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1964-02-20 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十日(木曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君    理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君    理事 大原  亨君 理事 河野  正君    理事 小林  進君       浦野 幸男君    大坪 保雄君       熊谷 義雄君   小宮山重四郎君       坂村 吉正君    竹内 黎一君       地崎宇三郎君    中野 四郎君       西岡 武夫君    西村 英一君       橋本龍太郎君    藤本 孝雄君       松山千惠子君    粟山  秀君       渡邊 良夫君    亘  四郎君       伊藤よし子君    滝井 義高君       八木 一男君    八木  昇君       山口シヅエ君    吉村 吉雄君       吉川 兼光君    谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         厚生政務次官  砂原  格君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚生事務官         (薬務局長)  熊崎 正夫君         厚生事務官         (児童局長)  黒木 利克君         厚生事務官         (援護局長)  鈴村 信吾君  委員外出席者         文部事務官         (大学学術局審         議官)     村山 松雄君         厚 生 技 官         (薬務局製薬課         長)      平瀬 整爾君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 二月十八日  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案内閣提出第一〇六号)  社会保障研究所法案内閣提出第一〇七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案内閣提出第一〇六号)  社会保障研究所法案内閣提出第一〇七号)  厚生関係基本施策に関する件(児童福祉及び  医薬品に関する問題)      ————◇—————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  内閣提出戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び社会保障研究所法案の両案を議題とし、審査を進めます。
  3. 田口長治郎

    田口委員長 提案理由の説明を聴取いたします。小林厚生大臣
  4. 小林武治

    小林国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  戦傷病者戦没者遺族等に対しましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法、未帰還者留守家族等援護法、旧軍人等遺族に対する恩給等特例に関する法律、さらに昨年制定されました戦傷病者特別援護法等によりまして、各般の援護措置が講ぜられてきたところでありますが、今般さらに援護措置の改善をはかることといたしまして、この法律案提案することといたした次第であります。  次に、この法律案の概要について御説明いたします。  まず第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正であります。  その改正の第一点は、軍人軍属に対する公務傷病範囲の拡大についてであります。すなわち、現行法におきましては、軍人又は準軍人の大東亜戦争中にかかった傷病であって、故意または重大な過失によることが明らかでないものについては、これを公務上の傷病とみなし、これらの傷病により死亡したときは、その遺族に対し遺族年金及び弔慰金を支給することといたしておりますが、この範囲を大東亜戦争のみならず日華事変まで、軍人または準軍人軍属まで、さらに死亡のみならず傷病にまで拡大し、障害年金遺族年金等を支給することとするなど、公務傷病とみなされる要件を大幅に緩和いたしました。なお、日華事変中の故意または過失によることが明らかでない傷病にかかる障害年金及び遺族年金の額につきましては、現行障害年金及び遺族年金の額の十分の六といたすことといたしました。  改正の第二点は、日華事変以後の公務傷病に併発した傷病により退職後二年以内、結核及び精神病については六年以内に死亡した軍人軍属並びに戦地における勤務が六カ月以上で、復員後一年以内、結核及び精神病については三年以内に死亡した軍人軍属で、公務上の傷病により死亡したものであることの立証が困難な場合には、その遺族に対し遺族一時金十万円を支給することとしたことであります。  改正の第三点は、旧軍人恩給の停止から戦傷病者戦没者遺族等援護法の施行までの期間中に再婚し、同期間中に離婚により当該再婚を解消している戦没者妻等に対し、遺族年金等を支給することといたしましたほか、従来、何らの処遇もされていなかった判任文官等の内縁の妻、別戸籍の父母等に対して遺族年金等を支給することといたしました。  第二は、旧軍人等遺族に対する恩給等特例に関する法律の一部改正であります。  軍人が大東亜戦争中に勤務関連にかかる傷病により死亡した場合に支給される特例遺族年金支給要件を、大東亜戦争後の未復員期間中の勤務関連にかかる傷病により死亡した場合にも支給できるよう、その制限を緩和することといたしました。  第三は、戦傷病者特別援護法等の一部改正であります。  療養を中断したため療養給付を受ける権利を失った再発患者に対して療養給付を行ない得ることとするとともに、療養給付補装具支給等に関し、援護上の不均衡を是正することといたしました。さらに、療養中の戦傷病者死亡した場合に支給する葬祭費の額を増額することとし、また、これに関連いたしまして、未帰還者死亡の事実が判明した場合に支給する葬祭料の額についても同様に増額することとするため、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正することといたしております。  右のほか、所要の条文の整理を行なうことといたしております。  以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました社会保障研究所法案について、その提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、わが国社会保障制度は、経済高度成長国民生活の向上に対応して近年かなりの整備拡充が行なわれ、制度的には一応国民皆保険、皆年金の体制が確立を見るに至ったのであります。しかしながら、その内容をしさいに検討いたしますと、各種制度間に著しいアンバランスが認められるなどいまだ解決を要すべき問題は少なくありません。今後西欧先進国の水準への到達を目ざして社会保障制度計画的、合理的な発展をはかるためには、すみやかに社会保障制度全般を根本的に検討することが必要となっているのであります。  一方、社会保障制度を取り巻く社会的、経済的諸情勢をながめましても、経済成長地域開発の進展などとともに政府施策において社会面に対する配慮の必要性が高まっており、このような観点から社会保障に寄せられる期待もまたきわめて大きなものとなりつつあるのであります。また戦後の急激な人口動態変化に伴いまして、現在わが国人口年齢構造の面で著しい変化が生じつつあり、老齢人口増加若年労働力人口の減少などを通じてわが国社会経済構造を大きくゆるがしつつあるのでありまして、この面からも社会保障に多くの新しい任務が加えられているのであります。  以上申し述べましたように、わが国社会保障が当面する諸問題は、きわめて重大であるとともに緊急な解決が必要とされているのでありまして、このような観点から社会保障全般についての基礎的、総合的な調査研究機関設立が特に要請される次第であります。そしてこのような調査研究機関設立必要性につきましては、一昨年八月に行なわれた社会保障制度審議会の答申及び勧告におきましても強く指摘されたところであります。このような事情にかんがみまして来年度から特殊法人として社会保障研究所設立し、社会保障に関する海外の資料を求め、先進諸国の実情を把握するとともに、経済社会法制等広く関係専門学者の力を結集し、総合的な検討を加えることといたしたいと存ずるものであります。  本法案におきましては、以上のような研究所設立趣旨に基づきまして、研究所目的やそれを達成するための業務の範囲を定めるとともに、役職員の任命など研究所の組織に関すること、予算、財務諸表その他会計の方法厚生大臣監督等について規定しているのであります。なお、研究所の運営につきましては、その権威を高め、かつ、その独立性を保つよう配慮し、公正中立な立場から適切な調査研究活動が行なわれますよう特に慎重を期してまいる所存であります。  以上が、この法案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  5. 田口長治郎

    田口委員長 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 田口長治郎

    田口委員長 厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山口シヅエ君。
  7. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 私は、児生福祉に関する厚生大臣のお考えをお伺いいたしたいと考えます。  まず、児童福祉法は、昭和二十二年十二月十二日法律第百六十四号として公布をされました。当時の児童福祉法趣旨は、敗戦の結果わが国社会的並びに経済的状態が著しく悪化をいたしましたために、戦災孤児、引き揚げ弧児浮浪児、多くのこのような特異児童が発生いたしましたために、また青少年の不良化、さらに乳幼児保健状態もきわめて不良でございましたので、国民保健の根底を脅かす大きな問題であるということから、これら特異児童の保護を強化するためにこの法律が生まれてまいりました。その後社会の移り変わりに伴って、何度か予防的作用目的とした法律改正されてまいりました。現在では、一般児童社会的に健康な国民になるよう積極的作用に拡大されるに至ったことは、大臣御存じのことと存じます。したがって、現在の児童福祉法は、制定当時よりも一段と飛躍いたしまして、人つくりの一環とみなしてよろしいと思います。よって、この法律目的を達成させる最も重要な基点として児童遊び場、すなわち児童遊園地の問題に質問をしぼりまして、本日は大臣お答えを求めたいと思っております。  なぜ児童遊び場児童福祉法目的を達成させるかと申しますと、私は次のような考え方を持っておるものでございます。児童生活の大半は遊びであると私は考えております。児童にとって最も自然な生活であるとも考えております。児童遊びは、ほかからの強制を受けない自発的なものでありまして、遊びの中に自分だけの理想や夢を描き、自由な流れの中で自己満足を得ているわけでありますから、はこうした遊びを通して人間形成がなされていくと思います。でございますから、この遊び場というのは実に重要な意義を持っているものであると私は考えます。と同時に、遊びは、筋肉を適度に発達させたり、また知的にも発達させるものでありますし、集団の訓練もできますし、規則を守ることも覚えますし、不正をも覚えますし、またこれをきらうことも覚えます。友だちに同情したり、同時に共感の喜びも覚えますし、むき出しの感情を押える技術も覚えて、いわゆる情操教育を自然に身につけるということも、この遊びの中から生まれてくると思います。そして社会人としまして成長していく基点として重大な役割りを示しております。これらの理由から、遊園地設置児童のために必要欠くべからざるものであると私は信じておりますが、厚生大臣は、この子供たちのために最も必要欠くべからざる遊び場につきましてどのようなお考えを持っていらっしゃいますか、お伺いをいたしたいと存じます。まずそれを質問の一点にさせていただきます。
  8. 小林武治

    小林国務大臣 私は山口委員の御意見に全く共鳴するものであります。日本には昔から、よく学びよく遊べということがいわれ、よく学ぶほうは学校設備等一応整ったが、よく遊ぶほうがきわめて不完全な状態にありまして、今日都会等におきましても、交通事故とかあるいは不良化とか、こういったことが遊び場がないということが一つの大きな原因をなしておることは、お話のとおりであります。それで特に学校から帰ってからの問題が非常に大きな問題でありまして、学校におるうちは運動場もあるが、社会的施設としての遊び場が、東京都そのほかの大都市においては非常に少ない。どこの国に行きましても大都市には相当な面積の遊び場を持っているのに、日本住宅その他の施設に忙しくて子供のための場所がきめて不十分だということは、もうお話のとおりであります。私ども厚生省といたしましても、この児童遊園地の大事なことを特に認識いたしまして、数年来これらの施設について助成その他のことを講じてきたのでありますが、いまだ十分な成果をあげておりません。また私は、先般の閣議等におきましても、遊び場も大事であるけれども日本ではもう少しプールというようなものを社会的に設置したらどうか、私は特に、小中学校には全部プール設備を持つようにしてもらいたいということを文部大臣にも希望しておりますし、また学校から帰った者については市町村営プール子供プール、こういうようなものをぜひ設けたい。御存じのように子供が一番好きなのは水でありまして、水に入っておれば、飛び出したり悪くなったり、いろいろなこういうことが防げるということで、ことし初めてと思いますが、厚生省でも全国的に市町村営プールというようなものをつくるように勧奨もし、また若干の補助金等も計上いたしたつもりであります。こういうことで、遊園地を設けることが必要と同時に、遊園地を設けただけでこれを放置しておってはいかぬ。適当な指導員をつけろ。たとえば御案内のように遊園地で誘拐をされたとか、遊園地けがをしたとか、いろいろな問題がかえって起きておるのでございまして、いまのような遊園地管理方法ではいけない。専従の指導員を置くような方法考えたいということで、全くお話のことは私どもも同感でありまして、さような方面の努力を政府としてもいたしたい、かように考えております。
  9. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 ただいま大臣よりまことに誠意ある御答弁をいただきましたし、大臣のお考えも、子供たちのためにまことにしあわせだと私は喜びを感じました。その大臣のお気持ちにかんがみまして、おそらく厚生省としても、子供たちの将来のために理想的な計画、設計が立っていることだと思います。そこで本年度どのような予算をもってどのような御計画を立てていらっしゃるのか、ごく簡単でけっこうでございますから、お伺いをいたしたいと思います。
  10. 黒木利克

    黒木政府委員 児童遊園は、昭和三十三年から設備費国庫補助金制度が始まったのでございますが、明年度は、例年のように、児童遊園設備に対しまして二千三百万円の予算が計上されております。なお、先ほど大臣が申されたように、このほかに児童用プールとして新規予算が二千万円入りまして、従来から見ると約倍の予算増額になったわけでございますが、建設省児童公園も相当な規模予算が拡大したようでありますから、児童遊園児童公園と相まって、お説のような目的を達成いたしたいと思っております。
  11. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 そういたしますと、三十九年度は二千三百万円でございますか。前年度予算はどうなっておりますか。
  12. 黒木利克

    黒木政府委員 前年度も、児童遊園に対するものが二千三百万円であります。本年も二千三百万円でございます。それに児童プールというものが、新規に二千万円増額になった次第でございます。
  13. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 そういたしますと、この予算は三十二年度から頭を出したわけでございますね。三十三、三十四、三十五、三十六、三十七、三十八、この数年間の予算数字がおわかりになりますでしょうか。
  14. 黒木利克

    黒木政府委員 昭和三十三年度、初めてこの設備に対する予算措置が講ぜられました当時は三千五百万円でございます。それが三十四年度は三千万円に減額されまして、三十五年以来二千三百万円で今日まで至っておるのでございますが、明年度は、先ほど申しましたように児童プール、さらに二千万円追加されて四千三百万円、三十三年最高の時期よりもかなり増額を見たという次第でございます。
  15. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 それでは、大臣にちょっとこの予算の動きについて御質問申し上げますけれども、三十三年の予算が三千五百万円でございます。そして当時、これで何カ所設置されておりますか。
  16. 黒木利克

    黒木政府委員 三十三年は百九十二カ所でございます。
  17. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 本年は何カ所。
  18. 黒木利克

    黒木政府委員 百三十八カ所でございます。
  19. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 それは本年でございますか。百三十八カ所の予定でございますか。
  20. 黒木利克

    黒木政府委員 そうです。
  21. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 そういたしますと、大臣よろしゅうございますか、三十三年度は百九十二カ所設置いたしております。三千五百万円の予算を取っております。ところが、今回の予算の要求は二千七百万円で、百三十八カ所だそうでございます。先ほどの大臣お答え伺いますと、子供遊び場必要性を感じているということを強調されております。予算の数も減っておりますけれども、これに対して大臣はどういうお考えをお持ちでいらっしゃいますか。
  22. 小林武治

    小林国務大臣 いまのような推移は、私も非常に遺憾に存じております。建設省関係児童公園でございますが、こういうものは相当伸びてきておりまして、このほうはあとで御説明いただこうと思っておりますが、ことしは、いま申し上げましたように新しい施設としてプールをこの方面に導入する、こういうことになったのでありまして、そのために児童遊園そのもの予算はそうふえなかった、こういうことでございます。しかし、この点はわれわれも、非常に不満足、不十分である、かように考えております。
  23. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 大臣に申し上げるまでもなく、この数年間の物価の変動は、公園施設などにも相当な数字変化を示していると存じます。この設置個所予算関係どもやはり検討しなければならないと思いますが、現在遊園地一カ所どのくらいの予算設置していらっしゃるか、大体でけっこうですから、お答えをいただきたいと思います。
  24. 黒木利克

    黒木政府委員 実は児童遊園は、三十三年に発足した当時から補助内容は変わりないのでありますが、敷地の買収費予算化ができませんで、主として設備費であります。ブランコとかすべり台、あるいはジャングルジムとかベンチ、あるいは便所とか簡易飲料水設備というようなもので、基本額が五十万円でございまして、その三分の一を国が補助するということに相なっております。なお、建設省児童公園のほうは、現在二千八百九十カ所ございまして、これは児童遊園と同じように毎年二百カ所くらいずつ増加をいたしておるような状況でございます。
  25. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 そういたしますと、一カ所五十万円といたしまして、遊園地の中の設備は、大ざっぱに申し上げますとブランコすべり台、砂場、ジャングルジムのようなものをつけて、ベンチとお便所をつけて飲料水設備をして、電灯工事費ももちろん必要でしょうし、これらのものが一応設備されて五十万円ということになりますね。そういたしますと、大臣、ただいまは子供遊びが非常に複雑になっておりますし、近代化されてきております。昔風のすべり台あるいはブランコでは、とうてい満足するような公園はできないと思います。おのずと宝の持ちぐされ的存在になってまいります。子供の遊ばない遊園地という存在になってくると思います。そこで、ただいま非常に子供喜びます、スリルを味わうような複雑な遊び道具をここに設置いたしますと、おそらくこの五十万円程度では設備できないと存じます。例をあげて申し上げますならば、クライミング・スライダーなどという大規模すべり台は、私の調べたところによりますと、一台設置いたしますのに五十万円から百万円かかるということでございます。この点について、現代子供の遊ぶ遊び場を、いわゆる充実した遊園地をつくってやりたいという考えに基づいてこれらのものを設置するとしたならば、この予算に対して大臣はどういうお考えをお持ちでいらっしゃいますか、簡単でけっこうでございますから、お漏らし願いたいと思います。
  26. 小林武治

    小林国務大臣 お話のように補助対象も非常に少ない、こういうことを感じますので、これからひとつぜひ直してまいりたいと思います。
  27. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 それではもう一つ、くどいようでございますが、この行き届かない予算をもって数でこなしていらっしゃるおつもりですか、それとも内容の充実した現代子供が喜んで完全に遊ぶ遊び場になさっていくか、この点について確答をいただきたいと思います。
  28. 黒木利克

    黒木政府委員 実は建設省でやっております児童遊園と違いまして、児童遊園は主として幼児対象にいたしておりますが、幼児行動半径が非常に限られておりまして、交通事情等関係で自動車のひんぱんに通る道路を横切ることが危険でございますから、そういうような交通事情等を考慮して、児童の住んでおります付近の場所に小型な簡易なものをつくって、むしろ遊び設備よりも指導員遊び相手等が適当に相手をするというようなことを主眼にいたしておるのであります。しかし設備を整備した児童遊園のほうの必要もあると思いますから、実は国立子供の国を横浜と東京の隣接の地区につくりまして、ここは各県でつくる大規模児童園のいわばモデルを示しておるのでございます。こういうような問題は、本来は地方自治体がおつくりになるべきものでございまして、国としてはそれを奨励するという意味の奨励補助金でございますから、このような誘い水的な額でございますけれども、先ほど申しましたような大規模設備の充実したものも一方においてはつくっていく、また児童住宅のもよりのところに小型のものもつくっていくという両建てで進んでまいりたいという計画でございます。
  29. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 大臣にひとつ意見として申し上げたいことがございます。ただいまの答弁によりまして、内容の充実したものもつくりたい、数も多くつくりたいという二またかけた御意見のようでございます。どちらにいたしましても、すみやかにこの遊園地子供たちのためにできることを私は望んでおります。なぜならば、現在児童不慮事故が非常に増加しつつございます。児童の死ぬ原因の第一は、不慮事故となっております。昭和三十六年における十五歳未満児童不慮事故による死亡数は、約九千六百人を占めているということでございます。十五歳未満児童死亡全体の一三・五%を占めております。先進国の英国と比べますと約二倍だそうでございます。米国と比較いたしますと一・五倍だと申しております。非常に驚くべき現状であると存じます。特に最近著しくふえておりますものが交通事故死でございます。昭和三十六年度の警視庁の交通事故統計では、幼児、学童の交通事故原因はほとんどが路上遊戯だそうでございます。そしてそれによって死んでおります子供の数が二百三十四人、けがをいたしております子供が三千七百八十二人を数えております。これは全体の死傷者の約八%を占めておるのでございます。こうした事故は、やはり完全な遊び場が近くに存在しない、そのために路上で遊ぶ、それが惨事の原因になっていることは申し上げるまでもありません。また、日本で非常に多い事故は水死でございます。これは特に遊び場が不足いたしておりますので、都市部の子供たちは、自然に接したいということから水に近寄ります。そしてこれの犠牲になるという例が非常に多いのでございます。ただいま高層建築物が非常にふえてまいりまして、高いところで生活している子供たちも数多くなってきておりますので、こういう意味で健康的に非常に均斉のとれない子供もふえてきております。地方の子供たち、いわゆる農漁村の子供たちと比べまして上半身の発育が非常におくれている、運動機能が地方の子供よりも劣っているというようなからだの子供が非常にふえてきております。特に集中地域であります都市では、やたらにもやしのようにやせて背ばかり高いような子供たち、それからぶくぶくと太っているような子供たち、こういう子供たちがふえている上に、あのおそろしいくる病、ぜんそく、こういうものの数もふえております。これをこのままの状態にいたしておきますと、第二の国民である子供たちの健康のために重大な問題が起きてくるのではないかと私は考えております。国民健康のために憂慮いたしますので、この点につきまして大臣も特に御研究くださいまして、子供遊び場のために、より以上熱心なるお考えをお持ちいたただきたいと要請を申し上げる次第ございます。  先ほど大臣の御誠意ある御答弁の中で、特に児童遊園地児童公園指導員を置きたいというおことばがあったようでございますけれども、この指導員を置かなければならないということをお考えになっている以上は、これらに対しておそらく処置を講じていらっしゃることと存じますので、これに対する裏づけを大臣からお伺いを申し上げたいと存じます。
  30. 小林武治

    小林国務大臣 こういう児童公園あるいは児童広場は、当然自分の住民の子供を守るということで、第一義には市町村が自分の仕事として設置すべきものでありまして、それを政府がお手伝いする、こういうことであることは御承知のとおりでありますけれども、先ほど申したように、補助等も非常に少ないが、いわゆる誘い水として地方にやってもらうそのお手伝いをする、こういうことでありまして、私も、しかしこのような程度の補助ではいけない、対象の金額ももっとふやさねばならぬということで、少なくともことしは、いま申し上げたように児童用プールなどという新しい制度を始めたために、そちらのほうに多くの力をとられて、児童遊園のほうの予算がふえなかったという事情もありますので、来年度等はこれを相当程度増すということを厚生省としては申し上げておいてよい、こういうふうに思います。  それから指導員は、一般的に世間でも必要を認められておるのでありまして、私どもも、当然市町村は遊園地に付属して指導員を置くべきものだ、こういうふうに思いまして、多少の誘い水としての補助を出したいと思いましたが、ことしは政府部内の話し合いの上でこれが実現できなかったということで、非常にいま残念に思っております。しかし、地方団体としてはそういうものは必ず置くべきものだ、こういう考えを私どもはとりまして、地方にもさような要請をするとともに、私は来年度等においてはやはりお手伝いができるようになる、こういうふうに思っております。ことしは、出したが実現できなかった、こういうことで、遺憾ながらそういうお答えをせざるを得ないようになったわけでございます。
  31. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 大臣は、児童福祉施設最低基準の第六十一条の職員の項に、児童遊園には児童遊びを指導する児童厚生員を置くと定められておりますことを御存じでいらっしゃいますね。それで今回も児童厚生員の予算を要求なさったそうでございますが、どのくらい要求なさいましたのでしょうか。
  32. 黒木利克

    黒木政府委員 児童福祉法の最低基準には、ただいま御質問のように児童厚生員を置かなくてはならないという規定がございます。児童遊園には児童厚生員がいるのでございます。ただ、専任が残念ながら五%しかおりません。したがって五十数名しかおりません。あとは、ほとんど兼任あるいは民生委員が委託を受けてやっているというような状況でございます。そこで、国庫補助の対象にいたしました児童遊園には、一々ずつ指導厚生員を置きたいというので予算要求をしたわけでございますが、これは昭和三十八年から、児童館という同じく児童厚生施設に専任の職員を置く補助金が通りましたから、児童館の職員もこの児童遊園の運営に協力できるのではないかというようなことで一年見送られたわけでありますが、ただいま大臣が申されましたように、来年度児童遊園地に、あるいは建設省児童公園にも、厚生省としては厚生指導員を置くように努力いたしたいと思います。
  33. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 それでは、もし私の聞きましたことが間違っておりましたならばおわびしますが、厚生省では児童厚生員の予算を三千万円要求なさったというお話ですが、そうでございましたか。
  34. 黒木利克

    黒木政府委員 三百カ所の児童遊園地に対して、単価が年間十万円ということで、三千万円要求したことは事実でございます。
  35. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 それでこの要求が非常に中途半端なために、予算では無理なので予算要求をとりやめたということを厚生省の方が言っておられます。それも事実でございますか。
  36. 黒木利克

    黒木政府委員 実は、社会局のほうで市町村の社会福祉協議会の普及活動員というものを要求したのでありますが、結局、同じような町村の職員に対する補助のものでありますから、その調整をする必要上、むしろ社会局のほうで要求したほうがよくはないかということで、児童局がおりたということは事実でございます。
  37. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 これは厚生省のほうでおろしたのですね。
  38. 黒木利克

    黒木政府委員 そうです。
  39. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 厚生大臣、この点についていかがでございましょうか。
  40. 小林武治

    小林国務大臣 昭和三十九年度はやむを得なかったが、次の年度においてはこういうものは私も実現さしたい、こういうふうに思っております。
  41. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 それでは、先ほど大臣の御答弁にもございましたけれどもプールの話が強調されておりましたし、それから児童館のお話も強調されておりました。そしてこの児童館に置く指導員を兼任させるという御答弁でございましたけれども、このプールと、それから児童館に対する予算はどのくらいお取りになりましたでしょうか、また、設置数はどのくらいの予定になっておりますでしょうか。
  42. 黒木利克

    黒木政府委員 プールにつきましては、三十九年度は二十カ所、基本額は三百万円、国庫補助額が百万円でございます。なお、児童館は百七十カ所の新設の費用が計上されております。
  43. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 それで総額二千万円でございますか。
  44. 黒木利克

    黒木政府委員 プールのほうが総額二千万円でございます。
  45. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 それから児童館のほうはどうですか。
  46. 黒木利克

    黒木政府委員 児童館は設備費が一億円、それから児童館の運営費が二千二百七十万円でございます。
  47. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 そういたしますと、私、これはやはり聞き及んだものですが、二億円の要求をなさったというのは事実でしょうか。
  48. 黒木利克

    黒木政府委員 事実でございます。
  49. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 そういたしますと、設備に一億ごでざいましたか、いまの御答弁。二千万円が運営費でございますね。そうしますと、この運営費の中に指導員の職員の手当が入りますか。
  50. 黒木利克

    黒木政府委員 職員費として、年間国庫補助額が一カ所当たり十万円でございます。
  51. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 そういたしますと、この人が公園の指導を兼任するということになりますと、この児童館はどういう位置に設ける予定になっておりますか。
  52. 黒木利克

    黒木政府委員 できるだけ児童館と児童遊園というものを近づけたいと申しますか、児童館の近くに児童遊園、あるいは児童遊園の近くに児童館を設ける。いろいろ土地の事情等で困難な場合も多いと思いますけれども、そういうことをいま奨励いたしておるところでございます。
  53. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 そういたしますと、児童館というのは、設ける理由は、いま非常にふえておりますいわゆる両親共かせぎの留守をしているキーボーイ、それからスラム街の子供たちのためにということだったと思いますけれども、この児童館の指導員はそれで置くことができる。そういたしますと、プールのほうでございますが、二十カ所のプール——先ほど大臣からもたびたびプールの御発言があったようでございますけれども、三百万円でプールをつくる。このプールは保健設備、シャワー、トイレット、脱衣所、それらの設備はどういうことになりますでしょうか。含めてでございましょうか。と同時に、指導員の問題もひとつお答え願いたいと思います。
  54. 黒木利克

    黒木政府委員 プール補助内容は、浄化装置から便所、それから脱衣所、足洗い場等でございます。  なお、指導員につきましては、もよりの青年ボランチアと申しますか、学生ボランチア等の組織もいまだんだん活発に行なわれておりますから、適当な青年ボランチアに委嘱するなり、あるいは児童指導員の適当な方に委嘱するなり、そういうような運営でやってまいりたいと思っております。
  55. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 私は、ただいまの御答弁は非常に危険性を伴うと思います。実は私も、個人でこの大きさの屋内プール一つ持っております。毎夏千名の子供を無料で預かった経験もございますが、子供たちは泳げるまでは非常に水におびえるものでございます。またそういう子供が水に入ることを欲します。そこで私は、子供たちを水遊びさせる以上は、完全に責任を持つ者をここに置かなければならないと思います。どのくらいの大きさのプールをつくるのか存じませんが、三百万円程度のプールでこれだけの設備をつけるということになりますと、おそらく子供遊び場程度のものになると思います。水深も浅いものをつくるのではないかと私は予想いたしますが、子供というのは、ひざがしら程度の水にも精神的におぼれるという危険性を持っております。そこで陸上の遊園地以上に、水の中で遊ばすということは責任を持たなければならないと私は考えます。その点につきまして、指導員の問題に対してどのようなお考え方をお持ちになっていらっしゃるか。さらに、くどいようでございますが、厚生大臣からもう一言お答えがいただきたいと思います。
  56. 小林武治

    小林国務大臣 これも初めての試みでありまして、私どももなかなかいろいろの考え方が行き届かない点があると思いますが、これは御意見等を承って、そしてそういうようなことのないようにしたいと思います。  それから、何ぶんにもこれは、おそらく子供のあれで二十五メートルとかなんかのものになると思いますが、そういうことでありまして、私も管理については十分の注意をしなければなるまいと思います。また、いま予算上これらの手当てがあまりしてありませんので、よく実施者とも相談をしていきたい、将来はどうしてもお話のような指導員が要るもの、こういうふうに思います。
  57. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 私はこう考えます。予算が取れないから行き届かない、行き届くまでは子供の生命は犠牲になってもいい、裏返せばそういうように私は聞こえますが、重大な問題だと私は存じます。  そこで、なぜ私がこのような長い質問を申し上げたかと申しますと、私が要望いたします点はただ一点でございます。それは、ぜひとも遊び場指導員、いわゆる児童福祉法でうたわれております厚生員、これを置いてもらいたいということ一点にしぼられるのでございます。このごろ社会で続出いたしております子供たちの問題を顧みてみましても、わずかこの指導員の問題が解決つけば、これらの事件も起きなくて済んだのではないかというような問題が多々ございます。例をあげて申しますならば、最近の事件といたしまして、二月の四日に東京の葛飾区の本田渋江公園、これは児童遊園地でございます。ここでクライミング・スライダーから五歳になる女のお子さんが落ちて重傷を負っております。前の日には、やはり女のお子さんで三つになる子供さんが大けがをいたしております。これはけがをして、病院までかつぎ込んだのは十歳になる子供だったということでありますが、ここに指導員がついていたならば、おそらくこのような惨事もなかったのじゃないかと私は顧みて思います。  それからこの子供の問題でございますが、二月の初めには、幼い子供たちがいろいろな事故の犠牲になっております。このような危険な遊び場所に出すことを親が控えるために、できれば買いものに一諸に連れていきたい、あるいは子供が多ければ、手をつないで多くの子供を買いものには連れて歩けないから、家に残しておこうという考え方におのずとなります。このような親たちの考え方が、子供たちのために大きな事故を起こしております。たとえて申し上げますならば、これはやはり東京の事件でございますが、二月の七日に国電錦糸町駅の構内デパートで、駅ビル錦糸町で、エスカレーターが急停止いたしまして、二つになる男の子が重傷を負っております。公園遊びに行けば吉展ちゃん事件のような誘拐事件が起きる、またこのような大けがをする。そこで買いものに子供を連れていく、連れていった先がエスカレーターの事故が大けがをする。これではたまらないから家に置いて行こうとすると、これまた七日の事件でございますが、神奈川の川崎市旭町で起きました。五人の子供を家に置いて母親が買いものに出ました。五歳をかしらに五人の子供を年子で持っていたおかあさまでいらっしゃますが、このおかあさんが買いものに行っている間に、子供が火遊びをして四名が焼死いたしております。家に置いておけば焼け死んでしまう、買いものに連れていけばけがをする、遊び場に送り込めばまたけがをする、こういう状態では安心して子供を育てることもできませんし、心身ともに健康なよい子供も育成できないと存じます。そこでこれらの子供の問題が、法律でうたわれておりますわずかの指導員の問題で解決つくといたしますならば——もちろんこれですべてが解決つくとは申し上げませんが、何らかの方法で、これらの子供たちの生命にかかわる危険が防げればと私は考えます。それにはまず、法律で定められておりますこの問題を解決いたすことによりまして、これらの子供たちの保護をしてあげるべきであると私は強調いたします。この点につきまして、大臣はすみやかに指導員予算を取って、子供たちが安心して遊べる場所をつくってやりたい、こういうお考えをさらに強めていただくわけにはいきませんでしょうか。もう一度、この点について大臣の御答弁をいただきたいと存じます。
  58. 小林武治

    小林国務大臣 これは問題が起きれば私どもも十分反省をしなければなりませんが、住民の福祉とかいまのような問題は市町村がやるのが当然で、それを政府が指導したり助成したり育成したり、こういうたてまえに相なっておるのでありまして、むろんわれわれも補助をし、指導もしなければなりませんが、やはり何としてもこれは直接の管理者が十分注意をしてもらわなければならない。何か起きると政府の責任のようなことを言う傾きもありますが、政府も責任があるが、とにかく自分の住民を第一義的に保護するということは町村の管理者の当然の責任であるのでありまして、この点は政府も十分な注意をするが、市町村も十分な注意をし、また補助金がなければやらないなんという態度だけではこれはいけない、こういうふうに思うので、これは両々相まってしなければなりません。むろん市町村のやることを政府がお手伝いをする、こういうことは当然でありまして、いまの指導員等の問題も、実はこれはとにかく補助金がなければ置かないのだ、こういうようなことだけでもまた困ると思うのでありまして、直接の管理者としての責任も私どもは十分感じてもらわなければならぬと思うし、また、そういうこともできるように私どももお手伝いをし、助成をしたい、こういうことでいまの指導員の問題なんかも切実な問題でありますから、私どももそういう措置のできるようにしたい、こういうふうに考えております。
  59. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 大臣、ありがとうございました。  それでは、これは大臣への質問ではございませが、さらにつけ加えて質問させていただきます。  先ほどの児童館とそれからプール予算が取れましたのを、その予算の中から、現在すでに設置されておりますところの遊園地指導員を置くための予算を少し回していただくような考え方はございませんでしょうか。プールはこれからおつくりになるのでしょう。そうして指導員がいないわけでございますね。非常に危険だと思います。指導員のいない危険な設備を幾つつくっても、内容的には、これは私はあまり感心したものでないと存じます。たとえて申し上げますならば、ただうわべだけのものを並べて、実際にはその役目をしないということになるのではないかと思いますので、現在設置されております遊園地をより以上充実して活用できるように、そのためにはその予算遊園地のほうに回していただいてお使いになればよろしいのではないか、こう考えておりますけれども、その点どうお考えになりますか。
  60. 黒木利克

    黒木政府委員 実は町村に対する児童福祉職員の補助の問題として考えました場合に、単に子供遊び場の管理者のみならず、町村における児童福祉行政の職員の問題がより重大であります。これに対してもまだ国として国庫補助の道が開けていないのであります。ようやく児童館に対して人件費の補助の道が開けたのであります。そこで私のほうとしては、児童遊園の管理運営も含めまして、もっと広い意味で社会福祉関係について町村に補助職員を置きたいというようなことで、社会局と共同していろいろ予算折衝に臨んだわけでありますが、残念ながら実現ができなかったのであります。将来これはさらに努力をいたしたいと思いますが、ただ御質問の意味もよくわかりますから、児童プール等を補助する場合の交付基準と申しますか、町村に対する条件として御心配のないような、十分管理者が置けるというように町村に交付するというようなことで危険防止をしてまいりたいと思います。  なお、児童館の指導員予算児童遊園あるいは児童プールに回すということは、費目が違うものですから、予算を修正しなければ不可能であると思います。
  61. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 そういたしますと、厚生省としては、この法律でうたわれております指導員、すなわち厚生員を置くことば非常に重要な問題である、急がなければならない、来年度はそれにつとめる、こういうお答えでございましたですね。それで、今回の児童館並びにプール予算は、そちらに回すことはできないということでございますね。しかし、厚生省側の御答弁によりますと、これは地方自治体の責任で、われわれは一部それを補助してあげるのだというような考えがおありのようでございますけれども、私は、こういう問題は国が指導をするべきだ、逆であると存じます。国のPRによって、自治体がそれに基づいてその方向に前進していくという行き方が順序であると私は考えます。やはりこれらの問題は国の啓蒙に大きな力があるのではないかと存じますので、今後ともこの問題に対しましては私も追及を続けさせていただきたいと存じますので、大臣もよろしく、お忘れなく、この子供遊び場の問題並びに遊び場における指導員の問題に対しては、御熱心なる御研究を続けていただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと存じます。
  62. 田口長治郎

    田口委員長 大原亨君。
  63. 大原亨

    ○大原委員 私は、きょうは厚生行政全般の問題について質問いたしたいのですが、その問題は、逐次各論から総論へ行くということで結論のほうへ持ってまいりまして、きょうは最初に薬事行政全般の問題につきまして質問をいたしたいと存じます。  大体、厚生省における薬務行政については、私は患者の立場や国民の立場に立って考えてみますと、しっかりした方針がないのではないか、こういうふうに感ずるのでありまして、逐次具体的な問題について御質問いたしたいと存じますが、厚生大臣の薬事行政に対しましての簡単な所信のほどを最初にお聞かせいただきたいと存じます。
  64. 小林武治

    小林国務大臣 私も薬務行政が非常にうまくいっているとは思わないのでありまして、この行政の改善といいますか、方向づけについては相当な配意をしなければならぬ、こういうふうに思っております。せっかくの行政でありますが、どうも私もまだ十分この中に入って検討ができておりませんが、お話のような感は、私自身も持っておるということをまず申し上げます。
  65. 大原亨

    ○大原委員 きわめて率直でよろしいのですけれども、しかし、事はさように簡単ではないと思う。特に最近世上でいろいろ問題となった問題だけをとってみても、アンプル入りの飲料水が相当はんらんしている、こういうことで、最近厚生省は何らかの方針を出したようです。あるいはアンプル入りのかぜ薬を店頭で買った人が、中毒死したというふうな問題もございます。とにかく思わせぶりな効能書きをじゃんじゃん書き立てまして、そしてそれを簡単に店頭で自由に消費者が飲む。こういうふうな、これは全体の問題ですけれども、そういうところは、世界じゅうどこに行きましてもそんなのはないと思います。こういう事件が次から次へと頻発いたしておりますけれども大臣はそのことに対しましてどういうふうにお考えでありますか。
  66. 小林武治

    小林国務大臣 これらの問題については、もっと適正に措置すべきものと思います。
  67. 大原亨

    ○大原委員 アンプル入りの飲料水ですが、これと医薬品の内服薬との境は一体どこにあるのですか。
  68. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 大体、医薬品の基準といたしましては、アンプル入りの場合、容量につきましては百cc以下を医薬品として取り扱っておりまして、過般関西方面で医薬品まがいの飲料水を売っておるというその中身につきましては、効能、効果は書いてはおりませんけれども、アンプル入りであり、普通の医薬品と全く同じような形のものにしましてしかも中身につきましてはローヤルゼリー入りとかあるいはクコ入りとか、医薬品とまぎらわしいものであるということを発見いたしましたので、これを取り締ったわけでございます。
  69. 大原亨

    ○大原委員 私が質問いたしましたのは、医薬品であるものと医薬品でないもの、その境は百ccなんですか。というのは、これは世界で非常に珍しい状況だというのですが、御承知のようにこの四、五年来肝臓薬ブームがあるわけであります。最近は注射その他がございますけれども、しかし主として内服薬でありますが、そういうのがどんどん出回っておるわけです。たとえばドリンク用、びん詰めになったものが——一升びんのものは私見たことがないけれども、とにかくじゃんじゃんびんが大きくなっている。そうして、いまあなたが取り締まられたところの飲料水のアンプル入りの、思わせぶりないろいろな効能書きをやっておる宣伝とほとんど差のないようなものがあるのですけれでも、そういうものは、厚生省としては、はっきりした医薬品なら医薬品としての基準を設けて、取り締まりなら取り締まりをしていく、あるいは消費者に対して、国民に対して、患者に対して、安心のできるような行政上の措置をとる、そういう基本的な態度があるのか。そういう点について、ひとつはっきり、安心できるような説明をしていただきたいと思う。
  70. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 医薬品といった場合には、当然製造の許可並びに品目の承認が必要なわけでございます。先生も御承知のように、日本薬局方に登載されております薬につきましては、用量、試験法その他全部明示されておりますので、これにつきましては品目の承認は要りませんけれども、薬局方登載外のものにつきましては、その成分、用量、効能、効果等を全部、審査をいたしまして、それで品目別の許可を与えておるわけでございます。したがいまして、いわゆる薬局等で売られております医薬品につきまして、宣伝その他もございますけれども、これは許可の際に、効能、効果としてきめられた範囲のものをその薬のきき目としてうたっておる次第でございます。
  71. 大原亨

    ○大原委員 これは専門外で私もちょっと勉強しておるのですが、薬局方に登録されているのはそのままメーカーが製造できる、薬の製造業の許可を得たものができる、薬局方外の薬については品目別に許可をする、こういうことですが、逐次私は質問していきたいと思うのですけれども、これに関連いたしまして、最近日本の薬の生産量というものが、ここ四、五年来大体どのくらい増加したものですか。その中で、いわゆる肝臓薬と称せられる強肝剤あるいは保健剤といわれている薬の占めるウェートは大体どのくらいですか。
  72. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 最近の薬の生産量につきましては、ここ数年来非常に生産額は上がってまいっておりまして、毎年平均二〇%前後の生産の増加を示しております。これは薬事工業生産動態統計によります調査でございますが、三十七年度におきましては二千六百五十五億になっております。三十八年度におきましては大体三千億を突破するのではなかろうか、こういうふうに考えられるわけであります。
  73. 大原亨

    ○大原委員 五、六年前は。
  74. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 数字を申し上げますが、昭和三十一年は千三十七億、三十三年あたりになりますと千三百四十四億、三十六年が二千百八十億、こういうことになっております。その中で、先生御指摘のいわゆる強肝剤というものはどの程度かということにつきましては、はっきりした統計はまだ出ておりませんけれども、たとえば薬効分類別の生産金額でこういうふうな統計が出ております。アリナミンとかその他ビタミン剤として売り出されておるもの、これが昭和三十七年度におきましては二千六百何十億のうち五百五十億程度、その次は抗生物質、これが二百八十億程度、あと外皮用薬あるいは中枢神経薬というふうな分類のしかたで一応発表されております。
  75. 大原亨

    ○大原委員 経済活動が目まぐるしくなってまいりますと非常に疲労度が強くて、一方では交通地獄とかいろいろなことから精神的な疲れも多いわけですが、そういうときに、肝臓薬というものが最近四、五年来登場してきたわけであります。この強肝剤というのは一体何ものなんですか。私はしろうとだし、いろいろな宣伝がございますからお聞きするわけです。いまの抗生物質やビタミン等は一応常識的に承知しておりますが、肝心かなめの肝臓にきく薬というのは一体どういう正体のものですか、ひとつその点を明らかにしてもらいたい。
  76. 平瀬整爾

    ○平瀬説明員 ちょっと御説明申し上げます。  一般に肝臓薬と申しておりますのは、たとえば急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変症、その他の肝臓障害をおもにいっております。
  77. 大原亨

    ○大原委員 肝臓は五臓六脈の中でもその中心だというふうにいわれているのですが、それはともかくといたしまして、肝臓に対する強肝剤というものの正体は何ですか。商品名は別にいたしまして、日本薬局方に登録されている専門的な名前あるいは学名等、また作用、効果、そういうもので最近私ども消費者にとりまして非常に複雑な、まぎらわしい議論がたくさんあるわけでありますけれども、私ども国民が聞いてわかる程度において的確な説明がございますか。その点について一歩突っ込んでお答えいただきたい。そういう薬品の中身、成分が肝臓に対してどういう作用を及ぼして、肝臓薬として肝心かなめの肝臓に非常に大きな治療的効果を及ぼすか。これは皆さん非常に関心があるわけですから、その点ひとつ国民の立場に立って、いろいろな監督や行政をやっておる厚生省が、専門家の意見でよろしいからその見解を出してもらいたい。
  78. 平瀬整爾

    ○平瀬説明員 お答え申し上げます。  いわゆる新薬を許可いたします場合には、約五つのことについてわれわれデータをとっております。まず第一に、あるAという薬が肝臓にきくかどうか申請が出ましたときには、それの起源、オリジン、それと発見されたいきさつ、全部書いて出してもらいます。それからそのものの化学的な構造式とか融点が何度であるとか、いろいろな化学的な性状、それからいわゆる基礎実験資料でございますが、動物試験をやった、または試験管でもけっこうでございますが、毒性がどの程度であるか、また学界雑誌に発表されているかどうかということも審査の一つの大きな要件になっております。  もう一つの一番重要な点は、臨床試験による効能、効果の判定でございますが、これは二カ所以上の十分なる施設がある医療機関であって、しかも経験ある医師によって原則として合計六十例以上の臨床データをこちらに出させて、こちらで審査して、それに基づいて効能、効果も審査して許可しておるような状況でございます。ですから、十分なる施設があるところでやっているわけでございます。
  79. 大原亨

    ○大原委員 その薬事審議会の運営の問題については、最後に私は厚生大臣質問いたしますが、そのことじゃないのです。強肝剤といって、とにかく薬品の生産がどんどん上がっていくということは、患者がたくさんできたからだということになれば、これはあまり好ましいことじゃないわけです。生産が上がっているということは、輸出の関係もあるけれども、そのこと自体については私は問題ないと思うが、しかし、薬品の生産がどんどんふえて、どんどん消費されているという現実は、薬事行政や医療行政や保健行政から考えても、重大な問題だと私は思う。その中において、いわゆる強肝剤とか保健剤が数百億円に達するように、非常にウエートが大きいわけです。これは国際的に言っても、私もちょっと外国へ参りましたが、あるいはいろいろな話を聞いたり、あるいはお医者さんや評論家の紀行記を読んでみましたけれども、これは世界でも希有のことです。珍しいことです。この現象というのは世界的にないことです。これがいいことか悪いことかというような個々の結論はともかくといたしまして、私はその問題について、つまり強肝剤というふうに、人体の非常に大切な肝臓に対しまして有効な効力があるという強肝剤というようなもの、飲んですぐきくとか、飲んですぐ立つとか、いろいろな宣伝があるけれども、そういう強肝剤というのは一体どういう薬品か、どういう作用をしているのか、どういうように厚生省は判断してこれを医薬品として公然と国民の前に販売をしているのか、その専門的名前です。五つ、六つあるでしょう。それをあげて、簡潔にどういう効能なのか、こういう点を簡潔に、よくわかるように説明してもらいたい。
  80. 平瀬整爾

    ○平瀬説明員 強肝剤で一番有名なものとしまして、グロンサンだとかチオクタンだとかアスパラだとか、いろいろ許可になっております。先生おっしゃいますのは、それがなぜきくかということだろうと思うのでございますが、これはさっき申しましたように、まず臨床家に与えまして投与してもらって、まず対症療法できくかどうか、それが第一番だと思います。その次が、生化学的にこれがどういう経路できくのだろうかということに関しましては、何ぶんにもこれは体内のことでございますので非常にむずかしいと思います。それで、いまの学問でわかる範囲の生化学的な実験は、みなつけさせておるのでございます。ただ、体外からものを入れてその中で生きている人間ですから、どういうふうにそれが作用して、どこでどうなっていくかということは、生きている人間でわかる範囲のデータはみなつけさせております。
  81. 大原亨

    ○大原委員 いまそういう強肝剤をグロンサンやチオクタン、その他ずっとあげられましたが、大体保健剤、強肝剤といわれているのは何種類あるのですか。
  82. 平瀬整爾

    ○平瀬説明員 品目としては、有名品といいますか、よく市場で売られているものは、品目といたしまして十品目くらいでございます。構造式はおのおの違いますけれども、大体強肝剤といいますか、栄養補給剤として売られて  いるものは十品目くらいでございます。
  83. 大原亨

    ○大原委員 先般アンプルに入っている飲料水、やはり強肝剤、保健剤と同じような宣伝がございましたけれども、その問題に取り締まりましたね。そこの基準はどうなんですか。
  84. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 片一方の取り締まりました対象になる部分は、これは医薬品にあらず、つまり許可を受けていない。本来からいえば、当然効能、効果について厳重な臨床データをもらった上で許可をしなければならないものを、許可をしておらない薬品として、いわゆる無許可医薬品というふうに断定をして取り締まったわけであります。片一方、アンプル等で出ております分は、ただいま製薬課長が申し上げましたように、効能、効果その他についてデータをそろえてこれを許可したものであるということで市販にそれが出ておる、こういうことでございます。
  85. 大原亨

    ○大原委員 そこで問題は、臨床実験や生化学的な実験ですね。臨床例や生化学的な実験は、私は専門家でないからよくわからないが、順序が少し逆なんだけれども日本のように製薬会社が資料を出して、そうして厚生省が審査するというふうな、厚生省や、あるいは薬事審議会等に運動をすれば薬品として認められるような、そういう手続の簡単な形態というのは、アメリカとかイギリスの例、その他の先進国の例をいろいろ調べてみてもないのではないかと私は思うのです。薬に対する権威はない。薬に対しましては、日本人は非常に神秘的な信仰感を昔から持っておる。それに便乗しておるけれども、しかし厚生省がぴちっと権威を持って、これがほんとうにきくのはアスピリンであるとか、生ワクチンであるとか、いろんなものについてはこれはきくのである、そうしたはっきりした権威を持った機関で審査をして、そうして国民の前に安心して飲めるようなそういう形を示す、こういうことがまるでなっちゃいないではないですか。私はいま、有名な強肝剤といわれている強肝剤の許可申請の資料を出すことを事前に要求しておるのだけれども、申請書を出してもらいたいと思うのですが、そこに私は欠陥があると思うのだけれども厚生大臣いかがですか。
  86. 小林武治

    小林国務大臣 これはいろいろ世間でも言っておることもございましょうし、非常にむずかしい問題でありますが、一応厚生省としてはこれらの関係の権威を集めて、その意見を聞いて結論を出す、こういうことになっておるのでございまして、私も実は率直に申して、業務行政についてはいまのところあまり自信がありません。いろいろいま勉強をしておるところでありまして、従来厚生省も一生懸命やってきておるのでありますが、私自身もまだ多少の不安と申しますか、そういうものを持っていま検討しておるところであります。
  87. 大原亨

    ○大原委員 大臣は率直な御答弁ですけれども、私はその手続上の問題については、大切な問題ですからあとでもう一回申し上げますけれども大臣、外国では、たとえば味の素なんかというふうなものは、日本で製法が発見されて、製造されだしたらどんどん出ていったのですよ。いま日本では強肝剤は一つのブームをなしておる。ちょっと疲れたら強肝剤。しかしながら、その正体はわからないといわれておる。厚生省自体の機関においての専門家がそういうふうな論文を出しておりますよ。私はあとで逐次申し上げますけれども、その肝臓薬にはみな解毒作用、効能書きが書いてある。説明書きが書いてある。解毒作用とは何かというので、私はしろうとの考えでいろいろ専門家に聞いてみた。肝臓薬がはたして抱合解毒の作用、機能を実際に発揮しておるのかとうい問題について、私はいろいろしろうとなりに研究してみた。これは非常に問題だ。あとで申し上げますけれども、外国では不明確なものについて薬品の許可を与えないし、日本では薬品が市販されて、自由販売で店頭においてダンピングされながら百円のものが五十円になったり、三十円になったりして売られておる。こういうふうなことは世界じゅうどこにもない。日本において強肝剤と称するものがこれほどはびこっておって、それほど生産が上がっておるならば、貿易であるならば必ず外に浸透しておるはずだ、日本の科学技術の程度ならば。そういうことは国際的に見ても、日本のようなところはないといわれておるのだ。外国において日本の強肝剤がどんどん売れたり、非常に歓迎をされたり、関心を持たれたり、医薬品として人類の健康や福祉に大きな貢献をなしておる、そういう裏づけや事実、そういう国際的な判断をするような材料を大臣はお聞きになっておりますか。大臣も常識で判断する以外にない。専門家でないということなんだけれども、そのことについて、私はそういうことはないと言っておるのだ。いろいろこの問題について厚生省の中でも議論されたと思うのですが、そのことはどこかに問題があるんじゃないか、こういうふうに考えますけれども大臣、いかがでしょうか。
  88. 小林武治

    小林国務大臣 私はどうもしゃべることがあまり率直過ぎてどうかと思うのですが、私も実は肝臓をわずらって長く入院したことがありまして、この問題については自分でもいろいろお聞きをし、また厚生大臣になってからも、役所の中でいろいろあなたと同じような質問をしばしばいたしておるのでありまして、まことにどうも申しわけないのですが、私はこの問題についてあまり自信を持っておりません。それで、こういうことがいろいろ言われることは私は充分お聞きもし、私の参考になると思ってお聞きしておるのでございます。
  89. 大原亨

    ○大原委員 厚生省の公衆衛生院の佐藤先生という方が、「医事新報」に、質問に答えて論文を出しておられるのですね。これはいま政府委員のほうから説明がありましたけれども、それによりますと、質問は、「臨床上、肝機能亢進の目的でしばしばブドウ糖にビタミンやグルクロン酸製剤を混じて静注したり、或いはグルクロン酸を内服させたりしている。しかしこれが抱合解毒に役立たないとするならば、このような使用法は全くナンセンスなのであろうか、」というような質問をいたしておりますが、これに対して佐藤博士は、「グルクロン酸やそのラクトンが抱合されぬことは、アイソトープ実験で約一〇年前に何回も明かにされた。抱合グルクロン酸はブドウ糖に由来し、生体実験でも酵素実験の段階でも証明され、生化学の常識になっている。したがって低血糖などの適応のあるときブドウ糖を用いる理由があるが、グルクロン酸を抱合解毒の目的に利用するのは意義がないことになる。またグルクロン酸が抱合解毒に利用されたという報告があるとすれば、何処かにあやまりがあったか、深く反省を要する問題であって、アイソトープ実験をくつがえすほどの根拠を有するとは考えられない。」それから、東大の物療内科の高橋博士、それから山口医科大学から久留米大学へ行かれた栄養学の奥田教授、こういうふうな人の論文その他たくさんあるわけですけれども、それらがひとしく指摘いたしておりますることは、強肝剤がたくさん並べられておるわけですけれども、つまり肝臓に対する機能として抱合解毒の作用は決定的に否定されているのですよ。また、これはずっとあとではっきりしたことが書いてありますけれども、たくさんの強肝剤があるけれども否定されているのです、肝心かなめのそこに至っては。強肝剤有毒無効論というのがありますが、有害論については私はここで積極的に議論するほどの自信と知識がない。資料を読むことはできるけれども、知識はない。しかし無効論については、これを反駁する資料は、私はいろんな角度から検討してみたけれどもない。それでは一体何があるのかというと、ここに一つの効能書きに書いてありますようにカフェインとかエタノール。エタノールというのはアルコールで、カフェインというのは紅茶やコーヒーの中の成分らしいが、それを飲んですぐきく、即効性を持っている。若干の刺激剤あるいはアルコールというのは、アルコールを飲んだ経験のある人は多いわけですが、しかしアルコールはたくさん飲むと肝臓を悪くしますよ。すぐぽんぽんとドリンク用アンプルを飲む。だからそういう即効性の問題はともかくとして、強肝剤といわれている抱合解毒の作用が、実際上そういう強肝剤といわれているものの中にあるということを的確に立証するに足る、国際的に信頼するに足るような、そういう立証はいまだない。こういうのが、私は真実じゃないかと思う。有害論についてはなお将来議論するといたしまして、無効論ということについては看板に偽りありということについて、ほとんど決定的な結論が出ておるのじゃないか。将来、国民の健康に関係する問題であるから、それについて反駁する資料があれば私は議事録に残したいから、政府のほうで答弁をしてもらいたい。
  90. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 先生のだんだんの御議論では、つまり学者の中にも効果なりそれを否定するような方もいる、こういうお話でございますが、実はそういう点を問題にする学者もおりますけれども、片方において、確かに肝臓にきくということをおっしゃる学者もおられるわけでございまして、きくきかない等の問題につきましては学問上の問題でございまして、私どものほうの医薬品の許可の立場としましては、先ほどから申し上げておりますように治験例というものがございまして、大体これだけきく、少なくとも二以上の研究機関において最低六十以上の例でもってこれだけきくんだ、効果がはっきりしているものとすれば、これは当然きくということで私どもとしては許可せざるを得ないし、また、すべきであるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、有害とかいうお話は別といたしまして、きかないというふうなことは、厚生省としては何とも言えないということでございます。
  91. 大原亨

    ○大原委員 これは、局長の弁答は重大な答弁ですよ。あなたの記録を調べたらたいへんなことだ。理論的な学問上の根拠がないものを、業者のほうがきくきくと言って申請して運動したら認めるのか。厚生省が認めたら薬品である、こういう規定のしかたが正しいかどうか。私はしばしば問題を提起しているが、薬というものは命にかかわる問題であるから、簡単にかぜ薬だといってアンプルに入れてたものを、そうしたことを何も考えずに店頭で飲んで、死んだ人が実際最近に出ているじゃないか。そういう問題は疑いがある。たとえたくさんのうちで一人でも死亡者が出たり、犠牲が出たり、そういうことがあったら、医学の上から、治療の上から、あるいは薬品行政の上からは警戒すべき問題である、避けなければならぬ問題である。そういうものを学問上の根拠なしに、医薬品として政府は、手続きさえ通っていれば認めますというようなことは、実際にもって重大な答弁です。
  92. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 学問上の問題に対して別だということは、私が申し上げましたのを先生ちょっと誤っておとりいただいておりますので、私はそういう意味で申し上げたのではございません。強肝剤の効果について、世上でいろいろと学者の方が言われており、片方では、きかないあるいは有害であると言う方もおりますし、片方におきましては、いやそうじゃない、これを否定する方もおられますので、それについては学問上の問題として、私どもとしましては、学界でいろいろと論議していただくということを私は申し上げておるわけでございます。ただ厚生省としましては、製薬許可をするにあたってはやはり治験例をとるということで、十分検討された申請に基づいてこれを厳重に検査をして許可するという方針をとっている、こういうふうに私は申し上げているだけでございます。その点、誤解されないようにお願いいたします。
  93. 大原亨

    ○大原委員 誤解じゃないですよ。あなたは、学問上の問題は別だと言っている。そういうことが、人命を預かる医療の上において、学問と行政との関係の上においてそういうことが言い得るのか、そういう気持ちを持っているから、薬務行政というものが大混乱するのじゃないか。しかしながら、学問上は世界じゅう定説のないものを、人体に影響するような、肝臓等に影響するような治療薬として政府が認定するというようなこと、これはいけないですよ。学問上の議論は別じゃない、そのことは取り消しなさい、間違いです。そういうことが混乱させている。
  94. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 私ども申し上げておることが、先生がとられるような意味であるとすればいつでも取り消します。  それから製薬許可にあたりまして、私どもが学問上の問題を抜きにして許可をしておるというふうなことは、私どもは決してやっておらないのでございまして、これはたとえば新薬等を許可する場合には、厳重に薬事審議会の中で、学界の先生方の臨床の医科も含めお医者さん、あるいは薬学者、そういった権威のある方々の意見を聞きまして、十分検討した上で従来とも許可をいたしておるわけであります。ただ、新薬を一応許可しますと、現在の製薬界の大体の方針としまして、許可された新薬というものが一つ出てまいりますと、大体効能、効果についてそれと同じようなものが、いろいろな品目の名前を変えて、ちょっといろいろなものを足して加えて、そして新たに追加されていろいろな薬が出てくる、こういうような状況になっておることは、先生の御案内のことだろうと思います。
  95. 大原亨

    ○大原委員 問題は非常にたくさんあるのですが、大臣、こういうことですよ。学問上あるいは理論上はその根拠のないもの、定説のないものについて、薬品として議論があるものについて許可するというふうなことは、私はどうかと思う。私が実際にこの論文を読めばまだたくさんある。しかし、たとえばそういうふうにいわれている一つの例にグルクロン酸をあげたけれども、それが抱合解毒の作用はしないのだ、これに対する反論は国際的にないのだ、そういうことを学者が、栄養学上久留米大学の奥田教授も言っているし、それからおたくのほうの公衆衛生院の佐藤博士も言っている。それから東大物療内科の高橋博士も言っている。そういうふうなことに対して有力な反論が日本ではないし、国際的にはこれが定説だといわれている。それをくつがえすような理由がない限りは、強肝剤と称して公然と市販して、乏しい財政の中から一般庶民が、疲れた方の中には何とかひとつ元気に生き延びようとしてぽんぽん買って飲む、こういうようなことは少し薬務行政のあり方としては問題じゃないか。私は有害論については、私も確信が持てないからここで議論は取り上げない。しかし無効論については、これはだんだんと、三、四年前の広告と最近の広告の間には表現において差がある。ビタミンを強調したり、カフェインを強調したり、エタノールを強調したりして強肝保健剤のような性格を帯びているけれども、しかしその中に必ずあるのは、あなたの肝臓はというような急所をさしたような、指摘したような宣伝がある。だから肝臓に解毒作用としてきくような、そういう成分をあげてどの強肝剤も説明しているのが特色ですよ。私はこの中に持っているけれども、私どもしろうとが考えたって常識上、学問の世界やあるいは理論の世界をのぞいただけだって、こんなにあぶないことをやっているのは国際的にも、世界的にもないのじゃないか。厚生大臣、国際的に強肝保健剤がこういう店頭でこんなに簡単に売られている国があるという知識をお持ちですか。
  96. 小林武治

    小林国務大臣 知識を持っておりません。
  97. 大原亨

    ○大原委員 つまり味の素の話じゃないけれども日本においてこれが効果があるというふうに客観的に効果があって、厚生省に対する申請書の中で権威があって、学術的な権威が高くて、そしてそのことが許可された基準として国際的に知れ渡った場合には、これは権威があるものだというふうに認められるならば、それはその輸出商品等の裏づけになって国際的にどんどん出ていくんだ、出ていくべきはずだ。日本において数百億円に及ぶような、そういうことは——私は決して個人的なことを言っているわけじゃない、ないけれども、やはりほんとうに医学の進歩や人命の尊重という観点からこれはおかしいではないか。その点について、政府としては、厚生行政の中においては理論的な、学問的な根拠を明確にして、みながこれに対して信頼が置けるようなことをするのが、厚生省の実体であるべきではないか。単に、手続がこういうふうに整っておるからどんどんやっております。こういう、ふうなことでは、これは一体だれのための薬務行政であるか、厚生行政であるか。国民や患者のための厚生行政であり、薬務行政であるか、薬品メーカーの手による薬品メーカーのための厚生行政であるのか、そういうことになるじゃないか。ましてや学問的な効果の裏づけを軽視するような、そういう議論というものは、全然私は薬務局長の今日の時点における問題ではないと思う、長い間のしきたりであると思うけれども、私は、薬務行政については根本的にやり直すべき段階に来ているのではないか。厚生大臣の所見をひとつはっきりしてもらいたい。
  98. 小林武治

    小林国務大臣 私もいま大原さんの御意見を聞いて、こういう問題が国会で論議されて、大いに注意が喚起されるということは非常にいいことだ、こういうふうに思っております。冒頭申し上げましたように、私も厚生省の仕事をいろいろ担当しておりますが、この方面についてはまだ十分の検討はなされていない。私自身も多少の腹案をもってこれに対処しているのですが、これらの行政の改善ということに対しては、どうしても私は十分な検討を加えなければならぬと思います。
  99. 大原亨

    ○大原委員 ちょっとこれに関連しまして、文部省見えていますか。——文部省にお聞きするのですけれども、公立や私立の医科大学ですね。皆保険の今日では非常に大切な教育なんだけれども、医科大学における研究費ですね。そういう専門家の学者、教授、助教授、講師その他の研究費というものはどのくらい確保されているか。これが第一点。それから政府が出した研究費以外に、大体どういうところからどのくらい研究費が出されているか。これが第二点。これはあらかじめ問題を提起してまいりましたから、その点を明らかにしてもらいたい。
  100. 村山松雄

    ○村山説明員 医科大学関係の研究費でありますが、公私立につきましてはつまびらかにいたしておりません。国立大学について申し上げますと、現在国立大学の医学部におきましては、研究費の積算は講座あたり幾らという積算で、その大学の講座数に単価をかけたものを配当いたしておるわけであります。三十八年度の単価で申し上げますと、医学部の講座は、基礎と臨床という二つの区分になっております。基礎と申しますは、解剖学、生理学、病理学、直接診療に関係のない講座でございます。この基礎講座の分が約二百五十万円でございます。それから臨床講座、つまり内科、外科、小児科、産婦人科等、診療に関係のある講座の研究費が二百八十万でございます。この単価にその大学の講座数をかけたものが、大学全体の教官の研究費ということになるのでございます。もっともこの教官研究費は、この単価に講座数をかけたもの直ちに教室まで全部流れていくわけではございませんので、その間に若干の共通的な管理費、光熱水料等が差っ引かれまして、大体三分の二ないし四分の三程度のものが教室に流れていくわけでございます。これが国立大学の運営費の中の一番根幹をなすものでございます。このほかに国費といたしまして、文部省所管の科学研究費という費目がございます。科学研究費の昭和三十八年度の実績は、医学部関係に渡りましたものが約六億円ございます。それから国費以外の研究費でございますが、国立大学においての一番正規の経理のいたし方といたしましては、用途指定寄付金という費目を用意しております。三十八年度につきましては、約三億円のワクでございます。これは医学部だけではございませんで、各学部を通じまして三億円の用途指定寄付金という費目を用意いたしておりまして、この費目のワク内で具体的に用途を指定いたしまして寄付の申し込みがありますと、その寄付金を歳入に受け入れまして、その指定した費目の歳出予算をつけるということになっております。三十八年度の実績は、大体予定いたしました三億円のワクを超過いたしておるようでございます。これが医学部関係にどれだけいっておるかは、詳細なところつまびらかにいたしておりませんが、おもなものを若干拾ってみますと、たとえば九州大学の医学部に対して生命保険協会から百万円、これは心臓血管の研究費として用途指定をして寄付がなされております。それから熊本大学の医学部でロックフェラー財団から研究助成金、これは特にあまり限定的な用途指定をいたしておりませんが、そういう費目で八十万円の寄付金がなされております。それから東北大学の医学部で、千代田生命から社会厚生事業に充ててくれということで四十万円の寄付金がなされております。それから東京大学の医学部に対しまして、東洋レーヨンから科学助成金という名目で五十七万円、それから名古屋大学の医学部にロックフェラー財団から、科学研究費というやや包括的な名義で八十八万円こういうものがおもなものでございます。それから公私立大学はつまびらかにいたしておらないわけでございまして、大学によりまして、中には国立大学以上の研究費を用意されておるところもあろうかと存じますが、いろいろ視学委員などの調査の結果を総合判定いたしますと、一般的には国立大学より研究費の費目は少ないようでございます。公立大学で平均して半分程度、私学はたいへんまちまちのようでございますが、やはり国立大学に比べてはかなり遜色があるようでございます。それから公私立大学に対する部外からの研究費の受け入れにつきましては、これは現在全く資料がございませんので、お答え申し上げることができないわけでございます。
  101. 大原亨

    ○大原委員 公私立大学に対する部外からの、特に製薬会社等からの研究費等の寄付についてはつまびらかにしないということですが、私は大切な問題だから申し上げるのだが、各公立、私立大学に製薬会社が研究費を寄付することは悪くない。問題はしかたです。つまり世上一般では、一番大きな研究費というのは、製薬会社が国立、公立、私立、それぞれの大学の研究者に対して出すところの研究費だといわれておるのです。研究室やその他が製薬会社ごとに系列化されておるといわれておる。私はその受け入れ方やこれをどう運用していくかという問題について、外遊費やその他どんどん出るそうだけれども、これは野放しにすべきではないと思うのです。そうしますと、よほどしっかりした学者やお医者さんでないと、国是のための医療としてはこうあるべきだという点についてなかなか発言ができない。私が研究について指摘したい点は、時間の関係で簡単に言うと、一つの講座について二百万円や二百八十万円の研究費などというようなことで、一年間こういう医学の研究ができるかということです。文部省にしろ厚生省の医療行政の上から見ても、そういうことで国が医療について、学閥の進歩に応ずるはっきりした責任を持つというようなことになっておるのかどうか。そして、とかく弊害がとやかくささやかれておるのは、いろいろ最近の週刊誌や雑誌等にも出て問題になっておるけれども、とにかく製薬会社と研究室が直接に系列化されていくというようなことは、ほんとうに国民のために医療をやる学問の権威を確立する上において、長所もあるだろうが弊害が多いのではないか。国務大臣としての厚生大臣、いかがですか。
  102. 小林武治

    小林国務大臣 お話のような弊害もあろうと思うのでありまして、これらの問題についても、やはり相当な考慮を加えなければなるまいと思います。
  103. 大原亨

    ○大原委員 政府がちゃんと研究費を出すべきですよ。しっかり研究費を出さなければだめですよ。学問や科学の進歩ということが今日の世界でどれだけ国民の福祉に関係があるか、そういう考え方が足りないと思います。  もう一つ私の申し上げたい点は、時間の関係ではしょって申し上げますが、薬事審議会の構成、それから薬事審議会は三つの段階があるそうでありますけれども、大体年に何回くらい開いておりますか、第三点は、新薬をどのくらいここで許可しておるのか。
  104. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 薬事審議会の構成は、中央薬事審議会の中で常任部会と局方部会と二つの部会に分けてありまして、それ以外に特別部会ということで十一の特別部会を持っております。それで新薬の許可につきましては、原則として薬事審議会にかけるという方針をとっておりまして、従来とも新薬は大体二百くらい薬事審議会にかけてこれを許可いたしておりますが、許可のしかたとしては、大体特別部会の中に新薬の特別部会を設けまして、その特別部会の下に調査会ということで、臨床医家を含めましたいわゆる下部機関としての徹底的な審査をやる、それで調査会で結論が出た場合にそれを特別部会にかける、特別部会は委員が大体二十四、五名おりますが、その二十四、五名の方々で審査をしていただいて、その結果を常任部会に持ち込んで決定する、こういうやり方をやっておるわけでございます。大体薬事審議会の構成といたしましては五十人でございますが、ほかに臨時委員が六十名くらいございまして、全体で百名をこえる委員を任命いたしておるわけであります。したがいまして、常時行なわれております薬事審議会の活動といたしましては、特別部会の活動が主体である、かように御了解いただきたいと思います。そうして特別部会で審査いたしましたのを常任部会にかけて常任部会で事実上決定しておる、こういう運営をやっておるわけであります。
  105. 大原亨

    ○大原委員 特別部会は年に何回くらい開いておりますか。
  106. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 大体年に四回くらい開いておるということでございますが、しかし特別部会の中身が、たとえば新薬につきましては新薬特別部会がある、あるいはサリドマイドの問題がありましたとき以来やっております安全性部会、いろいろな部会がありまして、部会によってはひんぱんに開かれることもある、こういうことに御了解願いたいと思います。
  107. 大原亨

    ○大原委員 調査会は、構成員は何名でどのくらい開いておりますか。
  108. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 大体六人くらいを主体にいたしております。
  109. 大原亨

    ○大原委員 調査会は一番の原案をつくるのだ、こういうことですが、大体六人くらいできまっていくということになると思いますが、それで特別部会につきましても、年に四回くらいなら一カ月に一回も開くのではないでしょう。ですから、そういう薬品審査の問題について、もう少し国民の立場に立って考えてみると、やはり権威のあるようなそういう措置をしなければ、役人とメーカーあるいは役人とそういう個々の学者、こういうものがどうしてもやはり人情的にからまってくると思うのです。だからもう少し私は、最初に申し上げましたが、新薬品の許可とか取り消しとか、そういうふうな問題については第三者的に、客観的に、科学的に権威のある、そういう審査機能を確立すべきじゃないかという問題点が一つと、それからもう一つ意見は、病理学的な、専門的なそういう検討と一緒に臨床学的に、科学的に立証されるような、そういう段階を設けて、そしてそれぞれ公私の大学の病院その他が機能を果たすというふうな、そういうことにしなければ、書面審査やあるいは若干の会議等におけるそういう議論等による審査では、名誉教授級とか教授級とか、委員にはいろいろ段階があるそうだが、しかし、実質的に、私が短い時間であるが、議論したような問題点についての解決はできないのではないか。薬事審議会のあり方について、もう少し客観的に、科学的に、国民の立場からも権威が持てるような、そういう運営のしかたをするような機構について再検討をすべきではないか。これは問題点の一つでありますが、この点について、厚生大臣、いかがです。
  110. 小林武治

    小林国務大臣 私は、役所の中の一つの欠陥をして、実は厚生省も自分でやる仕事、予算を取る仕事が非常に忙しくて重点が置かれる、したがって監督行政的なあるいは取り締まり的な面が多少手が抜けておる、こういう感を私は役所の通弊としていま考えておるのでありまして、先ほど申し上げましたように、薬事行政につきましては私もいまの多少の不安を持っておるというのはそういう意味であります。お話のようなことは非常に大事なことでありまするので、これから私も十分の力を注いでいきたい。ことにふだん、薬務行政につきましては主管者の局長と大臣との接触も比較的少ない、こういうところに大きな欠陥があるのでありまして、これらにつきましても十分私は考えなければならない。また、薬事審議会のあり方についても、お話のような方向でぜひひとつ検討したい、かように考えております。
  111. 大原亨

    ○大原委員 厚生省の役人をしている人が業界へ出ていくということは、通産省、大蔵省その他たくさん例があるわけですから、そのこと自体は、いまの官僚制度の中で、官僚は一生涯専門的な仕事に従事できるというふうにすべきですけれども、五十四、五になったら定年だというようなことでいられぬ場合があるわけです。しかし、そう一いう面でも——あまりそういうことの具体的の問題を、私は持っているけれども申し上げぬけれども、しかしあまりストレートな役に、役人をしておられる方がすぐそういうふうな大きなメーカーとのつながりがあるようなことは、やはり行政の姿勢からいって正すべきではないか、自主性を持って処理すべきではないか。原則として職業は自由です。自由ですけれども、結局は運動して、運動の効果があった者がまた逆に流れていくというようなことになれば——それはないだろうと確信するけれども、しかし、そういうことが想像できるようなことが巷間にいわれるというようなことは、これは行政の姿勢を正すべきであろう。厚生大臣、いかがですか。
  112. 小林武治

    小林国務大臣 お話のとおりで、私どもとしても、また厚生当局としても十分反省しなければならぬ、かように存じております。
  113. 大原亨

    ○大原委員 公取に質問いたします。  誇大広告ですが、日本人は外国人に比べて肝臓が悪い、米を食べるから肝臓が悪くなるのだ、こうずいぶんいわれておる。私もそうかなと思って、大めしを食うのだけれどもその点は自粛しよう、そういう気持ちがないでもない。それはともかくといたしまして、いままでの議論をお聞きになってわかると思いますけれども、肝臓の学問的なことで、局長答弁等で問題になったけれども、事実中身、ことに医薬品に関係して、人命にかかわるような問題について誇大な広告がある。大体、肝臓の治療というものは相当長期にかまえてやるべきであるが、肝臓の薬で飲んですぐきくというような、混合しておる材料のカフェインやアルコールのことなどを言っているらしいけれども、そういうことをやる。飲んだらすぐきくものもあるけれども、そういうことで、じゃんじゃん極端な宣伝がなされておる。飲料水の宣伝なんかもそうです。私は色もの牛乳その他についてもやりたいと思うが、きょうは時間がないから機会をあらためますが、事薬品に関して誇大な宣伝ということは、これは私はいけないのじゃないか、去年つくった法律に抵触するのじゃないかと思うが、いかがです。
  114. 竹中喜満太

    ○竹中政府委員 御承知のように一昨年、不当景品類及び不当表示防止法が制定されまして、誇大な表示を禁止しております。ちょっと申し上げますと、商品の「品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示」、こういう表示はやってはならぬことになっております。したがいまして、表示と内容が違うということになりますと当然これに抵触するわけでございますけれども、医薬品につきましては、私どもどうも知識がございませんので、はたしてその表示と内容が違うものかどうかということがなかなかわからぬ。それがすぐわかるものにつきましては、排除命令を出したり何かしておるのでございますが、医薬品につきましては、やはり権威ある試験所なり研究機関で検査していただいて、これは表示と違うということがある程度はっきりできぬと、私のほうも自信を持って処理できぬと考えます。
  115. 大原亨

    ○大原委員 公取というのは、問題を提起したりあるいは自分でさがして摘発したりするのだろうと思いますが、私はきょうはこの問題を提起しておきます。  それで、印象広告ということがいわれておる。誇大広告の一つの印象広告、当たらずといえども遠からず、こういうもの、ばく然とぱっとやってムードをつくる印象広告、これは誇大広告ですか何ですか。
  116. 竹中喜満太

    ○竹中政府委員 その印象広告で表示されておることが実際と違っておるということであれば、誇大広告になってくると思います。
  117. 大原亨

    ○大原委員 この問題は、なかなか議論しにくい問題だ。議論としてはむずかしいし、なかなか議論が起きてこなかった問題ですが、これは私はあえてこの席上で取り上げたのであります。しかし、問題を提起いたしましたことで私が国民の常識、良識という立場に立って考えると、私は薬務行政にはたくさん問題が山積しておると思うのです。それで、国民の乏しいふところの中から数百億円のそういう強肝剤がどんどん出ていくというふうな現象は、格別に日本人が肝臓が悪いというふうなことは、これは統計がありますが、肝硬変で死んだのを見ると、日本はアメリカ、イギリスよりもうんと少ないのですから、そういう日本において肝臓薬と称するものがどんどん宣伝されるということは、薬務行政自体にいろいろ問題があるのじゃないか。したがって私は、この問題点については後刻委員長とも御相談申し上げ、与野党の理事とも御相談申し上げて、ここの質疑応答でははっきりしないから、場合によっては、それぞれ権威ある参考人に本委員会に出てもらって、そしていろいろ意見を述べてもらう。私も一方的な意見や宣伝をしようというつもりはありません。そして権威ある薬務行政を確立するために、国会として当然努力すべきじゃないか、これは国会の非常に大きな責任じゃないか、こういうふうに考えるのであります。したがって、若干の今後是正すべき問題点等につきまして質問申し上げましたけれども、この問題についておざなりなことでなしに、すみやかに責任ある機会を持たれて厚生大臣は十分部内において討議をして、そしてこれについての確固たる、国民が納得できる政策をつくってもらいたい。そういう点を最後に申し上げるわけですけれども厚生大臣のそれに対する所見をひとつ明らかにしてもらいたい。
  118. 小林武治

    小林国務大臣 私は、国会でこの問題が提起されたことは非常に適当である。また、われわれがこれについて十分な反省をする。また、世間の関心も、これに注いでもらう。こういうことのためにこれを質疑されたことにつきましては、私はむしろ感謝申し上げたいと思います。その気持ちで私もこの問題に取り組んでいきたい、かように考えております。
  119. 田口長治郎

    田口委員長 本日は、これをもって散会いたします。    午後零時四十二分散会