運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-06-19 第46回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十九日(金曜日)    午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 小泉 純也君    理事 青木  正君 理事 岡崎 英城君    理事 仮谷 忠男君 理事 渡海元三郎君    理事 加賀田 進君 理事 島上善五郎君    理事 畑   和君       宇野 宗佑君    押谷 富三君       鍛冶 良作君    久保田円次君       篠田 弘作君    長谷川 峻君       大柴 滋夫君    堀  昌雄君       山中日露史君    山下 榮二君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治事務官         (選挙局長)  長野 士郎君     ————————————— 六月十八日  公職選挙法の一部改正に関する請願(中垣國男  君紹介)(第四四〇四号)は本委員会に付託さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)      ————◇—————
  2. 小泉純也

    小泉委員長 これより会議を開きます。  この際、先ほど理事会の協議のとおり、内閣提出第一四三号、公職選挙法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  本案審査に関し、選挙区に関する小委員会が設置せられておりますので、この際、小委員長より小委員会経過につき、報告を聴取することといたします。選挙区に関する小委員長青木正君。
  3. 青木正

    青木委員 この際、選挙区に関する小委員会審議経過につきまして御報告申し上げます。  本小委員会は、四月二十二日設置されて以来、小委員のほか常時委員長及び民主社会党委員の出一席を得まして、小委員会あるいは小委員懇談会を数次にわたり開会し、本日まで慎重に審査を続けてまいりました。特に八人区、六人区につきましては、その区の人口沿革域地的形態行政教育関係、さらにまた将来の人口移動等見通しにつき検討し、なかんづく八人区につきましてはヘリコプターによる空中からの視察を含めました現地調査を行なう等、あらゆる角度から慎重なる審査を進めて検討してまいった次第でございます。  かくして、本日、本小委員会において、六人区並びに八人区については、東京都千代田区、港区、新宿区をもって東京都第一区とし、議員数は三人。中央区、文京区、台東区をもって東京都第八区とし、議員数は三人。豊島区、練馬区をもって東京都第五区とし、議員数は三人。北区、板橋区をもって東京都第九区とし、議員数は三人。墨田区、江東区、荒川区をもって東京都第六区とし、議員数は四人。足立区、葛飾区、江戸川区をもって東京都第十区とし、議員数は四人。名古屋市千種区、東区、北区、西区、中村区、中区、守山区をもって愛知県第一区とし、議員数は三人。昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区、緑区をもって愛知県第六区とし、議員数は三人。大阪市西区、港区、大正区、浪速区、住吉区、西成区をもって大阪府第一区とし、議員数は三人。天王寺区、南区、生野区、阿倍野区、東住吉区をもって大阪府第六区とし、議員数は三人とすべきものであるとの結論に達した次第であります。  以上、簡単ではありますが御報告を申し上げます。
  4. 小泉純也

    小泉委員長 以上で小委員長報告は終わりました。     —————————————
  5. 小泉純也

    小泉委員長 ただいま委員長の手元に青木正君及び畑和君より本案に対する修正案提出されました。
  6. 小泉純也

    小泉委員長 この際、提出者よりその趣旨説明を聴取いたします。青木正君。
  7. 青木正

    青木委員 私は、自由民主党及び日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案趣旨につきまして御説明申し上げます。  本年三月二十四日、政府は、選挙制度審議会答申趣旨に基づき、衆議院議員の総定数及び各選挙区において選挙すべき定数について是正を行なうため、公職選挙法の一部を改正する法律案を本院に提出したのであります。  この法律案によりますと、十二選挙区にわたって十九名の議員定数が増加することとなるのでありますが、このうち東京都第一区、第五区、第六区、愛知県第一区、大阪府第一区の五選挙区については、その定数が六人ないし八人となることとなっているのであります。  申すまでもなく、選挙制度にとって、最も重要な、かつ、欠くべからざる基本要件は、すべての選挙区を通じて、各選挙区は平等であるとのたてまえのもとに、一定の原理ないし原則で一貫されていることであります。  ひるがえって、わが国現行衆議院議員選挙制度を見ますると、大正十四年の普選実施以来、一選挙区につき、その議員定数最低三人最高五人を配当するといういわゆる中選挙制度を採用しているところであって、この制度自体の是非については、根本的な議論の余地はあるといたしましても、中選挙区制を維持する以上は、選挙配当定数を三人ないし五人とすべきものであって、この法律案のごとく、大都市を中心として六人区ないし八人区というような例外を認めることは、中選挙区制のたてまえをくずすことになり、妥当ではないことは言うまでもないところであります。のみならず、この間の事情について、政府にただしましたところ、政府真意は、国会審議過程において十分検討の上、中選挙区の原則を維持するために、六人区以上の区については分割するよう修正されたいとのことでありました。よって、当委員会は、選挙区に関する小委員会を設け、前後六回にわたる審議を続けたのでありますが、その過程において種々の参考案検討し、今回ようやく成案を得るに至りました。  選挙区の分割に当たっては、一、分割により設定される各選挙区の人口及び将来人口が、それぞれなるべく均衡のとれたものとなるようにすること、二、行政区域を尊重し、この区域分割することとならないようにすること、三、分割後の選挙区の地域が、それぞれ、地勢交通産業行政的沿革等諸般事情を考慮して合理的なものとなるように定めること、四、分割後の選挙区の地域が、それぞれ、いわゆる拠点中心として地域的なまとまりを示すこととなる等社会的、経済的観点からも地域的一体性を保持することとなるよう配慮すること等の諸原則基本とし、かつ、地域特殊性を勘案して分割いたしたのであります。  以下、各選挙区の分割について特に留意した事項について申し上げます。  東京都第一区については、それぞれ議員定数三名の選挙区に分割することといたしておりますが、分割にあたっては、特に人口均衡をはかるとともに、あわせて行政的沿革産業等事情を考慮して定めたのであります。  東京都第五区については、それぞれ議員定数一名の選挙区に分割することといたしたのでありますが、将来人口推移により均衡を確保し得るとの見通しのもとに、交通機関等による各地域の社会的、経済的一体性等事情を考慮して定めたのであります。  東京都第六区については、それぞれ議員定数四名の選挙区に分割することといたしたのであります。分割にあたっては、人口を基準として行なうことも種々検討したのでありますが、この際は、荒川放水路がこの区を縦断し、自然の大きな境界線をなしているという地理的事情に重点を置くとともに、行政的沿革、社会的、経済的一体性事情をも考慮して定めたのであります。  愛知県第一区については、それぞれ議員定数一名の選挙区に分割いたしたのでありますが、将来人口推移により均衡を確保し得るとの見通しのもとに、地勢交通産業行政的沿革等事情と、南北各地域一体性を考慮して定めたのであります。実大阪府第一区については、それぞれ議員定数三名の選挙区に分割いたしたのでありますが、人口均衡をはかるとともに、同地域の二つの拠点中心とする交通、社会的、経済的一体性等事情を考慮して定めたのであります。  なお、分割後の各選挙区の名称については、改正されない選挙区の名称については変更を加えないこととする方針に立ち、現行の各選挙区の編成順位に従い、それぞれその順位により名称を付することといたしたのであります。  最後に、修正案は、政府案どおり現行公職選挙法別表改正するものではなく、その附則において、当分の間の措置としているのでありますが、これは、議員定数是正は、本来は、その前提となる選挙区制根本的検討とあわせて考慮すべきであるとの選挙制度審議会答申趣旨にのっとったのであります。  以上が修正案の概要であります。何とぞ御賛同の上御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 小泉純也

    小泉委員長 これにて修正案趣旨説明は終わりました。     —————————————
  9. 小泉純也

    小泉委員長 本案及びこれに対する修正案について質疑を許します。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山下榮二君。
  10. 山下榮二

    山下委員 まず最初に、自治大臣に、本法律案提出方法についてお伺いをいたしたいと思うのであります。  提案理由を私は拝見いたしますと、「当分の問、暫定措置として、四百八十六人とする」となっておるのであります。この十九名の増員ということは、院の構成の上から考えましてきわめて重大な問題でございます。この重大な問題が当分の間暫定的措置というような表現で行なわれるということは、一体その理由が那辺にあるか、われわれは理解に苦しむのであります。この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  11. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御案内のとおり区制根本的に変えるということは容易ならぬ事業でございまして、いま御案内のとおり審議会のほうでもいろいろ御検討過程にあるわけでございます。しかしながら人口アンバランスはどんどん進んでまいりますので、一つの過渡的な方法として定数是正をやらざるを得なかった。根本はやはり区制そのもの検討も進めていただき、その節は根本的に別表改正する日がくると思います。ですから答申の中にも「さしあたり」ということばが使ってありますが、その別表改正に至るまでの間定数是正、つまりアンバランス是正はこれでやるという御趣旨でございますので、私どもといたしましては審議会のその考え方を尊重いたしまして、こういう表現を使ったわけでございます。
  12. 山下榮二

    山下委員 わが国衆議院議員定数が、大正十四年に普通選挙法通過と同時に四百六十六名と規定されたことは御承知のとおりでございます。それ以来今日まで定数の増ということは昭和二十八年奄美大島群島日本復帰の際、政府奄美大島群島民に対しまして一日も早く国政参与機会を与えたいということで、特別区を設けられて選挙が行なわれたことは御承知のとおりでございます。そのときの提案がちょうどいまと同じように、当分の間暫定措置としてという表現提案に相なり、これは当然過ぎるほど当然の表現であろうと私は想像いたしております。当時の自治担当大臣であった塚田長官は、来たるべき次の選挙法改正の際にはこれを鹿児島県第三区に併合する旨の答弁を行なわれておるのであります。ところが今回はこれが一人一区として恒久化されたことも御承知のとおりでございます。ところが私は、そういう場合ならいま申し上げるような表現が行なわれると思いますけれども、十九名の増員というきわめて院の構成に大きな問題のときに、暫定的措置ということを言われたのでは、いま答申云々とおっしゃいますけれども、これでは納得できがたいのであります。  さらに、私がもう一つ伺いたいと思うことは、この改正に対しまして選挙法根本法を変えることなくして附則でこれを改正されておる点であります。御承知のとおり選挙法は、第四条に「衆議院議員定数は、四百六十六人とする。」と規定をされておるのであります。十九名ふやすのであるならば、なぜ本法であるこの第四条の衆議院議員定数を四百八十六名とする、こういうことに改正をされないのか。私は、附則で院の構成に重大な影響を与える定員増改正されるということについては、あまりにも議員というものの定数に対する考え方が軽率過ぎるやり方ではなかろうかこう考えるのであります。もっと院の構成議員増員ということには慎重であってしかるべきである。しかもそのことは本法改正するのが当然過ぎるほど当然なことではなかろうかと思うのであります。また一面この文章から解釈をいたしますならば、当分の間暫定措置として十九人ふやすということになりますならば、そのふえた十九人の人は暫定的当分の間の議員ということに解釈せざるを得ないのではなかろうか。本法にある四百六十六人というものがほんとうの法律に基づく議員であって、あとは附則による当分の間の暫定議員という、こういう変則な解釈ができるのではないかということをおそれるのであります。これに対しては一体いかようにお考えになっているか承りたいと思います。
  13. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 附則による議員若干名などというものができるわけではございませんので、やはり法律効果から申しますと本法でも附則でも同じであると考えております。いずれも軽重がない。つまり本法があり、片一方附則があることは、附則本法に何か劣るがごとき印象を受けるかもわかりませんけれども、私どもとしては効果の面では全然同じであると考えておりますので、附則で生まれた議員ということは出てこないと考えております。
  14. 山下榮二

    山下委員 もう一つおっしゃることが私に理解できないのですけれども附則というものはこれは本法を補うためにできるのが附則であって、議院の構成という重大な問題が本法を補うための附則にあるということは、どうも理解に苦しむのですが、一体どういうことに解釈なさるのでしょうか。
  15. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほども申しましたように、別表そのものを全面的に改正する場合にはこういうことは起こり得ないと思います。しかしあくまで、先ほど申しましたように定数是正がほんの一部、全体から言ったならばほんの一部行なわれているわけでございますので、暫定措置的な方法をとったわけでございます。しかしながらそれをやったからと言って、法律効果においては本法を変えたものと附則でやったものとは全然違わない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  16. 山下榮二

    山下委員 附則で変えたことが本法と変わらない、こうおっしゃることは、私は、衆議院議員、本院の議員定数というものに対する当局のお考え方というものがきわめて軽挙だと申しますが非常に重要視されざる考え方にほかならぬと思うのであります。院の構成というものに対しましてはもっと重要に取り扱うべきものである、かように私は考えるのであります。  さらにもう一つ伺っておきたいと思うのは、附則で扱うくらいでございますから、それでは今回の改正に対しまして区割りを行なうということは、別表をいじらなければならぬということになってまいることは当然であります。そういたしますと、これは根本的な改正とほとんど変わらない姿になってまいるのであります。こういう重大なものに対して政府はなぜ定員増だけを提案をして、区割り国会審議過程で御決定が願いたいということで御提案になったのであるかその真意が私にはわからないのであります。申し上げるまでもなく、選挙区ということにつきましては、議員の身分の上にきわめて重大な関係を持ってまいるのであります。それが議員みずからがみずからの区割りを行なうことはゲリマンダーということのそしりを免れないのであります。ことに大臣は、過般来地方議員お手盛り歳費の条例を決定するということに対して鋭いメスをふるわれて、これは第三者のいわゆる審議会をつくって決定すべきである、議員みずから行なうべきではないという通達をお出しになって世間に相当大きな問題を起こしてまいったことは御承知のとおりであります。そのことと、いまここに行なわれようといたしておりまするところの、議員みずからがみずからの利益に関係の深い区割りを行なうということとを一体いかようにお考えになっておるのでございましょうか。私は、かつて赤澤自治大臣地方議会に対して通達を出されたことはもっともなことであり、きわめて適切な処置をとられたと考えておるのでありますが、これとあれとをあわせて一体いかようにお考えになりましょうか、御所見を伺いたいと思います。
  17. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方議員報酬のことを持ち出されたわけでございますが、国会は言うまでもなく国権の最高機関である、これ以上国会を左右する力というものはないわけでございます。ですから歳費の場合も本来は地方議員報酬とは全然意味が違うわけでありますけれども、それを混同している方があるのでございます。それははなはだ残念であると思う次第でありますが、それとはやはり別に、区割りなどの問題もお手盛りといえば見方によっては言えるかもしれませんが、しかしながら本来、おそらく山下委員がおっしゃるのは第三者機関である審議会があくまで割るべきであったということでございましょうが、実は割られないままで御答申になりましたので、さてどうすればいいかということをいろいろ考えました結果、これをへたにいじりますと、またゲリマンダー的な非難があちこちから起こってもまいりますし、一応案は小委員会のほうでも御要求にもなりましたので、自治省としては純粋に、いろいろな議員個々のお立場ということでなくして、やはり人口アンバランスのあまりひどい選挙区については地理的にそれから沿革的に、それから人口のぐあいをにらみ合わせまして、実は腹案を持っておりましたものを提示いたしたわけでございます。そこで各党でもってこれを公平に御審議いただきまして、そして結論が出かかっておるわけでございますので、審議過程でこれを分割するということはなかなかなまやさしいことではありませんし、各党意見が違えばこれは成立するはずのないやり方でございまするので、だいぶん途中では心配もいたしたわけであります。しかしながら、大体においてわれわれの原案というものがきわめて公平に割られてあるという点をくみ取っていただきまして、だんだんこれでいいのじゃないかというふうに固まってまいったように私は承知いたすわけでございまして、なかなか本来やりにくいことでございまするけれども、皆さんの良識にささえられて、この過程を通じてゲリマンダー的なものが介入していないということだけはだんだん認めていただいておると思います。山下委員がおっしゃるとおりに、審議会で割ってもらったのが一番よかったのだと思います。私もそう思います。しかし今国会でやはりこれをきちっと終末をつけませんと八人区、六人区、こういうものをつくったままで法案を通すわけにもまいりませんし、かといって旧法のままということにもまいりませんし、やむを得ない措置としてどうか御了解をお願いいたしたいと思います。
  18. 山下榮二

    山下委員 冒頭にも申し上げましたように、政府提案趣旨が当分の間暫定措置ということでございますから、おそらく次に抜本的な基本的な選挙法改正の用意があり、そのお心づもりがあるということを予想せなければならぬと思うのであります。そういうことでございますならば、いまここで議員みずからが自分の利害に関係の深い区割りを行なうということは、政府として当を得た処置ではない。かような提案やり方というものは、われわれは納得できがたい政府提案やり方である。申すまでもなく、いま大臣もおっしゃったように選挙制度審議会から二回にわたって答申が行なわれており、また政府はこれにいろいろの諮問をされておることでありますからして、これらの機関決定して国会提出してくるならば世間了解し、いかにゲリマンダーではない、公平妥当な区割りが行なわれたと、こう言いましても、地方議員歳費もしかりであろうと思うのであります、公平な妥当な歳費決定であっても、議員みずからがきめたのではお手盛り歳費であると非難されてもこれはやむを得ないことであります。したがって大臣は、これも第三者審議会等決定をしてもらいたい、それが額の高い低いじゃなくて、世間を常識的に納得せしめる一つ方法である、こう考えるならば国会における衆議院議員選挙区割りというものもしかるべくあって正しいものだ、こういうことが言えると思うのであります。  さらに、私は先ほど青木委員長の御報告を伺っておりましても、日本選挙制度というものは大正十四年普通選挙以来中選挙区制というものをとって最低三人、最高五人という数字できている、この慣例に基づいて行なわれたかのように拝聴いたしたのであります。先ほども申し上げましたように、奄美大島の特別区である一人一区というものを塚田大臣は来たるべき次の改正のときには鹿児島県第三区に併合すると言われたが、今回はこれが恒久化して一人一区ができたのであります。従来の三人ないし五人といういわゆる原則というのはここでくずれ去ったと申し上げても過言でないのであります。したがいまして、この機会に無理をして区割りをせいでも、六人ないし八人という区があっても法律上何らこれに疑義をはさむ余地はないと考えているのであります。さような観点におきまして、私は政府提案そのものに大きな疑義をはさんでおるのであります。したがいまして政府は今後かような提案のしかたはなさるべきではない、もう少し筋の通った明快なかっこうで国会法案提出をさるべきものであろうと私は考えておるのであります。このことを一応申し上げておきたいと思うのであります。  さらにもう一つここに希望を申し上げておきたいと思うのですが、選挙制度審議会は引き続いて審議会構成される予定だろうと思うのであります。この審議会は、明年度に行なわれる国勢調査に基づいて、先ほども申し上げましたように、抜本的な選挙制度改廃を行なわれる意図のもとに審議を進めてもらうように答申されるのであるか。その辺はいかよう政府はお考えになっているかこの際伺っておきたいと思うのであります。
  19. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 審議会は間もなく新しい構成メンバーで出発するわけでございますが、将来この審議がいずれの方向に向かっていくかということについては、私は申し上げることは避けたいと思います。いままでの審議過程でもごらんになっておるとおりに、なかなかきびしい案が出るのではないかとも予想されまするけれども、私の立場として申し上げることはできませんので、どうかひとつお許し願いたいと思います。
  20. 山下榮二

    山下委員 それでは少し筋が通らないのではないかと私は思うのであります。先ほどから何回も申し上げまするように、当分の間暫定措置としてという提案があった限り、来たるべき次の審議会には、おそらく明年度に行なわれる国勢調査の結果、その人口分布状態あるいは日本民主主義議会制度のあり方、これらに基づいた抜本的な改正諮問が行なわれ、それに基づいて政府基本的な抜本的な改廃を行なうという意図を持っておられて、初めて先ほど申し上げた当分の間暫定措置ということばが出てこなければならぬと思うのでありますけれども審議会はつくる予定ではあるが、まだそれに諮問することを自分から申し上げることはできかねる、こういうことでは少し納得がいきにくいと思うのですが、やはり政府としては一貫した一つ方針のもとに、法律案というものは将来を見通し、現実の実情に即するように、おそらくそれぞれの法案というものは出てくるであろうと思うのであります。ことに選挙法のごときは理想に向かっていかなければならぬ制度でございますから、しかるあって当然のことであろうと思うのでございます。私はいまの大臣のおことばでは了解ができがたいのでありますが、一体どういうわけでしょうか。
  21. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御案内のとおり、一般的な諮問は出ておるわけでございまして、ただ、問題になりました資金のことだとか、いろいろなことがまだペンディングになっておるわけでございます。こういったものをいろいろ御審議願って、抜本的な意見も出していただき、答申もいただかなければなりませんが、同時にやはり区制のことも当然問題になるわけでございます。しかし、それがどういう方向をたどるかなどということについては、私としては先ほど申し上げかねると言ったわけでございます。しかしながら暫定措置などでなくて抜本的な一つ答申が出ることを私期待はいたしております。
  22. 山下榮二

    山下委員 それでは、もう時間も相当たったようでございまして、なるべく簡単にということでございますから、簡単に申し上げますが、答申案を見ますると、過般私は質問も申し上げたと思うのですが、沖繩に対して、旧沖繩県を一選挙区として暫定的に四名の議員の割り当てを行なっておくべきであるという答申が出ておるのであります。ところが、政府提出案によりますると、この答申は認められていないのであります。いま御承知のとおり琉球政府行政権をめぐりまして非常に紛糾をいたしておる。私は、こういうときにこそ、選挙法改正のときに答申案どおり政府が一選挙区として四名の議席数の割り当ての方法をとっておられるならば、沖繩住民もさぞかし日本復帰を期待して喜ぶではなかろうか、こう思うのであります。しかるにこれが答申がいれられなかったという理由は一体どこにあるのでしょうかお考えを伺いたいと思うのであります。
  23. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これはやはり見解の問題であると思います。事実選挙したくてもできぬわけでございますので、沖繩県の皆さんにとってはまことにお気の毒だと思います。しかしながら、選挙のできぬところへ形だけでも議席を割り振っておくということはいかがなものかと思いまするので、今回この答申だけは私どもは実際問題として採用はいたしませんでしたが、しかしながら沖繩復帰が実現いたしました場合には機を逸せずすぐに割り当てはできるわけでございますので、私たちは一つのそういう見解のもとに、この扱いをいたした次第でございます。
  24. 山下榮二

    山下委員 それは見解の相違でございましょうが、非常に気の毒な同胞である沖繩県民というものに対するおもんばかりが非常に足りないと私は思うのであります。いま行政権をめぐってもめているようなあの気の毒な琉球住民というものに対して一つの希望を与えるような方策をとってしかるべきである、こう思っておるのであります。今後政府としてもひとつよくお考えのほどがいただきたいと思うのであります。  最後に、次の選挙制度審議会は、ぜひ、先ほど申し上げましたような姿で審議会が発足し、抜本的な改廃方針が定められるよう、この機会にひとつ希望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  25. 小泉純也

    小泉委員長 以上で質疑は終了いたしました。     —————————————
  26. 小泉純也

    小泉委員長 これより討論に入ります。  本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。山下榮二君。
  27. 山下榮二

    山下委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、今回政府提出をされました衆議院議員の十九名の増員に対しましては賛成をいたすものであります。しかし、いま修正をされました区割りについては遺憾ながら賛成いたしかねるのであります。  その理由については、先ほども申し上げましたように、すでに三名ないし五名という中選挙区の慣例というものは奄美大島の一人一区制度ができたところでくずれ去ってまいってきておるのであります。ここに六人、八人という区ができても、何ら法律疑義をはさむ余地のないことは当然であります。また、こういうかっこうで選挙区というものが区割りを行なわれるということは、一つの第三党を締め出す結果のようなきらいがあるのであります。はなはだ申しにくいことではございますけれども、自民、社会の両党で話し合いができて、選挙区割りをやるということは、自民、社会の一つゲリマンダーであると断言せざるを得ないのであります。かように考えまして私たちは、どこまでも選挙区割り第三者審議会をつくって、公平妥当な区割りが行なわれることを期待してやまないのであります。  かような観点からいたしまして、さきに申し上げましたように、自治大臣の、地方議員報酬に対するお手盛り審議をやめて第三者による審議会構成して妥当な線で決定をしてもらいたいという通達と同じように、衆議院議員の直接利害関係の深い選挙区割りについては審議会をつくって、審議会で慎重審議決定をされて国会提案さるべきものであるということを信じて疑わないのであります。  かように考えまして、いまここに提案をされました修正案に対しましては、遺憾ながらわが党は賛成できがたいのであります。  以上申し上げまして、私の反対の討論を終わります。
  28. 小泉純也

    小泉委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、青木正君外一名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  29. 小泉純也

    小泉委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  30. 小泉純也

    小泉委員長 起立総員。よって、内閣提出第一四三号、公職選挙法の一部を改正する法律案は、青木正君外一名提出修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  31. 小泉純也

    小泉委員長 ただいま青木正君、畑和君及び山下榮二君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されました。  この際、その趣旨説明を聴取いたします。畑和君。
  32. 畑和

    ○畑委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、附帯決議の趣旨について御説明を申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    附帯決議(案)   今回の定数改正選挙制度審議会答申により昭和三十五年度国勢調査人口を基準にしているため、四年を経過した今日においては、東京都第六区を始め、既に多くの人口議員定数アンバランスを生じている。  よって政府は、次期国勢調査の結果に基き、更に合理的改訂を検討すべきである。 以上であります。  提案理由説明を申し上げますが、ほとんどこれに尽きていると思います。けれども、われわれが選挙制度審議会答申によって今度の改定をいたしたのは、昭和三十五年度の国勢調査人口をあくまでも基準といたしておりますために、四年の経過がございまして、すでにこの間の衆議院議員選挙のときの人口をもっていたしましても、昭和三十五年度の国勢調査人口よりもだいぶ移動があるのでありまして、いわんや次回の国勢調査人口を基準にいたしますならば、相当のアンバランスになると思います。われわれが審議過程においていろいろ調べました結果によりましても、東京都の六区をはじめといたしまして、すでに多くの人口議員定数アンバランスが生じておることは事実でございます。こういう観点から、われわれは今般附帯決議をつけて、この附帯決議によって政府が次期の国勢調査の結果に基づいてさらに合理的な改定を検討すべきであるというふうにいたそうとする次第でございます。  どうか賛成のほどをお願いいたします。
  33. 小泉純也

    小泉委員長 採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  34. 小泉純也

    小泉委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣より発言を求められておりますので、これを許します。赤澤自治大臣
  35. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 附帯決議につきましてはもっともでございますので、御趣旨は私は尊重いたしたいと思います。  それから修正案につきましては、私ども政府でも内閣の了解も得ておりますし、賛成でございます。     —————————————
  36. 小泉純也

    小泉委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 小泉純也

    小泉委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  38. 小泉純也

    小泉委員長 次に、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  公職選挙法改正に関する件につきまして、閉会中もなお調査を行なうことができますよう議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 小泉純也

    小泉委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関しおはかりいたします。  ただいまの閉会中審査申し出案件が付託され、現地調査の必要が生じました際には、委員を派遣し、調査をいたしたいと存じます。  つきましては、派遣委員の人選、期間、派遣地その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 小泉純也

    小泉委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、この際おはかりいたします。  閉会中の理事辞任の件、並びに欠員を生じました際の補欠選任につきましても、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 小泉純也

    小泉委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十七分散会