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有馬委員 その問題につきましては、これまた
あとで触れさしていただきますけれ
ども、やはり、たとえば昨年も一昨年もそういった立場から人事院が勧告を行なわれても、
実施期日の問題等で
政府はこれを完全に
実施しない。これについてはいろいろ問題がありまするが、私は、やはり現在の
事態においても、いま申し上げましたように国家公務員あるいは
公共企業体の
職員に対して基本権を与えていく、その中で正常な
労使関係というものが確立されていくのではないか、うらはらのものが完全に保障されない、ここでゆがみを生じてくるのではないか、このように
考えておるわけであります。
次に、具体的な問題につきましてお
伺いをいたしたいと思いますが、それは公務員のいわゆる
国家公務員法に基づく規定のしかたでありますが、この際総裁にお
伺いしたいと思いますことは、現在の国家公務員、あるいは通称公務員といわれる地方公務員、国家公務員等のこの公務員の概念規定それ自体に問題があるのではないか、このように
考えております。この前も本
委員会におきまして稻葉さんがこの高級公務員と一般公務員との問題等について触れられておりましたけれ
ども、私は、そういった
意味合いにおきまして公務員もいわゆるシビル・サーバントとパブリック・サーバント、こういう点で概念規定をはっきりさせていくべきではなかろうか、このように
考えておるわけであります。一九五四年の
結社の自由
委員会におきまして、世界労連と
総評の告訴によって官公
労働法における
団結権の制限とスト規制法に関する
日本の事件とが取り上げられました。この事件で
結社の自由
委員会が幾つかの重要な
考え方を示しておりますが、その
一つにいま申し上げました
国家公務員法と
地方公務員法の適用を受ける公務員のストライキ禁止に関するものがあったことは御
承知のとおりであります。この場合に
委員会は、立法による雇用
条件を享受するシビル・サーバントは、多くの国々においてその雇用を規律する法制の中で正常な
条件として争議権を否認されており、したがってこの問題はさらに審理すべき理由がないと
考える、こういうことを
結論づけておるのでありますが、問題はシビル・サーバントということばで
日本の公務員全体を把握したところに問題があったのではないか。非常にこの
意味でも、ことばの使い方、概念規定というものがあいまいで、全体を、現実をとらえていないきらいがあったのではないかと思うのであります。この事件におきまして、
日本政府の回答でも、公務員ということばをパブリック・サーバントと英訳して、国家公務員は一般的な行政事務に従事する国家公務の被用者であり、地方公務員は行政に従事するパブリック・オフィシャルだというような説明をいたしておるのであります。一般にパブリック・サーバントということばは国家公務員で非
現業部門をさすことばとして用いられておりまして、またパブリック・オフィシャルは右の範囲のもので比較的地位の高い者、たとえば昔では高等文官試験に合格した者、こういったものを言うのではないかと思うのであります。そういう
意味で、この際私は総裁にお
伺いしたいと思いますことは、
結社の自由
委員会でも教師、シビル・サーバント、郵便
労働者というふうに、
先ほど申し上げましたようにきわめてあいまいな使い方をいたしておりますけれ
ども、この際シビル・サーバントとパブリック・サーバントというものをはっきり分けまして、
国家公務員法の、
あとでお
伺いをいたします政治活動の制限なり何なりを受けるものは、この高級公務員、面接国の行政に参画する者に限るべきではないか。公僕という
意味はそこら辺で使われるべきで、いわゆるパブリック・サーバントというものは、これはもう単なる事務をやっておるのにすぎないので、国の行政に参画しておる、こういう
意味ではとらえられないのではないか。
大橋さんなんかも役所におられて十分御
承知だろうと思いますが、とにかく現在どこの役所でも実際に国の行政に参画するといわれるような人たちは、各省においてもきわめて限られた人たちに限定されております。そういう
意味合いにおきまして、私はこの概念をはっきりさせて、一般の公務員に対しましては、
労働三権を与える、これが少なくとも筋の通ったものの
考え方ではないかと思うのでありますが、この点についての総裁のお
考えを
伺いたいと思います。