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1964-08-11 第46回国会 衆議院 建設委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年八月十一日(火曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 正示啓次郎君    理事 岡本 隆一君       天野 光晴君   稻村左近四郎君       大倉 三郎君    木村 武雄君       砂原  格君    堀内 一雄君       堀川 恭平君    山本 勝市君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    金丸 徳重君       久保田鶴松君    西宮  弘君       玉置 一徳君    吉田 賢一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  委員外出席者         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局計画         第一部長)   川島  博君         運輸事務官         (海運局参事         官)      高林 康一君         建設事務官         (大臣官房長) 前田 光嘉君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建設技官         (河川局長)  上田  稔君         建設技官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建設技官         (住宅局長)  尚   明君         建設技官         (営繕局長)  小場 晴夫君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 七月二十四日  委員中村梅吉君及び服部安司辞任につき、そ  の補欠として木部佳昭砂原格君が議長指名  で委員に選任された。 同月三十一日  委員田村元辞任につき、その補欠として粟山  秀君が議長指名委員に選任された。 同日  委員粟山秀辞任につき、その補欠として田村  元君が議長指名委員に選任された。 八月十一日  委員木部佳昭辞任につき、その補欠として山  本勝市君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本勝市君辞任につき、その補欠として木  部佳昭君が議長指名委員に選任された。 同日  理事服部安司君七月二十四日委員辞任につき、  その補欠として正示啓次郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  連合審査会開会申し入れに関する件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  去る七月二十四日、理事服部安司君が委員辞任いたしましたので、理事が一名欠員になっております。この際、理事補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして、委員長から指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、正示啓次郎君を理事指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  4. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  目下、地方行政委員会において調査中の、東京都の水道事業、特に異常渇水対策に関する件について、地方行政委員会連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたしました。  なお、開会日時等につきましては、地方行政委員長とも協議いたしまして、後刻御報告いたしたいと存じますが、地方行政委員長は、本日、本連合審査会を開会いたすとの意向でありますので、御了承願います。      ————◇—————
  6. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 この際、建設省に一部人事異動がありましたので、御紹介いたします。  前田官房長
  7. 前田光嘉

    前田説明員 先般の異動によりまして、官房長を拝命いたしました前田でございます。  微力でございますが、専心職務に精励する所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  8. 丹羽喬四郎

  9. 志村清一

    志村説明員 志村でございます。  よろしくお願い申し上げます。(拍手
  10. 丹羽喬四郎

  11. 上田稔

    上田説明員 上田でございます。  懸命の努力をいたします。よろしくお願いいたします。(拍手
  12. 丹羽喬四郎

  13. 尚明

    ○尚説明員 尚でございます。  十分努力いたしますので、よろしくお願いいたします。(拍手
  14. 丹羽喬四郎

  15. 小場晴夫

    小場説明員 小場でございます。  よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  16. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  まず、本件について、小山建設大臣から発言を求められております。これを許します。小山建設大臣
  17. 小山長規

    小山国務大臣 私、池田第三次内閣の改造に際し、建設大臣就任いたしました小山長規でございます。本日、当委員会におきまして、就任にあたっての建設行政に関する抱負一端を述べさせていただき、建設行政基本政策についての所信表明といたすとともに、ごあいさつにかえさせていただきたいと存じます。  まず最初に、先日発生いたしました当省の前官房長不祥事件に関しまして、深く遺憾の意を表するものでございます。綱紀の粛正につきましては、就任当初から部下職員に対し注意を喚起してきたところでありますが、このような事件の発生を見ましたことばまことに心外でございまして、かかる事例の今後絶対生じないよう、職員全員国民奉仕者たる自覚に徹し、職務規律を尊重することを指示するとともに、待に監督的立場にある者は率先範を示して職場の気風を清新にし、道義の高揚につとむべき旨を命じた次第でございます。  次に建設行政全般について申し上げます。  御承知のとおり、わが国経済は開放的な経済体制に移りつつあり、産業構造人口構成が著しい変貌を遂げつつあります。このような状勢下、立ちおくれた社会資本充実が緊急を要し、公共投資がなお一段と拡充を要することは論をまたないところでありますが、建設行政はいまや単にかかる経済成長溢路打開にとどまらず、国土を改造し、国土を豊かにしてゆく前向きの積極的施策が必要となってまいりました。  このための公共施設整備基本方針といたしましては、先に河野建設大臣が、今後ほぼ二十年間にわたり、建設行政の指針となる国土建設基本構想を設定され、これに基づいて長期的な見通しのもとに、各種の長期計画策定をはかられ、施策の強力な実施に当たりました。基本的には、私もこの方針を踏襲して、各般の施策推進したいと考えるものであります。  明年度におきましては、特に立ちおくれておる住宅建設に最重点を置き、「世帯一住宅」を目ざして、住宅及び宅地についての量、質ともに飛躍的な充実をはかるとともに、道路河川下水道等整備重点を指向したいと考えますが、特に取り上げて推進をはかりたい施策について、以下概要を申し上げます。  第一に、住宅につきましては、中堅階層勤労者持ち家住宅を容易に入手し得る抜本的な施策を講じたいと考えております。そのためには、これらの階層が所得に応じた負担で文化的な生活を享受し得る規模住宅取得できるよう、職域または地域ごと住宅協同組合を設け、建設資金の一部を積み立てさせるとともに、住宅金融公庫からこれら組合に対し低利、長期の融資を行なう制度を検討いたしております。  次に、住宅建設及び宅地造成促進するためには、公的資金の投入の拡大とともに、広く民間資金を活用する必要がございますので、そのため一般大衆投資者資金住宅建設並びに宅地供給に振り向けるための方策として、不動産投資信託制度等の創設を検討いたしております。その制度推進にあたっては、地価の不当な値上がりの防止、健全な市街地形成助長等の見地から、適切な指導を行なうことといたしたいと存じます。  第二に、宅地政策につきましては、人口産業の急激な都市集中に起因する地価高騰と、無秩序な市街地形成宅地取得と健全な市街地建設の隘路となっておる現状にかんがみまして、新市街地開発を目的とする宅地開発事業を強力に推進するため、事業実施機構等整備を行なう方針であります。  第三に、道路につきましては、すでに閣議で了解を得ました総投資規模四兆一千億円のワクを基礎として、すみやかに新道路整備五カ年計画策定いたしたいと存じますが、同計画の第三年度にあたります明年度におきましては、高速自動車国道建設促進道路法の改正に伴う国道直轄管理の強化、国道及び地方道整備待舗装事業促進につとめたいと考えております。特に高速自動車国道については、東名高速道路等建設を引き続き促進するとともに、前国会において予定路線の御決定をいただきました国土開発縦貫自動車道については、待に緊急を要する区間について建設に着手したいと考えております。また、用地費高騰に対処し、計画的に事業実施するためには、道路用地先行取得をはかる必要がありますので、このための制度的措置を検討いたしたいと考えております。  第四に、河川につきましては、新河川法の施行に伴い、水系を一貫した基本計画に基づき、治水事業計画的に推進するとともに、水資源開発、利用を積極的に推進するため、現行治水事業十カ年計画の後期五カ年計画にかえ、新たに昭和四十年度を初年度とする治水事業五カ年計画策定いたしたいと考えております。  最後に、下水道につきましては、特にその立ちおくれが目立っておりますが、生活環境整備緊急措置法に基づき、下水道整備五カ年計画を確立し、その強力な整備をはかる所存であります。同計画策定にあたりましては、二十年後に市街地の全域に下水道を普及することを目標とし、河川等水質汚濁のはなはだしい地域地盤沈下地帯その他の排水不良地域し尿処理不良地域等について大幅に改善するとともに、新市街地における先行的整備をはかりたいと存じます。  以上抱負一端を述べさせていただきましたが、これら施策推進するため、当委員会の絶大なる御協力と御支援をお願いする次第でございます。     —————————————
  18. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 次に、本件について質疑の通告がありますので、順次これを許します。井谷正吉君。
  19. 井谷正吉

    井谷委員 大臣に御就任、おめでとうございます。  前大臣のもとにおきまして、わが国建設亀事業というものが最近非常に前向きに前進をしておる。一般国民に対しましても、この建設事業あるいは現在の建設事情に対して明るい気持ちを持たした。私はこの前大臣の功績は大きいと思います。  ところで、一般に昨今心配をしておりましたことは、新大臣がこれからどのような構想でやっていかれるか。一部におきましては、前大臣に対していろいろな雑音があったことは承知しておりますけれども、しかし、こういう大きな前向きの希望を与えるという仕事をせられたことには、みな敬意を表しております。非常に積極的に仕事をせられたあとは、大体それと逆な方向の方がかわられるということは、多くの場合例があるのであって、新大臣がやはり積極的な——言いようによれば、一面においては行き過ぎとも言ったんだが、そういうことに対してブレーキをかける人ではないかという危惧の念を持っていたわけであります。たとえば道路の問題にしてもあるいは住宅の問題にしても、これからようやく前進をしようとするこの際に、これにブレーキをかけるということになったんではたいへんだという気持ちを持っていたと思うのでありますが、ただいまのこれからの御施策に対する御抱負を承りまして、非常に意を強くしたわけでありますが。せっかく御努力を願いたいし、そういう面については、われわれもできる限りの御協力を惜しまないつもりであります。  そこで、具体的な問題に入りたいと思うのです。  以前、近畿圏整備の問題が起こりましたときに、私は瀬戸内海開発の問題について、これとタイ・アップして、大臣にお考えはないかと申しました。ところが、前大臣は、自分もそう思うんだけれども、何しろ地元に熱意がないものはどうもそれに乗りかねるというようなお話があったのであります。しかるに、その後、瀬戸内海を中心とする中国、四国九州の一部、各県知事や有力者が集まりまして、前大臣も御出席になって、いわゆる瀬戸内海会談というものが行なわれて、おおまかではあるけれども、おおよそ具体的な一つの案が立てられたと思うのであります。こういう面について、将来の日本の地中海である瀬戸内海に対する開発についての積極的な御意思があるのかどうかということをまず承りたいのであります。  次には、これと関連をする河野構想に、私は心から賛意を表したのでありますが、明石から鳴門に渡る架橋の問題であります。これはもう十中十まで具体的なものだと私は確信しておりますが、この架橋ができ上がりましても、これだけでは意味をなさない。どうしてもこの架橋が終わりましたならば、これは四国を横断をして、いま問題になっておるこの佐田岬三崎町から大分県の佐賀関へ渡るフェリーボートの問題、これを解決しなければならぬと思うのです。これは四国開発の大動脈になるわけでございますが、この三崎町から佐賀関にまいりますフェリーボートを、私ども最初道路公団がおやりになると期待をしていた。ところが、前大臣は、これは道路公団がやるほどの大きな仕事でないから民営でよかろう、こういう御意見だったし、その後そういうふうに進行していったように聞くのでございますが、大分県並びに三崎町一帯の地元においては、いまなお道路公団にやっていただくことを希望しておる。その理由といたしますところは、八幡浜市からみさきのあの突端まで約十三里ありますが、この道路が非常に悪いのです。年々事故も起きておるし、幅員がない。だから、公団フェリーボートをやっていただくならば、これは一級国道になっておるけれども、手は一切加えてございませんが、この道路促進の上にもいいんじゃないかという期待を持っておるのであります。これが民営になると、ただボートだけの問題であって、道路問題はあと回しになるんじゃないか。さらにまた、民営側においては、三崎から佐賀関じゃなくして、八幡浜から三崎へ寄港して佐賀関へ行くんだ。この半島の大事な道路を通らない。こういうことをあわせて心配をいたしておるわけでありますが、聞くところによりますと、すでに民間の工作は着々進んでおる。近畿鉄道佐伯さんが、この仕事九州豊予商船というのと合併してやろう——そうして豊予商船の社長には佐伯さんがなっておられる。こういうようなことで、これは進行しておるようであるが、大分県側並びに地元においては、いまだに公団希望を捨てておらない。こういうことについて、昨今地方紙の報道によりますと、何かそこに打開の策が立てられておるように聞くのでありますが、まずこれについてのお考えを、大臣、早々でございますから、なにでございましたら、道路局長、あるいは運輸省からも見えておりますから、経過、現状についての御説明を承って、さらにあと質問を続けたいと思います。
  20. 小山長規

    小山国務大臣 お答えいたします。  長期計画については、先ほど申し上げましたように、前大臣施策を踏襲して、これを強力に実施していく、基本的にはそう考えておりますことは、先ほど申し上げたとおりであります。  第一の質問であります瀬戸内海開発については、この地域は将来の開発上非常に重要な地区でもありますので、政府長期計画におきましても、経済発展の著しいことが予想されておる地区でもありますので、いろいろ多方面にわたって、今後とも調査を続けて、瀬戸内地域の総合的な開発に資するような調査をいろいろ進めよう、こう考えておるわけであります。具体的な問題では、フェリーの問題がございましたが、これは先般、就任直後に関係の人々を呼びまして、いろいろ調整をしましたところが、いままで公団民営かというふうな議論があったのでありますけれども公団営民営の両建てでいけないかということで、いろいろ相談をしてみましたところが、公団側民営側もそういう考え方でよかろうということでありましたが、制度上どうかという点が問題で、その後検討してみましたが、現在の制度の上でも、公団営民営とでやって差しつかえないという結論になりましたので、一両日中に大蔵省当局予算措置の要求を行なう、それから、並行して運輸省とも実は打ち合わせをやっておる、こういう状況でありまして、なお詳細な点は、関係局長から申し上げます。
  21. 尾之内由紀夫

    ○尾之内説明員 ただいま大臣お話しになりましたとおり、制度上にかなり問題がございまして、現行法のもとにおいて、公団営民営両方でいけるかどうかということをいろいろ検討しておりました。昨日、法制局意見を聞きましたところ、差しつかえない、こういうことでございまして、運輸省のほうとも相談いたしました上で、どういうふうに費用をつくるか、こういう問題がございますので、いろいろな案をつくりまして、ごく近日中に、大蔵省予算措置をとるよう要求しよう、こういう段階でございます。
  22. 井谷正吉

    井谷委員 いまの制度上の問題でございますが、差しつかえない、こういうことが出たとしても、実際の面において、経理運営の面はどういうふうにお考えでありますか。別個別個でやるわけか、あるいは一つの機関を設けておやりになるのか、その点をお聞きいたしたい。
  23. 尾之内由紀夫

    ○尾之内説明員 運営の面でございますが、もともと公団で二隻つくりまして、二隻で運営しよう、こういう考えでございました。今回の両建て考え方は、一隻公団で、一隻会社で持つということでございますから、全体としては経営については採算が成り立つわけでございます。ただこれをどういうふうに運営するかということでございますが、これは両方のサービスが違ってはやはりうまくいかぬ、こういうふうに考えられますので、これはまだ結論は出ておりませんが、運営については、いずれ公団会社のほうに委託するような形になろうかと思います。まだ十分そこまでこまかい結論は出ておりませんが、おおむねそういうような方向でいくというふうに考えております。
  24. 井谷正吉

    井谷委員 この点、私まだ十分納得がいきませんが、時間がないから、これはあとでまたひとつゆっくりお聞きをしたいと思います。  それから、いま問題になっておる民営というのは、近畿鉄道でございましょうね。
  25. 尾之内由紀夫

    ○尾之内説明員 問題の中に申請が出ておりますのは、青木石油という会社でございます。実際には、近鉄並びに豊予商船というのが資本参加するということになっておりまして、そういう点ではおおむね一本にまとまっておるようでございます。名前はどういう名前がつきますか、まだはっきりいたしませんが、いずれにいたしましても、関係の二、三の会社が一本で申請をされることになっているようであります。
  26. 井谷正吉

    井谷委員 いまの民営の対象であります青木運輸でありますか、これは八幡浜から岬へ寄りまして別府へ至る定期商船木造船トントン船でやっている。ところがここには、宇和島運輸株式会社鉄船定期客船運航を現在やっている。明治以来からの歴史ある会社でありますから、これが民営ということになれば、まず地元のそうした会社重点にすべきではないかと思っておりまするが、その理由一つとしては、前の戦争に宇和島運輸会社はこの鉄船をほとんど徴用されてしまって、その後の補償もない。しかし、現在苦しいながらもこの運航を続けている。そうして当時、やはりこの岬——佐賀関間の同じ自分の持っている航路でありますから、希望は持っていたのだが、そのころは公団がおやりになるといううわさがもっぱらであったために、運輸会社は手控えまして、そうして現在八幡浜から臼杵へ行く線の出願をしているようでありますが、これも遅々として進まないで、まだ認可になっていないということを聞いている。こういう処置についてのお考え、なぜ宇和島運輸を問題にしなかったかということと、宇和島運輸があきらめて——これは海運局にお尋ねしたいのだが、八幡浜——臼杵線も、ようやくこの間増資をいたしまして新しい船をつくるようになっていると聞いておりますが、これは非常にかわいそうだと思うのだが、この辺のいきさつをひとつ承りたい。
  27. 高林康一

    高林説明員 お答え申し上げます。宇和島運輸につきましては、先ほども先生御指摘になりましたとおり、八幡浜——臼杵間の航路免許申請フェリー免許申請が先月私どものところへ提出になったのであります。この免許申請につきましては、御存じのとおり、これを運輸審議会にはかりまして、そうして免許基準に該当するかどうかを聞きまして、免許をすることになっておりますが、いずれ近くこれを運輸審議会に諮問するという段取りになるかと存じます。  それから、宇和島運輸計画では、私どもの聞いております範囲では、八幡浜、それから臼杵ということでずっと計画を立てておったように聞いておりまして、現在そのような申請が出ておりますけれども、これについては、やはり地元のいろいろな意見を十分尊重しながら、運輸審議会といろいろ御相談を申し上げてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  28. 井谷正吉

    井谷委員 そういたしますと、宇和島運輸がいま出しているのは、認可見通しはあると理解してよろしゅうございますか。
  29. 高林康一

    高林説明員 免許につきましては、ただいま申し上げましたとおり、運輸審議会の御意見によりまして、それを尊重して、免許あるいは却下を決定するということになっております。したがいまして、まだ運輸審議会に対しまして諮問いたしておりません段階におきましては、その点どのようになりますか、その点はやはり運輸審議会の御意見を全面的に尊重いたしまして、私ども措置いたしたいというふうに考えております。
  30. 井谷正吉

    井谷委員 なるべく早く御進行願いたいと思っております。  それから、これはまた道路のほうに入りますが、地方高速道について、前国会におきましても、あとはきまったわけですけれども、現在きまっていないのは北海道と四国だろうと思っております。だから先ほど申しましたように、鳴門架橋ができる、こうした幹線の重要な道路ができる、こういうことになるたてまえの上においても、ぜひ四国高速自動車道というものを、他の地域と同じようなぐあいに扱っていただくようにお願いしたいと思っておるのでありますが、だれかに聞きましたところによると、四国四県の意思がきまらぬから、どうもこれ以上の持ち上げがないということも承っておりますが、この辺についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  31. 小山長規

    小山国務大臣 いままでの新しい路線の法律は議員立法でおやりになっておったと記憶しておりますが、この四国縦貫道路についても、政府提案にするのか、議員立法になるのか、そこらのところはまだ全然検討しておりませんが、路線に何か問題があるのじゃないかというふうなことを聞いております。まだいまのところは結論に達しておりません。
  32. 井谷正吉

    井谷委員 きょうはほかの委員会との合同審査もあるそうでありますから、私はまた次の機会にいたすことにいたしまして、ちょうど岡本さんから関連があるそうですから、私はこれで質問を終わります。
  33. 岡本隆一

    岡本委員 関連。いまのお話を承っておりますと、公団民間会社とが合弁でやるというふうなお話でございますが、どうしてそういうふうな二本立てにされるのか理解に苦しむのです。公団でやるなら公団でやる、それから民間にやらせるなら民間にやらせる、こういうすっきりした運営がどうしてできないのか、公団民間会社とが競願になった、だから両方の顔を立てて、足して二で割るような方針をおとりになったのか、あるいはそれ以外に、この二つに許可をしなければならぬ理由があるとするならばどういうところに基づくのか、その辺の理由を承りたいと思います。
  34. 小山長規

    小山国務大臣 私が引き継ぎましたときは、公団営にするのか民営にするのかという議論のままで受け継いだのです。公団営にするにしても、民営にするにしても、だいぶむずかしいようなふうでした。そこで事は急ぐということであるし、関係者を呼びまして、一体落ちつくところはどこなんだということで、いろいろやりましたところが、フィフティー・フィフティーの原則ならば、ひとつ両方とも譲りましょうということでありましたから、それじゃフィフティー・フィフティーの原則ということでひとつこっちのほうも考えてみよう、こういうことでスタートしたわけであります。
  35. 岡本隆一

    岡本委員 たとえば明石——淡路間、あるいは九州の有明湾のフェリーをいつか何かの機会に渡ったことがありますが、ここは公団でやっておった。公団国道国道の間を結ぶという意味において、あまり運賃が高くならないように、利益をあげないで住民の交通に奉仕するというふうな意味において公団運営するということでフェリーをやられるのはよくわかります。それ以外に民間会社フェリーをやらせるということになってまいりますと、これはやはり利益を追求することになるわけであります。だからこのフェリーというものの性格から申しまして、橋をかけるよりもあるいは海底の隧道を掘るよりも、フェリーでいくことが交通政策上一応は安上がりでもあり、同時にまた住民の便にも供するゆえんだというふうな意味でいくなれば、本来ならば公団がやりたいと言えば私は公団にやらせるべきだと思う。しかしながら、ある程度の公団の金をそういうところに回すよりも、むしろもっと有効な道路建設のほうに回したい。だから公団の金を節約して、民間の企業として成り立ち得るしということであれば、これは民間にまかされるなら民間にまかされるということもそれは一つの方法として——たとえば至るところ、まだやっと名神がこの九月に全線開通するということで、東名も中央道もまだできておらないという段階でございますから、あらゆる方面でそういう資金需要の大きいときに、あえて公団の金をフェリーにさかなくても、それはそれでいい。ところが民間公団とが競合になって、取り合いをやったから、両方の顔を立ててどちらにもというようなことで、二者共同でやらせるというふうなことになりますと、公団民間路線の取り合いで、両者せり合うということ自体が私は間違っておると思う。もっと公団というものはすっきりした運営をやるべきではないか。だから建設省といたしましても、これは公団でいくべき路線か、民間にやらせるべき路線かという路線の性格というものについて、はっきりした態度をまずお持ちになるべきだと思う。その上に立って、これは民間にやらせるべきだということであれば、民間から希望者を募る、そうして民間同士がまた競合、競願になったからというので、いまのような共同出資というような形をおとりになるなれば私はわかります。しかしながら公団民間とが競合になって、それで両方共同出資でやらせるということになりますと、公団の経営は営利をなにしないので、したがって結局食われることになると思うのです。民間側に船を借すと、初めの間は話はどのようにできましても、いつかは用船料を安く踏みたたかれていって、結局公団ば出資をしただけで、その航路からあがってくる利益は民間会社が全部うまくこなしてしまうに違いないと思う。だからそれならすっかり民間にやらせたらいいと思う。その点二、三日うちに大蔵省に予算の要求をされるというようなお話でございますが、そういう段階であるなら、もう一度再検討して民間でやらせる——ことに近鉄なんかが中に入っておるということでありますと非常に大きな資本でございます。だからそんなフェリーを一本立ちでやるのに資金的に不自由するはずはない。だから不自由するはずのないものであれば、公団でそんな要らぬところに出す金があるならば、たとえ一キロでも五キロでも、他の非常に資金需要の多い方面に有効にそういう公的な資本はお使いになるのが正しいことだと思う。ここで大臣、ひとつお考え直しになられる御意思はございませんか、御意見を承りたいのです。
  36. 小山長規

    小山国務大臣 お答えいたします。  おっしゃるとおり、筋論から言えば、公団資金需要も非常に多いし、そして民間では成り立たないが、公団なら何とかなるというところにやるのが筋なんですよ。この場合は、私が引き継いだ状況下において申し上げますと、民営のほうは成り立つのだからやらしてくれと言う。そうすると、地元感情から言いますと、公団でなければ接岸も許さない、船をつける工事をすることも許さない、こういうような状況であったわけです。そこでいずれか落ちつくまでじんぜん待っておっていいのかとなると、じんぜん待っておるわけにもいかぬ、いずれか結論を早く出さなければならぬ、こういう状況であったわけです。ですからさっき申し上げましたような妥協的な方策をとったわけですが、これはむろん先例にするつもりはありません。おっしゃるように、民間で成り立つところは民間でやるのはあたりまえでありまして、今度は便法としてとりましたが、これを先例として、公団民間がせり合ったときには、いつでもこの方式をとるのだ、そういうわけには今後はならぬと思います。
  37. 岡本隆一

    岡本委員 地元公団でなければ接岸も許さないという強硬な意見を吐いておる、その理由はどういうところにあるのですか。
  38. 小山長規

    小山国務大臣 これは私が聞いたところによりますと、いろいろな考え方があるようです。たとえば公団であれば、長い間に償却でも終わったら、しまいにはだんだん安くなるのじゃないだろうかというような期待、それから民間の場合は、それに対して配当も考えなければならぬだろうし、あるいはその他の経費も公団よりもよけいかかるのじゃないだろうか、そうすると料金もそう安くなることは期待できないのじゃないかというようなこと、それからまた公団ならば、政府の機関であるから、むやみやたらに欠航したり時間を間違えたりすることはないだろうが、民間だと営利本位にやるから、その辺のところはどうだろうかというようなところが、公団でやってほしいという有力な根拠のように聞きました。
  39. 岡本隆一

    岡本委員 これは四国横断といいますか、縦断といいますか、縦断道と、それから九州とを結ぶ非常に重要な路線なんです。ことに四国——九州間の物資の交流というふうな大きな使命を持ったものであるとするならば、これは運賃はできるだけ安いにこしたことはない。だからそういう意味において、あなた方のほうで、地元の要望が、それほど運賃が高くなっては困るということ、あるいはまた運営が正確でなくては困るということ、あるいは将来ペイできたあとは、かりに無料にならないとしても、道路的性格を持って、何とか非常に安い運賃にしてもらいたいという期待を持っている、そういうことになってまいりますと、これは当然公団にやらすべきじゃないか。それを、それじゃ民間をそういうふうな——そしてまた、公団がやる意思があって、やると、こう言っておるところへ、それじゃどうして民間資本を割り込ませられるか、その割り込ませられる理由がわれわれにはわからない。公団はやると言っておるし、またやるだけの十分な能力も持っておる。そうなってくると、民間資本をその中へ割り込ませたりする必要は必ずしもなかったのじゃないか。また民間資本を割り込ませるにいたしましても、それは民業全部をそういう大きな資本でとってはいかぬというふうなことであるとするなら、そういうふうな大きな資本に対するてこ入れをしなくても、いま井谷さんからお話があった、地元の汽船会社で戦時中いろいろな犠牲を払って困っておるというふうな会社をある程度助けてやるというふうな意味において、小さな資本を入れてやるのならまだ理由はわかります。しかしながら、もう近畿一円を制覇しておるというような大企業へ——しかも鉄道会社でしょう。しかも近鉄というのは、そこに鉄道路線があるわけではないし、そこへぽっと離れましてそんなものをくっつけられるというふうなところに、ぼくらにすると、また何かちょっとくさいものがあるぞ、こういうふうなことが出てくるわけです。だからもっと行政というものは筋が通った、そして明朗なものにされる必要があると思う。何かやはり両方が取り合い言て、そして——これは運輸省から来ておられますが、造船疑獄以来、運輸省というものは、そういう問題が非常に多いところです。そういうふうなところで、また航路認可をめぐって、そのような不明朗な、中途半端な、そういう当然公団でやるべきところを、そしてまた公団がやるのだと言っておるところにそういうものを割り込ませて、結局は、そういうことになると、民間会社のほうがなかなか商売がじょうずですから、公団が食われるにきまっておる。公団みたいな大名商売をしておったら、これは食われるにきまっておる。だからそういう意味においては、もうはっきり公団一本にしぼられたらどうですか。
  40. 小山長規

    小山国務大臣 おっしゃることはよくわかるのですよ。私が引き継いだときは、民営公団かというような状況にあったというようなことで、それはいずれも理屈はあるのですよ。おっしゃるように、公団のほうからいえば、そんなところにやらなくてもほかにたくさんあるじゃないかということであるし、民営なら民営のほうからいえば、じゃおれのほうは十分に採算がとれるのだ、おれにもやらせろ、こういうふうな状況下に私は引き継いだわけです。そこで、それじゃそれをどっちか結論が出るまでじっと待っていようかという点もあるわけです。ところが地元全体の需要からいったら、そう便々と待っているわけにいかないというふうな事情でありますので、まあひとつこれはいずれにしても結論を出す必要があるということで、いま申し上げたような決断を下したようなわけであって、だからおっしゃることはよくわかるのです。わかるのですが、この場合は、この場合の特殊ケースとして私も考えたのですが、ひとつそういうふうに御了承を願いたい、こういうことです。
  41. 岡本隆一

    岡本委員 これは、お尋ねしますが、私もそういう点、道路の問題は詳しく知らないのですけれどもフェリーの認許可権というものは、建設省にあるのか、運輸省にあるのか、どっちなんですか。
  42. 高林康一

    高林説明員 運輸省にございます。先ほど先生の御指摘のございました事案につきましては、具体的には、まだ申請が出ておるわけではございません。それにつきましては、もちろん関係当事者いろいろの御関係をお持ちでございますが、それについていろいろ関係当事者において話し合いをお進めになり、その結果いろいろ認可申請免許申請ということになってくるかと思います。その場合に、私どもといたしましては、先ほども申しましたように、運輸審議会におはかりいたしまして、そしてそれについての免許基準に照らして、免許するかどうかということを決定するわけでございます。決して、先生の先ほど御指摘になりましたような、何かの事情があってということではございません。私どもは、最終的に免許ということについては、今後具体的に申請の状況によりまして、そしていろいろのその場合におけるところのケースを十分運輸審議会におはかりをいたしまして決定をしたい、かように考えておる状況でございます。
  43. 岡本隆一

    岡本委員 まあこれは関連でもございますし、もうこの程度で打ち切りますが、やはり運輸省が許可される場合に、フェリーというものの性格は一般航路とは違うわけです。これは重要な国道路線に次ぐものであって、だからそういう性格の上に立った認識で、ひとつこれから後考えていただきたいということ。そこでいまのように、どういうことか知りませんが、何か横で聞いておると、結局は運輸省建設省のなわ張り争いみたいなことじゃないかと思うのですが、しかし、それにいたしましても、やはり何をおいても、地域住民なりその道路利用者の立場に立って運営するということが正しいのですから、だから一般の貨物輸送であるとか普通の航路とまた違った性格のものであるという認識の上に立って、今後運営されることを要望します。
  44. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 金丸徳重君。
  45. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 実は、大臣就任初の委員会でありますので、私も建設行政各般にわたりまして、いろいろお願いを申さなければならないものを持っております。この機会に大臣の御決意を承っておきたいこともあるのでありますが、あまりに時間が過ぎてしまいました。きょうは、ほかの問題はまた後日に譲らしていただきまして、さしむき起きております一、二のことにつきまして、お考えを承っておきたいと思います。  その一つは、数日前、富士川の上流の釜無川の砂利採取あとに起きた悲惨な事件でございます。この点につきましては、大臣非常におせわしいから、御承知になっておらぬかもしれませんが、河川局長はとくと御承知になっておられる、現地からも報告があったことと思うのでございますが、子供たちが、ちょうど学校のプールが水の関係で泳げなくなったものですから、付近の釜無川に泳ぎにまいった、水遊びにまいった。行っている間に、砂利採取あとの水たまりにはまってしまいました。一人がはまる。次の子供が助けにいってまたはまる。それを助けにいってまたはまる。とうとう四人まで、小学一、二年生の子供、小さいのは幼稚園生だそうでございますが、四人まで死んでしまったのであります。現地の人々は非常な恐怖感を持ち、また憤激もいたして、何かこれが対策をと言っておるようでありますが、昨日聞いたところによりますと、この砂利採取業者、あそこには三十六社か入っているそうでありますが、これが総ざんげという名のもとに、多くの道具を持ち込んで、埋めていたそうでありますけれども、実はこの砂制採取あとの穴の危険性につきましては、私どもも現地の皆さんと一緒に、県当局や、また建設省の出先機関に向かって、すみやかに危険のないようにしてほしいという要請をいたしておきました。私も当委員会の席上、両三回にわたって堆積土砂の排除をすみやかにしてもらいたい、そして両岸農民や住民の心配をすみやかになくなしてほしいというお願いをいたしておったのでありますが、それが聞き入れられませんで、とうとうこのような悲惨な事件を起こしてしまった。これはしかし四人の子供で済んだからまだよかったのであります。もし一たび台風が急に来たり、あるいは集中豪雨が急にまいったというようなことになりますと、この砂利採取あとの水勢の変化からしていかなる災害が起らぬやもはかりがたい。これはもう現地の古老がふるえ上がって心配いたしておったのでありますが、こうした長い間にわたって心配された事項がなぜこのような悲惨な事件にまで発展しなければ、その改善策が講じられなかったか、何かそこに原因がありはしなかったか、というようなことをまず最初に承りたい。
  46. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。この砂利採取ということでございますが、これは現在の河川法の第十七条の二の規定によりまして、知事が認可するということになっておったわけであります。それで、知事は認可にあたりましては、河状が危険を生じないように砂利採取業者に注意を与えまして、そしてそういう条件で大体認可をしておる。ただし、それは流水上支障があるというようなところでございましたら、これはもちろん認可をいたしませんが、流水上差しつかえのないというところでございましたら、それで認可をしておるというのが通例でございました。砂利業者が、先生のいまおっしゃるように、直してはおるのでございますけれども、そういう点、不徹底な点が少しあったのじゃなかろうかというふうにも思われるわけでございます。こういう点につきまして、この具体的な例につきましてはよく調査をいたして、これがまことに砂利業者の手落ちによるものであるか、あるいは掘りたてのところであって、これから直そうとしておったところであるのか、その辺もよく調査をいたしたいと考えます。新河川法になりまして、もしこれが大臣の管理ということになりますと、こういう点は十分にできるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。それで、建設省としては、今年度の土木部長会議におきまして、こういうような事態がないようにということで、いろいろ注意を与えておったわけでございます。  以上のような事情でございます。
  47. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 新しく掘ってまだ埋めるまでに手間がちょっとかかったという程度のことではなくて、もう長い間ほったらかされておった。これは、もしそういうような調査報告があったとしますれば、それは実は間違いであるのであります。もちろん一部には埋めた、直したというところもあるかもしれませんけれども、多くのものはほったらかしておった。ということは、それほどにいま砂利採取は仕事が忙しい。それでそのほうにかまけておって、あとの始末には手が回りかねたということが実際の実情ではないかと思うのであります。そしてそれは県下のことだから県がやるべきである、私もそう思います。そうでなければならないはずでありますが、県がなかなか——そういう実情であることは、むしろ建設省のほうも出先機関はよく御承知のことでありましょうし、また本省のほうでも、これはひとりいま事件が起きた釜無川ばかりではなくて、全国の堆積土砂を持っておる河川においては、大なり小なり程度の差はあるにいたしましても起きていることだと思います。それはもう相模川において問題にされ、橋の橋脚の近くまで掘ってしまった、ほったらかしたということが現地で問題になっていることが伝えられておるくらいに、全国的にあることであるのであります。  そして、もう一つ、私はいま河川局長のお答えについて、まあ抗弁するようでいけませんけれども、これは朝日新聞の記事であります。建設省の現場に大穴、こういう記事のもとに、建設省が直轄工事をなさっておられるその現場において、長さ百メートル、幅も六十メートル近い大穴を、しかも深さ七メートルと書いてございます。それくらい大きな穴をあけて、これをほったらかしたというわけでもありますまい、いずれは埋めるつもりであったとは思いますけれども、現にそういう穴ができておる。こういう状況のもとで、知事に向かって河川管理の万全を期せよと言っても、なかなか容易ではないと思います。そこで私は、現地の人々、現地の建設省の出先の皆さんが、決して仕事をサボったりあるいはずるけたりしているわけではないと思います。一生懸命やっておるのにかかわらず、なおかつそういうほったらかしの状況に置かなければならないような、何か原因があるのだろうか。たとえば手が足りなかった、金が足りなかった、あるいは方策についてどこかにたがの一つ抜けておったところがありはしないか、こういうことを心配するのであります。そういうことを私が願って、これが対策を講じてもらわなければなりませんが、いかがでございますか。
  48. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。ただいまの個所につきましては十分に調査をいたしておりませんが、河川工事をいたしますと、護岸の根を十分に川の中へ入れますために掘さくをさせていただきまして、工事を行なうわけでございますが、そのあとはあるいは前に沈床を出しましたりして、根固めをするという工事をするわけでございますが、そういうことでやっておる最中に水が出て、一時やめておるということもあったかもわかりませんので、十分に調査させていただいて、そういうことが、起こらないように、十分に注意をいたしたいと思っております。
  49. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 建設省の直轄工事をやっておられる場所につきましては、あるいはそうであろうと私も善意に解したい。実はこれは朝日新聞が取り上げた事実でありますが、この新聞で取り上げられた大きな問題の現場とは多少違ったところで、別に考えなければならないと思うのでありますが、元来建設省の災害復旧に対する態度というものが、たとえば堤防が決壊したとかあるいは田畑が崩壊したとかいうようなことにつきましては、すみやかに原状に復する改良をするということに非常な熱意を持っておられるのでありますが、一たび、堤防が決壊しない、土砂はたんぼにまで押し流れないで、その川の中に堆積しておるというような状況につきましては、どちらかというとその対策がおくれております。しかしながら災害の点につきましては、堤防決壊と同様に両岸の農民に災害を与えることは、河川局長がよく御承知のことだと思います。河床が三メートルも五メートルも上がってしまいますと、その次の台風に堤防が切れるであろうという心配はもちろんでありますけれども、常時におきましても、平水が流れる間に浸透いたしまして、両岸のたんぼあるいは住宅地に湧水しておる。現に天井川とよくいわれるところの河床の上がった河川の両津においては、そういう被害をこうむっておる。いってみますならば、これこそ洪水常襲地帯といってもいいくらいです。だから決壊した堤防を直すと同様に、あるいは土砂を持ち込まれたところの田畑の復旧と同様に、すみやかにその河川の中に堆積したところの土砂を、円滑に事故がないようにもとに復することも大切ではないかと思うのであります。現実の問題といたしましては、なるほど決壊した堤防を早く直さなければならぬこともわかります。農民個人個人にとって、土砂のたまった田畑をもとに直すということももちろん急がなければなりませんけれども、それと同じくらいに、やはり常時心配になるところの堆積土砂の排除を、すみやかに十分の予算を持ってもとに復するだけの熱意をお持ちになりませんと困るのではないかと考えるのでありますが、いかがでありますか。
  50. 上田稔

    上田説明員 ただいま先生がおっしゃったように、川というものを治めるのは非常にむずかしい仕事でございまして、そういう点に十分に気を配っていかなければいけないこともよくわかっております。それで建設省といたしましても、そういう点には維持費というものを十分に組んでいただくようにお願いをしておるわけでございますが、そういう点、やはり改修あるいは災害復旧というふうな面に予算が大体いってしまいますので、なかなか回らないのでございます。しかしそういって放置できないほど非常に堆積いたしました土砂につきましては、災害復旧のほうでこれをとるように、最近は採択基準でいたしておりまして、非常に洪水に影響があるというものだけは、そういうことで原状に復するようにさせていただいておるわけであります。あとのものにつきましては、これは改修工事を行なう個所につきましては、もちろん取り除きますが、特に府県の管理区間になりますと、そういう点が非常にできにくくなっているわけであります。直轄河川でやっております区間でも、大部分は現在は県が管理しておる、直轄河川維持区域というものは非常に少のうございますし、またその予算は、県よりも幾分メーター当たりは多いようでありますけれども、なかなかその点は今後の問題になるのではないかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  51. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そこでひとつ大臣にお願いを申し上げたいのでありますが、本日承りました御所信の表明の中に、新河川法の施行に伴って、一そう決意を新たにして国土建設改良に熱をお入れくださるということでございます。まことに敬意を表するところでありますが、それと同時に、四十年度を起点としまして、治水五カ年計画を新たにお立てになるということを表明されております。これもまことに時宜に適した、私どもとしては満幅の敬意と賛意をささげるところでありますが、ただ、そうした場合におきましても、いま河川局長からお話がございましたように、災害復旧ならば急ぐけれども、そうでない点については、ついどうも金も十分でないからということで、実情そのとおりだと思いますが、問題は私が先ほども申し上げましたように、実はそれこそが災害復旧の根本だと思うのであります。極端に言うならば、堆積土砂がもとのとおりに排除されて初めて、その災害は復旧されたと言わなければならない。それが三十四年災におきましては、富士川一円の土砂の堆積は、あのとき災害特別委員会で、県の当局から参考人として出てきましたところの総務部長の表明したところによりますと、八千万立米があの一本の川の中にたまっている。八千万立米というものはたいへんなことで、まさにそのとおりで、上流の山が幾つかくずれてしまったのですから、あるいはそういう数字になろうと思うのです。したがって、その八千万立米をどこかに持っていかなければ、ほんとうの災害復旧にはならない。しかるに排除された土砂というものはきわめてわずかでありまして、私は建設省の出先の工事事務所の皆さんの苦労をよくこの目で見ておりますから、非常に同情しながら、一体どの程度の金、どの程度の予算を持ったらあなた方が満足されるような工事をしてもらえるかと、たびたび聞いたことがあるのであります。いかにも少ない、少ないばかりでなしに、ここ両三年このかた減る傾向にある。これは治水五カ年計画をお立てになった大臣あるいは建設当局としては、たいへんに残念なことだと思うのでありますが、堆積土砂の排除というような、一見災害復旧とは思われないような、その基本のことについてぜひひとつ力を入れていただきたい、こう思うので、大臣から御決意のほどをお聞かせいただきたい。
  52. 小山長規

    小山国務大臣 お答えいたします。  今度の五カ年計画を立てますときには、そういう排除を含めたものを五カ年計画の中に入れるわけであります。
  53. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 時間がないということで急がれますので、次のも一点でありますが、きょう大臣からの所信表明を承りまして、ちょっと私意外に思ったのでありますが、その所信の表明の冒頭に、前官房長不祥事件に関しまして、深く遺憾の意を表するものであるということでございます。私は実は、平井官房長がさきの総選挙において上司のために働いた、それがおとがめを受けたということは新聞では承ったのでありますが、大臣から、所信表明の冒頭にこれほど強く遺憾の意を表せられなければならないような事実がはたしてあったのであろうか。新聞記事で知っておるだけで、いささか驚きもしたのであります。ついてはその事実につきまして、ここであらためて大臣からお示しをいただきたい。
  54. 小山長規

    小山国務大臣 私は、就任のときから、一般的に綱紀の粛正ということについては、職員にもその旨を特に強調しておったわけですが、たまたま新聞その他においてああいう問題が報ぜられ、そして警察当局から検事局のほうに書類送検になったという事実が出てきたわけであります。それで本人からは辞表が出ましたのでこれを承認することにした、しかしいずれにしましても、その起訴の事実は本人も認めておるものですから、一般職員に対しましても、さらに綱紀を厳正にすることを申しますとともに、こういうことはいずれ明らかになることでありますから、この際、大臣としての遺憾の意を表したわけであります。
  55. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 本人から、事実を認め、辞意が表明された、そこで辞表をお聞き届けになった、依願免職という措置をおとりになったと承ってよろしゅうございますか。
  56. 小山長規

    小山国務大臣 認めておりますということは、本人が私に申したことなんです。そしてすでに辞表が出ましたので、これを受理しまして、何日付でしたか、後任の官房長もきめたわけであります。
  57. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 綱紀の粛正についてと、こうありますが、どういう法規に平井君は触れておるのですか。
  58. 小山長規

    小山国務大臣 これは具体的には、まだ検察当局の段階にありますから、申し上げられませんが、書類送検の内容について、伝え聞くところによると、公務員法と公職選挙法に違反しているのだということでありますので、これはむろん役人としてそういうものに違反しちゃいかぬわけですから、違反があったかもしれない——あったかもしれないじゃおかしいのでありますが、そういう事実について書類で送検をされており、そして本人から辞意の表明がありましたから、そういう意味で辞表を受領したわけであります。
  59. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 実はその事件が報道される前に、大臣もこれはお読みになっておられると思うのだが、政党近代化への道という長い続きものが朝日新聞に載っておりました。その幾つかの記事に、池田総理大臣は、秋の総選挙に際して、財界の各方面に呼びかけて、選挙資金に十五億ばかりの要求をした、その結果十億ばかりの金が集まったというようなことが伝えられておると書いております。私は、常識的に考えても、そういうことはあったろうと思います。朝日の記事はかなり各方面に百科を集めておりますから、まさか全然虚構の事実をここに大きく取り上げておるものでもありますまい。ことに続きものでありますから、きわものではないと思います。としますならば、私は、総理大臣がそういうふうに各方面に呼びかけて選挙資金を集めたということであるならば、その総理大臣のもとにあるところの建設官房長が、またその政治家のために金を集めるということは許されてしかるべきではないか。これは決して皮肉な意味で言うのではありませんが、いいことではないか。池田さんの気持ちと平井官房長気持ちとそう変わりはなかろうと思う。それをどうして片や池田さんの場合には何にも罪にならず、片や平井君の場合には法規に違反したということで首を切られなければならないか。どうもここのところがよくわからない。大臣はこれをどうお考えになりますか。
  60. 小山長規

    小山国務大臣 いま新聞に載っておりますのは、国民協会を通じてということだと思います。国民協会という制度がありまして、その国民協会の会費についてということだと思いますが、この問題とは別であります。
  61. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 時間がありませんから、この続きはあらためていたしますが、私は、いまのお答えは、大臣の良心の命ずるところによってのお答えではないように受け取れるのです。国民協会の名をもってと言いますが、それならば、官房長が別の名を使って、別の何かをつくってやったら、これはこれで許されるということになる。私は両者とも許されないことだと思う。問題は、そういう関係業者に呼びかけて選挙資金を集めるという、そのことがいけないということであり、それは方法のいかんを問わず、また総理大臣だからいい、大臣だからいい、官房長だからだめだというようなことではなかろうと思うのであります。したがって、大臣がきょうここに重大な決意を表明なされた、おそらくこれは異例のことではなかろうかと思う。御就任早々、しかも所信表明の冒頭において、深く遺憾の意を表されるのは異例のことだと思う。またせんだっては、官房長名で通牒が出されておるやに新聞で承知をいたしております。これまた異例なことだと思うので、こういう異例なことをしなければならないような原因というものはどこにあるのか。私は決して今度の平井官房長が起こしたことだけではないと、内閣自体が見ておるからだと思うのであります。世間の常識では、平井官房長事件は氷山の一角にすぎないのである、たまたまひっかかったのが損なのだという見方もいたしておるようであります。平井君にははなはだ気の毒なことではあるのだが、しかし私はそのもとを正すことの決意がなければ、幾ら平井君を処分し、百ぺんの通牒を出しましても、またここでいかに遺憾の意を表されましても、それは口頭禅にすぎないのではないか、こう思うのであります。大臣のほんとうの良心に基づくところの、こうしたことについて、ことに今度建設行政をさらに強化なさろうとしまするならば、うっかりすると、またしてもそうしたことが起こらぬとも限らぬという国民心配に対して、納得させるだけの御決意なりが表明されれば、私が意外に思ったきょうの所信表明について了解できるわけであります。
  62. 小山長規

    小山国務大臣 私がこういう発言をいたしましたのは、私自身が、まずそういう自分の心がまえとして、いかがわしいうわさが立ったりする、そういうことがないように私自身のまず気持ちをきめて、そして職員にもそれを示す、こういう趣旨で申し上げておるわけであります。
  63. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 このことにつきましては、私はもう少し掘り下げて、また、あるいは官房長にもおいでを願ってじっくりと聞いて、私自身も納得しなければならぬ、また国民の疑惑も解いていただかなければなりませんけれども、時間がないということでせかれておりますから、留保いたした形において、きょうは私の質問を終わりにいたします。
  64. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 岡本隆一君。
  65. 岡本隆一

    岡本委員 合同審査が始まっておるということでありますので、ごく重要な点だけお尋ねいたしておきたいと思います。  先日、新聞紙上を通じて、建設省の来年度の基本重点政策というふうなものを発表されました。きょうまた大臣から御所信を承りまして、大体同じような内容のように承ったのでございますが、そのうち特に、時間がございませんから、私が重要だと思う一点だけきょうはお尋ねして、次回にまたあとの問題をお尋ねいたしたい。  それは地価の問題でございます。今日、住宅問題が地価のために解決が非常に困難になっておるというのは御承知のとおりでございますから、早急に地価対策に手を打たなければならぬ。衆議院のほうでも、御承知のように、地価安定強化に関する決議を院議をもってきめたことは御承知のとおりです。したがって、建設省としても、私は強硬な地価安定策というものが来年度の方針の中に織り込まれてくる、こういうふうに非常に期待を持っておった。ところが、もう一つどもの目から見ますとそのように思われない。ほんとうに地価安定のために本腰で取り組まれるのか、またこれは直接建設省の法案とかそういうような形では出てこないことになりますが、しかしながら、やはりその地価安定のためには、何をおいても土地の思惑買いというものを禁止しなければならぬのであります。そのためには空閑地を持っておる、遊閑地をそのままいつまでも持っておるというふうなことは、これは国民がこれだけ住宅用地に苦しんでおるときに、土地を広く遊ばして値上がりを待っておる、こういうふうなことは、私はもう国民同士の間の公徳心に欠けておる、道義心に欠けておる、自分の利益のために広いところを幾らでも確保して、人を入れない、こういうふうなことは許さるべきじゃないと思う。だからそういうふうな方針を強硬に貫くのだ、こういうふうな考え方建設省の重点施策の中に織り込まれてこなければならぬと思うのであります。そういう点について、私は、われわれが期待しておったその地価安定策というものが、いま来年度の建設省の基本施策の中に出ておらないということに非常に大きな失望を感じるのでございますが、大臣はそれに対していかなる考えを持っておられますか承りたいと思う。
  66. 小山長規

    小山国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、住宅政策を進めていくときに、一番問題になるのは宅地の問題なんです。それで、宅地はむろん安価でなければならぬ。ところが、御承知のように、こういうふうに人口が急激に膨張してきますのと、所得がみんなふえてきますと、やはり自分の持ち家を持ちたいという欲望が出てまいりますから、人口と所得の関係から、どうしても宅地に対する需要が非常にふえてまいります。一方宅地というものはそう簡単にあるわけじゃありませんので、供給のほうはとかくとだえがちである、そこに思惑の余地が出てくる。いまの空閑地の問題も、私まだ自民党の政調におる時分に、これに対する課税の問題とかいろいろな問題で、適当な方策はないか、憲法の許す範囲内において方策はないかと、いろいろ検討したのであります。この税の問題は必ずしも宅地を安くするゆえんじゃないというふうな大体の方向結論も出ましたので、こっちのほうはまだ検討を続けておる状況であります。何としても宅地を安くするという方法は、大量供給——この間の国会で新住宅市街地開発法という法律が国会を通りましたから、これで、山あり谷あり、それから水田としてもあまり値打ちはないがというような場所がかりにあれば、そういうものを大量に開発して、そして、こういうところは大体取得原価は安いわけですから、それに宅地としての施設を設けて、それを大量に売り出すとなりますと、比較的安い宅地を供給することができるであろう、そうすれば、これはいま計画しておりますのは、東京の近辺でいいますと、多摩川沿いにそういうことを考えておるわけですが、大量にそこに、たとえば坪一万とか一万五千とか二万とかいうような土地ができたとなりますと、買うほうは、あそこで二万五千円だとするならば、交通の時間からいってもこっちはもっと安くあるべきである、こういうふうなことで、高いものは見向きもしないというふうになるのが人情だと思います。そういう意味で、密集地帯周辺にはそういった大量な宅地造成をやろうということで、来年度はそういう予算を大幅に要求をするつもりなんです。それによって、宅地のほうの安定に資していこう、そのために新しい機構を考えたらどうだという考え方もありますが、機構は機構としまして、いまの制度でできるものならいまの制度でやるし、どうしてもいまの制度でできないというなら、新しい機構を考えなければなりませんが、いずれにしても、そのための予算、財政投融資を大幅に導入して、そうして供給の逼迫しているところから打ち破っていこう、こういう考え方で進もうと考えておるわけであります。
  67. 岡本隆一

    岡本委員 供給の増加だけを考えておられるところは、いままでの河野さんの考え方とちっとも変わらないのです。しかしながら供給の増加といいましても、それにはやはりその資金に限度がある。公団でやりましても、あるいはあなたのほうで今度新しい構想として出しておられます新市街地開発公団にいたしましても、政府資金には限度がございます。そうしてまた、良心的に利益をあげないでそういうふうな宅地の供給に当たろうというふうなものは、公的な機関以外にはございません。そういう観点に立っていけば、これはもう供給の増加に待つというだけでは、とても百年河清を待つにひとしい。これはまた別の機会にもう一度、もっと私も数字なんか詳しく調べてまいりまして議論いたしたいと思いますが、河野さんは、道路さえつければ宅地はどこでもできるのです、住宅は何ぼでもできるのです、だから道路重点を置いていけば、宅地はひとりでにできるのです、こういうような考え方でございました。大臣の場合はもう少し進めて、住宅地を大量に供給するのだ、こういうような御意見でございますが、いずれにいたしましても、そういうようなことでは解決は困難だと思います。  ところで、それに対してもう一つ出ておりますあなたのほうのお考えの中に、不動産投資信託制度というものが入ってまいります。これは私は非常に危険な考え方である、こういうふうに思うのでございますが、これは建設省の考え方なんですか、それとも池田さんの発想に基づくものなんですか、どちらなんでしょうか、お伺いします。
  68. 小山長規

    小山国務大臣 不動産投資信託というのは、在野時代から、私自身も、そういう考え方でいくべきである、こう考えておったのです。それでまだ、対象地域をどこにするのかという点が一つは問題になると思います。大方の人は不動産投資信託で郊外の宅地造成というふうに考えておられるようですけれども、私はむしろ、市内の店舗や住宅が密集しているところがありますね、そういうところは地価も非常に高いんですけれども、そういうところなら大衆資金を集めて配当できるんじゃないか、地価が暴騰しないで、つまり高層住宅をつくるわけですから、地価の問題に大きな悪影響を与えないで、それで配当ができるんじゃないか、そういうふうな考え方でやれないかということを各方面に聞いておるわけなんです。したがって、不動産投資信託をやるから、宅地が暴騰するとか、そういうことはないと思います。またないようにしなければいけません。いずれにしましても、さっきのお話じゃありませんが、不動産投資信託ができようができまいが、住宅の需要がふえていって供給が足りなければ、これは上がるのであって、それは不動産投資信託をつくったから上がったということにはならぬと思います。
  69. 岡本隆一

    岡本委員 そうすると、不動産投資信託制度というのは、市街地の再開発が主たる目的で、だから宅地開発は投資信託制度にはやらせないのだ、こういうふうな御意向でしょうか。
  70. 小山長規

    小山国務大臣 これは必ずしもそうとは限らないのです。限らないのですが、不動産投資信託というもので証券を募集する以上は、当然五分なら五分の配当ができるという前提に立つわけですから、どっちが一体安定した配当ができるだろうか、これは民間考えることなんですね。私自身は、むしろ市街地のほうがいいんじゃないかという感じは持っております。しかし、実際やってみれば、けっこう郊外地でもできるんだということになるかもしれぬし、それは法制上は、どっちでなければならぬというふうにはしないのです。
  71. 岡本隆一

    岡本委員 五分や六分の配当で金は集まりませんよ。金を集めようと思えば、社債がいま九分何厘ですから、大体一割近い、あるいは一割以上の配当ができなければ、金は集まってまいりません。そこで、市街地の再開発だけに限るということであるなら、私はあえて不動産投資信託制度に反対はいたしません。そしてまたある程度、市街地開発ですね、どんどん小さな老朽家屋を買い集めて、それをつぶして、近ごろ住宅公団でもやり始めておりますが、大都市の空間を利用するということは大いにやらなければなりませんし、そういうような資金を、公団だけで資金が不足だから、その資金を補うためにこの制度をつくるんだということであれば、私もこれはいい着想だと思うのです。しかしながらこれに宅地開発もやらせるのだ、こういうことになってまいりますと、話は変わってまいります。いままで投資信託というものが証券界において果たしてきた役割りというものは、あなたも御承知だと思うのです。あれは株を証券会社が安く買い集めて、そしていわゆる推奨株というものをつくって、だんだん値がつり上がったところで一般の投資家に売る。最初に買い集めるための資金、そんなものを投資信託に求めていって、それで民間資金を集めちゃう。株を安く買っては高くお客さんに売りつけておって、ある程度株のつり上げに成功してきました。しかしながらそれも行き詰まって、結局投資信託というものがいま非常にもうからなくなって、配当ができなくなって、行き詰まりにきておるということは御承知のとおりなんですね。あれは株の値段のつり上げですね。そしてまたその資金源に使われておった。そういうふうな非常に証券界における不徳義な役割りを果たしてまいった、私はこう思っています。得をしたのは証券会社で、損をしたのは一般の大衆投資家だ、そういうような意味においては、もう投資信託制度というものは非常に不徳義な、詐欺みたいなものであった、こういうように私は理解しておる。それが行き詰まったから、その行き詰まりを今度は土地に持ってきた。土地は投機の対象にしてはならぬということは、これは土地政策の鉄則です。その鉄則のある土地政策の中へそのような投機的な機関を持ち込まれて、しかも投機的な事業の対象に土地を提供しよう、こういうふうな政策を持ち込まれたということは非常に大きな間違いである、また地価安定という点から考えれば、これは非常に危険な政策である、こういうふうに私は理解しておる。だから、これはもう一度大臣のほうで考え直していただきたい。市街地開発に関する資金源というようにお考えになる限りにおいては、私は賛成でございます。私個人——党のほうではどういうことになってまいるか知りませんが、私は反対ではございません。賛成でございます。しかしながら、宅地開発にこれを利用しようなどということをお考えになるとするなれば、私はこれはすなおに受け取るわけにいかない。だから、そういう法案をお出しになっても、必ず建設委員会で相当難航するということを覚悟していただかなければならぬ。だから、私もこれからもう一度勉強いたしますけれども、こういう着想というものは、ほかにも幾らでも打つ手はある。ほかにも幾らでも打つ手があるのを、何もより好んで、こんな土地を投機の対象にするというような考え方を土地政策の中に持ち込まれるということは断じて許さるべきでない。だから、大臣のほうでもう一度考え直していただいて、ひとつ今度の新政策は、われわれがあまり反対しなくてもすなおに協力できるような政策を出していただくようにお願いいたしたいと思います。  これは、お答えいただければ……。
  72. 小山長規

    小山国務大臣 いま岡本先生の言われました証券投資には弊害があったのです。それは、創立のそもそものときに、配当に充てるのは、キャピタル・ゲインとインカム・ゲインと両方配当してよろしいということにした。ですからキャピタル・ゲインをふやすために市価の高騰という問題が起こったわけです。しかし、それは非常によくないということで、最近はキャピタル・ゲインの配当基準は幾らでなければならぬというふうに新しくきめました。同じように、この不動産投資信託の場合にも、キャピタル・ゲインの配当基準というものをよほど強く押えておかなければ、おっしゃるような問題が起こります。そこで、たとえば最終処分価格について——最終処分価格が結局問題なんですから、これが解散するとき−不動産投資信託が募集されて、そうして配当して、最後に元本を返す時期がきますね。そのときにおける最終価格、これが問題になると思うのです。この点は法律上十分な準備をしますが、いまおっしゃるような御懸念がないようにしなければなりません。それは結局監督の問題ですけれども、そういう点はむろん十分に考えてやりますが、これはまだ構想段階であって、法律案の精細なところまでまだやっておるわけじゃありませんから、おっしゃるような危惧の点を含めながら、いろいろ検討してみたい、こう思っております。
  73. 岡本隆一

    岡本委員 これは監督の問題というよりも、むしろ事業の性格の問題であると私は思います。とにかくいまそうでなくても信託会社であるとかその他の不動産会社が非常に宅地開発をやって、大きな宣伝をやって、非常に宅地ブームを巻き起こしておる。土地をいまのうち買っておかなければ、何ぼでも上がりますよ、土地は下がることを知らないんだというふうな印象を植えつけることに一生懸命で、その上に立って、ああいうふうな土地開発業というものが成り立っておるというのが現状です。とにかくいまは、ある程度、五十万とか百万あるいはそれ以上まとまった金を持っておらなければ土地に対する投資ができない。ところが、今度はたとえ一万でも五万でも、土地に対する投資ができるというところに、いわば投資信託という制度の妙味といえば妙味があるわけですね。そういうことになってまいりますと、信託会社は、これ宣伝という調子で、土地信託はとにかくもうかりますよ、土地は何ぼでも上がりますよ、こういうふうな宣伝をどんどんやることによって、初めて投資信託会社というものが商売が成り立つ。だから土地ブームをどんどんこれから一そう強化するというふうなのが投資信託会社というものの性格です。だからそういうふうな制度をつくれば、勢いやりますよ。やれば、幾ら片一方で供給しても、それはどんどんいわゆる架空需要をつくり出すだけであって、勢いそれは地価安定策にはならない、こう私は思います。きょうは時間もないそうでございますし、議論はもう一ぺんあらためて次の機会にさしていただくことにいたしておきまして、私は、建設大臣の来年度に対する基本施策を見て、これは困ったものが出てきた、これだけはひとつ何とか阻止しなければならぬ、こういうふうな考えを持ちましたので、あらかじめそのことをあなたに申し上げておいて、御再考を促しておきたい、こういうことでございますから、ひとつその点御勘案願いたいと思います。  以上で質問を終わります。
  74. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 吉田賢一君。
  75. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、きょうは汚職粛正の問題は質疑しないことにしておったのですが、すでに委員会で発言になりました以上は、どうしても一言聞いておかなければならぬと思います。  これはやはり政治の根本に触れる重要なことでございますので、たとえば省内におきましても、おそらくはいろいろと議論が出ただろうと思います。国民心配することは、そういったことが常識になっておるのじゃないだろうかということが一つと、それから、新聞は四日、五日と連続掲載いたしましたし、閣議でも首相の発言があったことだし、さらに全官庁に向かって通達も出されておる、こういうことを見ると、実際建設省というのは何だろうという大きな不安が起こってくると思うのです。もう一つは、たとえば道路予算にいたしましても、四兆一千億というような膨大な、実は国民の税金を使う計画があるわけです。そういった前に、建設省というものは業者となれ合って選挙資金をつくるところだろうか、こういうふうに、もし中途はんぱな判断を国民が一知半解でするとしましたら、これは全く世道人心に及ぼす影響はきわめて重大であります。あなたは大臣就任早々このような不祥事件で陳弁しなければならぬというのは全くお気の毒に思います。思いますが、やはり権力を持っておる行政府の人が、思うことならざるはなしということになれば、これは国民は議会と政治と政府に対する不信以外何ものもない。そういうところから、やはり思想の一つの混乱も生じましょうし、社会的な緊張の原因をなすわけであります。そういうことになろうと思いますから、したがいまして、この問題については、単なる陳謝、釈明、くさいものにふたという態度でなしに、やはり泣いて馬謖を切るというくらいな心境を持って、そして今後一切末端に至るまでこのような事件が再発しないというだけの万全の対策を講じる必要があるのじゃないだろうか。そうしなかったら、建設行政というところへ、やはり需要供給の関係がありますから、何か関係づけるというと、そこへ利益があると集まってきます。ハエがたかってきます。ハエがたかってくるのは、どっちが原因かわかりませんけれども、しかし、いずれにしましても、事は国政に影響するきわめて重大なことであります。どんなような対策をおとりになっておるのかどうか、これをはっきりいたしまして、全国民に対して、建設省の名誉を維持する、日本の行政の名誉を維持する、今後続発することをなくして、やはり政治の筋を通すということについて、厳正な態度を持って、私はこの委員会に発言をしておかなくちゃいかぬ。でき得べくんば、私は、総理大臣が、このことにつきまして一番関心の重大な委員会でありますから、ここにおきまして、国民の代表に何らかの御発言があってしかるべきだとさえ思っておったのです。こういうような角度から申し上げまするので、きょうは一言でよろしゅうございますから、どのような所信で臨もうとせられるのか、大臣のひとつはっきりしたところを伺っておきたいと思います。
  76. 小山長規

    小山国務大臣 綱紀の粛正ということは、いろんな角度から考えなければなりませんが、要するに私情を差しはさんでいろいろなことをやることが一番いけないことでありますから、事務機構も私情を差しはさむ余地のないような事務機構にしていく。一例を申し上げますと、いま、建設業者の指名制度というものがありますが、一人でそれができるということになりますと、これは当然私情を差しはさむ余地が出てまいりますから、数人の人が厳密な基準のもとに指名をやっていくとか、そういったような、一例でありますけれども、私情をもって公のことをやらない、こういうことを機構の上に厳正に打ち立てていかなければならぬということ、それからもう一つは、官吏たる者公正でなければならぬ。これは先ほど申し上げたことを含めるわけですが、公正であること、また同時に親切であること、この辺から綱紀を振粛して、いささかでも建設省自体の信用が害されることがないように、これは私は始終強調しておりまするし、また地方にまいりましたときにも、職員に向かってそういう話をしておるわけでございます。
  77. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は行政自体はまことにけっこうなお心がまえで、それでよいと思います。ただ問題は、行政自体でなしに、伝うるところによれば、行政ではない事実が今度の事実らしいですね。行政でない事実にまで権力の一つの余波が及ぶというようなこと、これがやはりまた行政をゆがめていくのではないだろうか、こういうことを心配するのであります。やはり省内におきまして、おそらくはこのようなことはまことに不快なことで困る、こういうような御意向なり、こういうお心がまえの方が多いと私は信じます。信じますけれども、行政そのものはそれでいいのですが、そうではなしに、このようなこと自体は、やはり何といっても、省及び行政あるいは個人その他の関係者、何もかもみなが信用失墜であります。だから小さなこととせずに、このようなことにどう対処するかということは、いまおっしゃるお心がまえの基準とか扱い方とか、それはいいのですけれども、それ自身ではないと思う。もっと原因は十分に究明しなければならぬ面があるのではないかと思います。でありまするので、大臣といたしまして、いまのこと以外に、相当はっきりとした御方針をひとつ打ち出して、上は次官から、下は末端の現場の人に至りますまで、ほんとうに国民への奉仕者として尊敬されるべき職務にある人として、私は名誉を保持していく対策が、この際あなた自身、自分のこととしておやりくださらぬといけまい、こう思います。私は、これがほんとうの災いを転じて福となす道でもあると思いますから……。
  78. 小山長規

    小山国務大臣 むろん、私自身がそういう気持ちを確立しており、そして身をもってこれを職員に示す、こういう方針でやることは間違いありません。そのことは、したがってひいて私自身の心がまえのとおり、職員も動いてもらう、こういうことで万事を進めていきたい、こう思っております。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと時間の関係もありますから、これはその程度におきます。私が伺いたい点は、これも他の連合審査の時間もございますので、できるだけ要点にまとめまして、ひとつ御質問してみたい、こう思うのであります。  きょう伺いました所信表明によりまして、去年十一月に策定を見ました国土建設基本構想というものを基礎にして、今後各般の施策を行なわれていくということが大体の大綱である、こう承りました。そこで私は、先般来、前の国会以来、たとえば土地収用法その他の法律案の審査に関与いたしましていろいろと感じました点、あるいはまた幾多の質疑応答等にあらわれました点にかんがみまして、最近わが国における国土開発あるいは国土建設というものが、日本といたしましても全く新しい試みでありましただけに、問題が続出するような感じがどうもいたします。やはりうしろから、結論からこれを観察いたしますと、最近ようやくクローズアップしてまいりました社会開発の面が非常に立ちおくれておる。この点について、総合的な施策の立て方ということについて大きな柱を打ち立てるというふうにしなければ、この国土建設基本構想なるものを私も全文読ましていただきましたが、やはり社会開発の面は足りません。それは、住宅政策とかあるいは交通問題も、だんだん御指摘になっております。公害問題もお扱いになっておりますけれども、しかし、たとえば開発一つの経済機構の変動が伴いつつあります。たとえば一次産業の没落であるとか、あるいはその他の中小二次産業の問題にしましても、あるいはまた労働の構成につきましても、就労関係はこれまた激変しつつありますおりから、人口構成並びにその年齢層の変動がようやく一つの峠に来ようとしておるときでありまするので、こういうところからくる就労の事情というものもまた激変しております。こんな背景のもとに進められていくのですが、そこで幾多のこのような起こるべき問題に対する、また当然予想しなくてはならぬ問題に対する配慮が、この基本構想では十分じゃないと私は見ております。  そこで伺いたい点は、もっと社会開発の面を大きく出しまして、そして地域開発と社会開発はともに総合いたしまして全きを期するというたてまえをいたしませんと、事実進行しないんじゃないかと思うんです。たとえば、いま私が指摘しました二、三の点にしましても、現実の地域の住民の生活を縛っておる各般の問題があります。そうすると、何だおれたちの生活を奪いにくるような開発は反対だ、こういうことになってくることは必至だと思うのです。漁業者の問題にしたって、あるいは百姓の問題にしたって、土地をとられる、漁場をなくしてしまう。中小企業にしたって、大企業が進出して自分たちの営業の場をとっていく。いろいろなものを独占的に製造もしていく、こういうことになりまして、どの場もこの場も、およそ経済発展とか経済構造の面はぐっとのし上がって、国の開発のうしろだてによってのし上がっていく、大企業中心で、じゅうりんされていく、こういう観すら呈します。そこでそれをなくするというために、摩擦を少なくして達成するにはどうしたらいいのかというと、やはりいま言われておりまする社会開発の面をもっと十全を期するということに万全の対策を立てていかなければならぬのじゃないか。いわゆる国土開発基本構想は、思想的に系統的に見まして、これは断片的に出てはおりますけれども、この点について二本の柱ということになってはおりません。でありますから、新しくそういうふうな構想で打ち立てるということが有終の美をなすゆえんではないだろうか。せっかく建設大臣として御就任になりましたのですから、この重大な国家的な使命の達成に向かって進んでいかれようとするのですから、問題が起これば直ちにこれを改定いたしまして、そして大きな二本の柱とするというようなことに改定されまして、二本の柱として総合されなくてはならぬ、こう思います。この点についてどういうふうにお考えになりますか。
  80. 小山長規

    小山国務大臣 社会開発ということばをどういうふうな内容としてお使いになっておるかわかりませんが、おっしゃるとおりに、ただ国土開発をやっていけばいい、そうして道路をつくっていけばいい、河川をつくっていけばいいという考え方だけではいけないことはおっしゃるとおりであります。したがって、これは政府全体の問題として、総合的な見地から、一体民生はどうするのだとか、あるいは産業構造の変転に伴う労働の移動の問題はどうするのだとか、あるいは構造自体、中小企業なら中小企業を一体どういうふうに持っていくのかというようなことは、これは、国全体の責任において確立していくべきであります。そういう問題を取り扱っておるのが経済企画庁なんでありますが、そういうところで二十年後の日本は一体どうなるのだ、あるいはそんなに長い先のことではなしに、十年後には一体日本の諸産業、そういうものはどう配置されるのか、われわれのほうの国土建設基本構想というものも、それをバックにして出てくるわけでありますから、われわれのほうの基本構想というものは、ですから一部が出ておるという形にならざるを得ない、そういうふうな考え方であります。
  81. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私が社会開発と申し上げまするのは、これは観念的に対比をいたしますると、やはり経済開発に対する社会開発、こういうふうに見たら正しいのではないかと思います。経済開発は、工業を中心といたしまして、その他の諸産業を主として開発の対象にしていく。社会開発になりますと、都市とか農村とかあるいは住宅、交通とか、保健医療とか、公衆衛生とかあるいは環境衛生とか、社会福祉、教育、そのようなもの全体を総合する部面だろう、こういうふうに考えております。これは六一年の国連の総会におきましても、御承知のとおり重大な決議もいたしております。国連の総会におきましても、社会開発におきましてはまた経済開発と相伴って、世界的に各国にそれぞれとおのおのの別の体型も持っておりますから、社会制度、経済制度の違った国々もおのおのの体型に基づいて、できるだけ充実した開発をしなければいけない、これらのことを考慮しなければいくまいということで、これは国連の総会におきましても決議もしておるわけでありますから、世界的な今世紀における最大の課題の一つではないかというふうに思っております。そういう意味におきまして、私は常識的に申し上げておるのであります。  そこで、たとえば大体の構想はわかるのでありまするけれども、特に立ちおくれておりまする面は、やはり主として厚生省所管になるかと思います。文部省所管になるかと思います。さきに申しました、たとえば保健衛生とかあるいは医療とか社会福祉は、主として厚生省所管でありましょう。最近、厚生大臣も相当の決意をなすっておられるらしい。しかし同時にまた、私どもは行政全体が——建設省とは言いませんが、行政全体が、人材が中央に集約されております。たとえば非常にりっぱな人がりっぱな業績をあげておられると思うと、中央へ進出してくる。これを世間は出世と称しております。したがいまして、人材が中央に集中しております。地方は、失礼でありますけれども、やはりもうひとつというふうになるおそれがあります。この原因は、やはり日本の官僚思想、官尊民卑思想の一つの遺物じゃないかと考えております。同時にまた、現実にはやはり地方におきましての生活の不便、それから待遇のよくないこと、それからその他将来における見通し——見通しといいますか、生活その他地位等についても、中央ほど持続し得ない危険も伴っております。また子供ができましても、中年以後になりますと大学にやるのも不便だ、東京におれば、そこらに大学がころがっておる、こういうことも伴うのでしょうが、いずれにいたしましても、地方の公務員よりも中央の公務員のほうが上位にあるような一つ考えがありますので、こういう考え方から見ますると、人材を地方に配置する、人材を地方に分散する。国の最大の使命である国土開発であるから、そのにない手として地方に重要な人材を置く、うんと待遇をよくする、地位も上げる、尊敬もする、そうして事実上その人が生涯打ち込んで遺憾のないだけの仕事をさす、こういうような仕組みが実はいまありません。体制がないです。そういうような点が重要と思います。たとえば、私はあるときに文部大臣と問答したのですが、大学といっても数知れないほどある。ある一流の商社の入社試験を受けたところが、君の大学はと聞かれて、何とかのいなかの大学だと言ったら、そんな大学があるのかと言われまして、実は恥をかいた、憤慨したという話があるのです。事ほどさように地方は人材が乏しい。こういう点もありますので、私はやはり——これは文教の問題でありますけれども、学校教育の配置等についても、これは開発建設に伴う重要な施策である。こういうふうに考えていきますと、これはかなり総合的なものにならなければいけない。  もう一つは、だんだん問題になりますのは、やはり財政の不均衡であります。つまり地域格差の問題であります。中央におきます一億円という金はたいしたことではありませんけれども、いなかで一億円なんていったら財政の重大問題です。そういうことになりますので、財政負担の能力の地域格差の問題もありますので、こういうような点も総合いたしますと、私は、この基本構想で述べられておる住宅問題もけっこう、道路もありがたいし、あるいはまた、河川下水道もそれぞれと重要施策には間違いありませんけれども、やはり地域開発国土開発という総合的見地に立ちますと、それ自体がもっと視野を広げた総合的な施策、総合的な審議あるいは対策の立て方、こういうものが必要じゃないだろうか。もっと進んでいきましたならば、やはりしかるべき中央の行政機関がそういったものをつくる必要があるのではないか。むしろ建設大臣がイニシアチブをとってそういうふうにしていくことが、日本の国土総合開発建設一つのあり方じゃないだろうか、こういうふうにも思うのであります。もちろんそれには自治省の関係もずいぶんあります。こういうことでありますから、ばらばらになっておりまするものは、悪くしますと、一つの日本の弊害であるセクト主義になるおそれがあります。進むべくして進まない、力のバランスがとれていないから一そうそういうことを結果する。こういうことになりますので、私はやはり総合的に対策を立てるというふうにして、いまのような社会開発というものをずっと大きく重視いたしまして、そして均斉のとれた開発、発展を期するということが国土建設のほんとうのねらいである。それに施策を合わせていくということにしなくてはいかぬのじゃないか。たとえばここに住宅問題があります。第一、住宅については中堅階層勤労者住宅を持たすとあります。中堅階層もそうでありますけれども、これはやはり低所得者のために住宅を確保することが切実なんです。中堅階層は一そう安楽に住宅を持てる。それも大事なんですけれども、低所得者のための住宅問題というのはきわめて重大です。こういうこともありますので、私はやはりそこは総合した、もっと社会開発の角度から政策をお立てになる必要があろう、こう思いますので、ひとつこの点についての大臣のしっかりした御所見を伺って、いずれまた各般の問題についてはあらためて伺いますが、きょうは最初の問答でありますので、重要な施策についての御決意を、かかる観点から伺っておきたい、こう思うのであります。
  82. 小山長規

    小山国務大臣 一々おっしゃるとおりでありまして、総合的な観点から国としての施策を講じておいて、それは各省が所管に応じてその目的に向かって施策を講じていく。これはいままでそうであったろうし、これからもそうすべきであると思います。  同時にまた、地方にその権力を分散したらどうだという考え方、おっしゃるとおりでありまして、農林省がちょうど農政局をつくってやりましたように、建設省も地方建設局に相当な人材を配置して、同時にその行政も本省までわざわざあげなくても、地方でできるような権限の分譲をしようという考え方で進んでおったのですが、不幸にしてこの間の国会を通っておりませんけれども、そういう面もひとつ御協力を得て、これは大いに進めたい、こう思います。  それからまた、ちょっと誤解があるといけませんから申し上げておきますが、いまの中堅階層住宅問題は、従来住宅公庫でやっておった融資の制度が実情に合わない。特にサラリーマン階級の場合には実情に合わないという点を改め、——そして、それを拡大しようというのでありまして、公営住宅やその他の低所得者に対する住宅政策をこの際カットしようとか、これを現状維持程度にしようという考えは毛頭ありません。当然そういうものは伸ばしていくという前提のもとに、立てておるということだけ申し上げておきます。
  83. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これで結論づけますから……。  大臣、それは私がひとりしゃべっておった感があるので誤解もありましたが、誤解は一々ここで解くという方法でなしに、結論を伺いたいのです。  私は、いろいろと以上述べましたような事情が伴う開発の諸問題がありますので、建設大臣がやはり一つのイニシアチブをおとりになって、それがいいか悪いか存じませんが、国務大臣として発議になって、そして日本の重大な国策遂行の上の一つの方法といたしましては、厚生省なりあるいは文部省なりあるいは自治省なり、またこれは企画庁の一部所管になるかと思いますが、実施官庁としてはそういうような各官庁にお誘いかけになりまして、そして国土の総合開発という観点に立って、相当な内容を有機的に盛った施策を立てる、こういうふうにせられてはいかがであろうか。なるほど文部大臣も、なるべく東京ではなしに学園都市をつくって、そして地方に優秀な大学を持ちたいという御意向もあるようです。ですが、私の申し上げるのは、開発と相伴いまして、そのような人材をつくる教育機関もあり、あるいはまた開発と相伴いまして民間人も入れまして、たとえば企業にしましても、自分たちのもうけるためだけではなしに、積極的に開発協力します、あるいはまた地域にいたしましても、地域団体自身も、土地の買い取りでゴネ得ということでなしに、やはり開発協力する、こういうふうにいろいろな力を総合するために、中央における行政機関が——せっかくの建設省所管事項の中心になっておるのだから、そこでそれらにひとつ呼びかけて、総合的に施策を立てていく、こういうふうにすることがほんとうじゃないだろうか。そればなるほど首都圏整備法とか、それから近畿圏の開発計画などわかりますけれども、やはり私の申し上げますのは、社会開発というものをもっと大きく打ち立てまして、それの総合のもとに、さらに各方面から検討していく、これが必要じゃないだろうか。そうしないと、ばらばらになるとアンバランスだし、なかなか二人三脚のようになって、いかない。ことに地方地方におきまして力がこんなになっておりますから、そんな案を持ってこられても、こちらは力がありませんというようなことになっては、時間もとかく予定どおり進んでいかぬというおそれがある。そのようなことをせられてはどうか、こういうのが私の結論でございますので、その点はいかがでございましょうか。
  84. 小山長規

    小山国務大臣 つまり、たとえば学校などばこういうふうに少し分散されたらどうか、それについてはわれわれのほうはこういうことを協力しましょうというふうな考え方で進め、というような御意思のようでありますが、そういうような方向にわれわれのほうも考え方を統一して、ばらばらに思いつきの話をしましてもなかなか実現性がありませんから、そういうふうな考え方を統合するような研究もし、調査もしまして、そしてあるいは企画庁に呼びかけ、あるいは閣議に呼びかける、そういう考え方でいこうとすることについては、先生のお考え方と同じです。
  85. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる九月十一日金曜日、午後一時から理事会、午後一時十分から委員会を開会することといたします。  なお、先刻決定いたしました地方行政委員会との連合審査会は 第一委員室で開会いたしておりますので、御出席願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十分散会