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田中(龍)
委員 その問題になりますと、また話はなかなかむずかしいことになります。ことに、労働政策という問題に対して非常に根本的に対立した二つの見解、潮流がある、か
ように
考える。
一つは、あるべき
労働組合、すなわち
ほんとうに経済
団体として、そうしてその社会的な地位の向上とかなんとかいうふうな限界における
労働組合と見る場合と、それからもう
一つは、いまの思想的ないろいろな破壊活動というふうなものを正視する見方と、
労働組合には二つの、性善説、性悪説といいますか、見方がある。
しかしながら、私はその中で特に
国家公務員法というものの体制におきましては、全体である国民、使用者たる国民への奉仕者として、そこに
労働組合というだけではなく、
一つの行政
組織体としての服務
関係がなければならぬ、こういうふうに
考えます。私も党の
組織を担当する立場から、いまの官庁の中におきます
国家公務員あるいはまた
地方公務員等におきます共産党の進出に対しては非常に心配しておるものでございます。同時にまた、ここのところ数年間八千八百名であったものが二万八千になり、また二万八千になるという
ような異常な躍進に対しまして、私は、社会党の
諸君なりあるいは民社党の
諸君がこの共産主義の進出に対して第一線で戦っておられることに対しては深く敬意を表します。
しかしながら、いまの国家の行政権を行使する官庁の
労働組合の中に共産党の活動がしょうけつをきわめるということは、これはゆゆしい問題であります。同時にまた、
日本の
公務員がこういうふうな
実態であるということをはたして
ILOが知っておられるのかどうか。
ILOというものは、先ほど申しました
ように、あくまでも個人の自由と尊厳を守り、同時にまた民主政治を標榜するものである。ところが共産主義というものは、御承知のとおりに、いわゆるプロレタリアートの独裁なり、あるいはまた強圧政治ということが当然前提にせられ、同時にまた
政府に対しても暴力革命を前提としていることは当然であります。これは私は
ILO精神に根本的に反するものだと思うのです。そういう点でこの
ILOの
批准にあたりましては、やはりこのことについてなかんずく
公務員の場合は重大な反省が要る
ように思います。
それで、私は党の
組織を担当する者といたしまして、いまの各省の中におきます
労働組合中の共産党員の増加――これは民間の
調べでありまして、公安
調査庁の
調べと合うか合わないかわかりません。しかしながら、特にわれわれが非常に重視しますことは、その役員の中におきまする共産党の比率が非常に高いということでございます。すなわち、
組合役員というものがこれによって自由に
組合が振り回せるという立場に立っておる。ここに私は、国家の行政機構を担当する者なるがゆえに重大性があると思います。
まず、この各省の
労働組合の中におきまして、建設省の全建労、これは
組合員数が約二万六千でございますけれ
ども、その中でわれわれの
調べでは四百五十名も党員がおるということであります。これは建設
関係のいろいろな行政の面において、特にまた地方との
関係も非常に深い。これは重大な問題であります。それからまた厚生省
関係の
組合としましては全医労二万七千名がありますが、この中で三百三十名の共産党員がおるといわれておる。また全厚生でありますが、三千八百名の中で百五十名が党員である。特に裁判所の
関係でありますが、三権分立の上からいいまして司法権というものがいかに重大であるかは申すまでもない。この法務省におきます全司法一万七千名の中で三百五十名の党員があると聞き及んでおります。こういうことは一体どういう
状態でありますか。
ILO八十七
号条約におきまして軍隊警察を特に除外いたしておるということは何を
意味するかというならば、行政の上におきましても軍隊、警察というものは特に重視しなければならぬ。いわんや三権分立で最も中正でなければならない裁判所におきましてこれだけの党員がおるということは、私は非常に重大な問題であると
考えます。また
大臣の御所管の労働省におきましても、一万八千名の中で二百五十名おると承っておる。これらの党員の活動がどうであるか。また商工省の一万名の中で二百名。ことに私は国家財政を担当する大蔵省
関係におきまして、いわゆる税関の
関係の五千六百の
組合員の中で百五十名、また
全国税の五千名の中で三百五十名。こういう第一線の徴税業務に当たる方々に一体何ということであろうかと思わざるを得ない。また運輸省の
関係の全運輸五千六百、ここでわれわれの
調査では約百名。それからまた港湾
関係では五千三百名中の二百名、あるいは気象庁の
関係の五千名中の二百名。こういうふうな気象庁あたりになりますると、これはなかなか重大な問題でございます。いかに今日の国際気象、
国内気象というものが重大な異議を持っているかはここで申し上げるまでもない。さらにまた、電波監理局の全電波の二千四百名の中で百三十。これも電波
関係というものが今日は各般の経済生活、社会生活の上において非常に大きな
影響力がある。また会計検査院の中におきましても千百名の中の四十名。農林省
関係におきましても、これは農林省の五万五千名の中の六百五十名。
私は、
公務員の中にこれだけの共産党がおるという国は、共産圏はいざ知らず、自由圏内においてほとんど例がないのではないか、か
ように
考えます。しかしながら、特にこの中で最も私は重大な問題として取り上げたいことは、この共産党がこういうふうな官庁における党員の育成強化ということに対して非常な努力を払っていることは当然でありまするが、
国家公務員、あるいはまた
地方公務員といわれるこういうふうな
職員が国家の機密に従事し、あるいはまた国家行政の中枢をになっておるということから、これはゆゆしい問題であって、一
労働大臣の、
ILOの問題とか何とかという
ような問題ではない。使用者である国民全体が、このいわゆる暴力革命を企図する
ような、共産党員の進出について、民主政治の本質に照らして、敢然と反省をし、戦わなければならぬ問題である、こう私は
考えます。ことに党員としての
日本共産党の指令が、「職場闘争というものは職制と対決してこれを麻痺させ、職場支配を押し返す中で
組合員の意識を高め、
団結力を強化する、職場解放の戦いである。」これはどうです。いまの
国家公務員の中において職制と対決して、この職制を麻痺させるということは何を企図しておるのか。これこそ私はたいへんな問題ではないかと思うのであります。これは
国家公務員の各
団体の中には当然指令されておるものでありますが、こういう問題について公安
調査庁がどうお
調べになっておられるか。民間のこの
調査に対して大体これを裏づけていただけるのか、それはお前の言うことは思いすごしだと言われるのか、ひとつ承りたいと思います。同時に私は、これらの各省の中における
組合役員の中の皆の比率でもおわかりだったらお教えいただきたい。
公安調査庁長官にお願いいたします。