○
八木(一)
委員 大臣の御
答弁、大部分けっこうなんですが、聡明な
大臣にしては、私のお伺い申し上げたこととちょっと食い違っているわけです。というのは、財源の問題はもちろん
社会保障全体を進める
意味において必要であります。それから特にそのひずみを直す点に、国庫負担を入れてひずみを直すという方法もけっこうであります。その前に、
概念の問題でございまして、いまの
制度の
考え方で、
保険事故という
考え方があるために、国の行政としても、支給しなければならない
対象の一番密度が深いものと思われながら、そういう
制度のためにこれに
ブレーキがかかっておる。もちろん国庫負担はどんどんふやして、
大臣がおっしゃるようにやっていただきたいが、ひずみを直していただくために、
保険事故という
ことばの
概念じゃなしに
——保険事故というのは、保険に入っている人がその
給付を受けるような
事故を負ったというような
意味と解釈して間違いないと思いますが、保険ということじゃなくて、それを抜きにして、
給付を受けるような
状態になった者に
給付をするという
概念に切りかえることによって、一番気の毒な人が救われるということになるわけです。それはもちろん財源が必要です。しかし総体的な
制度を非常に大幅に前進するに比したら、この費用は微々たる費用です。それからまたその費用をたとえばいまの費用の中でやり繰りをしても、ある程度はできるものなんです。ある程度はできるものだけれ
ども、やはりそれだけ金が要るから穴をあくじゃないかといえば、いまの
制度で気の毒な人を救い上げるぐらいのものは、
小林厚生大臣の政治力をもってすれば来年度は一ぺんに解決がつく、大蔵
大臣がよっぽど気違いでもない限り、解決がつくという問題だろうと思うのです。そういう点で
概念の切りかえをしていただきたいということ。
それから保険の問題について、これは何回も申し上げて恐縮でございますが、いま保険システムをとって、保険料を取ること
自体を全面的に否定しているわけではございません。全部保険じゃなしに、全部が
給付ができるようになったらいいと思いますけれ
ども、現
段階では
給付をふやすために財源が必要だ、国庫負担もできるだけたくさんにしていただかなければならないけれ
ども、それでもまだ足りないので、
給付をふやすために保険料を取るということを、全面的に否定しているわけじゃないのですが、保険料を取ったから、保険料を取った割合に応じてこれを
給付する、保険料を取った人だけに
給付をするという
考え方に、いままでの
制度が固着しているために、一番気の毒な人が捨てられるということになるわけです。その
考え方を財源としてとるのはいいけれ
ども、とにかく渡すほうは一番必要な人に必要な
給付をするという
社会保障的な
考え方に諸
制度をできるだけ早く切りかえていただくように御指導をいただきたいということでございます。ぜひ御理解を賜わって、そのような方向で今後の
社会保障制度の前進をはかっていただきたいというふうにお願いをいたしたいと思います。