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小林国務大臣 私は、先ほど冒頭に
お話しのあったことについて一応申し上げて、私
どもの
考えを申し上げておきますが、この問題が単なる思いつきだとかいうようなことを言われておりますが、実は正直に申して、あの
拝啓何々から問題が発したと私は
考えておりません。私
どもは、
前々からも、こういうものはぜひやらなければならぬということを信念的に
考えておったのです。たまたまタイミングがそれに合ったということでありまして、世間の関心を集めたのはあれが大きかったとは思いまするが、
政府がこれを発意してこういう
対策をしようということは、あれにもとを発したのじゃない、
前々からこういうことの必要は痛感しておったのでございます。ことに私は、先年来、手をつなぐ親の
会等の会合に出まして、これらの問題がいかに家族にとって悲惨なことであり、また
社会に対するこれらの人の活動を妨げておるか、こういうことを強く
考えておったわけでございます。また、この
手当がわずかであって粗末である、こういうことを申されますが、それじゃいままで何をされておったか。出発するときはすぐに悪口を言う、これだけのものでは何にもならぬ。それじゃいままで何をしておったかといえば、何にもしておらぬ。これだけでも私は大きな
政府の
施策である、かように確信をしております。
また、こういうことは初めてのことでありまして、この
法律なりこの
予算なりを通すにつきまして、
政府部内においても、またわが自民党の中においても、どれだけの困難な論議がかわされたかということも私は申し上げておかなければなりません。ことに
大蔵省方面においては、このことは将来に非常に大きな尾を引くのだ、こういうことでこれに対して非常な賛成についてのちゅうちょをされたのでございまして、そういう意味では実は
児童扶養手当の法の中に入れていいんじゃないかという
議論がありますが、私は将来を
考えて、あえてこの
独立の法を選んだ。すなわち私は、
重度の
精神薄弱児だけを相手にして、
対象にして
考えたのではありません。これらの
成年についてもぜひこの問題の中に包含させたい。すなわち二十歳以上の
精薄者については、いまだに
福祉年金の
支給がない。これらを私は一緒に包含をしたい。また現に、御
承知のように、二十歳
未満の
重度身体障害者については、これはいま何も
手当てをしておりません。
年金もくれておらぬ。それで私は、たとえこの
法律が通っても、今後の問題として
成年に達した
精薄者の問題が残っておる、また二十歳
未満の
身体障害児の問題が残っておる、これらも私はどうしても解決をしなければならぬ、こういう責任を感じておりまして、その暁においては、私は、
重度精神薄弱児でなくて、
重度心身障害者に対するかような
制度に補完をさせたい、こういうふうな
考え方を持っておるために、いろいろ
議論があったが、あえて
独立の
法律を選んだ。すなわち出発は小さいが、将来の成長と申しますか、こういうことに非常に大きな
期待を持っておるためにかような形を選んだということも、ぜひひとつ御
了解を得ておきたいのでございます。
それにつきましてただいまのお尋ねでありますが、とにかく
お話しのようなことはたいへん必要なことでありますが、このことは、いわゆる
先進国の
アメリカにおいてもいまさらこういうことを持ち出して騒いでおるような始末でありまして、どこの国においても同じ悩みを持っておるのでありまして、私
ども、いまのこの問題の
予防ということは非常に大事なことであるが、まだ
研究が非常におくれておる、いまだに
日本では、妊産婦の
健康管理あるいは
出産の場合のいろいろな注意、こういうようなことにとどまっておるのでありまして、まだこれを科学的に
ほんとうに検討するということは将来の問題に属するので、これは
日本ばかりではないと思うのであります。しかし、とにかく出ておる数十万人の者に対する
対策は緊急を要する、こういうことでかようなお願いをしておるのであります。
多少冗長にわたって恐縮に存じますが、こういう
法律を
単独に選んだということにつきましての事情もひとつ御説明を申し上げて、御
了解を得ておきたいと存じます。