○長谷川(保)委員 私は、
日本社会党を代表いたしまして、本法案に対しまして賛成の意を表せんとするものであります。
申し上げるまでもなく、小児麻痺は実におそるべき病気でありまして、ことにその後遺症につきましては、非常な不幸を人の生涯にわたって与えるものであります。これが撲滅は全人類の念願とするところであります。幸いにいたしまして、数年来、
ソークワクチンの
接種、また今回のようなセービン株の非常にすぐれた
ポリオ生
ワクの服用等によりまして、世界的にこのおそるべき病気が絶滅の道をたどりつつありますことは、まことに御同慶にたえないところであります。しかしながら、これらの
国産生
ワク等の今回の服用の実情を調べてまいりますと、一部に非常な不安があります。この世の母の不安、これはある方々がそれらについてことさらなる宣伝をしたという点だけでできているのではもちろんありません。世の母たち親たちにしてみますれば、服用するにいたしましてもしないにいたしましても、いずれにいたしましても、この小児麻痺という病気が非常なおそるべき病気であるというところからいたしまして、服用させなければ愛児が
ポリオにかかる、小児麻痺にかかるということを恐怖せざるを得ない。服用するとして、これがはたして安全であろうどうか、服用することによってあるいは逆に小児麻痺にかかるかもしれない、こういう二つの間にはさまった大きな不安であり、迷いであります。これらにつきましては、私は、
政府といたしまして十分なこれらに対する
対策を立てるべきであるということを強く思うのであります。
したがいまして第一に、この世の親たち、
母親たちの不安の解消のために、
政府は今日におきましても十分な啓蒙活動をすべきである。また今後におきましても、その経過の追及を十分いたしまして、そして権威ある立場に立って、世の親たちの不安というものを解消するために努力すべきである。この努力のしかたが、今日の
段階において、私
どもは現状においては足らないと思う。したがいまして、社会党は、まず第一に、この世の親たちの不安と解消のために、
政府がさらに格段の努力をすべきであるということを強く主張しなければなりません。
第二に、これらの
母親たちの不安、世の親たちの不安というものを来たしておりまする事情について、この服用の前後におきまする服用の施行の管理というものが十分でないということを考えます。たとえば、約二百万人近くにいたしまして、十数名の、これを服用した後において不幸にしてなくなったという
子供たちが出ているようであります。また相当数の発熱、下痢等を起立した
子供たちが出ているようであります。しかしこれらにつきましては、当局の調査によりましても、また私
ども社会党の議員が現地に飛びまして調査いたしましたところからいたしましても、大体において急性腸炎あるいは急性肺炎あるいは脳脊髄膜炎その他のほかの病気のものであるということがほぼ明らかなようであります。もちろんこれらにつきましては、なおしばらく経過をしなければ、これらのことがはたしてどういうことであるかということについて確実なことにはならない点も今後あろうかと思いますけれ
ども、一応いままで調査したところによりましては、ほぼそういうことのようであります。いずれにいたしましても二百万人からの
子供たちが服用したのでございますから、もしかりにこの服用の結果何らかの障害があったといたしましても、それは数からいたしますればさればといって、この服用をやめるというようなことを、
流行期を前にいたしましてすべきでないことは明らかであります。しかしいずれにいたしましても、一人の
子供の命というものは無限の価値を持っておるのでありますから、これらについては、当局といたしましてなおなお念には念を入れ、当然合理的な
対策を立てる努力をいたすべきであります。ことに、私
ども服用の現場等をいろいろ調べてみますと、都会、ことに東京都等におきましてはあまりに
子供の数が多いかげんでありましょう、それらの事前の服用児の管理というものがきわめておろそかにされておるようでありまして、発熱をしておるとか、かぜを引いておるというような
子供を必ずしも十分に調べずに服用させておるようであります。こういうような事前の管理、また飲ませた
あとの管理、ことに発熱その他の症状を起こしておる
子供たちの健康管理につきましては、当然
政府が保健所その他の機関を動員いたしまして十分な管理をして、万遺憾ない
処置を十分講じていかなければならないと思うのであります。
第三に、私はさらにこの価格の問題について一言しなければなりません。これは
政府当局におかれましても、市町村民税の均等割以下の所得の方たちに対する免除ということをし、それが全
国民の大体三〇%に及ぶということも伺ったのでありますけれ
ども、これらの配慮に対しましては、私
ども了といたします。しかしなるほど、小児麻痺というおそるべき病気を免れるということのために、六十円前後の代金を払ってもいいじゃないかという議論も立ちましょうけれ
ども、しかし同時にこういうような全
国民に漏れなく服用させて、このおそるべき病気を予防していくというような、全
国民の問題につきましては、こういうものはやはり当然無料としていくということに、将来努力すべきでありまして、私
どもこの点を強く
政府に要望しておきたいのであります。今後こういう非常に有益な、そうしてまた全
国民になさねばならぬこういうような生
ワクチンの服用あるいは
予防接種というようなことにつきましては、当然無料で
政府が行なうという努力を進めていただきたいのであります。
以上、三点を強調いたしまして修正案に賛成、また修正案を除きまする原案に賛成の意を表するものでございます。(拍手)