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1964-05-06 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月六日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 小沢 辰男君 理事 亀山 孝一君    理事 田中 正巳君 理事 小林  進君    理事 長谷川 保君 理事 八木  昇君       熊谷 義雄君    倉石 忠雄君      小宮山重四郎君    竹内 黎一君       中野 四郎君    西村 英一君       橋本龍太郎君    松浦周太郎君       松山千惠子君    伊藤よし子君       滝井 義高君    八木 一男君       本島百合子君    谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚生事務官         (児童局長)  黒木 利克君  委員外出席者         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 四月三十日  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第一六六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  母子福祉法案内閣提出第九四号)母性保健及  び母子世帯福祉に関する法律案伊藤よし子  君外十一名提出衆法第一八号)      ————◇—————
  2. 田口長治郎

    ○田口委員長 これより会議を開きます。  内閣提出母子福祉法案、及び伊藤よし子君外十一名提出母性保健び母子世帯福祉に関する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤よし子君。
  3. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私は、かねて母子関係福祉に関する総合的な法案ができますことを願っていたのでございますが、今国会政府から母子福祉法が出るというので、たいへん期待をしておりました。ところが、政府の御提案になりました母子福祉法を拝見してみますと、この母子というのが母子世帯のみのことのようでございまして、内容は、従来からございました母子福祉資金貸付金法を手直しなすったにすぎないような法案だと思うのでございます。昨年も老人福祉法というたいへんりっぱな名前法案が出ましたが、どうもその内容はたいへんお粗末でございますし、今度のこの母子福祉法というのも名前はごりっぱでございますが、その内容が伴っていないように思うのでございます。そこで、私ども社会党としては、母性全体の保健母子世帯福祉に関する法案提出したわけでございます。  そこで、御質問申し上げたいのでございますけれども、先日、新聞によりますと、厚生省が、四月二十七日でございましたか、開かれた中央・地方児童福祉審議会連絡協議会に「全国家庭児童調査」をされた結果の報告をされたという記事が載っておりました。それによりますと、現在、全国児童のいる世帯が全体の六一・八%で、家事以外の労働に従事している母親は、母親全体の五四・六%を占めていることが明らかになったことがございました。しかも、その働く母親の総数のうち六三・四%は、自分が働かないと生活に困る人たちであるというふうに出ておりました。つまり、この調査の推計によりますと、全国三千三百六十七万四千世帯のうちで、その六一・八%に当たる千四百万八千世帯児童のいる世帯で、その世帯の中の六・二%が母子家庭であるということが出ております。これによりましてもわかることだと思うのでございますが、働く母親が非常に多いということ、しかもその働く理由は、自分が働かないと生活に困るということで働いているわけでございまして、母子世帯に準ずるような世帯のしかも母親が多いという状態だと思うのです。母子福祉法と言われるならば、母子世帯を中心に考えなくてはならぬことは言うまでもないことでございますけれども、少なくともこれらの働いておる母親——全体の母親ももちろんでございますが、特に働いておる母子福祉考えた総合的な母子福祉法というものをおつくりいただく必要があるではないか、そういうことを強く感ずるわけでございます。特に今日は、高度成長経済の中で取り残されて、物価高のためにたいへん困っている家庭が多うございますし、御主人の給料だけではどうにもやりくりがつかないで、いまの御調査の結果でもわかりますように、母親も働かざるを得ないような、ほんとう母子家庭に準ずるような家庭が多いわけでございます。そういう全体の母と子の福祉考え母子福祉法というものをぜひつくっていただきたかったのでございますけれども、今度政府のお出しになりました母子福祉法というのは、最初に申し上げましたように、従来ございました母子福祉貸付金法を手直ししたにすぎないと強く感ずるわけでございます。この点、せっかくよい名前法案をお出しになりましたけれども内容が伴わない点について厚生大臣はどのようにお考えになっておりますか、第一にその点について御意見を承りたいと思います。
  4. 小林武治

    小林国務大臣 ただいま御審議を願っている母子福祉法案は、母子福祉貸付金の手直しにすぎない、こういうふうな御意見でありますが、そういうことで、私どもこれを提案するにつきましても非常な不満を持っておりまするが、これでも一つ前進であるということでこれを提案いたしたのでございます。この内容等については今後改善、充実をいたさなければならぬ、こういうふうに考えておりますし、また関係者からも、とにかく母子福祉法というものを国会出してもらいたい、こういう強い御希望もありましたので、私どもとしましても内容もきわめて不十分なものであるという認識を持っておりまするが、一つ前進であって、これを契機として内容改善をはかりたい、こういうことでお願いをいたしておるのでございまいます。  それで、これらの内容につきましてもまたこれからいろいろ御審議を願うわけでありますが、多く局長からお答え申し上げることが適当であろうかと思いますので、私も局長の発言につきましては責任を持つ者でございますから、その点もあらかじめ御了承願いたいと思います。
  5. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいま大臣お答えにもございましたように、ぜひ将来、この法案名前にふさわしいような内容を伴った法律に変えていっていただきますように、充実さしていっていただきますように、最初にこのことを強く御要望申し上げる次第でございます。  次に、この法案でございますが、この法案の第一条の目的というところに、「この法律は、母子家庭福祉に関する原理を明らかにするとともに、母子家庭に対し、その生活の安定と向上のために必要な措置を講じ、もって母子家庭福祉を図ることを目的とする。」ということでございます。ところが、この法案には所得保障規定が入っておりません。これは何と申しましても、この所得保障ということが生活の安定の一番重要な問題になってくると思いますが、これについて、お入れにならなかった点についてお伺いしたいと思います。
  6. 小林武治

    小林国務大臣 母子につきましてはただいま福祉年金制度が不十分ながらありまするし、児童関係につきましては一般的に児童手当というものをひとつ創設をさせたいということで、それぞれの部局において検討をいたしておりますので、いわゆる所得保障の問題はそれに譲りたい、こういうふうな考え方から入れなかったということでございます。
  7. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私もそういうお考え方もわかるわけでございます。これは、最初に申し上げましたように母子福祉法という大きな総合的な法案でございますので、その法案の中の所得保障の面は、母子年金なりでやっていくということにいたすことには私も了承するわけでございまけれども、そういう意味合いにおきまして、今後この法案ができましたら、その生活の安定と向上のために必要な措置としての母子年金——現在の母子年金は、御承知のように非常に取るに足らない額でございますので、少なくともこの母子福祉年金の額を、現状に合うように改善をしていくという御努力もぜひしていっていただきたいと存じますが、そういう点についてどのようなお考えを持っておいでになりますか、もう一度お伺いしたいと思います。
  8. 小林武治

    小林国務大臣 これは国民年金法改正の際にもいろいろ御議論があったところでございまして、私も現在の額が非常に不十分だと思うのでございまして、これらの点についても遠くない時期に相当な改善をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
  9. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 その点、ぜひそういう御努力を願いたいと思うわけでございます。それから、現行の母子福祉資金貸付等に関する法律は、今度この法案が出されますとそれにかえられていくわけでありますけれども、今度の法案によりますと、いままでございました貸し付け金等法律の大部分政令になっております。法律ではなくて政令になっておりますけれども政令に譲った理由をひとつお伺いしたいと思います。
  10. 黒木利克

    黒木政府委員 従来、国民権利義務に関したことを立法事項として法律規定をするということになっておりまして、従来の母子福祉貸し付けに関する法律議員立法でありました理由等もありまして、政令事項まで実は法律事項として規定されておったのでありますが、昨年、閣議決定で、こういう国民権利義務に関すること以外はできるだけ法律にしないようにという方針がきまりましたので、その線に従いまして政令事項におろしたのであります。  それと、もう一つは、政令事項でありますと、大蔵省との関係で、年度の途中におきましても弾力的な改正と申しますか、運用ができますので、そういうような利点を考え政令に譲った次第でございます。
  11. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 それは一面ごもっとものようでございますけれども、従来、法律であったからたびたびの母子福祉貸し付け金ども改正ができまして、国会の場で審議をして、よりよく改正をしてこられたわけでありますが、今後貸し付け金種類金額ども全部政令によってきめられるということになりますと、私はそこに多少の不安を感ずるわけでございます。よりよくなっていくような改正ばかりならけっこうでございますけれども、いろいろ問題がありました場合に、国会の中で審議をして、よくしていくということにならない場合があるのではないかということを心配するのでございますが、もう一度その点について。
  12. 黒木利克

    黒木政府委員 これは第二章の第十条に資金貸し付け規定がございますが、従来の母子福祉資金貸付等に関する法律を大体において代用いたしておりまして、ただ第四号で、「前三号に掲げるものほか、児童福祉のため必要な資金であって政令で定めるもの」という規定があるのであります。これに該当するのは、たとえば就職支度金とかあるいは生活資金とかいうものでございますが、何か大きな就学支度金というような場合には、やはりこの法律の一号から四号以外に新しく設ける場合は法律事項として国会でお願いするという余地もあるのでありまして、こういう規定によりまして、何か新しい貸し付け種類というものが制限されるということについては何ら困らぬのじゃないか、従来とあまり変わりはないのではないかという考えでございます。
  13. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 この中の第十二条でございますが、十二条に「都道府県は、貸付金の貸付けを受けた者が死亡したとき、又は精神若しくは身体に著しい障害を受けたため、貸付金償還することができなくなったと認められるときは、都道府県児童福祉審議会意見を聞き、かつ、議会の議決を経て、当該貸付金償還未済額の全部又は一部の償還を免除することができる。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。」この「政令で定める場合」というのはどういう場合でございますか。
  14. 黒木利克

    黒木政府委員 これは、従来の母子福祉資金貸付等に関する法律におきましては法律事項になっておりまして、保証人保証能力と申しますか、保証人償還能力がある場合は免除ができないという規定があったのでありますが、それも法律事項よりもむしろ政令事項のほうがふさわしいだろうというので、政令事項に落としたのであります。したがって、これは保証人償還に関する規定を予想しております。
  15. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 どうも私はいまの御説明でわからないのです。政令で定める場合はこの限りでないというのにひっかかるわけなんでございますけれども運営にあたってその点はだいじょうぶかというような不安を抱くわけでございます。やはり法律にしておいたほうがいいのじゃないかというような、何だかここに不安を感じるわけでございますが、ただいま御答弁がございましたように、少なくとも従来より不利になるようなことは、ございませんでございますか。貸し付け限度額貸し付け方法等政令事項になったために、不利益になるというような部分が出てくることはございませんか、その点伺いたいと思います。
  16. 小林武治

    小林国務大臣 これはもう御承知のように、この法律というものは母子福祉前進のためにこの法律を出す、こういうことが前提になっておりますから、少なくともいまよりか不利益になるようなことは考えておらぬし、もっとよくしたい、こういうふうな前提出しておる。したがって、御心配のようなことのないようにひとつ十分気をつけたいと存じます。
  17. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 それでは、資金のうちに三十九年度において改善を予定しておられるのはいかなるものがございますか、具体的にひとつ。
  18. 黒木利克

    黒木政府委員 国の予算額が一億円ふえまして五億円になりましたが、おもな改善内容は、事業の継続資金が、従来五万円でありましたものを十万円にする、それから生活資金貸し付けの額が、母に対しては月千円、子供に対しては五百円であったのを、一律に一世帯三千円というふうに改善をいたしたのでございます。
  19. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 この十条の中でございますけれども、十条の一項二号に、「配偶者のない女子が扶養している児童修学に必要な資金」というのがございますが、その借り受けている者は現在はどのくらいでございまして、また新規申し込みはどのくらいでございますか。
  20. 黒木利克

    黒木政府委員 これはお手元にあると思いますが、母子福祉法案参考資料の一一ページに、二十八年度から三十六年度までの貸し付け人員とか貸し付け金額がございますが、その中の修学資金のところをごらん願いますと、対象の数が二十八万一千人余り金額が三十五億円余り、割合が三四%になっております。なお、三十七年度の数字が最近ようやくまとまりましたので申し上げますと、修学資金の、これは新規申し込み状況でございますが、実人員が一万一千六百四十四人、その金額が十九億五千万円余り。それから継続して修学資金を借りております者が二万二千三百四十二人で、金額が三十九億三千万円余り。それで資金別決定額構成比と申しますか、先ほどの三四%が今度は四〇%に上昇いたしております。
  21. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 この制度実施以降の貸し付け金財源の額と、それから現在の償還状況はどういうことになっておりますか、大まかでけっこうでございます。
  22. 黒木利克

    黒木政府委員 昭和三十七年度までを申し上げますが、その前に、先ほどの修学資金の件で新規申し込みが一万六千六百四十四人、三十七年度の新規貸し付け人員が一万二百五十人でございますから、申し上げます。  財源は、昭和二十八年から始めておりますが、国庫予算額とそれに都道府県繰り入れ額、それに償還額が合わさったものになるのですが、いままで合計が六十八億円になっております。  それから、償還率が三十七年度は九〇%になっておりまして、その額は五十八億円余りでございます。
  23. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 償還は九〇%償還されておるのでございますね。非常に率がいいようでございますけれども、それは未亡人なんかたいへん気が弱い点もあって、多少お取り立てに過酷であるというようなことはございませんでしょうか。
  24. 黒木利克

    黒木政府委員 運用上、この資金の性質からそう無理な取り立てをしないように心がけておるつもりでございますが、この資金の始まりました二十八年から大体八〇%以上になっておるのでありまして、従来そう無理な取り立ての非難をあまり耳にしていないのであります。
  25. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 その点、私はそうかもしれないと思うのですけれども、他の奨学資金などの例をとりましても、このような非常に大きな償還率というものはそういう点の何か不安を感ずるわけですけれども、ぜひ、御指導にあたっては無理な取り立てをしないような御注意を願いたいと思うわけでございます。  それから、三十八年の何月でございますか、どの前改正をなさいましたときに附帯決議がついておりますね。これは四十三国会社会労働委員会で、母子福祉資金貸付等に関する法律の一部改正にあたって、自由民主党、日本社会党民主社会党の三党共同提案による附帯決議がついております。これは御存じのとおりだと思いますが、この附帯決議の中に、「母子家庭の子弟が学校入学するに際し必要な支度資金貸付については可及的速やかに実施し得るよう必要な措置を講ずること。」というのがございますが、これは今度どうなりましたか。どうも、拝見してみますとないように思いますが……。
  26. 黒木利克

    黒木政府委員 四十三回の国会附帯決議は二つございまして、御質問がございました就学支度金と、それから保証人運用についての問題でございます。第一の問題につきましては、この二年越し財務当局予算を要求いたしておるのでありますが、残念ながらまだ実現を見ていない次第でございます。財務当局のほうの理由といたしましては、他の育英制度あるいは社会更生資金制度にはね返る。私のほうでこの制度が認められますと、育英制度がその約十倍の金額を必要とするというようなことから、ひとつ慎重に考慮さしてほしいというようなことで今日まで至っておるのでありますが、三回目には、大体厚生省予算がある程度承認される先例もございますから、来年こそひとつ大いにがんばってみたいと思います。  それから保証人の問題につきましては、やはり貸し付け金である以上は保証制度というものをやめるわけにいかぬ。事実上これによって貸し付けがなされないということを避けますために、相互保証といいますか、借りる人がお互い保証をし合えばそれでよろしいというようなことを実は財務当局に認めさせまして、そういう運営でやっておるのでありますが、これはかなり成果をあげておるようであります。あるいは母子福祉団体等保証等大いに奨励をしておりますが、できるだけ附帯決議の趣旨に沿って運用してまいりたいと考えております。
  27. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 いま保証人の点もお伺いしようと思いましたらお話がございましたが、保証人の点は、金を借りるのに保証人がなければいけないということですけれども、いまのお互い同士保証し合うということは、現実に困っている人たち同士でございますし、そういうことがもし実際上行なわれているとしたならば、保証人の値打ちは事実上ないわけなんですから、それなら、いっそ一思いに、保証人の点は私はなくしていただいたほうがよろしいのではないかと思うわけでございます。  それからいま一つ、いまの入学支度金の問題でございますが、これは自民党の皆さんのところにもたいへん御陳情が来ていると思いますけれども、いままでの貸し付け金生業資金というのが、最初貸し付けをなさったころにはパーセンテージが非常に多かったのでございますけれども、最近はたいへんそれが少なくなって、修学資金などがパーセントでいいますと多くなっております。そういう点から考えてみましても、母子家庭の現在一番困っているのは学費でございます。ですから、修学資金というものが生業資金よりも大きな率になっているのに、また特に最近は、高等学校あるいは大学の場合なども入学にあたっての非常にまとまったお金が要るわけでございまして、私どものほうにもたくさん陳情が参っておりますが、一番の要望として、入学支度金はせめて今度の法案の中にも何とか入れてもらいたいということが非常に強い要望でございますので、私は、この点は何とか修正をしていただけないものかと考えるわけでございます。修正をしても今度の福祉法の中に入学支度金を入れていただくようにしてもらいたい思うのでございますが、この点、特に厚生大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  28. 小林武治

    小林国務大臣 いま局長お答えをいたしましたように、この問題は私も大事なことと思いまするので、法律はとにかく、予算的にひとつぜひ次の機会には措置してもらいたいと考えております。
  29. 八木一男

    八木(一)委員 ちょっと関連質問をいたします。  入学支度金のことについては、伊藤先生がさらに御追及になると思います。保証人のことでお尋ねをいたしたいと思います。  いま局長の御答弁では、貸し付け金である以上保証人を省くことはできないというような——これははっきり言いませんでしたけれども大蔵省意見であるような言いぶりをされました。そういうような形式的な問題、論議を離れて、母子家庭のことを考えていかなければならないと思う。   〔委員長退席小沢(辰)委員長代理着席〕  大蔵省のその見解に厚生省が負けたということであれば、これは厚生省としては非常に弱腰で、信用するに足らぬということになると思います。厚生省意見か、大蔵省意見か、また内閣意見か、そこをはっきりしてください。
  30. 黒木利克

    黒木政府委員 実はいままでの立法の例で、政府資金貸し付けの場合には、すべてについて保証人規定を必要とするというようなことで、これは財務当局意見のみならず、法制局等でも、従来の立法例によると貸し付け金は必ず保証制度というものがあるというようなことでございます。しかし実質上、これによって貸し付けができないというようなことがあっては困るものですから、先ほど申しましたように、形式的にはやむを得ないとしても、実質的には相互保証というようなかっこうで問題の解決をはかろうということで、ようやくその話が昨年三十八年の四月に大蔵省とつきまして、四月十九日付で通達を出したような次第でございます。
  31. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣に御質問を申し上げます。  いま局長答弁では、大蔵省意見のみならず厚生省もそうだ。そういうような考え方をやめてもらわなければいけないと思います。貸し付け金の返済というものは、第一義的というのみではなしに、全部本人責任というのが、貸し付けというものに対する条件として、そのほとんど全部ということが言えると思う。それを保証とかなんとかいうようなものをとるということは、これは第二義、第三義、ほとんど意味をなさないものだと思う。本人が返すことが一番大事なんだ。保証人保証させて、貸し付けが返済できないときにそれを回収するということは、普通の、たとえば商業取引であるとかあるいはそういうような経済上の状態のときには、そういうことで商習慣で方々でやられております。政府貸し付けでもそういうことをやられるのをあえて否定するものではありませんけれども、こういうような母子福祉という問題についてそういうことをやられるのは、母子福祉という問題の本質を没却することになろう。母子家庭が非常に貧しい生活をしている。そしてまた、そのつき合いも貧しい生活をしている人しかない。そういうときに、保証人をとろうとすればなかなかとれない、とることができない。いま、その保証人を置いておくことは認めて、実際問題で解決されようとする——数年前から母子家庭同士相互保証ということをやられておることを、私どもも、伊藤先生も、小林先生も、長谷川先生も存じておりますけれども、それにもかかわらず、この前も、与党の先生方もこの問題について附帯決議をつりられた。その本旨を、大臣局長も、ほんとうに真剣に考えていただかなければならないと思う。相互保証ということであれば、同じ苦しんでいる母子家庭同士保証になります。母子家庭同士の助け合っている中のつき合いで、保証を頼まれた人はいやですとは言いにくい。いやですとは言いにくいけれども、もし片一方の人が返さなかったときに、自分のほうもぎりぎりの生活をしているのに返さなければならないのではないか。——局長、調べるのはあとでいいから、ちょっと見てください。大臣、聞いてからあと、間を置いて調べて答弁してください。そういうことです。その貸し付け保証をするときに、お互いに苦しんでいるから断われない。断われないけれども、ある人が返せなかったら、あの人に何かの災害がほんとうにいったときにこっちにかかってくるのではないか、その心配が絶えません。実際は、そういうことがなくとも、子供と一緒に苦闘している人に、そういう心配をかけること自体が悪いのです。また今度は、頼むほうの人も頼みたい保証人がない。相互保証でこの母子家庭に頼めばできると思っても、そういう心配をほかの母子家庭にしてもらわなければできないと思ったら、気の弱い人は頼めない。せっぱ詰まって頼んでも、その人についての気がかりが残って非常に不幸になる。母子家庭に対する政府の政策が非常に劣悪で。母子家庭がその中で苦闘しているときに、実際上関係のない、そういう保証というような精神的な重圧をかける必要がどこにあるか。あなた方は、実際保証しても保証人から取ったことがないとさんざん答弁している。保証をとるということは、貸し付け金の返済のための条件で保証をとる。それにしては実際上しておられない。しておられないことを形式的に残して、母子家庭にそのような精神的な重圧を与えたり、そしてまた実際貸し付けられないような状態に置く、そういうことが厚生行政ですか。それくらいのことは大蔵省の若い連中を説得して、おまえら間違っている、厚生省のいうとおりやれということが説得できなければ、大臣局長責任を保ったとは言えない。その熱意がなくなっている。これでは厚生行政をまかすわけにはいかぬ。半年越しの問題を、そのような答弁でごまかすというようなことは許されない。厚生大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
  32. 小林武治

    小林国務大臣 いまの問題は、この附帯決議そのものは保証人をやめろ、こういうふうに書かれたわけじゃありません。保証、そのために貸し付けができないことのないようにしろ、こういうような附帯決議でございますので、そういうようなつもりでいろいろ検討したのでございますが、お話のようなこともございますので、私どももこれを再検討する、こういうことでひとつ御了承いただきたいと思います。
  33. 八木一男

    八木(一)委員 いまそういうように、取るように努力するというような意思をもう一回はっきりさせていただきたいと思うが、それであれば結構です。附帯決議というものは、自民党のここにおられる先生方、そのときにおられた先生方も同じような気持ちだった。ところが、政府の中にわからぬことをいう連中がいるということで、厚生大臣厚生省が指導的な立場をもってそういう連中を説得して、それができるような余地を残す。それは自民党の顔も立つ。自民党のここにおられる先生方は、保証人をつけて母子家庭に精神的重圧をかけようというようなことを考えておられる先生はいない。社会党はまた絶対にない。そこのところで政府の顔が立ったし、逆用してそのままに置いておくというようなことであっては、厚生大臣局長責任を果たしておらない。いま厚生大臣のいわれたように、こんな問題は一ぺんに片がつく。政府のほうは実額に関係することはうるさいけれども、こういうことは、実額と関係がなければうるさくない。できる。ですから、厚生大臣はそのような保証を取っ払うために最善の努力をされ、委員会においてわれわれが努力したことについて、厚生省はその妙なメンツの立場で抵抗しない。われわれが努力したことについては一生懸命に協力する。それからまた厚生省自体としては、この保証状況を取っ払うために最善の努力をするというような考え方になっていただきたいと思います。厚生大臣からその点についてもう一回、積極的な明確な御答弁をいただきたい。
  34. 小林武治

    小林国務大臣 私がいま申し上げたように、この附帯決議は、そのような遠慮した附帯決議をされたのかもしれません。とにかく文面が、そのように支障のないようにしろ、保証人をやめろ、こういうふうな附帯決議でもなかったと思うのでありますが、いまお話しの点もありますので、私は再検討しましょう、こういうことを申し上げたわけです。
  35. 八木一男

    八木(一)委員 委員会において、おそらくここにおられる与党の熱心な先生方ねその気持ちにおいて賛成でしょうし、本委員会においてはこの保証の条項を取っ払うために最善の努力をするつもりであります。したがってそれに対して厚生省は、立場はありましょうけれども、絶対にブレーキをかけないように案に一生懸命協力をする、絶対にそのようにしていただかなければならないと思います。その点を、聞いておいていただくだけでけっこうでありますが、大臣局長も聞いておいていただいて、そのようにやっていただきたいと思います。
  36. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいま八木先生から関連質問がございましたように、先ほどの審議の中にも出てまいりましたように、償還は九〇%もよく償還されているわけでございますし、ぜひともこの保証人というものはなくしていただいてもだいじょうぶだと、その点からも言えると思いますので、繰り返し申し上げるようでございまが、この保証人をなくすように御努力を願いたいと思います。  いま一つ入学支度金の問題も、可及的すみやかに実施し得るように必要な措置を講ずるということに附帯決議ではなっておりますので、昨年のことでございますから、今度のこの母子福祉法には、法的にはいろいろ困難な点もある、あるいは大蔵省との御関係もありましょうけれども、私は、この点を何とか入れていただいたならばまだしもこの法案が生きたと思うのでございますが、ぜひともこの点も可及的すみやかに実施をしていただきますように、厚生大臣の御言明をもう一度お願いしたいと思います。
  37. 小林武治

    小林国務大臣 これは、いま申し上げましたように別に法律できめなければできない、こういうことでありませんので、予算的にできるようにひとつ最大の努力をしたい、こういうことでございます。
  38. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 次に、住宅の問題でございますけれども、現在母子家庭の一番大きな悩みというものは、これは母子家庭のみではございませんが、共かせぎの家庭とか働いている人たち、そうしてまた特にこの母子家庭の悩みというものは、住宅の問題だと思うのでございます。この法案では、住宅の問題として、「公営住宅の供給に関する特別の配慮」という第十八条の中に、「母子家庭福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。」ということがありますが、この「特別の配慮」というのはどういう配慮でございましょうか。
  39. 黒木利克

    黒木政府委員 御承知のように、母子家庭の住宅対策としては第二種公営住宅の問題があるのでありますが、建設省と協議をいたしまして、母子世帯に対して特別のワクをいただきまして優先的な取り扱いをするということになっております。従来、千戸くらい三十四年からワクをもらってきたのでありますが、三十九年度も千五百戸ほどのワクを実はいただいたのであります。これは地方公共団体がこのワクを消化しなければだめなのでありますが、従来は、このもらったワクをなかなか地方公共団体が消化してくれないというようなことで、この母子福祉法の制定等の機会にさらに地方公共団体を督励しまして、このワクを必ず予算化するように措置してまいりたいと思います。
  40. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 年に千戸か千五百戸では、九十万もある母子世帯に対してほんとうにスズメの涙ほどだと思うわけでございます。ただいまの御答弁でもたいへん私はよけい不安を感じるわけでございますが、できるだけこれを具体的に、ほんとう母子世帯が、第二種公営住宅でございますか、入れるような御措置を厳重にやっていただきたいと思うのでございます。  そこで、それに続いてでございますけれども、従来ございました母子寮の問題が今度の法案の中には出ておりませんが、母子寮はどうしてお入れになりませんでしたか、また現在母子寮はどの程度ございまして、その入居の状況とか希望とか、そういうものの御調査がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  41. 黒木利克

    黒木政府委員 この母子福祉施設に関する規定の中では母子福祉センターと母子休養ホームしか記載してございませんで、母子寮というものを規定できなかったのでございますが、これは単に法律技術上の理由でございまして、この法案を作成するにあたりまして、予算国会提出期限等の関係から、財政法の第二十七条によりまして期限が切れましたために、母子寮の規定母子福祉法に入れるためにはどうしても予算の組みかえをしなければならない。すなわち母子寮は、従来児童保護費の中に計上されておったのでございますが、今度新しく母子福祉法規定による施設として措置費というものを計上しなければならぬというようなことで予算の組みかえを必要とすることになりましたが、それができませんために、残念ながら母子寮の規定を次の改正の機会に回した次第でございます。  なお、母子寮の現在数は六百五十二カ所で、その定員が一万三千八百七十八世帯でございます。入所人員は少し減りまして一万九百九十世帯、大体定員の充足率が七九・二%ということになっております。したがいまして、まだ余裕がございますから、そういうことを母子福祉団体等にも周知をいたしておるわけでございます。なお、母子寮に入っております世帯主の職業を申し上げますと、常用勤労者が過半数の六〇・四%、日雇い労働者が二〇・七%、その他の就労者が一二・三%、不就業者が六・六%というような状況でございます。
  42. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 そのまだあいているというのは、希望しても条件があって入れないというようなことがあるのでございますか、希望した人は全部入っておって余ってるのですか、そこらの点はいかがでございますか。
  43. 黒木利克

    黒木政府委員 地域的な問題がありますが、母親の勤務先等の関係でこういうような現象があると思います。したがいまして、職場との関係でこういうような欠員状態があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  44. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 そういたしますと、場所によっては希望しても入れないところもあるわけでございますね。その点は ただいまの御答弁にもございましたように、この住宅の問題で母子寮の問題は大きな問題だと思いますので、はっきり入所の措置などを法的にも今後きめていただいて、入れない人がないように、希望者がみんな入れるような十分な御努力を願いたいと思うわけでございます。  いま一つは、私どもがよく耳にすることでございますけれども、今度の法案によりますと、従来は十八歳でございますが、今度は子供が二十歳以上になった場合、子供が大きくなると追い出されるというようなことがあるようでございますけれども、この点、学校へ行っている子供であるような場合、十分に独立して生計を持つに至らない子供であるような場合、また急にさがせないというような場合もあるかと思うのでございますけれども、そこらを、実際問題として困らないような余裕を持たせるとか、そういう点についての御配慮はされておりますかどうか。
  45. 黒木利克

    黒木政府委員 実は母子寮の調査というものをやりまして、退寮先のない世帯が二九・五%、三千二百四十世帯まだあるということがわかりました。それから調査日前一年間に退所した世帯の退所先で、主として第二種公営住宅が二五・九%・それからあとは借家とか間借りとか就業先の住み込みということでございますが、特に退所の理由児童年齢が超過したというものが一〇%程度ございますが、これも一応の原則でありまして、成年になったからといってその日にというわけではございません。やはりいろいろ退寮先等の選定をいたしまして、弾力的な運営をやるように指導いたしておるようであります。
  46. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 その点はぜひ過酷なことがございませんように、特に現在のように住宅が非常に困難なときでありますから、特別な余裕のあるご指導を願いたいと思います。その点は特に強く御要望申し上げておきたいと思います。  次に、第十九条でございますが、「母子相談員その他母子家庭福祉に関する機関及び公共職業安定所は、就職を希望する母子家庭の母及び児童の雇用の促進を図るため、相互に協力しなければならない。」とございますけれども、これは具体的にどういうような措置をおとりになるのか、ちょっと伺いたいと思います。
  47. 黒木利克

    黒木政府委員 この就職あっせん等の問題は、労働省の所管で公共職業安定所が第一線においては主として担当しておるのでありますが、厚生省としては、この職業安定所に母子世帯の就職の係でも置いていただいて、大いに雇用の促進をはかってもらいたいということをお願いしておるのでありますが、この法律が通過いたしますと、母子相談員なり福祉事務所なり、今度は家庭児童相談室等を設けますから、そこが職業安定所と密接な連絡をはかりまして、母子の就職の促進あるいは職場の開拓等を積極的にやってまいりたいと考えております。
  48. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 この点は、現在たいへん人手不足のときでありますけれども、中高年の女の人の場合に、いまだにたいへん就職の困難な点がございます。また特に地方などでは、まだ母子寮の子供だということで就職の困難な場合もございますので、この、第十九条は「相互に協力しなければならない。」という程度でたいへん弱いように思いますから、ぜひ労働省ともよく御協議の上に、母子ともに雇用にあたって不安のないように十分な措置を講じていただきたいの思います。その点、特に私は御要望を申し上げておきたいと思まいす。  それから、この法案に「公共的施設」というのがございますけれども、この公共的施設というのは、具体的にどういうものでございますか。
  49. 黒木利克

    黒木政府委員 これは、国とか地方公共団体あるいは国鉄、公団等の経営する施設内において、売店設置に対して優先的な取り扱いをしなければならぬという規定でございまして、主として官庁あるいは地方公共団体の経営します公園あるい鉄道の駅、そういうところを予想しております。
  50. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 これは今度新しく盛り込まれたわけでございますね。
  51. 黒木利克

    黒木政府委員 前からございます。
  52. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 では、いままでの状況はどんなようでございますか、実際の状況を伺いたいと思います。
  53. 黒木利克

    黒木政府委員 これは、お手元のこの法案の参考資料の一七ーペジに書いてございますが、そのロのところに売店等の設置状況、国の施設が九十六カ所、地方公共団体が五百四十六カ所、国鉄が四十四カ所、その他の公共施設が四百三十九カ所、計千百二十五カ所三十六年までに設置を見ております。
  54. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 もうちょっと私は伺いたいのでございますけれども、「たばこ小売人指定状況」というのがございますね、このたばこ小売り人なんかの場合は、申請数と指定数、この申請というのは、母子家庭の申請に対して指定されたのがここに出ている数字だというわけでございますか。
  55. 黒木利克

    黒木政府委員 このイの「たばこ小売人指定状況」の一般の割合というのは、母子世帯以外の一般の人たちの申請に対して指定をされた率が三十六年に二三・二%、これに対しまして母子世帯に対しては三二・六%、一般よりも少し有利に取り扱われておるという状況でございます。
  56. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 これらも単なる努力をしなければならないというようなあれでございますので、もう少し積極的に、母子家庭の場合に小売り人の指定とかあるいは売店等に入るのも、もう少し強い規定がないと心配のように思うのでございます。母子家庭の場合に、一般の割合よりは幾らか多いようでございますけれども、特に今後その点について、母子家庭がたばこ小売り人に指定されるとか、あるいは売店等に入れるように十分御指導を願いたいと思うわけでございます。その点、もう一度ちょっと御言明を願っておきたいと思います。
  57. 黒木利克

    黒木政府委員 確かに先生御指摘のように、この表にもありますように昭和二十八年度、この母子福祉資金貸付等に関する法律ができました当初は三八・三%というような状況にありましたのが、最近はいささかマンネリズムのようになっております。したがいまして、この母子福祉法立法の通過の機会にもう一度馬力をかけまして、昭和二十八年度当時のような母子福祉のムードと申しますか、そういうものを巻き起こしまして前進をしてまいりたい、かように考えております。
  58. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 次に、私のお伺いしたいのは母子相談員のことでございますけれども母子相談員の現況はどうなっておりますか、ちょっと伺いたいと思います。
  59. 黒木利克

    黒木政府委員 これも、先ほどの参考資料の一四ページの下のほうの欄に「母子相談員の現況等調」というのがございます。これは昭和三十八年四月一日現在でございますが、母子相談員の設置数が九百四十二、勤務の状態は非常勤が三百五十八人、常勤的な非常勤が五百二十七人、その他五十七人、平均給与が一万四千六百七十三円というような調査がございます。
  60. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 母子福祉貸し付け金等に限りませず、こういう法律なりこういう施設その他のものが、ほんとうに実効をあげていくには、それに携わっている職員の働きによるところが非常に大きい比重を占めていくと考えるわけでございます。いままで、この母子相談員の人たちが、そのために努力をされてまいりましたことは、たいへん功績があったと思うのでございますけれども、いまのこの現状調査によりますと、全国で相談員の人数が九百四十二人というわけでございます。この人たちは、常に私ども見たり伺ったりしておるのでございますけれども、現状では常勤と同じような、週のうち五日、六日というような働きをして、しかも相談員というものの性格から、家庭に帰りましてもいろいろ仕事に従事したり相談を受けたりしなければならないので、ほとんど普通の公務員がおつとめをしているのといささかも変わらないのみか、むしろ過重なような仕事をしているわけであります。これはぜひ常勤にしていく必要があると思うのでございますが、非常勤が多いという状態、あるいはこの常勤的な非常勤というものの内容でございますね、その点をどうお考えになっております
  61. 黒木利克

    黒木政府委員 実は母子相談員からも、身分を常勤にしてほしい、一般の公務員と同じような取り扱いにしてほしいという御要望がありまして、身分の安定というような意味から、厚生省としてもそれが好ましいというようなことで努力はいたしておるのでありますが、ただここに年齢別の表がございますが、これをごらんいただきますと五十一歳から六十歳までが三百四十一人、六十歳以上が四十五人ということになりまして、一般の公務員、つまり常勤になりますと定年制等もございますから、その辺痛しかゆしの問題もあるのであります。それに本来、母子相談員は、未亡人の中から適当な人たちにお願いをしておるというようなスタートをいたしておりまして、現にそういう方針で採用いたしておるのでありますが、そういう意味では、公務員にしてしまうとまた適当な人も得られにくいというような事情もございまして、今日までもたもたしておったわけであります。しかし、身分の安定なりあるいは職務能力の向上という意味から、常勤のほうがいいということを厚生省としても考えまして、関係方面とも、できるだけ常勤にして、それにふさわしい処遇をするということで努力を続けておるところでございます。
  62. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 この問題は、母子相談員のみではございません。売春防止法等による婦人相談員の場合も同じでございますが、ただいま御答弁がありましたように、当初は社会奉仕的な、あるいは片手間にやるというような方も多かったと思うのでございますけれども、もうすでに長い年月もたっておりますし、ただいま申し上げましたように、ほんとうに常勤的な仕事を実際上しているわけでございまして、それがまた生活の中心にもなっているわけでございますし、将来の身分の保障とかいろんな問題を兼ねまして、私はこの点は、もういま時代に沿って、人数も、全国的に言って母子相談員の場合などわずかに千人、相談員の場合はもっと少ないわけでございますから、こういう人たちはぜひ緊急に常勤にしてその身分保障をしていただくように、そして安心してまた仕事ができるように御努力を願いたいと思うわけでございます。  そこで、ただいまもお話がございましたように、年齢の多い人があって定年制なんかしかれている場合に困るというようなお話もございましたが、私は、お年をとっていらっしゃる方の中にはそういう点の不安もあるかと思いますけれども、これは何らかの措置をすれば必ずしも——たとえば嘱託とかいうような考え方もあるわけでございまして、特に母子相談員とかあるいは婦人相談員という場合には、若い人よりも長年経験もあって、そしてまたいろいろ常識、識見等も持っている方という場合には、年齢の多い方の場合もかえって都合がいいわけでございます。そういうことが要求されている現状でございますので、こういう方に対して定年のあとという問題は、またその場にいろいろお話し合いの中で出ていくことではないかと思いますし、ぜひこの点は、一日も早く常勤になるような御努力を願いたいと思うわけでございますけれども、その点、もう一度はっきり今後の措置について御言明を願いたいと思います。
  63. 黒木利克

    黒木政府委員 御意見のとおり、常勤化するように努力したいと思います。
  64. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 その点は特に強く御要望申し上げておく次第でございます。  最初からいろいろ御質問申し上げてまいりましたけれども、私の質問は大体この程度で終わりたいと思うのでございますが、最後に、先ほどお話がございましたように、せっかく母子福祉法というりっぱな名前法律が初めて発足したわけでございますので、その法の精神に従いまして、先ほどお話を申し上げましたように特に所得保障の面で母子年金母子福祉年金なんかの改善をしていただくと同時に、また母子世帯の非常に強い要望でございます入学支度金の問題を、一日も早く、すみやかに実現するように御努力を願うこと、そして最後に申し上げました母子相談員、この母子福祉法ほんとうに実効あらしめるために、母子相談員の人たちが安心して仕事ができますように身分を保障するためにも、常勤の制度を一日も早く実現さしていただきますように御要望を申し上げ、そして単に母子世帯のみではございませんで、母子全体の福祉内容を伴ったような母子福祉法に今後改善をしていっていただくように特に大臣に御要望を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思うわけでございますが、最後にひとつ大臣からも御答弁を……。
  65. 小林武治

    小林国務大臣 御意見はよく了承いたしましたので、その向きに努力いたします。
  66. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は、明七日午前十時より委員会を開催いたします。  本日は、これにて散会をいたします。    午前十一時五十五分散会