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1964-06-10 第46回国会 衆議院 国際労働条約第八十七号等特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十日(水曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 安藤  覺君 理事 田中 正巳君    理事 森山 欽司君 理事 河野  密君    理事 多賀谷真稔君 理事 野原  覺君       秋田 大助君    稻葉  修君       小笠 公韶君    亀山 孝一君       佐々木秀世君    正示啓次郎君       田澤 吉郎君    渡海元三郎君       永田 亮一君    長谷川 峻君       濱田 幸雄君    松浦周太郎君       有馬 輝武君    大出  俊君       小林  進君    田口 誠治君       安井 吉典君    山田 耻目君       栗山 礼行君    吉川 兼光君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         労 働 大 臣 大橋 武夫君         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第一部長)  吉國 一郎君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (管理局長)  小林  巖君         人事院事務官         (職員局長)  大塚 基弘君         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   岡田 勝二君         外務事務官         (国際連合局         長)      齋藤 鎭男君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         郵政事務官         (人事局長)  曾山 克巳君         労働事務官         (労政局長)  三治 重信君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房秘書         課長)     高木 文雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  結社の自由及び団結権保護に関する条約(第  八十七号)の締結について承認求めるの件(  条約第二号)  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一号)  地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二号)  国家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第三号)  地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第四号)      ————◇—————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案国家公務員法の一部を改正する法律案、及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案件を一括して議題といたします。  まず、ただいまお手元にお配りいたしてあります資料について政府からその説明求めます。吉國政府委員
  3. 吉國一郎

    吉國政府委員 お配りいたしました資料につきまして、便宜私から御説明申し上げます。  資料は二枚になっておりますが、一枚目は、国家公務員職員団体その他の団結権の問題について、二枚目地方公務員の問題でございます。  一枚目の国家公務員につきまして御説明申し上げます。ABCという符号で職員その他の構成員範囲をあらわしております。Aは、いわゆる非現業職員でございまして、この場合、所属省庁のいかんを問わないということにいたしております。Bは、三公社現業職員公共企業体等労働関係法適用を受けます職員でございます。Cは、職員以外の労働者その他の者。  単位団体連合体二つに分けておりまして、単位団体に例を三つ設けまして、例の1は、Aすなわち非現業職員のみをもって組織される団体、この場合、Aが五つ書いてございますが、そのAを一人と見るか、あるいは五人、十人と、ある単位を御想定いただいてもけっこうだと思います。例の2は、非現業職員のほかに三公社現業職員が一部まじっている場合、例の3は、労働者その他の者がまじっている場合でございます。下の欄に、国家公務員法改正前、現行法と、それから今度提案いたしております改正によります改正後の国家公務員法によりまして、そのような団体職員団体になるかならないか、翌録の要件を満たすかどうかということを表示してございます。  例の1は、今回の改正前におきましても改正後におきましても職員団体でございますし、登録要件を満たしております。  例の2は、現在の国家公務員法解釈運用におきましては、職員のみをもって組織されておることを必要といたしておりますので、職員団体ではございませんし、もちろん登録もできません。改正後におきましては、職員主体として組織されておるわけでございますから、職員団体でございまするが、登録要件は満たしておりません。  例の3も、現行法におきましては、職員団体ではございませんし、登録要件も満たしませんが、職員主体となっておりまするので、改正後におきましては、職員団体定義に適合してまいりまするが、登録はされません。  連合体につきましても同様に例を三つ示しておりますが、例の4は、職員団体職員のみをもって組織する団体二つあるいは——これも単位を幾つにおとりいただいてもけっこうでございますが、かりに二つ連合体を組織している場合は、改正前におきましても改正後におきましても、職員団体であり、かつ登録要件を満たす。ところが、例の5にございますように、職員のみをもって組織いたしまする団体と、三公社現業公共企業体等労働関係法適用を受けます職員団体との連合体、あるいは例の6にございますように、職員団体職員以外の労働者その他の者の団体との連合体、これはいずれも、改正前におきましても改正後におきましても、職員団体定義にもはまりませんし、もちろん登録もされないということを示しております。  二枚目は、地方公務員につきましての説明でございますが、これも国家公務員につきまして申し上げたのと全く同一にお考えいただいてけっこうでございまするが、地方公務員につきましては、先般来御説明申し上げてございますように、地方公共団体範囲が問題でございます。と申しますのは、ここに説明にございますように、同一地方公共団体職員であるか、他の地が公共団体職員であるかということが、登録等に関連いたしまして問題になるわけでございます。  単位団体につきまして申し上げますと、例の1は、ある一つ公共団体の一般の職員のみをもって組織する団体でございまするから、これが、改正前におきましても改正後におきましても、職員団体であり、登録要件を満たすことは、国家公務員法につきまして申し上げたと同様でございますが、例の2にございますように、ある地方公共団体職員が大多数を占めておるけれども、他の地方公共団体職員も加入しておるという場合には、現行法におきましては、職員団体定義にはまりませんし、もちろん登録も受けることはできません。改正後におきましては、そのA1というある地方公共団体職員主体となっておるわけでございまするので、職員団体定義にははまってまいります。しかし、登録を受けるためには、同一地方公共団体職員のみをもって組織されておることが必要であるということで、登録はされません。同様なことが、例の3、例の4にございますように、地方公営企業職員が一部分加入しているとか、あるいは労働者その他の者が一部分加入しているという場合に、同様な結論に相なるわけでございます。  連合体につきましても、国家公務員法につきまして御説明申し上げたのとほぼ同様にお考えいただいて、職員団体であるかどうか、登録され得るかどうかということをこの図によってごらんいただきたいと思います。  なお、先般安井委員の御質疑に対しまして私お答え申し上げましたように、このような職員団体登録を受けた職員団体あるいは登録を受けない職員団体職員団体でない事実上の団体というものとの交渉につきましては、その二枚目の注の2に書いてございますように、左縦書きというちょっと妙なかっこうでお読みにくいと思いますけれども、ここに書いてございますように、登録を受けた職員団体登録を受けない職員団体職員団体でない事実上の団体との間には、おのずから差があるわけでございまして、その差をこのような文言で表示して書いてございます。  なお、注の1にございますのは、同一地方公共団体単純労務職員は、改正前は、地方公営企業職員と同様に取り扱われているわけでございますが、今回の改正によりまして後は、同一地方公共団体職員範囲に含めてお考えいただいてけっこうでございます。
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 これにて政府説明は終わりました。  この際、安井委員から発言を求められております。これを許します。安井吉典君。
  5. 安井吉典

    安井委員 ただいま私の要求に対しての資料の御提出をいただいたわけでございますが、さっきの理事会の話し合いによりまして、この質問は後日に譲りたいと思います。ただ、この資料の中で、国家公務員団体地方公務員団体との交錯ですね、これはクロスする場合があり得るわけですが、それについてこの資料で明らかにされていないことが一つと、それから教育公務員の場合ですね、国家公務員である大学の職員、あるいはまた地方公務員である公立学校の教職員、こういう場合はこの表だけでいけるのか、あるいはまた、教育公務員の場合は別な組み合わせというものが、マル・バツが出てくるのではないかとも思うのですが、そういう面についてこれは足りないような気がするのです。その二点をもう少し明らかにするような形で資料の御提出をいただきたいと思います。  それから、ついででございますので申し上げたいのですが、私はまだこのほかに二つ資料要求を申し上げているはずであります。第一は、九十八号条約の発効後現在の段階まで公労法四条三項がもし無効であったと仮定したならばどういうことになるかということについての資料要求を申し上げていたはずです。これの御提出がまだないことが一つと、それからもう一つは、ドライヤー書簡付属文書として日本の労働法規解明書案を別送するという点について、この前の質問では、まだ届いておりません、こういうことでございました。しかし、これはもう時日もたつし、翻訳も済んでいるだろうと思うのですが、至急にこの二つについて御提出をお願いいたしたいわけです。これについてはどうですか。
  6. 吉國一郎

    吉國政府委員 国家公務員地方公務員とが交錯した場合どうかということでございますが、国家公務員のこの団結権についての図表で、Cに、職員以外の者とございますが、地方公共団体職員がかり国家公務員に一緒に団体を結成いたします場合には、このCと同様な扱いになる、地方公務員団結権につきましても、国家公務員が加入いたしますれば、同様に職員以外の者のCと同じ扱いでお読みいただければけっこうと思います。  それから地方教育公務員関係、ややこれは記載が足りませんで申しわけございませんが、地方教育公務員たる地方公務員につきましては、都道府県単位同一地方公共団体ということに相なっておりますので、その点を後ほどまた注釈でもつけて御提出いたしたいと思っております。
  7. 三治重信

    三治政府委員 九十八号の関係につきましてのものは、目下関係企業と協議して資料を作成中でございます。  それから——(「ドライヤー書簡」と呼ぶ者あり)これはまだ政府には参っておりません。先日一部総評に参っておるというお話ですが、おそらく向こうに着いてこちらに着かないということはないと思います、これは現行法制解明書というのですか、これはまだ正式に外務省には着いておりません。
  8. 安井吉典

    安井委員 総評に着いている分は、まだ仮訳ですが、私もちょっと見せてもらったのですけれども、政府に着いていないというのはおかしいですね。書簡の中に、別に送るとはっきり書いてありますね。来ないのに対して政府が黙っているのはおかしいと思うのです。どうです、ILOのほうにひとつ督促してみたら。
  9. 大橋武夫

    大橋国務大臣 着いていないのは事実でございますから、そのことをお答え申し上げたわけでございますが、だんだん時日もたってまいりまするし、さっそく現地のほうと連絡をとって取り調べをいたします。
  10. 安井吉典

    安井委員 いずれにしても、委員会の審議が最終段階に近づいて、会期もあと二週間ちょっとしかないわけです。早急にお取り寄せいただいて、やはり政府受け付け文書として御提出をいただきたいと思います。お願いしておきます。
  11. 倉石忠雄

    倉石委員長 昨日に引き続いて各案件につき質疑を続行いたします。田口誠治君。
  12. 田口誠治

    田口(誠)委員 昨日に引き続いて質疑を続行いたしたいと思います。  昨日は、主として人事局設置人事局設置に伴う団体交渉権必要性を申し上げ、いろいろと回答をいただいたわけでございまするが、きょうは、あとから文部大臣自治大臣おいでになりますので、中央交渉関係にも入りたいと思いますが、その間、昨日に引き続いて不明な点を若干お聞きいたしたいと思うのです。  そこで、お聞きする前に一応整理をいたしたいと思いますることは、昨日私の質問に答えられまして、人事局を設潰した理由は、人事院では団体交渉窓口になることが好ましくない、したがって、人事局設置して、この局に、現在の人事院が持っている権限権能機能を大幅に移譲して、人事局職員団体との交渉窓口としたい、これによって現在より以上公務員労働者要求を反映させたり達成させることができ得ると思う、こういうようなお考え方で御答弁があったわけでございます。一方、人事院のほうでは、人事院総裁は、人事局設置には反対、そこで、公務員労働者は、依然として団体交渉権ストライキ権も与えられておらない、こういう現状において、どこからも干渉されない、中立的で独立性を持った人事院が、公務員労働者労働基本権の代償としての機能を発揮することが一番好ましいのである、したがって、今日までとってきた経過からいっても、職員団体の意向は十分に勘案をいたしたし、政府等考え方も考慮に入れて、そうして人事院に与えられた権限、もろもろの事項を処理してきた、こういうような答弁がございました。そこで、人事局設置して、人事院権能を大幅に移譲して団体交渉窓口になる場合には、職員団体団体交渉権を与えなければならないのではないか、したがって、これにこたえる責任体制人事局に与えなければならないのではないか、こういう意味のことを私は主張して、質問をしてきたわけでございます。  そこで、人事局設置されたと仮定いたしましても、具体的に作業を進めることを念頭に置きましていろいろと考えました結果、結果的には、質疑応答の中から出てくるものは、人事局設置すれば、やはり公務員労働者にも職員団体にも団体交渉権を与えることが、労使間の正常な運営がなされるのではないか、それと同時に、昨日、五現業団体交渉できめられた賃金、そうしてまた法律できめられた賃金に格差が出てきておるというこの事実からいっても、当然団体交渉権を与えるべきであるというように判断ができたわけでございます。したがって私は、こういうような集約の上に立って若干お聞きをいたしたいと思いますことは、昨日、大橋労働大臣答弁をお聞きいたしておりますと、五現業団体交渉権を与えたことは、職務内容からであり、団体交渉権によって自主的に公務員労働者の諸問題を解決することが、能率を上げる上において必要である、こういう意味の表現をされておるのです。職務内容からいって、団交権を与えることが職務を遂行させ、能率向上にも役立つのだ、こういうような意味合いのことを答弁されたのでございますが、私はこれを聞いておりまして、このことは国家公務員の場合にも同様であると思うのです。私も昨日主張いたしましたが、国家公務員法の第一条に明記されておるように、国家公務員が、民主的で、そうして国民奉仕者としての能率を向上させるためには、させられるようなそういう方法をとっていかなければならない、こういうことを考えてみますと、やはり団体交渉権は与えるべきである、こういうように私は思うわけでございますので、いまの能率向上云々というような点については、決して五現業だけでなしに、国家公務員の場合も同じ考え方ができるわけなんです。それをどうして国家公務員だけ団体交渉権協約権も与えられないのか、スト権まではいかなくとも、交渉権協約権ぐらいは与えてもいいじゃないかと私は思うのですが、どうして与えられないかということについて、もう少し大臣説明をいただきたいと思うのです。
  13. 大橋武夫

    大橋国務大臣 国家公務員団体交渉権団体協約締結権につきましては、いろいろ問題点があると思うのでございます。現在の制度といたしましては、国家公務員の中で、五現業職員のみに対して、公労法による団交権団体協約締結権が与えられておることは、御承知のとおりでございます。そこで、さらに掘り下げまして、五現業以外の国家公務員の中には、五現業に準じて団体交渉権団体協約締結権を付与することが適当と認められるものはないかという問題があるのでございまして、このことはすでにILOのほうでも報告書の中で指摘をいたしておることもあるのでございます。戦前のわが国公務員制度を考えましても、いわゆる官吏という身分を与えられておる人々と、雇員傭人というような身分を与えられている人々との間には、行政法上の取り扱いにおいても明らかに異なるものがあったと思うのでございまするが、現在は何事も民主主義平等主義ということになりまして、昔の雇員傭人をも含めまして、現行公務員というものに一括して規定をいたしてある次第でございます。外国の例を見ましても、こうした公務員全体をさらに細分いたしまして、労働権取り扱いを二三にいたしておる例もあるとか聞いておるのでございまして、将来わが国におきましても、こうした問題について一そう検討を進めるべき時期がいずれあろうかと思いまするが、現在の制度におきましては、とにかく公務員全体は、五現業以外の職員を一括して無差別に取り扱っておるのでございます。そしてそれにつきまして全体として労働権制限するというやり方をいたしておるりでございまするから、現行法において、これらの公務員全体について団交権を認め、協約締結権を認めるということは、これはとうてい考えられないことでございます。したがって、現行法のたてまえが将来基本的に変更されるという場合がありといたしましたならば、その際にこの労働権の問題もあわせて検討され、それぞれ適当に処理されることは十分に考えられますが、私は、現行法としては今日のことはやむを得ないことと思うのでございます。
  14. 田口誠治

    田口(誠)委員 大橋労働大臣も、現在の機構、法律内容をそのままいいとは考えておられないようでございまするし、将来検討の余地ありという答弁もあったわけでございまするが、そこで、いま御答弁の中で、五現業職員国家公務員とは内容的に違うものがあるからと言われましたが、これはおそらく職務専念義務ということであろうと思うのです。そうなりますと私は疑問が出てきますのは、公庫公団というものはどういうようにお考えになりますか。公庫公団の場合には権限を付与しておりまするが、これはどちらかといえば、国のほうの予算に拘束をされたり、公団の場合はまだまだですけれども、公庫の場合は、これは相当に国の政策に左右される場合があるわけなんです。それで、ここには職務専念義務がないかどうかといえば、これはないとは私は言えないと思う。当然あると思うのです。したがって、こういうものを比較してみますると、やはり国家公務員だけ、職務専念義務があるから、国家国民の全体の奉仕者であるからといって、団体交渉権協約権も与えぬということは、どうしても理論的に出てこないわけなんで、いまの公庫との比較をしてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  15. 大橋武夫

    大橋国務大臣 公庫公団事業団等は、いずれも法律に基づきまして、国の行政と考えられるような実質的な仕事を、形式的には国以外の一つの独立した法人の事務として処理していこうというたてまえでございまして、したがって、これに従事いたしまする職員仕事というものは、実質的には国家事務に準じて考えるべきほどの公共的なものではございまするが、形式的には一応国以外の団体事務と観念されておるのでございます。したがって、身分につきましても、国以外の団体の使用人というたてまえをとっておるのでございまして、公務員という形式的な地位は与えられておりません。したがって、団結権その他の問題につきまして、その職務の実質的な点を考慮して制限を考えるべきだというたてまえからいえば、当然国家公務員と同じように制限してしかるべきじゃないかという理屈も立ち得るわけでございまするが、現在のわが国制度といたしましては、公務員に対する労働権制限は、公務員であるかいなかということを形式的に決定いたしまして、その形式に従って制限をするというたてまえをとっておるわけでございまして、この点に対して、実質的にその職務を調べてそれによって制限しろというたてまえを主張される方から見れば、現在の法制は十分に説明ができない点もあろうかと思います。しかし、この点も、私はやはり労働行政といたしましては将来検討すべき大切な点であると考えております。
  16. 田口誠治

    田口(誠)委員 公務員労働者の場合も、その職務一つ一つ検討いたしますると、種々雑多でございます。したがって、そうした公務員労働者には交渉権協約権もないが、ただいま御答弁もありましたように、国の法律によってつくられ、そして国の予算政策によっていろいろと支配をされておる公庫公団等は、これは団体交渉権協約権も、権利一切を持っておるわけなんです。したがって、さてここでたとえばストライキをやったとした場合に、公共の福祉にどう響くかということになりますれば、国家公務員の中でも、職務内容によってはほとんど響かない職務もありまするし、そうしてまた、公庫公団事業団、こういうものも、ストライキをやった場合には非常に大きく響く場合がある。そして全く労働三権が確立され付与されておるところの民間の労働組合も、ストライキをやった場合には公共性に大きな影響を及ぼす事業体もあるわけなんです。こういうことを考えてみますれば、あえて公務員だけ別扱いするということはおかしいじゃないか。したがって、ILO八十七号条約批准と同時に、私どもとしては不十分だと思いまするけれども、ワンステップとして、団体交渉権協約権くらいは付与すべきである、こういうように思いますけれども、この点はおそらく、原案が出ておるのですから、矛盾は考えておられても、なかなかそのとおり答弁ができないと思いまするので、これ以上突っ込みません。ただいま申しましたような一つ一つの事例をあげて御質問を申し上げれば、集約すると、やはり団体交渉権協約権くらいは与えるべきであるということに必然的になるわけでございまするので、そういうことを私は強く要望をいたしておきます。  それから、総務長官おいでになりましたので、一言だけお聞きをしておきたいと思いまするが、昨日、内閣人事局を設けて担当大臣を置くことになった、そしてここが団体交渉窓口になれば、職員団体交渉範囲が拡大されるし、そこへ総務長官国務大臣ということになりますれば、公務員労働者要望を達成することが容易にできるようになるという御答弁があったわけでございます。したがって、私はこういう点に対する期待と、それからこのことについては何ら疑義は申しませんが、ただ私はここで一つだけ、これは今後の人事院の勧告等に関連をいたしますから、確認をしておきますが、人事局を設けて担当大臣を置きましても、この担当大臣は、労働者の待遇の問題については、他の省の大臣と性格がちょっと違いまして、総理大臣の補佐的機関の大臣のような形になると思うのです。これは違っておるか違っておらないか、この点をやはりこの際明確にしておきたいと思うのです。
  17. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 ただいま田口さんのお尋ねは、総務長官として公務員のいろいろな団体交渉窓口になる、その場合には、他の役所の場合と、総務長官がこれに当たる場合とは内容が多少違うのじゃないかということと、さらに、それが総理大臣の補佐機関というものを加味してやっておるから、内容が少し違うのじゃないか、こういうことでございますね。ちょっとそこのところがはっきりいたしませんが……。
  18. 田口誠治

    田口(誠)委員 もう一度申し上げますが、人事局というものが内閣に設けられる、そうしますと、この担当大臣というものは、公務員の給与とか待遇とか、あるいは任命、いろいろございますが、そうした関係を処理する担当大臣になるわけです。しかし、この中の給与の問題なんかは、これは全部絶対にとは申しませんけれども、人事院に勧告権と調査権がある以上は、これは人事院のほうで主としておやりになるわけでございますので、したがって、人事局交渉窓口になった場合に、責任を持って答えられることは、これはいまのところ、人事局にどれだけの権限があるという、権限が付与されておらないから、大臣がそこへお入りになっても、これは他の大臣が各省の職員団体交渉するようなわけにはいかないんじゃないか、したがって、ことばをかえて言えば、内閣人事局があるのだから、結局総理大臣の補佐的な大臣という性格を帯びるのじゃないか、こういうことを私は思うので、この際お聞きをしておきたいと思うのです。
  19. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 それは田口さんの御解釈と大体同様だと思っております。やはり総理大臣の補佐機関としてその折衝に当たる、こう解釈していいと思っております。
  20. 田口誠治

    田口(誠)委員 その点が各省の大臣と若干の相違があると思います。そうなりますと、私は給与の問題を一つ取り上げて考えてみますと、これは俸給表の関係で、第六十四条に「給与準則には、俸給表が規定されなければならない。俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」こう書いてあるのです。ところが、今度の改正案は、「人事院の決定する」というこのことを抹消して、そうしてただ「俸給表は、生計費、民間における賃金その他の事情を考慮して定められ、」こうなっておるわけです。そうなりますと、「人事院の決定する」ということを抜いたことは、やはり昨日来から心配をしておりますように、総務長官国務大臣として給与の担当大臣のような形で交渉される場合には、総理大臣の補佐機関である大臣としてやられるということになりますと、必然的に政府の趨勢消長によって公務員の待遇というものは変わってくるということが考えられるわけです。したがって、私はまず第一に、どうしてこの「人事院の決定する」という項をあえて抜いたのかということをお聞きいたしたいし、これを抜いたことにおいて、人事院が将来勧告等をやる場合に全然支障がないものかどうか、この点をひとつ、政府のほうは、労働大臣がいいですか、総務長官がいいですか、どちらでもよろしい、それから人事院総裁にお聞きをいたしたいと思います。
  21. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 国家公務員法の六十四条のただいま御指摘の給与準則の条文でございますが、「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」というふうに現行法はなっております。それが改正法、案のもとにおきましては、「俸給表は、生計費、民間における賃金その他の事情を考慮して定められ、」というふうに改まっております。このように改めることにいたしましたのは、俸給表というものは法律によって定められることになっておるわけでございまして、これは国会によって決定されるものでございます。そういう意味からいたしまして、俸給表を定める要素と申しますか、それにつきまして、人事院が決定するということは適当でないので、そこの「人事院の決定する」という文言を削ったわけでございます。なお、給与準則につきましては、このあとの六十七条にも、給与準則につきまして、人事院は常時調査研究を行なって、それで必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができる。というふうに今度の改正でなっておりますので、やはりその俸給表を作成するにあたりましてその基礎となりますものは、人事院のそういった意見の申し出というものがあるわけでございますから、その辺につきましては、実体問題として人事院の業務には何ら支障を及ぼすものではない、このように考えております。
  22. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私どもといたしましては、たびたび申し上げますとおり、この原案の全体の行き方について根本的の疑義は持っておりますけれども、いま御指摘のような条文につきましては、これは従来どおりこれでやっていけるだろう、そういう気持ちを持っております。ただし、そのゆえに全部よろしいということで安心したということにはなりません。ただ、その条文についてはそういうことが申し上げられるのではないか、こういうわけであります。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま政府委員答弁からいきますと、「人事院の決定する」という項を削ったのは、人事院が給与を決定するのではない、これは最終的には国会が決定して、法律で確認をするのであるから、したがって、この「人事院の決定する」という項は不必要だ、こういうような答弁によってこの削除の内容説明されたわけなんです。そこで私はなおお聞きをいたしたいことは、それでは、現行のように「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」こう書くのと、そうして改正案の「俸給表は、生計費、民間における賃金その他の事情を考慮して定められ、」こう書くのと、「人事院の決定する」ということを入れてあるのがただいまの国会が最終的には決定するのだということから削る必要があるのだと言われたことは、これは削っても削らなくとも私はいいと思うのです。したがって無理にこれを削ったというその裏には、予算というものに大きく支配をされるのだ、こういうことが裏にあるわけでございまするので、したがって、私は、昨日来から人事局交渉の当事者となって、そして人事院と始終連携をとりつつ、また人事院人事局と連携をとりつつこの人事院の勧告が出されるということになりますると、ウエートが予算の面というものに大きく支配をされまして、人事院の中立性、そうして独立性というものがなくなり、ここに公平を欠くことができてくるのではないか、こういうように考えられるわけなんです。したがって政府があえてこの項を削ったということは、そもそもそういう意図があるわけなんです。したがってILO八十七号条約批准とともに前向きにしなければならないものを後退をする案を出してきておるというところに、私は納得のできないものがあるわけでございまするので、この点についてもう一度御説明をいただきたいと思います。
  24. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この点は先ほど来政府委員が申したとおりでございまして、なくてもいいじゃないかという理屈から削っただけでございます。その裏に予算でもって俸給表を締めつけようという底意があるのではないかという御疑念のようでございまするが、そうした底意はないということは提案者でありまする政府からはっきり申し上げておるのでございまして、どうぞ御安心をいただきたいと存じます。
  25. 田口誠治

    田口(誠)委員 答弁の上ではそういう答弁でありますけれども、私はこういう改正をあえてしたという裏を考えまするとそんなに安心はできないわけです。これは並行線になりまするので次へ移りたいと思います。  そこで賃金というのは、正常の物価の上昇の時期ならばこれは民間給与との格差の是正という形の従来の勧告方式をとられる場合がございまするけれども、急速に物価が上昇して生活に困るということになりますると、今度は人事局交渉の中でこれは賃上げを認めなければならないということも、この物価の上昇率とそれから民間賃金の上昇率からいって考えておかなくてはならないのです。したがってそういう場合に、人事局が責任を持って職員団体のそうした要求にこたえられる窓口になれるかどうか、いまの権限内でなれるかどうかということをお聞きしておきたいと思うのです。
  26. 大橋武夫

    大橋国務大臣 やはり臨機の場合には臨機の処置も必要であろうと存じます。今日俸給表の改定ということは法律による国会の権限でございまして、従来から国会においてこれを決定するにあたりましては人事院の勧告を基礎にしてやってこられた実績はございまするが、非常に物価の急騰があり、急激に公務員の生活が不安になった、したがって人事院の調査を基礎とした勧告を待つまでもなく処理しなければならぬというような事態においては、人事院ももとより従来の調査形式にこだわることなく臨機の調査によって結論を急がれるでありましょうし、また国会とされましても人事院の結論を待ってはおそくなるというような場合には、勧告に基づかずして処理されるというような臨機な御措置も当然期待できるのではないかと思うのでございます。そうした場合におきまして、人事局というものが公務員との交渉窓口に当たることは当然でございます。
  27. 田口誠治

    田口(誠)委員 そういう重要な問題の処理もできる窓口だということになりますると、これは私どもの労使関係を運営をした経験として考えられますることは、民間の労働組合でも、交渉をして、それから交渉した結果は結論が出る、この結論を文章化しておかない場合には、あとで都合が悪くなって、言った、言わなんだ、解釈がどうだこうだというので不必要な紛争をかもし出すことが往々にしてあるわけなんです。したがって私は、人事局というものはそこまで仕事ができるということになりますれば、これは当然職員団体団体交渉権協約権を与えておいて、そうして責任ある交渉の中で取りきめをして、この取りきめをしたことはこれは政府が責任を持って実施をするという形にいかなければならないと思うのです。したがってことばをかえていえば、国会におきましてもそこまで話のついたものはもう承認を得ればいいというくらいな程度にならなければ、実際に正しい労使慣行というもの、労使対等の立場で話し合いをしてものをきめるというこの原則に沿った実績はあがらないと思うのです。したがってそういうことから私はどこまでもそういうような主張をし続けたいわけであります。  そこで、文部大臣がお見えになる前にもう一問だけお聞きをいたしたいと思いまするが、まあ人事局交渉窓口になるということは、作目来の回答によって明確になっておりまするが、実際この交渉をするということになりますると、これは各省ごとに、各行の大臣にそれぞれ交渉される面も相当にあろうと思うのです。それで各省の大臣はその交渉を受けて立って、そしてそれを人事局へ持っていってぶつける、あるいは人事局へ直接職員団体が行って交渉をする、こういうような作用が行なわれると思うのです。したがって人事局の場合には相当連合団体交渉に当たる場合があろうと思うのです。そうでなかったら各省の単位組合が大臣に対して交渉をしても、そこで話がつかなかったものをどこで消化していくかということになりますれば、これは人事局交渉窓口で消化していく、こういうことになりますので、そうすると人事局窓口というのは、これは各省ごとにばらばらな交渉がなされて、ばらばらな労働条件を実際に行なわれるというようなことは好ましくないので、これを統制して統一してやる必要があるというところに、人事局設置の必要な一つの要素も出てきておると私は思うのです。したがってそうなりますと、単なる単位組合だけでなしに、連合団体との交渉の場というものは相当にあろうと思うわけでございますが、この点労働大臣どういうようにお考えになりますか。
  28. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そのとおりに考えます。
  29. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうなりますと、最後の締めくくりとして私は申し上げておきたいことは、何回か申しましたように、職員団体にも団体交渉権協約権を与えて、人事局にもそれだけの受け入れ体制の権限を持つということが必要ではないか、かように考えておりますので、これは政府においても、原案にこだわらず研究をしていただく必要があろうと思います。  文部大臣がお見えになりましたので、自治大臣文部大臣にお聞きをいたしたいと思います。特に文教の関係にもなりますし、一般地方公務員の場合にもなりますが、地方交渉をする場合には、給与の関係については、それは中央でなかったら何ともならぬからといって、この点についての話し合いはほとんど進まないというのが実態であるわけなんです。したがってそういうことから、おそらく、自治省ならば自治大臣に自治労が交渉をしてきておると思うのですが、実際において中央との関連を持つ諸問題を解決しようといたしますれば、地方公務員の場合でも地方職員の場合でも同じことでございますが、中央交渉というものがなければ、地方公務員なり地方職員要求を満たすことができない、そういう場がないということなんですが、この点については自治大臣はどういうようにお考えでございますか。それと同時に、事実どういうようにやられておるか、この点を承りたいと思うのです。
  30. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それぞれ当局と交渉するわけですが、交渉は言うまでもなく自治の面ではそれぞれの地方団体でございまして、ここで勤務条件の適法なる管理あるいは決定などはいたしております。御案内のとおりに、実は国家公務員地方公務員との給与額にいたしましても、いまのような状態でありますために、かえって、国家公務員に準ずるはずのが上回ったりなどしておる現象がありますことは田口委員も御承知のとおりでございます。これはやはり地方公務員の場合はそれぞれ関係当局と交渉すべきものでありまして、いまの段階で給与面について自治大臣に対して団体的な、少なくとも交渉などをやられる立場ではないと考えております。
  31. 田口誠治

    田口(誠)委員 原則的な考え方としてはいま自治大臣のお話しになったように、地方公務員というものは市町村長なり知事なりに交渉をするということがたてまえでございますけれども、そこで消化のできないものがあるわけです。賃金の問題なんかを取り上げた場合に、また自治省からいろいろな政令とか指導要綱というようなものが出てきて、これが労働条件に関連のあるものについて、どんなに要求をして交渉をしてみても、それはし部機関の自治省でないと、私のほうでは交渉することができない、こういうことを言って、地方公務員のそうした要望交渉の中で消化することができないわけなんです。これはおわかりだろうと思うのです。したがってそういうものは自治労の中央本部が大臣交渉するというのが私はたてまえになってこようと思いますし、現在もその点はやられておると思うのですが、その点もう少しつけ加えて御答弁をいただきたい。
  32. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御承知のとおり、従来とて陳情あるいは意見は聞いておるわけでございます。しかし、これはそれぞれの地方自治団体が自分たちの立場で交渉されるべきものでありまして、意見あるいは陳情がありましたものにつきましては自治省でもそれぞれ判断いたしまして、自治団体についてそれぞれ勧告をするとかいうことは場合によってはいたします。しかしながら、中央で何事か話し合ったものを地方へそのまま行なわせるということは御案内のとおりできぬわけでございまして、その限度では私どもはこういう諸団体の御意見は承っております。
  33. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで大臣にお聞きをいたしたいことは、地方で大体消化することが当然だということでございますが、最近の最も身近な例を申しますと、自治省のほうから賃金その他、これはおそらくこの夏の手当だと思いますが、そういうものは人事院のきめたもの、法律できめられたもの以外に条例等で定めて余分に出すな、何かこういうような通達がいっておるようでございますが、そうなりますと、いままでの既得権からいきまして、全く人事院の出した、いまの政令で定められておる額を上回ったものが一銭もとれないということになりますれば、そういう交渉は必然的に自治労が自治大臣にしなけれ、ばならない、こういうことになるわけでございますので、いま申し上げました一つの例を取り上げてみましても私は問題があろうと思うのです。したがって私は、かたい交渉ということばをきらって、話し合いとか陳情とかいう表現をされる方もございますけれども、最近は労使が話し合うのは交渉というのが常識ですから、交渉でよろしいのですが、そういう交渉をしなければならないと思うのです。したがって、地方公務員地方の、長と交渉をして、一切の問題を消化しなければならぬということになりますと、非常に要求内容を満たすことができないということになりますので、これは当然上部機関の自治労と自治大臣との交渉になろう、こう思うわけなんですが、それはいままでもやっておられるのじゃないですか。
  34. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 助言や勧告は先ほど申しましたとおりにいたします。給与は先ほど申しましたように国家公務員に大体準ずる、同じあるいは以下にせよといったことではございませんので、準ずるということは御案内のとおり法律できまっておるわけでございます。ただそのいろんな交渉をなさった結果が、何らかいろんな手当を見ます場合でも、やはりそれは条例でやってもらわなければいけないという通達を先般いたしました。これは御案内のとおりに別に意味があるのでございまして、あまりやみということばは当たりませんけれども、今日地方団体の財政の処理の問題につきまして、実はこういうことを放置しておきましては困るという面がありまするので、指導、助言はいたしております。大体限界はその程度でございまして、それ以上に地方団体について何がしかの指揮、命令というようなことは当然いたしておらぬわけでございます。
  35. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま、一つの例をあげて通達の内容を申し上げたのですが、それは例に申し上げただけで、私のお聞きしたいことは自治省中央本省に関連のあることは、これは労働者の待遇の関係でも地方では消化できないわけなんです。これは地方の長は、それは自治省へ持っていってもらわなければ何ともならぬのだ、こう言ってはねつけるわけなんです。したがって中央で拘束されるものがあるのだから私はそれは無理はないと思うのです。したがってそういうものはそうした地方公務員の連合団体になっておる自治労が自治省と交渉をすることが正しいことであり、今日までもなされておるのであって、このことはILO八十七号条約を批准するに伴って行なうこの国内法の改正のときに別段これをバックさせるようなことはあってはならないし、また前進こそ必要でありますので、私はそうした交渉必要性を聞いておるわけなのです。
  36. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ほかの各省と違いまして、自治省の場合は都道府県、市町村、自治団体が自治行政の全部をなしておると申しますか、ですからこういう問題につきましては地方自治の本旨に照らしまして、やはり使用者というものは住民でございます。住民ですからその地域地域にそれぞれの特性もございましょうし、ですからやはり当局と考えられます、先ほどの適法に勤務条件を管理しまたは決定する立場にありますものがそれぞれ交渉してきめますことであって、そのほかのことにつきまして何か統一的ないろいろな御意見、御要望があれば、これは自治省として承るわけでございます。しかしこの勤務条件などについて自治省がじかに自治労と交渉して何かの取りきめをいたしましても、そのこと自体は地方自治の精神に私は反すると思うのです。たてまえといたしましてはそういったことで地方団体ごとにそれぞれ交渉なさるのが本筋である。それからはみ出してどうしてもぐあいが悪いことはやほり御意見あるいは陳情は承ります。また、適切と認めれば当該団体に対して勧告も助言もいたすわけでございます。これが私は限界であろう、かように考えております。
  37. 田口誠治

    田口(誠)委員 どうもかたくなって答弁をしておみえになりまするが、実際においてそういう答弁がありまするけれども、地方公務員が市長なり県知事と交渉する場合には中央に関連をしたこと、給与に関連をしたこと、中央からいろいろ指導——政令で定められたようなものについてはこれはもう一切ノーコメントなのです。したがってそういうものを消化するにはこれはどこが消化したらいいかということなのです。この点は労働問題全体を考えておられる大橋労働大臣はどうお考えになりますか。
  38. 大橋武夫

    大橋国務大臣 労働問題の取り扱いといたしましては、労働組合を認め、団体交渉ということを承認いたします以上は、できるだけ給与その他の労働条件が労働組合と使用者あるいは使用者の団体との団体交渉できまっていくということがたてまえではございまするが、しかし地方団体等におきましてはやはりその間に他の原理が働くのでございまして、すなわち地方団体の自治権というようなこともただいま自治大臣から仰せられました。要するにこの問題は労働問題の原則と地方自治の原則をどういうふうにあんばいしていくかという問題だろうと思うのでございます。同時にまた、自治体におきましては地方住民が最高の主人でございますので、この地方住民の地方的な公共の利益というような立場もあるわけでございまして、この関係からも労働問題の原則の完全なる適用はやはり公共の利益との間におのずから調和をはかられなければならぬ点もあろうと思うのでございます。したがって労働の原則からいってかくかくではないか、その原則があることは私は十分に認めまするが、しかし、すベての場合にそれ一本で押し通すということは、やはり社会的制度としてはそうばかりいかない場合もあるのではなかろうか、いろいろ他の社会生活の原理、原則というものとよく調和を保ち、均衡を保ち、制度をきめなければならぬ、こういうふうに思うのでございます。
  39. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの御答弁の中にありました地方住民の立場に立って云々ということについては、この範囲内のものについては地方交渉で消化できるわけなんです。これは消化できます。ところが中央に関係しておるものは、これは地方で消化はできないわけです。したがって、これは地方の各町村の組合がそれぞれ上京して、そして自分たちの意思表示をするのが、それは一番圧力もできていいかもわかりませんけれども、そうでなしに、上部機関の自治労というものがあるのだから、これを通じて反映をさせるということは当然労働組合としてはやるべき正しい姿でありまするし、またこれを受けて立つ政府側もこれを拒むということは私はおかしいと思うわけです。それは完全に約束のできるものとできないものといろいろありまするけれども、受けて立たないということほこれはおかしいと思うので、私のいま申し上げておることは、そういう場合に交渉を受けて立つことが好ましいか好ましくないかということを開いているのです。
  40. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は、交渉を受けて立つことが好ましいか好ましくないかということの前に、団体交渉として処理すべき事項であるかどうかという点に問題があるのではなかろうか、そのことについての考え方を先ほど申し上げたわけでございます。というのは、私の素朴な考え方によりますと、現在の自治省が地方公務員の労働条件について団体交渉の当事者として労働組合に対立するという場合はおそらくあり得ないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  41. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこがおかしいのです。大きな政治問題は別といたしまして、事公務員の労働条件に関する問題で地方では消化できないものがあるわけです。消化できるものは先ほど大臣答弁にありました地方住民の代表者としての知事なり市長なり町村長が責任を持ってやることは、これは消化できるけれども、そうでない中央でなければ解決してもらえぬものは、これは地方公務員交渉ではできないわけなんです。したがってこういうものを地方公務員はどこへ反映したらいいかということになります。反映できないようなことなら、これは団体を組織しておっても何にもならないということになる、極端な話でいきますとね。だから職員団体をつくって、そして団結体の中において、自分らの待遇を改善しようと思えば、これはおのずから関係庁に対して交渉しなければならない。この関係庁に対して交渉のできないものは何かといえば、中央に関係のあるものが交渉できないと、こういうんだから、そういう中央に反映しなければならないものはどこの場でやればいいか、これを教えてもらえばいいのです。
  42. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 自治省に関する御質疑のようですから、私からお答えいたしますが、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、そういうことは平たく私どもは御意見あるいは陳情は聞いておるわけでございまして、ただ交渉ということになりますと、田口委員はどういうことを背景にお考えでの発言か存じませんけれども、たとえばとにかく町村は、この町、この市はこういうふうに財政が苦しいんだ、だからここへたとえば交付金、交付税等をよけい出せというようなことの陳情を、これがほんとうに交渉などということで展開されたら、たいへんなことになると思いますし、また地方自治というものはそういうものではないと思うのです。やはりそれぞれの市町村の実情というものもあります。またそれによって一つの配分基準を設けまして交付いたしますものが、それがまた給与の中になるかわかりません、事業費になるかもわかりませんが、それは給与のために、私どもは給与費としてここにそれぞれ交付しておるのではないと考えます。一括いたしましてやはりこれは地方団体に交付され、それを地方団体のそれぞれの事情に応じてこれが消化される、こういうふうに考えておるわけでございます。その他どう考えましても、いろいろ直接に自治労が自治省に対して交渉をしなければならぬという懸案、たとえば先ほどから何かあれもある、これもあるというふうにお考えでの発言かと思いまするけれども、ちょっと想像がつかぬわけでございます。したがいましていずれにいたしましても、私どものほうでは何もこういう方々の御意見を無視しようというのでは決してないのでありまして、やはりこういった方々がお述べになる意見また陳情等はよく吟味、検討もいたしまして、なるほどと判断できるものについては、自治省の権限と申しましても助言だとか勧告にすぎませんけれども、そういうふうな措置は適切にやらなければならぬ、かように考えております。
  43. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっと頭の中を整理いたしまするが、話し合いとか陳情とか交渉とか、いろいろな表現が出ますが、完全に罷業権を持って団体交渉権を持ち、協約権を持っておる民間の労働組合でも、やはり交渉をする場合には交渉をする内容とそれから方法、時期、員数まで、前もって相談するようになっておるのですよ。したがってあれもこれも、あれもこれもと言われまするけれども、私は限定をして申し上げておるのです。労働条件に関することを地方では消化できないものがあるから、これは中央へ反映しなくちゃいかぬ。それで中央へ反映するのは自治労が地方職員団体の代弁として自治大臣交渉をする。これは要求をする、陳情をする、いろいろことばの使い方はあろうけれども、そういうことをするわけなんです。そういうことをやらなければ消化はできないと思うのです。だから私はそのことを聞いておるのですから、もう少しその辺のところをあまりかたくこだわらぬように、楽な気持ちでひとつ答弁いただきたいと思うのです。
  44. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 かたくなっておるわけではございませんので、自治行政につきましては御案内のとおりそれぞれ自治団体が責任を持ってやっておるわけでございますから、先ほど勤務条件のほかあれこれ言っておるわけではないというお話でしたが、勤務条件という中には給与が一番大きな部分だし、いろいろなものがあるわけでございますので、そんないろいろなものについて、あるいは地方では消化し切れぬものがあるという御判断での御質疑かと実は思ったわけでございます。しかしそれぞれの団体ごとに御案内のとおりいろいろな特殊な事情がありますので、それにつきましてなかなか地方でもって市町村当局が、何か要請してもそれが聞いてもらえないというようなことを、代弁者的な気持ちで御意見御開陳になるのでしたらけっこうでございます。私どももできるだけ実情は知らなければなりませんので、そういったことにつきましてはよく拝聴した上で判断する、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  45. 田口誠治

    田口(誠)委員 何回聞いてもあまり差のない表現で答弁されておりますけれども、考え方としては、地方公務員地方の長と交渉をしても消化のできないもの、特に中央でないと消化のできないものは、これは自治労が代弁をして自治大臣と——これは自治大臣に限らずほかの省もそうですか、要求を出し、そうして交渉をして、そのことを最大限に取り入れられるべく努力をされておるということと、これからもそういう考え方には変わりはない、こういうようにこの辺で確認をしておきます。そうでないと、同じことをいつまで聞いても同じ表現になりますから。したがって私は、この際すっきりと交渉権を与えて、そうして交渉をするには何と何と何だ、そうして交渉する場合でもやはり双方が下打ち合わせをして、円満に労使間の争点を解消していくという形を打ち出されることが一番好ましい、こういうように思っておりますので、その点は大かたお考えになっておられると思いますけれども、原案が出ておりますのでなかなかそういう答弁はできないと思いますが、そういう点を強く希望いたしておきます。  そこで文部大臣お忙しいようでございまするので、さっそく文部大臣のほうへお伺いいたしたいと思いまするが、いわゆる中央交渉というのは、日教組と交渉をするということをなかなかむずかしく考えておられるようでございます。ところが先日来の質問応答の中から、文部大臣答弁された内容を集約いたしますと、文部大臣は教職員職員団体交渉相手の当局というものを、当局という表現をされずに、使用者的なものという表現をしておられますが、これはどちらの表現でも私はいいと思います。そこで、ちょっとわかっていただいてきておりますのは、地方職員組合の場合に、任命権者と交渉するだけでは職員団体要求を満たすことができないので、その場合には任命権者でないところの、いわゆる勤務条件その他のものを大幅に、実質的に権限を持っておる市町村長とかあるいは県知事、こういうところと毛交渉をするものであるという点は、いままでの答弁の中で明確になっておるわけです。したがって私は、いま自治大臣質疑応答をいたしましたが、教職員の場合には特にそうでございまするが、こと待遇、給与に関する問題は、これはもう中央から半額交付金でまかなっておるという関係もありまするので、その点については教育委員会交渉をしてみても、あるいは知事と交渉をしてみても、町村長と交渉をしてみても、なかなからちがあかないわけです。その相手方の言い分は、それは私らのほうでは何ともならないんだ、だからそれは文部省のほうにいって、文部大臣と日教組が交渉してもらわなければ話がつかぬのだ、こういうように逃げられてしまうわけです。したがってそういうことから、日教組は文部大臣に対して交渉を申し入れて、そして地方の教職員要求を、それぞれ要求書を出したり、場合によっては陳情する場合もありましょうが、交渉をしておるわけなんでございますが、こういうことは私は全然否定する必要はないし、これをやらなければ、正常な教育行政というものはできないと思うのでございますので、この点についてまず文部大臣のお考え方を承りたいと思います。
  46. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お尋ねの問題につきましては、しばしばお答えを申し上げましたところでございますが、田口さんは交渉ということばを非常に広い意味と申しますか、お使いになっていらっしゃるように思うのでありますが、私が先般来お答え申し上げておりますのは、この地方公務員法に基づく職員団体の、いわゆる勤務条件等に対する交渉の問題は、そう広い意味における交渉ではないと思うのでありまして、いわばいわゆる労使の関係に立っての交渉、こういう筋合いのものではないかと思うのでございます。その意味におきましては、先般来お答え申し上げておるところでございますが、国は、地方公務員である教職員団体、教職員のいわゆる職員団体、そういうものに対しまして、交渉の相手となるべきものではない、こういう考え方をいたしておりますので、そのような趣旨のお答えを申し上げてまいりましたわけであります。  もとより、教職員団体の諸君が地方で、実際問題として教育委員会あるいは市町村長あるいは知事にお会いになりまして、いろいろ話し合いをなさることは、事実問題としてしばしばあることだと思うのでありますが、いわゆる団体交渉的な意味における交渉ということになりますれば、その問題について処分し管理する権限のある当局がその相手となるべきものではないかと思うのでありまして、そういうふうに私は了解いたしております。  ただそういうところにお話を持ち込まれました場合に、あるいは問題によりましては、中央のほうで何かなければ動きがとれないという問題があるかもしれません。そういうふうなときには、幾ら交渉してもらちがあかないということになります。らちがあかなければ、ひとつ東京に行って話をしょう、こういうお気持ちになるということは、私はようわかるのであります。  ただしかしその問題は、いわゆる団体交渉的な性質の問題ではないと私は思うのであります。文部省に関係のある今頃でありますれば、文部省においでになって意見を表明せられるなり、要望せられるなりということは、決して妨げるところではないと私は思います。そのようにひとつ御了解をいただきたいと思うのであります。ただ、私がと申しますか、文部大臣といわゆる日教組の代表者の諸君と会うとか会わないという問題が、いろいろ問題として論議せられておるわけでございますが、これにつきましても、先般御質問によりましてお答えを申し上げたところでございますが、私は文部行政を進めてまいります上において、各方面の御意見なり御要望を承るということは、もとより何ら差しつかえがないことでありますし、大いに御意見を承って参考にして行政の改善をはかっていくということは、当然のことだと思うのでございますが、不幸にして日教組の諸君はその点において、私ども、文部省に来られて普通の意味における陳情であるとか、あるいは要望書をお出しになるとかいうふうなことはけっこうでありますけれども、これが常に日教組の諸君の考え方、態度というものは、団体交渉的な意味交渉としてお取り扱いになっていらっしゃるのであります。こういうことは私は行政というものの筋道を乱ると思うのでございまして、先ほど申しましたような意味における団体交渉は、おのずから限定せられておるわけでありますし、勤務条件その他に対する団体交渉は、文部大臣はその相手方となるべき立場にはいない。一般行政についての御意見を承る、御要望を承るという立場におるわけであります。これを団体交渉をしてものがきまるとかきまらないとかいう性質のものでは、もちろんないと思うのでごごいます。そういうふうなところで、いかにも拘泥したようなことを申し上げるようでございますけれども、大臣と中央で交渉して、それで文部行政がこうなった、ああなったというふうなことは、文部省としては迷惑しごくなことであります。そういうことのないようにひとつお願いをしたいと思うのでございますが、従来とかくそういうような態度でこられ、そこに教育行政の正常化の問題ということが起こってくるのでありまして、私どもはそれぞれ責任のある者が責任の立場に立って善処していくという姿でなければならぬと思うのでありまして、教育行政について責任のある文部大臣と教育行政について責任のない教職員団体とが、対等に立ち会って交渉して、そしてものがきまるのだということはあっちゃならぬことだと思うのでございます。ややもすればそのような誤解を免ずるようなことがしばしばあるわけでございますので、そういうことがあってはなりませんから、誤解を避ける意味において文部大臣と日教組の皆さんとの会見はお断わり申し上げてきておるのが、今日までの姿でございます。先ほど申しましたように、一般的に申し上げますれば、教組の諸君が文部行政の改善のためにいろいろ要望せられ、陳情せられるということそれ自体は、私は決して否定すべきものではない、またそういう姿であれば、さような誤解を生ずるようなことでなければ、お目にかかってけっこうだ、このように思っております。
  47. 田口誠治

    田口(誠)委員 答弁を聞いておりますると、やや了解できるようなほうへいくかと思うとそうでもない、了解のできないほうへいくわけなんですけれども、私は筋道として確認をいたしまするが、文部大臣が今日まで回答をしてこられた内容からいきますると、交渉の相手方は任命権者に限るものではないのだ、これはそうですね。それで、権限のある当局であるということをまず認められておるわけであります。そうしますると、それは地方公共団体の当局というものをさす場合もありまするが、やはり内容によっては、大幅な権限を持つところの国の当局が、当然これは交渉の相手方ということに、使用者的ということばを使っておられるので、なるわけなんです。この点は、これはもう理屈的に否定できないところだと思うのです。まあ話し合いならいい、陳情ならいい、交渉ならあかぬ、どうこうといういろいろな言い方をされましょうけれども、ただいま申しましたことは、筋道として私は正しいと思うのですが、これでどうお考えですか。
  48. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、私は交渉ということばを、地方公務員法にありますいわゆる団体交渉、この意味において申し上げておるわけであります。その意味における交渉ということになりますれば、その交渉事項につきまして適法に管理し、または決定することのできる地方公共団体の当局というのが、私は交渉相手であろうと思うのであります。その場合に、その交渉事項の中に、ものによりましては市町村の教育委員会の管理決定する事柄でなくて、市町村長あるいは府県知事というふうな方面において取り扱っておる事項があろうかと思います。そういう事項については、いま申しましたような趣旨において、権限を持っておる当局としては市町村長あるいは府県知事、こういうことになるという趣旨で申し上げておるわけであります。
  49. 田口誠治

    田口(誠)委員 聞いておりますると、私の言う交渉ということがどうも耳ざわりになるのであって、話し合いという表現にすれば別段気にもなさらないようでございまするが、結局、ただいま申しましたように、大臣が御答弁なさったことを確認していきますると、大幅な権限を持つ国が話し合いの相手にならなければならないんだということになるわけでございますので、したがって、話し合いということならそれでよろしいのですか。
  50. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 法律上の権利とか義務とかという問題ではなく、事実上意見を聞くとか話し合いをするとかというふうなことは、どなたでもお相手としてやっていいことだと思うのであります。私がこだわって申し上げるようでありますが、申し上げているのは、いわゆる団体交渉についての問題でございます。
  51. 田口誠治

    田口(誠)委員 わかりました。大臣の頭の中に入れておられるのは、いわゆる私が主張しておる団体交渉権を持って交渉をするということのこだわりだと思いますし、そうでない場合には、今日まで答弁の中で確認をしてこられた内容からいきますると、結局任命権者でない者でも、実質的に権限のある当局であれば、これは交渉の当事者交渉の当事者と言えばとうかなりますが、交渉の当事者と言えるということからいきますると、これは地方自治体が当局ということだけでなしに、大きな権限を持っている国に対しても、これは当然教職員組合の要望をかかえて日教組が要求をしたり、陳情をしたしたり、そうしてその中で話し合いをするということには何らこだわっておられない、こういうように受け取ったわけでございます。まだ、団体交渉権を与えるどうこうということの問題についてはちょっと遠ざかっておりますので、この程度で、この確認で私は次に移っていきたいと思います。  そこで、ただいまも教育の正常化とか、正常な教育行政ということばが出ましたが、私は私なりに考えておるのですが、全く幼稚なような表現をいたしまするが、言うまでもなく教育といえものは教え育てることであって、すなわち教育の対象である子供たちの要求をどうつかみ、どう集団化さして、どう発展させるかというところに、教育の本来の目的、精神があろうと思うわけであります。そうだといたしますれば、教職員組合を組織をしている先生は、正しい教育のあり方をいかに具体化して成果をあげるべきかということに集中してもらわなくてはならぬと思うのです。それと同時に、教師としての責任を果たすためにどうやればいいか、こういうことも先先方は努力をしてもらわなくてはならないと思うのです。そうなりますると、その責任を果たすためには幾つかの要求が出てくると思うのです。それと同時に、みずからの生活を守るための生活要求というものも必然的に出てまいりますが、このことはごくあたりまえのことであって、あまり神経を使うべき筋合いのものではないと思うのです。先進国においても、この程度のことは当然のこととしてやられておるわけなんです。したがって私は、こうした先生方の考え方でいろいろ地方の自治団体あるいは教育委員会または日教組が代弁として文部省にいろいろ意見を持ってくる発言は、これは貴重なものとして取り上げていかなくてはならないと思うのです。日教組が持ってきたからこんなものはだめだというようなことでは、私はいけないと思うのです。先生方がほんとうにまじめに組合をつくって、そうして教師としての責任をどうして果たすか、そうして教育のあり方をいかに具体化していくか、こういうところから出てくるところの諸語要求というものは、これは貴重な意見だと思うのです。この意見を全然聞くことはいやだということになりますると、私は一方的な教育行政になって、この民主主義下においては正常な教育行政とは言い得ないと思うのです。私はこあいうものを受けて立ってもらっていろいろと要求の中で、文部省は文部省として指導の発言をされる中において、常に教職員の集まりのほんとうの正常な発展というものがありまするし、真の教師としての団体がこういうところからかもし出されると思うのです。したがって私はこういう点からいきまして、教育の正常化、教育の民主化云々と言っておりまするが、これをやらなければ正しい日本の教育行政というものはでき得ないと思うのです。この点について、もし疑義があればひとつ発言していただきたいし、疑義がなかったら別に答弁していただかなくてもよろしいです。
  52. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 別に疑義があるからというわけで立ったわけではありませんが、また、抽象的なおことばとしては格別に文句を言う筋も何もありません。ただ私はいわゆる職員団体というものとしましては、勤務条件の改善等を目的とすることが、少なくともその最大の目的でなければならないと思うのです。その種の団体が、ことに教員であります場合に、教員の諸君がいろいろ教育上の問題について研究をし、あるいは意見の表明をするということも妨げるところではないと思うのです。またそういう御意見については、これを参考とするにやぶさかなものではありません。ただ、現在までの日教組の諸君の教育問題との取り組み方につきましては、私は大きな疑義を持っておるのであります。文部省なり、それぞれの権限のある当局が法令に基づきましてやります事柄についても、これを検討することもしないで、頭から反対をする。また、反対のためにいわゆる実力行使に訴えるというふうなことも、しばしばあることであります。こういうふうなやり方は、私は感心いたしません。まじめにこれを受けとめて、そうして教育の場において真剣に研究せられまして、そうして研究してきた結果こうだ、文部省考えたらどうか、こういうふうなお話なら、きわめて建設的なお話としてこれを尊重するにやぶさかでございませんけれども、従来はとかくそういう姿になっていないことをまことに遺憾とするものであります。
  53. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は交渉の衝に当たっておりませんので、そのこまかいことはわかりませんけれども、一般的な職員団体にしても、労働組合にいたしましても、やはり破壊的な考え方でものを処理しようとする団体は、これは団体としてはないと思うのです。個々の中には、それはいろいろな思想を持った人もあろうけれども、団体としては私はそういう筋合いのものではないと思うのです。しかし、それを破壊的な組合というような考え方で事の処理をされると、これは逆効果を得るわけでございますので、この点は賢明な大臣は十分に御判断をいただきたいと思うわけでございます。  そこで、今日までの自民党さんのほうの質問者の質問を聞いておりますると、非常に共産党員がここ数年間に増加した、それから国家公務員の中にこの程度増加した、教職員組合の中にこの程度増加した、組合の役員の中にこの程度入っておるというようなことを指摘され、そうして公安調査庁のほうからは、得意になってその数字を披瀝されておるわけです。どうも話の端くれから聞きますと、このような状態では何とか規制するような方法をとらなければならないのじゃないかというように聞こえるような発言すらあったわけなんですが、これは静かに考えてみれば、現在は憲法で思想、表現の自由はありまするし、そうしてだれが共産党員になろうが、自民党員になろうが、これは拘束するわけにいきませんし、労働組合職員団体の中にも、自民党員も共産党員も社会党員も事実おるわけでございまして、これをどうこうすることはできませんが、ただ増加した増加したというふうにいって憂えておるだけではいけないと私は思うのです。どうしてそういうものが、いわゆる自民党さんからいわれる好ましくないところの共離党の党員が増加したかという、このことを検討してみなくてはいかぬと思うのです。特に教職員組合の中に非常に多くなったという点を指摘されて、憂えられておったわけです。これをいろいろ私なりに調べてみましたが、大体政治の姿勢を正さなければ、なかなかもってこういう問題を解決することはできないわけなんです。言いかえれば、反動的な行政をやれば逆にそういう思想を持った人がたくさん増加してくるということなんです。特に最近の教育行政というものは、反動的な教育行政といわれて世間を非常に騒がせた時期もあるわけなんです。前文部大臣の荒木さんは、個人としては非常にりっぱな人格者であり、そうして党内においても相当の勢力を持っておられる方でございまするけれども、文部大臣の席にすわって事日教組に対しては、これは全く毒虫のようにきらっておられたのです。それは岐阜県の中津川へ演説に行かれたときに、数えておる人もよく数えておったと思うのですが、日教組ばかやろうということばが十何回か出たということです。だから、常識のあるおかあさんやおとうさんたちは、あれが文部大臣で、子供の教育の取り締まりをやっておる人ではどうかと思う、こういうことを言っておったということを私は聞きまして、その点非常に遺憾に思ったわけなんですが、ここ数年間に幾つかの反動的な教育立法、行政指導というものが出てまいりましたが、何か効果があったかということです。教育の正常化に何か効果があったかといえば、自民党さんがせんだって来一番憂えておられたところの、共産党員がふえたということだけなんです。これはただ単なる笑い話とか世間話というようなことでなしに、行政をつかさどる者として十分に心せねばならない問題であろうと私は思うのです。ことに教育の問題についでは、私はそういう点を非常に心配をしておるわけでございます。そういう意味からいきましても、日教組との話し合いの場を持つことをいやがることは逆な効果が出てくるということを、やはり過去の実績によって銘記してもらわなくてはならないと思うのです。したがって、私はそういう問題から、ただいま申しましたような教育の民主的なあり方、そうして教職員組合のあり方、そうして教師として、教職員組合の組合員としてのあり方は、先ほど申しましたような内容であり、大臣も抽象的ではあるけれどもそれは認める、こういうようにお話しになりましたが、そういう考え方の上に立って教職員団体も行動をされておりますので、交渉ということが耳ざわりになれば話し合いという形でもいいが、日教組との話し合いをなされて、そして正常な形においてひとつ行政をとっていただきたいと思うわけでございます。  そこで、私この問題に関連をして具体的に幾つか申し上げたいのですけれども、先日も社会党のほうから質問をして、そして十分にその質問内容が尽くされておらなかったわけでございますが、たとえて申しますなれば、いまの教頭に管理職手当を与えるということに私は一つの疑問があり、そしてこういう手当を出すことはやはり組合分断の政策の一環であったというような判断も、これは私がするだけでなしに、報道関係でもそうした記事を見たことがあるわけであります。  そこでお聞きをいたしたいと思いますことは、学校教育法には別に教頭という役職名はございません。御案内のとおり校長、教諭、助教諭、養護教諭、こういうことでございます。したがって施行規則によってこの教頭というものが浮かんでくるわけでございますが、昭和二十七、八年ごろには、これははっきりとした教頭であったかどうかわかりませんけれども、民主的にその学校の先生が選挙をして出しておったわけなんです。そしてなお、教頭の職務というものを見ますと、校長を助け校務を整理するということがあるのですね。だから教頭は管理職手当をもらうだけの権限がないということになる。校務を処理することはできないわけなんです。校務を整理するのなら、学校には事務局があるわけなんです。したがって校長の命令によって校務を整理させることができるのであって、教頭に整理をさせなくても、これは事務局がやるわけなんです。そして校長を助けというようなことは、これは全部の先先が校長を助けなくてはならないわけなんです。そして教務をつかさどる、こういうことなんです。だから教頭というものは、いわゆる管理職という名前をつけるほどの権限がいま与えられておりませんのに管理職手当をつけたというのが、どうもおかしゅうございますし、最近は教頭になった場合には教頭になったという辞令を出しますけれども、少し前までは、学校を異動するときの辞令を出すときに、あなたはその学校の教頭さんをやってもらうのですよ、こう言って教頭をやってもらった程度なんです。辞令一つなかったのです。だから管理職手当というものをつけることによって何だか権限ができたように考えられますが、私はこの辺のところがどうもわかりませんので、その必要性というものをもう少しわかるように話してもらおなければならないと思うのです。これはやはり現場のほうではこういう問題をめぐって問題になっておりますから、私はあえてこの機会にお聞きをし、そしてこういう問題を処理する場合にはどこの場でやれるのかということもあとからお聞きをいたしたいと思います。
  54. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教頭の職務内容は学校長のいわゆる校務を処理する、その仕事を助けて校務を整理すると書いておるわけでありまして、その仕事内容はまさしく学校の管理運営に関する仕事をやっておるものであります。管理職手当を出したから管理職になったのではなくて、管理職としての仕事をいたしております者について、校長あるいは教頭につきまして手当を出すようにいたした次第であります。なお、詳細は政府委員から御説明いたさせます。
  55. 福田繁

    ○福田政府委員 教頭につきましては、すでに申し上げましたように、学校教育法施行規則第二十二条の二によりまして、「校長を助け、校務を整理する。」こういうような規定がございます。「校務を整理する」ということにつきましては、これは校長の職務であります校務そのものを取りまとめるということでございます。そういった意味で、教頭としては、学校教育法の規定と相まちまして、都道府県あるいは市町村の学校管理規則等におきまして、「教頭は、校長を助け、校務を整理する。校長事故あるとき、または不在のときは、その職務を代理する。」こういうような規定が通例になっております。したがいまして、校長が校務を処即する責任者でございます。そういう責任者の持っております校務を、校長不在あるいは欠けたときにおきましては、当然にこれを代理するし、また通常の場合におきましては、まかされた校務につきましてこれを取りまとめる、そういうのが教頭の仕事でございます。
  56. 田口誠治

    田口(誠)委員 教頭は校長の代行権能を有しておりますか。
  57. 福田繁

    ○福田政府委員 学校管理規則等におきまして、不在のときにはこれを代理する、欠けたときにもこれを代理する、こういうような規定になっております。
  58. 田口誠治

    田口(誠)委員 それはどこにどう書いてあるか、ちょっと教えてください。
  59. 福田繁

    ○福田政府委員 これは市町村あるいは都道府県の教育委員会の管理規則でございます。
  60. 田口誠治

    田口(誠)委員 それに書いてないところはどういうことになりますか。つくってないところは……。
  61. 福田繁

    ○福田政府委員 書いてない、あるいはそういう管理規則を万一制定してないというところがございましても、学校教育法施行規則の第二十二条の二によりまして、「校長を助け、校務を整理する。」こういうような教頭の職務権限で規定されております。これによるわけでございます。
  62. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は、管理職手当を出すくらいの、いわゆる管理職という権限があるのなら、やはり学校教育法に校長、教頭、教諭、助教諭、こういうように書くべきものであって、そんな施行規則に書いたり、そうして運営する内容地方自治体できめるというようなことになっておるのですが、そういう程度の者に管理職手当をつけるということは、私は国としてどうかと思うのです。もう少し明確なものでなければ管理職手当なんかはっけるべき筋合いのものじゃありませんし、また、校長が二週間なり三週間なり病気その他で不在のときには、教育委員会が校長の代理を任命しますね。だから、そういうことになりますると、この教頭の仕事内容というものはきわめてあいまいもこたるものであって、いわゆる管理職、管理監督の地位にあるというようなことは、私は言い得ないと思うのです。そういうことから、私はこの点には非常に疑義がございます。  そこで、いずれにしても手当が出してありまするが、これは教育職員全体として考えてもらわなくてはなりませんことは、教職員の場合には超勤手当というものはないわけなんです。それで教員の給与表のできましたときには、この程度学校の先生は超勤をやらなければならないということを見積もって、二号俸優位に給与表ができておったわけです。そうであれば、超勤手当をつけなくてもまだ言いのがれができると私は思いますけれども、はっきりした年限は忘れましたが、人事院の勧告で給与表をなぶるときに、この給与表が改訂になっておるわけです。改訂になった以上は、教職員にも超勤手当というものは予算化すべきであろうと思うのです。こうして一般の教職員には非常に不十分な貸金を支払っておいて、それだけ権限もないところの教頭に手当をつけて、しかもこれがあの日教組を分断する一つ政策政府がとる時期にこういう問題が出されたことは、私はいろいろと疑う余地があるわけでございますので、どうして一般の教職員の場合に待遇の面を十分に見てやっておらないのかということを、私は、そんなに権限のない教頭に対する手当と比較をして、ひとつこの際お聞きをしておきたいと思うのです。
  63. 福田繁

    ○福田政府委員 教職員につきましては、御承知のように超勤手当、というものはございません。これはそもそも教職員の給与制度を創設いたしましたときに、教職員の勤務の特殊性ということに基づいて給与ができたわけでございます。したがいまして、教職員の年間を通じての勤務の実態を見ますと、御承知のように夏休み、冬休みあるいは瀞休みといったようなものがございます。これは一般の公務員でございますれば、時間によって賃金カットされるわけでございますが、教職員についてはそういう場合に、自宅研修と称してカットされないわけでござ、います。そういう特殊性がございますので、超勤というものは特につけなかったわけでございます。そのかわり、御指摘のように、教職員の待遇を引き上げるということで、調整号俸を一号ないし二号つけまして、これはだんだん数回の給与ベースアップ等によりまして実態はいろいろ変わってきておりますけれども、そういうことで、教職員の待遇改善については、調整号俸をつけるなり、現在におきましても初任給は一般の行政職の職員よりも高くなっております。そういうことで、若干の違いは出てまいっております。いろいろ全般の待遇改善という問題はあろうかと思いますが、御指摘の問題は、ちょっと私どもとしては当たってないように考えられるわけでございます。
  64. 田口誠治

    田口(誠)委員 時間がありませんので私は結論に移りますが、いずれにいたしましても、夏休みがあるとか冬休みがあるとか言われるけれども、先生たちは子供の宿題は学校にいるうちはとてもやれないわけなんです。全部うちへ持って帰って、毎晩やってみえます。夏休みというものは先生に与えたということでなしに、子供は夏休みに休むから、これは健康上こういうような制度がつくられておるから、必然的に先生は学校へ勤務しないだけで、夏休み中でも子供を連れてそれぞれ行楽に行くとか、あるいはいろいろな実習をやられるおけでございますので、いまあなたの言われたような理屈で超過勤務手当をつけないという理屈は通りませんので、この点は今後考えておいてもらわなくてはいけないと思うです。人事院総裁、こういう点はどうお考えになりますか。
  65. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 いま文部省からお答え申しましたように、実際上は各教職員の方々に対する勤務時間の割り当てのほうでこれは片づく、したがって、超勤がないということは原則的であろうと私は思います。ただたてまえの問題といたしましては、その割り当ての時間をこえて超過勤務があったならば、また超過勤務を命ぜられたならば、その超過勤務に対しては当然手当を払う、これは当然のことである、こういう考え方でございます。
  66. 田口誠治

    田口(誠)委員 総裁の答弁が私は正しいと思うので、将来勧告等の問題を取り扱うときに、これは善処してもらわなくてはいけない問題であろうと思うのです。したがって、ただいまのようなこういう問題がいろいろと不満として出てきておりますけれども、これは地方の教育委員会なり地方自治体の長では解決できないということで、当然中央で処理をしてもらわなければならない、こういうことになっているので、おそらくそういう問題も日教組が文部大臣に対しての団体交渉——団体交渉というと、耳ざわりが悪いかもしれませんが、話し合いの対象として、やはりそういう問題を真剣に取り上げて善処されなければならないと思います。こういう関係からいきましても、このILO八十七号条約の批准に伴ってあらゆる面を前向きの姿勢にしなければならない、こういう点を考えましたならば、当然公務員労働者にも団体交渉権協約権くらいは与えるべきであるという主張は、私は現段階においても当然であろうと思うわけでございます。  それでは時間がまいりましたので、残余の質問は一応保留いたしておきます。
  67. 倉石忠雄

    倉石委員長 午後一時より再開することといたしまして、この際暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————    午後一時二十三分開議
  68. 倉石忠雄

    倉石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。森山欽司君。
  69. 森山欽司

    ○森山委員 ILO八十七号条約の批准並びにこれに伴う関連法案の審議につきましては、そもそもの始まりは労働組合がこれをILOに提訴いたしましたのが昭和三十二年ということでありますから、すでに八年越しの問題になってまいりましたし、法案が提出せられましたのが昭和三十五年でございますから、すでに五年越しでございます。特別委員会設置せられまして、昨年の六月から審議が軌道に乗ったわけでございます。私もこの実質審議の冒頭の六月二十五日にこの問題の質疑に当たりまして、自来今日まで特に四十三国会及び四十六国会の二国会でこの問題についての審議は相当尽くされてまいったわけであります。今風会におきましては、すでに質疑時間は五十時間をこえ、質疑者は自由民主党が私を含めて八名、社会党が八名、民社党一名というような状況でございまして、ようやく審議は大詰めの段階にきたような感じがいたします。  したがって、私は、この段階においてはあえて論争のための論争や抽象的論議は避けざるを得ないのでございます。ただし、当面問題になっております倉石問題点として取り上げられている事項に関連し、あるいはまた倉石問題点なるものの論点にあまりにも焦点が置かれて閑却されたその他の問題に関連し、従来の質疑との重複を可及的に避けつつ疑問点を明らかにいたしたいと思います。また、当面の態度といたしまして、公務員労使関係の将来に関する影響、ひいてはわが国の政治、地方自治等への影響も十分考慮しなければなりませんので、したがって私は、政治家の一員として若干の妥協は必要かもしれないけれども、その妥協は無原則であってはならない、譲るべからざる一線を保持することは何よりも必要でありますので、この質疑を通じてこの点の明確化に資したいという心がまえで以下の質疑を申し上げたいと思います。  質疑の第一点でございますが、最初に本日は倉石、河野両先生がおいでになりますので、この倉石問題点という問題について私は質疑を行ないたいと思います。しかし、内容はきわめて微妙でございますが、まず最初に私どもの理解をしておる限度を申し上げて、お立場上あるいは御答弁をすることが適当でないということであるならば、それはあえて御答弁をお願いするということは私はこの際は差し控えておこうと思うわけでございます。  世上、八十七号条約の批准並びに関連いたします国内法改正案の取り扱いに関連いたしまして、いわゆる倉石修正案なるものが伝えられておりますが、これが昨年の九月、自由民主党内で発表されました際には、自社両党の審議の際に検討を要する問題点を示したものであると説明をされました。この倉石問題点は本年の四月すでに新聞紙上にも公表されておりまして、これがはたして両党をいかなる程度まで拘束するものであるかということを私は明らかにする必要があると思います。  このようなことをあえてこの段階で聞かなければならないというのは、最近新聞紙上において自由民主党が公党間の約束を破ったような非難をされることを耳にするからでありまして、決してわれわれは公党間の約束を破るがごときことをやったのではないということをこの機会に明らかにしておかなければならないと思うのでございます。昨年の特別委員会設置の決定をみましたときの新聞報道、いろいろございましたが、六月十四日の朝日新聞が最も詳細に書いておるのでございます。他の新聞はこれよりみな簡素な表現になっておりますが、一応新聞に書いてあることを読み上げてみたいと思います。  「(1)自民党のILO問題世話人会と社会党のILO条約批准促進対策特別委員会窓口としてこれまで自社両党が話し合ってきた結果を尊重し、両党はILO案件を審議する特別委員会を設ける、(1)同委員会での審議を通じて両党はILO関係国内法改正案の政府原案を窓口折衝の結果に基づいて修正するよう努力するとの合意に達した。」という報道であるわけでありまして、いろいろ新聞を見たわけでありますが、朝日が一番詳しくそういう点が書いてございまして、「努力する」というふうに伝えております。これは口頭の了解、口でお約束をしたのだそうでございます。約束されましたものはそういう努力をするということでありまして、問題点そのものをうのみにするという約束をしたものではないというふうに私は理解をいたしておる次第でございます。これによりまして、本年の四月の二十二日に、ILO八十七号条約批准並びに関係法案については、昨年六月十三日の前尾幹事長、成田書記長会談の約束を守ることを確認して特別委員会設置する、同委員会の審議にあたっては、意見の一致を見よう十分な審議々尽くす、こういうことになっておるのでございます。自由民主党幹事長あるいは社会党の書記長との間の約束というものは、いわゆる窓口折衝に基づくところの問題点について、これが円滑な運営ができるように努力するという約束をしたのだというふうに考えておるわけであります。  それからもう一つ、しからば倉石先化と河野先生の間でもってお話し合いをされましたその内容を、われわれはいかように理解をしておるかという点も、ひとつこの機会にはっきり申し上げておきたいと思います。昨年の九月十四日付、自由民主党ILO問題世話人会代表として倉石先生の名前をもちまして、党所属国会議員に次のような書面が送られております。  「ILO八十七号条約関係法案について検討を要する問題点」の送付について  ILO八十七号条約の批准並びに関係国内法案の取扱いについては昨年三月、自社両党の話合いを行なうこととなり、ILO問題世話人会が設けられ、小生これが代表として今日まで社会党と数十回にわたり話合いを行ってきましたが、その話合いの結果にかんがみ、さらに去る、第四十三回通常国会において国際労働条約八十七号等特別委員会設置せられ、同委員会において慎重に審議せられましたが、その結果等にかんがみ、今回「ILO八十七号条約関係法案について検討を要する問題点」をとりまとめ、九月十三日ILO問題世話人会並びに労働問題調査会に提出し、御検討をいただき、さらに党の正式機関において御検討をいただくこととなりましたので、貴殿におかれましてもよろしく御検討賜わりたくお願いいたします。」というのが、党内の全議員に配付せられておるわけでございます。そしてこの手紙にありますように、九月の十三日にILO世話人会が開催されまして、その席上で窓口折衝に当たられました倉石、齋藤両先生からこの問題点についての御説明があったわけでございます。  その際、われわれは、この倉石問題点内容は、社会党との間にこれを必ず実行しますという約束をしたものであるかどうかということについて、私もその一員でございますが、世話人各位から非常に何回にもわたって、倉石、齋藤両先化にその真意をただきれたのでございますが、さような約束は全くしておらない、倉石問題というのは問題点を列記したのであって、妥結の目安である、そのまま全部が全部両党を拘束するという性格のものではないというお話であったわけでございます。われわれはその意味で、これらが問題点になっているということ、これを国会の審議の経過においていろいろ議論していくうちには、あるいはこれらの項目の中に二つや三つなくなるものがあるかもしれない、あるいはこれらのものの中に書いてない事柄でもつけ加えられるというようなこともあるかもしれない、さような性格の問題点であるというふうに理解をいたしておったのでありまして、この理解は自由民主党の党内におけるところの一般的な見解と言っても私は差しつかえないと思うのでございます。  しかるに、最近の新聞紙上を見ますと、約束が守られておらないとか、あるいは公党間の不信行為であるとか、そういうような表現が新聞紙上に出ておりますことはまことに心外にたえないところでございます。昨日の総評岩井事務局長のお話によりますと、昨年自民党の倉石氏から私に対しILOに関する書簡を寄せられている、それには関係者の合意どおりILO案件を成立させることや、将来国家公務員地方公務員にも団体交渉権を与えることを約している、この秘密文書はいま総評の金庫に納めてあるが、いずれ公表の時期もあるだろう、さようなことが——一つのミステリーと申しますか、さようなことが新聞紙上に出ておりますことは、私としてはまことに心外にたえないところでございます。  こういった文書があったかどうかというようなことにつきましては、私はこの際格別論究しようとは思いませんけれども、この問題についてでき得るならば、河野先生もおいでになることでありますし、倉石先生が特別委員長として委員長席におられることでありますので、御所見をお伺いできれば幸甚に存じますが、お立場もあることであり、時期も時期でございますから、特に御答弁を推し控えたいという御趣旨であれば、けっこうでございます。一応私といたしまして質疑をさせていただく次第でございます。
  70. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいま委員長に対してのお尋ねは、本案の審議上必要もあると存じますのでお答えいたすのが適当かと存じますが、私はただいま委員長でありますので、河野社会党代表とお話し合いをいたしたことについてこの席でいろいろ申し上げることはいかがかと思いますが、大事なことでありますからやはりお答えいたしておくほうがいいのではないかと存じますから申し上げます。  本案を成立させたい、つまり八十七号条約批准問題を解決したいという意向が、自由比甘党及び社会党、両党に出てまいりまして、そこで審議をいたしますためには、特別委員会をつくることが必要である、そのためには全会一致でなければ特別委員会はできない、そのために政府原案についてできるだけ歩み寄りを見るほうがいいだろうという両党の話し合いで、両党の執行部においてはそれぞれ代表者を選定して折衝せしめる、こういうことになったことは御承知のとおりであります。  そこで、話し合いが数次行なわれました結果、ただいま森山君のお話のような、いわゆる倉石問題点というものが党内に向かって提示されました。このことにつきましては、いま森山君のお話の中にもありますように、新聞紙上、自由民主党が不信行為をしておるとかどうとかということが伝えられておるそうでありますけれども、それは現在の段階においては当たらないで、われわれは気にする必要がないことだと思いますけれども、私、すなわち自由民主党の代表である私と、社会党代表である河野氏との間において話し合いをいたしました個条を問題点という形で党内にお示しいたしたのは、大体政府原案に基づいてこれらの問題はこのようにいたしていきたい、これらの問題はこのようにいたしましょうと、大筋をお話しいたしておるのであることは、相手方もよく御承知のとおりであり、ます。  したがって、いわゆる修士案というものの形で出るときには、これは法律案文としてあらためて提出されるべきものでありますから、そのお打ち合わせに基づいて、正しい修正案文が提出されて、それが社会党と私どもとの間に行なわれた話し合いの線を全く没却しておるものが提出されたとかりにいたしましたならば、自由民三党といたしましては、政治的にも道義的にも責任を負うべきであると私は考えます。  しかし、そのことはどういうことになるか、現在においては決定いたしておらない段階でありますから、したがって、不信行為とかなんとかいわれるのは、現存の段階においては、われわれは一向気にいたしておりません。  ただ、いま熱心に御審議を願って、党のそれぞれの機関においても、与えられた任務を持って、理事諸君が検討いたし、まして、その検討の結果、もし成案が早く得られれば、社会党との間に話を進めてまいるわけであります。その基礎になるものは、私がお示しいたしましたいわゆる問題点でございます。大筋においては、あれはすなわち要綱でありますから、要綱の点に盛り込まれておりますことは、私どもが党を代表して相手方と折衝いたしましたものを取りまとめたものでありますから、願わくば、私の立場といたしましては——その私は、委員長できこざいませんが、自由民主党の代表者としての立場から申しますならば、あの要綱どおりに御決定を願いたいという気持ちで、一面においてそういう努力を継続いたしておる最中でございます。  大体、簡単にそのように御理解を願ったならばいいんではないか。たいそう不信行為云々のことを気にしておいでになりますが、現在、自由民主党は、不信行為をしようというようなつもりで党内で努力をいたしておるわけではございませんから、その点は、私は、そういうふうに理解するのがいいんではないか、このように私の所見を申し上げます。
  71. 森山欽司

    ○森山委員 たいへん現段階においてお立場上お話しにくいことをお話し願いまして、まことにありがとうございました。  ただ、せっかくお話し願ったのでございますから、あまりこまかいことは、また、具体的なことはお尋ねいたしませんけれども、ただいま大筋についてというお話でございましたが、私どもも、この段階において、八十七号条約関係法案について検討する問題点というものについては、十分これを検討し、理由があれば、あるいはこの程度なら事はやむを得まいということであるならば、これを今後の修正案の中に織り込むことについては——問題点につきまして、理由のあること、あるいは従来のお話し合いの性格上この程度のことはやむを得ないであろうというようなことについて、できるだけこれを尊重して、最終的なゴールインをしたいという努力を傾けておるわけでございます。  その中でどうしても、こういうことはどうも限度があってそれはできないというような見解の際、すなわち、十三の項目が掲げてございますが、そのうちの一項目や二項目はどうしてもこの際のめないというような事態も、それはやはり大筋についてのお話し合いということについての範囲内に入っておると考えてよろしいかどうか。その辺のところも、まあ非常にむずかしい問題でございますから、御答弁願えなければけっこうでございますが、もし御答弁願えるならばお聞かせ願いたいと思います。
  72. 倉石忠雄

    倉石委員長 いかがでしょうか、ただいまお答え申し上げた程度にしておいて御進行願えますればしあわせだと存じます。
  73. 森山欽司

    ○森山委員 わかりました。  その次に、自民党内で発表されました倉石問題点と、一方、総評側で発表されたと思われる「ILO八十七号条約即時批准、国内法改悪反対についての経過と態度について」という文書の中に示されておる改正要綱とを比較をいたしますと、総評側の文書の中には、チェックオフについての約束があったようにも書いてあり、さらに、総評側の文書には、「備考」として、確認事項と称するものがつけられております。その中には、管理職の範囲の決定について、第三者機関たる人華院の規則までどうういう中身をつくるということまでその確認事項に入っておりますように、そういうような、政府機関の場合にどういう行政指導をするというならわかりますが、第三者機関である人事院規則にどういう内容を盛るかというようなことは、これはそういうようなことまでお話し合いになったとはとうてい信用できないものがありまして、このような点が倉石問題点に附帯する了解事項として約束されているとすれば、私はまことに問題であると思いますが、そういうことは万なかろうと思う。それで、一体、窓口折衝においてこういうようなことが含まれているのかどうか、こういう点についても、従来の倉石先生の御答弁からいたしまして、ききに申し上げました質問と同様に、この際御答弁をいただくことは差し控えたいと思いますが、そういう疑念を持っておるということだけをこの際つけ加えておきたいと思います。  また、倉石問題点の各項についてもいろいろ理解のしかたが違いがあるようでございまして、たとえばいわゆる中央交渉につきまして、窓口折衝過程においては、地方公務員の一般職員ないし教員の組織する全国的団体、その構成員たる職員の勤務条件の決定に対し事実上の影響を持つ国の機関に対して不満表明をなし得るようにするというようなことがもっぱら問題になっておったように聞いておるのであります。全国団体地方関係当局に対してまでも不満表明等をなし得るようなことにするようなことは想像もされていなかったと聞いておるのでありますが、こういった点、倉石問題点の表現はこういう折衝経過との食い違いがあるのじ心、ないか、こんな点も実は私ども疑問を持っておりますが、前項同様の理由をもちまして御答弁をあえてお願いすることを差し控えたいと思います。  そこで、今回のILO八十七号条約関連法案につきまして問題となる事項若干につきまして、これから質疑を項目別に行ないたいと思うわけでございます。  その第一は、八十七号関連法案の一つである国家公務員法について、当初の提案である昭和三十五年の岸内閣当時の改正原案の第三条では、分限、懲戒は人事院権限として残されておりました。現在提案されておりますところの案ではこれが入っていないけれども、これはどういう御趣旨であったものかお伺いをいたしたいと思います。
  74. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 御指摘の分限、懲戒の点につきましては、第三十四回国会に提案されましたときには、これが分限、懲戒につきましては人事院の所掌となっておりました。それからその次の第三十八回国会の提案におきましては、そして今日までは、総理府人事局の所掌ということになっております。  これは第三十八回国会へ国家公務員法改正案を提案いたしますにあたりまして慎重審議いたしました結果、人事機構というものの改変整備を行なうにあたりまして人事管理体制の責任体制を明らかにするとともに、人事院の中立的第三者的機関という性格を一そう明らかにするというためにぜひ必要であると考えたからでございます。と申しますのは、元来各省庁の長が有しております服務統督の権限とこの分限、懲戒の権限とは、これは一体的に運用するのが制度的にも適当な措置であるというふうに考えられたからでございます。
  75. 森山欽司

    ○森山委員 ところで、昨年の二月十人日付で人事院の総裁から総務長官あてに示された人事院総裁の御意見によりますと、人事院は分限、懲戒の基準は人事院の所掌とすべきであるといっておられるのであります。これは岸内閣当時、分限、懲戒が人事院権能として残されておった当時の原案と違いますし、また現行法のように分限、懲戒の基準設定のみならず、その基準のもとにおきまする各省の指導等運用の問題など個々の任命権の行使を除く一切の権能人事院が持っているというたてまえと異なって、基準の運用は政府が行なうのが適当とされているというものなのであるか。すなわち、基準は中立機関としての人事院が設定し、その基準のもとにおける運用はあげて政府の責任として、さらにかりに処分が不当であったような場合には、中立機関たる人事院の審理によって救済するのが相当であるということをいっておるのであるか。この人事院の意見書にはいろいろ私も意見を持っておりますが、逐一これについてここで論議をする段階でもございませんので、ただいまの点について総裁の真意を伺いたいと思います。
  76. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 法律家であられる森山委員にこまかく分析されますと、あるいはあいまいな点もあるかとも思いますけれども、私どものそれを書きました趣旨は、いまのおことばにもございましたように、分限あるいは懲戒というものの具体的な処分権はすでに大臣その他任命権者が持っておる、これはもういまのたてまえにおいて、しかりである。あと残りますところは、国家公務員法において人事院規則にまかされておる事項がほとんど大部分だと申し上げてよろしいと思います。そういう点に着目いたしまして、これが政令事項になってしまうということについては重大な疑義を持っておる、これが重点でございます。
  77. 森山欽司

    ○森山委員 そうすると、そういう懲戒の基準のもとにおける各省の指導等の運用の問題まで人事院に置いておいたほうが適当だというのか。政府人事局ができれば、そういう問題は政府人事局で担当していいというのか。その辺ははっきりしておいていただきたい。
  78. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 規則で内容をきめますれば、その規則の解釈権というのは当然制定をした人事院にある、これは申すまでもないことでございます。それの運用について各省がまちまちにならないように統一的にその間の調整をはかろうというような問題がそこに別に残るわけです。これは現在においては、たとえば政務次官会議であるとかあるいは人事課長会議であるとかいうものが政府部内において行なわれてそのほうの機能を果たしておられると思いますけれども、それらについては従前も今後も同じようなことであろう、こういうふうに考えるわけであります。それをまた人事局がおやりになっても、それは私どもの異を立てるべき筋ではない、こういうわけであります。
  79. 森山欽司

    ○森山委員 この問題について大橋大臣の御見解を承りたいと思います。
  80. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は、この懲戒とかあるいは分限とか、この基準というものは、どこできめてもそうたいした違いのあるものじゃないんじゃないか。したがって、政府原案におきましては人事局ということに一応いたしてございまするが、これは主として、人事局というものをつくり、そこでできるだけ公務員関係行政を統一しようという趣旨からできたものではありまするが、しかしそとにおいて定められる基準というものも、人事院において定められるであろうところの基準にいたしましても、基準としてはそう違うものはないんじゃないか。運用につきましては、もともと人事院の定めた基準のもとに政府の責任で運用をいたしてまいっておるのでございまするから、運用としてもいままでとそう変わることはない、こういうふうに思いまして、要するにこの政府原案に入っておりまする人事局への権限の移譲ということは、この問題について実質的にはきしたる変更を意図したものではない。ただ形式的につじつまを合わせる趣旨でかような修正を提案いたしておる、こういうふうに考えております。  なお、念のために申し上げておきまするが、今回の改正案におきましては、従来人事院規則において定められておりました分限、懲戒等の基準は、おおむねその大綱を法律で規定をいたしております。したがいまして、人事院規則で定め、あるいは政令で定めるという内容は、ほとんど実質的には法律にすでに格上げされて決定されておるというような事情もあることをつけ加えておきます。
  81. 倉石忠雄

    倉石委員長 河野委員から発言を求められておりますので、この際これを許します。河野密君。
  82. 河野密

    ○河野(密)委員 先刻森山委員の御質問の中において特に名ざしでいろいろと御質問がございました。しかし、委員委員に答えるということは定石に反すると存じますので、議事進行についてわれわれの考え方を明らかにしておきたいと思います。  自由民主党と社会党との間における窓口折衝は、両党の公に認められたる機関と機関との間においての折衝でございまして、これは公党間の約束であると存じます。その約束されたものを倉石問題点という形においてあらわされましたのは、これは自由民主党側の御都合によることでありまして、この点について私はとやかく申し上げる考えは毛頭ありません。しかし、両党間に話し合いがついた問題につきましては、法律技術的にこれを法文化する、整理するということはありましても、内容的にこれを変更するということはあり得ないことであると私たちは了解いたしております。委員長の先刻の御答弁もその趣旨を明確にしたものと存じますが、われわれの立場をこの際明らかにしておきたいと存じます。
  83. 森山欽司

    ○森山委員 きわめて重大な河野先生の御見解の表明を得ることができまして、たいへん参考になりました。私は、この問題についての私の感想を述べることをこの際差し控たさしていただきまして、先ほどの質疑の続行をいたしたいと思います。  今度の国家公務員法の六条の二に人事局権限のことが書いてございます。その中に分限、懲戒というような事柄が入っておるわけでございます。かりに人事院人事院規則でもって分限、懲戒に関する規則を定めても、先ほどの分限、懲戒の基準というものとその運用というものを分けて考えると、この二つに分けた書き方が法制的にあり得るかどうか。基準の設定は人事院、その基準に基づく運用の基本をきめるのは人事局というような、そういうきめ方があり得るかどうか。ひとつ立法技術的に、法制局の部長がおいでのようですから、御見解を承りたいと思います。
  84. 吉國一郎

    吉國政府委員 基準の設定は人事院において行ない、その実施は各省において行なう。その各行において行なう場合において、その運用方針を人事局において総合調整するというようなたてまえのもとに法文をつくることは、これは可能でございます。
  85. 森山欽司

    ○森山委員 人事院の総裁が昨年の二月十八日、人事行政の公正確保の見地から分限、懲戒の基準の設定ということをあえて取り上げられたのは、いま内閣法制局の部長からお話があったような意味においてなのであるかどうか、このことを伺いたいと思います。
  86. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 第一に申し上げておきたいことは、私どもがこの改正法律案について抱いておる疑問は、いまお話しになりましたような主として人事院の職掌というものについての変更を心配しておるわけです。一方、人事局設置というものがございますが、今回の法案は人事院権限を大幅に人事局に移されるという面を持っておりますから、私どもはそれらを一体として疑問を申し述べておるわけでございますけれども、かりに問題を分析いたしまして、総理府に人事局を設けられて、その人事局はたとえば大蔵省の給与課の仕事その他従来総理府にあった所掌事項をそのまま統合されるための人事局である、言いかえれば人事院機能権限には手をお触れにならないという前提でありますれば、これは私どもの関知すべき、またくちばしを差しはさむべきことではございませんから、その点については何ら異議を申し述べる筋ではないわけであります。  そこで、そういう形の人事局ができました場合には、先ほど申しましたように、これは現在でも各省の人事課長をお集めになり、あるいは事務次官会議あるいは政務次官会議で、またその他の機構においてこれらの各省間の調整をおとりになっておるわけですから、それを人事局でお取りまとめになるということは本質的には現状と少しも変わらない。したがって、その点については私どもは何ら異議を申し上げげるべき筋合いではない、こういうことでございます。
  87. 森山欽司

    ○森山委員 もう一言総裁にお伺いいたしますが、そうすると、いまの人事院権限の中に分限、懲戒というのが中めったように記憶しておりますが、あれを分限、懲戒の基準というふうに——人事院の総裁の御意見に基準の設定はと書いてありますから、基準だけをそちらの権限に入れるというようなことをこの意見書は言っておるわけじゃないのですか。
  88. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 突き詰めればさようなことになります。さらに現実的に申し上げますれば、たとえば国家公務員法の中に分限、懲戒及び保障という節がございますが、その中に人事院規則人事院規則ということがたびたび出てまいります。それはそのままにしておいていただきたい、いただけば安心いたします、こういうことでございます。
  89. 森山欽司

    ○森山委員 人事院総裁の御意見を突き詰めたところ、以上のような御趣旨であるということが判明をいたしました。私どもも十分そういう御趣旨について検討をさしていただきたいというふうに思っておる次第でございます。  その次に、現在人事院の所掌とされております研修についてでございますが、実際問題として人事院で全部の研修を行なうことは困難になるのじゃないか。昨年二月十八日の人事院の意見書では、分限、懲戒等については、基準の設定は先ほど申し上げましたように、人事院の所掌とすべきだというのに対しまして、研修は——単に研修と、こうなっておるのですが、研修といっても実際は各省庁でやっているものが相当多いように私は聞いておる。もちろん人事院が行なっているものもあるでしょうが、各省でやっているのも相当ある、そのほうがむしろ多いというふうに思いますので、その辺の実情がどうなっているかということにつきまして、人事院のほうから、これは総裁でたくてもけっこうでございます。局長さんか部長さん、あるいはこういうことをやっております。たとえばきょうは私の質疑に関連して御出席を願っておる大蔵省とかあるいは郵政省とかいうようなところの実情を、審議の時間が十分でございませんから、ひとつできるだけ簡単にお答えを願いたいと思います。
  90. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 総論的にイントロダクションを申し上げきしていただきます。  いまおっしゃるとおりでございまして、現実的には各省それぞれの需要に応じて研修機関をお設けになってやっております。私どもはそれら各省でおやりになっていることについては連絡、調整というような、あるいは企画というような役割りを持っております。さらにそのほかに公務員研修所を人事院の付属機関として設けております。これは各省の幹部たるべき人たちの研修ということで、大ざっぱに申し上げればさようなたてまえでおります。
  91. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 郵政省の研修の実情をきわめて簡単に申し上げます。  ただいま人事院総裁からお答えがございましたように、私ども公労法適用職員と一般行政職員二つかかえておるのでございますが、公労法適用職員につきましては、国家公務員法第七十三条の適用公労法四十条で排除いたしまして、郵政省職員訓練法並びに郵政省設置法に基づいて、郵政大臣が最も能率的と思います計画に従いまして職員の訓練をいたしておる次第でございます。また、それ以外の一般行政職員につきましては、これは国家公務員法七十三条の適用があるわけでございますが、ただいまもお話がございました人事院規則一〇−三によりまして、私どもにかなりの権限がまかされておりますので、たとえば電波職員訓練所というようなものをつくりまして、これも独自の訓練をいたしております。  その内容でございますが、全国に約三十二万の職員をかかえております郵政省におきましては、電波職員訓練所が一つ、並びに郵政研修所というものを十ほど設けまして訓練をいたしております。その年間の対象人員でございますが、約六万人ぐらいが対象になっております。ただしそのうちの三分の二は職場におきましての職場長の訓練でございますので、職員訓練所におきます訓練は約二万人ということになるわけでございます。  どういう訓練をいたしておりますかはきわめて詳細にわたりますので、詳しくは申し上げられませんが、簡単に申し上げますと、たとえば初等部の訓練あるいは中等部の訓練、そのほか専修部と申しまして再訓練をいたしておりますし、また労務管理訓練と申しまして、労務管理につきましての技術的な高度の知識を与える等の訓練もいたしておる次第でございます。  以上、簡単にお答え申し上げました。
  92. 高木文雄

    ○高木説明員 大蔵省の研修といたしましては、大筋としては三つに分かれておりまして、税務関係は税務講習所というものを置いております。それから税関は税関研修所というものを置いております。さらに財務研修所というものを置いておりまして、いずれも東京だけでなしに、地方にもそれぞれの機関を砕いております。その研修の主たるねらいは、技術的なことを含めました初任者研修と、それから中堅職員あるいは幹部職員に対する短期講習というようなことが中心になっておりまして、これらはいずれもかなり、長い歴史を持って戦前からいたしております。一口に申しますと特殊技術的なもの、あるいは専門的なものというものが講習の内容になっていると申し上げてよいかと思います。
  93. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 森山委員の御質問でございますが、御質問中の的確な数字はいま手元に持っておりません。  しかし、人事院が各省庁の研修に対してどういう役割りを持っているかということでございますが、総合的企画及び調整という役割りでございまして、したがいまして人事院自身が各省庁の職員に対しまして行なっています研修がございますが、これ以外にいま研修のことを申し上げますと、現在ではJSTと申します一番下のほうの監督者を対象にしました研修、そういうJSTを各省庁内で実施していただきますのに、その指導者をつくる研修を人事院がやっております。  それからもう一つは、研修所がございまして、この研修所でもって三カ月のコース、年三回、約百名ずつ、これは将来の幹部を目標にしました中堅職員の研修でございます。  それから、これは昨年初めて着手いたしましたが、本省庁の課長クラスの方々を一週間の合宿でもって研修をいたしております。しかし、これは人事院が直接各省庁の職員を集めてやっております研修でございますが、人事院の研修に関します役割りといたしましては、それ以外に調整的な機能がございます。このほうの仕事としていたしておりますのは、各省庁の研修の担当者の会議を年四、五面ずつ開いております。  それから、各省庁の、大体一回二十時間以上のコースの研修に関しまして、いろいろな資料の御提供、実施状況というようなものを集めまして、研修状況の概況のような一種の報告書を毎年つくっております。  それからもう一つ、これは公研協という、地方関係の研修機関の担当者も入っておる団体でございますが、この団体人事院とが共催いたしまして、毎年二回研修の担当者の強化を含めまして、あるいは研究一管理の問題を含めまして、研修担当者の資質向上のための研究会議を行なっております。大体三日ずつみっちり会議をやりまして、これを年二回ずつ開催いたしております。  それ以外に初任者、各省庁でもって新規採用の方を採りましたときの研修を、これは必ず各省庁がやっていらっしゃるわけでございますが、これらの研修に関しましてその研修教材、どういう科目をどういうふうに研修するかというような教材を作成し、これもほとんど各省庁とも御採用願っておる。その他に若干各省庁の研修に対する調整機能的な仕事を果たしております。  それから、最初の御質問の点があとに回ったわけでございますけれども、人事院自身がやっております研修と各省庁の研修とで、大部分が各省庁研修ではないかというお話でございますが、これは大体そういうことになります。数字等であげてみますれば、実は人事院自体のやっている研修の人員をいま手元に正確につかんでおりませんが、私ども研修というものをいまの研修概況では六つのカテゴリーに分けております。一つは、いま人事院がやっている研修として申し上げましたような全省庁研修の場合と、それから新採用職員の研修、それから一般的なその省庁限りでの専門的な研修、ただいま郵政省、大蔵省からお話のあった研修も大部分はそういうことだと思いますが、それから外部に委託いたしてやっております研修、これも特殊な機関が一部実施しております。それから管理監督者の研修、幹部職員の研修という六つのカテゴリーに分けて資料、数字等を整理しておるわけでございますが、その中で各省庁でもって、その省庁の専門的な業務を向上させるための研修というのは、コースでもって、つまり一回の研修というのは、何H間どういう科目を教えるということになっておるわけでございますが、そのコースでもって比較しますと、大体六〇%くらいになります。それから研修を受けました全体の職員数でもって申しますと、いまの各省庁が主としておやりになっております専門研修は、人員数でほぼ八〇%くらいになっております。
  94. 森山欽司

    ○森山委員 いまのお話で、人事院のやっている研修というのは、基本方針をきめて、指導総合調整をやることで、したがって、人事院自体はコースでいうと三〇%ですか、人員でいえば二〇%程度全公務員の研修に当たっている、こういうお話なんです。人事院が全部の研修を行なうことはなかなかむずかしい。守備範囲が広いのですから……。そういうことであるのですが、こういう実情を見ると、人事行政の公正確保の見地、中立性確保の見地ということで、これはどうしても人事局にこの権限をやってはゆゆしき一大事というふうに人事院総裁はお考えになっておられるのかどうか。この程度のことは、実際の運営から見ると、これはやむを得ないのじゃないかという程度にお考えになっておられるのか。これはどうしても人事院が握っていなければ公務員の研修というものはえらいことになるというようにお思いになっておられるのかどうか。たてまえと現実とをよく勘案されまして、人事院総裁の御見解を伺わせていただきたいと思います。
  95. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 現実は、いま各方面からお答え申しましたとおりで、各省それぞれに研修をやっております。しかしこれらの研修は、いまのお答えの中にもありましたように、主として当面のその職場への需要という面から、そこの職員として技術なりその他の事務的能力を身につけるというたてまえでございます。人事院で直接お預かりしておりますのは、先ほど触れましたように、主として将来幹部たるべき者、長く公務員の地位にあって、いかなる内閣にもお仕えできるような人というようなことが中心になっております。去年からまた課長級の研修を始めましたのも、そういう趣旨でございます。したがいまして、私どもとしては、ただいま申し上げたような、私どもがお預かりしておる面については、ここに人事院の意見書にありますように、やはり中立性というような面から人事院にふさわしいものであるという、これは筋の議論でございますけれども、筋としては、さように考えます。現に昭和三十一年でありましたか、内閣に設けられました公務員制度調益金の答申においても、中央研修機関は人事院に置くということを特に強調しておられます。そういう点もやはりそういう趣旨からであろうと私どもは信じておる次第でございます。
  96. 森山欽司

    ○森山委員 私はこの点について人事院総裁と所見を異にいたしますが、ここは論議の場所でございませんから、差し控えさしていただきます。  次の問題といたしまして、人事院規則一四−七、あるいはそれに基づく運用方針によると、政治的行為が制限されていると申しましても、これはきわめて局限されたケースでないと該当しないようになっている。ざる法ということばがあるが、まさにざる規則でございます。しかもその運用につきまして、この規則に相当するようなものが放置されておる例が決して少なくないと私は思うのであります。実は先般この法律の施行に際しまして、最近の公社現業庁等、特に公務員の場合は現業の場合でございますが、あるいは一般公務員の組合運動の規約あるいは運動方針書等をずっと研究させていただいたわけでございます。そうすると全印刷の組合で、これは三十八年六月十五日、昨年の大会でございますから、まだこの方針でやっているわけだと思いますが、この全印刷の一九六三年度運動方針書、その最後にスローガンが書いてありまして、ストライキ権奪還に向かって戦う組織の確立をはかろう、何項目か書いてあって、一番末尾に総選挙闘争を勝利し、社会党政権を樹立しようということがはっきり書いてある。運動方針書にこういうようなものを書くというようなことについて、かつて昭和二十九年でございましたか、佐久間機関紙問題というのが官公労機関紙問題で大きく問題になったことがありますが、ときの人事院総裁は、この事件に対して、これは明らかに規則に違反するということを明言いたしました。その経過からかんがみて、この全印刷の第二十八回大会の議案書に書いてある最後のこのスローガンに掲げている運動方針、これを見ますと幾多の問題点がありますが、これは一々指摘いたしませんが、これは佐久間機関紙問題等の従来の見解からも合わせまして、これについて人事院規則一四−七に該当する行為であると見られるのであるかどうか、ひとつこの機会に人事院総裁の御見解を承りたいと思います。  あわせてこの前例となるべきものとして私が引用いたしました全官公労の機関紙、いわゆる佐久間機関紙問題についての経過についても、ごく簡単に御報告いただきたいと思います。
  97. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいま御指摘の機関紙の中に本年も昨年と同様云々とお読みになったところだと思いますが、これは政治活動の規則に該当する、すなわち規則違反になる、そこをお読みになったところだけではどうもそういうふうに考えております。
  98. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 官公労機関紙の件でございますが、この点は森山委員の御質問の中にありましたように、当時浅井総裁は該当するというふうに答えたわけでございます。  その後の経過でございますが、私ども知っている限りにおきましては、結局当時の機関紙の発行責任者であった佐久間氏は、任命権者が教育委員会でございまして、当時教育委員会としては、この件をとらえて処分するということをやらなかったというふうに記憶しております。
  99. 森山欽司

    ○森山委員 官公労機関紙、これは佐久間機関紙問題ということで、昭和二十九年の人事委員会の記録にも、そのことについていろいろと国会でやりとりがございますから、これは人事院規則違反であることは間違いない。こういった前例にかんがみても、昨年における全印刷の運動方針書にこういうことをスローガンとして掲げたこともまた人事院規則に違反するならば、この運動方針を載せた機関紙を発行した責任者もまた公務員法違反の責任があるというふうに考えるわけでございますが、これは全印刷の労働組合関係は印刷局になっておるわけですが、これについての御見解をひとつ承りたいと思います。
  100. 高木文雄

    ○高木説明員 担当の印刷局長からお答え申し上げるのが適当かと思いますが、ただいま参っておりませんので、私が承知している範囲で申し上げたいと思います。  ただいまのような記事がありますこと、御質問のような事実がありましたことは、承知いたしております。当時の処置といたしましては、印刷局長におきまして発行責任者等についていろいろ事情を聴取いたしました。その結果、公務員法上の懲戒処分には付さなかった。違反行為の内容、それから本人の違反についての認識の程度、あるいはその他一切の事実関係等を調べました結果としまして、印刷局長としては懲戒処分に付しておりません。ただ、当然公務員としまして非常に問題がある行為であるということが、そういうことを繰り返さないようにという厳重な注意を与えておるという報告をその後受けております。その点につきまして、その処分の程度が国家公務員法上の処分をしていないというので、処分の程度が適当かどうかということについては若干の疑問があるかと思いますけれども、私どもといたしましては、部内全体の懲戒についてのある程度の統一をとっておりますが、また反面におきましてそれぞれの責任者にまかせられておる部分もございますので、その具体的本件につきましては、当時の印刷局長の処分をそのまま認めて、公務員法上の処分によらないままで終わっております。
  101. 森山欽司

    ○森山委員 私はここで、全印刷の運動方針書にそういうスローガンが掲げてあったということ、そしてこれについて当該印刷局においてどういう処置を具体的におとりになったかということを問題にしようとしているのではないのであります。問題は、公務員の政治活動というものについて、いろいろこれは問題になっておる。これが規制の問題について、今回の政府原案の中にもこれが取り上げられておるわけです。現行人事院規則というのは、政治活動については、政治目的、政治行為というふうに分け、しかもこの解釈運用ということで、実はほとんど何をやってもひっかかうないようなことになっておる。しかも、そういうようなざる規則をつくって、なおかつひっかかるような問題についても、一体管理者はどのぐらいこういう問題に関心をお持ちなのか。こういう規則の大もとである人事院は一体何をしておるのだ。ざるもざる、大ざるであって、大きな穴があいておる。その穴にひっかかるようなものぐらいはびしんびしんと処理をされたらどうですかと私は言いたい。そういう意味において私は、一般論として管理者のやり方に相当問題があろうと思いますし、人事院もまたそういう規則を運営する立場において十分にその責任を尽くしておるものかどうか、そういう点に私は疑問が持たれてならない。ひとつこれについての御見解を大橋大臣人事院総裁から一般論として承りたい。
  102. 大橋武夫

    大橋国務大臣 一般的に申しまして、私は、公務員の政治活動の制限につきましては、現在の人事院規則はかなり厳重にできておりまして、これを厳格に適用いたしまするならば、政治活動の制限の目的はおおむね達し得るものと考えておるのであります。改正法案におきましては、政治活動の制限ということは、これは人の基本的権利の制限という重大事項でございまするから、法律をもって直接に規定いたすことが適当であろう、こういう趣旨で改正を提案いたしておるのでございまするが、   〔委員長退席、安藤委員長代理着席〕 しかし、その内容を規定いたしまするには、十分慎重に検討する必要があると存じまして、それができるまでの間は現存の人事院規則によって処理してまいりたいという考えでございます。
  103. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 政治行為の規制につきましては、前回は非常にきびし過ぎるという御批判もございましたが、いろいろな御批判のあることは私どもよく承知しております。しかしこれは、申し上げるまでもありません、先ほど労働大臣も申しましたように政治的な基本権に触れての問題でございますし、かたがた御承知のように懲役という非常に重い罰則がついておる事柄でございます。したがいまして、これをむやみに拡張解釈することももちろんできませんし、さらにその内容を、規制を厳格にするということについても、よほど慎重な考慮が必要ではないか、一般的にはそういう気持ちを持っております。ただしかし、公務員の違法あるいは不当な行為ということにつきましては、申し上げるまでもなくし司の命令に違反したもの、これは懲戒される、あるいは信用を失墜したものは懲戒される、あるいは職務専念義務に違反したものは懲戒される、その他、公務員——全体の責任者にふさわしくないものは懲戒される、それだけの網がすでにかぶっておるわけです。さらにその中で、たとえば執務時間の外であってもこれをやってはいけないという規制として政治行為の規制がかぶっておるのであります。その辺の全体の綱をもやはり考え合わせていかなければならぬことではないか。一がいにざるということになりますかどうか、これはいろいろ御批判は、謙虚に承りますけれども、一応いままでの制度はそういうたてまえではないかと考えております。  それから、各省との関係におきましては、先ほども申しましたように懲戒権は各省大臣その他の任命権者がお持ちになっておる。ところが人事院につきましても、現行国家公務員法では人事院もさらに重ねて懲戒権をお預けいただいておる。これが今度の改正案では人事院の懲戒権はなくなりますから、改正法においては何をか言わんやということになりますけれども、現在われわれのほうで懲戒権をお預かりしております。しかし、いま申しましたように、これは本来各省大臣がその責任において懲戒権をお持ちになっておる。これを抜けがけにわれわれのほうから出しゃばって直接に人事院が懲戒するということは、これはたいへんなことでございますから、勢い御遠慮せざるを得ない形。しかし、その他の関係において、機会あるごとに任命権者その他に対してはいろいろ気づきを御注意申し上げておる。たとえば公平審理の過程において、同じような事件が出てまいります。この場合に、同じようなことをやったこのほかの人はどういう処置を受けておるのかというようなことは、われわれとしては処分者に対して一々聞いております。しかしこれは、いま言ったように現行制度上懲戒権を人事院にもお預けになっておりますからこそ、その背景のもとにそういう口出しができるというように、たいへん弁護がましいことになりまけれども、そういうふうに考えておる次第であります。
  104. 森山欽司

    ○森山委員 現行人事院規則一四−七が先ほど大橋大臣の言われるように公務員の政治行為を規制する法規として十分であるかどうかは、私全く所見を異にいたしますけれども、ここは論争する場でないからこれは差し控えさせていただきたい。ただ、私どもから見れば、ざる法、規則と考えられるようなことにひっかかるような、そういう事態については、ひとつ十分そういうことについて的確に実情を把握して、当該管理者が対策をとり、またそれを人事院が十分握っているというようなことでなければならない。公務員法の完全実施の責任を持っている人事院として厳正な適用につとめるべきことであると私は考えるのであります。私は、そういう意味で、この中立的な一つの機関的性格を持つ人事院が法の厳正な適用とはいえ、あとでとかくの反発の出てくるような懲戒分限の実際的適用だとか、あるいは政治行為の規制の実際の運営というものに完全実施の責任の立場から目を光らすということが、性格的にできるでしょうか。その辺のところは実際問題として人事院総裁はどういうようにお考えですか。理論的にはそうでありながら、実はそこまでやってしまうと中立性を疑われるというようなことがあって、なかなかできにくいのじゃないですか。その実情はどうですか。
  105. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これは率直に申し上げたほうがよろしいと思いますが、先ほど申しましたように、本来の身分権、懲戒権は各大臣その他の方々がお持ちになっているところでありまして、これらをわれわれがさらに人事院の立場から、出しゃばってということばは過ぎますけれども、そこにまた出ていくということは、これは身分権をお持ちになっている方々の面から申しますと、また相当の事柄になるわけであります。これはそう軽々しく出ていくべきではない。現に身分権をお持ちになっている方々のその分野におきまして、先ほども申しましたように、たとえば政務次官会議というもので大いに綱紀を振粛しなければいかぬというようなことをお申し合わせになっておる。あるいは、その他の機会にそういうことをおやりになっていらっしゃるのでありますから、それをさらに飛び越えてわれわれが出ていくということは、そこに限界がありはしないか、これは現在の公務員法においても、今後の改正法案の場合においても、その点は同じであろうと思います。
  106. 森山欽司

    ○森山委員 私が申し上げたいのは、公務員法の完全な実施と責任という点から、そういう問題について十分気がつくような体制をつくっておかなければいかぬし、つくって気がついたら一応注意をするということぐらいはあっていいのじゃないですか。そういうような機能が全くない。実際上の機能、能力がないというのが、いまの人事院の現状じゃないですか。
  107. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これは数十万にのぼる公務員諸君の個々の行動のことでございますから、一人事院がいかに目を光らしても、それは不可能な限界はございます。ございますけれども、先ほど申しましたように、常に注意は怠らない。たとえば不利益処分の審査の事件が参りましたときには、それに関連して、これはどうなったということくらいは各省にお尋ねして、その意味での注意は促している、それだけの注意はずっと持ち続けてまいったつもりでございます。
  108. 森山欽司

    ○森山委員 総裁のこの点の御見解は、先ほど人事院規則十四の七で禁止の対象となっている政治行為の範囲はきわめて限定的になっているようだが、この規則に該当しないからといっても、その他いろいろ服務上の規律があるということをお話になりましたから、これ以上私からお伺いするのをやめます。それでは、私の率直な感じから言いますと、今回の全印刷の運動方針書は、私どもが気がついてからあわてていろいろ御調査されたのじゃないかと思うのですが、それより前に、それが出た去年の六月ごろちゃんと気がついて注意をしたというような体制にあったのですか。
  109. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまの御質問の点は、はっきり申し上げますが、私どもとしては気がついていなかった。ただ、印刷局としては当時すでに気がついておりまして、すぐ責任者を呼んで叱責をしたわけでございますが、その場合において、責任者が単純に誤りを認めましたので、そこで印刷局としてはやや軽い処分にとどめたというふうに承知しております。
  110. 森山欽司

    ○森山委員 私はこの全印刷という組合は特にこれを取り上げるような、そういう因縁も何もない。たまたま調べてみたらそういうことがあったのですが、どうも組合の運動方針書の中に、総選挙闘争を勝利し、社会党政権を樹立しようというようなことを書いて、選挙運動、政治運動をそのまま掲げるようなことを、一般職員組合運動でやっていていいのかどうか。そういう点、私は非常に問題だと思う。お立場の違う方があることは認めますが、したがって、そういう問題がはっきりしたら、当該管理者としては、ひとつちょっと注意しておこうくらいだけでは相済まない問題を含んでいるのではないかと思う。そういう点について、大橋大臣のほうから御見解を承りたいと思うのです。こういうことが全部に行なわれては非常に困ると私は思います。私がただいま申し上げるように、このこと自体はもう明らかに規則に違反しているということだけは、先ほど人事院総裁が言っているとおりであります。
  111. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府といたしましては、公務員の政治活動につきましては人事院規則において明確な基準が定められておるのでございまして、これを励行いたすことが、公務員法の目的から考えまして、公務員の本質を正すゆえんであると考えておるのでございます。従来これらの点につきまして、各機関のとるべき措置において欠けたる点がありますならば、今後は大いに是正をいたしまして、公務員の中立性を厳重に維持するようにいたしたいと存じます。
  112. 森山欽司

    ○森山委員 大橋大臣のただいまの御答弁のように、この種の問題についてしっかりした態度をもって、政府として市に臨むように私は希望いたしておきます。  次の問題に移りたいと思いますが、昨年の二月十八日の人事院の意見書によると、公務員団交権が認められていないことにかんがみ、給与、勤務時間等の事項は人事院の所掌とすべきであるという趣旨のことが書いてあります。これは団交権が認められたら、これらの事項は政府がきめていいと人事院は言っているのであるかどうか。また、これらの事項を政府が所掌するかどうかということを離れて、人事院としては国家公務員団交権を認めることが適当と考えているのかどうか。その辺のところをはっきりしていただきたい。この意見書だけによると、いま私が申し上げたような読み方ができるので、総裁の御真意をお伺いいたしたいと思います。
  113. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 公務員団交権を与えるがいいか悪いか、これは相当高い立法政策の問題であろうと存じますし、私どもがこの意見書の中で、そこまで大それたことを述べておるはずはないのであります。これは、あるいはことばの問題かもしれません。しかし言わんと欲するところは、これはたびたびお話にも出てまいっておりますように、人事院のきわめて重要な機能は、団交権その他労働基本権のない公務員について、その代行的な機能をお預けいただいておる、これが根本でございます。したがいまして、通常団交権内容としてきめられるような事柄は、法律に直接おきめになればこれは別でございますけれども、そうでない限りは、やはり第三者機関である人事院の規則におまかせいただくのが、これは筋合いとして当然であろう、そういうことを強調した趣旨でございます。
  114. 森山欽司

    ○森山委員 そうすると総裁は、団交権が認められたらこれらの事項は政府がきめたがいい、そういう趣旨ではないのですね。また、これらの事項を政府が所掌するかどうかということを離れて、人事院としては国家公務員団交権を認めることが適当と考えているのでもない。団交権についての意見表明ではないのだ、こういうように理解してよろしゅうございますか。まくらことばみたいなものと考えていいかどうか、その辺のところを伺いたい。
  115. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 まくらことばというような手軽なものではないつもりでございます。とにかく先ほど申しましたように、憲法二十八条からいうと団交権その他基本権が与えられてしかるべきところ、上五条の要請からいって、現在の法制上そういかなかった。したがって第三者機関としての人事院にその代行的機能をお預けいただいたという以上は、人事院の規則できめきせていただくのが当然のことであろう、これを、ことばはよくありませんけれども、使用者側である政府が一方的におきめになるということは、その辺の筋合いからいってたいへんなことではあるまいかという深刻な疑問をここに述べた、それだけのことでございます。
  116. 森山欽司

    ○森山委員 どうも私はよくわからないのです。団交権が認められていないことにかんがみ、という点が私は非常に気になるものですから、それなら団交権を認めればいいのか、また、そもそも団交権は認むべきものだという考え方の上に立っておられるのかどうか、その辺のところがものの考え方として非常に大事だと思ったから伺ったのですが、その辺どうでしょうか。高度な政治的なもので私どもは云々とおっしゃるけれども、考え方の基本としては何があるんだ。公務員協約締結権を含む団体行動権を認むべきであるという考え方にお立ちになっているのかどうか。いい悪いは別ですよ。人事院総裁がどういうふうに理解しておるのかということだけ私は伺いたい、こういうことなんです。
  117. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 いい悪いをここで申し上げるべき立場にないことは、私も御同様でございます。ただ論理上の問題として、裏返しにすれば、第三者機関としての人事院規則ということが消えていけば、そこに団交権の問題が当然論理的につながって出てくるであろう、これは論理上の問題、理論じゃありません、論理上の問題としては私は当然だろうと思います。
  118. 森山欽司

    ○森山委員 私はその点において人事院総裁と所見を異にいたしますが、ここにあえて論議をいたしません。  それでは、質問事項がたくさんございますから、時間の関係一つずつ片づけてまいりたいと思います。  総理府設置法の改正によりまして、第六条の二で人事局の所掌事務の規定がありますが、これによりますと、その所掌の及ぶ範囲が事項によってまちまちになっているのじゃないかと思います。たとえば給与については一般職の国家公務員、特別職の国家公務員が対象となっている。ところが第四号の「共済組合に関すること。」第五号の「退職手当に関すること。」及び第六号は、いずれも「国家公務員等」というふうになっております。ここに「等」というのは、一体何をさすのか。退職手当については、国家公務員等退職手当法というのがございます。この場合と一体同じであるかどうか。また同じであるとすれば、第五号、第六号の場合もそういうことになるのであるか。そうだとすると、三公社現業のいわゆる公共企業体の人事行政の総合調整も人事局の所掌となるが、この人事行政の中にはもちろん給与に関する事務も含まれていると考えられるのだが、その点はどうなっているか。まずそこまでひとつ御返事を伺いたい。
  119. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 総理府設置法の第六条の二、人事局の所掌事項のことでございますが、その第四号に「国家公務員等の共済組合に関すること。」と、ここで「国家公務員等」とついておりますのは、国家公務員共済組合法と公共企業体職員等共済組合法、この二つ人事局が所掌をするという意味で「等」ということになっております。  それから退職手当につきましてここで「等」となっておりますのは、ただいま御指摘のように、現在の退職手当法自身が国家公務員等退職手当法ということになっておりますから、ここでも「国家公務員等の退職手当に関すること。」このようになっておる次第でございます。  それから最後の第六号の総合調整の問題でございますが、これは一応国家公務員、それからその性格を同じくいたします職員との間でいろいろ考え方に共通するものもございますし、制度的に密接な関連を持つものがございますので、それで総合調整ということに相なるわけでございます。特にただいま御指摘の、それじゃ三公社現業の給与ほどうなるかというお話でございますが、これは改正法のもとにおきましても、その給与を扱うことは人事局の所掌に移ってまいりませんので、そういった問題はここの第六号の中には含まれていないということを申し上げます。
  120. 森山欽司

    ○森山委員 それじゃ、三公社現業の給与のことはどこがやることになるわけですか。
  121. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 これにつきましては、三公五現の、特に五現について申しますと、むろんそれぞれの使用者におきましてきめていくわけでございますが、その場合に単独でできるのではなくて、ものによりまして大蔵大臣承認を得てきめていく、こういうたてまえに現在なっておりますし、改正後におきましてもその点につきましては同様でございます。
  122. 森山欽司

    ○森山委員 給与の問題はそうといたしましても、総括的に「人事行政に関する他の行政機関の施策及び事務の総合調整に関すること」というのは、そういうことは人事局の総合調整の範囲内になる、三公社現業一般論としては総合調整の対象になると読んでいいのかどうか。このままだとそう読めますからね。その点ちょっと伺いたい。
  123. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、そのようになると存じます。
  124. 森山欽司

    ○森山委員 その辺のところで、将来この総合調整規定というものをどの程度までの範囲で考えるかということで、解釈問題として疑義が起きないかという問題がいろいろ感じられるのです。たとえば国家公務員の旅費、それから国家公務員の福利厚生施設、これはどこへいきますか。
  125. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 旅費につきましては現在、国表公務員等の旅費法がございます。これは改正後におきましても大蔵省の所掌になってくるわけでございます。それから第二の福利厚生でございますが、この国家公務員の福利厚生は人事局の所掌になってまいります。
  126. 森山欽司

    ○森山委員 国家公務員の福利厚生施設は大蔵省では自分ところに残ると思っているのではないかと思うのだが、どうですか。
  127. 高木文雄

    ○高木説明員 現在御審議を仰いでおります案を前提といたします限り、大蔵省のほうには残らないというふうに考えております。
  128. 森山欽司

    ○森山委員 大蔵省に残らない——そうですか。こういうことは非常にこまかいことのようですけれども、お役所というのはなかなかなわ張りがうるさいですから、この法律実施の過程において、そういう点に問題が起きないようにという意味で申し上げるわけです。  それから公社の人事行政の一般的な総合調整というものが、先ほど総理府に入る、この人事局の第六号の所掌事項の中に含めて考えられるといたしますと、公庫公団事業団等政府関係機関の人事行政の総合調整というのは一体どうなるか。御承知のとおり、組合のほうでは政労協という形で統一行動をとっている。これに対応する当局側では、現状は各個ばらばらであって、総合調整する機関がない。それは単におかしいというだけじゃなくて、将来の労使関係上なかなか大きな問題が起こるおそれがあるのじゃないかというふうに考えられるわけです。なお地方公務員法の運用等については、これはもう総合調整というような規定は全くないのでありますが、こういう必要は全くないのかどうか。   〔安藤委員長代理退席、委員長着席〕 現にいわゆる倉石問題点では、国家公務員地方公務員、三公社現業等の労働関係の基本について調査審議する審議会という構想が提案されておるのですが、その担当事務局としては、実際には人事局が当たるんじゃないかと思うので、そういう意味で、これらの問題もどう考えるか、ひとつ大橋大臣の御意見を伺いたい。
  129. 大橋武夫

    大橋国務大臣 いわゆる政府関係機関におきまする現在の労使関係、人事関係のあり方につきましては、御指摘のとおり、いろいろ問題があるところでございまして、政府といたしましても慎重に検討を重ねておるところでございまするが、今回の改正にあたりましては、いまだ具体的な結論を打ち出すところまで至っておりませんので、これを織り込むことはできなかったのでございます。しかし、このことは政府関係機関の労働関係及び人事管理の問題を、政府としては全く現状でよろしいと考えておるわけではないのでございまして、今後とも慎重に検討を重ねまして、すみやかに、これがいかにすれば最もよいかという具体的な結論を出してまいりたいと存じます。
  130. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは、この際暫時休憩いたします。    午後三時三分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕