○
小沢(辰)
委員 当
委員会の
決定によりまして、
山陰、
北陸における
集中豪雨による
被害状況調査のために、社会党の
岡本委員、民社党の
栗山委員、自民党の私が
派遣されました。また、
現地においては
細田吉藏理事が参加をしていただきまして、四人で
鳥取県、
島根県の両県下をつぶさに視察してまいりましたので、
調査の概要について私から御
報告を申し上げたいと思います。
しかしながら、実は私
どもこの
調査の
報告書は、
気象状況から始まりまして、
被害状況、それから
対策、
陳情の
内容、また私
どもの所見というものを非常に詳しく
報告書としてまとめ上げたのでございますが、本日の
委員会では各
委員の具体的な
質疑応答が
中心でございますので、
委員長のお許しを得まして、あるいはまた
委員各位の御
了解を願いまして、この際詳細な
報告書を
委員長の手元に提出をさしていただきまして、これを
会議録に掲載されるようお
取り計らいを願い、むしろ、われわれ三人の
代表が
現地を見あるいは
いろいろ話を聞きました
内容の中で、
災害対策として特に大事だと考えられます数点を私から申し上げまして、この
報告全般につきましては
会議録に掲載することによってごらんをいただくように
委員長にお
取り計らいを願いたい、かように考えるわけでございます。
私は、以上のような
趣旨で、特に
対策の面で私
ども代表団が
感じました点をこの際特に
重要事項についてのみ申し上げてみたいと思います。
まず、こういうような
災害があります際には、何をおきましても
激甚災害としての取り扱いが一体なされるのかどうかということについて、
被害を受けた
関係町村並びに
関係各県というものは非常な関心を持っておるわけでございまして、われわれ政治的な
考え方といいますか感覚からいいますと、もちろん、
政府側では、
被害額の
調査をやり査定をやってその金額全体がどうなるというような、事務的に詳細な
積み上げをやった上でないとなかなか結論を出さぬのが今日までの現状でございますけれ
ども、やはり政治的に考えますと、これだけの大きな
災害が各紙の報道その他でわかるわけでございますから、今回の七月の
豪雨全体というものを
激甚災というようなものに
指定をするんだ、各
地域における
指定というものは、もちろん追って事務的な
積み上げも必要でしょうが、そういうような意味では、今回の
豪雨は
激甚災なんだから、できるだけ厚い
措置をしてやるぞというような
決定を早急に
防災会議等で
取り上げ決定をすべきだという
感じを私は非常に深くしてきたわけでございます。
なお、全般的に関連するものとして、
改良復旧か
原状復旧かという問題が、
災害になると常に起こるわけでございますが、今回の
豪雨による
災害を見ましても、これは
中小河川の
被害によるもの、あるいはまた、山くずれ、
地すべり等の
被害によるものが圧倒的に多いわけでございます。これらの
地域につきましては、いずれも
昭和三十六、三十七年というようなかつての
豪雨によりまして
被害を受けた
個所でございます。したがって、私は、
公共土木の
復旧にあたりましては、どうしても今後
災害を起こさないような
配慮のもとに
改良復旧を徹底すべきだというふうに考えるのでございまして、おそらくは、
昭和三十六年災、七年災の
災害復旧のためにつぎ込んだ費用が今回の
災害によって全くむだになったということになるわけでございますから、貴重な
国費を使う場合には、これは
災害基本法にはそういうような
趣旨も盛られておるわけでございますが、将来の
災害の
再発防止という観点から、十分にひとつ
検討すべきではないか、この点、特に
災害対策として、また
災害の多い
わが国としては特別に考慮をすべき点であるという
感じを持ってまいりました。
それからなお、今回の
災害で、われわれは、雨が降れば川が
はんらん、要するに雨が降ると水ということばかり心配しておりましたが、山くずれが非常に多いのでございまして、したがって、
岡本委員がいみじくも言われたのでございますけれ
ども、今回の
豪雨は
——雨という場合に山と川ということを考えなければいかぬということを言われておりましたが、まさに私
ども一同の
感じでも、雨が降ったら川の水が出るということだけが実はいままでのわれわれのびんとくる概念だったものが、雨が降ったら山を考えなければいかぬというように
ほんとうに強く
感じてまいりました。ただいま
関係町村の
代表が一万カ所と言われましたが、とにかく白いものが、真夏の森の中に全く無数にあちこち山くずれが
飛行機の上から見えるというような、非常に大きな
——鳥取県、特に
島根県についてはそういう
状況が強かったのでございます。そうなりますと、山地の
災害復旧というものが、いままでのような
考え方で、一カ所について
相当額の
被害がなければ
災害復旧の対象にはならぬというような
考え方を、今度の場合には根本的に改めていかなければいかぬ。一カ所の
被害が少額でありましても、それによって
一家全滅、六人
死亡というような悲惨な
事態が起こっているわけでございますので、この点も特に考えなければいけない点だと
感じてまいったわけでございます。
先ほど、各部落、
町村等におきます
有線放送が非常に有効だったというお話が
陳情の側からもございましたが、たとえば
島根県で一番ひどい加茂町、これはわれわれが行きましたときも、まだまだ
家屋は倒れ、あるいは水その他でたいへんな
被害を受けたその
あとがなまなましいものがございました。町長は涙ながらにわれわれに
状況を説明し訴えておりましたが、この町の人的な
被害は全く皆無でございました。町の
中心部から非常にひどい
被害でございましたけれ
ども、人的な
被害は皆無でございます。聞いてみますと、
郵便局のほうとそれから
有線放送の係の者は、
ほんとうに首まで水がつかるまで最後までがんばり、いよいよ危険だというときに引き揚げるまでは
有線放送で、刻々いろいろな指令を出しておったということで、このために人的な損害は全くなく済んだという
事例もございました。したがって、これはわれわれ過般の
通常国会におきましても、
有線放送を
自動化に切りかえる
措置だとか、いろいろな問題を審議いたしました。それはそれとしても、この
有線放送については、
わが国のような
災害地において、特に
農村部にはこれらの
施設の
重要性というものを認識しまして、われわれとしてこれの
助成普及というものを徹底しなければいけないという
感じを持ったわけでございます。
なお、
鳥取県の米子で私
どもが
水害の
状態を聞きましたときに、一時小降りにもなったし、どうやらおさまりそうだというような
情報が流れまして、そのために警戒をゆるめたことがございます。ところが、その後非常な
豪雨であって、それから人を集めるにもなかなか集められなかったというようなこともあり、また
島根県下におきましても、地方的な
気象観測設備というものが非常に貧弱なために、全体の
災害対策というものについての県なり
町村なりの指示がなかなか的確にできなかったという点もあるようでございまして、これらの地方的な
気象観測の
設備については、今後
相当慎重に考慮していかなければいかぬ問題ではないかということを強く
感じたわけでございます。もちろん、
自治省関係あるいは
建設省関係、
農林省関係、いろいろたくさんありますけれ
ども、
個々の問題につきまして非常に大事だと考えられますのは、すでに三十六年、三十七年災で
復旧をいたしました
ところ等がまた同じようにやられている
事例を見ますと、
関連事業がおくれているためにその
個所から
被害が増大しているという例が見られるわけでございます。この原因はいろいろあろうと思いますけれ
ども、現在、
政府が
災害関連事業につきましてこの
ワクをある
一定の限度にしぼり過ぎているのではないか。
災害関連事業として取り上げる、すなわち
激甚法の
高率補助適用をする
ワクを八%ないし一〇%
程度にしぼっておられるために、
災害関連事業を
ほんとうに徹底して
復旧にあたってやることができないうらみがある、そのためにまた再び
災害を繰り返すというような
事例が非常に多いようでございますので、今後は、
建設省の
中小河川関係の
復旧につきましては、特別にこれらの点をぜひ考えていただかなければいかぬという
感じを持ったわけでございます。
それから
被害を受けました
家屋以外に、非常に土質が悪いために、今後はたして安心してその
地区に住み得るかどうかという問題が点々として各
地区にたくさんございますが、これらの
住民に対する移転といいますか、そういう
住宅復興の
関係を特別な
考え方でひとつ取り上げていかなければ、今回のように山くずれの
個所が非常に多いところにつきましては、また、あるいは
地すべり地帯等が
山陰、
北陸にもございますが、そういう
地帯につきましては、今後の
住民の不安を除き、また貴重な
生命を守るためにも、この点の徹底した
対策をとる必要があるというふうに
感じてまいりました。
今度の雨によりまして
農地災害が非常に多いわけでございますが、
農民はそのために収入が皆無になりました。何で生活するかというと、皮肉なことに、
災害復旧事業を早くやってもらって、その
公共事業に
自分たちが労力を提供することによってめしを食っていかなければならぬというような、
災害を受けた者が
災害復旧事業でようやく露命をつながなければいかぬというような実例が
方々にあるわけでございます。そういう点から見ますと、
関係各省におきましては、一日も早く
復旧工事がどんどん進むようにしていかなければならぬ、そういう点を特にひとつ考えていただかなければならぬし、また、これらの
農民はかつて三十六年、七年に
相当の
被害を受けて、そのための
融資を受けておる、あるいはまた、その後
構造改善事業等で
融資を受けておる、そんなことで、もうほとんど
自分の能力以上の借金を負っており、しかもことしは収穫が全然ないというような
状態でございますので、これらの
農民についてのいろいろな
農林省における
配慮というものは十分ひとつ考えていかなければいけない。特に
農家住宅については、現在、
農林行政の中あるいは
農林漁業金融公庫の中で、
農家の
住宅資金制度というものは確立されていないわけであります。
農家でありましても、
住宅金融公庫の
一定の
制限のもとの貸し出ししかできないというようなことでございますから、
農業政策の中に、
農家の
住宅といいますか、
作業環境を含めたいわゆる
農家全体の
復旧といいますか
建設といいますか、そういうものについての
制度をはっきりと確立していただく必要があるのではないか、こういうように強く
感じてまいりました。
なお、今度の
水害によります
特徴として、人的な
被害が非常に多かったわけでございますが、同時に、
重軽傷者が
相当ございます。これらが、いずれも重い外傷でありますために、
災害救助法の発動によりまして
応急医療を受け得る
期間内に治癒する者がほとんどないのであります。これが全部一カ月なり二カ月先にならないと治癒しない、その間の
治療費というものについて、実は非常に暗たんたる気持ちになっているというような人々がありますので、これらも早急に
具体案を指示いたしまして不安を除いてやる、少なくともその
期間は
国費によって何らかの
措置をとってやる必要があろうかと考えたわけでございます。
なお、
島根県全般的には、今度一万カ所の
地すべり、山くずれがございましたが、全般的に見まして非常に
土壌の崩壊しやすいところでございます。また
地すべり地帯もたくさんございます。こういうような
地域における
学校とかその他の
公共施設が無傷で幸いに残っているところもありますが、これらの、特に
学校につきましては、校長以下
先生が児童を預かる立場で、この
地すべり地帯にある
自分たちの
施設を、将来これでいいのかどうか、
非常事態が起こったときに一体われわれはどうして子供の
生命を守ることができるだろうかというような、非常に不安を持っておるようでございました。早急に技術的な
検討をして、これらの不安を除く予防
措置なり、あるいはまた根本的な
対策なりを指示する必要があろうかと、こういうように考えてまいりました。これらの
特殊土壌地帯といいますか、そういうものにつきましては、これは
北陸地方も同じだと思いますが、そういう
個所についての科学的な
検討をこの機会にひとつ十分やるべきであろうということを強く
感じてまいりましたので、これもふえんさしていただきます。
その他いろいろな点について各
委員からの御感想もあるわけでございますが、ほぼわれわれ
調査団の共通した意見ということで申し上げまして、
個々のこまかい問題につきましては、また重要ではありましょうが、
対策等につきましては、本
委員会の
質問を通じまして明らかにされると思いますので、以上、私は
調査団全体として気のつきました項目についてふえんをいたしまして、なお詳細は、先ほど言いましたように、
委員長の御
了解を得て
調査報告書の
会議録掲載により御一覧をいただきたいと思うわけでございます。(
拍手)