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1964-07-13 第46回国会 衆議院 建設委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月十三日(月曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君    理事 服部 安司君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 岡本 隆一君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    木部 佳昭君       木村 武雄君    正示啓次郎君       高橋  等君    中村 梅吉君       堀内 一雄君    堀川 恭平君       松澤 雄藏君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    金丸 徳重君       久保田鶴松君    西宮  弘君       玉置 一徳君  委員外出席者         総理府技官         (首都圏整備委         員会事務局長) 小西 則良君         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建設事務官         (河川局次長) 国宗 正義君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 六月二十七日  委員大倉三郎辞任につき、その補欠として佐  藤孝行君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐藤孝行辞任につき、その補欠として大  倉三郎君が議長指名委員に選任された。 七月三日  委員木部佳昭辞任につき、その補欠として田  村元君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として稻  富稜人君が議長指名委員に選任された。 同日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として玉  置一徳君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員大倉三郎君及び木村武雄辞任につき、そ  の補欠として高橋等君及び木部佳昭君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員木部佳昭君及び高橋等辞任につき、その  補欠として木村武雄君及び大倉三郎君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十五日  一、国土計画に関する件  二、地方計画に関する件  三、都市計画に関する件  四、河川に関する件  五、道路に関する件  六、住宅に関する件  七、建築に関する件  八、建設行政基本施策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。   〔委員長退席廣瀬委員長代理着席
  3. 岡本隆一

    岡本委員 この六月の初めごろに、多摩川河川敷住宅公団団地をつくるという計画新聞発表されております。さらにまた、六月の十五日には、住宅公団が三万六千戸を建てるというところの本年度計画発表されております。住宅公団発表されている計画を見ますると、新規事業の中には詳細なことが出ておりませんので、新聞記事範囲よりわからないのでございますけれども、新聞記事範囲では、この多摩川団地計画が入っておらないのでございます。しかしながら、建設省では、多摩川団地本年度から建設を始めるのだ、まず本年度は数百戸建てるというふうな計画発表しておられるのでございますが、その計画は一体どの程度進んでおりますのか、その辺をまず承りたいと思います。
  4. 鴨田宗一

    鴨田説明員 なかなかむずかしい御質問でありますので、いま責任者が来るまで、ちょっとお待ち願いたいと思います。
  5. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長代理 それでは、しばらくお待ち願います。——前田住宅局長
  6. 前田光嘉

    前田説明員 多摩川堤防住宅公団住宅建設するということでございまして、目下のところ基礎等につきまして調査をいたしております。本年度は二千戸を建設する計画で、準備を進めております。
  7. 岡本隆一

    岡本委員 本年度二千戸ということでございますが、住宅公団は、ことしは三万六千戸建てることになっております。その三万六千戸についての新計画を六月の十五日に発表しておられますが、その発表の中には、多摩川団地というのが入っておらない。この住宅公団が十五日に発表しておる本年度計画と、建設省発表しておられる多摩川団地計画とはそごしておるように思うのでございますが、含まれておるのですか。
  8. 前田光嘉

    前田説明員 本年度賃貸住宅二万四千戸のうちの二千戸でございまして、公団発表の中に含まれております。
  9. 岡本隆一

    岡本委員 そういたしますと、それはもう計画としては決定済みでございますか。
  10. 前田光嘉

    前田説明員 計画としては、決定済みでございます。
  11. 岡本隆一

    岡本委員 しかしながら、あそこは緑地帯ということに指定されておるように思うのでございますが、都市局長にお伺いいたしますけれども、あそこは公園緑地ということに指定されておるというふうに承っておるのでございますが、それはいつ指定されておるのか。そしてまたどういう性格のものとして指定されておるのか、そしてそれがいつ解除されたのか、その辺のことを承りたいと思います。
  12. 鶴海良一郎

    鶴海説明員 多摩川沿いの地帯の施設でございますが、緑地及び緑地地域、この二つの施設が定められておりまして、緑地につきましては、東京都側の洪水敷全部でございます。昭和三十二年十二月に決定になっております。川崎側につきましては、緑地につきまして、問題になります場所には決定されておりません。  それから緑地地域でございますが、これは堤防道路の中心から北側東京都側でございますが、北側に、昭和二十三年の七月に決定になっております。まだ住宅団地設計がきまりませんので、緑地地域にかかるような設計になりますかどうかはまだ明らかではございませんが、いままで伺っておる範囲では、東京都側に決定されております緑地、これにはかかるであろうというふうに推定されます。この緑地と申しますのは、公園に類似した性質のものでございまして、施設としての緑地でございます。先ほど申し上げました緑地地域、これは施設としての緑地ではございませんで、建築の規制をやるという意味緑地地域でございます。
  13. 岡本隆一

    岡本委員 いずれにいたしましても、それが緑地帯もしくは緑地地域というふうなことに指定されておりますと、これは都市計画法に基づいたものではないかと思います。そういたしますと、都市計画審議会の議を経なければ、それの解除ができない、こういうことになると思いますが、そうではございませんか。
  14. 鶴海良一郎

    鶴海説明員 緑地地域緑地も、いずれも都市計画審議会の議を経まして、都市計画として決定いたしております。したがいまして、これを解除するという場合には、いずれも審議会に付議しなければならないというふうになっております。
  15. 岡本隆一

    岡本委員 そうしますと、都市計画審議会の議を経て緑地解除決定するということにならなければ、住宅を建てるということは不可能である、そういうふうに思うのでございますが、いかがですか。
  16. 鶴海良一郎

    鶴海説明員 解除をいたさなければ、住宅は建てられないというふうに考えております。
  17. 岡本隆一

    岡本委員 ところで、都市計画審議会に名を連ねておる人たち、あるいはまたそういう問題に非常に関心を持っておられる多くの人々が、連名、連署をもちまして、多摩川団地計画には反対だというふうなことをわれわれのほうへ申し出てきておる。したがいまして、こういう多くの人たち反対をしておる、学識経験者と見られる、しかも自然美を愛し、また東京の都市問題について非常に強い関心を持っておられる多くの人たちが、ことに、たとえば、東京大学の教授の内田祥三さんであるとか、あるいは工藤昭四郎さんであるとか、あるいは都市計画協会の飯沼一省さん、これは宅地審議会の会長もしておられます、また東京都市計画地方審議会委員をしておられる近藤さんであるとか、そういうふうに非常にその方面に強い関心と情熱を持っておられると見られる人たち連署をもって、われわれのとこへ、この多摩川河川敷団地化することには反対である、こういう声明を出しておられる。したがって、これは簡単には、都市計画審議会の議を、団地をつくることに賛成だというふうにまとめるということは困難に思われる。だから、そういうふうな見通しがあるにかかわらず、なお本年度計画を、二千戸建てるのだ、こういうふうに住宅局長は言明されますが、そのことを可能だと思っておられるのかどうか。またこういうふうな計画というものは、本年度計画決定するのにあたっては、あらかじめその審議会の議を経て、緑地であるということを解除して、その後に計画として決定するというのが私は筋道であろうと思う。都市計画審議会がきめもしない先に、いやもうことしは二千戸あそこに建てます、こういうふうなことを建設省で御決定になるということは行き過ぎではないか、またもう一つ言いますならば、都市計画審議会というものを全く無視しておられる、こういうことにもなると私は思うのです。民主的なこういう審議会の制度がありながら、その議を経ないうちに、しかもその委員をしておられる多くの人たち反対をしておられる、こういうふうな段階において、いやもうあそこは二千戸建てるという計画決定いたしております、こういうような御答弁はいかがかと思うのでございますが、これは非常に大きな政治的な問題でございますので、政務次官から御答弁願いたいと思います。ほんとうにおやりになる気かどうか、もう一度都市計画審議会の議を経て、それらの人たちの十分な了解の上に立って、おやりになるというのなら話はわかりますが、都市計画審議会において何らまだ結論が出ておらないという段階において、本年度建設計画をきめているのだ、住宅公団のその三万六千戸の計画の中にはもう組み込まれておるのだ、こういうふうなことをいま住宅局長は御答弁になりましたが、これは非常に軽率な御答弁である、こういうふうに思うのでございますが、いかがでしょう。
  18. 鴨田宗一

    鴨田説明員 ただいまの御質問でございますけれども、確かに岡本委員の言われますとおり、審議会のメンバーの有力な方々が、これに対しまして反対的な強い意見を持っておられるということも重々存じておりますし、もちろん建設省といたしましては、審議会方々に御納得のいくようなこれからの工作も必要であろう、こう考えまして、ただいま局長のほうから、計画といたしましては決定はしておりますけれども、これはいざ実行ということになりますと、いろいろな条件が加わってくるのじゃないか、こういうふうに考えておりますので、でき得る限り、われわれといたしましては、審議会の御納得のいくような線でいきたい、こう考えておるのであります。
  19. 岡本隆一

    岡本委員 先に計画決定して、それから審議会了解を求めるというふうなことになりますと、これは悪く解釈すると、圧力をかけて押し切るのだ、こういうふうな意味に解釈できないこともない。あなたのほうで、建設省でやりたいと思うということなら、まず内意を聞き、そして審議会の議を経て建てればいいので、住宅公団としては、それでは、多摩川に二千戸建てなければ本年度住宅計画を消化できないのですか。それとも公団は、すでにあちこちに土地を開発いたしておりますが、私はこのお話が出てまいったのはまことに唐突なような感じがいたします。こういうふうな唐突なことでなければ——公団としては年度計画を立てておると思うのです。だから年度計画を立てて、公団としては、その年度計画に応じてある程度その用地開発は進んでおると思うのです。しかも唐突としてこんなものが出てきて、ここへ建てるのだというふうなことを無理に強行しなければ、ことし三万六千戸消化できないのかどうか、住宅局長からもう一度御答弁願いたいのです。
  20. 前田光嘉

    前田説明員 この多摩川堤防に建てる住宅につきましては、かねてから計画いたしておりまして、特に本年の年度当初から研究を進めておりました。住宅公団といたしましては、いま先生の御指摘のように、次年度以降用地の手当てをかなりやっておりますので、この二千戸につきましては、ここにもしかりに建てられなくなりましても、本年度事業には他のところに建てることができます。しかしながら、堤防の全体の総合計画及び住宅をなるべくいい場所につくろうという見地から、ここに建てるのが適当であるという判断のもとに、ここに建てることを提案いたしておるわけでございます。
  21. 岡本隆一

    岡本委員 これは審議会の議を経て、まず十分な了解の上でやっていただきたいと思うのですが、同時に、これは河川敷を使用することになるわけです。少なくとも堤防の上に家を建てるのだ、こういうことになりますと、堤防というものは河川施設でございます。河川局にお伺いをいたしますが、一体こういうふうな堤防の上に家を建てる、河川施設の上へ——まあこれは共用施設になるけれども、こんなことは、河川局としては、私は初めての事例であろうと思うのです。またこういうことが行なわれ始めますと、将来もまたこういうことが構想として出てくるおそれもあると思うのです。こういうふうな河川施設を他の目的に転用するのには、やはり河川審議会の議を経る必要があるのじゃないか。単に建設省意向一本では、そう簡単にきめることはできないのではないか。これが現在直轄であるかもしれませんが、これはおそらくさしあたりは二級河川になるのではないか。もう数日前に新河川法が施行されましたから、これは二級河川に最初はなるのではないか。そうするとその二級河川については、それぞれの河川について審議会ができることになっております。だから、河川施設をそのようなことに使われるということになってまいりますと、都道府県河川審議会の議を経る必要がある、こういうふうに思うのでございますが、いかがでしょう。
  22. 国宗正義

    国宗説明員 多摩川住宅都市計画並びに高速道路計画と総合して考えられている計画でございますが、さように総合的に考えられ、主としては都市計画計画決定され、事業決定されて、堤防敷住宅を建て、洪水敷高速道路計画がなされる、かように総合的にきまります場合に、河川局といたしましては、河川管理支障があるかないかが問題でございまして、河川管理支障がない、かように考えますがゆえに、住宅部分につきましては、河川部分からはずしまして、洪水疎通支障ないように措置するつもりでございます。  なお、河川審議会にかけるかどうかでございますが、法律上は、河川審議会にかけることを必ずしも要求されるものではないと考えております。  なお、多摩川一級になるか二級になるかは、いまのところ全然見込みを立てておりません。
  23. 岡本隆一

    岡本委員 それでは大体の見通しを承りますが、多摩川一級河川になりそうなんですか、それとも二級河川になるのですか。大体の見通しくらいわからぬなんというようなことは——いよいよ河川法が実施されているのに、これはなるほど政令できまるものですが、そしてそれも河川審議会の議を経てきめるのですが、しかしながらもう建設省の腹はきまっているはずです。ことに次長がそんなことについて、いまさらまだ何ともわかりません、そんなことは私はおっしゃれないと思う。大体どういうような方針だ。多摩川はなるほど三都二県にまたがっております。山梨県に源を発して、そして神奈川県と東京都の間を流れておる。県境を流れておる。だから一級河川。そういう三都二県にまたがり、三都二県に影響があるというふうな意味においては、これは当然一級河川になるべき性格のものである。しかしながら流量であるとか、あるいはまた規模であるとかいうことになってまいりますと、河川としてはそう大きなものではございません。私ども、こういう場合にその解釈に苦しむのでございますが、一級河川、二級河川をきめる指定基準というものは何にもない政令できめることだけしか新河川法ではきめられておらない。そういうことになれば、この多摩川というものは、やはり一方的な建設省の認定に基づいて、あなたのほうから、大臣の考え方に従って、審議会に、いかがいたしましょうということで原案を出されたら、おそらくそれがそのままきまっていくのではないか、こういうふうに思う。そうすると、こういうような多摩川のような河川はまだほかにもたくさんございます。二府県県境になっておる、また上流の一部が他の県にもまたがっておる、三県に——これは三都二県に関係のある川でありますが、こういうふうに多くの県に関係のあるものは、ことごとく一級河川になるのか、一級にされるのか、あるいはその規模に応じてやはりしんしゃくされるのか、こういうようなことは、大体方針が当然すでにきまっておらなければならないと思うのです。いまとなって、いよいよ実施されて、これから政令を一日も早く出さなければ管理できないのです。管理の主体をはっきりきめねばならない時期、すでにもう政令ができておらなければならない段階であると思うんですね。これは一体どうなるのですか。
  24. 国宗正義

    国宗説明員 一級河川指定並びに指定基準につきましては、第四十六回国会で、大臣からもたびたび御答弁申し上げたところでございますが、河川審議会にはかり、都道府県知事意見を聞いた上で、国土保全上、国民経済上特に重要な河川指定されるわけでございます。具体の作業といたしましては、すでに御指摘のように、七月の十日に河川法が施行され、それの準備のために審議会の規則が定められたわけでございまして、早急に作業いたさなくてはなりませんが、まだ具体には、多摩川がどうなるかということにつきましては決定されておりません。申し上げられる段階ではないと思います。  なお、一級河川になりましても二級河川に相なりましても、いま問題の堤防住宅洪水敷道路というのは、社会的に非常に重要なことでございますが、河川管理上は、特に洪水疎通について無害であるかどうか、その点の検討は十分いたしました結果、洪水疎通上には支障はないと考えておるわけでございます。
  25. 岡本隆一

    岡本委員 そうすると、一級河川になれば国が管理する。しかし二級河川になるとすれば、これは県境にあるのですが、だれが管理するのですか、どういうふうな形で管理するのですか。
  26. 国宗正義

    国宗説明員 二府県に、あるいは二府県以上にまたがる河川は、おおむね国民経済上、国土保全上も重要なものであり、今回特に重要として指定されますれば、これは一級河川と相なりますので、問題ございませんが、二級河川になる、あるいは一級河川になるまでの間二級河川の場合はどうかという点につきましては、それぞれ関係都道府県が自分の地域内を管理いたしまして、特に境界にかかる部分につきまして、協議して別に管理方法を定める。すなわち、たとえば、一つの県に管理をまかすという方法をとらない限りは、それぞれの区域内を、それぞれの管理者管理いたすことに相なるわけであります。
  27. 岡本隆一

    岡本委員 そうなってまいりますと、ますますもって複雑になってくるのです。これは両岸に建てるんだ、また道路も両側の河川敷につくるんだということになってまいりますと、これがもし二級河川になると、片一方については東京都、片側については神奈川県、こういうようなことになって、管理者も変わってくる。それぞれの思惑とそれぞれの意見がある。その思惑意見を調整するということについて相当の日がかかるかと思う。また、そういうような管理者意向がきまらなければ、いかに建設大臣といえども、ここに家を建てるんだ、住宅を建てるんだ、道路をつくるんだ、こういうわけにはいかないと思う。同時にまた、それぞれの府県には審議会もございますが、その議も経なければならない、こういうようになりますと、いま建設省住宅を建てようとなさいましても、これはもう本年度内にはとてもそんなものは簡単には決定できないと思う。ことに有力な、そういうような都市計画の問題について、強い関心としかも該博な経験、知識を持っておられる人たちが強固に反対しておられる。また、新聞なんかもこれに反対しておるということになりますと、本年度計画の中に繰り込んでも実質的には消化できない。そんなふうな消化困難な見通しもあるというようなものを本年度計画の中に入れなくても、来年度あるいは再来年度に繰り延べて、本年度としては、ここは一応計画を立てて、本年度は、三万六千戸は一応多摩川団地を計算の中に入れないで計画を進めていく。その間に、だんだん世論を聞き、また、各関係府県意見も聞き、同時に都市計画審議会その他の意見も聞いて、しかる後に、これを住宅建設用地とするかしないかということをおきめになる、これが建設省としては穏当なとるべき道じゃないか。これは賛否いろいろあるでしょう。いろいろあるが、強固に、ことし建てるのだ、こういうように建設省が言い切って進められるということは、あまりにも民意を無視したものであり、いろいろできておる機関というものをも軽視したものでもあり、むしろ私はこういうようなことを強引に押し進められようとするならば、これは河野さんに大きなきずがつく。なるほど着想はなかなかおもしろい着想もいろいろ出されます。しかしながら、着想、思いつきの中には、時にはあるいは当を失したものもある場合もある。そういう場合にそれを補佐されるのが政務次官です。大臣が言ったら、何でもかんでもみなうのみだというようなことでは、これは大臣を補佐される政務次官なり、あるいは各局長として、その補佐の任務に当たられる方々にとって、その職務を十分尽くされたものとは思わないだからこういう点については、外部にもいろいろな反対意見もあるし、国会の中にもまた強固な反対意見を持っておる者もあるということを大臣に伝えていただいて、この点についてはもう一度慎重に考慮していただくように、あなたから大臣によくお話ししていただきたいのですが、いかがでしょう。
  28. 鴨田宗一

    鴨田説明員 ただいまの御質問でありますけれども、御承知のとおり、大臣、非常に建設意欲のたくましい大臣でございまして、御承知のとおり次々に新しい企図を実は発表いたしまして、大体いままでそれが実現をしております。今回の多摩川堤塘敷地に対する住宅建設につきましても、先ほど私、冒頭お答えいたしましたとおり、いろいろな難関はございますが、これを一つ一つ切り開いていくというところに、また建設の妙味もございまするし、私といたしましては、岡本委員の御意見大臣に率直に伝えまして、そうしてでき得る限りこのいろいろな諸条件を切り開いていけるように、万一——もちろんこれは時は相当かかるだろうと思いますので、計画としてこれをひとつ樹立いたしまして、この実行につきましては、いろいろの問題が出てくるのじゃないか、こう考えておりまするので、ひとつ大臣に、岡本委員意向十分お伝えを申し上げたいと思っております。
  29. 岡本隆一

    岡本委員 休会中のなにでございますから、それじゃ簡単に承っておきたいと思いますが、この多摩川の計面高水量——私は数日前現地を見てまいりました。相当広大なものでございます。あの計画高水量をおきめになったのはいつか。そしてあれだけの計画高水量をおきめになったということは、やはり過去においてあれだけの大洪水があったということを意味していると思うのです。ところがそこへ自動車道をつくる。これは自動車道をつくるということになりますと、相当洪水疎通を阻害いたします。いま次長は、いや、別に洪水疎通を阻害するおそれはない、心配ない、こういうような御意見でございますが、その辺の、一体計画高水量がどれくらいであって、それはいつごろきめたものであり、それがいかなる要因によって、それじゃそういうふうな施設をその中に入れても洪水疎通を阻害しないというふうな結論を持たれるのか、その辺を少し御説明願いたいと思います。
  30. 国宗正義

    国宗説明員 多摩川計画高水量につきましては、特に水害が過去において甚大でございましたところの明治四十三年の洪水を対象といたしまして、浅川の合流点より下流で毎秒四千百七十立方メートル、一万五千立方尺と定めまして、この計画に基づきまして、下流、二子玉川上流測点二十キロ以下の下流は大正七年から着手し、昭和八年に完了し、ただいま維持区域となっております。上流につきましては、日野橋までの間につきまして、昭和七年より着工、いま直轄河川改修事業を実施中でございます。その後計画高水量の改定は行なっておりません。なお、この計画高水量に基づいて河川改修を実施いたしましたが、最近における多摩川の河状から申しまして、当初計画よりも河床が、改修工事の結果あるいはダムの設置、砂利採取等の原因をもちまして、相当低下いたしておりますので、洪水疎通能力は当初の計画よりも相当高くなっていると考えますが、目下計画高水量につきましては検討中でございます。なお、既往の洪水といたしまして、明治四十三年のほかに、昭和十三年、昭和十六年、昭和二十二年にそれぞれ大洪水がございましたが、いずれも無害に洪水疎通いたしております。  さらに、お話しの高速道路計画によりまして、計画高水量が減少し、疎通を妨げるのではないかという点につきましては、ただいま検討されております高速道路計画につきましては、現に運動場などに使用されておる洪水敷を、現状において平面的に利用しようとするものでございますので、また予定の区域は川幅も相当広く、幅約四百メートルから五百メートルも広い区域でございますので、特に支障はないと考えております。
  31. 岡本隆一

    岡本委員 平面的に使用するとおっしゃいますけれども、しかしながらインターチェンジがあるでしょう。インターチェンジはやはり橋梁の近くで上がらなければならぬ。そうすると、橋梁というものがそもそも河川にとってはいわば一つの狭窄部です。橋脚があり、あるいはやはり橋、構造物をつくるために、幾ぶん川幅を狭めております。そこへ今度は斜めに取りつくところの上がりの道路をつくらなければならぬ。これは相当洪水の流通を阻害すると思う。なるほど中央の平坦部においてはそういうことはございません。しかしながら、一番洪水が狭められて激流になってくる、こういうところにおいて、このインターチェンジで、それぞれの高速道路もしくは国道と取りつけられる。そういうことになると、何ら影響がないなどというようなことを、私はすなおに受け取ることはできません。だからそういうふうな構造物をつくる場合に、四千百七十立方メートルというところの洪水量が何ぼまで減るのか。そうしてそういうことが減ってもあなたのほうはいいのか、差しつかえないというふうな見通しを持っておられるのか、ということがまず第一点。まずそれからひとつ……。
  32. 国宗正義

    国宗説明員 御指摘のように、ただいま計画されております高速道路には、東名道路、第三京浜、第二京浜等にインターチェンジを取りつける予定になっております。さような場所につきましては、洪水疎通に何ら支障を来たさないように、橋梁にするなり、その他、洪水疎通支障のない工法を採用しますとかいたしまして、洪水疎通には支障ないようにいたす予定でございます。  なお、先ほど、検討中と申しましたが、洪水疎通能力は過去の実績からいたしまして、計画の高水量よりは一、二割は少なくとも疎通能力はあるものと考えております。
  33. 岡本隆一

    岡本委員 それじゃどういう工法があるのですか。どうしても斜めに橋梁のところで取りつけなければならぬ。だから、下にあったものが上へ上がっていって、上の道路に取りつくのには担当ずっと盛り上げるような、これはかりに土盛りでされなくても、スラブを組んで構造物をおつくりになっても、ここの流れを阻害するということでは同じです。だから私は、これは取りつけ部分においては相当洪水疎通を阻害する、常識的にそう判断せざるを得ないということが一つです。  それから、もう一つは、昭和になってから十三年、十六年、二十二年と三回大洪水があった。だから今後もやはりこういうふうな洪水がある、なきにしもあらずである。なるほど最近、ここ十数年洪水がないしかしながら災害というものは忘れたころに出てくるというのが言われるとおりでご言ざいまして、いま、九州を盛んに襲っておるような梅雨前線によるところの集中豪雨、ああいうものが、いつ関東平野に常襲的にやってこないとも限らない小河内ダムが一ぱいになっておる。小河内ダムが一ぱいになっておるところへ、ああいうふうな集中豪雨がまた重ねて来るというようなことが、これはないということは断言できないと思うのです。現在のような小河内ダムで、いまのような状態であると、下手なところへ水源地のダムをつくったものだなというふうなことも言えるかもしれません。しかしながら、天候というものは人為ではどうにもならないもので、いつどういうふうな形で雲行きが変わるとも限らない。かつても利根川には大洪水がございました。関東にも大洪水があった。集中豪雨のあった例もあるのです。だから、たとえばつゆどきに相当降って、小河内にためておかなければいかぬと思ってためておいた、今度また期せずして二度重なって集中豪雨があったというようなときには、小河内ダムはもうそれ以上の湛水能力がないから、そのときの洪水は全部はき出さざるを得ない、こういうことになってまいりますと、これはやはり多摩川といえども、相当な洪水をのむだけの用意をしておかなければいけない。だからせっかくいまあれだけつくられておるところの洪水敷を、いまここ十数年無事だからといって、すぐ安易に考えて、洪水容量を減らすような構造物をつくるというふうなことをされるということは、これは私は非常に軽率なことであると思うのです。もしあなた方がどうしてもそういうふうななにが必要というなら、いまあの堤防の少し上に道路がございますが、あの横のところへ一本ずつ二車線程度の高速道路を、いま三宅坂の辺につくっておられるような一本足の道路をつくって、道路交通を処理するという意味でなら、あの堤防の横へもう一本道路をとるということは必ずしも——ことに堤防の外側の斜面、のりを利用して、あそこの堤防敷道路敷に利用するというふうなことくらいは、私は不可能じゃないと思う。むしろ洪水を阻害するというふうな策をおとりになるということは、国の河川管理を担当していられる一番中枢部におられるあなた方が、われわれの常識ですら、そんなむちゃなと思えるようなことをあえてされる、そういうふうな結論をお出しになるということは、私から見ると、少しおしかりを受けるかもしれませんが、やはり権威に対して弱いやはりあなた方は大臣の補佐をしていられる、同時にまた、官僚としてそれだけの権威を持ち、自信をお持ちにならなければいかぬと思うのです。だから、そういうふうな意見大臣から出ましても、大臣、そういう思いつきは河川管理上いけませんよ、私たちは賛成するわけにまいりません、これくらいのきぜんたる態度をあなた方はどうして持っていただけないのか、また、それくらいの自信と権威を持って河川管理に当たっていただかないと、河川管理上もそういうことは困る、私はこういうふうに思うのでございますが、これ以上は議論になると思う。しかしながら、私どもも河川法の改正については大いに御協力したつもりです。そして、こうしてりっぱに河川法が改正された。改正されたと思ったら、すぐ河川管理上無理なと思われるような、しかもしろうとの私がおか目八目で考えて無理だと思われるような計画をすぐお出しになる。こういうことでは、国の手に河川管理をまかすわけにいかないです。だから、私はこういう点については河川局のほうでもきぜんたる態度をもって、きょうはもう時間もなんでございますから、ひとつ今後、河川管理上、私たちに十分納得できるような根拠をあげて御説明願わない限り、私は、こういうふうな河川敷自動車道路をつくるというふうなことについては、賛成するわけにまいりません。この点については、私は今後の委員会でも皆さん方とよく相談して、場合によっては、委員会の決議まで持っていきたいと思う。もし大臣が強行されるというなら、国会のほうでは反対の意思表明をいたします。私はそういうような河川管理というものには反対です。やはり洪水容量というものは大きければできるだけ大きいほうがいいのです。従来はあそこらあたりはたんぼだったが、いまはあの辺は密集した住宅地域に変わってきておる。また工場地域に変わってきておる。国民の非常に貴重な生命と財産というものは、あの両側のあの河川敷をもって守られておる。だからできるだけ安全性を大きくしなければならぬ。しかもその安全性を細めていく、弱めていくというようなことを河川管理者がなさるということには、断固として、私は河川管理の見地からも反対しなければならぬと思う。だからその辺についてはもう一度河川局のほうも、そういうことの是か非かということをひとつ真剣に御討議をされまして、またもし強行されるとするなら、私どもが納得できるだけの——こういうような施設をすれば、洪水容量はこの程度だ、阻害されるのはこの程度だというふうなはっきりした資料を私どもにちょうだいできるように、私は要望いたしておきたいと思います。  それから、今度は都市局長にお尋ねをいたします。審議会の議を経なければならぬというだけでなしに、私はあそこは防災的な見地から非常に重要なところであると思う。あそこへまいりますのに、何という通りですか、車で世田谷からずっとまいりますといまはずうっと住宅の連檐です。もうその間には何も緑地というようなものはございません。かりに新潟地震のようなものが出てまいりましたときに、ことにそれが冬の夕飯どきであったような場合、各家では暖房をたいておる。石油ストーブもこのごろ普及しておりますので、ガス・ストーブや石油ストーブをたいておる。そこに関東地震のような地震があったとすると、どんどん家が倒れます、傾きます。石油ストーブもひっくり返るでしょう。至るところから一斉に燃え上がるに違いないと思うのです。そういう場合に、住民はどこへ避難したらいいか。避難するために、何方という人たちが一斉に道路に飛び出します。それが潮のような流れになって、安全地帯を求めていくのです。おそらくあの両側の人たち多摩川に行くだろうと思う。そのときに、両側に家が立ち並んでいたら、どうして入っていくのですか。押し寄せた人たちは、わずかに残された細い道路を通じてしか入れないでしょう。入口がもう非常な混雑で、入口でおそらく人が押し合いをやって、結局踏み殺されてしまうというような惨事が起こってくると思う。火に焼けて死ぬのなら——これもやむを得ないとは言えません。それすら避けなければならぬことです。しかしながら、避難する途中で、安全な避難所を求めていくときに、その入口が狭められておったために圧死しなければならぬ、こういうような事態が起こったらどうしますか。私はああいうふうな開放された土地というものは相当残されておらなければならぬと思う。何をおいても、防災的な見地からあそこは開放されていなければならぬということをまず第一に思います。  その次には新潟地震の経験です。あの新潟地震で倒れた県営住宅、あれはやはり川のそばにございました。堤防のつい外側でございました。そうしてそれが埋め立て地の軟弱地盤であったために——それは建築技術のまずさもあったかもしれません。建築技術のまずさのために倒れたというのなら、これはやはりその建築の監督をされたところの住宅局の重大な責任であると思うのです。鉄筋コンクリートといえば、これは耐震耐火建造物、こう名づけられておるのです。その耐震耐火建造物であるべき建造物が地震で倒れておる。しかも木造住宅は倒れておらないのに、耐震構造の建物が倒れておる。このことは、私はもしそれが構造上の欠陥であるとするなれば、これは住宅局の監督上、建設大臣の重大な責任であると思う。しかしながら地盤が軟弱であったために思わぬ結果を来たした、しかしながらそれも地盤調査が十分でなかったという点において責められてもしかたがないしかしながら初めての経験だ、こういうことであるならそれもやむを得ません。しかしながら、今度は一たんそういう経験を持っておる。そういう経験を持っておるのに、しかも河川のそばの軟弱な地盤にそういう細長い建造物を建てる。むしろ私は、通風採光の問題があるにしても、これからの公団住宅というものは耐震の安全性をはかるためには、少なくともアングルにするか、あるいはコの字型にするか、そういうような形で、やはり耐震上のことも考慮しなければならぬ。まるでせんべいを横に立てたような今日の公団住宅というものは、耐震上ああいう経験を持った以上、われわれ地震国日本である以上、問題であると思う。だから、今後住宅公団の建物については、単に通風採光だけのことを考えずに、やはり耐震上の見地というものを持たなければいけないだから星型でもいいでしょう。星型ならなるほどいまの、何といいますか、一列に並んでいる住宅よりはましでしょう。だからやはり耐震的な見地から、その構造を再検討されるべきだと思う。にもかかわらず、新潟地震の経験を持ちながら、なおかつ軟弱地盤で、しかも新潟で倒れたと同じような構造の住宅を建てられる。なるほどピアを打つからだいじょうぶだ、こう言われるかもしれない。しかしながら、ピアというものをところどころに打ち込むだけでどれだけの安全性を保障できるものか、そういう点もあなた方に御考慮願わなければならぬと思う。私はしろうとでございます。しかししろうとが見て、やはりこれは無理だと思えるようなことは、よほどの計算と配慮の上でなければ、それを打ち消すだけの十分な根拠をもって御説明願わなければ、そういうようなことには賛成するわけにはいかないし、またおか目八目の意見というものもやはり尊重していただかなければならぬと思う。  だから、この二つの見地から、まずこの防災的な見地から、新潟地震のような地震が起こった場合、ことにかつての関東大震災のようなものが起こった場合の避難場所というふうな点でどうしてもああいうところが要るということ、単に風致だけの問題でないと思います。風致上の見地からずいぶん反対意見も出ております。確かにそのとおりです。緑地帯を残さなければなりません、住民のいこいの場所ですから、残さなければならぬ。しかし私はより以上防災的な見地から、どうしてもあそこは残していただくべきである、また防災的な見地から、あそこへああいうふうな一列にずらっと並べるような住宅建設はまずい、こういうふうな二点で、再考をしていただくようにお願いしたいと思うのですが、局長の御意向を承っておきたいと思います。都市局長住宅局長から、承っておきたいと思います。
  34. 鶴海良一郎

    鶴海説明員 非常災害時におきます避難場所の確保につきましては、先生のおっしゃること、まことにごもっともでございまして、われわれもそのように考えております。多摩川堤防住宅を建てます場合でも、洪水敷一面に建てるわけではございませんで、住宅を建てます場所を除きましたところにつきましては、公に使えます公園なり緑地として確保したいと考えておる次第でございまして、平素から一般の国民が利用できるような姿に持っていきたい、公園に入る入口等につきましても、相当の幅をとるというふうなことも考えております。  なお、多摩川沿いに建てます建築物の耐震性につきましては、住宅局長のほうから答弁願います。
  35. 前田光嘉

    前田説明員 川岸の住宅、特に新潟におきまして埋め立て地に建てた建物が、特殊な地盤等の関係で、転倒もしくは傾斜しましたことは、わが国の建築技術上思いがけなかったことでございまして、目下その原因及び今後の建築基準につきまして、各界の権威者を集めまして、地盤及び建築構造という点で研究をいたしております。もちろん、今後建てますところの耐震耐火建築物につきましては、その先生方の御意見を十分尊重しまして、決して心配のないものにするつもりでございます。多摩川堤防につきましても、特にその地盤等につきましては目下慎重に調査いたしておりまして、心配のないものにした上で建築するつもりでございます。
  36. 岡本隆一

    岡本委員 まあ心配のないものにして防災上も安全にして建てたい、こういうふうな御答弁ですが、そういうことであると、私たちはあなた方の政策の怠慢というものを攻撃せんならぬ。特に土地代が安くつくから、土地の入手価格が要らないから、これだけの理由じゃないですか。あそこへどうしても住宅を建てなければならぬという理由は何もないむしろあれを緑地にして開放しておいたほうが住民ははるかに喜ぶ。これはもうほとんどすべての人の意見です。あそこへ住宅をどうしてもほしいという意見がどこかにあるなら、そういう意見を吐いておる人があるなら、教えてください。そういう意見を吐いている人は一人もないのです。ただ政府としては、住宅対策の上から、土地の費用が安くつくからあそこに建てたい、これだけのことです。また道路にしても、道路用地に金がかかるから、安上がりなあそこに道路をつくりたい、これだけのことです。これは一文惜みの百失いということばがあるが、わずかなそんな用地費用の節約のために将来非常な禍根を残すことが百年の歴史の後には出てくるかもしれないと思うのです。私は、政治家として、そのようなことをなさるべきではないと思うのです。大臣にされましても、政務次官にされましてもです。やはり政治というものは百年、二百年の大計のために行なわれる。たとえて言えば、外国の都市の構造を見てみなさい。非常に公共用地が広くとられております。パリにしましても、凱旋門を中心にして、一部住宅がございますが、その周辺にはずっと広いところの、自動車で十分か十五分くらい走らなければならぬような、何というか名前は忘れましたが、森がある、緑地がある。その周辺にまた都市があります。非常に緑地というものを大切にしておる。日本の東京にはそれがないしかも緑地をどんどんつぶしておる。これはまた別な機会に議論したいと思いますが、せっかく首都圏整備の計画をきめても、もう緑地帯の方式をやめて、五十キロ以内の総合調整をやる、首都圏計画を手直しするのだというふうなことを首都圏整備委員会は発表しておる。せっかく首都圏整備の方針がきまって、りっぱな計画を立てたのに、十年たたずして、しかもそれが法律的な裏づけがなかったために、どんどんと蚕食をされて、どうにもならなくなったから手直しした、こういうことなんであります。計画が誤っておったから手直しだということじゃないのです。十分な裏づけができておらなかったから、手直しをせざるを得ぬようになってしまったから、手直しをするのだ、こういうばかなことを、せっかく首都圏整備法まできめて、首都圏整備計画まで立てておきながら、もうその計画の手直しをやらなければならぬ、これは日本の政治の貧困です。政府に実行力がないのです。それであるのに、いままたせっかく残されておる緑地帯をつぶそうなんて、こういうことをされるということは、これは国家百年の計から見て、非常な間違いであると私は思うのです。これはまたいずれ臨時国会でも開かれましたら、もう一度この問題は、私ども皆さん方と真剣な討議をして、それで何らかの解決の方法を見出したいと思いますが、それまでは絶対に手をつけてもらっては困る。このことを特にお願いしておきまして、私はきょうの質問を終わります。
  37. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる八月十日月曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、これにて解散いたします。    午後零時散会