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滝井委員 一万について二十三とか二十で問題になるのはどういうところかというと、主として
太平洋ベルト地帯における
都市で問題になるわけです。現在、すでに
医療金融公庫なり
年金福祉事業団で金を借りて、
病院を建てようとするところは
都市なんです。いなかにはあまりいかないのです。率直に言ってもうからないのだから。だから問題になるのはここなんです。こういう大
都市あるいはその近郊なんです。そうすると、そういうところでたとえば
統廃合しようとする。
福岡あるいは
大阪、
東京、
愛知というような
結核療養所のある付近は、もはや病床から言うと、大体ここにいう二十か二十三の近くにきているところですよ。そういう
地域で
統廃合が行なわれるということになると——
統廃合というのは、病床をふやすことよりかむしろ減すことのほうが多い。昔の陸軍の
療養所というのは、だだっ広くてたくさんの病床を持っています。そういう点を私は心配しているわけです。いま
医療金融公庫なり
年金福祉事業団から金を借りて、
病院を建てるところはどういうところかというと
都市である。しかもこれは、
国立療養所で
統廃合の
中心となる基幹的なものをここへ集約しようとする
地域に競合してくる。そういうときに、これは一番問題になってくるわけです。いなかには、いまも一万について
結核、精神が二十とか二十二、三とかいうのはないわけですから、これは心配ないわけです。ところが、そんなところに建てたってもうからぬから建てない。やはりどうしても、あなた方が集約をしようとする地区に競合が行なわれてくるということなんです。こういう点でこれは重大なんです。それを、あなた方の原案よりか答申が非常に多くしたというところに注目をしなければならぬ点があるのじゃないか、私はここを言いたいわけです。しかも一方、その地区では
統廃合が行なわれておるということになると、もうこれは先々になると——
結核については二割ぐらいまけていますよ。だから、だんだん損になるから、
結核が百万も減ったという統計も出たんだから、まさか逃げようとは
考えぬだろうけれども、国がだんだん手を抜こうという傾向があるのじゃないかという感じがするわけです。この際率直に言って、
医療の面で、
結核というものはもうからなくなってきたわけです。だから、
結核の
療養所を建てる人はいなくなったでしょう。それは国がだんだん
統廃合して、手を抜こうとするのと同じです。だからそういうことでなくて、むしろこういう
私的医療機関がやらない部面で
強化をして、そして
日本の
結核が、青年の
結核からだんだん中年、老人の
結核になりつつある、しかも依然として、統計面では百万ぐらい減っておるかもしれぬけれども、底流としては
結核患者というのはたいして減っておらぬぞ、ただ幾ぶん緩解をして、空洞を持っておっても栄養その他がよくなったために動いておるというだけだ、むしろそういうところを早くとらえて、この際西欧諸国と同じように
結核を根治する
体制というものをやろうとするならば、ここしばらくは積極的に、国が、さいぜんあなたが言われるようにいまこそ追い打ちをかける絶好のときだ。そして二百幾万かある
結核の
患者を、この際西欧諸国と同じように絶滅してしまうという
体制を確立するためには、
結核対策というのをいまこそ私は積極的にやらなければならぬと思うのです。いつも私は言うのだけれども、当初のうちは
結核結核と云っておった、今度はだんだん成人病、
ガンだ
ガンだと言う。いつの間にか、
結核は
ほんとうに根治しないうちに次の問題に移っていくという悪いくせが
日本にあるわけです。そういう点で、いまこそ
結核対策に本腰を入れるときだと思います。そして
結核をきちっとなくしてしまってから、次は
ガンなり脳溢血なり心臓病という成人病に向かってばく進していく、まっしぐらに進んでいく、こういう形をとるべきだと思うのです。その
意味でこの答申は頂門の一針だと私は思うのです。あなた方が減らそうとしたのを逆に現状維持だ、精神はこの際ふやしなさい、精神も逆に今度はカーブを上げてふやす必要がある、最近のストレスその他の
状態を見てもと、こういうことなんでしょう。その点は、あなた方よりも薬屋さんのほうがえらいです。池田
内閣が経済高度成長政策をとって経済がぐっと過熱するときは、薬屋さんはトランキライザーという精神安定剤を
出した。経済が高揚するときには人間がかっかするから、精神の安定剤を出さなければいかぬといって
出してくれた。そして経済が鎮静する、引き締め政策が行なわれるときには、アスパラで生き抜こうというハッスルする薬を
出したでしょう。こういうふうに、薬屋さんが一歩一歩先手を打っておるのです。
医務局の、ほうが後手です。そういう
意味で、いまこそ
結核に追い打ちをかける時期だ。だから、
結核対策はここ五年か十年くらいは力を入れてもらって、そして
日本から
結核がなくなった、そしてあるのは開放性の
結核で大きな空洞を持って
病院に入院している人だけだ、こういう形をとってもらいたいと思います。そういう点が、どうも
医療対策、
医療機関の対策についても、ポイントが抜けておるのです。どうですか、局長。