○吉田(賢)
委員 私が社会
開発と申し上げまするのは、これは観念的に対比をいたしますると、やはり経済
開発に対する社会
開発、こういうふうに見たら正しいのではないかと思います。経済
開発は、工業を中心といたしまして、その他の諸
産業を主として
開発の対象にしていく。社会
開発になりますと、都市とか農村とかあるいは
住宅、交通とか、保健医療とか、公衆衛生とかあるいは環境衛生とか、社会福祉、教育、そのようなもの全体を総合する部面だろう、こういうふうに
考えております。これは六一年の国連の総会におきましても、御承知のとおり重大な決議もいたしております。国連の総会におきましても、社会
開発におきましてはまた経済
開発と相伴って、世界的に各国にそれぞれとおのおのの別の体型も持っておりますから、社会
制度、経済
制度の違った国々もおのおのの体型に基づいて、できるだけ
充実した
開発をしなければいけない、これらのことを考慮しなければいくまいということで、これは国連の総会におきましても決議もしておるわけでありますから、世界的な今世紀における最大の課題の
一つではないかというふうに思っております。そういう意味におきまして、私は常識的に申し上げておるのであります。
そこで、たとえば大体の
構想はわかるのでありまするけれ
ども、特に立ちおくれておりまする面は、やはり主として厚生省所管になるかと思います。文部省所管になるかと思います。さきに申しました、たとえば保健衛生とかあるいは医療とか社会福祉は、主として厚生省所管でありましょう。最近、厚生
大臣も相当の決意をなすっておられるらしい。しかし同時にまた、私
どもは行政全体が
——建設省とは言いませんが、行政全体が、人材が中央に集約されております。たとえば非常にりっぱな人がりっぱな業績をあげておられると思うと、中央へ進出してくる。これを世間は出世と称しております。したがいまして、人材が中央に集中しております。
地方は、失礼でありますけれ
ども、やはりもうひとつというふうになるおそれがあります。この原因は、やはり日本の官僚思想、官尊民卑思想の
一つの遺物じゃないかと
考えております。同時にまた、現実にはやはり
地方におきましての
生活の不便、それから待遇のよくないこと、それからその他将来における
見通しも
——見通しといいますか、
生活その他地位等についても、中央ほど持続し得ない危険も伴っております。また子供ができましても、中年以後になりますと大学にやるのも不便だ、東京におれば、そこらに大学がころがっておる、こういうことも伴うのでしょうが、いずれにいたしましても、
地方の公務員よりも中央の公務員のほうが上位にあるような
一つの
考えがありますので、こういう
考え方から見ますると、人材を
地方に配置する、人材を
地方に分散する。国の最大の使命である
国土開発であるから、そのにない手として
地方に重要な人材を置く、うんと待遇をよくする、地位も上げる、尊敬もする、そうして事実上その人が生涯打ち込んで遺憾のないだけの
仕事をさす、こういうような仕組みが実はいまありません。体制がないです。そういうような点が重要と思います。たとえば、私はあるときに文部
大臣と問答したのですが、大学といっても数知れないほどある。ある一流の商社の入社試験を受けたところが、君の大学はと聞かれて、何とかのいなかの大学だと言ったら、そんな大学があるのかと言われまして、実は恥をかいた、憤慨したという話があるのです。事ほどさように
地方は人材が乏しい。こういう点もありますので、私はやはり
——これは文教の問題でありますけれ
ども、学校教育の配置等についても、これは
開発、
建設に伴う重要な
施策である。こういうふうに
考えていきますと、これはかなり総合的なものにならなければいけない。
もう
一つは、だんだん問題になりますのは、やはり財政の不均衡であります。つまり
地域格差の問題であります。中央におきます一億円という金はたいしたことではありませんけれ
ども、いなかで一億円なんていったら財政の重大問題です。そういうことになりますので、財政負担の能力の
地域格差の問題もありますので、こういうような点も総合いたしますと、私は、この
基本構想で述べられておる
住宅問題もけっこう、
道路もありがたいし、あるいはまた、
河川も
下水道もそれぞれと重要
施策には間違いありませんけれ
ども、やはり
地域開発、
国土開発という総合的見地に立ちますと、それ自体がもっと視野を広げた総合的な
施策、総合的な審議あるいは対策の立て方、こういうものが必要じゃないだろうか。もっと進んでいきましたならば、やはりしかるべき中央の行政機関がそういったものをつくる必要があるのではないか。むしろ
建設大臣がイニシアチブをとってそういうふうにしていくことが、日本の
国土総合
開発、
建設の
一つのあり方じゃないだろうか、こういうふうにも思うのであります。もちろんそれには自治省の
関係もずいぶんあります。こういうことでありますから、ばらばらになっておりまするものは、悪くしますと、
一つの日本の弊害であるセクト主義になるおそれがあります。進むべくして進まない、力のバランスがとれていないから一そうそういうことを結果する。こういうことになりますので、私はやはり総合的に対策を立てるというふうにして、いまのような社会
開発というものをずっと大きく重視いたしまして、そして均斉のとれた
開発、発展を期するということが
国土建設のほんとうのねらいである。それに
施策を合わせていくということにしなくてはいかぬのじゃないか。たとえばここに
住宅問題があります。第一、
住宅については
中堅階層の
勤労者に
住宅を持たすとあります。
中堅階層もそうでありますけれ
ども、これはやはり低所得者のために
住宅を確保することが切実なんです。
中堅階層は一そう安楽に
住宅を持てる。それも大事なんですけれ
ども、低所得者のための
住宅問題というのはきわめて重大です。こういうこともありますので、私はやはりそこは総合した、もっと社会
開発の角度から政策をお立てになる必要があろう、こう思いますので、ひとつこの点についての
大臣のしっかりした御所見を伺って、いずれまた各般の問題についてはあらためて伺いますが、きょうは
最初の問答でありますので、重要な
施策についての御決意を、かかる観点から伺っておきたい、こう思うのであります。