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1964-06-16 第46回国会 衆議院 建設委員会地方行政委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十六日(火曜日)     午後一時十七分開議  出席委員   建設委員会    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 服部 安司君    理事 廣瀬 正雄君 理事 岡本 隆一君    理事 兒玉 末男君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    木部 佳昭君       中村 梅吉君    堀内 一雄君       堀川 恭平君    山本 幸雄君       渡辺 栄一君    井谷 正吉君       西宮  弘君    原   茂君       吉田 賢一君   地方行政委員会    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀山 孝一君    久保田円次君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       華山 親義君    栗山 礼行君       門司  亮君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 澄田  智君         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   青鹿 明司君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         専  門  員 越村安太郎君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路法の一部を改正する法律案内閣提出第一  七〇号)      ————◇—————   〔丹羽建設委員長委員長席に着く〕
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより建設委員会地方行政委員会連合審査会を開きます。  先例により、私が委員長の職務を行ないます。  道路法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。
  3. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 本案につきましては、その趣旨説明は、便宜お手元に配付いたしております資料で御了承願うことにいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。
  4. 奥野誠亮

    奥野委員 提案理由説明を拝見いたしますと、国道についての管理体制強化をはかりたいということがうたわれておるわけでございます。そういう意味法案を拝見いたしますと、従来の二級国道新設改築権限を、府県知事から建設大臣に移す。最大の重点が、ある意味においては、もっぱらそこにあるというようにも考えられるわけであります。ところが、附則の三項で経過措置が設けられており、当分の間は、府県知事に委任することができると書いてあるわけであります。そうしますと、この附則第三項の経過措置は、長い間そのままにしておきますと、改正趣旨が没却されることになるわけでございますけれども、どのような要領によって切りかえていこうとされておるのか、最初にその点をただしておきたいと思います。
  5. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 まだ具体的に、毎年どういう事業量を移しかえていくかということについては、数字的なものを持っておりませんが、私ども考えておりますことを申し上げますと、従来、二級国道は、長年府県知事において施行しておりましたもので、仕事を遂行する体制は、すべてそういうふうにでき上がっております。また他方、国が直轄事業としてやります上におきましても、直ちにこれらをすべて国でやるという組織体制整備がされておりません。これらは多くの場合に人の問題を伴いますので、国の側においても、また地方自治体の側においても、それらの事業がきわめて円滑にいく、こういうことを考えませんと、移行がスムーズにまいりません。したがいまして、できるだけ工事規模、性質、そういったもの、あるいはいま言いましたような事務所配置等、そういうようなことを勘案いたしまして、両者においていずれも移しかえることが適当であると判断されるものから、なるべくすみやかに移行したい、こういうようなことでございますが、何年間でどういうふうに持っていくかということにつきましては、なお数量的なものを持っておりませんので、またそれらの準備ができましたら、申し上げることにいたしたいと思います。
  6. 奥野誠亮

    奥野委員 私が前段で申し上げましたところの提案理由から拝見しますと、管理体制強化がねらいだ。また法案内容を見ますと、二級国道新設改築、これを府県知事から建設大臣権限を移す、これが一番そういう意味の中身をなしているのだ、この判断をしたのでありますけれども、これは間違いでしょうか。
  7. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 考え方といたしましては、御指摘のとおりでございます。そういう趣旨改正と心得ております。
  8. 奥野誠亮

    奥野委員 そうであるといたしますと、附則二項の経過措置、これにどのような要領をもって対処していくのか、ある程度具体的に話を伺いません、法案内容についても判断しかねるということになるのじゃなかろうかと思います。
  9. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 私が申し上げましたのは、工事を実施するというような立場で申し上げましたが、管理体制としては、やはり国道一般国道に一本化されますと、計画管理上におきましては、できるだけ中央において、そういうような趣旨でやっていきたい。ただ、仕事を直ちにできるかということになりますと、先ほど申しましたような事情で、直ちに移行できませんし、また業者の立場もございますので、それらを逐次やっていく、こういう考え方に立っております。
  10. 奥野誠亮

    奥野委員 あまりはっきりしたお答えを得られないのでありますが、いずれにいたしましても、現状では、一級国道よりも二級国道路線のほうが長い、こういうように承知しておるわけでございます。また新設改築残事業量を見た場合には、二級国道のほうがはるかに多いのだろうと思のでございます。したがいまして、これらの行為の権限府県知事から建設大臣に移すということになりました場合には、相当大きな事業分量について、地方分権から中央集権に切りかえるというような行政運営の姿に変わってまいる、かように考えております。したがいまして、またこの移し方についてどういうような配慮を加えておられるだろうかということをただしておきたかったわけであります。私の希望を申し上げますと、どのような国道から新設改築をしていくか、そういうことについて、府県当局意見を十分に徴すべきではなかろうか。従来国が直轄で行なう仕事につきましては、必ずしも事前府県当局意見を徴するということはなかったんじゃないか、かように考えるわけでございまして、いま申し上げますような大きな変化になってまいりますと、路線をどこから手をつけていくか、そういうようなことにつきまして、府県当局意見を十分に徴することによって、他の府県の諸般の行政と並行的にものごとが進んでいくようにしなければならないじゃないか、かように心配いたしておるわけであります。道路道路だけで効用を全うしておるだけじゃなしに、住宅地帯工場地帯あるいは学校や港湾施設等々の建設関連を持ちながら、道路事業をやっていくべきだ、かように考えておりますので、総合行政を担当しております府県の目から見た場合に、どこから新設改築をしていくべきか、これは十分尊重していかなければならない意見じゃないか、かように考えております。今後、従来の二級国道新設改築建設大臣がやるとするならば、それらについての配慮をお願いしておきたい、そういう意味でお尋ねをしているわけでございますので、重ねて御答弁をいただければしあわせだと存じます。
  11. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 現在の一、二級国道の際にも、二級国道の重要な部分については、かなり国において積極的に施行したい、こういう立場をとっております。これが一本化されましても、そういう考え方については変わりないと思います。私どもといたしましては、たとえば二県にまたがるような路線で重要なもの、そのほか非常に工事がむずかしいものでこれから新たにそういう工事に取りかかるようなもの、したがって従来継続してやっておりましたようなものは、なるべく継続して完了するまではそのままやっていただくというようなことで、先ほど申しましたように、なるべくスムーズに移行できるという立場で、直轄で取り上げるにふさわしいものからやっていく、こういう考え方にいたしておりまして、それらはやはり各地方自治体との関係も深い問題でございますから、十分地方自治体と相談しながらやっていきたい、こういうふうに考えております。従来の一級国道でももちろんそういった立場がございますが、一級国道は、どちらかといいますと、国がやるということでまかせられている場合が多うございます。また従来出先地方建設局、さらに出先事務所等におきまして、十分地元方々意見も聞き、御相談しながらやっております。また二級国道一般国道になる場合も、そういった関係は必要であろうと思いますので、十分そういう趣旨をもってこの移行を実施したい、こういうつもりでおります。
  12. 奥野誠亮

    奥野委員 現在国の直轄事業につきましても、府県負担を求めるものにつきましては、その負担をあらかじめ通知しておかなければならないという規定を地方財政法に掲げておりまして、負担の額について意見がある場合には、府県当局がそれに応じて申し入れすることができるようになっております。単に負担金額の問題だけではなしに、どこから手をつけるかということにつきましても、先ほど申し上げましたような趣旨において、積極的に府県当局意見を徴するようなくふうをわずらわしたい、そうして極端な中央集権化にならないように御配慮いただきたい、かようなことを申し上げているわけでございますので、重ねてそのことだけをつけ加えさせていただきます。  なお、現在二級国道について国が四分の三を負担することになっているわけでありますけれどもイニシアチブ府県がとって新設改築をやることになっているたてまえからでもありましょうが、全額単独県費でこういうふうな仕事をやっているものも相当な額にのぼっているように承知しているわけであります。もしその金額がわかっておりますれば、お教えをいただきたいと思います。
  13. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 各道路種別に、単独費の数字をただいま手元に持っておりません。維持関係だけについては把握いたしておりますが、それによりますと、三十八年度におきまして、維持関係として単独に実施されておりますものは、私どもの統計によりますと、十五億三千万ぐらいになっております。
  14. 奥野誠亮

    奥野委員 今度の道路法改正趣旨から考えてまいりますと、国道については国が責任を負っていくのだ、その管理体制強化していくのだという趣旨だと思うのであって、そういう点からいきますと、府県道については府県責任を持っていくのだ、その考え方強化すべきではなかろうか、かように思われるわけでございます。したがいまして、二級国道改築をどこから手をつけていくか、それについては府県の意向を事前に十分聞いていただきたいし、尊重していただきたい。そうすると、あえて府県単独県費改築をやらなければならないという必要はないのじゃないか、むしろそれだけの余力があるならば、府県道改修に主力を注ぐべきではなかろうか、かように私は考えるのであります。今度の道路法改正趣旨からいたしますと、二級国道について府県単独県費改修をするというようなことよりも、むしろそれだけの余力があれば、府県道改修に力を入れるべきだ、かように考えたいのであります。また、そうすることが、おのおのの責任体制国民の前に明らかにするのであって、国民批判も行き届きやすいようになるのだということになろうと思うのであります。私は、道路法改正趣旨をそう受け取りたいのですけれども、それについての御見解を伺っておきたいと思います。
  15. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 国道は国、県道は県、こういうはっきり割り切った考え方もあろうかと思います。そういう議論がなされておりますことも承知いたしております。しかし、現実に国道なり県道を見る場合に、国道は必ずしも国のためだけのものではない。やはりその沿道の県には非常に利害関係がある。県道におきましても、必ずしも県だけの利害関係のものではないということで、三分の二、あるいは四分の三、こういうそれぞれの負担がきめられておると思います。したがいまして、国道全額国でやらなければならぬ、あるいはその反対に、県道は県でやらなければならぬと考えるのも、いろいろ議論があるというようなことでございまして、従前の負担率というものは、いろいろ過去のいきさつの結果でき上がったものでありまして、その負担率を一応尊重すべきである、こういうふうに考えて、今回の改正でも、そのような負担率をとった次第でございます。
  16. 奥野誠亮

    奥野委員 ちょっと私の質問を聞き違えておられるように思います。私が申し上げたのは、国道につきましては国が四分の三を負担することになっているわけであります。たまたま従来の制度でいきますと、二級国道改修についてイニシアチブをとるのは府県であるわけであります。自然、国が四分の三を持ってくれないけれども、あえて府県が別個の個所について単独県費改修しているところがあるわけでございます。管理体制強化するのだというたてまえから考えると、こういうものについては、事前建設省当局十分話をして、四分の三の国庫補助負担金をつける個所の中に入れてもらえばいいのじゃないか、その努力をすべきだし、建設省当局もその意見は十分尊重すべきだ、したがってまた、補助負担金のつかないところについて、単独県費仕事をやる、その余力があるのなら、むしろ府県道が非常におくれているのだから、そこに力を注いでいくべきじゃないか、そういう考え方で、責任の分野を明確にしたほうがいいのじゃないだろうか、そのほうがまた国民から国道改修がおくれているとか、府県道改修がおくれているとか、その責任建設当局にあるのか府県当局にあるのか、批判も行き届くじゃないか、批判が行き届いたほうが、道路整備が促進されるのじゃないか、それがまたこの法律管理体制強化するねらいだ、こう理解したい。それについての見解を伺っておきたい、こういうことであります。
  17. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 国道改築関係は、できるだけ国が基本的な負担をすべきである、こういうことについては全く同感でございます。したがいまして、現在でも国道単独でやっておりますものは、例外的に、自分が単独でやれるから、またやりたいからという規模のものが多いと思います。したがって、数量も、私のところではっきりつかんでおりませんが、おっしゃる趣旨のことは私どももそのように考えております。要は、そういうことをやりたいところがたくさんあるにもかかわらず、それに応ずるだけの十分な資金量があるかどうかということに帰するかと思いますが、趣旨としては、おっしゃることは、そういう考え方でいくべきだろうと私も考えております。
  18. 奥野誠亮

    奥野委員 次に、維持修繕その他の管理につきまして、現在は一級国道指定区間だけを建設大臣が行なっているわけであります。一級、二級の区分がなくなってまいりますと、一体どの範囲まで建設大臣がみずから維持修繕その他の管理をやろうと考えているのか、国道に関する限りは、将来は全面的にやろうと考えているのか、あるいはまた、一級国道は全面的にやるようにしたいけれども、従来の二級国道については、府県知事に委任しておいたほうがよろしいと考えているのか、どちらであるかということを伺っておきたいのであります。維持管理範囲を広げていきますことは、自然、管理事務所のようなものを地方建設局出先として持たざるを得なくなってくるのじゃないだろうかという懸念を抱いておるわけであります。また、その結果、府県のそのような事務所地方建設局事務所がダブって設けられるようなことになってまいりますと、国民としても非常に迷惑をするのじゃなかろうか、むだな経費も使うことになるのじゃなかろうか、二重行政機構をぜひ排除していきたい、こういう希望もありますので、かたがた伺っておきたいのであります。
  19. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 国道直轄管理区間は、現在は、北海道を除きまして、一級国道について全国で五千七百キロぐらいございますが、もちろんこれらは逐次増大いたしまして、一級国道はもちろん全区間、また今回一本になりますところの二級国道につきましても、重要な区間から国の直轄管理下になるべく早く移していきたいという考えでおります。このためには、どうしても全体で二万八千キロの延長になるわけでございまして、各県の維持管理的な業務を経常的に増してまいるわけでございますから、当然一県に一カ所、あるいは必要により二カ所、そういった事務所ができることはやむを得ないと思っております。現在の一級国道でも、そういうたてまえで各県に一カ所くらいの管理的な事務所を置く。もちろんこれは、従来の建設をやっておりました事務所が、そういうふうに転換していく場合が多いのでありますが、あるいは両方兼ねてやっている場合が多いのでありますが、いずれにいたしましても、そういうものができることはやむを得ないと思います。これは二重というよりも、やはりそういうものがなくてはうまく運営できない、沿道方々の期待される業務が十分できないということでぜひとも必要であるもの、こういうふうに考えておるわけでございます。
  20. 奥野誠亮

    奥野委員 いまのお話をこう受け取ってよろしいのでしょうか。従来の二級国道維持修繕その他の管理も、将来は建設大臣直轄に全面的に持っていきたいのだ、しかしながら、その場合でも、管理事務所県単位ぐらいには設けざるを得ないかもしれないけれども、それよりさらにこまかい区域にわたって事務所を設けるというようなことは考えていない、かように理解してよろしいのでしょうか。
  21. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 少なくとも一県に一カ所の事務所は必要であろう、場合によってはもっと要るかもわかりませんが、少なくとも一カ所は要るだろう、こういうようなことを申し上げたわけであります。
  22. 奥野誠亮

    奥野委員 場合によってはもっと要るかもしれないということになってまいりますと、府県制度に問題があるのか、中央政府行政事務の分配に問題があるのか、それは考え直さなければならない問題になろうかと思うのであります。府県区域を広げるのか、あるいは国道をさらに振り分けをするのかという問題があろうかと考えるのでございまして、府県中央政府との間で行政機構を二重にするようなことは、つとめて避けていただかなければならない、そういう考え方でくふうしていただくことを希望申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、この法案を読んでまいりまして、なるほど、府県知事権限中央政府権限に移す、そこはわかるのですが、権限は取り上げているけれども費用負担については何ら積極的に国が持とうとしていない、という疑問がぬぐえないのであります。権限だけを国に移して管理体制強化されるわけのものではない。しかもその中には、後来どおり委任したままでいかなければならないものもあるわけでありまして、委任したままでいかなければならないものにつきましては、やはり国の負担部分を引き上げることによって、国がその責任を果たせる、管理体制強化することができるということになるのじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。全部一般国道にしておきながら、大部分維持修繕その他の管理府県知事に委任している。委任にあたっては国は一切負担をしない。何か矛盾しておるように思うのであります。一般国道というふうに大上段に振りかぶった国の責任強化をしておきながら、大部分府県知事維持修繕その他の管理を委任しておる、それについては一切金を持たない。これらについてどうお考えでございましょうか。
  23. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 権限を取り上げたから負担を増せという議論でございますと別でございますが、今回の道路法改正は、やはりそういう国の管理体制をつくり上げることによって、国全体として、一級国道あるいは二級国道がうまく整備されるであろう、よりよく整備されるであろうというところにねらいがあると私ども考えております。もちろん、それに伴いまして地方負担も軽減されればけっこうでございますが、これはいろいろ他の公共施設等関係もありまして、道路だけでそういうことをやるわけにもまいりません。また従来二級国道ではできませんでした国の直轄管理機関というものも、ただいま申しましたように、逐次ふやされていくわけでございまして、こういう点については、国はまた積極的に負担をしようということでございますから、少なくともそういう点においては、ただいまお話しの趣旨に合致すると思いますが、権限を取り上げたから直ちにそれに反対給付的な費用負担をしろということは、正しい法の改正趣旨とは結びつかないもの、かように私どもは心得ております。
  24. 奥野誠亮

    奥野委員 いま申し上げましたように、管理体制強化すると言いながら、維持修繕その他の管理については、大部分府県知事にまかせておる。その経費は国が全然持たない。そこに一つの矛盾があるじゃないかというふうに考えますと同時に、管理体制強化するということになりますならば、費用負担の割合は、むしろ国にウエートを移すべきだと考えるわけであります。そう考えますと、新設改築については四分の三を国が持っておるわけでありますけれども改築その他国が直轄して維持しておる場合につきましても、二分の一しか負担をしないというかっこうになっておるわけでありますが、むしろ全体を四分の三の国の負担に統一していくということが、国の責任を表に立てていく場合には必要なことではなかろうか。形式だけ国の責任強化するのでなくて、実質的にも責任の負える体制にするためには、経費負担を国に比重を移す必要がある。そういう意味においては、積極的に全体を四分の三に統一することが、将来の方向としては妥当ではなかろうかと考えておるわけであります。これについての所見を伺いたいと思います。
  25. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 二級国道を現在の一級国道同様に扱うという趣旨から行なわれておる改正でありまして、一級国道も従来と違った費用負担をするということになりますと、これまた別の法律改正問題かと思います。私どもは二級国道一級国道と同じように扱うという趣旨でやっておるわけでございます。すべて四分の三にしたらいいではないかという御意見に対しましては、先ほど申しましたように、道路以外の他の公共施設に対するいろいろ調整の問題もございますので、これはまた別途の問題として議論すべき問題だ、かように判断しておるわけであります。
  26. 奥野誠亮

    奥野委員 第三に、受益者負担金の問題についてただしておきたいと思います。  現在、府県道改修等に必要といたします経費は、全額地方交付税基準財政需要額の算定においては、府県に算入しておるわけでございます。にもかかわらず、府県道改修でありますとか、舗装でありますとかいう場合に、地元市町村負担をさせる。地元市町村市町村の正規の財源からこれを負担しているところもありますし、また地元住民にさらに分担させているところもあるわけでございます。こういう金額がどの程度にのぼっておるかわかっておりますれば、お教えをいただきたいと思います。私はそういうようなやり方をしている結果が、地元住民に非常に過酷な負担をしているということを心配している一人であります。たとえば東京近辺オリンピック関連道路が整備されていく、周辺の地価は暴騰してまいります。非常な受益が行なわれているにもかかわらず、別に地元負担をしいられているという話は聞かないのであります。ところが非常なおくれた地域において、府県道改修された、あるいはちゃちなアスファルト舗装がされた。すぐ地元負担の問題が起こってくるのでありまして、でなくても負担能力が十分でない住民が、税金のほかにまたこういう意味負担をしいられているわけであります。ますます地域格差が広がっていくのではないか。国民感情から考えましても、全く妥当な措置とは思えない。非常な疑問を抱いておるわけでありますので、こういう点につきまして、建設当局がどういう考えを持ち、どういうような指導をしていこうと思っておられるか、これをただしておきたいと思うのであります。
  27. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまの点でございますが、県道におきましては、道路法にそういう根拠もございますので、全部の県ではございませんが、かなりの県において、道路もまた工種ごとに率を変えまして負担をさせておるのが事実であります。これらの中には、いろいろ各県ごとに事情も違いまして、バランスも必ずしもとれておりません。これらにつきましては、できれば統一的な何か指導をする必要があるかと思いますが、何ぶん各県の財政事情はかなり幅がございますので、ただいまのところ、これらを統一するまでに至っておりませんが、ただこれは道路だけの問題ではなくて、全般的に各自治体の財政問題にも関係すると思いますので、また自治省のほうとも御相談しながら、これについては今後研究させていただきたいと思います。
  28. 奥野誠亮

    奥野委員 各県の財政事情ということをお話しになりましたが、どこでその経費負担すべきであるかということについて的確な判断を下すならば、それだけの財源を、負担する団体に与えていくという措置をとればよろしいわけでありまして、地方交付税制度の運用においてそれがとれる仕組みになっておるわけであります。したがいまして、本来負担すべき団体がそれを負担するように、一応政府各省は積極的に指導すべきではなかろうかという考え方を持っておるものでございます。従来からちゃちなアスファルト舗装をいたしましても、すぐ地元住民受益するのだから地元負担だ、これが長い間の慣例になっております。今日の道路観から見れば、舗装していないような道路道路予定地ではないかという気持ちがだんだん強まってこようとしているわけであります。しかもまた社会連帯の思想といいましょうか、能力に応じて広く経費負担するという考え方が発展をしてまいりまして、またこの財源をまかなう租税制度も発達してきていると思うのであります。したがいまして、受益負担のような制度にいつまでも固執していくことは、事業の効率を高めるゆえんではないのだ、事業を発展さすゆえんではないのだ、しかもまた先ほど、僻遠の人たちがかえって非常に無理な負担をしいられておるということを申し上げたわけでありますが、そういう問題も解決できないのじゃないかということを指摘しておきたいわけでございます。そういう意味で、受益負担にたより過ぎている道路行政経費負担、これを積極的に改善していく気持ちを建設当局にぜひ持っていただきたい、またそういう努力をしていただきたい。これについて重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  29. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 私どもといたしましても、県道等の改修につきましては、その一部が地元市町村に課せられるということは、一般的には好ましいことではないというふうに考えております。ただそれぞれの県にいろいろ事情があるわけでございまして、直ちにこれらを指導によって是正できるかどうかわかりませんが、そういう方向に向かいまして、いろいろ検討いたしていきたい、かように思っております。
  30. 奥野誠亮

    奥野委員 あまり積極的でないお話を伺うものですから、重ねてもう一点だけ承っておきたいのであります。  道路法の第五十二条に、市町村の分担金の規定がそのまま残っております。これは先年地方財政法改正されまして、国道に要する経費、この改築などに要する経費につきましては、府県負担分を市町村に転嫁してはならないということにされたのであります。したがいまして、今日ではこの第五十二条は、私は、こういうような改正の機会には、当然改正して提案されるべきだったと思うのであります。五十二条がそのままに残っているところに、建設当局が何か受益負担というものを将来ともずっと固執していきたいという気持ちを持っておられるのじゃないだろうかという疑問を持つものであります。私は五十二条は当然改正されるべきであったと思いますし、またそういう方向において、将来道路経費についての指導をしていただくようにお願いをしておきたいと思うのであります。
  31. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 五十二条は、私どもは、一般的に道路受益負担の思想とは考えておりません。これはあくまで、県の財政事情を補う趣旨として残されておるものと考えております。受益負担ということになりますと、これまた一般的にたいへんむずかしい問題でございまして、従来、そういう規定はございましても、現実に運用しておらないような事情でございます。五十二条はそういう趣旨のものではございませんで、先ほど申しましたように、今後なるべくそのようなことがないように——積極的でないというお話がございましたが、できるだけ検討して、その線に沿うように努力してみたいと思っております。
  32. 奥野誠亮

    奥野委員 これで終わりますが、私の言っておりますのは、第五十二条は、国道関係で生ずる府県負担市町村負担させることができると書いてあるのでありますけれども、現在では、地方財政法で、この工事関係府県負担分を市町村に転嫁してはならないと法律改正をされたのであります。だから新法が優先するから、その限りにおいては、これは生きてこないのでありますけれども、せっかく改正する機会だから、この規定にも手を入れるべきではないか、また手を入れるような考え方で、なるたけ受益負担というものをしぼっていかなければならぬのではないか、こういうことを申し上げておるわけであります。五十二条の受益負担の規定は「受益の限度において、当該市町村に対し、その工事又は維持に要する費用の一部を負担させることができる。」ということであります。(「修正だ」と呼ぶ者あり)あえて修正を要求するわけではありませんが、そういう考え方をもって、ひとつ指導していただきたい、かように考えておるわけであります。
  33. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 五十二条のうちで、国道については負担はさせておりません。県道については、先ほど言いましたような事情で、そういうものがなおあることは事実であります。受益負担は、また別の六十一条で、一般的に受益負担という思想が出ておりますが、これにつきましては、なかなか現実問題として困難であります。そういう意味で、先ほど申し上げましたようなお答えをしたわけでございます。
  34. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後、再開いたします。    午後一時五十三分休憩      ————◇—————    午後三時三十九分開議   〔丹羽建設委員長委員長席に着く〕
  35. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。華山親義君。
  36. 華山親義

    ○華山委員 質問の順序が違いましたが、前提としてお聞きいたします。  このたびの五カ年計画では、初めには五兆円を建設省原案としておつくりになったように報道されておりますし、だれでも承知いたしておるわけでありますが、それが四兆一千億円に減額に相なったわけでございます。その際に、一般道路事業につきましては、これを縮小いたしまして、大体二割七分を縮小をいたしております。有料道路につきましては、一割八分を縮小いたしまして、全般的に縮小に相なっておるのでございますが、地方単独事業だけが、二割一分も拡大いたしております。大体におきまして、建設省原案につきまして、拡大をするというふうなことはこれはめったにないところでございますが、地方単独事業には、ございます。国の事業につきまして縮小をして、地方単独事業を拡大をなすった。どういう御見解、どういう経緯でこういうふうに相なりましたか、私のこれからお聞きすることの前提といたしまして、伺っておきたい。
  37. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 五カ年計画の規模につきましては、当初五兆円で要求したのは御指摘のとおりでございます。最後に四兆一千億になりましたことにつきましては、特に財源の問題につきまして政府間においていろいろ打ち合わせをした結果、当面、現在の経済情勢で五兆の財源規模を構成することは困難であるということで、四兆一千億になったのであります。その際に、財源検討でございますから、国の負担するもの、地方負担するものあるいは他から資金を借り入れるもの、いろいろ検討したのでございますが、合わせて、一般道路が二兆二千億、有料道路が一兆一千億、地方単独八千億、こういうことになったのでございますが、地方単独につきましては、私どもは六千六百億という規模のものをお願いしておったのでございますが、これもいろいろ検討いたしました結果、最近の地方単独事業規模がかなり拡大している。大体三十八年で一千億若干切れております、九百数十億、三十九年度におきましては千二百四十億くらいで、大体千億台の規模になっておりますが、八千億の地方単独事業が必ずしも無理ではない、こういうようなことになりまして、当初考えておりましたワクよりも拡大したわけであります。そういうようないきさつで、主として財源的な検討の結果そういうふうになった、地方単独についてもそのくらいのことは可能である、こういう検討の結果、そういうふうになった、こういうふうになっておる次第でございます。
  38. 華山親義

    ○華山委員 この点につきましては、端的に申し上げまして、皆さまのお耳に入っておりますかどうですかわかりませんが、非常に多くの人々は、ことに地方当局は奇異の観念を持っております。国の財政がそういうふうであって、どういうわけで地方の財政は余裕があるのかと、その点につきましては非常な奇異の観念を持っております。悪く言う人は、五億という計数が三億台になったのではかっこうがつかない、それで、地方のほうをふやして、そして四億台に乗せたのではないかとさえ言う人がおります。地方財政につきまして、こういうふうな余裕はあるまいと私は思うのでございます。余裕がないということは、要するに借金をさせれば余裕があります。しかし、現在の地方財政は、御承知のとおり、一般的にも、また地方当局も憂えておりますように、非常に危険な状態にあるというふうに考えて、そこに国がこれだけの負担を期待するということは無理なのではないか、私はこういうふうに考えますが、その点につきまして、私はそれではお聞きいたしますが、今年度の各地方の都道府県の当初予算はもはや決定いたしております。どういうふうな計数が全体として載っておりますか、承知いたしたい。
  39. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 最初の点でございますが、地方単独事業につきましては、もちろんこれは政府部内におきまして、過大であるとか過小であるとかいう問題は議論いたしました。過大であって、地方財政がそれをまかなえないようでは、やはり計画として適当ではございません。これにつきましては、私のほうと自治省のほうと、もちろん大蔵省も含めまして、相談しました結果、三十九年度についてもこういう規模でやるということになりまして、話のついた結果やっているわけでございます。三十九年度につきましては、全体で事業規模を申し上げますと、公共事業が三千五百六十億、有料道路事業が千二百七十億、これに地方単独事業は、先ほどちょっと申し上げましたが、千二百四十億、大体こういった規模で、予算の裏づけ、財源の検討がなされた結果、きめられたものであります。   〔委員長退席、中島(茂)委員長代   理着席〕
  40. 華山親義

    ○華山委員 私お聞きいたしておりますのは、国の予算はきまりましたけれども、各都道府県の予算もすでに決定しておるはずでございます。当初予算につきまして決定しておるはずでございます。都道府県は、私は存じておりますが、国と違いまして、わりあいに追加予算等も多いものでございますから、いまここで一がいには言えないと思いますが、各都道府県の当初予算で、単独事業として組まれた予算の総額は幾らになっておるかということをお聞きしたい。
  41. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 単独事業の予算規模については、これは道路五カ年計画とは直接関係ございませんが、先ほど申しましたように、自治省のほうと打ち合わせまして、総額千二百四十億ということで本年度の財源的な裏づけがされておる、かように承知しておるわけであります。
  42. 華山親義

    ○華山委員 今年度の単独事業は、大体五カ年計画の一部になるわけでございますね。今年度予算につきまして、単独事業は各府県で幾ら計上しておるか、その合計をお聞きいたしておるわけです。
  43. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 まだ各県の県ごとの数量を統計しまして合算したものはございませんが、自治省のほうで、今年度地方単独事業の合計として見込んでおりますものが、千二百四十億であります。
  44. 華山親義

    ○華山委員 千二百四十億というのは地方財政計画でございますが、地方財政計画のとおりに当初予算が組まれておるかどうか、そういう点をお聞きいたしておりますが、まだお調べでございませんか。
  45. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 まだ私のほうでは、そういう地方単独につきましての統計を持っておりません。
  46. 華山親義

    ○華山委員 私は、その点につきまして心配をいたすのでございますけれども、私は、これは地方財政を非常に圧迫するものであろうと思います。この間もお聞きいたすところによりますと、各都道府県は非常な借金をしておる。そして外債さえも求めておる。なぜ、都道府県は外債によらなければいけないのか、内国の借金でまかなわれないのかという質問に対しまして、大蔵省及び自治省は、日本の起債市場が狭くて、これを外国市場に求めなければいけない、こういうふうな答弁を私にいたしております。それだけの借金をしながら、このような事業をやるということは、私は、もしもできたとするならば、これは非常に危険なものじゃないか。三十年当時の各県が非常に困った赤字時代というものは、これは貧乏な県でございましたけれども、今日は金持ちの県も非常なあぶない状態になっておる。この際に、このような計画を立てられるということは、私は非常に危険なのではないかという気持ちがいたします。  それでは、なお伺いますが、新道路五カ年計画におきまして、国費は大体一兆七千六百億でございますが、そのうちの八割五分というものは特定の財源ができておる。一般会計から支出するところのものは、わずかに一割五分にすぎません。しかるに地方におきましては、一兆四千四百億、大体国と同じような負担に相なります。そしてそのうちで特定財源は六千九百億であって、四割七分にすぎない。あとは一般財源から出さなければいけない、こういうふうな状態でございますが、国におきましては、特定のそういうふうな、主として税の関係でございますが、特定の財源を与えて、地方につきましては、これをあまり与えておらない。これはやはり、地方におきましてはそれだけの余裕があるというお見込みでございましょうか、お伺いをいたしたいと思います。
  47. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 まだ四兆一千億の正確な、国が負担すべき費用、並びに地方負担すべき費用、これの内訳は、五カ年計画の内容がきまっておりませんから、きまっておりません。しかしただいまのような数字の傾向は、大体やはりそうなろうかと思います。ただこの傾向は、従来の二兆一千億の五カ年計画の際にもそういうことになっておりまして、地方におきます一般財源については、交付税でその裏づけをする、こういうような形になっておりますので、今回も同様なやり方でいける、そういうような検討をいろいろした結果、四兆一千億になったと承知いたしております。したがって、そういう点については、当然裏づけがあるものと、私ども考えておる次第でございます。
  48. 華山親義

    ○華山委員 伺いますが、この単独事業というものにつきまして非常に関心を持っておられまして、非常に多くされたようでございますが、この単独事業というものは、これは富裕県も貧乏県も大体同じような状況でふえる見込みでございますか。貧乏な県はあまりふえない、六大都市その他の富裕な地方においてふえるものというふうにお考えでございますか。その辺の道路行政についてのお考えはどういうふうでございますか、お伺いいたしたい。
  49. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど申しましたように、まだ五カ年計画そのものがそういう状態でございますので、はっきりしたことは申しかねますが、傾向といたしましては、やはり富裕大都市県においてふえる、こういう傾向になろうかと思っております。
  50. 華山親義

    ○華山委員 まだきまっていないとおっしゃいますけれども単独事業のことまで建設省がおきめになるのでございましょうか。私は単独事業のことをお聞きいたしておるのであります。
  51. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 単独事業は、五カ年計画としてはきめません。四兆一千億の中から単独事業をきめましたものを、政府として、五カ年計画としてきめるわけでございます。したがって、そういう意味におきましては、単独事業は五カ年計画できめません。ただ全体の財源、四兆一千億という道路総投資の財源については、大蔵省、自治省、建設省等で相談すべきものでございますので、そういう意味において、いろいろ相談し、検討すべきものである、こういう意味で申し上げたわけであります。
  52. 華山親義

    ○華山委員 私は、ひとつ実態を申し上げておきたいと思います。大体私は、東北地方のわりあいに道路の発展しない、地方道というものはほとんど荒廃に帰したままであるという地方におりますので、その方面のことから申し上げたいと思いますが、たとえとしてお聞き願いたい。大体におきまして、東北六県というものは、財政の規模その他いろいろな面からいたしまして全国の一割と考えてよろしい。大体一割でございます。それでございますから、八千億ということにお考えになったといたしますと、大体一割でございますから、八百億でございます。八百億の一カ年平均ということになりますと、百五十億ということになります。しかし初めのうちは細くてあとのほうがだんだん多くなるのでございましょうから、百二、三十億というふうに考えてもよろしいと思いますが、東北地方全部を合わせましても、これは十二、三億にすぎない、こういうふうな状態です。このようにして、地方道というものは、貧乏なほうは荒れほうだいである。あなたのおっしゃるように、これが全部全国的に消化されるということであれば、富裕な地方地方道はだんだんよくなっていく、こういうふうな地方格差というものをほうっておいていいものであろうかどうか。単独事業につきましても、やはり特別な考慮というものを建設省でもお考えになって、自治省と交渉して、財源を与えられるような方向でいきませんと、いつまでもだんだん格差が開くだけである、こういう状態だと思います。私は状況を申し上げましたが、その点についていかがな政策をおとりになっておりますか。また、御感想でもございましたならば、承りたいと思います。
  53. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 単独事業につきましては、これはやはり全般的に県の財政の問題に関係すると思います。ただ道路だけでそのワクをきめていくということもできかねると思います。しかし総ワクにつきましては、自治省のほうでもいろいろ検討された結果、この程度のものはやれるということで、おきめ願ったのでございますが、それらを地方的に、各県、六大都市、どういうふうに配分するかという問題は、ただいまのようなお話の点もございますが、たいへんむずかしい問題であろうと思います。私どもは、単独事業内容まで建設省だけで指導するということについて、今日の段階では、まだそこまで至っておりません。先ほど申し上げましたように、一つの目標のワクとしては考えております。国のほうといたしましては、四兆一千億から八千億除きました三兆三千億、こういう規模につきまして、政府が責任を持ってやるという道路計画において、たとえばいまお話しのような地方的な問題についても対策を立てなければならぬ、かように考えておりますが、単独事業につきましては、そういう事情にございますので、各県、また自治省あたりといろいろ相談しながら、内容についていろいろ指導していくべきである、こういう性質のものであると心得ておるわけでございます。   〔中島(茂)委員長代理退席、委員   長着席〕
  54. 華山親義

    ○華山委員 私は重ねて計数を求めますことはやめますけれども、このたび二級国道が大体において国の管理されるところとなった。それで地方につきまして、維持修繕費というふうなものは、これは国でやる、それだけの金を浮かして、そうしてそれを地方道のほうに回す、そういう御配慮がいただけないものかどうか。特に貧乏な地方におきましては、国道は長いのです。非常に長い。その長い国道につきまして、これを修繕し、維持していかなければいけない。その金額というものは、私は金額的には計算をいたしたことはありませんけれども、富裕県よりも割り損だと思います。そういう意味におきまして、貧乏な地方におきましては特に痛切な問題だと思うのでございますけれども維持管理費というようなものにつきましては、これを国で持っていく、こういうふうにお考えになって、地方地方で、地方道の仕事に全力かあげられるように——先ほどの御質問もありましたが——考えるのでございますが、いかがでございますか。先ほどの御質問では、十分なお答えがありませんでしたけれども、少なくとも、貧乏な地方については、そういう面について、その財政力について大幅に勘案してやる、そういうような施策があってもいいのではないかと思いますが、ございましたならば、お答えを願いたい。
  55. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私からお答えいたします。ただいまお述べになりました後進県と申しますか、おくれております県というか、こういう地方府県は、特に道路維持管理費がよけいかさむ。富裕県のほうは富裕県で、舗装がどんどんできておりますから、維持管理費がわりあいに安上がりになります。こういう点は非常に矛盾でございます。私もこの点気づかぬことではございませんでしたが、何ぶんまだ建設行政にふなれでありましたために、進むことばかり考えまして、こういう点に配慮が足らなかったと思っております。したがいまして、次の機会におきましては、できるだけこういう点につきましても配慮いたしまして、大蔵当局とも十分折衝いたしまして、これら後進の県の維持管理の重圧について、何らかの方法を講ずることについて、できるだけ努力をいたしたい、こう考えております。
  56. 華山親義

    ○華山委員 これで終わります。
  57. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 安井吉典君。
  58. 安井吉典

    ○安井委員 河野建設大臣のおいでを願っておりますので、まずこの改正法を御提案になった趣旨について伺いたいわけであります。いただきましたこの要綱によりますと、交通安全施設について必要な規定の整備をする、こういうふうな問題、あるいはまた道路審議会の委員の定数を増すとか、こういう問題についてはわからないでもないのでありますが、一級国道及び二級国道の区別を廃止して、新たに道路の種類として一般国道制度を設けるのだということが、今度の改正の主体をなしておるわけです。私一読したところでは、一体何のために二級国道をやめて、一級国道一本の形にしなければならないのかという、そういう積極的な理由が、どうもこの要綱なり法案を読んだ中からは出てこないのでありますが、改正のほんとうのねらいというものは何なのか、それによってどういう実益が出てくるのか、それをまず伺いたいのです。
  59. 河野一郎

    ○河野国務大臣 皆さんも御承知のとおりに、二級国道一級国道に昇格させたいという要望は全国的にあります。なぜ一体二級国道一級国道に昇格させろという要求が多いのか、私はこれがすべてではないかと思います。もし二級国道でおいたほうがよろしい、こういうことをする必要がないというのならば、二級国道一級国道に昇格させたいという御要望は、間々まれにあるにしても、全国的にそういうふうにあるわけはないと思うのですが、おそらく全国の各地におきまして、二級国道一級国道に昇格ができたら、お祝いをなさるくらいにお喜びになるのではないかと思うのであります。このことはもうすべてを物語るものだと私は思います。私は建設大臣として申し上げたいと思いますことは、それもさることながら、いま現に地方道路管理をお願いいたしておりますが、そういう実態からいたしまして、道路の一貫性というものに非常に欠けるところがある。ことに私は、すでに建設委員会で申し上げておるのでございますが、道路については二つの方針でこれから管理していくのだ。一つは従来の道路を従来の道路なりに舗装し、これを整備することだ。また別に、新たに社会の変遷、国の変化、構造の改善等によって、新しい道路考えていかなければならぬ。新しい道路はどこまでも産業開発、地方の開発という趣旨によって新しい道路考えるのだということで、従来の道路というものの観念が相当に変わってくる段階に来ておる、こう思うのです。その際に、従来の二級国道一級国道というような区別があって、そしてこういうふうなものは二級だ、こういう規格のものは一級だ、この規格それ自体が私はこれからの新しい日本の社会には該当しないんじゃないか。県庁と県庁の所在地を結ぶものは何だ、どういう大都市と大都市を結ぶものは何だというようなことで、道路というものは、すべての機能を持ち、目的を達成するものじゃない、こう思うのです。そういう意味からいたしまして、国で経営管理するものは国道ということにして、全部国家の広域経済を達成し、広域な目的に合致するものは、これは国で管理して、国家的にこれを処理することが適当である、地方的なものは県でお願いすることが適当である、こう大ざっぱに思います。そして、道路についても、いま申し上げますように、先ほどもお話がありましたように、県の財政がいいとか悪いということによって道路の幅が広かったり狭かったりするようなことが、これから先に非常に不便を来たし、交通が、そういうところでネックになりますために、全体的に機能を阻害するというようなことが現にあるわけでございます。そういうものを解消して、交通の機能に万全を期するという意味合いから、どうしてもこのほうが適当である、こう考え改正をお願いしておる、こういうわけでございます。
  60. 安井吉典

    ○安井委員 どうも私、道路法はこれで勉強するのは初めてですから、理解不足なのかもしれませんが、今度二級国道がなくなって、一般国道ということで総括されるわけでありますが、現在まで二級国道であったものが、こういうふうな形になることによって、その地方負担は減るのですか。
  61. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 負担率は、いまの一級国道におきましても二級国道においても同じでございます。したがって、今度の改正におきましては、従来の二級国道一級国道と同じように扱うということになりますので、負担率は従前のとおりであります。ただ一点違います。それは、いまの一級国道におきましては、建設大臣が指定いたしまして直轄維持管理をすることができるわけでございますが、いまの二級国道ではそういうことができないことになっております。一級国道並みになりますと、新たにそういう道が開けまして、従来二級国道でありましたものを指定した結果、それについてその指定した区間については国が二分の一を負担する、こういう道が開けることになりまして、その点だけが違ってまいります。
  62. 佐野憲治

    ○佐野委員 関連して。  ただいまの大臣の答弁並びに局長の答弁について、一応お聞きしておきたいと思います。と申しますのは、大臣は、一級国道、二級国道の基準を新しい実情に応じて定めたんだ、こう言われるのですけれども、じゃ前の一級国道、二級国道の基準と、今度新しく法案の中で国道等としてあげられておる基準とほとんど変わらぬではないか、あるいはそこにやはり県庁の所在地なりあるいは重要都市を貫くそれの基準が列挙されておるわけだし、一体法文そのものから見てまいりますと、一級国道、二級国道それぞれ設けた基準と、国道等として設けた基準とほとんど変わらないじゃないか、こういうことを考えるのですが、なぜ一級国道、二級国道国道として統一しなくちゃならなかったか、こういう点が少し疑問に思われますので、もう少しはっきり教えていただきたいのと、局長のいまの答弁の中で、たとえば二級国道の場合は大臣の直轄ができないと言っておられますけれども、しかしながら、十三条の第二項には、ちゃんと二級国道の場合でも大臣は必要によって直轄することができる、こういう規定を置いておるわけです。ですから、いまの答弁だと何だかおかしいと思うのですが、その点もう少し明確にしておいていただきたいと思います。
  63. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 国道の基準でございますが、いまの一級国道、二級国道、もちろん差はございますから、基準そのものにも差がございます。今回二級国道一級国道並みに扱おうということは、基準を一緒に扱おうということじゃございませんで、そういうものを一緒にした基準を考えようということでございます。  それから、いまお話しの次の点でございますが、ここに二級国道でも建設大臣ができる、こういう点は改築だけについてでございます。維持管理については、いまはできない仕組みになっております。
  64. 佐野憲治

    ○佐野委員 関連ですからなんですけれども、大臣が参議院のほうにも行かれるそうでありますので、もう一言お聞きしておきたいと思うのですけれども、二級国道から一級国道に昇格してくれと、非常に陳情がたくさん来ておるし、みなの希望なんだ、こういうふうに述べられるのですけれども、しかし、私は、その二級国道から一級国道に昇格したいというのは、皆さんの中で優先順位、優先度というものを置いておられる。だから、一級国道の場合ですと、新設改築というのが早くできる、だからお祝いもする、二級国道の優先順位は、皆さんの五カ年計画の中におきましても、一級国道の第一次昇格九千キロは昭和四十年、第二次の三十七年度において昇格した分は昭和四十三年だ、二級国道の場合は昭和四十七年度を目標とする、今度の五カ年計画におきましても大体七割程度しかいかないんじゃないか、こういうぐあいに皆さんの計画の中にもうたわれておる。そういう現実がやはり二級から一級への昇格を考える。これにしかすぎないんじゃないか。そういう点から来ておるという点も大臣も認識しておいていただきたい、かようにも私は考えるわけです。  それから、現実的に二級国道国道となったといたしましても、現在の二級国道の分に対しましては県知事に委任をする、こういうことになっておると、皆さんの趣旨説明の中にもあるわけだし、あるいはまた、皆さんの五カ年計画の今年度予算要求を見てまいりましても、たとえば一本になったといたしましても、七本だけは三十九年度にやるんだ、五カ年計画の中で大体三割程度をやるんだ、直轄管理するんだ、こういうぐあいに、大蔵省の予算要求の中にも皆さんのほうは出しておられる。ですから、現在の二級国道のものは、国道という名前がついておるといたしましても、ほとんどそれは県知事が委任を受けてやる。しかも、現行法十三条には、二級国道において、必要な場合建設大臣直轄することができるという規定を置いておられる。あるいは道路整備緊急措置法を見てまいりましても、それらの、たとえば二級国道だから、県と県との間にいろいろな不均衡があるという点もあげておられますけれども、しかしながら、緊急措置法によりましても、それらの計画なり、新設改築に対しましては大臣がこれを決定するという、緊急措置としてのそういう規定を置いておられるわけです。普通の場合におきましては、地方自治行政に対する尊重のたてまえとして、たとえば公営住宅の場合におきましても、町村長がそれぞれ資料を集めて、その上で大臣の決裁を求めるという形、地方との協力関係がうたわれておったのですけれども道路の場合におきましては、緊急特別措置をしなくてはならないという立場から、地方との協力関係は抹殺をいたして、大臣みずからの決定権を持って地方公共団体に通知をする、こういう規定を置いておられるわけです。そういたしますと、そういうでこぼこなんというものは、大体起こることがおかしいんじゃないかということが一つ考えられるのと、いま二つを一緒にされた国道といたしましても、実質上におきましては、直轄となる部分が少なくて、大部分を知事に委任をする、こういう形をとってまいりますと、一体どこに改正しなくてはならぬ理由があるのか、少し疑問に思うわけですけれども、その点もう少し率直な説明をお願いしておきたいと思います。
  65. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のように、私といたしましては、今日非常に大幅な道路予算を増加いたしまして、道路行政を、いまだかつて見ざるほどこれに重点を置いて、刷新いたしております。したがいまして、いままでやってまいりました程度の道路に対する観念、感覚を持ってやってまいりましたのでは、将来また予算を再びやりかえしをするとか、やり直しをするとか、もしくはまた、そこに非常に無理が生ずるとかいうようなことが起こることを憂えます。よって、まだいま早いじゃないか、まだあとでもいいじゃないかという御議論もあるのかもしれませんが、予算の上において、御承知のようにすでに従来の五カ年計画の倍に近い四兆からの金をもって、そうして中央地方も一体になって全国に道路網の完備をしていこう、さらに足りないものはふやしていこうという段階になっております。したがって、これだけの経費をかけてやるならば、そこに可能な範囲行政をこれに伴わしめてやることが適当であろう、こういうふうに考えまして準備をしていく。法律についても、いろいろのものがいままでありましたけれども、それらのものを、この際一新して、そうして将来の道路に関する法的な基礎を持ってやっていきたい、こういう意味でございます。したがって、いまお話しのように、そうは言ったって、地方にまかすものが多いじゃないか一それはそのとおりでございます。こういうものは一ぺんにやるといったところで、役人にしても、地方に非常にたくさん技術者がおりますし、中央の技術者が足りません。こういうものを、現状のままでいけば、どこまでもそれが累積をしていくだけであって、なかなか改革のできる時期はございません。私はそれをいつのときかはやらなければいかぬと思うのでございます。したがって、スタートをするときには、地方の技師を十分活用するために、地方管理を委任するということは、当然のことだと思います。それは順次整備されていくという段階をとるのが正しいのじゃないか、こう思うのです。予算についても、いま申し上げたように、いろいろ御意見もありますけれども、何を申し上げましても、現実が、県によって道路がよかったり悪かったりしておる今日の状態。それをやろうとすればできるじゃないか——やろうとすればできるように法律がなっておっても、現実が御承知のような状態にあるわけでございまして、この事実については、やはり全体の国民の諸君、全体の県も国も一体になって、新しい認識に立って道路の整備をしていくことが正しいんじゃないか、こう私は思います。
  66. 安井吉典

    ○安井委員 佐野君に対するいまの御答弁で、今度の改正のほんとうの気持ちはそこにあるんだということをおっしゃったような感じを受けるわけであります。私どもは一応、二級国道から一級国道に上がることによって、都道府県負担が減ったり、あるいはまた仕事がうまくいったり、そういうふうな期待を持つわけです。現に大臣は、先ほどのお話の中で、二級から一級に上がったら、もうたいへんなお祝いをするんだというふうに言われたわけでありますが、しかし、その程度では、どうもちょうちん行列をしたり旗行列をしたり、お祝いの種にはならないような気がします。そこで、この点はっきり伺っておきたいわけでありますが、今度の改正によりまして、今後において国の負担はふえていくのかということ、もう一つは、道路整備計画も、今度の級づけといいますか、一般国道への一本化ということから、改定等を必要とするのかどうか、これをひとつ、大臣いかがですか。
  67. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のように、負担は、中央地方負担は現在どおりで、これを変える意思はございません。私は先年、河川法の改正案を大蔵省と交渉します際に、全額国庫でやるべきだという意見を一応持ちましたが、いろいろ大蔵省と折衝いたしております段階におきまして、負担率は現在のとおりでよかろうということに、私は私なりの割り切りをいたしました。道路についても、現在程度の負担率中央地方においてやることが妥当であろうと私は考えております。したがって、もし中央地方負担率の変更ということでございますれば、これを変更する意思は私は持っておりません。ただ、道路網をいかに整備していくかということにつきましては、私は、これは建設委員会ではたびたび申し上げることでございますが、現在の四兆一千億で満足しておりません。可能な範囲において先行投資をするというふうに考えまして、道路については国家はできるだけ先行投資していくべきものであるという意味のもとに、建設省におきましては、一級国道、二級国道をあわせ、さらに新たなる開発道路というものについても、研究調査を常に大幅にしていかなければならぬ、こう考えております。
  68. 安井吉典

    ○安井委員 先ほど、二級から一級に上がったらお祝いをするというふうなお話が大臣からございましたけれども、それは実は一番大きな問題は、一級国道のほうは、整備計画の中でも優先順位を与えるからですよ。自分の県の道路が二級国道なら、いつになってやってくれるかわかりません。それが一級国道になれば、ぐんと順位が上がって早急に解決してくれる、こういう期待がそういう喜びとなってあらわれてくるんだと私は思うわけです。  そこで、伺いたいことは、今度二級国道がなくなって、一般国道ということで一本化されるわけでありますが、それによって、いままで考えられておりました道路整備計画の中の位置づけというものが上がるんですか。それは全く変わりがないということですか。
  69. 河野一郎

    ○河野国務大臣 これは御承知のように、いままででございましたらば、県の負担率とか県の財政等によって、ある程度順位等についても、やはり強い要望のあるところから先にやるようなこともあったと思います。ところが、今度は、こういうことにいたしますれば、新しい視野に立って、一級、二級全体を通じて、地方の開発、たとえば新産都市等に例をとってみても、そういうものができる、それを背景にして全面的に検討を加え、そうしてやるべきだ、こう私は考えております。
  70. 安井吉典

    ○安井委員 いまの御答弁の中で、この際全面的に考え直してやるのだということでございます。その点についても若干問題はあるかと思うのですが、それはそれといたしまして、私は、今度の改正によって国がもう少し財政負担をして、道路全体をよくしてやるのだというかまえがないことを、たいへん遺憾に思うわけであります。なるほど地方制度調査会の答申の中にもこの問題に触れております。国道は全部国がやる、都道府県道は都道府県がやる、市町村道は市町村が全部やる、そのかわりそれぞれが全部負担をするのだ、国道負担は全部国がせよ、都道府県道負担は全部都道府県がする、市町村道は市町村がする、そういうふうなすっきりした財政基礎の上に立った位置づけといいますか、そういうことならこれは話はわかるのですけれども、ただ名前だけが変わった、しかし地元負担は少しも変わらぬ、こういうことでは、非常に大きく国民の期待を裏切ることになるのではないかと思うわけです。今度の改正の一番大きなねらいは、建設省が直接統一的な仕事ができるような仕組みをつくるのだ、どうやらここだけに今度の改正の要点があるようでございます。先ほどの大臣の御答弁でもそれは明らかなわけです。ということになりますと、結局、地方の側から、知事より道路についての権限だけは取り上げ、財源的には少しもめんどうを見てやらない。大臣はおこるかもしれませんけれども、これはどうも河野建設大臣がお考えになる構想としては、何か少しもの足りないような気がするわけであります。取るだけは取ってしまって、与えるものは何もないというと、やらずぶったくりということばがありますが、これはそれに当てはまるかどうかわかりませんが、取るだけ取ってしまって、もう少し与えるものをお考えにならなければ、ほんとうの日本の道路をよくするという方向にいかないのではないかと私は思うわけです。ただ単に建設省の一元化の方向にさえすれば、管理の体系だけ変えればこれでよくなるのだと言うが、私はそういうものではないと思うのです。どうでしょう、もう一度伺いたいと思います。
  71. 河野一郎

    ○河野国務大臣 やらずぶったくりということをおっしゃるならば、寝ている間に表がきれいになるということも言えるのであります。何も働かないで道路がよくなれば、こんないいことはないということにもなる。私はそういうことじゃないと思う。ただ取り上げるとか取り上げないとかいうことじゃないのでありまして、経済にしても、すべてのものが非常に広域になってきた。車の動きにいたしましても、御承知のとおり、いま鉄道の輸送貨物よりも、トラックの輸送貨物が非常に大きくなった。先般も瀬戸内の会議に行ってみますと、神戸の港に入ってくる荷物でも、鉄道で入ってくる荷物はほとんどなく、大部分がトラックで入ってくるという時代でございます。それが兵庫県内からくるわけじゃございません。こういうふうにトラックの動き一つ、流れ一つ見ましても、全部これは広域的に動いているわけであります。してみれば、その動くトラックの流れを見ても、やはり道路も広い範囲、広い視野に立って修理をしていくことがよろしい。県内的に見れば、この道路が一番大事だといってごらんになって、知事さんのおっしゃる点もわからぬことはございませんが、やはり大きな流れ、その県を通過だけする車が非常に多いというような時代でございます。したがって、そういうものを、広い立場から見て、どういうふうに修理し改良し新設していくかということを考えなければならぬと私は思うのであります。そういうふうに非常に時代が激しく変わってきたということは、どなたも御異論はないと思うのであります。したがって、それにこたえて、ある程度のものをここに改良していくということは、これはもう当然やらなければいかぬことだと思うのであります。しかし、それでは道路を直してだれが受益するかといえば、もう申し上げるまでもなく、一本道路が通ればその付近の地価はみな上がります。全部みな地元受益されるのでありまして、この受益者の諸君が、ある程度の、県としての立場において負担されるということは、これまた当然のことではないかと思うのでございます。それを、だれが事業をするかとか、だれがそれをやるかということによって、その受益する者は国がやるから地元受益しないのだ、国だけで益するのだというようなことでは決してないと思うのでございまして、こういう点から考えますと、申し上げますように、道路行政についても、広域的に考えなければならぬ道路については国がこれを行ない、地方的のものについては県がこれをやる。いまお話しのとおり、少なくとも国道全額国庫、府県道全額府県市町村道は市町村というふうな考え方はどうかということで検討をされたこともございますが、しかし、それも適当でない面、支障の生ずる面がたくさん出て、またやはりこのほうがいいんだという結論に実は達しました。先ほど申し上げましたように、負担率についても大体こういうことでいくべきではなかろうか。ただ先ほども御質問がございましたように、どうも富裕県のほうが舗装が早くでき、維持管理費も少なくて済む、貧弱県ほど舗装がおくれ、維持管理費がかさむというような点で不合理があります。この不合理は決して私は否定いたしません。そういう意味において、明年度予算の編成にあたりましては、大蔵当局と交渉して、ある程度これらの負担率について特別に考慮するなり、地方の交付金の場合に特別に御考慮願うなり、何らかの措置を講じていただく必要があるだろうということは、私も異論はございませんし、私も努力しなければならぬ点だと考えております。
  72. 安井吉典

    ○安井委員 私は大臣の御答弁の中の半分は賛成の面もあります。つまり広域的な処理も非常に重要な問題で、県を通り過ぎるごとに道路ががたがたになったり、すうすういったり、そういうことはなるべくないほうがいいと思います。しかし、そういう形に国道を完全にするなら、やはりこれは全額国がお持ちになって、自分の思うようになさればいいと思うのです。そういう姿がほんとうの国道行政であるが、そのかわり都道府県道が非常におくれています。これはもう大臣も御承知のとおり、一級国道はよくなったが二級国道はおくれておる、都道府県道はおくれておる、市町村道などはまだ道路予定地のそのままだと言ってもいい姿です。だから、国に対するああいう膨大な負担がなくなれば、自分のところの都道府県道のほうの仕事もうまくいくわけです。そういうことで、大臣は国道が通れば地価が上がると言いましたけれども、地価が上がるというのを全部の県民にあまねく与えることが、そういう仕組みの中から私はできると思うのです。その点、先ほど来話が行き違っておるわけですが、いま大臣おっしゃったように、来年度以降の地方財政の問題について努力をするというお話がありました。それは前進の御答弁だと思うのでありますが、とにかくきょうこの段階において管理体系は変えるのだ、しかしながらいままでの負担区分は正しいのだからそのまま踏襲するのだ、そういうことではなしに、今度二級国道がなくなって全部一本化されたという機会に、今度の改正には間に合いませんでしたけれども、次の段階にぜひ地方負担を少なくも軽くするんだ、そういうふうな大臣のお気持ちを率直にこの際お話しおきをいただきたいと思います。
  73. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のとおり、国全体として道路を整備する、たとえて申しますれば道路公団によって新設いたします道路、これらのものは全部使用者だけが負担をいたしております。地方も国も別にたいした負担をしないというようなこともあるのでございまして、道路をこういうふうに大幅に整備しようという段階でございますから、これを従来の負担率そのままで地方に要求するということが、必ずしも地方がこれについてこれるかどうかということについては、なお検討の余地があると私は思います。先ほど来るる御主張になります点について、実は私も、伺っておりますうちに考えなければならぬ点があるのだという気持ちがいたします。したがいまして、ただいまだんだんのお話でございますから、私といたしましてもさらに十分検討いたしまして、大蔵当局とも話し合ってみるということにいたします。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 法案にわたる問題につきまして、あと二、三点伺っておきたいと思います。  第五条第一項の規定、路線指定に関する区分の問題でございますが、今度新たに第五号で「国土の総合的な開発又は利用上特別の建設又は整備を必要とする都市」という部分が加えられたと思うのでありますが、これは具体的にはどういうふうなことで認定をされるおつもりですか。
  75. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ここにいっておりますところの「国土の総合的な開発又は利用上特別の建設又は整備を必要とする都市」と申しますのは、全国総合開発計画にいいます開発拠点都市、また新産業都市あるいは工業整備特別地域、こういうようなところを意味しておるものでございまして、これらの都市が高速自動車国道あるいは第一号にいっておりますところの国道の計画がない場合に、これらを相互に連絡する道路を認定しよう、こういう趣旨のものでございます。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 つまり新産都市法だとか低開発地域工業開発促進法の地域だとか、そういうふうに法律に根拠のあるところだけをさす、そういうお気持ちですか。あるいはまたそういうふうな趣旨に準ずる地域も含めて考えているということですか。
  77. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 この法律内容は決してそういった特別な法律があるというところをさしているわけではございませんが、一般的にはそういうものが指定されるだろうということでございまして、必ずしも法律というものに拘泥しているわけではございません。ただ、そういうような地域は、法律で指定されますところも、されないところも、すでに大体国道があるかと思います。私どもは、むしろこれから開発されるべき新しい地域をこれによって救おう、こういうような気持ちでございます。
  78. 安井吉典

    ○安井委員 第十二条の規定がこれは非常に重要になってまいります。十二条の規定は従来は一級国道だけについての規定であったわけです。建設大臣がやる道路とそれから都道府県知事がやる道路との区分が、従来この第十二条の規定で行なわれていたわけです。ところが、今度は二級国道の区分がなくなったものですから、二級国道もすべてこの第十二条でクラシファイされる、こういうことになるわけであります。そこでこの政令の内容が実質的には変わってこなくてはならないと思うのですが、いかがですか。つまり一級国道だけの時代の政令規定と、それから二級国道も含めた全体的な一般国道という形の中で適用される場合の政令と、変わってこなければならないと思うのですが、どうでしょうか。
  79. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 これは、本法の趣旨といたしましては、一般国道一本にいたしますと、そこになお二つの分類が残るということは適切ではないと思います。したがいまして、本法の趣旨としては、むしろ変わるほうがおかしいんじゃないか、こういうふうに考えます。したがいまして、この十二条は従来一級国道について考えておったと同じような考え方でいきたい。ただし、現実には、先ほど来お話がございましたように、急に二級国道を全部建設大臣がやるということは、国側におきましても、また地方自治体側におきましても、いろいろの事情でそういった態勢が十分整えられておりませんので、ある程度経過的にこういう措置をしていかなければならぬということで、これらとは別に、地方公共団体の長に行なわせることができる、こういうふうな仕組みをとったわけであります。
  80. 安井吉典

    ○安井委員 そこで、附則に、いまおっしゃったようなことを、当分の間、従来の都道府県知事管理体系を残すという規定があるわけでありますが、その当分の間というのはいつごろまでにお考えですか。
  81. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 これは本法の趣旨を早く実現するためには、一年でも早いほうがよろしいと思いますが、何ぶんこれだけの延長のものを一挙に持っていくことは、特に人員の点におきまして困難でございます。そういう態勢が整い次第移していくということであろうかと思います。また、これにつきましては、やはり各地方団体の意見等も聞きまして、円滑に移行することが必要であると思います。何年かかってやるかということにつきましては、ただいままだ数字を申し上げる段階ではございませんが、少なくとも四、五年くらいは要するだろうと考えております。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 こまかい問題になりますけれども、今度の改正規定で削られております、旧法の第十三条の規定があります。つまり都道府県の境界にかかる場合においては、都道府県知事はあらかじめ協議をしなければいけないという規定があるわけです。これは今度は完全に削られているようでありますが、こういう事例はないのでしょうか。それとも必要がないということで削られているのですか。
  83. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 今度は二級国道一級国道並みに扱おう、こういう趣旨のことでございまして、一級国道におきましては従前からそういう方法でやっておるわけであります。したがいまして、そういうふうに扱うということは、規定の上におきましては、従来一級国道でやっておったようなやり方でいくということになるわけであります。
  84. 安井吉典

    ○安井委員 しかし、先ほどの御答弁で、四、五年残るのでしょう、当分の間というお考えは。こういうトラブルは実際はないのですか、私よくわからないのですが……。
  85. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 これは経過的な問題でございますから、国がやる場合には、一級国道の方式によりまして、こういう規定によらないでやるわけでございますが、当分の間、県知事にまかせる場合には、事実上当然道路管理者が協議してやるということになろうと思います。
  86. 安井吉典

    ○安井委員 なくても大体いけるということで削除されたのですね。そういうふうにとるよりほかないと私は思うのですが、しかし、従来からあったのを削られるというのには理由がなければいけないと思ったものですから、伺ってみたわけであります。  あと、問題はたくさんありますけれども、御要望もありますからはしょりまして、先ほど奥野委員も、第五十二条の市町村の分担金の問題について触れておられたわけであります。都道府県負担する費用のうち、受益の限度において当該市町村に対して一部負担をさせることができるという規定は、地方財政法改正によりまして、実質的に無意味になっているのではないか、これを当然今度の改正の際に削除して提案をすべきではなかったか、削り忘れたとすればこの際修正すべきではないか、こういう御意見であったわけであります。私もそのとおりだと思います。ちょうど自治省の財政局長においでを願っておりますので、これについての自治省の御見解をこの機会に伺っておきたいと思います。
  87. 柴田護

    ○柴田政府委員 私どもといたしましては、方向といたしましてはそういう方向をたどるべきものだと考えます。ただこの問題も、現在地方財政法二十七条二の規定は、府県市町村の間の負担区分を正す、こういう形から出ておるわけでございます。それをさらに五十二条の規定との関連を見てまいりますならば、やがては五十二条につきましても、二十七条の二と同じような方向をたどるべきものだろうと考えるのでありますけれども、そこまで考えてまいりますと、やはり地方制度調査会の答申にございますように、国、府県市町村、この三者をひっくるめて、一体負担区分をどう考えるのか、つまり、受益負担思想というものをどう考えるのかということに連なってくるのではないかというような考え方を持っておるわけでございます。将来の問題といたしまして検討いたしたいと思います。
  88. 安井吉典

    ○安井委員 しつこいかもしれませんけれども道路局長地方財政法との関連を検討されたのでしょうか。それとも検討が十分でなかったのでしょうか。
  89. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 五十二条につきましては、少なくとも現在の法律体系では矛盾をいたしておりません。しかもまた、五十二条は、国以外の、いわゆる国道以外の都道府県道についていえば、やはり現在も適用のある条項でございますから、そういう意味において、法律的には問題はない。むしろ、先ほど来お話しのように、今後の問題としてどうするかという課題としては残るかと思いますが、現在の法律体系としては別にそういう矛盾はない、こういうふうに思って、今回の改正の中にはそういうところまで考えなかったわけであります。
  90. 安井吉典

    ○安井委員 具体的に負担をさせる場合には、都道府県が条例の規定をつくっておそらくやっているのではないかと思うのです。そうでもなければ負担を負わせるわけにはいかないと思うのでありますが、自治省はそれについて何か御指導されておりますか。
  91. 柴田護

    ○柴田政府委員 この規定そのものにつきましては、従来からの慣行と申しますか、さようなことにゆだねておりまして、これにつきましては特別の指導というものはいたしておりません。
  92. 安井吉典

    ○安井委員 ということは、先ほどの道路局長の御答弁も財政局長の御答弁も大体似たようなものですが、現在行なわれている市町村負担のやり方はそれでいいというお考えなのでしょうか。現実には、市町村段階ではこれが頭の痛い問題であるわけです。財政的な裏づけがなくて、ただ上からおりてくる、しかし出さなければ仕事をやってくれない、現実にはそういう形で建設省の仕事が押しつけられているわけであります。出さなければ、あなたのところではない、ほかをやりますよ、こう言うわけです。そういう形で非常に強い圧迫になっているわけです。力の弱いところでは、私のところはとても持てませんからと返事をするところも出てくる、こういう事態さえあるわけでありますつどうでしょうか。この問題について、やはり地方財政の非常に大事な問題に現になっているし、これから道路整備計画がどんどん進めば進むほど、問題が大きくなるような気が私はするわけです。建設省並びに自治省の、この問題解決のためにどうすればいいか、そういうふうなお考えをひとつ伺いたいと思います。
  93. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 本質論は、むしろこれは自治省のほうかと思いますが、私どもといたしましては、そういうような事実上負担させておる例を各所にあり、またそれらがまちまちで刈るということについては、一つの問題であろうと思います。これは先ほどお話しいたしましたように、今後それらについて十分研究する課題であろうと思っております。
  94. 柴田護

    ○柴田政府委員 私どもといたしましては、お尋ねの問題につきましては、一体道路というものを何と考えるかという基本論と関連がある。地方制度調査会の答申等を見ますと、やはり道路というものについての受益思想というものを否定しておるんじゃないか、そういう観点から、私どもは、むしろ道路行政というようなものにつきましては、将来問題としては、やはり仕事をやるところと負担責任者というものを一致せしめるという方向をたどるべきものだろうと実は考えるのであります。ただ現状においては、この問題は、今回の道路法改正案につきまして、建設省と申しますか、大蔵当局と非常に激しく議論の対立したところでございますけれども、現実問題としましては、国道につきましては受益思想というものを存置しておる。したがって、また市町村道、府県道につきましても、受益思想というものを存置しておる。ただ大きな規模のものにつきましては、財政的観点からだけ、地方財政法受益思想を否定している、こういうことになっておるわけであります。将来問題としましては、やはり道路のような、国民全体の立場に立って、あるいは国民経済ないしは国民生活全体の立場に立って考えるべき問題につきましては、そこのところはやはり受益思想というものにこだわって、複雑な負担関係というものを存置しておくことは適当ではないんじゃないか、私どもはさように考えております。
  95. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、この問題はひとつ宿題にしておきたいと思います。  先ほど私は、国道は国がやって、都道府県道は県が、市町村道は市町村が、そう言ったのですが、現実には国道の金を都道府県に持たせて、市町村にまで持たせているわけです。その市町村は現に一般の住民からもとっているわけです。そういうふうな仕組みの公共事業なんというものは、私はちょっとおかしいと思うんです。やはり根本的にこの地元負担という考え方考え直していただかなくてはならないと思います。ひとつ十分御検討おきをいただきたいと思います。  まだありますけれども、あと佐野委員の質問がありますので、私はこれで終わります。
  96. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 佐野憲治君。
  97. 佐野憲治

    ○佐野委員 先ほど来、大臣といろいろ質疑をかわしながら、やはり私、どうしても今度の改正をしようとする理由がどうもすっきりのみ込めないわけです。この点は、大臣がおられないもので、述べてもしようがないと思いますけれども一級国道、二級国道を一本化する、しかもその認定の基準なるものがほとんど不明確でありますし、現在の規定であっても、解釈と運用によって十分やれるんじゃないか。両法律を比較いたしましても、あえて新しく法を改正しなければならぬという理由を見出すのに苦しむわけです。同時に、やはり昭和二十七年の道路法改正は大きな改正だったと思います。機関委任事務にする、このような形式をとったということは、進歩の面もありますけれども、私は、二級国道と言われるものは、やはり逆に地方道として地方自治体総合行政の中に含ませるほうが、地方自治の発展のためにも、あるいはまた地方行政そのものの立場に立っても、必要なことではなかったかとすら思われるわけです。しかしながら、そういう二級国道管理権を中央に剥奪する、しかも委任行為としてそのまま続けていく、全く理屈に合わない。一体何のためにこのような法改正をやらなくちゃならないかという点、やはり疑問を解くことができないわけです。現行のままだってやれるではないか。しかも道路整備緊急措置法があるわけでありますし、あえて法改正をしなくちゃならないという理由はない。もし必要とするならば、私は制度の問題じゃなくて、現に起こっておる、大臣が指摘されるような問題があるとするならば、その解決の道は、財政制度の中においてこそ幾つも出てくるのであって、制度をいじくる、単なる法律用語を変えてみる、こんなことではほんとうの道路整備というものはでき得ないんじゃないか。おそらく事務当局は、大臣の考えと違って、私の指摘するような立場に立って考えてまいるならば、この改正の理由というものを見出すことに苦しんでおられるのがほんとうじゃないかとすら考えるわけですけれども、この問題はさておきまして、二、三お尋ねしておきたいと思います。  まず、この道路五カ年計画によりますと、ガソリン税が一兆五千億円、国の一般財源が二千六百億円、合わせまして一兆七千六百億円になっておるわけでありますが、この一兆五千億円と見込んでおられるガソリン税で、昭和三十七年度の決算におきまして、すでに二十七億円予算額よりも減額をしておる、こういう点が明らかにされておるわけですが、昭和三十八年度の決算もすでに明らかになってまいっておると思いますが、この場合は、一体幾らの歳入欠陥がガソリン税において出ておるか、この点をひとつ。
  98. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 まだはっきりした数字は出ておりませんが、見込み数字で申しますと、約三十八億円になるようであります。
  99. 佐野憲治

    ○佐野委員 私どもの見込みでは、五十億円くらいになるのではないか、かようにも考えるわけですけれども、すでにはや昭和三十七年度の決算で二十七億円、三十八年度で三十八億円ですか、皆さんの見込みだと、そういう形が出てまいっておるのと、もう一つは、今度の予算委員会におきまして、田中大蔵大臣は、ガソリン税のうち、農業用のガソリン税に対しては前向きの姿勢でこの解決をする、こういう点を指摘しておられるわけですが、農業用のガソリン税は一体幾らくらい年間見込んでおられますか。
  100. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 これも各方面で出す数字が違っておりまして、見込みの数字ではっきりいたしませんが、多い数字を申し上げますと、七十億あるいは百億という数字があがっておるようであります。
  101. 佐野憲治

    ○佐野委員 それは農業用ですか。それに漁業用がありますし、それからまた、道路に直接関係のないガソリン税は当然、そういう規定を置きます場合においては、やはり免除しなければならぬと思いますが、そういうようなものを合わせますと、一体幾らくらい見込まれますか。
  102. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ガソリン税のうちで、航空機用と、一般工業用のものはすでに除外されております。やはり数量として一番問題になっておりますのは、農業用でございますが、これも機械の台数、使用量等はっきり押えられませんので、数字が不確定でございますが、大体やはり先ほど申しましたような七十億あるいは百億くらいの数字のものが問題になるようであります。
  103. 佐野憲治

    ○佐野委員 そういたしますと、非常にガソリン税に依存をしておられるけれども、ガソリン税の中にもそういう見込み違いが出てまいりますし、また、新しい法の制定によりまして、やはり狂いが出てまいるということになってまいりますと、非常に問題が出てくるのではないかということも危惧するわけですけれども、たとえば、皆さんの五カ年計画の事業規模、これは昨年の暮れに閣議で決定をなさっておられるのは、有料道路一兆一千億円、一般道路が二兆二千億円、地方単独事業が八千億円、合わせまして、四兆一千億円であるわけですが、建設委員会のいろいろな論議をお聞きし、速記録を見てまいりましても、有料道路の一兆一千億で、現に縦貫道路その他の道路は一体どの程度まで五カ年間にやられるのか、いろいろな問題点が皆さんの委員会の中にも出ておることを、私は速記録において了承しておるのですが、それと同時に、二兆二千億円の一般道路の場合におきましても、おそらくこの国会が終わりましてからの閣議で決定なさると思うのですけれども道路の種類別整備目標は大体できておるわけですか。
  104. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 実は、この道路の種類別の事業量の配分は、まだただいま検討中でございまして、申し上げる数字はございませんが、大体従前やってまいりました五カ年計画の目標は、もちろんそういうものをのみ込んで今度拡大するわけでございますから、そういうものを含むわけでございますが、特に、新五カ年計画におきまして、一般道路事業におきまして舗装をなるべく早く完成したい、こういうような点を重点に置こうと思っております。そういう観点で申し上げますと、一級国道四十三年、二級国道四十四年、主要地方道におきましては四十五年くらいに舗装が一応終わるように、もつ  も改良につきましては、別途また改良を加えなければならぬところがあるかと思いますが、とりあえず現在の幅員で間に合わされるというところはそれで済ますことにいたしまして、そのくらいの目標で舗装を終わらせたい、こういうような点を考えております。具体的に、一級国道、二級国道あるいは都道府県道に幾らの金を配分し、またそれによって何キロくらいの舗装ができるかということにつきましては、ただいままだ作業中でございますので、申し上げる数字を持っておりません。
  105. 佐野憲治

    ○佐野委員 私率直に申し上げますと、そういう作業の状況なりいろいろ見ておりますと、やはり心配になりますのは、有料道路でさえも現在の計画をほとんどはめ込むことができ得ないという苦況に立っておられる。同時に一般道路の場合におきましても、一国、二国の整備の状況を考えてまいりましても、財政的にも非常に苦しくなってくる。二兆二千億の一応の事業量そのものを進めていくためには、地方道に転嫁してくるのじゃないか。財源的に地方道をふくらますことによって、実際上において二兆二千億というワクを確保する、こういうおそれがないかどうか。と申し上げますのは、皆さんの五兆円の道路五カ年計画を立てておられたその場合に、単独事業は六千六百億円だった。ところが大臣折衝の結果、四兆一千億円に、九千億円も減額になったのに、単独事業は六千六百億円のものが八千億円に、逆に一千四百億円はね上がってしまった。ちょっと考えると理屈に合わない。六千六百億円要求されておったのですから、下がるのがあたりまえなのに、事業量を合わせるために八千億円になってしまった。これと同じように、二兆二千億円という一般道路の目標を達成するために、結局現在のもとにおいてはガソリン税なりあるいは国の一般財源の繰り入れが非常に困難だということになりますと、地方負担の中で問題を解決していく、こういう安易な方向がとられるのじゃないか、こういう点を心配するわけですけれども、その点はどうですか。
  106. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 全体の規模が予想より減ってまいりますので、おそらく国道にいたしましても、都道府県道についても、当初五兆円のときに考えておったものより窮屈になることは、これは事実でございます。したがいまして、地方におきましても、全般的にはやはりやりたいことが十分できないというような状況になろうかと思います。したがいまして、この際に、国がやるべき事業量地方のほうへ持っていって、地方負担が増す、そういうようなことで、地方がお困りになるというようなことにはおそらくなり得ないと思います。それよりむしろもっと地方道をやるようにというような御要望のほうが、いろいろ地域格差の点からも多いのではなかろうか、かように私どもとしては考えておりますので、御心配の向きはおそらくないだろう、こういうふうに考えております。
  107. 佐野憲治

    ○佐野委員 私の心配というのは、そうじゃなくて、皆さんは、制度上の欠陥から道路法改正をやるのだ、そしていろいろな問題を解決するのだ、と言われるけれども道路法改正によって何ら問題が解決されるのじゃなくて、より多く財政制度の問題がからんでまいっておるのじゃないか。皆さんは地域格差ということを言われる。しかしながら、それ以上に、財政上の問題からそういう数字的なつじつまを合わせるという方向へいって、逆に地方事業量が多いから地域格差の是正に役立つだろう、こういう安易なやり方を私は非常におそれるわけです。  それから、もう一つ関連しまして、舗装の場合におきましても、現道舗装を中心として三十九年度から出発される、この点もわかるのですけれども、しかしながら、現に局長も、先般の地方行政委員会道路交通法の審議においでになっておったのですけれども、あの中におきましても、今日の道路が交通事故の原因とみなされている、そういうものは一体幾らあるのだという質疑が行なわれておるし、現在の道路そのものが交通事故の最大の原因をつくり出してきておる。いわゆる生活基盤を中心とする道路ではなくて、産業基盤を中心とする道路政策を強行された結果として、そうした道路そのものが交通事故の原因となっておるということが明らかにされてまいっておるときに、現道舗装をやっていくということになると、幅員の問題が出てまいりあるいはカーブの問題、交差点の問題、いろいろな問題が、スピードの上昇の結果として、なお加重してまいるのではないか、こういう点も一つ心配になるわけですけれども、そういう点に対してどういう御配慮をなされておるのか。同時に道路法の中で、ガードレールその他を今度は新しく条文に入れられたことはいいのですけれども道路構造の中に入る付属物である照明灯——現在一国、二国を見てまいりましても、街路灯、照明灯に対するところの管理者としての責任がほとんど果たされていない。道路には街路灯がつくものである、照明灯をつけるものである、そうすることによって、交通の安全、円滑並びに生命を守るのだというのが道路一つの目的でもあるし、そのために法に規定しておるわけです。ところが管理者の責任が果たされていない、法を無視しておるということが出てまいっておるわけですけれども、そういう点に対して一体どのように考えておられるか。またあるいは道路整備計画の、具体的な整備目標を立てられる閣議の決定を得られるのは十月ごろだろうと思いますが、その中に一体どういう点を含めておられるのか、その点を参考のためにお聞きしておきたいと思います。
  108. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 前段の問題でございますが、舗装を伸ばすということは、これはやはり全国各地方の御要望でございまして、それにこたえる意味におきまして、すみやかに文化的な路面をなるべく多くつくりたい、こういう趣旨でございます。一方それによりまして、自動車がたくさんあるいは早く走るので、事故がふえるのではないか、こういうことでございますが、これにつきましては、今回の法律改正の中でも一項を入れております。交通安全施設というものを積極的にやりまして、そういう事故防止をはかりたい、こういうことであります。交通安全施設につきましては、先般の地方行政委員会でもいろいろお話がございまして、私どももそういう点を痛感いたしておりまして、できるだけあらゆる手段を講じて、そういう施設に対して配慮をしていきたいと思っております。五カ年計画におきまして、これらをどういうふうに見込むかということにつきましても、重要な項目の一つといたしまして、ただいま検討いたしております。ただこれらはいろいろ事業の種類がございまして、立体交差あるいは歩道、横断歩道橋あるいは照明、標識、いろいろございまして、それらのやり方につきましてもまた、国がみずからやるもの、あるいは助成すべきもの、あるいは県あるいは地方自治体単独にいたしますもの、いろいろございまして、それらを適当に指導しながら全体の効果をあげていく、こういうふうに考えております。少なくとも従前やりましたものに、さらに格段の努力を加えまして、これらの施設の整備をはかりたい、こういうつもりで目下いろいろ作業をいたしておるところでございます。
  109. 佐野憲治

    ○佐野委員 最後に、自治省の財政局長もお見えになっておりますので、いまの私の質疑の中から、やはり心配な点としてなお残ってまいりますのは、国の道路整備計画の中におきましても、ガソリン税が歳入欠陥として決算面から出てくる、一般財源の繰り入れは非常に困難ではないかというような事情にあるときに、いまの五カ年整備計画を見てまいりましても、やはり一般道路の二兆二千億円の事業量のワクを維持していくためには、地方地方道に対する負担というものが非常にふえてくるのではないか、こういう点が予想されるわけです。それと同時に、八千億円という単独事業も、ことしは一千二百四十億円だったと思うのですけれども、こういう形のものが進んでまいりますと、大臣の答弁では、交付税によって何とかしていきたい、あるいはまた起債でも何とか見れるんじゃないかというような御意見もあったように思いますけれども、そこでそういう点において、そういう交付税そのものが、義務的経費の増大その他によって、非常に交付税のワクというものが狭まってきておるだろうと思います。この点から考えてまいりますと、単独事業並びに一般道路費の中に含まれておる地方道の負担額の増大というものに対して、一体どのように対処しようと考えておられるか。あるいはまた起債の面につきましても、道路の場合は起債が認められていないというのが現在の地方債計画だろうと思うのですけれども、このような考え方に対しても、一体どのような態度をもって臨んでおられるか、この点も念のためにお聞きしておきたいと思います。
  110. 柴田護

    ○柴田政府委員 私どもは、今日の道路行政の変化と申しますか、道路そのものの変化からいいまして、実は、道路計画の中の八千億の単独事業というもの自身もむしろ少ない。理想から言いますならば、もっと地方単独事業が多くあってしかるべきだというぐあいに実は考えているわけであります。しかしながら、現実の問題といたしましては、財源等の関係もありましょうし、そう多くを望むわけにはいかないかと思います。しかし、今日の市町村道というものの実態を考えてまいりますならば、国の国道市町村道の格差というものは、昔に比べまして、交通機関の発達によりまして、非常に縮まってきております。そうなってまいりますと、市町村道だからほうっておいてよろしいというわけにはいかないのでありまして、やはり市町村道の整備ということもまじめに考えていかなければならないというぐあいに考えております。そこで、そうなってまいりますと、やはりあるべき単独事業の姿というものを描かざるを得ない。その上で、道路目的財源の再配分という問題も考えていかなければならないのじゃないだろうか。また先行投資としての起債の部門につきましては、今日、お話のように、道路というものは経常財源で支弁すべきものだと考えまして、ごく特殊な場合を除きましては、道路に対する起債というものは認めておりません。これは国の財源措置との関連もありまして、認めておらないのでありますけれども、国も地方も両方あわせまして、道路の急速な整備を行なうために、財源的に地方債というものをどう考えるかという問題は、将来、問題として検討していくべき価値が十分あるだろうというように私は考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、道路目的財源の再配分という問題、地方債の将来のあり方という問題は、今後の問題といたしまして検討してまいりたい、また検討する価値がある、かように考えております。
  111. 佐野憲治

    ○佐野委員 道路財源の問題に対する再配分なり、もっと本質的に、その問題をやはりきわめなければならないのじゃないか。  道路局長にお尋ねしておきたいと思うのですが、皆さん方が学術論文に書いておられるのでも、今日の日本の道路は、たとえ四兆一千億円であっても、九割までは国の意図する方向に持っていけるような法的な地位を与えられておる、こういうようなことを書いておられるし、私はまたそれがほんとうだろうと思います。道路整備緊急措置法によりますと、大臣がこれを決定するということになっておりますし、あるいは単独事業にいたしましても、やはり国道なり、あるいは主要地方道の改良とにらんで、単独事業も指示されてまいるのですから、地方が自主的に道路行政をやっていける幅というものは一割もないのじゃないか。ほとんど国の一定の方向に向かって、地方もこれに奉仕——というのは語弊がありますけれども、していかなければならぬのじゃないか。そういう点からも、もっと地方における自主性——行政なり政治というものは、やはり人民に近づけば近づくほど健全になってくる。いまの有料道路をめぐるいろいろな公団の汚職なり腐敗事件なんてものも、やはりそういう一つのあらわれだろうと思うのですけれども、そういう意味から考えてまいりましても、私いつも指摘するのですが、たとえば公営住宅のような場合には、市町村長から資料を集めて、これに基づく計画によって、大臣が決定する。いまの道路整備緊急措置法のように、地方との協力関係をほとんど法文からはずしてしまって、おれが決定をするのだ、大臣が決定をしたら、これを地方団体に通知するのだ、こういうような立場をとっておられる。しかも、今日の補助金制度なり単独事業でさえも、国の産業基盤整備の方向に動員をしていかなくてはならない。生活基盤のために使う余裕というものはほとんど残されていないというようなことになってきておるのが、逆に地方道における格差の問題を表面に浮き彫りにさせてくる原因をつくっておるのじゃないか。だから、法改正の場合におきましても、その点に地方との協力関係、もっと地方の自主性、道路が持っておる総合行政としての地方行政の中における地位、人民の意思が積極的に参加される、そういう中から財政的にもこれを保障していくという考え方を、ひとつ道路法の場合に根本的に考えていただきたい、こういう希望を申し上げまして、質疑を終わらしていただきたいと思います。
  112. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 門司亮君。
  113. 門司亮

    ○門司委員 約束の時間が過ぎておりますので、一つ二つだけ聞いておきます。これはすでに十分審議されておったことと思いますが、要綱の中に書いてあります「国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地その他政治上、」まだその下に書いてありますが、これは何を意味するものですか。こういうことが道路の定義にあるということに、私はいささか疑問を持つのです。政治上というのはどういう意味が含まれておるのですか。あとはわかります。経済上なら経済上でもわかるし……。これは政治路線ですか。
  114. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 いままでも、一級国道の指定の基準の中に同様な表現をされておりまして、大体それらの性格のものを、今回の一号の中に取り入れたわけでございます。現在の道路法の条文では「その他政治・経済・文化上特に」、こういうことになっておりますが、それを「政治上、経済上又は文化上」、こういうふうに言っただけでございまして、趣旨は現行法の五条と全く同様でございます。
  115. 門司亮

    ○門司委員 それが現行法の趣旨だとすれば、その次にさらにもう一つ書いてあるのですね。御承知のように、要綱の二のところに、道路と書いて、「重要都市又は人口十万以上の市と高速自動車国道又は前号に規定する国道とを連絡する道路」、こう書いてある。こうなってまいりますと、人口十万以下の小都市は、いわゆる政治的にどうしても考えなければならぬ。私はなぜこういうことを聞くかというと、かつて日本の道路行政の中の一番最初に書いてありました国道とは、帝都から師団司令部、軍令部、県庁の所在地に通ずる道路国道というと書いてある。この中に自衛隊の基地を書けば、きっちり昔のままになるのですね。そういう含みがあるのですか。自衛隊の基地ということは書けないから、まあ政治上と書いておこうということですか。これを見ますと、ちょうど昔の道路規定の、いま申し上げました、師団司令部、軍令部に通ずる道路国道というと書いてある定義と全く同じ感じを持つのです。そうでなければ、さっきから申し上げております、何かわからずの政治路線でも考えておるのですか。どうしてこういうことを書くのですか。
  116. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 御指摘のようなことは全然考えておりません。むしろ、先ほど大臣が言われましたように、昔の県庁と県庁とをつなぐというような感覚を、どちらかというと、取り除こうというような趣旨でつくっておりますので、いまお話しのような点を考えてはおりません。
  117. 門司亮

    ○門司委員 これをいつまでも押し問答しておると長くなりますが、私は次の二号との関連について実はおかしいと思うのです。二号ではちゃんと十万と制限してある。結局これ以下に通ずる道路と解するよりしかたがない。だから、政治性から生まれたいろいろな問題があると解するよりないと思います。  その次に聞いておきたいのでありますが、これはきわめて迂遠なことでありますが、近代国家としての道路の定義はどう解釈されておりますか。局長でも、政務次官でもよろしゅうございます。
  118. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 非常に、見方によりましては広範な御質問でございまして、私がお答え申し上げるのはちょっと適切でないとは思いますけれども、なかなかむずかしいおことばでございますので、検討して、ひとつ答弁さしていただきます。
  119. 門司亮

    ○門司委員 私がそういう迂遠のようなことを聞いておりますのは、日本の道路というものはあまりにも粗雑過ぎるということです。少なくとも近代国家における道路という定義がある限りにおいては、やはりかなりの大きな貨物の運べる、いわゆる舗装をされております、あるいは重舗装といいますか、それらのものを整備して、さらに側溝ができて、照明灯がついておって、全く道路として完備された姿こそが、近代国家における道路行政の最たるものでなければならぬ。それを基準にして道路法改正しなければ、一体何になるのです。ただ幾らでも道路さえつければそれでよろしいのだということになって、砂利道がたくさんでき、雨の日はどうにもしようがない。こういうことが建設省でわからないで、一体どうして道路行政議論されておるのですか。私は、少なくとも近代国家における道路行政というものの根幹はそういうところに求められ、そしてその上に立った財政なり計画なりが進められるということがほんとうに正しいと思うのです。道路をつければつけっぱなしだ。あとはどんなに悪くなろうとよくなろうと、そんなことは一切おかまいなしということでは、ある意味では道路予定地ということは言えるかもしれない。しかし、完全な意味道路とは言えない。今日の近代国家の観念から言えば、道路予定地ばかりこしらえているのか、あるいは近代国家の道路を整備するのかということについては、基本的な考え方建設省にあってしかるべきだと思うのですが、そういうものがなくして、漫然としてただこういう法律を出されるということについては、いささか疑問がある。だから前段に聞きましたような、政治路線があるんじゃないかというような気がするんです。完全にやられるなら、こういう字句は使われないはずですが、これはどういうことですか、一体。
  120. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 御質問の点が実は私も把握できませんで答弁を申し上げましたことを、ひとつお許しを願いたいと思いますけれども、ただ近代的道路と申しましても、これはやはりいろいろな意味があると思いまして、もし先生の言われましたとおり、舗装が完備して側溝ができ、しかも御質問の道路照明灯ができ、陸橋があり、立体交差があるのが近代的と称するか——近代国家として、いろいろの国々を歩いてまいりましても、道路に差等がございます。どれをさして言うか。われわれは少なくとも日本の財政力に従って、しかも先ほど申し上げましたとおりの一つのビジョンを持ちまして進んでいきたい、こういう考え方であることは間違いございません。
  121. 門司亮

    ○門司委員 そのくらいのビジョンがあって、そういう考え方だという抽象的な答弁でしたが、それ以上は、私はきょうは時間がありませんから求めません。  もう一つの、道路行政についての基本的な問題として聞いておきたいと思いますことは、道路はそれぞれ性格を持っております。いわゆる国が必要とする産業経済あるいはその他、さっき言ったような問題があるかもしれない。しかし、それらのことは、地方に対しましては、比較的その地方には関係の薄いものがないわけではございません。逆に、国としては総体的にはあまり必要ではないように考えられるが、地方にとってはかなり重要な道路であるということが考えられる場合がある。この二つの問題をどう解決するかということが、やはり道路行政一つの大きな問題だと思う。そこで問題になってまいりますのは、先ほどから質疑応答を聞いておりますと、財源の負担問題でいろいろ議論がされておるようでございます。私は、今日の道路行政の問題においても、地方に財政力が十分にあって、そうして地方道路を十分に整備し得る力を、この機会に、こういう法案をおつくりになるならば与えてもらわなければ、いたずらに国道だけがどんなにできてまいりましても、これに肉となりあるいは骨となってくる、幹線に対する連絡の道というものがきわめて悪い状態に放任されておったのでは、全体の道路の運用価値というものは非常に落ちなければならないことはおわかりだと思います。その対策が一体この法律で何か講じられておりますか。これは国道だから国道だけだ、あと県道市町村道はそちらでかってにやれというようなお考えでこの道路法をおこしらえになっておるのか、その点がこの道路法によっては明確でないのです。その点はどうなんです。
  122. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 今回は、二級国道一級国道を同じように扱おう、こういう趣旨で、両者の差別を廃止するということが改正の要点になっております。国道府県道あるいは市町村道とを、どういうようなバランスで整備していくかというようなことにつきましては、むしろこれは五カ年計画というような実行計画の内容になろうかと思います。この法改正によってそういうことの趣旨を打ち出そうということではございませんので、それは別途また実施計画として議論すべき問題である、こういう趣旨でございます。
  123. 門司亮

    ○門司委員 これでやめますが、最後に聞いておきたいと思いますことは、今度のこの道路法改正案は、一級国道と二級国道とを統一して、そして建設大臣権限を従来の都道府県知事権限まで及ぼしたいということだけであって、あとは何も変わっていないというように解釈しておいてよろしゅうございますか。
  124. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 形式的にはそういうことになろうかと思いますが、ただそのねらいはそういうことではなくて、やはり全国の道路体系、最も根幹になります国道体系というものの制度を確立して、今後その整備をはかりたい、やはり全国的に整備をはかりたい、こういうところがねらいであろうかと思います。
  125. 門司亮

    ○門司委員 最後に聞いておきたいと思いますことは、そうだといたしますと、今日の、要するに建設省の出先機関である建設局でありますか、これの関係はどうなりますか。これをかなり拡充しなければ、とても二級国道までの維持管理は困難だと思いますが、これの拡充策は、ほかに法律で何か講じられておりますか。
  126. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 これも、先ほど来いろいろ申し上げておりますが、直ちに全部地方建設局でやるという体制ができておりません。特に人員、組織の問題で、そういう体制ができておりません。また他方、従来、長年県においてこういう仕事をしておられますので、県におきましても、直ちにこの仕事を移管という体制にもいっておらぬと思います。そこでしばらく、これを逐次、移管する期間を置きまして、なるべく早い機会に全体の姿をそういう形に持っていくということで、先ほど四、五年と申し上げましたが、やはり少なくとも四、五年の経過期間が要るか、こういうふうに思っております。その後におきまして、地方建設局が全面的にやる、こういう形になるかと思います。
  127. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これにて本連合審査会は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会