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1964-03-05 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月五日(木曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 小沢 辰男君 理事 亀山 孝一君    理事 澁谷 直藏君 理事 田中 正巳君    理事 河野  正君 理事 小林  進君       伊東 正義君    浦野 幸男君       大坪 保雄君    熊谷 義雄君       倉石 忠雄君   小宮山重四郎君       竹内 黎一君    地崎宇三郎君       中野 四郎君    西岡 武夫君       橋本龍太郎君    松浦周太郎君       松山千惠子君    粟山  秀君       亘  四郎君    伊藤よし子君       高田 富之君    滝井 義高君       長谷川 保君    八木 一男君       八木  昇君    山田 耻目君       吉村 吉雄君    本島百合子君       吉川 兼光君    谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第一部長)  山内 一夫君         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (医務局次長) 大崎  康君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    山下 元利君         大蔵事務官         (主税局税制第         三課長)    宇佐美 勝君         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    新保 実生君         専  門  員 安中 忠雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  医療金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第六一号)      ――――◇―――――
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  医療金融公庫法の一部を改正する法律案について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。
  3. 小林進

    小林委員 医療金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたしたいと思うのでございまするが、今度の法律改正案を拝見いたしますると、大体二つの点において改正をせられているようでございまして、第一点は、医療金融公庫に対する政府追加出資についての規定を整備して、今後は出資金を増加していくたびにそのつど法律改正をするという、そういう繁雑をなくそうというのが一点のねらいであり、第二点は、監事の報告の責任を積極的にしようというふうに改められているようでございます。この医療金融公庫法、案が初めて国会に出ましたのが、たしか三十五年でございますか、三十五年の六月からこれが実施をせられ、六年、七年、八年と、毎年毎年法案改正をせられて今日にきたわけであります。したがいまして、この法律国会に出されてから、四年にわたる毎年の法律改正案審議過程速記録によって見ますと、大体そこで論議せられている点は一つなのでありますが、その第一点は、きのうも滝井委員等によって繰り返されました年金福祉事業団――これは同じく三十五年に医療金融公庫と同時に発足をいたしておりますが、この年金事業団のいわゆる医療機関に対する貸し付けとの相違であります。期間の相違あるいは設備その他の条件の相違、特に利率相違であります。こういう相違を一体なぜそのまま認めておくのか、これをなくすべきではないか、こういう議論が中心に、激しく、これは毎年繰り返されている。そのことに対しまして、灘尾厚生大臣あるいは渡海厚生政務次官、その前は森田重次郎厚生政務次官、あるいは西村厚生大臣、いずれも口をそろえて、その年金事業団医療金融公庫との差異は、まことに御承知のとおり矛盾であります、善処をいたします、必ず努力をいたしますと実にりっぱな公約をしておられるにもかかわらず、出てまいりますものはその公約実施をせられていない、こういう問題であります。それで、私はいま質問を行なうにあたりまして、大臣とわれわれ国会議員との質疑応答で、この委員会における公約が一体どれほど拘束力を持ち、どれほど政治的責任道義的責任を持つものやら、法律上どれほどその内閣を拘束するものやら、私はそういう点に非常に多くの疑問を持たざるを得ないのであります。  そこで、厚生大臣質問する前に、まず委員長お願いしたいのでありますけれども、そういう法律的な責任観念を明らかにするためには、これは法制局長官なりをお呼びいただきまして、国会委員会における大臣なり政務次官発言というものの効果、拘束力、こういうものを聞いておかなければ、われわれはどうも安心して質問ができません。そこで委員長お願いするのであります。私の申しておりますことは、決して思いつきではございません。国会運営上重大なポイントでございますので、以上の点を明らかにするために、早急に法制局長官をお呼びいただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  4. 田口長治郎

    田口委員長 承知いたしました。いま手続をしますから、引き続き御質問願います。
  5. 小林進

    小林委員 それでは、手続をおやり願っておるということでございますならば、法制局長官おいでになるまでの間、質問をいたしたいと思います。いささかきのうの質問とダブルところがあるかもしれませんけれども、われわれもオウムじゃないのでございまして、同じことを無制限に、レコードを回すように回しておるのではない。少なくとも国民の立場でものを言ったことは、政府に必ず実行していただく努力をしていただきまたい。そういう立場で申し上げるのでございますから、どうかひとつそのお気持ちでお聞かせをいただきたいのでありますが、さしあたり事務当局お尋ねをいたしたい。  これは三十七年三月八日であります。これもやはり医療金融公庫法がこの国会に提出せられましたときの政府側答弁でございます。これは事務的な問題でございますから医務局長お尋ねいたしますが、そのときには鈴村説明員、当時の医務局次長、いまの援護局長でございますが、「利率は、公庫を先に申し上げますと、新築資金、それから甲種増改築資金が六分五厘、乙種増改築資金が八分、機械購入資金九分長期運転資金九分であります。今の甲種乙種区別は、いわゆる病床過剰地区乙種地区病床不足地区甲種地区になっております。事業団の方は特に区別がありませんで、六分五厘一本であります。」 こういうふうになっております。この利率が、その後どのように努力をされてどのように改定いただいておるか、年金事業団と同じになるように御努力を願ったか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。
  6. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 三十八年に乙種地区におきまして、基準は八分でございますが、改善命令――保健所で危険であるとか、医療上の立場からここを直せというふうな命令を出しました場合には六分五厘になる、そういう改善が行なわれておるわけであります。  それから機械につきまして、一般的には九分なのを、特定機械については八分、そういうふうに三十八年度で改善をしております。さらに三十九年度は、まだ話し合いの途中でございますが、機械九分と八分のパーセンテージを少し改善していく予定でございます。以上でございます。
  7. 小林進

    小林委員 そういたしますると、三十七年、八年とこの問題を一番強くお願いをいたしまして、そのお願いごとに対しましては、三十七年には、森田政務次官あたりは「御指摘になった御議論を拝聴いたしております。ただいまも同じ貸付対象であるにかかわらず、同じ省内でそういう差別があるということは、私としてもちょっと納得いたしかねる点がございます。従いましてこれらの点は、やはり調整を必要とするもので、同一歩調にすべきもののように考えております。十分検討いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。」こういう明快な答弁森田政務次官はしておる。ところが、いまあなたのお話によりますると、三十七年から三十八年を経過していまでも言うけれども、依然として年金福祉事業団病院に貸せる金は、六分五厘で全部貸している。ところが、同じ厚生省管轄でありながらも、医務局の扱っておる医療金融公庫の金は、六分五厘があり、八分があり、九分があるという、こういう三本にも四本にもなって金が貸されている。これは森田さんが言われるように同じ省内で、しかも同じ病院が借りる、借りる人は一つ、それが厚生省医務局関係医療公庫から借りるか、保険局関係福祉事業団から借りるかによって、六分五厘の金を借りるのと九分の金を借りるのとでは、これは森田政務次官じゃないけれども、だれが考えてもおかしいじゃないですか。だから同一になるように努力いたしましょうと次官も言っておられる。しごくもっともです。これほどの明確な御答弁をいただきながらも、今日まで何も、若干の言いわけ程度のことはされているけれども、何もこの格差が消えていないということは、一体われわれの国会委員会における質問やあるいは政府答弁なりというものが、どれだけ拘束力を持ち、どれだけ一体責任を持っているのかという点まで私どもは掘り下げて考えてみなければ、国会委員会というものは真剣になって問題を繰り返しているわけにいきません、毎年なのですから。そこで委員長、私はこの問題を明確にして、あれは政務次官のときに言ったけれども、おれは政務次官をやめたのだ、しかし池田内閣一つだ、池田内閣の閣僚の一員として、そのシステムの政務次官として言ったことに対して、その人がやめていってしまったら責任はだれが負うのかという問題だ。ここでは灘尾さんも大きくお話しになっておりますよ。しかしこれも、おれは大臣をやめたのだから責任はない、政務次官をやめたのだから責任はない、こういうお話になるのかならないのか、一体いかがなものでしょうか。厚生大臣は教養、知識高邁な方でありますので、前大臣のこういう答弁を、後任者としてそれに拘束されるのかされないのか。ぼくは政治的に道義的に、法律上の見解をお聞かせを願いたいと思う。
  8. 小林武治

    小林国務大臣 これは法制局からお話がありましょうが、私どもの考えるのは、国会答弁というものについては、答弁した役所なりまた当事者なりが、道義的、政治的責任は負うべきであると思います。法律的責任まではあるというふうなことは申し上げられないと思いますが、前任者お話しになったことは、役所としても、あとの者が当然いまのような政治的責任と申しますか、道義的責任を感じて努力すべきものと考えます。
  9. 小林進

    小林委員 法律問題は、大臣がおっしゃいましたように、法制局おいでになったときに明確にしてもらいますが、これはどうもうっかりしておりましたけれども、こういう点は、国会審議の場においてほんとうにはっきりしておかなければ、委員会においてサル芝居をしているのと同じである。ちょうど夜店バナナたたき売りや根のない植木を売っているのと一緒で、売ってしまえばあとは野となれ山となれ式で、自分厚生大臣就任中、政務次官就任中だけその場限りのうまいことを言っておいて、かわってしまえばあとはどうにでもなれということならば、政党政治道義的責任というものは全く地に落ちる。われわれはサル芝居と同じだ、夜店バナナたたき売り植木を繰り返しているのと同じである。これじゃ私は、この委員会でどんなに真剣に質疑応答が行なわれて、私どもがどんなに真剣になって大臣政務次官、あるいは事務当局の言質や責任をとってみたところで、かわってしまえば何にもならないというような結果になりまするので、これは重大な問題である。ひとつこの委員会で明確にしておいていただきたいと思いまするので、どうしても法制局をお呼びいただいて、この点を明らかにしていただきたいと思います。  いま大臣から御答弁をいただきまして、大臣としては政治的、道義的責任があると思うとおっしゃる。それはそのとおりです。内閣がかわれば別でありますけれども政党内閣、自民党という政党が政権をとっておいでになる限りは、その政党に所属する厚生大臣政務次官、こういう者はかわられようとかわられまいと、公式の場におけるその言明というものは明確に続いていなければならない。あなたは、その政治的、道義的責任があると言うならば、なぜその責任を実行されないのか。私は、三十七年の森田政務次官の――大臣の問題までは言いません。それを言いますといろいろ問題が出てきますが、政務次官程度でとどめおくことは、小林進の武士の情けだと思って聞いてください。  今度は、昨年、渡海政務次官はこの問題に対してどういう答弁をしているかというと、三十八年三月六日の社会労働委員会会議録第十七号一一ページ、「渡海政府委員 現在の標準が、大体運営面におきまして八割というふうな限度額で押えておるということを聞いておりますが、利率の面におきましては、現在八分と六分五厘ということでやっておりますが、私はこれはむしろ全部六分五厘に持っていかなければならないのではないかと思います。実際におきましてこの六分五厘、これ以下に下げるということになりましたら、むしろそれは補助だという姿になりますが、今の僻地医療対策の一環として、補助という意味でそれ以下に金利を下げるべきであるかどうか、これと八分の分を全部六分五厘にしてもらう方が先か、この点は慎重に検討させていただきたいと思いますが、こういったことは今後考えてよい問題ではなかろうかと考えております。」こういうふうに言っていられて、六分五厘以下にするということと一律六分にするということとは、いわゆる緩急の順序はありましょうけれども、いずれにしても、やはり六分五厘一本にすべきことが正しいと思うという明確な発言をしておられる。こういうふうに歴代の政務次官が、みんな医療金融公庫利率の問題でこういう明確な回答をしておられるにもかかわらず、実際の面においてはそれが進行していない。一年くらいの公約違反なら私もがまんしましょう、二年ならがまんしましょう。三年も四年もから手形を持たせられては、こうやってそのままだまされてきて、これで一体国会の実のあるような審議が行なわれている、日本の国会が地についていると言われますか。これができない理由は一体どこにあるのでありますか。政務次官その他政府関係者が野党のわれわれをだましたのか、あるいはやろうと思ったけれども厚生官僚が抵抗してできなかったのか、あるいは大蔵省が納得をしなかったのか、這般理由を明らかにお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  10. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまお話しのように、できるだけ利率一緒にするように努力をしたのでございますが、われわれの努力が足らなかったと申しますか、一部の改善にとどまりましたことをはなはだ申しわけなく存じます。  なお、申し落としましたが、年金事業団のほうの大企業に対しましての利率は、六分五厘のを七分に変えておりますので、その点申し添えたいと思います。
  11. 小林進

    小林委員 あなたの努力が足りないでできなかったとおっしゃるのでございますが、どういう努力をされましたか、あなたは医務局長として御努力されたのか、大臣にその努力を懇請したけれども大臣があなたの思うままに努力をしてくださらなかったというのか、あなたの上には事務次官あり、政務次官あり、大臣がいらっしゃるのでありますから、あなたは国家における大臣政務次官責任までも持たれる必要はない。ただしかし、それを補佐するいわゆる事務担当当局責任者としては、こういう国会答弁や毎年毎年繰り返されている問題は、あなたは一番熟知しているのであります。この事情をつまびらかにあなたの上司に報告し、上司奮励努力を願うのが厚生高級事務官としてのあなたの仕事であります。政務次官大臣に対してどのように具申をせられて、どのようにそれが拒否せられて、今日こういうままに放置をせられているのかどうか、いま少しつまびらかにお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 これは省の内部でいろいろお話を申し上げ、また大蔵省に対しましてもわれわれ事務当局話し合いをしたのでございますが、この程度にとどまったわけでございます。
  13. 小林進

    小林委員 大臣にひとつ這般事情をお聞かせいただきたいと思います。事務屋答弁ではなんでございますので、大臣にお聞かせいただきたいと思います。
  14. 小林武治

    小林国務大臣 これはお断わりしておかなければなりませんが、むろん前の責任者答弁は、あとの者がその責任を引き継ぐということは私が申し上げたとおりでありますが、しかし答弁努力をしたことと結果とは違う、努力を非常にしても結果は得られなかった、こういうことであります。前々からの御答弁の、とにかくできるだけ善処する、努力する、非常に努力をしてきておるのであるが結果は得られなかった、こういうことで御非難を受けるわけでありまして、この問題は厚生当局としてもみんな苦にいたしまして、いろいろ政府部内の意見調整いたしておるのでありますが、金利というのはこれだけの問題でないので、そのほかの中小企業金融公庫とか国民金融公庫とか、いろいろの公庫金利というものがあって、大蔵省としては、金利政策調整上またいろいろな御意見があって今日まで実現しておらぬ、こういうことになるのでありまして、私ども努力をしたが、結果は得られなかった、こういうことになるのでございます。  なお、前の者が言うたことをあとの者が責任をとらぬ、これはとるべきであると思いますが、何ぶんにも非常にたくさんの問題について国会でいろいろお答えをしておりまして、これを前の方があとの者に正確に引き継ぐということは言うべくして行なわれない、そういう関係もありまして、必ずしも十分な引き継ぎが得られてないという事情もあります。したがいまして、前にも私申し上げましたが、私が国会答弁をした、あるいはお約束したことはぜひ実現のできるように、少なくとも事務当局継続性を持っているのだから、その際は事務最高責任者も必ず出て十分にこれを意にとめておいて、たとえ私たちが退いてもあとの方に引き継ぐなり、自分努力するなりしてもらいたいということを強く指示いたしておるのでございます。  この問題は、御指摘のように非常に長い間の懸案がまだできておらぬということで、御不満は非常にごもっともと存じますが、何ぶんにも医療金融公庫だけの問題でないということで、資金の性質の問題もむろんありますが、横の公庫との調整権衡の問題があってなかなか御理解が得られない、こういう事情にあるのであります。しかし、横の関係もさることながら、また一方から年金福祉事業団との関連も十分考慮しなければならぬ、また貸し付け対象が同じものである、こういうことでどちらが重きをなすかという問題もあるのでありまして、私どもは、年金事業団が同一対象に向かってやっておるのだから、金利権衡をとるべきである、こういう希望を持って折衝をいたしておるが、また一方、大蔵省としては全体の金利体系の問題もあってなかなか簡単にいかない、こういう事情で、私はどちらに重点を置いて考えるべきかということにあると思うのでありまして、私ども事業官庁といたしましては、貸し付け対象によってぜひ考えてもらいたいというふうな考え方を持っておるのであります。御期待に添い得なかったことを非常に遺憾と存じます。また、おまえ同じような公約をするだけであろう、こういうことでありますが、十分私も問題のありかを認識もいたしましたし、大蔵当局とも重ねて折衝いたしたいと思います。これ自身は政府予算関係でありませんで、予算にどうこうということでなくて、実は貸し付け医療公庫の内部問題でありますので、予算が成立してからでも、これはまたことし、予算と違って直せないものでもないというふうに考えておりますから、そういう認識を持っておるということだけお答え申し上げておきたいと思います。
  15. 小林進

    小林委員 大臣から長々と御答弁をいただきました。その前半の、たとえ大臣をやめられても、事務当局は継続してあるのであるから、少なくとも大臣委員会等発言せられたことは、必ず正しく公約実現するように、これは事務当局を訓練してこういうことのないようにしたいという、その御答弁は私はすなおにちょうだいをいたしたいと思います。これはひとつ、ぜひともそのようにしていただきたいと思う。さもなければ、国会の中で私どもが真剣に討議する理由というものは、全く一つもなくなるのであります。これはいままでの厚生大臣にない、小林厚生大臣の新機軸を出した答弁ですから、それはぜひともひとつ実行していただきたいと私は思う。  次に、私は田口委員長一つお尋ねいたします。  この医療金融公庫金利の問題について、あなたの前任者または前々任者等から引き継ぎがありましたかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  16. 田口長治郎

    田口委員長 引き継ぎを受けておりません。
  17. 小林進

    小林委員 これはございませんか。そうでありますか。私はこれもひとつ御参考までに委員長に申し上げておきます。これは三十七年の三月八日、社会労働委員会における中野委員長のこの委員長席における発言です。参考までに読み上げます。これは滝井君が質問をいたしておるのであります。「本日の当委員会における医療金融公庫法の一部を改正する法律案に対するそれぞれ委員の皆さんあるいは私と政府との質疑応答過程の中で、医療金融公庫年金福祉事業団との、利率についても、償還期限についても、限度額についても、標準面積についても、標準建築費についても、非常に多くのアンバランスのあることがわかった。これについては、政務次官政府を代表して、このアンバランスは速急に直さなければならないという意思表示をされたわけです。しかし、われわれ委員会としては、あるいは社会党としては、当然これはもうこの法案の通るまでに、そのアンバランスをここで直すという政府責任ある言明をいただきたいところでございます。しかし、なお現在、政府当局においては大蔵当局あるいは党の意思統一等において、十分手を尽くしていないという御意見も漏れ聞いておるわけです。そこで、この公庫事業団とのそれらのアンバランスを是正しなければならぬという点については、これは自由民主党も民社党も社会党意見の一致を見ておるということは、今までの質疑過程なり、理事会等でも大体明らかになってきております。そこで、これを実現していくためには、相当の重大決意を持った政治責任をもって、これを超党派的に推進しなければならぬとわれわれは考えます。そこで、本日の質疑応答過程委員長席から終始一貫ごらんになっておりました委員長として、一体これをどう最大責任を持って実現しようとするのか、この際委員長意思表本をしていただいて、われわれも委員長の驥尾に付してこれが実現に邁進をしたいと思うのです。しかし、これが実現ができないというような場合については、われわれは重大な決意を持って、政治的な責任を追及することを考えなければならぬこともあり得る、こういうことでございます。一つこの委員会の情熱が通りますよう望んでやまないわけですが、この際委員長は一体どう考えておるか、それを一つここで明確にしておいていただきたいと思います。」こういう質問に対して中郷委員長は、「お答えをいたします。委員長といたしましては、医療金融公庫利率については、年金福祉事業団と同様に、利率六分五厘を実現するよう最大努力をいたします。ただいま議題となっておりまする」云々、こういうふうに答弁をせられておるのであります。最大努力を払うというのですから、これは当然委員長に引き継がれて、その努力というものが継続されていなければならぬのであります。いま一回田口委員長に、その努力引き継ぎがありましたかどうか、お尋ねいたしたいと思うのであります。
  18. 田口長治郎

    田口委員長 引き継ぎを受けておりません。
  19. 小林進

    小林委員 そういたしますと、この年利率六分五厘にすることに対しては、委員長としては何も努力をされなかったということでございましょうか。
  20. 田口長治郎

    田口委員長 事情よくわかりましたから、ひとつ中野委員長同様に、党内外において努力をいたしたいと思います。
  21. 小林進

    小林委員 それでは、内閣法制局の山内第一部長がお見えになっているそうでございますが、私は、この国会内における、特に国会委員会内部における大国、政務次官等の発育といいますか、委員会における約束というものは、どこまで責任があるものかどうかであります。具体的に言いますならば、いま一つの例として小林厚生大臣かここにおられる、一つの問題について、私は必ずそれを実現するように努力をいたします、あるいは行ないます、やります、こういう答弁をされた、努力でも、やりますでもよろしい、これを行ないますという約束をされたと仮定するのであります。ところが、同じ政党内閣の、自民党池田内閣という内閣の中でも大臣の交代がある、おやめになって次の大臣が来ると、私はその話は聞いておりません、私は知りません、こういうようなことが間々あるのであります。その前任者の、同一政党内閣における委員会、本会議場における公約というものは、やめていくことによって消滅をするものかどうか、どこまでその約束というものを守らなければならないといいますか――先ほど大臣は、政治的、道義的には公約を守る責任があるとおっしゃいました、私はそういう政治的、道義的な責任論を問うているのではなくて、法律的に拘束力ありやなしやということを、法制局の第一部長山内先生にお尋ねをいたしたいのでございます。
  22. 山内一夫

    ○山内政府委員 お答えいたします。  法律的にはその責任を承継するということは、私はないと思います。政治的には確かに承継すると思いますが、法律的にはないと思います。大臣があることを約束された、その方がその大臣の職におられる場合におきましても、法律的にはその約束というのは拘束力はない、政治的には重大な責任を負われることと思いますが、法律的には私はないと思います。
  23. 小林進

    小林委員 そうでしょうな。しかし、政治的な責任というものは、法律上の責任にまさること大なるものがございますが、それはいかがでございましょう。
  24. 山内一夫

    ○山内政府委員 法律的に責任がないということは、その責任が重大でないということを意味するものでないと私は思います。政治的な責任のほうが、実質的には重いと思います。
  25. 小林進

    小林委員 全く同感でございまして、現在の議会政治、民主政治がともすれば国民の間に軽視をせられ、侮辱をせられれておることは、おっしゃるように現在の閣僚、特に政府というものがそういう発育をいたしまして、そこに政治的責任を持たないというところが、民主政治を危殆ならしめている根本であると思います。むしろいささか法律的に責任がないということに籍口して、そしてどうもその場限りの発言をいたしまして、そして自分が閣僚のいすなり政務次官のいすを去っていけば、あとは野となれ山となれという式、これが日本の政治の一番悪いところであります。これが民主政治の危機を招来している根本の理由でございまするから、まあ第一部長はいみじくも政治的責任のほうが法律責任にまさるという主張ですから私も一応納得することにいたしまして、次に進むことにいたします。  どうも三十七年、三十八年、ともどもに、こういう医療公庫に対してはそういうふうに明確な言明をやっておきながら、政治的な責任一つもおやりになっていないというところに、いまやはりこの法案が遅々として進まない根本の理由があるのではないか。それはこの法律を提出せられました内閣、特に厚生省といたしましては、やはり早くこの法案を通して作業を進めたいという意欲は十分あると思います。繰り返して申し上げまするが、この法律の通過をいたずらにおくらせているものは、われわれ野党ではございません。いま私が申し上げましたように、政府みずからが政治責任をとらない、法律上の責任よりもさらに重いといわれるこの重大なる政治責任をおとりにならない。ここに、この法律が衆議院を通過しない根本の理由があるのであります。その点をひとつ政府側は十分反省をしていただきたいと思います。もし反省をされないというならば、われわれは残念ながら最後までも抵抗を続けて、この法案はこの委員会を通過せしめるわけにいかない。繰り返して言いますけれども、この委員会における大臣政務次官発言公約というものは、法律上の責任よりも重いのであります。重大なる政治責任があるのでありますから、その政治責任を必ず守って、将来はこういうことをおやりにならないという明確な言質を与えられない限りは、私どもはこの法律審議に参加をするわけにいかないのであります。大臣の御答弁お願いいたしたいと思います。
  26. 小林武治

    小林国務大臣 お話のように十分反省をいたしますが、なおどうもいつもの例文的な答弁は、私はあまりいたしたくございません。十分責任を感じてやりたい、こういうふうに思います。
  27. 小林進

    小林委員 それでは、同僚諸君の質問も次に控えておるようでありますから、この問題はこのくらいにいたしまして、私は若干法文の体裁について質問をいたしておきたいと思います。  今度の法律においては、いわゆる公庫の監事の権限に関する規定の整備でありまして、監査の結果を監事が総裁または総裁を通じて主務大臣に対する報告を行なう権限を有することにしたということであります。この総裁または主務大臣に対する報告という、時には総裁にしたり、時には主務大臣にやったりというこの区別は、一体どういうことを意味しておるのか、この条文の内容の解釈をお聞かせいただきたいと思うのであります。
  28. 大崎康

    ○大崎政府委員 現行の医療金融公庫法におきましては、監事の規定といたしましては二カ条あるきりでございます。それは公庫の業務を監査するという条文が一つであります。他の条文は、公庫と総裁の利益が相反する場合の措置について定めてあるわけであります。今度改正になりましたこの趣旨につきましては、監事の権限を強化するということがその根本の趣旨でございます。監事は、御案内のとおりに、理事機関に対する牽制をするという役目を持っているわけでございます。監事が監査いたしました結果については、公庫の内部についてその意見を言う場合には、公庫最高責任者である総裁に監査の結果を報告するということが一つ必要なわけでございます。ところが、また一つの要請がございます。公庫というものは主務大臣から監督されているわけでありまして、いろいろの監督の手段があるわけであります。主務大臣に対する監督の一つの資料といたしまして、監事は総裁を通じまして主務大臣に監査の結果を御報告する、こういうこともまた必要でございます。そういうふうな必要から、現在の改正案の内容になっているわけでございます。
  29. 小林進

    小林委員 そういたしますと、この法文の意図するところは、監事は公庫の内部に関する問題は総裁に報告をする、監査の結果を報告する、それ以外の主務大臣公庫に対する監督上必要とする事項は、これをひとつ総裁を通じて主務大臣に報告する、こういうわけで、総裁に報告するものと主務大臣に報告するものとは、その仕事の内容によって区別をするとおっしゃるのかどうか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  30. 大崎康

    ○大崎政府委員 その点につきましては、実際問題として分けることはむずかしいと思います。両者関係をいたしておりまして、公庫の総裁に報告いたしまして、公庫の総裁権限内によってできることもございます。それから主務大臣に報告をいたしまして、主務大臣の監督権の発動を待つようなことになる場合もあると思います。しかしながら、それは二つに画然と区別されるものではございませんで、また区別することもできないと考えております。
  31. 小林進

    小林委員 そういたしますと、これは総裁までの報告書類だ、これは総裁を通じて主務大臣まで行く報告だという区別は、だれがするのでありますか。
  32. 大崎康

    ○大崎政府委員 監事でございます。
  33. 小林進

    小林委員 御承知のように、総裁と監事だけは主務大臣の任命でございますね。理事は総裁が任命しても、大臣の承認を得るという形になっております。そこに監事というものが、あなたのおっしゃるように、総裁以下理事関係執行部の業務をチェックするというところに私は監事の役割りがあると思う。また、その役割りがあればこそ、総裁の手を経ないで主務大臣みずからが監事を任命している、こういうことであります。これはむしろ、総裁または主務大臣などという明確にして明確ならざるような規定にするよりも、監査の結果を主務大臣に報告する、この一本にできないものかどうか。むしろそれば、ほんとうに公庫理事、執行部をチェックするとすれば、そのほうが一番筋が通ってすっきりすると思うのだが、いかがでございますか。
  34. 大崎康

    ○大崎政府委員 主務大臣に報告をするということは、私が御説明申し上げましたように必要でございますが、それと同時に、公庫の業務でございますから、公庫最高責任者に対する報告というものは必ず必要であると考えております。
  35. 小林進

    小林委員 そういたしますと、監事の監査の報告は、総裁または主務大臣じゃなくて、総裁と主務大臣に漏れなく全部一応のものをやるということですか。それならばまた話は了承いたしますよ。時には総裁だけにし、時には自分の考えで、これは主務大臣へ持っていこうと思うものは主務大臣に持っていくという、そういう考え方だな。それが私はどうも誤りではないかと言うのでありますが、報告書類は少なくとも全部両人のところへ行くというのかどうか、いま一回伺います。
  36. 大崎康

    ○大崎政府委員 両者に対する報告は、大体において同じようなものが行くと考えますが、しかし事の軽重によりましては、主務大国にもいかないものもあり得ると考えております。
  37. 小林進

    小林委員 私は残念ながらあなたの御意見に賛成をするわけにはいきませんが、次にこの問題に関連してお伺いいたします。  法律の文章であります。医療金融公庫法の「第九条に次の一項を加える。」という、その第四項の「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は総裁を通じて主務大臣意見を提出することができる。」あなたの提案理由の説明だけを聞いていると、監事の権限を積極的に強化する意味において、監査の結果は必ず総裁と工務大臣に出さなければならないような説明を加えているが、条文に入ってくると、必要があると認めたときはというだけで、やってもよしやらぬでもよし、こういうふうな形になっておる。その必要あるときはという文章は不要と考えるが、いかがですか。文章の体裁でおつけになったのかどうか。なるべく、条文などというものは、余分なことばをつけないのが頭のいい法律作業でございまして、こういう文章は私は要らないのじゃないかと思う。実質的にどういう効果があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  38. 大崎康

    ○大崎政府委員 私がいままで御答弁申し上げたその前提は、その必要があると認めたときの措置について申し上げたわけでありまして、私が御答弁申し上げました中に必要があると認めたときということのことばがなかったとすれば、なかったということにつきまして先生のほうから誤解があったすれば、それを前提として御答弁申し上げたというふうに御了解いただきたいと思います。
  39. 小林進

    小林委員 何だかあなたが言われることはわからない。いま一回私は言いますけれども、第四項は、監事は監査の結果に基づき総裁または総裁を通じて主務大臣意見を提出する、監査をすれば必ずその監査の結果というものは総裁と主務大臣に報告をする、こういう明確な立場になってこそ法律改正の意味があるのじゃないか。必要に応じてやったりやらなかったり、全く監事の独断で、やるもよし、やらざるもよしというふうな考え方ならば、盲腸と同じだからそんなものはやらぬでいいじゃないか。いやしくも大前提に解釈せられるように、今度は監事の権限を積極的に強化する、こういうことの改正をするならば、監事が監査をしたならば、その監査の結果というものは、事故があろうとなかろうと、ないはないでよろしい、必ず総裁と主務大臣に報告するという積極的な義務づけにされたらいいじゃないか。だから、必要あるときはなどという文革は要らぬじゃないかと私は思う。いかがでありますか。
  40. 大崎康

    ○大崎政府委員 監査にもいろいろあるわけでございます。したがいまして監査の結果につきまして、その事の軽重によって総裁あるいは主務大臣に報告をすることが必要な場合もありましょうし、あるいは理事などにその監査の結果を通知すれば足りるような場合もあり得るかと思います。したがいまして、「必要があると認めるときは、」ということを入れたわけでございます。この必要があると認めるということは、いわゆる監事が認めるわけであります。監事そのものの独立性ということからいっても意味があることだと思います。
  41. 小林進

    小林委員 それでは言いますけれども、監査の結果を総裁まで言う必要はない、主務大臣まで言う必要はないというならば、監査は任期中一回も報告しなくてもよろしいことになるわけだな。軽微な問題だからこれはよろしい、それでは何も法改正をしてこの条項までもつける必要がないのじゃないか、従来どおりでよろしい。監事は監査をするという一項目と、いま一つは、公庫と総裁との利益が反したときは監事が公庫を代表する、いままでの二条でたくさんだ。いやしくもこの条文を一つ加えるからには、監査した結果はそのつど、事故があろうとなかろうと、軽重のいかんを問わず、軽ければ軽いで、問題がなかったらなかったという報告を必ず総裁や主務大臣にする、あればこういう重大なものがある、あるいは軽微な問題だから取り立てて総裁や主務大臣に、言うほどのことはないが、監査は終了した、それくらいの報告はやはり義務づけてやるということで、初めてこの法律改正の意味があると思う。そういうものが監事の手を通じてきちっとやられるところに、私はこの法律の積極的意義があると思う。いかがでございますか。必要あるときはなどという文章で、やるもよしやらざるもよしというふうなあいまいな法律改正は、残念ながら私は賛成することができないのであります。いかがでありますか。
  42. 大崎康

    ○大崎政府委員 私が繰り返し御答弁申し上げましたように、事の軽重によって、監事という人の判断によりまして必要を認めた場合に限って報告をするということは、従来の規定からさらに強化をしたものでございまして、その意味におきまして十分理由があるというふうに考えております。
  43. 小林進

    小林委員 あなたの説明は了承するわけにはいきません。まだ質問が多分に残っておりまするけれども、続いて滝井君が質問することになっておりますので、しばらく交代をするということで、一応ここで質問を留保しながらかわりたいと思います。
  44. 田口長治郎

    田口委員長 滝井義高君。
  45. 滝井義高

    滝井委員 医療金融公庫法の一部を改正する法律について、昨日、年金福祉事業団医療金融公庫との間の貸し付けの条件にアンバランスがあるということについて、いろいろ御質問申し上げたわけです。ただいまこの点については、小林委員からも、るる過去におけるその歴史的な経過についても、速記によって質疑をされたわけですが、当時中野委員長、それから厚生大臣等、すべてその方向に向かって努力をするということになったけれども、なかなか努力の実が結ばないわけです。私たちは時には山吹の花を望むこともあるけれども、やはり山吹の花ばかりでは、実の一つだになきぞ悲しきで、困るわけです。したがって、法案審議における野党の役割というものは、与党が予算折衝の間において上手の手から水の漏れたところ、あるいはかって法案審議するときに約束をされたものが、予算の上において実行されていないもの、これらのをここで実行を迫ろうというのが野党の役割りだとわれわれは思っておるわけです。  そこで野党の役割りをやらなければならないまず第一の点は、医療金融公庫年金福祉事業団貸し付け利率が違うということです。これは昨日大蔵省の海堀資金課長さんにも来てもらっていろいろやったけれども、やはり事務当局としてはなかなかこういう問題の明確な責任ある御答弁はできない。一応問題を浮き彫りにするという意味で昨日は来てもらったわけです。きょうは大蔵大臣に来てもらうところですが、参議院の予算関係があるから、纐纈政務次官が大蔵大臣代理として、全責任を持って来られておるそうでございます。  そこでまず第一に、大事な違うところが三つ四つあるのです。いまここではっきり出てきたのは、大蔵省厚生省が折衝をしておるというのは、金利の問題と貸し付け対象を拡大するという、この二点について、大蔵省のほうから、こういうことがいま問題になっておりますということが出されておるわけです。私はまだほかにももう二つばかり問題を持っておるわけで、まず第一にその貸し付け利率の問題です。これは、すでに年金福祉事業団は、創設の当時から、六分五厘、ただし大企業は七分でずっときているわけです。ところがこの医療金融公庫は、新築の甲種増改築程度は六分五厘になりました。これは当初六分五厘でなかったのですが、やかましく言って、だんだん六分五厘になってきた。乙種増改築は八分、その他機械購入等の基準あるいは特定の機械等は八分ないし九分なんです。年金福祉事業団は六分五厘から、大企業だけは七分、こういうように七分以下なんですね。年金福祉事業団は主として大きな公的医療機関に金を貸す、医療金融公庫は零細な中小の病院だ、対象が大体こういう形になっているわけです。中に最近大学等の病院も、医療金融公庫に移されておりますけれども、これは比較的大きなものです。こういうように、池田内閣が中小企業に革命的な政策を打ち出すというのに、中小企業のいわば範疇に入る――なぜならばこの医療金融公庫というのは、中小企業金融公庫から分かれたものなんですから、そこで歴史的経過から考えても、革命的な政策をおやりになろうとするならば、すみやかにこれは六分五厘に全部すべきなんです。それを何回言ってもやらないわけなんですね。そこで昨日まで私たちの態度は徳川家康の態度できたわけです。鳴くまで待とうホトトギスという態度できたけれども、もう二回。三回も同じことを言ってもだめだ、これはひとつ織田信長までいくのには急だから、豊臣秀吉程度にいこう、いま藤吉郎の段階を小林さんがやってくれたので、今度はいよいよ朝鮮征伐ぐらいのところへいかなければならぬ、こういうことですね。  そこでひとつ、纐纈政務次官、十分御討議の上きょうはここに大蔵大臣のかわりに御出席いただいたと思いますが、六分五厘にしてもらえるかどうかということです。
  46. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 先ほど来小林委員等からの御質疑も伺っておりましたが、年金福祉事業団医療金融公庫との利率が非常に違っておる、さらにまた、医療金融公庫におきましても三つの段階によってやっておられるのはけしからぬじゃないかという御意見であり、しかもそれに対しましては、厚生大臣以下政務次官等が、委員会において、できるだけ御趣旨に沿うように努力するという答弁をしたというような応答がございましたことを十分に拝聴いたしました。  大蔵省立場から申しまするならば、滝井先生も御承知でございましょうが、一応医療金融公庫の問題は中小企業金融公庫の問題から分かれた問題でございまして、したがいまして、その意味からいたしますと、御承知のように幾つもの金庫あるいは公庫、公団というものがございまして、これに対しましては、全体を見合わせて大蔵省といたしましては金利政策というものが立てられておるわけでございます。もちろん医療金融公庫だけの立場から申されますれば、さような不合理等がございますが、しかしこれは、六分五厘、八分あるいは九分ということに区別したことにも、大蔵省としては大蔵省なりにひとつの主張があったことと思います。しかし、私といたしましてもいろいろ検討をいたしましたが、なかなか大蔵省の主張も強いようでございます。しかし、この問題はすでに数回委員会において論議されてまいっておることでございまするし、ただいまもお話しのように中小企業対策を革新的にやるというような声明をいたしました関係からいたしましても、何とか手を打たなければならぬじゃないかというふうに考えております。しかし、いままでのこの医療金融公庫の六分五厘というものはだんだんウェートが高くなっておりまして、七七%ぐらいの程度までいっておるように承知しておるわけでございます。したがいまして、当初から考えてみますと、平均的には利率は非常に低いと申してもなんですが、六分九厘ぐらいの程度まで下がってまいっておりまして、こうした大蔵省努力をいたしたことも、おそらくいままで当委員会において論議された皆さま方の御希望が、もちろん完全ではありませんが、漸次改善されておるということでございまして、その点につきましては、大蔵当局努力もひとつ御了解願いたいと思うわけでございます。しかし、ここまでまいっておるものでございまするし、政府出資というような問題もございまして、財政全体の考え方も考慮いたさなければなりませんが、ここまで当委員会において御熱心に討議されておる問題でございまするので、ぜひともひとつ皆さま方の御期待に沿うような、いわゆる前向きの姿勢のもとにこの問題を検討いたして、できるだけ早い機会に皆さま方の御期待に沿うような措置をとることをいたしたい、かように考えておる次第であります。
  47. 滝井義高

    滝井委員 田中大蔵大臣はあなたと同じことをしょっちゅう言うのですよ、前向き前向きと。しかし、七月には内閣の改造があるのですよ。だから、われわれはこの法案を通すときに勝負をしたいのです。きょうあなたが前向きでということも、この問題がきょう初めてならば、私は、前向きでけっこうです、来年お願いします、こうなるわけです。ところが、この法律が昭和三十五年にできたときから私はやっておるのです。ばかの一つ覚えみたいにやっておるのです。池田さんが、社会党はばかの何とか何とかとよく言うけれども、そのばかの何とかでやっておるわけですよ、三十五年以来から。政治家は所信を貫かなければならない。小野道風ではないけれども、いつかは所信を貫かなければならない。その時期はいまをおいてはないわけです。いままでは、この法律改正というものは、これは政府が出資をやったたびごとに法律改正しておったのです。いままでこの法律に相まみえるのは毎年相まみえたのですけれども、今度この出資をしたときには自由にふやすことができるようになるのですから、相まみえるのは、これはそう毎年まみえるというわけにはいかぬようになる。だからこれはもう最後のチャンスですよ。このチャンスをのがしたらないわけです。だからきょう私たちとしてはどうしてもこの六分五厘の利率を、あなたから言質を引き出さざるを得ない。あなたがこの六分五厘を言わないならば、あしたまで待ってもいい。あと回しにして次の質問に入ってもいい。前向きというのは、…中さんは予算委員会で全部前向きだと言いますよ。私ら何回聞いても、前向きでやりますと、言う。しかし一向に前を向いていない。だからきょうは六分五厘でぜひ責任を持ってやります、このぐらいあなたが言えば、あなたは次は大蔵大臣です。このくらいの言明ができなければ処置ないですよ。六分五厘を前向きで――どうせこれは近々通さなければならぬ。通すまでに前向きで検討して御答弁いたしましょう、これならばきょうは待ちます。
  48. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 ただいまのお話出資金の問題につきましては、いままで法律をそのつど変えております。すでに予算によってきまっておる金庫あるいは公庫のほうの取り扱いも相当やっておりまするし、どうも法案が多過ぎるから整理したらいいじゃないかというような考えもございまして、今回は医療金融公庫につきましてもそういう方針をとりたい、これは政府の方針としていたしたことと思うわけでございます。そのために今後この問題について議論をするチャンスはないとおっしゃいまするが、それは私はいろいろの問題について論議をされる機会があると思います。大蔵委員会においても同じことだと私は思っております。そういうことでございますので、必ずしもこれが最後のチャンスだとは私は考えておりません。しかし先ほど来お話しのように、非常に長い間の問題でございますが、私としては誠意を持って来年度の予算につきましてはぜひとも前向きの姿勢でこの問題を検討することをこの機会にお約来するということで、ひとつ御了承願いたい、こう考える次第でございます。六分五厘に決定するということは、先ほども申しましたように、金利体系のことからまいりましてなかなかそう簡単にいかぬようでございます。その影響するところも非常に多いのでございますから、それらの点を十分に検討しまして、滝井委員の御期待に沿うような措置を講ずることに政治的な責任を持ってひとつ努力いたしますから、御了承願いたいと思います。
  49. 滝井義高

    滝井委員 金利体系金利体系とおっしゃるけれども年金福祉事業団は六分五厘にしておるわけです。御存じのとおり、この年金福祉事業団の中には、厚生年金の還元融資の分と、それから国民年金の特別融資分とは三十四億しか入っていないのですよ。医療金融公庫は四十三億入っている。医療金融公庫のほうが多いのです。同じ年金の金が入っておるのに、片や六分五厘でいけるのに、なぜ片一方がいけないのかということです。金利体系などということは問題にならぬ。それからことしは予算が云々という問題は、これは直接予算には関係がない。この前の予算委員会で外人の料理飲食等消費税を改正したとき、早川さんは何と言ったかというと、地方財政計画上五億穴があくわけだけれども、たった五億穴があいても支障はないとさらっと答弁した。あとで、たった五億というのは取り消しますと言ったけれども、したがってそのぐらいのことは吸収できるわけです。これは運用のしかたによっては、そのぐらいのことは吸収できることは明らかだ。また赤字があれば、その利子分が何か困るところがあれば六分五厘に下げることによって、それこそ自由自在に一般会計から入れることができる。どうせ年度末には補正をやるのだから、ここで何ぞ来年を待たんやだ。来年のことを言うと鬼が笑う。だから鬼に笑われないようにことしのことはことしに解決していく。政治というものはその場その場で解決していかないと、先に延びるということはいかぬです。同じ金が入ってきておる。片方は六分五厘でできるのだから、できないはずはないというのです。それから早川さん等の発言もあって、これは直接予算には関係がない。努力によって吸収できるし、その利子の分が不足ならば、その分だけちょっと貸し出しを引き締めたらいいわけだ。だから何とかなるわけだ。利子の分が、それだけ利子が返ってこなければ、二十一億のことしの回収分に少しそごを来たすかもしれないが、その分は貸し出しをそれだけ減らすか、あるいは積極的にやるというならば、さいぜん言ったように出資を補正したらいい。こういう方法は幾らでもある。これは自由自在なんです。問題は、だれが実行する腹をきめるかということだけでしょう。だからこれは何ぞ来年を待たんや。来年を考えたらわれわれ議員であるかどうかもわからぬ、オリンピックのあとには国会解散と言われておるのだから。だからやはり現議員のときにものごとは勝負しておかなければならぬわけです。これが前向きということです。したがって、私としてはどうしても、これは譲れない一線です。この法案がこの国会を通るまでにひとつ六分五厘にするという言明を得たい。きょうそれが前向きだということで得られないならば、あと三つ問題がありますから考えさせてもらう。
  50. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 重ねての御質問でありますが、先ほど来申し上げますようにだんだん六分五厘の線が非常にふえてまいっておりまして、皆さまの御希望が満足のいくところまではもちろんまいっておりませんけれども、六分五厘で融資をする線が非常に濃くなってまいっております。いまここで六分五厘ということになりますと、年度途中で予算の変更をし、結局金利を下げるという問題が予算にも響くのでございます。地方税の問題と多少私は性格が違っておるのではないかというふうにも考えておりまして、これは事務的にも相当むずかしいことがあるのじゃないかというふうに考えるわけであります。いま任期がどうとかなんとかおっしゃいますが、そういう問題とは関係なく扱っていって差しつかえない問題ではないかというふうに一応考えるわけでありまして誠意を持って御期待に沿うように努力をいたすというお答えで御了承を願いたい、こう考える次第であります。
  51. 滝井義高

    滝井委員 三十五年以来足かけ五カ年間言い続けておる問題ですから、これは簡単に私も下がれないわけです。あなたのほうが前向きだというのならば、これはしばらく横に置いて先のことにしておきましょう。  次は貸し付け限度額、これを法人と個人と区別しておるわけですね。これは中小企業金融公庫や国民金融公庫はどうなっておりますか。法人と個人を区別しておりますか。
  52. 新保実生

    ○新保説明員 ただいまお尋ね中小企業金融公庫と国民金融公庫におきましては、貸し出し限度について個人、法人の区別はいたしておりません。ただ、これにつきましては理由があるわけでありまして、この点をちょっと説明させていただきますと、国民金融公庫におきましては設立以来いろいろ貸し出し限度の定め方につきましては沿革がございますが、ある時期において確かに仰せのとおり個人と法人によって貸し出し限度の差を設けてまいったわけであります。これは法人は即大企業という時期があったわけでありまして、そういう社会、経済的な実態に合わせまして、資金需要の度合いにおきましても差があるという点をとらえまして、限度に差を設けてまいったわけでございますが、その後御承知のように、税金の問題とかいろいろございまして、いわゆる法人成りと申しますか、経営形態を個人から法人に転換する例が非常に多くなってまいりました。国民金融公庫で申しますと、町の商店街のそれぞれの中小企業者、これが個人の形態でやっておる場合もあり、法人の形態でやっておる場合もある。しかし売り上げなりあるいは資産の程度はほとんど変わりはない。むしろ個人でありながら、法人よりも資産なり売り上げが多い。したがって、資金需要の程度も強いということが顕著になってまいりましたので、そういう社会情勢の変化に応じまして、その区別をなくしたほうがいいのではないかということでやったわけでございます。このたび、医療金融公庫の問題におきまして、その点厚生省から御相談をいただいておるわけでございますが、個人の開設される病院の平均病床と、法人の開設されておる病院の平均病床数というのは倍程度の開きがあるようでございまして、開設の設立主体別に個人と法人を分けますと、正確な数字は忘れましたが四、六でございますか、そういう関係になっておるわけでございまして、そういう実態があるならば、やはり財政資金には量的に限度があるわけでございますので、貸し出し限度につきましても、そういう差を設けるのは妥当ではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。   〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
  53. 滝井義高

    滝井委員 いろいろ理由を言いましたけれども、どうもあまり筋の通ったぴんとくる理由じゃないのです。中小企業対象とする国民金融公庫なり、中小企業金融公庫は個人と法人の区別がない。歴史的な沿革として、中小企業金融公庫から分かれた医療金融公庫に依然として法人と個人の区別がある。しかも限度額は法人でもわずかに五千万円、五千万円と言ったらいま一体幾らのベッドの持てる病院が建てられますか。わずかに五十か六十のベッドの病院しか建てられないのですよ。いま五十か六十のベッドではなかなか採算がうまく合わぬというのは、いままでここで医務局やら保険局が説明した資料から見ても明らかですよ。そうすると、もう少し拡大をしてやる必要があるわけです。だから私はこういう点についても、そこだけ言ってもらえばよかったのです。御存じのとおりなんです。医療金融公庫は、三十五年に歴史的に分かれてきたものなのですよ。それをここへは依然として昔の形骸を持ち込んできて、そのまま押えつけておるわけです。こういうところに私は金融行政の不明朗さがあると思うのです。だからこういう点もすみやかにやめなければいかぬ。国民金融公庫中小企業金融公庫ではやめておって、そこから出てきた医療金融公庫が依然として個人、法人の差別がついておるということが問題です。これをまずやめてもらわなければいかぬ、これはどうですか。当然やめるべきだと思う。
  54. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 先ほどの滝井先生のお話の中に、あなた方のほうでは五年間六分五厘にすることで努力されてきたことについてはよくわかります。それに大蔵省が抵抗したことも、それなりの理屈があると私は思いますので、そうおいそれと簡単に本年度の予算で六分五厘にするということはむずかしいのではないかということを考えております。  それからいまの五千万と三千万の差をつけたということにつきましても、もちろんいま事務当局から答弁をいたしましたようなことがあるわけですが、この問題はある程度検討を続けていく必要があると思うのです。しかし中小企業金融公庫におきましても相当貸し出し限度を設けて融資をやっておるというような状態でございますので、この点は利率の問題よりはあるいは早く解決できるのではないかというように考えております。
  55. 滝井義高

    滝井委員 利率の点よりか解決がやさしいのではないかということでなくて、ここは国会の真剣勝負なんです。練習じゃないのですよ。纐纈さんと私との真剣勝負なんです。だからいま言ったような矛盾を指摘されて、それじゃそのとおり個人、法人の差別をなくしますということが言えるかどうかです。利率よりかこのほうが合理性があるようでありますねということではだめなんです。やるならやるとはっきり言わなければだめです。
  56. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 先ほど事務当局からも話しましたように、法人は個人のやっておりますものに比較しまして倍近い、百ベッド以上のものが多いようでございます。また個人のほうは大体五十ベッド程度の問題でございますので、これを個人と法人と一緒にするということには、いま多少の問題があるのじゃないかと思いますが、しかしこれも十分検討いたして、不合理な点は是正するように努力いたしたいと思います。
  57. 滝井義高

    滝井委員 個人と法人を金融政策で差をつける必要はないと思う。これは医療法で配置の規制の問題もあるし、それからあなたのほうなりあるいは医療金融公庫が金を貸す場合には、銀行の窓口を通じなければいかぬのです。銀行がこんなものに貸したって回収できないと思ったときは銀行は貸しはしない。銀行の窓口を通じて、銀行がこれなら大丈夫だと思うものしか上がってこないのです。したがって金融政策で個人と法人を分ける必要はない。それは必要はない。それは厚生省医療行政と医療金融公庫の貸し出しの基準があるわけですから、その基準のところでやったらいい。それから借りる能力、返す能力があるかないかというところで規制したらいいのです。しかもいままでのあれでは法人と個人で五千万円と三千万円くらいでしょう。それをそうやる必要はない。こういうところはフェアプレーで、法人でも個人でもいいからおやりなさいということでいいじゃないかと思います。中小企業金融公庫や国民金融公庫では撤廃しておるのに、これだけにいろいろ理屈をつけたって通らぬわけです。だからこれも前向きに検討するそうですから、ひとつゆっくり御検討になるまで待ちたいと思います。  それから次は据え置き期間、これも違う。こういうことまでどうして差別待遇しなければならぬのかということです。これも違いましょう。厚生省、据え置き期間はどうなっているのか。
  58. 大崎康

    ○大崎政府委員 据え置き期間につきまして申し上げますと、医療金融公庫におきましては、病院につきまして、特定病院では新築の場合には三年、その他の場合には二年、増改築の場合は特定病院は三年、その他の場合は二年ということになっております。それから同じ据え置き期間につきましても年金福祉事業団では、病院が新築の場合が五年、増改築の場合は四年、あと診療所につきまししても若干の差があります。
  59. 滝井義高

    滝井委員 償還期限一緒に、最高と最低でよろしい。
  60. 大崎康

    ○大崎政府委員 償還期限は、病院につきまして申し上げますと、新築の場合は特定病院二十五年、その他の病院は二十年でございます。それから年金福祉事業団は、新築の場合二十五年一本でございます。病院の増改築は、医療金融公庫が特定病院三十年、その他十八年、年金福祉事業団が二十年でございます。
  61. 滝井義高

    滝井委員 据え置き期間も全部こういうように差別待遇されておるわけですね。こういうことはもう三十五年にこの法律ができたとき以来ここで言っているわけです。前進させます、前向きにやりますと幾度か言うのですが、できないわけです。そこでこの四点を年金福祉事業団と同じように、きょうはぜひしてもらいたいと思うのです。それをするまでは、われわれは前向きというだけでは納得できないのです。同じ政府の財政投融資で同じ資金が、片一方は政府の利子をつけなくていいような金が出ているわけです。それでいてなぜ、こういう状態で日本の医療政策を前進させると言ったって、これは木によって魚を求めるたぐいです。だから、これはひとつ、ぜひ厚生大臣と大蔵大臣とじかに相談して四点を直してもらう。そうでなければぼくらは了承できません。もう一度や二度じゃないわけですからね。しかもそれが年金福祉事業団と違うばかりでなくて、中小企業金融公庫とさえ差別を受けているということなんですからね。これは理由はいろいろあるでしょう。理由はいろいろあるにしても、もともと中小企業金融公庫にあったものを、コマーシャルベースに乗らない医療機関に措置するためにできたのでしょう。金融公庫はコマーシャルベースに乗らないということが前提なんですよ。そのコマーシャルベースに乗らない金融公庫に貸すのに、それが中小企業金融公庫年金福祉事業団よりも条件が悪いなんということは黙って甘受するわけにまいらぬですよ。われわれのヒューマニズムが許さぬですよ。これ以上言ったってなかなかでしょうから、纐纈さんができなければ、大蔵大臣に来てもらって、これはもう、ぜひひとつ厚生大臣答弁を打ち合わしてやってもらわなければいかぬです。厚生大臣は、これは当然年金福祉事業団と一本にすべきだという答弁をこの前おやりになっているのですから、自分としてはその方向で賛成だと言っておやりになっておる。ただ大蔵省ががんばっているばかりなんです。だから金利体系とかなんとかいったって、日本の医療政策というのは皆保険政策ですよ。皆保険政策、しかも現金を払うのではなく、掛けなんだから。保険ではすぐそこで現金が右から左に入るわけじゃないのです。金は翌々月末にしか銀行の窓口を通じて医療機関には入ってこないのです。そういう悪い条件のもとで、しかも公共料金にひとしいということで、物価政策の上からいってもなかなか簡単には医療費は上げられないという、客観情勢がある中で、こういう金融政策について他のものと同じような、少なくとも公的医療機関と同じような態勢をつくらずして、普通の何か営利事業と同じような形でやられることは困るわけです。だから絶対にいまの四点を年金福祉事業団と同じことにするという言明が得られない限りは、私たちはこれを進めるわけにはまいりません。
  62. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 据え置き期間等につきましては、中小企業金融公庫なんかではきわめて短いのでありますが、医療金融公庫においては先ほど説明しましたように相当長い期間を設けておるわけでございまして、先ほど申しましたようにコマーシャルベースに合わない医療金融公庫のほうの問題につきましては、相当の考慮はいたしておることをそれによって御承知いただきたいと思いますが、これらの点につきましてはひとつ厚生省とも十分協議をいたしまして御期待に沿うように努力をいたしていきたいと思います。
  63. 滝井義高

    滝井委員 それでは厚生省と御相談ができるまで待たしていただきます。
  64. 新保実生

    ○新保説明員 先ほどの私の説明で足りない部分を補足させていただきますと、中小企業金融公庫におきましては、いかなる意味においても貸し出しの限度がないというふうなことではないのでございまして、これは業種によって実にこまかな貸し出し限度の差がございます。一々申し上げるのもいかがかと思いますけれども、大体政府公庫におきましては何らかの形で貸し出し限度の差が設けてございまして、たとえば一番多いのが農林漁業金融公庫でございますが、これは柱が十何本ございまして、それぞれについて貸し出しの限度というものがございますし、それから医療金融公庫のいわば親元に当たる中小企業金融公庫におきましても、これは一般の場合は何十万円、いわゆる装置産業と申しますか、非常に設備投資のウェートの大きいものは何千万円というふうに、実にこまかな限度がございますので、その点はそういうふうになっておるということを御了解いただきたいと思います。
  65. 田中正巳

    ○田中(正)委員長代理 瞬時休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ――――◇―――――   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕