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河野(正)
委員 この研究所の独立性と申しますか、中立性と申しますか、そういう
意味でいろいろ御検討を願った点についてはけっこうでございますけれ
ども、大体類似の特殊法人としては
日本原子力研究所、理化学研究所、アジア
経済研究所、
日本労働協会、
国民生活研究所といったような特殊法人がたくさんございます。いずれも
政府出資がございまして、そういう基金がございまして運用が行なわれておる。ところがいま官房長が
お答えになりましたこの
社会保障研究所におきましては、全額国庫補助でまかなっていきたいということですが、これは恒久的な
予算措置ではございませんから、しからば毎年毎年一体幾ら金が出てくるかということにつきましても、これは
財政当局との交渉によってきめられていく。これは厚生省としては大体腹づもりもございましょう、大体見通しもあろうかと思いますけれ
ども、しかしそれは非常に不安定なものであります。そういう不安定な
財政の裏づけで、はたして長期的な計画的研究というものが可能であるのかどうか。やはり長期的、計画的な調査研究をしていこうとすれば、
財政の見通しというものがなければならぬ。ところがそれは厚生省としては見通しがあるとおっしゃるかもしれぬけれ
ども、しかし、それは非常に不安定な見通しであって、極端に申し上げますと、全然認められぬ、これは極端な話ですけれ
ども、そういうことになった場合には、長期的な計画的な研究というものが中断をするということも場合によってはあり得るわけですね。でございますから、やはりこの長期的な計画的な研究調査を行なっていくというためには、常に
財政上の心配がないということが望ましいし、またそうあることが一番正しいというふうに私
どもは判断せざるを得ないと思うのです。そのためには先ほど私が申しましたように、結局金がない。さきの千葉大におきます中山教授でありませんけれ
ども、研究費が足らぬためについ、にせ診断書をつくって研究所が寄付金をもらったというふうな過去の苦い経験もございます。もちろんこういう場合には、研究所
法案の中にも、各条文を見ますといろいろ規制がございます。でございますけれ
ども、そういう不正事件ということでなくても、やはりそういう
財政の裏づけがないために、つい中立性なり独立性というものが侵されるような調査研究が行なわれるということになりますと、せっかくの
社会保障制度全般の
前進、
発展をはかっていこうというきわめてりっぱな目的なり使命で誕生いたしまする研究所というものが結局ゆがめられてしまうということになるわけでございますから、私
どもはせっかく設立をされたといたしますならば、やはり
社会保障研究所の真の使命なり目的というものが完全に達成されるという方向で運営されることが非常に望ましいわけでございますし、これは過去の
日本労働協会が設立される際におきましても、中立性という問題がこの
委員会におきましても非常に論議されたというふうに仄聞をいたしております。これは
日本労働協会と今度の
社会保障研究所なるものとは性格も若干違いますから、あるいはそういう危険性というものはやや薄いかと思いますけれ
ども、しかしやはり
国民のための
社会保障制度でございますので、そういう
意味でもこの研究所の中立性なり独立性というものが
財政のために侵されるということは、私
どもは非常に残念に思うわけです。そういう
意味で、この
社会保障制度審議会の答申にございますように、
財政の確立をはかって、そして安心をして長期かつ計画的な調査研究ができるようにはかっていくことがきわめて望ましいし、そのことがむしろ正しいというふうに私
どもは判断をいたします。そういう
意味で、この
審議会の答申もあることでございますし、今後そういうことで御
努力願えるかどうか。願えぬといたしますならば、私はせっかく
審議会でもそういう多額の基金の設立がされることが望ましいという答申をいたしておるわけでございますから、答申というものを無視するという結果にも相なってまいるというふうに
考えます。ですから、そういう点についてどのようにお
考えでありますか、この際ひとつお聞かせをいただきたい。