○長谷川(保)
委員 そこで、
考えておかなければなりません問題は、労働
関係調整法の三十六条というのにつきまして、昭和三十五年の十一月十一日に労政局長から通牒が出ております。また同じく三十五年十一月十八日には、当時の
医務局長から通牒が出ております。これは人命の尊重という
立場から、病院
関係のストライキにつきまして、いわば禁止条項が提示されておるわけであります。これによりますと、たとえば救急
施設、病院
施設、入院
施設、外来診療
施設、検査
施設、放射線の
施設、調理
施設、それから消毒
施設、検査
施設、蒸気、用排水、
空気調節等々の
施設がいわば争議の場所としてはならぬということになるわけであります。これは私も、人命尊重という
立場からいいまして、この
考え方は正しいと思います。ただ問題は、そういうようになりますと、これは実際において争議ができないということになります。争議はほとんどできない、完全にできないといって差しつかえないほどできなくなります。それならば、これは代償措置というものをちゃんとしておきませんと、
ILOの百五号の強制労働廃止の
条約、これに当然ひっかかってくるわけです。でありますから、もしそういう点で代償措置をちゃんとしておきませんと、この
ILO問題にまたこれが発展していく可能性は、私は十分あると思う。それでは代償措置をどうするかということになりますれば、
第三者の客観的な
機関がありまして、診療報酬を時宜に適したものに改定をしていき、その中で労働者に対する妥当な賃金を支払うという形に当然なってこなければならないと私は思うのです。
そこで、今回の中医協の
答申に対しまして、まず八%あるいは一〇%というような、まだ明確には出ておらぬようでありますが、大体八%というように報道されておりますけれ
ども、これらについて、たとえば自治体の病院等々で、なかなか詳しい精密な計算をいたしておりまして、それによりますと、大体五七%ぐらいの診療報酬の引き上げをすべきであるという計算を出しております。私もその計算を一応目を通しましたけれ
ども、なかなか精密な計算をいたしておって、われわれを首肯させるものがございます。そこで問題は、そういうように一方で非常に不満があって、診療報酬というものを、いまの八%というようなことであってはならぬという相当詳しい計算を出しておるといたしますと、先ほどの百五
号条約、強制労働廃止の
条約から見まして、これははたして八%が妥当であるか、それとも自治体病院等の、学者を集めていたしました計算によって約五七%のアップ率というものが正しいという
結論、それが正しいのであるかどうか、それらについて
国会といたしましても十分に討議しなければなりません。したがいまして、この問題について、私はまず
政府が中央
医療協に出しました計算の基礎になりました資料というものを当然われわれにも提示すべきでありましょう。このことはすでに
要求をしたのでありましたが、いまなお出てまいっておりません。これをまずひとつどうしても出してもらわねばならぬ。次の
機会にこの問題を徹底的に究明する
機会がほしいと思うのであります。本
国会でやらなければならぬと思いますけれ
ども、それまでに出していただくということをひとつ要請をいたしておくとともに、同時に私は、この中医協の
委員の切りかえにつきましては、今日まで御承知のように、病院
関係の代表者という者が以前は出ておりましたけれ
ども、日本医師会とのいろいろなトラブルからいたしまして、これがいまはございません。全部日本医師会から診療担当者のほうは出ておるわけであります。しかし、全国公私立病院連盟というものがこの
機会に結成をされまして、その病院連盟の
関係しておりますベッド数というのが膨大な数字にのぼります。三十七年の統計でありますから、今日の統計と少し違いますけれ
ども、三十七年の統計といたしまして、総数七十五万ベッドに対しまして、もし私が聞いておるようなごとくであるといたしますと、この全国公私立病院連盟の組織下にありますものは、国立及び
社会保険病院を除きまして、少なくとも二十五万ベッド以上あります。こういうことでありますから、今日、この日本医師会の再診療の
要求というものに対しまして、病院
関係のほうが、日本医師会と別な
考え方をもちまして、いま全国公私立病院連盟というものがつくられてきておる。そしていま申しましたように、この中心になっております自治体の病院のほうの
関係で、大ぜいの学者を集めて計算した結果が、五七%からの診療報酬の引き上げをしなければならぬという
結論を出した。これと先ほど申しました百五
号条約の問題、労調法三十六条の
厚生省医務局長が三十五年十一月十八日に出しました通牒、こういうものとあわせ
考えてみますと、どうしても、国の厚生行政といたしまして日本医師会の非常な御協力をいただかなければならぬと同時に、またそこにすでに
意見のそごがある程度あります以上、この病院
関係の代表者をも、一人は日本医師会の了解を得て中医協に出すべきであると思うのであります。そうして、日本医師会のほうでも了解のできる人があるだろうと思う。この前の問題のときに、神崎三益氏の問題が起こりまして、日本医師会では排除いたしましたけれ
ども、今日必ずしも神崎三益氏でなくても、他に適当な人があるだろうと思う。だからそういうような人を選びまして、この際中医協の
委員の人選にあたりましては
考えませんと、いま申しましたいろいろな問題にひっかかりまして、またぞうここで
ILO百五
号条約問題が出てくる。私は少なくとも、病院
関係の労働組合が持ち出しますと、そういうことが可能でないとはいえないと思うのです。私は、病院
関係が紛争に陥ることは人命尊重の
立場からいって反対であります。しかし、それならそれなりに、代償措置を十分にしておかなければならぬ。代償措置のない争議禁止、いまの
医務局長の通牒によりますものであれば、ほとんど全部病院
関係は争議ができないのです。そういうことのないようにしておく必要がある。そういう
立場から申しまして、六月の五日に差し迫ってすでに任期が切れるということでありますから、ことにこの前の中央
医療協の問題のあと、有沢会長も必ずしも次の
委員になるということを快しとしているものでもないかの言動もあるように思われます。こういう重大な問題でありますから、これらの点につきまして、
厚生省は十分に
考えていくべきであると思うのでありますが、これらにつきまして、いま
大臣の
立場としてごうごうということを明確におっしゃることは、重大な段階でありますから、できますまいけれ
ども、私は、少なくともそれらについて善処する必要があると思うのでありますけれ
ども、
大臣の御意向を承りたい。