる。だから当然、これは法律が通れば予算をかえなければならないことになる。これは、与党は心配しておるけれども、何も心配する必要はないのです。補正のときにやりかえたらいいんですよ。この法律は非常にむずかしいので、こういう補助金等合理化審議会の答申に基づいて二十六種類の補助金をできるだけまとめていき、普遍的、共通的のものは五つにまとめてしまった、その五つのものに一定の率をかけるのだ、そうすると、それはいままでの二分の一とか三分の一の補助よりか減ることはないでしょうね、減ることはありません、そうすると、それは大蔵省の了承を得ておりますか、得ております。そうすると、ことしの予算はふえることを前提にして組みましたか、そのとおり、ふえることを前提に組みました、こうおっしゃる。そこで今度は、いまのままの率で計算すると幾らになりますか。資料をお出しになっておるから、これを見ると三十三億八千九百三十八万九千円。これはふえない。いまの現行法でやった。そこでそれを見ると、予算書もやはり現行法と同じ金額になっておるから、これはさきの答弁と違うじゃありませんか。これは、これよりかふえることはあっても減ることはないということを前提にして予算を組んだのに、現行と同じ率で組んだのと金額が同じでは答弁にならぬのです。これは前の答弁が間違っておった。この法律が通ったら、これは事務の簡素化だけで、予算額は同じですということになれば、それはまたそれでいいのですよ。(「そうなんだ」と呼ぶ者あり)そうなんだと言ったって、役所がそうは言わないのだから。
  100. 若松栄一

    若松政府委員 たいへん舌足らずで申しわけありませんでしたが、本年度については、この同じ率を加重平均したそのままでいきますから、予算額としては同じになります。将来率が変わっていく場合には、新しく予算措置がとられることになります。
  101. 滝井義高

    滝井委員 この法律の目的は、その事務の簡素化をしただけだ、こういうことですね。それならばちゃんと初めからそういうようにしてもらわぬと、ぼくら、これが通ったら、予算がふえると思って、あわてて通そうとしておったわけです。あまりぺてんにかけちゃ困るですよ。  まだたくさんあるけれども、何か理事が急いでいますからやめますが、小山さんに来てもらったのは、医療協議会の進行状態一体どうなっておるのかということです。少なくとも国会が終わろうとしておるときに、中央社会保険医療協議会が答申を出しておるのにかかわらず、政府はわれわれに何も一言半句も言わないのです。一体こういうことでいいのですか。これほど天下の耳目を聳動しておる医療費問題について、何も国会に報告をしないし、質問を一ぺんしたにもかかわらず、その後何にも言わぬ。それは時間がないのかも知らぬけれども、こういうことは政府がみずから買って出てもやるのが当然ですよ。  それからもう一つは、委員の任期が切れておる。国会は終わろうとしておるわけです。これはどうして国会に出さないのですか。どうして委員の任命を出さないのです。これも出さない。  そういうぐあいにして医療費問題をもし自民党がサボるというならば、これは天下の自民党を鼓を鳴らして攻撃しなければならぬことになる。まずこの三点を——一体経過はどういうようになって、いつになったら結論が出て、そして少なくとも国会なり医療協議会にかけるような状態になるのか、委員一体いつ出すのか。はっきり言っておきますが、もし国会に委員を出さずに、国会が開かれておるときもほおかぶりをして通して、 そうして終わったとたんに今度は委員を任命して、かってな医療協議会をやるというなら、そういうものは認めませんよ。全部否決しますよ。  それから、この前、今度は少なくとも委員の中に一名は専門技術のわかる人を入れてくださいよということを言っております。これも実行してもらわなければ困ると思うのです。公の場所できちっと言いますからね。ガラス張りですからね、政治は。取引する必要はないのです。だから、まずこの三点について、明白な答弁を要求します。
  102. 小山進次郎

    ○小山政府委員 医療協議会は、半数の委員が六月五日に任期が切れまして、現在十名の委員ということになっております。それで、任期の切れました委員についてこれをきめる必要がございますので、まず関係団体の推薦にかかる委員につきましては、五月下旬に関係団体に委員候補者の推薦を求めまして、このほうは全部出そろっております。問題は、任期の切れた公益委員二名についてどうするかということで、今日まで決定に至らないでいるわけでありますが、引き続いてやっていただきたいというふうに考えておられる方が、おりあしく長らく外国に旅行しておりまして、ついこの間お帰りになっておるのでありますけれども、ちょうど帰られたと同時にからだをこわされて、大臣もまだお会いできないでいるということで、現在まだお話をすることができないでおります。なるべく早い機会に大臣がお話をして、何とか御承知をいただいて、そうして公益委員の最終的な決定に入りたい、こういうことで、大臣としては実は心組みをしておるわけでございます。  それから、医療協のほうで答申をいただいてから、私どもいろいろと基礎的な作業をしておるわけでありますが、問題は、最近の状態というものが判断できる資料が、やっとつい先日そろいかけたのでございます。いままでは昭和三十七年五月の社会医療調査をもとにしていろいろな検討をするよりはかなかったのでありますが、それではあまりに不十分でありますので、昭和三十八年五月の社会医療調査をもとにして各種の検討を煮詰めるようにする、こういうようなことでその整備を待っておったわけでございますが、それが整備されましたので、いま私ども技術者の間でいろいろと案の整理をしておる、こういうことでございます。当初の考えでは、できるだけ早く、できるならば六月下旬ごろまでには案をきめて審議をしてもらうというふうにいたしたいということであったのでありますが、いまのところではそれには若干間に合わない、もう少しおくれそうな状況でございます。何とかできるだけ早く案を整理して、いろいろと関係方面との折衝にかかりたい、かように考えておる、そういう状況でございます。
  103. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、国会は、御存じのとおりあすで終わるわけです。会期を四十日延ばしたことも重々御承知のはずです。それから六月五日には委員の任期が切れることも、主管のあなたとしては、あるいは厚生大臣としては、これはもめている人事ですから十分御承知のはずです。それをじんぜんとしていままでほおかぶり。そうすると、国会が終わったときはどうするのです。それをどうするかということが一つ。  それから、いまのあなたのことばの中に、お二人の方を任命すると言うけれども、われわれ了承しません。赤恥をかかせてはいかぬからここではっきり言っておきますが、了承しません。そうすると、国会が終ったときに、あなた方の独断でやるのかどうかということです。そういうことをやるというなら、自民党政府は独裁政府です。ファッショです。だから、そういうことは断じて許されぬと思うのです。これはもう大臣のかわりに政務次官に直接お尋ねしますが、二名は一体どうするつもりなのかということです。あしたまでに出せるかどうかということです。あした本会議がありますから。出すとすれば、一名は専門技術者を入れてもらいたい。そうでなければ社会党は認めませんよ。これは、われわれ部会で決定していますから、はっきり言っておきます。  いま一つは、だんだんおくれます。おくれますと言っておるが、一体大臣としては、いつ医療協議会の結論をお出しになるのかということです。緊急是正ですよ。緊急というのは、人間が生きるか死ぬかというときに緊急に措置する、リンゲルを打たなければならぬ、輸血をしなければならぬ、こういうときが緊急なんですよ。去年から緊急緊急と言っておって、もはや夏が来てやがて秋が来ますよ。秋風が立ちますよ。まずこの二点。国会はあすで終わろうとしておるが、公益委員の二名は一体どうするつもりなのか、もし国会が終わったら独断でやるつもりなのかということです。それから、緊急是正と言っておるが、一体いつ結論が出るのかということです。
  104. 砂原格

    ○砂原政府委員 公益委員の問題については、先ほど局長から申し上げましたように、まだ相手方の人の御理解も御承諾も得ておるわけではないのでありまして、交渉の段階であろうと思うのでありますが、大臣が十分各方面の点を考慮せられて、善処せられるものと考えております。
  105. 滝井義高

    滝井委員 時期は。
  106. 砂原格

    ○砂原政府委員 時期等の問題については、いずれ大臣から御答弁にならぬと、私が答弁しておいてもどうにもならぬわけでありますから、はっきりしたことは本日もお答えができないのでありますけれども……。
  107. 滝井義高

    滝井委員 医療協議会の委員の結論でなくて、作業をいつ終わりますかということなんです。
  108. 小山進次郎

    ○小山政府委員 先ほど申し上げましたように、われわれの手元での作業、これは七月に入る見込みでありますので、できるだけ早い機会にまとめて、関係方面との調整を整えていくようにいたしたい、かように考えております。
  109. 滝井義高

    滝井委員 時間が来ましたからやめますけれども、非常に不誠意です。だからこれは、小山さん、今度はほんとにあなたやめてもらいますよ。こういうばかなことはないですよ。それから小林さんも不見識きわまる。みずから緊急是正と言って出しておきながら、全然国会にも一言半句もほおかぶりして言わないし、医療協議会の委員の任命もしないというなら、それではあなたは国会に出てこなくてよろしい、不信任です。はっきり宣言しておきます。
  110. 田口長治郎

    田口委員長 他に質疑の申し出はありませんか。——なければ、これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  111. 田口長治郎

    田口委員長 次に、両案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、内閣提出毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  112. 田口長治郎

    田口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、内閣提出保健所において執行される事業等に伴う経理事務合理化に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  113. 田口長治郎

    田口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認め、そのように決定しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  115. 田口長治郎

    田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十六日午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後三時四分散会