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1964-06-17 第46回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十七日(水曜日)委員会におい て次の通り小委員及び小委員長選任した。  凍霜及び長雨等による災害対策小委員       天野 光晴君    池田 清志君       大久保武雄君    亀岡 高夫君       西岡 武夫君    細田 吉藏君       泊谷 裕夫君    中村 重光君       西宮  弘君    村山 喜一君       稲富 稜人君  凍霜及び長雨等による災害対策小委員長                 細田 吉藏君 ――――――――――――――――――――― 昭和三十九年六月十七日(水曜日)     午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 中山榮一君    理事 大久保武雄君 理事 田中 正巳君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 稻村 隆一君 理事 岡本 隆一君    理事 村山 喜一君       天野 光晴君    井村 重雄君       池田 清志君    亀岡 高夫君       壽原 正一君    谷垣 專一君       西岡 武夫君    保科善四郎君       松田 鐵藏君    湊  徹郎君       森下 元晴君    井谷 正吉君       石田 宥全君    千葉 七郎君       泊谷 裕夫君    中村 重光君       西宮  弘君    華山 親義君       松浦 定義君    山口丈太郎君       稲富 稜人君    竹谷源太郎君       林  百郎君  出席政府委員         総理府総務長官 野田 武夫君         北海道開発政務         次官      井川 伊平君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君         大蔵事務官         (主計局次長) 澄田  智君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建 設 技 官         (河川局長)  畑谷 正実君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君         自治政務次官  金子 岩三君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁整備局         整備第二課長) 後藤 信義君         大蔵事務官         (主計官)   青鹿 明司君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         大蔵事務官         (国税庁直税部         所得税課長)  大島 隆夫君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部長)    中尾 龍彦君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    中沢 三郎君         運 輸 技 官         (気象庁観測部         地震課長)   広野 卓蔵君         建設事務官         (道路局次長) 三橋 信一君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本電信電話公         社総務理事   佐々木卓夫君         参  考  人         (電源開発株式         会社副総裁)  大堀  弘君     ――――――――――――― 六月十七日  委員卜部政巳君、久保田豊君、田口誠治君及び  原茂辞任につき、その補欠として石田宥全君、  松浦定義君、華山親義君及び山口丈太郎君が議  長の指名委員選任された。 同日  委員石田宥全君華山親義君及び松浦定義君辞  任につき、その補欠として卜部政巳君、田口誠  治君及び久保田豊君が議長の指名委員選任  された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  委員派遣承認申請に関する件  派遣委員からの報告聴取  災害対策に関する件(新潟地震並びに北海道に  おける集中豪雨による災害対策)      ――――◇―――――
  2. 中山榮一

    中山委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、小委員会設置に関する件についておはかりをいたします。  東北地方等における凍霜及び九州地方等における長雨による災害等対策のため、本委員会に小委員十一名よりなる凍霜及び長雨等による災害対策小委員会設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山榮一

    中山委員長 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいま設置するに決定いたしました小委員会の小委員及び小委員長選任につきましては、委員長において指名するに御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中山榮一

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、本小委員に    天時 光晴君  池田 清志君    大久保武雄君  亀岡 高夫君    西岡 武夫君  細田 吉藏君    泊谷 裕夫君  中村 重光君    西宮  弘君  村山 喜一君    稲富 稜人君 を、小委員長細田吉藏君を指名いたします。  なお、委員異動等に伴う小委員及び小委員長辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中山榮一

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。  なお、本問題につきましては緊急を要するものでありますので、委員会散会後直ちに本小委員会を開催する予定になっておりますので、小委員各位は御承知おき願います。      ――――◇―――――
  6. 中山榮一

    中山委員長 さきに長野県における凍霜等による被害状況調査のため現地に派遣されました委員から報告聴取いたすことにいたします。井谷正吉君。
  7. 井谷正吉

    井谷委員 私は、去る六月十三日から十五日までの三日間にわたり、長野県下における凍霜等による農作物等被害状況調査をするために派遣されました委員を代表して、調査概要を御報告申し上げます。  本調査農林水産委員会と合同して調査をいたしたのでありまして、本委員会から派遣されました委員は、中山委員長西岡委員と私の三人でありますが、地元議員多数に関係地で参加をいただきました。  今回長野県に大被害をもたらした異常気象は、去る四月二十八日朝、大陸に発生した高気圧日本海南部から東北地方を通過した際に起きたもので、高気圧におおわれた地方は無風、快晴となり、地上の熱が逃げる現象、すなわち放射冷却現象を起こしたものであり、これにより、ところによっては零下数度というきびしい寒さが長時間続いたのでありまして一各種農作物及び幼齢林等に凍霜害発生を見るに至ったのであります。その後、五月十二日から十五日には、降ひょう及び凍霜、同十六日及び二十七日に凍霜害、同じく二十八日、二十九日及び六月八日にはひょう害がありましたが、これらの気象状況も、四月二十八日の気象状況とほぼ同様であったようであります。そのほか、六月三日には、南シナ海に発生し、日本海南部を東進した九百八十ミリバールの台風の影響により県下各地に突風が発生し、農作物にかなりの風害が見られるのであります。また五月中旬には降雨が少なく、全県的に相当深刻な干害による被害発生しているのであります。  以上のように、連続的に発生した災害によりまして、開葉期にあった桑園は、新葉及び開葉は凍霜害を起こし、茶褐色に焦げ、春蚕の掃き立てば不可能におちいったのであります。そればかりではなく、七月二十日までに掃き立てをしなければ、夏秋蚕に間に合わない、長野県下養蚕業にとりまして、夏秋蚕用桑園がいまだ枯死状態になって新芽を見ないところが大多数の養蚕専業地方に見られ、夏秋蚕も放棄しなければならない実情にあるのであります。  また、長野県の農業のうち最も重要な農産物であるリンゴ等果樹にありましても、芽及び胚珠が凍霜害により枯死状態に長時間置かれていたため、結実を見ないものも随所に見られ、枯死を免れ結実を見た果樹にあっても、再三にわたる降ひょうにより果実に著しい損傷を受け、成育したとしても商品としての価値を有すると見られるものは皆無ではないかと危ぶまれているのであります。その他、バレイショトマト等蔬菜にありましても、また特用作物であるたばこ等にありましても、干害、凍霜害による枯死、成育不良におちいり、改植はできず、収穫を見込むことはとうていできぬ状態にあるのであります。さらに、高冷地における幼齢林、特に一年生から七年生くらいまでのカラ松は、凍害をこうむり、新梢が伸び始めた時期であったため、大被害をこうむっており、苗畑造林地同様の被害を受け、苗木の需給にも支障を来たしている状況にあったのであります。さらに、水稲も水不足に悩まされ、苗しろ被害、植えつけ不能の水田が名地に散在していたのであります。  今回の災害の特徴といたしましては、凍霜及び降ひょう等が、四月下旬から数度にわたり、六月上旬にかけて連続的に襲来化、特に五月二十七日の凍霜は、気温氷点下十二度を三時間にわたり記録するという、六十年来の深刻な災害であった上に、四月からの水不足による干害と相重なったため、各種農作物は徹底的な打撃を受け、特に桑園においては、春蚕はもちろん、夏秋蚕の掃き立てを不可能にしたばかりでなく、樹勢回復用肥料の効果が水不足のためあらわれず、樹勢回復が翌年度に持ち越される地域が相当見られ、被害が二年以上にわたるものがあることであります。  さらには林業被害でありますが、前にも述べましたように、標高八百メートル以上の苗畑及び九百メートル以上の造林地における幼齢林がほとんど枯死したことであります。これは、長野県の苗木等生産地域のほとんどが標高八百メートル以上の高冷地にあるという本県特有地理的条件がこのような特異な災害をもたらしたものであります。  以上のような各種災害により全農作物及び林業は大被害をこうむったのでありますが、その被害総額は、県の報告によりますと、四十三億八千万円となっており、農作物が四十億五千万円、林業関係が三億三千万円でありまして、その内訳は、桑園被害による蚕繭収入減見込み額十七億五千万円、春夏作用蔬菜、すなわち、バレイショトマト、インゲン、ハクサイ、カンラン、レタス等の播種、定植遅延、生育不良による減収見込み額は十億六千万円、リンゴ、桃、ブドウ、ナシ、クルミ等果樹は、凍霜による結実不良、ひょう害損傷による商品価値低下による減収見込み額は五億九千万円、タバコ、ホップ等特用作物の生育不良、ひょう害損傷による減収見込み額は三億三千万円、肥飼料作物の生育不良による減収見込み額は六千万円、菊等春夏作の花卉の生育不良による減収見込み額は一億一千万円であります。その他、林業被害の三億三千万円は、苗畑の凍霜による苗木被害が一億円、造林地における幼齢林枯死及び枯死状態による被害見込み額は二億三千万円となっているのであります。  以上のような大被害をもたらした災害発生に際し、被災農家当局の指示を信頼し、被害最小限度に食いとめるべく、重油及び枯れ草の燃焼、散水、おおい等による防寒措置について、不眠不休、あらゆる努力を尽くした苦労ははかり知れないものがあったようでありますが、その努力も報いられず、このような大被害をこうむったのであります。まことに気の毒のきわみであります。営々辛苦育ててきた農作物損害だけに、簡単にあきらめ切れず、まだ幾ばくかの収穫期待して努力を続けている切実な姿には、胸を打たれるものがあったのであります。特に、激甚被害地域畑作偏重低位生産地帯であり、春蚕夏秋蚕の掃き立て不能となった地域養蚕専業農家に至っては、以降一年間の現金収入の道はなく、農家経済に及ぼす影響は甚大であり、被災農家失望落胆は目をおおうものがありました。これら被災農家の、われわれ国政に携わる者に対する救済期待はまことに大きいものがあるのでありまして、われわれはこの惨状を胸に刻み、限りなき同情と、可能な限りの救済措置を早急に実施すべきであると思うのであります。  次に、調査をいたしました被災地を順を追って申し上げますと、まず六月十三日は、諏訪地方事務所及び伊那市自治会館において、両地区管内被害状況並びに陳情聴取し、茅野市湖東、豊半泉野地区、原村、高遠町、南箕輪等被災地調査いたしました。  翌十四日は、松本市松筑地方事務所において、管内被害状況並びに陳情聴取した後、朝日村、山形村の被災地調査して県庁に入り、同庁におきまして知事及び各農業団体代表より県下被害状況並びに陳情聴取し、さらに上水内郡三水村役場において、上水地区被害状況並びに陳情聴取いたしたのであります。  十五日は、上田市上小地方事務所北佐久地方事務所及び南佐久地方事務所において、各管内被害状況並びに陳情聴取し、浅科村、佐久市平根、小海町、南相木村の被災地調査しまして、全日程を終わったのであります。  次に、県並びに地元から各種の熱心な要望がありましたが、各位のお手元に県よりの陳情書も配付してありますので、時間の関係上、ここでは、要望事項のうち特に重要な点につきまして、調査団の意見も付しまして申し上げたいと存じます。  第一の要望は、激甚災害法に基づく天災資金貸し付け及び貸し付け条件緩和であります。激甚災害法に基づく天災資金貸し付けができる災害規模は、農業被害見込み額全国農業所得推定額のおおむね〇・五%をこえるもの、または、同推定瀬がおおむね〇・一五%をこえ、かつ一つの都道府県内に特別被害農業者の数が専業農家のおおむね三%をこえる都道府県が一以上あるものと、激甚災害指定基準が定められているため、今回の深刻な災害も、被害査定額不足のもとに恩恵を受けられないのではないかと心配されるのでありまして、このような深刻な災害に対しては、法の柔軟な運用により、あたたかい救済の手を差し伸べるべきであると思うのであります。また貸し付けにあたっては、貸し付け限度額の大幅な引き上げはもちろん、災害金利としては高利に過ぎるとの悪評のある金利の大幅な引き下げ措置を講ずるようにすべきであると思うのであります。  特にこの際申し上げたいことは、天災資金貸し付け限度額についてであります。天災資金貸し付け限度額は十五万円となっているのでありますが、天災法により災害を指定する場合に、その政令事項において、初めての被害者に対する貸し付け限度額はその三分の一、二年連続被害者に対してはその五〇%、三年以上の連年被害者に対してはその六〇%を貸し付けることと、貸し付け率政令により制限しておるのでありまして、この限度額の制限をこの際緩和する必要があると思うのであります。  第二の要望は、自作農維持資金特別融資ワクの設定による貸し付け貸し付け条件緩和であります。今回のような凍霜害等は、公共施設等施設損害を受けていないがゆえに、公共土木事業実施が容易でなく、したがって、被害農家救農土木事業等実施による現金収入の道が少ないのでありまして、現金を得るためには、自作農維持資金の借り入れにたよるほかはない実情にあるのであります。したがいまして、この維持資金に対する期待が非常に大きいのであります。政府は、この際十分被害者に行き渡る融資ワクを確保して貸し付けることとし、貸し付けにあたっては貸し付け限度を引き上げるとともに、金利引き下げについても早急に適切な措置を講ずるようにすべきであると思うのであります。  第三の要望は、農業近代化資金等制度資金償還の猶予及び借りかえの措置を講ぜられたいというのであります。以上のことは、例年災害時においては実施されていることでありますが、今回は、償還期にある資金のみを償還延期することにとどまらず、据え置き期間設置または延長、再貸し付けによる貸し付け金の実質的な緩和をはかるべきであると思うのであります。特に農業構造改善資金貸し付け金に対しては、構造改善事業計画的事業実施の推進に支障を来たさないように、特段の優遇をはかることが肝要であろうと思うのであります。  第四の要望は、農業災害補償法に基づく共済金の仮払いと、再保険概算払いをすみやかに実施されたいということであります。被害はきわめて深刻であり、被害額はすでに概算払いを行なう基準をはるかに超過していると思われますので、政府は各関係機関を総動員し、一日も早く支払いができるよう特段努力を願うものであります。  第五の要望は、樹勢回復用肥料病害虫防除用農薬代及び防除器具について助成をされたいというのであります。樹勢回復用肥料については、農協を通じて購入し、木災害のために特に使用したことが明確である肥料のうち一定量につきましては、その購入費の一部を補助することが必要でありますし、また、病害虫防除に対しても、防除器具購入補助のほか、農薬に対しても、共同実施したものについては補助すべきであると思うのであります。  第六の要望は、被害農作物の植えかえ代作等に要する種苗購入費について助成されたいというのであります。農業団体等が自己の保管する種子を被害農家に安売りしたときは、その保管料及び安売りに必要な費用を、また苗につきましても農業団体等のあっせんによるものについては、その費用及び輸送費を国において補助する必要があると思うのであります。  第七の要望は、夏秋蚕における掃き立て増加分に要した費用について助成をされたいというのであります。春蚕減収を補うため実施する掃き立て増加分に対しては、蚕種及び桑の購入費等について助成すべきであると思うのであります。  第八の要望は、林業幼齢林に対する国営保険の適用を実情に即して実施されたいというのであります。森林国営保険は、その対象補助造林に限定されており、林業者造林し、国の補助の支給を受けたときに保険加入することになっており、林業者造林を完了し、その認定申請したとしても、当局認定がなければ保険加入できないとなっているのであります。今回の林業被害の中に、造林を完了し認定申請している者が、その申請中に今回の災害にあったため、加入者とみなされず、何らの補償もされないという例が数多く見られるのであります。当局は財政的な理由による係官不足及び旅費等関係により認定がおくれていると言っているのであります。林業者申請し、当然加入しておるべき時期を経過したものが、このように当局の都合により加入がおくれたことによる損害については、これを補償対象とすべきであると思うのであります。また、このような事態を解消するため、今後適切な係官の増員、旅費等の増額をはかり、林業者要望をいれてやるべきだと思うのであります。  第九の要望は、被害農民に対する現金収入の道を開くため、救農土木事業実施されたいというのであります。第二の要望で述べたとおり、災害復旧公共土木事業がないので、救農土木事業実施するとすれば、現施行事業事業世の増大、施越し事業の繰り上げ実施新規事業実施が考えられるのであります。新規事業としては、被災地近郊造林地整地事業林木保育事業実施災害あと地復旧造林事業明年度実施予定各種公共土木事業を、国と県との間において了解事項として実施することがあると思うのでありまして、若干の無理はあっても、被災者実情にかんがみ、鋭意現金収入の道を開いてやるべきであると思うのであります。  以上、調査概要について申し述べたのでありますが、政府は、今次災害特異性を考慮され、各要望事項について慎重に検討を加えられるとともに、これが期待にこたえるべく善処されるよう強く要望いたしまして、報告を終わります。(拍手)
  8. 中山榮一

    中山委員長 これにて派遣委員よりの報告聴取は終わりました。派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。  この際、委員長から政府当局に申し上げます。  ただいまお聞きのとおり、地元からは種々の要望がなされておりますが、政府当局においては、十分にそれぞれの対策について遺憾のないよう、地元各位期待にこたえるべく善処されることを強く、要望いたしておきます。     ―――――――――――――
  9. 中山榮一

    中山委員長 次に、新潟地震による被害状況及びその対策について関係当局より説明を求めます。総理府総務長官野田武夫君。
  10. 野田武夫

    野田(武)政府委員 今回の新潟沿岸付近震源地とする新潟地震による被害につきましては、目下鋭意調査中でありますが、近年まれに見る大規模なものでありまして、被害を受けられました県民の皆さま方に対しまして、その御困苦に深く御同情申し上げる次第でございます。  政府といたしましては、直ちに、その事態の重大なるにかんがみまして、昨十六日午後五時、赤津自治大臣団長といたしまして、関係各省庁の係官を団員とする第一次現地調査団自衛隊ヘリコプター新潟県に派遣し、現地被害状況把握に当たらせておりますとともに、昨日また、持ち回り閣議におきまして、政府新潟地震非常災害対策本部を設け、新潟市におきましては、現地災害対策本部をそれぞれ設置することを決定いたしました。本部長には国務大臣河野二郎君を任命いたしまして、対策に万全を期しております。なお、今十七日早朝、小林厚生大臣を第二次現地調査団団長として被害地に派遣いたし、さらに続いて現地調査を行なわせている次第でございます。  政府といたしましては、まず当面、被害者の救世、被害家屋等応急復旧及び生活必需物資等の確保により人心の安定をはかることを最重点に万全の対策を講じております。今後さらに被害の詳細が判明いたしますにつれまして、漸次被災地に対する応急及び復旧措置につきまして万全を期する所存であります。しこうして、昨夜直ちに対策本部におきまして会議を開きまして、まずその方針といたしましては、少なくとも被害地の要求する点をまずもって把握するとともにこの災害にあたりましては、応想定される対案がたくさんございますから、現地の要求を待たないで、むしろ先手を打ってこちらからいろいろな対策を講ずる必要がある、そうしていま申しましたとおり、まず人心の安定を期するということでございます。応急対策といたしましては、大体明日ごろまでに一応の基本策立てたいと思っております。  まず、関係各省はおのおの各省とも対策本部をつくりまして、各省庁から動員いたしまして現地にすでに行っております。そこで、各関係官庁からも一々こまかい御報告をいたすと思うのでございますが、一応きのうの深夜までとりました対策といたしましては、警察庁の関係におきましては、すでに現地に向かいまして、警察員応援と申しますか、動員をする通告をすぐいたしましたが、警察力は一応応援を求めぬでも済むという返事がございましたので、ことさらの動員をいたさなかったのでございますが、関係の者はもちろん現地に参りまして、いろいろ連絡をいたしております。特に関東管区警察局公安部長を直ちに自衛隊ヘリコプターでもって派遣いたしまして、災害警備の指導に当たらせておるのでございます。  防衛庁におきましては、航空機による被害状況の偵察を行なうとともに、ヘリコプターによる政府調査団行動を援助するというので、防衛庁ヘリコプターはほとんど全力を尽くして現地に各関係者とともに行動を起こしております。さらに陸上自衛隊におきましては、東部方面隊は、第十二師団の主力を派遣いたしまして、出動準備中でございますが、なお昨夜十二時ごろに至りまして、信濃川の決壊ということが、特にその近隣の六千二百戸に浸水がありまして非常に危険であるというので、そこでどうしてもこれは自衛隊の派遣をさらに強化しなくちゃならぬというので、昨夜十二時に自衛隊に対しまして、新潟の高田、新発田並びに茨城の勝田、群馬の新町、普通部隊を千六百名ぐらい、特に必要な施設部隊をまた千六百名ぐらい派遣方を要請いたしまして、直ちに出動いたしております。今朝さらに、水道の問題とか電気の復旧とか、それから火災の対策、いろいろなことにおきまして、消防庁、警察力は別でございますが、自衛隊の出動というものが非常に緊急に必要だということを痛感いたしまして、一応この時限の時間におきまして、自衛隊は大体総数六千五百名の行動を開始する段取りになっておりまして、さらに一万六千ぐらいの自衛隊員が待機いたしております。これらにつきましてはすでに連絡を済ましております。なお、海上自衛隊におきましては、舞鶴を出港しまして、主食五万食と毛布四千五百枚ぐらいを搭載しまして、おそらく今日の午後四時ごろ現地へ着いていると思っております。  大蔵省におきましては、ただいま御要望のありましたことの中にも、私よく拝聴いたしておりましたが、特に金融関係で不便をかけてはいけないということを観点といたしまして、現地の金融機関とも連絡いたしまして、容易に現金が融通できるように諸般の措置をするということ、これは特にこの被害の、実情に応じまして適切な金融措置といたしまして、金融機関ばかりでなくて、関係の財務局等にも、また銀行協会その他の金融機関を通じまして、万全の措置をとるようにいっております。また、貯金の払い戻しの便宜扱いとか、手形交換の特別な決済方法とか、保険金支払いの迅速化、また税金関係におきましても、申告期間を延長するとか、納税期間を相当延期するとか、諸般の対策をとるように、大蔵当局現地係官を相当多数派遣いたしまして、いまその連絡並びに現地との調整をいたし、具体的にこれがあらわれるように促進するようにいたしております。  厚生省は、大体日赤の奉仕団の飛行機によりまして現地に派遣いたしておりますが、新潟近県の日赤救護班も現地に派遣すべくいま待機いたしております。大体、きのうの午後三時半か四時までに保存血液必要量を日本ブラッドバンク長岡営業所から新潟向けに輸送いたしておりまして、なお、午後五時、東京からも保存血液を新潟に向けて発送いたしております。そして新潟市にはすでに災害救助法の発動をいたしております。  農林省といたしましては、食糧問題が大事でございますから、直ちに調査いたしましたところが、一応新潟を中心として十五日間分の食糧は保有しているということでございましたが、さらに乾パンその他の手配をいたしておりまして、これらにつきまして食糧問題に不安がないように万全を期する。また農林当局といたしましては、復興関係におきまして、特に木材等は、これを調査したあとで対策立てるということになりますと、御承知のとおり非常に建築材料なんかが値上がりいたしますから、その前にひとつ現地に木材を運んでおく、要るのにきまっておるから、要求を待たないで、ことに、木材だけではなくて、建設資材というものはできるだけ輸送力を動員して現地に先に送る、そうすると、よくありますいわゆる値上がりなんというものは防止できると同時に、また被害者の方が安心して復興に当たられる、こういうことをやろう。同時に、これは建設省の関係になりますが、いま木材のことを申し上げましたので関連して申しますが、家屋の倒壊、火災その他で家のなくなられた方に対しましては、住宅金融公庫から現地に派遣いたしまして、一戸当たり四十何万円かは当然出すことになっておりますから、すでにこれら必要な方に対してすぐ手続をするように、ゆうべのうちに数人を金融公庫から派遣いたしておりまして、私ども直接その報告を聞いております。また農林省は、特に木材関係におきましては、前橋、秋田、長野の営林局に対しましてさらに今朝もまたその手配をいたしております。  通産省におきましては、あそこに大きな産業もありますし、また中小企業の方も非常に困っておられる状態でございますから、まず通産省の防災業務計画に基づきましてその手当てをいたしておりますが、特に復旧資材のうちの緊急資材の供給確保、それから同時に、これらもいま申しました木材とか建築資材と同様に、やはりこれらの資材を早く現地に運びませんと、値上がりとかいろんなことが起こってまいりますから、これも要求を待たないで、一応できる限りの輸送力を動員して復旧資材を輸送するということにいまつとめております。また、電気、ガスというものは、電気なんか一番困っておられるようでございますが、これの復旧等につきまして、現地に参りまして、東北電力また東京電力、電源開発、ガスは東京瓦斯というものがこれに対して万全を期しておりますが、なおかつ、これに対しましては、先ほど申しましたように自衛隊施設部隊もこれに参加してやる。御承知と思いますが、昨夜じゅうに電灯は、一部でございますが、復旧しておるようでございますが、きょうじゅうには、これも全部ではありませんが、大体電灯も新潟を中心として相当復旧する見込みでございます。ガスにつきましては、まだ報告を聞いておりませんが、向こうには天然ガスまたプロパンガスなどというものがございますから、応急的にはこういう措置もとらせるということを指令いたしました。  それから運輸省の関係では、これも御報告にあったと思いますが、非常に被害をこうむっております。しかし、これは非常な馬力をかけて復旧いたしております。しかし、新潟と新津間というものはまだ復旧いたしておりません。また各役所から御報告すると思いますが、これも運輸省が非常な動員をしてやっておりますが、これらにつきましても、先ほどの自衛隊施設部隊を活用して一日も早くこれの復旧に当たらせる。それから私鉄、自動亀関係というようなものにつきましては、新潟の陸運局との連絡が不能でありますので、仙台等の回線を利用いたしまして情報を集めて、この対策をやっております。航空関係も、現に具体的なきめのこまかい緊急対策を講ずるように運輸省にも指令し、運輸省自身も対策本部を設けておやりになっております。港湾関係につきましても、これは直ちに復旧はむずかしいのでございますが、御承知のとおり、新潟港も相当破壊されているようでございます。これらは、さらに運輸省を中心にいたしまして各方面を動員して、一日も早く復旧に当たりたい、こう思っております。  海上保安庁におきましては、これも直ちに非常体制に入っておりまして、現に食糧その他の薬品とか、こういうものに対しての輸送に当たっておるのでございます。  同時に、郵政省におきましては、これは最初ほとんど電話が不通でございまして無電でやっておりましたが、大体警察電話なんかすぐ通じましたし、その他の方法において、新潟におきましても、全部ではございませんが、ゆうべ聞いたところによりますと、大体五〇%くらいは通話ができるといっておりました。おそらくきょうじゅうにいろいろな手を打つと思っております。  建設省は、先ほど申しましたとおり、直ちに建設省の防災業務計画によりまして、新潟地震災害復旧対策本部設置いたしまして、これは特に建設技監と担当課長六名をきのうの夕方現地に派遣いたしまして、これは任務がなかなか大きいのでございますが、これらに対してもう最善の努力をして復旧に当たりたいということで、各役所とも同じでございますが、これも遺漏なきを期してやっております。先ほど申しましたとおり、住宅金融公庫の災害対策につきましても、先ほど御説明申しましたとおり、本省と一体となって、家屋の復旧その他に当たっております。何と申しましても、橋梁、道路が非常に破壊されております。これも実は建設省だけの力ではいけないので、先ほど申しました自衛隊施設部隊と一緒になって、一刻も早く復旧したいということで当たっております。  自治省におきましては、さきに御報告いたしましたとおり、赤澤自治大臣が現地に参りまして、いろいろ調査または折衝に当たっておりますが、まず災害対策に必要な資金のあっせん、またこれに対する普通交付税の繰り上げ、また被害状況によりましては特別交付税を配分しなければならぬというような基本的な考えをもって当たっております。  その他、消防庁、各関係役所がおのおの対策本部を設けて当たっております。われわれ対策本部といたしまして、これら関係各省のやっておられることを調整いたしまして、総合的な計画を立てる。的に申しましたとおり、明日ごろまでには大体本部の対策立てる。関係対策委員の方々は、昨夜もほとんど徹夜をいたしましてみなこれらに当たっている状況でございます。したがいまして、対策本部といたしましては、先ほど申しましたとおり、情報を全部収集するのはもちろんでございますが、また情報を収集するために待つ時間と同時に、もう必要なものは、大体被害地状況また従来の経験よりいたしまして一応見通しがつきますので、情報収集、要望は、われわれはもちろんできるだけこれを集めますが、それがなくても、できるならば、ひとつ先手々々を打って、特に被害者の方々のお気の毒な立場に対して救援申し上げ、また復旧、復興に当たりたいという強い決意を持っている次第でございます。  いろいろこまかい点につきましては、ここに関係政府委員その他が出ておりますから、お尋ねがありましたら、またおのおの各関係官庁からお答えを申し上げることにいたしますが、この上とも皆さま方の強い御協力を政府といたしまして特にお願い申し上げまして、一応御報告といたす次第でございます。(拍手)      ――――◇―――――
  11. 中山榮一

    中山委員長 この際おはかりいたします。  先ほど理事各位と協議いたしました結果、新潟地震による被害状況調査のため、現地委員を派遣し、実情調査いたすことに決定いたしたのでありますが、理事会の決定のとおり委員派遣承認の申請を行なうに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 中山榮一

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  つきましては、派遣地、派遣期間、期日、派遣委員の員数及びその人選、並びに議長に対する承認申請手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 中山榮一

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、航空機利用の必要があります場合にも、委員長においてしかるべく取りはからいたいと思いますので、御了承願います。      ――――◇―――――
  14. 中山榮一

    中山委員長 引き続き、質疑の通告がありますので、順次これを許します。大久保武雄君。
  15. 大久保武雄

    ○大久保委員 私は、昨日起こりました新潟地震に関する政府対策につきましてお尋ねをいたしたい次第でございますが、まず、新潟を中心とした北陸、東北方面の諸県におきましては、冬場の豪雪に引き続きまして、今回激甚なる地震に見舞われ、被害を受けられました方々に対しまして、深甚なお見舞いを申し上げ、また万全の対策を講じなければならないと深く存ずる次第でございます。  ただいま総務長官から、政府のとっておる対策に関しまして詳細なる報告聴取いたしたのでございますが、この際、何と申しましても、この激甚なる災害を受けておられる地域に対しまして、必要なる諸施策を最も早く、また一番必要とする時期に下おくれがないように措置するということが、人心を安定する一番根本であろうと考えておるのでございます。同じ物資、同じ金を出す場合におきましても、あすの金、あすの物資よりも、本日ただいま緊急に必要とする事態にそのものが入るか入らぬかということによって、その金及びその物資が生きるか生きぬかという境目でございます。この点につきましては、政府におかれましても、この上とも深甚なる留意を払われるように特に要望する次第でございます。  ただいま総務長官からの御報告によりますと、新潟地震災害復旧対策本部設置した、かようなことで、河野一郎建設大臣が本部長に就任したという趣でございますが、かって九州に大水害が起こりました際におきましては福岡に対策本部設置せられまして、大野伴睦さんが、当時副総理でありましたか、約一カ月にわたりまして福岡に常駐せられまして、この緊急なる、泥におおわれた九州の大水害を現地即決によって救済対策を講ぜられたわけであります。また先般の伊勢湾台風の際におきましては、たしか益谷さんが本部長、石原自治庁長官が副本部長で、自治庁長官である石原さんが約一ヵカにわたって現地に常駐をして、緊急なる問題を現地において即決する、かような体制をとられたのでございますが、今回政府は、第一次として赤澤自治大臣を派遣し、第二次として小林厚生大臣を派遣する、こういうお話でございますが、これは行って現地を見て帰ってくるわけであります。もちろん、行かないよりもよろしい。しかしながら、現地の引き続いて起こってくるたくさんの問題、複雑なる諸懸案というものを解決するには、現地に常駐しておって、各省大臣の権限を実施し総理大臣の権限を委任を受けて実施して、そうして現地において即決して、必要なる裁きをする、そういったような現地即決の災害対策本部を、この激甚なる震災を受けられました現地設置せられる御意思がおありかどうか、この点を承りたいと考えておりますが、政府側の考え方をお述べ願いたいと存じます。
  16. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いまの大久保委員の御意見、私、非常にもっともだと思っております。そこで、きのう当地で対策本部設置しますと同時に、現地におきましても現地災害対策本部新潟市に設置いたしました。この機構といたしましては、もちろん、本部長現地に滞留いたしてやるという姿勢は好ましいことでございますが、それと同様な効果のあがるように、たとえばきのうから刻々電話連絡いたしまして、そうして現地要望をすぐこちらでも即決する、そういうような連絡を迅速にして、そうして即決するものは、どうしても中央におって各官庁に本部長が指令を出すということのほうが効果的である、同時に、向こうには、現地対策本部には、本部長はじめ対策本部員がおりまして、そうして現地要望を刻々本部と連絡をとっております。そのうちには当然これを採用して指令を発するものは直ちに発し、一刻を争いますので、それにはやはり本部を東京に置いて、そこで関係各官庁に直ちに連絡をしてやる。もちろん、現地におきましての情報その他を収集する、また実情に対しての感触その他につきましては、もとより、大久保委員のおっしゃったとおり、私はそれも非常に大事なことと思いますが、各役所が全部対策本部をつくりまして、関係官庁対策本部員はみな現地に行っております。現地にも現地対策本部を設けております。そこで一番大事なことは、その現地要望を刻々に指令を発する、そうして行動を起こすということが一番大事である、こういう考え方のもとに、現在本部の本部長はじめ東京の本部に滞留しておりますが、必要によりまして――その機能が有機的に機動的に動かない場合にはどうするかという、実は委員会においても意見がございましたが、大体予期いたしましたとおり、現地の要請を昼夜を分かたず直ちに指令するというようにこちらのほうで一生懸命やっておりますので、今日までのところ支障なくこの点は運営いたしております。しかし、必要によりましては、もとより本部の幹部も現地に参りまして、その機能を遺憾なく発揮するという心がまえでございまして、大久保委員の御注意等も十分私ども尊重いたしまして今後の対策に当りたい、こう思っております。
  17. 大久保武雄

    ○大久保委員 ただいま現地対策本部を設けるというお話がございましたが、現地対策本部は、おそらく県知事が本部長でやっておられる、いわゆる各県単位のものじゃなかろうかと思う次第であります。それならば知事の権限内のことしかできませんし、また、いっておる各省の派遣官の現地における総合調整という機能はできないわけです。そこで、こういった大災害の際におきましては、やはり現地にそういった出先で処理し得る一つのセンターができることが、事を緊急に運び、また人心を収攪する上におきましても適切なる措置であって、しかも過去の大災害におきましては、いずれもかような対策がとられておる次第でございますが、そういったような措置は、知事の対策本部といった程度でよろしい、こういうお考えであるかどうか、重ねて承りたいと存ずる次第であります。
  18. 野田武夫

    野田(武)政府委員 私の説明が少し足りなかったので、大久保委員の誤解があったと思いますが、実は現地対策本部というのは、現地の知事のいわゆる地域的な本部ではなくて、東京にある対策本部と同様な権限を持っている対策本部現地につくりまして、そこで本部長には、やはり東京の本部の委員でありますところの消防庁長官が現地本部長になりまして、そしてあらゆる権限をその現地対策本部においても執行できるような仕組にいたしております。知事の本部長はおそらく県としてはつくっておると思いますが、その点についての配慮はいたしております。
  19. 大久保武雄

    ○大久保委員 私はまさしくそうでなければならぬと思う次第であります。総務長官が誤解であったそうでございますから安心をいたしましたが、そういったような対策本部はいつできましたか。もうすでに設置されておりますのか、この点をあわせて御説明を願いたいと思います。
  20. 野田武夫

    野田(武)政府委員 私が説明を申し上げるときにそれも加えるとよかったのですが、一応の大綱を申し上げたのですが、実は新潟地震の非常災害対策本部設置すると同時に、昨日新潟市におきまして現地災害対策本部設置いたしました。そこで、その本部長の任命は、いま申しましたとおり、東京の本部同様の権限を持つという意味からして、消防庁長官を本部長といたしまして、それから各関係省庁から現地の本部の委員として派遣いたしております。同様な権限を持つ、つまり機動的に有機的に東京の本部と仕事ができるような仕組みをいたしております。
  21. 大久保武雄

    ○大久保委員 昨日、消防庁長官を本部長とする現地対策本部設置した、かような報告でございますから、一応了承をいたしますが、この消防庁長官は、中央の災害対策本部と同様の権限を有するということでございますから、各省のいわゆる派遣出先機関というものに対しましても必要な区署を行ない、またその調整をいたし、適宜な現地の必要なる判断は即決的にできる、かように考えてよろしゅうございますか、重ねて承っておきたいと存ずる次第であります。
  22. 野田武夫

    野田(武)政府委員 東京における対策本部現地対策本部関係でございますが、現地本部長がその指令権を行ないます場合には、もちろん本部の本部長の同意を得ることは当然でございます。本部といたしましては、一つの例を引きますとおわかりいただけると思いますが、昨夜十二時に現地本部長から自衛隊約三千名の要請がございました。それは赤澤自治大臣からも口添えがございました。そうしますと、向こうの要請というものは、本部長として同意をすればこれが発動するわけでございます。向こうで指令いたしまして――本部の本部長と同様な権限と申しますが、これは一貫した連絡をして同意を得ることは、もちろんよく御了承願えると思います。したがって、機動的にやります場合には、本部に対して現地の本部から連絡いたしますと、これはもう現地実情を把握していると思いますから、東京における本部といたしましては、現地の本部の指令を全面的に取り入れる、こういうことでございますから、大体同様な機能を持っているわけでございます。
  23. 大久保武雄

    ○大久保委員 私は、消防庁長官が決していけないというわけではございません。しかしながら、消防庁長官はおのずから一つの、何と申しますか、格というものがあるわけであります。そこで、こういったような大災害でもございます。もっとも、現在は国会の開会中でございますから、各省大臣においても相当多忙であることはわかるわけでありますけれども、やはりかような大災害に対しましては、現地対策本部にしかるべき方が最短期間でもおられて、そして現地で指揮せられるというようなことが、私は好ましくはないかと存ずる次第でありますが、この点に対する総務長官の見解をもう一回しっかりお述べを願いたいと思うわけであります。
  24. 野田武夫

    野田(武)政府委員 大久保委員の御意見はごもっともだと思います。ただ私、災害地の方が誤解されるといけないと思いまして、国会のことに触れなかったのでございます。しかし、御承知のとおり、国会も会期末に入りまして、政府といたしましても、これらに対してはこれまた重要な政府の任務でございますから、この国会の会期中、しかも終末期にあたりまして、非常にこれに対して政府のほうも頭を費しております。したがって、これらの事情もございますので、実は現地をどうするかという考え方がございましたが、とりあえず、東京の本部の権限をある程度委譲できる、しかも直ちに連絡できる機構として、いま申し上げましたとおり現地対策本部を設けたのでございまして、これが運営につきましては、われわれとしても大久保委員の御意見を参考といたしまして、またきょうの会議にもこれらの問題をかけたいと思っておりますから、御了承願います。
  25. 大久保武雄

    ○大久保委員 ただいま総務長官が、私の意見を参考として考えるということでございますが、これは私も災害対策委員会委員といたしまして有権的な発言をしておる次第でございますから、総務長官は私の意見を十分考慮する、こういう意味においてひとつ災害対策本部におはかりを願いたい、かように私は要請を申し上げる次第でございます。
  26. 野田武夫

    野田(武)政府委員 わかりました。
  27. 大久保武雄

    ○大久保委員 次に、私はお尋ねをいたしたいと思いますのは、昨日来政府不眠不休で緊急なる対策を次々にお打ちいただいておりますことは、よく了承いたしました。自衛隊等に対しましても緊急に施設部隊その他を動員しておられますことは、これは私はしごく適当であると考えております。何と申しましても、今回の災害で最も急がなければならぬ問題は、交通の復旧であろうと思う次第でございます。そこで、新聞紙によって拝見いたしますと、鉄道並びに道路がほとんど寸断せられて、災害地に到達することがきわめて困難だという情報がございますが、一体これらの交通の復旧というものは大体どのくらいかかるのか、その点、政府側の建設省、国鉄の見解を明らかにせられたいと思う次第であります。
  28. 野田武夫

    野田(武)政府委員 国鉄を先に申し上げます。
  29. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 お許しを得まして私から鉄道関係被害並びに復旧状況につきまして申し上げます。  お手元に簡単な資料をお配りいたしておりますので、それに基づきまして御説明申し上げます。経過その他は全部省略いたしまして、一番最後のページに、新潟県、山形県、秋田県三県の略図をつけてございますので、それをちょっとごらん願いたいと思います。  それはけさ午前八時現在におきます状況でございまして、この図でもってぎざぎざをつけてあるところが、まだ不通の区間でございます。左のほうから順番に申し上げますと、東京と新潟のメーンのラインでございます上越線、これはすでに昨日夜おそく新津まで開通いたしました。一時、宮内、長岡でとまっておりましたが、新津まで開通いたしましたので、きょうは急行列車四本並びに普通列車等を、特急を除きまして大体運転できるつもりでございます。すでに午前中から運転いたしております。  その次に磐越西線、福島県を通りまして新潟に至る線、これがきょう午後八時に津川から新津間、すなわち新潟県側が今晩開通いたします。これが開通いたしますと、東京の上野から福島県を通りまして新潟へ行くルートが今晩中に開通いたします。  それから奥羽線、すなわち上野、福島、米沢、山形、新庄、これは新庄-横手間が昨日まだ不通でございましたが、昨日夜おそく開通し、さらに新庄-酒田間の陸羽西線がやはり昨日夜おそく開通いたしましたので、現在、上野から山形、新庄、酒田のルートはすでに開通いたしております。  それから秋田は、昨日から横手を経まして、横黒線と申します東北線を経由いたしまして秋田への道は昨日来つけております。現在残っておりますのは、羽越線と申しまして、秋田から新津へ回る日本海沿いの長い線でございます。これを北から申しますと、秋田からまず羽後本荘-羽後平沢という線がございます。そこで一万六千立米の非常に大きな土砂崩壊がございまして、約二百メートルにわたり線路が立ち往生になっております。現地から詳細な報告は参りませんが、これは十日ないし二週間かかるかもしれないというふうにいわれております。それから、その付近に二、三カ所ございましたが、これはおおむね開通いたしております。  それから、酒田を経まして、羽前水沢というころから新発田までの間、すなわち、山形県の酒田の付近から新潟県の新発田に至る、検討中と書いてあるこの辺は、実はまだ不通の個所がございまして、明確には判明いたしておりませんが、この間に大きな橋梁が三カ所ぐらいございます。いずれも、けたは落ちておりませんが、あるいは三十ミリ、あるいは若干のけたの狂いがございますので、目下、きょうじゅうにこれを検討いたしまして、はたして徐行で通れるかどうか、そういうことを検討した上で、早く開通させたいというふうに思っております。  最後にやはり残りますのは新潟駅の問題でございまして、新聞でごらんのとおり、新潟駅の入り口に県道が鉄道をまたいでおります。その県道の橋が、その下におりました、たまたま空車でお客さんが乗っておられなかったのでよろしゅうございますが、私どものディーゼルカーの上に落ちまして、ちょうど新潟駅の入り口を完全に県道の橋でもってとめられてしまいました。同時に、新潟駅構内に若干の浸水がございまして、線路も相当曲がっておりますが、これの復旧につきましては、現在すでに本社から技術者二十名、それから保線作業要員、電気関係要員五百名がきょうの列車ですでに出発いたしたはずでございます。これをかけましても、これはやはり一週間くらいかかるんじゃないかというふうな状況でございます。こちらから参りました技術者の調査によりまして、あるいはもう少し早く参るかとも存じますが、いまのところ、一週間程度の復旧見込みでございます。  そういたしますと、現在、東京-新潟のルートは、先ほど申しましたとおり、現在の時点では、新津まで上越線、今晩じゅうに磐越西線経由新津までということで、新津と、その上に亀田というところがございますが、この間には小運転を運転いたしておりまして、結局、亀田-新潟聞が現在不通になっております。これは私どものバス二十台をすでに発送いたしました。ガソリンがないところでございまして、ガス自動車が多いために非常に燃料に困っておるということを聞きまして、私どものガソリンを持ちまして現在すでにバス二十台をけさ発送いたしました。これが亀田-新潟間の私どもの鉄道の代行輸送をやるような予定にいたしております。  それから新潟県内の路線でございますが、柏崎から新潟に参ります越後線、これは部分的には吉田付近はすでに開通いたしておりますが、全線は明日の二十時、早ければ明日の午後には開通いたします。また、新潟と新発田を結びます白新線、これは阿賀川の橋を渡っておりますが、幸いこれが無事でございましたので、あしたの昼ごろまでには開通いたします。さらに、新発田から東赤谷に入ります赤谷線、これもきょうの午前中には大体開通する予定でございます。  以上申し上げましたが、結局最後に残ります大きなところは、新潟の駅の構内の問題、それから先ほど申しました秋田県の羽後平沢付近の土砂崩壊、それから新潟県と山形県の橋梁の問題、この付近が、最後までと申しますか、きょうじゅうには大体復旧見込みがはっきりすると思いますが、いまのところ、若干の不明の点があるだけでございます。その他はほとんど平常どおり運転いたしております。なお、信越線につきましては、これは昨日宮内-柏崎間のトンネルの復旧を完了いたしましたので、昨晩から本線を通しております。  以上、簡単でございますが、御報告いたします。
  30. 三橋信一

    ○三橋説明員 道路関係につきましてお答え申し上げます。  今回の地震によりまして、主として道路の被害の集中いたしましたところは、新潟市付近及び鶴岡、酒田の付近に大きな損害が起こっております。ごく軽微な被害は除きまして、被害を受けました一級国道は七号線でございます。被害の個所は四十三カ所ほどございますが、現在交通不能になっておりますものは九カ所ございます。そのほか、二級国道につきましては、柏崎-会津若松線、山形-鶴岡線、石巻-横手線、十和田-大館線等におきまして、山腹崩壊等が起こりまして交通不能の個所が発生しております。それから地方道におきましては、これはやはり軽微なものを除きまして、二十一カ所ほどの交通不能個所を生じております。それの状況をお手元の資料について申し上げます。  お手元の資料の二ページ目をお開きいただきます。この下のほうに、道路の交通不能個所等が掲載されております。これは昨日の二十一時現在の資料でございまして、これと本日の九時現在では若干の異動がございますので、それもあわせて申し上げたいと思います。  七号線におきましては、まず、一の、本荘海土橋と書いてございますが、これは海剥橋のミスプリントでございます。海剥橋が交通不能となっておりますが、これはけさ九時現在、交通できるということがはっきりいたしました。この点訂正いたします。  それから鶴岡市の水沢跨線橋、これが沈下いたしまして交通不能でございます。  それから三番目の鶴岡市の三瀬川橋、これは沈下して交通不能とございますが、これも通れるようになりました。いま通しております。  それから四番目の新潟の万代橋、実はこれにつきましては橋梁の前後が陥没しております。そこで、これを現地におきまして調査いたしました結果、小型車両は通行が可能であるということで、小型車両は通しておりますが、大型車両は、危険もございますので、現在とめております。なお、これにつきましては、信濃川の左岸の取りつけ道路の路側のガソリンスタンドが爆発いたしまして、ガソリンが流れておって非常に危険でございます。したがいまして、機械を使って復旧することがあぶない状況でございますので、ただいま人力でその両側の取りつけの復旧を実施いたしております。  それからまた前のプリントに戻っていただきまして、八号線、これは柏崎市の土砂崩壊がございますが、これは一車線の交通を確保しております。八号線と申しますのは、新潟から京都へ行く海岸沿いの道路でございます。これは一車線の交通を確保しておりまして、この八号線につきましては、二車線の復旧はあとは時間の問題であるというふうに考えております。ただいま鋭意努力中でございます。  なお、一級国道につきましては、昨晩九時にはただいま申し上げたような状況でございますが、けさ九時の情報によりますと、このほかに不能個所が出てまいっております。それを申し上げますと、まず七号線でございますが、これは新潟から青森まで参ります路線でございます。これが鶴岡市の由良地域におきまして交通が不能になっております。これは土砂崩壊あるいは路面の亀裂でございます。これにつきましては、迂回路、旧道がございまして、これを利用して交通の確保をはかっております。それから同じく七号線につきましては、新潟県の朝日村蒲萄峠、これは新潟と山形の境のあたりになりますが、ここにおきまして橋の沈下がございまして、交通が不能でございます。これは復旧をはかっておりますが、ただいまのところ、まだ見込みははっきりいたしません。それから四十九号線、これは平から新潟へ行く一級国道でございますが、福島の西会津町の地内におきまして陥没がございました。これにつきましては本日じゅうに復旧の見込みでございます。それから同じく四十九号線の新潟県の三川村、これに落石事故がございました。これはただいまこれの作業をやっておりますが、ただいまのところ、復旧の見込みはまだはっきりいたしません。そのほかに、山形県の鶴岡市におきまして若干の事故がございますが、これもただいま復旧作業をいたしておりますけれども、いまだに復旧の見込みはございません。ただいま申し上げました五カ所が、けさほど追加された一級国道の関係でございます。  そこでまたプリントに戻っていただきまして、三ページ目をお開きいただきます。三ページ目の新潟関係でございますが、この新潟の囲いのところに主要地方道等の交通不能が出ております。上から、柏崎-松代-十日町線、佐渡の主要幹線、燕-吉田線、村上-温海線、これらが交通不能になっております。これの復旧状況等につきましては、ただいま調査中でございます。それから新潟の囲いの一番下のところに、新潟市内の八千代橋の橋台、橋体に亀裂が生じております。それから昭和橋、これは県道の橋でございますが、これが落橋いたしております。新潟におきましてはこういう状況でございます。  福島におきましては、宇都宮-米沢線の二級国道、柏崎-会津若松線の二級国道、これらが先ほど申しましたとおり事故がございました。これらにつきましては、ただいま鋭意復旧中でございます。  それから秋田につきましては、一級国道十三号線の雄勝市に土砂崩壊がございまして、これは交通不能でございますけれども、ただいま復旧中でございまして、十九日には復旧見込みでございます。それから十和田-大館線二級国道、これは交通不能になっております。  それから山形に参りまして、一級国道の四十七号線、これは酒田市内でございますが、落野目というところで亀裂がございまして、交通不能になっております。これも復旧の見込みはただいま調査中でございます。  宮城に参りまして石巻-横手線、これは交通不能で、ただいま調査中でございます。  大体以上のような被害状況になっておりますが、これに対しまして、私どものほうといたしましては、昨日道路局の課長を二人現地に派遣いたしまして、これがけさほど現地に到着いたしましたので、これの報告を待ちましてさらにいろいろの対策立ててまいりたいと思います。と同時に、新潟市内におきまして市道あるいは県道にかなり事故があるようでございます。これにつきましても、新潟県あるいは新潟市に協力いたしまして、地方建設局で応援をするという準備をいたしておりますし、同時に、現地からの報告が参り次第、他の地建からも技術者等を応援に派遣する準備を整えております。  それから、今回の災害によりまして橋梁の被害が非常に多うございます。橋梁は、御存じのとおり、見たところだけでは判断できかねる部分もございますので、これにつきましては、現地に専用家が行っておりますので、それの専門的な調査等を待って、通れるものは通し、復旧すべきものは早急に復旧するということにいたしたいと思っておりますが、なお、各地の地方建設局に応急復旧用の仮設橋梁を持っております。これがただいま手のあいておりますものが八セットほどございます。これは大体長さ三十メートル、幅四メートル程度、ごく仮設の応急的なものでございますが、府県道等の橋に対しましてはこれもかなり有力に働くのではなかろうかと思いまして、直ちに応援できるような体制を整えさせまして、現地報告に応じて出動させたいというふうに考えております。  以上申し上げましたところで、結論といたしまして現在の状況を申し上げますと、新潟市の付近におきましては、新津-新潟間の交通はできることになっております。それから東京から参りますと、十七号線、つまり前橋を通り、沼田を通りまして入る路線、これも交通ができる状態でございますし、長野を回ります十八号線も交通ができる状態でございます。それから、先ほど申し上げましたように、新潟から西の京都へ参ります八号線、これも一車線交通の区間が若干ございますけれども、これの交通の確保もはかっております。新潟市付近では、国道の万代橋が先ほど申し上げましたような状況でございます。なお、新潟から北へ参ります。七号線につきましては、先ほど申し上げました新潟県と山形県境の蒲萄峠、あるいは鶴岡、酒田のあたりで交通が不能になっておるというような状況でございまして、特に大動脈である国道を一刻も早く通そうということで、東北地方建設局並びに北陸地方建設局におきまして鋭意復旧に努力している状況でございます。  以上で御説明を終わります。
  31. 大久保武雄

    ○大久保委員 ただいま国鉄並びに建設省から報告を承りましたが、交通はあらゆる復旧の原動力でありますから、この上とも迅速なる復旧をお願いしたいわけでございますが、ちょっと聞いておりますと、いま駅の入り口の県道が落ちてディーゼルカーの上にかぶさったということでございますが、新聞で見ると、駅の跨線橋はちゃんと残っておったのに、県道の橋が落ちている。私、ちょっとこれは理解ができないのです。大体、荷重の重いのが落ちて軽いのは残らなくちゃならぬのに、軽いほうの橋が落ちて、鉄道の跨線橋が残っている。これはわれわれしろうとから考えても、技術的にはなはだ考えられない。何かこれは問題がありはしないか。また、これは昭和橋でもそうです。一番新しい橋が落ちて、古い橋が残っている。この辺がどうも私は、日に日に技術が新たなりといっておりながら、はなはだ解せない点があります。これは交通の復旧とは別問題で、いずれまたお尋ねする機会もあろうと思いますが、建設省はさような意味合いをもってほんとうに真剣にこれを復旧していただきたいと思うのでございますが、橋梁等につきましては、たしか自衛隊が緊急仮設橋梁の予備は持っておると私は思っておりますが、そういうのも総動員されて、早急に――橋が渡れなければ、これは泳いで渡るわけにいかぬのだから、早急に回復に努力をされたいと思う次第であります。  また、先ほど総務長官からのお話で、木材その他値上がりするような物資についてあらゆる輸送の対策を講じておる。また、自衛隊の船を使って食糧、衣料等を送っておる。これは私はけっこうだと思います。関東大震災のときも、たしか海上輸送によって相当な物資を揚げて東京を応援したという歴史があったように私は記憶しておりますが、今回、海陸輸送、総合輸送力の発揮、たとえば海上船舶をどう動員し、民間商船隊をどういうふうに動員しておるか。なるほど、自衛隊の船、海上保安庁の船が若干動いたということはわかる。しかしながら、民間の輸送船隊をどういうふうに動員して、値上がりする物資を押えようとしておるか、そういったような海陸輸送の総動員体制についてどういう措置をとっておられるか、それをひとつ総務長官から伺いたい。また、新潟港が使えるのか使えぬのか、その点もあわせて御報告を願います。
  32. 野田武夫

    野田(武)政府委員 お答えいたします。  いまのお話のとおり、自衛隊、海上保安庁はもちろん動員いたしておりますが、民間の輸送力も動員するのは当然であります。食糧とか木材その他の建設資材とかその他の輸送につきまして、これはもう当然、各役所は輸送力を持ちませんから、官庁の輸送力だけたよっておるわけにまいりません。これは民間を動員いたします。  新潟港が現在使えないというので非常に弱っております。専門的な方がおられますが、岸壁その他の関係でいまのところ使えないという状態です。もう一つ困っておりますのは、新潟の飛行場が、亀裂があって使えない。このことは非常に弱りまして、 ヘリコプターなんかを使っておりますが、実は小さい飛行機は、今度国体でできました競技場の、グランドといいますか、それを使えるというので、小型の飛行機を使っておる。この二つ、いまお話したとおり新潟港並びに飛行場のこういう故障で、実は輸送力の増強に対しましても相当な支障を感じております。  先ほど私は御報告いたしませんでしたが、アメリカも大型のヘリコプターを出しまして応援すると言ってきております。別にわれわれはアメリカの力をもってどうしようと思っておりませんが、飛行場が使えぬということになりますと、ヘリコプターも大型を使うということになると思います。これらにつきましてまた詳しく、各役所の専門家が来ておりますから、お聞き取りを願いたい。
  33. 大久保武雄

    ○大久保委員 総務長官は海のことはしろうとのようですが、船というものは非常に輸送力が大きいのです。それは、港が使えぬでも、沖にとまって、はしけ輸送というものができるわけです。はしけ輸送をしますと、百トンはしけを使いますと、汽車の一列車分あるわけです。十トン車の十両分、それを一隻のはしけが運ぶわけです。そういうことを考えますと、これは港が使えぬでも、沖がかりをしてはしけ輸送をすれば、緊急物資の輸送はできるわけであります。一隻のはしけで一車両分に相当する。そういう意味において、海上輸送の総動員、こういう体制でひとつ今晩でも再検討をお願いしたい。まだ打つ手があるように私は思っております。物資の値上がり防止のためには最大の策であると思いますから、この点を緊急にとっていただきたいと思う次第であります。
  34. 野田武夫

    野田(武)政府委員 実は新潟港のことがありまして、やはりきのう専門家が来ておったものですから、大久保委員のおっしゃったとおり、はしけを使って云々というのはやっておるようであります。まだ、総合的にどのくらいの輸送力、たとえば総合トン数はどのくらいかという最後のトータルはできておりませんが、その点は、新潟港の岸壁がすぐ使えなくても、沖がかりで取るということは――私あまり知らぬので、知ったかぶりをしてお答えしてもつまらぬと思いますが、そういうことがきのうの会議で出ておりましたことは御報告いたします。
  35. 大久保武雄

    ○大久保委員 総務長官が真剣にやろうという意思を表明せられておりますから、私は了承いたしまして、さっそく今晩から勉強していただきたいと思います。  次に通信でありますが、通信の復旧はどうなっておりますか。通信途絶といっておるけれども、近ごろは無線があるのですから、通信途絶というのははなはだ非現代的だと思います。一体通信の関係はどういう復旧状態になっておるか。警察通信があり、海上保安庁の通信があり、自衛隊の通信があり、無線通信があるし、通信途絶ということはあり得ないと思いますが、これに対する御答弁をいただきたいと思っております。
  36. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 それでは電電公社からお答え申し上げます。  昨日の地震の被害直後には、新潟地区に対します電信電話は一切孤立した状態に一応入ったのであります。そこで、新潟市でありますが、入っております市外回線、これは陸上ケーブルの七百五十回線が一条入っておりますが、これが全線不通。それから別にマイクロウエーブが東京からずっと新潟を経由いたしまして裏日本に出ておるわけでありますが、これが、途中の中継所はさして被害はないのでありますが、新潟市内におきます市外局が、局舎全体地盤とともに三十センチほど沈下いたしまして局内に水が入った、こういうような関係で電源が全部だめになったわけであります。そういうような関係で、無線回線による約七百回線の電信電話回線がこれまた電源のために不通になっておる、こういう状態でございます。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたマイクロの装置が電源のために障害になりましたので、これに伴いまして、新潟地域に放送いたしておりますテレビの中継がやはり現在とまっておるわけでございまして、あとで申しますような緊急手配をいたしておる次第でございます。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕  そこで、そういうふうに新潟市外局の沈没その他の原因で新潟地域が一時孤立状態におちいったわけでございますが、市外局の電池が残っておりましたので――これは非常に短時間しかもたないわけでございます。一般の所要電源がとまっておりますので、手持ちの電池でつなげるだけつなぐ、こういうような緊急対策を講じまして、七百回線のうち三十回線を生かしておるという状態でございます。この三十回線は、主として警察あるいは建設関係、病院、その他国家的あるいは地域の緊急通信に使っていただいているような状態でございまして、東京その他から新潟地区への電話の申し込みは、一般の通話は現在お断わりしておるような状態でございます。  それから新潟市内の電話の加入者でございますが、これは分局が三つございまして、全体の新潟市内の加入者が総計で二万二千三百名ほどございますが、そのうち生きておりますのが約二千、一割弱でございまして、九割は不通になっており、電話の用をなしておらないわけでございます。これは分局三つのうち二つまでが地盤沈下による浸水を受けまして相当の被害を受けておりますので、目下重要加入者についての復旧を急いでおるわけでございますが、今日午前九時現在で、四、五百名程度の警察その他報道関係、病院等の重要加入者を生かしたという情報が入っておりますが、これの復旧は、御承知のように新潟市街地の地割れあるいは地盤沈下等で地下ケーブルが相当やられておる形跡がございますので、復旧には相当長時日を要するのではなかろうか、こういうように存じておる次第でございます。  それから電報の受付でございますが、これも新潟地域への電報が殺到いたしております。したがいまして、全国の窓口で、遅延することの御了解を得まして受け付けておるわけでございまして、今日午前六時現在で、窓口に受け付けて停滞いたしております電報の通数は、東京で一万一千三百通、大阪で二千五百通、仙台が一万四千五百通、名古屋が七千通、こういう状態でございます。これらはできるだけ回線の復旧を待って現地に送ることはもちろん、あまりおくれるような状況が出ました場合には、しかるべき方法で現地に使送するといったような方法で対策を講じたい、かように考えておる次第でございます。  なお、被害発生と同時に本社並びに現地対策本部設置いたしまして、昨晩中に全通信局から二百数十名の復旧要員を派遣いたしましたり、あるいは、主要電源が目下とまっておりますので、自家発電装置を現地に直送するなどいたしましたり、それからテレビの放送を至急復旧したいということで、テレビ放送のための無線連絡装置を昨晩現地に発送いたしまして、本日の午前十時には現地に着いておる、こういう状態であります。  以上でございます。
  37. 大久保武雄

    ○大久保委員 いまの説明で私は非常に不審に思うのは、電源が水でやられた、市外線も市内線も水でやられたということです。新潟方面は地盤が沈下していると聞いている。だから、初めから水がくることはわかっておるわけだ、そういうところに、水でやられるというような電源を置いておくこと自体、一番大切な心臓がいつでもとまるような姿勢に置いておくということであるから、これはふだんから電話局なりでそういうような電源についての根本的な間違いがあったように思うのですが、一体電電公社はこういったような施設を各所につくっておるのですか。
  38. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  実は受電装置あるいはそういった非常電源装置関係は、一般の土地では、通常、地下一階か二階につくる場合が多いのでございます。ただ新潟の場合は、確かに先生の御指摘のように、水の関係もございますので、一階に置きまして、エンジン等の台も多少高くして置いておったわけでございますが、全体の地盤が三十センチも沈下いたしまして、局舎自体も傾いておるというような状態でございますので、やむを得なかったのではなかろうかというように考える次第でございます。
  39. 大久保武雄

    ○大久保委員 局舎が倒れて電源が使えないというなら私は了承いたしますが、新潟等に関する限り、電源が水でやられたということは、一番大事な原動力を置く位置について若干の過怠があったのじゃないかという気持ちもするわけでありますから、この点は今後早急な復旧をはかると同時に、今後の措置に対する留意を新たにしていただきたいと思う次第であります。  次にお尋ねしたいのは、気象に関してであります。地震の予報というものは従来ときどきやっておられたのでございますが、近ごろはあまり聞いたことがない。もちろん、災害というものは思わざるときにくるということはそうではございますが、それを乗り越えていくのが科学の進歩であって、いろいろの予報というものはそのためにあるのであるから、なぜかくのごとき大地震の予報がされなかったのであるか。最近本委員会は凍霜害に対する審議を進めておるのでございますが、東北等における凍霜害におきましても、深夜の気温が下がることについての気象庁の予報が間違っておったということをわれわれは聞くわけでございますが、凍霜害についての深夜の気温の低下についての予報が間違い、今回の新潟大地震に関する予報が全然皆無である、こういうことは、科学の進歩をもって任ずる今日の気象庁としてはなはだ解せぬことであると思うのでございますが、一体これらの点について気象庁はなぜ予報ができなかったのであるか、今後どうするつもりであるか、この点をひとつ承りたいと存ずる次第であります。
  40. 広野卓蔵

    ○広野説明員 私は気象庁の地震課長でございまして、気象のほうにつきましてはちょっと御答弁できないのでございますが、地震のほうについて申し上げます。  地震予知につきましては、日本の地震学者は、明治時分から必死になって完成しようとして努力してまいったのでありますが、現在の状況はどうかといいますと、学問的には可能性がある、しかしながら、地震によりましていろいろ癖がありますので、一例や二例によって地震予知というような事業には学問的にも踏み切れない、どうしても事例を集めなければならない、しかし、大地震というものはたまにしか起こりませんので、現在の組織のままですと、五十年、百年待たなければなりませんので、もっとこれを早くするためには組織をつくってやらなければならないというふうに、現在の日本の地震学者は考えておりまして、その組織につきましては、現在文部省の測地学審議会に地震予知部会というものがございまして、そこで検討をいたしております。要するに、学問的にも多少未熟で、現在そういう組織を展開しても、すぐにはたしてできるかどうか、確言できないところでございます。要するに、私ども学者は、そういう事例をたくさん集め、そうしてそれを集めるのも、大体十年くらいそういうような観測をすればできるのではないかというようなことで、十年たてば必ずできるというふうにはまだ断言しておらない状況でございます。そういうわけで、予算を出すにいたしましても、必ずできるという立場ではございませんので、なかなかその緒につかないわけでございますが、先ほど申しましたように、努力はしておるわけでございます。
  41. 大久保武雄

    ○大久保委員 気象庁の地震課長から、自信のない話を承るわけでありますが、いま、地震は癖があると言われたが、それは癖があることは間違いない。癖のない地震なんてありませんよ。みんな癖があります。癖があるから困る。それを発見するのが気象庁の役じゃありませんか。いま、組織をつくらなければいかぬ、組織をつくっても、十年間統計をとらなければいけないと言われるのだが、関東大震災から何年たっておりますか、四十年たっておるじゃありませんか。そうして関東大震災に次ぐ地震が起こった。その間の統計資料は一体気象庁は何をしておったか。何がほしい、組織が十分でない、予算が足りない、統計をとらなければいけない、そんな逃げ口上はしょっちゅう聞いておる。そういうことは聞きたくない。私は、こういうたまにある事件こそ、多くの人の人命、財産というものが――たよっておるのであるから、それは金が要るなら出しますよ。それは命にかえられないから、出します。それならばなぜいままで要求しなかったのか。そこで、われわれは大蔵省に対してもこの点は十分に追及するつもりであるが、気象庁としても、少なくともこの予報等についてもう少し信頼される、自信のある気象庁の地震課をひとつつくっていただきたい。あなたは気象は知らないと言われたが、つい最近も、凍霜害についての深夜の最低気温についての予報がなかった。そこで農民は対策を怠って予想以上の災害が起こっておる。どうも気象庁は近ごろマイナスが多い。バッテンが多い。ひとつ大いに努力をしてもらうようにこの際お願いして、私の質問を打ち切ることにいたします。
  42. 細田吉藏

    細田委員長代理 稻村隆一君。
  43. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 新潟地震に対する政府の御説明をいまお聞きいたしまして、その被害の深刻なのに驚くのみであります。そして、今回の震災におきまして人命を失った方々に対し、心から哀悼の意を表する次第であり、また、多くの被災者の方々に対して深い同情の念を禁じ得ないのであります。そして政府におかれましても非常災害本部を設けられ、かつての豪雪対策本部長として経験のある河野建設大臣を中心として、諸種の施策の実行に着手されましたことに対しましては、感謝の念にたえない次第であります。  ただ私は、ここで重要な問題について一点政府の所見を承っておきたいのです。というのは、災害対策というものは、いつでも、かけ声は大きいのですけれども、竜頭蛇尾に終わるわけです。私のほうから言うならば、国民の一部の人々は、政府がやるのだから、やってくれるだろう、河野という実力者が今度なったのだから、何でもどんどんやってくれるだろう、こういうふうな考えを持っているのですが、実際は政府だって、専制主義の時代じゃないのだから、無限の権限を持っているわけじゃない。法律を執行するだけなんですから。ところが、その政府が執行すべき法律が、災害に関してはきわめて不備、欠陥が多いのです。そういうことから、どんなにやっても、実力者がまじめにやっても、竜頭蛇尾に終わることは、これは明瞭なんです。現にあの北陸の豪雪などは、全くかけ声は大きかったけれども、結果においては竜頭蛇尾に終わっておる。そういうことに対しまして私は政府の信念をお聞きしたい。  ところで、ここに重要な一つのいい法律があるのです。それは昭和三十七年九月六日に施行された激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律というのがある。これは各般にわたって激甚災害に関する規定をしてあります。私は、これを実行することによって新潟地震もどんどん復旧されていくと思うのです。だからして、一日も早くこの新潟地震の復旧事業を促進するために、この激甚災害に対処するための特別援助法を政府は適用する考えがあるかどうか、この一点を私はお聞きしたいのであります。
  44. 野田武夫

    野田(武)政府委員 今度の新潟地震は、いまここで論議されましたとおり、予想以上の甚大なものでございまして、ありきたりの救援策、復興策を講ずるだけでこれが対策ができるものとは考えておりません。したがって、今日まだ決定はいたしておりませんが、私は、稻村委員のただいまの御発言どおり、この災害対策といたしましては、法律上はもとより、これに関連する財政措置その他の対策を万遺漏なきを期したいと深く考えておりまするから、いま御指摘の激甚災害に対する特別の法律というものを当然私どもとしては考えねばならぬ段階だと思っております。しかし、まだ決定いたしておりませんから、ここでどうこうと私の立場としては申し上げませんが、これはもうこの対策上きわめて必要で、また、これに関連しての法律の施行につきましては、私どもはできるだけ最大の機能が発揮できますようにいたしたい、これだけ、私どもの考え方の基本だけをお答えいたしておきます。
  45. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 いま総務長官の御答弁をお聞きしまして、私は非常に満足するものであります。しかし、これは、いま総務長官が適用すると言っても、私はなかなかそう簡単にはいかぬと思う。現にあの豪雪のときには、衆議院は自己のつくった法律を確信をもって広義に解釈をして、全員一致あの豪雪に対して激甚災害に対処するための特別財政援助法を適用しようということを決議して、政府にその執行を要請しておるわけなんです。ところが、てんでこれは問題にならぬ。雪は明確じゃない、明白に雪のことは書いておらない、政令その他で非常に困難だ、こういうふうなことを言って事務当局は、特に大蔵省は何だかんだ言った。そこでわれわれは、激甚法の中に雪を入れるような改正をしようとしたのです。これは当時衆議院の災害対策特別委員会は満場一致でした。ところが、大蔵省は非常にこれに抵抗いたしまして、そしてとうとう――むろん、多少雪に関する特別立法はできましたけれども、これはないよりは少しはいいという程度です。ここで一々その内容を説明する必要はありませんけれども、そんなふうに終わっている。それだから、雪の問題は、これは北陸の被災者の人に聞いてごらんなさい、全く政府は当てにならぬと言っている。そうして災害のことは特別交付金くらいでいいかげんにごまかされるというのが現状なんです。実はいま政府はほんとうにまじめにやっていると私は思っておる。どんどんやっておる。その点は、実行力のある河野氏が中心になって、野田総務長官も補佐されてやっておる。あなただからできると思って私は感心している。ほかの人がやるよりかいいと思って、その点は非常に感謝しておるけれども、実際やってごらんなさい。だんだん行くと、竜頭蛇尾に終わりますよ。この点は、あなたが確信をもって、断固としてこの激甚法を適用するという決意をもってやっていただきたいのですが、その点どうですか。その信念の点についてだけ私はお聞きすればいい。
  46. 野田武夫

    野田(武)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、政府はこの問題に対しての意思をまだきめておりませんから、ここで私が軽率に、政府がやりますと申しませんが、私個人といたしましては、今回の災害に対しましては、いま稻村委員の御要望になりました特別立法がありますから、これらの法律を適用してやるべきで、私個人の見解としては、それだけの重要な対策が必要じゃないか、裏を返して申しますと、この災害の内容がきわめて甚大である、こう考えております。しかし、これはいま稻村委員もお述べになりましたとおり、政府全体で検討すべき問題でありますから、今日の段階で私がここでもって、やりますとかやりませんとかいうようなことは、まだ申し述べる時点に達しておりません。しかし私は、大体いま申し上げましたような心がまえで、この対策本部の一員といたしまして今後処置したい、こう考えております。
  47. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 ほかに質問をする方もおりますから、私は簡単に切り上げたいと思うのですが、これは実際上、河野本部長やあなたが腹をきめればできないことはないんだ。そんなあなたの答弁は心細い。もっとやはり確信を持って、河野君とあなたが本部長と副本部長をやっておって、政治的生命をかけてやったらいい。やる気があるかないかなんだ。何度もぼくがそういうことを言うのは、みんな、そういう覚悟でやります。善処します。最善の努力をしますと言いながら、一度もやったことがない。政府のやることはそれが多いんだ。だから私は心配して言うんだ。  そこで私は、次に大蔵当局に一点質問したいと思う。何といったって大蔵省は非常に大きな力を持っておる。大蔵省は国家財政を管理するところだから、当然絶大な力を持っておるのは、どこの国だって、イギリスのような議会主義の国だってそうなんです。それから大蔵省官僚が、陳情に来たものに一々支出をしておったら財政が破綻するのだから、それに対して当然抵抗するのは悪いとは言わない。事務当局だからといって悪いとは言わない。それはどこの国でもそうです。大蔵当局が、いろんな人気取りの政治なんかに追随しない、こういう良心を持って、確信を持って抵抗することは、私は必要だと思う。それを私は悪いとは言わないのですよ。ところが、私はこの前の雪の問題で経験したのですが、高い政治的観点からやったことに対しては大蔵省は従わぬといかぬと思うのです。いろんな理屈をくっつけて――むろん、抵抗するためには、法律上のいろんな解釈を狭義に解釈して抵抗することは、あなた方としたらやむを得ないかもしれぬけれども、この新潟地震こそ、あの豪雪のときと違って、これを適用できないなんという口実は私はつくれないと思うのですが、大蔵当局の見解はどうですか。これに対して十分な考えを持っておりますか、お聞きしたい。
  48. 青鹿明司

    青鹿説明員 激甚災法の適用の問題でございますが、御承知のように、指定につきましては、あくまでも激甚なる災害ということになっておるわけでございます。その際、激甚の基準をどうするかということにつきましては、すでに防災会議できめた基準がございまして、一々被害状況が判明いたさなければ、具体的に適用が可能かどうかということは申し上げられないと思います。いずれにいたしましても、相当な被害でございますので、よくその実情に即しつつ処理すべきであるとは考えておりますが、なお、激甚法の災害につきましても、公共土木施設のほかにいろいろの規定がございまして、それぞれに基準がございますので、なるべく政府のほうで――その対策については、大蔵省内部のみならず、政府部内できめることでございますから、政府部内で十分協議いたしまして、中央防災会議の議を経て決定いたしたい、かように考えております。
  49. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 これでやめます。もうこれ以上大蔵当局に質問しませんが、最後に、河野さんやあなたが腹をきめてやればできるのだから、あなたは議会政治家として、政治責任を負って断固としてこれをやるということを、委員会くらいで言明しなさいよ。もしもあなたが食言したって、だめだったらやめればいいじゃないか。総務長官くらいやめたって差しつかえないじゃないか。
  50. 野田武夫

    野田(武)政府委員 稻村委員から、私の一身上はこういう問題とは関連しないで――いずれにしましても、私は先ほどお答えしましたとおり、この災害は予想以上甚大である、またこの対策というものは、いま稻村委員が言われたとおり、従来の例からすれば、確かにかけ声だけ大きくて、なかなかしっぽのほうでうまくいかぬ点が多い、よく知っております。御趣旨の点は河野本部長ととくと懇談いたしまして、私は先ほど意思を表明しましたとおり、この災害はきわめて甚大である一つまり、甚大であるかどうかというのでその法律の適用があるわけです。そこで私は重ねて、非常に甚大であるという基本的な考え方を強く持っておりまするから、これ以上私がここで、まだ協議もしない前に、やりますとかやりませんとか言うことよりも、私は河野本部長ととくと懇談いたしまして、いわゆる最大の救援方策をとりたい、これだけ申し上げると大体御了承願えると思います。(「見込みはあるのか、はっきり言え」と呼ぶ者あり)それは、私がここで言えるとか言えぬとかいうことはやぼなことであって、私の決意を御了承願えばそれでわかると思うのです。
  51. 細田吉藏

  52. 石田宥全

    石田(宥)委員 私は、地元県の災害でございますので、主としてそういう面から要点だけを御質問申し上げたいと思うのであります。  最初に副本部長にお尋ねをいたしますが、昨日午後一時二分ごろ、地震は東京でもかなりの震動がございまして、しかも国会開会中でありますから、閣僚も、全部とは言いませんが、ほぼそろっておられたはずなんです。ところが、実情の把握がきわめておそいのです。おおよそ報道機関のあとを追っかけて、報道機関の情報をキャッチして実態を知る程度ではないかということを感じておったのでありますが、なぜ、あの災害の直後に自衛隊ヘリコプターを出すなり、あるいはまた、民間の航空会社の航空機でもこれを現地調査に派遣されなかったのか、私はこの点はなはだ遺憾に存ずるわけでありまして、少なくとも震災のすぐ地域の者は、いても立ってもいられないような状況の中で、どうも情報の的確なものが入らないのです。この点については、今後のこともあろうかと思いますので、災害に対する緊急調査というものについては、もっと迅速に対策をとられなければなならないと思います。この点について遺憾の点があったのではないかと考えておりますが、副本部長いかがですか。
  53. 野田武夫

    野田(武)政府委員 事実は確かにお話のとおりでございまして、即刻政府としての情報はなかなか取りにくかったのでございます。もとより、単に新聞社その他の材料のみによって対策を講じたのではございませんが、御承知のとおり、政府の情報というものは、誤ってはいかぬというので、各役所の係の方が慎重にされる。これがいいかどうかの批判は別ですが、したがって、どうしても情報収集というものは、できるだけ正確を期そうというつもりでおやりになっておると思いますから、いわゆる他のニュース機関などよりおくれることは事実でございます。しかし、いずれにしましても、特にその際政府側が行動を起こす前に、まず交通網はどうなっておるか、これがわれわれの一番関心でございまして一と申しますのは、通信、この二つの問題をとらえませんと、あの報告を受けまして、赤澤自治大臣が参りましたのは大体午後四時ごろになりまして、それにはまず飛行機で行きたい、というのは、飛行機に相当の人数を乗っけて、関係係官を満載していって、すぐ手落ちないようにしようということでありましたから、飛行場がどうなっておるかを確かめたのです。それから、鉄道はどうなっておるか。どうも鉄道はなかなかむずかしいということがわかりました。物資の補給でも、陸上の、ことに鉄道、道路が破壊されました場合には、空輸以外にはないというので、まず考えましたのは空輸計画でございます。空輸計画をやりますと、御承知のとおり、飛行場があって、相当大きな飛行機を飛ばさなければならないというので、ずいぶんその点各方面の情報を集めましたけれども、どうもはっきり飛行場の問題がわからないから、とりあえず自衛隊の飛行機がすぐ偵察に行ってまいりまして、大体その報告に基づきまして、まずとりあえずヘリコプターを使おうというようなことでございまして、決して言いわけするのじゃございませんが、打ち明けた話が、そういう点はございます。しかし、手配だけは少なくともそうおくれなかったと思っておりますのは、いつもでございますと、災害が起こって、政府が一ぺんみんな集まって対策本部をつくるなんということをやっておりますが、これはもう寸刻を争う、とにかく相当な被害があるということが即刻わかりましたから、直ちにその場で総理大臣と打ち合わせまして、そして持ち回り閣議対策本部をつくる、総理に本部長以下の任命をしていただくというような手配をいたしまして、同時に現地にも、先ほどお答えいたしましたとおり、こちらの本部と有機的な機能ができるような現地の本部をつくるというような手配は、もう一時間半くらいのうちに私どもは大体相談に当たったわけでございます。しかし、いま御指摘の情報その他については、事実そういう点があったことは私認めます。
  54. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいま副本部長が言及され、また先ほど大久保委員からも指摘のありました、責任所管大臣が現地に出て現地指揮をすべきだという意見に対して、いろいろ御議論がありましたから、私はこれに多く触れようとは存じませんけれども、国会の開会中でもありますから、現地に常駐せよとは申しませんが、少なくともやはり緊急対策は所管大臣が現地指揮をやる必要があるのではないか。地震でありますから、一応おさまればあとの事後対策だけになりますが、その混乱をしておる際の緊急対策にやはり所管大臣が現地指揮をするということが一番重要な点であろうと思うのでありまして、幸いに、明日はなんですけれども、土曜、日曜くらいは、国会のほうはございませんし、少なくともやはり建設、運輸、文部、厚生等の各大臣が、緊急措置としては現地指揮をやるという体制をとるべきだと考えます。消防庁長官に本部長と同様の権限を持たせられておると申しましても、やはりこれには限界のあることでございまして、同一の権限と申しましても、それはやはり中央で決定されたことについての権限であろうと思うのであります。したがって、現地においてどう受けとめて、これをどう対処するかということは、やはり血管大臣でなければならないのでありますから、そういう点で、先ほど御議論がありましたが、私は、緊急措置についての現地指揮というものは、やはりこれは重要な事柄であろうと思いますので、もう一度お考えを承っておきたいと思います。
  55. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いま、石田委員からの御意見でございますが ごもっともでございます。ただ私ども本部員といたしましては、明日か、おそくも明後日までには総合対策の基本方針をつくりたいという考えで、ゆうべも徹宵してやっておりますが、これが非常に大事じゃないかということは、実を言うと先に考えたわけなんです。ただ情報をとる、視察をするということ、これも大事なことでございますが、一応向こうに本部もできますし、その本部は、御指摘のとおり、権限と申しましても、やはりこちらのいわゆる東京本部の同意を得なければできぬ権限でございますから、これはお話のとおりでございますが、無電あるいは警察電話、自衛隊関係でしょっちゅう情報は徹宵交換いたしております。そういうことでございますから、この現地のいわゆる要望、それから不足している、また緊急の必要のある資材とかいうものは、一応大体のところは向こうで把握できる。と申しますのは、現地の本部にはやはり各関係官庁の者が全部行っております。そういうことでございまして、しかし、もちろんそれだけでは足りないから、先ほどもお話し申しましたとおり、赤澤自治大臣が参りましたあと、今朝六時に厚生大臣は自衛隊ヘリコプター現地に向かっております。したがって、今後も、石田委員の御意見のとおり、大体あしたあさってでもってこちらの基本方針を本部できめたいと思っておりますから、それと見合わせまして、当然、関係大臣とか本部の役員とか本部長その他、これは現地を親しく見まして、さらに、いかに本部がきめましてもまだ不足するものがあると思います。これはよくあることでございまして、一応の大体の対策立てましても、次から次にいろいろな問題がまた出てまいりますから、これらに対して万遺漏なきを期するために、いまの石田委員の御要望のとおり、また政府としては、御要望がなくとも当然やるべきことでございますから、そういう大体の考え方を持っておるということをはっきりお答えいたしたいと思います。
  56. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に気象庁にお伺いいたしますが、先ほど御報告を、承っておりますから、重ねてお伺いはいたしません。ただ、今回の地震に津波が関連をいたしておりますが、津波は警戒警報解除後にピーク時がきた、こういう情報があり、また一部の新聞も書いておるわけです。一応警戒警報を出した。ところが、解除した直後に一番大きな津波がきたということになると、私はこれは気象庁の重大な責任であろうと思うのでありますが、この間の事情を少し詳しく承りたいと思います。
  57. 広野卓蔵

    ○広野説明員 ただいまの御質問周にお答えいたします。  気象庁では、現地から入ってまいります資料をもとにしていろいろな判断をしておるわけでございます。最初に、震源が大体陸、ちょっと海のほうに入るということがわかりましたので、すぐに津波おそれというのを出したわけでございます。ところが、一時間ほどいたしましてから冨山に大体十五センチあるいは二十センチ程度の津波がきたというのが入りまして、これはたいしたことではないという判断をいたしまして――これは倉皇のうらにいろいろな判断をいたしますので、実は現地の状報がほとんど入りませんでした。実際に新潟地区の情報も非常におそくなってから入ったようなぐあいで、非常におそうございまして、またこの津波自身も、非常におそく大きなのがきたようでございます。大体一時間半から二時間くらいたってですが、そこら辺の事情は現在のところよくわかりません。実はこの震源地が沿岸からそれほど離れていないのに、なぜそんなに津波がおそく最高波がきたかということは、いまもってはっきり判断がつきにくいのでございますが、いずれにいたしましても、畠山とか、あるいは深浦というような、相当離れたところの資料が直ちに入ってまいりましたので、これはたいしたことはないなというような判断をいたしまして、多小早まったきらいがございますが、一応警報解除を出しましたのですが、それを受けました現地側では、実は現にもうきつつある――本庁では情報はわからなかったわけですが、きつつあることがわかりましたので、本式のルートは電電を通して警報を流しておるわけでございますが、それを全部押えまして、その本式のルートはもっとずっとあとで解除ということになりました。しかしながら、情報はどんどん中央で出します関係上――実は津波警報といいますのは、日本海側は東京から新潟を通しまして、新潟が伝達の中枢になっておりまして、そこにいくことになっております。そこで、いま申しました新潟で押えられたわけでございます。ところが、本庁のほうで出ておりますものですから、それがすぐにマスコミに流れたということで、ちょっとそごがございました。要するに、震源地が陸地に非常に接近しておりまして、もうその震源地付近では、小津波といいますか、最大で三メートルくらいでありましたけれども――三メートルといいますのは、一番下がったところと上がったところの最大振幅でございますが、その程度が最大でありましたけれども、そういうのがきつつありましたから、現地ではもうそれを当然押えられたということでございます。私どもは、一応警報は出しましたが、とにかくそれから間もなく現地の情報もわかりましたので、すぐに情報をもってカバーいたしまして、なお現地で続いておるところは警戒をしてくださるように、すぐに追っかけ情報を出した次第でございます。そういうふうで、確かに私ども少し早まったきらいはございますが、今後そういう点は改めていきたいと思っております。
  58. 石田宥全

    石田(宥)委員 その点はいま大体事情はわかりましたけれども、現地の情報というものとこちらの本部の連絡の関係は常時とれておりましたか。そこは遮断されておりましたか。
  59. 広野卓蔵

    ○広野説明員 新潟はふだんは有線でやっておりますが、有線は途絶いたしまして無線ということでございますけれども、無線ではあまりそういうデータが入ってまいりません。この事情はなお詳しく調べる必要がございますけれども、とにかくあまり情報は入ってまいりません。それから佐渡もそうでございました。ほとんど情報は入ってまいりません。
  60. 石田宥全

    石田(宥)委員 今後ひとつ御注意を願いたいと思います。  次に、科学技術庁の局長さんに伺いたいのでありますが、気象庁の速報によりますと、震度五という地震は新潟だけではございません。仙台も酒田も同様に発表されておるわけであります。ところが、仙台も酒田もそれほどの被害がないにもかかわらず、新潟が特にお聞きのような深刻な被害を生じたということは、一体どういう点にあったのか。先ほど大久保正員は地盤沈下の関係もお触れになりましたけれども、これは別の角度からの話でございますが、私は、今次の新潟地震というものは、新潟市川辺の地盤沈下が特に深刻な被害をもたらしたところの大きな要因であろうと考えるわけでありますが、これは科学技術庁としてはいかようにお考えになっておりますか。
  61. 橘恭一

    ○橘政府委員 一般的に言いまして、新潟近辺の被害が大きかったことは、特に新潟の平野が沖積平野である、そういうことがよそに比べて区別され目立つ点でありますが、それとの学問的な関係については、なおこまかく検討を必要とするかと思いますが、その点が一応は考えられるところだと思います。
  62. 石田宥全

    石田(宥)委員 土質の問題はわかっておりますけれども、私が伺っておるのは、地盤沈下でゼロメートル地帯が相当にあったのではないか。一体新潟を中心としてゼロメートル地帯というものがどの程度にあるか、そしてそういうことが今度の被害を深刻にしたのではないか、こういうことです。
  63. 橘恭一

    ○橘政府委員 いわゆる浸水の被害という点につきましては、地盤が低いということが被害を大きくするもととなっているように思います。その新潟地区の地盤の低かったことにつきましては、かねて報告しましたいろいろのことが原因しているわけでございます。
  64. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、ざっくばらんに話を承りたいのです。それは、地盤が非常に急速に沈下をしておる際にガスの採掘が問題になりました。そうしてあの地盤沈下はガスの採掘によって起こるものではないかとわれわれは判断した。ところが、科学技術庁は言を左右にして、そうだという結論はなかなか出しませんでした。しかし、ついに、そうらしいということでガスの規制をいたしましたね。ところが、ガスの規制をいたしましたら地盤沈下はとまったのです。この事実はお認めになりますか。
  65. 橘恭一

    ○橘政府委員 そのとおりでございます。なお、地盤沈下の主原因は、急激大量な水のくみ上げであるということを事後の報告において出しております。
  66. 石田宥全

    石田(宥)委員 私はここに政府の責任、特に科学技術庁の重大な責任があると思う。きょう、できれば科学技術庁の長官を呼んでその責任を明らかにしなければならなかったのですが、いま私が指摘したとおりなんです。あの地盤沈下はガスの採掘によるものであることはきわめて明瞭です。ガスの採掘を押えたら沈下はとまったのだから。このくらい明瞭なんです。科学技術庁はガス産業資本の圧力のためにその結論を出せなかったという、その政治責任はどうしますか。私はそういう点で、今回のこの地震が、同じ震度五であることは仙台も酒田も同様であるけれども、新潟だけが特に深刻な被害を受けたということと地盤沈下と、そうして科学技術庁がガス産業資本の圧力ですなおな結論を出し得なかったということのその責任を本日追及しなければならないと考える。野田長官はどうお考えになりますか。これは政府に聞きます。
  67. 野田武夫

    野田(武)政府委員 事柄はきわめて専門的な問題でございます。私どもはやはり科学技術庁の資料その他を聞きませんと、私としての御返事はできません。
  68. 石田宥全

    石田(宥)委員 資源局長、そこでもう一つ伺わなければならぬのですが、地盤沈下がガスの採取と関連があることは、これは今日ではお認めになっておるわけですね。ところが、水溶性ガスは大量の水が同時にくみ上げられるので沈下を生ずるけれども、深層の構造性ガスは地盤沈下に影響がないということで、いま通産省は探鉱をして開発をしようとしておるが、二千メートルか二千五百メートルの構造性ガスの採取が地震と関係ないと言えますか。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  69. 橘恭一

    ○橘政府委員 構造性ガスの採取と地震との関係につきましては、専門的な学者の意見によってお答えいたしたいと思います。
  70. 石田宥全

    石田(宥)委員 地震課長、どうですか。
  71. 広野卓蔵

    ○広野説明員 地震といいますのは、浅くて二十キロとか三十キロという深いところで起こります。天然ガスを取るのは、千メートルないし二千メートルというところでございます。したがいまして、この地盤沈下は、確かにそういう天然ガスを取るために、それに伴う水を抜くために圧密が行なわれると私どもも考えております。しかしながら、地震というものはもっともっと深いところで起こっておりますから、全然関係がないと私どもは一応考えております。
  72. 石田宥全

    石田(宥)委員 地震課長にいまここで明らかにしてもらうことは無理かもしれませんが、これは私ども専門家でないからわかりませんけれども、常識的に考えてごらんなさい。水溶性ガスは、直接地盤沈下していくのですね。ところが、構造性ガスは、直接そのとき地盤は沈下しないけれども、それだけに中に空洞ができておるのですよ。二千メートルとか二千五百メートルのところに大きな空洞ができておって、それが二十キロもの下の地震で地表まで影響するのに、その中間が影響がないというのは、一体どうなんですか。どういう根拠でそういうことを言われるのですか。
  73. 広野卓蔵

    ○広野説明員 地震が起こるのは、二、三十キロ下でだんだんエネルギーがたまりまして大きな地震が起ころうとしておるわけであります。そこに気圧の変化だとか、あるいは潮汐の変化だとか、ちょっとした引き金的の影響が加わりまして最後の破壊に至るということはございます。そういう点は、これは引き金作用として地震学者がみな認めておる点ではございますけれども、気圧であるとか潮汐であるとか、地表のそういうような影響がこんな大きな地震を起こすエネルギーのもとであるということは、われわれ絶対に考えられないと思います。
  74. 石田宥全

    石田(宥)委員 私はそれを言っておるのではないですよ。そんなものが地震の原因になるとはわれわれも考えておるのではないのです。地表にごらんのような大変動を起こすのに、二千メートルか三千メートルの下に大きな空洞ができておったならば、その影響もまた当然あるのではないか。それを言っておるのです。あなたはないように思うとおっしゃるが、一体どうしてないと言えるか。二十キロも下に変動が起こるのでしょう。地表にも変動が起こるのでしょう。その中間に空洞ができておったならば、当然それが作用するのではないかとわれわれしろうとは考えるわけですが、どうですか。
  75. 広野卓蔵

    ○広野説明員 これはまだはっきりは言えませんけれども、ふだん構造性のガスがたまっておるという場合には、そのガスによって地上がささえられているとはとても考えられない。ですから、その中にガスがあろうがなかろうが、そこを保っておる力はまわりの岩石であろうと思います。ですから、地震によってそれがつぶれるということは、そこら辺はちょっとわかりません。
  76. 石田宥全

    石田(宥)委員 この問題はきわめて専門的なことでありますから、それだけに私は、科学技術庁と気象庁の地震課長ならばわれわれが納得のできる答弁ができるのではないかと期待したのでありますけれども、科学技術庁でも気象庁でもおわかりにならなければ、これは別にひとつ検討をしなければならないと思います。私はこの点は遺憾千万です。政府機関の中で最高の科学技術を担当しておる科学技術庁でそういう重大な問題がおわかりにならないというようなことは、まことに遺憾です。しかし、それは別の機会にこれを明らかにしませんと、今後またガスの掘さくは続けられることでありますから、新潟地帯の住民は安んじて生活できないということになるので、この点はあとに渡ることにいたしたいと思います。  なお、委員長にひとつ要請をしておきますが、新潟地震とガスの採取と、それから地盤沈下との関係は、きわめて重要な関連要素でありますから、災害対策委員長として、別の機会にこの点は学者なり、判断のできるような人たちを呼んで、本委員会で、この事態を明らかにするような措置を講ぜられたい、要請いたします。
  77. 中山榮一

    中山委員長 承知いたしました。
  78. 野田武夫

    野田(武)政府委員 ちょっと石田委員に申し上げます。  いま科学技術庁の政府委員から資料を出しましたので、ちょっとそれだけ申し上げておいたほうがいいかと思います。これは御参考ですが、新潟地域のガスの関係で、地下水の急激な揚水が地盤沈下の原因ではないかという科学技術庁の意見でございます。いまここに示されましたが、昭和三十五年六月二十日付で「新潟地盤沈下について」という科学技術庁の資源調査会の報告がきております。その中にちょうど石田委員のおっしゃったとおり、この地盤沈下の「原因諸説を並べて、影響のうすいものを消去することにより、残った説をもって主原因とすることは、必ずしも論理的でないが、揚水説を裏付ける資料が多く得られている現在では、この説をもって主原因と考えることが科学的に妥当であろう。」という報告をいたしました事実がございますから、報告いたしておきます。
  79. 石田宥全

    石田(宥)委員 それでは次に伺いたいのでありますが、先ほど町田副木部長からの御報告の中で、大蔵省は被災者に対して減免税等の緊急対策をおきめになったということでありますが、大蔵省のほうからの先ほどの御報告では、税の減免や延納を大幅に認めるとか、被害を受けた地方団体に対して一般会計予算からある程度の支出をするというような大まかな御報告があったわけです。そこで、いま私が申しましたような、また先ほど野田本部長から御報告のありました事項についての内容を、災害地の人たちに明らかにしていただくために、ここで発表を願いたいと思います。
  80. 青鹿明司

    青鹿説明員 まず第一に、各種対策に対する財政上の措置でございますが、これにつきましては二つございまして、一つは、さしあたって必要な災害救助活動、それから復旧作業に関する経費でございます。これにつきましては、ただいま年度初めのことでもございますし、各省とも既定の経費にかなりの余裕がございますので、とりあえずこれを充当いたしまして、事後において必要があれば移流用等の措置を講じたい、かように考えております。  それから災害の復旧事業につきましては、これは各省調査査定が済み次第、既定予算をもちまして、これに対しましても、判明次第応急の処置を講ずることにいたしたいと思っております。  それから地方公共団体の資金手当でございますが、財政上の措置を待たずに、応急に必要な復旧工事を実施するための資金といたしまして、通常つなぎ融資の措置がとられることになっておりますので、各公共団体の要請に基づきましてこれに対処してまいりたい、そのように考えておるわけでございます。  それから第二の税制上の措置でございますが、これは国税通則法あるいは災害減免法その他各種の税法に規定がございますので、それに基づきまして所要の措置をとることにいたしております。これは国税の担当課長から御説明を申し上げることにいたします。  それからその他金融上の措置でございますが、これにつきましては、昭和三十年に、こういう非常災害の場合にどういう措置をとるかという基本的な通達がございまして、その内容は、切手手形不渡り処分の猶予とか、融資の迅速化その他書いてあるわけでございますが、これらの通達に基づきまして所要の協力をすでに地銀協、全銀協、保険協会、日銀等に対しまして要請をいたしております。  それからなお証券関係の問題も若干ございますが、これらはちょっと技術的な問題になりますけれども、御説明いたしますと、現物の引き渡しをすることになっております株式が、引き渡しが遅延する場合に、かわりに有価証券引き渡し証を出してこれにかえることができることになっておりますが、これの認証料の免除、あるいは証券業者に対するつなぎ融資の問題がございますが、これらにつきましても所要の措置を講ずるようすでに措置をしております。  なお、税金に関しましては担当課長から申し上げます。
  81. 大島隆夫

    ○大島説明員 災害地の税金の減免につきましては、国税通則法によりまして、まず第一に、さしあたりの問題といたしましては、いろいろの申告や申請の期限、それから徴収の期限、これにつきましての延期の問題がございます。ちょうど六月の半ばという中途はんぱな時期でございますので、さしあたり期限が到来するまでには、ここ一両日にはないかと思われますので、その期間に十分に現地実情を検討いたしまして、早急に手を打ちたいと考えております。あとは、第一期分の所得税の減額の問題であるとか、あるいは間接税が課税されました物品が被害を受けました場合には、これにつきましての税金の還付の問題であるとか、こういったようなもろもろの問題が起こってくるわけでございまして、現在通達の起案中でございまして、少なくともここ二、三日のうちには通達を出す運びになろうかと考えております。
  82. 石田宥全

    石田(宥)委員 消防庁は見えておりませんか。――それでは野田本部長にちょっと伺いたいのでありますが、実は新潟の火災は特殊のものですね。これはガスタンク、石油タンクですか、この爆発による災害でありますが、この種の災害につきましては、従来われわれの承知しておるところでは、なかなか日本では対策が困難だといわれておりまして、新潟来の見附地方にガスの火災が起こった際に、アメリカから技術官を呼んでそうして早急に措置をしたことがあるわけでありますが、そういう点について御配慮があったのかないのか。これは何もアメリカから技術者を頼んでどうこうということはないので、やはり昨晩一晩じゅう燃え続けておるということが住民の非常な不安感をそそっておるわけでありますから、やはり早急にそれに対する対策の万全を期すべきだ、こういう意味で私は、どこの国からでもいいが、やはり早急に火災の措置をしなければならないと考えるわけでありますが、御手配をなさったかどうか、伺いたい。
  83. 野田武夫

    野田(武)政府委員 石油タンクの火災は、お話のとおり、普通の方法ではなかなか消火できない。きのうの会議では、化学製品の防火剤があるというので、いまそれを運んでいるのであります。何時ごろ着くか、的確にはつかめませんが、まだこのタンクの爆発が危険な場合があると予想されるからというので、ゆうべのうちに、消防庁にあるいわゆる化学製品ですか、防火剤をさらに運んで増強しておるという話をゆうべ承りました。これは私、専門ではありませんから、的確なお答えはできませんが、四日市で、大協石油と私は記憶しておりますが、あのときもだいぶ燃えました。その防火剤がどこから手に入ったのですか、そのとき日本にあったかどうか知りませんが、あとで、相当効用があったということを聞いております。おそらく、こういう爆発とか、特に石油タンクの爆発、燃えるというようなことは予想されることですから、ふだんでも、どこでどういう災害が起こるかわからない、それに対して消防庁としてはかねて相当の用意があったということは聞いております。しかし、どういうふうに効果があるとか、使用はどうするかということは、私は専門ではございませんから……。きのうの会議では、そういう報告を消防庁から聞きました。
  84. 石田宥全

    石田(宥)委員 農林省官房長をお呼びしたのですが、帰りましたか。――それではいいです。
  85. 中山榮一

    中山委員長 岡本隆一君。
  86. 岡本隆一

    ○岡本委員 災害が起こりますと、さっそく災害対策本部を設けたり、かつまた、関係各省でもいろいろ非常にきめのこまかい災害対策の方針を打ち出しておられるのは、まことにけっこうだと思います。災害基本法が制定されまして、また、たび重なる災害のために、災害に対処する道というものが、完備とまではいかなくても、非常にうまくつくられていくと一緒に、その応急対策がうまく運営されるというのは、これは日本の災害常襲国としての悲しい熟練だというふうに思うのでございます。  そこで、今度の新潟災害につきまして、災害基本法ができまして後の初めての大地震でございます。そういう観点からいろいろの問題がまた新たに蜂起してくるであろうと思うのでございますが、何をおいてもやはりまず救援対策が大切であると思います。昨日のテレビを見ておりますと、現地の人が一番悩んでいるのは水と食糧であると思うのです。それで給水車がやってまいります。バケツやおなべを持って行列して水をもらっておる。一日に何回給水があるのか存じませんけれども、飲み水が精一ぱいであろうと思う。このごろでありますと汗もかきますし、せめて顔洗い、からだをぬぐうくらいの水は早く何とか補給できるようにしなければならないと思うのでございますが、水道の状況はどのようになっているのでございましょうか。水源地が無事に保全されているのかどうか、さらにまた、給水管がどの程度破壊されて、そうしてそれに付する復旧にどれくらいの日数がかかるのか、その辺のところからお伺いしたいと思う。
  87. 後藤信義

    ○後藤説明員 私どものほうでただいままで入手しております状況によりますと、市内の水道管が至るところで破裂をしておって、給水が不可能であるという状況だけが入っております。水源地のほうに被害があったという報告はございません。それで、復旧にどのくらいを要するかということも私どものほうでまだ、承知しておりませんので、これは後刻さっそくにその点もあわせて報告を徴したいと思っております。  ただ、何せ、先ほど石田先生からお話がありましたが、ただいま昭和石油の石油タンクがまだ燃えておる状況でございます。そして消防庁あるいは昭和石油のほうから運びました化学消火剤はほとんど投入をいたしましたが、まだ効果を発揮しておらぬという状況でございますので、重ねてアメリカの軍のほうにもいろいろ頼みまして、そういう資材を運ぶという段取りをつけておるという状況でございます。なおまた、付近に化学資材が詰まっておるタンクがあるそうでございますが、これが爆発をするということになりますと、かなり有害なガスを発生するおそれがあるということでございますので、むしろまだ災害は続いておるといったような状況でございますので、警察のほうとしましても、被害状況をその辺まで調べるというよりも、住民安全を確保するというところにかなり精力を使っておるような状況でございます。  水のほうは、おっしゃるとおり、非常に不足しており、困っておるようでございますが、これは幸いにしまして新潟の市外のほうはほとんど被害がないような状況でございますので、そちらのほうから人手なり、あるいは水なりというものを運んで応急に間に合わせておるという状況を私どものほうで入手しておるわけでございます。
  88. 岡本隆一

    ○岡本委員 食料の問題でございますけれども、災害救助法が当然発動されておる、またテレビで、すでに握りめしなどの配給が行なわれておるのを見ておりますが、一日や二日程度でありますと、その程度の食糧でもがまんできますけれども、しかしながら、今日、水はあとでまたお伺いしますが、浸水している地域もある模様でございますので、自分の家へここ数日では帰る見込みが立たないというふうな人たちも相当あるだろうと思うのです。そういうふうな人たちへの食糧の補給の道でございますけれども、災害救助法によるところの食糧費の金額が、幾らか忘れましたが、非常に軽微なものであって、従来も非常な非難が出ておるのは、総務長官も御承知だろうと思います。したがって、これを機会に、災害救助法のワクを越えてもう少し人間の食糧らしい食糧を配給される御意思はありませんか。その辺のところをひとつあたたかい配慮をもってしていただきたいと私は思うのでございますが、いかがなものでしょう。
  89. 野田武夫

    野田(武)政府委員 お話のとおり、岡本さんの災害に対する思いやり、私どもも全く同感であります。そこで、災害救助法はもちろんたてまえとしてはやりますが、災害救助法の範囲を越えたからといって食糧に困るようなことをするということは、政治的にも行政的にも間違っておりますから――ただ、こういう報告を受けております。これはさらにきょう午後になりますと新たな報告がくると思いますが、一応、新潟地区は十五日間分の食糧は保有してある、十五日間はだいじょうぶだ、こういった農林省の報告でした。そこで、昨夜にかけまして乾パンその他五万人分の主食はすでにもう現地に到着いたしております。そこで、十五日間過ぎると、米を精白する電力がどうか、ここまできのう検討しておったようですが、これはもう十五間すればその電力の復旧も見込めるのではないか。しかし、ゆうべまでは的確でありませんから、その場合には、食糧は何といっても、水と同じように――みんな大切でございますけれども、特に、お示しのとおり、水とか食糧というものは、まあまあなんというときではございませんから、それで、いまの報告に基づきまして、まだ不安であるから、きょうの向こうの報告を受けて、あらためて食糧を輸送するというような計画を立てております。そこで、いま災害救助法の範囲がどうだというようなことは対策本部では考えておりません。できるだけ最善を尽くしてこの食糧の確保をやりたい、こう考えております。
  90. 岡本隆一

    ○岡本委員 幸い、先ほどの御報告によりますと、国鉄の努力によりまして鉄道の復旧は早い模様でございます。したがって、物資の輸送は、数日たちますと相当活発に行ない得るのじゃないかと想像されるのでございますが、幾ら物資が入ってまいりましても、予算がないとどうにもならないというのが現状でございます。したがって、この災害救助法のワクだけで被災者の食糧をまかなおうとしないで、もう少し潤いのある被災者に対する食糧の配分というものを考えていただくように、これから後もたび重なる災等が、こういう日本の国柄でございますから、あろうと思うのでございますが、一つの先例をこの機会に附いていただくことをお願いいたしておきたいと思います。  第三に、浸水の状況でございますが、先ほど総務長官の御報告によりますと、六千二百戸が浸水しておるというふうな御報告でございました。建設省の報告を見ましても、ゼロメートル以下のところに堤防が多数亀裂しておるし、同時に、大河津というのですか、締め切り堤が亀裂しておる。おそらくその締め切り堤からも浸水しておるのじゃないか。だから、締め切り堤から浸水したということになりますと、ゼロメートル以下のところが全域にわたって浸水しておるのじゃないかと思うのであります。そこで、浸水の状況を御報告願いたいのでございますが、大体床上浸水が何戸ほど、さらに床下浸水が何戸ほどというような状況がわかっておりましたら、お知らせ願いたい。
  91. 後藤信義

    ○後藤説明員 新潟のほうでは、主として新潟市内、それから佐渡島で浸水が起こっておるわけでございますが、そのうちでも主としては新潟市内が大部分でございます。床上浸水は七千九百二十四戸、これはけさの午前八時現在でございます。それから床下浸水は五千二百八十四戸でございます。これが新潟県下全般でございまして、数としましては、正確な数字はちょっと持ち合わせておりませんが、このうちでたしか、三百戸程度が佐波島において浸水したもので、それ以外は大体新潟市内である、こういうふうに御承知いただければよろしいかと存じます。
  92. 野田武夫

    野田(武)政府委員 先ほど私、六千二百世帯云々と申しました。それは、先ほども御説明いたしましたとおり、ゆうべの十二時でございまして、戸数は、調べればもちろんもっと多くなっておると思いますが、なぜその十二時の時点でこれを発表したかと申しますと、自衛隊の出動ということがございましたから、関連して、直ちに自衛隊に本部から要請いたしました関係でそういう御報告をいたしました。
  93. 岡本隆一

    ○岡本委員 ただいまの御報告を承りますと、これはゆゆしい事態だと思うのです。一万三千二百戸が浸水しておる。しかも八千戸近くが床上浸水、こういうことになりますと、これらの人たちは当分家へも帰れません。締め切り堤がどの程度において破損しておるのか、河川局のほうでおわかりでございましたら、御説明願いたい。
  94. 畑谷正実

    ○畑谷政府委員 私のほうで堤防の破堤あるいは決壊、そういうような状況は全然把握しておりません。わかっておりません。ただ、現在のところ、万代橋から下流地区における両岸について、破堤または陥没によりまして、大体面積が五・三平方キロにわたりまして、深いとこころは一メートル一ないし一メートル五十、こういうような浸水の状況であるようでございます。これにつきまして昨日の十時ごろに新潟のほうから連絡がありまして、まずこれの締め切りをしなければならぬ、それには空俵十五万袋がとりあえず必要と思われるということでございますので、私ども昨夜中に富山県、石川県、長野県の三県に依頼をいたしまして、十五万俵の空俵を至急新潟市内の集積所まで持ち運んで新潟県に引き移すという手配を昨日中にいたしました。本日その実行に移しておるわけでございます。  なお、現地にはけさの七時四十分に建設省の小西技監を長とするそういう実地指導班が行っておりますので、その指導班に従いまして即日現地においてそういう応急的な措置をする、こういう状態になっております。
  95. 岡本隆一

    ○岡本委員 これは規模におきましては伊勢湾ほどではないかもしれませんが、しかしながら、相当大きな海水が浸水しておるところの大災害である。したがって、これの復旧には相当の期間がまた必要でないかと思うのでございますが、もちろん、まだ現状を的確に把握しておられない建設省では、それについて見込みをいまおっしゃっていただくことは困難であろうと思うのでありますが、もしおわかりでしたら、ひとつ見込みのほどをおっしゃっていただきたい。
  96. 畑谷正実

    ○畑谷政府委員 いまのところ、そういう復旧の見込みは全然わかっておりません。ですが、私どもの感覚としては、これは非常に重要な問題ですから、空俵の手配についてもすでに昨日深夜中に手配いたしております。現在どんどん持ち運んでおります。なお、先ほどお話のとおりに、小西技監も現地に着いておりますから、早急にこれが対策をし、なおそれと同時に、復旧の済んだところ、締め切りの済んだところがありましたら、すぐ排水にかかる、そういうような日程表をつくりました。後日また御報告したいと思います。
  97. 岡本隆一

    ○岡本委員 こういうことになってまいりますと、これは非常に大規模災害でございます。詳報が入っておらないだけにわれわれが知らないのみである。現地ではとにかく八千近い家が床上浸水しておる。それはおそらく海洋を締め切って、それから人工排水をやるというふうな段階になりますと、少なくとも十日以上、二、三週間は家庭に帰れない。しかも帰ろうにも、その家は水の中で傾いてぐらぐらになっておるというような状況であるとするなれば、これは伊勢湾台風のときと似たような大きな被害現地の被災住民が受けていると思うのであります。したがいまして、これはもう非常に大がかりな救援対策というものを政府としては組んでいただかなければならないと思います。  まず第一に収容施設であります。いまのところ、どういうふうなところへ収容する方針を立てておられるのか。昨日の新聞を見ておりますと、みんな、何と申しますか、野原なんぞへ点々として横たわっておるというふうな姿が見受けられます。テレビを見ておりますと、そういうふうな状況です。これは一晩くらいで自宅に帰れるのならそういう状況でもいい。私ども被害状況報告を見まして、こんなに広範囲な浸水があろうというようなことは想像もいたしませんでした。また、けさの新聞を見ましても、信濃川沿岸の両側の地帯がずっと帯状に少し浸水しておるというような程度の新聞報道しか、けさの報道ではございませんでした、しかしながら、その報道と、今日いま報告された状況とは雲泥の相違といった広範囲な被害状況でございます。そういうことになってまいりますと、それこそ大がかりな救援体制というものをとっていただかなければならぬ。八千戸といいますと、一戸平均四名とかりにいたしましても、三万からの人がもう被災者として、床上浸水してどうにも自分の家へ帰れない。さらにまた、床下浸水であっても、傾いた家で下に水が一ぱいひたひた浸っておるというようなことでは、これも五千戸余りの人たちは容易に自宅に帰ることはできない。合わせますと数万の人たちが、家を失っておるという状況であります。だから政府としては、先ほどから総務長官の御答弁で、対策本部を組んでおる、できるだけのことはしたいと思っておるというようなことでございますが、その御報告の中に出ておることばの端々にうかがわれる真剣さというふうなものが、私にはもう少し被害が小さいというふうに受け取られたが、これだけ大きな被害の深刻さ、水の深さというものになると、もっと真剣なお気持ちがあのおことばの中になければならなかったと私には思われます。ことに大久保委員からの御説明もありましたように、現地指揮を消防庁の長官がやっておられる。これは、こういう被害状況を聞きましたら、もってのほかであると思います。これは伊勢湾台風のときと同じように、物価騰貴がどんどん起こってくる、生活必需物資の騰貴が起こってまいることは当然であります。また、被災住民は、夏とはいえ、このごろはまだ寒うございます。寒さにふるえておるであろうと思うのであります。また、食糧はない、水はない。現地の人たちが非常な不安におびえておるのは当然であります。河野さんが本部長で、一週間以内に不安を一掃したいと言われた。なるほど、一週間以内に不安を一掃しなければならぬ。当然でございます。それには、やはりしかるべき人が、もっと強い果断な決意をもってどんどんすべての事態を処理できる人が現地にいなければ、私はこの事態は処刑できないと思うのです。一々本省へ伺いを立てる、しかも各省大臣に遠慮しながらものを言わなければならぬ、こういうような人では、とてもこの緊急事態を処理できないと思います。私は、政府がこういうような怠慢な態度でおられるということは許せないと思うのです。総務長官、いかがお考えになりますか。
  98. 野田武夫

    野田(武)政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、現地の本部の要望各省大臣に一々連絡する必要はございません。本部の一本筋でございまして、しかも無電、警察電話、自衛隊の通信で、向こうできめたことは何分間のうちに本部に入ることになっております。そしてそれに対して本部は直ちに手を尽くすというので、一々大臣に話を聞くとか意向を聞くようなまどろこしいことはやっておりません。したがって、現地にだれがいようがいまいが、もちろん責任者はおりますが、そのために大臣がどうこう言うのでその措置を怠るというようなことはないように――と申しますのは、いずれにいたしましても、緊急措置を要する。しかも岡本さんも御承知のとおり、大体地震というものは不幸にしてどうも日本に多いのでございまして、地震による災害というものは、大まかに見ますと、火災が起こってどうだ、津波がどうだ、浸水というようなことは、一応の想定はできます。それから同時に、実際に現場を詳しく実地調査して、きめのこまかいを打つという二つのやり方がございます。先ほど私申しましたとおり、向こうの要望がなくても、一応想定される災害対策というものはありますから、そこで、向こうから要望があったから初めてやるなんということはやめたがよろしい、もう想定される、たとえば食糧とか水の問題とか、あるいはあかりがなければ懐中電気とかろうそくをどうするとか、また通信の関係はどうなるか、鉄道を復旧するのはあたりまえのこと、大体のことは決して私どもは怠慢であると思っておりません。しかし、いまお話のとおり、これはやはり親しく責任者がどんどん行ったほうがいいというので、実は国会中でございましてなかなか全部が抜けられませんので、先ほどから御心配の、大蔵省がどうもけちじゃないかとか――一番大事な大蔵大臣が行ってもらおうということは、実はきのう会議でやったのです。そこで、これはいま申し上げると、また、なんだと言われるかもしれませんが、実はいま通知が参りまして、きょう午後二時に大蔵大臣が現地に行くことになりました。政府は、やはり国会のほうにもいわゆる国会無視にならぬようなことを配慮しながら、できるだけ責任者が飛んでいく、したがって、本部長が飛んでいく必要があるときには飛んでいくというような万全の策は講じておりまするから、私どもといたしましては、現状におきましては、政府の怠慢で事柄がおそかった――物理的条件で不可能の場合はやむを得ませんけれども、できるだけの政府の配慮は実施しているつもりでおります。
  99. 岡本隆一

    ○岡本委員 あかりがなければろうそくを、食糧がなければ握りめしをというふうなことでは、今日の日本のいわゆる高度経済成長のもとの救護対策ではないのです。だから、一日も早く電気がつくように、また一日も早く食糧らしい食糧が食べられるように、こういうふうな措置を講じられるのがほんとうの救援対策なんですよ。そういうふうなことを現地で一日も早くどんどん復旧作業を進捗せしめようとするなれば、相当果断なこともやっていかなければならぬ。また物価を押えるのには、当然、何といいますか、暴利取締令のごとき権力の発動もやらなければならないと思うのですね。だから、そういうふうなことをどしどし推し進めていくのには、消防庁長官では判断に余る、これは当然でしょう。だから、そういう意味におきまして私は、もう少し力強い人を現地に派遣することが民心の安定に役立つのではないか、こういうふうにも思うのです。また、あなたは、国会中だから、こう言われますが、国会中だからといって、一人や二人の閣僚が抜けられないことはないのです。ことに今日ILOの問題でもめておる、だから離れにくいというふうなことになれば、まさに、政府が今日までILOをずるずる引きずってきた怠慢に対して、天が大目玉を食らわしたというふうなことで、被災者こそいい迷惑だと思うのですね。また、行けない事情はほかにもあろうと思うのです。総裁選挙を前にして閣僚クラスの人が都を留守にしたのでは困るというふうなこともあるのかもしれない。これはうがった見方かもしれませんが、そういうふうなこともやはり政府の施策の中に影響として出てくるのではないか、私たちはこういうことを心配します。また、被災者もそういうふうなことをやはり案じているんじゃないかと思います。また、そういう痛くない腹を探られないためにも、政府としてはこの際思い切った措置を講ぜられるべきだ、こういうふうに私は思います。これはこれ以上のことはもう水かけ論になります。お互いに平行路線になると思う。だから、まあ御意見があればもう一度承っていいと思いますが、私は強い希望として、もっと力強い対策本部現地に組まれて早急な復旧作業に臨んでいただくようお願いいたしたいと思います。
  100. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いやもう、あなたの意見と決して平行線じゃございません。私はあなたのおっしゃるとおりだと思います。ただ、ろうそくを持っていったらそれでいいというようなことならば、私どもはこれだけ組織をつくって緊急措置はやりません。それはもう何といったって、いかにして復旧、いかにして復興するかということが基本でございます。これは打ち明けた話をしますが、せっかく、党の総裁選挙なんか出ましたから、ちょっと申し上げておきますが、赤澤自治大臣は、きのう参りまして、実は二、三日現地におるつもりでおりました。ところが、国会のほうから、けしからぬというような――何か赤澤自治大臣に関連する法案があるようでして、その審議をやらぬとかやるとかということで、実はゆうべもうおそくなりまして一応了解を求めておりましたけれども、国会のほうから、けしからぬ、留守にするのはいかぬということで、これはやむなくけさ十時か十一時に帰ってくる。実は岡本さん、いろいろ申し上げると、私どものほうにはいろいろ……(「ILOにいじめられるから」と呼ぶ者あり)いや、ILOじゃないのです。赤澤自治大臣はILO関係じゃありません。そこで問題は――総裁選挙なんか、全然こんなものと関連しておりません。まあこれは露骨な話ですが、総裁選挙は一カ月もあとですから、何もいまごろ総裁選挙で足どめを食うということはだれも考えておりませんが、実は国会のほうでも、法案の主管大臣になりますと、出席しなければいかぬとかなんとかいうことが――現に赤澤自治大臣は、その要請に基づいてやむなくけさ帰る。そこで、いまお話のとおり、私は岡本さんと決して平行線で意見が違うのじゃありません。そのとおりであります。そこで、大事なさいふを握っておる大蔵大臣が早く行けということは、もう最初からありました。何といったって、先ほどの災害に関する基本法なんかありますが、実施するにはやはり金でございまして、これをけちけちしたらだめだから、大蔵大臣まず行けという声が出ました。これはなかなか行けなかったのですけれども、やっとゆうべわれわれ本部でそのことを手続しまして、時間をやり繰りして、きょう午後二時出発してまいるそうですか、できますだけ協力体制をとるために――決してわれわれは、現地の本部があるから、これにまかせようなんと毛頭考えておりません。できるだけそういう岡本さんの御意思に沿うように、また政府みずからもそう考えておることを御了解願いたいと思っております。
  101. 岡本隆一

    ○岡本委員 自衛隊の出動を要請しておられるようでございますが、こういうときこそ自衛隊に大いにがんばってもらいたいと思うのですが、この被害状況から見ますと、少し人数が少ないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、待機しておられる、あるいは続々入っていかれる態勢をとっておられるのですか。消防庁のほうで連絡をとっておられるのですか。
  102. 野田武夫

    野田(武)政府委員 これはきょうの一時現在で申します。先ほども御報告いたしましたとおり、ゆうべ十二時に大体三千人くらいの自衛隊の出動を本部は要請いたしました。直ちにその行動を開始しておりますが、現在それらのものを加えまして、いま防衛庁で出しておる自衛隊は、五千六百五十人出しております。それから、これも先ほど申し上げておきましたが、待機しておる者が一万六千三百人、これだけ待機しております。これはいつでももう指令によって動く、大体合計二万二千人くらいの自衛隊現地に出すという態勢はすっかりできております。
  103. 岡本隆一

    ○岡本委員 道路に相当亀裂もございますし、また道路の復旧に大きな力が要ると一緒に、今度は、やはり雨季を迎えておりますだけに、私は水防の面の心配をいたしますが、先ほどの建設省の報告を見ましても、河川で至るところ堤防が亀裂を生じております。これを早急に復旧補強しておきませんことには、一雨ざっと集中豪雨がやってまいりましたら、たちまちまたそこから第二次の大災害が出てまいります。しかももうつゆどきなんです。いっそういうふうな集中豪雨がどこにやってくるかわからない、こういうことになりますと、河川のいま護岸の補強ということは、これはもう焦眉の問題であると思います。そういう意味で、私は現実に浸水して災害に苦しんでおられるところはもちろんのこと、そうでない河川の護岸の強化にはこれは大きな動員力が必要であろうと思います。そういうところにやはり大きく自衛隊の協力を願って、一日も早く周囲の沿岸の住民が安心して暮らせるような対策を講じていただきたいのです。  それからもう一つお尋ねいたしておきたいのは、やはり地盤沈下との関連でございます。昭和大橋というような、最近つくった永久橋が落橋しておるというふうなことですね。これはピアの打ち込みが少なかったために、かたい地盤までピアが届いておらなかったためなのか。おそらくそんなばかなことはないと思うのです。だから、やはりこれは大きな地盤の変動が起こったために出てきたので、このことは、地盤に変動を起こしやすいわけです。起こしやすいということは、やはり地盤沈下と関係があるのです。地盤沈下をどんどん起こしてきておった。起こしてきておったが、いまは地下水のくみ上げがやんだ。だから一時ちょっと停滞しておる。しかしながら、下は沈みたくてかなわぬような条件が備わっておる。ぐらぐらっときたら、がたんといく、これは当然でございます。だから、こういうふうな状況になっておるところに、今度はまたこれから後、あの付近一帯は石油あるいは天然ガスの産地なんで、また徐々にくます。徐々にくませば、またそういうふうな条件を絶えずつくっておることになる。地震対策ということになってまいりますと、これはもう企業の問題とか資源の問題以上に、人間の生命の尊重あるいはその地域住民の生活の安定ということが大切な問題であると思うのです。だから、この問題についてはもっと強力な研究も必要でございますが、同時に、地下水のくみ上げが地盤沈下の原因であるということは、これはもう東京でもはっきりしておる。大阪でもはっきりしておる。尼崎でもはっきりしておる。あるいは、最近浦安であるとか、至るところでどんどんまた起こってきておる、みな地下水のくみ上げと関係があるわけです。だから、そういうふうな面でもうすでにこういうふうな問題は結論が出ておる。しかも日本は地震国である。そういうことで、どうこれから対処していくのかという問題がございます。ことに新潟ではそういう点でやはりそういう地盤沈下を起こしやすい非常に大きな条件がそろっておるということになりますと、今後の復旧作業の中で大いにそういう努力をしていただかなければならないと思うのでありますが、ことに新潟地域は信濃川流域の地震帯であるというふうなことでございますから、これはもり格段の努力をしていただくことをお願いしておきたいと思うのです。  さらに、住宅の問題でございますが、県営住宅のアパートが倒れております。一棟は崩壊しておる。それから四十五度程度に傾斜しておるのがある。これはやはり地盤沈下と関係があるということだけで解決しているのか、あるいは構造上に少し不備な点があるのではないか、たとえて言えば、非常に薄っぺらな細長いものを建てておる、だから非常に傾斜しやすい、これをせめてアングル型にしてやるとか、コの字型にしておけば、こういうことにならなかったと思うのです。だから、地盤沈下の起こりやすい地域――これはもう新潟だけではございません。さらに東京のゼロメートル以下のところにもたくさん都営住宅その他が建っております。そういうような点で、建設省では、住宅局長いかがお考えになりますか。ああいうふうな永久的な構造物と考えられておるものに、今度われわれは新潟地震を通じて大きな経験をしたわけでございますが、その点、今日のきわめて薄っぺらな、せんべいを立てたような公営住宅ないしは公団住宅というものの設計のあり方について、ただ通風採光のみを考えずに、やはり安全性というものを考えていくときには、構造上もう少し考えなければならぬのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  104. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 御指摘のように、県営住宅が一棟倒れ、傾斜したものがございます。これにつきましては、ただいま調査官を派遣いたしまして原因を調べておりますが、われわれが通常想定しておった以上に、地盤と申しますか、その下部において変動があったらしゅうございます。これに対処いたしまして、どの程度今後基礎の工法をやるか、あるいは先生の御指摘のように、設計自体をすべての建築について一定の角度を持たせるかということについてても、至急現地実情を把握いたしまして、今後に支障のないようにいたしたいと思います。
  105. 岡本隆一

    ○岡本委員 総務長官は参議院から催促があるようでありますから、もう一点だけお伺いをしておきたいと思いますが、今度の石油タンクの爆発でございます。こういうふうな事態というものは予想されなかったことではございますけれども、しかしながら、いま東京から消火剤を運んでおられる、そういうことになってまいりますと、これは少しりかつではなかったか。これはわれわれ小さな企業をやっておりましても、絶えず消防署のほうから防火対策というものをやかましく言って指導されております。いつも消火剤を置くことを命ぜられておるわけです。だから、こういう石油タンクのような、一たび爆発すれば延々と燃え続ける、さらにはそれが他に類焼して大きな被害を周囲の住民に与える、こういうふうな施設に対しては、当然適当な防火対策というものが講ぜられていなければならなかった。いま東京から運ぶような消火剤があるならば、なぜ現地に置いて、ぼっと最初の一個が爆発したときに、すぐそれをぱっとぶっかけて、何とか被害を食いとめるというような措置を講ずることができなかったのか、私はこの点非常に遺憾に思うのでございますが、その点について消防庁ではそういう措置をなぜ講じておかれなかったのか、この点をお伺いいたしておきたい。  それからもう一つは、油が爆発して、しかも周囲が浸水しておるということになりますと、その油は必ず水の上にどんどん漏れていくのじゃないか、漏れた上に油が燃える。いつか横浜でございましたか、どこかで、タンカーが衝突して油が漏れ、その油が燃え広がったために、非常な惨害を起こしたという事例があったのを思い出しますが、ああいうようなことになる危険はないか、そういうことをお尋ねしておきたいと思います。
  106. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いま消防庁の人がきておりません。私は聞きかじりですから、あとでまた消防庁からお答えしますが、きのうの会議で、化学製品の特殊な消火剤といいますか、これは相当あるそうです。しかしながら、最初千トンか二千トンのタンクが、何万トンのタンクに移るということで足りない場合があるかもしれぬと思って、東京からも持っていく、こういうことの報告でございまして、いま岡本さんのおっしゃったとおり、そういう点は私自身もそのときにそう感じたのです。しかし、これは消防庁から専門的に聞きませんと、ふだんどういう対策をしておったかわかりませんから、私自身は批判いたしませんけれども、そういう話は聞いておりました。これは後日また機会がありましたら、消防庁から専門的にお答えいたします。
  107. 岡本隆一

    ○岡本委員 一つ一つの災害が絶えずわれわれにいろいろなことを教えてくれます。今回の災害にも万全の努力を尽くして被災者の救援に当たり、早急な災害の復旧に当たると同時に、今度の教訓を生かしてまた次の災害に有効な措置を講ぜられるようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  108. 中山榮一

    中山委員長 午後二時半に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後一時四十八分休憩      ――――◇―――――    午後二時四十五分開議
  109. 中山榮一

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を附きます。  これより北海道における集中豪雨による災害対策についてて調査を進めます。     ―――――――――――――
  110. 中山榮一

    中山委員長 昨日の委員会におきまして、本日参考人として御出頭を願っておりました電源開発株式会社総裁藤井米治君から、やむを得ざる所用のため出席できない旨の通知がございましたので、本日の委員会に、同社副総裁大堀弘君を参考人と決定し、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 中山榮一

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  112. 中山榮一

    中山委員長 これより質疑に入りますが、参考人の御意見は、委員からの質疑によってお述べを願うことといたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。松田銭鐵藏君。
  113. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 今回、北海道における五十億になんなんとする大水害がございました。当委員会でこれに対する御審議を願いたいと存じて、北海道庁から昨日陳情があったのであります。そこで、時間の関係もありまして、自治政務次官が非常に時聞がとれないということで――実は大臣に出席を願うことでありましたが、大臣はあの気の毒な新潟災害に対して御出張になったので、政務次官も時間に制約がありまするが、自治政務次官としてお答えを願いたいと思うのであります。それは、年ごとに災害がひんぱんとして起こる。そこで、開発庁等に質問をして御答弁を願って、それからあなたのほうに答弁していただければ、非常にものがわかっていいのでありますが、そういう都合でありますから……。  十勝がおもな被害地であります。たとえば、本別町においては昨年も相当の被害があった。本年の町自体の当初予算は二億三千万だ。それもよちよちとした予算の細み方であった。毎年毎年災害があるのだから、豊かになれるはずはないのだ。いま新潟をごらんください。豪雪によるあの被害、そうしてまた今日の地震による被害新潟県なんというものは、そうした被害が二年も三年も続いたということになっていったら、いかに県民が努力しても、とうてい立ち上がるだけに一般県民はなっていくものではないと私は思う。であるから、先ほど社会党からの御意見もあるとおり、一体国はどうするかという議論になるのです。それと同様に、小さいけれども、昨年もああした電源の放水による被害でありました。現実私はそのとき行っておったのですから……。しかし今年の被害は、北海道庁と開発庁の調査によりますと、電源の放水ではないというお話であったのです。だが、ことしはその町が、約三億二、三千万円の被害だというのだ。二億三千万の当初予算、それもそうした苦しい財政の中からよちよちと組んでおる町が、今度の災害に対して三億以上の被害、これは道庁も認めている。こういった場合、自治体は一体どうするのか。ただ単に電源開発の責任ばかりでない、北海道開発庁の責任ばかりでもないと思う。自治省はこれに対してどういうお考えをもってこうした苦しい町村に手を差し伸べてくれるのか、この点をまずお伺いしたい。
  114. 金子岩三

    ○金子政府委員 十勝の話を例にあげられての御質問ですが、自治省では、そういった災害の生じました町村に対しましては、まず交付税の繰り上げ交付と、それから災害による町村財政の負担に対しては、例年二月に交付されております特別交付税によって十分それを見込んで交付いたしておるのでございます。その他いろいろな事業の財源については、起債等できるだけのことをして復旧ができるように、私らの役所のほうでできる起伏は、この災害県市町村に対しては、御要望を一〇〇%取り入れて起債も流しておる、こういうことでございます。
  115. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 とんでもない話です。たとえばここの本別町です。本別町において起債の申請をしたところで、毎年毎年災害であって、それによって町村の財政が貧弱で、まず第一段階として道が査定をする場合、償還の能力がないものに起債をあなたのほうで許してきますか。しかもまた、よそのものならば、いや何だかんだと町村長が上京してきて自治省へ運動するが、ほんとうにこの町はよたよたした財政であって、北海道庁へ行って、本年度の予算を組むことができません、どうしたらようございますかと言って相談に行ったのだ。あなたのほうの自治省に対しても起債の申請をしたのだ。それに対して許してくれなかったじゃないか。ぼくがそのとき行ったのだ。通り一ぺんのお話では、ぼくは承服できない。二億三千万のよたよたの、道庁の監査を受けて、そしてようやく道がこれを何とかかんとかかっこうをつけて出した予算が二億三千万。それが三億のあの災害をこうむったのです。そうしたならば、一体これはどうすればいいのか。いま御答弁ができなければできなくてもけっこうです。それは与党だから、そこら辺はちゃんと心得えていますから……。真剣にこれを考えてもらわなければならない。その用意があるかどうか、この点を承りたい。
  116. 金子岩三

    ○金子政府委員 私が記憶していることを申し上げますと、貧弱団体であるがゆえに、起債の申請を受けても償還能力の問題がある、こういうことでございますけれども、災害による市町村のいわゆる地元負担の分を国から起債で借った、この分は交付税の対象にしまして、大体九十数%見ておるのでございますから、ほんとうに災害による町村団体の負担の分は、結局は交付税で国からまた交付されておる、こういう姿を災害の分に対してはとっておるのでございます。いま先生が、自治省にお越しになりまして起債の申し入れをしたけれども、それを聞きき入れなかったというお話でございますが、いつごろのことでございましょうか、私ども就任する前のことだろうと思いますので、私が政務次官に――もう、長くもいないでしょうが、私が在任中にいらっしゃっていただくならば、松田先生のおっしゃることは一〇〇%……。
  117. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 非常に貧弱町村に対する好意ある御答弁を願って感謝いたしますが、あなたがおかわりになっても、政務次官という制度は大臣にかわるべき制度なんですから、これは金子君だけの政務次官とは私は考えていないので、自治省としての立場を明らかにしていただいたということで了承していますから、この点はひとつ申し送りをし、また局長もしっかり考えておいてもらわなければならないと思います。  とにかく、洪水によって畑地百何十町歩というものが、これは浸水したんじゃない、全部決壊しちゃった。これは畑地が沖積土のいいところだから、反当十七、八万のところなんだ。ところが町長は、たとえ十七、八万の畑であっても、北海道全体をならしたものでいわれるから、反当八万円でなければだめだと言って、今回農民に八万で押しつけたんだ。そういうぐあいで、町長は良心ある災害の査定をやってきた。この問題が、今度は開発庁にいくのですが、これはむしろ、堤防をつくってやるよりも、その畑をつぶしてしまって、川を広くして将来の災害というものに防備をしておかなければならぬじゃないかという話をぼくはしてきたが、こういうときにおける援助の方法というものはあるものですか、どうですか、この点をお聞きします。
  118. 畑谷正実

    ○畑谷政府委員 私からお答え申し上げます。  いまの河川堤防復旧の問題ですけれども、私どもは現在の堤防の位置に復旧するのがたてまえでございます。  ただ、今回の出水を対象にいたしまして、その川幅をもっと広げたほうがいいという場合には、そういうような復旧工法で私のほうでやります。
  119. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 そのとき土地を買い上げるのはだれかやるのか。
  120. 畑谷正実

    ○畑谷政府委員 堤防に必要は土地は、私どもの災害復旧事業では、堤防をつくる側が買い上げます。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  121. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 そこで大蔵省に聞く。お前さんのところは、いつでも、どこからでもいやがられている大蔵省だ。これほどまでに、建設省は、これをもっと大きくすることによって災害を防備しなければならないということで、堤防敷地を買い求めてまでめんどうを見ようといり施策を行っているのに、大蔵省はややもすればそれにおのを入れる。これがいままでもあるのだ。原形に復するというのがあたりまえなんだけれども、山は木を切ってしまうし、そういうことで出水が多い。それからソ連のほうであそこでバンバンやるものだから、世の中が変わっちゃって、このごろはどういうものか知らぬけれども雨は集中豪雨だ。それがために、いままでの設計ではとても間に合わない。だから農民は、また災害がくると困るから、十七、八万もするものを、たとえ八万でも何ぼでも国が買ってくれるならば売りたいという希望を持っている。それだのに大蔵省は、一役所内の話でさえ満足に耳をかさないで査定していくのだが、こういうことは日本の将来のためによくないと思うのだ。大蔵省はどういうお考えをもって建設省の査定したものに付しておのをふるうか、こういう点、もしあなたのほうで理由があるならば、ひとつお知らせを願いたいと思う。
  122. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 具体的な御指摘でございますが、御承知のとおり、災害復旧事業事業費の決定は、公共土木施設等につきましては、建設大臣がこれを決定することになっております。財政当局の立場といたしましては、現在のところ、現地に建設省の査定官の方が行って決定をされるときに、財政当局の方もこれに立会をして、それで同時にきめていただくという形をとっておりますので、そこできまったものは、それがすでに決定でございます。御指摘のような改良復旧と申しますか、原状よりもいい形で復旧しようということは、制度上も認められております。再度災害防止というたてまえで、いろいろこまかい規則等もできております。私どもといたしましては、それぞれそういうことで適当な運用が行なわれておるというふうに理解をしております。具体的な問題になりますと、中には、御指摘のように若干不都合であるという問題もあるかもしれません。そういった問題につきましては、建設省のほうも本省があります。私どものほうも主計局がございますから、特別に問題になった事案につきましては、本省間の協議をいたすことになっております。ただ、こういうものは、従来の例で見ましても、全体の件数のおそらく一%か二%くらいのものであろうかと思います。それはどういうものが問題になってくるかと申しますと、大体非常に大きな工事でございます。一件当たり一億とか五千万とかいうものが、現地査定官一存できめることも非常に議論のあるところでございますので、そういう大きいものは中央に一ぺん持ち上げてみるということにいたしております。大体の運用は私どもはうまくいっておるもの、こういうふうに考えております。
  123. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 御答弁は非常に満足のいくような御答弁でございます。しかし事実はそれと反対だ。それは建設省、北海道は北海道開発庁、この役人の苦労というものは、まことにもうたいへんなものだ。いま言うとおり、反当十七万くらいで売買するところを、町長が中に入って、お前さん方は十七万もするというけれども、また水が出たらどうするか、であるから、これは災害の問題としても八万くらいしか出してやられないのだ、もっと良心的にこれを出してやらなかったならば、査定のとき開発庁の役人に全く迷惑をかける、それだから八万くらいにしたらどうだということで説得して出すのだ。開発庁の役人は、現地にいるから、その土地というものを知っている。そうして回ってくる査定官にも、これは十七万するのですよ、十六万するのですよ、しかし、ここのところはまあ五万に査定してもらうのが、どこどこの例をとればこうだ、八万にするのが、どこどこの例をとればこうだ、こうやるのだ。そこでもって、災害はおそろしいから、農民は、たとえ自分の価格が高くても、そこでもってオーケーするのですよ。災害の多いところほど、そういうものです。農民というものは、またくると困ると思うから。それだのに、ただいまの御意見だと――建設省の意見のとおりに、まじめな建設省の役人の査定したとおりに大蔵省もそれを認めるというのだったら、これは役人同士のいろいろな例もあるのだから、そういうぐあいに事務を進捗するようにしてもらうことが、私は工事のやり方からいっても何のやり方からいっても非常にいいと思うのです。それがややもすると、これまたたいへんな、これを売るの売らないの、何のかの、査定がこうだああだ、災害で痛手をこうむっておる上にまたそれで痛手をこうむる。みな個々の農民だから、大きな問題ではないのです。内地では一反歩百万以下というところは決してありません。それが一反歩せいぜい六万か八万というようなものに対しても、査定で今度は大蔵省へ来てどうだこうだというて、今度は建設省の役人が、北海道は北海道開発庁の役人がそこでもってまことに苦労しておるあの状態を見ると、あまりにも世間を知らない大蔵省の考え方がそうなっておるのじゃないかと私は考えるのです。こういう点に対して、建設省なり開発庁の役人が適正な査定したものは、ある程度までは――それは野方図にしろというのじゃないけれども、災害を再び繰り返さないようにそれらを十分考慮して、時価よりも安くていいのだから、そういうものに対しては早くきめてやって、災害復旧をやるようにはからっていただきたい、こういうことです。いまあなたにああだのこうだのと言うて私は答弁を求める必要もないから、そういうようにしていただければけっこうだと思うのです。
  124. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 関連で私はちょっと言うておきますけれども、災害関係で、まず建設省では、大阪のジェーン台風、たしか昭和二十五年ころだと思いますが、私はそれからずっと災害ばかり、議員になる前からやっておりますが、あのとき、たしか増田さんが建設大臣をやっておったと思うのですが、緊急の場合の措置として、現地でまだ未査定のうちに、大体見積もりに対してその内金として即決して救済措置をとられた。これは金高のいかんにかかわらず、現地の士気を非常に鼓舞し、感謝もしました。それから後、二十八年の水害から私はずっと災害をやっておるわけですけれども、あの二十八年の水害当時からは、いままでのように復旧工事が原形復旧では災害を防ぐことはちょっとできぬ、そこで、原形復旧しても将来災害を繰り返す憂いのないというところは原形復旧でもよろしい、しかし、大多数の地域においては、改良工事を含めてこの復旧工事をやる、大体それを原則にしようじゃないか、こういう申し合わせができたと思う。それで、二十八年後の水害については、改良復旧を主にした復旧工事が各所で行なわれて、非常に喜んだ。ところが、最近になるとまた原形復旧が原則のようなやり方を強要されておるように見受ける。こういうことは災害を繰り返すのみであって、災害の復旧と将来に対する災害の防止、そういう二つの目的を果たさないことになる。ですから、これはさっきの答弁では私はどうもその点が満足がいかぬ。  第二は、大蔵省ですけれども、いま松田先生が言われるように、現地の府県なりあるいは出先の地方建設局では、これは非常な努力をして災害の程度等について査定をしておる。それを大蔵省の査定官がやってきて削っちゃう。削って、今度は検査院からやってきてそうして検査官が査定をする、またそれで削っちゃう。そうなると、これは護岸工事をしてもらっても、私はいつかも言ったのですが、何にもならない。ある地方においては、二十八年度災害のあと始末ができなくて困っておる。それがしかも九割以上の高額補助なんですね。ところが、そういう結果になって、いまでもけんかをしておる、こういうありさまです。だから、その工事の中で、いま松田先生が言われたつぶれ地の補償はどうかというと、全然もらっていないところがあるのです。こういうことを言うのですよ。「何言うているんですか。これは災害が起きるから、ここは原形復旧でなしに改良復旧してあげるのだ。だから、土地の補償なんて、そんなことを言うなら工事はできません。」そして何町歩にもわたって無償で川床に取り上げてしまっておる。こんなむちゃなことをやって、そして地元負担を強要して、いまだにその問題が解決しないところがあるのですよ。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 これは御存じかどうか知りませんけれども、それでは大蔵省、あまりそういう点えげつないじゃないかと思うのですよ。せっかく議会も建設省も一生懸命になってそしてその復旧のためにいろいろのことを議決して、法律までつくってやっておいても、最後にはそういうことだったら、土地の人は、ほんとうに、恨みこそしても、ありがたいとはちっとも思わなくなってしまいますよ。これは一体どういうことになっているのですか。私はその説明もしてもらいたいと思うが、二度とそういうことのないようにしてもらいたい。  それからもう一つは、税額によって基準がきまっていますけれども、それに該当しない、ここはわずか五十万、百万だといっても、それはたとえ家が一軒流されたとしても、その流された者にしたら、全財産を失ったということと同じですよ。百戸流れたも一戸流れたも、個人についていえば、被害としては同じなんだ。でありますから、あまりにも復旧に熱意がない、ほんとうに救ってやろうという熱意がないのじゃないか。何か口実を求めて査定を刈る、金を出さないということのみに狂奔して、それをまた、査定をしてきた係官の手柄のようにして言うのじゃないか。こんなことでは国民は納得しません。だからといって、私は放漫なことをやれというのでは決してないのです。決してございませんけれども、議会で皆さんから答弁をしてもらうのと、現地で実際その衝に当たって――私もその被害者の一人ですが、あまりにもこれは違います。この議会で答弁されたことをそのまま正直にすなおにやってもらわないと私はたいへん困るのですが、その辺、大蔵省の見解なり、建設省も、これから起きる災害について、二度とああいうことのないようにしてもらいたいと思うが、これはひとつ責任のある、実行力のある答弁をしてもらいたい。
  125. 畑谷正実

    ○畑谷政府委員 私から御答弁しますけれども、第一点のいわゆる原形復旧という問題ですけれども、いまお話のとおりに、法律上は原形復旧ということで進んでおりますが、実際問題は、私どもも非常に反省しておるのでございまするが、復旧工事をうまくするかしないかというのは、再度災害という問題で必ず明らかに批判されるわけです。現実にもう復旧したけれども再度災害を受けておる、こういう現実に対しましては、私ども、技術的にこれではいけないということについては、信念をもってそれに耐え得るような動作をするということで、実際の行動としては、原形復旧ということでなくて、この点は技術的にいけないということであれば、改良復旧を加味された仕事をして進んでおるわけでございまして、ある事実行為としてのいろいろな御指摘があるならば、これは十分それに対処することがなし得ないならば私ども注意したいと思いますけれども、現実的には十分そういうつもりでおります。  それからもう一つは、いまの改良復旧の場合に、それじゃ土地の問題をどうするかという問題ですが、御指摘のとおりに、過去においては、災害復旧の直後でございますから、土地の境界もわからない、うっかりするとそれが無断でもって、ほんとうは私有地でありながら、国のものになっておるというようなことも確かにあったと思います。しかし、現状においては、やはり復旧するために必要な私有地については、私ども、しかるべき時価相当額を補償対象といたしまして買うということは必ず実行もしておりますし、査定においても十分その点を考えてやっているつもりでございます。
  126. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいま河川局長の御答弁の線と大体同じでございますが、一応、三点ございますので、順序によって申し上げますと、まず原形復旧と改良復旧の問題でございます。これはいま河川局長の御所信があったとおりでありますけれども、御指摘のとおり、二十五年のジェーン台風の当時と現在とでは相当考え方の進歩があると思います。二十五年と申しますと、ちょうど公共土木施設国庫負担法が戦後新しくできた年でございまして、原形復旧などに対する考え方は非常に厳格であったと考えられるのでありますけれども、そのころからいろいろ災害がございまして、原形復旧原則のまずい点ということも実際の問題として出てまいったわけであります。そういうことがありまして、二十九年から災害関連事業制度というものがっくられまして、改良復旧を制度的にやっていこうという制度が以来ずっと行なわれておるわけでございます。最近で最も顕著な事例といたしますと、三十四年の伊勢湾台風につきまして、防潮堤の復旧事業を、約八百億という非常に大きな改良復旧をやっております。そういったことでございまして、その災害関連事業の程度等につきましても逐年改善をせられておるというのが制度上の実態でございます。例を申し上げますと、たとえば木橋が被災をいたしました場合に、原形復旧ということになると、もう一ぺん木橋をかけるわけでございます。これなどは非常にぐあいが悪いじゃないかというので、数年議論のあった問題でございますが、最近は、大体ある程度交通量のあるものは永久橋にかけかえるということが原則になってきております。そういうことで制度的には非常に進歩しておると思います。  御指摘の河川を拡幅する場合の土地買収につきましても、これはただでやれというのが原則じゃございませんので、用地買収をするというほうが原則でございます。何か実際の運営上ぐあいの悪い点があるように松田先生の御指摘もございました。これは具体的な件名につきまして後ほどお知らせを願いまして、私どもその調査をして、不適正であれば是正をいたしたい、こういうように考えております。  それから、第三点として御指摘のありました点は、災害の大きさによって厚薄をつけることはどうかという問題でございますが、農業災害などにつきましては、常にそういう議論がどうしても出てくるわけでございます。しかしながら、この問題につきましては、なかなか割り切ることは困難でございますけれども、結局国が関与していくという場合において、めんどうを見る範囲というものを、ある程度国全体としての大きさという点から見ていくことが妥当でないかということで現在の制度ができております。したがいまして、非常に局地的な問題は、地方の自治体なりそういうところでいろいろめんどうを見ていただくというのが現在のたてまえであります。しかし、そういう考え方に若干矛盾があることは御指摘のとおりでございまして、いろいろの制度についてそういった問題の検討が行なわれております。なかなか簡単にこうしたらいいというものは出てまいりませんけれども、御指摘の問題はわれわれとしては常に頭に置いて運営をはからなければならない、こういうように考えておるところでございます。
  127. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 私は三十年に北海道開発庁の政務次官をいたしました。そのとき、糠平ダムの建設の問題で、党としていろいろと議論があったのであります。私は十勝というものを知らなかった。しかし、地方の住民の意見をも聞き、あの音更川という十勝の本流と、いまの利別川という、これは下流にいけば一緒になるのでありますが、二つの水系がある。この水系に対して、音更川の大きな水を利別川へ電源開発によって落とすということになったならば、これは国の開発のために電源開発がダムをつくり発電するということはいいが、それがために利別川の水系に音更川の水系の水が注がれてもし災害が起きたらどうするかという議論が、北海道特別委員会だと思ったが、そのときに起こったのであります。そこで、当時の池田という北海道開発局の局長は、いろいろと調査の結果その心配がないという結論であった。もしあったならば一体どういう措置をとるかという再度の質問に対して、いまから利別川の水系に対しては堤防を築く、万が一そういう事態が起きても心配がありません、国費河川ですから、国の責任においてやるのだという答弁があったのです。私は当時は政務次官として政府だ。そこで、それを記録にとっておけということを申しつけておったのです。昨年の災害に際して、私はその記録を開発庁にさがしてくれと言ったが、なかった。そういういきさつがあったのです。失礼な話ですけれども、あなた方は書類に書かなければならないけれども、私には手帳というものがない。全部頭に書いている。だから頭がいいということになる。そういうことで、自分が当時政務次官のときであったが、その問題は何もかも忘れることはできない。  さてそこで、昨年の電源開発が放水したとき、電源とすればまことに悪いが、この議論からいけば私には非常にいいことは、当時私は十勝に行っておった。行っておったばかりでなく、そのダムの下のほうの道路を通った。そのダムのところは二級国道です。何のために向こうに開発局建設部のトラックが待っておったかと思った。そうしておるうちに、そのトラックが来まして、ぼくの乗っておる自動車を引っぱってくれた。どうしてこんなに水が出るのだと聞いたら、山に二百ミリの雨が降ったというのです。本別や足寄のほうはそのときは何も雨が降っておらない。それなのに、その電源の放水によってその道路が水浸しになっておる。建設部の車が私を迎えてくれて引っぱってくれた。そのときの被害が昨年の被害だ。これはもう何もかもない。こっちのほうはよけい降らなかったが、糠平ダムのほうは二百ミリも雨が降った。あれから下のほうの仙美里とかなんとかいうところは雨が降らなかった。それなのに、これを調査したら、二十トンのトンネルより掘っていない、秒速二十トンより流していないというのだが、当時はそのようなことで二十トン流しておった。それで何もかもなくなり、二級国道は水浸しであった。そしてその下流には人造湖があります。糠平の下のほうの本別と足寄のところでもう刻々とわかるのです。流れてくるどろ水が赤いし、いままでたまっておる水は青いし、刻々とわかるのです。それをそのまま放流したら――あそこは仙美里地区とかなんとかいうところですよ。道費河川だから、千二百万の査定がついて、昨年のうちにその工事をやったのです。そういう事実があるのです。しかも私はそのときにおった。まずこの写真を見てください。今度の災害において、先ほど私が金子政務次官にお話したように、二億三千万よりない当初予算の町の財政で、三億以上の災害をこうむった、これはすべて電源開発の放水による、こういうことで、ぼくが行ったときに、旗立てて――旗は何かというと、全部、ダムの放水によるということであった。見てください。ダムと書いてある。この陳情書もそうだ、そのときに、えらい連中がおりましてね。電源開発には本別町として世話になっておるんですよ。だから、ほんとうはいままではものが言えなかった。ところが今度は、即時あの職員を解雇しろ、交代させろという決議だ。そこで、初めは、五十トン流すという連絡があった、それから百トン流すという連絡があった、百五十トン流すという連絡があった、二百トン流すという連絡があって、最後には、三百トン流すという連絡があった。私は道として開発庁に聞いたら、こういうのだ。秒速二十トンより流れないトンネルだけあるのだという。それなのに、五十トン流す、百トン流す、百五十トン流す、二百トン流す、三百トン流すといって下流のものにそういう通知があったのです。一体これはどういうのか、意味がわからない。二十トンより流せないのならば、放水しないのならば、そんな通知をする必要はないものだと思う。こっちはしろうとでわからないから、そういう話ができ得るのです。そこで、これははたして何トン流しているのか。今回のあの災害が、利別川流域のものは、雨は八十ミリから九十ミリより降っていない。それだのに人工洪水だ。ほんとうのところ人工洪水です。そうして開発庁と北海道庁は、二十トンより流していないのだというのだが、五十トン流し、百トン流し、二百トン流し、三百トン放水したと通知があったというのは、一体どういうことか、その意味がわからない。それによってはたしてそれだけ流しておったのならば、これはたいへんな問題じゃないかと思うのです。この点に対して通産省の御意見も聞かなければならぬし、それから電源開発の御意見も聞きたいのです。
  128. 大堀弘

    ○大堀参考人 ただいまのお話の点でございますが、先生御承知のように、川が三本でございまして、音更川の流れとビリベツ川の流れと利別川、この三本の支流が並行して流れておりますが、糠平ダムは音更川の上流にあるわけでございます。その少し下に元小屋ダムというのがございまして、そこから音更川の水をビリベツの上流へ二十トン分水できる形になっております。そして、昨年の御指摘もございましたが、今回は私どもも地元に十分注意を与えておりますので、水が出ました当初において、この二十トンの分水はとめておるわけでございます。一滴も出しておらないわけでございまして、さらに、音更川の上流のほうに降りました水は、糠平貯水池が幸いに水位が非常に低かったものでございますから、三千三百トンあまりの水をここにためまして、音更川の下流にも水を落としておりません。したがいまして、この限りにおきましては、糠平ダムは音更川の下のほうに対して非常にお役に立った、水をカットしたという意味でお役に立ったと考えるわけでございます。  ビリベツ川のほうにおきましては、やはり上流で降りました水が次第にふえてまいりまして、ちょうど問題のありました地点に一番近いダムが活込ダムで、ただいまお話がございましたように、最初は五十トン、百トン、百五十トンと上げまして、実は上流から入ってまいります水の流入量が二十トンは流れておりませんから、ビリベツ川の上流の芽登川、及びビリベッ川の本流でございますか、この川の水がここに入ってきたわけでございまして、その流量が次第に上がってまいりまして、最高の場合は三百七十六トンまで上がったわけでございます。活込ダムは調整池でございまして、糠平のように大きなダムではございませんので、容量はそれほどございません。しかしながら、できるだけここで調整をいたしまして、水位が五メートル程度になっているようでありますが、六メートル程度まで上げられますので、できるだけ水を調整いたしまして、下流の要望もありまして、最高三百トンで押えたわけでございます。流れ込んだ量は三百七十トンこえた場合があるのでございますが、三百トンで押えまして、しかも三百トンになりますまで時間をかせぎまして、次第に量をふやしていったという形でありまして、この清勢のもとでは私どもはやむを得ない、この程度の措置が最善の努力であっただろうと考えておる次第でございます。  利別川のほうは雨の量がわりあいに少のうございましたので、ダムの操作規定の範囲内で正常運転をいたしたわけでございます。  そういうのが現状でございまして、二十トンの分水はこれは終始とめておりましたわけでございます。ちょうど当時糠平でダム周辺の土砂が少しくずれまして発電所に障害がありましたものですから、発電も停止いたしました。したがいまして、こちらの水は二十トン送れるわけでございますが、決して送ってないわけでございます。したがいまして、先ほど来のお話は、ビリベツ川自身の流量の問題でございます。これもできるだけ影響を少なくするという意味で、三百トン程度までカットしてやりましたのでございますが、それにかかわらず下流方面に水害が出ましたことは、私どももまことに残念で、申しわけなく思っておりますが、そういう事態でございます。
  129. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 非常に親切に詳細に御説明を願いました。実はそのことは開発庁と北海道庁も前に私に説明されました。それと同じ説明でありますし、数字的に非常にりっぱな説明であるから、私はそれを非常に喜んでおる。むしろ、少しでも治水のためになっているのではないかという考え方を持つのであります。しかし、これは大事な問題ですよ。かってあれは王子の山だ。王子が一年に十五万石くらいずつ木を切っておった、そうしてそれをみなあの川で流送してやったのです。春の雪解けどきに水をためるのです。しろうとのやり方でためるのです。そしてあばを張って、そこで全部木を川へ流し落とすのです。そして一ぺんに堤を切る。人造洪水だ。その水でもって下流に流すのです。これはどこの川でも北海道はもとはやったものなんだ。それを繰り返し繰り返しやってきた。いまは、護岸をこわすから、建設省もそうことはやらせない。かつてはそれをやっていたものだ。春の雪解け水を集めて、堤をつくって、それを切って一ぺんにその人造洪水でもって流す。それでも今日の被害はなかったという。古老の者は、七十年来の洪水だと言う。ただいまの御説明からいくと、むしろあのダムがあったために非常によかったのじゃないかという考え方を、私いまの御説明で受けました。だが、一方また、あのダムがなかったならば――人造洪水をやって流木を流すときは被害がなかった、ダムにためておかないで、雨が降ったら降ったままに流していたならば、初めから降ったものがずっと流れていったのじゃないか、そうするとあれだけの洪水にならなかったのじゃないかということも考えられるのが、学者でないから、数字的なことを言うてそうしてあなたのほうの責任だという意味じゃないことを御了承願いたいが、そういう点もひとつ考えられる点があるのじゃないかと思うのですよ。あなたもずいぶん企画庁におって、われわれといろいろとたびたび議論もし、りっぱな人柄であることも承知し、そして常に国のために御努力してくださって、われわれはあなたの講義を受けたこともあります。そういうことで、りっぱな方だということで私は尊敬もしております。あなたの総裁自体もそうです。だが、私はふに落ちないことがあるのだ。これはこういう速記をとって言うべきことであるかどうか、ついでだからお話するが、あなたのようなりっぱな方々がおられるのに、電源に対しては不信を抱いておる。はたして二十トンも流したか流さないかという、むしろ流したのじゃないかというような考え方も私は持つのです。なぜならば、電源開発は、糠平というダムは生命線です。その生命線は、あそこの水域、つまり、あそこの水資源をもってあなたの会社は営業がなっている、利益をあげているのです。いまは赤字であるかどうかわかりませんけれども、これで利益をあげて国の経済のために寄与されておるのです。だから国も資金を出しているのです。特殊会社です。あなたのようなりっぱな副総裁また総裁がおられる会社が、それと異なった行為を常に行なっている。この事例をまずあなたによく納得してもらわなければならぬ。あの資源というものをもってあなたの会社は立っているのだ。自己の利益のためにあの資源というものを活用しているのだ、国のために活用しているのだ。一体、糠平ダムに行ってみたことがございますか、どうですか、この点もお聞きしたい。
  130. 大堀弘

    ○大堀参考人 私、まだ昨年の暮れに着任をいたしまして、現在本社の仕事が非常に多忙でございまして、現地のほうを十分視察しておりません。糠平には近く参りたいと思っておりますが、まだ参っておりません。
  131. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 行ってみてごらんなさい。あなたが行ったらびっくりするから。きたない話だけれども、それはいなかの便所にウジがたかったようになっている。あのダムをつくって以来の流木があそこにある。そして水がかれたときになると、全部あの湖岸に寄っているのです。その醜いこと、私はいままで、あなたの電源開発に、とってやってくれと、二回注意をした。水資源は自巳の利益のために活用しているのだ。しかもあそこは北海道における国立公園なんです。観光客がほんとうに楽しい思いをしてあそこへ遊びに行くのです。昨年、帯広は三十二度、あまりにも暑いので私は糠平に行った。たまたま行ったのです。そうしたら、もう全村完全冷房、文化都市だ。富士の山へ行ったと同じだ。ところが、そういう観光地であり、温泉場もある、そこに、そのダムの両わきに上がっているあの流木だ。約二千石ある。十年以上たっていますよ。いまだにそれを片づけもしないのだ。どこのものかと思って、私は、営林局長、おまえのものじゃないか、何のざまだと言うたら、いや実はこれは電源のものですと言うのだ。いいかね。その答えは要らないよ。さっき話があったから、要らない。そこで、電源のものだというから、早く片づけろと、あなたのところに二回注意したのだ。自分はあの資源を活用して利益をあげている。そして人が住んで、観光のためにやっているところに、そのきたなさといったらないのだ。木は腐っているかいないかはわかりませんけれども、たとえて言えばさっきのようなことだ。自分の利益だけはとって、人がレクリエーションをするときも、観光に行くときも、それをあえて顧みないというやり方は、政府の出資している電源開発としてとるべき手段ではないのじゃないか。頭がどうかしていると思うのだ。そこからいくと、いまの、水を二十トン流さないというけれども、これは流したのじゃないか。なぜかというと、自分の利益のためならばあえてどんなことでもしょうというあり方が頭の中にあるのではないかという考え方が浮かぶわけですよ。だから十分注意をしてもらいたいと思うのです。この答弁は要らないです。  そこで今度は開発庁だ。私は開発庁の政務次官のときにそうしたのだ。これは記録はないのだが、私はこの洪水は電源に責任を持たせたいと思ったのだ。ところが、ふわっと逃げてしまった。そっちは二十トンで流したというんだから。ところが、年々歳々ああいう災害をこうむっておるのです。それがために、前段申し上げたように、二億三千万の当初予算も、どうにもこうにもならぬので、道の指導を受けてようやく組んだ予算だ。それにまた三億以上の災害をこうむったというのだ。私はそのとき政府なんですよ。政府の政務次官なんです。それだのに、話し合って、絶対にないのだと言うて各委員たちにそれを了解させたのだ。私が了解させたのだ。開発局長が来て、心配ない。防備は完全にしますからと言ってから十年だ。この十年というものは何をやったか、この問題です。ひとつも防備をしていないのだ。これは建設省の河川局長は、開発局長が中へ入っているから、答弁をしなくてもいいから全くいいようなものの、一体開発庁はどうするのだ。しかし、ここは大事なことだから聞いておいてもらいたい。そういうことだが、一体どのようにこの災害に対処してくれるか、またはどのように将来これを防備してくれる考え方をお持ちになるか、これをひとつ御答弁願いたいと思います。
  132. 井川伊平

    ○井川政府委員 だんだん先輩松田さんの政務次官当時の御苦労のほどを承りまして、感謝申し上げておるわけであります。また今回、北海道といたしましては、利別川流域の町村を加えまして――千歳にも一部被害がありますが、主としては利別川の流域の町村の被害がきわめて大きいのであります。しかし、御承知のように北海道はまだ原始河川の時代でありまして、自然のままに置かれている川がほとんど大部分でございまして、そのうちのこれが一つであります。ことしは、ただいままでのところ、利別川の上流と千歳川の上流に集中豪雨がありまして、その二地方が非常な損害をこうむったのでありますが、集中豪雨の降る場所によりましては、同じような現象が北海道の各地に起きるわけでございます。そういうようなわけでありまして、北海道の今後の問題といたしましては、せめて第二期総合開発の推進のうちに、そうしたような重要な原始河川は全部築堤をし、護岸をいたしたい、こう念願をするものでございますが、一度にそうもならないことであり、来年度はどこの点に集中豪雨があるかということは予測のできない点でもありますので、乏しい知識によって非常に苦心をいたすわけでございます。それで、松田さんの該博な知識及びお力をかりまして、またわれわれもできる限り十分に研究を遂げまして、北海道にこうした被害が将来ともに北海道の重要ないかなるところにおいても起きないようにしていかなければならないという念願が、私の念願でございます。しかし、広い北海道の築堤、護岸、それが一度にできるわけではありませんので、大切なところから大切なところからと、いろいろお知恵を拝借いたしまして努力を積み重ねてまいりたい、かように存じておる次第でございます。どうぞて御指導をお願いいたしまして、御了承を願っておきます。
  133. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 それは開発庁としておざなりの御答弁じゃないかなと思うのですよ。井川さんと私がここで議論したってしょうがないのだけれども、おざなりのことがあろうと思うのですよ。それは北海道開発審議会またはいろいろな機関によってそれを行なって――その答弁は私もそうだろうと思うのです。早く国費を導入してやっていかなければならない、それには及ばずながらも一生懸命に努力しなければならないのですよ。だが、前段申し上げるように、三億三千万よりその町の予算の組めないようなその原因は、昨年度の水害、その前の水害と、水害がたび重なっているから、農民の収入も不足ですし、それから町の起債もふえてくるし、そういうことで財政が豊かでないのですよ。それにまた加えてああした災害災害では、もう住民はおびえておりますよ。でありますから、この写真を見てごらんなさい。ダムを、仇敵ダムと言っている。おかど違いの議論を、やっているんですよ。いまの御説明からいくと、それは電源に言うことはおかど違いだが、それほどもうおびえていますよ。しかも、これは前段申し上げたように、二十八年に私は政府の立場から公約したのです。だから北海道全体の河川というものを予算をとって一日も早くやってもらわなければならぬ。それは北海道から出た代議士とすれば全部がその気持ちでおります。しかし、こう災害が重なり、町が立っていかなくなり、十年前に当時私は政府だったから、政府として確約をしたことをいまだに解決していないということは、私どもの責任でもあるけれども、一にかかって開発庁、建設省の河川局長に、責任はおまえさん方にあるんじゃないかと言わざるを得なくなっているのです。だから、政務次官の御答弁は、それでけっこうでございます。それ以外に方法はないだろうと思う。しかし、そういう事情のもとになっているものに対して、それこそ住民の不安というものを解消するためにも、この川をどうにかしなければならないという考え方をお持ちになりませんかどうか、この点をお伺いしておきます。それはあなたばかりじゃなくて、河川局長にもお願いしたい。
  134. 井川伊平

    ○井川政府委員 先ほど申しましたように、利別川の上流における集中豪雨のために、その流域の本別その他が非常な損害をこうむりましたことについては、まことに御同情にたえない気持ちは、私の気持ちもあなたの気持ちも同じだろうと存じます。それで、そういうものを一日もすみやかに不安のないようなふうにしていかねばならぬということは、これは大きな国の政治の問題だろうと存じ上げます。ただいかんせん、最初に申し上げましたように、北海道は多くの川が原始河川でありますので、同様の不安の状態に置かれておるところが非常に多い。だから、ほかをうっちゃっておいて、甲の個所、乙の個所ということだけに限定をするということは、なかなかに困難な問題でありますが、そこには重要性の分量によりましてどこを先にするかの決定の問題があろうと存じますので、私どものほうにおきましても十分に研究をしますから、そのときはあなたのお知恵もおかり申し上げたい、こう申し上げておる次第でございます。
  135. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 では、これに対する復旧対策はどう考えておられますか。
  136. 畑谷正実

    ○畑谷政府委員 今度の災害によります復旧対策でございまするが、これはもうすでに出水期を迎えまして、一日も早くこれが復旧をはからなければなりませんから、すでに現地の、補助災害にしましても、直轄災害にしましても、復旧についての工法その他の準備は至急いたしております。ただ、補助災害においては、査定業務というあとからの予算の措置はございますけれども、実際の復旧の動作は翌日からどんどん進めております。もう二つは予算の問題でございますが、先生からお話のとおりに、河川の実態は、こういうふうにしていろいろ御要望がありながら、なおできないじゃないかというお話に対して、実際に私どもそれに対して、いやこうだということが言えないほど、実は治水の事業というのはおくれております。これは私どもまことに自分ながら申しわけないと思いますが、しかし、それにしましても、治水の予算についてはできるだけ早くそういう、どこにおいても、ある程度の雨が降れば災害が起こるということはわれわれ百も承知で、しかも年々こういうような災害が起こっております。私ども治水に対しては何とか早くこれをしなければならないというので、あらためて来年度からも大幅な治水事業のワクの増大もお願いするということでおりますし、もう一つは、年年こうした非常な災害を受けました地元の人たちのために何とかしなければならぬということについては、私ども全力をあげまして、特別な措置としてそれが一日も早くやれるように、これは開発庁とも相談の上、全力をあげてやりたいと思います。
  137. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 予算の面に対しては、むしろ局長よりもわれわれに責任があるのです。だから、こういう点に対してはどうかひとつ思い切って予算の要求を出してもらいたいと思うのです。  それからもう一つは、私は今度は池田町と、それから豊頃というところに行ったのです。ところが、われわれでは技術的にはわかりませんけれども、十勝川の治水というものは、局長の御意見を聞かなければわかりませんが、人の話からいきますと、川の下のほうからやっていくものだということを聞かされておるのです。ところが、十勝川の開発されておるところは、全体からいくと中部からやってきたのです。それがために、いままで蛇行のある川がまっすぐになってしまって、水勢が速くなってきた。それがために河口がはんらんしてしまうのです。あれで北海道で三番目の川ですから、それがために豊頃というところと池田町は全部冠水してしまった。治水のやり方からいってそういうものができているんだということ、それから、曲がっておるところをまっすぐに切ったので、古川になっておるのですが、その水のはけ場所がない。古川になっている。小さな用水の土地改良であろうと、そういう用水のものがそこにみんな入る。明渠がない。それでもってあふれるから、全体に大きい川から上がってくる、そういうことなんです。だから、根本的には開発庁としても土地改良の問題もあるのです。そういうことだから、根本的にはあれをもう一回再検討して、あの古川を、たとえば土を埋めて、河川からポンプでやれば埋まるんだから、そうして明渠を抜いておくというようなやり方もしてもらわなければ、根本的な解決ができないんじゃないかということが一点。  それから浦幌というところは、道費河川なんです。そこの橋という橋が全部落ちてしまいました。これは道費河川で、道の問題ですが、四十くらいの橋が全部落ちてしまったのです。本別町と同様に、貧弱町村にこういう災害があればあるだけそういうことになるのです。そのどんじりがどこかというと、大津の十勝川に入っているところがはけないから、またあの町が全部水浸しになった。こういうことで、いま幸いに早い時期ですから、水の引いた水田あたりは持ち直すことができると思いますけれども、ビートだとかなんとかいうものは全部被害をこうむった、こういうことでありますから、一にも二にも河川というものに対して十分の御注意、そうしてだんだん予算を編成する時期になってきておりますから、思い切って河川の改修というものに大幅の予算を請求するように御努力を願いたい。われわれもそれに懸命な努力をしていかなければならない。何ぼあなた方に文句を言ったところで、河川の予算がふえなかったら何にもならない。ほんとうからいきますと、それはわれわれ与党の責任なんです。だから、自分で自分を責めておるようなものなんです。こういう点に対する計画を十分につけていただいて、そうして一日も早くいまの災害に対する対処をしていただきたい。自治省は自治省でまたひとつよろしく御高配のほどを願いたい。とにかく政務次官、かわると言っても、これが解決しなければかえないから、そのつもりでひとつよろしくお願いいたします。  まだまだ待っておるというから、この程度でやめますが、どうぞひとつよろしくお願いします。
  138. 中山榮一

  139. 泊谷裕夫

    泊谷委員 きのうからほとんど新潟の問題で徹夜されて、きょうも地元の要請があってたいへんお忙しいと思いますので、できるだけ簡略にお尋ねしたいと思うのですが、一番最初だけはどうしても基本的な問題ですから、少し時間をかけて説明をして御見解を承りたいと思います。  私は、この六月の三日から四日にかけて九八〇ミリバールという猛烈な低気圧が、日本海の中部から津軽海峡を抜けて宗谷岬に突き抜けたのでありますが、海上では大体二十メートル前後の南風が吹きまくって、陸上の内陸部でも雨量二百ミリに達するということで、北海道全体として、十四支庁のうち十二支庁が被害を受けるという全般的な被害を受けるに至った問題についてお聞きしたいのです。  お尋ねする前に、今度の災害で釧路沖では漁船が遭難いたしまして、十七人の人々が、陸上を含めてなくなられた、あるいは十人の人が行くえ不明になるというような、とうとい犠牲まで出したのです。これらの方々に対しては、この委員会を通じて冥福を祈ると同時に、たいへんなことでありましたから、報道関係の皆さんはもちろんのこと、役所も警察署の署員の方も消防の皆さんも、たいへんお骨折りいただいたというふうに聞かされておりまして、まず最初に御礼申し上げておかなければならないと思います。  ところで、その災害被害の程度は、一昨日北海道庁から関係各省に要請したというお話を聞いておりますが、まだ十分水が引いてないというので、今後もその拡大が予想されるのでありますが、この中でどうしても私として解せない問題が一つありますので、お尋ねをしておきたいのですが、北海道では、昭和二十九年五月九日から十日にかけて、約十年前にもたいへん大きな、ひどい低気圧の来襲がありまして、このときも、死者二十六人を含む負傷者を百三十六人も出すという大きな苦い経験をしておったわけです。二日の日に、気象庁では、このときの情勢とよく似ておるというので、あらかじめ警報を出しました。北海道庁は、それに基づいて、各支庁長を通じて、万全の手配をせい、特に海上、農業災害最小限度に食いとめるために万全の措置をとるように、こういう指示を与えておったのであります。ところが、この降雨量は、一昨年の九号台風より実際は少ないのに、相当の被害を出しておるのです。北海道の、こともあろうに、ひざもとである道庁所在地の札幌市の例を見ますと、降った雨はわずか七十五・九ミリです。ところが、市内の各所のマンホールは全部水がふき出し、道路が川になって、道路冠水が五十二・八キロという事態を生じてしまったわけであります。幸い、こういう情勢の中でも、昨年下水工事をしたところ、毎年雨というと必ず洪水になっておりましたところがこの難から免れたという部分もあります。そこで、新聞報道によりますと、札幌の市長は、今回の洪水については、小河川がやられると思っておらなかった、札幌の近くのところには、山間部に百ミリの集中豪雨があったときに、明け方しかも集中的にやられたので、防災手配に抜かりがあった、こういうふうに話しておるのですけれども、しかりとするならば、その沿線の川がこの洪水の起点になるということならばわかるのでありますが、先ほども指摘しましたように、被害の程度の差こそあれ、札幌市全域にわたって水浸しになっておるということについては、この市長のことばをそのまま受け取るわけに私はいかないような気がするのです。特にことしの春から、融雪期の水が逃げずに、それが便所に流れ込んで、何とかしてほしいということで、町でもたいへんな騒ぎになっておったような場所なんです。なおまた今回の水で冠水をした。こういう実際の姿を見まして、はたして、この雨量の少ない中で被害の大きかった直接的な原因、これについての考え方について私は疑問なしとしないのです。小さな河川は、確かに洪水の場合には、また集中豪雨の場合には何の排水の作用もしないということは知らされたと思うのでありますが、それにもまして、無計画に都市周辺に片っ端からつくられる、宅地造成という名において行なわれます工事そのものの土砂が、一級国道を埋め、それから中級の河川を埋めて、水をさらに横に拡大したということについて、私はこの際強く検討してみなければならぬのではないかと思うのです。特に昨年札幌では、この台風にこりまして、防災会議というかけ声だけの会議をつくりまして、一千二百名の防災員がおりまして、補助員を設定し、緊急の際にはすみやかに連絡し、その被害の拡大を防ぐことになっておるのですが、先ほども指摘しましたように、道庁から指図があるにもかかわらず、その防災担当の市の吏員一人も宿直せしめておらない。七十万の都市だというのに、救命ボート三隻しかない。こういうのが、北海道で一番大きい七十万都市の実態であります。そんなことでありますから、大札幌市といわれるのに、小学校では十七校も、バケツを置かなければ授業ができないし、天井の雨漏りの関係だと思うのですが、防災ベルが鳴りぱなしで、二時間で小学校の生徒を帰宅させなければならぬというような始末を起こしておるのであります。札幌に住む者としてながめてみた場合に、一面では、冬季オリンピックを札幌にというので、相当大きなお金をかけて鳴りもの入りで宣伝します。せっかくの機会ですから、冬季オリンピックを札幌にという気持ちもぼくはわかりますけれども……。  そこで、この問題についてぼくは自治省のお考えを伺いたいと思う。この市長の行なおうとしております本質的な災害を防ごうというかまえ方については、私は本末転倒のような気がします。しかし、市長のようなことを考えてみますと、小河川一本も自由にならぬというのが、いまの地方の都市行政の実態です。すべてが中央に集められて、中央ですべてのものをきめるというしかけになっております。今回災害ができて、緊急に何とか措置しなければならぬという実態を考えてみますと、これは関係する役所があまりにも数が、多くて、一体どこにどうぶち込んでいったらすみやかに措置していただけるのかということについて鮮明にされないきらいなしとしないと思うのです。そこで、これらの実態をながめて、いままでやっておりますように、災害が出ればそのあと始末としてそのあとを追うとか、きょうきのう起きました新潟地震のように様相を異にするものは別としても、この程度のものについては人間の力で災害には負けないぞという、同じ金をかけるならば、積極的に下水道を掘るとか、あるいは中小河川の補修をやるとか、こういうところに優先その目が向けられ、政策と実行というものが具体的に示されなければならぬと思うのでありますが、これについての根本的な考え方を政務次官にお尋ねしたいと思う。  これに関連いたしまして、先ほど先輩松田議員からもお話がありましたので、基本的な考え方と、当面する問題で、当然公共土木施設災害復旧事業を早急に実施していただけるかまえがあるのだと思うのですが、あわせてこれも御答弁いただきたいと思うのです。
  140. 金子岩三

    ○金子政府委員 御指摘になられておることは、みなごもっともなことでございますが、政府全体にわたる問題でありまして、ただ私の関係は自治体の財源に対して自治省がめんどうを見ておるのでございまして、いわゆる災害のあとを追っかけて、原形復旧か改良復旧か、とにかくあとを追っかけるような今日までの姿が適当でないということは、だれしもよく承知されておることと思いますが、この問題については、政府全体の考え方で、もつと防災対策を思い切った予算の編成をしてやっていきたいということで、これは御意見と同感でございます。  それから、自治省で、いろいろな関係で学校とか、そういった上水道、下水道に対しまして、いわゆる団体が行なう公共事業に対しまして、三十九年度で申しますと、五千億余りの起債のワクをもって、そうして緊急な地点から重点的にこれを認可して公共事業の促進をはかっておるのでございまして、これは前年度からすると非常な伸びでございまして、こういった面の予算につきましては、私の役所では非常に積極的に三十九年度は立ち回っておるということを申し上げて、御了解をいただきたいと思うのでございます。
  141. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いまの政務次官の答弁それ自体は、私としては、歯切れが至ってよくないと思う。自治省の立場としてはということでお活をされる。どうしてそういう逃げ場を残すのです。やはり政府というかまえで国民の選良に話をするというならば、できないものはできない、こういう事情でできないという話をされるほうが、私はすっきりすると思うのです。現地では全然力がなくて、小河川一本も自由にならない。災害が出た問題について何とかしょうという場合に、先ほども先輩議員のお話の中にありました、各省別に話をしていかなければならないということで、防災会議だ、何だということは、数は多くつくられて、英知を傾けて担当者は一生懸命にやっているのです。やっている担当者には何の罪もないと私は思う。今度の新潟でも、それを政治的にどうカバーするかということが残された問題だと思うのです。きょうはもう一度くどくその説明を求めようとは思いませんけれども、初めて出た議員であるから強く感ずるのかもしれません。しかし、これは間違ってないと思います。根本的に財政は前向きに、同じ皆さんから税金をいただいておるのだから、金をかけるというならば、まず病気にならないこと、食えること、住むこと、そうして伝染病が発生しないことが最低の条件だと思う。オリンピックに金をかけるというよりも――春先の水が便所に入ってどうにもならぬという事態で、そうして宅地造成は片っ端からやらして、はげ山にして、わずか百ミリで七十万の市を水没しにするという政治は、ぼくはないと思うのです。この点、特にいまの政治の反省を促して、今後数多い機関の中で御討議をいただきたいと思うのです。  そこで、こういう事情がありますから、当面緊急措置として、公共土木施設災害復旧事業などについては、自治省の考え方が明らかにされましたならば、具体的にそれを推し進めるように要請をしておきたいと思う。  そこで、あとはできるだけ簡略にやりたいと思いますので、委員長にひとつお伺いをしておきます。あと質問をする都合がありますので……。  けさほど、凍霜及び長雨等による災害対策小委員会が設けられました。委員長の説明によりますと、東北地方などにおける凍霜及び九州地方などにおける長雨災害などの対策のため、こういうことで小委員会設置されました。当然、きのう発生を見ました不幸な事件であります新潟は、だれが見ても様相を異にするものでありますが、この北海道のいまの問題はすでに関係官庁に当該北海道庁から要請もあることでありますし、当然この小委員会の審議の対象になると私は了解をしてけさほどのことを聞いておりましたのですが、誤りないと思うのですが、いかがなものでしょう。
  142. 中山榮一

    中山委員長 そのとおり御了解を願って誤りございません。
  143. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは、あとは項目別的になりますが、ひとつ端的にやりますので、答えも簡単に、そうして要点をきっちりお答えいただきたいと思います。  今回の事故にかんがみまして、従前もよく話になりますが、天災融資法の適用の基準について明らかにしていただきたいと思います。――農林省がいまお見えになるそうですから、その合い間、松浦先生質問されることがあるそうですから……。
  144. 中山榮一

    中山委員長 それではその間、松浦委員にやっていただきます。松浦定義君。
  145. 松浦定義

    松浦(定)委員 先ほど以来から同僚委員がそれぞれ質問を続けております今度の北海道の一円にわたりましての集中豪雨に対する対策でございますが、まず第一に私のお尋ねいたしたいのは、先ほど松田委員からの御質問に対して井川政務次官の御説明の中で、北海道という地帯の開発については、これはもう北海道だけでなく、日本全体の北海道ということで、終戦後特に新しい法律のもとで北海道開発というものができたわけなんです。ですから、国としてはやはり北海道は相当重視しておる。しかし、それにかかわらず、先ほど政務次官のお話ですと、どうも中小河川については十分でない、やれるところからやっていくんだというお話でいまのような災害の起こるのは、いわばやむを得ぬのだ、これはもう天災だといったような、そういう受け取り方を私どもはせねばならぬと思うのです。そこで、北海道開発の一番最初重点になったのは何かといいますと、第一期は、まず何としても電源開発を中心とするということであった。さらにまた、河川の改修その他、いまのようないろいろの重工業を誘致するという問題がありますが、この電源開発がこれによってどういう影響をもたらしておるかということについては、先ほどいろいろ松田委員からの御質問でありましたが、私はどうも納得できないのです。今度の災害、私は三日間にわたって、ちょうど地元でありますだけに、十勝を十三ヵ町村実は回ってまいりました。それぞれ全部ここに写真入りで持っておりますが、やはり電発の副総裁の御答弁ではどうも私どもは納得できないのであります。その前に、やはり国のためにあの工事をおやりになるということでありますから、十勝川水系を十二分に利用して電源を起こす、こういうことについて私どもとしては決して反対ではなかったのであります。ところが、やはり本流である糠平を中心として、さらに芽登あるいはまたビリベツ川、さらに最近では、足寄からさらにそれが本別、利別川と入って十勝川で一本になる、こういう非常に多角的な利用をされておる。いわばあの水系でもって総体では約十六万二千五百キロワットの電源が五つの発電所によって起こされておるわけであります。そこで、その発電所をやる場合の国としての許可基準ですね、そういう場合には、やはり単なる発電を起こすということだけでやったのか、あるいは、そのことは、先ほどの質問の中にありましたように、下流地域の住民に対してはどういう処置をするかというようなことについてはあまりお考えにならなかったのではないか、考えておるとすれば、これは重要な問題でありますから、たとえばいままでの総予算の中で、かってその十勝川流域でもって十六万二千五百キロワットの電源を起こすに足る優先的な予算措置ができるはずだ、私はこういうように思うのですが、そういう点はどういう考え方で許可の場合あるいは今後それに対して対処されるか、そういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  146. 井川伊平

    ○井川政府委員 先ほど松田委員に申し上げたと同じ内容になるわけでございますが、電源の開発の必要であることについては、松浦先生と私は意見は同じでございます。そしてただいまのお問いが、今回の集中豪雨が今回の水害を生み出したことについて、糠平ダムとか元小屋ダム、それから活込ダム、仙美里ダム、こういうようなダムを設けてなかったとすれば、今回の被害はもっと少ないものであったのではないかという趣旨のお問いであるといたしますれば、そうではない、今回このダムがなかったとすれば、被害はもっと大きなものであったろうと考えられます。言いかえれば、幸いにダムが減水をしておりましたがために、自然の流下に多少の調節を行ない得た、このことが、先ほども副総裁の申しておったように、若干ではあるけれども水害の量を減すに足るだけの作用をしておった、これは私のほうへは道庁からの調査がそのように参っておりますので、そう信ずるわけであります。したがって、ダムのために今回の水害が発生したと雇われわれはいまのところは考えておりません。先ほど松田先生のお話もありましたが、何か別のことさらに含んだ報告があるといたしますれば格別でありますが、いまはそういうようなことは考える余地がございませんので、道庁の報告を真に受けますると、そのとおり考えられる次第であります。  それから、十勝川の流域が、北海道の農村地帯としてきわめて重要な地帯であるということについては、申すまでもないことでございます。したがって、この地帯の農民を守るためには、河川のあらゆる工事を進めて万遺憾なきを期したい、これはもう国の政治といたしましても、北海道の政治といたしましても、お互い同様念願とするところであることは、申すまでもないのであります。ただ、先ほども言ったように、原始河川があまりにも数多くありますのと、非常に広い北海道の地域であり、そして原始河川の被害をこうむる地位の重要なるものが各所にあるというような事情もありますので、これを一ぺんに短い期間で全部をどうこうするというわけにはまいらぬことは申すまでもないが、ほかはそのままにしておいて、十勝川の沿川だけはやってやるのだというわけにも、これはちょっと言いにくいことばかとも存じます。しかし要は、事実は事実で、農村地帯が非常な迷惑をこうむっていることは事実でございますので、重要な点、できるだけすみやかに予算を繰り入れまして、御希望に沿うようにしむけねばならぬことは、先ほど松田委員に申し上げたと同じ内容でございます。十分お力をも拝借いたしまして目的を達成いたしたいと存じ上げる次第であります。
  147. 松浦定義

    松浦(定)委員 いまのお話を聞いておりますと、ダムがあることによって被害最小限度に食いとめられた、全く電源と同じような御意見のように聞き取れるのですが、たとえばダムがなかった場合にはもう少し大きな被件があったのではないか、そうしますと、ダムがなければ、あるいはまた、現状でも、ダムがあってもですが、いままでにその処置をしなかったということについては、何ら反省をされておらないような受け取り方をせざるを得ないと思うのです。そういうことでは、北海道の開発としては――先ほど話があったように、北海道の三大河川の一つとして、しかも流域には二十万町歩という農耕地を持っておる地帯の中小河川の施策としては、もう十何年もたったにしては、どうも何もやってなかったというような指摘を受けてもやむを得ぬのではないか、私はこう思うのです。  そこで、私は電源開発の副総裁にお尋ねいたしますが、先ほどのお話ですと、二十トンずつ放出をしておったのだ、だからそれについては何ら影響がないのだ、松田委員もそれでもって了解されたようでありますが、それでは、一万キロワットの発電をする場合には何トンの水を必要といたしますのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  148. 井川伊平

    ○井川政府委員 ちょっと先ほど答弁漏れがございますので……。  先ほどの御質問のうちに、許可の基準がどうなっておるかというようなことでございました、あの点に全然触れなくて御無礼いたしましたが、実はこの被害の問題で道庁から書類が参りましたのはごくごく最近、一昨日参ったようなわけでありまして、取り急いで調べているわけでありますが、許可の基準はどうなっているかということは、私もその相談のときに第一に頭にまいりましたので、いろいろ聞きましたところ、上からダムに流れ込む水の分量、それからそのダムを通じて下流へ流れるのでございますが、その上から流れ込んだ以上の水を下へ流してはならぬという基準があるそうであります。大体そういうことであるということで、基準はそうだったということでございます。基準の文言等はまだ見ておりませんけれども、内容はそのように承っておりますので、お答え申し上げておきます。
  149. 大堀弘

    ○大堀参考人 ただいまのお尋ねの点でございますが、一万キロワットに対する水の分量、これは高さと量とに関係がございますので、それぞれ違っておるわけでございますが、落差が非常に大きければ量は少なくてもよろしいわけであります。ただ二千トンの点が、ちょっと私の説明が不足で誤解がございましたのじゃないかと思いますが、音更川の元小屋から芽登川、ビリベツ川に分水する設備は、二十トンの設備があるわけであります。常時は、支障のないときはそれで発電をいたしておるわけでございますが、今回の場合、水が出だしてから、二十トンの水の分水は、洪水が終わりますまでストップいたしておる、こういうふうなことでございます。
  150. 松浦定義

    松浦(定)委員 落差その他の条件によって違うことは明らかでありますが、この調査した結果では、糠平発電が四万二千キロワットですが、そこから放水したものについては、地元の上士幌ではあまり影響がなかった。というのは、これはやはり相当谷川のようなところをくるわけですから、それがないわけです。ところが、すぐ下流の士幌になりますと、橋梁の流れたものだけでも十幾つあるのであります。そうして農地にも相当の被害がきておる、これは明らかでありますそれが芽登第一になり、あるいは第二になり、さらに足寄、本別とくるに従って被害が多くなってくる。それが、三百ミリ程度の降雨量が集中して、それと相重なったというところに原因があろうと思いますが、農家にしてみれば、あるいは住民にしてみれば、ダムがなければ自然に流れるものについては、先ほど松田委員のお話しになりましたように、何らかの形の処置をやっておったと私は思うのであります。ダムのありますことによって、最初は、その地帯には影響がないのだ、多少の峰南があってもこれが保護されるのだというようなことをいわれるものですから、誘致運動も盛んになる、そうして今日のような状態でおったのでありますけれども、結果的には、五十トンから始まって三百トン、しかも一番下流におきましては約五百トン近いものが流れておるということが現状であります。でありますから、私の言わんとするところは、やはり地方住民にしてみれば私は何も責任はないと思うのです。こういう実態で、一つの河川を利用して山を二つも越させて中小河川にそれを落とすような計画をされても、その施設ができてないところに原因がある。でありますから、これはやはり電源はむろんのこと、道並びに国の責任においてこれを処置される、そういうことでなければならぬと思うわけでありますが、この点についてはどういうお考えを持っておられますか、その責任はどこにあるかということを、町方からひとつお聞きいたしたいと思います。
  151. 井川伊平

    ○井川政府委員 私は水のことはしろうとでございます。しろうとであるがゆえに、根掘り葉掘り聞かなければ納得ができない。私がこの問題を調査するにつきましても、そういうような気持ちで係の者と調査を進めたわけであります。それで、いま申されたように、本別町の下になる利別川の水が、毎秒五百トン近くあるいは五百トン以上のものが流れておったという事実は、間違いがないようでございます。その計算をしてみますと、ビリベツ川の活込ダムの放水いたしておりましたのが、最高時には毎秒三百トンであります。その最高時の三百トンのときに、上から流れてきている水は幾らかというと、三百八十トンきておる。自然のままに三百八十トンきておるのに、三百トンだけ流して、八十トンだけはそのダムで調節したといりわけです。そうすると、活込ダムは、最高時の場合において毎秒八十トンだけは調節して、被害を少なくせしめたということになる。しかし、なおその当時三百トンの水は毎秒流しておったということであります。それからその下になりまして、利別川のほうの仙美里ダム、これでは、一番自然の川の流れがきたときには、二百七十七トンの水が毎秒流れてきております。そのうちの二百トンを下へ放流しておりますから、七十七トンだけはそのダムにおいて調節しておる。だから、七十七トンだけは水害の被害を少なくした、こういうような数字が出るようであります。この数字も道庁の調査に基づく数字でございますので、私どもはそうかといま存じまして、受け売りと申しては語弊がありますが、われわれの理解を通じまして御答弁申し上げておるような次第であります。こういうような個々のダムの具体的な、川の水を受け入れた毎秒の水量と放射している水量とを、数字の上から見て申し上げておるのであります。どうぞこの点はさように御了承願いたい、かように存じます。
  152. 大堀弘

    ○大堀参考人 ただいま政務次官から詳細にお話しくださいましたとおり、私どももそういう数字に調査の数字がなっておるわけであります。
  153. 泊谷裕夫

    泊谷委員 中西官房長にお尋ねしますが、いまやっておるのは、北海道の十四支庁のうちで十二支庁やられました集中豪雨の話なのですけれども、先ほど小委員会のことで委員長にお尋ねしましたら、あすの小委員会でこの問題を含めて議論することになりましたので、項目別にすでに道庁から要請があったと思うのですが、単刀直入にお尋ねしますので、お答えいただきたいと思います。  天災融資法の適用を受ける基準について明らかにしてほしいと思います。
  154. 中西一郎

    ○中西政府委員 天災融資法の発動の基準ですが、農作物関係林業等を含めまして、おおむね三十億の被害というものをめどにいたしております。
  155. 泊谷裕夫

    泊谷委員 重ねてお尋ねしたいのですが、天災融資法によると、融資ワクの限度は十五万円ですね。それから償還期間は五年となっておるのですが、この十五万ということになりますと、農民にすれば、ほとんど一年間の生活費程度のもので、とても再生産の投資というような額にならぬと思うのですが、このワクの拡大と、償還期間について延長するお考えがあるかどうか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  156. 中西一郎

    ○中西政府委員 お話の十五万円の融資のワクは、法律制定以来相当長期にわたって固定されてきております。そういう意味で、当然制度的な再検討の対象であるというふうに考えておりますが、十五万円というのは、一般的な農業経営の場合の経営費部分として算出された経過がございます。そういう意味で、最近の実態から見てどうかというので、再検討を行なっておるのですけれども、あわせて金利の問題等についても、金融関係農業金融、非常に複雑でございますが、そういうものをあわせ措置するということで、目下あわせて検討いたしております。
  157. 泊谷裕夫

    泊谷委員 重ねてお尋ねしますが、考え方がわかりましたので、またさらに小委員会で議論をさしていただくことにしまして、北海道の水害の特徴というと、先ほど先輩議員からもあったのですけれども、本州のように山の高低があまりないけれども、反面、水が引かなくて横に広がる、こういう特徴があるわけです。そこで、具体的な例を出してお話するのは何ですが、ストレートで、自作農資金についてすでに貸し出しを受けておる者もあるわけです。これらの救済をしてもらわなければならないのですが、貸し出し特別ワクの設定、それから農業改良資金の優先利用など考慮できないものか。被災開拓農家が当面営農及び生活維持に困難を来たしておる、そういうことで、本年度償還期について償還猶予を講ずる、あるいは災害資金の円滑な導入について特段の考慮が払われないものだろうかということについて、官房長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  158. 中西一郎

    ○中西政府委員 自創資金の特別ワクの設定につきましては、かねて天災融資法を発動いたしますと同時に、前向きの経営資金のほかに、農地を手放さなくてはならないというような事態を救います意味で、維持資金というワクで災害の場合に対処いたしてきております。将来に向かいましても、同様、天災融資法発動の場合には、自創資金について所要のワクを設定しまして、府県、市町村を通じて金融の道を講じていくことは、従来と変わりございません。  近代化資金その他の優先的な融資というお話もございますが、近代化資金あるいは改良資金等の制度金融もありますが、そういうものを運用します場合に、災害地であるということに重点を置きまして特に手厚く優先的に融資するということもあわせて講ずる方針でおります。  なお、第三点の償還期限等あるいは貸し付け条件緩和といったお話でございましたが、それらの点につきましては、公庫金融等につきましては、一般的な原則としまして、個々の農家について償還が特に困難であるというような事態の場合には繰り延べすることができることになっております。そういうふうにして個々に措置いたします。なお、天災融資にしましても、一たんは返していただきますけれども、借りかえ資金をさらに融資いたしまして実質的には償還を延ばし得るというような形に措置する、いずれも個々の農家について検討した上で善処していくという方針をとっております。
  159. 泊谷裕夫

    泊谷委員 親切に答弁をいただいたのですが、いままでやっておりました農業をやめて新しくという営農資金関係ではなくて、大体言い尽くされているのですが、ただ、被害の激甚地域内の営農不振開拓者について特に今回官房長のほうで考えられているというような砧も聞きましたので、この点についてお考えがあれば明らかにしていただきたい。
  160. 中西一郎

    ○中西政府委員 開拓者資金の融通につきましては、従来一戸当たり三十万円というワクでございました。これを災害と限らず、一般的な場合にも不足資金を融資する場合に、できれば四十五万円あるいは五十万円というふうにワクをふやしたいということで事務的に折衝をいたして、ほぼ目鼻がついているのですけれども、まだ結論がついておりません。現状はそのとおりでございます。
  161. 泊谷裕夫

    泊谷委員 今度は別な問題ですけれども、農林省が今月の十日に、家族ぐるみ離農の動きを中心とした、五月分地方農政局の情勢報告を発表したのです。ごらんいただいていると思うのですが、これによりますと、北海道は離農率はどの府県よりも高い。専業農家の離農がこれまた他の府県より多い。負債整理を離農の動機とするものがふえております。四番目に、離農後の農地は山村開拓地で荒らしづくりや耕作放棄が多い、こういうように報告書は書いているのです。特に全国的に農業の問題は検討を試みなければならぬと思うのでありますが、地域的なものとして、北海道が特に農民が農村を離れていくという顕著な例が出ているということは、農林省としても統計上明らかに示しておるわけであります。こういう事情にあります北海道の今度の災害、全国的にも出ますけれども、また立ち上がろうとしてまく種、それから苗、肥料購入についての補助、さらには野菜、農作物の病害虫の防除の補助、それから被災農地及び農業施設の早期復旧についての方策について、これまた特段の考えを持たなければならぬと思うのでありますが、官房長の方策をお聞かせいただきたいと思います。
  162. 中西一郎

    ○中西政府委員 ただいまのところ、道庁の報告によりますと、農作物関係被害約十六億というふうに聞いております。私どものほうの統計調査部の末端組織を総動員して目下被害の実態を把握しておるわけでございますが、それによりまして、すでに類似のいろんな災害に対してこうした補助施設あるいは金融対策等がございます。そういうものをかみ合わせまして、被災農家が困らないように措置するということは申し上げることができます。特に農地の復旧につきましては、災害の査定をいたしますのに若干時日を要します。農林省だけでなしに、必要に応じて関係の財務局等による共同査定も行なわなければならないわけですが、それを含めましてその査定が完了いたしまして、その上で農地等の災害復旧の場合の暫定措置法による補助事業を取り進める所要の予算は、現在の農林省の三十九年度予算の災害のワク内で見る、かように考えております。
  163. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いまお話をお伺いしまして、私はまだ若いほうの議員ですから、北海道出身でも北海道のことばかり我田引水の議論を吐く気はないのですが、災害を受けた農民は全国的にみな同じだと思います。けれども、特に北海道の場合は、農林省の統計にも示すように、五百万のうち百二十六かおりました農民が急激に農業から離れていくという特殊な事情にあることを御考慮いただきまして、自後の問題について特に気を配っていただきたいということだけ申し添えておきたいと思うのです。  もう一つお尋ねしたいのですが、特に北海道は、第二期総合開発に着手して、いまの町村知事が、昭和四十二年には勤労者の所得平均三十万を五十万ないし六十万にしようということで意気込んでいるのです。このこと自体には、私ども野党の立場にあるといっても、決して反対しようと思わないのですけれども、これと対比して農民――漁民もありますけれども、この場合、農民に限定して話をしますが、この人人の年間所得は、ひどいのになると十五万ということで、転業するにしても、新しい転業の方策というものが明らかにされておらない、北海道で重要な位置を占める農民が、行き先がわからず、どこに行くのか、わけのわからない形のもとにおいて毎日のように畑を手放して出ているのです。数少ない農民が、困難な状況の中で、一面ではたいへん景気のいいところがある、そして、しいたげられた農民が、歯を食いしばってがんばっております農民が、また不幸にして今回の災害にあっておるわけでありますから、被災者の国税、地方税の減免措置、あるいは先ほども申し上げましたように、北海道は、農民ばかりでなくて、十四支庁のうち十二支庁やられましたので、特にいま中央資本がほとんど進出してきておりますから、力の弱いといわれております地元資本の中小の皆さんの基盤は至って劣弱なわけです。こういうことで、中小企業に対する特別の融資対策などについても考慮いただきたいと思うのですが、これは関係の役所がどこになりますか、国税庁等はあれですが、中小企業の関係もお答えできるならば、あわせてお答えいただきたいと思います。
  164. 大島隆夫

    ○大島説明員 被災者の税金の減免につきましては、さしあたりの問題といたしましては、第一に、予定納税額の減額の問題が一つあります。それから第二に、予定納税額を含めまして一般的に徴収猶予の問題がございます。それから第三に、これは被害状況によりけりでありますが、そのために今年の所得が欠損になりましたような場合には、これを繰り越すという問題がございます。これらについてはそれぞれ法律の規定があるわけでありまして、そういう規定をすべてフルに活用いたしまして遺憾のないようにということで措置をとることになっております。御了承願います。
  165. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いま税金のお話をいただいたのですが、ぼくは、にわか勉強で、法律にあることは知っておりますが、実際お尋ねしたいのは、いま次官からも話がありましたが、はたして北海道のいまの災害をこうむった農民たちにその恩恵を与えられるのかどうかということです。このことについて知りたかったのでありますが、時間の関係がありますので、あすの小委員会にでもまた時間をちょうだいして聞かせていただきたいと思います。それで、その際に、委員長のほうでも、中小企業に対する特別融資対策についてもあわせてお聞かせをいただくようにお手配をいただきたいと思います。  これで最後にいたしますが、この災害特別委員会が開かれまして、実質上の審議は二月二十日からだったと思います。この災害特別委員会の第一回の実質的な審議の冒頭に、私ども社会党の先輩議員であります。ここにお見えになりました稻村、山口先生から強く忠告をされた事項があります。それは特別交付税の配分、起債などの優先詮議にかかる問題でありますが、高度の補助がかりに決定しても、その配分がおくれたら、市町村ではたいへんなことです。災害が出れば、先ほどお話がありましたように、緊急に借り入れなければならない、そうしてその金利がかさむ。北海道の場合は、札樽はどうやら息がつけますが、檜山にしても、十勝にしても、ごらんのとおり財政上たいへん苦しい支庁が多いわけです。実際高額な補助をきめていただいたとしても、時間が一年もたちますと、貨幣価値の変動もありますし、物価上昇の問題などもありまして、実質上の補助は、当初きめた意に反して、それよりはおよそ低額のものになってしまう、こういうことはすでに御承知のことだと思います。そこで、先輩の稻村議員、山口議員から鋭く話がありましたように、大蔵大臣は、委員会の席上で、一年も実施がおくれるというようなことになった場合は、その利子を含めて起債ワクの中に算定をして補助するということを言明されておるのです。だが、その言明をされた利子をつけてもらうということは、いままで一回も具体的にちょうだいをしていないのですが、やはりそんなことでなく、一日も早く何とか措置してもらいたい。北海道では、先ほども申しましたように、道央部を除いては、どこも所得の低い地帯であります。でありますだけに、市町村財政は極度に逼迫いたしておりますから、あらゆる観点から政府はこの際最大の援助をしていただかなければならぬと思います。  先ほど来数多くの要望も含めて諸点を申し上げてまいりました。調査の完了を待ちまして、具体的な措置を特にすみやかに実施段階に移せるように要請をしたいと思います。特別交付税の配分及び起債の優先詮議を含めて、これに対する政府の考え方を明らかにしていただきたいと思います。  なお、一年生ということもありますし、若いせいもありまして、あまりにいまの世の中のしかけの理不尽なのに興奮いたして大きな声を張り上げたことをおわびいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  166. 金子岩三

    ○金子政府委員 災害にあらわれました団体が非常に財政的にお困りのことはよく承知いたしております。そういうところは、まず普通交付税の繰り上げ交付をいたしました。先ほども松田委員の質問にお答え申し上げたとおりであります。できるだけの財政的な措置をし、便宜を与えるように努力をいたしておるのであります。特別交付税は二月末には例年交付しておるのでございますけれども、ことしは二月になりましていろいろな災害が出ましたので、その調査が終わるまでということで、一カ月延ばしまして三月の末に特別交付税は決定いたしたのでございますが、この場合、そうした災害団体に対しては特に気をつかって、そうして災害のために出費されました金額はほとんど全額に近いものを特別交付税と普通交付税で見ておる、これがいわゆる交付税、特別交付税の自治省の取り扱い方でございます。手続上の問題で時間がかかる場合、特別に早くひとつ金を流してもらいたいというような御意見のようでございますので、私たちのほうとしましては、できるだけただいまの御要望にこたえるように努力をいたしたいと思います。
  167. 松浦定義

    松浦(定)委員 時間が長くなりますが、先ほどからどうも納得のいかない点もありますので、さらに二、三点だけお伺いいたしておきたいと思います。  いま、三百ミリ以上の集中豪雨で非常に被害を受けた、しかし、ダムがあることによってかえって調整された、結論的に言えばそういうことですが、実際ダムがあろうとなかろうと、その降ったものが河川へきて、その河川が十分河川としての使命を果たすだけの設備をしていないために被害を受けたということはもう明らかであります。これは電源の責任であるのか、道か国の責任であるのかということを私は先ほどからお聞きしておるのでありますが、いずれにいたしましても、どちらに聞いても、責任であるという答弁はないわけであります。しかし、結果的にはやはり被害者は自分の農地を一瞬にして奪われておるのでありますから、これは何らかの形で処置してもらわなければならない。先ほど松田委員の質問でも、建設省その他の関係の説明を聞いておりましても、いろいろ手続その他将来の問題もあろうと思いますけれども、私は、これから農地になるところについては、前例がありますから、いろいろ低利長期の融資でもつけてこれを農地にすることはできょうと思いますが、そういうところでありますから農地にならない点が非常に多いわけでございます。しかも、一部におきましては、もう長い間税金を払って守ってきた農地、しかもまた、最近、何とかして少しでも土地を確保したいということで、離農される人の土地を取得いたしまして、それがわずか二、三年のうちに一瞬にしてなくなったというようなまことに気の毒な人もおります。そういう人に対してどうするかということについては、明らかに私は国の責任において処置をしてもらわなければいけないと思うのです。そういう点で、先ほど松田委員の質問においてもいろいろその点を指摘しておりましたが、それでは調査して何とかするという御説明はないわけであります。そこで、最終的に泣き寝入りをしなければならぬということになりますと、私はこれは政治としてはまことにどうかと思います。しかし、そのことについては前例がないわけではございません。先ほどお話がありましたように、反当十七万円というものは現に政府が支出をして農家の土地を補償しておる例は、いままでの災害の中であったわけでありますが、今度の場合においてはそういう形がとれるのかとれないのか、そういう点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  168. 井川伊平

    ○井川政府委員 私のお答えする範囲は、被害が再び発生しないようにすることは国の責任であるかどうかという御質問にお答えいたしまして、農地や何かの復興につきましては、他の方からお答えを願うのが適当かと存じます。  先ほど来申しておりまするように、北海道にはたくさんの原始河川があって、被害をし出かすところの河川が非常に多い、そのために道民が困っておる、これは早くそういう被害のないように河川に対する処置をせねばならぬと申しておるのは、国の義務があるから、ぜひせねばならぬと申しておるのでありまして、法律的ではないかもしれませんが、政治上の責任があるからでございます。ただ、その原始河川が多いために、そこだけでないために、そこだけに集中してやってしまうということの約束はしにくい立場にある。どこを先にするかという問題がある。そこが非常に量が多い、そこで、いろいろ協議研究の上、どこから手をつけるかという問題をきめなければなりますまい、こういう意味で、その時分には十分お知恵も拝借したい、こう申し上げておるのでありまして、責任がないからやらないのではありません。責任があるからやるのでございます。
  169. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、予算がついて、できるまでその調子で押していかれるということになってまいるわけでありますが、それではいかぬ、その間において補償をしなければならぬ、それは前例があるからということを申し上げている。その補償をしていただけないということになりますと、これは私は政治的にもどうかと思いますので、そういうことでなしに、現在起きた問題については、そういう準備をせられることはいいけれども、できない場合においてはこう処置をするのだということは、これは前例があるからいいと思うのですが、それがどうしてできないかということをお尋ねしているわけです。たとえば、そういう原始河川的な非常に恵まれない地帯については、そういうことで押し通せるかもしれないけれども、これが都市川辺に起きる場合にはそういうことではならぬと思うのです。一例をあげますれば、今度のオリンピックでいろいろな建設工事をやられる、その場合における強制的な道路の設置についての収用等については、同じことだと思うのです。これは個人にしてみれば放したくないけれども、国の施策によって買収されるということになれば、これはしかたなしに応ずる場合がある、その場合にはちゃんと補償する。あるいはおかしな話ですけれども、同じ農民からすれば、農地補償なんかは、これはもう天災か人災か、こういう問題から比べたら、政府がそんなに力を入れてやってやらなくても、いまのような河川の問題で迷惑しているものについてはもうどんどんとそのとおりにお進めになってもいいと思うのです。そういうことが全然なされないでそういう問題が次々と行なわれているから、一部山村においてそういう地域のものとしてはまことに不満だ。ただ、今度のはおそらく電源の責任でないのだ、いま井川政務次官が言われるように、量が多いから手が回らないのだ、努力するから、それまでがまんしろということでは、私は納得しないと思うのです。そういう点については、この機会に、やはりそういうことではなしに、何とか前例もあることだから善処をするということぐらいのことを発言されても、決して政府としては行き過ぎた発言ではないと思うのですが、重ねてこの点をお伺いしたいと思います。
  170. 井川伊平

    ○井川政府委員 大蔵省の予算を得ないでもできるということは言えないのでありまして、予算がなければできない、これは申すまでもないことでございます。それから、あなたがいま例に引かれました、いろいろ国が大きな工事等をやる、その工事の犠牲になったものに対しては十分に手を打っている例があるではないかと申されますが、国が工事をなすために被害をこうむる場合と、そうじゃなく、自然の現象で雨が降って川が被害をかける場合とにおきましては、おのずから理論は二筋に分かれるのではないかと存じます。しかし、理論はどうあろうとも、住民のお困りになることは間違いのないことでございますから、できるだけのことはせねばならぬ、この辺で御了承を賜わりたいと存じます。
  171. 松浦定義

    松浦(定)委員 もう時間がありませんから、いずれあとから災害対策委員会でいろいろ御検討願うといたしましても、この問題は将来もあることでございますから、明確に何か進めていただくことをぜひ考慮していただきたいと思うわけであります。現にそうした農地を補償されないことによって農業をやめなければならぬ人があるということは明らかでありますから、この点を重ねてお願い申し上げておきたいと思います。
  172. 井川伊平

    ○井川政府委員 御希望のほどはよくわかりました。応急対策につきましては、その対策の種類によりまして各省いろいろ分担しているわけでありますが、開発庁といたしましても、できる限りそういう方面にお願いを申すことにいたそうと存じております。
  173. 松浦定義

    松浦(定)委員 それから政務次官にさらにもう一点だけお願いしておきます。  先ほど松田委員も御指摘になっておりましたが、十勝の河口における豊頃、浦幌、大津、あの地帯の被害は、いままでの予算があまりに少なくて、二十万町歩あるいはそれの三倍もある山林から出てまいります水を一手に引き受けておる、そういうことでなかなか災害を防ぐことができないといったような大きな事業も伴っておるわけであります。今回の水害によって、左岸における浦幌のほうでは、先ほどお話がありましたように、旧河川をとめたわけであります。そのとめたことによって、右岸のほうではまだ十分でないから、それによって豊頃は非常に孤島のようになってしまった、しかし、そのときの処置が、左岸の浦幌の河口の締め切りについてそれを守ることについては私はいいと思う。それを守らぬことによってさらに下流の農家あるいはその地帯が被害を受けますから、やりますが、自衛隊が相当数動員されまして、ゴムボートをもってそれを守った。しかし、右岸のほうには全然堤防が完成してないものですから、そのことによって被害を受けた。それは、昔でありますと、見ておってもこっちにどんどん水が来るものですから、夜でも行ってひとつこわしてやろうといった水騒動が起こるくらいまで激高しておるのであります。しかもそれは自衛隊が行って守られたということですから、住民としてはたいへんな意気込みをしておるようであります。それに対して、先ほど松田委員から御指摘のありましたように、その地帯の住民としては、何とかして河口からこれを整備していくということで、この際一挙に早期完成をしてもらいたいという要請があるわけでありますから、どうぞ開発庁でも、今回の実態にかんがみまして、早急にこれが善処できるように努力をしていただきたいということを重ねてお願い申しげておく次第であります。  開発庁関係はこれでもって私は終わりたいと思います。電源のほうも、そういうことでありますから、お説のとおりではなかなか解決ができないということを含んでいただいて、今後はその時点における問題の解決に私どもも努力をいたしたいと思うわけであります。  最後に、先ほど来同僚からいろいろお話があり、農地の流離その他についていろいろ御意見がありますが、御承知のとおりに、この土地におきます農業の実態というものは、畑作農業が中心であるわけであります。したがって、今度の被害で、先ほどの数字はちょっとどうかと思いますが、約二十五億の農業被害のうちのほとんどと言ってもいいくらいが十勝の関係町村の被害であるということになっておるのでありますから、これに対する対策につきましては、現在、再播、補播その他によっていろいろ努力はしておりますけれども、なかなかそのことによっては十分の効果があるというふうには考えられないわけであります。したがいまして、泊谷委員からいろいろ項目的に御指摘された面については、農林省当局としては、十分この点を考慮されまして、これからの十勝の農業あるいはまた北海道の穀倉地帯の対策に遺憾ないようにしていただきたい。  それから特に顕著なものは、七日に起こりましたひょう害であります。このひょう害は、四カ町村にわたりまして、私はここに写真を持っておりますが、半長をはいて中へ入ったというくらい、小指大のひょうが二十五センチくらいたまっておりますから、それによって、受けた被害というものはまことにはかり知れないものがある、こういう実態であります。ですから、こういう問題についての今後の対策についても、道を通じて要請しております項目については、農林省当局としても十分ひとつ御考慮を願いたいと思います。こういう点について総括的にひとつ御意見を承りまして、私の質問を一応終わりたいと思います。
  174. 中西一郎

    ○中西政府委員 北海道の豪雨あるいはひょう害等について情報を得ております。目下私どものほうも、統計調査部の組織を動員しまして実態調査を急いでおるところでございます。天災融資法の発動の問題、あるいは先ほどもお話がありました困窮しておる農民に対する対策等については、十分配慮いたしたいと思っております。ただ、先ほどあまり簡単に申し上げ過ぎたかと思うのですが、農地あるいは農業施設、共同利用施設等についての援助の方式は実は確立いたしておるわけです。非常に困難なケースも関係地方公共団体から間々要望されるわけですが、たとえますと、非常に零細な量になります肥料あるいは農薬といった形のものとして、そのものでの補助金というのは実は昭和三十四年以来やっておりません。ことしあたりは、自治省と相談しまして特別交付税等の措置で善処してほしいという申し入れをいたしておるのですが、それでおおむお話はついておると考えておりますが、なお一部地方公共団体の中では、そういうやり方に対する不満がおありのようです。その辺について若干の調整を要する問題が残っております。われわれが援助あるいは助成いたします場合の考え方の中でも困難な点を申し述べたわけです。一天災融資法を発動いたします場合に、すでに御承知のように、一つの天災の被害の大きさというものをとらえて発動いたしております。同じ地域の中でいろいろな変わった天災が重なって起こるというようなことがありましても、それは一応別々の体系で考えております。そういう意味合いで、干ばつが起こる、あるいはひょう害が起こる、あるいは雨が降るというような場合に、天災としては法律体系上分けざるを得ないということも申し上げておきたいのであります。しかし、それぞれの被害の深刻さも聞き及んでおります。それらの点十分配慮しまして、立ち直りが一日も早くできますように善処いたしたいと思います。
  175. 中山榮一

    中山委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十七分散会