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滝井委員 春闘の問題について、
労働大臣並びに国鉄の総裁なり専売
公社の総裁に二、三点お尋ねをいたしたいのですが、重複しないようにお尋ねをいたしますので、明確な御答弁をいただきたいと思います。
例年の
春闘の時期と違って、今年は少しく、まず
背景の客観情勢が違ってきておると思うのです。それは、すでに日経連が
春闘の相場の見通しについて調査したものがあるわけですが、それを見てみましても、やはり定期昇給を含めて約一割というものがもうすでにことしは相場になるような
状態であります。すなわち、過去二年間、大体ベースアップというのはずっと漸減してきておった。ところが今年は昨年に比べて二百円程度上回っておるわけです。一体なぜ今年は昨年よりこういう上回りの傾向が出たかということを日経連自身が分析をしてるおわけです。それは大ざっぱに言って四つの理由がある。一つは、公定歩合の引き上げなどで経済の見通しは楽観ができないけれども、昨年春に比べて全般的に企業の業績が上向いてきておるということです。いま一つは、鉄鋼とか紙・パルプ等のように、昨年がまんしてもらっておった、そこで今年は、そのがまんしてもらっておった分を加算するのだ、こういう訂正
賃金というものがあるために昨年よりか上回ってきておるのだ。いま一つは、機械など非常に人手不足で、その対策にやはりどうしても
賃上げというものを加味しなければ、企業がその人手不足をカバーすることができない、こういうことが一つ加わってきた。そしていま一つは、開放経済体制を迎えて、どうしても他の企業に打ち勝って、早く企業の水準を上げるために、抜けがけ回答といいますか、そういうものがふえてきた。こういう要因によって昨年よりか
春闘の相場が上がったのだ。これは日経連の見通しとして出てきているわけです。こういう
背景というものは、国鉄にしても、専売
公社にしても、三
公社五現業関係、あるいは
政府にしても、この客観的な日経連のこういうものの見方については、私は無視することはできないと思うのです。
民間賃金と、三
公社五現業の
賃金というものは相当考慮される面が多いわけですから、そこで、こういう
背景があるということを
考えて、簡単に二、三点
質問するわけです。
何人か出たわれわれの同志の諸君の職権
仲裁をやるかという
質問に対して、
大臣は、職権
仲裁をやっても現在のストというものは避けられないのだ、そこで、自分のまいた種は自分で刈り取るべきで、
労働大臣がこれは刈り取るべきものではないのだ、こうおっしゃっておるわけです。だから刈り取らなければならぬのは横にすわっておるお二方に当事者としての
責任がおありになるのですね。そこで、
労働大臣が職権
仲裁をやってもストが避けられないならば、自己の職責をそれぞれ
労使双方が十分認識をして、その自覚に基づいて
仲裁に移行するならばストが避けられるのじゃないか、こういうのが
大臣のいわば職権
仲裁をやらない理由なんです。いままでずっと聞いておると、そういうことに要約できると思うのです。
そこで、そのためにまず
大臣にお尋ねをいたしたいのですが、
双方が
仲裁に持っていくということのためには、それぞれの当事者、特に金を出す側の国鉄総裁なり、専売
公社の総裁が、やはりないそでは振れないのですから、振れるだけのそでを自覚をして持っておかなければ、
仲裁に持っていって、さあ、あなたの意見を述べよと言われても、ないそでは振れぬ、
政府に聞かなければわからぬということでは、すなわち、適格者能力を失っておるわけです。現在、この適格者能力を示唆するのは
政府自身なんです。この
政府自身がそれを示唆をすることなくして、
調停に
労使双方が行きなさいといっても、これはなかなかいきようがないわけです。ここなんです。問題の
解決のかぎは。私はここにあると思うのです。それについて、一体
労働大臣はどういう見解を持っておるのかということ。すでに過去の歴史が、労働
組合から当局側が不信感を持たれたというのは、お前
たちは
予算上あの
予算総則できめられたら、あと何にもできぬじゃないか、一円だって上げることができないのだから、これを一体どうするのだ、こう言われると、はたと行き詰まっておる。最初に国鉄総裁が言われたように、それはひとつ
国会がやってください、こういう答弁になって、みずからは第三者の
立場に立っておる。みずからは第三者の
立場ではないのだ。
大臣の言うように当事者なんだ。みずからまいた種を刈り取らなければならぬ、かまを取って刈らなければならぬその人なんです。ところが、これは
政府自身も第三者ではない。すなわち、国鉄当局なり、専売
公社の総裁に対して、だいじょうぶだと肩をたたく気持ちが以心伝心にでも
双方に、いわゆる総裁に伝わっておらなければ、なかなかそうはいかぬところがある。だから、こういう意味においては、
政府は、いわばリモートコントロールをやる
立場にあるわけです。この点に対する
労働大臣の認識をまずお伺いして、そして、いまのこの認識に対する両総裁の
立場を御説明願いたいと思います。