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1964-04-08 第46回国会 衆議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月八日(水曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君    理事 廣瀬 正雄君 理事 福永 一臣君    理事 服部 安司君 理事 岡本 隆一君    理事 兒玉 末男君 理事 山中日露史君       逢洋  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    木村 武雄君       正示啓次郎君    中村 梅吉君       堀内 一雄君    松澤 雄藏君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    金丸 徳重君       久保田鶴松君    栗原 俊夫君       小嶋 英夫君    西宮  弘君       原   茂君    山崎 始男君       玉置 一徳君    吉田 賢一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         建設政務次官  鴨田 宗一君         建 設 技 官         (河川局長)  畑谷 正実君  委員外出席者         建設事務官         (河川局次長) 国宗 正義君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 四月七日  委員木村守江辞任につき、その補欠として中  村梅吉君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員久保田鶴松君、山崎始男君及び玉置一徳君  辞任につき、その補欠として中嶋英夫君、栗原  俊夫君及び中村時雄君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員栗原俊夫君、中嶋英夫君及び中村時雄君が  辞任につき、その補欠として山崎始男君、久保  田鶴松君及び玉置一徳君が議長指名委員に  選任された。     ――――――――――――― 四月三日  土地収用法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一四五号) 同月七日  放射一四号線及び平井新大橋建設促進に関す  る請願(島上善五郎君紹介)(第一九三七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  河川法案内閣提出第八号)  河川法施行法案内閣提出第二四号)  土地収用法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一四五号)      ――――◇―――――
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  河川法案及び河川法施行法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。中嶋英夫君。
  3. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 あとで、栗原先生から詳しい御質問があるそうですから、二、三点だけ御質問いたします。  第十二条に、河川台帳規定がありますが、現行の法のもとにおいても、政令で河川台帳についての規定があるわけでありますが、事実上、この河川台帳調製されておるのかどうか、まずそれからお聞きしたいと思います。
  4. 畑谷正実

    畑谷政府委員 河川台帳におきましては、現在の河川法によりますと、第十四条の規定に基づきまして、河川管理者である都道府県知事がそれを作製いたしまして、大臣が認定する、こういうようになっております。実際問題としては、終戦あるいはその直後の混乱のときには、喪失、散乱いたしまして、実際問題としては、ほとんど至るところで散逸しております。それから、実際に現行法によりまして、これを作製するということになると、非常な金銭と努力が要るために、遺憾ながら、河川台帳は、現状においては、非常に不備であるということでございます。
  5. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 河川台帳の不備の点についてお認めがあったのですが、今回提案されております新河川法においても、台帳調製に関することが管理者に対して義務づけられております。終戦混乱期のために、現在不備である。しからば、この新法のもとにおいての河川管理者に対する台帳調製の義務づけは、事実上何年ぐらいでできるのか、その見通しを伺いたい。
  6. 畑谷正実

    畑谷政府委員 新しい法律によりますと、十二条に、河川台帳規定がございます。河川現況台帳水利台帳をつくることになっております。その内容は、現在の河川法によりますと、いわゆる河川の敷地内において私権を排除するという規定がございまして、そういうような点で、私権の排除による台帳というのは、拘束力のある、その反対を許さないというような事柄があるために、非常にその作製等には注意をして、厳重なる調査をしなければならないということでございますが、今度の新しい河川法によりますと、御承知のとおりに、河川敷内においても、私権といいますか、そういう私有地というものを、現在のあるまま、そのままを河川台帳に載せ、それから図面に作製するということで、機械的といいますか、そういう点では、今までと違ったような作製の運営ができるわけでございます。これはお金と時間的には、いままでと違って非常に急速にできると思います。一日も早く工事実施基本計画ができて、その管理体制が整うと同時に、至急この河川台帳整備する、こういうふうに考えております
  7. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 その河川ごとにそれぞれ特殊性がありますから、簡単に期間を明示できないと思う。いまの御答弁によると、至急とかすみやかにということですが、一応一級河川の場合には、大体何年くらいをめどにして調製されるのか、それを伺いたい。
  8. 畑谷正実

    畑谷政府委員 大きな水系、小さな水系とございますけれども、私どもは少なくとも――利根川のように非常に膨大なものであると、これは二年とかそういうような年数がかかるかもしれませんが、その他の水系におきましては、少なくとも指定と同時に一年以内、こういうような感覚で作製すべきである、またそういうふうに努力したいと思います。
  9. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 まだ新しい法律は審議の過程ですし、これがどうなるかわからないのですが、この法律ができる前でも、その河川台帳調製努力は現在しておるのですか。いまの法律のもとではだめだというのですか。
  10. 畑谷正実

    畑谷政府委員 これは現在でも努力をしておるわけでございます。現在におきましては、都道府県知事管理者になっておりまして、その河川台帳調製整備をする、こういうことで、私どもできるだけ指導しまして、それぞれの整備には努力は払っております。
  11. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 現在まで河川台帳調製の困難であった幾つかの要因のうち、その一つとしてあげられておるものに私有地との境界画定の問題がございます。しかも、その境界画定のために、ときには私有地が実際削られていくという現象すらあるということを聞いておるのです。今後建設省は、境界画定についてどのように考え措置されるおつもりか、それを伺いたい。
  12. 畑谷正実

    畑谷政府委員 私有地の問題でございますが、現在の河川法によりますと、認定と同時に私有権が抹消される、こういうような状態になります。しかし、実際問題として、私有地の抹消ということはなかなかできない。そこにそういうような調製整備という、十分な調査検討が必要でございますが、今度の新しい河川法によりますと、現在のあるがままの状態で、その中に私有地があれば、そのまま私有地として認めるということでございまして、河川台帳におきましても、そのままの状態調製ができる、こういうことでございます。
  13. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 次に二十七条の関係で御質問したいのですが、河川敷内の私有地の場合、農地改良という名前をかりて、実際は砂利採取しておる。目的は農地改良だが、実際は砂利採取だ。そして、そのあとには、農地として適当な土壌かどうかわからぬけれども、とにかく土砂を置きかえる、こういうことが行なわれておりますね。今後こういうことが行なわれる可能性が多い。その場合に、砂利ならば、相当水量が多くなっても、また流速が高くなってもそのままでおるが、やわらかい――特に関東地帯なんかローム層で、粘土よりも、黒ぼかのようなものが置きかえられると、ほとんど流出するし、河川敷を荒らす。しかも洪水時には、それが水量に加わって圧力がかかってくる、こういうことが実際にあるわけですけれども、こういう点についてはどういう対処をするか、この法の運用はどうあるべきか、この点について伺いたい。
  14. 畑谷正実

    畑谷政府委員 現在の河川法におきます私有地がありましても、実際にはこれが認定されなければそれがそのまま残っておりますが、それが認定をいたしますと、河川附近地制限令というものがございまして、いわゆる付近地としての行為制限をいたしまして、許可によりまして、河川維持上あるいは管理上支障のある行為についてはこれを禁止する、あるいは一定範囲内における行為のみを許す、こういうようなことで規制をいたしております。  それから、今度の新しい河川法によりますと、内部のいわゆる川敷きのほうをわれわれは堤外地と言っておりますけれども堤外地私有地に対しましては、私有地でございますが、やはり一応行為規制をいたしまして、公共の福祉の範囲内で、いろいろな一定規制をいたします。なお堤防外側におきましては、河川堤防とか、あるいはそういうような施設に対して危険のある範囲を限定いたしまして、河川保全区域といたします。この区域については、それぞれそういう行為規制をいたす、こういうことで、一応河川管理規制をいたしていきたいと思っております。
  15. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 それと関連して、河川区域の中に入るかどうかわかりませんけれども相当強固な堤防がある、その堤外地河川から相当距離があった場合、以前それが河床であったということから、砂利相当深く地中に埋まっておる。上の土をとって砂利をずっと深く採取をするわけです。そうすると、相当距離がある堤外地であっても、水位が下がってきますから、伏流水が盛んに流れてくる。堤防の下に相当伏流水の脈があるので、水道ができる。一見強固な堤防のようであっても、伏流水のために底が相当弱ってくる場合が多いわけです。こういうことについては、やはりいまのような適用規制できるのですか。
  16. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまのお話の点はごもっともな話です。私どももそういうような行為によりまして、堤防の下から水が通りまして、それによって水の道ができる、あるいは河川施設危害が与えられるということは十分考えられます。したがいまして、河川保全区域については、いまお話しのとおりに、堤防構造上の問題とか、あるいはその下の基礎の土質といいますか、そういうものを勘案しまして――これは個々の川によってもちろん違います。したがいまして、その堤防からの距離によりまして、掘さくの深さはこの辺はどれくらいにするか、こういうところまではだいじょうぶだということによって、その行為規制をしたい、こういうふうに考えております。
  17. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 御答弁ではよくわかるのですが、それが第六条の河川区域条文から、そういうことができるというふうにとれないのですが、第六条では、「一 河川流水が継続して存する土地及び地形、」こういうことにもなるし、「草木の生茂の状況その他その状況河川流水が継続して存する土地に類する状況を呈している土地」にも当てはまるのですね。もちろん、二、「三 堤外の土地区域のうち、第一号に掲げる区域と一体として管理を行なう必要があるものとして河川管理者指定した区域」として、やはり疑問が残るような、相当遠隔であって、その上に河川敷砂利採取した、そういう場合は、どういう適用でこれを規制するのですか。
  18. 畑谷正実

    畑谷政府委員 これは第一九ページの二十五条「土石等採取許可」「河川管理者許可」云々、こういうふうに書いてございますが、河川区域内においては、この規定によりまして、そういうような行為制限するわけです。
  19. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 私の伺っているのは、河川区域内はわかるのですが、この河川区域外として、ここは完全な住宅地なんです。そこで土石採取が深く行なわれている、そういう場合は、答弁ではよくわかるのですけれども規制するという話ですが、どの条項をもって規制するのかよくわからないのです。
  20. 畑谷正実

    畑谷政府委員 私はちょっといま勘違いをしましたが、川の中はいまのやつで、川の外といいますか、先ほど私が言いましたのは、河川保全区域といいまして、堤防外側といいますか、そういうものは、五十四条以下によって、この一定の区間における河川保全区域については、それぞれの行為制限規定をもって、これによって規制をしたい、こう考えております。
  21. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 河川保全区域としても、どの程度に指定するかという問題があると思うのですが、たとえば都市の周辺河川の場合、実際その辺が住宅地になっておる、あるいは工場地帯になっておる、こういう場合、相当範囲河川保全区域というものを指定する場合に、その付近の人々はやはり利害があるから議論が起こると思うのです。ですから、私が先ほど指摘したようなことは、実際そういう可能性があるところは、一切河川保全区域に入れるということであれば、これは問題として別ですが、大体基準として、建設省のほうからいえば、堤防から何メートルという基準を出して、地方においてもやってきただろうと思うのですが、そうなる可能性があるのじゃないかと私は思うのです。たとえば何メートルとか、そういうことを一切考えないのですか。
  22. 畑谷正実

    畑谷政府委員 お説のとおりでございまして、一方では河川施設として、これの機能を十分に果たすだけのそういうような管理をしなければならない。もう一方は、いわゆる民権といいますか、そういう権利を一応規制しなければならない、これではできるだけそれを制限しなければならない、こういう両方をどこでかみ合わせるかという問題でございますが、この五十四条にも書いてございますとおり、いろいろな個々河川あるいはその施設土質構造によって違いますけれども、一応標準としては、河川区域境界から五十メートルというものを一応限界と考えまして、個々によってこれは指定していくわけです。   〔発言する者多し〕
  23. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 ちょっと委員の方に申し上げます。私語が多くて聞き取りにくいので速記が困るそうですから、御注意を願います。
  24. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 五十メートルということをちょっと聞いたのですが、実際問題として、二百メートルぐらい離れた地域で深い掘さくをして、明らかにどんどん川の方向から水が湧出しているという現象を見ておるわけです。こういう場合はどうなさるのですか。
  25. 畑谷正実

    畑谷政府委員 もちろんそれが原因で、そういう水道をつくり、なおそういう河川工作物被害が与えられるというようなことの原因になるならば、当然保全区域としてそういうような中に入れまして、やはり一定行為制限をしたい、こういうふうに考えております。
  26. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 そこで、もう一つ伺っておきたいのは、そういう河川保全区域でないところに、実際そういう事態が起きておる、こういう場合に、緊急に河川保全区域指定といっても簡単にいかぬだろうと思うのです。一週間や十日でできるならば別ですけれども、あぶないという緊急の場合、どういう措置を行なうのですか。行ない得るのですか、得ないのか、その点を伺っておきたい。
  27. 畑谷正実

    畑谷政府委員 まあその行為原因者がどうであるかという問題はあると思います。ですけれども、実際緊急的にそういう堤防危害があるということになれば、当然私どもでそれに対する対応策を講じなければならない。ただそれを河川管理者が負担するかどうかは、この原因者に、そういうようなものが明確であれば、費用の負担をさせるとかいろいろな問題がございますけれども、緊急な場合において、堤防が非常にあぶないということになれば、当然それに対応する措置はしなければならぬ、こういうふうに考えております。
  28. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 若干、河川法からはずれるかもしれませんけれども、最近都心地における深い地下室の建造の問題、地下四階、五階とか、こういう工事の場合に、周辺にいろいろな影響を与えている面がある。やはりこれと同じように、河川もそういうことが言えると思う。したがって、ある深さ以上の掘さくについては、河川法にも関係があるが、その他の関係においても、前もってむしろ規制できる点を、これは政務次官に伺うのですけれども建設省として考えておられるかどうか、考える必要があるとお考えになるかどうか、そういう点をお答え願いたいと思う。
  29. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 保全区域内におきましては、ほんとうに重要と考えるべきだと思いますけれども、外につきましては、現在考慮の余地はない、こう考えております。
  30. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 政務次官に伺いたいのは、いま質疑で明らかになったように、河川によって、どうも保全区域外で地表の土を取って、古い昔からある砂利をどんどん深く掘る。そうすると、そこが河川水位よりずっと深いものですから、斜め横へ水脈ができ、水道ができる。結果的には、堤防の下がうつろになってしまい、堤防決壊原因にもなる、こういう危険の状況が実際あるわけです。それから、河川とは別ですけれども都心部等で、あまりにも深い掘さくをするために、周辺にいろいろな被害が起きてくる。たとえば、周辺の水がどんどん深い掘さくしたところの地下に流入する。水分がなくなるから、周辺土地がゆるむ、うちがかしぐという、これは民事上の問題として、復旧しろとかしないとか、訴訟、裁判などもやっているようですけれども、こういうのが多いのです。ですから、私は河川に限らず、ある一定の深さ以上の掘さくについては相当前もって届け出をさせ、それをいま言ったような意味での検討をして、それから許可するというように、そういう規制の必要があるのじゃなかろうかということなんです。それに対して、いま政務次官は、その必要はないというお答えのようですが、やるやらぬは別として、まず第一にこれを必要とお考えになるかどうかですね。
  31. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの最初の御質問につきましては、私、河川関係いたしまして、河川指定区域内というふうな意味でお答え申し上げたのですけれども、ただいまの一般的な御質問というふうに解釈いたしまして、お答え申し上げますことは、やはりお説のとおり、何かの措置を講じなくちゃならぬじゃないか、これは河川関係ばかりでなくて、総合的な措置を講じなくちゃならぬじゃないか。要は公共の利益ということを中心にして、私有権をある程度までそこで抑制しなくちゃならぬという問題も出てくるのじゃないか、こういうふうに実は考えておる次第です。
  32. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 上田炭鉱の例などもありますから、やはり掘さくとか坑道などについては、一般的に住民の被害、迷惑、こういうものとの関係規制することについてお考えがあるならば、具体的にそれを近い将来にでもお示し願いたいと思う。  次に、もう一点でありますが、この第二十五条にあります土石採取の問題です。最近建設ブーム関係もあるでしょうが、土石採取が非常に激しく行なわれている。そのために河床が荒らされて、ついには、橋脚の下の基礎ぐいまでが露呈しておるという状態が実際にあるわけです。こういう状態のときに、土石採取の問題について規制をしようとしておるのですが、私は、その規制の中で、むしろそういう危険な状態があった場合、ある区域を限って、自今三年なら三年、五年なら五年と長期にわたって、期間をきめて禁止をしたらどうか、禁止区域をつくったらどうか、なぜかというと、そうしないと土石採取業者にすれば、非常にいまあぶない状態だからちょっとストップだ、ストップする、そのうち何とかなるだろうという期待がありますから、そこにまたしがみつこうとする、しがみつこうとすると、ちょっと羽状が人口に見て悪くないなと思うころになると、また申請をする、申請があると、つい一方も、一つの業を営んでおるのですから、あまりほうっておけない、気の毒だという面もあって、許可する、その少しのものがやがて拡大して、いつの間にか乱掘になる、それが上流のほうへいろいろな影響を与える、こういうことの繰り返しをやっておる河川幾つかあるわけです。ですから、この川ではもうだめなんだという、期待を持たせないところまでいけば、その採取業者も別の道を考えると思うのです。砕石の業に移るとか、それに対しては設備近代化賞金を貸すとか、あるいはその他の行政上の指導があるかと思う。あるいは新しい分野の土石採取以外の業にかえていくとかいうような方法もあると思うのです。ついまたそのうちにという期待のために、実際は乱掘になってしまう。ですから相当長期間を見込んで、期待してもだめなんだ、いまだけではなく、来年もだめなんだ、再来年もだめなんだから、むしろ方針を変えたらどうか、それがむしろきびしいようで実際はあたたかい指導になるだろうと思うのです。そういう点がこの法律には見られないのですけれども、こういう点についてのお考えを聞きたい。
  33. 畑谷正実

    畑谷政府委員 お話、私ども全くそういうことについてはいままでちょっとおくれておったのじゃないかというふうに考えております。いわゆる砂利採取がいろいろな悪影響を及ぼしておる、それに対していま急にそういうふうに、たとえばあしたからどうだとかあさってからどうだということでは、お互いにそこでもって業を営んでおる人に対して、またわれわれの河川管理の面からも、非常にまずいじゃないかということで、私ども実は非常におそいことでございますが、三十八年度から、こういうような全国の特に砂利に対して非常に窮屈になって、もう数年足らずで砂利がほとんど計画河床までいってしまって、それ以上の掘さくはできないというような河川をある程度対象にいたしまして、いわゆる砂利賦存量調査というのを、実は三十八年度、先年度から始めたわけでございます。これをなるべく早くやりまして、御承知のとおりに、すでに神奈川県におきましては一応そういう規制をいたしまして、いろいろな砂利業者に転業してもらうとか、あるいはほかのほうに行ってもらう、そういうことをしたわけです。もっと早い期間に、向こう半年とか一年あるいは二年後にはもう砂利がなくなるから、そういう準備をしてもらいたい、もしなお進むならば、砂利採取できる河川を十分調査いたしまして、これについての砂利採取に対する門戸といいますか、そういうものをできるだけ活用してもらうというところまで進めていきたいと思いますが、調査が三十八年度から始まりましたので、ちょっとおそまきでございますが、できるだけ早くそういう点を、運営上において、河川管理の面からも一緒にやってまいりたい、こう思います。
  34. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 調査を急ぐというお話ですけれども調査をするまでもなく、荒れておる河川があるわけですね、そういう点については、調査が済んでからということでなくて、処置しなければならぬと思うのです。こういう点どう考えますか。  それからあと一年たったらだめになるという場合、一年でなくなるぞ――私の言いたいのは、そこで権利を持っておれば、それから一年ぐらい待てばまたやれるのじゃないかという期待を残すのはいかぬじゃないか、ここはもう三年、四年、五年だめなんだという完全な禁止というか、区域禁止だけでなくて、期間長期禁止ということでないといかぬと思う。区域禁止とともに期間的に相当長期に、当分の間とかあるいは来年までとかいうんじゃなく、もうここではだめなんだという、むしろ期待をつぶすことがほんとうに生きる道をつくってあげることになるんじゃないか。そういう点について、法律上どう対処することができるのかということについてお聞きしたい。
  35. 畑谷正実

    畑谷政府委員 法律上においては、そういうことに対してどうするかという条文はございません。ただ、実際の河川管理運営上から、そういう問題については対処していきたいと思います。第一点のお話につきましては、実際御祝のとおりに、現在調査するまでもないじゃないかという川は確かにございます。そういう川につきましては、もうすでにいつからこの期間までの採取禁止をするというような行政措置はしております。そういうことで実際問題としては取り扱っておりますが、今後の問題について、まだある程度そういうような掘さく量といいますか、可能量があるにもかかわらず、それをいまとめてやるか、あるいは一定の猶予期間といいますか、やはり業者の人はそういうことで生計をやっておるということになれば、そういう猶予期間を持って、その後にきちっとした整備態勢を整えた上でやめてもらうとか、いまいろいろな問題があると思うのです。これは行政的なそういうような問題として、その個々の問題について取り扱っていきたいと考えます。われわれとするならばいま急に――もう全然取る余地がないということであれば別として、やはりある一定の猶予期間といいますか、そういうものは指示したほうがいいんじゃないか、こういうふうに考えます。
  36. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 採取許可していい状況かどうかという問題は、土石のある場所だけではなくて、それから相当の上流、下流ですね、その場所で掘ることが、上流からまた河床を削って下へ流れていく、流出する余地を残すわけですね。そういう点等があるわけですから、よほどこれは厳密にやらなきゃならぬと思うのです。  なお私は意見がありますが、きょうは質疑ですから、意見は保留して、私の質問はこれで終わります。
  37. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 金丸徳重君。
  38. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 今回提案の河川法は、あらためて申し上げるまでもなく、前国会において本院は一応通過いたしておるものであります。ただ、前といいますか、一応通過した河川法の審議の過程におきましては、いろいろ各方面から意見も出、最後には、社会党からも自民党からも修正案が出、そしてわが党の修正案は敗れたとはいいながら、これを相当部分取り入れておられたところの自民党の修正案が通過し、それからまた後に三党共同提案の附帯決議案も提出されて、可決、採択されておるのであります。今回御提案になりました河川法におきましては、この前国会における解義の状況及び修正意見あるいは附帯決議というようなものを、どの点で、どういうふうにお取り上げになっておられるか。これは要点だけでよろしゅうございますから、今後の審議の心がまえとして、承っておきたいと思います。
  39. 畑谷正実

    畑谷政府委員 河川法に対します先国会の修正案と附帯決議がございますが、修正案に対しましては、そのまま取り入れまして、今回の新しい河川法に織り込んでございます。   〔委員長退席、福永(一)委員長代理着席〕  それから附帯敬譲につきましては、第一点の洪水の、頻発する地域の治水対策の促進、こういう御趣旨に対しましては、四十年度から新たに新五カ年計画をつくりまして、これをもって現在の治山治水緊急措置法の変更をいたしたい、そういうふうに思っておるわけであります。そのときに、こういう御提案の趣旨を盛り込みまして、この修正案に入れる、こういうふうに考えております。それから、河川保全区域内における行為制限適用を受ける地域についての免税措置という問題であります。これについても十分検討はいたしましたが、現在の保全区域における行為制限の態様とか、あるいは同じような海岸保全地域とか、あるいは地すべり防止地域、こういうものとの関連もありまして、必ずしも非課税にするということは、この際そう簡単に割り切れないのでございますが、ただ保全区域内における行為の態様、そういうような状態から見まして、そういうような実態から、運営の面において、それに対する減免ですか、そういうような措置を実際に市町村に指導するということについては、自治省のほうとも打ち合わせば済んでおります。それから、流水の占用に対する建設大臣の許可とか、一級河川管理の委任の問題でございます。これは十分にその趣旨を採用いたしまして、政令に織り込んで実施をいたしたい。それから、最後の罰則の規定につきましても、十分検討いたしましたが、この罰則の規定につきましては、現在の法体系からいって、この程度でよろしかろうということで、これをそのまま新河川法に織り込んでおる、こういうようなことでございます。
  40. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 この提案された修正案及び附帯決議につきましては、ある点についてはお取り上げになっておるようでありますが、附帯決議の中で特に非常に重要だと――私ども当時零歳に関係しておらなかった、外から心配しておった者からいたしましても、非常に気になっておりましたところの洪水常襲地帯といいますか、特別に新河川法によって重視せられ、政策の重点がそのほうに向けられなければならないと思われるような地帯に対する、新河川法の心がまえというものがあらわれていないように思うのであります。この点についてはどういうお考えのもとに、この附帯決議の第二に強くうたわれておりますが、これをお取り上げにならなかったか。それともまた別の方法で何かの措置を講ずるお考えで取り上げられなかったのか、承りたい。
  41. 畑谷正実

    畑谷政府委員 この問題は、実際に新しい河川法によりまして、具体的にどういうような行為によってそういうことを実現していくか、という問題に尽きると私ども思っているわけであります。要すれば、そういうような趣旨を十分いわゆる基本計画の中に織り込みまして、それを実際に現地において実現するということで、私ども新治水五カ年計画を立てるにつきましても、そういう点で、実際の運営について十分配意をしていきたい、こういうふうに考えております。
  42. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 今度の河川法制定に当たっての大きなねらいは、治水に非常に力を入れるということであったはずなんであります。また、確かに水治まらずして国治まるはずもございませんので、そういう意味において、この河川法を新しくするという機会において、利水に力を入れ、従来の懸案を一挙に解決するというくらいの心がまえがあるようであります。審議過程における大臣の御答弁その他からいたしましても、それらの節が十分わかるのであります。しからば、法律にはそれは明らかにしておらぬけれども、政策の実施両においてそういう方向を強くとるということであれば、今度の三十九年度の予算、あるいはそろそろ始まるであろうところの四十年度以降の予算なんかにつきましては、どういうお考えをもってお進めになりますか、ひとつ伺いたい。
  43. 畑谷正実

    畑谷政府委員 私ども今度の三十九年度の予算につきましても、治水に対して力を抜いておるとは思っておらないわけであります。私どもから言うと、治水の事業というのはもっともっと伸ばしてまいりたいということは十分考えております。ですが、いろいろなそういう国家財政の面におきましても、決して比較してそう低くないというふうに考えておるわけでございます。ちょっと一例を申し上げますと、今年度の事業費の伸びは昨年度に比べて二一%、国費で二〇%、それから一昨年から昨年におきましては、これは事業費が二一%、国費が一九%それぞれ上回った率をもっておるわけであります。一応の治水対策事業費というものを、われわれといたしまして、決してこれで満足しているとは思いませんが、できるだけそういう点では伸ばしていきたいと思って努力しております。
  44. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 確かに予算の伸びはいまおっしゃられるようなことでありまして、伸びないとは申しかねる状況であります。しかしながら、これをそのほかの一般の政策の実施面から言うと、特に治水予算が非常に伸びたということは言えない。これを建設省の他の事業、たとえば道路事業あるいは住宅政策の面におきましても、こうしたものの伸びと比較いたしまして、あまりに治水予算の伸びが低いのではないかと思われるのであります。私はこれを昨日係の方からちょうだいいたしたのでありますが、これによりましても、昭和三十年度を一〇〇として見ますと、治水事業の伸びは三十九年度において三〇九となっておるわけであります。これが道路事業になりますと一三〇〇ということでありまして、その伸びの比較というものがあまりに懸隔がはなはだしいものがあるのであります。これは治水を根幹とするところの河川法を制定するこの段階におきましては、非常に遺憾の次第だと考えられるわけでありますが、これにつきましては、大臣がお見えになりましてから、大臣にお伺いすればよろしいのでありますが、大臣を補佐なさっておられる政務次官から、これらについてのいきさつ及び今後についての心がまえというようなものをお伺いいたしたいと思います。
  45. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 確かに金丸委員のおっしゃるとおりの数字でございます。私たちといたしましても、今後特にこの問題につきましてはでき得る限り内容を豊富にしたいということで考えておりますし、また努力もしておるのでありますけれども、ただ御承知のとおり、道路予算と比較いたしますと、道路予算は――河川と道路とどっちが重要だということになりますと、両方重要でありますけれども、特にわれわわれといたしましては、昭和三十九年度の五カ年計画によります道路に対しましては、皆様方の強い御要望もございますし、国民大衆の御要望もございますので、この意味におきまして、道路と河川と比較いたしますと、河川がやや劣っているように考えられますけれども、決して熱意におきましては変わりがないことを、ひとつ御承知おきを願いたいと思います。
  46. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 熱意をどうか予算面の実際にあらわしていただきまして、ほんとうに新河川法に魂が入るような御努力を、今後においてお願いいたしたいと思います。  次に私は、これも今後における審議の心がまえとしてお伺いいたすのでございますが、新河川法と旧河川法の違いの一番大事なところはどこにあるのか。これは時間の関係もありますから、要点だけでよろしいのでありますが、お示しをいただきたい。
  47. 畑谷正実

    畑谷政府委員 要点を申し上げますと、第一点は河川管理面上において、旧といいますか、現行河川法はもうすでに七十年を経過しまして、社会情勢に合っておらない。そういうような面を一応配慮して、現在までやっておりますいわゆる区間的な河川管理体制を改めまして、いわゆる広域的な、水系を一貫した河川管理体系に改めたい。それからもう一つは、御承知のとおりに、河川の流域が非常に開発されまして、特に水の利用、そういうような面が急速に大きくなっております。そういうようなことからかんがみまして、いわゆる治水と利水の総合的な河川管理というものを十分やってまいりたい、そういう二点であると思います。ただ実際の取り扱いにおきましては、河川区域内における私権の排除、あるいは現在まで全部府県知事が管理しておったものを、今度の河川法によって、重要な水系については建設大臣、その他は府県知事、こういうような河川管理体制に持っていくということもあります。大体そういう点がおもな改正の点であります。   〔福永(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  48. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 治水と利水との総合的な計画の中で河川管理を進めるということと、それから、水系一貫主義を堅持して、今後における河川管理の面について遺憾なきを期したい。これはなるほど旧河川法には見られなかった大事なところだと思われますが、もう一つねらわれなければならない点があったのではないかと私は思います。各条を見ますと、確かにそれらしい気配のものも見えるのでありまして、管理面において、管理態度において大いに民主的な態度があるのであります。従来の旧河川法が、多くの場合、制定当時の事情からいたしまして、権力主義的といいますか、権威主義的といいますか、付近の住民に対して非常に高圧的な面も多々あったように思われますが、それらをできるだけ緩和するというような点が出てくるようにも思われます。これらについてはどういう考え方でおったのか。
  49. 畑谷正実

    畑谷政府委員 お話のとおりに、現在の河川法においての管理というものが、そういうような時代を背景にしてできておったわけでありますが、実際問題の上におきまして、やはりいろいろ時代に沿わないような、管理に支障のあった面を取り入れまして、現状に合ったような管理体系にする、簡単に言えば、そういうようなことになると思います。
  50. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 次に進んでお伺いしたいのでありますが、水系一貫主義をとられる。これは総合的に管理の効果をあげようとする場合、一番いいことだと思われる。確かに提案の理由の中にも、水の高度利用をはかるため、水系を一貫した河川管理体系を確立する云々と書いてあります。これが大眼目だと思うのでありますが、ところがきて各条を見てみますと、この水系一貫主義は必ずしも一貫しておらない。何か区画主義といいますか、区分主義といいますか、こま切れにいっているように思われるのであります。この点についてはどういう御所信を持っておりますか。
  51. 畑谷正実

    畑谷政府委員 私ども、必ずしも水系一貫主義のそういう主張が貫かれていないとは考えておらないのであります。たとえてお話ししますと、一級水系についてはいまお話しのとおり、その間においていわゆる指定区間といいますか、知事委任区間というのがございまして、形式的には、そういうふうにして管理の一貫がしていない、こういう御指摘もあろうかと思いますが、御承知のとおりに、基本的に問題になります水系のいわゆる基本計画、これが基本になりまして、すべての工事の実施あるいは管理の体制というものを、この実施基本計画によって貫いており、これは管理者が厳然としてこれを管理する。それからもう一つ非常に大きな問題といたしまして、一定規模以上の広域的な見地からしなければならない水利権の許認可についても、これを建設大臣が水系一貫として運営しておる。あと残ります小さい行政的な問題、あるいは基本計画にのっとりました個々の場所の工事維持とか、あるいは土石採取とか、あるいは土地の占使用とか、そういうものについては、一定区間について、それぞれの所属の知事さんに指定区間に指定してもらいますが、水系一貫としての基本計画、それから水利調整というものについては、水系としての一貫性を貫いておる、こういうふうに考えております。
  52. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 理想とするところの、水系一貫主義をできるだけ貫きたいという気持ちを堅持なさる、こういうことに承ってよろしいのですね。  そこで、私は次に進んで、水系一貫主義を堅持しなければならないがゆえに、お伺いいたしたいのでありますが、一体河川法にいう河川とは何をおさしになっておられるか。道路法第三条には、道路とはといって、道路の定義をあげております。前の河川法にもなかったのでありますが、今回の河川法にも、そういう道路法第三条的な言い方をもってする、河川についての定義はないように思うのであります。これについては、どういうお考えでこういうことになっておるのか、伺いたいと思います。
  53. 畑谷正実

    畑谷政府委員 河川というのは、非常にむずかしい問題かもしれませんけれども、一応新しい河川法には、この四条に、「一級河川」とは、「政令で指定したものに係る河川」としまして、「公共の水流及び水面をいう。」これは定義ではございませんが、こういうことが言われております。しかし、実際に、河川というのは常識的にこういうものであろうということはある程度つかめます。ただそれをどういうふうに認定し、どういうふうに取り扱っていくかという問題になろうかと思います。河川といいますと、やはりその中に構成されるものは、流水、それから地積、いわゆる川敷きといいますか、この混合体からなっておる。それを現在の河川法におきましては、公共に重要な影響のあるものについて認定したものをいう。それから今度の新しい河川法によりまして、いわゆる河川区域というものをそれぞれ指定することになっております。  それからもう一つは、河川の内容といたしまして、現在の河川法によりますと、いわゆる河川として指定したものについては私権の存在を認めている。それから新しい河川法によりますと、敷地においては、所有権も排除しないで認めておる、こういうような取り扱いになっておる、こういうように考えております。
  54. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 河川は、非常にむずかしいので、定義をあげるわけにはなかなかいかないというように受け取れたのであります。ただ、なるほど第四条には、河川とは、「公共の水流及び水面をいう。」というふうに、やや河川というものを定義づけんとした節も見えるのでありますが、ただ、私も実は河川法を勉強いたす過程におきましてすぐ行き詰まったのは、一体何を河川といっておるのかということでございます。道路法がはっきりぴしゃっときめてあるように、河川はそういうふうにきめられなかったからきめなかったのか、きめることによってかえって問題を起こすからきめなかったのか、実のことを言いますと、本法において、河川とは、一級河川及び二級河川をいうのだというような言い方をしておる。一級河川とは何かということは、一級河川は建設大臣が指定する、二級河川については都道府県知事がこれを指定するというふうにいっておる。だから指定するまでは河川の実体がない。実体がないのに、それを取り締まる規定、それを管理する規定、それを利用する規定が出てくるのですから困ってしまったわけなんです。もう少し、読んでいく間に実体がはっきりするようなものの言い方というものができなかったかどうかということであります。これは技術上と言いますかあるいは用語上、むずかしいと言われればそれまででありますが、外国の立法例でも、そういうふうなばく然とした言い方をしておるものでございますか。どこかにははっきりした定義をいたして、その定義の中で、それぞれの規定を進めていっているところもあるのではないかと思いますが、これはいかがでございますか。時間がありませんので、あまりこれについてこだわっておってはいけないのでありますが、一応大事なことでありますから、河川局、建設大臣が考えられるところの河川とは何であるかということを、ここでお示しをいただくだけでも、今後において審議を進める上においてたいへん便利だと思いますので、ひとつお願いをいたします。
  55. 畑谷正実

    畑谷政府委員 お話しのとおりでございまして、まあ概念的には、河川というものは、われわれだれもが浮かんでくると思います。山間地帯に雨が降りまして、それが自然の状態に下流に流れてきまして、それが陥没地と言いますか、一つの水の流れといたしまして海に注ぐわけでございます。そういう実体から、河川という概念は当然つかめると思います。ただいわゆる河川法とかそういうものをもって、これを行政的にある程度の規制をするということになると、その範囲をどうするかという問題になろうかと思います。したがいまして、この実体的に認定する範囲の問題指定する問題、それによって河川のいわゆる区域というものをやる、概念的には河川というものは十分おわかりになる、ただこういう認定規制によって、その河川という実体を置く、この間でそういうように考えるのだというような考えで進んでおります。こういうふうに考えます。
  56. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 第四条に、いうところの河川とは、カッコしてあります。何かえらい遠慮しいしいものを言っているような形があるのでありますが、しかしこれが定義だと言えば言えぬこともない、そう受け取れるのでありますが、一応そのように受け取っていってよろしゅうございますか、念のため。
  57. 畑谷正実

    畑谷政府委員 これはもう、必ずしも河川の的確な定義というふうには考えておらない。ここに書いてあります公共という意味一つ問題がある。それから水流とか水面とか、そういう中には湖沼も入りますけれども、そういう一つの概念というふうに考えております。
  58. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 あれが一応の基準になると思ったのですが、あれはそうも言えないのだということになると、一そう困っているわけであります。ここでそれでは具体的に、たとえば運河、放水路、湖沼だとかあるいは遊水池、私がこれからまた別の機会にお伺いしたいと思っておりますのは、水は全然通っておらぬけれども、川の形態をしておるというものがあるわけでありますね。ただ洪水のときは一年に一度通るかどうかわからぬような水である。しかしそれはりっぱな川として扱いをされる。むしろそれこそが、こうした川こそが、河川法の非常に重視しなければならない川である。しかしそこには流水はない、というようなものも、河川法のいうところの河川であろう、こう思うのでありますが、そういうようなものについて、何かこうすっとわかるようなものの言い方を実はお示しを願って、それからお伺いを進めてまいりたかったのでありますが、これができないとしますれば、どうすることも――これは時間もだんだんなくなりますから、省略いたします。逐条的にまいるときに、お伺いすることにいたします。  ただここで一つお伺いいたしたいのは、先ほど中嶋委員の御質疑の中にも出てまいったのでありますが、伏流水についてはどういうふうにお取り扱いなさるつもりでありましょうか。
  59. 畑谷正実

    畑谷政府委員 伏流水については、一応河川流水というように私ども考えている次第であります。      ――――◇―――――
  60. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 両案に対する質疑中でありますが、ただいま河野建設大臣が御出席になりましたので、去る三日本委員会に付託になりました、内閣提出土地収用法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
  61. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 まず、本案について政府から提案理由の説明を聴取いたします。河野建設大臣。
  62. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま議題となりました土地収用法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明いたします。  最近における公共事業に必要な用地の取得は、事業量の著しい増大に伴い種々の困難が生じております。このような公共事業の用地取得難を打開し、公共事業を円滑、かつ、迅速に施行するためには、地価対策その他総合的な施策を必要とすることは申すまでもないところでありますが、公共用地の取得制度自体についても検討を加えました結果、収用委員会の機構、収用対象の範囲、収用手続その他の点についてさらに整備を要する点があると考えられますので、今回この法律案によりまして、土地収用法、公共用地の取得に関する特別措置法及び都市計画法の一部を改正することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、収用委員会を充実強化するため、政令で定める都道府県においては常勤の委員を置くことができることとし、地方公共団体の長、議会の議員及び常勤の職員は、委員と兼職ができないようにいたしますとともに、収用委員会の事務を整理させるための専任の職員を置くことができることといたしております。  第二に、収用手続を簡易、かつ、迅速に進めることができるようにするため、従来は特別措置法の対象事業に限って認められていた土地物件調書の作成等に関する特別の措置を、一般の土地収用法に取り入れることにいたしました。  第三に、特に緊急を要する特定公共事業の用地を迅速に確保するため、起業者から緊急裁決の申し立てがあった後、収用委員会は、二カ月以内に裁決しなければならないものとし、この期間内に緊急裁決が行なわれない場合におきましては、建設大臣が裁決を代行し得る方途を設けることにいたしております。  第四に、最近における公共事業の実施の状況にかんがみまして、特別措置法に列記されている事業と同程度の緊急性、公共性のある事業で、政令で定めるものを特定公共事業とすることができることにいたしております。  第五に、海底を公共事業の用に供する場合において、漁業権等が収用の対象になることを明らかにし、また、土地所有者等の間に権利の帰属について争いがあって、裁決の相手方がわからない場合における裁決の方法を明確化する等、所要の改正措置を講ずることにいたしております。  第六に、現行都市計画法では、都市計画事業についての収用に関しては、主務大臣の行なう裁定と収用委員会の行なう補償裁決に分かれておりますのを、すべて収用委員会が裁決を行なうものとするよう、都市計画法の一部を改正することにいたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げる次第であります。
  63. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ――――◇―――――
  64. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 それでは、河川法案及び河川法施行法案の両案に対する質疑を続行いたします。金丸君。
  65. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 いまの河川局長の御答弁で、伏流水も水流である、こういうことでございます。それはこの河川法のどこに出てくることでございますか。
  66. 畑谷正実

    畑谷政府委員 別に、河川法にそういうことははっきり明示はしておりませんが、いわゆる河川区域内におきまして、そういう伏流になりまして、また河川の下側に出てくる、こういう実態が現にございまして、そういうものを総合して河川の水流としての考えを持ち、管理をしていかなければならない、こういうふうに考えます。
  67. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 非常にデリケートな地下のことでありますから、よほどはっきり明示しておきませんと、問題がこんがらがってきやせぬかということを思うのであります。先ほどの実例でもあらわれておりまするように、河川付近地と申しますか、旧法で付近地、新法では何といいますか、河川保全地域ですか、保全地域内に指定された地区においては、まあ、いいかどうかは別といたしまして、とにかくその心がまえはあると思いますが、さらに離れたところで、何かの工事をし、その他進めてみたら、そこに大きな伏流水がある、それは公共の水流であり、ゆえに河川であるということになってまいるというと、その地域全体が実は河川敷地たるべきものであった、というようなことになってこないとも限らぬのであります。こういうことについて、新河川法では何ら明文的にいっておりません。したがって、河川台帳をつくる場合におきまして、ぼんやりしておるんじゃないかと思うのであります。これについてはどういうふうに御処理なさるつもりですか、お伺いします。
  68. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまのお話で、伏流水地下水という問題の定義になろうと思うのです。まあ地下水の問題ということになりますると、これはいまお話しのとおりに、河川堤防の下をずっと通りまして、いろんな市街地にしましても、付近にしましても、地下水でつながっているという問題がございますので、この地下水については、河川法としては対象的に考えてございません。概念的に伏流水といいますと、いわゆる河床の中において、一部いろんな土質や何かの関係地下にもぐりまして、また川の中に出る、こういうものを対象に考えて、そういうものを一貫して管理していく、こういうふうに考えております。
  69. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 一般的にいいますと、まさにそうであろうと思います。伏流水は、多くの場合、河川区域内を流れておると思われるのでありますが、しかし例外的には、たとえば扇状地帯などにおきましては、伏流的には、表にある河川区域外のかなり遠くのほうを流れていく現実がある。これはもう実例として河川局長お持ちになっておられると思うのであります。こういうものについて問題が起ころうかと思うのであります。したがって、そういう例
  70. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 まず、本案について政府から提案理由の説明を聴取いたします。河野建設大臣。
  71. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま議題となりました土地収用法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明いたします。  最近における公共事業に必要な用地の取得は、事業量の著しい増大に伴い種々の困難が生じております。このような公共事業の用地取得難を打開し、公共事業を円滑、かつ、迅速に施行するためには、地価対策その他総合的な施策を必要とすることは申すまでもないところでありますが、公共用地の取得制度自体についても検討を加えました結果、収用委員会の機構、収用対象の範囲、収用手続その他の点についてさらに整備を要する点があると考えられますので、今回この法律案によりまして、土地収用法、公共用地の取得に関する特別措置法及び都市計画法の一部を改正することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、収用委員会を充実強化するため、政令で定める都道府県においては常勤の委員を置くことができることとし、地方公共団体の長、議会の議員及び常勤の職員は、委員と兼職ができないようにいたしますとともに、収用委員会の事務を整理させるための専任の職員を置くことができることといたしております。  第二に、収用手続を簡易、かつ、迅速に進めることができるようにするため、従来は特別措置法の対象事業に限って認められていた土地物件調書の作成等に関する特別の措置を、一般の土地収用法に取り入れることにいたしました。  第三に、特に緊急を要する特定公共事業の用地を迅速に確保するため、起業者から緊急裁決の申し立てがあった後、収用委員会は、二カ月以内に裁決しなければならないものとし、この期間内に緊急裁決が行なわれない場合におきましては、建設大臣が裁決を代行し得る方途を設けることにいたしております。  第四に、最近における公共事業の実施の状況にかんがみまして、特別措置法に列記されている事業と同程度の緊急性、公共性のある事業で、政令で定めるものを特定公共事業とすることができることにいたしております。  第五に、海底を公共事業の用に供する場合において、漁業権等が収用の対象になることを明らかにし、また、土地所有者等の間に権利の帰属について争いがあって、裁決の相手方がわからない場合における裁決の方法を明確化する等、所要の改正措置を講ずることにいたしております。  第六に、現行都市計画法では、都市計画事業についての収用に関しては、主務大臣の行なう裁定と収用委員会の行なう補償裁決に分かれておりますのを、すべて収用委員会が裁決を行なうものとするよう、都市計画法の一部を改正することにいたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げる次第であります。
  72. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ――――◇―――――
  73. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 それでは、河川法案及び河川法施行法案の両案に対する質疑を続行いたします。金丸君。
  74. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 いまの河川局長の御答弁で、伏流水も水流である、こういうことでございます。それはこの河川法のどこに出てくることでございますか。
  75. 畑谷正実

    畑谷政府委員 別に、河川法にそういうことははっきり明示はしておりませんが、いわゆる河川区域内におきまして、そういう伏流になりまして、また河川の下側に出てくる、こういう実態が現にございまして、そういうものを総合して河川の水流としての考えを持ち、管理をしていかなければならない、こういうふうに考えます。
  76. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 非常にデリケートな地下のことでありますから、よほどはっきり明示しておきませんと、問題がこんがらがってきやせぬかということを思うのであります。先ほどの実例でもあらわれておりまするように、河川付近地と申しますか、旧法で付近地、新法では何といいますか、河川保全地域ですか、保全地域内に指定された地区においては、まあ、いいかどうかは別といたしまして、とにかくその心がまえはあると思いますが、さらに離れたところで、何かの工事をし、その他進めてみたら、そこに大きな伏流水がある、それは公共の水流であり、ゆえに河川であるということになってまいるというと、その地域全体が実は河川敷地たるべきものであった、というようなことになってこないとも限らぬのであります。こういうことについて、新河川法では何ら明文的にいっておりません。したがって、河川台帳をつくる場合におきまして、ぼんやりしておるんじゃないかと思うのであります。これについてはどういうふうに御処理なさるつもりですか、お伺いします。
  77. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまのお話で、伏流水地下水という問題の定義になろうと思うのです。まあ地下水の問題ということになりますると、これはいまお話しのとおりに、河川堤防の下をずっと通りまして、いろんな市街地にしましても、付近にしましても、地下水でつながっているという問題がございますので、この地下水については、河川法としては対象的に考えてございません。概念的に伏流水といいますと、いわゆる河床の中において、一部いろんな土質や何かの関係地下にもぐりまして、また川の中に出る、こういうものを対象に考えて、そういうものを一貫して管理していく、こういうふうに考えております。
  78. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 一般的にいいますと、まさにそうであろうと思います。伏流水は、多くの場合、河川区域内を流れておると思われるのでありますが、しかし例外的には、たとえば扇状地帯などにおきましては、伏流的には、表にある河川区域外のかなり遠くのほうを流れていく現実がある。これはもう実例として河川局長お持ちになっておられると思うのであります。こういうものについて問題が起ころうかと思うのであります。したがって、そういう例
  79. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 まず、本案について政府から提案理由の説明を聴取いたします。河野建設大臣。
  80. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま議題となりました土地収用法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明いたします。  最近における公共事業に必要な用地の取得は、事業量の著しい増大に伴い種々の困難が生じております。このような公共事業の用地取得難を打開し、公共事業を円滑、かつ、迅速に施行するためには、地価対策その他総合的な施策を必要とすることは申すまでもないところでありますが、公共用地の取得制度自体についても検討を加えました結果、収用委員会の機構、収用対象の範囲、収用手続その他の点についてさらに整備を要する点があると考えられますので、今回この法律案によりまして、土地収用法、公共用地の取得に関する特別措置法及び都市計画法の一部を改正することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、収用委員会を充実強化するため、政令で定める都道府県においては常勤の委員を置くことができることとし、地方公共団体の長、議会の議員及び常勤の職員は、委員と兼職ができないようにいたしますとともに、収用委員会の事務を整理させるための専任の職員を置くことができることといたしております。  第二に、収用手続を簡易、かつ、迅速に進めることができるようにするため、従来は特別措置法の対象事業に限って認められていた土地物件調書の作成等に関する特別の措置を、一般の土地収用法に取り入れることにいたしました。  第三に、特に緊急を要する特定公共事業の用地を迅速に確保するため、起業者から緊急裁決の申し立てがあった後、収用委員会は、二カ月以内に裁決しなければならないものとし、この期間内に緊急裁決が行なわれない場合におきましては、建設大臣が裁決を代行し得る方途を設けることにいたしております。  第四に、最近における公共事業の実施の状況にかんがみまして、特別措置法に列記されている事業と同程度の緊急性、公共性のある事業で、政令で定めるものを特定公共事業とすることができることにいたしております。  第五に、海底を公共事業の用に供する場合において、漁業権等が収用の対象になることを明らかにし、また、土地所有者等の間に権利の帰属について争いがあって、裁決の相手方がわからない場合における裁決の方法を明確化する等、所要の改正措置を講ずることにいたしております。  第六に、現行都市計画法では、都市計画事業についての収用に関しては、主務大臣の行なう裁定と収用委員会の行なう補償裁決に分かれておりますのを、すべて収用委員会が裁決を行なうものとするよう、都市計画法の一部を改正することにいたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げる次第であります。
  81. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ――――◇―――――
  82. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 それでは、河川法案及び河川法施行法案の両案に対する質疑を続行いたします。金丸君。
  83. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 いまの河川局長の御答弁で、伏流水も水流である、こういうことでございます。それはこの河川法のどこに出てくることでございますか。
  84. 畑谷正実

    畑谷政府委員 別に、河川法にそういうことははっきり明示はしておりませんが、いわゆる河川区域内におきまして、そういう伏流になりまして、また河川の下側に出てくる、こういう実態が現にございまして、そういうものを総合して河川の水流としての考えを持ち、管理をしていかなければならない、こういうふうに考えます。
  85. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 非常にデリケートな地下のことでありますから、よほどはっきり明示しておきませんと、問題がこんがらがってきやせぬかということを思うのであります。先ほどの実例でもあらわれておりまするように、河川付近地と申しますか、旧法で付近地、新法では何といいますか、河川保全地域ですか、保全地域内に指定された地区においては、まあ、いいかどうかは別といたしまして、とにかくその心がまえはあると思いますが、さらに離れたところで、何かの工事をし、その他進めてみたら、そこに大きな伏流水がある、それは公共の水流であり、ゆえに河川であるということになってまいるというと、その地域全体が実は河川敷地たるべきものであった、というようなことになってこないとも限らぬのであります。こういうことについて、新河川法では何ら明文的にいっておりません。したがって、河川台帳をつくる場合におきまして、ぼんやりしておるんじゃないかと思うのであります。これについてはどういうふうに御処理なさるつもりですか、お伺いします。
  86. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまのお話で、伏流水地下水という問題の定義になろうと思うのです。まあ地下水の問題ということになりますると、これはいまお話しのとおりに、河川堤防の下をずっと通りまして、いろんな市街地にしましても、付近にしましても、地下水でつながっているという問題がございますので、この地下水については、河川法としては対象的に考えてございません。概念的に伏流水といいますと、いわゆる河床の中において、一部いろんな土質や何かの関係地下にもぐりまして、また川の中に出る、こういうものを対象に考えて、そういうものを一貫して管理していく、こういうふうに考えております。
  87. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 一般的にいいますと、まさにそうであろうと思います。伏流水は、多くの場合、河川区域内を流れておると思われるのでありますが、しかし例外的には、たとえば扇状地帯などにおきましては、伏流的には、表にある河川区域外のかなり遠くのほうを流れていく現実がある。これはもう実例として河川局長お持ちになっておられると思うのであります。こういうものについて問題が起ころうかと思うのであります。したがって、そういう例
  88. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 まず、本案について政府から提案理由の説明を聴取いたします。河野建設大臣。
  89. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま議題となりました土地収用法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明いたします。  最近における公共事業に必要な用地の取得は、事業量の著しい増大に伴い種々の困難が生じております。このような公共事業の用地取得難を打開し、公共事業を円滑、かつ、迅速に施行するためには、地価対策その他総合的な施策を必要とすることは申すまでもないところでありますが、公共用地の取得制度自体についても検討を加えました結果、収用委員会の機構、収用対象の範囲、収用手続その他の点についてさらに整備を要する点があると考えられますので、今回この法律案によりまして、土地収用法、公共用地の取得に関する特別措置法及び都市計画法の一部を改正することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、収用委員会を充実強化するため、政令で定める都道府県においては常勤の委員を置くことができることとし、地方公共団体の長、議会の議員及び常勤の職員は、委員と兼職ができないようにいたしますとともに、収用委員会の事務を整理させるための専任の職員を置くことができることといたしております。  第二に、収用手続を簡易、かつ、迅速に進めることができるようにするため、従来は特別措置法の対象事業に限って認められていた土地物件調書の作成等に関する特別の措置を、一般の土地収用法に取り入れることにいたしました。  第三に、特に緊急を要する特定公共事業の用地を迅速に確保するため、起業者から緊急裁決の申し立てがあった後、収用委員会は、二カ月以内に裁決しなければならないものとし、この期間内に緊急裁決が行なわれない場合におきましては、建設大臣が裁決を代行し得る方途を設けることにいたしております。  第四に、最近における公共事業の実施の状況にかんがみまして、特別措置法に列記されている事業と同程度の緊急性、公共性のある事業で、政令で定めるものを特定公共事業とすることができることにいたしております。  第五に、海底を公共事業の用に供する場合において、漁業権等が収用の対象になることを明らかにし、また、土地所有者等の間に権利の帰属について争いがあって、裁決の相手方がわからない場合における裁決の方法を明確化する等、所要の改正措置を講ずることにいたしております。  第六に、現行都市計画法では、都市計画事業についての収用に関しては、主務大臣の行なう裁定と収用委員会の行なう補償裁決に分かれておりますのを、すべて収用委員会が裁決を行なうものとするよう、都市計画法の一部を改正することにいたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げる次第であります。
  90. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ――――◇―――――
  91. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 それでは、河川法案及び河川法施行法案の両案に対する質疑を続行いたします。金丸君。
  92. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 いまの河川局長の御答弁で、伏流水も水流である、こういうことでございます。それはこの河川法のどこに出てくることでございますか。
  93. 畑谷正実

    畑谷政府委員 別に、河川法にそういうことははっきり明示はしておりませんが、いわゆる河川区域内におきまして、そういう伏流になりまして、また河川の下側に出てくる、こういう実態が現にございまして、そういうものを総合して河川の水流としての考えを持ち、管理をしていかなければならない、こういうふうに考えます。
  94. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 非常にデリケートな地下のことでありますから、よほどはっきり明示しておきませんと、問題がこんがらがってきやせぬかということを思うのであります。先ほどの実例でもあらわれておりまするように、河川付近地と申しますか、旧法で付近地、新法では何といいますか、河川保全地域ですか、保全地域内に指定された地区においては、まあ、いいかどうかは別といたしまして、とにかくその心がまえはあると思いますが、さらに離れたところで、何かの工事をし、その他進めてみたら、そこに大きな伏流水がある、それは公共の水流であり、ゆえに河川であるということになってまいるというと、その地域全体が実は河川敷地たるべきものであった、というようなことになってこないとも限らぬのであります。こういうことについて、新河川法では何ら明文的にいっておりません。したがって、河川台帳をつくる場合におきまして、ぼんやりしておるんじゃないかと思うのであります。これについてはどういうふうに御処理なさるつもりですか、お伺いします。
  95. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまのお話で、伏流水地下水という問題の定義になろうと思うのです。まあ地下水の問題ということになりますると、これはいまお話しのとおりに、河川堤防の下をずっと通りまして、いろんな市街地にしましても、付近にしましても、地下水でつながっているという問題がございますので、この地下水については、河川法としては対象的に考えてございません。概念的に伏流水といいますと、いわゆる河床の中において、一部いろんな土質や何かの関係地下にもぐりまして、また川の中に出る、こういうものを対象に考えて、そういうものを一貫して管理していく、こういうふうに考えております。
  96. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 一般的にいいますと、まさにそうであろうと思います。伏流水は、多くの場合、河川区域内を流れておると思われるのでありますが、しかし例外的には、たとえば扇状地帯などにおきましては、伏流的には、表にある河川区域外のかなり遠くのほうを流れていく現実がある。これはもう実例として河川局長お持ちになっておられると思うのであります。こういうものについて問題が起ころうかと思うのであります。したがって、そういう例外のものが問題になるわけですから、それについての規制の方法を考えておかなければいかぬのじゃないか、こう思うからお尋ねいたしておるのであります。
  97. 畑谷正実

    畑谷政府委員 確かにそういうような事態、たとえば堤防の下あるいは堤防付近に沿って伏流水のような、そういう水流の地下の形態があって、また河川敷に出る、こういうものは当然あろうと思います。もちろんそういうものをも含めまして、そういうものが水系として、河川流水として支障があるならば、それに従った規制をし、いろんな河水利用の問題についても、合法的にそういうものをどういうふうにして処理するかという、工事計画にそれを織り込んで、そういうものを管理していきたい、こういうように考えます。
  98. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 これにつきましては、いろいろ意見も出てまいると思います。逐条的に零歳を進める上におきまして、またお伺いをいたすことといたしますが、ただ私はそういうことも考えますだけに、今度の河川法におきましては、台帳の取り扱いを非常に重視されておりますが、まさに私はそうでなければならないと思います。先ほどのお答えにもありましたように、河川台帳の作成は急ぐということであります。したがって、その河川台帳の作成を急ぐ過程におきましては、いまのような調査も進められ、後日において問題がないような措置を講じておかれなければならないと思うのでありますが、これはまあそのときに公示し、これは河川区域である、これは河川保全区域である、これは河川予定地であるというふうにしっかりと、付近の住民がその生産なり住宅なりに、安心感を持って、計画が進められるような措置は講じておいてもらわなければならぬと思いますが、それだけに、河川台帳については相当の用意、たとえば予算にいたしましても、あるいは人的の用意にいたしましても、持っていなければならないと思うのであります。先ほどは一刻も早くということを言われました。一刻も早く、急げば急ぐだけ、その用意というものは万全を期して進められなければならないと思うのでありますが、これについてはどういうふうな御用意を進められておりますか。
  99. 畑谷正実

    畑谷政府委員 先ほどもお話ししましたとおりに、河川台帳には河川現況台帳水利台帳、こういうふうな二つのものがあります。この二つには、それぞれ図面その他が添付されるわけでございますが、いわゆる河川の現況といいますと、河川区域あるいは河川施設、そういうもの、それからいまお話しの水利関係のいろいろなもの、これを整備するわけでございます。現行河川法河川台帳といいますと、先ほどお話ししましたとおりに、公証力のあるものでございますので、これが取り扱いには非常に慎重な調査検討が要るわけでございますが、今度の新しい河川法によりますと、ただ現在のある状態をそのまま河川台帳としてつくり、図面としてつくるということで、先ほどお話ししましたとおりに、これは急速に整備できると思います。また予算的にも、今度の新しい河川法の制定と同時に、そういうものの整備についての予算を十分織り込んでいきたい、こう思っております。予算的にも十分そういうような面を織り込んで、五カ年計画としての発足をいたしたい、こういうように思っております。
  100. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 いまの、予算的御考慮を大いに払われるということについては、よくわかるのでありますが、それは、実際河川台帳をつくられるのは、建設省もおやりになるでありましょうが、地方庁もやる。それから百条でありますか、準用河川につきましては、市町村長もやられることになると思うのであります。そうしますと、その方面への用意というものはどういうふうにお考えになっておられますか。市町村などについて、台帳をつくらなければならない、つくったほうがよろしいとなっても、それについての用意がないために、河川台帳がおくれてくる。そのために、台帳がはっきりしないがゆえに、問題が起きるということがあってはいけないと思う。ですから、地方建設局に対してはどういう指導方針をとって、今後地方の財政価における欠陥なり不足なりを補っていくために、自治省あるいはその他と折衝なさるお考えでありますか。
  101. 畑谷正実

    畑谷政府委員 一級河川につきましては、これは建設大臣がやるわけでございますが、それによって予算はとってあります。それから二級河川につきましては、これは管理者都道府県知事でございますから、都道府県の費用負担、こういうことになっております。ただ、先ほどお話しのとおり、いままでの河川台帳と違いまして、実情をそのまま記載しそのまま整理する、こういうことでございますから、したがいまして、それに対する検討とかそういうような慎重な態度をとるための予算といういままでとは違って、平易に進んでいく、もちろんわれわとしても、そういう台帳の作成、整備については指導していきたい、こういうふうに思っております。
  102. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 新河川法が治水、治山に大いに力を入れるということを眼目に置いて進められておることを信じまして、次に質問を進めたいのでありますが、旧河川法におきましては、第四十五条でありますが、付近土地所有者に水害予防義務が規定されております。読み上げます。「河川付近土地若ハ工作物ノ所有者ハ命令ノ規程ニ依リ行政庁ノ命スル所ニ従ヒ其ノ土地ノ欠壊若ハ土砂流出ヲ予防スル為又ハ其ノ工作物」云々ということに規定されておりまして、上のほうで土地を持っておる者は、下流のほうに災害を及ぼさないために、相当の義務を背負わされておったのでございます。新河川法におきましては、こういう考え方というものはどこかに出ておるのでしょうか。それとも、これは心要ないと考えてお削りになったのかどうか、その点伺いたい。
  103. 畑谷正実

    畑谷政府委員 こういう運営の取り扱いにおいては、新しい河川法によりましても、やはり河川付近の人たちがそういう予防義務を負うということについては、同じように考えております。
  104. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 同じように考えておられても、旧河川法にあったものが削られておるということは、そういうものがなくなるということに解釈せざるを得ないということになりましょう。
  105. 畑谷正実

    畑谷政府委員 第四節の第五十四条の河川保全区域というのがありまして、これは一定区域におきまして、そういう河川工作物に支障がある場合に、そういう一つ規制をしておるわけであります。そういうような規制によって、一つの予防義務というものを負ってもらう、こういうような考えにしております。
  106. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 河川保全区域というのは、これは第五十二条ですか、はっきり言っておりますように、堤防なら堤防の敷地から五十メートルという横に考えられた地域です。この旧河川法の四十五条及び四十六条の規定は、はるか上流の土地所有者に対する義務なんですね。ですから河川保全区域にあるところの土地所有者の義務とは全く違う。性質においても違うし、内容においても違うと私は思うのですが、これはどういうふうなことになるのでしょうか。
  107. 畑谷正実

    畑谷政府委員 確かに前の河川法によりますと、四十五条、四十六条等について、そういう土砂流出の土地の所有者の義務が書いてございますが、今回の河川法におきましては、そういうようなものにつきましては、砂防法によりまして、そういう調整をはかって、そちらのほうでそういう管理態勢をしてもらう、こういうように考えております。
  108. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私も、あるいはそういうことででもあろうかと思ったのです。しかし、それでは、砂防法制定当時に、もう旧河川法の四十五条、四十六条は要らない状態になっている、いまのような御解釈であるならば、要らなかった、だから砂防法制定のときに削られなければならなかったのを、砂防法があったにもかかわらず、いまの四十五条、四十六条がとどまったとするならば、砂防法は砂防法であるが、河川法河川法で、四十五条、四十六条の存在価値を認めて、今日まできたと思うのであります。それが今度の河川法制定の際に削られたということについては、砂防法制定とは別の何か理由がないと、つじつまが合わぬように思うのですが、いかがですか。
  109. 畑谷正実

    畑谷政府委員 今度の新しい河川法の要旨と言いますか、いままでの区間主義というものを改めまして、区間区間の管理、区間区間のいろいろな行政措置を改めまして、水系一貫として、上流から海に至るまでの一つの連続水系としての管理体制をしく、そういう  一つ工事実施基本計画というものをつくるにあたりまして、関連する砂防法というようなものとの関連を十分密に考えた上で、そういうような水系一貫主義をとって、その間にそごはない、こういうふうな思想でもって、一応この案を制定して、砂防法は砂防法として、そういうことをし、同時にそういうものが水系一貫としての調和のとれた官理体制をしいていきたい、こういうことで考えておるわけであります。
  110. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 砂防法には、砂防法が適用される地域がある。これは常識的に見ますれば、かなり上流の山間地帯と思われる。ところがそういう上流でなくて、中流地帯において、旧河川法の四十五条、四十六条が必要なところが出てまいるように思う。これは全国的に見ればきわめて少ないかもしれませんが、むしろそういうときにおいてこそ、この条文があったほうがいいように思う。大体、新河川法水系一貫主義をとっておればおるだけ、上流における治山治水体系というものを、あるいは中流における治水の条件というものを、下流のためにもっと整えておかなければならないという意味におきまして四十五条、四十六条にかわるべき条文というものがほしいように思うのであります。これについては、今後さらに審議を進める中において検討をお願いするわけでありますが、こうした気持ちは全然必要を認めなかったということではなかったということだけははっきりしてよろしゅうございますか。
  111. 畑谷正実

    畑谷政府委員 はい。
  112. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私のお伺いしたいのは、これが要らない、あるいはかえって害があるということで削ったわけではなくて、削ったのは削ったけれども、多くの場合は砂防法で間に合うからということで削ったのである、したがって、今後の実際問題として、砂防法で間に合わないような事態が予想されるといたしますならば、この四十五条、四十六条の規定はどこかに生かすという必要がある、こういうことについては御確認願えますか。
  113. 畑谷正実

    畑谷政府委員 さようでございます。
  114. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 それではもう少しお伺いしたいのでありますが、この河川管理につきましては、河川付近の住民の協力というものが非常に大切であるということ、これは旧河川法でも盛んに各方面に出てまいりました。新河川法におきましても、たとえば、緊急非常な事態におきましては、付近住民の協力を求める、あるいは資材の提供を求めるということになっております。私は、河川というものの管理上において、ますますそれは必要なことであろうかと思います。付近の住民も、非常災害などにつきましては、快く協力いたすと思うのでありますが、それだけに河川管理の面におきましては、付近住民のためにできるだけの便益、利益を与えるような方法をとらなければなるまいと思います。最初に私がお伺いをいたしましたように、旧河川法が今度直される一つの点は、権威主義、権力主義によって、まあいってみますれば、公共の利益のためであるならば、切り捨てごめん、沿岸住民の利益は無視されてもしかたがないのだというふうに規定されておったのが、今度は、できるだけ付近住民の利益を考慮しながら、あるときには損害に対して補償をし、あるときには予定される所有権の制限に対して、その復旧を管理者に負わしておる。それから都道府県知事の意見を聞くとか、河川審議会の意見を求めるとかいうふうな手続を踏む、その心持ちは、切り捨てごめんでなくて、付近住民の利益の保護を求め、便益を増したいという気持ちに出ておる、こう想像いたすのでございます。そこで、そういう立場に立って見てみますと、旧河川法の四十四条には、「河川敷地ノ公用ヲ廃シタルトキハ地方行政庁ハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ之ヲ処分スヘシ」とある。そのただし書きが問題です。「但シ此ノ法律施行前私人ノ所有権ヲ認メタル証跡アルトキハ其ノ私人ニ下付スヘシ」、こういう規定がございます。これに相当すべき規定が新河川法には見つからない。これは、旧河川法の制定当時と今度の改正のときとでは、条件も違いますから、この規定は要らないのだ、こういうことであろうと思う。確かに実質的には要らないかもしれません。しかし気持ちの点からいいますれば、私はこれは非常に大切なところだと思う。河川敷の処分につきましては、できるだけ付近の住民の便益のために、付近住民の利益に沿うように取り扱うべきではないか。これは河川管理上、付近住民の協力を得なければならないという根本的なねらいがあるがゆえに、廃川敷の解除その他については、付近住民の便益を優先的に考えるようにすべきではないか、こう思うのであります。これについては、河川局としてはどういう能一度をおとりになるのか。
  115. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いままでの河川法の体系によりますと、先ほどからお話しのとおり、河川認定によって私権が一方的に抹消される、こういうような非常に強い権力を持って私権が拘束されたわけでございます。したがいまして、やはりそういう点を考慮して、いろいろなこういう条文を置いたわけでありますが、新しい今度の河川法によりますと、そういうような河川区域内に指定されましても、そこに所有権というものがそのまま存続する、もちろん河川工事として当然必要である、あるいは管理上必要であるということになれば、相当な補償代価をとりまして、それによってその土地を交換するということで、いわゆる強権をもってそういうようなものを取り上げるというようなことでなく、お互いの交換条件によって一つの区切りがつくということで、必ずしもこういう条項を入れなくてもいいのではないか、こういうように思います。ただ実際の運営の面にあたりましては、やはり同じように、たとえそういう土地代価を相当に払ったとしても、運営においては、そういうことを十分考慮すべきであると考えます。
  116. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そこで、今度治水治山十カ年計画の進行――当初にお伺いしましたように、さらに予算用意のために十全の力をお入れくださるということによりまして、今後河川状況というものは、目がさめるようにと言ってはいけませんけれども、非常によくなると私は確信したいのです。またそう持っていってもらわなければならない。したがって、河川工事の進行によりまして、ある地域におきましては、河川のつけかえということが進められ、ある地域におきましては、戦争中などは、洪水防御のためにむやみに川幅を広くしている、あるいは堤防を大きく高くしてしまったということがあったのであります。これは治山の事業が進まないがゆえにやむを得ざるの措置であって、治山事業が進められてまいるということになりますれば、むやみと広い川幅は必要でなくなるかもしれません。また同時に、むやみと高い堤防、大きな堤防も必要がなくなる時期がくるのではないか。したがって、河川のつけかえによる廃河川の敷地の処分というものは、非常にケースも多くなるでありましょうし、処分の方針というものも大いに考えてもらわなければならない時代がまいると思うのです。そこで私は、四十四条のただし書きのような規定はないにいたしましても、そういう心持ちがあるとするならば、廃河川になったものは、国有財産として通り一ぺんの処分をなさらずに、いままでその河川があるがゆえに、ときには洪水の心配をし、ときには上から水をひっかぶったりというような付近の住民のために、特別の配慮をもって、なるべくこれを譲渡されるような方針をとるべきではないかと思うのであります。こういうことにつきましては、どういうふうなお考えでありますか。
  117. 畑谷正実

    畑谷政府委員 お話のとおりでございまして、私どもも十分そういう御趣旨に沿って、運営の面に実現していきたいと考えております。
  118. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 だいぶ時間が過ぎてしまいましたので、きょうは総括的にお尋ねするようにということでございましたから、その他のことにつきましては、また逐条的にお伺いすることといたしますが、もう一点だけお伺いいたしたいと思います。  今度の河川法全体を読み下してみまして感じ取れますことは、河川というものを一応平面的に、何といいますか、同じようなものとして扱っておられるように受け取れるのであります。しかし河川には大あり小あり、いろいろあるばかりでなしに、非常に荒れる川、非常におとなしい川がある。もう一つは、一本の川でも、部分的にいいますと、非常におとなしい部分があり、非常に荒れる部分がある。これらについては、その管理体制管理の心がまえというものが相当変わってこなければならないと思うのです。したがって、この河川法にあらわれておるように、平面的な規制のしかたでなしに、そういう特殊な部分については、特殊な規定があるべきではないかと思うのです。当初にお伺いをしました前国会における附帯決議の中で、洪水常襲地帯の河川については特別な管理規程を設くべきであるという趣旨のことがあったわけでありますが、私はそこをねらっておられると思うのであります。それが条文的にむずかしいということであるとしまするならば、政策の実行面において、穏やかな河川については通り一ぺんでいいけれども、特別な河川については、ただ単に治水上の特別な河川ばかりでなしに、利水上の特別な河川もあろうかと思うのです。ただ、利水上につきましてはいろいろと、ダムの規程もあり、水資源云々という特別な法律もありますけれども、残念ながら治水上の特別な河川については、そういう規程も法律もない。そこで私は、今度の河川法においては、そこをひとつ強くうたってほしかったのでありますが、出てまいりません。おそらくこれは政策面の実行上そうするということになろうかと思いますが、これについては、今後における取り扱い及び決意、方針というようなものをお伺いして、今後の河川法審議の段取りをつけたいと思うのであります。
  119. 畑谷正実

    畑谷政府委員 先ほどもお話を承りましたが、私どもも、そういうことを着実に完全にやるということに対しては、いささかも熱意が欠けるわけではございません。要すれば、実際に河川法というものが出まして、これを契機に抜本的な治水対策、いわゆる工事計画といいますか、あるいは治水事業費のワク、こういうものが完全に両立して初めて、そういうような問題が解決されると思います。特に、お話のとおりに、いま私ども一番苦慮しておる問題は、洪水の常襲地帯といいますか、遊水池のようなかっこうになっておる土地をいかにするか、これは現在の河川法におきましてもゆるがせにできない問題でございます。しからばいままで何をしたかというふうに言われるかもしれませんが、それに対しては、たとえて言えば、ダムのようなものを構築しまして、そういうふうなものを解消したいということで、いろいろな計画をし、実行に対する準備をしておるわけでございまして、なかなか実現がおそかったということは私ども認めます。しかし、そういう面は、この河川法の体系と一緒に、いわゆる水系一貫とすれば当然もっと強力に推し進めていかなければならぬ、また推し進めていくべきだということで、私ども今度の新しい五カ年計画には特にそういう点を重視いたしまして、それをどういうふうにするか、ただ、実現におきましてはいろいろな問題がございまして、すぐ簡単にこちらの思うとおりにはいかないかもしれませんが、全力をあげまして、そういうことに対しては、やはり治水の根本対策として、十分な決意を持って進んでいきたい、こういうふうに考えます。
  120. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 以下はこまかくなりますし、時間もだいぶ過ぎましたので、私のきょうの質疑は、これで一応打ち切らしていただきます。
  121. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 この際、暫時休憩し、午後一時半より再開いたします。    午後零時十七分休憩      ――――◇―――――    午後二時四十三分開議
  122. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま本委員会で審査中の河川法案及び河川法施行法案につきまして、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の出頭日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ――――◇―――――
  125. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 河川法案及び河川法施行法案を議題とし、質疑を続行いたします。栗原俊夫君。
  126. 栗原俊夫

    栗原委員 河川法が再び提案されました機会に、まず大臣にお伺いしたいのでございます。  河野建設大臣でなければできないだろうという河川法の全文書きかえというような大事業の際に、現行法の中で、いろいろ河川には要素があるわけですが、やはり河川の敷地についてなかなか問題が多い。この際、新しい河川法をつくられるにあたって、これが河野建設大臣の手によってきれいに解決されるだろうと実は期待しておったわけです。言うならば、河川の敷地は、堤防の内部は全部河川の敷地で、これは国のものだ、堤防のないところは、将来堤防をつくる予定の線の内部を河川認定して、その中は国のものだ、というような、第一線において混乱のないような抜本的な改正が行なわれるだろうと実は期待しておったわけでございますが、実際の法案を見せていただくと、なかなかそうは参っておりません。特に現行法で一番問題になる私権の問題、こういう問題が、今回はさらに河川の地域を堤防まで広げないうちに、私権の対象とせずというような規定が姿を没しておる。ますますこうした混乱が起こるような気がしてなりません。河川の根本的な運営をはかるたてまえに立つ河野建設大臣が、なぜこのような問題を解決しなかったのか、解決しなくても、今回の河川法でこのように解決できるのだ、このような御所見がありましたら、まず伺っておきたい、このように存じます。
  127. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまのお話でございまするが、現在の河川法によりますと、河川認定によって、河川の敷地は一応私権の所有権がなくなるということでございまするが、実際問題として、現状のいろいろな管理体系から見ましても、それが用地買収その他の関連によって認定されるということでございまして、実際に河川の敷地内に民有地があり、これは河川附近地制限令というようなもので規制しておるわけでございます。実際に、実態に当たりまして、河川の敷地内に、ある程度の規制はいたしますけれども私有権を認めても、河川管理上差しつかえない、こういう観点から、一応河川の敷地におきましても私有権の排除を必ずしもしなくてもいい、こういうことで法案をつくったわけでございます。
  128. 栗原俊夫

    栗原委員 河川の敷地の中に私有権を認めてもたいして問題はないではないか。確かに今日までも、河川認定をしなくても、附近地制限令ということで、河川管理にはおそらく支障のない運営執行をしてきていると思うのです。河川管理上はそうなんですが、私権があるかないかによって、私権土地台帳等によって明確に認められても、具体的には現地においてこれが指摘ができない、こういうような場面がたくさん出てくるわけです。区画がはっきりしておれば、これは私権が明確に具体的に現地でもって執行できる、こういうことになるわけですが、区画が明らかでない、特に国土調査法によっては、今度は区画のない白地図をつくる、こういうことにまで及んでおるときに、河川区域の中の私権というものを今後どう取り扱っていこうとするのか、この点について、お考えを伺いたいと思います。
  129. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまお話ししましたとおりに、今度の河川法によりますと、河川区域内においても、私権をそのまま認めるということでございますから、現状のままそのまま一応河川区域として考える、こういうことでございます。
  130. 栗原俊夫

    栗原委員 そうなりますと、実際においては河川の中で、私権がある――私権があるとは言っても、それは文書上では明らかになるけれども、そして今日までは土地台帳によって、図面の上においては区画はわかったけれども、現地においてはわからない、こういう状況なんですね。今回国土調査法律によって、その区画がわからないところは、今度は図画もなくなって白地図になるわけですね。ただ所有権があるということだけであって、図面もない、こういう姿になっていく。その中に、今日までは私権を認めないという方向をとっておったにもかかわらず、私権を認めないというのは、国あるいは県、こうしたものがみずからの所有を主張する、こういう形であったものを、全く立証できないような姿の私権というものをどうやって認めていこうとするのか、この点はどうなんですか。
  131. 畑谷正実

    畑谷政府委員 確かにお説のとおりでございます。現状において、そういう区域の確認、そういう河川区域認定しておりながら、そういういわゆる登記面の問題においてまだ不十分であるということは確かにございます。これはその問題として解決して、そういう区域の、そういう登記関係というものを整備して、今度の新しい河川法に定める、こういうふうにしなければならぬと思います。
  132. 栗原俊夫

    栗原委員 局長でなく、これはひとつ大臣にお聞きしたいと思うのですが、大臣どうなんでしょう、これは私しろうと考えなんですが、堤防というものは水を防ぐためにつくるのだから、当然堤防の内側――私は、川を主体にすれば内側と考えるのですが、堤防の内側は川だ、当然河川の敷地なんだ、こう考えるのが当然なんだと思いますけれども、現実にはなかなかそうはいっておりません。ときには、いろいろな遊水地帯というような立場に立って、現実には、常時は水は流れない、しかし、一たん洪水のときには、ここまではやはり水を遊水させなければならぬという立場に立って、堤防等を築くわけですが、しかしその中は、水に対しては、率直にいって無防備なわけです。無防備のところを、河川ではなくてという立場で置いておくことについては、どうもわれわれは納得できないのであって、堤防をつくる以上は、堤防の内側――川の側は、これは河川なんだ。そして、河川なんだという立場に立って、当面農耕に使えるものは農耕に使わしてやる、こういうような立場に立つべきだと思うのですけれども、大臣、いかがでしょう。
  133. 河野一郎

    ○河野国務大臣 あなたのしろうとだとおっしゃる以上に、私はしろうとです。何も、産まれてから建設大臣になろうと思ってきたわけではございませんから、なってから初めて覚えたので、別に私は専門的に勉強したわけでもございませんが、私もできるだけそういうふうにあったほうがよろしいと思います。しかし、わずかばかりの畑やわずかばかりの河川敷のたんぼを守るために、ばく大な金をかけて護岸をつくって、堤防をつくって、その中の畑や田を守らなければならぬ理屈もなし、これは国家経済からいって、そういうことはだれもやれと言ったってやらぬだろうと思います。どうしてそういうものができたのだ、発生の過程から考えてみてどうなんだといえば、 おそらく、私の郷里にもそういうものはありますが、河川敷が右に左に移動するために、相当、何百年か昔に移動したために、河川敷であったところが民地になり、民地だったところが河川敷になりまして、そういうものができておるということだろうと私は思います。したがって、その発生の過程から今日に至るまでの経過から見まして、ましてこういうふうに非常におくれておる河川法をやる際に、一気にこれを解決しようといっても、それはなかなかできるものじゃない。それをやらなければ河川法改正はできぬというわけのものでもなかろうというので、なるべく解決できるものは解決するというたてまえを私はとっております。したがって、国家で買収してしまったほうがいいというようなものは、買収することもけっこうでしょうし、片づくものは片づけたほうがいいだろうと思います。しかし、なかなかそういきにくいところもあるしいたしますので、長年にわたってやってまいりましたものを、一がいに一挙に解決するということは、私はなかなかできるものじゃないと思います。私の今後とっていこうという方針は、なるべく治水よりも利水というほうに重点を置きまして、できるだけ多目的のダムをたくさんつくり、そして一定量の水を川に流すということにしていくように、理想は持っていくべきじゃなかろうか、順次そういう方向に、なるべく水元、山元の方面にダムをつくって、そして洪水をなるべく調節するということにしていくべきじゃないか、順次それをやることによって、河川敷等につきましても、いまありますような広範な河川敷、遊水池というようなものを山元に求めて、川の下のほうに遊水池を求めないというような方向に順次いくべきではなかろうか、そういう問題こそ、ほんとう河川改修もしくは河川の治水の基本じゃなかろうか、こう思っておりますので、御指摘のように、川の中にある民有地をどうするか、決してそれは小さな問題だからほっておきますということは考えませんけれども、それはそれで、片づくものは片づけていくというふうにして、問題の解決をはかりたい、こういうふうに考えます。
  134. 栗原俊夫

    栗原委員 大臣の大綱は私も同感なんですが、治水のみやっておった昔から、利水を中心に、しかも利水を忘れるという方向で進んでいく、そうなれば当然上流にダムができる、利水と治水と一石二鳥だ、こういうことになってくれば、従来治水のみで広範な遊水地帯をとっておったところが、洪水調節ダムができることによってそれほど要らなくなるということで、堤防等も川に向かって前進ができるだろうという場面も出てくるだろうと思いますが、そういう段階に至ってなおかつ堤防が必要な場合には、その堤防の内のりはできるだけ問題のないように、これは官有地、公有地に移す、こういくべきだと私は思っておるわけですが、それには多額の金がもちろん要るでしょう。しかし、直ちに現金でなくても、そういうところは河川公債なら河川公債を発行して、そうして洪水によって農耕その他当面の経済的使用にたえなくなった部面については現金化してやる、こういう方向で考えれば考えられるのではないか、このように実は思っておるわけですが、そこまでいけないにしても、せめて国土調査法によって白地図になってしまうようなところは、これはやはり今後河川の敷地として買収する前提に立って白地図にするのではないかとさえ思われるわけですが、もしそうなって、白地図になった、区画はわからない、ということになると、これは所有権はあっても、区画がわからない所有権ですから、一定地域の共有地だというような思想にでも変わっていかなければ整理できないようなことになろうかと思うのですが、これらについては、堤防の内部を全部変えないまでも、国土調査によって白地図になってしまう、区画が判然とせざる部面に白地図ができる、こういう点だけぐらいは、やはり河川の敷地という形で国が買収をして、私権の問題から解放する、こういう方向をとるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  135. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御意見の点、私も先ほど申し上げましたように、全部現状で放てきしておこうという考えは持っていません。問題の解決上、どうしても政府が買い上げたほうがよろしいというものについては、買い上げの処置をしていくということも考えておるわけでありまして、いまお話しのような点、何にしても河川敷ですからね。これは、買うったって売るったってたいしたことはないんですし、まあ相当のものもありますけれども、しいて言えば、どこからどこまでがだれのものだか、現在だってわかるようなわからぬような、これは山の中へ入ってみれば、実際登記面と実測とは違うじゃないか。これは言ってみれば、登記簿にはあるけれども、どれがおれの地所かわからないというのが、河川敷でなくても、私は現にあることを聞かされております。そういうことですから、いまお話しのような点が具体的に起こってきた場合には、よくひとつ地元とも調整いたしまして、善処してまいりたい、こう考えます。
  136. 栗原俊夫

    栗原委員 今回の新しい河川法で、河川敷から私権を排除するというような条文がなくなることによって、河川敷の中にも私権を認める、こういう方向がとられるわけですが、これに関連して、施行法のほうの第四条に、「新法の施行の際現に存する旧法第一条の河川若しくは同法第四条第一項の支川若しくは派川の敷地又は同条第二項の附属物若しくはその敷地で、同法第三条の規定により私権の目的となることを得ないものとされているものは、国に帰属する。」こういう規定があるわけです。この際河川敷は一切整理して国のものにしよう、こういうことだと思うのですが、この「国に帰属する。」ときめる対象物の中にはどういうものがあるのですか。現に国のもの、県のもの、その他どういうようなものが考えられるわけですか。
  137. 畑谷正実

    畑谷政府委員 その中には国のもの、県のもの、それを含んでおります。
  138. 栗原俊夫

    栗原委員 私権の対象にならないものですから、それ以外にはない、こういうことですね。
  139. 畑谷正実

    畑谷政府委員 はい。
  140. 栗原俊夫

    栗原委員 そこで、実は、こうはっきり国に帰属すると規定されている以上、これと関連して少しく問題がありますので、この際明確にしておきたいことは、現行法の第二条と第三条の関係でありますが、河川は地方行政庁が認定する、こううたってある。第三条では、河川流水、敷地は私権の対象となることを得ず、こううたってあるところから、認定したものは私権が消滅するのだ、こういうことで、今日いろいろと問題が発生しております。一時河川に流れた農地その他の問題等で、経済的に価値があまり感ぜられなかった時代には問題がなかったわけですが、昨今砂利ブームというようなことから、これらの問題に関連して、おかしいではないかというようなことが盛んに起こってきたわけです。もちろん法律は、河川私権の対象にできない、こううたってあるわけです。しかもその前の条文では、河川認定は地方行政庁が認定する、こうきめてあるわけですが、この認定行為についていろいろ議論があるわけです。所有権者の主張とすれば、河川認定はけっこうなのだけれども、その前に国なり県なりが買い上げたその公地、宮地、公有地を認定する、これが法の本旨ではなかろうか。民地にいきなり河川認定をかけて、そして認定が行なわれれば所有権はなくなるのだ、こういう解釈は少しく法の解釈として行き過ぎておるのではないか。なぜこういうことを言うかといえば、土地収用法その他の強制法規においても、金を出して買う、強制収用であっても、それに対するあらゆる抵抗権を規定してある。異議の申し立て、不服の申し立て、再審請求とか、いろいろ規定してある。ところが、これは金を考えずに、一片の行政措置によって所有権が失なわれるということだとすれば、これは何ら抵抗権がない。異議を申し立てる機関もない。そうした所有権を奪っていくのに、ただ認定をするという一片の法だけで、その手続については何ら規定がない。これは少しくおかしいではないか。さらに現実には、もちろんそういう形態ですから、現地はなかなかのっぺらぼうになって区画なんかわかりません。わかりませんけれども、少なくとも所有権というものを一方的に奪おうというのですから、その認定した線というものが、一つの筆の中のどこを通るのか、したがって、その認定によって、一つの筆のどれだけの地籍が、所有権が失なわれて、どれだけの所有権が残るのか、そうした分筆等々も全然わかることなしに、しかも個々人に何ら連絡もなしに、一方的に幅ぐいを打って、そしてくいとくいとの見通しの線をもって河川認定の線とする、という告示するだけで所有権を奪っておる、こう主張するわけなんですが、この点について、どのようなお考えでございますか。
  141. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまのお話の趣ですけれども、やはり現在の河川法による二条と三条は、御説のとおりに、一応河川区域は地方行政庁の認定するところによるということによって、その認定をいたしますと同時に、「河川並其ノ敷地若ハ流水私権ノ目的トナルコトヲ得ス」こういうことになります。これは現在の河川法が、現状において、そういうような状態で、そぐわないという点の一つでございますが、この現行法ができる前の河川状態というと、やはり河川の生成当時から見まして、先ほども申し上げましたけれども、水がすでに一つの流量をなしまして、一つの川なりとなって、現に実際私権の行使も何もできない、そういうところを河川認定によって、そういう川なりをそのまま河川と認める、こういうことから出発しておると思います。しかし実際には、問題は、その中で、それがほんとうの川なりはもちろんそうですか、それと関連して、やはり私権的にある程度の耕作をしているとか使っているとか、そういうような収益のあるようなものにまでそれをやるということは、現在の新しい憲法下においてはとてもできないということで、実際問題としては、そういうものについて、あるいは新しく河川法上別につくる、こういうものにつきましても、買収行為を行なってやる、こういうわけでございます。  もう一つ、手続の問題でございますが、お説のとおりに、認定すれば、そのままいいじゃないか、それはおかしいということでございますが、しかしこれはやはり手続の面においても、認定をすると同時に、私権区域というものをもう少し明確にして、登記なら登記をはっきりとする、これがほんとう調査であろう、こう思います。
  142. 栗原俊夫

    栗原委員 そのようなお考えを持っておられることはわかりました。ただ新しい憲法のもとでは、とてもそういうことは無理なんだとおっしゃるけれども、私は率直に言えば、所有権というものは、現在の悪法よりも明治悪法のほうが実際強かったと思うのです。私有財産の変革を企図するものは云々ということまで行われた憲法ですから、今日の所有権よりも明治憲法の所有権のほうがずっと強かったと思うのです。したがって、確かに法をつくった当時は、河川の姿をしている、そうしてそこには実際においては土地台帳もまださだかでない、河川の姿をしているところを認定する、そのことは率直に言って、土地の所有を明確にする登記簿等におつけにならない、こういう中では、これは確かに行われたと思うのです。しかしその後、少なくとも昭和以降に入って、やはりこの認定が買収することなしに行なわれているわけです。しかもそのことが具体的には、昭和六年の満州事変、その後いろいろとややこしくなってきた中で行われて、一般民衆の抵抗権もほとんどない。しかもそういうふうに何ら一般には知らされない。そうではない、憲法にちゃんと公告してあるではないかと言うけれども、確かに手続上は知らせてあることになっていて、具体的には何ら個個には知らされていない、こういう中で行なわれておった。そうして今日これが砂利ブームの中で、いろいろと土地台帳の問題から、特に国土調査の中から、あそこはおれの土地なんだ、県と話をしてみると、あれは認定されているから、あれはお前には所有権はないのだ、登記所に行ってみると、登記所にはちゃんと登記簿に載っている。これは買収しておりませんから、消してないわけです。これは特に分筆等も行なわれておりませんから、消しようがない、こういうような姿になっているわけですが、こういう中でいろいろ問題がある。そこで実は私もこういう人たちの要請を受けて、県ともいろいろ折衝しました。所有者も言うのです。所有者も、県がそういうことを言うならば、占用権の問題で政治的妥協をしようではないかという話まで出ました。所有権を主張してもしかたがないから、それはそこに対する占用権を認めてくれれば、われわれはあえて所有権云々を言わないというようなことまで言って、いま話が行われているわけですが、しかし新河川法の第四条で、これを国に帰属すると明確にきめてくると、これは具体的になかなか容易ならざる問題になってくるのでこの辺で何とか旧所有者が納得できるような明確な線でも出してもらえるか、さもなければ、やはりこの認定に対する法的な争いを――これは全国に相当多いのです。しかしほんとうに最終的なその所有権が確定するという段階になれば、これは一斉に法の裁きによって決定してもらわなければならぬという場面も出てくるわけですが、この占有権等について、買収したところでも、なおかつ占有権を優先的に確保しなければならない、こういうことですから、まして無償でもって認定だけで所有権を奪ったと主張される側には、そのところについては旧所有者に占用権というものを優先的にというか、要求があればこれは文句なしに与えるというぐらいの政治的妥協というか、そういう措置はとれないものかどうか、この辺はいかがでしょうか。
  143. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いろいろお話の段でございますが、やはり一応法律的な形式論だけを言いますと、何回も繰り返すように、一応やはり認定行為ということで私権の抹消ということは事実上形式的には成立すると思います。ただ問題はしからばそういう問題が、具体的に登記の抹消をしておらぬじゃないか、しかも用地買収もしておらぬじゃないか、用地買収をする対象になっているのか、それから登記というそういうような動作においても、そういう面からすれば親切が足りない、いろいろな問題がございます。それからそういう問題は個々のケースによってそれぞれいろいろな原因があろうと思いまして、こういう問題については、いずれ新河川法に乗り移るときに、きちんと河川区域認定なり、そういう動作をしなければなりませんから、個々のケースについて十分調査をいたしまして、それの対策といいますか、考慮を払っていきたい、こう思います。
  144. 栗原俊夫

    栗原委員 このことは、実を言うと、先ほど大臣がお見えになる前に、鴨田政務次官もおられまして、実は鴨田政務次官と川をはさんで同じ立場に私は立たされておるので、鴨田政務次官にもいろいろお聞きしたいと思っておったのですが、この点は非常に小さいように見えるけれども、実際の河川管理している第一線の人たちは、こういう問題で非常に苦しんでおるわけなんです。ここで論議するときは観念的にいかようにも論議できますけれども、第一線を管理している人たちは、所有権者とまともにぶち合って、そして勝負が行なわれるわけなんで、ひとつこういう点は明確に、納得のいくような線を運営の上でも出していただきたい、このように思うわけでございます。  なお、いろいろお尋ねしたいこともございますが、きょうは総括質問で、他の先輩諸氏もおりますので、それではよろしくお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。
  145. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま申し上げましたように、総括的に画一的にお尋ねいただきますと、明確にお答えしにくい。前を受けて、新河川法に移るときに一つ一つ片づけていこうということになっておりますから、何か要領を得たような得ないような答弁でございますけれども、基本的には、ケースバイケースで、これは買収して片づけたほうがよかろうというものについては買収行為にも出ましょう。それから、従来の慣行からいきまして、長年にわたって登記の抹消もしていない、実際は御本人が最近そういうようなことでやかましくおっしゃるなど、それぞれ周囲の実情その他によって違うのでございましょうから、適当な解決方法はケースバイケースでいくべきで、一切それを相手にしないという考えは持っていませんことを明確にいたしておきます。
  146. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 岡本隆一君。
  147. 岡本隆一

    ○岡本委員 最初に、資料を要求しておきたいと思います。  第一番に、五つ、六つの多目的ダムの建設負担金、それから発電施設の建設費、それから発電量というふうな、一連の多目的ダムの計画の具体的な内容を出していただきたい。ダムといたしましては、ある程度私の知っているダムのほうが理解しやすいと思いますから、天ケ瀬ダム、高山ダム、佐久間ダム、下久保ダム、矢木沢ダム、これらについての計画をお教え願いたいと思います。  それから第二として、いただきたいのは、治水水系計画の具体的な内容を、それも私の知っている河川について理解しやすいように、淀川、由良川、木曽川、石狩川、それから筑後川、この五つの川について、治水水系計画をわかりやすく説明をしていただきたい。それが資料要求です。  それからお尋ねに入りますが、旧河川法制定当時とは、だんだん時世が変わってまいりまして、政治の形態が変わっておりますだけでなしに、今度は付近沿岸の住民の生活状況が変わってきておる、経済も発展してきておる、同時にまた非常にばく大な水需要も起こってきておる、そういうふうな新しい時代に即応するために、河川法の改正が行なわれていくということは、これは理解できるのでございますが、同時に、そういうふうな目的に対処するために、水資源二法ができ、多目的ダム法がすでにできております。だからこういうふうな水利用の立法に対しまして、今度の新河川法というものは、そういう時代に対処するための治水立法である、こういうふうな理解に立たなければならないと思うのでございますが、そういう理解でよろしゅうございますか。あるいはそういう理解ではいけないのでしょうか。
  148. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のように、何ぶんにもまだ新しい時代とは申しましても、将来進むべき方向は、先ほどお答え申し上げましたように、多目的ダムの多数増設、そして山を治め、水を治めてこれを十分利用するという方向にいくことは理想でございますけれども、しかし現実は、何と申しましても、そこまでいっておりません。したがって、治水に万全を期さなければならぬということは現実でございます。そういう意味合いからいたしまして、現実を重視いたしまして、この河川法の改正案を提出した、このようにお考えいただきたいと思います。
  149. 岡本隆一

    ○岡本委員 治水に重点を置きながら利水の方向に進んでいく、こういうふうな考え方でございますが、そこで今日の治水ということに対する考え方は、従来は川の両側を堤防で固めまして、洪水を起こさないために、水をどんどん早く海に流してやるというような考え方でございます。だからそういうふうな高水路工法でいきますと、堤防はどんどん高くなる、川床もどんどん上がってくる。一たんそれが破堤しますと、非常に大きな破壊力を持つようになって、災害がますます大きくなってくる。だから高水路工法で水をおさめるという方法はもうできないことだ。こういうことから今度は流量調節をやらなければならぬ。流量調節をやることによって水を制していかなければならぬ。そこでできた水は適当に利用すればよろしいというふうに考え方が変わってきておる。だから、言いますなれば、治水の方法というものは流量調節の方向に向かってきておる。だから新しい河川法というものは、そういうふうな流量調節というものを重点に置いたところの――重点に置くことができなくても、それを大きな将来の目標として掲げて進んでいくんだ、こういう考え方を治水の根本原則の中に持つ、こういう方針で法体系が組まれなければならない。また私は、今度の河川法はそういうふうにして組まれるであろうと予想しておりましたし、当然科学的に水を治める――非常に土木工学も発達いたしてまいりましたし、科学的な水の制御ということになってくれば、流量調節というものを主眼に置いた法体系というものが組まれなければならぬ、こう思うのでございます。ところが新河川法を見ますと、どうもそういう意欲が足らない、足らないというよりも、私は新河川法の中にそういう精神が入っておらないとすら思えるのです。そこで私は、もしそうでないと言われるなら、そういう流量調節という思想が、どこにどのような形で盛り込まれているかということをひとつ御説明願いたいと思います。
  150. 河野一郎

    ○河野国務大臣 くだらぬことを申し上げるようですが、水系ごとに一貫して行政の対象にする、この一事は、あなたのおっしゃるように、基本のものでありまして、これをまず明確にすることが、ダムの問題にしましても、利水の問題にしましても、流量調節の問題にしましても、基本であると私は考えます。その基本の問題を片づけるということが一番眼目でございます。これをしもなかなか――岡本さん御承知のように、昨年は非常に御協力いただきましたが、世間大方の人の中には、なかなか理解しにくくて、相当の抵抗があったという事実も御承知のとおりであります。いまあなたのおっしゃるところまでいくことは、むろん方向としてはそのとおりでございますけれどう、そこまで飛躍をするということは、なかなか現実においてはむずかしいというような意味合いから、まず私は水系ごとに計画を立てていくということをこの法案で明確にし、そうして順次――現にやりつつあることでございますけれども、それらに方向づけをしていく、そしてその方向で堂々と現実を進めていく、こういうふうに思っておるのでございます。
  151. 岡本隆一

    ○岡本委員 水系一貫したところの治水、利水の管理をやられるということで、私どもも、そういう意味においては賛意を表して、積極的にそういう方向へ持っていきたい、こう思っておったのでございますが、それが非常に残念であったことはお互いに痛感しておるところでございます。しかしながら管理体系がそういうふうな水系一貫主義を貫くことができなかったというそのことだけでなしに、今度は私は法律のいろいろな条文の中にやはり当然盛られなければならないそういう考え方が、かりにいまいわれるところの管理体系だけではなしに、一つ一つの治水のテクニックといいますか、そういうふうなものですら、私は非常に法律の中では不十分であると思います。たとえば先ほどから議論がございました旧河川法の第三条に、「河川並其ノ敷地若ハ流水私権ノ目的トナルコトヲ得ス」というふうな規定がございます。その敷地に対して私権の目的となることを排除するということが非常に困難なことは、いままでのお話でわかりました。しかしながらもう一つ流水に対する私権の排除というものが旧河川法ではうたわれている。ところが今度の新しい河川法では、それも姿を消している。河川の中の敷地がいろいろな所有関係その他で、一挙に私権の対象とすることができないというところまで持っていくことができないということは、これは別といたします。しかしながら、それは今度の河川法の中で保全区域になるのですか。前は付近地というふうなことで、旧河川法の中でも、そこにはいろいろな制限がありまして、これは一応川として通用しておったのです。大体において河川敷として取り扱われておったのです。ところが今度の法律で、流水そのものまで私権の排除が行なわれなかったということは、どういう理由に基づくものか理解ができないのですが、御説明願いたいと思います。
  152. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私もよくわかりませんけれども、川を流れている水というのは、あるようなないような、これは権利の対象になるかどうか、ならぬのじゃないかと思うのですが、旧河川法でもそういうものは私権の対象になっていないし、ただ私権の対象にできるのかどうか、ちょっとむずかしいのじゃないかと思うのです。
  153. 岡本隆一

    ○岡本委員 それが私権の対象になっているところに問題があるのです。それで、前の河川法では、私権の対象になることを得ずということになっておった。ところが、この多目的ダム法の成立当時私は知らなかったのでありますが、今度河川法の改正を機会に多目的ダム法に目を通してみますと、多目的ダム法の中では、第二十条で、「ダム使用権は、物権とみなし、」ということをはっきりうたっておるのです。だからこれは河川法と抵触しているのです。一定地域にダムに水をためる、そうしてその水を使用する、それを物権と見なす、そうすると多目的ダム法のこの条文を生かそうと思うと、流水私権の排除ができないのです。河川法私権の排除をやっておきながら、片方で、従来多目的ダム法ではその流水私権と見なしているのです。こういう矛盾したことが行なわれておるわけです。これが矛盾しておったのか、矛盾しておらなかったのか、それをひとつ御説明願いたいのです。
  154. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまのお話でございますが、現在の河川法におきましても、新しく提出しました河川法におきましても、流水に対する私権というものは全然認めておりません。いま大臣からお話のあるように、流れている水というものは確保のしようがないということがございます。それからもう一つ、いまのダムの使用権――これはダムによってその上流に一つの貯留した水をお話しのことかと思うのですけれども、これとダムの使用権とは全然別でございます。ダムを使用することによってその効果として水がそこにたまっておるというだけでございまして、それまでは及んでないわけです。それからそのダムの水利権におきましても、そういうような効用によって生じた、常時何トンの水をとるという引水の権利が与えられるということで、水に対する私権というものは全然認めてないわけです。
  155. 岡本隆一

    ○岡本委員 それではお尋ねします。僕は頭が悪いですから、見当違いのことを聞くかもしれませんが、それじゃ、ダムに水がためられています。たとえば一千万トンなら一千万トンの水がたまっておる。非常な暴風雨の警報が出た。それを捨てろということを命令したと仮定します。そしてそれを予備放水で放流させますね。憂えた台風はこなかった。だから流した水は失われた。電力会社はそのために発電効果を損失しますね。そうすると、その流したところの水は、それは私権の対象でないということであれば、命じた者は補償する必要はありませんか。
  156. 畑谷正実

    畑谷政府委員 補償する必要はないと考えております。この場合には、いわゆる緊急の場合における非常措置、こういうふうに私は考えますので、その場合にはあえて補償する必要はない、こういうふうに考えます。
  157. 岡本隆一

    ○岡本委員 それならばわが意を得たりですわ。この前も私はそれを主張したのです。だから、そういうふうなことなら、多目的ダムであろうと、あるいは発電ダムであろうと、防災の必要があるときには、河川管理者は予備放流をどんどん命ずればいいのです。ところが現実にそういうことが行なわれていないし、とにかく一応ぎりぎり一ぱいまでためておる。上からオーバー・フローしそうになった。ゲートを開く。相当増水しているところに一度にどっと水が出ますから、いろいろな大きな災害が起こってきておる。だからダムに防災効果を持たすということ、これを徹底してやろうと思えば、やはり河川管理者はダム設置者に対して、緊急時に際して防災上必要な措置を講ずることを命令することができるようにしなければいけない。だから私らは、昨年この法案が出されたときに、修正案を出したのです。防災上必要な措置を「勧告することができる。」とあったのに対して、「命令することができる」、こういう修正案を出した。ところが与党さんのほうががんとして応じなくて、「指示することができる。」ということで一応落ちついたわけです。しかしながらそれじゃ賛成できないということで反対したのです。そんな程度の修正じゃ賛成できないということで、反対したわけです。今度も私たちはその修正案を出そうと思っている。どうですか。それは河川当局として、さらにまた建設大臣として、当然やらなければならぬ措置でしょう。ダムというものはもちろん利水施設です。しかしながら同時に、これは大きな防災施設です。そして多目的ダムの中で、あなたのほうからいただいております建設白書で、多目的ダムの状況を見ましても、全部「F」がついておる。防災のやつがついておる。防災のついていないのはないです。全部「F」がついておる。ほとんど「F」と「P」がついております。「P」のない、電力のないのはもうわずかです。そのかわり「A」とか「I」とか、工業用水とか農業用水とか、そんなのがついております。とにかく全部防災的な効果をねらっている。しかしながら、こういうような多目的ダムだけでなしに、発電オンリーのダムもたくさんございます。これもしかし、河川にあるところの大きな施設である。だからこういうふうなものを一貫して、やはりせっかく大きな投資をしてそういう施設が行なわれているなら、できるだけ災害時には予備放流をさせて、それでもって災害を防がなければいけない。またそのくらいの少少の水を捨てても、それによって起こるところの大きな破壊力を持った災害と比べたら、その復旧費と比べたら、そんな水くらい安いものなんです。にもかかわらず、それが今日まで行なわれないから、非常に大きなダム災害が起きてきています。あなたは当然補償する義務はないし、流水私権の対象でないというなら、建設大臣は、堂々と大手を振って、水を捨てろという指揮ができるはずですが、それが困難な理由がございますか。
  158. 畑谷正実

    畑谷政府委員 別に私は困難だとは思っておりません。ただ、いま私が前回育ったとおりに、緊急な非常事態においての措置でございまするから、当然私どもが普通洪水調節ダムとか、いわゆる多目的ダムとか、そういうような本来そのダムが洪水調節をしておるという使命を持っているダムと、いまお話しのとおりに発電オンリーである、あるいは洪水の調節の機能のない、あるいは本来そういう目的を持っていないダムに、普通のわれわれが洪水調節をすると同じような予備放流をさせるとか、あるいはどんどん適当に放流させるということはあり得ないわけでございます。いわゆる緊急非常事態において、下流に非常に大きな損害を与える、それをどういうふうにするかということになりますと、河川工作物としての機能を持っておりますダムの使用者としては、当然そういうような非常事態において洪水を安全に流すという本来の協力義務といいますか、使命がそこにあろうと思います。その受忍の範囲内においてそういう指示をすることは、当然受ける相手方も、それをもって受け答えてくれるはずであるし、補償の対象にはならぬ、こういうふうに考えております。
  159. 岡本隆一

    ○岡本委員 多目的ダムのほうには洪水調節部分がございます。しかし発電ダムには洪水調節部分がございません。それだけに災害のときにいろいろ問題が起こってくるわけです。ダムの構造から十分なそういう防災目的を果たすことはできないでしょう。しかしながら、その洪水に応じたところの防災効力といいますか、防災効果というものを出さすことはできると思います。だからやはり、当然河川管理者は、計画的にやらなければいかぬと思います。だから私どもは、まず第一に、この法案の中に流量調節機能、流量調節思想というものが入っていない理由は、河川管理者に命令権を持たせるということに対して、建設省側でそれを拒否していられるという態度の中に、そういうふうな考え方が少ないということを、まず第一に考えるわけなんです。  それからもう一つ……。(河野国務大臣「君の言うとおりするよ」と呼ぶ)それじゃ何ですか、いまの命令権を持たせるような修正に建設大臣、賛成ですか。
  160. 河野一郎

    ○河野国務大臣 もう堂々と指示をいたしまして、遅滞なく目的を達成するように、責任を持っていたします。
  161. 岡本隆一

    ○岡本委員 責任を持ってされるくらいならはっきりと――大臣は、永久に建設大臣でおられるとは思いません。おそらくもっとえらくなられると思います。だから、あなたが建設大臣の間は、私はあなたのいまのおことばで安心してあなたにおまかせすることができます。しかし、あなたが建設大臣でおられなくなったあとは、そういうことは期待できないから、やはり法律法律として、そのことは明記しておいていただかなければならぬと思います。  そこでもう一つ、流量調節の義務を怠った場合、現在の法案では指示となっております。指示に従わなかった場合には、どういう処罰を受けるのですか。
  162. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  163. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 速記を始めて。
  164. 岡本隆一

    ○岡本委員 この法案では、指示に従わなかったとしても、何らの処罰の規定がないわけです。(河野国務大臣「それはまかしておいてください」と呼ぶ)その点はおまかせいたします。おまかせいたした結果がゼロ回答では困る。(河野国務大臣「それはあらためてそのときに質問すればいいじゃないか」と呼ぶ)わかりました。  今度はもう一つ、いまのダムの管理の問題で不備な点は、だんだんダムがふえていきます。だから一つ水系に対して五つも六つも、あるいは将来十以上、二、三十もできるのじゃないか。そうしますと、それらのダムを統合したところのダム管理をやらなければならない。そのためには、一つの支派川ごとの集水面積、それからまたそこへ雨が降ってきた場合に、それが出てくるところの流出量、そういうようなものはあらかじめ調査しておけると思います。そうしますと、各所にあるところの無人雨量計――どの地方にどれぐらい降っておるから、どれぐらいの水が出てくる、それは時間的にどれぐらいの、いろいろな差異で、たとえば栗橋ではどう、どこそこではどれぐらいというような流量というものは、電子計算機があれば簡単に即座に算出できるはずです。だからそういうふうなダム管理の科学性というものを、これはもう建設省ではやっていられるであろうと思うのでございますが、しかしながら老婆心から、そういう方向へすでに入っていただいておるのか、あるいは準備の段階なのか。そういうふうな科学的なダム管理をやれば、どんどん早く放流さして、うまく流していって、災害をなくするということは、流水私権の対象と見ないなら私は可能だと思います。またかりに、私権の対象である――私はそういう御返事だろうと思っていたのですが、それなら補償に対するところのいろいろな規定を設けなければならない、こう思っておったのですが、私権の対象でなければ、国としては、より財政的な負担が要るそういうふうな総合的なダム管理で、災害の防除ということは、これはことに日本のように非常に台風の多いところでは、当然検討されなければならぬ。おそらく外国ではこういうことをする必要はないから、こんなことはやっていないと思います。しかし日本こそは、そういう点でもっと防災科学というものが進歩しなければならぬと思うのでございますが、そういう点について御準備があるのか、もう進められておるのか、現段階をひとつお示し願いたい。
  165. 河野一郎

    ○河野国務大臣 詳しい話は事務当局から申し上げますが、前橋に管理事務所を設けまして、電子計算機を備えまして、利根川水系においてはそうやることになっております。北上においては目下準備中でございます。必要が起こりましたら、各水系ごとにやらなければならぬという予定でございます。
  166. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いま大臣のお話のとおりに、現在二つの、利根川水系、北上水系に、そういう計算機を置きまして、それから利根川についてはすでに統合管理事務所を置いてやっております。なお引き続きまして、その他の河川についても逐次早急にそういう管理体制にいたしたい、こう思っております。
  167. 岡本隆一

    ○岡本委員 まだダム部がそう完成しておりませんから、これから段階的に進めていかれるであろうと思いますので、大いにこれから後の施設の充実を期待いたしております。ダム部ができないが、ダム部ができない間は一つ一つのダムの果たす防災的な役割りはより一そう大きいと思う。だから治水容量をこえても、やはり放流してでも、ダムに防災機能を十分に果たさせるというような指導を特にお願いしておきたい。  それからもう一点、これもこの前修正案として出して、否決されて残念に思っておるのですが、今度もまた出さなければならぬと思っておりますけれども、遊水地帯の指定の問題です。非常に土地がないというところから、土地の開発という考え方に立って、遊水地帯の取りこぼちがどんどん行なわれております。私は現地にもう一ぺん行きたいと思っておりますが、この間ひょうが降って、栃木県に視察に参りました。栃木県の地図をもらいましたら、栃木県には、利根の合流地点に、遊水地帯と地図にまで書いてある。相当大きな遊水地帯がまだ残っておるのではないか。そういたしますと、いまのような土地の乏しいおりからでありますと、こういうようなものは早晩工業用地であるとか、あるいは農地とか山などの開発に振り向けられまして、遊水地帯が取りこぼされていく心配がある。だから遊水地帯を取りこぼつのには、それに見合った遊水施設、調節機能というものをつくってからでなければいかぬ。ところがそういうものをつくらずに、どんどん遊水地帯を取りこぼつから、災害が起こる。その現場は私は石狩川で見てまいりました。あの泥炭地帯をどんどん農地にしております。ああいう遊水地帯を大きく取りこぼって農地開発をやるから、勢い今度あの石狩川の大災害が出てきたのです。これは河川局長と一緒に見に行ったのですから、河川局長一番よく御存じです。だから将来こういうふうな遊水地帯を取りこぼつ前には、先に調節施設をつくらなければいかぬ。それまでは取りこぼってはならないということをはっきりと法律にうたっておく必要があると思う。ところが、前回修正案を出したのですけれども、あっさりひじ鉄砲をくらったわけでありますが、大臣いかがお考えになりますか。これも非常に重要な問題でありますから、私は御見解を承っておきたいと思います。今度も修正の動議として出したいと思っているのでございますが、同意していただけますか。
  168. 河野一郎

    ○河野国務大臣 遊水地の問題、ダム建設の急速な実施、これらは建設省として最も熱心に希望しておる問題でございまして、みだりに遊水地をこわしておるものを北海道で見たとおっしゃるが、それは特定の事情があってこわしたのかもしれませんが、そういうことはそうみだりにあるべきものとは私は考えません。全国的に、それぞれ遊水地につきましては、ずいぶん無理なものまで考えておる場合もありますし、またごく必要なものは、政府で国有の地積になっておるものもあるわけでございます。こういうものについて、これを取りこわすことにみだりに同意すべきものでもございません。したがってこれを指定してあるといなとにかかわらず、これをどうこうするというようなことはあろうと思われないのです。しいて言えば、御協力を願えれば、ダムの建設あたりが、たとえば九州の場合においても、だんだんいいほうに向かっておるようでございますけれども、もっと早くできるように、それから内地におきましても、いろいろな事情で調査ができずにおるようなものがあるようでございますが、こういうものについても、ひとつ御協力願って、どんどん事務を進めていきたい、こう考えておるのでございまして、具体的に必要性がありますれば、せっかくの御意見、しかも建設事業達成にけっこうなことなんですから、私はそれを反対したり拒否する理由は毛頭ございません。お話のようなことはむろんわれわれとして熱心に要望することでございまして、これを指定するといなとにかかわらず、これをみだりに壊廃するのに同意をするということは絶対にございませんし、やっていけるという自信があるものでありますから、まあそう御心配せぬでもいいんじゃないか、こう考えておるのでございます。
  169. 岡本隆一

    ○岡本委員 この保全区域というのはどういう発想から……。前は河川付近地ということばが法律の中に出ておりました。それが姿を消して、保全区域ということになっておるようでございますが、同じ意味のものでしょうか、それとも違った意味があるのか。そしてまた前は河川付近地の何は百メートルとなっておりました。境界から百メートル。今度はそれが五十メートルに縮まっているのです。だから付近地と同じ意味のものと解釈をするなれば、百メートルが五十メートルになっておるということは、それだけ後退しておる、こうも考えられるんでございますが、後退しておるのなら、後退した理由はどこにあるのでしょうか。さらにまた、この保全区域という考え方の中に、遊水地帯というものは全然含まれておらないのか、そういう点もお伺いしておきたいと思います。
  170. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまの河川付近地河川保全区域ですけれども、これは同じというふうに考えてもらって差しつかえないと思います。ただし、いままでは、河川付近地というのは堤外地と言いますか、川の中にもそういうものがあるような態勢にあります。私権を排除しておることだから、今後はそういうことはなく、堤防外側といいますか、川でないほうを河川保全区域、こういうことになるわけでございます。  それから、いまの免税の問題でございます。いろいろ御提案があったわけでございまするが、これはほかの法律、あるいは行為規制の態様から見て、免税にする、非課税にするということはなかなかむずかしい。ただし、実際問題として、事実そういうような行為規制が行なわれるわけでございます。いわゆる実際の運営にあたって、自治省といたしまして、市町村にそういう減税の措置指導してやる、こういうふうにして、実態に合わせるというふうには打ち合わせば済んでおります。
  171. 岡本隆一

    ○岡本委員 きょうは総括的なお尋ねでございまして、それだけに、今後法案審議の際に、一番重要な問題点と思われるものだけ、大臣にお尋ねしておきたいと思います。  もう一つは、洪水常襲地帯の問題であります。   〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕 河川が上で改修されますと、水が早くおりてきます。狭窄部があれば上にたまります。そういうような形で、第二次的に洪水地帯がつくられてきます。だからそういうふうな人工的な災害が起こるようになった地域については、これは当然補償をするか、そうでなければ、即座に一刻も早くそういう条件をなくするか、この二つをしてやらなければ、私はその地域の人々にはかわいそうだと思う。この前大臣に、伊賀の上野の盆地、あるいは私の近くの亀岡という地点についてお尋ねいたしました。大臣は、それじゃ一ぺん現地を見に行こうというふうなお話でございました。ところがどうやらまだ来ていただいていないようです。(河野国務大臣「選挙があった」と呼ぶ)そうじゃない。去年の夏ゆっくりやったはずです。京都にはちょいちょい来られるが、上野には行っておりません。選挙で山本さんのお手伝いに行かれたかもしれませんが、はっきりと上野の水害をどうしてなくすべきかという検討のためには行っておられないと思います。ことに亀岡にはまだお見えになっておりません。そういう調査の問題は、これは御理解願えれば別に調査には来ていただかなくてもけっこうでございます。しかしながら全国的に、たとえば岐阜にもございます。長良川の盆地にもございます。全国至るところにそういう常襲地帯というものはつくられていく。だからそういうところでの防災措置というものは、何をおいてもやる。国がそういう責任を負わなければいけないと思う。河川法の一番大きな大黒柱が治水であるという限りにおいては、国は第二次的に起こってくる災害というものに対しては、強い責任を負うんだという意思表示を、私はこの河川法ではっきりすべきだと思う。ところが、そういうふうな意思表示が行なわれておらぬというので、前会修正案を出したら、これも否決されておる。私はこういうものを否決された自民党の諸君の気持ちがわからないのです。そのときのお話では、そんなものを法律にしたら金がかかってしょうがないから、かんにんしてくれ、こういうふうなことでございます。しかしながら、私はそれだけの法律をつくって、国に義務的な支出をさせるということにおいて、ほんとうの民生の安定が行なわれるんだと思う。また国としても、河川管理上それだけの責任を私は持たなければならないんじゃないかと思う。今度も修正案を出そうと思いますが、大臣の心がまえを聞いておきたい。
  172. 河野一郎

    ○河野国務大臣 これは法律に書いてあろうがあるまいが、そういう、現実に洪水が起こるような条件になっておるというところを排除して、そして一刻もすみやかに、優先的にこれらの問題の解決にあたることは、当然の責任でございます。したがって、私といたしましては、可及的すみやかに調査を命じ、これらの対策について全国的にあたります。明確にお答え申し上げます。
  173. 岡本隆一

    ○岡本委員 それでは、きょうは時間がおそくなりましたので、いろいろお尋ねいたしたいと思いましたが、今後のこの法案審査についての大きな重点的な問題についてお尋ねいたしまして、十分とは言えませんが、まずまず大臣もわれわれと同じ気持ちを持っていただいているということが了解できましたので、きょうはこの程度で質問を終わります。
  174. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 吉田賢一君。
  175. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 逐条審議の際に明らかにしておきたいと思ったのですが、さっき岡本君からの質問がありましたので、この機会にちょっとお尋ねをしておきますが、旧河川法の三条ですね、河川の所有関係については、本法から離脱しておりますね。これは施行法に移ったらしいのです。この重要な規定が本法から抜けましたのは、どういう理由によるのですか。
  176. 畑谷正実

    畑谷政府委員 これは先ほどもお話ししましたけれども、現在の河川法におきましては、河川認定行為によって、河川区域においては、この敷地の私権というものは全然排除される。こういうような法体系でやっておるわけでございますが、今度提案しておりまする河川法案におきましては、そういう考えをやめまして、河川区域内においても必ずしも私権を排除しない、認める、こういうふうな法体系にしておるわけであります。したがって、そういう条文が別に変わっておるわけでございます。   〔瀬戸山委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 施行法案の第四条によりますと「新法施行の際現に存する旧法第一条の河川若しくは同法第四条第一項」とありまして、最後に「同法第三条の規定により私権の目的となることを得ないものとされているものは、国に帰属する。」こういうことになっておるのでありまするから、この文章から見るならば、私権の対象となる余地がないようにも解釈できるのですが、それはどうなんですか。
  178. 畑谷正実

    畑谷政府委員 この施行法による第四条というのは、これは経過規定でございまして、現在の河川法によりまして、河川敷地になっているものの帰属をいっているわけでございまして、これが河川敷地として認定されておるものについて、こういう規定をしております。現に、実際には河川区域内というものには、私権がまだあるわけでございまして、そういうものについては、私権というものを、今後の河川法の体系では、そのまま私権として認める、こういうことでございます。
  179. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますると、河川は、私権の対象になる場合とならない場合とがある、こういうことにも、裏から見れば解し得るのですか。
  180. 畑谷正実

    畑谷政府委員 さようであります。
  181. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはきわめて重要な関係でありますので、これを本法から抜いて、経過規定に置く。本法には所有権の対象になるという規定がどうも見つからないのであります。その辺はどういうものですか。
  182. 畑谷正実

    畑谷政府委員 これは本法から抜いたということでなくて、現在の河川法におきましては、はっきりと、河川区域内において私権を認めないということでございまするから、それを明確にしておるわけでございます。
  183. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 法案にはちっとも明確にはなっておりませんが、どこにそういう規定がありますか。
  184. 畑谷正実

    畑谷政府委員 二十四条、それから二十五条、これをごらん願いますと、こういうような河川区域内の土地の占用とか、それから土石採取等は許可行為になっておるわけでございます。こういうところにそういうような法文の意思が通じておるわけであります。
  185. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 建設省許可がなければ、河川区域内において物を採取したり、あるいは占有をすることができないということは、これは行政的な面からも言い得るのであって、たとえば河川行政財産として国有財産になっております場合も、言い得るのであって、それなるがゆえに、直ちに所有権の関係規定しておるものではございますまい。二十四条は、あくまでも行政的手続上の規定にすぎないのでありまして、建設省令の定むるところによって、河川管理者許可を受けなければ河川区域内の土地の占有はできない、こうことでありますから、河川区域内における占用の手続に関する規定なんです。もしこれが所有権の関係規定するものだとすると、これはたいへんなことになります。何となれば、建設省の省令が所有権という重要なものを決定することにもなりまするので、だから二十四条自体はそういう趣旨ではないと思うのですが、いかがでしょう。どうもどの条文を見ましても、河川地域、河川が即私権の対象になるならぬという規定は見つからぬようでありますが、重ねて伺いたいと思います。
  186. 畑谷正実

    畑谷政府委員 第二十四条に、「土地の占用の許可」というものがございまして、これを見ますと、「河川区域内の土地河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く。)」こういうふうにうたっておりまして、ここにそういうような意思の表現があるわけでございます。
  187. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私権の対象になるとかならぬとかいうことは、国民生活の面から見ましても、また公共の利害から見ても、国の行政の対象から見ましても、きわめて重要なことでありますので、そのようなことは、やはり法の体系といたしましては、根本事項として、まずどこかに相当重要な条文として規定することが法律の体系ではないかと思うのですが、これはいかがでしょう。いまの御解釈ですが、二十四条の解釈から、そういうふうに推測するような趣旨におっしゃっておるのですけれども、どこから見ましても、所有関係なんてどこからも出てきません。国有関係も私有関係も、どこからも出てこないと思うのですが、手続の規定ですか。
  188. 畑谷正実

    畑谷政府委員 お話の点でございますが、逆に言いまして、現在のような、いわゆる私有権というものを十分に尊重する時代においては、私有権がいかにあろうとも、それを抹殺できないというのが原則であろうと思います。それをしいて河川認定と同時に所有権、私有権を抹殺するというところに、条文の価値があるわけでありまして、それを裏返しますと、当然私有地であるものが河川区域になろうがなるまいが、私有地については、当然そういうことに対しては、何らの制限というものは加えられないというのは、これは当然のことではなかろうかと思います。
  189. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 現行法の三条は、明らかに「〔私権の排除〕」とあります。「河川並其の敷地若ハ流水私権ノ目的トナルコトヲ得ス」となって、明らかにこれは私権を否定いたしております。だから、河川そのものは私権を否定いたしておりますので、いかに国民の私有財産尊重の時代であるとはいえ、それと私有排除の公益的規定とは、何ら相いれない関係にはならぬのでございます。だから、これは明らかにこの規定を回遊せられて、そしていまのような手続的規定によって御説明になろうといたしておりますので、非常にくどいことになって、結局要領を得ておらぬ。どこから見ましても、河川法案に、河川そのものの所有関係規定というものはどうも見つかってこぬのであります。時間の関係がありますから、これは一応御答弁いただいて、この点、後日に譲って、なお明らかにせねばいくまいと思います。どうでございますか。
  190. 国宗正義

    国宗説明員 現行法におきまする第三条は、御承知のように「河川並共ノ敷地若ハ流水私権ノ目的トナルコトヲ得ス」と相なっておりまして、御指摘のように、河川の敷地につきましても、私権の排除を規定いたしまして、私権の目的には相ならない、かように規定いたしておりますことは、実際の実行におきましては、第五条の規定によりまして、区域認定いたしますれば、当該の河川区域における敷地は、私有財産の対象にならないのみならず、国有財産の対象にも相なりませず、登記簿を抹消いたしまして、さようにして河川管理権にのみ服する、こういうたてまえをとっておる規定でございますが、今回の新法におきましては、三条に該当することを求めるためには、当該の規定を、明文をもって規定いたさなくてはならないわけでございますが、ここにごらんのように、総則におきましては、三条に該当する規定は削除いたしまして、規定いたしておりません。したがいまして、規定がないということは、敷地につきましては、私有権の対象にも相なりますし、国有財産の対象にも相なるわけでございます。したがいまして、施行法第四条におきまして、現行法すなわち旧法において私有権の対象にならない、したがって国有財産の対象にも相ならない土地につきまして、すでにきまっているものにつきましては、だれの所有にも相ならないのは非常に困難でございますので、それを管理いたします関係上、国有財産として管理する、このような経過措置でございます。  なお先ほどの二十四条は、さように私有財産があるということを前提にいたす規定でございまして、それの傍証に相なると考えておるわけでございます。
  191. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は後日に譲ることにいたしまして、きょうは次に進むことにいたします。  なお、委員長、これは大臣に明らかに答えてもらわなければならぬ事項でありますので、この点あらかじめ申し上げておきます。  そこで、河川法案によりますと、重要な規定が政令に委任せられておるものがずいぶんございますが、通読いたしてみましても、五十カ条にのぼるのであります。これはなるほど非常に大きな法律であります。けれども一面から見ますと、国民の生活なり国の産業、経済等にきわめて重要な関係があるのであります。私は、各条文については、そのときに質疑することにしますが、最も重要なのは第四条であります。五十カ条にのぼる政令委任の規定があるうちに、第四条におきましては、一級河川認定が政令に譲られております。一級河川といいますと、四十三国会の会議録などによってみましても、明らかに百の水系が予定せられておるらしいのです。これは経済的に評価いたしましても、国土の何割かを占める重要なものであろうと思います。これに関連する国民の生活なり産業は、これまたあらゆる角度から、ずいぶんと複雑にして重要になっておる、こういうものを一体何ゆえに政令にまかしたかという点を聞きたい。これは大臣に聞きたいのですけれども、きょうは去ってしまいましたから、やむを得ませんから、事務的にひとつ答えてください。
  192. 畑谷正実

    畑谷政府委員 この第四条の一級河川の政令でございますが、これは水系の名前と河川の名前、これを政令で指定するわけでございます。その前に、一級河川指定の場合には、都道府県の知事の意見を聞き、河川審議会の意見を聞いて、その結果、政令でその名前を記載する、こういうことでございます。
  193. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私が尋ねる趣旨は、きわめて重要な国民の権利義務に関係するような事項につきましては、立法によらねばいけないというのが憲法の精神であります。憲法は、国会が唯一独立の立法機関であることを認めまして、行政機関によっては、憲法七十三条の一項六号ですか、それから内閣法の十一条によりまして、原則といたしましては、法律を執行するに必要な限度において命令を出し得る、これが政令です。それは今日の憲法学者の通説であろうと私は思います。ところがこれはそうではなくして、百本といわれるところの大きな水系、またその内容をなすところの河川が、行政庁の権限によって決定される、そこに問題があるわけです。しいてこれを突き詰めていきますならば、憲法違反かわからぬので、これはもっと論議せねばいけません。あなたらは御承知でないかもしれぬけれども、戦前国家総動員法が立法せられるときには、ハチの巣をつついたような騒ぎまでしたくらいです。戦前においてさえそうだった。実は私も河川法の審議には初めて参加するのであります。河川法の膨大な構想を見て、実はたまげておるくらいなんです。いかに大きな法律であるかということを思っておるのです。同時にまた、民生の利害休戚に影響するところ、きわめて重大な法律であると思います。ところが、それが四条によりまして、これが一級河川である、ここに水系を認めるということが、よしんば府県知事の意見を聞き、またそこいらの審議会の意見も聞くということもあろうけれども、いずれにしましてても、行政庁にゆだねるということは、これはえらいことなんです。一体なぜこんな法律をつくるのか、どうしてこれを国会において審議することをしないのか、そこなんですよ。これはほんとうは大臣でなければならぬが、政務次官、あなた言っておいてください。
  194. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの御質問に対しまして、私の考え方を申し上げたいと思います。  ただいま吉田委員のご質問の第四条の問題でございますけれども、この政令で指定するというものは、実に条件がございます。この条件の中に、ただいま仰せられましたとおり、まず河川審議会の意見を聞かなければならぬ、さらにまた、特に利害関係のあります地元の知事の意見を聞く条件といたしまして、当該府県の議会の議決を経なくちゃならぬ、住民の意志を体して、これによって決定しろ、こういうことでありますので、私の考えによりますると、憲法違反ということにはならないんじゃないか、こう実は考えております。これは私の意見でございますから、ひとつそのつもりでお願いをいたします。
  195. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 人民を、国民を代表するのは議会でございます。一々、直接国民に問うというたてまえでないのが、今日の憲法の制度であります。したがいまして、議会は唯一の最高の立法機関として、憲法四十一条に明示しておることは、お互いに了承済みなんであります。だから、そのたてまえをいっておる。三権分立の趣旨から考えてみましても、この委任立法というような、そういうものが大きく浮かび上がってくることがいかに弊害があったかということは、歴史の証明するとこるです。いまさらここで論議するわけじゃありませんけれども……。だから、このような大きな法律をつくるときに、私は、まあ五十カ条にわたるところのこの委任命令の一々も指摘したいと思うぐらいですけれども、根本は四条です。四条によって、一級河川というものを指定しようとするんだから。それを、よしんばそれが国土保全のためとか、国民経済上特に重要な水系とかいう条件がある、また、いま仰せのごとくに、知事の意見も聞く、議会の意見も聞く、審議会の意見も聞く、それはあっても、それは何も立法機関じゃないのです。私の言うのは、三権分立のたてまえからすれば、立法機関というのは国会だけなんです。したがいまして、国会をはずして行政府が法律をつくるわけにはいかぬわけです。そこなんですよ。そこへ、どこで線を引くかということがむつかしいんです。実はむつかしいです。だから、むつかしいと思うので、私も聞くのです。終局的な断定によるというんじゃないのです。けれども、多大の疑問を持っておるということを申し上げたいのです。
  196. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの御質問に重ねて申し上げたいと思うのであります。これは法律論に相なりますけれども法律によって国民の権利義務を規制するという面と、さらに効力は同じでございまするけれども、政令によってこれを規制する、こう二つございますことは、これはもう私が申し上げるまでもございません。ただ従来、法律でやるべきものを政令でやるということも、現在におきましては、いろいろ私たち経験済みでございます。たとえば税の問題にいたしましても、物品税の問題について、かりに法律で国民の権利義務を規制いたしまする問題でありまするから、これは法律で決定しなくちゃならぬということでありまするけれども、政令にゆだねられる面が多多ございますので、そういう意味で、これは普遍的な答弁でありまするけれども、そういう考え方で、おそらくこの二十四条は政令にこれをゆだねるんじゃないか、こう実は考えております。
  197. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかるのですよ。わかるのですが、これはまあひとつ後日に譲りまして、お考えください。といいますのは、それはあくまでも、やはり憲法の条章によりまして、憲法条章の七十三条のこの規定は、これはやはり憲法もしくは法律の執行の必要の限界なんです。限度なんですよ。だから、いまおっしゃるような、それは委任命令でずいぶん出ておりますけれども法律の執行の必要の限度ということがやはり条件にならねば、新たに法律をつくるがごとき命令になっては、これはやはり国会侵犯になりますので、まあ問題はそこへひっかかってきます。したがいまして、この点はやはり大臣の意見をしっかり聞いておかなければならぬ点でありまするし、あなたとの議論――これは局長の御意見も繰り返しになりましょう、同じであろうかと思いますので、これ以上問答はしないことにしますが、別に変わった意見はないんでしょう。局長といたしまして同様なんでしょう。いいんですか。
  198. 畑谷正実

    畑谷政府委員 同様でございます。
  199. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから、実はまあこれは何のゆえか存じませんけれども、この法律案というものは、えらい失礼な言い方ですけれども、もう少しこうたんねんにやってほしかったと思うような個所が多々出てまいっております。これは一般的な、基本的な問題ですけれども、さきにも質疑がありましたので、さらに私は若干展開してみたいと思いまするが、やはりこの、河川とは何ぞやというのがわからぬ。わかりませんな。河川とは何ぞやと言ったら、わからぬ。一体これはやはり河川とは――三条には「河川」とは何か、一条は「河川について、」となっています。第二条には「河川は、公共用物」これもわからぬ。三条に、河川とは、一級河川、二級河川、そういうものに関連する管理施設。だから河川の定義というものをやっぱりつくらなければならぬです。これは近代立法といたしまして、ことに建設省関係の諸般の法律を見ましても、またその他のものを見ましても、重要な法律につきましてはまず用語の定義というものはみな出ております。この法律だけです。どうしてこれはできないのだろうか。むずかしいのでつかみにくかったのか。もちろん河川というものは、自然的な社会的ないろんな意見もあったようです。若干調べてみましたが、社会通念といういろんな説もあるようであります。なかなかむずかしいことであろうけれども、むずかしいがゆえに、これは定義づけられなかったものであろうか、それとも、そうでない別の理由によるのか、明らかに欠陥であるのか、そこらをひとつはっきりしておきたいのです。
  200. 畑谷正実

    畑谷政府委員 これは前にもお話があったわけでございまするが、現行法においては、主務大臣において、公共の利害に重大なる関係があると認定した河川というような表現を使っておりますし、今度の新しい法案は、この四条で、「公共の水流及び水面」というような表現で、河川というものをつかんでおりますが、これはお話のとおりに、河川の具体的な一つのワクといいますか、形というものを定義しておるのじゃないというふうに言われれば別でございますが、やはり自然公物である川というものをとらえるに、人間がつくった一つのものであれば、これはどういうものであるということは定義はできると思います。まあ川というものは自然発生的なものであって、ただそういう川を管理し、あるいは洪水を十分に安全に疎通するためにはどういう行政措置をしなければならぬか、そういう方法――実はいわゆる河川区域としての認定行為あるいは指定行為、これが明確になっておれば、そういう行政管理権の行使ができるのじゃないか、こういうことで、河川のそういう定義がない、こういうふうに考えます。
  201. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 現行法は明澄二十九年です。明治二十九年ですから、ともかく忘れるほど古い時代の古色蒼然たる法律でありまするから、法の構構造体系というものも近代性を帯びておりません。だからそこに、あの河川法は改正せなければいかぬという声が起こったものとも考えられます。ところが、新しい画期的な、国民の民生にきわめて重大な関係のある河川法の新制定でありますから、それに用語を定義づけられないということは、何といっても、私は、これは一体行政庁は何をなさっておるのか、むしろこういうことは、どうしても行政庁がようやらなければ、国会におきましてやるべきだとさえ考える。それがされなければ、私は法の構造としてもそうだし、またこれによって幾多の不便も生ずるものと思うのです。人間があって、そこで夫婦の関係もできますし、夫婦の関係を抽象しておいて、そこで人間をつくるのでも何でもございませんです。だから、この場合、自然ではありましょう。けれども自然以外に人工流水も含むのでしょう。水も含み、あるいはその他のものも含むとおっしゃる説明も聞きました。だから、人工の流水もあれば自然流水もある、水利あり設備あり、設備はそれぞれまた自然でも何でもありません。人間がつくったものです。だから人間がつくったものもあり、自然のものもあり、包括しまして、ここに河川というものができてくるのですから、河川の法観念というものを明確にするということをせずして――だからあとで幾多の疑義が生じてくるわけなんです。幾多の疑問もそれから生じてくると私は思うのです。一たんこれは――いま申し上げておきますけれども、そそくさと立法してしまいましても、おそらく来年になると、また修正しなくてはならぬ、また改正しなくてはならぬ、というような問題が起こるのではないかとさえ私は心配いたします。だから、ここはやはり謙虚に、なぜ河川を定義づけられなかったかということは、これは国会においてはっきりとおっしゃっておいて、しからば、定義づけないならばないで、何とかそれを補てんする方法を講じなければいくまいじゃないか、こう思うのです。きまることなくして、その次の、管理であるの、工事であるの、その他いろいろな各般の法律との関連の規定であるのということをきめることは、これはやはり主客転倒の感じさえいたします。
  202. 畑谷正実

    畑谷政府委員 いまのお話でございまするが、あえて河川のそういう定義をする必要は、私どもないと思っております。この条文をずっと条文ごとに読んでいただきますと、四条には、「国民経済上特に重要な水系」、その中には「公共の水流及び水面」、こういうようなことがあります。公共的な水流及び水面、もちろんこの中には敷地を含みます。その次に、第六条を読んでいただきますと、河川区域というものがありまして、どういうものが河川の概念の中に入ってくるかということを、条項をずっと読んでいきますと、河川のはっきりしたつかみどころといいますか、河川管理区域というものが明確になり、なおかつ、河川管理としてこの条項で十分、いわゆる洪水防御のため、あるいは利水のための河川水系一貫の管理体制ができる、こういうふうに考えております。
  203. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いずれ逐条審議の際にまた議論を展開することといたします。いたしますが、この河川法は究極のところ、治水、利水、そういったことが行政的な、政治的な目的かもしれませんけれども、別の意味におきまして、やはり大きな自然なり人工の加えられたもの、これに対しましては、相当それ自体を明確にするということは、法律をつくる上におきましては、やはり大事なことだと思います。どの条文か読んでみればわかるし、またこれによって不便を来たさないということは、これはどうかと思いますが、この点については、できれば適当な機会に、ほんとう法律の専門家を参考人に呼んでいただきまして、はたしてそういうことでいいのか悪いのかについて、私はぜひひとつ意見を聞いてみたいと思います。委員長、適当にひとつこの点は御配慮願っておきたいと思います。あとに譲ります。  もう一点、これは事務当局への質疑になるのでありますが、これで私はきょうのところ、時間もないから終わっておきます。前の四十三国会においても問題になっておりましたが、慣行の水利権の問題です。これは実はややこしい問題であります。慣行水利権の問題につきまして、この法律ができますことで何らかの消長を来たすのであるかどうか。あるいはまた、台帳に登載することの義務を負担さすとかおっしゃっておりましたけれども、慣行による水利権というものは、法律規定もできなかったくらいに、実は一つの歴史を持ち、裁判におきましても、この問題の解決はなかなかむずかしいのでありますから、この扱いはよほど慎重にいかねばならぬ。そこで、慣行による水利権というものがあるという前提に立っておられるのかどうか、また、そうとするならば、この法律によってどういう消長を来たすのか、何らかの手続でもさせようという用意があるのか、これらの点について聞いておきます。
  204. 畑谷正実

    畑谷政府委員 慣行水利権は、もちろんそういうものがあるということを前提にして、この法律考えております。なお、慣行水利権は、いまお話のとおりに、従来からいわゆる世襲といいますか、慣行的に、一つの既得権として重要な権利を持っているということを十分尊重いたしまして、この河川法ができたことによって、そういう消長があるということは全然考えておりません。なお、そういうような慣行の水利権についての調査もまだまだ不十分であります。したがいまして、今度の河川台帳のときには、届け出をしてもらいまして、そういうものを一応明確に河川台帳に記載するということだけをすることにいたしております。
  205. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それはなかなかむずかしいことであります。届け出をさせるといいましても、届け出さすべき対象を確認する方法もむずかしゅうございますので、これらの点につきましては、また少し細目になりますから、後日に譲っておきます。  委員長、大臣に質疑ができませんでしたので、次の機会にぜひ質疑をさせていただきたいということを希望を申し上げておきます。
  206. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 次会は、明後十日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会