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1964-03-04 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月四日(水曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君    理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君    理事 田中 正巳君 理事 大原  亨君    理事 河野  正君       伊東 正義君    浦野 幸男君       大坪 保雄君    熊谷 義雄君       坂村 吉正君    竹内 黎一君       中野 四郎君    西村 英一君       橋本龍太郎君    藤本 孝雄君       松山千惠子君    粟山  秀君       亘  四郎君    伊藤よし子君       滝井 義高君    長谷川 保君       吉村 吉雄君    本島百合子君       吉川 兼光君    谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (医務局次長) 大崎  康君         厚生事務官         (児童局長)  黒木 利克君         厚生事務官         (年金局長)  山本 正淑君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      海堀 洋平君         文部事務官         (初等中等教育         局初等教育課         長)      西村 勝巳君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 三月四日  委員粟山秀辞任につき、その補欠として南條  徳男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員南條徳男辞任につき、その補欠として粟  山秀君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一〇五号)  医療金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第六一号)  厚生関係基本施策に関する件(保育所に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。
  3. 田口長治郎

    田口委員長 提案理由の説明を聴取いたします。小林厚生大臣
  4. 小林武治

    小林国務大臣 ただいま議題となりました国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  国民年金法は、昭和三十四年の第三十一国会で成立以来今日まで数回の改正が行なわれ、現在では、拠出年金の被保険者は二千万人、福祉年金受給権者は三百万人を擁する制度に成長しておるのであります。しかしながら、本制度の発展と内容充実をはかるためには、なお一そう努力しなければならないところであります。  また、児童扶養手当法につきましても、昭和三十六年の第三十九国会において成立して以来、手当額の引き上げ、支給制限緩和等改善が行なわれてきたのでありますが、国民年金制度と同様になお一そうの内容充実を必要とするところであります。  今回の改正法案は、以上の趣旨のもとに国民年金制度及び児童扶養手当制度につきまして、年金及び手当支給対象となる障害者範囲結核精神病等内科的疾患に基づく障害者にまで拡大するとともに、支給制限緩和することによりまして、両制度改善をはかることとしたものであります。  以下、改正法案のおもな内容につきまして、国民年金に関する事項から御説明申し上げます。  第一に、障害年金等支給範囲拡大についてでありますが、これには二点ございまして、第一点は、障害年金及び障害福祉年金支給対象となる者は、現行法では四肢の欠損等外部的障害者に限られておりますが、これを拡大し、結核性疾患、非結核性呼吸器疾患及び精神病に基づく障害者についても支給対象とすることにいたしたのであります。  第二点といたしましては、母子年金及び母子福祉年金支給対象となる障害の子の範囲を、障害年金と同様に内科的疾患に基づく障害者にまで広げることといたしております。  なお、準母子年金、準母子福祉年金及び遺児年金支給対象となる障害子等範囲拡大母子年金と同様であります。  第二に、福祉年金支給制限緩和について申し上げます。これにつきましても二点ございます。まず第一点は、受給権者扶養義務者所得による福祉年金支給停止基準額扶養義務者扶養親族がない場合の四十万円を基礎とし、以下その扶養親族数に応じて緩和することといたしました。その結果、扶養親族が五人である場合は従前の六十万円が六十五万円に緩和されることとなるわけであります。  第二点といたしまして、福祉年金受給権者が、戦争公務により廃疾となったこと等に基づき公的年金を受給している場合は、福祉年金併給の限度となる額を七万円から八万円に引き上げることといたしております。  次に、児童扶養手当に関する事項について、御説明申し上げます。  第一に、手当支給対象となる障害児童範囲につきましては、国民年金と同様に結核性疾患、非結核性呼吸器疾患及び精神病による障害児童にまで拡大し、手当支給することができることといたしたのであります。  第二に、支給制限緩和についてでありますが、国民年金と同様、受給者扶養義務者所得による支給制限基準額を六十万円から六十五万円に引き上げることといたしております。  最後に、障害理由とする年金及び手当支給範囲拡大に関する事項につきましては、昭和三十九年八月一日から施行し、公的年金福祉年金併給緩和に関する事項につきましては同年一月一日から適用し、その他につきましては、公布の日から施行することといたしております。  以上がこの法律案提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに、御可決あらんことを望みます。
  5. 田口長治郎

    田口委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  6. 田口長治郎

    田口委員長 医療金融公庫法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。滝沖義高君。
  7. 滝井義高

    滝井委員 医療金融公庫法の一部を改正する法律案について、少し質問をしたいと思います。  まず、われわれは、私的医療機関中心とする金融機関である、しかもコマーシャル・ベースに乗らない金融を目ざしてできたこの医療金融公庫法の今回の改正の第一の大きな目的である政府追加出資を行なうにあたって、特に医療機関配置について、当然政府の基本的な方針をここでお聞かせを願っておく必要があると思うのです。  そこで、まず第一にお尋ねをいたしたいのは、昨年の八月の七日に、小林厚生大臣が、就任早々、静岡で、現在ある二百七十三カ所の国立病院療養所を縮小をする、設備の近代化をはかって、療養所は郊外に移したいという談話を発表されておるわけです。一体政府は、現在の国立病院なり国立療養所をどういうように統廃合する方針でこういう御発言をなさったのか、その真意を、あるいは政府の目ざす国立病院なり療養所配置計画を、ここで一応まず明らかにしておいていただく必要があると思うのです。と申しますのは、御存じのとおり、私的医療機関公的医療機関配置というものは、あとお尋ねいたしますが、医療法等改正もございまして当然問題になるわけです。したがって、まず公的医療機関の代表的な、支柱的な存在である国立病院、あるいは国立病院配置に関する政府基本方針というものをここでお尋ねをいたしておきたい。
  8. 小林武治

    小林国務大臣 ただいまの滝井委員の御発言でありますが、私はいま仰せられるような意味のはっきりした発言をしたという記憶も持ちませんが、むろん一般的問題としまして、いまの国立病院というものは、一般市民の必要によってできた病院ではありません。これはもともと陸海軍の必要によってできたものでありまするので、当然私は、一般国民診療立場からいけば配置を相当考える必要があると思いまするが、いまのところまだ具体的にどこにどうというふうな計画、いわゆる年次的の計画というようなものはできておらないのでありまして、さしむき厚生省がやっておるのは、全国的にある程度基幹病院というものを考え、その基幹病院を完全な施設にしよう、こういうことでやっておるのでございます。療養所等につきましても、非常に僻遠の地にあるというふうなことがあるのでありまして、私はこのままの状態で将来とも置くべきであるとは思いませんが、しかしまだこれらの完全なる配置計画というものはできておらない、こういうふうに申し上げなければならないのであります。しかし、問題としては当然再検討すべき問題であると思うのでございます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、政府のほうとしては、病院配置計画というものが何もできていないというようなお話でございますが、新聞その他の伝えるところによりますと、政府は、医療機関整備六カ年計画というのを三十九年度からおやりになるというようなことも再三報道されておりますし、尾崎さんが医務局長におなりになる前の川上さんの時代にも、医療機関整備計画というのをお立てになっておったわけです。ところが、その後そういうものは、いつの間にか厚生行政長期計画構想が消えると同じように消えてしまうという形があるわけです。ところが、最近の新産業都市の生誕、太平洋ベルト地帯に対する工業の集中、こういうようなものから、農村から都市に向かって年間七十万から八十万の人口移動があるわけです。当然こういう問題と関連をして、その医療需要に応ずる病院の体系というものは、国土計画に即応して、あるいは人口移動に即応して立てられなければならぬわけです。そういう計画がここで厚生省に全然ないとなると、日本医療というものはますます無秩序になるわけです。われわれが医療法改正したときに、あれは私的医療機関を守るために滝井のやろうやっておるんだと、痛くもない腹を探られましたけれども、もっとわれわれは長期展望に立って、私たち社会党として打ち出したのです。当然、われわれが出す前に、厚生省自身川上さんの時代にお出しになっているでしょう。あのときでも、医療機関整備というものは、計画的にやらなければならぬという意味でおやりになっていたはずです。ところが、いま厚生大臣が言われるように、どうもそういう整備計画というものはありませんということも、これはおかしなことだと思うのですが、ほんとうにないのですか。
  10. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いま大臣からお話がございましたように、国立病院国立療養所の、最終的に全部こうやるのだという計画までできておらないということでございまして、病院につきましては、ただいま大臣がお語いたしましたように、まず全国に十ばかりのブロックの中心になるような基幹病院整備、これは大体終わっておるわけであります。それから、そのほかの特殊疾患特殊患者対象とするような病院、または特殊療法を使用してその診療について指導的な役割りを果たせるような、たとえばガン関係また小児関係温泉病院というふうなものにつきましても整備をやっていこうと思っております。これは現在ありますものを、また新しくガンセンターをつくる等をやっております。たとえば中国地区におきましては、呉をガン関係で重点を置いて整備しようということを考え、これは一部すでに動いております。それから、この点はまだ全部はっきりしたところまで計画が具体化しておりませんが、九州地区にも一カ所ガン施設充実したところをつくりたい、こういうふうなことを考えております。それからさらに、地域情勢に応じまして、必要と思われるような病院につきましてはそれぞれの整備をしていきますが、特に今回は、三十七年度からの第三次整備計画といたしまして、代表的な地域地域の、その周辺地区中心的な医療機関を三十カ所くらい重点的に整備をやっていく、こういうことをやっております。ただいまお話がございました新産業都市につきましては、たとえば郡山地区などにつきましては県のほうと相談いたしまして、あそこの郡山病院強化していくということを考え、それぞれ各県各県においてそこの医療機関整備考えてもらうのに対応いたしまして、国立病院も協力して一緒になってやっていく、こういう立場をとっております。それから国立療養所関係でございますが、いま大臣からお話しのように、いろいろ建物もよくなくなって、はなはだ老朽化してきておる。そういうことと結核死亡率の年々減少結核患者数減少とまた将来の展望とあわせて、結核に対する追撃戦強化していかなければいかぬという立場の両方をあわせ考えまして、さらに結核対策に対してほかのほうが手を抜いていくという可能性が将来考えられるということから、そういうような基幹的な結核療養所整備するということを考えております。なお、老人結核だとか、それから現在でもすでに重要性が起こっていますが、小児カリエスというようなものの施設強化、またリハビリテーションというものの強化、これを考えております。これを精神病患者結核患者等の問題とあわせて考えながら、結核療養所などの将来のことを考えて、空床がはなはだできております地域につきましては、その一部を精神に転換するとか、慢性疾患のこともあわせてやるということを考えながらやっておるという状態でございます。
  11. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、大体一つの絵がかけておるわけですね。全国に十カ所程度基幹病院をおつくりになる。その合い間合い間にガンその他の特殊な病院をやはり地域的に配置をしていく。それから地域が必要とするような病院というものは、三十カ所くらい基幹病院の間につくっていく。同時に、老朽化しているところは順次に整備をしていくし、必要あれば整理統合をはかるし、結核についても基幹的な整備をはかっていく。その間に新しい医学の役割りを、リハビリテーションその他をやらせるというように大体できておるわけでしょう。そうしますと、そういう計画を一体あなた方は、何年計画でどのくらいのお金でおやりになろうとするのか、ここらあたりをやはり少し知らしておいてもらう必要があるのです。それは、われわれが皆保険体制を推進していくためには、やはり医療機関整備地域的に推進されていないと不公平が起こってくるわけです。そこで、国が国民医療に責任を持つという体制をつくるためには、やはり背骨だけは国立病院でつくっておいていただかなければならぬと思うのです。まず、何年計画くらいで、どの程度資金を投入してそういうことをおやりになろうとするのか。
  12. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 先ほどから申しておりますように、まだ全部の計画ができ上がっていない。ことに情勢の変化に応じまして、いろいろ対処しなければならぬ点もありますので、全般的な計画じゃなく、途中の計画しかできていない。ここで申し上げられます程度である程度固まっておりますのは、第三次と申しますか、整備計画としてやっております国立病院三十カ所が、大体総額百五十億くらいで三年くらいを予定しておりましたが、五年くらいになるであろう、こういう見通しということくらいでありまして、あと全般的な計画は、まだ申し上げるほど固まっていない状態であります。
  13. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、第三次整備計画が百五十一億くらい、それを三カ年。そうすると、一年に五十億程度見込んでおったのだが、どうも財政の事情その他でそうもいかぬで、五カ年計画になるということです。そうしますと、国立病院国立療養所等はそれでいいとして、他の公的医療機関日赤とか済生会といういうようなもの、労災病院等も、やはり整備カ計画というのを立てておったと思うのです。これらとの関係はどういうようになっておりますか。これらと他の公的医療機関日赤、それから健康保険関係病院済生会労災病院、こういうものとの整備計画は一体どうなっておるのか。たとえば国立病院を大きく整備した隣に労災病院がまた大きく整備をしてくるということになると、これは診療圏の問題とも関連があって、意味がなくなるわけです。二重投資になってロスが出てくるわけです。そういう点はやはり極力今後排除していかなければならぬと思うのですが、そういうことが最近平気で行なわれておるので、それを排除してもらわなければならぬが、排除するとすれば、当然他の公的医療機関整備計画というものを、あなたのほうから、主管官庁としてここに明らかにさしておいてもらわなければいかぬと思うのです。
  14. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまお話しの他の公的の医療機関整備計画もおのおの各団体でつくっておると思いますが、必ずしもこちらにまだ連絡をもらっておりませんし、また、いまのお話のように、産業経済関係の大きな変動によりまして、それぞれの状態において、特に新産業都市等におきましては、各具である程度計画をまず考えてもらうようにというふうにしていま話を進めつつある状態でございまして、全体の計画的な、どこがどういう持ち分を持ってやるというようなところまで、体系的にやっていくというところまでいま考えていないわけでございます。ただ、今度改正になりました医療法第七条の二によりまして、あまりにも空床の多いところは押えていくということくらいのいまやり方でございます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 厚生大臣、いまお聞きのとおりなんです。通産省あたりは、日本貿易自由化に備えて、OECDに加入しようとする、開放経済に向かう日本経済としては、いまのような産業構造では対応できないのだ、だからどうしても日本産業構造を変え、産業配置を変えなければならぬといって、そういう構想をお出しになっておるわけです。たとえば特定産業振興法なんというのは、われわれ反対ですけれども、その一つの典型的なものですよ。そうしますと、日本産業構造が変わり、人口が急激な移動を開始しておるときに、その人間の命を守る病院配置計画その他が、それに対応した形でここに青写真が出てこなければ話にならぬわけです。こういう点について、まだ厚生省はどうも具体的な考えもまとまっておらぬし、はっきりしていない。その場その場の行き当たりばったりというのでは、資金計画その他も立たぬことになってしまうのです。こういう点、もう少し大臣に督励をしていただいて、やはり日本産業構造に対応する日本医療機関配置の問題について適確資料出してもらわなければならぬと思うのですが、少しおくれておるのじゃないか。そういう点についてはどうですか。
  16. 小林武治

    小林国務大臣 いまの点はお話のとおりと思います。私も、医療を所管する厚生省といたしましては、ばらばらの病院設置ということは好ましくない、こういうふうに存じますので、おそまきながら各病院経営者その他に連絡をしまして、その総合調整がはかれるよう要請をいたすように至急取り計らうことにいたします。  なお、国立病院とか療養所お話でありますが、私がいま申し上げましたように、これらは全く住民要請のためできた病院ではない。これが一般市民診療機関になった以上は、お話のように、住民要請に応ずるような配置にする。したがって、要らぬものはやめて必要なところは強化する、こういう姿にあるべきだと私は思うのでありますが、何ぶんにも一つ病院、たとえば療養所を廃止するといろいろな方面から反対運動が起きて、私も、厚生省に入ってから、この点に医務局がおびえ過ぎている、こういう感じを持っておるのでありまして、これらはもっと科学的と申しますか、合理的立場において、厚生省としては勇気を持ってこれらの問題に取り組むべきである、私はこういう考えを強くいたしておるのでございますが、すぐに座り込みだ、押しかけだ、こういうことでくじけてしまう。こういう傾向を私は非常に遺憾に存じておりまして、こういう姿であってはいけない、もっと国民的視野、あるいは全国社会的、あるいは経済的な視野に立ってこれらは検討すべきものであると思うのであります。そういう面においても、私は、お話のように勇気を持って一つ計画を樹立すべきものである、かように考え、続いて事務当局を督励して、ほんとう全国医療を普遍的にする、こういうふうな立場から考え直しをしたい、かように私は考えております。
  17. 滝井義高

    滝井委員 病院統廃合をやる場合に、すわり込みその他が行なわれて厚生省事務当局がおびえている、勇気を持ってやらなければいかぬ。これは筋の通った、きちっとしたところならぜひ勇気を持ってやってもらいたいと私は思う。しかし、その場合に考えなければならぬことは、大臣御存じのとおり、病院はたくさんの患者を収容しているわけです。同時に、そこには医療従事者がおるわけです。したがって、そういう統廃合をやろうとする場合に、しかも能率が悪くて空床が一ぱいだという場合に——昔は山の中にも療養所があったわけですが、最近は便利のよいところに移ってきつつありますが、そういうところを町のよいところに統廃合しようとする場合に、思考の処置をどうするか、患者さんを納得させ、そこに働いている医療従事者配置転換というようなことについて、やはり安定した職場を確保する方向に持っていかないと、炭鉱のあの合理化と同じです。この問題はおそらくあとで、長谷川先生がおやりになり、参議院のほうでもおやりになると思うが、いま東京篠田病院というのがある。ここなんか病院がむちゃくちゃです。お調べになっていると思う。まさか国立病院療養所なり病院統廃合するときはああいうことはないと思いますけれども、むちゃくちゃです。やはりそれは患者さんなりそこに従事している人の処遇というものもきちっとやって、十分話し合いの上で方針出して  いくということでなければ、患者にも不安を与え、医療従事者にも不安を与える。勇気ばかりでは困る。蛮勇、横車の勇気では困る。大臣のいまの基本的な方針、合理的、科学的におやりになる、その場合における患者取り扱い医療従事者取り扱い、こういうものについて、厚生省は一体基本的にどういう方針で臨まれようとするのか。
  18. 小林武治

    小林国務大臣 お話のようなことは当然十分に留意して、ある程度納得を得てやるということは当然だと思います。
  19. 滝井義高

    滝井委員 その当然だとおっしゃることが、なかなかそうはいかぬところにすわり込みその他が行なわれるのです。現在、一番問題なのは療養所ですね。これは医務局長でけっこうですが、現在あなたのほうで、国立療費所を一体どの程度整理統合されようとする方針なのか。
  20. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 ちょっと、手元に資料を持っておりせんが、統合と申しますと、基幹療養所をつくりますのにあたりまして、たとえば福岡の古賀三園を一つにまとめていく。また、大阪大阪厚生園大阪療養所東京東京療養所清瀬療養所一緒にする。こういうふうな線でいま考えております。いまやっております以外には二、三カ所ぐらいあるかと思いますが、まだ全体の青写真をここで申し上げるだけの段階になっておりません。それから、二、三カ所と申しますと、千葉県の千葉療養所と千城園、それから愛知県の大府荘愛知療養所一緒にする考えであります。これらにつきましては、大体患者側職員側納得を得てやっておりますので、そこに新たな基幹療養所を建てかえる、こういうような立場でございます。そのほか、転換とか何かの関係はここでまだ明らかに申し上げるだけの段階になっていないわけですが、いま申しましたようなことで、いろいろ各施設状況等考えながら話し合いによって、話し合いができたところを進めていく、こういうような状態でございます。
  21. 滝井義高

    滝井委員 福岡とか大阪とか東京とか、その他愛知等、二、三カ所あるわけです。おそらくそのほかにも、これより条件の悪いところはたくさんあると思うのですが、これらの福岡とか、大阪東京とか、愛知というのは比較的人口が多くて、やり方によっては療養所はうまくいけるところを統廃合しようというわけですね。その場合の職員の取り扱い、病人、忠君の取り扱いというのは、どういうふうにしておるのですか。
  22. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 そこに現在患者さんがおり、職員がおることでございますので、職員は統合いたします場合に減さないというのを原則としております。すぐ新しい建物ができ上がるというのでもございませんし、患者もおることでありますし、患者のいまの収容定床はできるだけ維持していく、そうして職員も数を減さないでいきたい。それよりも、できれば将来、いなかのほうの、いまお話しのございました僻遠のところで患者がなくなるというような事態が起こりましたら、その基幹的なところに施設患者も集中的に移すということは考えてしかるべきではないか、このように考えておりますが、まだそこまでは何ら手を打っておりません。患者につきましても、現在のベッドは、新しいものができましたら、その分を古い建物の、ほうは減していく、こういうようなことで、全体としてはなるべくベッドは減さないという立場でやっております。
  23. 滝井義高

    滝井委員 いずれにしても、新しいものができますと、これは当然患者を移す問題が起こってくるし、職員の配置転換の問題が起こってくるわけでしょう。そういう場合に、たとえば職員の首切りにはならぬわけですね。患者さんは、当然、命にかかわる問題だから新しいところに移されなければならない。その場合に、三つなら三つを統廃合すると、その結果そこに職員の問題が出てくるわけです。この職員の首切りというようなことがなく、やはり確実に公務員としての地位を保ちながら、配置転換を希望のところにさしてもらえる、こういうことなんですね。
  24. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 先ほど申しました二つ、三つの施設一つにするというのは、わりあいに近くでありますし、そこのベッド数も大体いままでどおり維持していこう、また維持していける、こういうように考えておるものでありまして、職員の減少ということはいま考えていないわけであります。施設に関する限り間違いはない。ただ将来、結核患者が、いまの結核対策に追い打ちをかけまして、さらに成果があがりますれば、入院患者数は減ってくる。五年、十年先には減ってくるということになりましたら、その場合には、転換とかなんとかの関係でできるだけいまの施設を利用したい、こういうふうには思いますが、そういうふうにして、全体としてもし要らない施設、要らない職員が出た場合にはまた別問題になるかと思いますが、現在においては、なるべくそういうことのないように、われわれとしては、施設とか職員をできるだけ利用して安んじて仕事ができるようにと思って努力をしておるわけであります。
  25. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、統廃合が行なわれても、いまのような御答弁であれば、大体職員は安定職場が確立されるし、患者さんは当然新しくできた病院に入院がえされていく。そうなると、何とか安心のような感じがいたします。  そこでお尋ねをいたしたいのは、これから五年、十年先のことはとにかくとして、先日出ました医療審議会の答申を見てみますと、これはあなたのほうの原案を見せていただきますと、結核昭和三十九年十二月三十一日まで、使用する数値は一万について二十三だったわけですね。そうして四十一年になると二万人について二十一、それから四十三年までは十九、四十五年は十七、こういうふうにずっと結核の病床が人口に対して減ってきておったわけですね。ところが、答申は、この病床の減を見込まずして、四十一年までは一万について二十三にしておるわけです。それから精神は、三十九年十二月三十一日までは、一万について十七だったですね。ところが、それを二十にしておるわけでしょう。あなたのほうは、精神は四十五年が二十だったのが、答申を見ると、一挙にことしの終わりで二十にしておるわけです。したがって、人口一万に対する精神病床は急激な増加が行なわれる。それからいま一つは、結核については、ずっと減少形態をとる原案が、減少せずに横ばいだ、こういうことになるわけです。そうしますと、これは厚生省整備計画というものは、よほどこれに合わせておやりにならないと間違うことになるわけです。いまあなたの言われるように、結核はもう要らないところは整備していく、こういう形になると、幾ぶん問題が出てくるのだろうと思うのです。それが結核病床を精神にかえるという御説明も伺ったのですが、こういうことがあれではできなくなる。当然、大臣はこの答申を御尊重になるはずだと思うのですが、医療審議会の答申は御尊重になるのでしょうね。
  26. 小林武治

    小林国務大臣 尊重いたします。
  27. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまの答申について、滝井先生にちょっと誤解があるのじゃないかと思いますので、御説明したいと思います。と申しますのは、この数値は、御承知のとおり第七条の二の運用に関する数値でございまして、整備計画ではないわけでございます。第七条の二は、この地域地域につきまして、結核でございますれば人口一万人単位に二十三という数値、それ以上あるところでは公的のものの開設を許可しないということでありまして、それは上の限度をきめておるだけであります。精神につきましても、上の限度を二十と四十一年末まではきめておる。だからそれまで持っていこうということでは必ずしもないわけでございまして、それ以上つくるときに押えるというだけにすぎないわけでございます。その点、あとは漸次的にいこうとか、いろいろ考えておりましたものの数の変化はございますが、リミットといたしまして上はここで押えておる。したがいまして、精神関係のベッドはできるだけ急速にふやしていくということも必要であろうというので、またすでに県によりますと人口一万対十七、八と  いうところもたくさんある、そういうところを押えておく手はないじゃないかというので二十という数字をつくったというだけでございまして、結核が一万対二十三としてあるから、ここで減してはいけないのだという立場は必ずしも出てこないわけだと思います。また、これに伴いまして要望事項が出ておりますが、この中でも、結核に対しましては命令入所その他の医療対策に対し追撃を強化しろ、しかしながら他の病床への転換の必要が生じたときには、やはりこのリミットはいろいろあろうが、そういうようなときには、ある程度転換もできるように考えてもらえないと困るというふうな要望事項も逆についておるわけでございまして、やはり結核に対しましては対策を強化して、できるだけ現在ありますベッドを利用して患者を減していくということと同時に、それでも要らなくなったところは、ほかの施設へ転用することも考えないとみんなが一生懸命になれないじゃないかという考え方が、答申を貫いているものだと考えるのであります。
  28. 滝井義高

    滝井委員 一万について二十三とか二十で問題になるのはどういうところかというと、主として太平洋ベルト地帯における都市で問題になるわけです。現在、すでに医療金融公庫なり年金福祉事業団で金を借りて、病院を建てようとするところは都市なんです。いなかにはあまりいかないのです。率直に言ってもうからないのだから。だから問題になるのはここなんです。こういう大都市あるいはその近郊なんです。そうすると、そういうところでたとえば統廃合しようとする。福岡あるいは大阪東京愛知というような結核療養所のある付近は、もはや病床から言うと、大体ここにいう二十か二十三の近くにきているところですよ。そういう地域統廃合が行なわれるということになると——統廃合というのは、病床をふやすことよりかむしろ減すことのほうが多い。昔の陸軍の療養所というのは、だだっ広くてたくさんの病床を持っています。そういう点を私は心配しているわけです。いま医療金融公庫なり年金福祉事業団から金を借りて、病院を建てるところはどういうところかというと都市である。しかもこれは、国立療養所統廃合中心となる基幹的なものをここへ集約しようとする地域に競合してくる。そういうときに、これは一番問題になってくるわけです。いなかには、いまも一万について結核、精神が二十とか二十二、三とかいうのはないわけですから、これは心配ないわけです。ところが、そんなところに建てたってもうからぬから建てない。やはりどうしても、あなた方が集約をしようとする地区に競合が行なわれてくるということなんです。こういう点でこれは重大なんです。それを、あなた方の原案よりか答申が非常に多くしたというところに注目をしなければならぬ点があるのじゃないか、私はここを言いたいわけです。しかも一方、その地区では統廃合が行なわれておるということになると、もうこれは先々になると——結核については二割ぐらいまけていますよ。だから、だんだん損になるから、結核が百万も減ったという統計も出たんだから、まさか逃げようとは考えぬだろうけれども、国がだんだん手を抜こうという傾向があるのじゃないかという感じがするわけです。この際率直に言って、医療の面で、結核というものはもうからなくなってきたわけです。だから、結核療養所を建てる人はいなくなったでしょう。それは国がだんだん統廃合して、手を抜こうとするのと同じです。だからそういうことでなくて、むしろこういう私的医療機関がやらない部面で強化をして、そして日本結核が、青年の結核からだんだん中年、老人の結核になりつつある、しかも依然として、統計面では百万ぐらい減っておるかもしれぬけれども、底流としては結核患者というのはたいして減っておらぬぞ、ただ幾ぶん緩解をして、空洞を持っておっても栄養その他がよくなったために動いておるというだけだ、むしろそういうところを早くとらえて、この際西欧諸国と同じように結核を根治する体制というものをやろうとするならば、ここしばらくは積極的に、国が、さいぜんあなたが言われるようにいまこそ追い打ちをかける絶好のときだ。そして二百幾万かある結核患者を、この際西欧諸国と同じように絶滅してしまうという体制を確立するためには、結核対策というのをいまこそ私は積極的にやらなければならぬと思うのです。いつも私は言うのだけれども、当初のうちは結核結核と云っておった、今度はだんだん成人病、ガンガンだと言う。いつの間にか、結核ほんとうに根治しないうちに次の問題に移っていくという悪いくせが日本にあるわけです。そういう点で、いまこそ結核対策に本腰を入れるときだと思います。そして結核をきちっとなくしてしまってから、次はガンなり脳溢血なり心臓病という成人病に向かってばく進していく、まっしぐらに進んでいく、こういう形をとるべきだと思うのです。その意味でこの答申は頂門の一針だと私は思うのです。あなた方が減らそうとしたのを逆に現状維持だ、精神はこの際ふやしなさい、精神も逆に今度はカーブを上げてふやす必要がある、最近のストレスその他の状態を見てもと、こういうことなんでしょう。その点は、あなた方よりも薬屋さんのほうがえらいです。池田内閣が経済高度成長政策をとって経済がぐっと過熱するときは、薬屋さんはトランキライザーという精神安定剤を出した。経済が高揚するときには人間がかっかするから、精神の安定剤を出さなければいかぬといって出してくれた。そして経済が鎮静する、引き締め政策が行なわれるときには、アスパラで生き抜こうというハッスルする薬を出したでしょう。こういうふうに、薬屋さんが一歩一歩先手を打っておるのです。医務局の、ほうが後手です。そういう意味で、いまこそ結核に追い打ちをかける時期だ。だから、結核対策はここ五年か十年くらいは力を入れてもらって、そして日本から結核がなくなった、そしてあるのは開放性の結核で大きな空洞を持って病院に入院している人だけだ、こういう形をとってもらいたいと思います。そういう点が、どうも医療対策、医療機関の対策についても、ポイントが抜けておるのです。どうですか、局長。
  29. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 お話のように結核は、実態調査によりましても、患者数が、三百何方あったのが五年後に二百何万になっておる。また、届け出患者も、十年前には一年五十数万あったのが、いま四十万を切れておるというような状態でありまして、これだけ対策をやっておるのだから患者が減るのはあたりまえかもしれませんが、これは望ましいことだと思いますし、さらに命令入所等も漸次強化をしておる、追い打ちをかけておる状態であります。いまお話しのように、医療機関につきましてもそれに対応したような体制をとっていきたいというので、基幹療養所というものをつくっていきたい。しかし全体が、大学等も、どうも結核に対しましての興味を失ってきて、たとえば抗酸菌研究所がガン関係に転向していくというような状態でありますので、結核につきまして国立療養所がしっかりしていかなければならぬというような責任感を持っておるので、基幹療養所をいま各地につくりつつある、こういうわけでございます。その基幹療養所は、お話は、何だかベッドを減らすのじゃないかというような疑念を時っておられますが、先ほどから申しますように、二カ所なり三カ所なり合わせましたベッドくらいは少なくとも維持していきたい、こういうふうに基幹的のものとしてしっかりしたものをつくっていきたい、これがいまからの結核対策中心になるようにわれわれとしては持っていきたい、こういうようなことを考えておる状態でございまして、いまの追い打ち問題でこれが拠点にならせよう、その点では、いまの人口万当たり二十三のベッド数は変化なし、しかし、今後減ればあるいは減らすかもしれませんが、そういうことで二十三とは抵触しないというつもりなのでございます。
  30. 滝井義高

    滝井委員 医療審議会の答申は、四十一年まで二十三にしたわけです。あなたのほうの原案は、三十九年末が二十三、四十一年が二十一、四十三年が十九、四十五年が十七、こういうように結核人口一万に対するワクを縮小しておるわけでしょう。だから、したがってその結核の病床を建てたいと思っても、四十五年になったら十七しか建てることができない。このことは、基本的なものの考え方が——結核がもちろん減ったということもあります。減ったということもあるでしょう。あるけれども、同時に、その底流には、やはりもう結核病床はあまり要らないのだというものの考え方がひそんでおるのじゃないか。そのことは、結核政策全体の追い打ちをかけるときに、追い打ちをかけるというそのチャンスを失うことになるぞと、私はこう言っておる。そのものの考え方がそういう考え方だから——日本人というのは非常に移り気なのです。いわゆる先物を買うのだ。しかも先物を買うけれども、あとはそのままになっておるということではいかぬので、この際徹底する必要がある。まず、精神病とかガンなんかもおやりになってもいいけれども、結核を忘れないでくださいよ、こういうことを私は言いたいのです。だから、さいぜんあなたが、この際追い打ちをかけるということばを前に言ってくれておるから、私はあまり疑っていないのだけれども、この原案は減るという形をとっておったものを、医療審議会では、だめだ、四十一年末までは二十三でおいきなさいということで、むしろ修正されておるところに意義がある。その点だけ確認さえしてもらっておけば、あなたのほうが、この際結核に追い打ちをかけて、結核の絶滅をはかるのだという態勢で結核対策を講じていくのだということになれば、終末振作じゃないけれども、ここで炎を燃やしてもらう必要がある。終末振作です。最後になったら勢いが出てくる。そしてそれで結核をなおしてもらう、こういう態勢をとってもらいたいということです。それでいいでしょうな。
  31. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いま私のほうの原案が、漸次結核の上限と申しますか、アッパー・リミットをおろしていく計画になっておったのではないかというお話でありますが、これはほかの病床なども、全体といたしまして、精神関係なんかもそうでありますが、いままでのトレンドと申しますか、傾向線を少し考えに入れておった。結核の実際においての利用ベッド数が落ちてくる傾向を感じたものでございますから、こういうようなものをつくっておったのでありますが、いまのお話のように追い打ちをかけるには、何もリミット、上限を下げる必要はないじゃないかというお話で、こういうふうに修正せられた。われわれも、これはそのとおりでございます。私も委員の一人として賛成したわけでございまして、決して結核ベッドを減らしていこうという立場をとっておるわけではないのでございまして、それよりもなおこの問題は新しく開設する場合でございまして、増改築の場合はちょっと別になるのではないかと思いますので、この点もあわせてお含みおき願いたいと思うのです。
  32. 滝井義高

    滝井委員 そういうことで、いまこそ結核に追い打ちをかける絶好のチャンスである。このチャンスを厚生行政がのがさぬように、ぜひひとつがんばっていただくことをまず第一にお願いしておきます。  次は、医療法に基づく医療審議会の答申は、昭和四十五年まであなた方がお願いをしたにもかかわらず、四十一年末で終わっておるわけです。この問題はきわめて重要なんです。今後における日本医療金融公庫がお金を貸し、年金福祉事業団がお金を貸し、あるいは政府病院にいろいろ予算を支出する場合にも、一体日本の一万に対する病床の数をどの程度にしたらいいかという目安は、患者の在院期間によってきまるのです。受診率ですか、こういうものできまることになるわけです。これをあなた方は一体どう見ておるかということです。それから、保険によっても違います。保険の給付の割合によっても違うわけです。したがって、個々の病院の病床数を、一万に対する比率をどういうように動かしていくかということは、日本における保険医療制度の給付の率の問題即受診率の問題と関連してくるわけです。それから病院のサービスの状態施設、設備の状態、こういうような問題とも関連してくるわけです。同時に、そのことは、もっと大所高所から見れば、医療制度自体とも関連をしてくるわけです。この関係を、あなた方は将来どう見ておるのかということです。一体日本医療保険制度のいまのような姿で、病床数というものを将来——この基準となった、たとえば一般病院の数値で言えば、人口三十万以上は五十三、十万から三十万は五十五、五万から十万が四十八、五万以下が三十五、こういうようになっていますね。この数値が、四十一年になると、五十八、九十七、五十二、三十八と、こういうように変わってきているわけです。そうしますと、これから先の数値ですね。これから先の、たとえばあなた方が医療機関整備の六カ年計画でもお立てになろうとするときには、あるいは日本の高度経済成長政策をするときには、四十三年とか四十五年というのは非常に重要な目標になってきているわけです。それまでの動きの中で、一体病床というものはどういうことになるのかということです。ふやすことになるのか減らすことになるのか、一万に対してどの程度のものをすれば日本医療というのはうまくいくことになるのか、ここらのけじめというか、ものの考え方、これがやはり決定されておらなければならぬ。このことは、おそらくは医務局だけの問題ではなくて、保険局の問題にも関連してくるわけです。最近における日本の在院期間というものはどうですか。長くなっていますか短くなっていますか。
  33. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 まずベッド数でございますが、先生の御指摘になります答申のこの数は、先ほどから申しておりますように、その地域地域におきますところの上限でございまして、全体は、ここまで全部くるというわけではないわけでございます。しかし、日本全体としてどれくらいベッドが要るかというふうなことは、われわれ、この上限の答申とは別に計画をしておるわけでございまして、そのベッド数は、一般ベッドは、ちょっと私ここで多少間違えるかもしれませんが、昭和四十五年に約六十万くらいにしたいというふうな計画を持っております。全体は、結核、精神を入れまして百万をちょっとこすんじゃないかと思います。
  34. 滝井義高

    滝井委員 いまどのくらいですか。
  35. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 現在は、全体で七十五万で、うち一般病床が三十五万ちょっとでございます。それを四十五年には全体として百万床くらいにしていきたい、こういうふうに考える。その根拠には、いまお話しのように、保険関係の全体に、国民健康保険も七割給付が行なわれるというようなことによります受診率の増加ということを考えておる、こういうようなわけでございます。  在院日数の問題でございますが、ちょっとこの点、私いまそのトレンドをつかんでおりませんが、一般は、三十二年から三十六年までの数値を申し上げますと、二十八、二十八、二十八、二十八、二十九、ほとんど変わりがありません。らいは問題外といたしまして、精神が、平均いたしますと、三百六、三百二十五、三百三十三、三百二十一、三百四十、多少伸びているというような状態でございます。しかしこれは、いまのトランキライザー等の利用とかオープン・システム、開放療法等の適用によって、将来下げ得るのではないかと思っております。結核は三百四十一、三百四十一、三百二十五、三百二十、三百二十五、漸減の傾向にございます。
  36. 滝井義高

    滝井委員 保険経済の黒字の大きな原因——最近また少し赤字に転化しましたけれども、健康保険法改正以来、急激に黒字に転化したというのは、結核の入院の減少だということを小山保険局長がここで説明したことがあるのです。われわれもそうだろうと思う。パス、マイシン等の抗生物質ができて、自宅療法ができるようになったということもあるでしょう。しかし、その他の一般なり精神は、健康保険その他を見ても増加傾向にあるわけです。増加傾向にあるとすれば、少なくとも所得倍増計画が十カ年の四十五年を目途とするならば、やはりそれに相対応した病床の計画というものをある程度見てもらわなければならぬ。これはあなた方の数値を見ても、一般病床は、地域的ではあるにしてもずっとワクをふやしてきておるわけです。ふやすにはふやすだけの理論的根拠がなければならぬと思う。いまの局長さんのような自信のない答弁では困ると思うのです。私はきょうは医療金融公庫の質問をしているのですが、このことは同時に、公的医療機関がそうであるように、私的医療機関も同じような傾向になってくるわけです。病床数が増加するということになれば、最近における医療機関は巨額の投資を必要とします、小さな個人の診療所をつくるのでも、三百万、四百万、五百万くらい要するのですから。そうすると、これを推算していく場合に、むちゃくちゃに病床を建てさせることはロスになるわけですから困る、医療金融公庫がお金を貸す場合でも、将来はこういうことになりますよ。だから、まずこの程度の病床なら診療所をお建てになっておくことが適当ではないでしょうかというサゼスチョンくらいは、保健所なり医務局なり医療金融公庫の理事者が与えるくらいの指針というものは、出しておいてもらわぬと困ると思うのです。こういうことでは、日本の政治が科学性がないということです。こういう重大な国民医療の使命を負って、コマーシャルベースに乗らない私的医療機関に金を貸そうというときには、国民の税金にひとしい大事な金を貸すのですから、それだけの親切と、かゆいところに手が届くような指導というものをやるべきだと思うのです。自由経済社会だといって、むちゃくちゃに国民の金でそう病院を建ててもらっても困ることになる。やはり適切な指導と、そしてその金が順序に、返せるだけの態勢というものをとらせなければならぬと思うのです。そういう点では、どうも医務局長のいまのような答弁では少し勉強不足です。もう少しきちっとした指針を出していただかなければならぬと私は思うわけです。  そこで、そうなるとあなた方の計画を基礎にしながら公的医療機関の背骨ができれば、この医療法の規則に基づいて病院その他が配置されていくことになるわけですね。私的医療機関配置の外にありますけれども、しかし、公的医療機関がそびえ立っているすぐ隣に私的医療機関が並び立っても、なかなか採算がうまくいかぬわけです。そのことは、同時に私的医療機関にもその調整が間接的に及んでくることになるわけです。したがって、ここでお尋ねいたしたいことは、私は資料を要求しておったからあなたのほうで用意しておると思うのですが、最近における医療投資というものは一体どういう状態になっておるのか。かつて川上さんが医務局長のときには、三百億程度投資をいたしております。その三百億のうち百二十億が私的医療機関で、百八十億が公的医療機関でございます。百二十億の私的医療機関のうち六十億一程度金融機関その他から借りております。あと六十億程度がこういう比較的有利な状態で借りておるという御説明があったことがあるのです。あれからずいぶん日にちがたちました。最近の公的医療機関私的医療機関の投資の状態というものは、一体どういう形になっておるのか。総ワク幾ら、私的医療機関が幾ら、公的医療機関が幾ら、私的医療機関の中のコマーシャルベースに乗っているものが幾らで乗らないものが幾らと、こういうようにひとつ説明願いたい。
  37. 大崎康

    ○大崎政府委員 三十八年度は、まだ年度経過中でございますので、三十七年度につきまして申し上げますと、私的医療機関の自己財源を除きまして、総額約三百六十億から七十億程度であるというふうに考えております。その中で、厚生省所管その他の国が百一億でございます。それから医療法上の公的医療機関が百十八億程度でございます。それから社会保険関係団体が二十億、会社その他私的のものを合わせまして百二十五億程度でございます。
  38. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、医療機関に対する投資総額は三百六十億ないし七十億程度、こういうことですね。そらして国の機関が百一億、医療法上の公的機関、すなわち済生会日赤が百十八億、それから社会保険が二十億、会社とか私的医療機関が百二十五億、こういうことになったわけですね。そうしますと、この百二十五億の会社あるいは私的医療機関のうち、銀行その他から借りているものが幾らあるのですか。
  39. 大崎康

    ○大崎政府委員 いま申し上げました会社その他の民間の医療機関百二十五億の財源と申しますのは、これは融資によって措置しておるわけでございます。そこで融資と申し上げますのは、これは医療金融公庫でございますとか、年金福祉事業団でございますとか、あるいは国民金融公庫でございますとか、そういうようなところから出た金であります。純然たるいわゆる民間機関における自己財源というものの数字がどのくらいであるか、これは私どもでは実は握っておらないわけであります。
  40. 滝井義高

    滝井委員 その問題は、われわれが医療金融公庫の資金をできるだけ増額する、あるいは財政投融資をここに持ってくるということのためには、会社なり私的医療機関が百二十五億のほかに、一体自己資金でどの程度まかないつつあるかということが大事なところです。この指標が、医療金融公庫がほんとう医療の需要にこたえておるかどうかということの判断になるわけですよ。ここをやはりあなた方は精査してもらわなければならない。ここはあなた方は調べる方法はないのですか。全然そこらのものはわからないということになるのかどうか。
  41. 大崎康

    ○大崎政府委員 残念ながらその辺の数字は私ども握っておりません。ただ、医療金融公庫法につきましては、自己資金は二割ということになっておりますので、その辺の見当以上にはなっておるのじゃないかという感じを持っておるわけでございます。
  42. 滝井義高

    滝井委員 それはちょっと判断が違うのです。どうしてかというと、たとえば七百万円の診療所を建てようとする場合に、私的医療機関に貸してくれる限界があるでしょう。診療所についての三百万とかいう限界があるのですから、したがって七百万円の診療所を建てようとすれば、四百万円は自分がすでにどこかから借りてきているわけです。そうして三百万について七割とか八割を医療金融公庫から借りるわけでしょう。そうして残りの二割ないし三割をまた別に借りてくるわけです。だから、四百万借りた上にあとの三百万の残りの二割の五、六十万を別に借りて、そうしてあと残りを医療金融公庫から借りる、こういうことになるわけです。したがって、問題はここのところが重大なところなんですよ。前に川上さんのときには六十億ぐらいだという話もあったのです。何か当時調べてきているのだから、調べる方法がないはずはないのです。あるはずです。むしろこういうところを医師会その他の協力を得て、医療経営の実態調査をおやりになることもいいですけれども、こういうところをやっぱり早目に協力を得て調べておく必要があると思うのです。そこがわからないと、一体医療金融公庫が、ことし資金運用部から八十五億と、それから貸し付け金の回収が二十一億と、一般会計から二十九億、できるだけ利子を安くするために二十九億入れている。百三十五億でしょう。そうすると、この百三十五億で一体間に合うのか間に合わないのかということが、問題になってくるわけですよ。その場合に、一割も一割二分も出して銀行から金を借りておったということになると、そのほうが医療金融公庫よりか先に取り立てがくるわけです。いま民間の結核療養所その他でいろいろ争議が起こり、あるいは篠田病院みたいに、困ってもうやめたと言い始めるところは、どういう形態でそういう問題が起こってきているかというと、みんな金融機関が入ってきているのです。そこでこの金融機関の支配を医療機関から排除するためには、どうしてもそこが問題になってくるわけです。それを全然把握せずして単に百三十五億ということになると、これは一体いかなる理論的根拠から百三十五億が出てきたかということが、腰だめ的な数字になってしまって答弁ができないわけです。そうしていま医療金融公庫は、わんさわんさ来ておるけれども、なかなかですよ。いなかなんかから申し出たって、なかなかワクの中に入れてもらえないわけです。金融機関はみんなそう言っているのです。とてもいなかから簡単に行ったってだめですよ、こういうことになっているのですよ。だからみんな泣く泣く銀行その他から高い金利のものを借りる、医療費は据え置きでなかなかうまくいかぬ、緊急是正もはかばかしくいかぬというので、医師会の内輪もめさえ起こっている、こういうことになるのでしょう。だからやはりコマーシャルベースで一体どの程度のものを医療機関がいま借りて、医療機関の新築なり改造なりが行なわれておるかということをぜひ把握してもらいたいと思うのですが、どうですか。この法律が上がるまでにひとつぜひ把握してもらいたいと思うのですが、できませんか。
  43. 大崎康

    ○大崎政府委員 この数字は、実は自信を持ってごらんに入れる数字はなかなか困難であると思うのです。
  44. 滝井義高

    滝井委員 私有財産に関連するところですから、そう自信はないと思うのです。しかし、石炭局あたりから出てくる資料を見ても、名山の投資はみな出てくるのですよ。各石炭山の投資自己資金はどのぐらい、全部出てくるのですから、それを把握せずしてこれを論ずることはできないのですよ。石炭山のそれはできるのですからね。石炭山の資料を全部持ってくると、自己資金が幾らと、ちゃんと大蔵省の資金課長なんか出しますよ。厚生省がこの医療金融公庫のあれをやる場合に、全然それがわからぬじゃ困るんだから、これはもうりっぱな信用の置ける資料だと言われなくてもけっこうです、およそのところでけっこうですから、それをひとつ次会までに出してくれますか。
  45. 大崎康

    ○大崎政府委員 できるかどうかわかりませんが、できるだけ推算につとめてみたいと思います。
  46. 滝井義高

    滝井委員 ぜひそれをひとつつくってもらいたいと思います。いま御説明の三百六十億ないし三百七十億というのは、三十七年の数字ですね。  次は、医療金融公庫法の一部を改正する法律を審議するときに毎年お尋ねするのですが、だいぶ前進しましたけれども、なかなかはかばかしく前進しないのです。医療金融公庫と年金福祉事業団の貸し付けの条件で、医療金融公庫のほうはずいぶん悪かったわけです。幾度かここでやかましく言うことによってだんだん前進しつつあるけれども、今日依然としてまだ年金福祉事業団と医療金融公庫との間に差別があるのです。これは幾度か言うけれども、なかなか直らないのですが、同じ年金の金がそれぞれ入っておるわけですね。医療金融公庫も、毎年年金の金が入っておるわけです、財政投融資で資金運用部から持ってきても、資金運用部にも国民年金がいっておるわけですから。根本理論として質問をいたしたいのですが、これは大臣に答えていただきたいのです。どうしてこれは差別が直らないのでしょうか。私的医療機関とそれから公的医療機関の違いというものは、たった一点しかない。現在日本で単価が十円も同じ、それから点数も同じ、それから治療の内容も、全部同じ健康保険法なり療養掛当規則で医療機関は仕事をしている。違うところというのはどこかと言うと、最後にその所得が個人に帰着するか公のものに帰着するかというだけの違いです。あとは全部同じです。ところが医療法人のごときは、最後の所得の帰着は、これは解散するときには国に持っていくのですね。公のものに持っていくのですから同じなんですよ、医療法人は医療金融公庫から借るのですから。そうしますと、これは医療法あたりから取ってくればほとんど同じであるにもかかわらず、貸し付けの条件が一体何で迷わなければならぬのかということですよ。これは再三再四にわたって、直す努力をする、努力をすると言うけれども、依然として直らないわけです。これは大蔵省と関係があるから、できれば大蔵省の資金課長をひとつ呼んでおいていただきたいのです。
  47. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話のように、違っておるのは妥当でない、こういうふうに考えますが、結局資金の質の問題と申しますか、コストの問題であるのでございまして、政府出資がふえるということによってこれを漸次改善していくということになるのじゃないかと思います。  それからあちらの厚生年金の融資のほうは、その資金自身が還元するのだ、こういうふうなたてまえから、安いことを初めから前提としてやっておる、こういうことであります。いずれにしましても、その違うという理由は一応あるのでありますが、違っておることは妥当でない。したがって、それを直さなければならぬということは当然であると思っておるのでありまして、努力をいたしておりますが、なかなかまだ大蔵省関係等でこれがうまくいかない、こういう状態であります。続いて国会の論議等も通じまして、ひとつぜひ改善をしなければならない、こういうふうに思っております。
  48. 滝井義高

    滝井委員 大臣は私と全く同じ意見のようであります。大臣と同じ意見だから改めにくいのです。(「珍しいことだ」と呼ぶ者あり)珍しいことだと言っているけれども、小林さんとわりに意見が近ごろよく一致するのだ。この年金福祉事業団は、その資金の入る質が違うというところが一つの問題点なんですよ。ところがことしは、この年金福祉事業団は、二十九億病院に還元融資の金が入ってきておるわけです。それから国民年金から五億、だからこれは三十四億です。ところが医療金融公庫は、厚生年金から三十五億、国民年金から八億、四十三億ですね。厚生年金国民年金の掛け金が医療金融公庫に入ってきたというのは、やはり私的医療機関もこれらの保険関係者、被保険者の福祉を増進するものであるという見地に立って、これは入れてきていると思うのです。そうしますと、さいぜん言ったように、変わるところというのはどこかというと、最終的にその利益というものが個人に帰着するか公のものに帰着するかという一点であります。国民医療をにない、国民医療の前進をはかるために被保険者の治療に当っておるということについては、何ら本質的に変わるところがない。ただ、片一方は税金を払っておるかどうかということだけです。個人的なものに見ると、そういう税金を払うとか利潤が最終的に個人に帰着するという違いがあるけれども、医療法人になるとこれは個人に帰着をしないのですよ。そういう点では、この医療金融公庫は医療法人にも変わるのですからね。そうしますと、もし医療金融公庫のほうが不当に、年金福祉事業団に比べて金利その他が高い、貸し付け条件も悪いということになると、われもわれもと年金福祉事業団に入れてもらいたいということになると思うのです。年金福祉事業団は、主として公的医療機関あるいはこれに準ずるものを入れているわけです。準ずるものを入れておるのだが、かつては医療金融公庫の融資の対象であったものを、今度は、いつの間にか、利率が高いその他で年金福祉事業団に昨年入れたでしょう。移しかえた例があるわけですよ。そういうように医療金融公庫から年金福祉事業団に移しかえることができるとするならば、私的医療機関だって、被保険者の福祉には関係があるわけだから、入れてもいいということになる。入れないのは、あなた方がかってに入れないだけだ。そこで、そういう矛盾をなくするために年金福祉事業団で住宅や福祉施設をおやりなさい、病院については、医療金融公庫に公的医療部門と私的医療部門をつくったほうがいいということを、ここで何回も主張した。なるほどあなたの御意見はいい御意見ですと言った大臣もいらっしゃる。しかし、それができないとするならば、貸し付けの条件については歩調を同じくしてください。大臣はいま、賛成ですとおっしゃったわけです。しかしこれは、もう私は三回か四回目ですよ、なかなか前進しないのですからね。だから、ここらあたりは、やはりきょうはぜひ前進をさしてもらわなければならぬ、この法律をあげるまでに。交渉中かもしれませんが、貸し付け条件のいま隘路になっておる問題点だけを、医務局長からひとつあげておいてもらいたいと思うのです。どこが一番交渉の過程で隘路になっておるか。条件の迷うところを交渉しているでしょう。その隘路になっておるところをあげておいてください。大蔵省が来てから指摘しますから。
  49. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 ただいま三、四の点について交渉をいたしております。そのうちのあるものにつきましては、すでにほぼ了解点に達しているわけでございます。現在問題になっておりますおもなものにつきましては、貸し付け限度等の中で、法人、個人について差別をつけるのはいいのかどうか、主としてそういうふうなことで私どもと大蔵省と折衝しておるような次第でございます。
  50. 滝井義高

    滝井委員 三、四点について交渉中だという、そのなかなかまとまらない三、四点をちょっと言ってくださいというのです。あなたにかわってぼくが交渉するわけじゃない。やはり国会における野党の存在というものは、こういうところしかない。野党が働く場所というのは、こういうところしかない。もう秘密でも何でもないのだから、ざっくばらんに言ってください。いま海堀さんを呼んでおるから、あなたが言わなければ海堀さんに言ってもらえば同じです。何だったら、待っておいて次にいってもいい。
  51. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 ただいま交渉中でございますので、暫時御猶予願いたいと思います。
  52. 滝井義高

    滝井委員 言えないというならば、この法案はそれがまとまるまで待っておってもいいですよ、そこが生命なんですから。貸し付け条件は、いま言ったように大臣はやはり一緒にすべきだ、こうおっしゃっておるわけだ。だから交渉中のことが言えないというばかなことはない、日韓交渉じゃあるまいし。日韓交渉でも、だいぶ向こうで明らかにしましたよ。無償三億ドル、有償二億ドル、貸し付け条件もきまってしまった。十年間で三億ドル、二億ドルをやります、二億ドルの有償は三分五厘で貸します、しかも貸すルートはどこから貸すかといったら海外協力基金から貸します、こういうことが出てきた。交渉中の外交折衝さえ全部言っているのだから、ここで大蔵省と折衝しておる問題点が言えないというはずはないと思うのです。どうですか大臣、これは言わしてもいいのじゃないですか。——では大蔵省が来るまで待ちましょう。  次は、これは大臣お尋ねしましよう。今度は法律プロパーですが、今度の医療金融公庫法の一部改正法律案の中に監事の項の改正があるわけです。いままでは「監事は、公庫の業務を監査する。」こうなっておったわけです。ところが今度は、九条の四項で「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は総裁を通じて主務大臣に意見を提出することができる。」こうなっておるわけです。そこで監事というのは医療金融公庫の経理を絶えず監視し、監査してもらわなければならぬことになるわけです。ところが、意見を主務大臣すなわち厚生大臣、あるいは大蔵大臣関係するかもしれませんが、主務大臣に言うときに、一々総裁を通じなければ言えないということは、これは好ましくないことなんです。最近のように役人がどんどんこういう政府関係機関に天下りするわけですが、やはり監事は総裁にも言えるし、大臣にも直接言える形をつくらなければいかぬわけです。これは決算委員会でも問題になりまして、まさにそうだというので——たぶん日本住宅公団法等の一部を改正する法律案だと思う。   〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕 これもその第一条の五項に「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は総裁を通じて建設大臣に意見を提出することができる。」こうなっているわけです。これがやはり建設委員会で問題になった。そして結局、河野建設大臣は下をあげたのです。なるほどこれはごもっともだ、これは総裁を通じなくとも、やはり直接大臣に言うべきだということになった。そこでわが医療金融公庫においても、当然これをそうしなければならぬと思うのです。これは全く同じ条文です、これは同じ法制局が全部やっておる、林さんのところでやっておるのですから。公団の改正は全部こういう形になってきたのです。公団とか公庫の改正で、監事の機能というものは全部こういう形になってきておるわけです。そこで建設委員会では納得をして、そういう修正をやることに決定をしております。おそらく修正をして、もう六日の本会議には上程されると思いますが、同じ政府機関である公庫でも、当然「総裁を通じて」のところは削らねばいかぬと思うのです。そうして、やはり総裁を通じなくても、監事が直接大臣に意見を提出することができる、これのほうがすっきりし、フェアプレーなんです。(「同じことだ、たいしたことはない」と呼ぶ者あり)同じことだ、たいしたことはないとおっしゃるけれども、私たちはそうじゃないと思う。ひとつここで大臣の意見も——どうせこれは修正しなければ通さぬのですけれども、今度は……(「鉄道建設公団については、そのまま通したじゃないか」と呼ぶ者あり)そこはじょうずの手から水が漏れることもある。今度は水を漏らさぬようにそうしなければならぬと思うのです。大臣の意見を聞かせていただきたい。
  53. 小林武治

    小林国務大臣 これは内閣の統一方針として、こういうものを各種の公団公社等を通じて出した。したがって、私がこの法律をどうこう——そういう御意見があれば、また内閣としても全体の問題としてこれは考えなければならぬ、そういうことになろうかと思います。
  54. 滝井義高

    滝井委員 大臣、これは建設委員会でそういうことになったのです、もう間違いなく。ここに証人がおりますから……(「みんなばらばらだよ」と呼ぶ者あり)これはやはりばらばであってはならぬと思うのです、統一して出した法律ですからね。特にお金の問題ですから、「総裁を通じて」を削ったって、そう大臣のメンツにかかわることはないと思う。これは法制局がやっておるから全部同じです。われわれも与党の理事ともよく相談をしてやりたいと思いますけれども、そういう点があるということを、ぜひ大臣、御記憶にとどめておいていただきたいと思うのです。これは河野建設大臣が了承したのです。  それから、大蔵省が来るまでちょっと。さいぜん三十七年の財政投融資の問題が出てきたのですが、三十八年、三十九年のおおよその——三十八年は大体実績が出てきていると思うのですよ。それをここでお示し願いたいと思うのです。どうしてこれが必要かというと、ことし三十九年の医療機関に対する投融資というものをわれわれが見きわめていこう、それで一体どの程度必要かということを  三十七年だけではどうにもならぬわけです。やはり三十八年と、それから三十九年のあなた方のおおよその見通しというものを、あわせてこの際明らかにしておいてもらわなければならぬ。そうしてさいぜんの民間の銀行、金融機関等から借りておる、あるいは自己資金を投入したものがどの程度あるかということ、これだけを合わせて、初めて私的医療機関が必要とする金額が出てくるわけです。だから、場合によっては、財政投融資計画の変更もやってもらわなければならぬかもしれぬ。これはどうしてそういうことの理論的根拠が出るかというと、日韓会談がいま行なわれているわけです。この日韓会談がまとまりますと、大蔵大臣は二億ドルの金を十カ年間で韓国にやる。ことし話がまとまってしまいますと、海外経済協力基金は金がないのです。そこでこの財政投融資計画の変更をやらなければならぬ。この変更をやるという言質を私は予算委員会でもらっております。そこで、当然こういうものについても、もしこれではどうにもならぬ。百三十五億程度では少ないということになれば、その財政投融資計画の変更のときに、やはり同時に主張しなければならぬことになるわけです。だから三十八年と三十九年、これはいまお手元になければ次会でけっこうです。私的医療機関のところを一緒にやってもらってもけっこうですよ。
  55. 大崎康

    ○大崎政府委員 三十八年度の数字から申し上げますと、総額四百二十五億、その中で国の所管しております分は、公社等を含めまして百二十九億でございます。それから公的医療機関、これが百二十六億、社会保険団体二十五億、それからく会社七億、その他の機関百三十九億、こういうことになっております。  それから三十九年度について申し上げますと、総額四百六十億、その中で国その他公社を含めまして百三十五億、それから社会保険団体二十五億、それから公的医療機関を含むものにつきましては、これは数字はまだございません。
  56. 滝井義高

    滝井委員 会社その他のところの数字もわかりませんか。
  57. 大崎康

    ○大崎政府委員 これはまだ年度が始まっておりませんものですから、わからぬわけであります。
  58. 滝井義高

    滝井委員 いまわかりませんとおっしゃったけれども、総額四百六十億と出てきたわけです。まず総額を問題にしてくればいいわけですから、そうすると三十八年が四百二十五億、三十九年が四百六十億、そのうち国、公社をひっくるめて百三十五億、それから社会保険関係二十六億、公的、会社、私的は何も出てきておらぬから、あと残りが、四百六十億から百六十億を引いた三百億かそこらになるわけですね。総額が出てきて、それが出てこないということはおかしいので、推定が出ていなければならぬわけです。こういうところは三十七年、三十八年とずっと前からあるわけですから、そうしますと、一つの伸びというのか、急には突然変異がないわけですよ。ある度程配置をあなた方が抑えておやりになっておるわけです、公的医療機関配置その他についてはある程度頭に像を描きながらおやりになっておるわけですから、国の機関が三十七年に百一億、それから三十八年に百二十九億、これで二十八億ふえた。それから今度は三十九年になったら百三十五億、約六億ふえておる。こういうように、ふえ方が大体一定の割合でふえてきておるわけでしょう。それから同じように、国以外の公的な医療機関についても百十八億から百二十六億、こうなっておるわけです。だから十億かそこらずつくらいずっとふえてきておるということになれば、これは民間だって、そう急激な突然変異的な増加はないわけですね。大体同じような形だと思うのです。だからそこらの推定はできることになるわけです。そこを言わなければ、これがあなた方がわからぬというならば、私は今度は逆に言えば、一体いかなる理論的な根拠から百三十五億でよろしいという結論になったのかということになる。(「資金は幾らあってもいい」と呼ぶ者あり)資金は幾らあってもよろしいと言うけれども、そうじゃないのです。資金というものは、やはり一定の資金計画があって、ワクがあるわけです。それで百三十五億、すなわち資金運用部から八十五億、回収金二十一億と一般会計から二十九億、百三十五億程度あったならば、四百六十億の中に含まれる会社その他の民間の医療機関の需要にこたえ得るだろうという理論的根拠が出てきたからこそ、大蔵省との話し合いでは百三十五億ということで手を打っておるわけです。ところがいよいよ説明になったら、まだそこはわかりません、こういう答弁はないですよ。これはもう少し、大崎さん、ざっくばらんに、何もこんなものは秘密じゃないのです、国家機密でも何でもないのだから、算定の根拠をざっくばらんにここで出して、そして討議をすることが民主的な国会であり、国会の、正常化なんだ。それを数字がわかりません——四百六十億はわかっておって、そこがわからぬはずはない。それでは四百六十億がそもそもわからないということになる。
  59. 大崎康

    ○大崎政府委員 三十九年度につきまして四百六十億と申し上げましたのは、国費を直接使う分、それから補助金、それから各特別地方債あるいは公庫、事業団等の融資額を含めた額でございます。公庫、事業団の関係につきましては、これは予算額をここへは掲げているわけであります。したがいまして、それを合計いたしますと四百六十億という数字が出るわけでございますけれども、そのうち公的医療機関にどれくらいいくか、あるいは私的の医療機関に実際どういうふうにいくかということにつきましては、若干出入りがあるわけであります。したがいまして、わからないと申し上げましたのは、その若干の出入りがわからない、こういうことを申し上げているわけでございます。総額は、予算額をもって総額といたしておるわけでございます。その辺はひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。
  60. 滝井義高

    滝井委員 若干の出入りがわからぬくらいなら、それをつけ加えて説明したらいいのです。こういう医療金融公庫の資金計画をお立てになるときには、三十九年にどの程度の需要があるということを基礎にしてお立てになっておるわけですよ。まさかあなた方が、基礎もなく砂上の楼閣を建てるはずはない。そんなことなら海堀さんは絶対許されないと思う。ぼくは海堀さんの性格をよく知っておるけれども、きちんとした人だから、そんなでたらめなことは許さない。あと伊藤さんがやられますし、大臣が参議院に行かなければならぬということですから、これはあとにしまして、海堀さんがいらっしゃったから海堀さんにお尋ねします。  これは前にも二度ばかり、あなたの前任者の資金課長さんのときにもお尋ねしたのですが、この医療金融公庫と年金福祉事業団との間の貸し付けの条件がアンバランスなんです。特に年金福祉事業団のほうが条件がよくて、そして医療金融公庫のほうが条件が悪いわけです。これを直してくれということは、もう灘尾さんが厚生大臣、古井さんが厚生大臣のときから、この席から再三再四にわたって要求しているわけです。ぜひそのように努力をいたします、どの大臣もそう言ってきた。きょうも小林厚生大臣は、両金融機関病院に貸す条件というものはやはり同一であることが望ましい、当然そうすべきだというお答えはあっておるのだけれども、事務当局は、なかなかやはり大蔵省に対する仁義があって、がんとして口を緘して語らぬわけです。だけれども、考えてみると、野党の役割りというものは、予算が終わってしまったら、予算のとおり与党はがむしゃらにしがみつくわけです。野党の役割というものは、こういうときに腕をふるう以外に野党の腕をふるう場所がない、率直に言って。したがって、やぶ医者であるけれども、滝井義高がそこにメスを入れて、多年にわたる病根をなおそうというわけです。なおすためには、助手と言ってはおかしいけれども、相手が要るわけです。そこであなたにきょう来ていただいた。いま、懸案事項というものが三つ、四つある。あなた方と折衝中だけれども、どうしてもうまくいかぬのが三つ、四つあるということですが、その医療金融公庫と年金福祉事業団の間の、この条件を同じくするために問題点となっておる三つ、四つの問題点はどういうところですか。
  61. 海堀洋平

    海堀説明員 まず、厚生省から要望されました点で記憶に残っておる点は、乙地域についての金利の引き下げと、それから貸し付け対象拡大の御要望があったのじゃなかろうかというふうに記憶しておりますが、いま急に聞かれまして、あまり正確でないかもしれません。
  62. 滝井義高

    滝井委員 この貸し付けの利率は、年金福祉事業団は六分五厘ですよね。大企業分については、時に七分がありますよ。医療金融公庫のほうは、基準は中和の増改築が六分五厘で、あとは八分なんです。これをなぜ六分五厘にできないのか、こういうことですよ。同じ医療機関で、同じ条件で、単価が十円、点数も同じだというのでやっておるわけでしょう。しかもそれは、零細企業ですよ。ところが、大企業に貸す年金福祉事業団は六分五厘にしてやるけれども、零細中小企業については八分を取る、あるいは機械購入等は九分を取るというのは、どうも筋が通らぬと思うのです。これは御存じのとおり、いま医療費を引き上げようとしても、なかなか簡単に引き上げができないわけです。昨日医療協議会があった。小山保険局長が、医療費の緊急是正をやろうとすれば、これはやはり保険料を上げざるを得ないというところまで言っておるわけでしょう。そうしますと、これは医療費問題を解決しようとすれば、単に単価とか点数とか再診料だけで問題は解決できないですよ。やはり総合的にせざるを得ないので、税金の面から、金利の面、薬価の面、そうして単価とか点数とか技術料の面、こういうような総合的な政策をとって医療費問題を解決せざるを得ないと思うのです。その解決するための一つの重要なてこになるのが、この金利の問題です。これを、主管大臣である厚生大臣は、もうやはり同一にすべきだとおっしゃっておるのです。それをいま、あなたのほうだけががんばるというのもおかしなことだと思うのです。これは海堀さんがお答えできなければ、どうせこの法案を上げるまでに大蔵大臣に来てもらって、大蔵大臣から言質をもらわなければならぬことになる。今度は、三度目の正直ということがあります。ぼくは、これをやるのは四度目になる。そう毎年毎年待てというわけにもいかぬ。やっぱり徳川家康の鳴くまで待とうでは、いまのような状態になってくると、なかなか鳴くまで待とうというわけにはいかない。ひとつ鳴かしてみようホトトギス、豊臣秀古くらいのところでいかざるを得ないと思うのです。どうですか、六分五厘にどうしてできないのです。
  63. 海堀洋平

    海堀説明員 政府関係金融機関の金利につきましては、政府のそれぞれの政策に基づいて、均衡をとりつつ決定しておると考えられます。医療金融公庫が発足いたします前に、私的な、医療機関に対する融資は、主として中小企業金融公庫がその金利をもって充当していた。したがって、その当時においてはたぶん九・三%、あるいは九%になっていたかもしれませんが、そういった状態では私的医療機関整備に支障があるということで、医療金融公庫が設けられることとなったわけでございます。その際に甲地域、要するに病床の不足いたしております地域については、病床の急速な整備ということも考えまして六分五厘という金利、その他につきましては、政府医療行政だけを担当しておるわけではございませんで、その他各種の施策、そのための政府関係金融機関との均衡を十分に考慮して、現在の八分なりの金利をきめているわけでございます。もちろん、常に動いております現状というものをよく研究いたしまして検討を続けていかなければならぬとは存じますが、この金利が特に不合理であるというふうには、私どもは考えていないわけでございます。
  64. 滝井義高

    滝井委員 私は金利の合理、不合理を言っておるわけではないのです。年金福祉事業団に六分五厘という金利ができておるのに、同じ年金の還元融資の金を持ってきておる医療金融公庫になぜできないのですか。しかも医療金融公庫は、政府の出資が入っておるわけでしょう。それだけ金利がうんと安くできるわけです。片一方は六分五厘でいっているのに、どうしてこちらは六分五厘でできませんかと言っておるのです。しかも貸す対象というものは、同じ医療機関ですよ。対象が同じであって、出てきている資金のソースも同じだというのに、どうして片や八分、片や六分五厘かということなんです。だから、そこを一緒にできない理由はないじゃないですかと——これが、私的医療機関が単価も違い、税金も払っていないというなら、またこれも問題です。ところが、私的医療機関は税金を払っておるのです。片一方は税金を払っていないのですよ。だから個人に最終の利潤が帰着するかどうかという問題は、税金で片がついておるわけです。公的医療機関は税金を払わぬでいい、ところが私的医療機関は税金を払うんだから、もうそれで帳消しになっておるわけです。そうすると、あとは金利を同じにしてやっていいじゃないかということです。それができない理由はどこにもないのです。どう考えても、その理論というものは納得できないわけですよ。だから、納得できないことをまかり通すわけにはいかぬということですよ。これは海堀さんの御一存ではなかなかいかぬから、大臣が来れなければ政務次官と理財局長に来てもらって、時間の関係がありますから次会にやりたいと思います。  それから、もう一つあなたの意見を聞いておきたいのは、貸し付けの対象——年金福祉事業団は限度額がないわけですよ。これはもちろん、大企業の事業主が所要額の八割で、その他は九割でしょう。そして頭打ちはないわけですよ。幾らでも金を貸すわけです。必要なだけは査定をして貸すわけです。ところが、この医療金融公庫のほうは、所要額の八割ということがきまっておる。しかもそれが個人、法人で全部違うわけでしょう。しかも、この前われわれがやかましく言って、大学病院については一億くらいは貸すことになりましたが、これは一億です。いま大蔵省所管の共済組合の病院を見てごらんなさい。虎ノ門病院が今度分院を建てる。これは一億や二億の単位の病院なんか、いま独自ではやっていけぬです。これは十億です。海堀さん御承知のとおりです。共済組合あたりが建てるのは十億単位でしょう。そうすると、今度私的医療機関だからといって——いまのようにばく大な費用が設備投資にかかるときに、私的医療機関だからというので、医療金融公庫の貸し出しを、法人の開設する病院は五千万円くらいだ、しかし年金福祉事業団から貸すときはその限界なしだという。そういう差別をやること、はなはだしいものだと思うのです。病院は、いま私的であろうと公的であろうと、非常に公共性が強くなってきておる。しかも単価その他は、全部国が規制しているのですから。一体いまの日本医療制度のような制度は、世界をさがしても私はないと思う。まず第一に、医者になるためには自分で金を出して医学教育を受ける、インターンが、この前から言って、ようやく幾ぶんかここで金を出そうということになったのですが、無給で働く、それから大学を卒業してから三年なり五年無給の医局員で働く、その長いえんえんとした十年ないし十五年を親のすねをかじって、親のすねがなくなってしまってから、ようやく三十四、五になって一人前の医者になる、なっても保険のワクの中で、単価がきまった中で自分が病院を建てる、病院を建てるのは自分が金を借りてやる、そして診療報酬というものは単価十円なら十円ときまったものであって、それ以外のものはやれない、やったら保険医取り消しだ、こうなるわけです。そして診療したものを右から左に金はくれないで、二カ月後の掛け払いでしょう。自分の建てた病院は保険医療機関として指定をされ、みずからは、自分で大学を出て勉強したにもかかわらず、保険医として身分拘束をされている、一体日本以外にこんな制度がありますか。ないのです。そういう世界に類例のない制度医療の国営よりかはるかに安上がりな制度をお置きになっておる。しかも今度は、その保険療機関が病院を建てようとするときに金を借りたならば、それは貸し付けの条件も違うし、利率も悪いという、こういう踏んだりけったりの制度というものは、私はやめるべきだと思う。この際やはり、勇断をもって公的医療機関と同じような取り扱いをすべきだと思うのです。そのかわり税金をお取りになったらよろしい、税金を二八%取るんだから。いまの貸し付けの対象拡大してくれという点について隘路になっているというのは、あなた方のほうはどこが気に食わないのですか。
  65. 海堀洋平

    海堀説明員 やはりこれは、私的医療機関立場からだけごらんになりますと、いろいろ問題の点もあろうかと存じますが、たとえば滝井先生が、この間同じように御質問されました産炭地振興事業団の貸し付けの限度額も、ほぼ一億円ということに相なっておりまして、これにつきましても先生から、こんな程度では話にならぬではないかというお話がございました。限られた政府資金によりまして、全体の施策を均衡をとって行なっていこうとする場合に、その対象、それから貸し付けの限度額というものは、相互の均衡をとりつつ考えていかざるを得ません。その点、個々には御不満の点も多かろうかと思いますが、現在のところは、大体それで緊要なる重要は満たし得ているというふうに考えているわけでございます。
  66. 滝井義高

    滝井委員 これはなかなか事務当局だけでは話がまとまりませんから、次会に大蔵大臣に来てもらって、きょう私は一応これで質問を留保しておきます。この医療金融公電と年金福祉事業団は、次会にもう一回、海堀さんだけではちょっと責め立てるのは無理ですから、大蔵大臣にぜひひとつ来てもらって、お願いしたいと思います。      ————◇—————
  67. 田中正巳

    ○田中(正)委員長代理 次に、厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤よし子君。
  68. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私は厚生行政の基本的な問題につきましては、同僚の委員からすでにいろいろ御質問がございましたので、本日は、大臣もたいへん時間がおありになりませんから、特にその中で厚生省の保育対策のみに限って御質問を申し上げたいと思います。  近年、経済の高度成長の中で、その過程で非常に働く婦人の数が年々ふえておりますことは、大臣御存じのとおりだと思います。その働く婦人の中で有夫の、結婚をした婦人のパーセンテージというものも、婦人の雇用労働者がふえるよりも大きい率で年々ふえております。労働省のお出しになった統計、女子保護状況の調査によりましても、六二年には女子雇用者の中で二一・七%が既婚婦人であることがわかります。しかもこれは三十人以上の規模の事業所の調べでありまして、こうした統計に出ておりません結婚して働いている婦人の数は、年々ふえていると考えます。たとえば、農山漁村におきましても、最近の労働力人口の構造の変化は非常に著しいものがございまして、二、三男が職を求めて都市へ流れ出しているのみではなく、急激な工業の発展に伴いまして、長男あるいは一家の中心である壮年の主人が、工場に働きに出たりしまして、兼業の農山漁家というのがたいへんふえておりまして、労働のしわ寄せというものが主婦の上に強く寄せられております。また零細企業の場合におきましても、たいへん人手が足りなくて、いままでは雇い人等がおりましても、雇い人がなくなりまして、家庭の主婦が働いているという姿がたいへん多うございます。また一般のつとめている家庭の主婦でもたいへん消費生活等が変化してまいりまして、また主人の給料が十分でないというような点もございまして、内職をしている婦人の数が非常に多くなっております。  そういうような状況の中で、保育に欠ける子供の数というものは、私は非常にたくさんあると思うのでございます。私どもが働く婦人の集まりに最近出ますごとに、ここ数年来非常に強い要望といたしましては、保育所に対する要求でございまして、現在の保育所内容充実、そしてまた増、新設を要求する声というものは非常に大きゅうございます。ごく最近、この二月二十九日でございましたか、やはり全国から働く婦人が集まりまして、保育所の増、新設に対しての要求の大会が芝で持たれておりますけれども、婦人の集まりに行けば、保育所を求める声がたいへん多くなっております。こういうような状態の中で、特に乳幼児の保育の問題は、現在の経済的、社会的な問題といたしましても、たいへん重要だと思うのでございますけれども、全体といたしまして、このような情勢に対してとかく保育所の問題等は片すみに追いやられて、あまり重要視されないような傾向があると思うのでございます。こういう状態に対して厚生大臣は保育対策全般について、どのようにお考えになっておりますか、第一点としてお伺いしたいと思います。
  69. 小林武治

    小林国務大臣 お話のように、職業を持つ婦人が非常に多くなった、またいろいろの事由によって保育に欠ける児童が出る、こういうものは保育所によってこれを保育する、したがって保育所の増設をますますやらなければならぬ、こういう考え方を持っておるのでございます。  何か最近児童の保育は家庭においてするのが好ましい、こういうことを厚生省が言うた。これは結局保育所についての熱意というか、これを増していくという考え方を修正するのじゃないか、こういうふうなお話がありますが、そういうふうな考え方は全然いたしておりません。
  70. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 その点について私がお伺いしたいと思っておったことが、大臣から御答弁があったわけでございますが、昨年の秋の中央児童福祉審議会の特別部会の答申の中にも、家庭の保育が第一だというようなことが主張されておりますので、その働く婦人の集会へ出ますと、厚生省のほうがそういうお考えを持っておられるのじゃないかといって、非常に婦人の中に不安がございます。ただいまの大臣の御答弁を聞きましてたいへん安心をいたしました。  しかし、実際問題といたしまして、厚生省昭和三十六年四月でございますかの御調査によりましても、保育に欠ける児童の数が全国で百九十三万人あるというように言われておりますけれども、その中で、保育所に収容している児童の数が幾らでございますか、その点ちょっとお伺いしたいのです。
  71. 小林武治

    小林国務大臣 いまの百九十三万人というのは、前の三十六年度かの数字でございますが、その当時の数字で七十数万人というのが保育所に収容している子供の数、こういうことになりまして、いままただいぶ違ってきておりますが、この数字に合わした数字は七十数万人、こういうことでございます。
  72. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 先ほど、保育対策については、御答弁ありましたけれども、それでは現在保育に欠ける児童の数というものが、まだどのくらいございますか。   〔田中(正)委員長代理退席、井村委員長代理着席〕 それに対して積極的などのような増、新設をおはかりになっておるか。本年度の予算等を拝見いたしましても、あまり増、新設の予算がとられていないように思うのでございますが、こういう国の恩恵のほかに置かれている乳幼児対策について、今後具体的にもっと積極的な御対策をお考えになっており  ますかどうか。
  73. 小林武治

    小林国務大臣 いわゆる保育所のない地域というものを調査をいたしまして、これを年次計画によって解消していくというようなことで、その詳細はまた局長からお答えいたしますが、昭和三十八年度では結局できたのが三百八十四ある。そのうち国庫の補助によったのが百六十、それから昭和三十九年度予算では、やはり政府の補助によるものが百六十、いま計上いたしております。その中で乳幼児をぜひ預かってもらいたい、こういうふうな要望が非常に強くなってきておりますので、三十九年度新しく三十カ所保育施設を併設していく、こういうふうな予算がいま組まれております。
  74. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 まだ非常にたくさんの保育に欠けた乳幼児が現在あるのでございますし、ただいま申し上げましたように、経済的、社会的な要請によって、これからますます働く婦人がふえていくと思います。そして、単に経済的な問題だけではございません。働くことを希望している婦人の数というものが、だんだんふえていくと思いますので、この保育の問題は非常に重大だと思います。最近青少年の不良化の問題等が出ておりますけれども、人間形成において一番大事な乳幼児に対する保育、教育の問題というものは、次代をになう、将来の国民のためにも非常に重要だと思いますので、この点はぜひ今後とも一そうの御努力を願いたいと思うわけでございます。  そこで、私はいまひとつ伺いたいのでありますが、先日予算委員会におきましてわが党の山中委員が御質問申し上げました点の速記録をちょっと拝見したわけでございますけれども、園と保育所の問題でございます。現在同じ年齢の子供でありながら、一方は教育の対象として幼稚園に入り、一方は保育の対象として保育所で保育されているわけでございますけれども、その点につきましては昨年の十月でございますか、厚生省のほうで御通達を出されておりまして、私はこういう問題は、同じ四歳、五歳の児童でありながら、一方が教育の対象にされ、一方は保育の対象とされて教育の対象とされていないという点は、今後ぜひ改めていただきまして、子供に差別がないように、同じ年齢の子供に保育も教育も十分できるようにしていただきたいと考えるわけでございます。原則的には保育所と幼稚園の一元化の問題は将来の問題として、ぜひ厚生省におかれましても、あるいは文部省におかれましても検討をいただかなければならぬことだと思うのです。しかしその御通達の中に、私はたいへん気になる点がございますので、ぜひこの点大臣の御答弁をお聞きしておきたいと思うわけでございます。  通達の中の第五番目でございましたか、こういうことがございます。「保育所に入所すべき児童の決定にあたっては、今後いっそう厳正にこれを行なうようにするとともに、保育所に入所している「保育に欠ける幼児」以外の幼児については、将来幼稚園の普及に応じて幼稚園に入園するよう措置すること。」ということが通達の中にございますけれども、現在でも、先ほど申し上げましたように、働く婦人が保育所に入れたいと思いましても、共かせぎの場合とか、あるいは一定の所得によって制限がございまして、入所できないような場合が非常に多いわけでございます。それを働く婦人は非常に心配しているわけでございますが、その上に御通達の中にこういうものが出ますと、共かせぎの場合、あるいは今後働いて子供を育てていこうという婦人の場合に、ますます困難になるのではないかということを心配するわけでございます。「今後いっそう厳正にこれを行なう」ということで、ますますきびしくなってくるのではないかという心配がございますが、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。   〔井村委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 小林武治

    小林国務大臣 これは、保育所と幼稚園を統合したらどうだという御意見がありましたから、昨年はっきりと、これはそれぞれ設置の目的が違う、幼稚園はせいぜい一日に三時間か、多くて四時間しか預からぬ、ところがいまの保育に欠ける子は、朝七時から夕方六時、七時までということで、全然幼稚園と目的が違うから、統合等はこの際言うべきでない、いずれも足りないから、それぞれの立場でもってひとつお互いに増設に励もう、こういうことであれをきめまして、その上、まあ幼稚園にも教育内容ができましたから、保育所でも、一日お預かりしている中で幼稚園と同じような教育をひとつやっていこう、こういうことで保母の教養あるいは再講習等についても心がけて、幼稚園と保育所で教育内容が進んだり劣ったりすることのないようにしようという話し合いはいたして、その向きでいま進んでおります。  それから保育所は、もう御承知のように、朝から晩までお預かりするということで、真に保育に欠けておる者を入れる、実際にやむを得ない、必要な者を入れる、中には必ずしも保育所がさような意味で利用されない、あるいは場合によったら、乱用される向きもある、すなわち、真に保育に欠けておらぬ者でも、奥さんの心がけとか考え方によって子供を預けている、こういうような者もあるから、そういう意味で申し上げたのでありまして、保育に真に欠けている者が真に保育所に入れるようにと、こういうつもりでこれを出したのでありまして、いま、要するにほんとうに保育に欠けておるかどうかをよく調べてやってもらいたい、こういう趣旨に考えております。
  76. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ただいまの御答弁の中でも、私はなお心配するわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、婦人が働いてまいりますということは、憲法にも、二十七条でございますか、すべて国民は働く権利と義務があるということで保障されているわけでございまして、婦人も男の方と同様に働く権利があるわけでございますから、また現状のような経済成長が非常に激しい中ではますます人手が足りなくなってまいりまして、働く婦人がふえていくのは社会的な一つの流れだと私は思うのです。そういう中で、単に救貧的な施設としての保育所ではなくて、厚生省におかれましてはもっと積極的に、働く婦人がほんとうに安心して子供を預けて働くことができるような、そういう社会的な要請に応じて、私はもっと保育所はふやしていっていただきたいと思いますし、現在あるのも充実して、安心して子供を預けて働けるように、積極的にやっていっていただきたいと思うわけでございますけれども、どうもこういう御通達などが出ましたり、否定はなさいましたけれども、最初大臣は、子供の保育は家庭が単一だという考えだったのですが、そうだと、とかく市町村におきましても、保育に欠ける子供を預ける場合に、入所の基準がいろいろ厳重にやられまして、現状におきましても、預けたいと思う人もなかなか実際は預けられないような状態でございますので、もっと積極的に働く婦人を助け、働く婦人の権利を守るという意味で、預けやすいようにしていっていただきたいと思うわけでございます。これは単に経済的な問題のみではございませんで、社会の要請に従って、大いに働いていきたいという意欲を持つ婦人が多いわけでございますので、安心して子供を預けて、婦人も大いに社会的、あるいは経済的に貢献ができるように、この保育対策はぜひとも積極的にやっていただきたいと思います。働く婦人が安心して働けますように、その点について、もう一度大臣のお考えを承りたい。
  77. 小林武治

    小林国務大臣 保育所がない地域がいまでも全国に九百カ所も町村にあります。その他、保育所があっても団地等によってまた保育所の必要になってくる場所があります。そういうところを見まして、厚生省といたしましても、十カ年でこれらの需要を充足する趣旨で計画も立てておりまするし、これをできるだけふやして一般の必要を満たしていく。こういう考え方には変わりはありません。ただ一町、また私どもはいろいろのことを考えるのでありまして、やはり子供は家庭で保育することが一番好ましい。こういうことは否定されない事実であろうと思います。そういうことを言うてはどうかと思いますが、ややともすれば、一つ考え方として、子供の保育をなおざりにする傾向がまた絶無とは私ども考えておりません。できる者はひとつできるだけ保育に当たってほしい。真に保育に欠ける者には十分またお手伝いをしなければならぬ。こういう考え方を持っておるのであります。家庭保育が非常に好ましいことであるという考え方はそれでいい。ただし、繰り返して申しますが、真に保育に欠ける者にはどうしてもお手伝いをしなければならぬ。そういう方針で、引き続いて増設をどしどし考えていきたい、こういうふうに思っております。
  78. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 家庭保育が非常に望ましいことは私も否定するものではございませんけれども、しかし家庭保育のみが第一であるという点については、専門家の中にもいろいろ異論のあるところでございまして、家庭保育とそして集団教育というものも子供にとって必要ではないか。少なくとも現状のような日本状態におきましては、必ずしも家庭保育が第一だというふうには言えないようにも考えます。しかしこの点について、私はいまここで大臣と議論をしようとは考えません。こういう点は今後いろいろ専門家も研究をしていっていただかなければならないことだと思うのでございますけれども、しかし現実の問題といたしまして、最初に私が申し上げましたように、まさに一億総内職と申しましょうか、すべての家庭婦人が現在では内職をいたしましたり、また働きに出ておるのが現状でございます。農山村におきましても、中小企業、零細企業の方たち等におきましても、何らかの仕事をしておる婦人が年々多くなっておるわけでございますので、現実の問題といたしまして、非常に保育に欠けるような状態が多くなっておると思うのです。先ほど大臣からもちょっと御答弁がありましたように、保育所の充足率というものは、保育に欠ける子供に対しては少ないと思いますので、現実の姿として、保育対策というものを強力に進めていっていただきたい。これを特に御要望申し上げる次第でございます。  それからいま一つは、せんだって国会の廊下でございましたか、国鉄の主婦会の人が、大臣にちょっと御陳情申し上げた中にも出ておりますように、保育料の徴収の基準でございますけれども、実情といたしましては、非常にいろいろな段階があるようでございます。所得税三千円以上の家庭、いろいろ基準がございますようですけれども、最近保育料が非常に高くなっております。勤労者の家庭の子供の場合には、一般の固定資産などを持っておいでになる家庭と比べまして、たいへんガラス張りの中に所得がございます。この点は大臣もお認めになっているようでございますけれども、保育料の基準、これを今後研究をしていただきたい。いまのところは段階が非常にたくさんございますが、これはこのままでいいとお考えになっておりますか、今後保育料の徴収の基準を改正するお考えはございますか。その点についてひとつ。
  79. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実は保育料につきましては、従来生活保護階層、市町村民税非課税階層、これをA、B階層と言っておりますが、これは無料でございます。それから市町村民税を納めておる者、所得税を納めておる者ということで、こまかい区分けをいたしまして、できるだけ減免をするように、保育料が安くなるように努力をしておるのでございますが、三十九年度の予算におきましては、児童の直接の処遇改善の費用、たとえばおやつ代を今度引き上げますが、それは親御さんに負担をしてもらう。それから保母さんなり職員の増員、給与の改善等の費用は、これは保育料にははね返らないようにするというようなことで、三十九年度予算をきめたのでございますが、私のほうとしましては、できるだけそういう線を今後とも堅持してまいりたい。よく保母さんの給与が低い、上げてやりたいけれども保育料にそれがはね返るのだというようなことで、従来いつも二者択一を迫られて、保母さんの給与の改善もできなかったのでありますが、三十九年度からはそういうようなことにいたしたのであります。これも保育料の改善一つでございますが、もう一つは、D階層——所得税を三千円納めておるという線をもっと詳しく、今度は六千円以上と三千円から五千九百九十九円まで二段階にいたしまして、これをD1、D2と言っておりますが、D1のほうはできるだけ軽減をしていく。たとえば乳児の保育につきましては、現実には保育料は六千円くらいかかっておるのでありますが、現在では三千円どまりくらいにしておるのでありまして、さらに今度はそれをD1階層にはできるだけ安く、D2階層には実費負担してもらうというような改善をやってみたいと思っております。  そういうことで、保育料の問題につきましては絶えず検討いたしておる次第でございます。D1というのは、いままでは所得税が三千円未満と三千円以上であったのでありますが、今度はそれに六千円以上というものを加え三段階に分けたい。それからD1と、D2を二つに分けたいということで、従来のD1、D2はできるだけ保育料を引き上げたくないというようなことで、いま大蔵省と交渉しております。
  80. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 大臣がたいへんお忙しいようでございますから、あと児童局長お尋ねいたしてもいいですが、とにかく保育に欠ける児童というものが現状においてまだ非常にたくさんございまして、働く婦人がほんとうに安心して働けるような、安心して預けられるような現在の保育所充実と、そして増、新設の問題には特にお力を注いでいただきたいと思うわけでございますけれども、ただお言葉だけではなくて、本年度の予算を拝見いたしましても、特に新増設はないようでございますけれども、この点についてもう一度大臣の強い御決意を伺っておきたいと思うわけでございます。
  81. 小林武治

    小林国務大臣 三十九年度にも国の補助によるものが百六十予定しております。そのほか県、市あるいは町村等がまた相当おつくりになると思いますが、昨年度はそれを入れて三百八十四。ことしも正確にはそれ以上になる、こういうふうに思いますが、国庫補助の数もまだむろん十分ではございません。これからまたふやすことを十分考えたい、こういうふうに思っております。
  82. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 以下、私はただいま申し上げましたような観点に立ちまして、現在の保育所の問題につきまして、少しくこまかい御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  第一は、保母の充足状態についてでございますけれども、現在の保母の数は、乳幼児に対する保母の割合でございますけれども、乳児九人に一人、幼児三十人に一人というようなことになっておりますけれども、これでは十分な保育ができないと思うのでございます。この点についてどういうふうにお考えになりますか。
  83. 黒木利克

    ○黒木政府委員 保母さんの子供当たりの定数の問題は最低基準と申しておりますが、最低基準につきましては、中央児童福祉審議会に専門の部会をつくりまして、昨年答申を受けたのであります。その答申の線でこれを二カ年計画で実現したいというので、来年はとりあえず二歳未満の乳児九人について一人のを八人に一人にしたということでございますが、先ほども触れましたように、保母さんの数をふやすということが保育料にはね返ってくるのであります。保育料にはね返るということを認めるならば、定数もこちらの希望どおり認めてくれるということなのでありますが、その点また御父兄の協力を得る自信もありませんものでしたから、先ほど申しましたように、こういう保母さんの数とか、あるいは給与の改善は保育料にリンクさせないというようなことで、ようやく三十九年度は解決をしたのでございますが、そのために定数の増員のほうは思うようにまいりませんで、わずか九人に一人が八人に一人という結果になった次第でございます。
  84. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ただいまお触れになりましたように、保母をふやすことが、またすぐ保育料が上がることになって、現在のリンク制でございますと、そういうことになるわけでございますから、ぜひともこの点はリンク制はやめていただきまして、必要な保母は充足するように、そうして現状をどう考えるか。私どもが見ましても、三歳未満の子供につきましては、現状九人に一人というのを五人に一人くらいにしなければ、もう十分な保育はできないと思うわけです。特に乳児の場合はもっと多く保母さんがつかなければならないと思いますけれども、この点一挙にできませんでも、ぜひともこの乳児のほうにつきましては、八人に一人ではなくて、もっと五人に一人くらいにするような御努力を願いたいと思うわけです。それから幼児のほうでも三十人に一人ではどのように考えてみましても、十分な保育はできないと考えます。先ほど来お話がございましたように、特に今後教育の面も極めていっていただくということになりますると、とてもではございませんが、三十人に一人の保母ではとうていできることではございません。保母さんの資格ももちろんのことでございますけれども、ます保母さんの数をふやしていただくという点について、ぜひ一段の御努力を願いたいと思うわけでございます。それと同時にリンク制をやめていただきまして、すぐ保育料にはね返るという点は今後ないように、特別にその点御努力を願いたいと思います。  それから私が三年前に国会に出ておりましたときに、私どもはおやつ代が五円ということを主張いたしまして、ようやくあのとき三円が実現したわけでございますけれども、ことしの予算で三円のおやつ代が五円ということで組まれはしたようでございますが、私は、実はせんだって厚生省の予算を拝見いたしましたときに、幼児の保護施設のほうでいままでの一円のものを十円にするというのを間違って見まして、当然いまならば、せめておやつは十円くらいになっているのだろうと思いまして、地方に帰りまして、今度三十九年からは十円になりますよと保育所で申しました。ところが、いや、それはいままで三円でございましたものが五円になるのだ、いや、そんなはずはありませんと申し上げたわけで、いまのような物価が非常に高くなっている現状において、わずか二円上がって、ようやく今度五円になったということは、私は非常に驚いているくらいでございまして、事ほど保育所の問題は重要だと言っておいでになりましても、現実の問題として、この程度しか上げられないということに驚きに近い不満を持つ者でございます。これでは最近、ミカン一個でも、十五円も二十円もいたしますから、わずか五円のおやつでは、特に保育所の場合、朝八時から五時か六時まで子供が収容されているわけでございますので、非常に足らないと思いますけれども、この点五円でいいとお考えになっているのかどうか、将来もっとふやすお考えはないか伺いたいと思います。
  85. 黒木利克

    ○黒木政府委員 確かに御指摘のように低いと思いますが、これも実は保育料との関連がございまして、収容施設のほうは従来五円であったものを十円にいたしたのであります。したがいまして、保育所のほうもこの保育料との問題の関連が考慮の外に置かれるならば、引き上げることは、これは昨年度も三十九年度も可能性があったわけなのでありまして、この保育料の問題がやはりからんでくるのであります、保育料のまた根本の問題は、措置費の負担を八割は国がしているというところに原因があるのであります。したがいまして、こういう問題が悪循環いたしておりますから、根本的に何とか解決しなくてはならないという観点から保育特別部会というものを設けまして、現在御審議願っておるのでございますが、来年度、四十年度以降の予算におきましては、こういう点につきまして根本的な改善をはかってまいりたいと考えております。
  86. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ぜひともその点御努力を願いたいと思います。  それから、これは私はよく存じませんけれども、保育単価のきめ方でございますね、その根拠でございますが、どういうような根拠でございますか。
  87. 黒木利克

    ○黒木政府委員 これは実は子供一人当たり幾らというような考え方で単価がきまっておるのであります。そうしてその単価の中には人件費、それに事務費、子供の直接の食費、おやつ代等が入っておるわけなんでございます。そういたしまして、人件費につきましては、従来甲、乙、丙地というような三段階がございましたのを、昨年丙地をなくしまして、現在甲地、乙地というようなことで差をつけておるのであります。したがいまして、保育単価が先ほど申し上げましたように、子供一人当たり幾らということにいたしまして、甲地、乙地に分けまして、いろいろな内容を積み上げてきまっておるというようなやり方でございます。
  88. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 措置費の中に含まれておりますものは何と何でございますか。
  89. 黒木利克

    ○黒木政府委員 大きく分けますと、保母さんと職員の人件費、それに施設を運営するための事務費、これは社会保険事業主負担金とかそういうようなもの、あるいは庁費、あるいは補修費というようなもの、それと子供の直接の給食費、間食費、そういうようなことに大体相なります。
  90. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 給食費は、そういたしますと、いま幾らになっておりますか。
  91. 黒木利克

    ○黒木政府委員 給食費は保護基準の一三%に右へならえをいたしまして、昨年よりも一三%のアップをいたしております。
  92. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 一三%上がったわけですね。それが幾らでございますか。
  93. 黒木利克

    ○黒木政府委員 三歳以上児は従来十五円十二銭でありましたのが十七円九銭、三歳未満児が四十三円七十銭でありましたものが四十九円三十八銭、それに先ほど申しましたおやつが三円が五円になったということでございます。
  94. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 現在、食糧が非常に上がっている現状におきましては、ただいまお答えのありました額では非常に粗末な給食しかできないと思いますけれども、この点もう少し給食費を上げていくというお考えはございませんか。
  95. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実は給食費も上げたいと思っておるのでありますが、財務当局の言い分では、この給食というのは、うちにおっても食べるものだから、必要なものだから、当然持参をさせるべきじゃないかというような伝統的な考え方があるのであります。私のほうは、義務教育に準じまして、やはり学校給食と同じように給食を要求しておったわけなんでありますが、その結果、おかず代といいますか、そういう程度でいま認められておるのでありますが、これは保護基準の右へならえでなしに、乳幼児の健康上のことも発育上のことも考えまして、十分に増額するように今後努力してまいりたいと思います。
  96. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ぜひただいまの点は、現状の給食費では問題にならないと思いますので、増額に御努力を順いたいと思うわけでございます。  次に保母さんの問題でございますが、私設の保育所と公立の場合に、非常に保母の待遇に迷いがございます。こういう点、現在私設保育所というものが特に地方の場合には多いわけでございます。この私設保育所の保母の待遇の改善についてどのようにお考えになっておりますか。
  97. 黒木利克

    ○黒木政府委員 確かに、御指摘のように公立のほうは公務員のベースによりましてきまっておりますし、また定期昇給等がありますが、私立のほうはそういうようなことでなしに、従来の予算単価できまっておりましたために、いつの間にか開きが出てしまったのであります。そこで、この五年の間にいろいろ私立の保育所のほうの保母さんの給与の改善に重点を置きまして、逐次追いついてきたわけなのでありますが、特に昨年度は丙地におきます保母さんの給与、特に私立の保母さんの給与が非常に低いというので、これを一挙に撤廃いたしまして、その結果三八%程度のベースアップになったわけでございますが、現在におきましてもまだ開きがございますので、そういう点の是正を今後考えてまいりたいと思っておりますが、しかしこの問題にはいろいろ複雑な要素がございまして、たとえば私のほうは先ほど申しましたように子供一人当たり幾らというふうにして予算の配分をいたしておるのでありますが、ところが現実には、保母さんの給与としてわれわれが案分する予定のものが保母さんのほうに回らないで、他の庁費とか事務費に回されておるというようなことで、現実の保母さんの給与と、厚生省で予算措置をいたしております単価の中に含まれております給与というものが、非常な開きがあるのでございます。そこで三十九年度は、この措置費の中の保母さん等の人件費は他に流用することができないというような方針を立てまして、それによって私立の保育所の保母さんの給与を予算単価に引き直したり——予算単価は実は現在は一万六千円ベースでありましてかなり高いところにいっておるのでありますから、これによってかなり是正されると思います。その上で今度は保母さんの資格の問題、格づけの問題が起こってまいりますから、四十年度はそういう格づけの問題に取り組みたい。来年度は、とりあえず予算措置として見ておる分は人件費は流用できないようにする。そのかわり、施設の運営が困るであろうと思いまして、今度は五・六四%の給与の改善に相当する分を社会保険の事業主負担金というような名目で施設の運営者のほうに措置をするというようなことをやってまいった次第であります。
  98. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 昨年からそういう御努力がされたということにつきましては、私どももいささかでも進歩したと思っておりますけれども、現状におきましては、特に私設保育所の保母さんの待遇というものは非常に、ただいま御答弁もありましたように、まだ公立とは差がございます。その上に、身分の保障と申しましょうか、十年おりましても定期昇給というようなものはござまいせんし、ベースアップがあったときにわずかに上がるだけでございまして、将来の保障がございません。たとえば退職金の点とかそういうようないろいろなあれがありませんから、たいへん現在のような人手の足りないときには充実していかなければならないのに、保母さんが他の産業などに引っぱられて出ていきますとか、長続きしないとか、なり手がないというような現状が非常にございます。保育所を含めてこういう社会福祉施設などのほんとうに実際の効果があがるには、そこに働いている職員の充実ということが私は一番重要な点になるではないかと思いますので、特にこの私設保育所の保母の待遇の問題については、ここ一段の御努力を願いたいと思うわけでございます。  それと、いま措置費の中に、栄養士とかあるいは保健婦、用務員というのですか、そういうものも入ってくるわけでございますね。——そうして、九十人くらいの人数の場合には用務員などは入らないのでございますから、人数によって違ってまいりますか、その点ちょっと伺いたいと思います。
  99. 黒木利克

    ○黒木政府委員 六十人を最低にいたしまして、六十人から八十人とか百人とかいうふうに、逓減と申しますか、共通の費用がありますから、逓減するようなやり方でやっておるのでありますが、ただ、栄養士等につきましては、いろいろ基準がございまして、大きな施設でなければ栄養士は見ないというようなたてまえになっております。ただ、六十人なり五十人の子供しかいないところに一人の栄養士を置くことはなかなか容易でないのでありますが、二つの施設が共同で栄養士を一人雇うというようなやり方ならば、財務当局も認めてもいいというようなことで、来年は数カ所でそういう試みもしてみたいと計画中でございます。
  100. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 その点、栄養士、給食婦というようなものがない場合には、結局、保母さんがそれに当たるわけでございますね。この点は、ただでさえこういう保母さんの仕事が多くて長時間の上に、人数が少ない保育所においては、そういうまた保母さんの仕事が増しておるというような状態はぜひ改めていただきまして、少なくとも一つ保育所に栄養士、給食婦、そうして用務員も配置ができるような方向にぜひ御努力を願いたいと思います。それから、いま一つ、私は、私設保育所の問題でございますけれども、現在まで私設保育所、特に農山村などにおきまして私設保育所の果たしてまいりました役割りは非常に大きいと思うのでございます。たとえばお寺とかあるいは宗教関係の方が、私的にではございますけれども、社会事業的に、社会奉仕的に現状まで必要に応じて保育所をやってこられたというのが非常に多いのでございます。しかし、現在こういう私設保育所の舎屋と申しましょうか、その園舎でございますね、それが、だんだん老朽になってまいりまして、一定の基準に従ってその改築などが監督の方面から要請されているわけなのでございまして、これはたいへん大切なことだと思うのでございますけれども、現状の私設保育所の中には、営繕費はわずか入っているようでございまするが、こういう建物に対する償却費というようなものは全然慰められておりませんでございますね。
  101. 黒木利克

    ○黒木政府委員 確かに御指摘のように、戦後、私立の保育所の果たした役刈りは大きいのでありますが、耐用年数をもう越えた施設もぼつぼつ出てまいりまして、その施設の建物の、更新ということがいま大きな問題になっておるのであります。昨年度から老朽施設に対する、更新のための国庫補助あるいは特別融資というような道も開いてきたのでありますが、この措置費の中で償却費的なものを当然見るべきではないかという議論がありまして、これも三十九年度予算で要求したのでありますが、いろいろ経営主体の問題とか民間社会の特殊性の問題とかいろいろな問題がありまして、ペンディングに終わりました。しかし、これは四十年度には何とか解決をしなくてはならぬというようなことで、現在検討を急いでおる途中でございます。
  102. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 その点、私は、特にお願いを申し上げておきたいと思うわけでございます。法人にすればいいわけでございますけれども、いろいろお寺とかあるいは宗教の関係で、必ずしも法人にできないという場合もございまして、私が私的に知っております個人の中にもたいへん悩んでおる方がございます。しかも、園長の給料というものはほんとうにわずかでございまして、中には多少経営上もうけ主義でやっておる方もあるかもしれませんけれども、全体としては、ただいまも申し上げましたように、ほんとうに社会奉仕的に長年やってまいりまして、とても新改築をする費用は出ないから、私一代でやめざるを得ないのではないかという悩みを持っておられる私設保育所の園主などを、私は何人も知っておりますので、ぜひこういう私設保育所についても、ただいま御答弁のございましたように、園舎の改築にあたりましては、法人でない場合でも、一定の低利の融資ができるとかあるいは据え置きをして、何とか新しく改築ができるような措置をお講じ願いたいと思うわけでございます。
  103. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実は、憲法なり地方自治法で、御承知のように、私人に対しては公費を出してはならぬという規定がございます。したがいまして、こういうような改築なり更新の費用を補助金としては出せないのであります。そこで、いろいろ研究しまして、措置費は、一種の委託費的なもので、個人にも出せるわけですから、措置費の中で何とか解決していきたいということで、償却費という構想を打ち出したわけでございますが、まだ十分検討ができませんでしたから、残念ながら予算化はできませんでしたけれども、そういう線で努力していきたいと思います。
  104. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 それからいま一つ、民間の保育所について、保育所の委託費の支払いが毎月一日の在籍人員によって支払われておるわけでございますけれども、これは現実の問題といたしまして、経営上たいへん困るということを非常に強く訴えられております。たとえば定員が百名でございまして、それに応じた最低の基準がそろっておりましても、もしその月の初めに九十五人しかない場合には、九十五人分しか委託費が支払われないわけでございまして、そういう点で赤字になるわけでございますが、そういう点について、何とか御改正をしていただくようなお考えはございませんか。
  105. 黒木利克

    ○黒木政府委員 事務の簡便化のためにそういうことをしたのでありますが、いろいろまだ検討の余地もあるようでありますから、施設に不利にならないように、改善すべきものは改善してまいりたいと思います。
  106. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 文部省のほうにお尋ねします。  先ほど大臣に御質問を申し上げたわけでございますけれども、ただいまの現実の状態といたしましては、幼稚園と保育所は、それぞれ当初の目的は違っているわけでございますが、地方においてはほとんど変わりないわけでございます。同じ年齢の子供が、片一方は教育の対象にされ、そうして保育所のほうの子供は保育の対象にされている、そういう点はたいへん不公平だと思いますけれども、文部省といたしまして、幼児教育のたてまえから、こういう点どういうようにお考えになっておられますか。
  107. 西村勝巳

    西村説明員 幼稚園と保育所でございますが、これは似たような運営がされているという御指摘でございますけれども、事実上そういうふうになっておるということでございまして、本来の目的は、法律によってやはり明確に違う。幼稚園は教育を行なうところでございますし、保育所は保育に欠ける幼児を収容することが本来の目的であるわけでございます。たまたまその設置のあり方、配置のあり方が非常に格差がある。そういうことで、たとえば幼稚園がないために保育所に行く、保育所がないために幼稚園に行くというような現象も見られるわけでございます。そういうようなあり方自体が問題で、やはり本来の目的に従って運営されるように、両方とも適正配置をやっていきたい、このように考えております。
  108. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私の御質問申し上げたのは、その点子供にとりましては四歳、五歳は、片方は働く家庭の子供でありあるいは貧しい家庭の子供で、幼稚園のほうは裕福な家庭の子供でありあるいは保育に欠けない家庭の子供が入っているといたしましても、子供自体にとりましては、私はこの点差があってはならないと考えるわけでございます。もちろん幼稚園のほうは一日に四時間くらいでございまして、保育所のほうは十時間近いような期間保育をするわけでございますけれども、教育の対象としての場合には同じ子供に区別があってはならないと考えますので、保育所に入っている子供にとりましても同じような幼児教育の場を与えなくてはなりませんので、その点について文部省はどういうようなお考えで努力していかれるのか伺いたいと思います。
  109. 西村勝巳

    西村説明員 その点については御意見に出ているとおりでございまして、保育所においても教育に関する限りは幼稚園の教育要領というものがありますので、その教育要領に従って教育をする、そういうことが望ましいと考えております。これは厚生省のほうともよく御相談をいたしまして、通牒を去年の十月二十八日に初中局と黒木局長で交付しております。地方に対して、保育所に収容している幼児に対しても幼稚園教育、要領に従って教育をすることが望ましいことでございますので、その方向によって指導していきたいと思います。
  110. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 望ましいというおことばだけでございませんで、具体的に現状の保母によってそういう教育もできていくとお考えになっておりますか。また保母の今後の資格等につきまして、あるいは教育等について、どのようにお考えになっておりますか。
  111. 西村勝巳

    西村説明員 これは厚生省のほうの管轄でございますけれども、私どものほうから申し上げますと、幼稚園の教育ができるように保母の資格として十分この指導要領を把握してもらう、そういう考慮が必要であろうと思います。その点については厚生省のほうからお答えがあると思います。
  112. 黒木利克

    ○黒木政府委員 先ほど文部省から申されましたように、幼児教育要領を保育所でも採用したい。ただ望ましいと書きましたのは、現在保母さんの中でこの幼稚園の教諭の資格を持っておる者が十分でございませんので、経過的な期間が必要だということでこういう措置にいたしたのでございますけれども、幼児教育の必要にかんがみまして、保母さんの資格を高めまして、幼児教育要領が幼稚園と同じようにできるように努力してまいりたいと思います。
  113. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私はこの点はぜひ、単に努力をするというような御答弁でなくて、具体的に実際保母さんによって十分に保育園教育ができるような、今後具体的な、たとえば保母さんの養成機関とかそういうものを御考慮願いたいと思うわけであります。現実に保育短大なんというものがございます。愛知県にもございますけれども、そこを出た方の就職の問題が案外うまくいっていないようでございまして、無資格な保母さんなどが私設保育所の中にはまだ非常に多いように考えますので、こういう点は監督をしていただきまして資格を備えた保母さんが十分に充実されるような方向に、格段の御努力を願いたいと思います。  私の御質問は大体これで終わるわけでございますけれども、最後にこういう社会福祉施設に働く職員の待遇の問題でございますが、現在この点は非常に恵まれておりません。私は先ほども申し上げましたように、こういう施設なりがほんとうに十分にその機能を果たして本来の目的に沿って活動するためには、その職員の待遇というものが非常に大事ではないか、充実と待遇というものが大切ではないかと考えるわけでございますけれども、一般の社会福祉施設に働いている方たちは現在でも非常に定数の基準が十分でないと思うのでございますが、こういう点につきましては、本日は時間もございませんので、私あらためて一括してまた御質問を申し上げたいと思いますので、この点保留をしておきたいと思います。  本日はこれだけで私の質問を終わりたいと思います。
  114. 田口長治郎

    田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時三十六会散会