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1964-04-03 第46回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月三日(金曜日)    午後一時四分開議  出席委員    委員長 小泉 純也君    理事 青木  正君 理事 宇野 宗佑君    理事 渡海元三郎君 理事 加賀田 進君    理事 島上善五郎君 理事 畑   和君       押谷 富三君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    久保田円次君       大柴 滋夫君    堀  昌雄君       山中日露史君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治事務官         (選挙局長)  長野 士郎君     ――――――――――――― 四月三日  委員山下榮二辞任につき、その補欠として門  司亮君が議長指名委員に選任された。 同日  委員門司亮辞任につき、その補欠として山下  榮二君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月一日  衆議院議員定数是正に関する陳情書  (第四四二号)  公職選挙法等改正に関する陳情書  (第四四三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)      ――――◇―――――
  2. 小泉純也

    小泉委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑申し出がありますので、これを許します。畑和君。
  3. 畑和

    畑委員 上程せられました定数是正に関する公職選挙法改正案を中心として、これから若干質問をいたしたいと思います。  大臣も、この間のライシャワー事件ではしなくも、と申してはまことに恐縮ですが、実際いい意味大臣になられましておめでとうございましたが、いままで早川大臣がこの選挙法の問題についてはずっと取り組んでこられたのですが、突然大臣になられたので、少しかってが違うかもしれませんけれども政府のほうのこの方面の責任者という立場から、新大臣にお伺いをいたしたいと思うのです。  この定数是正の問題につきましては、選挙制度審議会に対しましても、国会のほうで、選挙区制よりもとりあえず先にまず定数是正答申を早く出してくれというような付帯条項がついておったのでありますが、その後第二次選挙制度審議会におきまして、ようやく去年の十月十五日、いよいよ解散も間近いというときに迫りまして、定数是正の案が出てまいりましたことは御承知のとおりでございます。ところで、この選挙制度審議会結論でありまする定数是正答申、これを拝見いたしますと、十九名増の一名減、こういう案でございます。もっともそれまでに至る審議経過におきましては、いろいろな案が出たようでありますけれども、結局結論といたしましては、十九名増の一名減という案に落ちついて答申がなされ、しかも迫ってくる、予想された総選挙でこれを早急に実施せよという答申でございましたが、御承知のように、あまりにも急でございましたので、案は出しましたけれども、とうとう実らずにそのまま流れまして、今度の国会に及んで再提案ということになったわけでございます。そうして今度の案では、一名減という点を削って、十九名増ということだけに終わっておるわけであります。そこで私は、そもそもの審議会結論というものに対して相当疑問を持っておるのであります。なぜかと申しますならば、定数是正ということでありまするが、公職選挙法がきまりました当時と現在と比べて人口がふえていることは間違いない。それはそうといたしましても、選挙制度審議会答申そのものが、増が十九で減が一ということになっておる。増員はけっこうなんだけれども、県によりましては減っているところもある。選挙区によっては減っているところも相当ある。したがって人口増を加味して総体的にふやすということは当然あるべきことでありまするけれども結論が結局減が一名ということになったこと自体、私は定数是正趣旨に沿ったものとは必ずしも言いがたい、こういうふうに思うのであります。この点について、まあ選挙制度審議会結論でございますから——しかしそれをまた踏襲して政府のほうで出したのでありますから、間接にはこれに対する御批判もできると思うのですが、それについて大臣見解を承りたいと思います。
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 審議会議論の内容は逐次新聞にも発表されましたし、その過程では現議席をふやさないということで案分するとどうなるという結論が一応出かかったころもありましたことは御承知のとおりです。最終、ただいま畑委員が述べられました結論が出たわけでございますので、政府といたしましてはこれを尊重したいと考えておる次第でございます。
  5. 畑和

    畑委員 ただいま大臣は、結論審議会として出たことであるからこれを尊重したい、こういうことでございます。それはけっこうです。しかし尊重したいとは申しましても、私が先に申し上げましたような趣旨からすると、増員ばかり認めて減員一つしがなかったということについては、率直に、大臣であるというところから離れてどうお考えですか。
  6. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 なかなかかってに離れるわけにまいりませんので、やはり私といたしましては、いまここで、審議会結論が出ておりますものを批判めいたことを申し述べることはお許しをお願いいたしたい。
  7. 畑和

    畑委員 しかしそれは、むしろ政府案というものはそれよりもさらに後退している。それを政府が出してきたということとも関連をして、批判めいたことは避けたい、こういった気持ちはわからないでもないのですが、しかし私は、どうも定数是正の精神に必ずしも合致したものではないというふうに思うのです。まあしかし、議論をいつまでしていても同じことですから、これは先へ進んでからまたさらに政府案としての考え方を聞きたいのですが、その前にまだ聞いておきたいことがございます。  実は、私も選挙制度審議会特別委員といたしまして第二次選挙制度審議会に出ておりました。それで、最後答申案という段階になったのでありますが、その際にそういう点についてわれわれの意見を述べてだけおきたい、こう思いましたところが、国会から出ておる特別委員区制その他の問題については発言ができないことになっておるからということで、やむを得ず発言はしなかった。こういった私たちの意見を申し述べなかったのであります。これはこの前の国会堀委員のほうからもこの点は申しました。具体的な区割り等につきましては、なるほどいろいろ利害関係がありますから、国会議員はこれに参画することはできない。これはわかっておるのでありますが、ただ、抽象的な一般的な方針その他について、たとえ区割りであろうと定数是正であろうと意見を述べ、あるいはまたその結論に対して意見をさらに最終的に申し述べるというくらいなことはなければならぬと思うのです。それは選挙制度審議会設置法にきまっておることだと思うのでありますが、そうだとすれば、その点をもう少し、特別委員として、そういった区割り定数是正具体的な問題については意見は述べられないけれども、一般的にはこれが述べられるというふうに、もし法がはっきりしていないということであれば、それを明確にすべきではなかろうかというふうに思うのです。これはちょっと脱線したのですが、ついでに一応ここで聞いておきたい、かように思うのです。
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 畑委員選挙制度審議会設置法の第五条というものを十分お読みになっての御質問だと思うわけです。私も国会議員という肩書きなしでの国務大臣ですと、いろいろ率直に意見を述べられると思います。しかしこの選挙関係法律案をつくります際に、ゲリマンダー的であるという批判をこうむるということが一番こわいわけでございますので、私ども特に議員としてこの問題に率直に述べたい意見がありましても、実は発言を慎重にせざるを得ぬという立場はひとつ御了承をお願いいたしたいと思うのであります。
  9. 畑和

    畑委員 大臣、えらい慎重で……。もっともなりたてだから相当慎重にせぬと、事情もわからぬしするのでその気持ちはわかりますけれどももう少し率直に答えてもらいたいと思うのです。しかし、これはわれわれ議員としてもあとで研究して——そういう点で与党のほうでも同じような形なら、その点もいずれ相談をして訂正すべきものは訂正した新しい案を考えるということにわれわれ仲間でひとつ考えたいと思います。
  10. 堀昌雄

    堀委員 関連して簡単に……。大臣は御就任早々ですから経過等つまびらかでないと思いますが、実は法律具体的な選挙区の区割り等に関しては発言をすべきでないという趣旨だとわれわれは了解をしておるわけです。そこへ出されました答申あり方、この答申が出されましたときは一名減、十九名増というかっこうで出されております。これは少し経過がございまして、第一次の選挙制度審議会におきましては、このアンバランス是正というのは少なくとも文字どおりに増減をもって同数であるべきだ、十名ふやせば十名減らせということで、最終的にそれがきっちりいくのはむづかしいのではないかということを私が設問いたしましたときには、それは最終的に原則として定数を動かさないのだということできておったわけです。そういう経緯がありながら、今度は突然として十九名増、一名減という——第一次の審議会と第二次の審議会とはもちろん同じ経過ではございませんけれども、その委員の大部分が引き続いて委員になっておられた状態でありますから、あまりに取り扱いについて差がひど過ぎるものですから、その取り扱い等の問題について実は私が意見なり質問なりをしたいということで手をあげたけれども発言をさせないという審議会取り扱いであったわけです。選挙制度審議会設置法は、「国会議員のうちから任命された特別委員は、国会議員選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める具体案作成については、その調査審議に加わることができない。」こうあるのです。もう具体案がその総会に出ておるわけです。それに対する意見も述べさせなければ質問もさせないということです。これは私、審議会質疑をしたわけです。当時選挙局長はどう答えたか私もちょっと記憶にないのですけれども宮沢委員は、ひとつ国会へ帰っておやりいただけないでしょうかということでしたから、私は本来はあの場所でやるべきことだと思っておるわけです。私も特別委員でございまして、法律の定めるところによって議論をしようというのに、その議論を押えようというあり方は、私は法律を無視したものであると考えております。これは私が公職選挙法委員であったときに、この場所で私どもがつくった法律なんです。われわれは、立法者として、立法者意思にないことをそういう行政審議会が一方的に押しつけることは、私はできないと思っておるわけです。しかし、場所の空気もいかがかと思いましたから私はともかく黙っておりましたけれども、これはしかしいま自治大臣が私も議員であるからとおっしゃった、そういう性格の問題ではございません。私も議員でありますから、この法律に忠実でなければならないと思っております。私ども立法者として、私もこれに参加をして成立をした法律でございますから。しかし、この法律趣旨なり、ここに具体的に書かれておることと違うことを委員に強制しようとする審議会あり方については、これは私は当時の特別委員の一人としても、あるいはこの衆議院における公職選挙法委員の一人としても黙過することができない。だからいま大臣お答えになったこととこの問題はやや角度を異にしておりまして、具体的な作成について私どもは参加する意思一つもございませんけれども、そういうものの考え方ですね。前回の審議会と今回の審議会と、どうしてこんなに違うのだ、それには何らかの積極的な理由があるのかどうかを尋ねようと思っても、それすらも発言を封じるということは、この法律解釈審議会が誤ってしておったし、同時に私は選挙局長に非常に不満があるわけです。要するに行政当局はこの法律に従って、具体的な問題についての御質問はお控えをいただきたいと思います、しかし全般的な議論でございましたらどうぞやっていただいて適当だと思うということを述べるべきではなかったか。その点について、それじゃ先に選挙局長のほうから答弁を求めて、それについての大臣のお考えを承りたい。
  11. 長野士郎

    長野政府委員 この前の選挙制度審議会総会におきまして、堀委員からそういう御発言があったことは私も承知をしておりますし、その当時私もお答えしたことも記憶いたしております。それは私ども事務当局といたしまして、法律解釈といいますか、そういうものの中で多少慎重に考え過ぎたかもしれませんが、具体案作成についてはその調査審議に加わることができない。もちろん具体案調査審議ということに狭く考えれば、一般論についても大いにやれるのだ、やれるのがあたりまえじゃないかということが出てくるわけでございますが、ただ調査するということになりますと、審議というのは具体結論めいたものにつきましての審議会審議ということになるかもしれませんが、その調査審議ということでございますと、調査というものでは、やはり広い範囲のものが含まれているということが、法の予定しておるところと考えられるのではないだろうかというふうに思うわけでございます。また、あのときには、先ほどお話がございましたが、行政法の大家でございます宮沢委員が、そういう意味でもまた審議会法律の条文の解釈審議会において行なうべきだ、事務当局意見考える必要はないというような趣旨のことをおっしゃいまして、非常にきついと申しますか、狭い考え方堀先生のおっしゃるような考え方に立たれた御発言がありまして、あの場合の審議に加わられることを御遠慮願ったというようないきさつのように私は記憶しております。私どもが、先ほど申し上げましたように疑問に考えましたのは、調査ということがやや広いものをある程度さしていはしないだろうか、かように思ったことでございます。
  12. 堀昌雄

    堀委員 関連でございますから、あとを続けていただいて、あとで私はちょっと質問させていただきますが、内閣法制局長官にひとつ出席を要求いたします。
  13. 畑和

    畑委員 それでは先へ進みます。結局選挙制度審議会の案は、これは資料をいただいたのですが、御手洗案というのが十九名増で六名減というのです。それから近藤案というのが二十五名増で一名減、木下案というのが十四名増というものでした。先ほど堀委員が言われましたところと総合いたしますと、少なくとも第一次選挙制度審議会の当時は、いままでの定数原則として動かさないということで、その範囲内であんばいするというようなことであったようでありますが、第二次選挙制度審議会、しかも最終段階になりまして急転直下最後答申案が出た。その答申案を見ますと、結局これは御手洗案の十二区十九名増、これを全部取り入れ、それからさらに近藤案兵庫五区の一名減、これを取り入れまして両方を継ぎはぎして結論を出したというふうに見受けられる。御手洗案は十九名増で六名減ですから、これは人口の増加も加味して、しかもきわめてアンバランスのところで減員すべきところを六名減員したということで、この辺で私は妥当だろうと思う。ほかの案はあまり賛成できないのですが、しかも最後の案としてそういうふうに落ちついたということ——その第一次の審議会当時の話をいま堀委員から承りましたが、そういうことからして、非常にそういう筋を通すという点で後退をいたしておると思うのです。減らすのはなかなかむずかしい。お互いに最後議員がきめるから、いろいろな利害関係があるからむずかしいだろうということで、しかも選挙がもう間近に近づいている、選挙制度審議会何もしておらぬじゃないかといわれるのは困るから、そこでいま言った十九名増の御手洗案と一名減の近藤案を結びつけてお茶を濁したというふうにしか思われないのであります。しかしこれはここで大臣事務当局に聞いても、先ほど言ったとおり、選挙制度審議会結論ですから尊重いたすほかございませんと、こう答えることに結局なると思いますから、この点はしいてここでは聞きませんけれども、しかし政府の案がそれは尊重したということなのか、尊重したどころか、十二区において十九名増だけを生かして、一名減というところを削ってしまった。まさにこれは増員だけでありまして、私は定数是正の名に値しないと思う。ただ人口増をアジャストしたにすぎない、こう思うのです。そういう点で私きわめて疑問を持っておるのであります。政府案答申をさらに後退したということになって、完全な増員ということになっているわけです。この点について、今度は政府の案ですから、早川さんにかわって今度は赤澤さんがなられたんだが、私は知らぬというわけにはいかぬと思う。この点についてどうですか、答申を尊重したというだけでお答えになるか——しかしとにかく一名減を削ったんだからさらに後退しているんだが、その辺に関連して答申のことにもなってくるわけです。どうですか、政府の案について、私の考え方に対してどうお考えか、ひとつ大臣見解を、素朴な見解でもけっこうです。
  14. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 提案理由の中にも申しておりますが、「上下の人口の幅及び地域性を考慮し、必ずしも減員することを要しないと考えます。」と申しましたのは、御承知のとおりに、議員一人当たりの人口で計算いたしまして十三万という最低線を出した。ところが、たった一つ問題になりました選挙区は、それにわずか千二百四十人ばかり足りない。十三万に千二百四十人だから、無理にこの一選挙区だけを減員しなくてはならぬのだというほどのことでもあるまいと考えまして、こういう措置を考えたわけでございます。
  15. 畑和

    畑委員 それだから私は選挙制度審議会のあれと関連さして聞いたんです。選挙制度審議会——どうも一名ぐらいは減にしておかないと顔が立たぬ。しかし、なるべく減を少なくしないと、議員さんが最後にきめることだから通らぬじゃないだろうかということで、私はきわめてやすきについた結論ではないかと思うのです。しかも、政府のほうでは、いまの大臣答弁にもありましたが、十三万ぐらいを境にしたけれども一、兵庫五区は十二万八千七百六十ですか、確かに十三万にちょっと足りない。千三百人ぐらい足りないで、結局十三万というところに少し足りないということになりますけれども、確かに数字の関係からいうとそのとおりです。ですから、そういう政府結論が、答申を尊重したと言いつつ、そういうふうに出てくる可能性があるわけです。わずかに、少ししか違わないんですから、そういうことも考え審議会では出したのではなかろうか。政府のほうでも、待ってましたとばかりに、とにかく減員はむずかしいというところで、わずかな違いだからということに藉口して、そうして全部増員した。しかし、こうなると——一名でも減にすればまだいいんですが、一名の減も削ってしまって、全部増員ということになれば、質的にだいぶ違うと思うのです。困難は困難かもしれませんけれども、やはり筋は通すべきではなかろうか、こう思うのです。審議会の案に、私はその意味では非常に筋を通さないという点で不満がございます。さらに政府案増員だけ。しかも事由は、幅がほとんどない、違わない、地域性を考慮した、こういったような御答弁でありますが、これは非常に私はおかしいと思うのですけれども、この点はおかしくはございませんか、どうですか。
  16. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どうもむずかしい質問になりまして、たいへん困るわけですが、筋としては答申を尊重しておることは、畑委員もいろいろな意味で御了解願えると思いますが、そこは人間のやることでございますから、一つ選挙区がたった千人ばかりのことで失格をするのもどうか、これは全体の考え方に大きくさからうことはないと思うのです。これはたとえば区制一人一区にするんだとか、あるいは現在の定数でもって増減するんだということになると、ほとんど議員の大部分関係することでもありますし、ここはなかなかむずかしい問題が起こると思いますが、ただいまの場合は大筋において間違いがない。ただ一言一句違わないで尊重したかと言われると、これはぐうの音も出ぬわけでございますけれども大筋はそのまままるのみにしておるということで御了承していただくよりいたし方がないと思います。
  17. 畑和

    畑委員 私は、選挙制度審議会案そのもの定数是正のほんとうの趣旨に合わぬのじゃないか、それが政府案によるとさらに後退しているんだから——せめてその線だけは維持したら、政府もなるほど定数是正をやったんだということになるかもしれぬけれども、さらに後退さして全部増員にしたということは、確かにやすきについたそしりを免れないと思うのです。しかし、これは議論しておってもしょうがありませんから、その次に進みます。  その次に質問したいのは、この政府提案によりますと、増員のうち——みんな増員ですけれども増員のうち六人区と八人区がございます。これをさらに割るかどうかという問題で、自民党内で何回もいろいろな会合が開かれた。最後に、閣議までも一度保留になったりなどしたというようないきさつを、新聞紙上で知っておるのですが、この提案に至るまでのいきさつ——もっとも、これ、一々聞いていてもしかたがないんだけれども、ただ、最初早川自治大臣は、八名区だけは分けて、六名区はそのままにというような考え方だった——そういうような意見新聞で見たことがございます。ところが、さらにいろいろな突き上げ等があって、あちらこちらから意見が出て、結局六名じゃ中選挙区じゃないじゃないかというようなことで、あくまで筋を通して、これは六名区まで分けるべきだというような議論が出て、二転、三転したようであります。ところで、最後に出てまいりました案は、何らその点には触れないで、六名区、八名区そのままの提案です。ところが、新聞紙上にもちょっと出ておりましたが、また仄聞するところによりますと、結局、どうしても分割せんければならぬのだ。ところが、分割案になるとなかなかまとまらないというためかどうか、ともかくこのままで提案をして、そして審議過程相談をして分割をするようにする。しかも、分割ができないようであったならばこの法案は流すというような意思統一が、政府自民党の内部でできておるというような話なんです。これは私はおかしな話だと思うのです。これこそ筋が通らぬのではなかろうか。もし分割するということであれば、政府のほうではよろしく案をつくって、一応分割した案を出して、しかも委員会審議過程で、その分割区域等のことについては修正もけっこうである、こういうふうなことが本来の態度ではなかろうか。ともかく分割しない案を出しておいて、政府与党のほうで、これが分割にならなければ流す方針だというような話は、どうも筋が通らぬ。その点は一体政府のほうとしては、少なくとも提案者としてどう考えておるのか。いままで、法案でこういう法案はないと思う。原案が通ればけっこうです、どうか通してください——それが普通の場合なんだが、どうもそうではないらしい。分ける気持ちもしないわけではないんだけれども(「社会党申し出どおりだよ」と呼ぶ者あり)社会党のほうは、審議過程でそういう話が出たらそれによって必ずしも反対ではないというように、初めから分割選挙をやるべきだというなこととも少し違うけれども、その辺は私どもわからないではない。幾らなんでもちょっとおかしい。いままでの案の出し方とだいぶ違いますからお聞きするわけですが、その点はいかがでしょう。
  18. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 分割ができなかった場合は流すなどという意思表示をしたことは私つまびらかにいたしませんが、おっしゃるとおりおかしい出し方には違いないと私は思います。しかしもうすでに法案ができて出てしまっておるわけでありますので、私どもは今後審議過程で、私どもが期待しておるような分割ができることが最も望ましいと思っておるわけです。この基本的な考え方から申しますと、中選挙区といういまの制度は、たしか普通選挙が始まって以来と思うのですが、明治からたずねてくればいろいろ違いましたけれども、ずいぶん長い歴史があるわけでございますので、この際定数の根本的な是正、制度自体を直します場合は別ですけれども、そうでない場合は、少なくとも長年やってきたいまの中選挙区の筋だけは通したいという気持ちを私自身も持っております。ですから願わくば、そういう形で審議を通じまして円満に公正にこれができるということを私どもは期待をしておる次第でございます。
  19. 畑和

    畑委員 その気持ちはわからぬでもないのだけれども、どうも少しおかしな出し方だと思う。いろいろさらに突っ込んでいきますと時間もかかりますし、時間の制約がございますから先に進みます。  もう一つお聞きしたいのは、選挙制度審議会結論では、沖繩に対して潜在議席を認めよう、三名だったと思いますがそういう結論になっていました。これはもちろん日本に潜在主権があるのであるから、また、日本としてはできるだけ早く本来の主権を回復したいという要望に燃えておりますし、沖繩県民におきましてはなおさらのこと、これは悲願でございます。したがって実際上、法律的にはこれが選挙はいまの段階では行なわないことは間違いないのですが、しかしこの際、潜在主権ということから議員の定員を設けて、実際には選挙は当分行ない得ないということにしたらよろしいというのが答申結論でありました。さらにまた早川自治大臣はこれを受けて、潜在主権に基づいて沖繩に潜在議席を答申案どおり認めようという意見を発表しておられた。ところがその後また後退して、従来どおり沖繩には潜在議席を設けないということに、この法律案ではなっております。私はいろいろな関係があると思う。政府がそういうふうに後退したのは、やはりアメリカさんのほうの意向をうかがって、アメリカにたてつくようなことになっては、政府自民党のいままでの行き方からすると、どうも国交上うまくないということで、サゼスチョンがあったかなかったかは知らぬけれども、そういうことになったのだと思うのでありますが、これはやはり沖繩の県民を勇気づけるというような意味からも、この際潜在議席を認めるべきではなかったか。若干アメリカのほうのことを考えても、それを無視してもやるべきではなかったかと思うのでありますが、その間何かアメリカからの意見もあったやに聞くのですが、その辺があったとすれば、その辺につきまして漏れ承りたい。また私の考え方についての御批判も賜りたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  20. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 対米関係のことになりますと、立場が違うので議論がいろいろ出てくると思います。しかし実際は私らの立場考えていただければ、この措置をとらざるを得なかったということは、やはり大きな外交上の措置もしなければなりませんし、対米関係の調整は、差しさわりのある面も、あまり強くやると出てくる面もあります。そこで実際は、これは施政権が返還になればすぐ手続をいたしまして、すぐ議員の配当はできるわけでございますので、今回は一日も早くこの法案を通すという意味におきまして、こういう措置をとったわけでございます。
  21. 畑和

    畑委員 このねらいは、おもに政治的な評価がどうかという問題で、それだけにまた、対米関係ということを政府としては顧慮しなければならぬ結果になったのだと思いますが、これはもっと深めて議論をするにも時間がかかりますから、この問題についてはこれだけにとどめます。  それから一つ聞きたいのは、これは技術的な問題でございます。これは事務当局でないとわからないと思いますが、改正案法律的なていさいについて、私、ちょっと疑問を持っておるのです。この改正案によりますと、附則の改正で済ましておるわけですね。それで定数の数字は第四条でしたか、これは動かさずに、その第四条第一項の規定にかかわらずということで、附則で員数を当分の間ということで定数是正をしておる。この前奄美群島が日本のほうに復帰をいたしましたときに、とりあえずつくった法律がございます。あれを見ても、あの当時はその問題については、その法律で書いてあった。公職選挙法第四条第一項の規定にかかわらず、当分の間四百六十七名にするというふうに特別法で書いておるわけですが、これはこれでわかるのです。ところが今度の場合は全国的な定数是正でもございまするし、やはり第四条の定員の数を変えるべきだ。そうして別表もそういう趣旨で変えるべきだ。ところがこの案によりますと、別表のほうも、別表の下欄の人数について、附則は、こういうところは何名とするだけにとどめておるわけであります。しかも全体の数字の異動は、全数については附則できめておる。これはちょっとどうかと思うのでありますが、当分の間、暫定的だ、こういうことで、あるいは第四条は基本だからそれは変えないで、当分の間何名増でいくのだという意味かもわからぬけれども、そうした附則できめるようなときには、結局またもとへ戻るというような可能性もあるからということならわかるのだけれども、そういう可能性はほとんどない。あるいは小選挙区制や何かに応ずるというようなことも顧慮して暫定的だ、こう言うのかもしれぬけれども、少なくとも別表あるいは人数等につきましても、そのときはそのときで相当全面的な改正をしなくちゃならぬのじゃないか。それはそのときでありまして、今度の場合などは、私は第四条の人数を正面から変えて、別表も変えて、それでいくべきじゃなかろうかと思うのですが、その辺、技術的なことでありますけれども、当局のほうは事務的にはどう考えておりますか。
  22. 長野士郎

    長野政府委員 この附則で規定をいたしました関係は、一つには、選挙制度審議会答申におきましても、さしあたり選挙区制についての根本的な改正が行われるまでの是正措置ということを前提にしておりますので、そういう意味でも暫定的な措置ということに考えたわけでございますが、同時に、さらに現在の別表は、先ほどもお話がございました、三人ないし五人の中選挙区制を貫いてできておる別表でございます。そこでここに六人区あるいは八人区というものを別表の中に本則として入れてしまうことはいかがであろうか、やはりその例外措置というものは考えざるを得ぬのじゃないか。そうなってまいりますと定員にきましても、四百六十六人という定員は昔からの定員、いまの別表の基礎になっております定員であります。そして奄美群島にさらに一つございまして、これが四百六十七人になるわけでございます。さらに今回の十九人を加えて四百八十六人、それも附則の中で別表の例外措置として入れたものでございまして、定員を暫定的な定員ということで置くことが首尾一貫するのではないかと考えている次第であります。
  23. 畑和

    畑委員 本会議の時間も迫りましたからこれで終わりますが、まだ私聞きたいことは一、二あります。特にあとで聞こうと思いますけれども選挙の住所の問題ですね、これは非常に重要だと思うのです。実はこの前の地方選挙におきましても、非常に弊害があった。それははっきり申しますと、公明会、創価学会の信者の人たちが、可能性のある選挙区へ大量に一時住所を移しまして、登録だけを移して人間は行かない。そしてそちらへ移ったことにして選挙をするということで、足りそうもないところへ何票行けば足りるというような構想から、住所を目的の選挙区に移しましてやった例がある。これは今度は衆議院のほうにも出るというような話も聞いておる。われわれ、社会党自民党、民社党のいずれを問わず、政党活動をしておる本来の政党が、そうでない、宗教を母体とする政治結社みたいなものによってそういう点が汚されるということは問題だと思う。私も調べましたけれども、現行法では虚偽登録か何かで取り締まるほかはあるいはないかもしれないが、何かこれに対する案を考えなければいかぬのではないか。いまの法律で取り締まるか、それが取り締まれないとすればどうするかということについて、きょうは別に結論を出さぬでもよろしゅうございますが、その点をあとで皆さんと一緒に研究していきたい、かように考えております。  あと質問を保留いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  24. 小泉純也

    小泉委員長 次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会