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1964-02-13 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十三日(木曜日)    午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長代理理事 田中 正巳君    理事 小沢 辰男君 理事 亀山 孝一君    理事 澁谷 直藏君 理事 大原  亨君    理事 河野  正君 理事 小林  進君       大坪 保雄君    熊谷 義雄君      小宮山重四郎君    地崎宇三郎君       中野 四郎君    西岡 武夫君       西村 英一君    橋本龍太郎君       藤本 孝雄君    松山千惠子君       粟山  秀君    渡邊 良夫君       亘  四郎君    伊藤よし子君       滝井 義高君    長谷川 保君       八木 一男君    八木  昇君       山田 耻目君    吉村 吉雄君       本島百合子君    吉川 兼光君       谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         厚生政務次官  砂原  格君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      若松 栄一君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (薬務局長)  熊崎 正夫君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   船後 正道君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 二月十二日  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案  (内閣提出第八九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件(結核対策に関  する問題等)      ————◇—————
  2. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 これより会議を開きます。  午後零時三十分まで休憩いたします。    午前十一時二十三分休憩      ————◇—————    午後零時五十四分開議
  3. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。長谷川保君。
  4. 長谷川保

    長谷川(保)委員 三十八年度に約千五百万円を使って国内三百地区にわたって結核のいわゆる実態調査をなさったそうでありますけれども、聞くところによると、その調査の結果が最近集約されたということであります。その調査結果を伺いたいのであります。
  5. 若松栄一

    若松政府委員 実態調査の結果はただいま集計中でございまして、大体集計の完了するのはこの三月末ないし四月の初めと存じております。ただいまのところ中間的な大まかな数だけをまとめておりますので、その傾向だけを最初申し上げたいと思います。  総体の患者数でございますが、いわゆる医療を要する者と、医療は必要としないがなお観察を要する者と二種類に分けてございます。医療を要する者が、三十三年の実態調査におきまして三百四万人ございました。これは全国に引き伸ばした全国推定数でございます。それが今度の三十八年度の調査では二百三万人、結局約百万人減少いたしました。それから要観察と分類いたします者が、三十三年に百四十七万、これが三十八年には百四十一万、したがって、両者を合わせますと、四百五十一万が三百四十四万になったということでございます。これが患者総数推移でございます。  この内容につきましては、詳細はいま集計中でございますが、およその要点だけを申し上げますと、年齢階層別患者につきましては、総体的に各年齢層とも減少しておるのでありますが、若年層においては特に減少が顕著でございまして、三十歳未満程度のところでは約半分に減少いたしております。高年齢層におきましては減少がそれほど顕著でなくて、約三分の二程度となっております。  なお、入院を要するほどの比較的重い患者、この患者昭和三十三年の時点において四十一万と推定いたしましたが、三十八年度では二十八万ということになりました。  なお、空洞のあるような特に警戒を要する患者も、ほぼ同じ率で減少しているようでございます。  なお、治療方法別に見ますと、外科療法によって完全な治療ができるであろうという、外科療法適用したほうがいいであろうという患者が従来よりも若干ふえております。  なお、そういう療法別の面から見ましたものが、三十三年で外科療法を適当とする者が四万と推定いたしましたが、今回は九万、これは化学療法進歩によりまして、また外科手術の技術的な進歩によりまして、適用の考え方が変わってきているものと思います。  以上が大体実態調査の概要でございます。
  6. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、現在国立及び公立結核療養所施設ベッド数はどういう形になっておりましょうか。国立公立その他と分けて。
  7. 若松栄一

    若松政府委員 詳細を分けたものをただいま手元に用意しておりませんので恐縮でございますが、総ベッド数が三十七年度現在で二十四万一千でございます。その利用率は八八%。
  8. 長谷川保

    長谷川(保)委員 国立は。
  9. 若松栄一

    若松政府委員 国立は六万二千でございます。
  10. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その国立利用率はどのくらいですか。
  11. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 国立結核療養所利用率は八〇%でございます。
  12. 長谷川保

    長谷川(保)委員 在宅患者のうちで開放性患者はどれくらいでしょう。この実態調査でわかっておりましたら。
  13. 若松栄一

    若松政府委員 今度の実態調査では開放性患者在宅入院というふうに分けた分はまだ集計してございません。ただし、三十七年十二月末現在において保健所登録されております患者の中で、在宅医療感染性の者が約九万五千人ございます。
  14. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ちょっと先ほど伺ったので私が数字を間違っているかもしれませんが、総ベッド数が二万四千百ですか、二十四万一千ですか。
  15. 若松栄一

    若松政府委員 二十四万一千でございます。
  16. 長谷川保

    長谷川(保)委員 開放性患者がなお九万五千も在宅しておるということでありますが、それにもかかわらず結核療養所利用率国立において八〇%という理由、当然これらの開放性結核患者空床があるならば入れるべきでありますけれども、また入るべきでありますが、それらが入らぬという理由原因はどこにありますか。
  17. 若松栄一

    若松政府委員 私ども感染性と称しておりますものは、菌が六ヵ月以内に出たことのある患者、並びにいかに小さくとも、空洞のある患者はすべて感染性というカテゴリーに入れております。したがって感染性という患者でも、現に勤務している人あるいは現に働いている方が相当数ございます。もちろんこの中に、ほんとうに在宅治療しておられる方もございますが、そういう方にはできるだけ家屋、家庭状況等を見ながら、感染の防止の必要がある、隔離する必要がある者については、できるだけ命令入所適用をしようという態度でおりますが、家庭の事情その他でなかなか応諾のない患者も相当ございます。
  18. 長谷川保

    長谷川(保)委員 三十七年度に新登録結核患者数は幾らありますか。
  19. 若松栄一

    若松政府委員 新登録は約四十三万程度であったと存じております。
  20. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その中で感染性肺結核患者は幾らありましょう。
  21. 若松栄一

    若松政府委員 新登録分だけにつきましては、感染性の区分がいま明らかでございません。総数だけについてやっております。
  22. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私の持っている資料では、これは社会保障統計年報です。この種は当然厚生省から出ていると思います。けれども、これによりますと、感染性肺結核患者の三十七年度の新登録患者数は八万七千四百二十となっております。これによりますと三十七年度新登録結核患者数は三十八万三千七百三十三人、この感染性が八万七千四百二十ということになっております。これは社会保障統計年報の一九六ページにございます。この数字は大体間違いないのでしょうか。これは厚生省公衆衛生局調べとなっております。
  23. 若松栄一

    若松政府委員 私、現在手元資料を持ってまいっておりませんが、たぶんそうだと思います。
  24. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうしますと、先ほどのお話の中でありました六ヵ月間に菌が出るという患者は、三十七年十二月で九万五千人ある。これは在宅患者でございましたけれども……。ところが一方におきましては、一年間に八万七千四百二十という新しい排菌をいたします開放性患者が出てくるという統計が出ている。そういうように考えてまいりますと、結核療養所、ことに私は国立公立を問題にしたいのでありますけれども、それのベッド利用率が八〇%で、なお二〇%余っているという理由は出てくるはずがないと思うのです。問題は命令入所等ができないとか、あるいはその他の予算の不足というようなことからしてできないというのであるか、そのほかにも理由があるのであるか、当局はどういうようにその原因を押えているか、それを承りたい。毎年新しく八万七千人も出てくるとすれば、これは三十七年度の統計ですけれども、それが開放性結核患者として出てくるとすれば、そこに非常な政治の不徹底か何か大きな原因があると見なければならぬ。
  25. 若松栄一

    若松政府委員 御指摘のように、年年なお感染性患者の新発生もございます。また同時に、治療その他によって治癒して感染性でなくなっていく患者相当数ございます。したがって、先ほど実態調査の結果を申しましたように、感染性患者が五年間では結局四十一万から二十八万に減るというようなデータが出てまいったわけでございます。
  26. 長谷川保

    長谷川(保)委員 だから私が聞きたいのは、そういうような多数のまだ在宅開放性患者がおり、また新しく感染性肺結核患者が三十七年に八万七千四百二十人も出ておるというときに、あなたのおっしゃいますることばだけでは、なお国立療養所ベッド利用率というものが八〇%であるということの納得のできる説明にはならないのであります。したがって、そこにどういう原因があるというのか、当然厚生省としてはそれを推定している確実なものがあるに違いないと思うのであります。どこに原因があるのか伺いたい。これが日本結核対策の急所だと私は思うのです。
  27. 若松栄一

    若松政府委員 入院をさせたい、または感染性であるためにできるだけ療養所に入ったほうがいいという患者相当数あるわけでございます。しかし現実に、先ほど申しましたように、いわゆる感染性と称しましても、現実勤務しておる程度患者が相当ございまして、これらの患者を全部収容するということは現実的にきわめて困難でございまして、個人の経済を破綻させる、あるいは職場を奪うというようなことにもなりまして、ある程度やはり個人の判断をできるだけ尊重するというたてまえでやっております。
  28. 長谷川保

    長谷川(保)委員 長い間の官民一致いたしましての結核対策によって、今回五年間に百万人の結核患者が減ったという実態調査も出てきたことは、私ば非常に喜ぶべきことだと思います。しかし、いまこそ、それゆえにこの亡国病といわれました結核対策に十分な力を尽くすべきときだと思います。私はかつてハワイを視察しましたときに、結核療養所及び結核予防協会等調査いたしました。そのときに、一人でもツベルクリン反応陽性転化をした者が出てくると、全力をあげてその周辺に結核患者がいるのではないかということで調べる。そうしてついにさがし出せば、必ずそれを無料で州立結核療養所に入れるということが行なわれているのを見て感心したのであります。わが国の結核対策といかに大きく違っているかということに感心をしたのでありますが、私はいまこそ結核対策を徹底的にやり抜くべきだと思います。国立療養所に二〇%も空床があって、一方には感染性患者が、在宅患者だけでも九万五千人もいるという調査が出てきておる。ここにわれわれは解決しなければならぬ大きな問題があると思う。  今度は別のほうからひとつ伺ってみたいのでありますけれども、問題を国立療養所にしぼって言ってみたいと思います。実態を明らかにするためにそうしてみたいと思いますけれども、いま国立療養所看護婦は幾らおりますか。
  29. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 国立結核療養所看護婦は、定員が九千七百四十九名に対しまして、九千三百六十三名、九六%充員しております。これは一月一日現在でございます。
  30. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この看護婦定員数は、ベッドの定床数と見合っての定員数でしょうか、それともその八〇%しか利用されておらないその八〇%に対する定員でしょうか、どちらでしょうか。
  31. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 これは利用率をかけない、もとの定員でございます。
  32. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、国立療養所看護婦数は、実際の入院しておりますものから見ればずっと率はよくなっている、基準よりもよくなっているということになりますが、今日国立療養所重症患者でもみんな入院させますか、伺いたいのです。
  33. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 国立療養所重症者の比率は、一度に属します患者は、三十六年から三十七、三十八年と逐次増加をしておりまして、数で申し上げますと、四千五十七人が、三十八年には四千七百二十七人、パーセントで申しますと率がずっと上がっている状態でございまして、重症者だからこれを敬遠するというようなことはなるべくいたさないように、できるだけ重症者を入れるように、こういうような指示をいたしております。
  34. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると国立療養所へは、もし在宅患者入院を希望すればみな入れますか。もちろん空床のある限りですけれども……。
  35. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 国立療養所利用率は八〇%と申しましたのは、これは月によって変動がございまして、八三%の月もありますし、一番悪いのは八〇・六%の月もありますが、そういうように変動しておるわけでございます。病院によりますと、ほとんど満床になっておるところもございまして、そういうところでは、言われましてもすぐ入れるというわけにはいかぬと思いますが、空床のところにはできるだけ入院させたいと思います。ただし、御承知のとおりに、病院重症病棟軽症病棟というふうな分類をしておりますので、その状態によりまして空床軽症病棟にある場合に重症患者を入れるというようなことは、必ずしもすぐできない場合もあると思います。
  36. 長谷川保

    長谷川(保)委員 委員長に要求いたしますけれども資料をひとつとっていただきたい。それは国立結核療養所のいまの定床数、それからそれに対する利用率、あわせてそれぞれの療養所看護婦定員数及び不足数、それを出してもらいたい。  私は、実は看護婦は非常に不足しておると考えております。国立療養所重症患者入院を拒んでいるという事実をあちこちで見たのであります。しかし、看護婦に対する非常な過重負担ということになりますと問題がありますので、そのころは厚生省にも二、三注意はしたのでありますけれども、一応ある程度で見過ごしておりました。しかし、今日なお依然として重症結核患者国立療養所が拒否しているという事実があると私は感じておるのであります。医務局長お話でありますと、軽症病棟重症病棟とある、したがって必ずしも重症者を直ちに入れるということはできないかもしれないということでありましたが、むしろ在宅開放性患者、しかもその重症の人ほど国立療養所は受け入れる必要がある。もし民間の病院がそういうことをようしなければしないほど、なおさら国立療養所は、日本結核を絶滅するために重症患者を受け入れる必要があると私は思います。もしそうでなかったら、国立療養所をつくっていく理由はない。重症結核患者を拒否するというようなことをしておりますならば、その理由はないのであります。もう一度ここで念を押しておきますけれども、そういうような事実はありませんかどうか、意識的に国立療養所重症患者を入れることを拒否するという事実はないかどうか、そのことを伺いたい。また厚生省は、そういうようなことについてどういうような態度をおとりになるか伺います。
  37. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまの重症患者国立療養所で世話しろというお話、ごもっともだと思います。そういうような方向で施設指導をしておるわけであります。ただ、先ほど申しましたとおり、重症者軽症病棟に入れるというふうなことは、その病棟看護力の構成などの面から看護が行き届かないというようなことで、重症病棟が一ぱいのときには待機を願わなければならないというようなことがあると思いますが、断わったことは全然ないと私もここで申し上げることはできないと思いますけれども、何ならば軽症病棟をさらに再編成するというようなことで、重症者入院希望があれば受け入れるようにさらに指導につとめていきたい、こういうように思っております。
  38. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私のいま執拗に伺いましたのは、国立療養所ベッドがあいているという理由の中にそういう重大な原因があるとにらんでおりますから強くこれを追及しているのでありまして、もしそういうような事実があるならば、すみやかに軽症病棟重症病棟にかえて、そうして看護婦の数はあるのでありますから、これを入院させるべきである、そして結核感染源を断つべきだと強く要望せざるを得ないのであります。  そこで看護婦の数でありますけれども、最近の国立療養所看護婦の数の両三年の推移をちょっと教えていただきたい。
  39. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 手元に各年度の推移を持っておりませんが、大体九六、七%の充足率で動いておる、そう変動はしていないと思います。特に一月の数字であります。これは月によって違いはあります。四月は相当一ぱい入っておりますけれども、一月から三月になりますと減ってくる。そういうような動きをしておりますので、九六%という現在の充足率は、そうこの二、三年で落ちたということはないと思います。
  40. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それでは医師のほうはどうですか。
  41. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 医師定員千六百四十二名に対しまして千四百三十四名、八七・三%の充足率であります。
  42. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この医師のうちで結核罹患をしておる、つまり健康でない、十分働くことができないという医師が相当いると思いますが、それはどれくらいありますか。
  43. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 結核療養所で働いております間に罹患をいたしましたり、また御自身がからだが弱いために病気で働いているお医者さんがその中におることは事実でありますが、いまその数字手元に持っておりませんので、ちょっとどこまで働けるかという線もわかりにくいので、そういうような統計もとっておりませんのでわかりませんが、ただ何人公傷病で休んでおるかという数字なら出るかと思います。
  44. 長谷川保

    長谷川(保)委員 公傷病でいま休んでいる人ではなくて、結核療養所医者が非常に集まりにくい、いま結核医というものにほとんど新しくなる人がないというところから、むしろ結核罹患しておるお医者さんがつとめているという傾向も相当あるのじゃないかというように思うのです。だからなるほど八七・三%という数字がありましても、実際の稼働力というものは非常に少ないのではないか。この点はいかがであろうか。
  45. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 そういうふうな傾向一般病院よりは多いことは私も勘で感じますが、その数字手元にございませんし、したがいまして、前からの変動ということもちょっと申し上げかねると思います。
  46. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そういう点を一度調べてもらいたいと思います。それはいま申しました重症患者入院ができないという——私は明らかにそうだと思いますけれども、そういうことの中にそういう問題が大きく含まれてはいないかということを考えるからであります。  この際、私がことに大臣注意を喚起しておきたいのは、この国立療養所医官以下の勤務ぶりです。これはもちろんそうでないところもありましょうけれども、私があちこちのぞいて見たり、関係します療養所等におきましては、むしろアルバイトを専門と言いたいくらい、本務に働くことのほうがむしろ非常に少なくてアルバイトをみなやっているのではないか。全部と言ったら語弊があるかもしれませんけれども、ほとんどやっているのではないかというように感ぜられます。こういう点は、局長はいかにお考えになっておりますか。
  47. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 国立療養所医師結核行政全体の推進のために、たとえば保健所審査委員会だとか、また検診というふうなことにお手伝いをするということは、ある程度公衆衛生局との話し合いで私のほうでも進めていたこともありますが、ただそれ以外のアルバイトを、別に収入をあげるために勤務時間中にやっているというふうなことは、厚生省としても許しているわけではございませんので、私も一、二発見したのはやめさしたことはありますが、全般的にそういうふうにびまんしているということはちょっと考えられないのであります。しかし、いまからも職員勤務の点につきましては十分注意をしていきたいと思います。
  48. 長谷川保

    長谷川(保)委員 最近ある療養所でありますけれども、私のところで働いておりました看護婦がある国立療養所に参りました。私、直接聞いたのではありませんけれども、その看護婦が同僚に言うには、問題にならぬ、月に一回しか外科手術をしない、あとみんなよそへ働きにいく、こういう驚くべき手紙をよこしました。また、もう一つ国立療養所におきましても、医師のほとんど全員がアルバイトをやっておる。私は、いまアルバイトをするお医者さんたちを責めるというのではありません。問題は、そうしなければやっていけない給与待遇、ことに国立結核療養所が大体において不便なところにございます。子供たちを教育するにいたしましても、そこからは通わせられない。町に下宿させなければならぬ。大学の所在地に出さなければならぬ。そういうようなことから、やむなくアルバイトをしていると私は思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、国家公務員法第九十六条にありまする服務の根本基準には、明らかに、職員は「全力を挙げてこれに専念しなければならない。」と書いてあるわけでございまして、全力をあげて専念できるような体制をつくる必要がある。それができずに、国立結核療養所に二〇%も空床があり、しかも一方では在宅患者が九万五千人もおる。新しく発生する感染性結核患者は一年間に八万七千人も出てくる。こういうようなことをしておいてはいけない。だから、今日人事院給与医療職の俸給の改正はされましたけれども、そんなものではまだだめなんです。もっと医師がこれに専念できるように、国家公務員法が満たせられるように当然厚生省はこの給与の改定その他をすべきである。そうして、約八七%も実際において健康な医師がおるとすれば、これはたいしたものです。その諸君が本気になって働ける、そうして重症患者開放性患者国立療養所に入れるという方策を厚生省はとるべきだと思う。今日結核医というものに新しくなる人がほとんどないという事態の中で、なおこういうような状態でありますから、医療職等に対しまして特別の方法をとるべきであると考える。そうして、こういうような困難な事態を解決すべきだと思うけれども大臣の所見はいかがでありましょうか。
  49. 小林武治

    小林国務大臣 長谷川さんの御意見、御質問等で私も非常に啓発されるところが多いのでありまして、御注意のことは私も十分共鳴することができるのであります。ことに、ただいまの医師待遇の問題はわれわれも非常な要望はしておりますが、困難な問題であります。とにかく、いまのアルバイトの問題なども、切実な問題としてやむなく行なっておる面もないとは限りません。したがいまして、私どももこの点は続いてひとつ強く要望したい、かように考えております。  なお、先ほどの国立あるいはその他が利用率が低い、こういう問題でありますが、これにつきましてはいろいろ厚生省からも述べたのでありますが、命令入所の問題にやはり一つの欠陥がある。すなわち、患者にA、Bの区別があって、Bには割り当てがある。しかも、この割り当てが各府県とも足りない、こういう現状でありまして、この三十八年度の補正予算でもこのために補正を組まざるを得なかった、こういうことで、その点を相当やはり改善をしなければならぬ。三十九年度では、前年に比べましてB患者と申すものを千数百人予算的にも増加いたしたのでありますが、これでも私は要望を満たすことができない。すなわち、命令入所の関係等において相当改善をしなければならぬ、こういうことも考えておりますから、申し添えます。
  50. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私が大臣に伺いたいのは、命令入所の問題でありましたが、いまお話しになりましたので、どうかその点は十分にひとつ考えてもらいたい。大蔵省のほうでも十分にこの重大な問題を考えてもらいたいと思うのであります。ことに結核の問題で非常に重大な問題と思いますのは、低所得層と結核との関係であります。三十六年の厚生白書でも相当この点は詳しく出ておるわけでありますが、最近私の入手いたしましたものによりましても、大体月収入二万円を境としまして、それ以上の階層におきましては、有病率は人口千に対して五でありますが、それ以下では収入が下がるにつれて有病率が上昇してまいる。八千円以下では二万円以上の三、四倍になっております。結核が先なのか貧乏が先なのか、その関係はよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、今日そういうような低所得階層のほうに結核のいわば沈でんという形が出てきておるということは、私は厚生省としては十分にお考えになる必要があるというように考えられるのであります。  こういう点から見てまいりまして、さらに私が伺いたいと思いますのは、国立療養所入院患者の食事の問題であります。この間御説明をいただいております「予算要求額主要事項別調」を見ますと、国立療養所患者の一日一人当たりの一般食は百二十円を百二十六円にしたというように書いてございます。私は、御承知のように、すでに三回の国会にわたって執拗にこの食糧の問題を伺っておるのであります。これは、私は人道問題であると思うからであります。また、国立結核療養所等に入院をようしないという一つ原因が、このひどい食事にあるということを考えるからであります。一日一般食で百二十円から百二十六円、特別食は百五十円四十銭から百五十八円六十銭、こうしたと書いてございます。この点は、この前も主計官に伺って、主計官は、食事の材料費だからそれでよろしいのだというふうに言い切りました。私は非常に不満であります。不満でありましたが、時間の関係上それ以上追及しませんでしたけれども大臣、この点まず常識といたしまして、汽車弁当が百五十円のときに、入院患者に今度高くいたしまして一日の食事が百二十六円でできる、こういうようにお思いになりますかどうか。これは人間としての常識でございまして、だれでも判断できると思うのでありますけれども、百二十六円で一日の三度の食事が、病院に入っておる患者の食事としてできるとお思いでしょうか、伺いたいのであります。
  51. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまのお話は、予算単価の問題でございますが、お話のように一般食百二十六円、特別食百五十八円六十銭という予算単価でありまして、これは材料費であります。多少空床問題等もありますので、これを実行においては上回ってやっておる次第でございます。この材料費も、多量購入というふうな利点もございますので、関係者の努力によりましてこれである程度の必要なカロリー、たん白、脂肪というふうなものは供給することができておりますし、また残飯率も、施設によって違いますが、ほかの病院と比べましてそう多くなく、かえって少ないくらいな状態を示しておるほどであります。もちろん病院の給食でございますから、よりよくするに越したことはございませんが、この程度でやむを得ないと考えておる次第でございます。
  52. 長谷川保

    長谷川(保)委員 いまちょっとおかしな話を聞いたのです。空床の関係で上回るというのはどういう意味でしょうか。
  53. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 一般の百二十六円と特別の百五十八円六十銭で全人数に対する予算を組んでおります。実行上におきましては、そこに空床の部分の予算を一部つぎ込みまして、一般食百三十円にするということをやっておる、こういうことでございます。
  54. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どうもこれは変だと思うのだが、これは実際に入院をしている人に対して一人一日百二十六円でまかなえということだと思いますけれども空床の人の分も入れて、言いかえれば人数をごまかして少しよけいいいものを食わせる、こういうようなことはできるのでしょうか、主計官に伺いたい。
  55. 船後正道

    ○船後説明員 予算上の積算といたしましては、各療養所の訓令定床がございますので、これに対してそれぞれただいま医務局長がおっしゃいました単価を乗じまして、そして年間の予算を組んでおります。実行の問題といたしましては、先ほどからもお話がございましたとおり、定床に対しまして充足率があるわけでございますので、常に若干の空床があるわけでございます。そこで予算に計上いたしましたとおりの単価でやりますと、そこには余裕が出てくる。その余裕の分を実行上どうするかという問題でございますが、これは予算実行の問題で、厚生省のほうでは、実行上その余裕を若干実際の支給の際に考慮している。余裕があるわけでありますから、実際問題といたしまして、現実の毎日のお食事をおやりになるときには必ずしも百二十六円きっちりでやるということではない、このようにわれわれは了解しております。
  56. 長谷川保

    長谷川(保)委員 これは、たとえば一年を通してとか一ヵ月を通して百二十六円なら百二十六円でやる。その間、きょうは少しいいものを食べさせたら百三十円かかった、きょうはそれを補うために百十円でまかなったということはあり得ることと思いますけれども、訓令定床というのがあるんだそうですけれども、いずれにしましても、入っておる人の分は一日平均して百二十六円でやれというのがこの予算書だと思うのですけれども、そうではなくて、たとえば——訓令定床というものはどういうものかよくわからぬのですけれども、これは上げてもいいということなんでしょうか。まず訓令定床というのはどういうことかお聞きしましよう。
  57. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いま国立療養所で六万二千人の患者を入れるということを目標にいたしまして、その数字を言っておるわけであります。それに対しまして、実際には五万何ぼか入っておる、こういうことを申し上げたのであります。
  58. 長谷川保

    長谷川(保)委員 実はそういうことを初めて伺ったんです。私はふやしてくれることは賛成です。どっちにしても賛成なんだが、この予算書というものは変だと思う。そういうことでよけい入れたら損をする、よけい入れたら悪い待遇をするという形になりますが、そこに変な不合理があると私は思う。訓令定床というものはある程度大きくして、実際は少し入れておいたほうが職員も楽だ、患者もいい待遇を受ける。それならできるだけ少なく入れて、なるべく怠けたほうがいい。それならわかります。先ほどの八〇%を認めて重症は断わるということは、なるほどそういう理由からかなと思うんですが、そういうことが許されるのでしょうか。というのは、この間の朝日裁判で、厚生省の控訴理由の中にこういう文句があったので、私はきょうはしっかりと承っておかなければならぬ。三十五年十一月一日に厚生大臣がお書きになった控訴理由の中に、日用品費基準額は閣議決定を経て、最終的には国会における予算審議を終えて、厚生大臣が決定するものである、だから裁判官は違憲なんて言ってもらっては困る、こういうことが書いてあるのです。なるほど確かにそれに違いない。それならば、国会審議をわれわれはうっかりさせられぬぞ、厚生省のお出しになるものについては、それほど国会を尊重してくれるならば、国会としてはうっかりしたことはできませんな、こう私は拝見したのであります。  そこでいまの問題でありますが、いま実際に国立療養所におきましては幾ら幾らで、たとえば、一番安くやっているところと。訓令定床等の関係でわりあい高い食事を患者に差し上げているところと、その実態は一体どういうことになっておりますか。事実をもってお伺いいたします。
  59. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまのお話、誤解があると思いますが、各施設施設空床が多いからたくさん出すという意味ではございません。空床の関係を考えまして、各施設につきまして厚生省のほうでコントロールいたしまして、その入院患者の実績に応じて食糧費を配っておるわけであります。そのときに、予算より少しことしは余裕があると思うときにはプラスをつけて出しておるということでございまして、これは全国同じにしております。
  60. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、全国は幾らでやっておりますか。
  61. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いま手元数字を持っておりませんが、私の記憶では一般食が百二十四、五円だと思います。
  62. 長谷川保

    長谷川(保)委員 百二十円のものが百二十四、五円、こういうやり方は、そうすると厚生省で公認をしているわけですね。全国一律に百三十円なら百三十円でやる。いまのお話の去年のあれですと、百二十円のものを百二十四、五円でやるように厚生省から訓令が出るのですか。実際はどうやっているのですか。
  63. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 訓令というよりも、厚生省でその月々の患者数を各施設から報告さしておりますので、その実績に応じてこちらから送っていく。そしてバンスをとらしておる。予算のこちらの送り方でございます。できるだけこの点、患者さんに少しでもいいものを、そういうような立場でやっておるつもりであります。
  64. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私はいいものをできるだけやるのは大賛成なんです。それはぜひそうやってもらいたいのだけれども、ただ、どうも予算を審議していくときに、ここにおたくのほうで百二十円を百二十六円にするのだと、こう書いてきたけれども、実際はそうじゃないのだということだと変なのであって、だから先ほどもお話しのように、おたくの控訴理由書には、国会の審議を経て決定したのだ、だから違憲じゃないんだ、こういうようにおっしゃるので、それならそれで私どもに、いまは幾らでやっているんだということを当然明確に出しておくべきである。いまの話は、どうも私の同僚諸君も初めて伺った話じゃないかと思う。私も寡聞にして初めて伺った話なんです。よけい出すなら賛成でありますけれども、そういうように考えますので変に思うのです。実はいまの百三十円でもだめだと思うのです。そんなばかなことはないと思うのです。病人を、たとえ材料にいたしましても、三食をそればかりでできるなんという筋のものではない。ことし百二十六円ぐらいでやるというのはほんとうですか、念を押しておきます。医務局長、ほんとうですか。
  65. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 これでできるだけいい食事を出すように努力をいたしたい、こう思っております。  なお、いまの実行上の問題でございますが、たとえば薬品の値段でも、ある薬の単価がきまっておりましても、それで買えない場合もありますし、それ以下安くなった場合に予算で買わなければならないということはないのでありまして、実行上において、予算単価の積算と実行とは異なることが起こるのは、薬品等においては当然じゃないかと思っております。
  66. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私はもっと高くやっているところがあることを知っているのですが、ありませんか。
  67. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 私、いまここで数字を持っておりませんので、その点はちょっとわかりませんのですが……。
  68. 長谷川保

    長谷川(保)委員 一般食百五十円でやっている療養所がありますけれども厚生省は知らぬのですか。
  69. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 ただいま私のほうでそういうような数字をここに持っておりませんのでわかりませんが、先ほど先生がお話しのように、ある一日の特殊な日ではあり得ると思いますが、百五十円というのはちょっと私としてはおかしく感じます。
  70. 長谷川保

    長谷川(保)委員 一日ではなくて、毎日それでやっている療養所があるのです。そういうものがあったときに、どうなさいますか。
  71. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 御指摘を受けますれば調査いたしまして、その点どういうふうなからくりかを調べてみたいと存じます。
  72. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私は、それを下げてもらったら困るのですよ。そうしたら、私がここで言ったことが、患者に非常に悪い影響を与えます。下げないということをおっしゃるならば、私ははっきり申します。下げるということなら病人がかわいそうです。私は、これ以下にはできないと思っているんだ。私自身が病院結核療養所を経営しておって、これでできるはずがないと見ておるから言っているのです。国会議員としてももちろんこの点は変だと思いますので、私はこの百二十円、百二十六円というのは、現場の人から見れば無理なんだということをしみじみと思うのです。  朝日裁判の第一審判決を私、読みました。第一審判決に、浅沼裁判長は実にうまいことを、感心すべきことを言っている。第一審判決文の中で、浅沼裁判長はこう言っているのです。日用品費については、基準品目中に修養娯楽費、ペン、インク等を考慮しておらず、その計上数量も少なく、基準単価も安きに過ぎ、国立療養所の行なった本人負担に対する減額措置も人間としての同情によるものと認められる、したがってこの基準は法第三条、第八条第二項に違反する、ということを書いておる。だから、浅沼裁判長は岡山療養所の処置をほめているわけです。私は人間として考えてみて、百二十六円、百三十円でやれというのは、どう考えても無理だと思うのです。材料費としても無理だと思う。これは、病人だから病気をなおす力を持つ食事を差し上げなければならぬ。したがって、いま私の知っておりますある療養所で私は正確につかんだ、百五十円でやっておるということは、療養所長の権限でやっておると思いますけれども、それはほんとうだと思うのです。厚生省は全然これを知らないのでしょうか。
  73. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 私も先ほどから申しておりますように、こちらから送り出しております予算の単価、実行上の単価につきまして、はっきりした数を覚えておりませんので、これが百二十四、五円であるか百三十円であるか、これはちょっと申しかねますが、百五十円ということはちょっと考えられないように思います。所長がそこまでやっておれば、少し金額が大きいから、操作か何か、患者数とか何かでおかしいことがあるのじゃないかと思いますが、これはわれわれは、そう簡単に不問にしておくことはできないと思います。調べたいと思います。これはよく数字を調べなければなりませんので、私もここではっきりしたことは申し上げられません。患者の関係で、ほかの一般の厚生とは違いまして、病院というセットでありますので、ある程度裁量の余地は院長にあるかもしれませんが、それほど大きな裁量の余地は与えるわけにはいかない、こういうふうに私は思います。
  74. 長谷川保

    長谷川(保)委員 朝日裁判の話が出てきましたので、ついでに私は、朝日裁判のことでこのことと関係して申し上げたいのでありますけれども、今度厚生省のほうの控訴理由書の中に書いてありますように、朝日茂君の厚生大臣に対する不服申し立て書によれば、日用品費等について特に不足する旨の申し立てではなく、もっぱら嗜好的栄養補食費として月額四百円、一日にして十三円ですね、その内容は、くだもの、甘味料を二百円、卵を百十円、バター九十円を日用品費の追加として認められたいと申し立てている、こう言うのですね。一日十何円の補食費というものを何とか認めてもらいたい。これが朝日君の厚生大臣に対する申し立て書であったわけです。厚生省は、いまの大臣ではありませんけれども、却下したわけです。月額四百円のくだものや甘味料、卵、バター、一日に割って十三円何がし、これをつけ加えることを許してもらいたいということに対して、厚生大臣はこれを却下し、そして厚生省は、第二審で朝日君が負けるように一生懸命やったわけです。いま十二、三円の金を補食としてやってもらいたいという朝日君の嘆願、これをいま、百二十円を百二十四、五円でやっている。百二十六円を百三十円でやっている。あるいは百五十円で、ある療養所の所長がどういうやりくりをしてやっておるか知りませんけれども、やっております。これらはみな、浅沼裁判長の言うように、人間的な同情によるものだというように私は考えるのであります。当然これらのことはあるべきだ。この食糧費というものが、先ほどお話しのように、多人数の人に給食するから安く上がるんだとおっしゃいますけれども、同時に、それだけに個々の患者に合った食事にはならないで、したがって、いまの残飯になっちまうというふうな分もたくさんあるということを考えなければならない。個々の家でありますれば、余ったものは次の食事までとるとかいうようなことはできますけれども、また、病人の口に合うものをつくりますからようございますけれども、そうではなくて、こういう療養所で大ざっぱにやりますために残飯になる。廃棄量というものも、非常に多く出るということも考えておかなければならぬのであります。現にその残飯料が取り合いになっている事実もあるのであります。そういうことも考えなければならぬのでありまして、したがっていまの百二十円でやる、百二十六円でやる、厚生省が三、四円は大目に見てふやして食べさせるようにしている、それもけっこうです。けれども、根本的にはもっとこれを上げなければならぬのじゃないか。大体、療養所入院ができないという大きな理由一つは、やっぱりこの食事にあると私は考えるのであります。こういう点を考えて、これをもっと上げる必要がある。ことに伺いたいことは、百二十円を百二十六円にしたということになりますと、五%アップということになりますが、この五%アップというものを出しましたその基準、どういうところからわずかに食糧費を五%アップしたのか、これを承りたいのであります。
  75. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 主食の米は値上がりせず、麦が一・四%、パンが一・四%値上がりをする、副食が七%値上がりをする、こういうような計算でございます。この根拠は、三十七年と三十八年の両一年間に対する四ヵ月間だったと思いますが、物価の変動指数を使って計算した、こういうふうに思っております。
  76. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 関連して質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
  77. 滝井義高

    ○滝井委員 ただいまの入院料の中における給食の問題、これは百二十五円とか六円とか、いろいろ問題になっておりますけれども国立病院の場合に多く甲表を採用していると思うのですが、たとえば乙表では、基準給食というときには二十二点ですかね。そうすると、二百二十円の健康保険の給食費をもらっておって——国立病院というのは、私は利益を取るところではないと思うのです。それが一体、どうして百二十円とか百三十円になるのかわからないわけです。これは、健康保険との関係は一体どうなっておるのか。健康保険の基準給食は、これは私はちょっと調べなければわからぬのですが、たぶん二百二十円だったと記憶しておるのです。甲表と乙表で違うかと思いますけれども、その場合に、甲表で基準給食をした場合には一体幾らで、乙表では幾らか、これを調べてもらいたい。それに見合ったものを食べさせることが、私は原則だと思うのです。それは税金も何も払っておるわけではないのですから、そうなりますと、その二十二点なら二十二点の基準給食の中に、国立病院の人件費その他、たとえば栄養士を置くとかまかない婦を置くとかいうことがあるわけですから、それが幾らかとられる。そうすると、あとは全部これは給食に回らなければならぬ。したがって、長谷川先生がいま言われたように、あるところでは百五十円でも百六十円でも可能なわけですよ。それは病院の経営を合理的にやれば可能なことになる。特に最近のように病院が特別会計になってくると、それはますます可能になってくるわけです。その関係は一体どうなっておるのか。そういう関係を無視してこの議論はできないと思うのです。その関係を、国立病院としては一体どういう形に指導しているのか。基準給食二十二点、こう出ておるわけですから、それをもし百十円とか百二十円とか百三十円でやられると、そこに六十円、七十円の搾取をやるようなことになると思うのです。
  78. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 基準給食は、たしか二十二点、二百二十円だったと思いますが、それの内訳というものは、ここで私申し上げるわけにいきませんし、保険局のほうの所管でございましょうが、特別に材料費何ぼという内訳は、必ずしもなかったように私は思っております。そのうちの人件費も、炊事婦だけ考えるのか、看護婦さんの運搬から全体の動きがございます。また光熱費、それから施設の償却費というものを考えての計算だろうと思いますが、この二十二点は、一応基準給食のカロリー数とかたん白というようなものの計算で、十分基準に合致した給食をすればこの費用を払うというたてまえになっておると思います。したがいまして、国立病院の給食費の百二十円なり百二十六円なりというものが、それと直接の関連を持っておるとも考えていないわけでございまして、国立病院でたとえば人件費が高いというようなこともあるかもしれませんが、そういうふうな点とも関係があるとは必ずしも考えておりませんし、特に療養所においては基準給食を現在とってない状況でございますので、なおさらこの関係は別個だと思うのであります。また、米の値上がりした場合に食糧費を上げる、基準給食費はそのままであっても上げていくのだというような点につきましても、必ずしも私どもは関連性を持たせて考えていないのであります。
  79. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、健康保険の、いまあなたは甲表だと言われたけれども、中表の基準給食の二十二点というものについては、材料費が幾らで、人件費が幾らで、燃料費が幾らだということはわからないけれども、自分のほうとしては百二十四、五円というのが妥当だと思っている。問題は、その百二十何円かで二千四百カロリー以上、たん白で八十グラム以上、脂肪二十グラム以上が与えられればそれでいいのだということにはなるのかもしれませんけれども、これはやはり科学的な根拠を出してもらわなければならぬと思うのです。たとえばあなたのほうが百二、三十円出したら、二百二十円の金をもらっておってもよろしいのだ、こういうことには私はならぬのじゃないかと思うのですがね。それだったら、基準の二十二点の中には人件費的なものが幾らで、燃料費が幾らで、そして材料費が幾らで、その中に主食と副食がどのくらいだと、生活保護にやるような基準が出てこなければならぬと思う。こういうところに、いま長谷川先年の質問が出るような不明朗な問題が出てくると思うのです。また、患者側からも、幾らにしてくれ、当然このくらいはやってもいいはずじゃという要求も出てくるわけです。だから、ここらの基準というものは出す必要があるんじゃないですか。生活保護と同じように少なくとも二百二十円というものを基準看護で出すとすれば、基準看護の場合には、それぞれの燃料費とか人件費とか主食、副食の経費というものはこれくらいだ、それに準じて国立病院はやるということになれば、全国一律にいくわけです。そしてあと、地域的な物価の変動その他を考慮して金を配分したらいいわけですからね。それがないと、いまあなたの百二十何円をやればいいんだという、科学的な根拠が納得ができないわけです。だから、あるところでは百五十円、六十円でやってもいいことになるわけです、科学的根拠を出しておかないと。食いものの話というものは、何か、言うときたないようになるのですけれども、これがやはり一番大事なところです。きたないところをはっきりしておく必要がやはりあるんです。いまのようなあなたの御答弁では、保険はどうか知らぬけれども、おれのほうはこういうことだと言うけれども国立病院は保険医療機関ですからね。そうすると、保険はどうでもいい、おれのほうはこれでやるんじゃというわけにはいかぬわけですよ。もう少しそこら、あなたがわからなければ、いずれ次の機会に保険局長に来てもらって、その内容を明らかにしておく必要がある。医療費の是正というものは、入院料と歯科補綴あたりをやらなければならぬということは、一番先に出てきているところですからね。
  80. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまの保険の内訳の計算は、私ちょっとここで申し上げかねますが、国立病院におきまして、ちょっと古うございますが、三十七年の十一月において、カロリー数は二千四百二十五カロリー、たん白は八十七・五グラム、脂肪が四十二・三グラムというふうに、スタンダードを十分に満たしておる、そして基準給食のレベルには一応達しておる。しかし、できるだけよくすることが大事であろうと思いますが、この点はさらに努力をいたしたい。なお、療養所につきましては現在基準給食をとっておりませんので、この議論がちょっとむずかしい問題を起こすだろうと思います。
  81. 長谷川保

    長谷川(保)委員 先ほど五%アップの理由を伺ったのでありますが、しかし、われわれに配られております立法考査局、経済企画庁の出しておる日本経済指標、この十二月号を見ますと、三十七年の十一月を一一二・六といたしますと三十八年の十一月は一二四・八——これは三十五年が一〇〇になっております。これは東京の食糧ではありますが、残念ながら全国のが出ていない。前には出ていたんですが、どういうわけか今度のには出ていないのでありますが、いずれにいたしましても、これによりますと一二・二%食糧の値上がりがしておるのであります。これは三十七年の十一月、三十八年の十一月、予算を組むとき、こう考えまして調べてみたのでありますが、そういうことになっておる。それなのに五%しか上げなかったという理由がよくわからない。消費者物価指数、食糧の場合……。
  82. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 私もここにこまかい数字をちょっと持っておりませんが、私の記憶では、東京と日本全国が違うのもありましょうが、費用の取り方等も関係しておるのではないかと存じます。主食の米は変わりない、麦、パンの関係、それから副食のいろいろ構成を考えましての比較をしてこの数字を出した、こういうわけでございますが、私もこまかい全部の数字をここへ持っておりませんので、何とも申し上げかねます。
  83. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この点は、国のほうで私どもによこしておりますものにそう書いてありますから、五%アップという理由が私はわからない、納得できない。食糧費がうんとたくさん出ているならけっこうでありますけれども、いま言ったように非常に少ない、だれが見ても少ないと考えられるときに、なお五%アップということは納得できない。これは先ほど朝日裁判の控訴理由にあったように、国会で審議したのだからそれは文句を言うなということであれば、納得できません。ことに私は、厚生省が出しております三十七年度の国民栄養調査で、国民平均の一日当たりの食糧材料費が百四十二円八十五銭、前年比一三・七%アップ、こういう数字が出ている。こういうものが出ておりますときに、なぜそんなに安い低いものにしておかなければならないのか、そして内側で少し操作をしなければならぬというようなばかなことをしているのか、堂々とこの食糧費の予算を上げるべきであると思うが、これらの予算要求のときのいきさつ等はどんなふうになっておったのか、伺いたいと思うのであります。
  84. 船後正道

    ○船後説明員 食糧費のアップ率でございますが、ただいま長谷川先生の申されました数字は、三十七年十一月対三十八年十一月でございますか、いずれにいたしましても、一昨年の十二月に米価の改定があったわけでございます。ところが、予算面におきましては、三十八年度の食糧費から米価改定要素が入っておるわけであります。ところが、いろいろな食糧費の統計の面になってまいりますと、米価が改定しない姿の三十七年対三十八年、こういった姿になっておるわけであります。この点が大きな要素でございまして、ことしの改定の率といたしましては、先ほど医務局長が申されましたように、前年度の百二十円という単価の中には、主食の中の米が三十八円八十三銭でございますが、これが据え置きでございます。この部分を据え置きまして、その他の穀類につきましては一・四、それから副食につきましては七・〇、これは予算編成時当時判明いたしておりました三十七年の四−十月対三十八年の四−十月、いずれも消費者物価指数の中の食糧費を分析いたしまして、そういう数字が出てまいった次第でございます。米の要素が十二月にあったという点が、かなり、統計を見る場合にアップ率が変わってくるわけでございます。
  85. 長谷川保

    長谷川(保)委員 いまのお話でありますが、そうすると米の値上がり分何%として、これがここに作用しているのでしょうか、五%アップの……。
  86. 船後正道

    ○船後説明員 米は、これは三十七年度対三十八年度の御説明になろうかと存じますが、三十七年度予算におきましては、米の部分が二十七円四十五銭であった——失礼しました、この数字は間違いでございます。三十七年度予算が三十八年度予算に移る際に、その米の分を、その当時の米価改定、あれは約一〇%と思いますが、その分をすでに三十八年度予算で織り込み済みでございます。
  87. 長谷川保

    長谷川(保)委員 しかし、その一〇%上がったということが、どうなりますか、これは全体の食糧費で一〇%上がっているのですか。
  88. 船後正道

    ○船後説明員 ちょっと説明が不十分であったかと存じますが、したがいまして、主食の三十八円八十三銭はすでに米価改定を織り込み済みの単価でございますので、三十九年度は全然影響なしということで、前年度の単価をそのまま横ばいさせておるということでございます。   〔田中(正)委員長代理退席、委員長代理着席〕
  89. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ちょっと混乱して数字がつかめないのですけれども、それはまたあと回しにしまして、いまの国民一日平均食糧材料費百四十二円八十五銭、これよりも下のもので入院患者をまかなおうというのはどうも納得できないのですが、その点はどういうようなお考えなんでしょうか。  さらに、もう一つついでに言っておきますが、人事院勧告の公務員の三十八年四月の分、男子十八歳の食糧費が百八十一円ということになっている。これらとも思い合わせまして、百二十六円という数字はどうしても納得できないのですが、その点はどういうようにお考えになりますか。
  90. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 これは各個人家庭で小売り商からいろいろお買いになりますものと、大量に卸売りに近いところから買い取るというようなところで差がある程度出てくるので、同じに比較はできない、こういうふうには考えますが、しかし、患者さんの食糧でございますから、これはできるだけよくしたいということは、われわれも一致したところでございます。
  91. 船後正道

    ○船後説明員 ちょっと訂正させていただきます。先ほど百二十円の単価のうち米の部分が三十八円八十三銭と申し上げたのでありますが、三十円八十三銭でございます。それで、米価改定の関係を申し上げますと、三十七年度当初予算では、二十七円四十五銭でございました。これを三十円八十三銭に三円三十八銭アップした、こういうことでございます。それを三十九年度はそのまま、米価改定はございませんので、横ばいさせたわけでございます。
  92. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それでは五%アップでは合わぬじゃありませんか。三円ばかり違ってきたって、そんなものは、先ほどのように総理府の出しておりますので見ましても、三十七年十一月と三十八年十一月を比べますと、一一二・六%の一二四・八%で、一二・二%上がっております。いまの三円ばかり上げたところで、それは百二十円の中で幾らでもない。二%余じゃないですか。五%アップじゃ合わぬじゃないですか。どこかほかに違っている点があるのじゃないですか。五%アップという数字では上げ方が足らぬと思う。むしろ一〇%ぐらい上げなければ足らぬじゃないですか。どうですか、五%上げたについては何か理由があったのでしょう。
  93. 船後正道

    ○船後説明員 十一月ベースの比較では、米価改定がアップ率に含まれておるわけでございます。ところが予算のほうでは、三十八年度予算にすでに米価改定分が入っておるわけでございます。それから、平均いたしまして五%になっておりますけれども、百二十円のうち三十円八十三銭は据え置きまして、それ以外の部分につきまして、先ほど医務局長が申し上げましたように、穀類につきましは一・四、その他につきましては七・五、これは予算編成時における最も新しい、三十七年対三十八年の消費者物価の上昇率でございます。
  94. 長谷川保

    長谷川(保)委員 いまいろいろと議論をいたしましたように、私は、この額では病人を養う食事には足らぬということを思うのです。これは、ただに国立療養所だけではありません。私がある日赤病院から来た患者、また、私のやっております病院からある社会保険病院に移ってまいりました入院患者、それらの人々から、私にではなくして、直接うちの病院の当局に会って話を聞きました。食糧が問題にならぬという話を聞きました。つまり、どこもこういう単価に押えられている。そのために、ほんとうに病人を大事にする——先ほどの浅沼裁判長のことばで言えば、人情という立場から、ほんとうに道徳的に、人情的にやっているところ、愛情を込めて病人を大事にしているところでは、やむなく相当な額をプラスしてやらざるを得ぬことになってやりますからいいけれども、この額に押えられておりますところでは、問題にならぬという食事にならざるを得ない。そういうことから朝日裁判が起こってくる。私は、先ほど申しました百五十円の食事を出しているところ、これをしからないでもらいたい。絶対にしからないでもらいたいということを条件にして、ずばり申し上げます。朝日裁判、岡山療養所、それが正しいのだ。岡山療養所の所長に国会は賞状を贈らなければならない。それがほんとうなんです。それだから、大臣もお聞きのように、私は、これらのことがあるいは朝日裁判を有利に解決するために、厚生省がひそかに療養所の所長と話をして、実地調査に行くであろうそれらの裁判をごまかすために、意図的にそういうことをやっているのではないかと想像もしたのでありますけれども、私はそういう想像をするよりも、むしろそれが人間的なんだ、それが正しいんだ。皆さんの家で皆さんが病気になったときに、奥さんが、はたして百二十三円の材料費でもってやるというようなことが考えられるであろうか。皆さんが療養所に入ったときに、その食事でいいというように考えられるであろうか。そこに、いま在宅患者の中に感染源となっておる者がたくさんおるけれども、それが療養所にはいれなくて、国でつくった療養所が二〇%も空床になっておるという一つ原因がある。それだから、こういうものを大臣はすみやかに変えるべきである。私は次のときに、また国会が予算を審議したんだからというようなことを言われては困る。われわれは不満である。おそらく自民党の諸君も、こういうようなことは不満だろうと思うのです。それだから、これが六万何千人か入っておりますけれども、一人一人の患者にとりましては毎日の重大な問題なんです。大臣お聞きのように、この問題はもっと正しく解決してもらいたい。単なる言いのがれだけではなしに、解決してもらいたい。岡山療養所をしかられては困ります。岡山療養所につきましては、私は、このことをここで申し上げました責任上、今後連絡をとってまいります。厚生省がしかって、これを下げさせるようにすると言うなら、私も腹をきめて厚生省とけんかいたします、戦います。それが正しい。その療養所長には、これはむしろほうびをくれて、これだけにやはり苦労をして人間的な扱いをしている療養所長を、朝日裁判をごまかすということでなければ——おそらくないだろうと思いますが、私はほめるべきだと思います。これだけ苦労をして患者を大事にしているということは、容易なことではなかろうと思うのであります。どうかこれらのことについて、十分にお考えをいただきたいのであります。  だいぶ時間がおそくなりましたのですが、もう一つこの結核問題で伺っておきたいことは、耐性菌の患者の問題であります。これはおそらく、開業医諸君が菌の耐性の検査をしないで化学療法をしていらっしゃると思うのです、大部分の方々が。これは幾らやっても、もちろんそれでは効果はあげないわけでありますから、これらに対して、最近の医療費の騰貴の状況をずっと分析して見ていっておると、やはり薬剤費というものが相当大きくなってきておる。国民医療費の分析をしてみますと大きくなってきておる。そういうようなことをも考えまして、また、その耐性菌を持っている開放性患者が、療養所へ入らずに在宅患者としてたくさんおるということになりますと、これは容易なことでないのでありますが、これらが今度の結核実態調査でどういうようなことになってきておるだろうか、それを伺いたいのであります。
  95. 若松栄一

    若松政府委員 今度の実態調査における菌の検査は、まだそこまで進んでおりませんので、判明いたしました場合に申し上げたいと思います。
  96. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それは調べてはあるのですな。
  97. 若松栄一

    若松政府委員 調べてあります。
  98. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それは非常に重大な問題をはらんでいると思いますから、十分にこれは調べていただきまして、結果がわかりましたらお知らせをいただきたいのでありますが、少なくとも厚生省としては、開業医諸君のそういう結果というものについて適当な方策を立てる必要があると思いますけれども、つまり、耐性菌の検査を適当な方法でやる必要があると思いますが、それらに対して何らかの手を打っておるのかどうか。
  99. 若松栄一

    若松政府委員 御承知のように、いわゆる古典的な三種から新しい薬を大幅に採用いたしましたので、これに転化する場合には当然耐性菌検査をやらなければなりません。したがって、そのような検査なしに他の薬を使うことを厳重にとどめるように、診査協議会等で指導しております。
  100. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それらについては、調査結果が出てから後日また承ることにいたします。  もう少し時間をいただいて、交通災害の問題について伺っておきたいのであります。  最近は、御承知のように、昭和二十六年以来非常に自動車がふえまして、交通災害が目立って大きくなってまいりました。大きな問題となってまいりましたが、交通災害の最近の実態はどういうふうな事情になっておりましょうか、伺っておきたい。
  101. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 交通災害は、近年、件数、死亡者ともにふえてきております。正確な事件の数字手元にございませんが、三十八年の件数を申し上げますと、事故件数が、警察庁からいただいた数字でございますが、五十二万八千九百十件、負傷者が三十五万六千三百六十三人、そのうちの死亡者が一万二千二百九十七人、その死亡者は二十四時間以内になくなった方だと思いますので、死因統計によりますあれでは、多少これは増加してくる勘定になります。
  102. 長谷川保

    長谷川(保)委員 年齢別のことがわかりますか。わからなければわからなくてもけっこうです。
  103. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 年齢別の死亡、これは三十七年の統計でございますが、男につきましては六歳未満が六百三十人、それが二十歳−二十四歳になりますと千百七十名、それから二十五歳−二十九歳が千九十一名というふうに、この二十歳から三十歳の辺にピークがございます。それからあと下がってまいりまして、女につきましてもこのピークはそれほどひどくございませんで、六歳未満が四百三人、こういうような状態になっております。負傷者は、子供のほうの負傷者が圧倒的に多いわけであります。
  104. 長谷川保

    長谷川(保)委員 厚生大臣が呼ばれているそうですから、協力します。私も率直にお聞きしますから、率直に答えてください。  交通災害というものが、いまお話しのように、一万二千三百人も三十八年には死んでおります。また、三十五、六万の負傷者がおるわけであります。これは最近の統計をずっと見ますと、昭和三十六年でも死者数一万二千八百六十五、負傷者が三十万八千六百九十七名という数字になっておりまして、特定死因別で考えてみますと、交通事故の死というものは、結核に次ぎまする第七位になっておるわけです。第七位の大きな死因になっておりまするのに、私がふしぎにたえないのは、この予算書に、この交通災害対策の予算というものが全然出ておらぬということです。これは一体どういうわけであろうか。これほど、特定死因別からいいましても結核に次いで第七位になってまいりましたものについて、何らの予算措置がしてない、厚生省の行政が何ら行なわれておらないというのは一体どういうことであろうか、ふしぎにたえないのであります。こういうようなことは、今後ますますふえていくのです。ことに後遺症の問題、これは実に容易ならぬものがあります。   〔澁谷委員長代理退席、田中(正)委員長代理着席〕 また、負傷でありますけれども、負傷者の中で後にこの原因で死亡する者、頭部傷害を含む重傷者が、実に五一・七%も私の持っておりますものには出てまいる。その後遺症は、また実にひどいのであります。実に生存者のうちの四二・七%が後遺症を持っており、精神障害、全半身不随等は一六・三%という大きなものでございまして、これは十年後におきましても、こういう後遺症は残っておる。このことが、一面におきましては貧乏とまた不幸の大きな原因になります。こういうような大きな問題でありますのに、なぜ厚生省はそれに対する措置ができていないのか、この理由を伺いたい。どういうところに理由があるのか。
  105. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 交通事故に対しまして、緊急医療対策を適切に行なわなければならないということは申すまでもないことでありますが、それらにつきましては、まず事故の発生を探知し、情報の入手を早くする、また、患者輸送をどういうふうにしてすみやかに医療機関に持っていくか、輸送力の確保、医療機関と連絡、また、医療関係者の技術のレベルアップ、諸施設の整備、さらにお話のように後遺症の問題等、一連の問題があるのでございまして、総合対策を必要としていると思っております。それで厚生省では、三十八年から学識経験者とか関係厚生機関の方々にお集まり願いまして、救急医療対策打ち合わせ会というものをつくりまして、どういうふうに救急医療をやっていくかということのあり方というものを論議していただいたのでありますが、結論を得まして、近くその基準厚生省令で、消防法の関係で出す予定になっております。また、三十九年度におきましては、救急医療施設に対しまして研修会をするように、はなはだ少額でございますけれども、予算に組んでおります。
  106. 長谷川保

    長谷川(保)委員 幾ら組んでいますか。
  107. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 一千万組んでおります。それを府県に繰り入れまして、府県にやってもらうというようなことで医療水準の向上をはかりたい。なお、ほかの一般の予算の関係の運用によりまして、できるだけこの方面の仕事も伸ばしていきたい、こう思っております。
  108. 小林武治

    小林国務大臣 いまのお話の、行政としても非常におくれておったということは、もうわれわれも認めざるを得ません。お話のように、頭部の外傷というものが、——大体けが人が五十何%ある、また六六%くらいが頭部の外傷で死んでおる、こういうふうな統計も出ておりまして、国全体としてこの問題に対する配意のしかたが非常におくれておる。昨年ようやく消防法を改正しまして、救急業務は消防の業務になった、こういうことになったのでありますが、その施行が非常にまたおそくなっておりまして、この消防法の結果として救急医の指定は厚生省がやる。こういうことにきまったのでありますが、その指定を、数日中に省令を出して全国的に出す。また、消防庁としましても、最近になりましてようやく政令を出しまして、義務的の消防署あるいは消防本部をつくる市町村の指定を最近いたしました。こういうことで、これらが今後の交通傷害に対する対策として行なわれるのでありますが、いずれにしましても非常におくれておったということは、いなむことができません。ことに頭部関係の病院は、東京でもわずかに、四、五ヵ所しかない。東京都は今度は墨東病院にこれを設けるということで、全国的にもこういうふうな施設を整備していかなければならない、かように考えております。
  109. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それは急速にやる必要がある。特に頭部のけがの治療等をいたしますそういう技術者の整備、病院等の整備等は、急速にやる必要があります。  私は、時間がありませんから、また次の機会に詳しく伺いたいのでありますが、ただ一つ、きょうここで厚生省注意を喚起しておきたいことは、いわゆる救急病院に自動車事故等でかつぎ込んでまいります患者、これはもちろん、医師法第十九条によりまして診療の拒否はできないわけであります。ところが、これの医療費の支払いという段になりますと、事が事だけにお前のほうで出せと言ってお互いになすり合いになって、ついに払わずに出ていってしまうということが非常に多くあるといわれているのであります。御承知のように、今度自動車の災害保険が変わりまして、死者には百万円、負傷者には三十万円、後遺症には百万円を限度として災害保険を支払うことに二月一日からなったのでありますけれども、これらのものを、まず医療費を優先して払えというようなことにすべきであると思う。そうしませんと、せっかくそういう対策を十分立てていき、病院などをやっていくにしましても、これは実際においてやれないという形になり、この対策は進まぬという形になっていく。これらについて、厚生省はどういうふうに考えているか。私は、医師医師法によって診療の義務を課している以上は、こういうものに対する医療費の支払いについては、まず保険が優先して支払う。社会保険、健康保険等でやられるのはもちろんけっこうでありますが、それをこえる分についてはこの災害保険が当然支払う。そういうことをしてやらなければ、病院としても非常に大きな負担になってしまうということになると思うが、これらについては何か対策はないのか、伺いたい。
  110. 小林武治

    小林国務大臣 ただいまのことは、私はまだよく検討しておりませんが、至急検討してさような支障のないようにいたしたい、かように考えております。  なお、先ほど療養所等の食糧費等の問題がありましたが、これは、長谷川さんの御意見は当局に対する反省を求めた、こういうことに承っておきます。
  111. 長谷川保

    長谷川(保)委員 大臣はよそで呼んでいるそうでありますから協力いたしまして、また次の機会に残余の質問をすることにして、きょうはこれで終わります。
  112. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十八分散会