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1964-06-03 第46回国会 衆議院 建設委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月三日(水曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君    理事 服部 安司君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 岡本 隆一君    理事 兒玉 末男君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    大倉 三郎君       木部 佳昭君    正示啓次郎君       堀内 一雄君    堀川 恭平君       松澤 雄藏君    山本 幸雄君       渡辺 栄一君    井谷 正吉君       金丸 徳重君    西宮  弘君       原   茂君    山崎 始男君       玉置 一徳君    吉田 賢一君  出席政府委員         総理府事務官         (近畿圏整備本         部次長)    八巻淳之輔君         総理府技官         (首都圏整備委         員会事務局長) 谷藤 正三君         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設技官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         議     員 瀬戸山三男君         自治事務官         (財政局地方債         課長)     立田 清士君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 六月一日  建設省矢作川、豊橋両工事事務所統廃合反対  に関する請願伊藤よし子紹介)(第四一四  四号)同外二件(横山利秋紹介)(第四二六  二号)  杉並区内車両制限令延期等に関する請願(岡  崎英城紹介)(第四一五二号)  労働者住宅建設促進法制定に関する請願(大原  亨君紹介)(第四一五三号)  宅地建物取引業法改悪反対に関する請願外四  件(井岡大治紹介)(第四二〇二号)  同外十二件(栗山礼行紹介)(第四二四二  号)  川越市及び狭山市における日本住宅公団工業  住宅団地造成事業に関する請願松山千惠子君  紹介)(第四二七二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  奥地等産業開発道路整備臨時措置法案瀬戸山  三男君外七十名提出衆法第四九号)  首都圏既成市街地における工業等制限に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一六七号)  近畿圏既成都市区域における工場等制限に  関する法律案内閣提出第一六八号)  近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備  及び開発に関する法律案内閣提出第一六九  号)      ————◇—————
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  奥地等産業開発道路整備臨時措置法案議題とし、審査を進めます。  質疑を続行いたします。西宮弘君。
  3. 西宮弘

    西宮委員 ただいま提案されておりますこの法案に関しまして、若干お尋ねをしたいと思うのでありますが、特に既存のと申しますか、あるいは現行のと申しますか、そういう現在行なわれております法律との関連について、そういう点を主として伺いたいと思うのであります。  まず第一は、縦貫高速自動車道路のあの法律との関係でありますが、ただいま御提案になっておりまするこの法案が出る過程、沿革におきましては、いわゆる産業開発道路協会、こういう団体がありまして、これを推進していったことは御承知のとおりですし、当時にさかのぼってみますと、片やこの産業開発道路協会、片や縦貫自動車道協会、こういうことで二つが並列をいたしまして、片や通産省、片や建設省、あるいは片や八田嘉明、片や後藤文夫、こういう人がおのおのキャップにすえられて、二つがお互いに争った、と言っては語弊があると思いますけれども、とにかくそれぞれの主張を続けて国民にアピールしてきた。それがようやく実を結んで、あるいは縦貫道路にしても、あるいは今回の御提案法案にいたしましても、今日ようやくそれが実を結んできた、こういう状態にあると思うのでありますが、そこで第一にお尋ねをいたしたいのは、縦貫自動車道路法案は、すでに政府提案として決定をしておるわけであります。今回のこちらのほうは、いわゆる従来の産業開発道路に該当するこの法案、もちろん、この前、提案者であります瀬戸山委員も言われておりましたように、必ずしもこれに直接関連はないんだ、こういう説明をしておられるので、何も従来の産業開発道路協会考え方そのものがイコールであるとはもとより私も思っておりません。しかし、それにいたしましても、沿革的にはそういう長い歴史をたどって今日に至ってきたわけであります。そういうことを考えると、一方は政府提案提案をされ、他方は議員提案で出た、こういうのはどういう点に違いがあったのか、まず第一点として伺いたいのであります。
  4. 瀬戸山三男

    瀬戸山議員 国土開発縦貫自動車道の問題、あるいは奥地産業道路開発の問題、大体、道行きはいま西宮委員からお話しになったように、むしろ政府といいますか、直接道路行政に関与しておる国の機関がこれを推進したということでないことは、いまお話しの経過であろうと思います。それで、一体国土開発縦貫自動車道関係法案政府提案でいたしたが、この奥地等産業開発道路整備促進に関するものは議員提案にしたのはどうだ、これは、私どもはこういうように考えております。御承知のように、縦貫自動車道の問題も、道路政策の基本的な問題についてのそういう構想は、これは政府側から出たものではありません。法律が成立いたしましたのは昭和三十二年のことであったと思いますが、これは全く民間と申しますか、議会側が推進をした。そうしてあの法案が成立した。それに基づいて、政府責任を持って調査を進めて、そうしていわゆる路線指定をすべき段階になりましたから、今回は政府のほうで路線指定法案提出するのがこの法律に基づく当然の措置だ、こういうふうな関係政府提案になった、かように私ども了解をいたしております。そこで、この法律も、本来ならば、私は政府提出するのが適当であろう、こういうような感じを持っておりますけれども、しかし、なかなか道路政策についての新機軸と申しますか、新しい構想ということは、残念ながら、従来の行政と申しますか、従来のしきたりに基づく人々の考えでは、新しい機軸を出すということは、必ずしも政府部内で簡単に統一意見が出ない、こういう事情西宮委員も御了解になると思います。そういうことで、私どもは、こういう新しい構想を出すのは、むしろ議員のほうから積極的にやるべきだ、それでなければなかなか問題の解決に入ってこない、こういう考え議員提案をいたしておりますので、御了承を願いたいと思います。
  5. 西宮弘

    西宮委員 私は、そういう新しい構想議員提案提案をするということはもちろんけっこうであり、あるいはまたこれが正しい行き方だとも考えますが、議員提案であるからこの法案が軽いというような考えは決して持っておりません。ことに瀬戸山議員の御提案でありますから、政府案以上に強力なものだと私どもも信頼をいたしておるわけでありますが、そういう点で大いに将来に期待を寄せるわけでありますが、ただ、それにいたしましても、世間では何となく、議員提案でありますと、政府が確信がないんじゃないかというふうに思う場合が少なくないと思うのであります。  そこで、政府当局に一言だけ伺いたいと思いますが、いま提案者も言われましたように、本来ならば政府提案するのが正しいと思う、しかしいろいろな関係で、そういう新しい構想政府に求めるということが実際問題として困難なので、われわれが出した、こういう御説明であったわけでありますが、政府は一応政府としての全体的な立場から、日本国土を、日本の国の道路をどうするという全体計画を当然に持っておるはずであります。そこへ、いわば突然別な構想が混入してくるということは、そういう理屈だけからいえば、一つの体系を生み出される、こういうことにもならないわけでもないと思う。しかし、むしろそれが政府政策を補強する結果になるんだ、こういうふうにおそらく御答弁されるだろうと思うけれども、とにかく政府としては、一応国全体としての計画があるわけでありますから、そういう立場から考えてみて、これをどう評価されるのか、あるいは、さらにまたそういう立場からいって、いまの提案者の御説明されたように、実は本来ならば政府がやるべきことなんだけれども、これこれの理由でやれなかったんだ、こういう事情であるならば、これはきわめて明快だと思うのでありますが、その辺の事情をちょっとお漏らし願いたいと思います。
  6. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 建設省といたしましては、奥地産業開発道路につきましては、かねてからそういう御要望があることを承知いたしております。先日委員会でも申しましたように、三十八年度におきましても三億三千万、また三十九年度においても四億三千万、これに相当する道路事業考えておるわけでございます。この新しい法案の話がありましたときに、この方法については−私どもはもちろん賛成でございますので、その手段といたしまして、特に法律を要しない予算を特によけいつけるという方法でいけるのではないかということが一つ。それからまた法律にいたしましても、道路法に根拠を置きましてこれをやるという方法もあることも一つでございました。それから別途新しく法律をつくる、こういう考え方もありました。三段階方法があったわけでございますが、大蔵省ともいろいろ相談をしながら三十九年度の予算折衝をしましたら、そういう目的は同じでございますが、手段としてこういうような法律を出すということについては、遺憾ながら予算段階においては話がまとまらなかったということでございまして、今回法律が出ますれば、私どもといたしましては、その目的についてはかねてから同意しておったものでありますから、これを尊重いたしまして推進したい、こういうふうに考えております。
  7. 西宮弘

    西宮委員 ただいまの御答弁だと、いわば予算獲得技術としてこのほうがより好都合なんだ、こういう御答弁のようでありますが、それではお尋ねをいたしますが、これはいわゆる四兆一千億の今年度のワク外に新たに出た問題でありますから、当然それは別な予算として、新たに予算が追加されるべきものだともちろん思いますが、それならば、どの程度予算をこれに充当できる見通しがあるのか伺いたいと思います。
  8. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 四兆一千億との関係は、これは道路整備法の全体計画でございますから、こういう新しい措置法が出ましても、当然そのワクの中であることは変わりございません。ただ、三十九年度はすでに予算措置が行なわれておりますので、四十年度からの予算措置として、こういう法案制定を見ますれば、その上において新しく考えるべきであろうと思います。  これについて今後どのくらい見るかというお話でございますが、これも先般の当委員会で御答弁申し上げましたとおり、この路線指定するために必要な地域の指定その他のことにつきましてまだ検討中でございまして、どのくらいになるかはっきりした数字を申し上げる段階に至っておりませんが、先ほど申し上げましたように、昨年度あるいは今年度見ておりましたものよりも格段の増加をはからなければならぬということだけは考えておる次第でございます。
  9. 西宮弘

    西宮委員 私ちょっと聞き漏らしたと言いますか、よくわからなかったのでありますが、四兆一千億のワク内ではあるのでしょう。
  10. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ワク内でございます。ワクの中でございます。
  11. 西宮弘

    西宮委員 もし四兆一千億のワク内ということであれば、さっき局長の言われた、予算獲得技術として有効なんだ、予算獲得方法として、適当なんだという説明にはならないと思うのです。もし奥地道路開発するという必要性を感ずるならば、大蔵省の与える予算が同額ならば、その中で当然そういう構想は十分生かせるはずだ、それはどういうわけなんですか。
  12. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ワクの中の分配の問題と考えております。すなわち、この法案にございますように、補助率のアップというようなことがございますから、そういう事業に対してどれだけワクを与えるのか、そういうことになりますと、やはり財政当局としてはいろいろ立場がございます。こういう特殊法律があったほうが、やはりより強力なそういうワク獲得に役立つだろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  13. 西宮弘

    西宮委員 そうすると、こういうふうに理解すべきですか、提案者も言っておられますように、従来の道路政策大都市中心であるとか、あるいは国道偏重であるとか、こういうきらいがあるのでこれを是正しなければならぬ、こういうことを提案者も言っておられる。また私どもも実はそのように考える、その点は全くわれわれも同感でありますが、そういうふうに述べておられる。そうすると、いまの計画が、そういうふうにたとえば大都市偏重というような実態にあるために、それを是正する、こういうことに役立つ、こういうことですか。
  14. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ワクでございますから、そういう場合もあり得ると思いますが、ただそれだけではないと思います。大都市以外の地方における分配の問題もあろうと考えます。大都市地方という、それだけの問題ではないと思いますが、大いに関係はあると思います。
  15. 西宮弘

    西宮委員 もし提案者が申しておられるように、大都市偏重である、あるいは国道に偏重しておる、そういうのを是正しなければならぬということは、私もさっき申し上げたように、同感なんです。たとえば三十九年度の予算で見ましても、国道が一級、二級合わせて一千七百十四億、それに対しまして地方道は、主要地方道で三百七十億、一般地方道が四百二十三億、市町村道が二百三十六億、こういう点から見ても、いわゆる大都市に傾き過ぎている、あるいはまた国道重点が置かれ過ぎている、こういうことは私も痛感をしておるわけです。ですから、提案者が言われているような実態ができることをわれわれも念願をいたしているわけです。しかしそれならば、それは四兆一千億のワクの中でやる問題である、そしてそれが正しいのだという局長の判断ならば、これは四兆一千億の予算を組む際に、あるいはまた三十九年度の予算を組む際に、当然政府として決定すべきものである。私は、それでは、この法律を待ってそれにいわば便乗するというようなやり方は、政府としては少し無責任だと思う、いかがですか。
  16. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 三十九年度につきましては、すでにいろいろ過程を経ましてきまった問題でございますので、いまどうするというわけにまいりませんが、五カ年計画につきまして、また来たるべき四十年度の予算につきましては、これから考える問題でございまして、当然こういった一つ措置背景といたしまして、新たに配分を考えていくべきである、こういうふうに考えております。
  17. 西宮弘

    西宮委員 ですから、私がお尋ねをしているのは、その四兆一千億のワクの中か外かということを聞いている。もし四兆一千億、あの計画そのものも、むろん今後の予算編成過程で近い将来に解決しなくちゃならぬ、河野大臣もこういうことを言っておられるのですから、そういう問題が当然いっか議題に上ると思うのです。それを別にして、とにかく四兆一千億というのがいまの時点においては決定をしているわけですから、それならばその中でもちろんものを考えていただかなくちゃならない。そういう際に、たとえば来年はこの法律背景にして云々というのが、依然として四兆一千億のワクの中で一つ予算を別な予算に振りかえるというだけで、いわばタコの足を食うようなもので、ワクの中での操作にしかすぎない、こういうことならばあまりたいした意味がないと私は思うし、しかもそれならば、これはそれが正しいのだというならば、当然に政府責任においてこういう案を発想すべきだと思う。私はその点どうしても理解できないのですが、もう一ぺん……。
  18. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ワクの中であることは、再三申し上げますように変わりはございません。ワクの中でございますが、この法律政府で出さなかった、あるいは出せなかったのは、そういう法律を要しなくともできるという他の手段をいろいろ考えたわけでございまして、財政当局ともいろいろ打ち合わせました結果、いまの方法でやれるのだということで、とりあえず、三十九年度については、そういう法律を出すことについて話がまとまらなかったわけでございます。しかし四十年以降、すなわち五カ年計画全体の問題につきましては、今後の問題でございますから、まだワクも何もきまっておりません。一級国道幾ら都市幾ら地方幾らということは何もきまっておりませんので、新たにこういう法案制定した段階において、その趣旨を尊重して組むべきである、こういうことを申し上げたわけでございます。
  19. 西宮弘

    西宮委員 それでは、政府としては、こういう法律がなくとも同じ目的を達成できるのだ、そう考えたので、この法律は出さなかったのだ、こういうことならば、全くあってもなくてもいい法律だ、こういうことになるわけですか。
  20. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 こういう法律がなくとも、やる方法はあったということを申し上げておるわけでございます。手段として、先ほど申しましたように三つぐらいあったのでございますが、政府としても、どうも財政当局が新しい法律をつくることをきらうわけでございますので、そういうような手段を、政府としては、三十九年度にあたってはとらなかったということでございます。
  21. 西宮弘

    西宮委員 もちろん、この法律議員提案でありますから、その前提でお尋ねをしておるわけでありますが、たださっきの局長答弁では、この法律ができて非常にけっこうだ、あるいはこの法律背景にして今後は予算を編成したい、こういうことでこの法律に非常な期待をかけておる。ところがいまの御答弁だと、いわばあってもなくてもいいような、そういう答弁でありますから、やはり依然として、私がさいぜん指摘したように、政府は十分の確信なりそういうものを持たないのじゃないか、それがそもそもの政府提案にならなかった理由だ、こういうふうに判断せざるを得ないので、私ば政府考え方をもっと強く確立してもらいたい、そういう立場で申し上げておるわけであります。  あまり時間がないそうでありますから、それでは次に提案者お尋ねいたしますが、この前の委員会でのいろいろな御答弁、御説明などを聞いておりまして、いささかまだはっきりいたしませんのは、この法律ででき上がる道路はどういう道路なのか、ちょっとわれわれ想像に困っておるわけです。たとえば、この前の御説明だと、町村道の場合もあるだろうし、その他いろいろな道路指定の対象にすると言われておりますが、その点、この道路というのはどの程度道路考えておられるのか。
  22. 瀬戸山三男

    瀬戸山議員 さっきの、建設省からお答えのありました問題について、私からも一言申し上げておきたいと思います。  この法律について、政府といいますか、建設省その他が熱意がないのではないか、こういうお話がありましたが、そういうことはございませんから、建設省といえども大蔵省といえども、この構想については非常な熱意を持っておりますから、その点はひとつ私からも申し上げて御了解を得ておきたいと思います。  それからもう一つ、いかなる道路を一体考えておるか。これはこの前の委員会で申し上げましたが、こういうことなんです。四兆一千億の道路計画をやりますが、これは財政道路に対する規模をどのくらいにするかということで、さしあたり三十九年度から四兆一千億にしよう、こういうことでありますから、もちろんいかなる道路といえども、この法律に基づく道路といえども、全部そのワク内でやることは、さっき建設省から答弁したとおりであります。ただ、問題は、同じ四兆一千億の中で、日本の各種の道路整備いたしますが、しばしば皆さん方からも御意見が出ますように、提案理由にも申し上げておりますように、何となく奥地等についてはないがしろとは言いませんけれども、おくれがちになる。御承知のとおりに、国道は国が多くを主管いたしまして整備を促進しておりますが、都道府県道あるいは市町村道に至りましては、都道府県及び市町村道路整備計画を立てまして、そして国にその助成について相談をする、これが現状でありますが、やはり都道府県等財政事情によって、必ずしもこういう奥地等については、情熱的に道路整備に取り組むということが、日本全国を見まして、きわめて少ない。これは多くは財政事情にあると思います。したがって、純理論的に申し上げますと、法律がなくとも、山地道路整備するということはできるわけであります。しかしながら、やはりそれには促進する意欲を持たせるために、国の助成を、この種の道路については、他の道路と比較してよけい高率助成をするのだ、したがって、こういうおくれておる地帯道路整備に、相当の力を各地方公共団体も入れるべきである、これがこの法律の大きなねらいだということを御了解願いたいと思います。  そこで、従来この法律政府から提案に至らなかったというのは、そういう高率助成——これは四分の三といたしておりますが、ということがなかなか政府の内部で、各省庁の間で話し合いがつくことが困難であるという事情でありましたから、国会の立場でその方針を明確にすべきである、こういうことで、ようやく大蔵省もその点については了解をしたといういきさつがあります。こういう次第でございますから、道路の種類がどういうことだ、これは概念的に申し上げますと、一級国道、二級国道あるいは都道府県道市町村道も入るわけであります。けれども、いま申し上げましたように、ねらいがここにありますから、一級国道、二級国道等は、現行法律でも国の負担部分が四分の三でありますから、したがって、その点がこの法律から見ますと格別なウエートがない、こういうことをこの前も申し上げたわけであります。都道府県道については三分の二でありますから、こういうところには、どうしても都道府県の状況からいって、山地に近いというところではおくれがちになるという実情であります。しかも、そういうところの道路を待望しておる日本国民も多くある。それには相当の重点を置きなさい。これはもちろんこの法律でいろいろきめておりますように、各方面の調整をして、それを指定をして、県道——多くは県道になると思います。しかし現在の制度では、御承知のとおりに、市町村道については原則として国の助成をいたしておりません。助成をいたしておりますのは、御承知のとおりに、区画整理事業都市計画事業道路について助成をしておるだけでありますから、これに言うておりますように、山地僻地等については、全然市町村道については助成の道がありません。したがって、市町村道といえども、これにかなうような、いわゆるその地帯幹線道路と目されるものについては、四分の三の助成の道を講じて道路整備をはかろう、こういうことでありますから、いかなる道路を目標にしておるかというと、多くは都道府県道、また必要によっては市町村道もこれによって整備をする、こういうことになると思っております。
  23. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 西宮君、だいぶお約束の時間が過ぎましたようですから、簡単にお願いいたします。
  24. 西宮弘

    西宮委員 それでは、もう少し、簡単にお尋ねをいたします。  私、提案者の御説明でもある程度わかりましたけれども、たとえば縦貫自動車道路の場合ならば、あれを決定することによって、どういう道路があそこは走るのだなというようなことが頭の中に描けるわけです。この場合は、そういうビジョンが頭の中に浮かんでこない、そういうことでお尋ねしたわけです。たとえば産業開発道路協会の出したものの中には、二級国道に準拠する、こういうことばを使っておるわけです。そうして、それをかりにそのとおりであるとすれば、それを見ただけで道路の大体のスケールというようなものがわかるわけです。だから私はそういう点を実はお尋ねしたかったのです。いまの御説明だと、いろいろな道路指定の対象にしておりますから、そういうふうに私がお尋ねしたのに、たとえば、幅員は何メートルだとか、そういう御答弁はできないだろうと思います。したがって、それはそれでわかったことにいたしますが、たとえば、私、もう一つぜひお尋ねしたいと思うのは、この産業開発道路が着想された当時、この団体昭和二十八年にできたはずでありますが、その当時の構想としては、できるだけ標高の高いところを縦貫する、こういうことを大きなねらいにしておったはずであります。そして、その奥地の林産資源、鉱産資源等を開発する、あるいはまた酪農の地域を設定する、あるいはまた谷を埋めてそこを突っ走ることによって、当然そこにダムができ上がる、こういうようなことで、各種の目的を持つ、いわゆる多目的道路ができるのだ、こういうことを当時構想をし、また大いにPRをした。実はわれわれもそれに大いに共鳴を感じておったのであります。そういう意味での構想は、いま提案されておる現時点においては、提案者の意図の中には入っていないのか、ついでに伺いたい。
  25. 瀬戸山三男

    瀬戸山議員 全然入っておらないとは申し上げられないと思います。万一この法律に書いてありますような、第二条にいろいろ書いておりますが、そういう場合が必要であるという地帯がありますれば、そういうこともあり得ると思いますけれども、さっきお話しになりましたように、いわゆる産業開発道路協会が最初にいろいろ構想をされた時点と、現在の時点は非常に道路整備状況が変化をしてきております。あの当時は、いわゆる国土開発縦貫自動車道というものも、話題にはなっておりましたが、さっきもお話しになりましたように、まだ具体的になっておらなかった時代で、そういう考え方も、産業開発道路協会の皆さんのほうでは、あれに類した構想もあったわけでありますから、したがって、先般の委員会でも申し上げましたように、現在すでに二級国道に編入されておる地帯等も、最初はそういうものがいわゆる産業開発道路であるというような構想で、いろいろ調査をされ、実地を見たりして、検討されておったという時代がございます。しかし、いま申し上げましたように、その後、縦貫自動車道もその他の整備構想がだんだん進んでまいりましたから、そういう幹線道路等を補う意味において、まあ当たるか当たらないかわかりませんけれども、毛細血管的な道路整備が非常におくれておる。したがって、大動脈との関連が不満足であるから、国全体の道路網としての機能を発揮するに至らない。と同時に、その地帯の住民の皆さんの福祉をはかることが解決されない。またそういう地帯の産業開発が非常におくれておる。こういうことに変わってきておると御了解願いたいと思います。
  26. 西宮弘

    西宮委員 それじゃもう一つ、この協会との関連でありますが、協会では、地図の中に太い線を描いて構想を発表しているわけですが、あれとは何も関係ないわけですか。つまり予定線です。
  27. 瀬戸山三男

    瀬戸山議員 何も関係ないというわけではございません。あの中にも、相当取り入れるべき問題点があると思います。これはこの前にも申し上げたことでありますが、第二条の三項に一号から七号まで書いておりますが、多くは協会でもこういう問題を取り上げて、道路整備は必要だということで検討されておったのでありますから、そういう問題点も相当あれに含まれております。また建設省も、あの問題点をよく検討いたしております。ただ、その後二級国道整備等が進んでまいりまして、あの中から相当はずれる部分があるということで、全面的にあのとおりではございませんけれども、取り上ぐべき問題点がたくさんある、こういう事情でございます。
  28. 西宮弘

    西宮委員 補助率を四分の三以内ということで法律にうたっておりますが、この前の委員会での御答弁で、それを引き下げる、いわゆる四分の三を、以内ということで引き下げるというようなことは絶対にまかりならぬ、こういう提案者の御説明であったわけですが、それならば、それほどの強いお考えならば、むしろ明確に以内という文字を削る。これは実はすでに御承知のように、何という名前でしたか、雪寒地帯道路整備するという法律があるわけであります。あれは最初は三分の二以内という案であったわけです。以内というのは、その当時の提案者説明は、やはりいまの瀬戸山議員と同じような御提案であったわけでありますが、しかしやはり依然として不明確だというので、修正をいたしまして、以内の文字を削ったわけであります。ですから、私は、絶対にまかりならぬというような強い御意図ならば、これは全部削除をしてしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
  29. 瀬戸山三男

    瀬戸山議員 前にもお答えしたのでありますが、国の助成率をきめます場合に、多くこういう立法例になっておりますから、その立法例に従って、こういうふうにいたしております。断じて四分の三を切るということはまかりならぬ。再び繰り返しておきますが、もし政府がそういうことになりますれば、雪寒道路はあとで法律を改正したのでありますから、そういう事態も起こり得ると思いますが、あのときも大蔵省は非常に抵抗いたしましたけれども、断じて四分の三ということを明確にいたしたのでありますから、その御心配は要らないということを申し上げておきます。
  30. 西宮弘

    西宮委員 いまの点は、ただいま申し上げたように、これはわれわれの地域の関係でありますから、私はよく承知をいたしておるのでありますが、立法例としてはすでにあるのですから、それは単に立法例だけというならば、決して支障はないのだと思うのですが、いかがですか。あるいは政務次官にお尋ねしてもけっこうです。
  31. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 立法例に従いまして、忠実に実行いたしたいと思います。
  32. 西宮弘

    西宮委員 ですから、立法例としてならば、ただいま申し上げた法律がすでに立法例としてあるわけですから、それに従ったらいいじゃないか、こういうことを申し上げておるのです。
  33. 瀬戸山三男

    瀬戸山議員 繰り返すようで恐縮でありますが、さっき申し上げましたように、雪寒道路の場合は、異例の措置をああいうふうに講じた。私も関係しておりますからよく承知しております。しかしそういう事態になりませんから、どうか御了解を願いたいと思います。
  34. 西宮弘

    西宮委員 それでは、それは提案者期待をすることにいたします。  一言だけ、最後にお尋ねいたしますが、地方財政との関係であります。地方財政負担をいたします問題、たとえば補助がなかったところに補助金が来るというのはけっこうでありますけれども、従来林道とかあるいは牧道とか開拓道とか、いろいろそういうのでやっておった道路も、今回の指定の対象になるものがあるはずであります。それは提案理由説明の中にも当然あるわけであります。そうなりますと、従来は自治体の負担とは関係なしに行なわれておったという道路が、この指定を受けるということによって、新たに自治体の負担がふえてくる、こういう問題があると思うのです。この法案をつくる過程において、そういう関係の向きと十分御相談があったのかどうか。さらにまたこれに関連して、自治省のほうからだれかお見えでしたら、自治省の見解をお聞きしたいと思います。
  35. 瀬戸山三男

    瀬戸山議員 もちろん、 これは、さっきも申し上げましたように、地方財政事情によってそういう奥地等はないがしろにしておった、こういう事情でありますから、地方財政を軽くする意味のねらいが多くあるということを御了解願えればいいと思います。またこの指定をいたすについても、建設省がかってに、あの地帯道路をこういうふうな道路指定するというわけじゃありません。それぞれ地方開発計画に従って、御相談を申し上げてやるわけでありますから、そういう御心配はないと思います。  なお、道路法道路ということに指定いたしますと、御承知のとおりに、道路整備についての、いわゆる財政基準に応じて交付税というものの裏づけがあるわけでありますから、決して地方財政を圧迫する、困らせるということは絶対にないということを御了解いただきたい。
  36. 立田清士

    ○立田説明員 この法律の成立の結果、地方負担がどのくらいふえますかという点につきましては、私たちのほうでまだはっきりわかっておりませんけれども、先ほど来お話がありましたとおり、道路整備五カ年計画の範囲内でございますれば、一応財源措置という点は可能になっておるわけであります。それから、それならば、地方団体でそれぞれ地方負担が具体的にふえてくる場合が想定されるわけでございます。それにつきましては、地方交付税の算定に用います基準財政需要額の算定の際の道路の延長に、指定がございますれば入っていく、こういうことになろうと思います。したがいまして、そういう意味での財源措置という点も可能になってくる、こういうふうに考えます。
  37. 西宮弘

    西宮委員 それでは、これで質問を終わることにいたします。つきましては、ただいまの自治省の御答弁でもその問題に触れておったと思いますし、あるいはさっきの局長答弁にもありましたように、いわゆる四兆一千億のワクの中でやるのだ、こういうことになりますと、ただほんとうに右のものを左に使うというだけのことで、あるいはタコが自分の足を食うようなもので、ほとんど意味がなくなってしまうと思うのです。ですから、これはあくまでも新しい法律によって、必要を生ずる新しい予算として、ぜひこれは別ワク考えてほしい、こういうことを強くお願いしたいと思います。  それから、くどいようでありますが、さっきの四分の三の問題、冒頭に申し上げたように、瀬戸山議員の御提案でありますから、議員提案とはいいながら、政府提案以上に強力なものだとわれわれは強く確信はいたしておりますが、将来これはぜひ雪寒法と同じように改めていただくことを強くお願いしておきたいと思います。  それでは、これで終わります。
  38. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 吉田賢一君。
  39. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 簡単に一、二点伺っておきたいと思います。  この法律案は、私ども非常に重大な目的と内容を持っておると考えまして、したがって、この御提案には賛意を表しておるものであります。  ところで、わが国におきまして奥地とか山間地と申しましても、御承知のとおり、農耕地は全体の大体一割三分でありまして、大部分が山間地と言っていいのでありますが、こういったところに適当なる道路が多くなかったということは、経済の原則からいたしまして、経済的に実際不利な条件を負わされておるという状態とも考えられる。そこで、そういうような諸条件から考えますと、奥地の設定ということも容易でないのじゃないかというふうに考えるのです。第二条の一項には、奥地等の定義も上がっており、山間地とかあるいはへんぴな地域、奥地、こういったことも掲示されておるのでありますが、やがて定められるべき政令の前提といたしまして、奥地は十分に御調査あってしかるべきだと思うのですが、すでにその調査は相当あるんでしょうか、もしくはこれからやるんだろうか、あるいはいつごろまでに奥地の設定をするんだろうか、その辺についての御用意を、これは建設当局から伺ってみたいと思います。あるいは提案議員にもあわせて御答弁願えれば、なおけっこうであります。
  40. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 この問題は決して新しい問題ではございませんので、私どもといたしましても、関係者と相談いたしながら、また関係の協会の資料等もちょうだいしながら、地域について、いろいろ打ち合わせをいたしております。ただ、今回この法案に示されておりますように、第二条の一項と三項で二様の縛り方をしておりますが、これは具体的に基準をつくりまして、もう一回地域を整理してみようということで、資料は大体手元にございますから、あとはこれらを整理することになろうかと思います。  どのくらいかかるかというお話でございますが、四十年度の予算に間に合わせなければなりませんので、どうしても八月ごろまでにおおよその見当をつけなければならぬ、こういうように考えております。
  41. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あらかたの資料はすでに現在でもあるようでありますから、できれば適当な機会に、この資料は、法案が採決された後でもけっこうでございますので、お出し願いたいと、御希望申し上げておきます。  そうしますと、政令は大体いつごろまでの御予定になるのでしょう。政令の設定につきましても、地方公共団体意見も徴するということになると思うわけですが、これは全国都道府県全体にわたるかと思いますので、北海道から鹿児島の果てに至りますまで、事実上容易ならざる作業であろうというふうにわれわれ想像いたしておるのでありますが、その辺についてのお見通し、計画の速度、それもひとつ御答弁願いたいと思います。
  42. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 政令を形式的にいつ出すかということは、まだはっきりとお答えを申し上げる用意はございませんが、先ほど申しましたように、少なくとも四十年度の予算要求に間に合わせるということになりますと、大体七月、八月ごろまでには内容をきめておかなければならぬ。それで、政令を形式的に出す時期については、これは関係省で話がまとまり、手続がとれれば済むことでございますから、問題は、それよりも中身、実質をきめることのほうであろうと思います。そういう点について、大体七月、八月ごろを目標にいたしておるわけであります。
  43. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 八月には、四十年度の予算の編成に着手しなければなりませんが、今月は六月であり、まだ参議院が残っております。また、資料は未整理のようでありますから、これはどうなるのであろうか。これはあなたのほうで予算の作成に間に合わせるとおっしゃるから、信じておきますけれども、手直しがないように、せっかくの——全国にまたがる広範な僻陬の不便な地区が、この法案が通りますれば、予算が相当多く要求せられるというようなことを聞きますと、次から次へかなり反響を呼んでいって、意欲的に新しい意見、希望などが出てくるだろう、こう思われます。そういうことを考えますと、てんやわんやになってしり切れトンボにならぬように——この点は、提案者のほうにおいても事務当局ともしっかりした打ち合わせがあったと思うのですが、それはどうでしょうね。
  44. 瀬戸山三男

    瀬戸山議員 先ほど道路局長からお答えがありましたような事情であります。いま吉田委員からお話しのように、何といっても、大まかに言って、わが国の国土は七割ぐらいが山地であります。したがって、この法律の対象とすべき問題点は、いま話題になっておるだけでなく、相当広範にこういう問題点が出てくるであろうと思います。私の狭い認識をもってしても、そういう感じが現在いたしております。したがって、全国のこの法律の適用を受くべき問題点を全部、これを調査あるいは指定するという段階は、この七月、八月でできるとは思いません。前にも政府から御答弁がありましたように、これは一挙に整備ができるわけじゃありませんから、最初に私からも申し上げましたように、これは昭和四十四年までの時限立法になっておりますけれども、それでこういう問題が解決するとは考えておりませんから、やはり具体的な指定は漸を追ってきめていくべきであり、さしあたり五カ年計画に入れる部面の問題点だけは早く整備をしなければならぬ、こういうことであろうと思います。
  45. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、いまの四十四年にこの法律が失効することになるについては——これは構想としては、それまでにある程度五カ年計画の中に織り込んだものを完成させたいという意図は、けっこうに思うのですけれども、しかし、一面から考えますと、五カ年計画は五カ年計画として、日本の山間地への道路整備を完成するということは、また別の角度からいたしまして、私はやはり第一条弊頭にうたっております、財政あるいは道路、あるいは文化、所得その他の全体的な偏重格差をなくするという意味におきましては、恒久的な使命を持った課題でないかと思いますので、この点につきましては、やはりもっと大きな視野に立って、期限も付することなく、その完成を目途として進んでいく。一挙に全体はできなくても、よしんば数年、十数年かかっても、北海道から九州の果てに至ります奥地を、目的を達するように整備を遂げるというような角度でいたしませんと、やはりこの時限立法というものは、何か知らん、ちょっと五カ年計画に便乗して、その範囲内でやれるだけやってみようかというような、そういう感じがせぬでもないわけであります。でありますから、できればこの完成に至りますまで法律を実施するとか、何かそういうようなことにいかなければ、ほんとうの目的は達成できないのではないか、こういうふうに思いますが、このような根本的な考え方につきまして、どうお思いになっておりますか。
  46. 瀬戸山三男

    瀬戸山議員 吉田委員の御心配されることは、あながち考え過ぎであるとは私は思いません。そのとおりだと思います。これは前にも申し上げましたように、いまは道路整備を、御承知のとおり相当意欲的に進めておりますが、どうしてもこういうところがあと押せになっている。これをそういうことでないように、理想的には簡単にできませんけれども、できるだけこういうところの道路整備に相当のウエートを置くべきだという意味から、御承知のように、別にあります道路整備緊急措置法、あれもそういうねらいを持っておりますので、それと一応平仄を合わせるという意味で、臨時立法にいたしたのであります。しかし前にも申し上げましたように、五年間でそういう問題が解決するとは思いません。かといって、これをいつまでかかってもというような安易な考えではいけない、こういう二つのねらいを持っておりますので、五年間経過いたしましたら、さらにまたもし欠陥がありますれば、この法律をさらに整備し、あるいはその期間をとる、あるいはもっと長く期間を区切るという問題が起こってくるであろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  47. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから、第二条の一ないし七号に掲げております産業の関係ないしは資源の関係等でありますが、この産業あるいは資源の開発等が主になるべきなのか、道路整備が主になるべきなのか、そういう点はどちらであろうか、いずれもが相寄って道路として指定されるものであることには間違いないと思いますけれども、しかしそれにいたしましても、産業の開発などが主になる場合には、また道路指定の方針が変わってくるのじゃないか、道路整備にやや重点が置かれるということであれば、それは政令なり方針が変わってくるのではないだろうか。また産業の開発といいましても、資本の導入とかあるいは企業の誘致とかいうものが相伴いませんと、事実上開発もならぬ場合が多いのでありますから、これらの点につきましていずれが重点と目さるべきか、そういうようないずれかを重点にするという考え方がないであろうか、そこらについての考え方を伺っておきたいと思うのであります。
  48. 瀬戸山三男

    瀬戸山議員 提案理由にも申し上げておりますように、第一、第二として私は申し上げております。第一は、今日道路整備がこれほど叫ばれておるけれども、残念ながらこういう奥地道についてはその恩恵に浴しない、山間僻地といえども、今日、御承知のとおりに、交通機関と申しますか、交通の道具といいますか、それが非常に進んでおりますが、そういうところに住んでおる人々は、この進んだわが国の情勢においても、それを利用するような恩恵に浴しない、したがって、第一にはそういう近代文明と申しますか、近代文化に浴するために、すみやかに道路整備をしなければならぬ。第二は、それに伴ってそういうところの、ここにいろいろな資源の問題を書いておりますけれども、そういう道路整備がおくれておるから、眠っておるといいますか、未開発の資源をできるだけ——道路だけではありませんけれども、これが第一の条件になりますから、そういうところの道路整備をして、重ねて産業の開発もし、その地帯の住民がそれなりの安住の地をつくり得るようにしたい、どちらにウエートを置いておるというわけではありませんけれども二つの大きな要素を含んでおります、ということを最初に申し上げたのであります。
  49. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと建設省の事務当局に伺っておきますが、この第三条に、建設大臣は、関係行政機関の長あるいは関係都道府県知事の意見を聞いて、道路指定をするということになっておりますが、これはいまお尋ねいたしました産業との関連におきましても非常に重要であり、また問題は複雑であると考えます。たとえば道路そのものを考えますと、いまの二条の三項に規定してあります。「主要な道路とを連絡する地方的な幹線たる道路」、これは簡単に机上でも考えられますけれども、一たび産業経済との関係におきまして観察いたしていくということになりますと、非常に複雑になってくると思います。たとえば例をとってみますと、兵庫県の但馬地域とかあるいは京都府の丹波地域、日本海方面、こういった方面は、最近非常に空気が清浄なるがゆえに、化学繊維の工場なんかに適当だというようなことを専門家によく聞くのであります。したがって、そういったところにそのような種類の産業が発達するというようなことも考えていきますと、今後の産業立地というようなものは、いろいろな角度から、つまり高い視野に立って観察するということが必要になってくるということになりますと、私は、道路指定の場合にも、これは綿密に関係行政機関の長あるいは知事の意見を聞くということをなさらないと、天くだりの道路になるというおそれがないでもないというふうに考えますが、関係行政機関の長というのは、第一は大蔵大臣、あるいはその他の機関も入るのかどうか。それからいま申しましたような角度から十分に検討して、意見を求めて、道路指定するというような御用意があるかどうか、そういうところまでは考えないのかどうか。その辺は、事務的にどうお運びになるのかをちょっと伺っておきたいと思います。
  50. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 関係行政機関の長は、第二条の三項にあがっておりますような各号に該当いたします各関係行政機関の長と考えておりまして、そういった関係の省の間におきまして、地域の問題の相談をいたそうと思っております。それから地方でございますが、これは関係都道府県知事の意見を聞いてということでございますから、市町村等は含んでおりません。市町村につきましては、第六条のほうで、関係地方公共団体が協力する仕組みになっております。私どもは、この法律に基づきます計画決定にあたりましては、法律にございますように、道路審議会にかけるわけでございまして、道路審議会には関係地方行政機関の代表者の方も入っておられますので、ここに書かれております趣旨のことは、十分各方面の意見を、そういうようなことによって聞けるであろうというふうに考えております。
  51. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終わります。
  52. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 他に質疑の通告もありませんので、これにて本案に対する質疑は終局するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、質疑は終局いたしました。
  54. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 この際、本案について、内閣において意見があれば、これを許します。鴨田建設政務次官
  55. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 本法案の趣旨を尊重いたしまして、新五カ年計画策定にあたりましては、十分その趣旨を生かしまして、あわせて地域格差の是正をはかっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。     —————————————
  56. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  奥地等産業開発道路整備臨時措置法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  57. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  この際おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  59. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 次に、首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案近畿圏既成都市区域における工場等制限に関する法律案近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案の三案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑を続行いたします。岡本隆一君。
  60. 岡本隆一

    ○岡本委員 近畿圏整備の問題がいま議論になっておりますが、私どもは、現在までの首都圏の模様を見まして、首都圏整備法と同じような、効果のあがらないような近畿圏整備法であっては困る、こういうふうなことを憂えているのであります。首都圏整備法が成立いたしまして、昭和三十一年以来すでに八年になるのでございますが、私どもの目から見ますと、その効果は一向あがっておらない。あがっておらないから、今度はまた工場等制限に関するところの法律の改正が出てまいっておるわけでございますが、その効果のあがっておらない理由はどこにあると思っておられますか。さらにまた、今度のこの工場その他学校等の制限措置だけでもって、いままで遅々として進まなかった、われわれの目から見ますと百年河清を待つといった感じでもって見られるこの首都圏整備問題が、はたして解決されるのかどうか、この辺についての、まず政務次官の御見解を承りたい。
  61. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 首都圏整備の問題は、非常にむずかしい問題でございまして、もちろんこの策定につきましては、それぞれ理想的な構想を持って策定はしております。しかし現実の問題としては、なかなか困難でございまして、確かに岡本委員の御心配のような線も出てくるだろうと思いますけれども政府といたしましては、でき得る限りこれが実現をはかりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  62. 岡本隆一

    ○岡本委員 できるだけ早く実現をはかりたいという希望的な御答弁だけでは、私どもは満足できない。近畿圏整備法ができても、十年たっても二十年たっても相変らずだ、昔ながらだ、あるいはそれ以上にいろいろ都会としての公害がふえていくというようなことでは、何にもならないわけです。だから私どもは、近畿圏整備法を今度成立させるのについては、やはり比較的短期間に近畿圏のいろいろな問題が解決するような方策を立てておかなければならない、そういうふうな法律として出発させなければならぬと思っておるわけです。だから首都圏がいいお手本なんです。だから首都圏整備法に右へならへのままの近畿圏整備法であっては何にもならない、こういうふうな感じがするわけでありますが、しかしながら、政府のほうでも、あるいは首都圏整備本部のほうでも、いやそうじゃないのだ、これはここ十年なりあるいは数年の間に必ず相当大きな効果があがってくる、いままでは準備期間であった、これからいよいよ本調子に成果のあがる時期なんだ、こういうふうな構想があるなら、ひとつそれをお示し願いたい。
  63. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 お答えいたします。  首都圏の、特に東京の問題につきましては、いろいろ施策が効果をあげておらないというふうなことが世上非常に論議されているわけでございますが、実質の東京という首都の本質のあり方、こういうものが、日本の場合につきましては、経済的な政治的な文化的な中心としての一つの山の中で東京というものが存在する、こういう一つの特色を持っております。ことに、また最近の経済の高度成長に伴いまして、大阪にありました経済の中心の本社まで東京にくるというような経済的な事情が急速に進みまして、そのために、従来の首都圏構想に基づいて施策をやってきましたその速度が、実際の整備計画よりもはるかに上回るような成長を示しております。こういう現実が、実際の施策と現在の経済の進み方との間の矛盾としてあらわれまして、そういうようないろいろ問題点を残しておるわけでございます。ただし、この問題につきましては、われわれといたしましても、いままでの整備計画に基づきまして、御承知のように市街地開発区域の整備につきましては、十五地区の指定を終わっております。工場につきましても分散態勢は逐次進んでおります。それから東京の既成市街地につきましては、すでに何度も申し上げましたように、現在の副都心計画の進行、あるいはまた流通センターの着手、こういうことによりまして逐次仕事は進んでおるわけでございまして、この工業等制限令ができましたときの三十四年当時までは、御承知のように、東京の既成市街地につきましては三十万、大体二十七万から三十万の人口増加を示しておりましたが、三十五年以降につきましては、逐次減少いたしまして、現在のところは、三十八年度におきましては十二万八千、約半分に人口増加は減っております。このようなわけで、形の上でははなはだ目につかないような姿になっておりますけれども、これらの施策の効果は逐次あらわれておるわけでございまして、今度の制限令を既成市街地全域に及ぼすということにいたしましたのも、現在の横浜、川崎、あるいは川口につきましては、東京を中心にいたしました十二万八千の人口増加に対しまして、むしろその三地区のほうが十三万八千というふうに、いままで制限令をかけておらないところのほうが、人口増加が急激にあらわれてきておるということの関連におきまして、今度の法律をお願いした次第でございます。
  64. 岡本隆一

    ○岡本委員 東京都の人口は、なるほど増加が減ったようです。しかしながら、交通麻痺であるとか、あるいはいろいろな公害というような面では、むしろここ数年どんどんふえる一方である。これが現状であります。でありますから、従来三十万ふえておったが、十二万八千に減ったとあなたはおっしゃいますけれども、昼間人口は減っておらない。それは先ほどの御答弁の中に、大阪本社の企業が東京へどんどん本社を移してきておる、こういうようなことで、結局人口は減ったけれども都市としての混雑は減らない。いろいろ公害もふえておるというふうな現象を示しておる。そのことは現在の首都圏整備法の欠陥の中にあると思う。現在の首都圏整備法では、制限されるところの作業場は大体製造工場だけであります。だからオフィスは制限されておらないのです。学校は制限するけれども、オフィスを制限しておらない。しかもそのオフィスというものは、今日証券会社の本店であるとか、本社であるとか、あるいは生命保険の本社なんていうものは、もう小さな工場以上の人間を収容しておる。デスクを並べて向かい合わせに、工場の設備以上に、非常に多くの労働力を吸収しておるわけです。そういうようなたくさんの労働力を、丸の内、銀座、あるいは疎開をさせて新宿に副都心をつくる。そうすると、そういうふうなオフィス街に非常に多くの労働力を吸収してきておるわけです。だから片一方で製造工場だけを制限いたしましたり、あるいは学校だけを制限いたしましても、それにかわるところの労働人口、昼間人口をどんどん都心に吸収してきておる、これが今日の首都圏整備法の大きな欠陥だと思う。今度は、近畿圏整備法の中にも同じことが——やはり工場等制限の中に同じ欠陥がそのままに残っておる。だからあなたは、今度のなにで、一応東京の区部の人口の増加は減った、しかしながら川崎であるとか、横浜であるとか、そういうようなところへ人口の集中の傾向がふえてきたから、そこを制限区域にしたい、そのこと自体には、私は賛成でございます。しかしながら、そういうふうなことをいたしましても、制限されるところのその作業場の種類と申しますか、内容と申しますか、それが変わってこない限りにおいては、今日の傾向は減らない、是正されないと私は思うのでございますが、いかがお考えになりますか。
  65. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 お答えいたします。ただいまの先生の問題点につきましては、この法案提案理由説明の際に、大臣から、他の施策とあわせてということばをもって御説明してございますが、その、他の施策とあわせてと申し上げておりますところのものは、東京都の人口の過度集中に対する対策といたしましては、二つの面がございます。一つの面は消極的な面でございます。他の面は積極的な面でございます。  消極的な面といたしましては、ただいまお願いいたしておりますところの工場等制限令によりまして、作業場あるいは学校のそういう新設あるいは増設を制限いたしたい、こういうことによって、国の人口集中というものに対する対策を立てる。他の一つは、前国会においてお願いいたしました建築基準法の一部改正による容積規制の問題でございます。たとえば都心部におきましては、銀座のような都心部につきましては、いたずらに高さを上げていくというようなことの容積を制限する。これにつきましては、御承知のように、作業場に対しましてと事務所に対しましてとの交通量の生まれてくる度合いにつきましては、大体事務所に対する一に対して作業場は四の割合で交通がふえてまいります。したがいまして、事務所からふえてくるところの交通量の増加というものは、工場あるいは問屋街のような、ああいう作業場を持っておるようなところから生まれてくる交通量に比べまして四分の一でございます。したがいまして、そういうふうな都心部につきましては、今後の交通対策から生まれますところの全体の交通量というものが、二十年後において幾らの交通量が生まれ得るか、それに対しまして床面積が幾らまでの制限——どこまでは許せるかというふうなことによりまして、都内のあらゆる地区につきましての容積規制をしていく。これはただいま建設省のほうで作業をいたしておるはずでございます。そういう交通対策というものは、容積規制の問題あるいはまた都市内交通機関の整備によるところの問題、こういうことによりまして解決をしていくというふうな二つの面がございます。もう一つは、場所によりまして、一部の地域につきましては、道交法によりますところの交通取り締まり、こういうことによりまして、逐次都内の交通対策というものを整備さしていきたい、これはその一つの消極面でございます。  積極面につきましては、首都圏市街地開発区域整備法に基づきまして、先ほど申し上げましたように、首都圏の中に十五地区の市街地を指定いたしております。ただしいままでやりました市街地開発区域の整備につきましては、十五地域の指定をいたしましたけれども、実際には思うように成果があがっておらない、これは事実でございます。それは、実は物理的な計画に対して非常に重点を置いてまいりまして、それに入ってくるところの工場もしくは工場の従業員に対する社会的な、つまり人間として扱う場所としてのいろいろな社会施設というものが非常に不足しておった、これは事実でございます。たとえば相模原につきましても、その他の地域につきましても、工場団地はつくった、市街地の道路整備はできた、下水道はできた、ところがその周辺における教育施設あるいはまた従業員の娯楽施設、こういうふうなものに対するところの整備が非常におくれておる。それによりまして、結局東京に住んでおってその工場まで通う、こういう逆の成果をあげておるわけでございます。それでその点につきまして、この前から大臣が何度も申し上げておりますように、連合都市という構想に基づいて、もう一度計画を立て直そう、つまり従来のような単一的な団地造成方式の市街地開発というものをやめまして、もっと全体の、地方における一つ地方拠点となり得るような、経済的にも政治的にも、あるいはまた文化的にも、ある程度の要素を全部整備したような連合的な都市体系に、首都圏の中の都市構造を変えていきたい、こういうふうな前向きの姿勢とって、いま計画をやり直しておるわけでございます。それによりまして高崎、前橋あるいは水戸、日立、宇都宮を中心にいたしますところの四ないし五市の連合によりまして、重点的な市街地構成をつくりたい、こういうふうに私どもはいま整備の内容を変えておるわけでございます。あわせまして、都内につきましては、去年から予算がつきまして、板橋の流通センター、問屋街あるいはまたトラック・ターミナル、市場、そういうものは郊外のほうへ全部出して、いままでみたいに、秋葉原あるいは築地の中央市場におきまして、物資の集散が都心まで入ってまいりまして、また一千万の人間に対する補給というものを外へ向かって行なう。ああいうふうな二重交通をなくすために、流通センターは、板橋、調布あるいはまた足立、葛南地域、こういうふうな地域に分散いたしまして、流通関係のものは全部そこへ集中させるということで、もうすでに去年から板橋は着手いたしましたし、調布につきましては、十五万坪の用地をすでに確保しております。そういうようなことで、こういうような二重交通体系をなくすことと、都内の機能の純化をはかること、こういうことによりまして、逐次体制を整えておるわけでございます。これまでの間にかなり年数がかかっておりますけれども整備の体系といたしましては、国家財政とあわせまして、逐次努力をいたしておる次第でございます。
  66. 岡本隆一

    ○岡本委員 委員長、御注意申し上げておきますが、定足数が不足しております。採決が済むとすぐに雲やかすみと消えていってしまうようなことでは困ります。十分ほど待ちますので、その間に定足数がそろわなかったら、流会を要求いたしますから、その辺お含みおきを願いたいと思います。  続いてお尋ねをいたしますが、なるほど、いろいろ御努力願っておることはわかります。しかしながら、何としても規制がゆるやかであるために、企業が分散していかない。第一生命が大井ですか、どこか他の地域に本社の移転の計画を立てておる模様でございますが、企業が伸びようとすれば、都内から出ていかなければならぬ、こういうふうな規制が行なわれなければ大きな企業は出ていかない。しかも、今日のように通信網の発達した時代では、事業の性格によっては、必ずしも都心でなければならぬということには限らないと思うのです。だから、そういうふうな企業が伸びようとするなら、外へ出るよりしかたがない、こういう規制をする以外に、私はこの東京から企業を疎開さすことはできないと思うのです。そういうような意味におきましては、なるほど容積規制はやっておられます。容積規制はやっておられましても、今日のこのビルの建築ラッシュはどうですか。たとえて言えば、ホテルオークラにしましても、あれだけの大きなものを建てれば、あそこへは非常にたくさんの労働人口を吸収するのです。ひとりホテルだけに限りません。いろいろな企業がどんどんどんどんビルを建設している。至るところにいま建てられておるビル、あそこへはみなそれだけの昼間人口を吸収しておるのです。昼間人口を吸収すれば、やはり都会としての矛盾が出てくると思うのです。だから規制の範囲を広げよう、これはけっこうでございます。規制の範囲を広げても、それだけでは問題は解決しないと思うのであります。やはり規制する作業場の種類を広げなければだめである、こういう考え方を持っておるのです。だから政府のほうでもそういう考え方を進めていただかなければ、私はこの問題は解決しない、こういうふうに思います。もう一つ今度の首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律でも、そうなっておりますが、工場等を規制するところの地域というものは、第三条に「政令で定める区域を除く」ということが書いてある。そうすると、そういうふうな規制区域の中でも、政令で定めた区域については制限を受けないということになってくるわけでございますが、現実にそれではどういうところをその除外区域にしておられますか、承りたいと思います。
  67. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 お答えいたします。最初の規制の対象をふやす問題につきましては、私たちもできるだけそのほうに努力いたしたいと思いまして、いろいろ検討いたしております。特に東京関係、つまり管理機構の中で、直接東京に必要としない部門につきましては、できるだけ新しくつくりました市街地区域の中へ入っていただく、こういうふうなことで、いま実際は行政指導の形で、会議所あるいは協同組合、そういうところと連絡をとりまして、積極的な誘導をやっておるわけでございますが、大体現在までにおいて、市街地開発区域の中で区域として整備いたしましたものは二千三百万坪ぐらいございますが、その中へできるだけ出ていただくような誘導をいたしております。ただ対象の内容につきましては、御承知のように、私有財産の制限問題になってまいりますので、できるだけ他の面におきまして、外へ出ること、分散することによってむしろプラスの面が出てくるような形のものに対して、いままで対象といたしておりますけれども、その辺の検討が非常にむずかしいために、具体的に拡大するという態勢を、現在のところはとっておりません。行政指導だけでやっておるわけでございます。できるだけ、その点につきましては、さらに検討を加えまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。  第二の区域の問題でございますが、現在制限区域としてきめますところの内容は、大体平方キロメートルに対して一万人、これは、現在の首都圏におきまして、人口規模をきめる場合の標準といたしましてとりました基準人口でございます。この人口に根拠を置きまして、その基準を現在こえておる区域、これを一応制限区域の対象といたしておるわけでございます。実際の割合でいきますと、東京につきましては、平方キロメートル当たりにつきまして平均で一万四千六百人、武蔵野につきましては一万九百十人、それから横浜につきましては、全地域で平均いたしますと三千三百九十二人、これが三十六年度の人口でございます。川崎につきましても、約五千人、こういうふうな状態でございますので、全地域を対象にいたしますと、非常に過少地域がございます。それで実際のところは交通状況と相あわせまして、平方キロメートル当たりの基準人口が超過しておる区域は全体を制限区域とするというふうな方針で進んでいるわけであります。交通量につきましては、大体現在の混雑度が交通容量をオーバーしておるような地域を全部洗いまして、この地域について、両方からあわせまして、今度の制限区域をきめるというふうにいたしておるわけでございます。
  68. 岡本隆一

    ○岡本委員 そうすると、基準人口というのは平方キロ一万が基準、そういうことになりますと、非常に過密地域がございます、それからこの部分は基準人口に達しません、そのもうひとつ向こうにまた過密地帯がございます。その過密地帯と過密地帯の中間がかりに制限区域から除外されるといたしますと、そこは過密地帯になるまでは工場を持ってきてもいい。こういうことになると、過密地帯と過密地帯の連続になってしまうわけですね。そんなことでは、結局東京都周辺というものは、ますます現在よりも過密地帯になってくる。東京都の区部はもちろん、その周辺も含めて、過密地帯だけが今日東京を形成しているのじゃないのです。そういうふうなところの企業並びにその住民を含めて、いま東京の都会悪を形成しているわけなんです。だから、東京そのものについては、今日かりに過密地帯でなくてもそこへどんどん作業場がふえたのでは、今日の東京のいろいろな摩擦というものは避けられない。これが増大していくということは避けられない。だからそういう考え方であっては、もう首都圏整備ということは不可能だ、こういうふうに思うのでありますが、いかがですか。
  69. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 私の説明が非常に不足でありまして誤解を招いたようでございますが、実際の過密地帯がございまして、その過密地帯と過密地帯の間が確実にあいておるという区域は緑地地帯になっておるか、さもなければ農林地帯でございまして、農地転用の許可を要するところでございます。したがいまして、許可を要するときには、首都圏と農林省、建設省との三者協定がございまして、三者の意見が一致しない限り農地転用は許さない、こういうことになっておるわけであります。全体に区域を広げて、横浜、川崎あるいは川口の地域の既成市街地と称するところを全部制限区域にいたしたい、これは事務当局といたしましては絶対にやりたいところでございます。ところが、実際にはそういうふうないろんな用途、地域の指定がございまして、その用途、住居地域あるいは農林地域あるいはまた市街地というふうな、都市計画上のいろいろな規制をかけております。したがいまして、その規制がかけてあって、すぐには転用もできないような、あるいはまたすぐには作業場が建てられないような地域に対しては、将来なるであろうということを予期して、財産の制限をやるということは非常に困難でございます。地元のほうの立場もございますし、いろいろ各地方公共団体関係もございまして、実は、最初はそういう制限を相当大きな面積につきましてやるつもりで話を進めましたけれども、地元との了解が非常に困難でございまして、したがいまして、結局今後の状態を予期いたしまして、可能な限り最大限度にかけた、こういうのが今度の区域でございます。
  70. 岡本隆一

    ○岡本委員 実質的には東京の区部の空地であるとか、あるいはもうこれからでは川崎方面にかけて比較的ゆとりのあるところがありましても、これは地価の問題のために大きな工場を建設するということは困難だと思います。むしろそれは土地の用途が規制されておるという以外に、土地の価格の問題のために困難であることはわかります。しかしながら、それにいたしましても、やはりそこへは工場は建たなくても、制限を除外すればオフィスなどは建つわけです。また学校も建つわけです。そうなりますと、やはり過密地帯にはさまれたところを過密地帯にしていくということが起こってくるわけなんです。だから、むしろそれは住宅が建っていくのはやむを得ないかもしれません、そこまで制限することは所有権の問題になってまいりますから、そこまでのことは無理かもしれません。しかしながら、その地域に対して、ある程度の規模以上の事業場、オフィスなどを建てることはできない、こういうような規制をやっておかなければ、東京の今日の過密状態というものはやはりますます助成されていく。だから、首都圏整備計画というものをもう一度新たなる観点に立って、単に工場だけを制限するのだというふうなことでなしに、制限するところの作業場の範囲を広げ、その中にはオフィスも入れる。同時にまた、その制限する区域も広げていく。政令で除外する、区域を除くというふうな、こんなものは要らない。やはり広い範囲の規制をしていくということが私は必要であろうと思う。そのことが近畿圏整備の中にちゃんとこのとおりのことが入っておる。だから首都圏整備が今日できない。首都圏のいろいろな問題が一向解決されない、こんな首都圏整備法で——それは事実ないよりはまし、いままでどんどんひどくなっておったのが少しスピードが落ちた、角度が落ちたというのにとどまるのであって、場合によっては、その周辺にどんどん大きなたくさんのいわゆる開発地域、区域ができ上がっていったときには、その中心としての東京は、大きな産業の中心地帯としてますます混雑し、混乱していくということになりかねないと私は思う。だから個々の点は、首都圏整備に対するところの考え方は、むしろいまより減らすんだ、増加のスピードは落ちたからいいじゃないかというふうなお考えでなく、いま現実にぼつぼつ疎開していっています。人口は現実に減っていっているのです。さらに昼間の人口も減っていっているのです。やがては静かで気持ちのいい町に東京はなるでしょう。さみしい町にしてはいけませんが、しかしながらやはりある程度徐々ながらも、いまのままふえていくということでは困る。少なくとも横ばいというところまで押えるだけの規制を、私は首都圏に対してしなければいけないと思うのです。その点、私は近畿圏の問題が出てきたときに、近畿圏整備の中で、首都圏と同じような構成と申しますか——構成が首都圏と全く同じでございますから、私はその点を心配してこういうことを申し上げたのです。  そこで、近畿圏の問題に移っていきたいと思うのでございますが、この間から議論されております近畿圏整備の問題につきましては、近畿の均衡ある発展をということで、近畿圏整備法が去年成立のときに一番問題になったことは、均衡のある発展だ、これは単に大阪、阪神方面の過密地帯の疎開ということだけでなくて、疎開をすることとあわせて、近畿圏一帯に均衡のある経済の繁栄をもたらす、発展をもたらす。こういうことを強く強調されておったと思うのです。そしてまたいま議論の中心になっておりますのは、一体それじゃ都市開発区域というものがどのようにまくばられるのか、阪神の過密地帯の疎開ということだけなら、勢い手近なところへ、いわば太平洋ベルトラインと言われる地域、名神道路、あるいは国道一号線、二号線、それを中心とした地域に産業と人口の疎開がくわだてられる。そして山陰方面であるとか内陸地帯、そういうふうなところは後進地域としてそのまま残されるんじゃないか、こういうことが心配されておるわけです。そしてまた現実に、いま近畿圏整備の審議会の構成を見ましても、なるほど各府県の知事は出ております。議会の議長も出ております。しかしながら、学識経験者といわれる人たちはほとんど関西財界の人たちです。ですから関西財界を中心に近畿圏整備が行なわれる、こういうふうな疑心暗鬼も出てまいっておるわけであります。だから、基本計画が出るまではどんな献立になるのかわからない。献立が不明なままで近畿という材料をどのように料理するかわからない。だから献立をはっきりしてもらいたい。献立の示される前にまないた、ほうちょうを渡してしまったのでは——というのは、この関係法案です。渡してしまったのでは、あとどのように料理されてしまったとしても、奥地はほって置かれ、あるいは後背地を放置されて、幾ら陳情してもかえりみてもらえないというようなことになったのでは困るから、先に献立をはっきりしてもらいたい、これが阪上君の意見であったと思います。それに対して本部長の意見は、いや献立のごくあらましはわかっております。同時にまた、献立のデテール、詳しいことについては、いま各府県からいろいろな要望なり開発計画を集めて、それを調整の最中でございます。だから献立はできておりません。急いで献立をつくりますが、献立ができたらすぐに料理にかかれるように、まないたとかほうちょうだけはちょうだいいたしたい、これが河野さんの御意見だったと思います。結局この意見については、どちらにも言い分があると思います。どちらにも言い分がございますが、しかしながら、少なくとも近畿をおよそこのようにするんだということだけは明確にしておかなくては、これはやっぱり、まないた、ほうちょうをまかすのに不安が伴うのは当然であると思います。問題は、都市開発区域の配置の問題であると思います。都市開発区域というものをどういうふうに配置するつもりなのか、いわば国道一号線、二号線あるいは名神道路、あるいは将来つくられようとするところの中国道路、そういうようなものに沿ってだけ開発区域がばらまかれていくということでありますと、山陰であるとかあるいは福井県であるとか、あるいは奈良県であるとか、そういうようなところは後進地域として残される心配がある。だから、そういう点について、近畿の均衡ある発展を期するんだということなら、一体都市開発区域をどういうふうなぐあいに配置されるおつもりがあるか、もちろんそんなことは審議会できめられることでございます、私どもは白紙でございますという御答弁もできるでしょう。しかしながら、審議会はしろうとの集団です。それはおか目八目で、その道へ首を突っ込んでしまった人よりも、時にはいい意見も出るでしょう。しかしながら、一応整備本部のほうで基礎的な構想を持ち、それから審議会にその素案を示して、それについて審議会の意見をいろいろ加えながら成案をつくり上げるということになるのが、私は順序であろうと思うのでございますが、それについての、整備本部の事務当局の基本的なお考えを承っておきたいと思います。
  71. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 今川、近畿圏整備法付属二法を提案いたしたわけでございますが、この二法案提出いたしますにつきまして、近畿圏の基本計画、基本方針というくらいのものでも、きまっていないやさきにこの二法案を出すのは尚早ではないか、せめてもあらかたの構想がきまった後に、この法案は用意されるべきではないかというふうな御意見だと承りました。この点につきましては、先回も申し上げましたとおり、昨年七月に近畿圏整備本部が成立いたしまして、それから逐次準備をいたしておったわけでございます。ただいままでのところは、基礎的な調査という段階でございます。なお、この調査が済みまして、漸次基本方針あるいは地区の設定、並びに重要施設の基本整備計画というような段取りで、計画の策定を進めていくわけでございまして、この計画ができ上がりましたときには、すぐにそれが実現に移せる、その道具をいまから用意しておく必要がある、来年度からはこの道具でもってすぐ計画が実施に移せる、こういうふうな運びにいたしたい、また地元におきましても、そうした熱意がございますので、それにおこたえいたしまして、駑馬にむちうって、法案作成のために、現地における審議会等の御意見を伺って、法律案をつくったわけでございます。すでに御承知のとおり、近畿圏整備法におきまして、近畿圏整備の基本構想と申しますか、そうした基本的な方向はもうすでに打ち出されているわけでございます。すなわち京阪神の大都市圏という既成都市区域に人口及び産業が集中するのを防止する、それをむしろ逆に少なくする、こういうふうな再整備をするというふうな方向でやるべきである、そうしてまたその周辺における近郊整備区域というものを設定いたしまして、そこへ既成都市からの外延的に無秩序に広がっていく人口を吸い上げる町づくりをしていく、こういうために近郊整備区域を設けて、その整備をはかるという方向、そうしてさらに外周部におきましては、都市開発区域というものを設定いたしまして、そこに、京阪神都市圏に集中しなくてもよろしい工場等を落ちつかせて、そこに大きな都市づくりをしていく、そうしてまた周囲の農山漁村に対する波及効果をねらっていく、こういうふうな構想を打ち立てているわけでございます。この都市開発区域がどのくらいな規模、どのくらいの程度で、どの地域にというふうなことにつきましては、現在調査の段階でございまして、先ほど来御発言の中で先手を打たれてしまったわけでございますけれども、これまた審議会の御意見を聞いた上できめる、こういうことでございます。私どもといたしましては、近畿の将来の均衡ある発展をはかるために、相当大規模な、そして各方面にわたって開発区域を設定する、また開発区域と、大規模なそうした工業なり住居、あるいは観光都市の拠点というもの以外に、中小規模の拠点というものを考えて、近畿を全体として均衡ある発展に導きたい、こういうことを考えているわけでございます。この都市開発区域なり中小規模の都市拠点なりというものの設定につきましては、もちろん今後十分地元の御意見なり、また審議会の御意見を伺ってきめてまいらなければならないわけでございますが、私ども考えておりまする、昭和五十年なり昭和五十五年なりという先を展望してのビジョンという面におきましては、相当広い範囲にわたって、御指摘のとおり、太平洋ベルト地帯ばかりではなく、その他の地域においても、こういうものを設定していかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。これらのビジョンというものが実現に移されるという過程におきまして、どういうふうな区域の指定の順序になるか、こういうふうな段取りにつきましては、今後の審議会等の御意見を伺って、十分検討してまいりたい、こう思っております。
  72. 岡本隆一

    ○岡本委員 ある整備委員をしておられる人が漏らされたことばでありましょうが、何といっても阪神の過密地帯の疎開が大事なんだ、大切なんだというふうなことで、これは伝え聞いた話でございますから、真実であるかどうかはわかりませんが、しかしながら、聞くところによれば、その委員をしていられる方の頭の中は、阪神の工場の疎開ということ以外に何もないような感じを受けたというふうなことを言っている話を聞いたことがあります。なるほど今日のいわゆる学識経験者ということで入っておられる人たちは財界人ばかりでございます。勢いそういう面も強かろうということを私どもも懸念はいたしております。   〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕  しかし、そういう観点に立ちますときには、近畿圏整備というものは、やはり太平洋ベルトライン、あるいは播磨、あるいは紀州にかけての瀬戸内の臨海工業地帯開発、そういうふうなことに進んでいくか、内陸へといっても、阪神に近いあたりに都市開発区域をつくっていくのではないか、こういうふうなことを懸念するわけであります。そういうことになってまいりますと、山陰方面であるとか、あるいはその他の内陸地帯というところが見忘れられた土地として残るのではないかということが相当深く憂慮される。いまの次長の御答弁で、一応整備本部の基本的な考え方は、最初近畿圏整備法ができるときに論議されたいろいろな議論の過程、あるいはまた基本的な考え方法案成立の場合の基本的な考え方というものは十分尊重してやる、こういうような御意向のようでございますから、今後そういうふうな方針で進まれることを特に私は希望をしておきたいと思います。  その場合に問題になってくるのは、やはり道路網であると思います。そこで、既存の道路計画ですね。今日建設省でつくっているところの道路計画、この道路計画に沿って近畿圏開発都市開発の区域を配置していくのか、あるいはこの道路網にとらわれずに配置していって、新たにそこに必要な開発道路、あるいは基幹道路というものもつくっていく必要がある、こういうことも考えられるわけです。たとえて言えば、近畿縦貫高速道路というふうな、北陸のほうから、敦賀のほうからずっと兵庫県のほうへ入っていくというふうな縦貫道路というふうな構想も出てまいっておりまして、ああいうふうな道路というものも、やはり内陸地帯、あるいは福井方面、そういうところを開発していき、あるいは同時にまた山陰を開発していくには、さらに中国道路から分かれるところの高速道路としての肋骨的な支線、そういうものもつくっていかなければならない。おそらく将来は山陰地方にも現在の国道にかわるところの自動車専用道路というものもできていくであろうし、またそういうものの必要性が叫ばれる程度の産業並びに人口の疎開——いままでは山陰が人口の吸収力がないから、山陰方面から山陽のほうへかけてどんどん人口が移動してきております。その移動を食いとめるには、そこで人口をつなぎとめるだけの企業というものが芽ばえていかなければなりません。栄えていかなければなりません。そういう段階になれば、それを結ぶところの道路というものも、これは縦貫道路と同じ意味において、私は必要だと思う。だから、そういうふうな道路計画というものは、当然に近畿圏整備のときに、新たなる観点において道路網というものを考えつつ、近畿圏整備の設計というふうなものが立てられるべきである。このように私は思っているのでありますが、建設省のほうにはたしてそういうような御用意があるのか、政務次官からこの点を承っておきたい。近畿圏整備計画というものが、既存の、現在建設省の立てておるところの道路計画、これにとらわれずに、新たなる観点に立って、近畿の均衡ある発展をはかっていく、こういうふうな観点に立って計画が立てられるべきであるし、したがって、またそれに従ったところの道路網というものを建設省ではいつでもこしらえていく用意があるというようなことを言明しておいていただくのでなければ、これは既存の計画が非常に大きな制約になり、拘束になるというふうに思いますので、これは本部長として、同時に建設大臣としての河野さんから御答弁を承りたいと思っておったのでございますけれども、しかしながら、この点については、きょうはかわって出ていただいております政務次官から、はっきりした御答弁を承っておきたいと思います。
  73. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 御承知のとおり、国土開発総合計画という大きな眼目の一環といたしましての国土縦貫道路の建設ということは、これはもうほんとうに日本の今後の経済発展のための要諦でございまして、こういう意味から、皆さま方の御協力を得まして、国土開発縦貫道路網の建設ということも、実はわれわれといたしましては意図しておりますし、かてて加えて、この問題がただいま御質問の近畿圏整備の問題と関連をいたしまして、それが背骨になりまして、それに対して、いろいろなアフターケアといたしましての近畿整備に対する低開発地区の問題であるとか、あるいは均衡ある経済の発展という面からいたしまして、やはり近畿圏独自の道路計画というものも、アフターケアとして整備すべきことは当然であるというふうに考えております。
  74. 岡本隆一

    ○岡本委員 そこで、また先ほどの問題に戻っていくようでございますが、次長にお尋ねいたします。  たとえば、京都市ではある程度計画を立てておりまして、右京の西大路から西あるいは十条から南、こういうふうなところは工場開発区域というふうに規定をいたしております。そういうことになりますと、先ほど言うところの過密地域というものは相当広がっていくということになるわけであります。だから、こういうふうな地域について、市内の過密地域と既成都市区域と同じ程度になるまで何らの規制を加えずにいかれるのか、あるいは相当ゆとりがあるから入れてもよろしい。ただしある程度の緑地帯なり、ある程度のゆとりを残した規模において、いわば現在あるところの過密地域というものは全くの過密地域です。そういう過密地域になるまで放置していくのか、あるいはある程度の、ここまでという規制ですね、何かそういう線というものを、この程度までは工場や事業場をつくらしていくが、それ以上になると全体としての計画の上から、これは過密地域の拡大になる、だから過密地域の拡大を防止する、というふうなお考えがあるのかどうか。私は京都でありまして、京都の地理に詳しいから、京都についてお伺いするだけで、これはひとり京都に限らず、阪神全体、その周辺地域に当てはまることでございます。  さらにまた、近郊整備区域をどこまで引き上げるか、産業の導入をどこまで近郊整備区域に許すかという問題でございますが、この点はやはりある程度の基本的な考え方、かまえというものがなければならないのではないかと思うのでございますが、その辺についての御見解を伺っておきたいと思います。
  75. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 いま京都市の例を引いてお話がございましたが、御指摘のようなところは既成都市区域を取り巻く地域、これからまた放置すればどんどんと無秩序な市街になるような地域というようなところをおっしゃっていらっしゃるのじゃないかと思います。そういうようなところにこそ、先ほど申し上げましたように、近郊整備区域という指定をいたしまして、そこでのこれからの工業の発展あるいは住宅の建設というものが統制のとれた秩序のある状態にしておきたい。そこで近郊整備区域計画のしかたでございますけれども、結局、現在都市計画法で持っておるいろいろな手法を使って、秩序ある町づくり、秩序ある環境のいい社会をつくり上げるということでなければならぬと思います。そのためには結局緑地をからませる、あるいは住居地域と工業地域をはっきりさせる、工業地域につきましても、特に工業専用区域を特定するとか、そういうふうに間取りをはっきりさせまして、でたらめなそこでの人口の集中という現象がまた再び起こらないようにということをねらおうとするわけであります。具体的な町づくりのしかた、そこでの整備のしかたというものはこれからの問題でございまして、結局この法律によりまして、近郊整備区域指定されますと、そこにおける建設整備計画、土地利用計画というものは、その関係の知事がきめなければならないということになるわけでございます。その整備のしかたというものは、いままで申し上げたような方法整備するわけでありまして、再びそういう状態の繰り返しがないようにいたしたいと思っております。
  76. 岡本隆一

    ○岡本委員 いろいろ都市計画によって近郊整備区域並びに既成都市区域も、比較的稠密でない地域については工場その他の発展がまだ見込まれるようでございますが、そういう点については、あまり過密な地域にならないような何らかの基準をつくっておいていただきたいと思います。  さらに、これは大阪でも起こっておる問題であり、また京都でも起こっておる問題でございますが、都心部におけるところの問屋さん街、これが、いま申しました道路が狭いものだから、車が置けない、入れないというふうなことで、商業団地も疎開をやらないと仕事にならないというような声が相当出ておりまして、現実に京都でもそういう計画がございます。だから名神の入り口であるところのインターチェンジ周辺であるとか、あるいはその他の交通の便利な地域に、これからほとんど自動車輸送になるわけでありますから、当然流通センターというものが設けられるべきである。ところが今度の近郊整備区域及び都市開発区域についての法律案を見ましても、工場団地をつくるという規定はございますけれども、しかしながら、そういうふうな流通センターをつくるという規定が全然ない。工場団地をつくるのについては、土地収用法その他のいろいろな、いわゆる政府の権力を背景にした庇護を受けつつ町づくりができる。ところが流通センターについてはそれが全然ないということになっておるのは、いかさまこれは、なるほど先ほど私が問題にしておりました、工業については相当の配慮がある、都心においても疎開についてのいろいろの配慮があるが、商業については、首都圏整備法にも全然考えられておらない、だからそういう点について、整備計画の中に商業団地というものが当然入ってくるべきだ。何か一時はこれを入れたいというような希望をあなたのほうで持っておられた、ところがどこかへ吹っ飛んでしまったというようなことも聞くのでございますが、それはいかなる理由ではずされたか、またどうして持ち込むことができないかということをお尋ねしたいのであります。
  77. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 御指摘のとおり、既成都市区域内におきまして、問屋さんの倉庫その他を疎開する、あるいは問屋そのものが出るというような流通施設の機構につきましての疎開の現象がいま起こりつつあります。そしてまたその受け入れの態勢をつくるための仕事も逐次行なわれております。これを容易ならしめるために、開発法におきまして、工業団地造成事業と並んで流通施設団地造成事業というものを加えたらどうか、そうしてまたそれと見合いまして、既成都市区域内における倉庫であるとか、トラックターミナルであるとかいうものも制限の対象にしてはいかがであろうかということが、現地の審議会の専門委員会議題になったわけでございまして、現地といたしましても、そういったものを制限の対象とし、それと見合って流通施設団地造成事業というものを開発法の中に加えるということで御要望がそろったわけでございます。しかしながら、これを政府として関係各省と折衝し、また法制局と打ち合わせをするという段階におきまして、現在首都圏において制限いたしております工場、学校以上の新業種を加えて制限をするということはなかなかむずかしい問題でございます。運輸省方面におきましても、これらはそれぞれの法律、すなわち倉庫業法であるとかターミナル業法であるとかいうふうなものの法律の運用によって、行政指導によって十分目的を達し得るというふうな現在の段階でもあるし、またかたがた商業団地と申しますか、流通施設団地と申しますか、そうした団地造成事業について、首都圏におきましても、工業団地造成事業と同じような強制力を用いなくても、現在任意買収であるとかあるいは区画整理という手法によってその目的を達しておる、こういう現状から考えまして、今回の私ども法案の内容といたしましては、流通施設団地造成事業、そうしてそれに見合いのトラックターミナル、倉庫まで制限対象にするという点につきましては見送って、将来の検討に待つ、こういうことにいたしたわけでございます。
  78. 岡本隆一

    ○岡本委員 工場の場合においては、これは工業団地をつくってやる。商業の場合についてはそれはつくれないのだ、つくってやる必要はないのだというのは、商業の場合には経済力がある——経済力というと語弊があるかもしれませんが、土地に対するところの利潤率と申しますか、収益率と申しますか、比較的そう多くの面積を持たなくても、商業というものは製造業に比べては相当大きな収益があげられる、だからそうまでしなくてもいいだろう、こういう考え方に基づくものですか、あるいはそれとも別な考え方があるのですか。
  79. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 流通施設の団地をつくって、そうして疎開してくる、あるいは建設されるそうした商業施設、流通施設というものをそこへ受け入れていくというための用意というものは、この開発法の中でも考えておるわけでございます。その手法として、強制力をもって土地収用法を発動する、あるいは先買い権を発動する、そういう手段を与えなかった、こういうだけでございます。ですから、実質的にはこの開発区域あるいは近郊整備区域におきまして、そうした商業施設をこの部分に集中的に入れていくのだというための計画というものは立っているわけでございます。それを実現する手法として、いま申し上げたような土地収用法なりあるいは先買い権というものを発動させないで、区画整理なりあるいは任意買収で、一部同じ団地のところへ集める、こういうふうな手法でやっていくということでございます。でありますから、そういうこと自体が要らないのだということにはなりませんし、またそういうところをつくって、そうしてそういうところへ来ていただきたいという、入れものを用意するということは考えておるわけでございます。
  80. 岡本隆一

    ○岡本委員 既成都市区域内の非常な混雑をなくするためには、やはり従業員の多い、同時にまた貨物の集散を非常に激しくやるところの商業も疎開してもらう必要があると思う。だから、都市整備計画とすれば、当然外へ出やすいような条件をつくってやるということは大切だと思います。それにはまた役所なり整備本部なり、そういうところでそういう指導もしなければならない。指導するのにはそれだけの便宜も与えなければならない。ところがそういうような指導が行なわれませんで、任意に出てきなさいということになると、インターチェンジの周囲というものは、もうすでに呼び値が呼び値を生んで、この辺には商業団地が来るのだというので、非常な土地の値上がりを来たしておる。今日たんぼが坪二十万だ三十万だというような呼び値をインターチェンジのそばでは生んできておる。そうなってくると、商業団地が移ろうにもちょっと移れないというふうなことが出てきて、足踏みする。また現在のところで商業、事業をやっていくのについては、なるほどそれだけの回転資本を持ってやっていくでしょうけれども、これが疎開をしようとして、それだけばく大な固定資本を投じなければならぬということになれば、疎開したくもできないという現象が出てくるわけなんです。だからそういう意味においては、インターチェンジからめっぽう遠くないところで商業団地をつくって、ここのほうがあなたのほうは商売できるでしょうというようなことも、その整備計画としてはやるのが親切な方法じゃないか、またそういうことをやらなければ、急速な疎開ができないと私は思う。だからそういう意味においては、私は、首都圏整備法によりもう一歩進んだものとして、せっかく商業流通センターの構想が生まれ、あるいはまた学園都市というふうな構想が生まれておりながら、首都圏に右へならえでいいのだ、こんなことでおさまってしまってきているということは非常に残念に思うのです。やはりものができるときには、時勢とともに、法律にいたしましても、ちょっとずつ進歩のあとが見えなければいかぬと思うのです。  そこで、首都圏の事務局長お尋ねいたしますが、首都圏でも、やはり近畿圏整備のときにそういう構想が生まれてきたのなら、おれのほうもそれに同調してやっていきたい、こういうようなお考えが出てこなければうそだと思うのでございますが、首都圏ではどういうお考えですか、そういうものはなくてもけっこうやっていける、こういうお考えでおられるのですか。
  81. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 ただいまの問題点でございますが、一応現実に、首都圏のほうでは、ただいま先生からお話のありました事業につきましては、実施いたしております。これは先ほども申し上げましたように、流通センター、つまりトラックターミナル、問屋街、市場、自動車修理工場、それに伴う従業員の住宅、こういうものを一体といたしまして、流通センター鮮呼んでおるわけでございますけれども、これは東京の外郭環状高速道路の周辺に四カ所ということで、現に二カ所実施態勢に入っておるわけでございます。その場合に、実は最初の考え方では、御承知のように都市計画法に基づきまして、トラックターミナルにつきましてはトラックターミナル法で収用がきく、それから市場につきましては、市場として都市計画法上の収用がきく、あるいはまた住宅区域につきましては、前回御審議願いました新住宅市街地法によりまして、全部もしも必要とするならば、収用法によりまして解決ができるという心がまえで実は始めたわけでございます。ところが実際には非常に順調に片づきまして、いまのところ、板橋につきましては三十六万坪、それから調布につきましては百十五万坪というものが現実に有望な方向に向いておりますので、首都圏といたしましては、新たに法の改正をいたしましてまで、新しく流通センターもしくはその他の施設につきましての収用権の発動はしないでもいいというふうに判断いたしておるわけでございます。ただ、私たちからしますれば、全体の市街地開発の地域につきましては、先ほども先生がおっしゃいましたように、地価の高騰によりますところの事業の難点が非常に大きく響いてきまして、そのために現在、首都圏における新市街地開発法という法律の体系をとりまして、土地所有者等は土地を資本として出していただく、それから国もしくは府県あるいは地方公共団体事業費を支出するということで、両方の共同開発方式というものを考えまして、その方法によって新しい市街地をつくっていきたい。先生が先ほどから御心配になります点は、要するに、首都圏におきましても、市街地開発をやりながら、実際には商店街ができない、あるいはまた学校の施設がないということで、全部地元の方に御迷惑をかけている、そのために地方負担が非常に大きくなっているという問題も一つございますし、また健全な市街地としての商業センターあるいはまた文教地域、こういうものがないために、ただ土地は、市街地の確保はできたけれども、実際の市街地としての健全な姿にはなっていないという点が問題にされておることだと思います。その点で問題があるものですから、私たちとしましては、そういうふうなことによって、事業費を国が、あるいはまた地方公共団体がつぎ込んだその分だけは、共同で開発した地域について、お互いに割合で造成土地は分配し直そう。たとえば百万坪やりますと、その二割ないし三割というものは国の、あるいはまた地方公共団体の所有になってまいります。事業費をつぎ込んだものでありますから、そのつぎ込んだものの中から、一部分は商業用地として売買する。あるいはまた学校敷地として残す。それから造成原価に対しましては、現在の地方の地価というものは大体倍近くになりますから、その点、政策価格といたしましてそれよりもはるかに少ない価格で売りますけれども、その売る場合に、造成原価に対しまするところの多少の利益が出てまいります。その利益をもって、従来のようにできなかった公共施設、公益施設というものに再投資をいたしたいということで、いま法律を事務的に折衝を進めております。まだ全部完了いたしておりませんので、ちょっと時間がおくれておりますけれども、そういう形で一応共同開発方式という一つの新しい方式で、一つの収用体系から離れていきたいというふうな考え方をしておるわけであります。
  82. 岡本隆一

    ○岡本委員 しかし、その共同開発方式というのは、結局土地ブローカー、というよりも土地造成業者が地価をつり上げているのと同じことを、いま国がやっていることになるじゃないですか。たとえばある地域を一定の集団、団地としてきめる。そこをみな土地を出してもらって、道路をつけ、区画整理をやり、それで有効利用度を高めると一緒に地価をうんと上げる。その投資分についてはいわゆる保有分としてもらう。それが値が上がった分だけ利益になるから、ほかのほうに回せるのだ、こういうことになれば、現地の土地の提供者もうんと土地値上がりによる利益を享受します、同時に国もその利益の享受分で仕事ができるのです、こういうことだったら、結局土地の値上がりを世話してやっている、こういうようなことになる。これはやっぱり団地をきめれば、ある程度のなにでもってその用途目的にその土地を出してもらって、国は全然その人なり何なりの利益も喜びも、土地を提供する人には与えずにというわけにはいかないかもしれないです。やっぱりある程度の収用権というものを背景にしながら、不当な土地の値上がりの利益を押えていくということでなければ、地価政策というものはそこにないじゃないですか。それを、そういういたずらな地価のつり上げに、政府までがその中にどんどんはまり込んでいくというようなことをやっておったのではだめじゃないですか。私はそういうように感じますが。
  83. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 ちょっと私のことばが足りなくて、誤解を招いておるようでございますけれども、それは、私たちは土地の値上がりを期待するということを考えておるわけではございません。問題は、大都市周辺における市街地というものが、いまのような形で山林地域——農耕地域は、農地転用という問題で一つの規制がございます。ところが山林地域その他の雑地につきましては、現在まで規制すべき何ものも法律はございません。したがいまして、いたずらに安いところをねらいまして、全部、いわゆるスプロール現象と世間は言っておりますけれども、そういうような虫食い状態で、大都市近郊というものは道路もないところへ、下水道もないところへ、あるいはまた水道もないところへ現実に市街地が構成されておるわけでございます。しかも、それが、この前も宅地造成法で問題になったと思いますけれども、ああいうふうな状態で、実際の現実の姿は町の形を整えない姿のままで大都市近郊というものは荒らされ回っております。これを健全な姿にして、いかに多量の供給を一般の国民に与えるかということが結局問題であると思います。同時にまた、大都市の交通緩和その他の問題点を考えますと、どこに住宅をつくりましても、市街地まで、たとえば新宿なりあるいは吉祥寺なり、そういうところまで、現在ある既成市街地の商店街まで買いに来なければならないような、そういう交通体系のままで市街地をつくるということ自身に、交通というものに対する一つの大きな難関を残しておるわけであります。ですから、そういう全体の姿を正しくすると同時に、また周辺における新しい市街地をつくりましたときには、都市としての、つまり市街地としての健全な施設が全部あることでなければ、新しい市街地と言えないのではないか。いまはただ町づくりをしておる、町のかっこうを整えるというだけの行為が非常に多く行なわれておるわけでございますので、決して、それによって土地の値段を上げるとか、そういうことではなしに、みながお互いにどうせいまのような、年率二二%、東京付近におきまして三割から四割近く年間の値上がりを示しておりますような、こういう状態から、いかに早く脱却するかというためには、土地を持っておる者も国も両方とも共同の形で開発しようじゃないか。開発するためには、いままでみたいに五万坪、三万坪というような、ああいうこまかいことをやることによって十分な施設もできないような体系をなくいたしまして、十分な形で大きくやっていきたい。そのためにはやはり百万坪なり二百万坪なりというような大きな単位の仕事をすることによって健全なる市街地ができるのではないかというのが、私たちの考えておる法律の趣旨でございます。決して持っておる人の土地を値上がりさせたい、またもうけることによって国がみずから公益施設に投資するとか、こういうふうに考えておるわけではございません。
  84. 岡本隆一

    ○岡本委員 工業団地をつくるのについては、近畿の今度の法律の中に盛られておるのと同じような法律の規定が、首都圏のほうにもあるわけですね。だから問題は、私が申し上げておるのは、商業団地のことを言っておるわけです。工業団地については、やはり収用権も持って事業を進めておられるでしょう。商業団地のことについて私は申し上げておる。そういう意味においては、商業団地についても、そういう収用権を背景にある程度事業を進めないと、土地の不当な値上がりは押えられない。押えられなければ、そのことによって、疎開できるべき企業が疎開できない。疎開がはばまれるということを私は申し上げておる。そういう点について、あなたのほうも、いままでたとえば自動車の修理工場であるとか、サービス工場であるとか、あるいはまたその他のいろいろなサービス業が疎開していっておるという例をあげておられましたが、そういう点については、もし、団地づくりを、いまあなたがおっしゃったような方式で、共同的な形でおやりになっておられるということ、そのこと自体はいいことでございますけれども、しかしながら、その点、私が申し上げたように、これはやはり地価の値上がりをあおるような形にならないか。もしそういうような形になるおそれがあるようななにがあれば、やはり法律的な規制をもってそういうことを防ぐということは、これは御配慮願いたいと思う。ことに最近地価の不当な値上がりを抑制するようにということを衆議院でも決議したのですから、それを強力に進める。だから、今度、一そう、この時点に立ったら、そういう意味におけるところの施策を強化するというふうな点についての一歩進んだ施策をお願いしておきたい。  そこで、もう一つ続いてお尋ねしたいが、工業団地の造成事業を、これは施行者は住宅公団か県がやるということになっておりますが、その資金はどうなるのかということでございます。住宅公団の場合には、財政投融資の金で公団がやっていくのだろうと思うのでございますが、地方公共団体がやるというふうな場合には、その資金の当てはどうなりますのか。あるいは起債のワクでもつくのか、そういう点について、資金の大体出どころ、さらにまた資金の規模というふうなものを、工業団地の造成事業についてどういうふうな方針を用意しておられるのか、承りたいと思います。これは首都圏ですでにやっておると思うのですが、その実情、それから近畿圏はどういうふうにやっておられるかということを承りたい。
  85. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 ただいま先生のおっしゃったとおり、日本住宅公団でやっておりますのは、国の財政投融資からいただきまして、そして国の事業としてやっておるわけでございますが、その他の府県でやっておりますのは、いろいろ種類がございまして、現在のところ、企業局でやっております場合と、県の開発公社でやっております場合と、いろいろ例がございます。企業局でやっておりますような場合には、ある程度地方債の中の開発債というのがございますが、その開発債が、地方公共団体につきましては、その一つの資金になっております。そのほかに、企業局の場合ですと、電力関係とか、そういうふうなダムなんかを県で持っておりまして、電力料金なんかが入ってまいります。そういうものを一時資金に立てかえをいたしまして、造成を終わりましてから、それをまた回収するというような方法をとっておるところもございます。それから公社の形をとっておりますのは、県の出資と、あるいはまた残りは農業団体もしくはほかの銀行から低利資金を借りまして、それを早く回転するような形でやっておるというふうな、いろいろ方法がございまして、公社関係あるいは企業局関係、県によりまして、財政の規模によりまして、いろいろ変わっております。
  86. 岡本隆一

    ○岡本委員 その点になりますと、県が出資している開発公社の場合、低利資金を借り入れましても、これはやはり償還期限のあることでございます。そう長期に、団地を開発したものを抱いておるわけにはいかない、そういうことになってまいりますと、比較的売れる見込み、事業が誘致できる見込みのあるところでなければ開発できない。そういうことになってくれば、開発するところの地域というものは、相当限局される、むしろ引っぱる力というよりも、ここなら来るだろうなというところへ持っていく、勢いそれは企業の疎開にならない心配がある。来そうなところへ持っていく。ほんとうは奥地まで疎開させるという意味なら、過密地帯と離す必要がある。ところが離さずに、来てもらえそうなところに持っていくというふうな、資金的な関係から遠くへ行きたがらない企業に迎合するおそれがあるということを私は心配するんです。だからそういう意味においては、やはり特別のこういう工業団地造成事業に対するところの起債のワクとか、あるいは財政投融資の金を長期に融資してやる、こういうふうなことが当然行なわれなければ、その整備計画の本来の、たとえば近畿圏で申すならば山陰であるとか、あるいは福井県で言えば敦賀の近辺であるとか、そういうところへ、これから後かりに開発区域を指定いたしましたとするなれば、そういう地域を発展させようとするなれば、むしろ長期の投資、来るまで待とうというぐらいの気持ちで投資をして、産業をそこへ引っぱっていく、引っ込んでいくというふうなことが行なわれなければ、一方都会では規制がある。伸びようとすれば出るよりしかたがない。出ようとしても、開発区域に出ていくよりしようがない。少々遠くて不便でもそこへ行く。やがてそこが繁栄して、その区域がその地方の中心地帯になる、こういうようなことになってくると思うのです。それは結局資金の問題と大きな連関がある、こう私は思うのでございますが、政務次官いかがですか。そういうような考え方に立てば、持別の資金というものを都市開発計画のために準備してやる必要がある、こういうふうに思うのでございますが、そういう腹がまえが政府のほうにおありなのか、お伺いしたいと思います。
  87. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 ただいまの岡本委員の仰せのとおり、各都道府県公共団体においての工業開発地区を建設していくという場合につきましては、いろいろと資金繰りのことについて相当の困難を来たすのじゃないか。もちろん先ほど局長の言われましたとおり、いろいろ資金網はあると思いますけれども、ただ長期であり、これが非常に固定いたします資金でありますので、この点については大蔵省のほうとも話し合いまして、検討してみたいと思っております。
  88. 岡本隆一

    ○岡本委員 これは大蔵省との話し合いで検討してみたいというふうな程度では、私どもはとても指導性のある開発はできぬと思う。企業に対する追随的な開発ということはあっても、結局そのことは過密地帯を広げていくということにすぎないと思うのです。だからそういう意味においては、指導的な開発という考え方構想に立たなければならないし、首都圏開発がおくれておるということも、そういう意味における指導性が乏しい、だから周辺部から遠く離れたところへは一向開発の手が伸びていかないというふうなことになっているのではないかと思いますが、この点、建設省のほうで、政府のほうで特に格段の努力をしていただくことをお願いしておきたい。  委員の方ももうほんのわずかになりましたから、きょうはこの程度にいたしておきまして、次会にまた続けさしていただきます。
  89. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は、明後五日、金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会いたします。  これにて散会いたします。    午後一時九分散会