運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-05-12 第46回国会 衆議院 国際労働条約第八十七号等特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十二日(火曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 愛知 揆一君 理事 安藤  覺君    理事 澁谷 直藏君 理事 田中 正巳君    理事 森山 欽司君 理事 河野  密君    理事 多賀谷真稔君 理事 野原  覺君       秋田 大助君    小笠 公韶君       亀山 孝一君    佐々木秀世君       正示啓次郎君    渡海元三郎君       永田 亮一君    永山 忠則君       長谷川 峻君    濱田 幸雄君       松浦周太郎君    松田竹千代君       有馬 輝武君    大出  俊君       小林  進君    田口 誠治君       安井 吉典君    山田 耻目君       栗山 礼行君    吉川 兼光君  出席国務大臣         法 務 大 臣 賀屋 興宣君         外 務 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         労 働 大 臣 大橋 武夫君         自 治 大 臣 赤澤 正道君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         内閣法制局長官 林  修三君         内閣法制局参事         官         (第一部長)  吉國 一郎君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (管理局長)  小林  巖君         人事院事務官         (職員局長)  大塚 基弘君         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   岡田 勝二君         警察庁長官   江口 俊男君         法務政務次官  天埜 良吉君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         公安調査庁長官 齋藤 三郎君         外務事務官         (国際連合局         長)      齋藤 鎭男君         大蔵政務次官  齋藤 邦吉君         大蔵事務官         (主計局次長) 澄田  智君         国税庁長官   木村 秀弘君         文部政務次官  八木 徹雄君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         労働事務官         (労政局長)  三治 重信君         自治政務次官  金子 岩三君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         自治事務官         (行政局公務員         課長)     松浦  功君     ————————————— 五月九日  委員小金義照辞任につき、その補欠として森  山欽司君が議長指名委員選任された。 同月十二日  委員稻葉修君、田澤吉郎君及び田中龍夫辞任  につき、その補欠として松田竹千代君、永山忠  則君及び小笠公韶君議長指名委員選任  された。 同日  委員永山忠則君及び松田竹千代辞任につき、  その補欠として、田澤吉郎君及び稻葉修君が議  長の指名委員選任された。 同日  理事森山欽司君同月七日委員辞任につき、その  補欠として森山欽司君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  結社の自由及び団結権保護に関する条約(第  八十七号)の締結について承認を求めるの件(  条約第二号)  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一号)  地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二号)  国家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第三号)  地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第四号)      ————◇—————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についておはかりいたします。  委員の異動の結果、現在理事が一名欠員になっております。つきましては、この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは委員長において指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めます。よって、森山欽司君を理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案国家公務員法の一部を改正する法律案、及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案件を一括して議題とし、質疑を続行いたします。  この際、議事進行について発言を求められておりますからこれを許します。吉川兼光君。
  5. 吉川兼光

    吉川委員 委員会議事の整理につきまして、委員長に御質問ないし要望をいたしたいと存じます。  先日来の本委員会審議経過を見ておりますると、全然議題になっておらないことにつきまして質疑が行なわれ、大臣答弁がなされております。それは何であるかと申しますると、いわゆる倉石修正案の中における中央交渉の問題であります。この倉石修正案はまだこの委員会に付託されておりません。いまの政府の原案、あるいは現行法等には中央交渉の問題は全然出ていないのであります。にもかかわりませず、これが質問で取り上げられ、大臣が何人も交代して答弁しておりまするということは、衆議院規則の、あれは四十五条でございましたか、委員会を規定しておりまするとの条章を見ましても、私はどうもふかしぎなものだという感じを持っております。その点につきまして、委員長の御理解、あるいは今後の取り扱いについて委員長からひとつ説明をお願いいたしたいと思います。
  6. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいま、半ば私に対するお尋ねのようなことでございますし、議事進行にも関係がありますから私から申し上げますが、ただいまのような案件については、やはり関係のある法案審議過程でいろいろな仮定論が行なわれておるのであって、そういう場合に対する政府側回答をいたしておるのではないかと存じます。それ以外に私どもとしても事実がどこに存在いたしているかということについては、吉川君すでに御存じのとおりでございますから、そういう仮定の事実に基づいての質疑応答が行なわれているものであると私は了解いたしております。
  7. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 議事進行。きのうあたりILOの本部において、ジュネーヴにおいて、ILOの対日調査調停委員会がもう始まった。きのう青木大使も一時間ほど出席しているのですね。そうして日本側の問題の場合は、総評国鉄労組全逓、甘教組、自治労、機関車労組国家公務員労組協議会の七つの国内労組に加えて、国際電信電話労働組合、国際自由労連、国際運輸労働組合国際公務員連合国際自由教員組合連合など五つの国際労組連合提訴者となっている。こういう問題を向こうでももう審議を始めているわけです。なおその上に青木大使も呼ばれているわけです。ですから私は、提訴されたことが一つの問題になって、ここにILOというものの新しい重要な批准の段階を迎えているのですから、この国会において、どういう問題が従来提訴されて、どういう審決があったかということは前回と今回の委員会において若干その問題に触れたようなものがありますけれども、国際的にこれだけ審査をされているときに、日本国会においてその重要性というものと、問題の所在と、そういうものを一ぺんここに資料を出していただきたい。そうして資料をお出しいただいた上に、あるいは関係者から御説明などをもらうことが私は国会審議過程において非常に有効じゃないかと思いますので、委員長において御裁断をお願いしたいと思います。   〔発言する者あり〕
  8. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。  ただいまの長谷川君の御要求に対しましては、後刻理事会において十分御相談の上に善処いたしたい存じますから、御了承願います。  それから、この際委員長から議事進行について申し上げておきますが、各委員会の前例もあるようでありますが、これからは議事進行の御発言等については、あらかじめ理事会の御決定に基づいてのみ行なうことにいたしますから、さよう御了承願います。  永山忠則君。
  9. 永山忠則

    永山委員 私がお呼びしている人で、だれだれお見えになっていないのでございますか。まだ総理も、官房長官も、外務大臣も、自治大臣も、法務大臣見えぬようでございますが、それはどういうような事情でございますか。
  10. 倉石忠雄

    倉石委員長 お答えいたします。永山君の御要求の閣僚については、全員について要求いたしておりますけれども、参議院の会議関係等でおくれておりますが、逐次出席させるように申し出ております。
  11. 永山忠則

    永山委員 総理はどういうことになっておりますか。また官房長官、どうですか。
  12. 倉石忠雄

    倉石委員長 官房長官は間もなくお見えになると思います。そのように通告がございました。
  13. 永山忠則

    永山委員 総理はどうでございますか。
  14. 倉石忠雄

    倉石委員長 総理回答がございません。
  15. 永山忠則

    永山委員 回答がないとはどういう意味なんですか。どういうような意味のことでございますか。旧来そういうような状態回答を何もしないというようなことが行なわれておったんでございますか。
  16. 倉石忠雄

    倉石委員長 いや、そうばかりでもございません。御都合のつかれる限りはこちらへ出てこられるわけでありますが、ただいまのところはまだ回答がございませんで、官房長官が間もなくお伺いする、こういうことであります。
  17. 永山忠則

    永山委員 総理大臣ほか、お見えにならない大臣に関する重大なる質問がございますので、これらはお見えになったときに質疑をいたすということにいたして、質疑は留保をいたします。  この場合、委員長並びに理事、特に与党理事に申し上げるのでございますが、この議題となっておりまする結社の自由及び団結権保護に関する条約八十七号の締結承認を求める件ほか国内法整備に関する法律案は、きわめて重大なる法案でございまして、各委員会に優先をして十分慎重審議をなすことにつきましては、すでに皆さん方御存じのとおりに、三月十三日の議運理事会の申し合わせにより、ILO八十七号批准並びに関係法案については昨年の六月十三日の幹事長書記長会談の約束を守ることを確認して特別委員会を設置する。同委員会審議にあたっては、意見の一致を見るよう十分なる審議を尽くす。これは御存じのように、自民党内部においても非常な論議をかもしておる問題でございます。したがいまして、この委員会十分審議を尽くすということになっておるのでありますから、この審議が十分尽くされるような配慮をするということが必要なんであります。これを通過せしめるのには、どうしてもまず自民党内の思想統一もやらにゃならぬ。それには委員会の場を通じて十分審議しようということがわが党にも言われているのであります。したがいまして、与党の議員だから無視するというような、しかも与党の陣がさだから無視するというような、そういうようなことにとれるような態度は私はとらざるところである。ことに総理が不問に付すというような、そういうような総理権力主義態度に対しては、私は非常に遺憾である。この点について委員長十分警告を発せられまして——ことにこの問題の中心総理じゃありませんか。われわれの聞いている範囲においては、総理倉石委員長を命じて、そして何とかこれを必ず通過さすようにしろというこの命を受けて、強引に党内調整を進められておるのでありまして、その最先端に立っておるのは総理でございますよ。また、何といっても公務員関係地方公務員関係、すべての官吏の一番中心におる、使用者最高責任者総理であります。この総理の政治的、基本的態度というものが一切をきめるのだ。その総理が無視するというような——私は私を無視したこととは考えません。委員会審議に対してきわめて非協力であるというように考えざるを得ないのであります。委員長及び理事、ことに与党理事はこの点に留意されまして、必ず永山質問に対して出てくるように……(「永山だけじゃないよ」と呼ぶ者あり)お説のとおり、私だけじゃありませんから、取り消しましょう。この委員会が要望する場合には必ず出てくるように、特に注意を願いたい。  それで、官房長官どうされましたか。
  18. 倉石忠雄

  19. 永山忠則

    永山委員 公務員というものの性格でございますが、これは憲法第十五条にもございますように、全体の奉仕者でございます。しかし、何といっても国民の歩むべき道を指導する推進力行政中心推進力でございます。そこで、どうしても格調の高い倫理、さらに教養を積んで指導者たる権威を持たなければいかぬ。ことにわれわれは税金を出して、そして正しい行政指導があることを国民は信じて、まっしぐらに職場に忠実に専念いたしておる。この公務員中心とする行政指導力が信頼を失うようなことがあったり、あるいは方向を転じたならば、その民族は発展をすることはできないのであります。私はこの意味において、全体の奉仕者であると同時に、また管理者である政府は、待遇も十分改善をいたし、老後の生活の心配なきようにあらゆる面に配慮して、労使が一体となって、よき政治をするということにならねばならぬと考えておるのでございますが、これに対しての考え方を、総理がおられませんので、官房長官にお伺いいたしたいのです。
  20. 黒金泰美

    黒金政府委員 永山さんのおっしゃるとおりだと思います。
  21. 永山忠則

    永山委員 大橋労働大臣答弁をお願いします。
  22. 大橋武夫

    大橋国務大臣 仰せのとおりに存じます。
  23. 永山忠則

    永山委員 しかし、現在の日本公務員並びに公共企業体のあり方に対しましては、まことに遺憾なものがあるのでございます。組織の力によって法律死文化するように、獲力でもって自分の目的を貫徹しようというような考え方は、諸外国いずれもそういう事例はないのでございます。私はこの点に関して、ことに公務員順法精神に徹しなければならぬ、法を実力でもって無視していこうというような態度は断じてとらざるところであると考えるのですが、この点に対して官房長官大橋労働大臣意見を承りたい。
  24. 黒金泰美

    黒金政府委員 いま永山さんのおっしゃいますように、公務員のみならず、国民全体が順法精神に富まなければならないのでありますが、なかんずく国家公共の仕事に従事いたします者は、特にその心がけが大切と考えています。
  25. 大橋武夫

    大橋国務大臣 公労法におきましても、また国家公務員法におきましても、公務員あるいは公社職員実力行使は法の制限、禁止いたしておるところでございます。
  26. 永山忠則

    永山委員 「ILO条約八十七号即時批准国内法改悪反対についての経過態度について」というもので、総評下部組織に流しております第一に書いてあることは、「国鉄動力車全逓労働者の血みどろな闘いにより国内においては公労法地公労法の骨格である四条三項、五条三項を死文化」してきたのであるということを流しておるのでございますが、そういう事実はございますか。
  27. 大橋武夫

    大橋国務大臣 法律死文になっておるという事実は承知いたしておりません。
  28. 永山忠則

    永山委員 私は遺憾ながら、当局はそういう御答弁をなさいますけれども、こういう実態が存在をいたしておるのではないかと考えるのでございます。さらに団体交渉というのは、集団的に制止を聞かずにすわり込む、さらにかん詰めにして何時間でも何時間でも封鎖をいたして、軟禁状態にするというようなことは、団体交渉ではないと考えるのでございますが、当局意見はどうでしょうか。
  29. 大橋武夫

    大橋国務大臣 団体交渉だからといって、団体になってわいわいと交渉をするという意味では決してないのでございまして、労働組合がその組合員労働条件等について使用者交渉をする、その交渉はもとより社会通念上考えられる通常態度によって行なわれるべきもの、かように心得ております。
  30. 永山忠則

    永山委員 そういうような国民的常識において通常交渉が行なわれねばならぬにもかかわりませず、実際はつるし上げあるいは封じ込め、こういうような状態がいまなおあとを断たないのでございますが、最近の事例に関して、自治省公務員課長見えているようですから、千葉の八日市場あるいは大阪の衛星都連の問題、京都関係、こういうものに対して、時間がございませんから、簡単に御説明願いたい。
  31. 松浦功

    松浦説明員 お答え申し上げます。  全般的に交渉正常化方向に近づきつつあるという感じはいたしますけれども、全国的に見ました場合には、若干正常化に欠ける事例が見られているようでございます。ただいま御指摘をいただきました八日市場におきましては、給与条例の提案をめぐりまして、当局警告にもかかわらず、三割休暇闘争に入るという事例がございます。さらに、堺市におきましても、ベースアップ闘争をめぐりまして相当長期間にわたりまする混乱がございました。茨木市におきましては、ベースアップ、年末手当、これらの支給問題をめぐりまして大幅な争議行為が行なわれそうになりましたけれども、これは回避されております。京都の綾部市におきましても、同様に、職務命令に違反をいたしまして業務につかなかったという事例がございます。これらの事例につきましては、いずれも地方公務員法の規定に基づきましてそれぞれ懲戒処分が行なわれておるというのが実情でございます。
  32. 永山忠則

    永山委員 自治省関係は、自治大臣見えましてから十分話を進めたいと存じておりますが、先般京都町村長と会合したときに、京都代表の村長から、一昨年は、このつるし上げかん詰め、不当の交渉のために、八名は入院をしなければならぬ状態に追い込まれた、さらに昨年度は、一人はそれが原因で死亡をいたした、二名はからだをこわしておる状態だ、二名はやめざるを得ない状態になっておるというようなことを言っておるのでございますが、これらの調査等をあわせて、ただいま御報告の点をもっと詳細に委員会提出を願うように、委員長、ひとつ御相談を願いたいのでございます。  時間の関係がありますから、さらに国税庁にお問いしますが、国税庁長官おられますか。——最近、民主商工会国税庁職員の一部が一体になって反税的な行為が強く行なわれておるということを、あなたの内部の人から非常に心配されておるのでありますが、ことに、いわゆる修正案というものが通ったような場合においては、税金を徴収する上においても非常に不利な結果になるのではないかということを真剣に心配いたしておるのでございますが、まず、その問題は政務次官にいたすとして、とにかく反税闘争実情をこの場合御報告願いたいのであります。
  33. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま永山委員から御指摘のように、過去におきましては、国税庁内部の一部の職員組合と、ただいま活発に活動をいたしております全商運、民商労音その他の反税的な行動を行なっておる団体との問に密接な関係があったことは事実でございます。たとえば、反税的な行動というものの内容といたしましては、会員の申告水準が異常に低い、しかも税務職員調査に参りました場合に、その調査を拒否する、あるいはいやがらせを行なう、あるいは実力をもって妨害をするという事例があり、また労音等におきましては、そのほとんど九割近い労音申告もせず、また納税もいたしておりません。また、調査に参りましても、非常ないやがらせ妨害等がございまして、昨年から今年にかけて、公務執行妨害あるいは調査拒否等で逮捕または捜索を受けましたものが九件でございまして、そのうち六件はすでに起訴をされております。  それから、これらの団体と一部国税の職員組合との結びつきでございますけれども、これもいろいろな集団で税務署にこれらの団体が押しかける先頭に立って案内役をつとめ、あるいは役所の秘密の書類を手渡すというような事例、それからまた、労働組合資金カンパをこれらの団体が行なっておるというような事例、それからこれらの団体の役員と一部組合員との間に税に関する各種研究、それも曲がった研究が行なわれておるということは事実でございます。  ただいま、それに対して倉石修正案では非常に困るのじゃないかというお話でございますが、実は私は、そういうものがあるのかどうか、その内容についてはつまびらかにいたしておりません。私たちは、やはりこういう内部の一部の組合と外部の反税的な団体との関係というものが今後次第に薄れてくるということを望みますと同時に、今度のこの改正案につきましても、公務員法整備され、また職員組合職員組合としてすなおに伸びていくような形における修正案と申しますか、改正が行なわれることを心から希望しておる次第でございます。
  34. 永山忠則

    永山委員 修正案が通れば、この反税団体と一緒になった連合体その他でどんなことでも交渉ができる体制になるのでございますから、私は、内部の人が、これでは税金をとることができぬのじゃないかということを心配するのも当然であるというように考えますが、この点は後刻詳細に論議を進めたいと思うのでございます。  時間の関係がございますから、私は、以上各所において不当なる実力行使によって、法律を無視して、団体交渉と称して行なわれておる状態がいまなおあとを断たない。何と言っても、国民の最も信頼するところの公務員であります。これは法律を守るところですよ。順法する主体じゃないですか。そういうところでいまなおこういう状態各所に引き続いておる。こういう状態をすみやかに正常化しなければいかぬ。それには大体二つある。一つは、政府管理体制が足らぬからじゃないか。いま一つは、法に対しても不備がある。したがって、この両面から是正をはかっていかなければならぬ。この意味において、国内体制整備というものと相まって、ILO八十七号条約はともに不離一体の立場で進めていかねばならぬ。ILO条約だけを先行せしめるというようなことはあり得べからざることである。国が乱れて何ができるのですか。もとは国ではありませんか。国内法改正を伴わないILO八十七号条約批准ということはあり得ないと私は考える。一体でこれを進めるということに対する政府の強い信念を、この場合代表して大橋労働大臣からお願いしたい。
  35. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府といたしましては、人事局の設置その他公務員管理体制の強化は、ILO条約実施に際しては必ず並行してやらなければならぬことである、こう考えまして、一括して関係法案とともに条約の御審議をいただいておる次第でございます。
  36. 永山忠則

    永山委員 さらにお尋ねいたしますが、ただいま長谷川君が述べましたように、「青木大使からも事情きく」という題で、詳細に記録を検討して、ILO日調査委は、来週から活発な活動を開始して、青木大使も第一回調査委員会へ出席する、こういうことをいっておるのでございますが、また、ここにございますように、各種関係から提訴がされておる。旧来提訴されておるのでございますが、これらを中心十分検討を続けるということになっておる。  そこでお伺いしたいことは、日本のいまの公務員中心とする総評体質は不健全である。不健全体質である。これに対していま国際的医師の診断が行なわれておるのでございます。それに対して、野党側のほうからも与党側のほうからもいろいろ意見が出ている。したがいまして、私は、むしろ調査団日本へやってきましてあらゆる面から調査をする、いまでは隔靴掻痒の感がある、ジュネーブにおいていろんな書面審理をやっているようなことでは意義をなさぬ、実態調査をやってそうしていろんな意見を聞く、そうして世界的な名医の診断というものを聞けばいい。その診断に基づいて国内法すべてをひとつ再検討して万遺憾なきを期す。この法律案が通ったあとで再び提訴を受ける、また調査を受けるというような状態にならないように、十分ひとつ世界的名医の判断を受けて、しかる後に法案整備を再検討してやるということが一番大切なのではないか。旧来調査団が来る来るといって来ないから、そこでこの法案を出した。いよいよ来るということにきまった。調査を始めた。それならば調査を受けようじゃないか、そうして名医の診断を待って、最も適切なる国内法整備いたし、そうして批准と同時にこれを通過せしめるというようにやることが、最もわが日本のとるべき賢明なる方策である。と私は考えますが、これに対して大橋労働大臣と外務省の関係でひとつ御答弁を願いたい。
  37. 大橋武夫

    大橋国務大臣 今回ILOから結社の自由についての実情調査調停委員会調査を開始されるということは、私は、普通の人が病気になってそうして病気からなおりたいと思って医者にかかるというようなものにたとえられるような簡単な事柄だとは必ずしも考えておらないのでございまして、日本といたしましては、この問題につきましてかような調停委員会日本へやってまいるということは、決して将来のために得策であるとは考えません。できればそれ以前に批准を了しまして、この調査団日本へ来ないで済むようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  38. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 対外面から見ましたただいまの御質問に対してお答えいたします。  これは常時青木大使からの御報告によりまして、批准は一刻も早く、すでに五年間ILOでは待っておりまして、すでにいや気がさしたというくらいになっておりますので、批准は、調査団の問題とは切り離して、できるだけ早くしてもらいたいということを言ってまいっております。わがほうからもつとめてそういう方向で努力をするという回答をしております。一方、調査団につきましては、調査団自体は、その構成からいいまして非常に公正妥当、しかも宣誓をしてやる仕事でございますから、その結果については十分期待し得るものがございますが、ただ調査団が参りますこと自体につきましては、日本にはたして結社の自由が存在するかという問題についての調査でございますので、できればこれは避けたほうがいい。言いかえますと、調査団を呼ぶこと自体——来るようになったらやむを得ませんが、来ること自体はあまり名誉なことではないというように考えております。
  39. 永山忠則

    永山委員 私がなぜそういうことを申し上げるかといいますと、ここに伝えられる倉石修正案ということばを使われますが、私はあえてそう言いません。総評修正案と言いたい。以下、総評修正案と言うことをお許し願いたいのですが、総評側が要望しておることを大幅に取り入れた修正案である。そこで私が申し上げることは、旧来ももう幾たびか、あらゆる角度で提訴いたしております。ことに団体交渉権の問題、これは総評が昭和二十八年に提訴をいたし、さらにPTTI、国際郵便電信電話労働組合、これがさらに引き続いて提訴をしておる。これはいわゆる団体協約締結に関する問題でございますが、さらに自治労が三十六年においても提訴をいたしておるのであります。こういうように提訴をしておりますが、今回の総評が伝えておるところの案を見ますと、どういうようになっておるか。総評が下部に流した案でございますが、人事局設置関係に見合って審議会をつくる、その審議会の関係では、団交権、団体協約権の確保、これを保障して、法律化を保証されておる。そこで、人事局は発足しましても、公務員制度審議会において結論が出るまでは、同審議会の事務局及び組織切りかえを伴うその他の業務を主たる業務として、本来の人事管理業務は事実上行なわないというような約束があるかのごとくこれが流れておるのであります。この団体協約締結権という問題は、これは本案には含まれていない。これは政府答弁は後ほど聞きますが、おそらく、原案にないのですから、入れる意思はないのでしょう。そうなれば、またこれは提訴されますよ。これだけではありません。私は、時間がありませんから一々申しませんが、ILOの自由委員会のほうへ、日本ほど多く提訴する国はないというぐらい出ておるのですよ。それほどこの法案に対して不備があり、そうして誤解をされる点があるならば、もっともっと実情を十分調べさせて国際的診断を待って、そうして万遺憾なきを期したものにしてやるということが適当ではないかというように考えるのでございますが、いま一度、外務省関係と労働大臣から答弁を願いたい。
  40. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大体、実情調査調停委員会日本へ参りましても、やる仕事は何かというと、ILO八十七号条約の精神に反するような労働組合に対する制限が現在日本に存在しておるかどうかということの調査であるわけでございまして、問題はきわめて簡単な事柄だと思うのでございます。これにつきましては、すでに公労法地公労法等に直接条約に抵触する条項もあるのでございまして、日本政府といたしましては、八十七号条約批准の際に、国内法のどの条項を修正すればいいかということについては、すでに十分検討をいたしてあるわけでございます。そうした実情を基礎といたしまして、諸般の改正を含めて今回国内法整備について提案をいたしておる次第でございまして、この法案を御審議いただきましたならば、大体問題点は網羅いたしておりまするから、今後提訴その他の問題を生じましても、国際的に問題になる余地はないと確信をいたす次第でございます。
  41. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 外務省も、ただいま大橋大臣の御答弁になったと同じように考えております。  なお、批准につきましては、先ほども申し上げましたように、ILO当局といたしましては、調査団にこの問題をかけるということと切り離しで考えておりまして、しかも批准した場合には、調査団の来日を含めて、調査団の仕事のどの段階においてもこれを打ち切るということも、これは明文ではございませんが、一応の了解を得ておる次第でございまして、重ねて申し上げますと、批准調査団とは一応切り離して考えているということでございます。
  42. 永山忠則

    永山委員 それでは人事院総裁にお尋ねしますが、人事院総裁は、総理府に人事局を設置するという政府の原案では、明治憲法時代に返るようなおそるべき状態が出現するかもしれない、憂慮すべきものがあるということを言っておられますが、そのことばはどういうことで出るのですか。
  43. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 お答え申します。  趣旨は前回一応申し述べたとおりでございますが、その前に、これまでのことばに出ておりましたところを考えまして、ひとつ理屈を申し上げさせていただきたいと思うのでありますが、私どもが疑義を唱えておりますのは、普通、人事局の設置問題というふろに伝えられておりますけれども、問題は、実は本法案において二つ含まれておるわけでありまして、人事局を設置することと、それから人事院の権限を大幅にその人事局に移すこと、そういう二つのものが入っておるわけです。これが一体になっておりますけれども、理屈を申しますと、二つに分け得るので、政府部内だけの御都合で人事局をおつくりになる、かりにそこだけで話がとどまりますならば、これはわれわれ人事院といたしましては何ら関係のないことでありますから、それについてとやかく申し上げる筋はないわけであります。したがいまして、私どもが問題の重点としておりますのは、従来、国家公務員法が、中立機関の大きな責任として人事院にお預けいただいておる重大な権限を大幅に人事同にお移しになるということが、国家公務員法の理念とする公務の中立性、公正維持という面、及び勤労者としての公務員の利益の保護という面から非常に深刻な疑義がある、こういうわけでございます。分析すればそういう趣旨でございます。
  44. 永山忠則

    永山委員 これは別の機会に詳細には聞きますけれども、総裁は、要するに、大幅な委譲をやる、したがって、人事院の本来の目的である、公平な立場で労使の関係をよき方面に指導していこうという考え方の線を逸脱している、こう大幅に委譲されたのでは、人事院の機能というものはほとんどなくなるじゃないか、だから憂うべき結果だ、こうおっしゃるのです。その憂うべき結果というのは、時間がないから率直に私は申し上げれば、そういう状態なら、団体協約権を委譲してやるということになるんじゃないか、こういう意味が含まれているのではありませんか。そういうような状態に、こういうような政府原案のような大幅な委譲をしたならば、人事院はほとんど無力になる、公平な立場で人事院のほんとうの機能を発揮することはできぬのだ、したがって、団体協約締結権というものは画然にやるという結果に導く原因になる、だから、おそるべき憂慮すべきことであり、明治憲法に返るのではないかとあなたはおっしゃっているのではないですか。そういう意味を含んでいるのでしょう。
  45. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私どもが現在の国家公務員法の理念と考えておりますところは、大きく分ければ二つあるわけで、一つは、公務あるいは公務員の人事行政そのものの公正中立の確保という面と、それからもう一つ、勤労者としての公務員の利益の保護という面がございます。団体交渉権の問題は、主としてあとのほうの問題に関連することでございまして、必ずしも今回の公務員法改正の全面的な一つの裏打ちの要素として団体交渉権の問題が出てくるというところまでは実は考えていないのです。明治憲法時代に戻ると申し上げましたのは、要するに、今度法案がかりに成立いたしますれば、人事院に残る権限は、あたかも明治憲法時代にあった文官の試験委員会、それから分限委員会、懲戒委員会、そういうものを合わせた機能が人事院の機能として残るだけであって、それにさらに勧告権がつけ加えられておりますけれども、勧告権だけでは、いまの労働関係の団交権の代償的機能というにはこれは値しないという意味から、大きくこれを申し上げれば、あたかも明治憲法時代の官吏制度と同じような形になるのではないか。この意味において、公務員制度上これは画期的な大転回であるというところに、われわれがそこに疑問を置いておるわけであります。団交権を与えていただけばこれで話が済むかどうか、そういうところまでは、団交権と申しましてもこれはいろいろな形がございますから、私どもとしては、そこまで踏み切って、ここでそれがよろしいとかどうとかいうことまでは申し上げる立場にはございません。私どもの立場は、当然御推察いただけますように、現在の国家公務員法はこれは筋が通っておるのだ、したがって、この筋の通った国家公務員法をもっと完全に実施していくべきだ、たとえば、勧告権というようなものが団交権の代償的機能として一般にいわれておりますけれども、なお勧告の結果が完全に実施されるようにわれわれは一生懸命に努力していくべきで、むしろ、完全に実施してそれからの問題だというような含みで、これはわれわれの立場としては御推測いただけるだろうと思います。そういう気持ちで仕事に臨んでおるわけであります。
  46. 永山忠則

    永山委員 人事院総裁の前のことばにもあるのですが、現行の規則は、本来団交権によるべき性格を帯びたものである、また公務の中立性、公平性の確保を前提とする面もあって、準立法機関たる機能を持つ中立機関たる人事院で処置さるべき筋合いのものである、いま政府原案で全部委譲しておりますが、規則、政令という形式論のみに立脚して、当事者の政府が一方的に政令で行なうことは、近代人事行政の本質論を無視したものだ、こう言われて、本来、団交権にかわるものとして人事院があるのだ、その機能を失うことになれば、団交権をやるということになるじゃありませんか。だから私は、本案を十分検討してやらなければ、再びILO委員会でいろいろな角度から問題になると申し上げる。だから、十分検討をして、調査団を喜んで受け入れてそうして実情調査してもらってやるのが正しいのだということを申し上げておるのでありますが、この点に関して人事院総裁意見を承りたい。
  47. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私どもは、すでに国会で御審議中でありますから、わきからおこがましいことは申し上げかねて、遠慮がちに申し上げておるのでありますが、ただいま、慎重に検討してというおことばがございました。これはまことにありがたいおことばで、ぜひひとつ慎重に御検討いただきたい、こういうように考えております。
  48. 永山忠則

    永山委員 労働大臣も、ただいまの件に対してひとつ……。
  49. 大橋武夫

    大橋国務大臣 労働条件が本来団交によってきまるべき事柄だ、これは私は一般的にはさようあるべきことだと思うのであります。ただ、現在の国家公務員法におきましては、給与その他の労働条条件おおむね法律によって直接に決定をいたす方式をとっておるのであります。したがいまして、法律できめてあることを団交によって左右するというわけにはいきませんので、団交権というものは制限をいたしておるわけであります。すなわち、交渉はいろいろ労働条件についてやることはできるけれども、法律上有効なる団体協約を締結するということは公務員法によって制限をいたしておるのが、現在の制度であるわけなのであります。こういう法律による労働条件の規定というものがない場合、こういった制限が当然なくなるでございましょうし、そうなれば団交権でもってこれらの条件をきめるという本来の姿であるべきでありますが、しかし、日本のたてまえは、こうした事柄を労使間の団交権できめるということは適当でない、これはやはり国民大衆の利害にも非常に大きな関係のある事柄であるから、国会審議を経た法律によって決定すべきものである、こういうたてまえをとっており、したがって、団交権は制限をいたしておるのであります。しこうして公務員についてのこの種の団交権の制限というものは、これは公務員の特殊の性格にかんがみまして、ILOにおいても認めておるところでございまするから、私は、今回の公務員制度の改正というもの、これはILOにおいても当然まかり通ることのできるものである、こう考えておるのであります。
  50. 永山忠則

    永山委員 時間がございませんから、さらに団交権の関係については、総評も下部に流した関係では、これに主力を尽くすという態勢をとっておることは事実である。それに、人事院の機構の関係をこういうように大幅に移譲するということから紛淆を来たしてくることも事実なんだ。さらにまた、案全体に対しまして、大橋労働大臣及び、官房長官にお尋ねいたしますが、この総評要望の修正案というものに対しては、わが党は党議できまっていないのでございますよ。ここにある声明のとおりにわれわれは実行いたしておる。特別委員会を通じて十分審議して意見の一致を見るようにしようということだけであって、その修正案に対しては党の正式機関で決定してこれをやろうということにきまっているものじゃないのです。その認識を新たにしなければいけませんよ。なぜ私がそういうことを言うかといえば、修正案のようなことが質問に出ると、あたかも直ちにそれは歓迎するというような意味答弁政府当局からなされておる。ことに労働大臣が一番安易な態度であるということは非常に遺憾に思う。そういうような状態では、やはり何と言っても、党内の実情を十分把握しなければ——政党内閣ですから、官僚超然内閣じゃございませんよ。  そこでお尋ねいたしますが、文教部会は、修正案では困るということを申し合わしておりますが、文部次官は承知いたしておりますか、労働大臣はまたこれを承知しておりますか。
  51. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私、文教部会に呼ばれたことはございません。
  52. 八木徹雄

    ○八木政府委員 文教部会の態度については、文部省としてお話をよく聞いておりますし、そのことについては文教部会と文部省との気持ちには大きな相違はない、こういうふうに考えております。
  53. 永山忠則

    永山委員 私はこの意見に賛成かどうかということを聞いているのじゃありませんよ。こういうように文教部会のほうは、修正案ではいけないのだということをやっていることを御承知かどうか、こういうことを聞いているのですが、さらにお聞きいたしましょう。  労働大臣のよく列席されますわが党の労働問題調査特別委員会がございますが、これにおきましても、この問題に対して、修正に対しては非常に反対の意見が強いということは最近の新聞に出ておりますが、これを大臣御存じでございますか。
  54. 大橋武夫

    大橋国務大臣 新聞の記事は読んだことはございます。
  55. 永山忠則

    永山委員 さらに、行政部会においても、すなわち自由民主党政務調査行政部会、これにおきましても、こういうような修正案ではいけないということを部会が書類を出しておりますが、これに対しては御存じでございますか。これは労働大臣並びに自治政務次官から……。
  56. 大橋武夫

    大橋国務大臣 その意見は私承知いたしておりません。
  57. 金子岩三

    ○金子政府委員 そのように承っております。
  58. 永山忠則

    永山委員 私があえてこれを問うということは、党内が十分調整されていないのだから、そこで、その調整されていないところはこの委員会十分審議をして一致を見るようにしょう、こういうことになっておるのだから、したがって、この委員会十分審議を進めるという上において必要なんだ。ことに各市町村の理事者並びに教育委員会、教育長会は、この修正案ではわれわれは正常なる行政の越智ができないということを決議して訴えておるのであります。この点に関しては、午後、自治大臣その他文部大臣が出られましたときに十分質疑を続けることにいたしますが、こういうような非常なる議論を生む一番大きな原因はどこにありますか。これは何と言っても先般行なわれました四・一七ストである。これは総評中心とする、すなわち官公労を中心とする労働組合のあり方に対して十分検討しなければならぬのではないかということがさらに拍車をかけられてきておるのであります。私は、この四・一七ストに対して、白昼公然と法を無視して、そうして陸海空を中心にするストライキをいたして、交通機関を中心に一切の機能を麻痺させよう、こういうことが指令を出されている。この違法性に対して、官房長官並びに労働大臣考え方を伺いたい。
  59. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいま永山さんがおっしゃいますように、確かに公労協の方々がストライキをいたしますことはすべて違法な行為でございます。しかも、いまおっしゃるように、陸海空を通じて交通が麻痺いたしますならば、国民あるいは国民の生活、経済が非常な痛手を受けます。そこで政府といたしましては、そういう違法な行為を行なわないように、何回も管理者あるいは大臣あるいは総理から呼びかけまして説得いたした次第でございます。
  60. 大橋武夫

    大橋国務大臣 労働大臣は、四月四日、スト宣言が出されたということを聞きましたので、直ちに違法ストは絶対に避けるようにという警告を発した次第であります。
  61. 永山忠則

    永山委員 そこでお尋ねをいたしますが、幸いこれが実現を見なかったことは、これは国民ひとしく喜んでおるところでございますが、しかし、この問題に関して、管理者、すなわち総理並びに官房長官、労働大臣、これが責任者の主体でありますが、このとおりになりました処置に対して非常に疑義を持っておるのでございますが、大体あのときの情勢は、どういう約束をなさったのでございますか。すなわち、新聞紙上、六項目が伝えられておるのでございますが、その六項目に対して、特に第一の、民間との格差是正の問題に対する話し合いはどういうことでございますか。
  62. 黒金泰美

    黒金政府委員 四月十六日の午前九時半だと記憶していますが、総評の太田、岩井両氏が総理に会見を求めてまいりまして、いわば使用者側といいますか、政府側の考えを承りたい、そう言って訪ねてまいりましたのが六項目でございます。第一は、公共企業体職員の給与について民間の賃金に近づけるよう努力してもらいたい、第二が、公労委調停委員会の調停を尊重してもらいたい、第三が、産業の合理化、近代化に伴い、労働災害防止のために抜本的な施策を立てるべきである、第四は、住宅不足の解消及び義務教官費の国庫負担、特に父兄の税外負担的な諸経費の解消に努力してもらいたい、第五番が、制度、予算の両面で縛られ、自主性のない公共企業体の性格を再検討してもらいたい、第六は、全国一律の最低貸金制を確立してもらいたい、この問題でございます。この点につきまして私どもが回答いたしましたのは、公共企業体と民間との賃金格差は、公労委が賃金問題を処理するときにあたって当然に考慮すべき問題である、考慮すべき法律上の義務である、したがって、公労委において、調停等の場を通じて労使ともにこの是正に努力したい、御承知のとおりに、各法律によりまして、公共企業体の賃金というものが、公務員なりあるいは民間の賃金と権衡がとれるようにきめていかなければならない、たまたま公労委に問題が移ってまいりました場合には、この点を十分にしんしゃくしてきめるのが当然の義務でございますから、調停等の場におきまして、そういう格差があるならば、われわれも格差をなくすることに努力をしてまいりたい、かように申しております。第二の点につきましては、調停委員会の調停は尊重せよ、調停のみならず、仲裁等につきましてもこういう決定がありました際には、せっかく法のきめております手続でありますから、もちろんわれわれもその順法精神にやぶさかでございません。労働災害の防止につきましては、これはもう当然にわれわれ考えなければならぬことであり、ことしの予算等におきましても一生懸命にやっておりますので、これはぜひ私どもも考えていきたい。住宅不足の解消あるいは教育費の点におきましても、これはわれわれも考えてまいりたい。それから、予算あるいは制度の両面で公共企業体の性格を再検討してもらいたい。御承知のとおりに、国鉄なり専売公社ができましてもう十五年たっております。これは労働関係のみならず、あらゆる面でやはりもう検討しなければならぬ時期に達しており、また現に何回か検討してまいったことでございますから、これもこの機会にやはりわれわれは検討をいたしたいのだ。それから、全国一律の最低賃金制の確立、これはいま最低賃金制についていろいろ検討を進めておりますので、その結論を待ちたい。こういう話をいたしましたところが、その政府の熱意はわかりました、意向はわかりました、これを基礎にして、私どもは、ストライキをやめるように傘下の公労協の組合を説得いたしますと言って帰られました結果、ストライキを中止する、われわれが違法なストライキだからやめろという意向が成就したような次第でございます。
  63. 永山忠則

    永山委員 それでは、この違法性に対して、どういうような点を太田議長にお話になりましたか。すなわち、違法性はもちろん認める、こういうことは将来やらぬという約束はお取りつけになりましたか。その問題に対してはどういうようになっておりますか。
  64. 黒金泰美

    黒金政府委員 私どもは、終始、これは違法であるからやめてくれという立場で終始いたしております。
  65. 永山忠則

    永山委員 違法であるということだけ、自分が信じておるだけで、相手方に対して強く責任を問わなかったのですか、この点をはっきりしてもらいたい。
  66. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほどから申し上げましたように、終始違法性を主張いたしまして、やめてもらいました。幸いに違法な状態が起こらずに済んだのでございます。
  67. 永山忠則

    永山委員 やめるというだけで、これで解決するものではない。自分のほうで要望事項はお出しになった。したがって、将来の保証を取りつけなければ、こういうような公務員中心とするものが、白昼公然と法を無視してゼネスト的なストライキ行為は断じていかぬ、これは違法だから将来やらぬということをなぜ取りつけなかったのですか。なぜ総理はそれができないのですか。再びそういうことをしちゃいかぬという説教がなぜできないのですか。(発言する者あり)あたりまえじゃないですか。法を無視したらどうなるんだ。なぜそれだけの約束を取りつけることができないのですか。(発言する者あり)当然じゃないか。法を無視していると言うのは当然じゃないか。法を無視していると言うのはあたりまえじゃないか。何を言うんだ。
  68. 倉石忠雄

    倉石委員長 少し空気が悪くなりましたから、私語を禁じてひとつ御進行をお願い申し上げます。
  69. 黒金泰美

    黒金政府委員 いま何回も申し上げましたように、われわれ違法性を主張しておりますし、その違法性であるからというのでおやめになったのだと思います。今後ともに、こういう事態に対しましては、ストライキが違法であることはわれわれ絶えず申し上げて、そしてそういうことが起こらないようにぜひ説得してまいりたいと思っております。
  70. 永山忠則

    永山委員 そこで、いわゆる管理体制の問題であります。管理体制が確立していないから、そこでいまのような問題が起きる。総理みずから陣頭指揮をせにゃならぬのでありますが、元来組合のほうは調停委員会に調停を申しているのじゃありませんか。自分が申し出ておいて調停中にストをしようというのじゃありませんか。それに対しては調停委員会を尊重せにゃならぬ。調停委員会に話があったのですか。総理が私的に調停委員を乗り越えて、そうして大乗的のこれを話をつけたということは、調停のルールを破るものじゃありませんか。調停委員会を入れて十分話をつけるべきじゃないですか。そうして調停がいけなかったときには仲裁裁定へいくというこのルールを正しく守らにゃいかぬ。そういうことを守らずにやるからここに国民が疑惑を抱く。この正しいルールをなぜ尊重をせなかったか、労働大臣及び官房長官意見を聞きたい。
  71. 黒金泰美

    黒金政府委員 私ども別に調停委員会を無視も何もしていないし、その証拠にはまだずっと調停委員会は続いておるのであります。全然それとは別個の問題でございます。
  72. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この問題は使用者たる政府労働組合との間で話し合われた問題でございまして、労働省といたしましてはこれに直接関係いたしておりません。
  73. 永山忠則

    永山委員 だから管理体制の確立が必要だと言うのです。それじゃどこが管轄するのですか。労働大臣国家公務員関係の担当相だといってここへおすわりになっているじゃないですか。給与担当相だから国家公務員の担当国務大臣ではないでしょうと言ったら、いやどうも自分がそうらしい、こういうことでそこへ責任者としてすわられている。それならばこの問題に対して労働大臣中心でやらなければならぬじゃないですか。自分は担当大臣でないから知らぬ、そういうことが言えるのですか。
  74. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御承知のとおり当時のストライキの関係は公労協でございまして、これは公共企業体等労働関係法の適用を受ける労働組合でございます。したがって国家公務員ではございません。使用者たる政府は各省大臣が代表されるものでございます。
  75. 永山忠則

    永山委員 公共企業体並びに公務員、これらの関係の総括の人事管理はどこでどういうようになっているのですか。
  76. 大橋武夫

    大橋国務大臣 公共企業体及び国家公務員を総括して人事管理をいたす機構はいま中央政府にはないわけでございます。  そこで、今度の国家公務供法の改正案におきましては人事局を設ける、そして人事局におきましては国家公務員の問題を全体ここでまとめていこう、ただし公共企業体の職員につきましては従来どおり各省が管理をいたす、こういうたてまえでございます。したがって、今日提案されております人事局におきましては、従来各省大臣の取り扱っておりました一般職の職員についての業務、それから大蔵大臣の取り扱っておりました特別職国家公務員についての業務、これを統括していこう、こういう趣旨でございます。
  77. 永山忠則

    永山委員 時間がございませんから……。  総務長官の下に公務員制度調査室がございまして、公務員の年令、恩給、あらゆる点に対して、特別職とあわせて将来の管理体制の強化、こういうような状態へやろうという意図で総務長官のところに調査室は設けられておるのであります。将来その機構の強化を考えておりますか。人事局設置の場合はその公務員制度調査室と発展的統合をして、特別職あるいは恩給、年金その他管理体制の強化に対して、一元的調整に対してやろうという考え方のように法律案はなっておるのでございますが、この点に対して総務長官の意見を承りたいのであります。
  78. 野田武夫

    ○野田政府委員 今度の人事局の構成は、人事院で行なっております大部分の仕事と、それからただいま御指摘になりました公務員制度調査室が一緒になって人事局に合併してその事務に当たる。ただし、その間におきましていまお示しになりました恩給問題は他に恩給局で取り扱いまして、これは除外いたしております。
  79. 永山忠則

    永山委員 それでは、企画庁長官もおられますから……。  民間との格差を是正するということはもちろん義務であると政府総評が文書で交換をいたしておるのでございます。民間は大体ベースアップを平均三千円くらいまではやるだろうということが想像できるわけでございます。そこで、民間のベースに合わせてやるようにするということは政府の義務だとおっしゃるのだから、おそらく仲裁裁定はそこへ出ると思うのでございます。これに対しては、旧来企画庁のほうでは賃金抑制をやる、物価と労働賃金の悪循環を断たねばならぬ、こういうことをストの前に発表されておる。そういうことがいよいよストを激化いたしておるのですよ。私は、このストの関係の責任の中心はやはり政府の施策にあると思う。時間の関係がありまして余談になることを避けますけれども、現内閣は物価抑制は至上命令だ、あらゆるものを犠牲にしてこの抑制措置をとるのだ、そこで共共料金は押えるというようなことを言われておるわけでございます。  したがって、私がお問いしたいことは、民間との格差が出てこれを仲裁裁定が決定したときには、完全に実行するということをもう一度ひとつ政府の責任者として官房長官及び総務長官、労働大臣、さらに企画庁長官、これをひとつ御答弁を願いたい。
  80. 黒金泰美

    黒金政府委員 公労委の決定につきましては尊重いたします。
  81. 野田武夫

    ○野田政府委員 ただいま官房長官から申したとおりでございます。尊重する意向でございます。
  82. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府労働組合の話し合いの過程を通じまして、政府は公労委の仲裁裁定の結果を尊重されるという発言を繰り返して述べられたということを私承知いたしております。
  83. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般に賃金を抑制することが経済のためにいいという方針は従来私どもとってきておりません。むしろ賃金が適当に上昇していくことが経済成長全体に役立つ、一般にそういう考え方をしてまいっております。
  84. 永山忠則

    永山委員 いまの政府答弁はこの間よりはちょっと後退しておるのです。この間は完全実施するということを労働大臣言われたでしょう。労働大臣政府の立場で言われたのです。尊重するということばと完全実施とは違いますよ。完全実施をするかせないかもう一度……。政府答弁は食い違うではないですか。
  85. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は、尊重するという意味は、公労法の性質並びに公労委ができまして以来の実績から見まして、完全実施をするという意味であると心得ております。
  86. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほど申しましたように、総理のところに太田さんが見えましたときには、公労委の調停委員会の調停は尊重してほしい、こういうお話でございます。私どもは、調停の場合もありましょうし、調停が不調に終わって仲裁裁定の問題もございましょうし、両方含めて決定はこれを尊重いたします、こうお答えしております。
  87. 永山忠則

    永山委員 いま労働大臣は、尊重するということは完全実施をすることと信じておるのだと言われるのですが、私があえて尊重するということばと違うということは、人事院勧告を政府は尊重するといって、完全実施をしたことないじゃないですか。だからこの点をはっきりせなければいけない。大体一旦房長官、あなたは格差改善は義務であるということまで文書を出しておるじゃないですか。これで義務であると言いながら、文書まで出していて、完全実施をせないのですか。完全実施と尊重は違いますよ、旧来の取り扱いは。
  88. 黒金泰美

    黒金政府委員 ちょっと誤解があるようで、恐縮でありますが、法律上の義務であるというのは、いまの公労委の当然法律上の義務である、こう申し上げて、お互いに話し合ったのでございます。したがいまして、私どもが話し合いましたのは、こういうことを均衡を考えながらきめるのは公労委の義務である、こう申しておりまして、私どもはその決定に対してはこれを尊重する、こういうお話し合いをしております。
  89. 永山忠則

    永山委員 何べん繰り返しても同じですが、公労委に義務だということをはっきり押しつけるなら、使用者であるところの政府は完全に実施しなければならぬのは当然じゃないですか。この点はことばを濁されては困る。なぜ私がそれを言うかというと、やがてこれに見合って公務員の人事院勧告が出るでしょう。これに対しましては、尊重ということは旧来言われたのだ。そうでなしに、勧告は完全に実施する、こういうことを——仲裁裁定で決定されたものは公共企業体職員に対しては完全実施するというのだから、しからば公務員に対しても完全実施するということを約束できますか。
  90. 大橋武夫

    大橋国務大臣 問題は、二つございます。  一つは、公共企業体等労働関係法によりまする公労委の仲裁裁定でございます。これにつきましては、公労委発足以来実績として政府は常に完全実施をいたしてまいっておるのであります。  もう一つの問題は、国家公務員法によりまする人事院の勧告でございます。人事院の勧告につきましては、従来五月一日から実施という人事院の勧告に対しまして、政府は十月一日まで実施を繰り下げておるのがここ数年来の実情でございます。これにつきましてはやはり完全実施に進むというのが当然理想であると私としては考えておるわけでございまして、今後もそういう方向に努力をいたしたいと思っておるのでございまするが、しかし今年度の勧告がまだ出ておりません際におきまして、これについてただいま私からどういう扱いにするということをお答え申し上げる段階ではございません。   〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
  91. 永山忠則

    永山委員 労働大臣は、完全実施するということ、これがたてまえだ、またそういうように向かうべきだと思うということを言われておるのですが、官房長官、いかがですか。
  92. 黒金泰美

    黒金政府委員 今回の話し合いのときには尊重するとお答えしております。
  93. 永山忠則

    永山委員 私が御質問いたしておるのは、労働大臣は仲裁裁定の関係はもちろん完全実施をするという考えだという意味をはっきりされておる。したがって、公務員の人事院勧告に対しても完全実施をするのがたてまえだ、そうやるべきだと考えている、こういうように言っておられるわけですが、その点について官房長官はどうお考えになるかと問うている。公務員の人事院勧告に対してはどうお考えかということを問うている。
  94. 黒金泰美

    黒金政府委員 いまのお尋ねは、私もとり違えておったかもしれません。原則論でありますれば、当然労働大臣のおっしゃるとおりでございます。
  95. 永山忠則

    永山委員 私は、政府が人事院の勧告を、これを五月にやれというのを十月にする——わずか五カ月じゃないですか。これが日本の国の経済に及ぼすということはないじゃないか。物価だけ上げておいて、そうしておいて給与はこれに伴わないというそういう施策こそがこういうような大問題を起こすのじゃないか。私はやはり二つあると申し上げたでしょう。管理体制がなってないという、政府の政策がよくないからだ。いま一つは、労働組合自体の自粛が足りない。この二つが今日の不正常なる結果を来たしておる。ぜひ完全実施をやるという腹をきめなければ、旧来の慣例が十月だから今度も十月でよかろうというようなわけにはいきません。物価は大幅にまだまだ上がりよるじゃありませんか。所得倍増よりは物価倍増が先にきていると国民が非難をするというところまで物価が上がっているじゃありませんか。私は、今回は慣例——慣例なんかにとらわれてはいかぬ。そういうことをやるから、やはり団体協約締結権をくれろという問題になる。完全実施をするという決意をさらに促したい。労働大臣並びに官房長官にもう一度答弁を願いたい。
  96. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は昨年の人事院勧告の際におきましても完全実施に近づけるべく努力をいたしたのでございますが、当時の財政上やむを得ぬということで結果的には御承知のような状況になったのでございます。その当時も、閣議におきまして、これが今後の例となるというようなことはあってはならない、たてまえはあくまでも完全実施ということであるべきだということを再三申した次第でございまして、かような考え方によって今後も進みたいと思っております。
  97. 黒金泰美

    黒金政府委員 原則論といたしましてはいま労働大臣のおっしゃるとおりでございます。
  98. 永山忠則

    永山委員 関連をいたしますが、これに対して公共企業体を、一年間物価抑制、物価をストップするということになってきませば、いわゆる公共企業体は、政府は何らかの財政的処置をするんですか。そうして民間側の公共料金関係の弱小会社にはどうするのです。この手当てをせずに押え切るなら、民間側の労働争議はいよいよ強化する。公務員公共企業体だけは話をつけた、しかしその余波が中小零細企業へ波及して、そうして各所に争議が起きてくるという結果を来たすことを私は憂うる。いま国税庁長官が憂うべき、民商団体国税庁職員との間に反税的な行動があるということを言われておる。それは中小零細企業者が重税に悩んでいるからだ。そこでそういう問題も起こる原因があるのだ。私は反税闘争がいいと言うのじゃありませんよ。労働争議もそこにまた起きているんだ、中小零細企業者は。いまタクシー、ハイヤーの連中もこの争議にみな悩んでいる。だからしてベースアップを認めるといろ方針をすみやかにお立てになると同時に、公共料金へのしわ寄せはこれをまたやめるということをやったらどうです。それをやらなければ中小、零細企業者のほうに争議のしわ寄せがくるという結果を来たすが、この点どうです。宮澤企画庁長官及び労働大臣意見を聞きたい。
  99. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 第一には、合理化等を中心とする企業努力を期待いたしております。  第二には、それらのものは多く中小企業でございますから、政府の中小企業金融機関を初めとしてこれに金融的な必要な支援を与えたいと思っております。  なお第三に、しかもなお企業の経営が危殆に瀕するといった場合には、いわゆる公共料金のストップについて一部例外を、経済閣僚懇談会の議を経て認めるということは御承知のとおりであります。
  100. 大橋武夫

    大橋国務大臣 中小企業におきまして昨年、一昨年あたり非常に争議が多かったということがございます。最近は特に争議が多いということは聞いておりません。しかし争議は労働法上の権利行使でございまするから、いろいろな事情で争議がありましょうが、労働省の立場といたしましては労使慣行の確立に努力をいたしておる次第でございます。
  101. 永山忠則

    永山委員 経済問題になりますからできるだけこれを制約いたしておきますが、中小零細企業者はかつて見ざる倒産状態になっておる、さらに争議は内在しつつあるという状態でございます。  さらに、民間との格差是正ということを言っておるのですが、その民間の基準はどこにとろうというのでございますか。この点に対して官房長官、労働大臣……。
  102. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほどお話し申しましたように、公労協の方々の給与というものが公労委にかかります際に、やはり公務員の給与なりあるいは民間の給与なりと権衡をとってきめていかなければならぬ。実はあの話し合いがありましてから関係使用者側で、民間の給与、それからおのおのの給与関係、いろいろと対照比較いたしまして、資料は公労委の席に出しております。出しておりまして、私どもが承っておる結果といたしましては、いろいろなとり方がある、年齢別、性別もとよりでございますが、学歴別、勤務年限別、いろいろございまして、なかなか一がいに格差があると断定もできないような状態である、かようなふうに聞いておりました。
  103. 大橋武夫

    大橋国務大臣 中労委、公労委は労働省から独立いたしましてその職務を執行するたてまえに相なっておるのでございまして、私どもといたしましては、その調停、仲裁等の内容につきましてできるだけ関係しないようにいたしております。もって中立的に公正に職務を執行してもらいたい、かように考えております。
  104. 永山忠則

    永山委員 経済政策の面から見て、企画庁長官は民間との格差に対して、民間基準はどこに置くのが適正と考えられるか。
  105. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 抽象的に申し上げるならば、できるだけ同一の種類の労働であり、かつ同一の学歴あるいは同一の勤務年限、家族構成等々を拾い上げまして、それと比較いたすべきものと考えます。
  106. 永山忠則

    永山委員 人事院総裁は給与勧告にあたりまして、民間との格差是正といいますか、民間側より五%以上低い場合は勧告するということになっておりますが、どこを基準になさっておるのでありますか、基準をお示し願いたい。
  107. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 従来やっておりますところは、今回も同様でございますが、五十人以上の事業所というものをとらえまして四月現在における民間の給与状況を調べます、一方、公務員のほうの給与状況も並行して調べまして、それと突き合わせました結果の格差を発見いたしまして、その格差に基づいて勧告を申し上げる。これが四月現在での比較でございますから、先ほどおことばにございましたように、当然五月にさかのぼって民間を追っかける体制をとらざるを得ないということにいままでなっておる次第でございます。
  108. 永山忠則

    永山委員 五十人以上の生産工場の平均労働賃金、これがいわゆる民間との格差是正の基準になっておるということを人事院総裁は言われておるのであります。そうすると、公共企業体職員もそこへ基準を置くのが当然であると思うのですが、官房長官どうです。
  109. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほど労働大臣の言われましたように、公労委の中立性から申しまして、私どもがとかくのことを、どうやってほしいということは申す限りじゃございません。ただ私どものほうは使用者側の立場から、われわれ、国鉄なりあるいは郵政なりでいろいろ資料をつくって持ってまいっております。
  110. 永山忠則

    永山委員 私がそういう質問をするということは、官房長官はあまり格差がないようなデータも出ておるということを言われるから申し上げるのでございますが、格差がないというデータがいま出ているんでございますか。
  111. 黒金泰美

    黒金政府委員 いま申しましたように中立機関ですから、内容つぶさじゃございませんが、いろいろ持ってまいりました資料がなかなかむずかしくて、はっきりした格差が出たというふうにもまだ見受けられない、かように仄聞いたしております。
  112. 永山忠則

    永山委員 米の計算をするときには、一人以上の生産工場の平均賃金です。農民のほうはそれでやる。農業は重労働でございますよ。私はこの点に対しても疑問があるのでございますがこれは第二の問題といたしまして、民間との格差是正に対しては、あらゆる面に影響するのである。たとえば政府が一昨日の閣議で唐突として肉を輸入しよう、三千トンは輸入する、そうして基準価格は三カ年間の平均で一キロ三百四十円に置いて、それを上回ったならばどんどん備蓄を放出して抑えようという。そうすれば、農村側のほうは過去三カ年の基準平均価格ということになればベース・ダウンを受けることになる。この格差是正ということは単なる国家公務員、地方公務員だけの、あるいは公共企業体だけの問題ではない。農産物の価格基準、これが農村政策の中心なんです。これらの農村側の基準をつける上においてもアンバランスにならないように十分注意をする必要があると思うのですが、企画庁長官の所見はいかがですか。
  113. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 たまたま留守をいたしておりましたために、御指摘の閣議決定の内容を詳しくは存じません。しかし、畜産事業団の放出いたしますときの価格を過去何年の平均に置くかという問題は元来ございます。そこで農村の構造改善が生産あるいは酪農を中心として緒についたばかりでありますから、これらのものについては当分自由化をしないということで、国内の生産を守る必要があると思います。しかしまた、他方で著しく価格が高騰いたしますときには、消費者全般の利益から考えまして、ある程度いわゆる緊急輸入をするということを考えなければならない。農業所得と一般の消費者の利益とを適当に中和しつつ施策を進めてまいるということが必要であろうと思います。   〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし基本といたしましては、いかに消費者の利益になるとは申しましても、農村の構造改善ということはわが国の将来のためにある意味でより大切なことでありますから、これらのものを自由化してわが国の酪農業、畜産業をそのまま裸で外部からの競争にさらすということはいたすべきではない、こう考えております。
  114. 永山忠則

    永山委員 私は、この価格差是正の問題と農村の農産物基準設定の問題いろいろございますけれども、本案との関連性を考えましてこれ以上この問題には触れません。政府は農産物の価格を抑えて、レモンを外国から自由化しようというじゃございませんか。牛肉も豚肉もどんどん外国から入れる。外国から入るほうが基準価格よりは高いじゃないですか。農村の基準価格を抑えて、そして外国からどんどん農産物を入れようという政策が行なわれておることは、やがては農村の労働問題に火をつくことは言うまでもない。私は現在の政府の施策、中小零細企業と農村の犠牲において物価安定をほかろうという、国際収支の均衡を保とうという、この典型的な弱肉強食の資本主義経済をすみやかに転回をなさい。その政策が続く限り私はこの争議の解決はできないと思う。争議問題の中心は経済政策ですよ。この政策を再検討するということに対する宮澤長官の所見を承りたい。
  115. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 農村等の振興につきまして政府考え方は先ほど申し上げましたとおりであります。なおその他の部分については遺憾ながら永山委員と所見を異にいたします。
  116. 永山忠則

    永山委員 そこで、この公労法の十七条の問題でございますが、公共企業体関係争議行為の禁止でございます。「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」と書いてあるのでございます。今回の四・一七ストに対してこれは適用されないのですか。争議はやらなかったから適用しないというのでございますが、この解釈を法制局長官並びに労働大臣意見を聞きたいのであります。
  117. 大橋武夫

    大橋国務大臣 従来からあおりそそのかしという犯罪行為は、これは独立犯ということでなく従属犯という扱いをいたしておるようでございまして、これが従来の検察庁の解釈のようでございます。したがいまして、本犯が不成立でございますので従属犯についての刑事処分ということは考えられないというのがこの法文解釈だ、かように私は承っております。
  118. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいま労働大臣からお答えがございましたように、公共企業体等労働関係法第十七条第一項にいっております共謀、教唆、扇動の意義につきましては、これらの行為が客観的に見て、公共企業体の業務の正常な運営を阻害する行為の実行に現実に影響を及ぼすおそれがあるものと認められなければなりませんので、先般の争議におきましても、あるいはストの準備指令をしたというような事実がございましても、それによって客観的に公共企業体の業務の正常な運営を阻害する可能性があるかどうかという立証の問題に相なってくると思います。その点につきましては行政処分としての第十八条の処理にいたしましても、また別にかりに刑事罰に触れる場合におきましても、その刑事罰を適用する場合の立証の問題に相なってくると思います。
  119. 永山忠則

    永山委員 指令を発したら、すでにこれはそそのかしもしくはあおったということになるので処罰の対象になる、しかしこの立証関係において非常に困難なためにこれはできないのだ、というように労働省は私らに話をしているのを私は記憶いたしておるのであります。立証が困難だから処罰をしないというのですか。法自体で処罰をできない、こういうことになるのですか、行政処置に対して。もちろん刑事処置も関連するでありましょうが、この点もう一度はっきりしてもらいたい。
  120. 大橋武夫

    大橋国務大臣 実はこれはだいぶこまかい法律論のようでございますので、まことに恐縮でございますが、政府委員から答弁さしていただきたいと思います。
  121. 吉國一郎

    吉國政府委員 公共企業体等労働関係法十八条の規定によりまして行政処分をいたします場合に、先ほど申し上げましたように、第十七条第一項にございますような行為をしたかどうかということの立証の問題でございます。これは処分をいたします当局の認定の問題でございましょうが、ある事実があったかどうかということについて、これはそのような行政処分をするに十分なだけの心証を得て、その心証に基づいて処分をいたすべきことは当然でございますので、従来とも単に立証が困難であるから処分をしないということではなしに、行政処分の権限を有するものとしてその権限を正当に行使するに足るだけの十分なる立証というものを待て、それによって処分をいたしておると私は考えておりますので、先般の四月十七日の場合につきましては今後どうなるか私は存じませんけれども、現実の問題といたしましてはあくまで立証可能なものについて行なうことが、これはたてまえであろうと考えております。
  122. 永山忠則

    永山委員 そこで、当時国労関係では品川などを拠点として乗務員の確保闘争が行なわれておりますし、そうして国労はストを指令しているということは新聞で出ておるわけであります。全電通もスト突入を指令している。こういうように明らかに指令を出しておるにかかわらず、との点に対しては不問に付すという考えなんですか。調査をしておるというのですか。この所管関係公共企業体関係ですから、労働大臣がいまおられるようですから、労働大臣から承ると同時に、関係者がおられれば承りたいのでございます。
  123. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは各企業体の所官事務でございまして、労働大臣の所管ではございません。
  124. 永山忠則

    永山委員 それでは、各企業体のほうからこれに対する資料、いま申しましたスト指令等に対してこれがどう発せられたか、それに対してどういうようにいま処置をしようと考えておるかということを、これを文書で出してもらってもいいし、また適当な時期に質問を保留して進めてもいいと思いますから、この点をひとつ委員長から各関係者へ文書で提出をお願いしておきます。よろしいですか、委員長
  125. 倉石忠雄

    倉石委員長 承知しました。労働省から各企業に連絡しまして、資料提出きせるようにいたします。
  126. 永山忠則

    永山委員 労働大臣はこの関係法案の一切の責任者だといってここへすわっているのですからして、それは自分のほうの管轄じゃないよというようなことでは、われわれは断じて承服できないのですから、十分ひとつ検討してください。本委員会の総括的な責任者として自分が出るのであるということを言われておるのでありますから、その点において十分ひとつ……。そうでなければ名大臣全部呼ばなければならぬことになるのですから、この点また十分ひとつ連絡を願いたいのでございます。  それで、解釈上明らかになったことは、立証上の問題だということでございます。そうすれば、国家公務員の人事院規則の一四−七、これらはどういうことになるのですか。国家公務員はそういう場合においては適用をされることになるのですか、ならぬのですか、国家公務員の争議の場合。
  127. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この間のストライキに関係しております国家公務員は、いわゆる公共企業体等労働関係法の適用を受ける職員でございまして、国家公務員法の直接の適用はないと思います。
  128. 永山忠則

    永山委員 このスト指令に対して協力をする指令を自治労は出しておるのです。そこで、これは地方公務員法の第三十七条の争議行為の禁止という点から見て、四・一七ストに対して自治労が協力してこのスト体制を進めるということの指令を出しておるはずですが、自治省のほうでその指令をごらんになりましたか。また、これを発表してもらいたい。それに対して、これはどういうような法的な処置をするものであるか。  この三十七条の解釈に書いてあることは、「何人も、このような違法な行為を企て、」とこう書いてある。でございますからして、私は違法ストが行なわれなくても、指令を発したということになれば、これに対しては行政的処分等を当然にやらなければならぬものであると考えるのですが、この点に関して承りたい。
  129. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 自治労が出しました指令は、私どもも拝見をいたしております。その後聞きましたところでは、その指令を撤回をいたしておるということでございます。  なお、法律上の解釈の問題につきましては、先ほど国家公務員につきましてお話のありましたと同様に理解をいたしております。
  130. 永山忠則

    永山委員 要するに、私がお問いせんとすることは、こういうような違法ストに対して、政府が施策に対してまずいところはこれを直していく、そうして管理体制は強化して、そういう場合には法に照らしてとるべき処置は十分とる、この順法精神政府管理体制が欠けておるならば、これは町の青少年の非行化を防止することはできません。私はこの点に関して、将来管理体制を強化いたして、こういうような違法ストが再び起らぬような政府の施策をやり、また起こった場合においては法に照らして、また法をさらに越えて公務員としての高い格調で行政がやれるような十分な順法精神をもって指導する決意があるかどうか。これがなかったならば人づくりも何もできぬじゃありませんか。この考え方官房長官並びに労働大臣からお聞きいたしたい。
  131. 黒金泰美

    黒金政府委員 永山さんのおっしゃるとおりでありまして、まことに御忠告と御激励と、ありがたく拝聴いたします。
  132. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま御審議いただいておりまする関係法案も、御趣意のような趣旨で立案いたしておるものでございまして、全く御説には同感でございます。
  133. 倉石忠雄

    倉石委員長 午後は本会議散会後委員会を再開することといたしまして、これにて暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————    午後三時五十八分開議
  134. 倉石忠雄

    倉石委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  質疑を続行いたします。永山忠則君。
  135. 永山忠則

    永山委員 私は午後の部におきましては、主として総評要望の修正点について御意見をお伺いしたいと考えておるのでございます。この問題に関しては、すでに労働大臣から、閣内で事務的にはいろいろそれに対して検討を進めてきておるということを言われておるのでございますが、私は、大臣が原案に対してこれを御支持されるということは、閣議決定でございますから当然であると思うのであります。伝えられる修正に対しての意見を述べるという場合においては、閣議で決定をされて、しかる後に答弁をされるべきものである、こう考えるのであります。総理はこの修正案に前向きでおられるということを伝え聞いておるのでありますが、そういう情勢なら、少なくとも関係閣僚会議で大体この修正点に対して御懇談をなさるべきではないか、それをもやっていないということになるならば、私は誠意をもってこの修正点を御検討されておるものじゃないというようにも考えるのでございますが、この修正点に対しての閣僚間の御意見、閣内の状態はどういうようになっておるのかをお聞きしたいのであります。
  136. 大橋武夫

    大橋国務大臣 修正案に対する政府意見というものは、修正案が現実に委員会に提案されまして、それについて政府意見を述べるべき時期がありましたならば、その際に述べるべき事柄だ、かように私は考えておるのであります。しかしながら、いわゆる倉石修正案なるもので伝えられておりまする問題点は、従来から政府部内におきましても、ただいま提案いたしておりまする法案を作成するにあたっていろいろ論議をされ、各省間の意見もなかなかそれぞれの立場で異なっておるような感じのいたす点でございますから、短時日の間に、修正案が出たからすぐこれに対する政府意見を述べろと言われましても、政府として統一的な見解を即座に申し上げるには、事務的な準備その他に相当困難する場合があると予想いたされますので、私といたしましては、かりにこの倉石修正案なるものが将来当委員会において正式の修正案として提案され、それに対して政府意見を申し上げなければならぬ場合があるということならば、そのときに備えまして各省間の事務当局でよく相談をいたしておくようにということを申しまして、各省の事務当局相談をいたし、法制局も入りましていろいろな角度から検討をいたしておるところでございます。したがいまして、まだこの問題が正式に修正案として出ておらない現在におきましては、閣議としてこれについて検討をいたしたこともございませんし、またこのような段階で関係閣僚会議議題として取り上げるということも適当ではない、こういうふうに思っておる次第でございます。
  137. 永山忠則

    永山委員 この修正点についてはもう公知の事実でございますし、しかもその点に対して委員会意見の一致を見るように慎重審議をしようというようにまで話し合いをして、そして特別委員会ができておる。それに対して、非常な意見を持っておるのであります。ことに自治省にいたしましても文部省にいたしましても、町村長あるいは教育長、教育委員長というような管理者の立場にある者は、非常に心配をいたしておるのでございますから、関係閣僚でまず懇談会くらいお持ちになって、十分ひとつ意見の交換をされるというようなことにお進めになることが私は適当だと思う。そういうことをしないと、やはり総理の一言でもってこれをきめてしまうというような、かつて東条内閣のときに東条のツルの一声で何もやった、そういうような独裁的な政治が行なわれることを私は心配するのです。この意味において、官房長官はすぐ列席するように言っておきましたが、来ておりませんけれども、すみやかに閣僚間の意見交換をいたして、行政の責任者の立場にある下部の関係者との懇談会も十分続けられて、そうしてこの問題に対して真剣に取り組むという態度が必要である、こう私は考えるのでございますが、労働大臣は、この主管大臣として総理とよくこの点を御懇談をされるべきだと思いますが、いかがでございますか。
  138. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御意見の次第は、だんだん承りましてよくわかったのでございますが、政府といたしましては、ただいま原案を提出して国会の御審議をいただいておる最中でございまして、これに対して国会において修正案が具体的に取り上げられた場合におきましては、政府としても十分これを検討して意見を申し上げるべきだと存じますが、まだ原案を提案をいたし、これについて説明をいたしておる段階でございまして、私どもといたしましては、修正案について閣僚として予備的な打ち合わせはともかく、正式に関係閣僚間でこれを議題として打ち合わせる段階ではまだないのじゃないか、こう思う次第であります。
  139. 永山忠則

    永山委員 それでは現段階においては、政府は原案を中心に推進するといろ考え方であるので、国会審議過程でそういうような修正が出たときにおいては院議を尊重する意味においてその際真剣に取り組むという考えでございますか。
  140. 大橋武夫

    大橋国務大臣 さようでございます。
  141. 永山忠則

    永山委員 それでは質疑を続けますが、一番心配をされておる問題は、中央交渉の問題でございます。法理論的には同僚稻葉君が質疑をいたしておりますから、私は実際問題を中心にお尋ねを申し上げたいと考えております。その前に、この中央交渉の問題に対して灘尾文部大臣は、速記録がきょうはできておると思うのでありますが、私が写しました範囲では、こういうように言っておられます。自治大臣よく聞いておいてください、あなたとの答弁の食い違いをいまただそうと思うのですから。「一般的に何か不平があるとか不満があるとかいう場合に意見を申し出るとか、話し合いをするとかいうことは、これは事実あることであります。一般国民すべてに対しましてこの関係は私はあるだろうと思うのでありまして、あらためてここにこのような規定を書く必要はないのではないか、こういうふうに実は思っておるわけであります。」すなわち、こういう規定を新たに入れる必要はないと思うということを言っておられるのでございますが、この質問に対しまして、赤澤自治大臣はどうも登録問題と混同して答弁をされておりまして、応諾の義務はないと思うということだけで、何もこれに対して明確なる答弁ができていないのみならず、応諾の義務がないからこれはあってもいいんじゃないか、挿入してもいい、中央、地方を通じて不平不満を話し合う、いかなる団体ともやることができる、ということは、応諾義務はないのだから、あったっていいじゃないかというようにもとれるのでございますが、応諾義務はないということだけ明瞭になって、そういうことに修正をされた場合にはどういう結果になるかという質問に対して、文部大臣のほうは、そういうことを挿入する必要はない、かえって混乱を来たして思わしくない現象を来たすということをはっきり言われておるのですが、自治大臣はどういうようにお考えになっておりますか。
  142. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 応諾の義務がないと私が申し上げたことについて、前後のぐあいがちょっとわかりかねますけれども、おそらく、権利義務の有権的解釈につきましては、当時ここに法制局がおられましたので、その解釈のとおりでございますと言ったわけでございます。中央交渉のことがずっと重要な問題になってここで議論されております。私はきわめて簡単に割り切っておるわけでございます。つまり、労使の交渉というものは労と使とそれぞれ——じゃ、使のほうは何かといえば、法令では当局ということばをもってあらわしております。当局団体交渉の相手になるわけでございますから、そうすると、当局とは何ぞやということになれば、まあ簡単に考えれば勤務条件というものをきめる立場にある、権利のあるものが当局ではないか。そこで、自治省の場合におきましては、地方公務員の場合においては、やはり当該の府県あるいは市町村が当局になるのであって、実際問題として自治省自体が中央交渉と称してここで当局視される場合は私はないと思う。ただ、応諾の権利義務ということになると、実際は、いろんな御要求がありました場合には、時間があれば、また問題によっては、いままでの大臣も会っておられるようでございますが、これは権利義務の問題ではなくして、やはり何か会ったほうがいいといった面があれば、考えた上会いもするし、また拒否することもあり得る、こういうふうに平たく考えておる次第でございます。
  143. 永山忠則

    永山委員 大臣は事情がよくわからぬのじゃないかと思うのですが、それじゃ、中央交渉問題について大臣のほうではわからぬはずはないと思うのですが、問題点になっておる点はどういうように書いてあるかといいますと、「職員または職員団体は、職員団体以外の団体または連合体を事実上組織することを妨げず、職員、職員団体またはこれらの団体は、国または地方公共団体当局に対し、その不満を表明しまたは意見を申し出て話し合いすることができる」こう書いてあるのですが、これが問題点なんでございますよ。そこで、「職員または職員団体は、職員団体以外の団体——以外の団体といえば全学連も、政治団体もみな入りますよ。これは職員団体以外の団体、そうすれば政治団体もみな入る。以外の団体ですからね。「または連合体を事実上組織することを妨げず」現行法は全然これとは違うのですからあとから申し上げますが、現行法は勤務条件等に関してですが、これはもう勤務条件なんかじゃないのですよ。いかなる不満でもいいというのです。勤務条件なんかは前の団体でやれるのだから、これは主として政治目的ですよ。そうしてこれはどんなことでもいい、しかも中央、地方を通じて交渉ができるというのです。これは、一番心配しているのは町村長で、弱体の町村長のところにオルグすべてがみな行けますよ。同時に諸団体みな行けます。どの団体もみな行けます。団体との連合体を否定しないのですから、どんな連合体をつくることもできます。全学連と一緒になって連合体をつくることも否定していませんよ。そうして、弱い町村長のところに一斉に中央からも県からも全部行って交渉を開始しますよ。しかも、登録、非登録を削ろうということになっているのですからね。それでそれには関係ない、勤務条件にも関係ない。今日町村長がいまの状態でも苦境に立っている。かつての日教組のこの行き方はいまや自治労へきているのですよ。先般も大阪の衛星郷市連合会に対して同僚の大倉君も非常に必配いたし、堺の市長の河盛君、これも心配して来ている。現実でも連鎖反応的に収拾つかぬ状態になっている。これは総評であろうが、日教組であろうが、自治労であろうが、あるいは地労であろうが、県評でありましょうが、全部のものが一斉にどの町村長のところへでも話し合いをしろといって行けるのですよ。話し合いをする義務はないが、書いた以上は法律の問題ではありませんよ。いまだって義務はなくても会っているでしょう。会わざるを得ない情勢になっているでしょう。これは後ほど法務大臣にも聞きますが、いまでもそういう状態です。話し合いをするということを認めたら、書いてあるじゃないか——法律に書いて権利と心得ない者はだれがおりますか。そういう非常識な答弁を幾らしたって国民は承知しません。だからしてこの条文を挿入させるということはILO八十七号条約に全然関係ないじゃないですか。これこそ便乗じゃないですか。そうしてねらいはどこにあるかといえば、ねらいは、これはスト権を得るための手段ですよ。日教組がどう書いてあるか。国との話し合いは「政府の教育政策に介入し、政策転換闘争を強化する計画」である、こういうことを強く主張して、さらに「日教組の威信を示威し、脱退を防止できるとしている。総じて倉石修正案は、日教組組織補強のためには不可欠のものである」ということを彼らは言っておるじゃありませんか。これは同じように自治労も考えておるのであります。それで総評の流したものでも、国家公務員、地方公務員団体交渉権の確立保障、地方公務員の地方交渉確立の問題を焦点に進むと書いてあるでしょう。これは団体交渉権を確立し、さらにスト権を奪還するところの唯一絶対の手段ですよ。団体交渉の問題は後ほど十分審議いたしますが、これを考えておるのでありまして、人事院の関係においてもやはりこれとからんでおる。自治大臣はいられなかったが午前中にも申し上げましたが、この審議会をつくるということは、審議会では団交権いわゆる団体協約権をかちとるということがすでに約束づけられておるという意味のことを総評は流しておる。そうして審議会でこれが法律化しなければ人事院の機構が完全に動くようにはしないという約束になっているようにこれは書いているのです。こういう今回の修正点というのは、総じて全部そこへ集結するという考え方なのです。この団体協約権というものは、各国だってやっているのではないのですよ。この問題もあとで十分論議をしますけれども、これはもうILO九十八号条約の六条においても、あるいは憲法十五条においても、公務員というものは格調の商い、品位のある、識見に富んでいるものでなくてはならぬじゃないですか。私は、こういうような考え方で修正というものが進んでおるときにおいて、一番重大問題になっているこれを入れることがよろしいかどうかということを質問をいたしておる。文部大臣はいろいろな紛淆が起きるからこれはすでに憲法で認められている陳情なんだから、各人がかってに意見を表明する問題なんだから、何も公務員だけに特権的にここへ書く必要はないという意味答弁をされているのです。それを自治大臣意見を聞いておるのであります。
  144. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 永山委員とは始終労働問題調査会でお目にかかって議論は戦わしておりますが、私はただいま政府におりますので、ただいまの問題は世にいう倉石修正案についての御論議のように承知いたすわけでございますが、しかしながら私の立場としては、灘尾文部大臣が言われましたように、こういういろいろな含みがあるかもしれないものをわざわざ法文に明記することはないであろうという考え方に立っております。
  145. 永山忠則

    永山委員 労働大臣意見を伺いたいのであります。
  146. 大橋武夫

    大橋国務大臣 いま言ったとおりであります。
  147. 永山忠則

    永山委員 そこで、これが往々誤まつて伝わっておるのでございます。政府改正法案の第五十五条第十二項、現行地方公務員法第五十五条第四項において、勤務条件等に関して、こういうことが書いてある。「職員が、給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、又は社交的若しくは厚生的活動を含む適法な目的のため、地方公共団体当局に対し、不満を表明し、又は意見を申し出る自由は、その者が職員団体に属していないという理由で否定されることはない。」こう書いてある。これは、何でもいい、やれ、ということではないのであります。いかなる不満でもやれという、いわゆる政治闘争目的は否定しているのです。しかも言い方は、「その者が職員団体に属していないという理由で否定されることはない。」と書いてある。交渉ができるという意味よりはうんと消極的な、否定してはいけぬと書いてある。これは、職員団体に入らぬという理由で否定することはできないように、職員団体に入ると入らぬとの関連も強くあるのです。こういうような、いわゆる職員組合が勤務条件または社交的厚生的活動をやるということに対する交渉はもうあるのですから、別にこれとは関連ないのです。だから、これがあるからこれは当然入るべきだという議論にはならない。この点に関して、主管ですから労働大臣にお尋ねします。
  148. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府は原案を出しておるのでございまして、ただいま御質問の点はいわゆる中央交渉でございますが、この中央交渉権につきましては政府は何ら原案には考えておりません。また修正案としてここの委員会にあらわれてもまいっておりません。私どもはいまの段階ではこれについて考えていないわけでございます。
  149. 永山忠則

    永山委員 文部大臣が、この中央交渉に対して前文部大臣が拒否されたということに対して日教組ILO提訴しておるのでございますが、ILOはこれにどういう回答を与えておりますか、この点を伺いたいのであります。
  150. 三治重信

    ○三治政府委員 日教組の申し立てに対しまして結社の自由委員会では、「教育政策の一般的方針の決定は教育者諸団体意見を聞いて行なうことが普通であるかもしれないが、かかる団体と教育当局との間の団体交渉の対象となる事項ではないことに同意し、かつ破壊的性質の活動結社の自由の原則から容認できないものであることを認めつつも、次のことを決定する。(1) 労働者はみずから選択する団体を設立し及びこれに加入し、かつ、自由にその代表者を選ぶことができるべきであるという原則に理事会の付している重要性日本政府の注意を喚起すること。(2) 任命当局は、地域的段階または全国的段階のいずれで交渉するかを決定する権利を有するが、労働者は、地域的段階または全国的段階のいずれで交渉するにせよ、上記の諸原則に従って、その交渉においてかれらを代表する団体を、自己の希望するところに従って、選ぶ権利を有すべきであるという見解を表明すること。」
  151. 永山忠則

    永山委員 ILOの、中央段階で交渉するか、地方段階でするかは結局は当局がきめることであるというのが結論なんですよ。この関係につきましても、決してILOの八十七号条約に抵触をするものではないのです。ILO関係には、八十七号条約には関連してないのです。  そこでさらに検討を実際上続けねばならぬことは、その他の団体というのでございますから、その他はいかなる団体とでも連合体ができるわけです。職員団体またはその他の団体、ですからして政治団体すべてが入る、またかりにそれはそう書いたら入るわけですから、今度同時に、総評であろうが自治労であろうが、全部の団体がこれを中央でも地方でもどこへ行っても交渉ができる、一カ所に集中してもできる、こういうことになるわけであります。それを規制する何ものもない。この修正点自体からいえば規制する何もない、こういう状態が今日の、ことに支部及び自治関係においては非常に憂慮をすべき問題であるとして、府県の町村長及び理事関係並びに教育長あるいは教育委員会が非常に強くわれわれに、ほんとうに声涙を流しての陳情でございます。私は、この点をひとつ深く留意をされますよう、将来の参考に申し上げておきたいのでございます。  次に……。
  152. 倉石忠雄

    倉石委員長 永山さん、お話し中ですが、いまの点たいそう重要な点だと思いますので、政府側意見をもう少し聞いてみたいと思いますが、いかがでしょうか。ただいまの、団体その他の団体……。
  153. 永山忠則

    永山委員 けっこうでございます。
  154. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側でどなたか答弁おやりになったらどうですか。
  155. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私はいわゆる倉石案なるものを仄聞はいたしておりますが、まだこの書いてありまする事柄がこのまま法文になるのではないのじゃないか、法文的に十分に調整されてはいないのじゃないかというような気がいたしておるのでございます。たとえば、ただいま永山委員が御指摘になりました「職員または職員団体は、職員団体以外の団体または連合体を事実上組織することを妨げず」というような事柄、これは将来修正案というような形になる場合においては、もっと法律的によほど検討されまして、観念を明確にされることが必要なのじゃないかというふうに考えておるのでございまして、政府としてこれに対して意見を述べろということになりましたならば、ちょっとこれでは実際上扱いかねる。いま仰せられましたどういう団体と職員団体は連合団体をつくるのであるかというようなことについても、もっとこちらから提案者に伺ってみたいくらいに思っておるわけなのでございます。  それからもう一つ、この後段の点でございまするが、「職員、職員団体またはこれらの団体は、国または地方公共団体当局に対し、その不満を表明しまたは意見を申し出て話し合いすることができる」という点でございまするが、この中で職員については、国というのをのければ、地方公共団体に対して申し出るというのは、現行法ですでに認めておるところでございますし、今回の政府案でも、その規定は大体残して置こうという部分でございますから、これについてはたいした問題はないと思うのでございますが、国の当局に対して不満を表明する、あるいは意見を申し出るという事柄、これはいわゆる労働組合団体交渉権、憲法二十八条の団体交渉権とは私どもは考えていないのでございまして、政府の政策について民間人として意見を申し出る、いわゆる請願陳情的な意味合いの事柄だろうと思うのでございます。この事柄につきましては、すでに現行法のもとにおきましても、政府の中央機関で必要に応じて実行いたしておる部分があるわけでございまして、問題は、それを地方公務員法律の中にかような形で明文をもって規定を置く必要があるかないかという点が問題点ではなかろうか、私どもといたしましては、先般文部大臣も言われましたとおり、その必要はなかろうし、また、入れることはいろいろの面で問題を新しく起こすことになりはしないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  156. 永山忠則

    永山委員 私の聞き方が悪かったのかもしれないのですけれども、現行法にある第五上五条四項、改正法の第五十五条第十二項というのは、「職員が」ですから、団体じゃないのです。そして「給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、又は社交的若しくは厚生的活動を含む適法な目的のため、地方公共団体当局に対し、不満を表明し、又は意見を申し出る自由は、その者が職員団体に属していないという理由で否定されることはない。」こう書いてあって、団体を入れてはないのです。それから交渉要件は、勤務条件等なんですから、はっきりしておるわけです。しかも、意見を申し出る自由を否定しないという、否定文になっている。それは団体に入っていない職員もおるのですから、全然ここの問題とは性質が違うのでございます。これはもうそういう勤務条件なんかじゃないのです。何でもいい、不満をやろう、いまおっしゃったようないわゆる意見、陳情の、国民としての権利のすべてでございますから、これを公務員に特別に出して書くということは、何か特権を与えたことになるのじゃないか。書いた以上は、会うなと言ったって会いますよ。そんなものじゃありません。これは応諾義務があるとかないとか、話し合いと交渉とどう違うか、そんなことをどんなに法理論的に論議したところで、国民はそういうことには関係しませんよ。率直に言って、話し合いできるのじゃないかということですよ。国民法律の番人じゃないのだから。それで、裁判所に持っていったときには、必ず負けるに違いないですよ。これはいまでも当局はどんどん負けているじゃないですか。だから私は、この関係はきわめて重大であるから、十分御検討きるべきであるということを申し上げておきます。  そこで、次に自治大臣に伺いますが、町村長会で非常に心配して、全国大会で特別の決議をして、これは非常に困るから、そういう修正点がないように政府原案でやってもらいたいという決議があったことは御存じでございますか。
  157. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も確報をもらっておるので、よく承知しております。
  158. 永山忠則

    永山委員 そこで、自治大臣とは特別心やすい間柄で、個人的にはいろいろ質問もしたくないのですけれども、公的な立場において申し上げねばならぬのですが、大体どこがいかぬというのですか。あなたの頭で、どこがいかぬからこれはひとつ原案にしてくれと言っているのですか、それをお聞きしたいと思います。
  159. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど永山委員中央交渉のお話がございまして、私は、全国的な一つ団体自治省交渉するかと思ったら、そうでなくて、中央でできた団体が町村にまで出かけて交渉することも含めておっしゃっておるのではないかというふうな感じを受けたわけでございますが、やはり最近この労使間の交渉の形が乱れておりまして正常化されておらぬのは、はなはだ遺憾なことであると思います。民間では、大体軌道に乗ったと申しますか、一部では、いい意味での労働慣行が次第に確立されてきておるやに見受けられるわけでございまするけれども、どうも公務員関係はいまだしの感が深い。それにはやはり当局自体も勉強の不足があるのではないか。ILOのことをたいへん御心配のようですけれども、やはり交渉にはルールがあるのでございまして、また世間の常識というものもあるはずです。そのことは一向お気づきなくて、ただたくさんの議論の達者な人を向こうに回して一人で町長が奮闘して、ついに卒倒したなどという悲劇が点々とあるものでございますから、こういうことになるとどういう目にあわされるかわからぬというふうな心配が先に立つのではないかと思います。私どもは、こういった点につきまして やはり自治省当局といたしましても、そうではないのだということをやはり皆さま方に教えて差し上げなければならぬと思う。交渉というものは、やはり正しいルールで、五分と五分で、しかも扱われる問題は、言うまでもなく勤務条件その他法律に規定してありますようなことを中心にして交渉するのが当然のことである。そこへ別に社会問題や文化問題まで持ち出して議論をしようというような場ではないはずでございますので、こういったことが次第に明確化してまいればそう御心配になるようなこともないのではないか。ただ、過渡期でございまするので、永山先生の御指摘になります点は、私どももよくわかるわけでございます。ですから、そういった点につきましては、自治省といたしましてもいろいろ指導その他の面で十分戒慎してやらなければならぬと考えておりますが、そういう点を考えましても、先ほど御指摘のように、ただ、いま新聞面にあらわれております倉石修正案というものをそのまま法文化するということは危険ではないかという考え方に、私どもも同意をいたすわけでございます。しかし、私どもが自信を持って提案いたしましても、立法なさるのはここでおやりになるわけでございます。これも風のたよりに聞けば、だいぶ修正されるということでございますけれども、とにかく今日の労使の立場というものが、正しいルールで交渉されておらぬ現段階でございますので、その点はよく御勘案いただきまして、市町村長が困らぬようにひとつよろしくお願いいたします。
  160. 永山忠則

    永山委員 自治大臣は、とにかく地方町村長が非常な信頼をいたしており、親のように思っておるのですから、また行政指導の責任者ですから、十分ひとつ——府県及び市町村は行政の骨幹をなすのです。行政の根幹ですから、十分ひとつ検討を願わなければいけません。  そこで、その地方町村長がどの点が困るかということに対しては、中央、地方の交渉関係と、登録を交渉の中からはずされるということと、そうして交渉手続の簡素化、こういうことを非常に心配しておるのです。それは、いまお話のごとく、近来、町村における職員団体交渉は、そのルールが守られず、大衆運動による威圧、脅迫、職務妨害かん詰め交渉等の不正常交渉が行なわれることが少なくないということを非常に心配しておるのであります。また、午前中にも話しましたが、大体政府もだらしがない。管理体制ができてないということに対して、赤澤大臣は大津になられて、管理体制に対して十分ひとつ注意をしてやらなければいかぬということで部下に御指示をされたということは、さすが、労働政務次官をされて、そうしてILO自由委員会にもおいでになった方だから、あなたは何でも知っているのだと私は思う。そこで急所だけははずさずにやっておられるのです。しかし、詳細に御検討願いたいことは、中央、地方交渉は、総評案ではどこへ出すかといえば、地方公務員法第五十五条第十二項の規定を改める、ここへやるというのでございますよ。それで地方交渉を一緒に指摘しているわけです。そこで、これは、本節の規定は、職員または職員団体が職員団体以外の団体もしくは連合体を事実上結成し、またはこれらの団体に事実上加入することを妨げるものではなく、職員、職員団体またはこれらの団体は、地方公共団体当局に対し、その不満を表明し、または意見を申し出、話し合いをすることができる、すちわち、中央だけじゃないのです。地方の公共団体へもいくということをはっきり法律で書こうというのです。だからして、ただ話し合いをするということばや演説じゃないのですから、ここで非常に憂慮しておる点でございます。  そこで問題は、登録の問題へ入りたいと考えております。  登録関係につきましては、これは澁谷委員質問にも、登録をした団体交渉できると善いてあることは、ILO八十七号条約に違反するの憂いがある、だからこれを削るべきではないかというような意味のことが言われておるのであります。さらにまた、二月十六日のNHKの国会討論会においても、そういう意味のことが言われておりますし、二月十三日の朝日新聞の社説にもそんなことが書かれておるといわれているのですが、これは八十七号条約——現行法ではありませんよ。現行法は修正されて出ている。いわゆる政府原案は八十七号条約に抵触するとお考えになっておるかどうか、この点をひとつお伺いしたいのであります。
  161. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現行法の解釈といたしまして、登録した団体当局交渉ができるというのは、登録した団体だけが当局交渉ができるという意味ではなく、いやしくも職員団体である以上は、登録の有無にかかわらず交渉ができるのであるけれども、特に政府原案に、登録した職員団体当局交渉ができると書いた意味は、登録した職員団体は、登録という行政手続を通じまして、その組織内容、目的、性格等が明らかになっており、明らかにこれは職員団体として適法なものだということが明瞭でございまするので、したがって、当局としてはこれに対して積極的に交渉に応じていくという態度をとる、これに反して、登録手続を了していない職員団体におきましては、まず第一に、それが職員団体であるかないかから調べていく必要がある、十分に調べた結果、職員団体であるということが明らかならば、これは同じように交渉に応じるのでございますが、職員団体でないということが明らかになったならば、交渉相手とすべき限りではない、こういう意味で、登録された職員団体当局交渉ができる、こう書いたわけなのでありまして、かような解釈をいたしまする限りにおきまして、この条項は八十七号に何ら違反するものではないと確信をいたしております。
  162. 永山忠則

    永山委員 そこで、この登録、レジスターは、むしろこれを公認することが、ヨーロッパ諸国では、組合側の受益行為だ、組合もこれによって非常に助かるのだ、こういうように解釈しているのですよ。すなわち、登録してあれば、すぐこれに対して交渉には応ぜられるわけです。登録していないと、いろいろの点で調査をしなければならぬわけですから、その登録団体とは積極的に政府交渉に応じるということになるのですから、非常に話がスムーズにいくわけですよ。登録を削ってしまえばどういう結果がくるかといえば、たとえば五人でも十人でも、職員団体ですというのが来る、次も来る、次も来る、これに対してどうして否定するのですか。
  163. 大橋武夫

    大橋国務大臣 先ほど申しましたごとく、登録してある団体は、登録によって身元がはっきりいたしておりますから、申し込みがあれば積極的に交渉相手としていく、登録のない団体は、当局としてはそれが適法な職員団体であるかどうか、自己の責任をもって調査しなければなりません。それだけ手数がかかるわけでございます。
  164. 永山忠則

    永山委員 もう現在でも実際困っているのに、かりに十人来る、そうして十人中、職員が五名おりまして、あとの五名は——いわゆる修正点にいうならば、職員が主体であればいいのですから、他の者が入ってもいいという修正になるのですよ。主体ということになれば、半分おればいいということでしょう。そうすると、半分はほかの者が入ってきて、そうして交渉をしろといったときに、職員が、五人は、おまえ、顔を知っておるだろう、適法な団体ではないか、こら言って攻めかけてきますよ。次にまた十人やってくる。そういうようなぐあいに、交渉の手続は簡素化しよう、そうして登録は、これはやめようというようなことでは、地方の町村長は、とうていこれは交渉に応じ切れるものじゃないということを心配しておるのです。これは法律論でなしに、実際問題として現実に行なわれているのです。私はこの場合、法務大臣も忙しいようでございますから、お尋ねするのですが、すわり込みをしてそうしてその職務を執行させない、これはいわゆる公務執行妨害になるのじゃないですか。警察当局は、そういう場合に、町村長が、すぐ来てそうしてここを立ちのかせてもらいたいというようなことを言ったって、なかなか警察が来はせぬじゃないですか。これが夜通しでもかん詰めを受けている原因なんです。電話をとって警察へ話をしようといったって、電話をとらせはしませんよ。便所へ行くのでもついていっているじゃないですか。そういう状態が、いまや京都においても、先刻私が話した、一人はそれがために死んだといっている。一昨年は八名が病気になった。大阪の衛都連の攻撃は、これは今日市町村が耐えぬという状態になっている。そういう場合において警察官がすみやかに来てこれを排除するか、そういう場合に裁判所へ出したら、裁判所のほうはこれを取り上げてやるか。旧来どうしてもこれを事実上やってないじゃないですか。この点に関して警察庁長官なり法務大臣答弁を願いたい。
  165. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 ただいまおっしゃったような前提の状況でありますれば、警察は直ちに出動をいたしております。ただ、町村長と職員との間に、多数で押しかけたからすぐ除去してくれというようなことがございましても、これはやはり交渉すべき相手であり、中身が常識的にあたりまえのものでありますれば、そう、いやだからすぐ警察で排除するというわけにはまいりませんし、ただ、おっしゃったような暴行あるいは脅迫あるいは不法な監禁というような状態になりますれば、御要請によればもちろん出ますし、また、そういうことは親告罪でもございませんから、われわれのほうでそういう心配があれば、要請がなくてもそれに備えて十分な手配をする、こういうたてまえをとっているわけでございます。
  166. 賀屋興宣

    賀屋国務大臣 ただいま永山委員のお尋ねがありましたような場合、そういう話し合いというものは、良識をもって秩序正しく行なわるべきものでございますが、お話があったような状態でございますと、これは刑罰法令に触れる場合が事態によっては出る、犯罪を構成する場合もあると存じます。さような場合には、ただいま警察のほうのお話がありましたが、発動がありましょう。事態がわかりましたら、検察権は厳正に発動するつもりでございます。
  167. 永山忠則

    永山委員 私は、午前中法務大臣がいらっしゃらなかったので、この場合お尋ねをいたしておきますが、四・一七ストに対しましても、その他、制止するにもかかわらず、集団的に包囲してかん諦めにするというような、いろんな法秩序に反する行為が行なわれておるにもかかわりませず、当局のいわゆる管理体制も悪いし、またそれに対する取り締まり、処罰というようなものがきわめてゆるいのです。集団で組織力をもってやってきたときにはこれを軽くするというような態度でいくならば、国民当局を信頼しなくなる。政府法律を守る番人でございますよ。その法律を守る番人が、法律に忠実でない、執行に忠実でないということになれば、国民にいかに順法精神を説いても、国民はそれに協力することがない。四・一七ストの問題でも、国民はどう思うているか。集団の力で違法行為をした場合においても、何ら当局は、将来そういうことはいたしませんというような言質もようとらない。ただ向こうの言うものを渡して帰ってもろうたというくらいな、そういうようなやり方では、これは非行少年を増大する結果にもなる。国民順法精神を非常に薄らげる結果となって、憂うべき現象であるということを言っておるのでございますが、この点に対して、いわゆる当局がまず順法精神に徹して、そしていかなる集団的暴力に対してもき然として排除する、この政治的姿勢を正すということが、現内閣で一番必要なことではないか。この点をはっきり法務大臣の……。   〔「選挙違反をやれ」「買収はどうした」と呼び、その他発言する者あり〕
  168. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。
  169. 永山忠則

    永山委員 もちろん、買収等に対する取り締まりは当然でございますよ。これは当然のことだ。順法精神国民に及ぼす影響、これらに対しての法務大臣の所見を承りたい。
  170. 賀屋興宣

    賀屋国務大臣 ただいまお尋ねのように、順法精神の高揚は、いまの社会にはまことに必要なことでございます。したがいまして、われわれは、基本的人権を尊重し、国民の自由に対しまして、法規の命ずるところに従ってこれを尊重しますとともに、公共の秩序を維持し、また公共の福利を守るため、十分に憲法、法律の規定に従いまして行動するつもりでございます。ただいまお話のありましたような非常な混乱、しかもその状態が刑罰法令に触れるような事態でございますならば、これはあるいは不法監禁罪であるとか、公務執行妨害でありますとか、建造物の中の不法侵入でありますとか、そういうような犯罪に該当しますときには、これは厳正に、遅疑することなく検察権は発動するつもりでございます。
  171. 永山忠則

    永山委員 そこで私は、さらに登録問題に話を進めたいのでございますが、労組法でも資格審査の制度があるのであります。すなわち、不当労働行為でこれを訴えたときにおいては、第三者機関による、団体交渉資格があるかないか、まずこれを確認をいたして……(「交渉じゃない、救済の訴え資格があるかないかだ」と呼ぶ者あり)もちろん労組法でも、交渉じゃない、その資格があるかないかを審査するのですよ。すなわち登録と同じです。登録は、交渉権の問題とは離れて、登録なんだから、労組法でもこの資格審査制度があるのであります。だからして、登録を消さねばならぬという理由は断じてあるものではない。ことに、諸外国の例はどういうようになっておりますか、ひとつ聞きたいのであります。この団体交渉権を登録団体に与えるということを欧米諸国は通例にやっておるというのでありますが、この点に関してお調べになっておりますか。
  172. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 お答えいたします。  私、人事院の職員局長でございますが、西欧諸国の公務員組合に関します登録制度に関しましては、現地に行ったというのではなくて、文献によって若干調べたことがございます。その文献による調査でございますが、もちろん、ILOのゼネラル・リマークスあるいはマクネア委員会の記録、その他ILOの文書並びにアメリカの人事委員会とか、あるいはたびたび話が出ております国際公務員組合、いわゆる公務員インターの資料等によります。それによりますと、大まかに申し上げまして、公務員組合の場合、登録あるいは承認制度——承認制度と申しますのは、交渉の相手方が交渉当事者としての組合承認するという制度でございまして、いわゆる登録とはちょっと違っておりますが、大体そういうふうな制度を持ちます国としましては、アメリカ、ただし、アメリカは比較的最近でありまして、昨年ケネディ大統領によりましてこういう制度を取り入れました。それからイギリス、これは法人格の問題にからみまして登録制度がございます。あとオーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、アイルランド等々、いずれも登録ないしは承認の制度を採用しております。
  173. 永山忠則

    永山委員 そこで、自治労の関係でございますが、いまきわめて不正常な交渉が非常に強く行なわれておるのでありまして、したがいまして、やはり登録した団体は安心して積極的に交渉に応じるという姿が絶対に好ましい、こういうことを強く要望いたして、原案を市町村長は要望しておるのでありますが、自治労は最近非常に共産党がふえてきておる、そうしてねらいは、町村の組織化五カ年計画を立てまして、地方自治権の把握をねらって、地方権力を奪取して中央政府に迫るというのが基本方針のように打ち立てられまして、日教組同様に自治権を指導して、特に自治労向けの月刊誌まで出して共産党は共産党員を激励いたしておるのでございますが、公安調査庁にこの場合、国家公務員、地方公務員等において共産党はどういうようにふえて、どういう指導方針をやっておるかを承りたいのでございます。
  174. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 お答え申し上げます。  現在、日本共産党は、党員総数十万をこえているように見られます。そのうち、官公庁、公共企業体内の党員数は、二万八千前後と見られます。その内訳を申し上げますと、国家公務員が約四千、公共企業体職員が約一万、地方自治体職員が約六千、学校教職員が七千数百というような数になっております。この数を、約三年前の昭和三十六年八月の第八回党大会暫時の数と比較いたしますと、党員総数がその当時約八万、官公庁、公共企業体関係の者が二万七千というふうに大体見られておりましたので、総数において約二万余、官公庁、公企体関係だけでその二万余のうち一万一千というふうな数になりまして、この分野での党員の増加が他の分野よりも著しいということがうかがわれます。お尋ねの自治体につきましては、自治体闘争をきわめて重要視いたして、この方面にいろいろな力を注いでおります。官公庁、公企体内の党員は、党の方針に従っていろいろな運動をいたしておるように見られますが、その中でも、党の党勢拡大の方針に従いまして、職場労働者の党員獲得をきわめて活発にいたしております。と同時に、党の組織の露出を極力警戒いたしまして、細胞の名前も、縁もゆかりもないような秘匿の名前を使い、また構成員の氏名等も別名を使って、組織の防衛に極力つとめておるというような状況にございます。
  175. 永山忠則

    永山委員 係長以上はどういうようになっておりますか。長官おわかりですか。係長以上の共産党員数及びこの増加傾向。
  176. 齋藤三郎

    齋藤(三)政府委員 お答え申し上げます。  国家公務員関係だけの数字でございますが、主任以上が七十名くらいと推定いたしております。
  177. 永山忠則

    永山委員 そこで、職員が主となってということにしますと、職員が五人で、その他が五人ということでも、職員を主としてということになるのが常識です。そうすると、その職員は五人おる、そうして別に共産党員が五人入ってくる、そういう形で交渉に来たときに、登録関係は削られておれば、それはもう交渉はできぬということにはならぬですよ。これはどういうようにお考えになりますか。労働大臣、どうですか。
  178. 大橋武夫

    大橋国務大臣 当局といたしましては、その団体が職員団体であるかないか、これの構成の状況、また団体の主体性をだれが持っておるか、こういった内容を十分精査の上で、職員団体であると認めた場合には交渉すべきでありまするし、また職員団体ではないと認めたならば、これは交渉の相手とすべきでない、こういうことでございまして、このことは、登録制度の有無にかかわらず、政府原案においてそういう考えで立案されておるものでございます。
  179. 永山忠則

    永山委員 交渉要件の登録は、すでにはっきり法文にあるように、登録になれば、役員が、職員でない者もしくは解職になって一年間以内の者、あるいは解職になって訴訟を起こしている者というものに限定しておるじゃありませんか。だから、職員団体は、もちろん五人おったって職員団体ですよ。これを否定する何ものもないのですよ。そこで、やはり登録ということにおいてほんとうに職員の利益を守るということなら、オール職員があたりまえですよ。職員以外の者は法益がないじゃないですか。だからしてオール職員であるが、しかし役員は職員でなくてもよろしい。役員である者は職員でなければならぬとなっておったから、ILOで注意を嘆けているんだから、今度の法律案はその点を訂正いたしておる。だからして、さらに修正してそれへ持っていって役員であった者をまた入れようというように広げる理由はないのです。登録要件をそういうようにまで修正をして広げていこうということになっておりますけれども、いずれにしても登録ということがあれば安心して交渉できる。だからして、組合の者も組合員外の者も多数入れて——その人は利益がない、無責任の交渉をするかもしれない、だから、やはり登録をしておいて、安心して積極的に交渉ができるというこの制度を必ず保守しなければならぬ、原案を守らねばいかぬ、私はこういうように考えるのです。  同時に、心配していることは、交渉手続です。交渉手続は、これをはっきり法律で書くか、あるいは人事委員会、公平委員会でこれをはっきり書いておくということである政府原案が好ましいのである。それを、員数等を当局にまかせるということに修正するということが、この修正案になっている。そうすると、力まかせですよ。力のあるところは詳細にこれを規定して、そうしてこれは正常に会わねばならぬというような規定も入れましょう、穏健な交渉をしなければならぬということも入れましょう、そういうようなことはおかしいけれども、おかしいことを入れなければならぬほど、不正常な交渉が行なわれている。けれども、被用者と当局とにまかせてしまうということになれば、力の弱いところはどうにもなりはせぬ。これは管理職の問題も同じですよ。管理職の問題も、これを基準だけつくって、あとは労使当局にまかすということにしたら、力のあるものは、どんどん校長でも教頭でもみんな職員組合へ入れてしまう。ことに総評案の文意でもはっきりしている。教頭は必ずこれを管理職からはずすようにするよう政府が指導するという了解を得ておるのだ、これは時間がありませんからやりませんが、そういうようにいわれている。  こういうように交渉手続を簡素化して、労使当事者に員数等を、まかしてしまうということこそは、今日の不正常なる交渉が行なわれておるときにおいては非常に危険であるということを強く言っておるのであります。こういうように簡素化するということが何で必要であるか。私はもう必要でないと思う。いまの人事院規則の一四の〇でもはっきり書いてある。現在でも書いてあるじゃないですか。このままをそっくり置きかえたにひとしいのであります。多少文句が違っておるというだけじゃありませんか。現行でもこれをやっておる。それを交渉手続を簡素化しようという考え方にはどうしても了承できないのですが、これに対して労働大臣自治大臣並びに文部大臣の御意見を承りたい。
  180. 大橋武夫

    大橋国務大臣 交渉手続につきましては、公務員労働組合交渉の状況が、実績から見ましていろいろ不十分な点が多いので、政府といたしましては、秩序正しい交渉を進めていきたいという考えで政府原案をつくっておるわけでございます。これに対してもっと手続を簡素化できないかという御意見でございますが、どの程度簡素化するという御意見でありますか。むろん、この書いてあります条項につきましては、それぞれ軽重の区別はあり得るわけでございますから、軽易なものをはずすというのならばともかく、重要な点まではずすということについては、政府としては考えなければならぬと思っております。
  181. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほども申しましたように、まだ公務員関係の労使間の交渉というものが非常識な面も現実ございますので、やはりそういった点を考えました場合には、むだなようでも、基本的な手続、ルールと申しますか、これをこまかくきめておかざるを得ぬわけでございます。あるいは近い将来それが死文になることがあるかとも思いますけれども、やはりそれが親切であると考えまして、詳しく規定しておるわけでございます。
  182. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 両大臣のお答え申し上げましたとおりであります。
  183. 永山忠則

    永山委員 文部大臣に御質問をいたしますが管理職関係においても、結論は、力まかせでいこうということです。労使の関係にこれをまかす。基準をつくっておいて、そして労使関係でこれを決定させよう、こういうことは——現在でも、先刻の御説明で、教頭、校長が過半数以上一般の職員組合に入っている。これは大臣も言われたように、教頭までは当然管理職だ、こういうことを言われておるときに、これを力まかせにまかせれば、逆行いたしますよ。ますます混乱を強化する。せっかく日教組正常化に向かってきておる、そういうときに、いよいよ混乱を誘発するという結果にならないですか。文部大臣の御意見を承りたい。
  184. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 管理職の範囲の問題につきましては、ただいま御指摘のような点もございますので、ことに学校の職制等につきましては法律できめておりますので、それと違ったことになりましても困るわけでございますので、学校の教職員につきましては政令でもってまず一つ基準をきめて、それからひとつやっていただこう、こういうふうにいたしておるわけでございます。
  185. 永山忠則

    永山委員 総じて今回の修正案は終始一貫、結局団体協約権の獲得と、さらにスト権の獲得をねらっての行為でございます。そこで、時間も約束いたしましたからあまり多くはございませんが、あとは留保するといたしまして、団体協約権、これを政府は与えることが適正な処置であるかどうか、この点をひとつお聞きをいたしたいのでございます。
  186. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府といたしましては、団体協約締結権につきましては現行制度が現状においては適当であると考えております。
  187. 永山忠則

    永山委員 この団体協約締結の問題は九十八号条約関係の問題でありまして、八十七号条約とは直接関係ないと存じますが、政府考え方はいかがでありますか。
  188. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府もさように考えております。
  189. 永山忠則

    永山委員 この公務員団体協約締結権が認められてないということにつきまして総評や自治労からILOに対して提訴があったと聞いておりますが、これに対してILOはどういう判断を下しておりますか、明らかにしてもらいたい。
  190. 三治重信

    ○三治政府委員 公務員で法令によって勤務条件がきめられてあるような場合においては、団体協約締結権を持たなくてもそれはよろしいというのがILOの解釈でございます。
  191. 永山忠則

    永山委員 御答弁にもありますが、八十七号条約公務員の協約締結権とは直接関係がないということ、並びにILO日本のように公務員に協約権を認めないのは通例のこととして承認いたしておると私は思うのであります。  そこで、公務員の協約権について外国の実例はどういうようになっておりますか。
  192. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 まずイギリスでございますが、団体交渉権が認められておりますが、協約は法的効力を有しないということになっております。それから、勤務条件の大部分は法律によらずに、ホイットレー協議会の決定ないしはその協議会を投げた公務員仲裁裁判所の裁定を通じまして大蔵省の規則で定められております。  それから、アメリカにつきましては、連邦職員の給与その他の勤務条件は法令によりまして詳細に規定されて、おります。が、一九六二年、先ほど人事院の職員局長答弁にありましたケネディ大統領当時の大統領令による団体交渉権が与えられておりますが、ただしこれは現在制定されております法令、規則、方針等の範囲内に限られております。  それから、フランスにおきましては、官吏につきましても交渉権がございますが、そのうち組合による交渉と協議会によるものとがございます。官吏の給与その他の勤務条件につきましては法令によってきめられておりまして、それが優先するということで、協約を締結し得る余地というものはきわめて少ないというようになっております。  それから、西ドイツにおきましては、西ドイツの公務員のうちの官吏につきましては、組合によります交渉のほかに職員協議会制度というものがございますが、しかし協約締結権というものは認められておりません。特に給与その他につきましては法令の定めるところによるものということになっております。もっとも官吏以外の雇用人、労務者は協約締結権を有して、その勤務条件はいわゆる一般労働法と労働協約によって律せられる。大体このような状況でございます。
  193. 永山忠則

    永山委員 なお、違法指令の問題その他諸点に対して十分審議を続けたいのでございますが、一応きょうの時間を約束いたしておりますから、最後に申し上げておきます。  ILOでも日本公務員に協約権を与えていないことは認めておるのであります。法令で勤務条件を定められている公務員の場合には協約権がないのがむしろ通例でありまして、ILOは通例であるといっておるのであります。実際に諸外国でも臨時職員や単純労務職員については例外があるのでありますが、ほとんどの国においては、公務員に対する法律上の拘束力を持つような協約権は認めていないのが現状ではないかと思うのであります。かりに協約締結権だといたしましても、法律上の拘束力はないので通常でございますから、これに対する例外はきわめて少ないと思うのであります。ぜひ政府原案を固持していくという方向で私が特にこれを強調をいたしますことは、何といっても、総評下部へ流しました中ではっきり、審議委員会をつくるときにはこの団体交渉権を獲得する、そしてそれは確約があるんだ、しかもそれが法律にならなければ人事局は実質的発足はしないというように書いておるのでございますから、十分ひとつこの点は政府も検討を続けられることを要望いたしまして、残余の質疑は、総理も来ていないし、諸種の点が残っておりますから、一応質疑を留保して、きょうはこれで約束によって終わりたいと思います。
  194. 倉石忠雄

    倉石委員長 本日はこの程度にとどめ、明十三日午前十時より理事会理事会散会後委員会を開会いたすことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十分散会