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1964-04-10 第46回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十日(金曜日)    午後一時十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 渡海元三郎君    理事 青木  正君 理事 宇野 宗佑君    理事 辻  寛一君 理事 島上善五郎君    理事 畑   和君       上村千一郎君    押谷 富三君       亀岡 高夫君    久保田円次君       小島 徹三君    篠田 弘作君       藤田 義光君    山下 榮二君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         自治事務官         (選挙局長)  長野 士郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)      ————◇—————
  2. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。押谷富三君。
  3. 押谷富三

    押谷委員 現行公職選挙法は、これによりまして昨年の春の統一地方選挙、秋の衆議院選挙の二度の選挙が行なわれておるのでありますが、その選挙を通じましてつくづく感じました諸点について、この公職選挙法立法上の欠陥あるいは解釈上の問題等もあると思いますので、大臣並びに法務省関係にも御出席をお願いしておいたのですが、法務省はまだお見えになりませんから、あとでまたお尋ねすることといたしまして、自治省関係だけにまずお尋ねをいたしたいと思います。   〔渡海委員長代理退席宇野委員長代理着席〕  第一点は、公職選挙法前回改正によりまして、衆議院参議院知事指定都市市長選挙において、それぞれの候補者選挙運動のために使用する自動車車種制限でありますが、これは有蓋乗用車でなければならぬ規定があります。この規定がありますから、そこで候補者有蓋乗用車にいろいろ装飾を施して宣伝カーをつくったのでありますが、実際の問題としては、この法条の適用を免れて、あえて脱法ということばは使いませんが、候補者トラックに乗って、手を振って街頭を流したという姿があったのであります。これは春の選挙から出てきたのであります。春の選挙において、大阪の場合においては知事市長がこの車種制限を受けるのでありまして、われわれが推薦をいたしておった候補者は、法律規定に基づいて、有蓋乗用車装飾を施して宣伝車をつくり、街頭に出たのでありますが、その際、これは一騎打ちの戦いでありまし一たが、革新系候補者知事市長ともトラックに乗って街頭を流したということで、初日においてたいへんなハンディがついてしまったのです。これは選挙人から見た場合において、トラックに乗って頭を下げて流していく姿と、乗用車に乗ってすわっている姿とでは、たいへん大きな相違が感情上生ずるのであります。この点は、そういうことが許されるかどうかというところに問題があるのでありますが、私は当時党の世話もしており、また選挙世話もいたしておった者として、これはたいへんな事柄であると考えて、いろいろ研究をいたしたのでありますが、法律解釈上、研究すれば、そういうトラックに乗っていった革新系のほうが賢かったということです。乗用車にすわって流しているほうは愚かであったというような結果が実は出た。私も驚いたのであります。  そこで、法条解釈上問題のある点というのは、百四十一条の規定によりますと、「主として選挙運動のために使用される自動車」こういう字句が使われているのです。これは主として候補者選挙運動に使う車については車種制限を受けるというたてまえになっているのですが、問題は主としてということばにあるのです。主としてということば反面解釈は、従としてというものがあり得るのです。原則としてと書かれれば、例外というものが考えられる。常にということばがもしあれば、臨時ということば考えられる。こうして「主として選挙運動のために使用される自動車」とあれば、従として使う自動車制限からはずされるということも一応考えられるのです。そこで、罰則の伴っているこの選挙法に、主としてというあいまいなことばが使われておりますから、そこで、主として使う自分自動車うしろについてくる。この有蓋乗用車うしろにつけまして、臨時に私が使っている車はかまわぬのであるという、この主としてということば解釈の重点を置きまして、社会党民主社会党というような党の宣伝車なのですが、トラック宣伝単をこしらえて、これを主として候補者が使ったのです。ところがうしろにつけているのは候補者専用の、主として使う有蓋単です。候補者が実際に乗っているのは無蓋車です。どうにもならぬ。当初から大きなハンディがついたのです。こういう問題についてわれわれは非常に困ったのですけれども自治省としてはそういう関係は御承知になっておりますかどうか、まず伺いたいと思う。
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりのことが、その他にも実際にやってみていろいろ出てきておると私は思います。これはたしか昨年の秋きめたばかりでございますが……。
  5. 押谷富三

    押谷委員 春の統一選挙に使ったのです。一昨年きめたものです。
  6. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 法の精神というものが逆用されておるのではないかと思います。その事態は初めて私承りましたが、あのときに私ども耳にいたしました議論では、主としてということばは、やはりやむを得ざる場合があるじゃないか、たとえば急速に候補者演説会場に移動するとかいうような場合に、あまりこむずかしいことを言ってはいかぬのじゃないかというぐらいのことで、こういう副詞が置かれたと私は考えております。それを逆にとって、ただいま押谷委員が御指摘のようなことが起こっておりますと、やはり取り締まり当局としては、公平を期する上において統一的な見解を発表しなければならぬと思います。
  7. 押谷富三

    押谷委員 これは当時問題になりまして、実は警察の関係でありますとか、あるいは検察の関係者にも相談をいたしたのでありますが、事実候補者無蓋車に乗っていることははっきりしている。しかしながら、その無蓋車が主として選挙用に使われているかどうかということの立証、主としてということについての実態を把握することができないから、これは手を触れることができないという当時の当局意見であったのです。そこで私もやらなければ損だという感じはいたしたのでありますが、しかし、あくまでも法のたてまえ上、いま大臣の御答弁のごとく、その精神に従って有蓋車をもっぱら用いてきたのであります。しかし問題点はとこにあるかといいますと、主としてということば一つであります。  いま一つは、候補者運動に使う車は車種制限がされておりますが、政党政治活動用の車、主として選挙活動用政党の車についてはこの車種制限がないのです。ここに法の欠陥考えられるのであります。申すまでもなく、候補者が多数ある場合において、すべての候補者が同一の条件において、平等な形において戦うのが法のたてまえでなければなりませんが、実際の問題からいきますと、一選挙区に一人の公認候補を持っておる政党の場合と、一選挙区に数人の候補を持っている政党の場合との関係から、大きな相違があるということが一つあるのです。政党の車は制限はありますが、その選挙区へ政党の車が入ったときに、それを利用するのに、単一の候補者であれば一〇〇%その車の利用ができるのです。その車を使うことができ、しかもその車に候補者が乗ることは、もちろんたてまえ上自由でなければならぬのです。しかもその政党選挙用の車は車種制限はありませんから、トラック改造のものだってよいはずなのです。そうすると、その車をフルに使うということは、政党無蓋車候補者が乗って終日選挙区を回ることができる。その場合に、主として使う自分有蓋車うしろにつけてきている。これでこの車種制限という法律は、すっかり空文になってしまうのであります。これは現実に行なわれている。それが複数の候補者を持っている政党でありますと、一つの車に二人乗るわけにはいきません。したがって、その政党の車の活用、無蓋車に乗っていくという運動には相当制約を受けるわけでありまして、選挙候補者はいずれも平等の立場において、平等条件のもとに戦わさなければならぬのが法のたてまえであり、選挙の公正を保持する最大の道でありますが、しかし実際の場合におきまして、この二つの選挙を通じて私どもが見てまいりました姿といたしましては、ここに大きな相違が生じておる。これは政党の主として選挙に使う、選挙活動用の車について車種制限がないという、この点から出てきた一つ弊害であり、あるいは政党選挙活動用政治活動用の車は選挙期間候補者がそれに乗って街頭運動をするということが許されるかどうかということにもかかっている問題でありますが、これは実際問題として私の痛感しました、法の欠陥といえば欠陥解釈上の問題といえば解釈上の重大な問題である。それが現実と結びつく場合におきまして、ただいま申し上げましたような具体的な事実が現実に出ているのでありますから、法の制定上、立法上これは配慮すべきではないかと考えますが、この点について御意見を伺いたい。
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 やってみますと、そういう法の精神をじゅうりんしていろいろなことがやられる、こういう事実は御指摘のとおりに非常に不公平になりますので、そういう問題は、いま法の改正をしなくても、やはり統一見解を発表することによって公平が期せられるのじゃないかと私は判断いたします。昨日も、実はこの問題について議論したのですが、たとえば有蓋車といっても、ジープなんかの場合に、前のほうのほろを上げて首を出したら、それは違反であって、横の窓から首を出したら、それはいいのだ、そういったようなことまで掘っていけば、実に妙なことがたくさん出てくることは、まあお互いに選挙を経験した者にとってはよくわかることでございますので、御指摘になりました点などは十分検討いたしまして、今後は公正を期したいと考えております。
  9. 押谷富三

    押谷委員 いま申し上げた問題は、罰則を伴う選挙法といったような法律で、しかもその規制という事実にかんがみまして、主としてというようなあいまいなことばが使われて、その反面、従として使う車は無制限であるというような、かりそめにも解釈ができる、反面解釈余地を持っているような条文は、私は欠点だと思います。これは法の欠点である。その法の盲点を巧みについた者は、今後も車を適当にコントロールができるということになるかもわかりません。これは私は解釈上なり得ると思うのです。だから単に解釈統一見解を明らかにされるというよりは、むしろこの立法について欠陥を是正するという処置をおとりになるように御研究を願いたいと存じますから、その点を要望いたしておきます。  もう一つ、これは重要なことでありまして、これも前回公職選挙法改正に際して改正された点なんです。改正されたが、私は実は法律専門家なんですが、私の専門立場から見て、これは明らかに改悪だと思うのがあるのです。それはこの公職選挙法違反に問われている罪種によりまして、公民権の不停止処置を奪っているということであります。罪種によって、公民権の不停止はできない、ただ停止期間短縮だけができるというように改められていることは、御承知のとおりであります。これは何でもないようなことでございますが、現実からいけばたいへんなことであります。すでにお聞き及びだと存じますが、ある裁判所裁判官が、その罪種罪質をながめて、この事件は何としても気の毒な事件であるから公民権を不停止にしよう、こう考えたのです。そうして、不停止判決を下したのです。ところが、これは公職選挙法判決自体違反している、違法判決でありまして、直ちに検事控訴になり、この判決控訴審において破棄になったのでありまして、一年の公民権停止という最短停止をやった。ところが、この場合において、公民権停止最短の一日ということにいたしましても、かりにその人が公職についている人であったとするならば、その判決の確定によりまして公職を失うという重大なことがあるのです。これはたいへんなことで、われわれ全体が考えなければならぬことであります。われわれの同僚の中にも、ずっと前の参議院議員選挙に関連して起訴されている人があります。この人の事件を私は相談を受けたことがあるのですが、どう見てもごく軽いもので、有罪とするならば、ただその場所におったということくらいですから、当然不停止になるものなのですが、しかし条文からいきますと、不停止処置ができない事態になっている。そうすると、かりに一日の停止がありましても、これは衆議院議席を失うのです、地方議員議席を失うのです。こういう人がたくさんあるのです。これからも出てくることが予見される。裁判官は、犯罪情状選挙違反情状のすべてを判断して、大幅な酌量権を持たすというところに生きた判決ができるのです。これは憎むべきものであれば、五年の停止にしたらいいのです。少し情状酌量したならば、短縮することができる。その情状がたいへん同情に値するものならば不停止処置をするというように、生きた裁判をしようと思うと、裁判官酌量余地を十分に与えるのがよい裁判であり、よい法律であると思います。それが前回選挙で不停止処置ができないように改正されているのですが、この点について大臣の御意見を伺いたいと思います。
  10. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この点は全く私は同感でございまして、御指摘のとおりだと考えます。やはり量刑と申しますか、刑の裁量権裁判官に持たすべきであって、あらかじめいろいろな事情があるということを承知の上で、こういうふうに法律できめてしまうということは、私は反対でしたけれども、勢い込んであのときに選挙法改正をやったわけなんです。私は議論を聞きながら、みんなで自分の首を絞めるようなことを議論をしているわけですから、これは妙なことが出てくると実は思っておったわけです。はたせるかな、押谷議員が御指摘になるような点が、人によっては一日の停止であっても、御承知のとおりにみんなそれぞれ議席も失わなければならぬ、いろいろ重大な問題が含まれておるわけでございますので、やはりこういった問題については、裁判官自由裁量に一応まかすといった形が正しかったのではないかと、私も現に考えておるわけでございます。
  11. 押谷富三

    押谷委員 これは一つ問題点を提供いたしたわけでありますから、御当局におかれてよく御研究に相なりまして、これからの選挙法改正のいろいろの問題の御研究にあたりまして、ひとつお取り上げを願っておきたいと思います。  もう一つ裁判との関係において、従来からの問題でありますが、非常に大きな弊害のあるもので、しかもそのままなおざりにしてあるものがあります。それは不停止裁判の場合なんですが、裁判において選挙権、被選挙権停止するという、この停止ということは、非常に大きな制裁なんです。実際はそのこと自体が私は処罰内容をなすものだと考えております。処罰内容をなす公民権停止に対して、略式命令でも、裁判主文においてもこれを書かないのです。書かなくても、公職選挙法そのものに書いてあるのだから、本条で罰せられたものは五年間公民権停止するんだというこれに基づいて、何にも言わなければ公民権は五年間停止されるんだ、こういうようなたてまえで、実は裁判には何も書いておりません。これが大きな悲劇を生んでおるのでありまして、私の相談を受けたもの、あるいは私の聞いたものだけでも相当数あります。略式命令で、罰金五千円に処す、これを払わなければ一日何ぼに換算して労役場に留置するというようなことは書いてあります。あるいは五千円の追徴金についての主文もあります。そういう追徴金主文あり、罰金あり、そして納めなかった場合における体刑に換算する方法も書かれているが、しかし肝心の公民権停止は何も書いてありません。そうすると、これを受け取った、現在市会議員であるとか町会議員である人が、自分罰金さえ納めたらいいのだ、公民権はそのままで助かっているのだ、こう考えるのです。これは、しろうととしてはあたりまえのことです。そう考え罰金を納めてしまう。あとになってから、五年間停止だというので騒いで、その職を奪われている。中にはそのまま一年くらい歳費をもらって職におったというような事実さえあるのです。たいへんこっけいなことさえ出てくるのですが、それはこの公民権を奪うという重大な制裁判決主文に書かないという、今日の制度が悪いのである。略式命令主文にそれを書かないということが間違っているのでありまして、国民に対して非常に不親切な法の扱いである。これがたとえ一年に短縮されても、四年に短縮されましても、短縮されるとその短縮期間がありますから、公民権を四年間停止するとか三年間停止するとかということが主文に書かれている。五年になると何にも書かれない。ここに大きな矛盾があるのです。その矛盾悲劇を生んでいるのです。大衆選挙法を全部知っているというような——知らなければならぬことをたてまえにしておりますけれども現実はこんなむずかしい法律大衆が知ろうはずがないのです。現に公職についている議員人たちでさえ、主文に何も書いてない、罰金を納めろというだけであるから公民権は助かっているのであるという誤解を招いて悲劇を生んでいる事実を考えると、これは裁判の本則というところから見て、少なくとも処罰内容をなしているものならば、これは主文に掲げるべきものである、そういうように法改正をすべきものである、これが私は親切だと思うのです。私の経験から出ている切実な願いでありますが、これに対してどうお考えになりますか。
  12. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この点も同感でございますが、どうもこと法務関係でございますので、私から決定的な意見を申し述べることは避けたいと思います。しかし選挙違反そのものに、悪質だとかなんとかということばがありますが、良質の選挙違反というものもないと思いますけれども、しかしながら、たくさん起こってまいります事件を見ますと、ほんとうに軽微なもの、買収だとか供応だとかいうのは別ですけれども裁判所は案外選挙違反というものを十ぱ一からげで、こう言っちゃことばは悪いですけれども、案外簡単に処理なさるのじゃないか。ところがほんのわずかな罰金だって、払ったら、それにはいまおっしゃるように重大な問題がくっついておる。公民権停止されたって何ともないという人も中にはいますけれども、いまのように、国民としての一つの重大な権利と申しますか、地位を奪われる場合もあるわけでございますので、やはりこれは、他省でお考えになることでしょうけれども、私ども立場からいたしましても、全く御指摘のとおりであると思います。
  13. 押谷富三

    押谷委員 これも非常に大きな問題でありますから、直ちにどうしてくれというわけにもまいりますまいが、しかし選挙法改正によってやはり是正せなければ、裁判所関係だけではできない問題であります。現行法のもとにおいては、公民権停止の場合においては主文にはこれを載せない、主文には掲げないという扱いになっておりまして、現行法のもとにおいては扱いは私は正しいと思うのです。しかし、公民権停止するということは国民にとって重大な問題ですから、この重大な制裁については当然主文に掲げるべきものであるというようにすることは、やはり公職選挙法改正をまたなければならぬと思いますから、一つ問題点として提供いたしておきます。これはぜひ考えてもらいたい。  お急ぎのようですからもう一点だけ。この選挙法の中に、違反をしながら、悪いことをしておるという認識をだれも少しも持っておらぬ条文があるのです。それは第三者が候補者飲食物を贈ってはならないという規定なんです。ちょうど刑事局長もお見えになりましたから伺うに都合がいいと思うのですが、大体選挙法の物の授受におきましては必要的な共犯でありまして、もらう者もやった者も両方罰せられるのです。ところが候補者飲食物を提供するというのは、提供者だけが罰せられて、もらった候補者処罰はないのです。まことに片手落ちの法律なんですが、しかしこの法律が守られておるかどうかということについて問題があるのでありまして、条文はちょっと忘れましたが、確かにあります。大臣選挙をおやりになって、大臣選挙事務所にお酒が百本も二百本も陣中見舞いとして集まっておることは、御承知のところだと思います。皆さんのところも同様、お酒が百本も二百本も、しかもどこそこ知事だれがし陣中見舞い名前を明らかに書いて、しかも自分職柄も明らかにして、陣中見舞いに酒三本、五本と届ける。これが山のように積まれる。これは全部選挙違反です、飲食物を贈ってはいかぬのですから。これは立法趣旨も実はわからないのですが、幸い刑事局長見えですが、突然の質問でありますからお困りかもわかりませんが、こういう罪種によりまして起訴されたり、略式請求されたりした事件が今日まで日本にあったでありましょうか、お伺いいたしたいと思います。
  14. 竹内壽平

    竹内(壽)政府委員 おそく参りましたので御質問の御趣旨に沿ったお答えが十分できるかどうかわかりませんが、最後にお尋ねになりました法第百三十九条の飲食物提供禁止規定違反でございますが、これは違反といたしましては、統計を持っておりませんが、相当数検挙され処罰されておる事例があったと私は記憶いたしております。
  15. 押谷富三

    押谷委員 刑事局長相当数処罰の実績があるような御答弁でありましたが、私は全然聞いておらない。私の調査したところでは、これはほとんどございません。私大阪なんですが、大阪におきまして、調べられたことがある。調べられたことはあるが、どうも候補者のところに酒を持っていったから処罰するということは、あまりにも不合理なようであるからこれは全部起訴猶予になっておるのですが、ここでお尋ねしたいのは、大衆から申しますと、この百三十九条の規定は、一体犯罪だと思っておる人があるでしょうか。いまも申しましたとおり、大臣でも委員長でもわれわれでも、大ぜいの方から陣中見舞いに酒が来たり、飲食物が来たり、いろいろなものが来るのです。そうして贈る人は、自分名前を書いて、陣中見舞いと書いて贈ってきているのです。いかなる名前をもってきてもいかぬのですが、先般もわが党の選挙関係青木君に、こんなものはおかしいじゃないかと言ったところが、自分陣中見舞いに酒を贈ることがあるが、候補者用と書いて贈るのだ、こう言っておりました。おかしい話です。候補者用として贈ったから無罪になるとか、候補者用と書かぬから罰せられるとか、候補者用字句いかんによって、物を贈るその行為が百三十九条違反になるかならぬか決せられるような単純なものではありません。これはその道の関係者でありますから、そこまでの配慮はいたします。大衆はそんなことは考えておらぬのです。こういう、物を贈るということのいわば違法性を少しも認識しておらぬのです。これは認識としては違法性のない行為なのです。また実態から申しまして、候補者陣中見舞いを贈るその物の選択だけによって罪になったり、ならなかったりするということは、実に変なのです。この法律が生きているということは、ちょうど食管法によってやみ米処罰するという制度をそのまま生かそうとするのと同じようなことでありまして、時代からすればだいぶんずれがあるのでございます。  私はどういう立法趣旨でこんなものができたかわかりませんが、いま解釈者立場に立たれる、法の運用の立場に立たれる刑事局長としての御意見はわかりましたが、さて法をつくるという選挙局長立場からすれば、これは考えてもらわなければいけません。こんな条文があるということは、百害あって一利ないのです。害があるとは何かといえば、いま刑事局長が言われたように、この法条によって逮捕状も出せるのです。こいつおかしいなと思って、裏面捜査をしたいというときに、逮捕状をこれだけで出せるのです。しかもわれわれの有志、大衆の中には、好意的に陣中見舞いに物を持ってきているのだから、自白すればそれで逮捕状が出る。こう考えると、この条文というものは百害あって一利ない。この条文によって選挙の公正のどこがけがされるか、どんな形において選挙の公正が悪くなるかということを考えますと、百三十九条というものがあるために弊害がある。こんなものは守られる必要のある法律とは私は考えません。これによって選挙の公正が傷つけられるとは考えません。  ちょうど青木先生がお見えになりましたが、青木先生にこの問題について私が尋ねたときに、ただいま言いましたように、候補者に酒を贈るときには候補者用と書くのだと言っている。そんなことを配慮せなければならぬような条文をここにつくって何になるのです。私はこうした百害あって一利もない百三十九条のごときは改正さるべきものと思いますが、局長どう思いますか。
  16. 長野士郎

    ○長野政府委員 確かにお話のような事情は十分考えられるわけでございます。ただ、この条文ができました趣旨と申しますか、そういうところは、かりに第三者が飲食物の提供が候補者に対して自由にできるというようなことになれば、たとえば選挙事務所その他においての飲食が自由になるというような風が醸成されてまいって、そのことによって逆に候補者自体に非常な迷惑と申しますか、害を生むというようなことが起こる。それを心配したと申しますか、そういうことも考慮されてであったろうと思いますが、要するに、一般的にまあ禁止したほうがいいという考え方に立ったというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういう意味では、お話のごとく、常識はずれといいますか、あまりにも禁止がきびし過ぎるという点が出てきておるではないかというような点につきましては、まさにそういう面があるということは否定できないと思います。  ただ、現在でも、考え方といたしまして、たとえば、この条文も、特定の人が特定の候補者に特に力を入れるために何か飲食物を提供するというような場合と、それから一般的に、それは社会的礼儀か何かわかりませんが、要するに一般的にそこらあたりに立たれておる人にだれ彼ということなく、一応皆さんに、陣中見舞いということでございましょうが、そういうものを提供する場合とは、多少趣旨が違うのではないかというような考え方が、たしか最高裁の判例等の解釈にあるようでございます。その辺につきましては、私今後解釈で補い得て、しかもそれが弊害を生まないというようなところについては、そういう慎重な解釈というものも関係当局と御相談いたしまして考えていけるもので、しかも弊害がなければ考えていく余地もあるかもしれないと思いますが、現在のところ、この法の禁止のしかたが非常に強いということは、先ほど来のお話で私どもも十分了解できますが、ときにはこれが自由になることのほうがかえってあと非常な弊害があるということでむしろ禁止したというふうに思われるのであります。今後、御指摘の点もございますので、検討は十分加えてまいりたいと思いますが、いままでの、どういう趣旨でこの立法が行なわれたかというような点は、いま申し上げたようなところからきておるというふうに理解をしておる次第でございます。
  17. 押谷富三

    押谷委員 局長は選挙をおやりじゃないからその辺の消息は十分御承知じゃないようでありますが、特定の候補者に物を贈るという場合におきましては、それは、よほど顔の広い人が全部の候補者に物を贈るということもない例ではありません、あるでありましょうけれども、おおむね九〇%以上のものは、陣中見舞いを持ってくる人は、その特定の候補者に力こぶを入れておる人でありまして、そういう人が物を持ってくるのであるということをよく御了承を願っておきたいと思うのであります。さらにまた物々持ってくれば、その物を食べさせるであろう、飲ますであろうということで、その持ってくる者を罰するというお話であります。もちろん法の趣旨はそんなところにあるかもわかりません。しかし酒を持ってきて、酒を飲ます行為、これはいけないのです。候補者あるいは選挙運動者が酒をふるもうたならば、もちろんいけない。ふるまう段階において犯罪が成立する。酒を飲ます段階、ごちそうをする段階に至って初めて選挙の公正は傷つけられるのであって、それは明らかに禁止されておるのです。その前に、事務所へ陣中見舞いを持ってくるということまで禁止するということは、これはあまりにも行き過ぎであって、そんなことまで罰するということは、私はどうもあまり神経質になり過ぎているようにも考えます。また実際問題として、私の知っておる範囲においては、一週間か十日、選挙事務所へ何十人分かの食パンとあんパンを運んだ人があるのです。これが引っぱられて、検察庁でぐんぐんいじめられた。私はどうもおかしいことだと思って、何で罰せられるのですかといって、専門家なる検事に相談をいたしましたところが、こういう条文がある、なるほどこういう条文はあるけれども、どうもおかしい、解釈上間違いがあるように思うがと言ったら、法務省の統一解釈の指示がありまして、それで私もがくんと頭を下げてしまったのですが、罰せられるかどうかわからぬけれども、罰したならばひとつやってやろうと思って待っておったところが、起訴猶予になりました。起訴猶予になりましたが、起訴猶予になった本人は、起訴猶予になるまでの間、検察庁と警察に引っぱられて調書をとられる、拇印をとられる、全く罪人扱いされてふしぎでしようがないと言っておりましたが、その人がふしぎでしようがないと言うのはもっともで、各候補者の事務所に山のように積まれている酒の陣中見舞いが罰せられないで、あんパンが取り調べを受けるという矛盾、へんてこりんなことが現実にある。これは法律があるのだからしようがない。そこでこの法は改正してもらわなければいかぬと、常々私は持論として考えておるのでありまして、これは立法問題としてひとつお取り上げをいただきたいと思います。  刑事局長、お見えになる前に、実は刑事局長お尋ねしたいことを大臣お尋ねしたのでありますが、重ねて刑事局長の御意見を伺うためにもう一度簡単に質問をいたします。  その第一点にお伺いいたしましたのは、候補者用車種制限であります。衆議院参議院知事指定都市市長につきまして、選挙用に用いる車の制限があるのです。それは有蓋車乗用車ということになっておるのであります。ところが、選挙実態によりますと、ある候補者は届け出の当日から無蓋車に乗って街頭を流しているという事実がある。これはおかしいことであると考えました。これは大阪の例であります。知事市長革新系候補者は届け出初日にもう街頭で、トラックによる宣伝車に乗って歩いておる。こちらは有蓋車のライトバンに乗って歩いておる。見たときにまるで違うのです。もうここで勝負は決したというくらいに、大きな相違が戦術として出てきておる。そこで私は関係者として、これはおかしいことだからというので研究をしてみましたが、保守の候補者があほうであって、無蓋車に乗ったほうがりこうだという結論が出ました。それはその条文にある、主として選挙運動に使う車という、主としてということばに実はひっかかってきたのです。主としてということばには、従としてということが裏にあるであろう、常時使うというならば、臨時ということばが裏にあるでありましょう。原則として使うということであれば、例外ということが反面にあるということになるのです。これは条文解釈上そうなるのです。そこで私はこれは違法だと思ってがんばってみましたけれども、実はそのときの姿を見ますと、社会党宣伝車だと思いますが、トラックがさあっと来て、それに乗っておるのです。そうしてそのうしろにその候補者が主として使う宣伝車がついてきておるのです。二台で行くのです。つかまえると、主としての車はこれじゃないか、有蓋車じゃないか、従として自分はこれに乗っておるのだ、こういうことばが成り立つのです。これは現行法上成り立つ。だからそれは賢い、それはりこうである。解釈上そうなるのだから、これはいたし方ないのであって、やらぬやつがばかだということになる。正直者がばかをみるということが、この条文上出てきたのです。これは現実なんです。うそのないところが、そういうことになる。そこで検察庁の立場から、一体この法の解釈上、主としてということばがあるから、そういうことは一応許されるということを私も後日に至って教えられて、なるほどと考えたのですが、どうお考えになりますか。これは現実の問題ですから御意見を伺いたいと思います。
  18. 竹内壽平

    竹内(壽)政府委員 ただいまのお話の、その主としての解釈でございますが、これは選挙運動に主として使うという主としてのように私どもは理解しておるのでございまして、この立法趣旨は、無蓋車候補者が乗るということは、候補者に非常な過労をしいるというようなこと、もう一つは、進行中の自動車の上で選挙運動をやることの禁止の規定が守られにくいというような事情から、形の上で車上で選挙運動がやれないように有蓋車にするというような、非常にきめのこまかい選挙法規定になっております。先ほど神経質とおっしゃったのですが、神経質と思われるほどきめのこまかい規定ができております。この立法趣旨をよくくんでやるということでなければならぬと思うのでございますが、しばしば、選挙となれば、食うか食われるかといったような場面になってまいりますので、違反行為があるわけでございますが、この趣旨規定はつまらぬ規定だというふうには私ども考えておりませんので、違反の者が出てくる場合、取り締まりを受ける、これはもう当然やむを得ないことだというふうに考えております。
  19. 押谷富三

    押谷委員 これは思いやりのある規定でありまして、あまり過労をしいないという、またあまり品位を傷つけないようにするためにつくられたので、これはありがたいのです。この法律自体はいいのです。ところが、主としてというあいまいなことばがあるものですから、そこに問題が起きてくるので、候補者選挙運動に使う車はこうである、こう規定されれば、これは問題にならぬのです。はっきりします。ところが主としてとあるから、主として使う車はこれだ、いま乗っておるのは臨時に使うのだ、こういうことばになるから、ちょっと捕捉しがたいことが出てくるのではないか。検察庁の立場から見て——これは、条文自体はいいのです。これはこうあっていいのですが、しかしうまくこれを免れて、主としてはこの車で、いま乗っておるのは臨時だ、特別だというようなことが許されるならば、やはりみなそうしなければならぬ。選挙は平等の形において、全部平等の条件で争うというのが原則なんです。ところがある政党に属する候補者はこういう手段ができ得る、ある政党に属する候補者はそういう手段ができない。これは候補者の数と政党政治活動用の車との数のバランスから、そういうことがあり得るのです。私先ほど言うたのは、事実政党政治活動用の車に乗ったのです。これは規制をされておらぬ。また、政治活動用の車も車種制限がない。無制限でありますから、これに飛び乗り、うしろには自分の車がおる、二台使える、こういうことなんです。それじゃ自分らもやったらいいじゃないか、こうなるのですが、実は政党によりましては、一つ選挙区に複数の、何人もの候補者が出ているから、自分一人乗ることはできない。単一の候補者の場合は、十分自分政党の車を使って、いま言ったような複数の車を使う。しかも街頭でやっていける。これはもうたいへんなハンディがついておりますから、そこでこういう質問になるのです。これは検察庁にお尋ねするのはちょっと無理な筋でありまして、法務省関係よりはむしろ自治省関係なので、選挙はすべての人が平等な条件で戦うというのが原則だから、そして、いろいろ注文はしておいたわけですから、この程度にしておきます。  もう一つ法務省お尋ねをいたしたいことは、これも法の解釈なんですが、たびたび御経験になっていると思うのですが、公民権停止の場合なんです。公民権停止というのは、これは選挙権、被選挙権を奪うのですから、制裁としては非常に大きな制裁なんです。そしてそれぞれの立場におる者で、その価値もまたたいへん大きく違うものですが、政治に関心を持っている人の公民権停止というものは、まことに大きなものである。また理屈から言うても、文化国家の今日の日本の国民が、選挙権、被選挙権を奪われ、公民権を剥奪されあるいは停止をされるということは、たいへん大きな事柄なんです。ところが制裁でありながら、略式命令判決主文にはこれは書いてないのです。これは御承知のとおり、何にも書かなかったならば五年間の停止になってしまうのです。ところが、何にも書いてないから、大きな責任を負わされることを知らない人が多いんです。これは法律のたてまえはそれでよいのですが、しかし罰金を納めてしまうと、公民権について主文に何の記載もないから自分は助かっているものだと思っていながら、公民権停止になって公職から追放され、その職から離れていくという人が現在あるのです。これは大きな誤解で、法律としては不親切である。そこで私は法改正をして、こういう場合においては主文に書くべきものであると実は考えて、自治省にそういう方針にしてくれと注文したのですが、法務省当局として今日まで御経験になったその御経験に基づいて、一体これは主文に書いたほうがよいとお考えになるか、今日の状況においてもそれで十分だとお考えになるかをお尋ねしたいのです。
  20. 竹内壽平

    竹内(壽)政府委員 御指摘のように、主文公民権停止のことが出てまいりませんために、当事者はこれは公民権停止にはならぬのだというふうに考える方もありましょうし、またそれで、公民権が実際はないのに、公民権があるものと錯覚を起こして投票をしたという例もあるわけでございまして、はなはだしいのは、議員の資格が失格しておるのに、そのまま議員として在任しておったというような者もあって、まことに影響するところ少なからざるものがございますので、これはほんとうに何とかしなくちゃいかぬという感じを持つのでございます。ただ、法律体系のもとから申しますと、現在では公民権停止というのは付加刑ということになっておりません。したがいまして、判決の効果として当然に出てくる法律的効果というふうに見られます。付加刑ということになりますれば、当然主文に書くわけでございます。その点が一つ問題点でございますが、刑法の仮案などを見ますと、この資格の喪失、停止といったようなものは付加刑ということにしてございまして、その観点からは当然主文に出てくることになると思います。その辺の刑罰体系の問題、立法政策の問題現実に不都合が起こっておる不親切な扱い方といったようないろいろな角度から、私どもとしましてもこの問題を考えております。現に先般発表いたしました刑法改正準備草案におきましては、選挙関係規定を刑法の法典の中に取り入れることにいたしておりますが、そこの面でこの問題を付加刑として扱うかどうかということにつきまして、慎重に検討いたしまして、もし刑法全面改正を待てないという状況でございますれば、自治省とも十分御相談をいたしまして、この辺の不都合を除去するようにつとめたいと考えております。
  21. 押谷富三

    押谷委員 もう一点、刑事局長お尋ねをしたいのは、これも実は選挙局長のほうに提案を申し上げて、研究課題にしてくれと言っておったわけですが、前回選挙法改正にあたって、公民権停止罪種によって奪っているところがあるのです。これは変なことで、裁判官裁量権を少なくしたので、生きた裁判からいきますと、相当問題が出てきておる。現に大きな問題を起こしております。裁判官が間違って不停止裁判をして検事控訴されているような事件があります。これはやはり前のように、不停止裁判官酌量範囲、要するに裁判官がしんしゃくする範囲を広くしてやるということが生きた裁判ができるものだと私は考えて、不停止処置を奪ったのはこれは改悪だ、愚かなことだと言っているのです。隣に先生がおるから、その当時の改正に御関係になったことだと思いますが、しかし政治家の立場からおのが首をくくるような、あるいは同僚の首をくくるような、同僚の足を引っぱるような法の改正をしていることがあるのですから、これを改正して、裁判官には酌量の範囲を広くする、不停止の範囲も罪種によってこれを奪うようなことはやめてもらいたいと実は言ったのですが、法務省としてそういうことに対して一体どうお考えになっていますか。
  22. 竹内壽平

    竹内(壽)政府委員 停止制度の強化ということは、昭和三十七年の公職選挙法改正によりまして採用された制度でございます。これはすでに御説明があったかと存じますが、第一次選挙制度審議会の答申を尊重されました結果の措置であったと私も思うのでございます。この問題につきましては、当時世論も強くこれを支持しておりました。私ども刑事局の者として、この刑罰権の行使をあずかっております者といたしまして、選挙法違反というものをなくしていきたい、それにはいろいろな角度で取り締まりを強化しなければならぬということも、当時の世論の一つでございました。罰を直接科するということの効果と、公民権停止というものがどういう意味を持つかということがかなり論議をされまして、それの効果というものは相当高く評価をすべきではないかというのが、この問題の議論の際にもございまして、私どももこれは刑罰そのものの強化ではないけれども、間接的に公明選挙に大きく貢献するものであるという考えを持ったのでございます。この運用の結果はもう少し回数を重ねまして、実績を積んだ上でないと何とも批判のしょうがありませんが、当面現段階において申し上げますと、これをもとの状態に戻すということはやはり適当でないので、この状態をもう少し持続して効果を見ていきたいというのが私ども考え方であります。
  23. 押谷富三

    押谷委員 本会議も始まりましたので、あまり長く質問をせずにこの次にいたします。ただこの法律があるから、こういうように法改正をしたから公民権停止が少なくなるというようなことではなくて、裁判官も事情を見て、この人は助けてやりたいというときに助ける道がないのです。これは助ける道がなくなるというような、裁判官酌量余地をすっかり奪ってしまうという法律は、私は悪法だと思うわけです。やはりこれは助けてやらなければならぬというときには、いつか裁判官が不停止判決をして誤判をしたことがありますが、そういう誤判をしなければならぬようなことに事件事態があったときには、これは不停止という処置を置いておくほうがいいのだ。この裁判官法律を間違えて判決をしたことはいかぬのですけれども、それを考えて、やはりこれは局長のお立場からいかぬとは言いにくいと思いますけれども、一応御考慮願っておきたいと思います。  きょうはこの程度でやめておきます。
  24. 宇野宗佑

    宇野委員長代理 この際、資料要求の発言を求められておりますので、これを許します。畑和君。
  25. 畑和

    ○畑委員 資料要求をいたしておきます。  これは自治省のほうでやっていただいて、わからなければひとつ検察庁や裁判所のほうに照会してもらっていい。昨年の四月の統一地方選挙選挙違反、それの起訴された総件数、そのうちの略式罰金の件数及びそのパーセンテージ、正式起訴の数、公判請求の件数及びパーセンテージ、それから罰金刑のうち略式罰金、公判廷で罰金となったのもありましょうけれども一つ一つの区別はむずかしいでしょうから略式罰金、そのうち公民権停止の件数がどれだけか、そのパーセンテージ、それから公民権停止期間の短縮の件数が幾らか、そのパーセンテージ、公民権停止の件数が幾ばくか、並びにそのパーセンテージ、それから禁錮刑以上のもののうち実刑と執行猶予の数、そのパーセンテージ、さらに公民権停止停止期間短縮公民権停止の数とパーセンテージ、これだけの資料です。それと昨年十一月の総選挙における同じ類別、ところがこの統一選挙、特に昨年の十一月の場合には、まだ資料が未整理かと思う。それに判決等のことについては出ていないかもしれません。そういうことも考えまして、その前の三十七年六月でしたかにございました参議院の普通選挙、これの同じような資料をひとつ提出願いたいのです。
  26. 宇野宗佑

    宇野委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後二時二十二分散会