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安井委員 北海道の冷
災害を中心にいたしましてお尋ねいたしたいと思います。
特に本
委員会では
中山委員長以下
委員派遣をいただきまして詳細な
調査を進められて、先ほど
報告が行なわれたわけでございますが、その御
努力に敬意と感謝をささげますとともに、その
報告に関連いたしまして、
委員長から、
各種の
要望についてはぜひ実現の
努力をするようにとの特別な御発言がございました。それの成果を
期待するものでございます。私も
委員の諸君と一緒に歩きましたし、独自の立場でもあちこちの
災害事情をつぶさに見てまいったつもりでございますが、いままでもこの
委員会でいろいろな角度から問題が取り上げられておりますし、時間も制限されているそうでございますので、ごく簡単に、将来とも特に問題になると思われる点を二、三拾いまして
政府側のお
考えをただしたいと思います。
まず第一番目に、
損害評価あるいはまた食糧検査事務の問題でございますが、今回の
冷害は、
冷害という一言で言うだけでなしに、
冷害、雨害、湿害、さらに凍
霜害というふうな、幾つもの
災害の重なった姿であらわれております。いろいろなサンプルがあそこにも積んでありますが、全体的に畑作、稲作とも
生育が遅延をした上に、東京は水道の水が出ないくらい雨がなかったのに、
北海道は、八月中はお天気だったのが三日か四日くらいしかないというふうなことで、
低温の上にさらに
生育遅延に拍車をかけたというふうな実態があったのではないかと思います。もう二週間以上も
生育がおくれておる上に、霜が早くて、特に九月二十七、八日の霜が徹底的な打撃を与えて、それで
生育はすべてストップしたというのが実態ではないかと思います。ですから、たとえば畑作は、あそこの
北海道から持ってまいりましたいろいろな作物の実態からもおわかりになりますように、たとえば大豆なんかも、まだまだ
生育が続く段階において零下五度から十度くらいのひどい霜にあったものですから、
生育が急にとまってしまって、見渡す限り枝豆が並んでいるというふうな姿になっているわけです。青立ちのままで終わっているわけです。畑作のほうはそういうふうなことで、
損害の問題も、これはもうほとんど
収穫皆無といったような状態でございますから、比較的見やすいわけであります。それからまた、わりあいに早く成熟したものは
収穫がありますから、オール・オア・ナッシングではっきりするわけですが、問題は
水田の場合で、
水田も稲が青立ちのままずっと続いていて、そのまま二週間も霜がおそければきっちり成熟をしたはずです。ことしは分けつも非常に多いわけですから、非常にいい作がとれたのではないかと思うのですが、それが霜のために
生育が完全にストップして、つまり青立ちのまま稲を刈ったというのと同じ状態があらわれてきたわけです。もっとも
農民の側でも、あちこち聞いてみますと、たいへん涙ぐましい
努力を続けられて、霜の予防のための薫煙なども、いまだかってないような熱心さで行なわれました。ある町で聞いたら、九月に入ってから前後六回もやったそうです。ほとんど毎晩のように徹夜状態が続きました。ある町では、
農家の人だけでなしに、市街地の呉服屋さんも学校の先生も、町じゅうが、——市街地の中にもたき火がたかれたそうです。枯れ草に重油をかけたり、それだけじゃ足りなくて、ことし
北海道でやっていたのはタイヤです。古タイヤを集めてきて、古タイヤはもう
北海道じゅうの町になくなりました。札幌にもなくなりました。一本十円くらいで買ってきたのを、それを一本たけば一晩あるわけです。町ぐるみのそういうふうな
努力も、もう最後は零下二度、四度、五度、
ところによりましては十度というわけで、作物は完全に凍ってしまうような事態が起きた
ところさえあるようです。
そこで問題は、私が特に提起いたしたいのは米の問題でありますが、青刈りをしたという形なものですから、結局おそるべき未成熟米や
青米の
生産というふうな形になっているわけです。地帯やその他によってだいぶ違いますけれども、しかし
生育が比較的おくれる地帯では、いわゆる米どころといわれている上川とか空知ですが、それはおくての稲が植えられておりますし、それから比較的早目に寒さが来る地帯はわせ系が植えられているわけで、いずれにしても
生育ストップという状態、
条件は同じようなわけであります。たとえばあちこちでのいろいろな状態から聞いてみましても、反収四俵くらいで
損害の評価が行なわれていうものでも、三分の一くらいは
青米やその他
政府買い上げの
対象にならないのではないかというふうな事態さえあるようです。ここに若干サンプルがありますけれども、これをちょっと見てください。
〔
説明員にサンプルを示す〕
その一番上にあるのは、上川郡の神楽町の石光清さんのユーカラです。ユーカラというのは、御承知のようにアイヌの有名な叙事詩です。文学的な表現なんですが、それが作物の名前に取り入れられているわけです。それが優良品種になって、しかも最近はずっと秋が長く続いたものですから、ことしは米どころでは四割も、あるいはひどい
ところになりますと、町村段階で六割もユーカラが入っております。石光さんの稲は、共済組合の
損害評価では、三百十四キロ、約五俵二分くらいであります。しかし、それを見ましても、成粒が非常に少なくて、死に米やあるいは
青米が非常に多いということに気づきます。しかし、それはまだ五俵以上という、七分作くらいの作でありますから、いいほうですが、もう一つあります愛別町のシオカリ、これはわせ系の稲です。それからもらう一つ、上育二百二号もあると思いますが、これなども
青米がきわめて多くて、したがって、そのサンプルは五等検やあるいはまた従来の
等外米
程度で、
政府が
買い上げ可能な
程度にまで精選をしたらどうなるかという例を示してあります。
政府買い上げのような米をつくるとすれば、一・七ミリという例のふるいではたいへんなわけですから、そのふるいの目を変えていくということで、いい米をつくったら、
あとには一割から二割に及ぶどうしても売れない米が残ってしまうという事態であります。
そこで私がお聞きをいたしたいのは、この問題は、食糧庁のほうの検査の問題、それから
政府買い上げの問題は同時に
関係が出てまいりますが、その問題が一つと、それから経済局のほうの共済組合の
損害評価の問題、それから特に農林統計の上でそれがどう見られるかという問題、こういうような問題にからんでくるのではないかと思います。
北海道のいまの段階では、
損害は一応一・七ミリというふるいから残ったものだけが
生産されたということで、それから落ちたものは
損害にみなす、そういうわけですから、
青米もすべて、農林統計事務所のほうも、それから共済組合のほうも、これは
損害でないとみなされる、
生産されたとみなされる。
ところが、検査事務所のほうでは、その米の
青米部分は、未成熟部分は
買い上げませんということになるわけです。つまり、
政府のほうでは
買い上げてくれないが、それが
損害ということに見てくれない、もしそういうことになれば、
農民の側は往復びんたを食う、こういうようなことになるわけです。いろんな
冷害対策が講ぜられるにいたしましても、
損害の
程度がどの
程度かということが、
対策を決定する
基準にもなるわけであります。そういうような点から、この問題が米作地帯における最大の問題点に
北海道ではなっているようであります。この点についてまず農林省の御見解を伺っておきたいと思います。