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1964-10-09 第46回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月九日(金曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 中山 榮一君    理事 小沢 辰男君 理事 細田 吉藏君    理事 稻村 隆一君 理事 岡本 隆一君       池田 清志君    加藤 精三君       上林山榮吉君    仮谷 忠男君       吉川 久衛君    草野一郎平君       壽原 正一君    渡海元三郎君       床次 徳二君    中川 一郎君       湊  徹郎君    森下 元晴君       吉田 重延君    渡辺 栄一君       赤路 友藏君    石田 宥全君       栗林 三郎君    泊谷 裕夫君       永井勝次郎君    西宮  弘君       華山 親義君    原   茂君       松浦 定義君    安井 吉典君       山口丈太郎君    栗山 礼行君       小平  忠君    林  百郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  委員外出席者         北海道開発庁政         務次官     大泉 寛三君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小熊  清君         厚生事務官         (社会局保護課         長)      加藤信太郎君         農林政務次官  谷口 慶吉君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林技官         (農地局参事         官)      永田 正董君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 梶木 又三君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      筒井 敬一君         通商産業事務官         (鉱山局開発課         長)      栗林 隆一君         通商産業事務官         (中小企業庁長         官官房総務課         長)      本村 庄一君         運 輸 技 官         (港湾局技術参         事官)     栗栖 義明君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (国土地理院測         地部長)    坪川 家常君         自治事務官         (財政局地方債         課長)     首藤  堯君     ————————————— 十月九日  委員天野光晴君、井村重雄君、亀岡高夫君、田  澤吉郎君、谷垣專一君塚田徹君、井谷正吉君、  卜部政巳君、千葉七郎君、泊谷裕夫君、中村重  光君、華山親義君、松井誠君及び竹谷源太郎君  辞任につき、その補欠として加藤精三君、上林  山榮吉君、吉川久衛君、草野一郎平君、床次徳  二君、中川一郎君、赤路友藏君、栗林三郎君、  永井勝次郎君、西宮弘君、原茂君、松浦定義君、  安井吉典君及び小平忠君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員加藤精三君、上林山榮吉君、吉川久衛君、  草野一郎平君、床次徳二君、中川一郎君、赤路  友藏君、栗林三郎君、永井勝次郎君、西宮弘君、  原茂君、松浦定義君、安井吉典君及び小平忠君  辞任につき、その補欠として天野光晴君、井村  重雄君、亀岡高夫君田澤吉郎君、谷垣專一君、  塚田徹君、井谷正吉君、卜部政巳君、千葉七郎  君、泊谷裕夫君、中村重光君、華山親義君、松  井誠君及び竹谷源太郎君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(新潟地震昭和三十九年  七月山陰・北陸豪雨北海道における異常低温  並びに台風第二十号による災害対策)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 中山榮一

    中山委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、北海道における異常低温による被害状況調査のため現地に派遣されました委員から報告を聴取することにいたします。華山親義君。
  3. 華山親義

    華山委員 私は、去る十月三日から七日までの五日間にわたり、北海道における異常低温による農作物減収状況調査をするために派遣されました委員を代表して、調査概要を御報告申し上げます。  本調査は、農林水産委員会と合同して調査をいたしたのでありますが、本委員会から参加いたしました委員は、中山委員長と私でありますが、地元選出議員多数に関係各地で参加をいただきました。  今回北海道各地に大きな被害をもたらした気象状況について、その概況を申し上げます。  四月初旬は北海道全道にわたり気温はやや高目であり、例年より融雪が早かったため、農作業は順調に進み、四月下旬から五月上旬にかけて若干の低温の日があり、水稲の発芽と稚苗の生育がおくれがちであったのでありますが、五月中旬からは苗の生育は回復し、移植も順調に進むという、典型的な豊作型の天候に持ち直ったのであります。しかるに、六月に入るや、道東を中心として全道各地に平年度の二倍から三倍に達する激しい集中豪雨があり、各河川ははんらんし、田畑、特に水田地帯に大被害発生を見たのであります。七月中旬に入るや、大陸から張り出した冷たい高気圧が全道をおおい、天候は概して快晴であったにもかかわらず、気温は上がらないまま八月に入り、冷たい高気圧が去ったあともも北海道南方に停滞する寒冷前線のため雨天または曇天がちの悪天候が続き、気温は依然として低温を示し、道東及び道北地区は平年に比較して三度から四度、その他の地域においても一・五度から二度以上の低温のまま八月下旬までの約五十日間続いたのであります。また、日照時間を見ますと、全道平均で平年度の七五%、道北地区は五〇%、十勝支庁管内にありましては、八月下旬の開花受精期の十日間にはわずか七時間の日照時間を記録するという極度の日照不足と相なったのでありまして、この記録は、昭和二十九年及び昭和三十一年の大冷害発生の年の記録を大きく上回るという、北海道においては戦後最悪の日照記録であるといわれているのであります。  このような気象異変により、水稲をはじめ各種農作物は激甚な被害を受けたのでありますが、さらに九月二十七日から二十八日の二日間、ところによっては二十九日までの三日間にわたり、全道に例外なく十日間も早い霜に襲われたのでありまして、その日の気温は零下六度以下に下がり、結氷を見るに至り、収穫期に入らんとする水稲豆類完熟期が凍霜障害を起こし、追い打ち的な被害を与えたのであります。その他の農作物もすべて凍霜害を起こし、特に飼料作物もまた甚大な損害を受けたのであります。  以上がおもな異常気象状況でありますが、局地的には、このほか、四月の降ひょう、五月の異常乾燥、六月には長雨等があり、特に長雨によってバレイショが大きな被害を受けているのであります。このように、北海道農家は、四月の融雪時から農作業を終わる晩秋に至るまでの半年の間いろいろの災害発生に攻め立てられ、防災のために戦い、大被害に苦しむ、全く災難の年であったようであります。  以上の災害による被害額は、北海道調査によりますと、九月二十八日前後の凍霜害被害を除き、九月二十日現在で被害面積は七十三万ヘクタール、被害総額は四百二十八億円にのぼっているのであります。このうち、水稲は十八万ヘクタール、二百三億円、豆類は十五万ヘクタール、百十五億円、飼料作物は二十二万ヘクタール、三十二億円、バレイショ二十六億円、野菜二十一億円、てん菜九億円、果樹八億円、雑穀六億円、麦類三億円等となっているのでありますが、前にも述べましたとおり、この被害額には凍霜害による被害が加算されておらないのでありまして、現地にあっては被害調査を急いでおりますが、凍霜害被害額冷害等被害額の二割から三割に達するものと推定されるようであります。したがいまして、凍霜害を加えた今次災害の総被害額は五百億円を突破することは確実と見られているのでありまして、北海道といたしましてはまさに未曾有の災害といわなければなりません。このように、冷害という特殊な災害は、その防災方法もないため、手の施しようもなく、また、被害発生時期も容易に判明しないため、災害対策も結果的にはおくれがちとならざるを得ないものであり、それだけに農家の心残りも多いものと思うのであります。また、これに反し、凍霜害につきましては、その発生が前もって予測できる関係上、関係農家は、降霜と同時に、当局の指示に従い、またはみずから、被害最小限度に食いとめるべく重油、枯れ草、自動車のタイヤ等を燃焼し、防寒作業について不眠不休、あらゆる努力をいたしたのでありまして、被害地各地に随所にその努力あとが見られたのであります。しかしながら、この苦労の効果もあらわれずこのような大被害となったのでありまして、まことに気の毒にたえぬものがあったのであります。  北海道農家は、内地と異なり、水稲においても耕作の北限地であり、豆類バレイショてん菜等に依存せざるを得ない営農条件劣悪下にあり、昭和二十九年及び昭和三十一年の冷害等による大凶作のつめあとがいまだ消えず、支庁管内一戸平均五十万円から九十万円の大きな負債を背負って営農を維持している農家実情であります。特に開拓にありては、全道二月平均負債は七十七万円で、本年度収穫金により償還を迫られている負債は、平均一戸当たり十四万円となっているのでありまして、生活費にこと欠く被災農民の現況を考えるとき、まことに痛々しい災害といわなければならないと思うのであります。去る三十一年に発生した冷害の際においては、被害から立ち上がり営農を続けていくことができず離農した農家は、一万戸といわれているのであります。以上のような劣悪な条件下にある北海道農業を維持し、再生産に励まんとする被災農家が、われわれ国政に携わる者に対する救済期待はいよいよ大きいものがあるのでありまして、われわれはこの実情を胸に刻み、限りなき同情と、必要、可能な限りの救済措置を早急に実施すべく勇気を持って当たり被災者期待にこたえるべきであると痛感してまいったのであります。  次に、調査いたしました被害地を順を追って申し上げます。  まず、十月三日は、札幌において、道庁から今回の災害の総括的な説明要望を、また、道議会及び農業団体からの陳情を聴取いたしたのであります。翌四日は、岩見沢市において空知支庁管内被害状況及び陳情を聴取した後、美唄市に参り、水稲激甚地現状調査し、さらに滝川市において市管内被害状況陳情を聴取いたしたのであります。五日は、音更町の被害調査しながら帯広市に参り、十勝支庁管内釧路支庁管内及び根室支庁管内被害状況及び陳情を聴取し、次いで上士幌町、足寄町、陸別町の被害地調査し、さらに置戸町において網走支庁管内被害状況陳情を聴取いたした後、留辺蘂町の被害地調査いたし、翌六日に佐呂間、湧別及び紋別地区被害状況調査をいたした次第であります。七日は、北海道農業試験場を訪れ、豆類冷害克服技術について詳細にわたり説明を聴取いたしまして、全日程を終ったのであります。  次に、道並びに地元から各種の熱心な要望がありましたが、各位のお手元に道よりの陳情書も配付してありますので、時間の関係上、ここでは、要望事項のうち特に重要な点につきまして、調査団意見も加えまして申し上げたいと思います。  第一の要望は、激甚災害法に基づく天災資金貸し付けも並びに貸し付け条件緩和であります。激甚災害法に基づく天災資金貸し付けができる災害規模は、農業被害見込み額全国農業所得推定額のおおむね〇・五%をこえるものと、激甚災害指定基準が定められておるのであります。昭和三十九年の全国農業所得推定額を一兆八千億円から二兆円程度の間にあるものといたしますと、その〇由五%は九十億円から群億円と相なりますので、北海道の今回の凍霜害を除いた九月二十日現在の被害額四百二十八億円は、当然適用されると思うのであります。したがいまして、激甚災害法を早急に適用するとともに、北海道農業特殊性からいたしまして、災害金利といたしましては高利に過ぎるとの悪評のある天災資金金利をこの際大幅に引き上げる必要があると思うのであります。特にこの際申し上げたいのは、融資限度額の二十五万円は少額に過ぎ実情に合わない時期にきていると思うのでありまして、この限度額につきましてもこの機会に引き上げをなすべきであると思うのであります。  第二の要望は、自作農維持資金特別ワクの設定による貸し付けと、貸し付け条件緩和であります。今回のような低温等による災害は、公共施設等施設損害を受けておりませんので、公共土木事業実施が容易でなく、したがって、被害農家救農土木事業等実施による現金収入の道が少ないのではないかとも考えられるのでありまして、現金を得るためには、自作農維持資金の借り入れにたよるほかはない実情にあるのであります。したがいまして、この維持資金に対する期待が非常に大きいのであります。政府は、この際、十分被害者要望する融資確保するものとし、それに必要な資金ワク設置しも早急に貸し付けるとともにも貸し付けにあたっては、個人の限度額を大幅に引き上げ、また金利についても思い切って引き下げるよう早急に適切な措置を講じ、被災者期待にこたえるべきであると思うのであります。  第三の要望は、開拓者に対しては、開拓者資金貸し付けるとともに、償還延期をされたいというのであります。前にも触れましたとおり、北海道開拓者は二月平均七十七万円の負債を背負い、そのうち、償還期が過ぎ返済期にあるものが平均十四万円となっているのであります。収入年間平均四十万円といわれているのでありますが、この収入を今回の災害でその大半を失ったのでありまして、離農を余儀なくされている開拓者相当数にのぼり、昭和三十一年の冷害時における離農者は一万戸といわれておりますが、政府対策いかんによりましては三十一年同様の非常な混乱を見るのではないかと思うのでありまして、開拓者資金融通につきましては特段の配慮を要するものと思うのであります。この際、開拓者資金融通を受けられる開拓者基準を、農作物減収が七〇%以上の農家でありますのを五〇%程度に引き下げるよう所要の措置を講ずべきであると思うのであります。  第四の要望は、農業近代化資金等制度資金について、被害農家の要償還額のうち償還不能分について償還猶予措置を講ぜられたいというのであります。今回の災害を受けた農家負債につきましては、前述した開拓者はもちろん、一般農家にあっても、三十九年度償還額一戸当たり十万円以上のものが大多数である実情考えをいたし、償還延期または猶予措置を講ずるにとどまらず、据え置き期間設置または延長を行ない、さらに再貸し付けを行なう等の措置を講じ、実質的な貸し付け条件緩和をはかるべきであると思うのであります。  第五の要望は、被害農家に対し現金収入の道を開くため、救農土木事業実施されたいというのであります。第二の要望で述べましたとおり、施設被害を受けていない関係上、災害復旧公共土木事業がありませんので、今年度実施予定土木事業及び明年度予定事業の繰り上げ実施を行なうよう、国及び道は了解事項として実施することが必要であると思うのでありまして、若干の無理はありましても、災害実情にかんがみ、鋭意現金収入の道を開いてやるべきであると思うのであります。聞くところによりますれば、ところにより、土木事業として積雪下におきましても実施できる事業として、排水溝の改修及び設置、暗渠排水、客土、農道の補修、土地改良砂利採取事業等があるとのことでありますので、政府においても、これが実施できるよう万全の協力と措置を講ずべきでありますし、客土事業団地事業となっているようでありますが、これをこの際一カ所五ヘクタール以上のものに分割し実施できるよう条件緩和をするようすべきであると思うのであります。北海道の今回の災害により収入源を失った被災農家農業維持経営を可能にするかしないかは、一に救農土木事業の適切なる実施いかんにかかっているという印象を強く受けとめてまいったのであります。また、これが実施にあたっては労賃単価の改定を行ない、真に救農の効果があらわれるように努力を願いたいと思うのであります。  第六の要望は、農産物検査規格特例を設け、米の下級品政府買い上げ措置を講じてほしいというのであります。現行農産物検査規格には、一等から五等までと等外上の規格がありますが、今回の北海道冷害及び凍霜害による水稲被害は、生育過程における障害がおもであります関係上、青米等外上すれすれ以下の品質が過半量を占めているのでありまして、等外中または等外下規格特例として設けて買い上げ対象に願いたいとのことであったのであります。理論的には種々意見があると思うのでありますが、農民側からの意見としては、まことに現実的、素朴的なものでありましょうが、農業共済収穫対象となっている目合一・七ミリ以上の米粒がすべて収穫とみなされて共済金が差し引かれているにもかかわらず、政府買い上げ規格により不適格品として除外されるということは、被害農家、あすのかてに苦しんでいるものに対しては通用しがたい理屈といわなければならないと思うのでありまして、同じ政府関係制度である点を考え救済措置としてばかりでなく、双方一致した規格にするよう何らかの措置を講ずるか、何らかの関連性において納得のいく方法考えるべきであると思うのでありまして、第五の要望救農事業とともに、真剣な要望として全地域陳情されましたし、われわれ調査団も、何らかの適切な措置を講ずるように努力することを約束してまいったのであります。  第七の要望は、越冬用飼料確保についてであります。デントコーン、燕麦等飼料作物が激甚な被害を受け、越冬用飼料大半は他から購入しなければならない現状にあるのでありまして、濃厚飼料政府払い下げ、及び牧草、稲わら等購入費に対し、特段助成を行なうべきであると思うのであります。今回の災害調査いたしまして強く感じましたことは、これからの農業、特に北海道農業酪農に大きなウエートを置いた農業経営に移行さすべきであるということであります。今回の災害によって受けた打撃を酪農兼業農家に見ますと、営農生活は極度に悪化はしているものの、酪農による日々の現金収入源がわずかながらも確保されておりますのに反し、水田または畑作専業農家は完全に現金収入の道は断たれ、その日の生活にもこと欠く、全くのお手上げという気の毒な現象が各地に見られたのでありまして、このような災害時を契機として、政府は、関係機関とはかり、農業経営改善計画を立て、適正規模の家畜を導入した酪農農家育成に万全を期すべきであると痛感してまいったのであります。  第八の要望は、昭和三十九年産米の時期別格差適用期間延長についてであります。冷寒によりまして生育から収穫までの期間ところにより異なっておりますが、十日間から十四日間の期間延長することによりまして平年と同様の基準となりますので、この際、農家実情を参酌し、十日から十四日間の適用期間延長を行なうべきであると思うのであります。  以上のほか、再生産に必要な種子及び肥料の確保購入費に対する助成昭和三十九年産米にかかる予約概算金の返納の猶予共済金概算払い早期実施、国及び地方公共団体の税の減免等がそのおもなるものであります。  以上、調査概要について申し述べたのでありますが、政府は、今次災害特異性を考慮され、各要望事項について慎重に検討を加えられるとともに、これが期待にこたえるべく善処されるよう強く要望いたしまして、報告を終わります。(拍手)
  4. 中山榮一

    中山委員長 派遣委員にはまことに御苦労さまでございました。  この際、委員長から政府当局に申し上げますが、ただいまお聞きのとおり、地元からの種々要望等につきましては、政府当局において、十分にそれぞれの対策について遺憾のないよう、地元各位期待にこたえるよう善処せられんことを強く要望いたしておきます。      ————◇—————
  5. 中山榮一

    中山委員長 これより災害対策に関する件について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、質疑は、先ほどの理事会の申し合わせによりまして、一人おおむね二十分となっておりますので、御承知おきをお願いいたします。  稻村隆一君。
  6. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 今年の七月の新潟県下における集中豪雨におきまして、刈谷田川がはんらんをした。この刈谷田川の流域は全国有数穀倉地帯ですが、連年の災害のためにこれは不毛の地なのです。今年も非常に収穫は悪くて、農民生活にも困るというふうな事態に追い込まれておるわけであります。七月の災害対策委員会におきまして、委員のほうからいろいろ質問し、かつ、政府当局も具体的にいろいろ答弁をしております。しかし、これは早急に実行してもらわなければならぬのであります。あれから多少時日がたっておりますので、繰り返すのでありますが、具体的な問題につきまして、建設当局並びに農林当局に重ねて私は五、六の点につきましてお尋ねしたいと思うわけであります。  第一の問題は、この刈谷田川における水害の最大原因というものは、上流において防災設備が皆無である、だから防災ダムを早急に建設してもらいたい、これはもう地元の人々の痛切な要求であります。そこで、このことも七月十四日の災害対策委員会において問題になったのでありますが、ダムはどの程度効果があるかいなか目下調査中である、究極するところ関屋分水をやることが一番いいのではないか、こういう河川局長のお答えのようでありましたが、その点につきましていかにお考えになっておるか、またどういうふうな施策を持っておられるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  7. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  防災ダム計画がどういうふうに進んでおるかということでございますが、この刈谷田川上流地区には、先日もお話を申し上げましたように、非常にダムサイトというところが少なうございます。それで、まず一カ所、地元のほうでも非常に希望をしておられるところがあり、また県においても幾分調査をしておったところがあるわけでございますが、これが栃尾市の上流でございますが、この前のときにお話を申し上げた布滝というところでございましたか、そこの場所でございます。調べましたところ、非常に効率が悪うございます。というのは、どういうことかと申しますと、高さを七十メートルの高さにいたしまして、有効貯水量が四百五十くらいしかないわけでございます。ということは、ほかのダムにたとえて申し上げますと、たとえば京都の天ケ瀬ダム、これがやはり七十メートルくらいの高さでございます。これに対して有効貯水量がたしか三千くらいあったと思います。そういうふうに考えますと、九分の一ぐらいの水しかたまらない、それだけの水しかたまらないという地点である。工費で申し上げますと、やはり七十メートルの高さをつくらなければいけませんので、幅は天ケ瀬ダムより幾分狭うございますけれども、そういう点で非常に効率が悪い。せっかくダムに金をかけても、下のほうで助かる、洪水のカットできる調節量というものが非常に少ないということでございます。それだけの金をかけるならば下のほうでがんじょうなものができるのではないかと思っております。だから、そういうことでこのダムは非常に損である——損であると言うとおかしいですが、効率が悪い。それよりも河道改修したほうが非常に有利である、こういうことになるわけでございます。それで、あのダムにいろいろ農業関係のものもお考えになり、発電のものもお考えになって一緒にやれないかというような問題があるわけでございますが、それをやりましても、治水としては非常に割り高になるのじゃないか。だから、むしろ、河道改修のほうをやって護岸を固められたほうが、堤防を築き上げげ、護岸を上げられたほうが有利ではなかろうか。また、いろいろ問題が、下のほうにもたとえば大堰の問題なんかもありますし、そういう問題のほうで片づけたほうが有利なのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  8. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 それで、あなたは関屋分水をやったほうが一番だと言っておられましたね。ところが、最近県も関屋分水にあまり熱がない、こういうことを聞いておるのです。そういう話もありますし、関屋分水のほうはどうですか、このごろ建設省はさっぱりそういうことは言わないけれども。
  9. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  関屋分水につきましては、これはもちろんこの上流の問題ともからんでくるわけでございますが、県といたしましては非常に大問題になっておるわけでございます。というのは、全体が大体九十億くらいかかるわけでございます。そのうち、いままでに見えておりました治水の費用としては二十三億、残りは県が土地造成をすることによって得られるものによって出そうというようなお考えで工事を始めかけておったわけであります。ところが、土地のほうは売れない——売れないと言うとおかしゅうございますが、おそらく売れることは売れるでしょうが、非常に価格が安くなるんじゃなかろうかというようなことが懸念されるわけでございます。それで、それをどうするか。たとえ栃尾市の上流ダムをつくっても、それはカットするのは百五十トンかそこらでございますので、とても関屋分水をやるやらぬの問題にはなりませんので、これとは切り離して別個に関屋分水考えておりますが、やるかやらないかという問題が起こってくるわけであります。それで、関屋分水をやるということを前提にしないとすべての検討ができませんので、やるということを前提に考えてひとつ検討してみようじゃないか。というのは、どういうことかと言いますと、いままでの旧信濃川の河道でありますが、それに対してもいろいろな構造物も考えて積算をしておるわけでございますが、これは地震によって、いろいろいままで十分であるというふうに思っておったものがだめであったり、たとえば昭和大橋が完全に落ちてしまったり、あるいはまた、アパートの住宅が横にこけてしまった、いわよるクイックサンド的な状態があらわれたりしておりますので、こういったことを、もし旧河川をやるとすれば、考えて設計をしなければいけない、そういったような面もございますので、もう一回やり直してみなければいけない、そういうことが一つと、それから、もし関屋分水をやれば、やはりある程度下流のしゅんせつというものが助かっていくんじゃないか、こういう考え方も前はオミットされておりますけれども、これも何とかそういうことが考えられないか。実際に助かるものは助かるのだから、それは事業費に入れられないか。それから県としてもいろいろ考えていただいて、土地は売れないといっても、売れないことはないわけでございます。値段が問題でありますけれども、そういうこともいろいろ考えてこれは検討していかなければいけない、それも早急に検討しなければいけないということで、県のほうにも私どものほうからも——これは県の仕事ではございますけれども、いままで建設省が補助事業として取り上げております以上、これはひとつ一緒になってやろうじゃないですかということで、いま検討を始めかけておるところでございます。それで、特に新潟県のほうは、いま地震のあと、あるいは梅雨前線のあとで、災害のほうに設計の方が非常に追われておられるわけです。それで、設計陣をまたそういう旧信濃川の検討事項のほうに向けていかなければいけません。目下そういう査定災害のほうから別個にいま一部検討を始めていただきかけておるところでございます。こちらもそれに参画をしてやりましょうということでございます。
  10. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 根本的には、川幅が狭いということが水害が発生する原因になっているのですが、早急に川幅の拡張と全面改修をしていただきたいのです。そういう点に対して具体的にどういう決定をしておりますか。
  11. 上田稔

    上田説明員 ただいまのお話は、刈谷田川の問題ではないかと思うのでございますが、刈谷田川につきましては、現在の流量は六百五十トンくらいしか流れませんので、この問の水が千トン以上出ておりますし、計画は千五百五十トンをとっております。したがいまして、川幅が、先生がおっしゃるように非常に狭い。ところが、栃尾市まで全部中小河川でやるということになったら、これは百億近いような金になってしまうのです。中小河川がいま一億三千万じゃないかということで、それではとてもできない、これは中小河川を今度の新五カ年計画、いまお願いをしておりますが、それに入れましても、とてもそれだけの予算増はできないだろうということで、非常に困っておったわけですが、今度は非常に上流部分に災害を受けるようになりまして、ほうっておくわけにいかぬということで、大堰から上流は、災害費がたしか二十七億くらいあると思いますが、それに合わせまして、助成か、あるいは災害関連費を入れまして、そうして大堰から上流はそういう改修方式で計画どおりのものをやっていこう、それから大堰から下は中小河川でやる、ところが、それも四十億くらいかかるわけでございますけれども、そのうちでどうしてもやらなければいけない、たとえば護岸の根入れはもちろんやらなければなりません。堤防はもちろんやらなければいけません。しかしながら、護岸の上のほうの部分は幾ぶんあと回しにしても、急ぐ部分をとにかくやるということにいたしまして、計算をいたしましてやると、四十億まではかかっておりません。三十五億以下くらいな程度でございます。それを、いま言いましたような上部の護岸を除いたようなものを考えていきますと、二十五億くらいになるのではないか。そういったようなものをひとつ中小河川でやっていこうじゃないか、そうして災害上流ができ上がると同時にそれをやっていこうじゃないかというのが、現在の考え方でございます。
  12. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 時間がありませんので、もう簡単に申し上げますが、困っておるのは、耕地の災害復旧に関係があるのですが、法線のことですね、これをすぐきめてもらいたいのですが、これはどうなっておるのか。
  13. 上田稔

    上田説明員 法線につきましては、いま申し上げましたように、中小河川では以前から計画を立てております。これでその法線は示すことができると思うわけであります。ただ、これは県工事でございますので、県の技術者がいま災害に追われたりしておりますので、その点が幾ぶんおくれがちになっておるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  14. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 それから、刈谷田川のかさ上げをどうしても早くしてもらわなければならぬ。これはどういうふうになっておるのですか。
  15. 上田稔

    上田説明員 かさ上げでございますが、これはいま申し上げましたように、堤防が旧堤そのままを通るところはよろしゅうございますが、六百五十立方メートルの流量が千五百五十になりますので、かさ上げといいましても、同じ場所にならない堤防になるのじゃないか、相当広がるのじゃないか。片側だけを広げていく場合にはそういう形になりますのですが、先生も御存じのように、あの川はそういうわけにもいかないのじゃないか。少しうねっておりますし、そうもいけないところが多うございますので、そういうわけにはいかないのじゃなかろうかというふうに考えております。
  16. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 それから、これもやはりどうしても考えてもらわなければいかぬのですが、刈谷田川を中之島地内から信濃川に分流することです。これについて至急調査してもらいたいと思うのです。貝喰川という川がありますが、これを信濃川にやはり分流することも検討してもらったほうがいいだろうと思うのですが、この点についてやっておりますか。
  17. 上田稔

    上田説明員 まず第一点の、見附分水という案でございますが、この案につきましては、実は刈谷田川の本川の改修をいたしますときに、本川改修をするか、見附分水をするか、どちらがいいだろうかということを、一応概算では検討しておるわけでございます。そうしますと、先ほど申し上げましたように千五百五十という流量が計画になっております。そのうちで現在流れ得るのは六百五十か六百九十ぐらいしか流れない。残りの約手トン近い九百トンぐらいのものがこれを分水しなければいけない。ところが、いま、猿橋川でございましたか、ちょっと名前が違っておるかもしれませんが、猿橋川だと思いますが、たしかそこに信濃川に沿いまして非常に緩流の排水路が、排水の川が流れております。分水いたしますと、これをどうしても上を越えていかなくちゃいけないのじゃないか。そうすると、その猿橋川というのは、たしか以前はいまの合流点よりももっと上流のほうで本川に入っておったものを、どこかつけかえて下のほうへ持っていったほどの、非常に信濃川の水位に左右されて排水のしにくい川であったというふうに考えておるわけでございますが、その川をこれは横断しなければいけない。横断といいますか、立体交差をして持っていかなくちゃいけないというような問題がございますし、それから、本川の水位が上がりますと、その対岸に黒川という、これもまた非常に入っております川でございますが、緩流でございまして非常に排水のしにくい川ですが、この川のやはり排水という問題を考えなくちゃいけない。こういうことで、しかも本川そのものも水位が千トン近いものが上がっていくということによって増強をしなければいけないということで、これが下流の改修をやるよりもずっと金がかかり、工期がかかるのじゃなかろうか、こういうことで、現在の本川改修——どうしても六百五十トンの現在の刈谷田川を千五百五十トンのものにする原川改修のほうが有利である、こういうふうに考えてやっておるわけでございます。  それからもう一つ、先生のおっしゃっておりますのは、貝喰川のことかと思いますが、貝喰川というのは、たしか五十嵐川の旧信濃川との合流点の近くで合流をしておる川ではないかと思います。その川は、流域の中の排水ということで、結局、刈谷田川と五十嵐川の間の部分の平たん部分の水を出しておる川ではないかと思うわけでございますが、これが今度の災害で非常にはんらんを起こしておるわけでございますが、この原因を実はよく調べてみないと——先生のいまおっしゃっておりますのは、直接に旧信濃川にはけというお話でございましょうと思うのですが、いかがでございますか。
  18. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 そうです。
  19. 上田稔

    上田説明員 そうしますと、旧信濃川へ現在も出ておるわけでございます。そうしますと、はんらんした原因が、おそらく、いまの今町付近でございますか、あそこで猫興野橋付近がはんらんをいたしまして、その水が貝喰川に入りましてはんらんを起こしていたのじゃなかろうか。それをこういうふうにとめることができましたら、そういう心配がないのではなかろうかというふうに現在では考えておりますが、なお旧信濃川の水位と、それからもし洪水がとまった後の貝喰川の水位というようなものを検討いたしまして、そういう点は今後の検討問題といたしたい、こういうふうに考えております。
  20. 中山榮一

    中山委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  21. 中山榮一

    中山委員長 速記を始めて。
  22. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 刈谷田川の大堰土地改良区の固定せきを可動装置に改良工事をしていただかなければならぬと思うのですが、どうですか。
  23. 上田稔

    上田説明員 大堰につきましては、これは上流の水位にかんがみまして、何とか下げなければいけないのではないかというふうに考えております。いま申し上げましたように、上流部分を、今度は災害関連事業または災害助成事業でございますが、そういうものをやっていきますので、それとのにらみ合わせでやっていきたい。下げるということは、どこまで下げるかということの問題がございますので、可動ぜきにしなければいけないのではないかというふうに考えております。
  24. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 もう一点です。  それから刈谷田流域ですね、あの付近が湛水をして、これがために部分的には収穫皆無のところがあるわけです。それで、これは信濃川の河床が上がっているのですから、これをどうしてもさらわなければいかぬと思うのですが、これに対して具体的にあれがありますか。
  25. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  旧信濃川のほうの河床が、先生のお話では、いま上がっておるということでございますが、私どもの聞いておりますところでは、信濃川の関屋分水から下のほうの新潟市内の部分、あの部分が非常に河床が上がってきておりまして、それで旧信濃川の河床も上昇をしておるという話は、もうだいぶ前には聞いておりましたが、その後そのことに対しまして低水路固定事業というものを、ずっと改修工事をやってまいりましたし、そういうことで、現在では、上がっておるということはあまり聞いておらないわけでございます。
  26. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 やはりもっと河状整理をやってさらって、そうすれば流下能力が増大するから、湛水はしなくなるわけでしょう。下が全体が上がっているのですから……。
  27. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  河状整理はずっと下から実施をいたしてきたわけでございます。それで刈谷田川の水は、どちらかといいますと、中ノロ川でございましたか、北側のほうに流れております川でございますが、中ノロ川というのだと思いますが、その川のほうに大体流れていっておりまして、あの川は大体河状が安定をしておるわけでございます。
  28. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 もう一点お尋ねしてやめますが、これは農林省のほうですか、刈谷田川右岸用排水の改良工事、これを早急にやってもらいたい。これは三十八年から調査費がついたのです。三年かかるのですね。調査費が全体で三千万円、三年を要する。実施計画に三年から六年かかるわけですよ。こんなことをやっていれば、これはたいへんなんですね。急いでやってもらいたい。それはどうですか。農林省で急いでやるような具体的計画はないですか。
  29. 永田正董

    ○永田説明員 お答えをいたします。  刈谷細川右岸土地改良事業というのは、確かに三十八年度から調査をいたしておるものでございます。ただいま三年というようなことを言われましたけれども、われわれのほうは標準的に三年ということを考えておりまして、成績のいいものは三年で上がるというのが普通じゃないかと存じます。ことしちょうど二年目になるわけでございますけれども、この地区は五千数百町歩ありまして、大部分が排水、用水のほうは、上流ダムをつくるということで県から申請されておるものでございまして、特にこの上流ダムというのは非常に効率が悪いというようなことで、迷っておるようでございまして、現在のところでは、来年終わるという確約はちょっといたしかねるので、十分検討しなければいかぬ、こういうぐあいに考えておりますが、目下検討中であるということで御了承願いたいと思うのでございます。技術的にできるということになれば、その線で検討いたしたい、こういうぐあいに考えております。
  30. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 終わります。
  31. 中山榮一

    中山委員長 それでは、建設大臣に対する質疑を先にお願いいたしたいと存じます。山口丈太郎君。
  32. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 お急ぎのようでありますから、実は今度の二十号台風に関係をして、事務当局にむしろお願いをして建設大臣の御了承を得たい、こう思うわけです。  実はこの間二十号台風の兵庫県下の被災状況を見に回ったわけです。ところが、問題は、阪神間のうち一番被災の多かったのは西宮市でありますけれども、この西宮市の防潮堤については、これは運輸省の所管のようであります。ところが、その防潮堤をはずれますと、特に今津港に流れ込んでおる東川という川があります。その上流に津門川という川があるのですが、その津門川から下流のほうは四、五年前にたしか改修工事が完了した、こういうことになっているのですけれども、非常に川の両岸の高さが低いのであります。そのために、今度の台風では高潮が参りましてそうしてオーバーフローをやった。ところが、その川の西側のほうは、県、市の公営住宅が密集している地帯であります。それが高いところではひさしまで水につかり、深さが約二メートルから二メートル半の浸水をした、こういうことでありまして、ポンプ場が設けてあるのですけれども、そのポンプ場も、自分の生命が危険だったものですから退避してしまった、それで排水ができなくなった、こういうような状況で悲惨なことになったわけであります。  そこで私は、建設大臣に——というより、河川局長にひとつ御答弁を願いたいのですけれども、運輸省と建設省とのこういう所管はどういうふうになっておるのですか、それを伺って、大臣にお願いしたいと思います。
  33. 上田稔

    上田説明員 お答えを申し上げます。  運輸省と建設省の分担でございますが、港湾区域として指定をされておる区域、これは全部運輸省になっておるわけでございます。それから漁港区域、これは農林省の分担になっております。その他の一般海岸が建設省になっております。それから河川につきましては、やはり港湾区域を除いた部分がこちらになっておるわけでございます。
  34. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そこで、鳴尾川じりから西宮港に至る海岸、これは建設省かと思っていたら、運輸省だ、こういうのですね。いまかさ上げ工事が行なわれつつあるのですけれども、これは一気になぜやっておらなんだなんということを言って責任を追及してもしようがない。ところが、低いところは、鳴尾川から西宮港に至る間、ここでは、堤防の裏側にあります家屋は床上まで、水は当然のことですが、水ではなくて、海の砂が堤防を越えて浸入した、そうしてここで八戸ばかりがこわれて、いまだに避難をして家に帰ることができない、こういう状況にあるわけです。これはやはり建設省でなくて運輸省ですか。どうも港湾以外と思うので、おかしいのですけれども……。
  35. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  この向こう側の右岸側でございますが、これは建設省でございます。向こう側の川そのものの右岸でございますね。三十度くらいにとんがっておりますが、そのとんがっておりますところからずっと北のほうは、川の中は建設省関係でございます。それから新川という川がございますが、その新川の部分は建設省関係でございます。そのほかは大体運輸省関係ということになっております。
  36. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そこでお伺いしますが、この建設省関係のものと運輸省関係のものとが並行して工事が進められないと、水のようなものは、一カ所不備な点がありましても全体が用をなさない、これは常識でありますけれども、こういうことでありますから、一体来年度に——これは運輸省と両方に尋ねなければわかりませんけれども、きょうは建設省だけお伺いしますが、来年度西宮地区の海岸地帯の改修についてはどういう御計画なんですか。運輸省では緊急五カ年計画にはずれた、したがって、普通の五カ年計画の中で改修工事が進められているとか聞いたのですけれども、これは来年度中にでもひとつ完成をさしてもらわないと、またいつ台風があるかもわからぬ、その場合にここだけでこれだけ大きな被害を受けるということになりますと、問題が非常に大きくなってまいりますので、ぜひともそうしていただきたいと思うのですけれども、その御計画はいかがでしょう。
  37. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  運輸省とこちらも同様でございますが、以前、大阪湾の高潮というのは、大体尼崎、大阪のほうが水位が高うございまして、西宮のほうは幾ぶん低いというのが、台風の位置によったわけでございますが、いままでの通例でありました。今度の台風は西宮が非常に被害を受けまして、尼崎はあまり受けなかった、大阪もあまり受けておらないというようなことになったわけでございます。したがいまして、こちらといたしましても、以前の関係西宮のほうは幾ぶん予算を考えておらなかったわけでございますが、このたび非常な災害をお受けになりましたので、運輸省のほうとこれから相談をいたしまして、あわせて工事ができるように大蔵省のほうに折衝をいたしたい、こういうふうに考えております。
  38. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そこで建設大臣にお伺いしますが、いまお聞きのとおりなんですが、この地帯は戦前は地盤沈下というようなことは考えられなかったところなんです。ところが、終戦後急速に産業が発展いたしますと、それにつれまして非常に地盤沈下が激しくなってまいりました。したがって、この十四、五年の間には、地盤沈下のはなはだしいところでは、やはり尼崎と同じように一メートル以上も沈下をいたしておるわけであります。したがって、それに伴う防潮堤、河川の堤防のかさ上げ工事はぜひとも進められなければならないものが、いま河川局長のおっしゃるとおり、あまり進められていなかったわけです。坪川の改修をしていただいたことは私どもも感謝をしておるわけですけれども、そういう地帯でありますので、したがって、これは認識を改めて、ぜひとも、産業の心臓部とも称せられるところでありますので——工場等の被害も相当大きなものがあります。川崎製鉄のごとき、あるいは吉原製油のごときは、工場内に一メートル以上の浸水を来たしておるわけであります。したがって、いまほとんどまだ工場の機能は停止したままで復旧工事を自力でやっておるわけであります。ぜひともこれは来年度は運輸省の予算にあわせて——もうわずかでありますし、また建設省のほうとしてもそう何百億というような予算でなくともできるわけでありますから、ひとつ大臣のほうでこの地帯に対する特殊の配慮を願っておきたいと思うのですが、御見解をこの際承って、住民を安心さしてやれるように願いたいと思うのですが、いかがでしょう。
  39. 小山長規

    ○小山国務大臣 お答えします。  事情よくわかりました。いままでまだ大蔵省との間の打ち合わせをしてないそうでありますけれども、よくわかりましたので、来年度からひとつできるようにこれから折衝させます。
  40. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 要望しておきますけれども、これはお聞きのとおり、建設省だけの単独でなくて、運輸省との話し合いで、運輸省の工事と建設省の工事とが並行して進まないと、これは用をなさないところでありますから、ひとつその点を特に御配慮願いたいと思います。  終わります。
  41. 中山榮一

  42. 原茂

    ○原(茂)委員 前回の委員会に建設大臣にお伺いしたい問題があったのですが、あした建設委員会があるそうですし、きょうは時間がないそうですから、それに譲りまして、きょうは四点だけお伺いしておきたいのです。  きのう、あるいはおとといでしたか、何か御用があって長野県のほうにおいでになるついでに、二十号台風による災害視察、陳情もお受けいただいたそうでありまして、非常にありがたいと思うのですが、そこで関連してお伺いしたいのは、最初に、前会にもお伺いしておきましたが、本査定ですね、特に長野県の建設関係、それを十一月の六日ごろというような何か御意見を新聞で拝見したのですが、それが正しいのか、あるいはもう少し早まる——前にはもうちょっと早いように当局からお伺いしておりましたが、おくれるのか。それと、ぜひ激甚災の指定を受けなければ困るという地元要望が非常に強かったと思いますが、われわれ二十号台風の災害を受けたところは、大中小を問わず、早く激甚災の指定が受けられるようにということを念願しているわけですが、建設大臣として現地を御視察になった感想でけっこうですが、一応の方向として、激甚災の指定等を行ない得るものかどうか、そういう方向でおやりいただけるかどうか、まず第一点。
  43. 小山長規

    ○小山国務大臣 お答えいたします。  この間、おととい伊那地方の、一市三ヵ町村ですか、見てまいりました。非常な災害で、御同情にたえません。本査定は十月の十四日に始めるのでありますが、非常に広範囲にわたっておりますので、大体十一月の六、七日ごろまでかかるだろうということで、いま急がしておるわけであります。  それから激甚災の問題は、御承知のように法律上の要件がありまして、総事業費の集計がまだできておりませんので、激甚災に該当するかどうか、まだちょっと判断できませんが、あと十日ぐらいたちますと、激甚災に該当するかどうかという答えが出るかと思います。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。激甚災が、あと十日ぐらいで大体の調査ができて、その指定が可能かどうかがきまるわけですが、これは万が一のことなんですけれども、長野県下の総額大体四十億近くの災害になっていますが、この災害が総事業費その他との関連で激甚災の指定が不可能だというようなことになりますと、住民に対して非常に大きな不利益が生じてきます。ために、どうしても激甚災に指定を受けたいという念願が非常に強いのです。やはり二十号台風という一つの系統として、地域が離れていても全体を一つのものにまとめた考え方を前会のときによく要請したのですが、その結果どうなったか知りませんが、その地域だけに限らずに、やはり一つの台風という同じ系統のもとに起きたものは、地域的なものを相当広く按配して激甚災というものの指定を——前例はないかもしれませんが、考慮するというようなことをしていただく必要があるんじゃないかなという感じがするわけですが、まだわかりませんが、そういうことをやはり特別に御配慮願えますかどうか。
  45. 小山長規

    ○小山国務大臣 この激甚災の指定にあたって、一つの気象現象だけに限るのか、関連したものをやるかというのは、法の過程から非常な問題があったのでありますが、御承知のようなことで一気象現象に限るということになっておるのでありますけれども、そのほかに、御承知のように、例の災害復旧の負担の法律がありまして、私が拝見しました駒ヶ根市付近のあたりでいいますと、負担率については御承知でありますから申し上げませんが、相当高額な国庫負担が行なわれることになるはずでありますから、住民負担というものはほとんどないのじゃないかというような感じを受けて帰ってきたわけであります。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 こまかいことはあとに譲りますが、住民負担はないだろうということですが、ほかに補助災害、単独災害が非常に多いのです。したがって、負担も自治体にとっては相当の負担があるのじゃないかという心配をしているわけです。そういう点も、あとでまた建設委員会でお伺いしますが、お考えおきをいただきたい、それが一点。  それから次に、おいでになってごらんいただいたかと思いますが、下流地域が非常に大きくあの災害を受けたわけですが、その原因というのは、やはり上流地域における土砂くずれが非常に大きな原因で、これはまだ調査が完全にできないほど奥に大きな崩壊がたくさんあるわけです。したがって、緊急砂防というものを同時にやっていただきませんと、下流ばかりいま埋まっているところを手当てしましても、これはちょっと一雨参りますと、あとどんどんくずれてきますので、緊急砂防というものを同時に大幅にやっていただかないといけないと思いますが、そういうことをやっていただけるように御配慮願えるかどうか。
  47. 小山長規

    ○小山国務大臣 これは現地でもそういう希望が非常に強うございまして、私ども、こういう荒れ川は、上流を治めないとまた同じことが起こる、そこで上のほうから砂防工事をやってまいりますから、その点は了承していただきたいと話をしましたところ、皆さんぜひそうしてくれ、こういうことでありました。ですから、そういう方針で砂防のほうに力を入れて次の災害を何とか防ぎたいという考え方でやりたいと思っております。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 どうもありがとうございました。ぜひそういうようにお願いしたいと思います。  それから三つ目に、特に天竜川中心の長野県の荒れ方を見ますと、現状の川の形をあのままにしておきますと、きまったところがいつでも同じように災害を起こしているのです。専門語を知りませんが、流路改定といいますか、川の流れのここはいけないというところはやはり思い切って流れを修正するといいますか、余分な曲がりがありましたら、なだらかな流れに、あるいはまっすぐに通す、流路改定というのかどうか知りませんが、そういうことを思い切ってこの機会に抜本的に考えていただき、長期の仕事として同時に発足していただくということをしませんと、住民が、もうきまってここはこうなればこうなるのだよと言っているところに護岸の決壊を起こしているということがございますので、流路改定ということを、しかも次年度河川法の改定が実施されてくれば、その機会にでも流路改定ということを天竜川あたりに対しては考えていただけるかどうか、これをひとつ。
  49. 小山長規

    ○小山国務大臣 これは仰せのとおりのことで、専門家としては当然いろいろなことを考えていることと思いますので、十分検討をいたさせます。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、これは既往の災害でございますが、三十六災にしても何にしても、まだ長野県に復旧されていないところが相当部分ございます。本年度全体が完成するといわれておりますが、まだまだ完成しない地域も一部残ります。たとえば下伊那の大鹿を中心にしました災害などは、まだ来年度にもかかるではないだろうかというように考えられておりますが、一体全国的にいままでの災害が完全に復旧をするというような見込みを、年度で言いますといつに見ているのか。特に長野県の場合は、三十六災が一番大きな災害でしたが、これを地域別に見ましても、完成するのはいつか、こまかいことは要りませんが、それをひとつ先にお伺いしたい。
  51. 小山長規

    ○小山国務大臣 三十六年度災害は三十九年度で完成するということで予算を組んでやっているわけであります。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 たとえば下伊那の大鹿の小波なんかが三十九年度で完成しますか。こまかい問題になりますが、私は完成しないじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  53. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  予算といたしましては、三十六災は三十九年度で完了をするように考えております。工事の面ではまだそういうできないということは県のほうから聞いておりませんので、よく調べてみたいと思います。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 予算のことも多少関係して、いまいろいろと物価も上がってくるし、工事も当初の見積もりと違ってくるというようなことが原因かどうか知りませんが、私の聞いた範囲では、予算の面でもちょっと不足をして、できないじゃないだろうかと考えますので、いま局長の言われたように、あと調査しておいていただけば、明日委員会でお伺いしたいと思います。いまの問題で、もしそういうことがありましたら、予算を三十九年度中に完成できるように追加等していただけるかどうか。
  55. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  三十六災と現在では物価の変わっております面もございますので、そういう点につきましては、各県のほうへ再査定に出かけまして、必要なものは増額をいたしまして、また、必要でないものは切って、再査定を行なってできるようにいたしております。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 ありがとうございました。  最後に、従来やってまいりました災害復旧全体の進度率の問題ですが、これは思い切って建設大臣の御配慮をいただいてこれを引き上げていただくようにできないものだろうか。これは非常に大きな問題なんですが、多く申し上げません。そういうことでもし何かの御配慮があるならお聞かせをいただきたい。できる限り引き上げていただきたい。
  57. 小山長規

    ○小山国務大臣 われわれも同じように考えておりまして、来年度の予算要求ではそれぞれ一カ年繰り上げてやるような予算要求をいたしております。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。  あと何か関連して質問もあるようですし、大臣も時間がないそうですから、また建設委員会でこまかいことをお伺いいたします。
  59. 林百郎

    ○林委員 ちょっと関連して伺います。  最初に、私、小山大臣をよく知っておるのですけれども、今度の長野県の災害の視察においでになったときに、特定の、あなた方の党の小川平二君の講演会に顔を出されまして、そこで大臣が講演会で演説をなさるという記事が新聞に出ていた。私は、そういう大臣の来方なら、そんなところに顔を出さぬということで、北海道冷害を視察に行ってしまったのですけれども、やはり大臣がそういう地域全体の住民の災害による被害を視察なさるというときに、特定の、自党の議員の講演会へ顔を出されるようなことは、将来懐しまれたほうがいいのじゃないか。別にそのこと独自としておいでになることはけっこうですが、私ども社会党や共産党の議員はどうしたらいいのですか。あなたと一緒に小川平二演説会に顔を出さなければならぬのですか。これは大臣、考えてもらわなければ困る。私は農林水産委員会であなたをよく知っていますから、今後大臣としての出処進退について心がけたほうがいいのじゃないかと思うので申し上げておきますが、ひとつその理由をお聞きいたします。
  60. 小山長規

    ○小山国務大臣 実は今度のは、あのときも講演会で申し上げましたが、七月の末に小川君と約束がありまして、小川君の講演会に出るという約束をしておったわけなんです。十月六日ですかに向こうの講演会があるから来てくれというので、それでは行きましょうということで約束をしておって、その準備をしておりました。ところが、この二十号台風が出てきて、現地に建設大臣として行くのに、災害の視察もしないということでは、これまた長野県に相すまぬということで、急遽予定を変更しまして、それで結局災害の視察とあわせてということになったわけであります。ですから、片方が最初にきまっておりましたのですから、この点は御了承願います。
  61. 林百郎

    ○林委員 私が了解をしても、地域の住民が了解するかどうかは別問題です。実は新聞には、小川君の講演会にあなたが来ると書いてあるわけですよ。講演会へ来たついでに災害を見るという、そんな建設大臣というのはかつてなかったのです。そこはことに地域の住民というものは敏感です。新聞はあなたが小川君の講演会に来ると書いてあるわけですから、われわれは一体どうすればいいのか、同じ地域から出ている議員はそういうことは非常に困却するわけです。ですから、あなたも大臣でありますから、最高の国家公務員ですから、個人的利益や選挙にからんだような行動は厳に慎んでもらいたいと私は思うのです。私は関連質問ですから、そのことを申し上げて、それはそれでけっこうです。  一つお聞きしますが、激甚地指定になるかどうかということについて、被災地域としては非常に大きな関心を持っておるのでありますが、かりにあなたが視察なさった長野県の天竜川水系が激甚地指定となった場合には、二十号台風が激甚災害の指定を受け、しかもその地域が激甚地域の指定をされた場合には、どのような施策が講ぜられるのか、そのことについてひとつお聞きしたいわけです。たとえば災害復旧費についての適用の範囲がどのように拡大されるのか、補助率がどのように引き上げられるのか、そのようなことについてどういう事態になるのか、その点が一つ。  それから小規模災害に対する国家の補助の適用の範囲を拡大し、高率の補助についての特別の措置を講ぜられたいということが地方自治体から来ている。ことに長野県は、よそも同じだと思いますが、地方財政が乏しくなっておるところへ、やはり目の前に災害が起きておりますので、とりあえず地方自治体がそういう小規模災害と取っ組まなければならぬという事態がいろいろ起きておるわけです。地方自治体の財政の窮迫にからんで、ある程度規模災害については地方自治体にまかせられないで、国からの補助の適用の範囲の拡大、高率の補助の特別措置を講ぜられたいという要望が出ておりますので、この点については大臣としてはどのような行政指導をされるつもりか、その点が第二点。   〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕  第三点は、これは長野県あるいはよその県もそうだと思いますけれども、特に荒れる性格を持った川で、普通の工事単価では改修のできないような特殊の性格を持った川に対する事業費について、単価について特別な考慮をしないと、一般的な工事単価では、再び災害を起こすような処置しかとれないような事態がありますので、そういう地域の、ことに河川等につきましては、特別な条件、川の持っている性格等によって、事業単価について考慮しなければならない事態があると思いますけれども、そのことについて大臣はどう考えられますか。  この三点について原委員の関連質問としてお聞きしたいわけなんです。
  62. 小山長規

    ○小山国務大臣 激甚地指定を受けた場合には、法律上いろいろな場合が想定されまして、国の負担率というものはきまっておるわけです。その詳細は河川局長から御説明申し上げます。
  63. 林百郎

    ○林委員 それが一つと、もう一つは、いままで市町村財政にまかされた災害に対して、これは非常に続発しますし、地方自治体が財政的に窮迫しているので、従来市町村だけの財政にまかせられた災害に対しても国が補助の適用の範囲を拡大するなり補助率を高めるなり、何らかの措置考える必要が起きているのではないか、こういう問題が一つと、それから工事単価の問題で、特に荒れる川とか、あるいは改修について特別費用を要するような川の性格、条件を厳密に科学的に調査されて、工事単価についても、一般的なならしの単価でなく、そういう河川については特別な工事単価を認めてやる必要があるのではないか。従来の予算で不十分だということが気がついたら、それをさらに高めてやらないと、せっかく一応の修理をしても、またそこから災害発生するようなむだが起きますので、その点についてどのような河川行政をしておられるか、その二点がまだ残っておりますから。
  64. 小山長規

    ○小山国務大臣 いまおっしゃったことは、要するに激甚災害の適用をどうするかということでありますから、これは河川局長に答えさせますが、単価の問題も、特別の単価というものはないのでありまして、これは実際必要とする単価ということでありますから、従来の例その他もあると思いますので、この点もあわせて答えさせます。
  65. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  第一点の、激甚地になりました場合には長野県の場合はどうなるかということでございますが、長野県につきましては、財政のことについては持ってきておりませんので、どういうふうになるかはいまここでちょっと即答はできませんが、いろいろと県の財政によって変わるわけでございます。  それから第二点の単価について、いま大臣がお答えになりましたが、先生の御質問は、再度災害の防止ということを考えないのかということじゃなかろうかと思うわけでございますが、この災害対策につきましては、再度災害を起こさないような工法を考えるということを考えておりますので、先生のおっしゃるような心配はないんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。  それから第三点の、市町村災害では市町村が非常に困難なので、県災害にならないかという御質問でございますが、河川の場合でございますと、そういうふうに影響の非常に大きな重要な河川という場合には、現在の河川法によりますと、準用河川というものに県が指定をして、そういうことになりますと県災害ということになるわけでございます。それで、現在の市町村災害というのは、準用河川以外の普通河川、つまり、まあ住民にあまり影響がないと思われる川については県知事がそれは認めておりませんので、それを市町村長さんに管理をお願いしておるというものでございます。
  66. 林百郎

    ○林委員 大臣の時間がもうないようですから、私の質疑はきょうはこの程度で終わりますが、いずれまた、本委員会なり他の委員会で、災害に対する政府の基本的な態度についていろいろお聞きしたいと思うわけです。たとえば、各地方自治体のほうからは、災害特例債の特別措置が講ぜられないだろうかとか、あるいは長期低利の資金の貸し付けについて特別な配慮が特に考えられないだろうかとか、早期復旧の予算措置を至急講ぜられたいというような問題いろいろあるわけですが、これは補正予算の問題にもなりますし、総理の病状等にも関係して政府のこれからの行政措置の重要な問題にも関連してきます。その点についての質問は、きょうは大臣の時間がないようですから後日に譲りたいと思いますけれども、とにかく農業災害にしましても、あるいは台風の災害にしましても、弾力性を失った日本の財政的なあるいは経済的ないろいろな状態のもとにおける災害から受ける人民の困窮というものは、想像以上に深刻だということを大臣もよく考えられまして、担当大臣として全力を尽くしてあらゆる措置考えられるように、さらにはまた、国会も協力して、場合によっては特別立法も考えるというようなことも当然しなければならないと思いますが、その点をよくわきまえてひとつ行政指導されたいもこれを要望しましても私のきょうの質問を終わります。
  67. 岡本隆一

    ○岡本委員長代理 渡辺栄一君。
  68. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 農林省にお願いしたいと思います。  今回の第二十号台風につきましてはそれぞれ強い御要請がございますが、特に次の問題点につきましてお伺いをいたしたいと思います。  第一点は、天災融資法の適用等によりまして、当面の被害農家に対しましては長期低利の資金等の融通を願っておりますが、しかし、ことしだけ考えましても、すでに凍霜害あるいはひょう害等、災害が続いております。これをもう少し長い期間ながめてみますと、連年の災害によりまして農家の負担は非常に過重になってきておると思うのであります。普通に経営をいたしておりましても、所得格差が開きまして当面大きな問題になっておるような現状でありまして、今回の台風につきましても、同じようにいつまでも天災融資法の適用によってこれを糊塗していくということにつきましては、おのずからすでに限度がきておるのではないか、こういうように考えるのでありますが、当局考え方はどういうようなふうに御判断になっておりますか。
  69. 中西一郎

    ○中西説明員 天災融資法あるいは自創資金等の融資が、何といいますか、末端の被災農家にとって借りにくい情勢になっておるのではないかという御指摘かと思います。その点については、本年度から特に自創資金の一戸当たり融資のワクを、災害がありました場合には、従来の三十万円を、五十万円まで借りることができるというようにしまして弾力性を与えたのでございます。なおそれでも資金の円滑な疎通ができないというような場合につきましては、制度融資等を償還期限の延期ができるように取り計らうことによりまして、農家でさらに追加して融資が受けられる、そういうふうな弾力的な措置も特別に考えたい、かように思っております。
  70. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 ただいまの御答弁で、三十万を五十万にまで限度を引き上げていただいた、あるいは償還延期、いろいろな御処置をさっそくいただきましたことは、われわれといたしましても非常に喜んでおりますが、ただ問題は、延ばすにいたしましても、限度を引き上げるにいたしましても、これは農家としては返済をしていかなければならないという問題点になるわけであります。そういう意味におきまして、現在の農家の事情は私が説明するまでもないのでありますが、こういうことを繰り返し進めていくことによりまして、農家は最終的に窮地に追い込められていくというような心配を私どもは持っておるのでありまして、こういう制度につきましてもさらに御配慮を願わねばなりませんが、根本的には、農家の負担というものを低減する根本的な措置考えていただかねばならぬ段階にきておるのではないかというふうに考えられるのであります。そういうような将来の問題につきまして特に私はお願いをいたしておきたいと思いますが、農林省として何かお考えいただいておることがございましょうか。
  71. 中西一郎

    ○中西説明員 御指摘の点につきましては、金融の末端における疎通状況等の調査もいたしまして、十分検討の対象として意味のあることだと思っておりますけれども、昭和農業恐慌当時の負債整理が問題になりましたああいう事情と、今日の農業全体の事情とは非常に差があると思っております。そういう意味で、前向きの構造改善その他の施策を講じまして、全体として農業がより果実を生みやすいという形に持っていくことによりまして資金の疎通をはかるというのが、正面からの取り組み方である。そちらのほうに本年度あたりからも重点を置いておりますけれども、来年もさらにそういう点に重点を置く。その上で御指摘のような問題が広範に存在するということになりますと、これは大問題になります。それはそれとして十分検討してまいりたいと思います。
  72. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 前向きの姿勢で私は解決をしていただくということにつきましては賛成でございます。ぜひひとつそういう方向で解決に乗り出していただきたいと思いますが、ただ、実際農家現状は、この融資措置によりましてこれが累積をいたしてまいりまして、全く償還等につきましても将来暗い見通しにおちいっておる農家が相当あるということを私は考えておりますので、そういう点につきましては将来特にひとつ抜本的な措置考えていただきたいことをお願いいたしておきたいと思います。  第二番目に、農業近代化資金によりまして農家が近代的な農業にいろいろと努力を続けてまいりましたが、特にその中におきまして農業施設、特に共同施設、こういうものを最近非常に積極的にやってまいりました。ところが、今回の二十号台風によりましては相当な被害を受けておるはずであります。中でも養蚕等は、上簇直前におきまして全く回収不可能、しかも近代化資金を借りて施設をいたしまして、まだその収益をほとんどあげておらないでこれが壊滅に瀕した、全く途方に暮れておるという農家が相当にあるように私は思うのであります。こういうような問題につきましては、償還延期というような問題もお考えをいただけるものと考えますが、しかし、そのほかに何らかの措置を講じなければ、せっかく意欲を持って農業企業化を進めてまいりました農家といたしましては、将来の希望を失っておると私は思いますが、そういう問題につきまして何か特に御配慮を願っておるかどうか、その点につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  73. 中西一郎

    ○中西説明員 個々の具体的なケースにつきまして、それぞれ末端の融資を担当しております機関で、必要があると認めました場合には、約定の償還期限をさらに延ばすことができるというふうに措置をいたしております。本年度の東北地方の凍霜害、その後の新潟あるいは山陰の災害、いずれもそういうような措置をいたしておるのでございますけれども、それで円滑にいけるのではないか、かように思っております。
  74. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 ただいまのお話では、償還延期だけやむを得ないものについては配慮をすれば心配はない、こういうふうにお考えでございますか。いまそんなように聞きましたが……。
  75. 中西一郎

    ○中西説明員 そのようにお答えしたわけでございます。なおそのほかに、共同利用施設自身が災害を受けたというようなことがございます場合には、その共同利用施設を復旧いたしますための公庫からの特別の融資も当然ございます。申し添えておきます。
  76. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 一般的にはそういうことだと思うのでありますが、実際にはそういうことでは解決しておらないと思うのです。末端におきましては、非常に貧弱な財政の中から、市町村がある程度の負担をする、あるいは県におきまして相当な補助をするということによって、ようやくこれが立ち直っていくというのが、ある程度のパーセントを占めておるのじゃないかと私は思うのであります。表面的に見まして、償還延期とか融資措置だけでこういう問題が解決しておるという考え方につきましては、さらにひとつその実態というものを御検討いただきまして、こういう問題につきましては、近代化資金によりましてせっかく農家が企業化を進めていこうという意欲に対しましても、これが全く画餅に帰するわけでありまして、農家は意欲を失ってまいります。特にこの近代化資金によりましてやっております農家は、どちらかといえば、農家の中におきましても、意欲のある、前向きな農家でありますから、こういう農家が意欲を喪失するということになりますと、地域全体のいわゆる生産農家としての行き方につきましても、相当に意気を阻喪してまいると思いますので、そういう点につきましては実態をよくお認めを願い、さらに私といたしましては、融資のみならず、特に国におきまする助成措置につきましても今後御検討をいただきたい、できるならば二十号台風につきましてもお考えが願いたいということをこの機会にお願いいたしておきたいと思います。  次に、樹勢回復の問題あるいは病虫害の問題等につきましては、すでに凍霜害のとき以来るるお願いをしてきておられるところでありますが、零細補助であるというようなゆえによりましてその実効をあげておらないように私は思っておりますが、実際は、養蚕等につきましても樹勢回復というような問題が非常に大きな要素を占めておるというふうに私は考えておるのであります。また果樹等におきましては、病虫害防除というようなものにつきましてやはり相当な費用を注入いたしておるわけでありまして、末端の地方行政機関としましては、国にそういう施策がないからということでこれは看過することができませんので、実際は関係の県、市町村におきましてこういう問題に対しましていろいろと助成措置をとっておるのが実情でございます。その辺につきましては農林省は十分御認識いただいておると思いますが、いかがでしょうか。
  77. 中西一郎

    ○中西説明員 お話のように、災害が非常に激甚であるというような市町村あるいは県当局におきまして、ところによりまして肥料、農薬の補助をしておるというような事実は聞き及んでおりますし、それの集計もだんだんやっておるわけです。それに対して国がどうするかというような問題でございますが、金額としてはそう大きくございませんし、県あるいは市町村単独でやっていただいて、あと特別交付税からの裏づけというようなことで措置していただくのが一番いい、これを補助事業の体系の中に取り入れまして、会計検査がどうだとか、農林省の監査がどうだというようなことでなく、先ほど申しましたようなことで円滑に措置していただくのが一番いい、かように思っております。
  78. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 お話はよくわかるのでありますが、実際は、特別交付税という制度は非常に焦点がぼけてまいりまして、最後は、いわゆる総ワクの中のつまみ金になってくるのであります。そのために、私ども経験がございますけれども、末端でこういうものの看過できない場合におきましては、それだけ地方財政の面におきましては相当な食い込みになってくる、逆に言えば、やはり十分な措置ができない、こういうことになってくるように私は思うのであります。後ほど自治省からも私はお伺いをいたしますが、もし特別交付税ということをはっきりおうたいになりまして財源措置をなさるならば、これまたやむを得ないとは思いますが、その場合には、こういう問題につきまして、その関係団体に対しまして財源措置がとれますように、農林省におきましてもひとつ責任を持って御措置を願いたい、この点ひとつ特にお願いを申し上げたいと思います。  次に、災害復旧活動につきましては何といいましても、農業改良普及員等が相当苦労いたしましてこれの復旧に努力をいたしておると私は考えております。また、そのためには調査費等につきましても相当な費用が要るのでございまして、凍霜害の当時におきましてもいろいろ御要請になってきておりますが、今回の台風につきましても、こういう問題につきましての農林省のお考え方は、ある程度あたたかい御配慮が願えるものと私は考えておりますが、その点いかがでございましょう。
  79. 中西一郎

    ○中西説明員 お話のように凍霜害等で考えましたと同様の配慮をいたしたい、かように思っております。
  80. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 もう一つお願いします。  果樹共済につきましては四十一年実施を目標にしておられるように承っておったのでありますが、今回の台風でもわかりますように、最近果樹というものが相当に規模がふえてまいりましたので、実際に災害当たりますと果樹等の関係救済の道がないのでありまして、非常に関係者は困っておりますが、これをひとつ何とか明年度から実施するというような御英断をお願いしたいと思うのでございますが、その点いかがでございますか。
  81. 中西一郎

    ○中西説明員 私どもも、気持ちとしてはできるだけ早いほうがいいと当然考えておりますし、そういうふうにすべく努力はしておるわけでございますけれども、何ぶん、保険設計となりますと相当精緻な計画を必要といたします。それが固まらないままで制度だけ先走りまして、先走った上で非常に大きなロスを生ずるというようなことになりますと、他方納税者に対しても相済まぬというようなことに相なりますので、両面考え合わせながら、できるだけ早くというのが、現状では四十一年ということになっておるわけでございますが、その辺、現段階で、四十年から必ずやるというふうには申し上げかねますけれども、前向きで努力は続けてまいるということで御了承願いたいと思います。
  82. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 いろいろ準備の要ることもよくわかりますが、私は、こういう現状からいきまして、一刻も早く実は果樹共済をやっていただきたいということを考えておりまする一員でございます。四十年度は間に合わないといたしましても、少なくとも四十一年度には確実に実施をするように、その段階におきましてまだ準備が整わないということにならないように、特にお願いを申し上げておきたいと思います。  林業関係でひとつお願いを申し上げておきたいと思いますが、森林の国営保険の範囲を拡大していただきたいと思うのであります。それは、山林樹苗の養成事業損害てん補等の給付措置をお願いいたしたい、こういうことでございますので、いろいろお願いをしていただいておる点がございますが、この点につきましてはいろいろな御意見の中に私は漏れておるように思いますので、特にお願いいたしたいと思っておりますが、この点につきまして何か御計画いただいておりますか。
  83. 中西一郎

    ○中西説明員 苗木の養成といいますか、育苗段階での災害についての補償制度お話だと思うのですけれども、現在国営保険の対象になっておりません。重要な施策の一環ということで十分配慮いたしたいと思っておりますけれども、三十七年度から実態調査を続けて現段階にきております。本年度もまだその継続中でございます。これはまだはっきりした見通しが果樹のように立ちかねておりますけれども、できるだけ早く御要望の趣旨のような制度の体系を打ち立てたいということで、せっかく努力をいたしております。
  84. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 実施年度の目標等はございませんか。
  85. 中西一郎

    ○中西説明員 現段階ではそこまで煮詰まっておりません。
  86. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 ぜひひとつ目標を立てていただきまして、早急に実施をいただきますようにお願いをいたします。  今回の災害におきましては、ほとんど、関係県にもよりますが、農林関係は非常に大きな災害を見ておりますが、実は今回の災害につきましては特別な法の適用をお願いできない地域が相当多いわけでありまして、それだけにこの農林関係に対する災害対策というものにつきましては十全が期されないのではないかという心配と、一面におきましては、その結果といたしまして地方団体にそのしわ寄せがいくのではないかということが心配されるわけでありますから、特に農林省におかれましても今後の御努力をお願いいたしまして、農林省関係はこれで終わらしていただきたいと思います。  時間がきておりますから、簡単に自治省にお伺いをいたしたいと思いますが、先ほど農林省の官房長のお話の中にも、樹勢回復あるいは病虫害防除等の費用は特別交付税で見るのだというようなお話がございました。こういう点は、大きな目からいえば、現在の農業のあり方からいきまして、当然国の財源によって解決すべきである、金額の多少にかかわらず、それがほんとうの姿であろうと私は思うのでありますが、一歩譲りまして、特別交付税でこれを解決するといたしましても、特別交付税の性質上、これは非常にあいまいになってまいりまして、焦点がぼけてくるのではないか。結果といたしましては、それらの財源が十分に関係団体におきまして確保するということが、実情としてはあいまいになっておるのではないかと思うのでありますが、こういうような点につきまして第一点としてお伺いをいたしたいと思います。  次に、災害救助法等の適用を今回は受けられませんけれども、しかし、全国的に見ますと、十一万戸近い家屋の一部あるいは破損あるいは浸水、そういうものを見ておるわけでありますが、こういうものに対しましては、やはり県におきましても、末端の市町村におきましても看過できませんので、ない財源の中からそれぞれ適切な措置をとっておるのが実情ではないかと思うのであります。しかしながら、現在の地方財政も、多少関係団体によって違うとは申しますけれども、いま全体としては非常に財政の苦しいところにきておるわけであります。そういうような意味におきましては、ある程度の財源の見通しがつかなければ、貧弱団体におきましては、事情はわかっておりましても、これに対する救済措置がとれない、結局被害者は泣き寝入りということに終わるのではないかという心配を私どもはいたしておるわけであります。そういうような意味におきまして、今回の二十号台風等におきまする財源措置等につきましてまずお考えいただいておる点がありましたならば、お伺いをいたしたいと思います簡単でけっこうです。
  87. 首藤堯

    ○首藤説明員 お答えを申し上げます。  災害の際におきます特別交付税の配分でございますが、ただいま時点では、特別交付税の配分は、災害を受けたことによります公示災害の額を基準にいたしますとか、そのほか、罹災戸数あるいは農林関係被害の金額、そういったようなものを基準にいたしまして、それに一定の率を乗じましたものをるる算定いたしまして、交付をいたしておるわけでございます。この考え方は、すでに御承知のとおりに、地方公共団体災害を受けたことによりましてその復旧事業とかいったようなものの施行につきましては、それぞれ国庫負担や補助等のシステムがあるわけでありますが、そのほか各種のもろもろの経費、ただいま御指摘のありましたような、たとえば農産物の種子対策、あるいは薬物の対策、あるいは被災民家に対します各種の見舞い金その他の手当、こういったもろもろの出費が要りますことを前提にいたしまして、そういった地方公共団体の動きに対する財源措置をする、こういう趣旨でございます。したがいまして、ただいま申し上げましたような積算基礎、ルールによりまして金額を配分いたしておりますが、この使途につきましては、交付税の性格上、当該地方公共団体の自由にまかすと申しますか、どういうかっこうにお使いになろうと、使途にひもはつけない、こういうかっこうで配分をいたしておるわけであります。最近地方財政が非常に苦しゅうございますので、災害に関連いたしまして、ただいま、十分の財源措置をすべきではないかという御意見でございますが、この点は私どもも全くそのように考えておるわけでございまして、地方財政に対する御配慮をありがたくお礼を申し上げたいと思います。
  88. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 一般的なお答えをちょうだいいたしたわけでありますが、そういう意味におきまして実際に計算をされて出てまいりました数字と、そしていわゆる特別交付税総ワクの中でこういう該当に割り当てられました金額というものは、その年の災害の事情等によりまして必ずしも一致しないのは当然でございますが、こういうような問題につきまして、本年のように災害が非常にたくさん各地におきまして発生をいたしておるような状況下におきましては、はたして特別交付税をこういうものに割り振ることによりまして十分に確保ができるのか、また、ある程度確保したとするならば、逆に一般のいわゆる地方の財政需要というものを圧迫するのではないか、こういうことを私は心配いたしておるのであります。そういう意味におきまして、特に農業等につきましては、基本法によりましても、農家の今後のあり方につきまして国があたたかい配慮をしようということであれば、いろいろ問題がございましょうけれども、こういうような問題を何もかもひっくるめて特別交付税の中にはうり込むということ自体きわめて無責任だという考え方を持つのであります。こういうものは、金額の大小ということはもちろん検討の対象になりましょうけれども、当然それは国の責任において、樹勢回復であるとか病虫害防除であるとか、農林災害対策というものを立てるべきではないかというのが私の考え方なのでありますが、その点につきまして自治省のお考えをお伺いしたい。  同時に、今年のようなこういう災害の多い年に、はたしていまお話のような、いままでと同じようなやり方におきまして、地方財政というものが、十分ではないにいたしましても、一応三十九年度というものが御説明がつくのか。  この二点におきましてお伺いをいたしたいと思います。
  89. 首藤堯

    ○首藤説明員 お答えを申し上げます。  本年度のように非常に災害が大きい場合に、これをいままでのような配分のしかたで特別交付税の対象にして配っていった場合に、特別交付税の総額が足りなくなって、地方財政そのものに圧迫を及ぼしはしないか、このような御質問の御趣旨と承りました。非常に災害が大きい場合には、御案内のように、特別交付税は交付税の総額の六%というふうに総額がきめられておるわけですから、ただいまのようなことが理論的には当然想定をされ得るわけでございます。ケースがあり得るわけでございます。ただ実際の財源措置といたしましては、災害は非常に緊急なものでございますので、特別交付税を配分いたしますときの優先順位——と申しますと語弊があると思いますが、一番重点的なものとして、従前のルールを守りながら配分をしていく、こういうことにはつとめたいと思っております。その金額が猛烈に膨大になってきて、他の要素に配るための特別交付税の量が圧迫をされてくる、こういうことは、災害の量が大きければ差し引くわけでございます。本年度災害の総額はまだ全般が確定をしておるわけではございませんけれども、そのようなケースはあり得るということでございます。  それからもう一つは、各団体にあまねく行なわれておりまして、かなり大きな金額になりますようなものについては、国の財政援助もあってしかるべきではないか、こういうふうな御説と承りましたわけでございますが、そのようなものでございますれば、そのような援助をいただきますことも非常に妥当なことではないか、このように考えております。
  90. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 私は実は長い問地方財政、地方行政にあずかっておったのでありますが、どこかに大きな災害がありますと、特別交付税は非常に減ってくる。したがって、極端な言い方をしますと、どうかしてどこにも災害がなければいい、自分のほうはもちろんないほうがいいのでありますが、どこにもなければいい。どこかにありますと、特別交付税に対します金額の見通しというものも非常に暗くなってくる。現在の地方財政の中におきましては、非常に貧弱団体の財政は困窮をきわめております。したがって、やはり普通交付税というものがございましても、その中で十分にまかない切れておらない問題点が相当あるわけであります。決して特別交付税だけが余分なものではないというふうに私は考えております。国のほうで、こまかい零細補助であるから、そういうものはすべて特別交付税にぶち込むのだということで表面を糊塗する行き方はもちろん避けているとは思いますけれども、今後におきましても、地方交付税というものがあるいは全体として引き上げられるということで問題が解決する場合は別といたしまして、これは特に農林関係が多いと思うのでありますが、ともすれば、零細補助である、そういう意味におきましてこういうものが特別交付税で処理されるということは、地方財政全体としては、いわゆる財政圧迫となってくると思いますから、特にそういう点は地方財政の立場からき然たる態度で臨んでいただきたい。私は、今回の二十号台風のような災害が実は地方団体としては一番困ると思うのであります。はっきりした法律等によりまして国の措置が願えます場合にはよろしいのでありますが、今回のような災害こそ、地方団体も困りますし、また災害を受けました農家等につきましても非常に問題が残ってくるように思うのでありますから、農林省のほうにお願いをいたしましたが、自治省としましても、一応そういう点に御留意を願いまして、あるいはつなぎ資金、あるいは町村単独災害に対する起債措置、そういう問題につきましても、ひとつ交付税と合わせまして格別の御配慮が願いたい、これを特にお願いしておきたいと思います。  いろいろお伺いしたい問題がありますが、時間も参りましたので、この程度で終わりますが、現在の制度としてはこういうことがあるということで問題が解決したのでは決してない。連年にわたる災害等によりまして、実際はもうすでに農家は借金が累積をいたしておりまして、将来の農業経営に対します意欲を失っている農家も相当ある。また、地方団体におきましても、そういう意味におきましては措置のしかたがないけれども、しかし、末端行政としましては看過できないということで、もうない金を振り切って当面の措置をいたしているのが実態であると思います。こういう点につきましては、どうかひとつ実情を十分に御認識いただきまして格別の御配慮を願い、特に二十号台風等の災害に対しましては、そういう意味におきましての御留意をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  91. 岡本隆一

    ○岡本委員長代理 午後は二時より再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後二時十二分開議
  92. 中山榮一

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口丈太郎君。
  93. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 二十号台風の被害について、関係各省に御質問を申し上げたいと思います。  今度の二十号台風の被害は、これは午前中にもいろいろ質問がありましたように、けっこうな法律としてきめられた災害基本法、あるいは激甚地指定等に関するいろいろの法律がありますけれども、被害額がものすごく大きいのにその指定が受けられない、こういうような実にたちの悪い——と言うと語弊があるかもしれませんが、結果を来たしておるわけです。これは非常にかわいそうなので、私は、いまから考えますと、昭和二十八年に災害特別委員会委員をやりまして、あのときには与野党一致して各種災害に対する救助特別立法をいたしました。これは主として議員立法であったわけですけれども、その後大蔵省はそれにこりたと見えて、それでその言いのがれにこんな基準法みたいなものをつくった、そして災害が起きたら、さっぱり基準に当てはまらぬ当てはまらぬからといって逃げてしまう、こういうのが私は実態だと思うのです。まことにずるい大蔵省のやり方だと思うのです。これは国会もあまりよいことはない。ペテンにかけられたというような印象を私は持っておる。そういう救助をするのに、何か法律をつくっておいて、そして法律に当てはまらぬから、だからこれは救済の処置がありませんなんてうそぶいている、こういうような官僚的なやり方はないと思う。災害というものが起きれば、時宜に適してもっと適切な処置がとられて、それで災害の救助ということになると私は思う。それを、全く言いのがれのために法律をつくったようなものだ。ひとつもその基準に合わぬが、しかし莫大なものだ、こういうのでは、私は国の政治としてはまことにもって拙劣なやり方だと思うのです。こういう点では政府に私は猛反省を促したい。そうしてほんとうに災害をこうむった者は、極端に言えば、一軒の家が流れてしまっても、百軒の家が流れてしまっても、その災害者とすればこれは同じ被害なんですよ。ちっとも違わないのです。それを国の手で救済をしてやる、ここに私は災害救済の本質があると思う。ところが、あんなめちゃな法律をつくって、どんどんどんどん逃げてしまう。こういうようなことでは国民は納得しませんよ。こういう点については政府に猛反省を促しておきたいと思います。今度私の県、兵庫県だけでも、その被害総額は百三十八億八千万円以上に及んでおる、こういうことに報告はされておるのです。にもかかわらず、災害救助法の適用がないなんというようなめちゃな話はどこにもないと思う。主としてその被害がどこにあるかといえば、北海道では農民であり、この二十号台風においてもほとんどが農民あるいは中小企業に被害が出ておるのであります。いわゆる基準法にいう公共土木、公共事業というものの破壊といえば、神戸では、拙劣な設計をやってそうして神戸へ引き渡した摩耶埠頭くらいなもので、あとは全部農民あるいは中小企業です。真剣にこれをどう救おうとされるのか。私は午前中からもいろいろな質問を聞いておったけれども、融資をしてあげますとか——そんな、金を借りて返せるような農民はおりません。金を借りてさっさと返せるような農民なら、極端に言えば、別に救済も何も要りませんよ。中小企業では今日経済はどうなっておるかというと、貿易関係生産でいいますと、軽電機あるいは綿製品、またその他にも在庫品がどんどんふえております。少なくとも、株の値段に影響するとかなんとかいって隠しておりますけれども、実態を調べてみると、在庫品は六カ月以上になっておるところがたくさんあります。そのため二〇%以上の操短をやっておる会社がざらにあります。そうするとどこに響くかというと、中小企業の下請工場がどんどん切られていく。だから未曾有の中小企業倒産記録を出しておる。ここに政府は目を向けなければならぬと私は思う。ところが、一向そういう点に目がついていない。そこへ今度の災害です。こういうことになると、尋常一様の、そんなおざなりな——法律がどっちに向いておろうと、そんなことは国民は知らぬことなのです。法律がこれに合わないというならば、政府はすみやかにその法律を改正してでも救済の手を伸べるというだけの誠意を尽くしてやるべきだと思う。基本問題については、さっぱり責任者がおらぬから答えられないかもしれないが、通産関係でまずお尋ねをするが、こういった問題についてどう考えられるか、農林省はどう考えられるか、これは両方から答えてもらいたい。
  94. 本村庄一

    ○本村説明員 中小企業関係の二十号台風の被害につきましては、関係の各県からいろいろ御事情を伺っております。各政府関係の中小企業金融機関の現地の出先でもできるだけ調査をいたしておりまして、現在の状況に応じまして政府関係金融機関からの融資についての措置をいろいろ検討いたしておるところでございます。先生の言われました災害法の関係の適用につきましては、なお関係の方面と検討さしていただきたいと思います。
  95. 中西一郎

    ○中西説明員 災害対策の大筋としまして、われわれ、いつも天災融資法あるいは激甚法適用と、こう申し上げておるのですが、そのほかに農林水産物の関係で申し上げますと、農地、農業施設で暫定措置法、災害の場合の補助体系もございます。そういう意味で、金融の面と災害復旧の場合に必要な補助の面とあわせまして措置をしてまいる体系になっております。今回の農作物等の被害は相当多額に及んでおります。先だってのこの委員会でも申し上げましたが、激甚法の適用の方向で事務を取り進めておるわけでございます。
  96. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 激甚法がどうのこうのとおっしゃるけれども、しかし、こういうものは兵庫県下で——三億や五億のものならそれは別ですけれども、兵庫県だけでも、農林省関係では六十一億の被害、通産省関係でいきますと、何と四十四億四千万円、こういうばく大な数字になっておるのですよ。ところが、この数字のうちで、製鉄とか製油とか、こういう大企業関係が九億以上、特にかわいそうなのは輸出関係です。年末、クリスマス用品として製造したのが、これはほとんど中小企業なんです。この中小企業の在庫品、あるいは輸出のために港に入れた委託品といいますか輸出品、こういうものの被害が十二億に及んでおる。その他の下請等の中小企業関係が二十三億円にも及んでおる。これは再起不能ですよ、こういうことをやっていると。激甚法がどうのこうのと言うよりも、まずその前に、これらに対して適切な救助の手を差し伸べてやらなかったならば、倒れてしまいますよ。これは主として輸出関係ばかりですから、ひいては外貨の問題にも大きく影響するのですが、一体通産省はこれはどう考えていますか。激甚法の適用がなければ救済はできないとおっしゃるのですか。それとも、通産省独自で長期低利融資措置でも講じてやろうとおっしゃるのですか。具体的に安心のできるように、対策がありましたら、御答弁願いたい。
  97. 本村庄一

    ○本村説明員 兵庫県におきます輸出向けの在庫の被害についても、兵庫県当局からも御連絡をいただいておりまして、被害を受けました輸出品在庫の問題は、輸出自体が非常に困難になるということだそうでございまして、通商局とも相談し、現地の大阪通産局とも相談しまして、一番適当な措置を早急に検討するようにいまいたしておるところでございます。
  98. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 適切な措置とは、具体的にどういうことなんですか。中小企業関係、それから輸出関係損害に対して、当然、契約をしておれば、キャンセルの問題もありましょう。そうすれば、輸出関係においては補償の問題等が出てくると思うのです。こういうようなのは具体的にどうなさるおつもりですか。たとえばキャンセルに対する補償金——違約金といいますか、これは見てやるとでもおっしゃるのですか、そんなことは知らぬとおっしゃるのですか、どっちなんですか。ぼくは具体的に聞きますから、具体的に答えてください。
  99. 本村庄一

    ○本村説明員 被害を受けました輸出品自体の被害の詳細な状況、それから、それがさらに輸出に時間的に間に合うように可能なのかどうか、そこらの実態に応じまして必要な手を早急に通商局と相談して打たなければならないと考えております。
  100. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 年末を控えてこれらの中小企業は——兵庫県だけじゃございません。とにかくこれは正月が越せるか越せぬかの問題ですよ。兵庫県だけじゃない。各地を歩いてみて、中小企業というのは悲痛な声をあげている。いま申したように、輸出が思うようにいかない。伸びている伸びていると政府は言うけれども、今日、国内需要というものはほとんど頭打ちの状態にある。したがって、設備は増加した、これをはくためには、どうしても輸出以外にはない。今日では、中共だとかソ連だとかなんとか言うけれども、私らはそんなものはどうあってもいいんです、国交が回復しておらぬからどうのこうのと言うけれども、とにかく商品を何とかしてはけるような政策をとってもらわなければわれわれはやっていけません、こう言っておる。そうして大企業は操短をやってもどんどん下請を切っておるんですよ。そうして自己防衛をやろうとしておる。ですから、これは深刻な話です。そうして年末の金融逼迫を控えて、今日中小企業は、ほんとうに死ぬか生きるかというところに来ている。そのときにこういう災害を受けているんですよ。ですから、いま課長がおっしゃるように、いま投網を打って、魚がおるかおらぬかわからぬ——そんな答弁じゃなくて、もしそういうことがあればこういたしますということが、私ははっきり言えそうなものだと思う。それでなければ災害対策にならぬが、どうですか。
  101. 本村庄一

    ○本村説明員 被害を受けました輸出品在庫の関係は、非常に具体的な問題でございますので、その被災商品自体が輸出可能かどうかというようなことを早急に検討いたしておりますところで、具体的な措置は、なお通商局と相談をいたしまして、あとで申し上げることにいたします。
  102. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これはのれんに腕押しで、そんな答弁ではぼくの言う答弁になっていない。ただ輸出だけじゃありませんよ。一般中小企業関係についてもどうなさるつもりか。年末を控えて金融は詰まっておるし、これは困るんですよ。
  103. 本村庄一

    ○本村説明員 ただいま輸出品在庫の被災分についてだけ申し上げましたが、一般に——もちろん、兵庫県の中小企業関係被害が三十数億に上っておることは、県当局からも十分御連絡をいただいておりまして、現地でも、先ほど申し上げましたようになお詳細調査をいたしておりまして、一般にこの関係災害融資につきましては、貸し付け条件緩和とか、貸し付け限度の拡大その他、実情に応じまして緩和措置をできるだけとるように、政府関係の中小企業金融機関といま相談をしておるところでございます。
  104. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは、もう年末も目前に控えておるのですから、緊急の問題です。緊急の問題でありますから、そうのんべんだらりと協議ばかりやってもらっておっては困るのです。勇断をもってぱーんと通産省は通産省としての手を打っておいて、そうして大蔵省をうんと言わせるくらいな覇気を持ってやってもらわなければどうにもならぬと思うんですよ。これは一体どうなっておるのですか。
  105. 本村庄一

    ○本村説明員 災害救助法の指定になっております市町村につきましては、政府関係の中小企業金融機関は、先ほど申し上げましたようないろいろな貸し付け条件緩和等はすでにやることになっておりまして、具体的なケースを御相談しておるはずでございます。資金につきましては、もちろん、被害実情に応じましてそれぞれの政府関係機関から被災地域の支店の貸し付けワクにつきまして十分配慮するように考えておりまして、特別に配分を増加する額について至急に検討いたしておりまして、もちろん必要な額は十分資金ワクを増加するよう手配するようにいたしております。
  106. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 了解しましたが、これは早急にひとつ手を打っていただくようにお願いしたいと思います。これは何も兵庫県だけの問題じゃないのですから、お願いいたします。  その次に、今度は農林省にお伺いしますが、農林関係被害は兵庫県では六十一億、これはいつかも私は申したのですけれども、いろいろの農業共済とか共済関係、それから保険関係、これは幾らあるのか、私が数を知らぬくらいあるらしいし、私も何か組合員になっておるのですけれども、掛け金だけは、強制保険ですから、差し押さえて取るのです。ところが、こっちが今度被害を受けた場合、支払い額を差し押えてもらうなんということはできはしない。こっちは向こうの認定どおりなんです。さっぱり恩恵なんてありはしない。けれども、こういうものがあるのですから、この際、たとえば水稲共済か何かいうのがあるが、政府はこれについてどういう処置をしておられるのか、それを一ぺん聞かせていただきたい。
  107. 中西一郎

    ○中西説明員 ただいまお話水稲の共済につきましては、通常の共済金支払い時期がおくれる可能性もありますけれども、今回の被害の大きかったことにかんがみまして、特に早期支払いをしよう、連合会あるいは市町村段階での事務の促進をはかりながら、年度内でなしに、年内には払えるようにいたしたいということで現在指導をいたしております。なお当面の資金の需要もございますから、それにつきましては、先ほど来申し上げました天災融資法あるいは自創資金、被害のありました施設については補助金というかっこうでまかないながら、かつ共済金の仮り払いをいたしていくということで対処したい、かように思っております。
  108. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは激甚地指定との関係で、こういう水稲だけに限らず、たとえばくだものでありますとか、その他蔬菜類であるとか、こういうようなものの各共済保険との関係はどういうことになりますか。
  109. 中西一郎

    ○中西説明員 果樹等につきましては、ここ数年共済制度の確立が要望されております。三十八年から共済制度実施のための調査をいたして、本年度二年目でございます。ここ両三年ほどの間には制度として確立いたしたい、かように考えております。その他の畑作物につきましても、果樹ほどの進捗は見ておりませんけれども、学識経験者の意見を聞きながら、実態の調査と並行しまして、制度化への道を現在歩んでおるわけであります。畑作一般と申しましたが、麦はすでに共済制度のあることは御承知のとおりであります。
  110. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 とにかくこういう災害の起きました場合に、リンゴならリンゴ、カキならカキ、水稲なら水稲、麦なら麦、養鶏なら養鶏、養豚あるいは肉牛、こんな雑多なものは一つにひっくるめてやらぬと、こんな複雑なことをやって、一体事務屋ばかりふやして、帳面をめくるのにばかり給料を払っておるような掛け金をかけておったって、農民はつまらぬ。もっと合理化して各種の掛け金などを低額化するとともに、もっと災害のときには迅速に支払いをしてやれるような機構に改めるべきではないかと思う。こんなものはあってもなくても——私はやめたいけれども、強制だというからやめられない。そんなむちゃな話はありませんよ。一体農林省は指導を今後どうされるつもりか。それから災害についてもっと迅速にやれるという手はないのか。あるなら、どういう方法でやっておられるのか、聞きたいのです。
  111. 中西一郎

    ○中西説明員 保険制度の仕組みに関係するお尋ねも含まれておるわけですが、諸外国では非常に簡明な支払い方法をやっておる例もございます。特に、農場経営といいますか、企業的な経営というようなことが確立しておるところでは、保険事故がありましたときに、その現場で小切手が切られるというような例もあるようです。ただ日本の場合は、御承知のように耕地も分散していますし、保険事故の把握自身もなかなか困難でございます。そういう意味で、単位の共済組合という仕組みがどうしても必要になる、その上に連合会という仕組みもこれはやむを得ない、そういうかっこうで現在の共済制度が打ち立てられておるわけです。そういう困難な条件の上に制度をつくりましたから、資本主義的な保険経営のように直截にはいかない点があるのはやむを得ないかと思います。といって、じんぜん、複雑な機構の中で事務費ばかりがかさむということもこれはよくないことであることは、申すまでもございません。そういう意味で、前の通常国会でも問題になりました保険制度の手直しが行なわれたわけであります。現在共済組合等で地方によって運営がうまくいってない、地元に批判が非常に多いというような場合には、場合によって市町村にその事業を移管するという道も実は開かれております。その辺の理解を共済組合の組合員の皆さんがどの程度なさっておるかということと、運営を改善してもらうという大きな筋道と、その辺の兼ね合いで、現在の組合のままでやるか、あるいは市町村に移管するかというようなことを選択していただくということの必要な市町村もなくはない、かように考えております。
  112. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 この災害関係をする諸保険の支払いについては、組合の資金がなければ農林省から適切な手を打って年内にとにかく渡るようにしてやってもらいたい。そうでないと、北海道あたりでも農民は困りますよ。そうでなくても所得の低い農民は泣き泣き掛け金をかけておるのです。そうして当然契約した金がもらえない、災害もはっきりしておるのにもらえない、そんなことでは困りますから、その点については十分の指導を願いたいと思います。まだありますけれども、これで農林省は終わります。  それから運輸省にお尋ねします。いろいろあるのですが、技術的に私はたいへんな問答をやろうと思っているのですけれども、神戸の摩耶埠頭並びに摩耶防波堤、これで学位をとって博士が二人もできたそうです。そういうことも聞いておる。ただ平時に防波堤が波の上にずっとある。平時に突堤がある。防災ということについてはちっとも考えていないのですか。あれはどういう試験をやってそしてあの工法を採用されたのですか。その根本的な経過を聞かしてもらいたい。
  113. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 お答え申し上げます。  神戸港の摩耶埠頭、防波堤につきましての設計と申しますと、今度の場合も非常に強い波がきたわけでございます。過去におきまして神戸港にいろいろの台風がきておりまして、その記録をいろいろ調べまして、過去の一番高い波と申しますと、大体三メートル以下の波しかきておりませんので、設計には、三メートルの波の高さをとりまして設計したわけでございます。ところが、今度の二十号台風は、コースも神戸にとりましては非常に悪い方面に参ったわけでございます。神戸港の西のほうに、波高計と申しまして、波をはかる機械が入れてあったわけでございますが、これの記録を見ますと、いろいろいま解析をやっておりますが、概略いまわかっておるところでございますと、約五メートル近い波がきたということでございまして、過去のわれわれが予測しておりました以上の波が参りましたので、この点ははなはだ申しわけないと思いますが、そういうことで予測した以上の波が参りましてこわれたわけでございます。なお、神戸港は、非常に昔からいろいろな施設をつくっておるわけでございますが、いままで一度もこわれなかった施設も、今度の台風でこわれております。設計の波高のとり方が、われわれの予想した以上に波が強かったということでこわれたわけでございます。
  114. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そういう甘い考えを持っているからだめなんですよ。その三メートルの波に耐えられるようにしているというのは、それは平水時の場合ですか、それとも満水時の場合ですか、どっちなんです。
  115. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 これはものによりまして、平水時と申しますか、平潮のときに波がきた場合に危険な構造物もございますし、満潮のときにきた場合に危険な構造物もございます。大体危険な場合をいずれも想定いたしまして、三メートルという波高で設計しております。
  116. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは、あなた方——と言うとたいへん失礼ですけれども、あれはドームを並べてどろを入れて、それから向こうへ、あれは何メートルあるのか知りませんけれども、船の着岸するところと、この下ががらになっていて、こっち側にドームを並べて上屋をつくって突堤をこしらえている。この下は空洞なんですから、そこへ満潮で三メートルも高くなってそして波が打ち上げたら、どのくらいな圧力がかかると思われますか。これはふろに入って、ふろおけの中をちょっとやっておいて下から波を上げて試験してごらんなさい。少なくとも普通の平常時の上波——波にも、急速に風がやってきて上だけを走るものと、台風のように長くかかってやってきたものは、非常に深いところから底波がきておるのです。ですから、上波と底波でこれを突き上げる力というものはたいへんな違いになりますよ。実際に実験してやってごらんなさい。しかも向こうは行き詰まりになっておるのですから、この行き詰まりになったところで波が返してくるのです。しかも底波で十メートル、十五メートルの底から波が上がっておるのですから、あんなものは、突堤ならば一ぺんにこわれてしまう。あるいは摩耶防波堤のごときも同じ理屈なんですよ。底側からきて突き当たって、そしてかい出してしまう。しかも、そのドームのつぎ目というものが、ただ乗っけてあっただけだというのです。そんな工法で、ただ安いというだけで、あれだけの被害を出したというのでは、人災ですよ。これはいかが考えられますか。
  117. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、摩耶埠頭の第一バースのうち、これは全部じゃございませんが、そのうちの三つが、いまおっしゃいましたような桟橋の構造になっております。これは地盤の関係もございまして、その部分は特に軽い構造にするために、いまおっしゃいましたような横桟橋の構造になっておるわけでございます。横桟橋は、ただいま先生もおっしゃいましたように、波に比較的弱い構造でございます。当初、先ほど申し上げましたように、三メートルの波高に対しましては、下から打ち上げる波に対して持つように考えておったのでございますが、なお、ただいまおっしゃいましたように、打ち上げの波が参りますと、下から空気が押される、したがいまして、空気抜きの穴もつくって、そういうことは考えておったわけでございます。もう一つ、桟橋の一番奥のところは、確かに、力が集まりますと、下からたたかれるわけでございます。摩耶埠頭の構造を、ちょっとこまかくなりますが、申し上げますと、くいを打ちまして、上にコンクリートの板を張ってある。その前のほうだけはがっちりつくりまして、一番うしろにどろをとめるところがございます。その問は、そういうふうにたたかれた場合に、三メートルまではよろしゅうございますが、やはり予測以上の波がきたときは、そこに力を集めたい、むしろそういうところに集めて、上にけたを乗っけておいたわけでありますが、たたかれるとそれだけ残る、桟橋全体が助かるという設計になっておりまして、今度の災害の様子を見ますと、桟橋自体はこわれておりませんで、いま先生おっしゃいましたように、一番奥のところに力が集まりまして、このけたが持ち上げられてとわれたという結果に相なっております。
  118. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そういうふうに説明をすることになっておるのだそうだけれども、それなら今度は、もうこんな技術問題をやってもしようがないから言いますけれども、あれは運輸省の全責任でやはり永久に——というよりも、今度だけでもよろしいが、直して、ことしの四月か神戸に移管したのでしょう。ですから、これは使い古してそういう要因になったというのじゃないし、設計上から得心してそういうものをこしらえた、こういうことなんですね。摩耶の防波堤も同じですか。同じようにそういう設計で、風がきたらこわれる——あれは沖のほうだから、こわれても別に他に災害を及ぼさぬのですが、それをこわれるように設計しておいたのですか。それなら、これは復旧費はどうなるのですか。
  119. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 防波堤のほうは構造も違いますし、波が集まってこわれるということじゃないのですが、防波堤のほうが波に対して直接設計波高をとって勘定したわけでございまして、これは予測以上に波が参りましてこわれたので、はなはだ申しわけございませんが、復旧の方針といたしましては、防波堤につきましては、これはでき上がった個所につきましては災害復旧になりますし、まだ未完成の部分といいますか、工事をやっておりますので、工事中の部分もございます。その工事中の部分につきましては、改修の手戻り工事ということで早急に措置したいと思っております。それから摩耶埠頭につきまして、摩耶埠頭はA、B、Cというふうにございますが、このA、B、Cにつきましては、昨年でき上がりまして、ことし市のほうに管理委託しております。管理委託いたしました部分、A、Bバースでございますが、この復旧は、市のほうで公共土木災害としてやっていただくというふうに考えております。
  120. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ところが、公共土木災害ということになって、普通ならばこれは神戸市がものすごい負担になりますよ。しかもあなたがおっしゃるように、あのふたは飛ぶようになっている、こわれるようになっている、こういう設計だというのでしょう。そんな金のかかるものを移管されたら、たまったものじゃありませんよ。そうでしょう。あなた、そんなものを受け取りますか。しかも何か電流を流すので、一年に一バース六百万円からかかるのだそうです。そんなめちゃなことがありますか。それだったら、なるたけ安いものをつくって、そうしてあとの管理は向こうへまかしておけばいいので、口悪く言うたら、こっちは申しわけにつくっておいたらいいということになりますね。そんな無責任なことがありますか。これは運輸省が当然もとのようにしてやりなさい。神戸市へ、普通災害で、普通の自治体の災害だから、そんなものは知らぬなんて、そんなことはあきませんよ。あんなものははね飛ばされたら、金の三万や五万や十万じゃできはしません。しかも、腐蝕を防止するために年間六百万円も電気を食うことになっているというじゃないですか。そんなぜいたくな防波堤が一体どこにありますか。これはやってもらわなければ困るが、どうですか。
  121. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 いまの防蝕は、鋼管パイルといいまして鉄を打ってありますので、それの防蝕に要るわけでございますが、ペンキを塗ったりあるいはほかのものを使うよりも、維持費を入れましても非常に安くつくということで、そういう工法をとっておるわけでございます。  それから災害復旧の復旧のしかたにつきましては、先生のこともございますので、市のほうともよく相談したいと思います。
  122. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これはぜひ運輸省の責任においてやってください。どうもあんなものは困りますよ。  それから、塗料の塗りかえや何かよりも、六百万円をかけて電気を通しておくほうが安くつくなんという、そんなとんでもないことはありません。あれはちゃんとコンクリートべいをつくってやりましたら、塗料費も何も一銭も要りはしない。あんな鉄製のドームを沈めておいて、その中にどろを入れて、一ぺんにどろが出て倒れてしまう。そういうことで、これは強く要望しておきますから、大蔵省がうんと言わぬでも、言わすまでがんばってもらわなければ困ります。私は神戸市に一銭も負担せぬでもいいんだと言うておきますから。  それから西宮の防潮堤について、あれは運輸省の所管だそうです。午前中建設省にお願いして、河川関係、建設省の所管と運輸省の所管とが歩調を合わしてやらないと、今度の災害みたいなものは、水みたいなものは、ちょっとすき間があったら用をなさないのですから、これはひとつやってもらいたいと思うのです。そして来年度中には今津港から西宮港にかけて、それから鳴尾川から西宮港の入り口に至るところの、いわば東側のほうですね、これはいまかさ上げ中ですから、これもことしじゅうにはできるのではないかと思う。そうすると、西宮港を出て、それから芦屋のほうにかけては無堤防状態です。これはわからぬ話をしてもしようがないから、わかる話をすると、途中まではできている。これはたいへんけっこうなんです。ところが今度は妨害になりまして、うしろのほうは、写真にもありますけれども、ひさしまで波浪が洗うて、そして上のむねがわらを波がさらって持っていってしまうというような惨状を引き起したわけです。ですから、ああいう途中で中止してもらっては困る。来年度中にこれを完成してもらいたい。津門川、それから鳴尾川、それから夙川の河口、これについては建設省の所管だそうでありますから、建設省と協議をして、来年度中にはぜひやってもらいたい。今津港、西宮港の港湾のところは無堤防状態です。前回堤防をつくったのは、もうすでに一メートル何ぼの地盤沈下によって用をなさないようになっている。堤防はどこにあるんだと言ったら、吉原製油などは、吉原製油の会社の壁が堤防だというのです。そんなめちゃなことでは、あの風水害なんというものは防げるわけがない。ですから、今度はぜひとも新規堤防をつくらなければならぬと思うのです。来年度中に少なくともあの西側の堤防は完成してもらわなければならぬと思うが、そのめどはありますか。
  123. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 西宮につきましては、昭和三十六年から復旧計画をやっておるわけでございますが、特に三十八年からこれを重点的に取り上げまして、三十八年から四十年までの間に、特に危険な個所、いまおっしゃいましたところを早急にやりたいということで計画を立てておりまして、急ぐところを拾いますと全部で約十二億でございますが、三十八年が一億五千万円、三十九年が約五億予定しておったわけでございます。先ほどおっしゃいました今津地方の中も、ことしの予算で大体堤防ができるという予定になっておったわけでございますが、たまたま工事を準備しておる間に高潮を受けまして、はなはだあれなんでございますが、引き続きまして四十年も——いま県のほうともいろいろ相談いたしまして、もし計画に訂正する必要があれば訂正もしたいということで検討してございます。
  124. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これで質問を終わりますけれども、これはぜひとも来年度の予算——今年度と無理は申しませんから、来年度の予算で、西宮の砲台のほうに向けて堤防、それから西宮港、それから今津港、川では鳴尾川、東側になっておりますが、津門川の下流、それから夙川の下流、これはぜひとも完成をさせてもらいたい。上げないと、見ちゃいられません。何千戸というものが一ぺんにつかってしまうのですから。だから私はその点を強く要望しておきます。それは確信を持ってやってもらいたい。  それから神戸港のほうは、念を押しておきますけれども、ぜひとも運輸省でやってください。そして摩耶埠頭の着船岸壁の向こうにはやはり囲いを入れて、あの中は空洞でもけっこうですから、波が直接入らないように補強工事をやってもらわないと、あのままでほうっておいたら、風波が少しくれば必ずあのふたを破壊してしまう。そうするとまた何百万円か何千万円かの経費をかけてやらなければならぬ。そういうことを繰り返していたら、建設費が安いからといって、それは安くならないのです。ですから、ぜひともあれは設計がえをしてもらいたい。そしてあれは未完成ですから、運輸省で完成をしてもらいたい。それから摩耶防波堤は早くやってもらわないとこっちの突堤が使えませんから、これはよく御存じだと思いますけれども、ぜひとも早期着工して完成をしてもらいたい。これを要望しておきます。
  125. 中山榮一

  126. 安井吉典

    安井委員 北海道の冷災害を中心にいたしましてお尋ねいたしたいと思います。  特に本委員会では中山委員長以下委員派遣をいただきまして詳細な調査を進められて、先ほど報告が行なわれたわけでございますが、その御努力に敬意と感謝をささげますとともに、その報告に関連いたしまして、委員長から、各種要望についてはぜひ実現の努力をするようにとの特別な御発言がございました。それの成果を期待するものでございます。私も委員の諸君と一緒に歩きましたし、独自の立場でもあちこちの災害事情をつぶさに見てまいったつもりでございますが、いままでもこの委員会でいろいろな角度から問題が取り上げられておりますし、時間も制限されているそうでございますので、ごく簡単に、将来とも特に問題になると思われる点を二、三拾いまして政府側のお考えをただしたいと思います。  まず第一番目に、損害評価あるいはまた食糧検査事務の問題でございますが、今回の冷害は、冷害という一言で言うだけでなしに、冷害、雨害、湿害、さらに凍霜害というふうな、幾つもの災害の重なった姿であらわれております。いろいろなサンプルがあそこにも積んでありますが、全体的に畑作、稲作とも生育が遅延をした上に、東京は水道の水が出ないくらい雨がなかったのに、北海道は、八月中はお天気だったのが三日か四日くらいしかないというふうなことで、低温の上にさらに生育遅延に拍車をかけたというふうな実態があったのではないかと思います。もう二週間以上も生育がおくれておる上に、霜が早くて、特に九月二十七、八日の霜が徹底的な打撃を与えて、それで生育はすべてストップしたというのが実態ではないかと思います。ですから、たとえば畑作は、あそこの北海道から持ってまいりましたいろいろな作物の実態からもおわかりになりますように、たとえば大豆なんかも、まだまだ生育が続く段階において零下五度から十度くらいのひどい霜にあったものですから、生育が急にとまってしまって、見渡す限り枝豆が並んでいるというふうな姿になっているわけです。青立ちのままで終わっているわけです。畑作のほうはそういうふうなことで、損害の問題も、これはもうほとんど収穫皆無といったような状態でございますから、比較的見やすいわけであります。それからまた、わりあいに早く成熟したものは収穫がありますから、オール・オア・ナッシングではっきりするわけですが、問題は水田の場合で、水田も稲が青立ちのままずっと続いていて、そのまま二週間も霜がおそければきっちり成熟をしたはずです。ことしは分けつも非常に多いわけですから、非常にいい作がとれたのではないかと思うのですが、それが霜のために生育が完全にストップして、つまり青立ちのまま稲を刈ったというのと同じ状態があらわれてきたわけです。もっとも農民の側でも、あちこち聞いてみますと、たいへん涙ぐましい努力を続けられて、霜の予防のための薫煙なども、いまだかってないような熱心さで行なわれました。ある町で聞いたら、九月に入ってから前後六回もやったそうです。ほとんど毎晩のように徹夜状態が続きました。ある町では、農家の人だけでなしに、市街地の呉服屋さんも学校の先生も、町じゅうが、——市街地の中にもたき火がたかれたそうです。枯れ草に重油をかけたり、それだけじゃ足りなくて、ことし北海道でやっていたのはタイヤです。古タイヤを集めてきて、古タイヤはもう北海道じゅうの町になくなりました。札幌にもなくなりました。一本十円くらいで買ってきたのを、それを一本たけば一晩あるわけです。町ぐるみのそういうふうな努力も、もう最後は零下二度、四度、五度、ところによりましては十度というわけで、作物は完全に凍ってしまうような事態が起きたところさえあるようです。  そこで問題は、私が特に提起いたしたいのは米の問題でありますが、青刈りをしたという形なものですから、結局おそるべき未成熟米や青米生産というふうな形になっているわけです。地帯やその他によってだいぶ違いますけれども、しかし生育が比較的おくれる地帯では、いわゆる米どころといわれている上川とか空知ですが、それはおくての稲が植えられておりますし、それから比較的早目に寒さが来る地帯はわせ系が植えられているわけで、いずれにしても生育ストップという状態、条件は同じようなわけであります。たとえばあちこちでのいろいろな状態から聞いてみましても、反収四俵くらいで損害の評価が行なわれていうものでも、三分の一くらいは青米やその他政府買い上げ対象にならないのではないかというふうな事態さえあるようです。ここに若干サンプルがありますけれども、これをちょっと見てください。   〔説明員にサンプルを示す〕 その一番上にあるのは、上川郡の神楽町の石光清さんのユーカラです。ユーカラというのは、御承知のようにアイヌの有名な叙事詩です。文学的な表現なんですが、それが作物の名前に取り入れられているわけです。それが優良品種になって、しかも最近はずっと秋が長く続いたものですから、ことしは米どころでは四割も、あるいはひどいところになりますと、町村段階で六割もユーカラが入っております。石光さんの稲は、共済組合の損害評価では、三百十四キロ、約五俵二分くらいであります。しかし、それを見ましても、成粒が非常に少なくて、死に米やあるいは青米が非常に多いということに気づきます。しかし、それはまだ五俵以上という、七分作くらいの作でありますから、いいほうですが、もう一つあります愛別町のシオカリ、これはわせ系の稲です。それからもらう一つ、上育二百二号もあると思いますが、これなども青米がきわめて多くて、したがって、そのサンプルは五等検やあるいはまた従来の等外程度で、政府買い上げ可能な程度にまで精選をしたらどうなるかという例を示してあります。政府買い上げのような米をつくるとすれば、一・七ミリという例のふるいではたいへんなわけですから、そのふるいの目を変えていくということで、いい米をつくったら、あとには一割から二割に及ぶどうしても売れない米が残ってしまうという事態であります。  そこで私がお聞きをいたしたいのは、この問題は、食糧庁のほうの検査の問題、それから政府買い上げの問題は同時に関係が出てまいりますが、その問題が一つと、それから経済局のほうの共済組合の損害評価の問題、それから特に農林統計の上でそれがどう見られるかという問題、こういうような問題にからんでくるのではないかと思います。北海道のいまの段階では、損害は一応一・七ミリというふるいから残ったものだけが生産されたということで、それから落ちたものは損害にみなす、そういうわけですから、青米もすべて、農林統計事務所のほうも、それから共済組合のほうも、これは損害でないとみなされる、生産されたとみなされる。ところが、検査事務所のほうでは、その米の青米部分は、未成熟部分は買い上げませんということになるわけです。つまり、政府のほうでは買い上げてくれないが、それが損害ということに見てくれない、もしそういうことになれば、農民の側は往復びんたを食う、こういうようなことになるわけです。いろんな冷害対策が講ぜられるにいたしましても、損害程度がどの程度かということが、対策を決定する基準にもなるわけであります。そういうような点から、この問題が米作地帯における最大の問題点に北海道ではなっているようであります。この点についてまず農林省の御見解を伺っておきたいと思います。
  127. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の事情、われわれも聞き及んでおりますが、そこで何かの対策をこの際講じまして、共済の関係買い上げ関係の間にギャップがないように取り計らいたいと思っています。技術的な点が若干あるようでございますけれども、趣旨としては、いま申し上げましたように、その間に空隙がないように措置いたす方針でおります。
  128. 安井吉典

    安井委員 間隙がないようにしていただかなくてはならないわけで、いまの御発言で私はそれでよろしいのでないかと思うのです。しかし、具体的にそれがどうなされるかによってだいぶ様子が変わってくるわけです。つまり、全部生産されたものは政府が買うという仕組みで、くず米の果てまでみんな買うという仕組みでやるというふうなことで、そうなりますと、一・七ミリ以上のものは全部生産量になってくるわけです。それからごく悪いのは政府が買わないのだから、買わないものは生産されたとみなされないというふうな仕組みになってくれば、それによって共済金の支払いがだいぶ変わってくるわけです。したがって、これはどういうふうな方向によって問題を解決されるのか、それを聞いておきませんと、どらもいまの御答弁だけでは困ると思うのです。
  129. 中西一郎

    ○中西説明員 御指摘のあとのほらの考え方でございます。政府買い上げます部分は、いずれにしましても、買って配給のルートに乗せ得るものという見通しのもとで規格をつくります。その規格も従来よりは緩和いたしますけれども、一・七ミリで残って、さらに政府が買わないというものが発生することが考えられます。そのものについては被害として取り扱う、そういう方針でございます。
  130. 安井吉典

    安井委員 だいぶいまの御答弁ではっきりしたわけでありますが、そういたしますと、現在は、食糧事務所で聞いても、あるいは農林統計事務所で聞いても、あるいは共済組合で聞いても、一・七ミリのふるいから残ったものはすべてことし生産されたものだというふうなみなし方で今日まで作業が行なわれているわけです。そうなりますと、いまの御答弁からすれば、現在北海道で作業されております反収だとか、生産量だとか、そういうようなものはだいぶ変わってくることになるのではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  131. 中西一郎

    ○中西説明員 現在そういう問題点の発生から結末をつける間の中間的な段階にございます。そういう意味で、ただいま来申し上げたような方針で対処するわけでありますが、結果としまして、生産統計のほうにも当然あらわれてくるというふうに考えております。
  132. 安井吉典

    安井委員 そうなりますと、私の理解するところでは、一応いままで北海道の道や市町村あるいはまた統計調査事務所、共済組合等で損害評価をやってきたわけでありますが、それを何割落としとかなんとかいう形で当然落とされて、被害がふえて、何分作という分作が減るというふうな理解のしかたでよろしいわけですね。
  133. 中西一郎

    ○中西説明員 作況が通常の年よりもその分だけ悪いという結果になるわけでございます。
  134. 安井吉典

    安井委員 通常の年よりも悪いのは、これはもうはっきりしておるわけですが、通常の年とは違った調査の仕組みで決定されるということだと思うのですが、そうでしょう。
  135. 中西一郎

    ○中西説明員 現段階での気組みを申し上げたのでございますが、目下統計調査部末端でそういう実態についての調査をいたしております。で、大きく申し上げて、いまここで問題になっていますような事態ならば、そういうことを考慮せざるを得ないと思いますけれども、現段階でそうするということではなくて、そういう方向で取り進めてまいりたいということを申し上げておるわけでございます。
  136. 安井吉典

    安井委員 あす舘林政務次官とともに官房長は向こうに行かれるわけですから、そういう実態調査の結果によるのだろうと思うのですけれども、一応現段階における考え方、方向として承っておきます。実際これからなお作業をなさる場合に、これはいま玄米の段階です、これを精白なさいますとおそらく砕けてしまうのではないかと思います。未成熟なままのものですから、これが完全に乾燥して精白すればもっと量が減るのではないかと思います。そういう点をひとつお考え願いたいということと、それから食糧政策的にも、現在こういうものまで全部収穫があったという形でとらえましたら、今度は配給をする場合に、生産はされたけれども配給ができない、つまり需給関係に大きな違い、狂いが出てくるというおそれもあるわけです。だから、ことしの場合はどれだけ生産されたという量と、どれだけ食糧に回せるかという量とは相当食い違ってくると思います。そういうような意味で、統計的にも正確を期していただかないととんでもないことになるわけで、たとえば北海道全体の配給米も、ことしはおそらくこっちから移入しなければいけないということになるのだろうと思いますが、生産量がそれだけあるのだから食糧はあるだろう、こういうことになったら、狂いが出てくるわけです。生産はあっても配給ができない、つまり政府買い上げができないということになるわけですから、二段がまえの調査が、生産ということと違って、買い上げ量とそういうようなものと二つに分けた考え方が必要だろうし、その点をひとつ指摘しておきたいと思います。  そこで、検査の規格につきましては、十月六日にたしか秋田かどこかで検査の規格をきめる会合があったと思うのですが、そういう中で、本年の場合は、いずれにいたしましても、下位等級の設定、それから検査の規格における水分含有量の問題についても、二十七年以前の一六・五%までにぜひ引き上げてもらいたい、こういうふうな要求も強かったわけでございますが、こういうような問題についても論議が行なわれているのではないかと思うのであります。その点ひとつ伺っておきたいと思います。
  137. 筒井敬一

    ○筒井説明員 お答えいたします。  本年の北海道の稲作につきまして、先生の御指摘のように、冷害とかいろいろの関係で非常に作が悪いということは、私ども十分承知いたしておるわけでございます。  第一点で、生産量と実際に食べる場合、あるいは精白いたしました場合に歩どまりが悪いということについて、生産量があったのだから、それだけの配給量は少なくていいとか、あるいはその農家には配給しなくてもいいというようなことを考えておりませんで、やはりその米のできぐあいによりまして、農家なりに困られないような配給をいたさなければならぬと思っております。  それから第二点の、この間秋田でありました標準査定会の席上でもいろいろと問題があったわけでございますが、おそらく、本年の北海道におきますただいま拝見いたしましたような米は、現在の等外上玄米にはなかなか当たりにくいのじゃなかろうかと心配いたしております。おそらく、等外上に入るものもあろうかと思いますけれども、またこれにならないというようなものもあると思います。それからまた、先ほど御指摘のように、水分につきましても、北海道はかつて一・五%多いことを認めておったわけでございますけれども、三十七年から一%だけ多いということになっております。この問題は、そういう状態で現在買い入れも始まっておりますし、また検査も始まっておりますので、水分の〇・五をふやすということは、現在の段階では、本年につきましてはもうすでにそういうことで動いておりますので、これを一・五にいたすということは困難ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、被害の状態あるいは成熟の状態、そういうものを私どももさらによく調査いたしまして、食糧に適するかどうかというような観点から何らかの方法を研究いたしたいと思っておるわけでございます。かつて過去におきましては、青米、未熟粒につきまして特別の規格を設けて買うというような例はなかったのでございますけれども、さらにまた、私のほうも舘林政務次官について検査課長なども現地に参ることになっておりますので、十分現地の状態等を調査いたしました上でいろいろと検討いたしたい、かように思っております。
  138. 安井吉典

    安井委員 それでは、いまの御答弁の中で、等外上はいいとして、等外下を設定するというところまでいまきまっていないということですか。
  139. 筒井敬一

    ○筒井説明員 現在のところは、九月の二十八日でございましたか、等外上なりあるいは規格外につきまして設定いたしまして価格などもきめたわけでございますが、等外下というのは、現在のところ、買うということにはなっておりません。
  140. 安井吉典

    安井委員 それじゃちょっとお伺いいたしますが、等外上までの等級の設定では、北海道の場合、生産はされても政府買い上げをすることができないと見られる米はどれくらいありますか。試算はできておりませんか。
  141. 筒井敬一

    ○筒井説明員 御存じのように、北海道では大体八十万トン程度が例年ならば——昨年の例などをとりますと、大体八十万トンぐらいの生産がございます。本年の被害は、この前の統計調査部の九月十五日では八三%、こういうことになっております。その後いろいろとさらに被害が出てきておるようなことでございますけれども、現在の段階ではそういう被害だということでございまして、その中で等外下に当たる分はどの程度あるか、あるいは等外上以上のものはどのくらいになるかということにつきましては、まだ詳細に調査いたしておりません。
  142. 安井吉典

    安井委員 九月十五日の作柄八三%ということでありますが、そこで私また逆戻りしなければいけないのですがこの八三%という中には、そこにある買えないような青米も入っておると見ていいのじゃないかと思うのですが、どらですか。だから、そういうことにすれば、新しい、つまり一・七ミリ以上であっても政府買い上げできないような米は損害とみなすのだということになればこの八三%という数字は相当大幅に落ちてこなければいけないと思うのですが、その点ほどうですか。その点は、統計調査部のほうから来ていますか、あわせて伺っておきたいと思います。
  143. 中西一郎

    ○中西説明員 統計調査のほうも確認してございますが、現段階では入っておる計算になっております。将来に向かってはそれを控除することを検討しております。
  144. 安井吉典

    安井委員 この量をどう見ていくかということは、これからもう少し調査が進まなければわからないのかもしれませんけれども、私はこれは相当大きな量になるのではないかというふうな予想があるわけです。そうなりますと、そういうふうな政府が買ってくれない量が非常にふえることによって、農家収入が減るという別な事態が起きてくるわけでありますが、これは農業政策という上から農家所得を増すというふうな考え方に立てば、この問題をどう考えるべきかという点は大事な問題だと思うのですが、官房長、さらにまた政務次官もおいでですが、政府は買わない、しかし多量の青米のようなものが農家の手元に残る。そんなものはとても食べられませんよ、これをたくと苦くなりますからね。鶏だって、ことしは青米がずいぶん当たってえさは多い年かもしれませんけれども、しかし、苦い米よりは苦くない米のほうが鶏にしてもありがたいわけです。そういう多量の米が農家の手元に残ってしまう、こういう事態に対してどう対処されるか、どういうお考えがありますか。
  145. 中西一郎

    ○中西説明員 これは当然共済保険の対象となるわけでございますし、それの早期支払い等についても迅速にやってまいりたい、そのほか、災害でいろいろ金融措置その他の措置もございますけれども、全般的にやはり対策を広く講じていくということによって救ってまいりたいと、かように思っております。
  146. 安井吉典

    安井委員 いまの青米も、これは損害ということですから、共済金はもらえることになるわけですね。そういうような点はいまの御答弁の中で明らかになってきたわけでありますが、しかし、こういう多量のものが、これはいまだかってない事態が起きているわけですから、この点については、あしたからの御調査の中でもっと詰めた御検討をお願いしておきたいと思います。  なお、米の問題については、時期別格差適用期間延長の問題がこの委員会でも従来から取り上げられており、その最終的な期末がもう目の前にきたわけでありますが、これについての御方針をひとつ伺っておきたいと思います。
  147. 筒井敬一

    ○筒井説明員 第二期の時期別格差の時期が十日になっております。ところが、私どもは今度の被害の事情等を考えまして、むしろ二期と三期を総合的に考えまして買い入れの状態等を見て検討したらばいいのじゃないか、こういうように考えておりまして、現在のところ、第二期の時期別格差の時期を延ばすということはむずかしいのじゃないか、かように考えておりまして、むしろ三期のときにどう措置するかということのほうがより効率的ではないか、かように考えておる次第でございます。
  148. 中山榮一

    中山委員長 安井委員に申し上げます。  理事会の申し合わせによりまして質疑時間が二十分となっています。残余の質疑者も多数おられますので、よろしくお願いいたします。
  149. 安井吉典

    安井委員 それじゃ、三期については結論は出ているのですか、それともまだ出てないのですか。いずれにしても、結論が出ておればいまおっしゃっていただきたいし、結論が出てなくても、これは必ず延ばすんだ、こういう御方針であるわけですね。
  150. 筒井敬一

    ○筒井説明員 第三期につきましてもまだ現在のところ結論が出ておりませんけれども、それまでの買い入れ状態、あるいは被害の状態、こういうものと考えまして、どうするかということを検討いたしたいと思っております。現在のところ、第三期において必ず延ばすとかどうとかいうような結論を持っているわけじゃございません。
  151. 安井吉典

    安井委員 時間がなくなりましたのでもう詰めますが、天災融資法の融資条件の改正という問題についてもずいぶん要望が多いのですが、特に単価の問題ですね。十五万円、北海道は二十万円、激甚災指定の場合にはそれが二十万円、二十五万円になる、こういうわけでありますが、この単価は三十年の法律のときにできたものであって、あのころの米価を基準にしているんじゃないかと私は思うのです。ずいぶん米価は上がってきているし、諸物価は上がってきているし、こういうような段階では、三十年のものをそのまま守っているということ自体にずいぶん矛盾を感ずるわけでありますが、農林省の中でも、たしか先年、この改定をしなければいけない、こういうふうな意見があったというようにも私も聞いているのですが、どうなんですか。ことしのようなこういう機会にはぜひやはり改定すべきだと思うのです。どうですか。
  152. 中西一郎

    ○中西説明員 ここ半年ばかりの間に特にそういう問題にしぼりまして現在検討を進めておりますが、まだ結論には至っておりません。
  153. 安井吉典

    安井委員 これは何といっても、三十年のときはあるいはこうだったかもしれないが、あれから九年もたって、物価倍増政策がどんどん進んでいるのですから、これはやはり結論を出していただかなければいけないと思うのです。政務次官どうですか。これくらいのことは、三十年にきめたのを——公務員のベースだって上がっています、最近人事院勧告をどうするかという問題がありますけれども、こんなのはおかしいと思うのです。どうですか。
  154. 谷口慶吉

    ○谷口説明員 お答えいたします。  私も鹿児島県でしょっちゅう災害にあっていますので、いまのままではいかがかと考えまして、せっかく検討いたしている最中でございます。
  155. 安井吉典

    安井委員 これくらい私は今度の際にやっていただきたいと思うわけです。  それから種子のない人に対する補助がありますが、たしか、いままでのやり方は、米については二分の一、畑作物については三分の一というふうに記憶しているのですが、なぜそう差があるのでしょう。畑作物だって災害は同じだし、北見や十勝を歩きますと、特にことしの場合はきびしいようです。これもやはり同じにするのが私はあたりまえだと思うのです。どうですか。
  156. 中西一郎

    ○中西説明員 これは、できましたときの経過等をいろいろ聞いておるのですけれども、全量収買するというたてまえと、何といいますか、自由流通がたてまえ、実際上は全量買い入れのような形になっておりますけれども、ものによっては投機的な作物の種子もございます。そういうことで、米とは差がついておるということでございます。
  157. 安井吉典

    安井委員 いま投機的ということばが使われたわけですが、そういうような問題については、これは別な観点から処理する道があるのではないかと思います。同じ種子であって、経済状態の特に苦しい畑作農家のほうが三分の一で、米作農家のほうは、全体的な被害程度からいいますと、これは比較の問題ですけれども、米づくりのほうが幾らか作がいいということになると思います。それから共済基金もあるわけですね。そういうような中から、畑作農家がなぜ悪いのか、こういう率直な疑問をやはりこの際もう少し御検討なすって政府はお答えにならなければいけないと思います。その点要望しておきます。  それから、自治省からいまおいでいただいておるわけですが、地方財政に対するこの冷害の大きな影響、その問題はもう少し取り上げたいわけですが、時間がありませんので、きょうは、救農土木事業を市町村が計画した場合に、いままでの単独事業のワクをこえて、ぜひ許してもらいたい。ことしのような場合には国やあるいは北海道措置するでしょうが、そういうふうな中で、手の届かないような問題をきめこまかに市町村で処理したいというふうな場合に、いままでの単独災のワクで縛られているというようなことじゃなしに、特別な配慮を願いたい、こういう要望を実際に各地で市町村長から聞くわけです。これについてのお考えを伺いたいわけです。
  158. 首藤堯

    ○首藤説明員 お答えを申し上げます。  ただいま救農土木事業の市町村分につきましての起債を許可するようにという御質問でございますが、ただいま道のほうから連絡に参っております要望事項といたしましては、道分につきましても市町村分につきましても御説のような要求がございます。私どもといたしましては、災害の大きさにもかんがみまして、ぜひ御要望に沿い得ますように極力努力をいたしたい、このように考えております。いままでの実例といたしましては、昭和三十一年度、それから三十七年度あたりにこのような救農土木事業についての起債の措置をいたしたことがあります。今後の補正予算ないしはそれに伴います起債の補正措置、こういったこととからみますが、極力努力をいたしたいと思っております。
  159. 安井吉典

    安井委員 それではいまの言明に期待をしておきます。私は市町村だけ言いましたけれども、北海道も、三億六千万かの救農土木事業もすべて起債ということに当て込んでいるようですから、あわせてぜひそういうふうな措置をいまの言明どおりにしていただきたいと思います。  最後に、官房長に伺っておきたいわけですが、北海道農家負債が非常にふえてきて、時間がありませんのではしょりますけれども、総額一千億円くらいになっておる。そのうち固定化されたものも——ここに資料がありますが、時間がありませんのでやめますけれども、とにかく大きな額にのぼっている。とりわけ、開拓農家の場合にはこの問題は深刻で、先ほどの報告書の中にも強く取り上げられているところでありますが、この点、今度のような深刻な被害の結果として、稲を刈らないで夜逃げをしたという例もあります。これは刈るだけないからです。音更町へ行きましたら、一反歩千円で稲が立ったまま売ってしまって、四町歩売ってしまったという人があります。これは刈るのに二千円も三千円もかかるわけです。千円で売っても間に合うわけですが、そういうような例さえあるのでありますから、この負債の問題が今後非常な重圧に、ことしを一つの契機としてなっていくのではないか、こういう気がするわけです。ですから、固定化する負債、この問題に対する対策を農林省はぜひ真剣にお考えいただくべき時期にいまきたのではないか、こう思うのですが、どうですか。
  160. 中西一郎

    ○中西説明員 特に開拓農家負債が七十数万円に及んでおるという話も伺いました。そこで、公庫の資金あるいは近代化資金あるいは系統資金につきましても、ことしの返済分を取り立てることがお気の毒な農家も多々あろうと思います。個々の農家につきまして、そういう事情がある場合に、とりあえず延期をいたしまして、将来の対策は、やはりその地域営農計画その他との関係で立て直す、その上で返済をしてもらうというような段取りにいたしたい、かように考えております。
  161. 安井吉典

    安井委員 私はもう少しその問題を広い視野から取り上げていまお尋ねをしているわけでありますが、時間がありませんので、この論議はひとつ次に譲りたいと思います。  なお、明日から具体的な調査が政務次官を団長とする調査団によってなされるわけであります。それに対して、この間私どもが回った印象では、北海道農民は非常に大きな期待をかけているようです。それだけに大事な役目であるし、そういうような中から、打ちひしがれた農民期待にぜひこたえていただきたいと思うのでございますが、今度いらっしゃる場合における政務次官としてどういうふうなお気持ちか、お気持ちと言うのもおかしいのですが、そういうような調査に対する農民期待にどういうふうにおこたえになるか、そういうような問題について最後にひとつお考えを承っておきます。
  162. 谷口慶吉

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  舘林政務次官がおいでになることになっておりますが、ただいまの御要請については、私から申し上げておきたいと思います。
  163. 中山榮一

  164. 松浦定義

    松浦(定)委員 北海道の冷災害につきまして、すでにもう本委員会委員長以下御調査をいただきましたし、あるいは今日までにも委員会並びに予算委員会等で大体全貌は明らかになったと思うわけであります。ただ私は、今度の災害が、九月の十日現在で私が本委員会で質問いたしましたときには、あまりまだその内容が明らかでなかった。しかし、その後、いま同僚議員から御質問があったように、明日は農林省としていままでにかつてない調査団を派遣される。私は、そのことについては非常に敬意を表しておりますが、この程度といいますか、こうした激甚と思われるような災害がなければお出かけにならないのでありまするが、しかし今回の調査の結果を見ますと、おそらく将来の農業経営というものについても相当の問題が出てくるというごとについても考慮されておると思うわけであります。そこで、いま安井委員お話に対して、政務次官はいろいろ相談をしてといったようなお話でありますが、私は北海道における今度の被害の甚大さという中にも、特に畑作農業に対する行き方が、相当ことばの上では強く言っておりましたけれども、現実にはなかなかそれが政治の上には反映していなかったということが、これは現地を見ればおわかりになると思うわけであります。その証拠に、異口同音に、行かれますと、どうも、酪農に切りかえておればこういうことはなかったのではないか、こういう経緯がずいぶん出てまいると思います。しかし北海道の畑作、あるいは全国的にもそうでありますが、日本の農業の中で一番困っておるのが畑作であり酪農であるということでありますから、この問題については、今度の調査で十分ひとつ検討していただきたい。そこで私は本日の委員会では、もはや道段階におきましても、知事以下道議会その他の関係者がずいぶん調査をしておりますから、おそらく農林大臣としても相当の御決意があるのではないか、こういうふうにも実は考えておりまして、できれば本日は大臣の御所見も聞きたい、こう思っておりましたが、不在でありますし、谷口政務次官もおいでになっておりますが、あらためてもう一回だけ、やはりそうした広い意味の点から、今度の災害調査されました後においては、どういうような方式でいきたいかというような見解がありましたら、まずひとつお聞きしておきたいと思います。
  165. 谷口慶吉

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  明日から舘林政務次官以下数名の連中が現地へ参りまして、被害のほどを十分調査いたし、その上で——いまお話にもございますように、さなきだに畑作農民は恵まれていない、かように私もかねがね思っております。その結果を待ちまして、いろいろと内部的にも検討する。なおまた、道のお考えもあろうかと考えられますので、そういうことなどもお伺いしたらと、かようにただいまのところ考えております。
  166. 松浦定義

    松浦(定)委員 それでは、二、三の点について、御調査をされる場合にも参考になればと思いまして、お伺いをしておきたいと思います。  先ほど安井委員からお聞きいたしました農産物の検査規格の問題についてでありますが、特に私は畑作問題についてお伺いいたしたいと思います。豆類の検査は、従来、一等から五等まであったわけですが、本年から五等を切り捨てて四等以上になったということになるわけであります。この問題につきましてはどういうお考え方で五等をお切りになったかということをお聞きしたいと同時に、特に今年は、御承知のとおりに、わずかであっても売らなければならないというような場合に、そういうふうに強い検査でありますと、ほとんど等級に入るものがなくなってしまう、これでは、一部の業者といいますか、一部の、生産者以外の者の取引の具に供されるだけであって、実際の生産農民のためにならぬ。でありますから、むしろ逆に、本年は——本年に限ってと言ってもいいと思いますが、五等級の設定はもちろんのこと、さらに等外におきましても、上中下くらいのはっきりした格づけをしてもらいたい、こういうことが現地の強い要請でありますし、私どもそういうように従来からも願っておるわけでありますが、この点について、五等級を切り捨てられた理由と今後の方針等について御所見を承りたいと思います。
  167. 筒井敬一

    ○筒井説明員 従来、雑穀類につきましては五等まであったわけでございますが、今年から四等にいたしましたのは、むしろ、一等とか、あまり少ないものを整理いたしたわけでございまして、五等を切ったというわけではなしに、従来の五等を四等にいたした、こういうことでございまして、従来よりは不利になったというようなことはないわけでございます。本年の災害によりまして、さらに下位の等級を設けるかどうかということにつきまして、これは先生御存じのように、自由流通の商品でございます。あるいは上場されたりいたしておる商品もございます。そういう関係がございますので、農民のほうからだけの等級を設けても、売買商人もあれば、また需要者の関係もございます。そういうこともありますので、役所だけで一方的に下位等級を設けるというわけにもまいりませんので、しかし、またこの実態がそうでございますので、関係者、生産者、需要者、あるいは流通業者、そういう業者ともよく相談いたしまして、下位等級を設けていいかどうかということを検討いたしたい、かように思っております。
  168. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、従来は、一等はあったけれども、それに該当するようなものがなかった、だから今度は五等級を切り捨てて順次上げていく。そうしますと、今年は北海道にはあるいはないと思いますが、府県から出るものについては、いままでの二等は全部一等になるということですか。いままでの二等は全部一等になり、五等が四等になり、四等が三等になるというふうに、いままでの現物がそのまま等級が上がっていくわけですね。
  169. 筒井敬一

    ○筒井説明員 御説のとおりでございます。いままでのものが一段階ずつ上がったということで、実態上は何ら支障がないのじゃないか、こう思っております。
  170. 松浦定義

    松浦(定)委員 それは実態上からたいへんな支障があるわけです。そうでありますと、北海道の場合は、従来何とか五等に入った品物が等級外になってしまう。いままで、等級外であったものが五等になる、そういうようなせめてもの取り扱いであったものが、今度は、五等になるものがあれば、ようやく四等になるということでありますから、相当災害地においては支障があるのではないか。そうしますと、災害を受けなかった農家については、極端に言いますれば、非常にいい等級の設定になると思うけれども、そうでない場合には非常に差がある。それからまた、ここでは時間がないからこまかく申しませんけれども、いまのお説をそのままにいたしましても、従来の考えからいきますれば、すでに取引が始まっているわけですから、農家には徹底してないわけです。農家が全然知らぬうちにこの等級が設定されているわけですから、農家にしてみれば、これはもういままで等外であっても何とか五等に——そういうふうになれば、いままでの等外が五等になり、五等が四等になるようになるかどうかということですが、こういう点では相当影響があると思いますから、明日からの調査の中でも問題になると思いますから、少なくとも私は五等級は——これはもう五等ということができなければ、等外の上中下でもやむを得ぬと思いますけれども、当然設定してもらうべきだ。今度はもう等外になるものが主たる販売作物になりますから、片一方の、いいものをとったところでは一等になって格づけが上がっていけば、値段においては私は確かによくなると思う。級ばかり上がって値段がよくならないということはないと思うから、なると思うのですが、そういう点は十分ひとつ御検討をいただきたいと思うのですが、やはり五等級設定ということはどうしてもできないなら、あるいは等外の上中下という格づけを何らかの表示ができるような制度ができないかどうか、あらためてお伺いをいたします。
  171. 筒井敬一

    ○筒井説明員 先ほどお答えいたしましたように、従来のものが、五等が四等になったというだけでございまして、実態上のものは何ら支障がないと思っております。それからまた、これにつきまして農民の方々には十分徹底するように、それぞれの機関あるいは団体を通じまして、そのようなことにつきまして知らない人がないようにいたしておったわけでございます。  なおまた、その下位等級、新五等と申しますか、あるいは等外というものにつきましては、過去におきましても一つ設けたことがあるわけでございますから、今度の実態等を考えまして、また先ほど申しましたように、関係者ともよく打ち合わせまして、そういうものを設けてしかるべきかどうかということを検討さしていただきたいと思います。
  172. 松浦定義

    松浦(定)委員 それでは次に、一番いま被災農家が心配しておりまする救農事業の問題について、まず第一に農林省のほうへお伺いいたしますが、これは何といたしましても、十月、今月の末から来年の四月まで約半年間というものは、どうしても生活費の捻出のために就労をせなければならぬ。従来のような小規模のものであっては、とてもこの多くの被災農家は全部就労することはできませんので、いろいろ問題があろうかと思いますが、今日農林省としてお考えになっているような救農事業というものはどういうような内容のもので、大体どのくらいの額が一農家に当たるといったようなところまで御検討されておるかどうか、これをまず承りたいと思います。
  173. 中西一郎

    ○中西説明員 まだ十分な結論には至っておりませんけれども、北海道の道庁当局と打ち合わせを進めております。農林省に関係する分としましては、営林局等の事業もございます。それらのほか、北海道の開発局、国鉄等、あるいは民間の事業等もございますので、その全体のからみ合いを見まして措置するという方針で道庁も計画を立てております。道庁の連絡によりますと、就労対策を必要とする戸数が二万三千戸程度というような話でございますけれども、道庁の要望をよく聞きまして、これらの計画が十分達成できるように協力いたしたい、かように思っております。
  174. 松浦定義

    松浦(定)委員 道庁のその二万何ぼというのは、おそらく二十八日の霜害以前の数字でなかろうかと思うのです。そうだといたしますと、あのひどい、徹底的といわれる霜害のために被災農家というものは私は相当ふえると思いますので、このことについてはさらにひとつ検討していただくといたしましても、まず一番農家がいま希望しておりまするのは、いまのお話のように、いろいろな関係庁との問題も十分ありますけれども、土地改良が一番生産的な事業でもあるし、みずから近くで、あるいは自分の圃場を、当然いままでやりたかったところ計画に乗らなくてできなかったのをこの際計画にあげてもらうこともできるというので、土地改良事業についての要望各地にあるわけですが、従来の法律上からいきますと、二十町歩以上のものでなければ助成対象にならない、こういうことでございますが、この際は、やはり小規模であっても、すなわち、一町ないし五反のものであっても、ことしの冷害を受けた原因がはっきりわかるわけでありますから、これを改良していくことによって再び冷害を受けることがないということになると思いますが、そういう二十町歩未満のものであっても、この際特例をもってこの土地改良事業助成並びにそうした問題をひとつ解決する、こういうふうにしていただきたいと思うのですが、その点はいかがですか。
  175. 中西一郎

    ○中西説明員 道庁と十分打ち合わせばいたしますが、採択基準を単に下げるということだけで土地改良をやりましても、やはり近傍との用水、排水の関連あるいは農道の関連等いろいろございますので、下げたからそこで土地改良がすぐできるという性質の場合は少ないのではないかという気もいたします。しかし、離島その他についてはそういう例もございますので、あわせて検討さしていただきたいと思います。
  176. 松浦定義

    松浦(定)委員 個人でもって二町、三町というそういう小さい要土地改良地域というものをたくさん持っておるわけです。いままでそれが集団でなければできないというので該当しなかったという点もありますから、この際そういう点も含めて救農事業ということになり得るようにぜひひとつ改めていただきたい。これは強く要請をいたしますし、おそらく現地でもその必要を認めていただける、こういうふうに私どもは確信を持っておるわけでありますから、十分御配慮いただきたいと思うわけであります。  それから先ほどもお話がありました開発庁、林野庁等についても林道その他の問題で事業等があるというお話を聞いておりますが、特に開発庁の問題につきましては、従来から、春の集中豪雨等で被害を受けた住民というものは、原始河川が多い北海道であるがためにずいぶん被害が多かった。この機会にやはり原始河川を解消するということも含めまして、そうした事業をできるだけ多くひとつこの際取り上げて実施をしてもらえば、その地域の住民が全部そういうところにも就労できるようなものもあるのではないか、こういうふうに思いますが、開発庁としては今日どういうようなお考えでおられるか、これをお聞きいたしたいと思います。
  177. 小熊清

    ○小熊説明員 お答えいたします。  開発局でやっておりまする各種事業のうち、現在救農土木事業に回し得るものは極力これを回すという方向でやっておるところでございまするが、お話のようななるべく地元の将来にとっても直接プラスになるような事業、たとえば河川の改修事業でありまするとか、農業基盤関係事業というほうに救農土木事業をできるだけふやしてほしい、こういうことは現地のほうからもいろいろ伺っております。残事業の各事業ごとの量という点もございまするが、地元のほうといろいろ打ち合わせをして、なるべくそのような方向で、できるだけ積極的に努力してまいりたい、かように考えております。
  178. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、いま道のほうからあがってきておりますものについて、大体事業量とか、そういうものについてはおわかりになっていますかどうか。
  179. 小熊清

    ○小熊説明員 これは先ほど先生からもおっしゃいましたように、霜害以前の数字でございまするが、道のほうから、さしあたり救農土木を必要とする労賃額でございまするが、全体として十二億数千万円程度が必要である、こういうような数字を聞いております。そのうち、道なり市町村あるいは営林局、国鉄等の関係でも相当の額を消化していただくことになると思いまするが、開発局といたしましては、先ほどのようなことで労賃にいたしまして一億五千万円程度事業を回したいというふうに考えています。
  180. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、その事業は、希望者があれば、大体十月の末、十一月初めには当然でありますけれども、すぐ就労できるような計画は進められるかどうか。
  181. 小熊清

    ○小熊説明員 これはすでにきまっております予算の事業費の中で振り向けられるわけでございますので、さしあたり予算的な手続等は要らないかと思います。したがいまして、現地の開発局におきまして救農を必要とする区域の市町村等と相談をいたしまして、またそれに振り向け得る事業等を調整いたしまして、それぞれ計画を立てて、なるべくすみやかにやるということになろうかと思います。
  182. 松浦定義

    松浦(定)委員 これは農林省、開発庁その他関係庁との全体の中でやっていただけると思うのですが、おそらく、それぞれの今年度計画事業の中での事業では、とうてい被災農家要望する事業にはならないと思うのです。もしそういう場合には、幸い来年度の予算編成期でもあるわけですし、そうした事業を早期に繰り上げて実施できるような、そういうこともできるかどうか——これはできるかどうかでなく、どうしてもやってもらわなければならぬ問題になると思うのですが、そういう場合には十分その点を考慮してやっていただける意思があるかどうか。これは農林省、開発庁ともに御見解を聞いておきたいと思うのです。
  183. 中西一郎

    ○中西説明員 かねて北海道庁とよく打ち合わしておりますが、現地実情、特に就労の要望のある市町村と、その近辺の施設の改良あるいはその他の土木工事というものの結びつきの問題もございますので、十分細部にわたって打ち合わせをいたします。
  184. 小熊清

    ○小熊説明員 ただいまのところは、現在の本年度の予算の範囲内で考えておるわけでございますが、さらに霜害による被害等もにらみ合わせて積極的な措置を講ずる必要があれば、もちろん十分検討いたすつもりでございます。来年度の繰り上げするかどうかという点につきましては、技術的にはなかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えておりますが、なお今後の被害額の確定等を待って考えてみたい、かように考えております。
  185. 松浦定義

    松浦(定)委員 それから、救農事業といいますか、これはまあ農家自身が自発的に就労する意欲といいますか、やむを得ぬ場合があってこういう結果を来たしたと思うのですが、十勝におきましては、御承知のとおり、二万二千戸ぐらい農家があるところでほとんどが被災農家でありますし、来年度生産のためにはやはり生活費もかせがなければならぬということで、出かせぎをいまやろうといたしておるわけでございます。御承知のとおりに、静岡県のミカンのもぎですか、ミカンの採集、これに、約三百人ぐらいの要求に対して、調査しましたら五百人も希望者があるというので、ようやく三百人ぐらいを、十月の末と十一月にかけて、来年の四月までをめどにして出かせぎをするわけです。男女それぞれ大体同数ぐらいですが、その場合の賃金は非常に安いわけなんです。一カ月向こうで食べて、いろいろそういうことはありますけれども、女子で一万七、八千円、男子で一万九千円から二万円弱。この程度でありますと、従来農業をやるために労務者として入れた人あるいは現在使っておる人は、少なくとも女の人でも九百円から千円、さらに男でありますと千二百円以上、あるいはものによっては千五百円も出さなければ来てくれない。こういう経費をかけた農家が、今度は自分が行くときには千円足らず、千円以内である。そういうことでは、来年の四月までいきましても、とても自分の生活以外わずかしか持って帰れないというようなことでありますから、できるだけ地元で、行かないでやりたいというのが希望で、先ほど申し上げましたように、もしこれで二百人、三百人というほんとうに働く者を出しますと、中には帰ってこない人もできたり、なおさら農業がいやになるというような女性が出たりしたのでは困るというような、これは社会問題になるのではないかということもあるのですが、そういうことも十分考えて、好んで行くわけでありませんから、これをできるだけ道内で自分のうちから通えるようなところでやってもらいたい。こういう点はひとつ十分御配慮していただきたい、かように考えておるわけです。  それから林野庁のほうにちょっと伺いたいのですが、特に最近の農業におきましても、薪炭材の手持ちのある人はほとんどわずかなのです。ほとんど石炭に依存しているという農家が非常に多いわけですから、できれば自家用まき材の特別払い下げをしてほしい、こういうことをすでに各地区から言っておるわけです。十年前の災害のときにもそういう便法もちょっとございましたが、今回は特にそれが広範であるというようなことから、国有林の払い下げを特にやってもらいたい。それで、国有林がその地域にない場合もありますから、そういう場合には、道有林がありますから、その道有林について払い下げする場合に、国のほうでそれに見合うような何かの措置をしてもらう。いずれにいたしましても、被災農家の冬季間あるいは来年度一年のまき材は当然確保していかなければいけないわけですから、こういう点について現在どういうようなお考えでありますか、お聞きしておきたいと思います。
  186. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の点、地元の要請も十分承っております。一種の救農事業とも考えられますし、営林局あるいは営林署で地元と具体的な打ち合わせを取り進めております。そういうことで、できるだけ必要な薪炭材を供給いたしたい。道有林につきましては、これは私のほうで道ともよく打ち合わせしまして、同様な措置がとれるように推進いたしたいと思います。
  187. 松浦定義

    松浦(定)委員 当然考慮していただかなければならぬと思いますが、ただその場合、必要量と金額についてどの程度の割り引きといいますか、できればその全額無償でほしいというのが当然でありますけれども、かりにそうでなかった場合においては、従来からの考え方と、さらに今後の非常に大きな被害に対する対策、その点はどういうようなお考えですか、一応お聞きしたいと思います。
  188. 中西一郎

    ○中西説明員 応急住宅の建設のために必要な資材、木材ということになりますと割り引きというようなこともあるのですけれども、通常の場合の原則は時価ということになります。薪炭材についてもそういうことになるのですけれども、しかし、その地域現状に即した時価というふうに考えて、幅もあることですから、できるだけ安くして農民期待にこたえるという方向で取り進めたいと思います。
  189. 松浦定義

    松浦(定)委員 それは私はちょっとおかしいと思うのです。時価で買おうと思えば、それは何も国有林を払い下げてもらわなくても、もっと近いところで幾らでも——と言ったら語弊がありますけれども、少々品物が悪くてもがまんすれば、実は雑木であるわけです。それでは何も国のこの場合の政策にはならないわけです。むろん応急の家屋の問題の材料も当然でありますけれども、家屋がそうなった場合のあれとしては、収入に対してどうというわけではないのですから、固定資産が多少損害があったということですけれども、今度の場合は、来年一カ年食うものが何もなくなってしまう、そういう場合に、まず北海道は、御承知のとおり、いまでも零下を越える、あるいはまた、十月末になりますと零下十度、十五度、冬季間になれば零下三十度といったようなことで、たくものがないということは、食うにも困るというわけですから、そういう場合に、時価でやってやるというのなら、それだったら何もお世話にならなくても何とかなるのではないかというような実情ですから、そうでなしに、少なくとも私はだいぶ遠慮した話です。これは怒られるかと思って、これは失言かなと思ったのです。全額無料でということが要望なんだから、それを私が何ぼか出してでもと言ったら怒られるかと思ったのですが、ようやくその答弁で救われたわけですけれども、これではまだいかぬと思うのです。少なくともやはり災害農家の実態に合わして、当然これは無償の農家もあるだろうし、あるいは三割、五割といった程度で、少なくとも五割以上のものを払うなんということは、国の政策として、今度の場合北海道で五百億も被害があるという対策としては、ちょっと私は納得できないと思うのですが、その点もう一回明確な御答弁を願っておきたいと思います。
  190. 中西一郎

    ○中西説明員 おことばを返すわけじゃないのですけれども、特別会計としての任務といいますか、売り渡しについての条件というものは相当きついものがございますし、そういうことも考えながら、その範囲内でできるだけサービス精神を発揮するというふうにお答えしたのですけれども、他方、収入の減る分につきましては、お話もございました救農土木だとか、あるいは自創資金あるいは天災融資法というようなことで金融的な措置、あるいは保険制度というようなことで補てんをいたすわけです。さらに、国有林が薪炭材を相当多量に供給するという体制をとりますと、これは経済の自然で時価も下がると考えられます。その下がったところで売り渡しをしていくということも考えられますし、そのものずばり無償にすればもっと端的ではないかというお話は、まことにそのとおりなんですけれども、それだけで済むことでもございませんし、他方、前向きといいますか、収入をふやす措置も講じて、購入する側についてもできるだけの配慮をして、バランスとしては農民がお困りにならないようにするということでそれぞれの対策を強力にやっていくという筋合いと考えております。
  191. 松浦定義

    松浦(定)委員 まあ諸般の問題、いろいろめんどうな問題たくさんあると思いますけれども、一応現地調査の結果、やはり最大の努力をしていただくということで、私は現地でまた参加したいと思いますので、以上で質問を終わりたいと思います。
  192. 中山榮一

    中山委員長 油谷裕夫君。
  193. 泊谷裕夫

    泊谷委員 委員長はじめ当委員会調査団の皆さんにはたいへんお世話になりました。お礼を申し上げたいと思います。あすから出かける農林省の中西官房長はじめ皆さんには、たいへん御無理なことを現地農民がお願いすると思うのでありますが、よろしく御配慮をいただきたいと思うのであります。  私のお尋ねしたいのは、実は先日の委員会でもちょっと触れましたけれども、北海道というと寒い地帯で寒冷地にあるということで、だいぶそれによる農作物被害ということが大きな問題になってくるわけでありますが、しかし、人為的にこれを防ぐ措置がないものだろうかというふうに考えてみて、当面苦悩する農民救済に全面的な主力をかけるのは大事でありますけれども、同時に、あす農林省が現地に乗り込むという体制の中では、やはり抜本的な考え方を持っていただきたいと思うのであります。今度の調査団にお供いたしまして、先輩議員、与野党含めて、北海道農業について強く指摘されましたのは、現実の問題として、ビートは、通常直径二センチ程度のものしかできませんでしたけれども、土地改良しておりますところでは、やはり十センチないし十二センチの実りを見せておる。こういうことで一連の土地改良、いわゆる農業基盤整備の関連と、次には品種の問題で、優良品種といわれておりますユーカラを、農民は、反収が多い、肥料による影響が少ない、これらのことで、道の指導なりあるいは各新聞社の指導というものとは別な意味において、反収を上げようということからユーカラに手を出した。ユーカラは、残念なことに冷害をこうむったことがないために、今回全面的な被害をこうむった。これらの問題を考えてみますと、当然、先輩議員が指摘するように、北海道農業を確立するのには、農業基盤の整備と、これに適応する農作物の品種を含めた農業研究の強化、それから農民が不安感をもたない、特に畑作共済の問題の確立、要約して言えることは大体こういうことになるのじゃないかと思うのです。これを中心にきょうはお尋ねしたいと思うのでありますが、当面、土地改良農業基盤整備について、特に寒冷地に対して、今回現地視察に参加されます農林省として、具体的なこれらの指針をお持ちになって出かけるかどうか、これをまず明らかにしていただきたいと思います。
  194. 中西一郎

    ○中西説明員 土地基盤の整備につきましては、それぞれの地域、特に北海道につきましても継続事業もございますし、さらに来年の新規着工をどうするかというような計画も来年の予算には織り込まれてございます。さらに加えてどうするかというようなことも含まれた御質問かと思いますが、来年の予算としては、農林省としては相当目一ぱいを要求しております。それで、またそれに関連して、酪農対策等につきましても、いままでと違った路線を敷こうとしておるわけであります。お話の品種改良につきましては、これは若干の年数を要する仕事でございます。せっかく優良品種として確立されかかったユーカラが、今度のひどい冷害でやはり被害を受けたことは非常に遺憾でございますけれども、そのような低温にもかかわりませず、東北地方にはそう被害もなかったというような意味での品種の改良のいままでの歴史を顧みまして、さらにもっと前進して品種改良にも力を入れるということを基本方針としたいと思っております。
  195. 泊谷裕夫

    泊谷委員 根本的な政策からちょっと話がそれまして恐縮でありますが、いま官房長のお話にもありましたように、寒地だから酪農切りかえというものが現地でも強く委員長からも指摘されたところであります。そこで、酪農問題で農業災害補償法による家畜共済に加入されることにはなっており保護されることになっております。しかし実態としては、この掛け金が目一ぱいにかけられないというのが実態であります。あすからおいでになって事情をお聞き取りいただけると思うのでありますが、具体的には、その加入を断念しなければならないという事態が発生しておるのでありますけれども、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法による営農資金の対象に家畜共済掛け金などを含めるようにお考えいただけないものかと思うのでありますが、農林省のお考えを明らかにしてほしいと思います。
  196. 中西一郎

    ○中西説明員 農家のふところは、総合的に収支が行なわれる通り道でございます。そういう意味で、天災融資法で十万円あるいは重複の場合に十五万円というような金を借りましたときに、それがどこでどうなるというようなことは、これは農家の自主性あるいはそれを指導しておられる組合の指導というような取り扱いでうまくしのぎがつくのではないか。たてまえとしましては営農資金ということになっています。そこのところ融通自身は、農家なり組合の段階で十分措置し得るものではないかという気がいたしますけれども、これはちょっと一般的な私の解釈を申し述べております。そういう点についてもし制度上疎外要因があるとしますれば、十分検討してまいります。
  197. 泊谷裕夫

    泊谷委員 官房長の考え方が明らかにされましたので、それはまた実態が存しておりました場合、あらためてお願いをすることにいたします。  次に、寒地農業についての試験機構の強化の問題を中心にお尋ねをしたいと思います。  北海道農業試験場の問題でありますが、これは農林省にひとつ考えてもらわなければならぬと思うのは、農業の品種改良はすべて中央でおやりになろうというお考えをお持ちのようであります。ですから、地方をさらに強化するという気持ちはあまりお持ちでないようでありますが、北海道のたった一つの農業試験場に先日おじゃまをいたしましたところが、そこの説明によりますと、大体津軽海峡で生物、植物すべて分布線が入っておりまして、やはり当該地域における調査というものが地域住民にぴったりするような気がする。ときたまたま今回この試験場が十五キロ程度移転をするその諸掛かり十四億を計上しているのでありますけれども、その中にあります、特に北海道として問題になりますのは雑穀類、豆類冷害であります。二十九年からこの農業試験場の皆さんは営々として研究を続けておるのでありますが、ごらんいただけばおわかりのとおり、その試験する部屋はわずか一坪半です。機械としてはハイドトロン、人工気象室、言いかえると、寒地農業試験室、こういうことで、雑穀についても調査をしてもらっておりますけれども、一坪半程度ところで、十五度以下の気温の調整ができない、こういう形にあります。これを何とか大体原因をつきとめまして、問題点を羅列するのに成功してきたわけでありますが、さらにそれを解明していくというのには、わずかもう一億程度の予算をつけてもらうことによって満たされる。移転の機会でもありますので、いま即答できないとするならば、この問題について、北海道の雑穀地帯における特に問題の多い研究所でありますから、この点について御配慮いただきたいと思うのですが、いかがなものでしょう。
  198. 中西一郎

    ○中西説明員 お話のとおり、北海道にあります国立の農業試験場は、琴似から月寒に移転する計画になっております。その際に、人工気象室の改善といいますか、さらに試験を有効にできるようにしたらどうかという御指摘でございますが、内容についてまだ私自身十分明らかにしておりませんので、農林水産技術会議のほうともよく相談いたしまして、御趣旨を生かす方向で検討をいたしたいと思います。平塚にも人工気象室が実はございます。そこでも若干のことはやっておりますけれども、これは園芸が主体になっております。畑作物は北海道重点にやらざるを得ないと思いますので、十分検討いたします。
  199. 泊谷裕夫

    泊谷委員 この種問題、事前に申し上げないできょうお答えいただくのは無理だと思うのでありますが、いま研究をいただくとすれば、広島村にありますバレイショの原原種農場、真狩の原原種農場、これらの問題についても、きめられた耕地の中で品種改良をやる、またそれを実際に農民にやらせてみるという場合に、数多い問題が出ておるわけでありますが、広島の場合、原原種農場については幾らか配慮されたようでありますが、この種問題としてもう一つこれも考えていただかなければなりませんけれども、紋別市にあります重粘土地帯における改良研究であります。先日委員長にお供をしておじゃまをいたしましたが、ここの研究は、先ほど申し上げたように、片や直径二センチのビート、土地改良されましたものについては十五センチ程度の実りを見せておる、大きな違いを見せております。だが、ここの年間予算はわずか三十万程度で、農耕費用も出せないという実態にあるようでありますが、オホーツク海沿岸はほとんどこの地質で埋められております。でありますから、何としても紋別の重粘土地帯の改良試験に対してさらに予算の増加をしていただく必要があるのではないかと思います。  もう一つは、開発庁からもお見えでありますから、この際ひとつあわせて御答弁いただきたいと思うのは、北海道で特に農民が重要視しております問題に、開発庁でずいぶん骨を折ってもらっております地帯に新篠津があります。運河を開いて大きな客土をやっおりますが、粘土地帯であるだけに、掘り起こされた粘土はだんごになってて、逆に土盛りしました客土と凸凹を生じておるということで、本来ならば一度やっかいになったことでありますから、手直しは不可能でありましょう。しかし、北海道二期開発のポイントとして、重要な運河まで開いてやったこの新篠津は、もう一度再客土して、農民並びに五百万道民に開発庁の大きな足あととして残していただく必要があると思うのですが、開発庁としてこれに対する再度改良をするという気があるのかどうか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  200. 小熊清

    ○小熊説明員 お尋ねの篠津の土地改良事業にさらに客土が必要である、こういうことでございます。これについては、確かにおっしゃるようなこともございますので、いま直ちに客土をもう一ぺんやるというふうに私ここではちょっと申し上げかねますけれども、検討をいたしておるところでございます。
  201. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私がいま取り上げた数点は、これはすでに道議会でも議論になりまして、当該知事から開発庁なり大蔵省、農林省折衝の始まっておる問題です。ですから、唐突に出しておる問題でなくして、農林省の皆さんが現地に臨むその前日に、できるだけそういう明らかになっておるものは明らかにして、現地農民に激励を与えるという意味を含めて御答弁をいただきたいと思うところです。それで、もう一度開発庁の考えを明らかにしていただきたいのと、中西官房長のほうには、先ほど指摘しました紋別とバレイショ原原種関係の改良についての考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
  202. 中西一郎

    ○中西説明員 泥炭地あるいは重粘土地帯の土地改良、これはかねて膨大な計画が実はございます。それをやっていく場合の営農対策といいますか、作物の選択あるいはその後の営農をどういうふうに指導するか、そういう問題が大きいということも加わりまして、あまりてきぱきと進んでいないのが現状でございます。しかし、将来のことを考えますと、それぞれ計画的に取り進めていく必要は十分感じられます。来年の予算でもそれぞれ措置いたしておるわけですが、なお十分検討いたしまして取り進めてまいりたいと思います。  バレイショ原原種農場につきましては、全国にずいぶんあるのでございますけれども、それぞれ施設も古くなっており、さらに最近ではバレイショの植えつけあるいは掘り取りについての新しい技術も発見されてまいりました。そういう点に配慮しながら、優良の原原種を供給できるように今後ともつとめてまいりたい、かように思います。
  203. 小熊清

    ○小熊説明員 先ほど篠津の点でちょっとことばが足りませんでしたので、補足させていただきますが、一ぺん客土事業としてやった上にもう一ぺんさらに客土し直すということについては、制度の問題がございますので、ただいま農林省のほうと打ち合わせをしておる段階でございます。  それから重粘土地帯における排水につきましては、どういう方法が一番よろしいかというようなことで、農林省のほうでもいろいろ御研究なさっておるわけでございますが、開発庁といたしましても、心土破砕でありますとか、あるいは弾丸暗渠というようないろいろな工法がございますので、これらのよりよい方法によって土地改良が積極的に進められますように研究してまいりたい、かように思っております。
  204. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ただいまの問題は、中西官房長のほうは、今度おいでになりますから、現地でも要請があると思うので、具体的にはその後にあらためてお願いをすることにしますし、開発庁のほうは、増原長官もおいでになり、次官もおいでになって、現地はもう御承知であります。いまのままでは、せっかく苦労して仲間が掘り上げた運河も、そのままというきらいがなしとしませんから、特にこの問題については配慮をしていただくということにして、ここの分は終わりたいと思います。  次は、現地に行って必ず出ると思うので、ひとつお尋ねをしておきたいのですが、問題が大きいのですけれども、畑作共済制度の確立であります。これは北海道の場合ばかりでなくて、全国的なものだと思うのですが、特に北海道は、三十一年の災害以来、畑作共済制度の確立を願う農民の声というのはたいへん強かったわけです。いろいろと制度上問題があろうと思うのでありますが、農林省でも、前の国会に附帯決議がありまして、事務的に検討されておることを漏れ承っておりますし、制度そのものが若干欠陥があるとしても、この際、本年のように冷害続きの年にこそ、不完全であっても、農民心理に適用できるように、簡素かつ素朴に実用に適するように、もうそろそろ踏み切っていただく時期ではないかと思うのですが、これの事務的な進捗状況、今後の方策、これらについて官房長からお答えをいただきたいと思います。
  205. 中西一郎

    ○中西説明員 畑作共済、お話のとおり、かねて要望がございました。そこで、特に三十一年の冷害関係もありまして、三十三年から三十五年まで三カ年にわたりまして、大豆について共済制度を設計いたしますための実態調査を行なってまいりました。さらに、三十六年から三十八年まで、これも三カ年でございますが、てん菜、 ハッカ、除虫菊なども加えまして総合的に調査を進めたわけでございます。現段階では、それらの調査をもとにしまして制度を打ち立てます場合の問題点整理をいたしております。問題点としましては、畑作物を一つにまとめて対象とするか、あるいは一つずつ別々にやるかというような問題、さらに基準収量、特に畑作物の収量の変動は年々相当な変化がございます。それをどの辺に基準収量を持っていくのかというような問題さらに、被害率をどうするか、損害評価をどう行なうかといった技術上の問題点を整理しておる段階でございます。果樹等についても同様の要望がございまして、このほうは、おおむね四十一年を目途にしてということで進めておるのですが、畑作の問題につきましてはいろいろ種類も多うございますし、現段階では、いっを目途にしてというところまで煮詰まっておりませんが、畑作地帯の実情にかんがみまして、できるだけ事務的な処理は急いで取り進めるということで努力をいたしております。
  206. 泊谷裕夫

    泊谷委員 中西官房長の考えが明らかにされまして、私なりに理解できました。あすからおいでになるところで一番ひどいのは、十勝の雑穀地帯であります。当然この問題が強く出てまいりますから、まだ最終的な事務的な煮詰まりを見せていないというようなお話でありますが、重要な決断の時期だと思いますし、お立ちになるまでに関係担当官とも話をされまして、決断がつくならば現地農民に大きな贈りものを特にこの際期待をしておきたいと思います。  それで、先輩がほとんど緊急措置についてお話がありましたので、省略をしたいと思いますが、二つだけお尋ねをします。  一つは、種もみです。わずかしかありませんけれども、これは往年前例のあることでありますが、当然拠出の対象にしていただく方策をとらなければ、種もみの回りも円滑に回らないのじゃないかと考えるので、これについての考えを明らかにしていただきたい。  それからもう一つは、亜麻の種など、北海道はもちろんのこと、本州で調達できない、どうしても海外からその種を求めなければならぬという場合に、当然出てまいりますものが価格差であります。この価格差について私は当然国庫で負担してしかるべきだと思うのでありますが、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  207. 中西一郎

    ○中西説明員 種もみの確保あるいは輸送等につきましてそれぞれ障害があります場合に、従来とっていますけれども、政府が買っておりますもみの中から、たねに向いたものを種もみとして供給するというような例もございますし、政府の手持ちでなしに、民間のほうからの種もみのあっせんも当然考えます。それに対する助成措置というようなことになりますと、これも先例もございますし、配慮いたしたいと思います。  それから亜麻等につきましては、これは北海道の実態が実はまだわれわれはっきり把握できていません。亜麻の種子について必要な配慮が当然なされなければならないと思いますけれども、よく実情を調べまして善処いたしたいと思います。
  208. 泊谷裕夫

    泊谷委員 約束の時間になろうとしておりますから、これを最後にいたします。  亜麻の種については、現地調査してそうであればというお話でありまして、内容がそういうことでありますから、よろしいと思います。  最後に、恐縮でありますが委員長にお願いしたいことがあります。数日来私どもの党の先輩も数多くのお願いを農林省を中心にやってまいりました。今度は衆議院の災害、農林、それから参議院の災害、それに農林、農林省の皆さん、こういうことで北海道開聞以来のお力添えをいただいておるのでありますが、しかし、この跡始末を考えてみますと、必ず大蔵省と衝突を見せるということを予想しておるわけです。それで、今回の農林省の調査団派遣の際に、できるならば大蔵省のしかるべき人を同道いただくように、委員長のほうでしかるべく御手配がいただけないものだろうか、これが一つであります。  それからもう一つは、災害特別委員会としても、台風二十号もありますし、あわせて北海道の今度の冷害はほとんど農業災害であります。もちろん、もとより農民貸し付けた金が取れない、そういうことで、地域中小企業の皆さんの保護策もありますし、地方の行政上の措置もしなければならぬものがありますが、大宗を占めておりますのが農業被害であります。北海道は、皆さん御承知のように、もう霜も来ましたし、十一月ともなれば初雪が来まして、本州には見られない農民の気のあせりもあります。したがって、これらをできるだけすみやかに救済措置をとっていただくためには、専門的な立場もありまして、農林水産委員会と合同審査などを考慮いただいて、時間を早めていただくことに御配慮いただきたいと思うのでありますが、特に後段の問題は、委員長としても、関係する理事会その他の審議を待たなければならぬと思うのでありますけれども、特にお骨折りをお願いできないものかどうか、この二つについて委員長のお考えをひとつお聞かせいただきたい。
  209. 中山榮一

    中山委員長 ごもっともな御発言でありますので、委員長におきましてもさよういたすように努力をいたします。
  210. 泊谷裕夫

    泊谷委員 以上で終わります。
  211. 中山榮一

    中山委員長 石田宥全君。
  212. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 新潟の地盤沈下の関係につきまして、今日まで数回にわたって本委員会で問題になりました問題点の確認と申しますか、そういう意味でお尋ねをしたいと思うのでありますが、まだ質問をされる方がございますので、要点だけを申し上げて、御答弁のほうも要点を簡潔にお願いをしたいと思います。  今回の新潟の地震に伴いまする防波堤や防潮堤の復興計画をはじめといたしまして、農地や農業施設の復興計画などにあたって、地盤沈下の最終値をどれくらいと予定しておるのか。これによって計画設計が再検討されなければならないのではないか。最終値がきまらなければ、沈下が進むにつれて堤防のかさ上げが必要になったり、農地、農業施設の復旧などはその繰り返しとなると考えられるのであります。ガス採取規制で地盤沈下が非常に緩慢になり、最後にはフラットに近くなる傾向があると、運輸省の港湾局長は八月二十日の本委員会で述べておるのでありますが、その科学的な根拠は一体どういうことであるか。さらに、防災科学技術センターの和達さんは、新潟にはまだ地下水があるのであるから、そのような考え方はうそであるという趣旨のことを本委員会で言っておられます。したがって、そのような考え方で復興をやることは間違っておるのではないかと考えられるのであります。この点についての建設省関係、農林省関係、それから港湾局長の答弁を求めたいと思います。
  213. 上田稔

    上田説明員 建設省側の考え方をお答え申し上げます。  今回の新潟の下流に対しまして災害として取りました高さは、被災水位に余裕高を見込みまして、それを復旧高ときめましてその災害を採択いたしております。それから、今後の沈下ということにつきましては、かさ上げができるような工法を採択いたしたい、こういうふうに考えております。
  214. 梶木又三

    ○梶木説明員 農地関係につきましては、地震前におきましては、一応亀田郷付近は沈下がおきまっておりましたので、亀田郷につきましては恒久的な対策計画を立てつつあった次第でございます。亀田以外の白根とか北蒲等につきましては、地震前あるいは地震後につきましてもまだ若干沈下の状態が続いておりますので、応急的な対策事業実施いたしております。亀田につきましては、先ほど申し上げましたように、地震前は沈下いたしておりましたが、地震後におきまして、全般的な沈下と申しますよりも、むしろ部分的な隆起、陥没等がございまして、局所局所に前の計画と違うという面が出ておりますが、一般的な傾向としまして、沈下は亀田におきましては現在とまっておる、こういう段階でございます。
  215. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それでは、運輸省の分を残しまして、次に御質問申し上げます。  新潟の地盤沈下に対する規制の強化及び地盤沈下の現況についてはどう考えておるか。川原通産省鉱山保安局長は、規制強化については、関係機関地元の問題もあるので、県、市の意見も十分聞いて慎重に研究したいし、沈下の現況については、科学技術庁の資源調査会、経企庁の地沈対策審議会、通産省鉱山保安局の審議会で慎重に検討中であると言っておるが、いつごろ結論を出す目途で検討し、いまどの程度に進んでいるのか、明らかにしていただきたい。また、地元に問題があると言うが、どういう問題があるのか。現在までに県や市はどのような意見を出しており、どういう経緯を踏んでおるか、この点を御質問申し上げます。
  216. 栗林隆一

    栗林説明員 お答えいたします。  いま先生の御質問の前段につきましては、これは、科学技術庁の資源調査会あるいは経済企画庁の地盤沈下対策審議会、こういうところで現在検討中でございますので、私どものほうはその結論を待って検討いたしたいというふうに考えております。  それから後段の御質問でございますが、わがほうに県、市あるいは地元主産業者、あるいはそれによって被害を受けた被害者連盟、そういうところからいろいろお話がございます。しかしながら、その話が全部一致しておるということではございませんで、同じ県の中にもいろいろ意見がございます。そういった意見が必ずしも一致していないというところに——前回保安局長が、いろいろ問題があるということを言われたのは、そういう点を言われたのではないかというふうに考えております。
  217. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは政治的な問題ですから、ここであなたを追及しようと思いません。  そこで次に、国土地理院の部長さんですから、お伺いしたいと思うのですが、去年の後半から本年の初めにかけて、沈下どころか、隆起したという数字も出されておりますが、これは事実なのかどうか。岩室村を不動点とすると、やはり連続的に沈下していることが明らかでないかと思われるのであります。地下水くみ上げと地盤沈下とは相関関係にあることは、これは否定できません。またこの点は科学技術庁の資源局長も本委員会において明らかにいたしております。ガス採取規制と沈下量の減少、それと、いま沈んでいるのは惰性であるという考え方は両立し得ないのではないかと考える。この点は、先ほど農林省の参事官が答弁をされた点はきわめて重要です。そこで、この二つの考え方は両立しないと思うが、どうかということを国土地理院の関係者にお伺いしたいと思います。
  218. 坪川家常

    ○坪川説明員 お答えいたします。  新潟付近の地盤沈下が非常に激しいときにはあまり気がつかなかったのでありますが、新潟市付近が特に非常にむずかしいところでございますが、沈下が減ってまいりますと、いままで不動であると仮定しておりました加治川村でございますが、ここの変動の様子が新潟市の沈下の状況に微妙に響いてまいりまして、変動の様子を、場合によっては、沈下が少々あっても隆起のようなかっこうを呈しておるというふうな状態が出ております。それで、結局、広い水準測量、これは柏崎から念珠が関までの広い水準測量をときどき繰り返しておりましたが、この水準測量の結果から見ますと、どらも加治川村の不動点はあまり適当じゃない、むしろこれをもう少し地盤の安定した岩室付近に移したほうがよろしいのじゃないかということがわかって、まいりまして、ことしの八月の報告では、参考のために岩室を不動とした変動の様子を一応御報告してあります。これによりますと、ちょうど新潟あたりがむずかしいところで、新潟市から東北のほうでは要するにかたい地盤の変動、大体この新潟地震の原因と何か関係のあるような動きでございますが、こういうふうなかたい地盤の特別の動きのようなものが入ってまいります。それから新潟から西南のほうへ参りますと、これは純然たる地下水くみ上げその他非常に軟弱地盤の沈下の影響が出ておる。ちょうど新潟市あたりがその中間にありますので、場所的に上がりぎみになったり、それから境を越えますと軟弱地盤の影響で下がっておるというふうなところにあるように思われます。明らかに現在でも下がっておると言えるのは阿賀野川と内野地区の間でございまして、これは現在でも沈下がかなりの速度で、半年数センチ程度の速度で進んでおるということが言えます。ところが、阿賀野川から北のほうは、ある程度、地震前は隆起ぎみの傾向がございます。これはおそらく今度の新潟地震の原因であるような、かなり根の深い変動ではないかと思われるのでありますが、そういうふうな変動を加治川村が受けているというふうに考えられますので、大体岩室あたりを不動点として地盤の変動を整理し直したほうがより正しいものになるのじゃないかと現在考えております。現在の新潟市の変動につきましては非常にデリケートでありまして、わずかな阿賀野川の周辺をはさみまして、地域の少しの違いで沈下ぎみ、それから上昇ぎみというふうなものがまじっているような感じに見えております。  以上でございます。
  219. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいまの部長の答弁では、弥彦山のふもとにある岩室村を水準点として再検討しておるということでありますが、そういたしますと、いままでのものに対する信憑性に欠けるところがあるのではないか。それをもとにして今日まで万般の計画を進めてまいったわけでありますから水準点が今度はあまり動揺もしないものができて、それによると、沈下の速度が従来と変わってくる。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 そういうことになると、農林省の地盤沈下対策としての基盤整備事業というようなものが、先ほど課長はただ亀田郷だけを話しておられるけれども、白根郷にしても味方郷にしても、あるいはその他の、いま大量の水溶性ガスをくみ上げておる地域における地盤沈下対策としての基盤整備事業というものが、同じことを何回も繰り返さなければならない結果を生むのではないか、ここに私は非常に大きな問題があると思うのであります。  国土地理院の部長さんに伺いますが、岩室村を一等水準点として計算し直しておるということであるが、大体その計算はいつごろになりますか。そしてそれを基礎にして、やはりいま申し上げたような万般の計画設計が再検討されなければならないのではないかということを私は考えるのですが、部長さんどうですか。
  220. 坪川家常

    ○坪川説明員 お答えいたします。  岩室と加治川村を取りかえることによってある程度の影響があることは先ほどお話したのでありますが、実は量的には非常に小さいものでありまして、その変更の程度は、全体を含めまして、大体三十年ごろから地盤沈下のための測量が始められておりますが、それから現在まで、これを取りかえることによる差は大体数センチ程度にとどまりますので、地盤沈下のかなり激しかったところには、大体大勢としてはほとんど影響はないかと思います。現在のように新潟市付近でも地盤の変動の小さいところでは、この取りかえがかなり変動の符号を変えるために響くような感じに見えますが、実際にはそれほどの差ではない。たとえば加治川村で、一九五七、八年ですか、そのころからある程度上昇に転じたようなかっこうが見えますが、その量は大体四、五センチの程度でございます。それに対しまして岩室のほうは、これは柏崎を基準としてやっておりますが、柏崎を基準といたしましてざっと二センチばかり沈下しているような感じになります。したがって、最大影響を及ぼしますのが六、七センチの程度かと考えられます。したがって、現在までの特に変動のひどかったところでは、この量は大して問題にならないかと思っております。
  221. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 たいへんその影響が少ないということをおっしゃっておられますが、あなたは、この前の記録によれば、信濃川河口では半年間に五センチ程度沈下しておる、内野、黒埼地区では半年で七、八センチ程度沈下しておる、こういうことを言っておられる。ところが、科学技術庁の資源局長は、前に本委員会においては、一年に大体四センチ程度しか沈下していない、こう言っている。そうすると、年間四センチという沈下の世と、まあ場所によるけれども、半年で七、八センチも沈下するということでは、これは水田のような場合には相当違ってくるわけですね。それが半年で七、八センチということになると、これは水田ではかなり大きなものです。堤防では、河川局長が言うように、かさ上げということも考えられるけれども、水田の場合はなかなかそうはいかない。そういう関係がありますから、私はきょうここでその確認をしなければならないということであったわけです。そこで、いま私があなたにお尋ねした中で、大体その整理はいつごろまでにできるか。大体加治川を基点としておったものが、どらも加治川の水準点が動揺しておったようだ、こうおっしゃるわけですね。だから、今度は弥彦山ろくの岩室村を基点として再検討をする、計算をし直さなければならない、それによって、最終的な沈下値というか、そういうものをも判断されなければならないという問題でありますが、この基準点を変えれば、正確なものはこうであったというものがいつごろできるかということをあなたに伺っておきたい。  それからなお、農林省の災害復旧課長、先ほどお話がありましたが、いまお聞きのような状況なんです。農民は、亀田郷など現に何回も何回もやらなければならない。ことに用排水の施設のようなものはなおさらです。やはり沈下度というものについては、厳密な精査の上に一定の見通しを立てて工事をおやりにならないと、これは国が負担するだけじゃなくて、農民も負担しなければならないという問題であるから、いま予算編成期にあたってこの点は重要だと考えるので、やはりそれに対する心がまえというものもひとつ承っておきたい。
  222. 坪川家常

    ○坪川説明員 科学技術庁のお話と、私のところで申し上げた数値の違いにつきましては、これはおそらく場所による違いではないかと思います。場所によりまして沈下量が非常に違っておりまして、同じ変動地域でも、比較的小さいところ、それから非常に大きいところがございまして、そのような理由のために数がかなり狂っているのだと思いますが、われわれのほうでは、私のほうで分担しております水準、ルートについてだけの数値のうちのある特定の場所について、エグザンプルとして御報告したような数字ではないかと考えております。大体沈下の大きいところにつきましては現在もまだ沈下が続いているというふうなことは、ただ沈下の場所が移動してまいりましたが、最近沈下しているところはいまでもまだ沈下しているということは一般的に言えるかと思います。  それから、加治川村を岩室に取りかえるというための整理につきましては、これはなるべく早くやりたいと思います。実は地震のための水準測量を現在やっておりまして、その概算も逐次進行中でございますが、これと同時に、いままでやりました水準測量の不動点を岩室に移す作業も同時にやりまして、むしろ岩室に取りかえる作業のほうは優先的に扱います。そういたしますと、大体一カ月くらいで結論は出るかと思います。それで、あとの地震後の変動につきましては現在測量中でありますし、逐次整理もしておりますので、地震後の変動につきましては大体今年一ぱいぐらいにわかるかと思います。
  223. 梶木又三

    ○梶木説明員 お答えいたします。  沈下の対策事業につきまして、ただいま御指摘のとおり私どもとしましても全く同じ考えを持っております。しかし、完全に沈下の終わるまで待って抜本的な対策をやりたいということにつきましては、私どもも痛感いたしておりますが、何分にも年々の稲作に支障がありまして、その年々の稲作に支障ない程度の応急措置を講じなければ非常に支障を来たす。地元からも非常に御要望もございますので、もちろん、その応急対策につきましても、先ほどお話のございましたように、沈下の速度に応じまして、若干のアローアンスと申しますか、余裕をもってポンプの揚程とか水路の断面等を考慮いたしておりますが、恒久的な対策となりますれば、やはり沈下を待たなければできないというような事情でございます。それと、沈下対策事業のほかに、先ほども申し上げましたように、地震後いろいろ、隆起、陥没あるいは砂の噴出というような事態がございまして、これらの処置につきましては緊急を要しますので、地理院のやっていただきます一等水準点を一応原点にいたしまして、沈下地帯一帯の測量は完了いたしました。その結果はただいま取りまとめ中で、この中ごろに調査事務所のほうが私どものほうに結果を持ってまいりまして、その結果と今後の応急並びに恒久的な対策も検討いたしたい、現在こういう段階でございます。
  224. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 地理院の部長さん、一カ月ぐらいというお話なんだけれども、実はもう少し早めてもらいたいのです。これは非常にいろいろ問題がございまして、ここでそれじゃいつごろまでにできるということをお答え願わなくてもいいですけれども、早めていただきたい。  それから委員長、時間がたいへんおそくなって恐縮でありますが、港湾局の参事官が見えたそうですけれども、実はさっき申し上げたように、この前の記録を読みますと、地盤沈下が非常に緩慢になり、最後にはフラットに近くなる傾向があるという発言を局長はしておるのです。ところが、そうでないといういろいろな資料が出てきておる。同時にまた、先刻お話がありましたように、新潟県内で一部の人たちは、それはもうほんの一部の人たちですが、沈下していない沈下していないと宣伝をしておる。それから今度の地震の被害なども、沈下があったからああいう被害が起こったことは、この問の金沢の学会の発表でも明らかなんです。しかしながら、やはり一部の人は、地震と地盤沈下の災害とは関係がないということを極力主張しておる。こういうような発言というものは非常に政治的な発言だと思う。いま大体の点は明らかになりましたから、次の機会に、さらに今度は政治に対する責任の負える人の出席を求めた上でこの問題をもっと掘り下げなければならないと思いますので、たいへん時間が長くなりましたが、私の質問は終わります。
  225. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 中川一郎君。
  226. 中川一郎

    中川(一)委員 時間もおそくなりましたし、長時間にわたって御質問もございましたので、私は繰り返しません。  非常に北海道冷害が深刻である。私も、先般の衆議院の農林委員会並びに災害対策特別委員会調査団の方々とともに現地を見てまいりました。私のうち自体が農村でありますので、よくその実態を見てまいりましたが、非常に深刻であります。それに対して農林省もいましかるべくそれぞれ御措置をいただいておるようでありますから、それにまた、いろいろと先ほど来御質問もございまして明らかにされておりますが、一つだけ、私の見るところでは、いまの天災融資法並びに激甚法では救えないのではないか、これを改正して、特例法をつくるか、あるいは法律を改正しなければならぬのじゃないか、私はそういうふうに思っております。たとえば、三年間で天災融資で借り入れた金を返さなければいかぬ、とても三年間では返せるような姿ではないと思います。あるいは、北海道農業がきわめて経営規模が大きいという点から、融資ワクについてもふやさなければならぬのじゃないか、こういった点について特例法を設ける意思がないかどうか、あるいは法律を改正する意思があるかどうか、この点だけをまずお聞きしておきたいと思います。
  227. 中西一郎

    ○中西説明員 お話のとおり、融資のワクあるいは金利の問題、それぞれ問題がございます。そういう意味で、改正をせざるを得まいと思っておりますけれども、ほかの金融制度との関連もございますので、独走するわけにもまいりません。考え方を早急にまとめまして、近い将来には善処いたしたい、かように思っております。
  228. 中川一郎

    中川(一)委員 もう一つ農林省にお尋ねしたいのは、北海道農業ということについて農林省はどういうふうに考えておられるか。私の見るところでは、畑作地帯については共済制度もない、あるいは土地改良についても非常に薄い、あるいは酪農をやろうとしても非常に金がかかる、したがって、固定化した負債がたいへんな額になっておる。酪農だけでも百五十億とか、あるいは全体では千億とか、きわめて大きな借金ができておる。あるいは価格対策もたいへんな問題になっておる。今日も、でん粉価格を上げてくれとか、あるいはビート価格をどうしてくれ、雑豆をどうしてくれ、あるいは一番困るのは酪農の乳価の問題も政府にお願いをしなければいかぬという、きわめて大きな問題を含んでおる。それやこれやで、全体を考えますと、これから貿易の自由化に対処して北海道の畑作農業が成り立っていくだろうかどうだろうかということについて非常に心配をいたしております。この際冷害を機会に、これからも冷害がやってこないとは申されない、必ずやってくると考えなければならないと思うわけでありまして、これを機会に、北海道の畑作農業というものを、貿易の自由化の前に、あるいは冷害を前にして一体どうしていこう、農林省はどういうふうに認識をされ、今後どうしていこうという考えを持っておられるならばお聞かせを願いたいし、また、そういった意味で、今度調査に行かれるそうでありますから、よく研究、検討してきていただきたいと存じます。
  229. 中西一郎

    ○中西説明員 北海道農業全体をどう持っていくかというのは実は大問題で、軽々にお答えしかねるのですけれども、北海道のそれぞれの地域でその地域の代表的農業を営んでおられる農家の数はだんだんふえつつあります。そういう農家には年間千人近い見学者があるというようなことで、乳牛を飼い、そのコストも低下しておる、現在の乳価でも利益が出る、さらに堆厩肥の利用を増加しまして地味もこえてくる、ビートの収穫も高い、ビートでも利益が出るというような農家がだんだんふえておるようでございます。そういう勢いをさらに前進させることが必要だと思います。また、そういう農家は、負債はそれぞれ多うございますけれども、その負債を所定の年限の中で返していく力も持っておる。来年の予算で農林省が実現したいということで現在検討しております農地管理事業団なども、そういう経営に近づけるための規模拡大の条件をそろえる一つの構想であるわけです。さらに、北海道自身の立地条件からくる不利ということもございます。その不利については、特に生乳についてそれを飲用乳に回る度合いが、ほかの地域に比べますと非常に低い。現段階で一割くらいだと思いますが、それを高めていく必要がある。幾ら高めましても、まだ原料乳のほうへよけい回る。そこで、原料乳地帯としての乳価対策特段に配慮する必要があろうということで、現在、不足払い制度を打ち立てようではないか、来年の予算ではおそらく仕組みしかできないと思いますけれども、一両年の間には不足払いが実行できる、そういうふうな段取りで全体を進めてまいりたい。ああいう土地柄でございますから、何と申しましても畑作に重点を置いた農政ということを新しく展開する、そのためには試験研究も十分やりたいと思っております。
  230. 中川一郎

    中川(一)委員 次に、北海道開発庁にお尋ねをいたしたいと思います。  昭和三十八年度を初年度とする四十五年までの八カ年計画ができております。この八カ年計画は、冷害に耐えられるような計画になっておるかどうかということ、あるいは、計画はりっぱであるけれども実施ができておらぬじゃないかという点が私にはうかがえるのでありますが、この点どういうふうに開発庁当局はお考えになっておられるか。もし不満足であるとするならば、改定すべきだと思いますが、この点についての開発庁の考えを聞いておきたいと思います。
  231. 小熊清

    ○小熊説明員 昭和三十八年度から四十五年度まで八カ年間の第二期総合開発計画が現在進行しておることは、御案内のとおりでありますが、その計画の中におきまして、農業の振興という点につきましては御質問の冷害が考慮されているかいないか、これを数字的にどうかということになりますと、たいへんむずかしいことになりますが、農業の開発全般といたしまして土地改良を大いにやっていく、それから農用地を開発していくということを大きな柱にいたしておるわけでございます。今回の冷害を見てまいりますと、客土でありますとかあるいは排水といったような土地改良事業が施行されている地域と、そうでない地域とを比べますと、前者のほうが冷害に対して非常に被害が少ない、抵抗力が強いということが言えるかと思うのであります。したがいまして、土地改良事業、これは水田も畑地も両方とも入っておるわけでございますが、これを推進してまいるということは、一面においては冷害にも対応するということになろうと思うのでございます。また農用地の開発ということで、特にその中で北海道に適した酪農経営の飛躍的な増加という観点から、草地の造成を大きく取り上げておるわけでございます。これも北海道の適地適作ということで、いわば寒地農業の確立という観点から、北海道の気象条件にある程度マッチした方向で二期計画が立てられておるというふうに考えられるかと思います。ちょっと抽象的なことでありますが、二期計画全体の農業の振興に関する立て方はさようになっておるということでございます。
  232. 中川一郎

    中川(一)委員 畑作について非常に考えている、冷害についてもやっていきたいという意思はわかりますけれども、そこで実際はどうなっているかと言うと、土地改良事業費一つを見ましても、二〇%にしか及ばない水田地帯に七九%、八〇%も土地改良費が使われている。八〇%にも及ぶ畑作地帯に一九%しか土地改良費が入っていない。これでは非常に心もとないと存じますので、明年要求しております畑作予算は非常に大幅に伸ばしてもらいたい。特に畑地総合事業であるとか、あるいは区画整理事業、これらについて特段の御配慮を願いたいということを希望いたしまして、開発庁に対する質問を終わりたいと思います。  次は、建設省にお願いをしたいことが一件ございます。それは十勝川のはんらんの問題であります。おかげをもちましてだんだん無堤防地帯が少なくなってまいりました。これは非常にありがたいことでありますが、いまはきわめて少ないところであるけれども、まだ無堤防地帯がある。かつて洪水のときには全河川の流域全体で受けていたところ被害を、集中的に旅来というところがかぶっております。農民は泣いておりますが、これらに対して一体どういうふうに考えておられるか。来年のうちに堤防をやってもらうことが第一点。  第二番目は、電源開発が無謀な放流をした、これはもう農民の怒りとなっております。数字の上でいろいろわからない点もありまして、はっきりした詰めどころはございませんけれども、われわれは電発からしかるべきあいさつがあってしかるべきだと思っておりますが、その点についてどういうふうになっておるか。  この二点を建設省にお尋ねいたしたいと思います。
  233. 上田稔

    上田説明員 お答えを申し上げます。十勝川の下流の無堤地区でございますが、これに対しましては、なるべく早くこれをつなぎまして全地区に堤防をつくりたいということで鋭意工事を進めておりましたわけでございますが、ちょうど右岸側の下流の、背後地のわりあいに少ない部分が残ったような状態になっておるわけでございます。この地区に対しましては、なるべく早くやりたいということで計画を進めておるのでございますが、いままで手がつかずに、まだ無堤になったままになっておるわけでございますが、来年度におきましては、ぜひこの地区につきまして堤防を考えていきたい。ただし、計画高水で十分な堤防ということにいたしますと、その地区が一年でちょっとできかねるようになるのじゃなかろうかと思いますので、少なくとも計画高水から一メートル下がりくらいの堤防を一応早くつくっていきたい、こういうふうに考えております。ただし、これも、こういう堤防でございますとまた非常に危険でございますので、引き続いて上げていきたいというふうに考えております。そういうふうにいたしますと、大体この三十九年の六月の洪水のときでも五十センチくらい余裕がある高さにはできるのではなかろうか、こういうふうに考えております。  それから第二点の御質問の活込ダムの問題でございますが、これは十勝川の左支の利子別川、それのさらに右支のビリベツ川にございますダムでございますが、これは電源開発がおつくりになって管理をしておられるダムでございます。それで、このビリベツ川の活込ダムへ入ってきております量が三百七十トンでありまして、放流をいたしましたのが、三百トン、それで、十勝の下流のいまの無堤地区でございますと、その当時の洪水流量が三千七百くらい流れたのではなかろうか。計画洪水流量は七千七百でございますが、三千七百くらい流れたのではなかろうか。その地区に対しては、そういう三千七百のうちの三百トンくらいの水量になったのではなかろうか。ただし、ビリベツの下のほうの利子別に入るまでのところ、この部分になりますと、この活込ダムからの流量と、その活込ダムから下流の一部の量になりますので、これはおそらく活込ダムそのものの流量が相当影響してくるという部分になるのではなかろうか。したがいまして、十勝川の下流の部分の右岸無堤地区という、最初の先生のおっしゃいました部分については、これはもうほとんど影響がないのではなかろうか、こういうふうに思われるわけでございます。したがいまして、ビリベツ川の下流の部分、つまり、利子別に入る手前の部分の無堤地帯に限ってお話を申し上げたいと思うわけでございます。  向こうの水位記録というものを道庁のほうで調べておりますが、これは自記記録によって出ておりますので、そのとおり出るわけでございますが、流入量が、最高が三百七十トンくらい入っている、出ていくのが三百トンであるということで、流入量よりも多くは出しておらないという事実ははっきりいたしているわけでございます。それで、この管理規程でございますが、これは道庁のほうで認められている管理規程でございますが、これによりますと、そのとおりの状態になっているわけでございます。現状はそういうことでございます。
  234. 中川一郎

    中川(一)委員 最後に一点、厚生省のほうに、御質問というか、お願いも含めてお答えを願いたいと思いますが、実はことしの冷害で一番下のほうの階層が非常に困っている。聞くところによると、ふとんを着れないで、わらの中に寝ている農家もある。ところが、そういったところ生活保護法の適用が受けられない。若干の馬なり土地なりがあるために、馬や土地以上の何十倍の負債があって、生活にも非常に困っている。生活保護法の適用を受ける対象となる職のない人よりももっともっと困った生活をしておりながら、生活保護の適用を受けられない仕組みだそうでありますが、これはひとつ改正するか、何か便法措置で、今度の冷害対策として厚生省は特例でめんどうを見てもらうわけにいかぬものか、この点をお尋ねしておきたいと思います。
  235. 加藤信太郎

    加藤説明員 お答えいたします。  北海道冷害収穫が減少いたしまして非常にお困りになっている方が多いということは、実は道庁からも報告を受けております。つきましては、御承知のように、実は生活保護法は、いろいろな施策を各省にやっていただきまして、厚生省も生活保護以外の施策をいたしまして、それでもなお生活に困られる人に対しては、一定の基準に当てはめて保護を適用する。そういう態度をとっております。いまお話がありました、馬があるからとか、農地があるから適用しないという、そういう一律の態度は私のほうはとらないで、むしろ、農家につきましては、いわゆる大百姓が土地を持っていらして、一時的に困られるのは、これはちょっと無理だ、しかし、平均以下の耕作反別をお持ちになっていて、そして農具でも必要欠くべからざる最低限度のものしか持っていらっしゃらない場合に、それでなお収入が非常に少なくて、私のほうでつくって国会で御審議を願っております保護の一般基準に該当する場合には、その不足分を保護費で出す、そういう態度をとっておりますので、いまお話がありました、わらの中に寝ているという状態が、農家実情としまして、この際、自分のうちは平均より土地が多いけれども、一年ばかりのために土地を売るわけにはいかぬ、やむを得ず一時しんぼうするとおっしゃる方は、いまのところちょっと私のほうでは無理だと思いますが、よくその辺は道庁とも打ち合わせまして、該当する者については、私のほうは、たとえ補正予算を組んでいただいても保護していく、そういう態度をとっておりますので、実情をよく調べまして、保護に該当する者は保護していきたいと思います。ただ、先生がお話になりました特別の基準というのでございますが、私どもは、いま申し上げたように、農家には農家に適する基準はつくりておりますが、実際のことを申し上げますと、生活保護におちいられる方はそれぞれ非常にお気の毒な事情で生活保護の適用を受けておられますので、一般的に気の毒な状況でありますから、この北海道冷害に特に特別基準をつくるということは、私どもの制度の本質からいってちょっと無理じゃないかと思っておりますが、御指摘のような気の毒な状態に対して遺漏のないように措置をすることは、北海道庁とも十分打ち合わせておりますので、ひとつそういうふうにやらしていただきたいと思っております。
  236. 中川一郎

    中川(一)委員 以上をもって質問を終わりますが、生活に困っている者は、農家であってもめんどうをみますということで、非常にありがたいことでありますが、末端にいきますと、実際は、馬があるから、牛があるからといって取り上げてくれないのが実情だそうであります。この点は、現地を御調査願って、万遺漏のないようにお願いしたいと思います。オリンピックで日本じゅうがほんとうにわき返っているときに、北海道で泣いている人がいることをこの際政府当局はお認めを願って、あたたかい措置をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  237. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十三分散会