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1964-03-24 第46回国会 衆議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十四日(火曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 丹羽 喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 木村 守江君    理事 瀬戸山三男君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 岡本 隆一君    理事 兒玉 末男君 理事 山中日露史君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    大倉 三郎君       木村 武雄君    正示啓次郎君       服部 安司君    堀内 一雄君       堀川 恭平君    松澤 雄藏君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    金丸 徳重君       佐野 憲治君    西宮  弘君       吉田 賢一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設技官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   青鹿 明司君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    川村博太郎君         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      海堀 洋平君  参考人         (東京大学教         授)      今野源八郎君         (全国石油商業         組合連合会会         長)      益田  晋君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 三月二十四日  委員原茂辞任につき、その補欠として佐野憲  治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐野憲治辞任につき、その補欠として原  茂君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第二二号)      ————◇—————
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案議題として、審査を進めます。  質疑を続行いたします。西宮弘君。
  3. 西宮弘

    西宮委員 道路整備に関しまして、少しお尋ねをしたいのであります。この間局長に、若干の、いわゆる大臣の言われました事務的な問題についてお尋ねをいたしましたが、きょう大臣から少し基本的な問題について伺いたいと思います。何ぶんにも、例によってイロハでございますから、そのつもりでお答え願います。  第一は、この前の、昭和三十九年度、本年度建設行政基本施策に関する建設大臣所信表明というのがあるわけでありますが、その中に、「建設行政も、いままでのように、単に経済成長隘路を打開していくということを中心とした行き方を改め、われわれ国民」云々、飛ばしますと、「長期的に見た将来の国土のあり方を想定」してやっていくのだ、こういうことでありまして、簡単に言えば、いまの経済成長から起こってきた隘路、あるいはまたいわゆるしりぬぐい、そういう行き方ではなしに、新しい角度、新しい観点で今後の計画を進めていきたい、こういうことだと思うのでありますが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  4. 河野一郎

    河野国務大臣 御無礼ですが、道路政策につきましては、これまでたびたび私は所見を申し述べております。一言で言うとかえって誤解が起こりますけれども、たとえば従来の道路あり方について、直さなければならぬ点は直していきたい、新たに取り入れなければならぬ点は取り入れていきたい、こういうことでございます。
  5. 西宮弘

    西宮委員 河野さんが河野一郎という名前でお書きになった「これからの国づくり」という冊子がありますが、その中には、わが国の道路はあまりにも立ちおくれている、「そのための交通情勢に対処するための整備だけで手一杯となり、先導的な役割りを果す道路づくりにまでは手がまわらないことが多かった。」しかし、今回は「先行的投資を強力に行ない、そのため必要となる国の助成措置などの諸施策を強力に講ずる」、こういうふうに書いておられるので、結局さっき建設行政基本施策の中で言われたことをもう少しわかりやすく言われたのだろうと思うのです。ですから、私はそういう意味で、そのことをお尋ねするのであります。つまり、いままではそういう立ちおくれているそのものに手一ぱいで、先導的役割りを果たすというようなことはとうていできなかった、とうていそこまで手が回らなかったので、これからはそっちの方面をやるのだ、こういう決意を表明しているのだと思うのであります。そういう点で、そういうふうに理解をされるし、また私は当然そういうふうにあるべきだと思うのですが、そういう点から考えてみますと、いわゆる基本施策の中に道路行政としてうたっておりますのは三点ありまして、中には、名神高速道路全線開通と、中央道及び東名高速道路建設促進国道及び地方道整備促進及び現道舗装それから大都市内の高速道路幹線街路建設と主要な交差点の立体化積雪寒冷地帯道路整備、こういうふうに三つうたっておるわけであります。私がさっき冒頭に申し上げた、あるいはそういうように私が理解をいたしました観点から言うと、ここに掲げられております三つの項目では、はなはだもの足りないような気がするのであります。要するに、先導的役割りを大きく果たすのだということであれば、そっちのほうにもう少しウエートがかかっていいんじゃないかと思うのですが、その点いかがでございますか。
  6. 河野一郎

    河野国務大臣 実は御承知のように、私は最初五カ年計画最小限度五兆ぐらいでやらなければいかぬという考えで、その五兆円という予算をつくりました。そのときによく大蔵当局並びにその他世の御認識を得るために書いたのがその小冊子であります。ところが、大蔵当局とだんだん折衝いたしました結果、財源、来年度予算編成というような点から勘案いたしまして、さしあたり四兆一千億でいかざるを得なくなった。ただしこれは事情の変化がございますれば、たとえば道路公債等発行してもよろしいというようなときがくれば、もう一ぺんやり直そうということで、四兆一千億ということにいたした。四兆一千億ということにいたしますと、いまあとからお述べになりましたようなことになって、先行的なものについては次の機会に譲らざるを得なかった、こういうことであります。
  7. 西宮弘

    西宮委員 その五兆円の計画が四兆一千億に変わった、そういうことから、いろいろ最初構想したものが実行できないという点はわかりますけれども、要するに、その根本的な方針として、大臣の言われる先導的な役割りを果たす、そういう点に大いにウエートを置いて、力点を置いてやってもらいたいというのが、実は私の主張したい点なんですが、その点はすでに大臣が言っておることなんだから、それをそのまま具体的に実施をしてほしいというのが私の要望なわけであります。別なことばで言えば、たとえばここに現道舗装とかいろいろありますけれども、そういうことももちろん大事ないとは言いません、やらなくてよろしいというのではもちろんないわけでありますが、しかし重点という考え方からいうと、いまのようなそういうやり方では、ただいたずらに改良率とかあるいは舗装率とか、そういうものが引き上げになった、そういうことで、そういう改良率あるいは舗装率というようなことがしばしば問題にされますけれども、そういう点が大いに向上したというだけで終わってしまうんではないかということを私ども非常に心配するので、そういうことを申し上げたわけであります。もう一ぺん、いわゆる大臣ことばを借りると、先導的な役割りを果たす、そういう点の、ひとつ大臣決意を聞きたい。
  8. 河野一郎

    河野国務大臣 御了解いただきますように、五兆を四兆に減した、そこでどういうものを減すかということになりますれば、やりかけておるものを仕上げるということはこれはどうしてもやめるわけにいきません。それから都市と農村との関係等を考慮いたしますと、どうしてもほっておくわけにいきませんから、主要産業道路以上のものは舗装する、これもどうしてもゆるがせにできぬということで、緊急しかもやむを得ざるものは全部入れて、そうしてあとの余力を新しい部分に向けるというふうにならざるを得なくなりましたので、私は明年も明後年も、なるべく早い機会に、さらにもう一ぺん飛躍した五カ年計画をつくりかえるということに非常な情熱を持つべきものだ、こういうつもりで、そのときにだんだん先行する新産業道路建設等について強い要望も起こってくるでしょうから、その波に乗って、これらは当然道路公債でやることが非常に理解を得られやすい、こう思いますので、そういうやり方をした、こういうことでございます。
  9. 西宮弘

    西宮委員 ただいまの大臣の御答弁だと、やりたいことも予算が足りなかったのでやれなかった、したがってそのまま、来年度再来年度も大いに努力をして大飛躍をはかりたいというお話で、もちろんそれは来年度再来年度も今後ますますやってもらわなくちゃならないと思います。ただここに提案されました今回の五カ年計画につきましても、提案理由の説明の中に、大臣はこういうふうに言っておられるわけです。現行計画策定後の新情勢——現行というのは前のやつですね。策定後の新情勢、つまり全国総合開発計画、新産業都市建設計画等の樹立に即応いたしまして、産業開発のために道路整備をはかりたい、こういうふうに提案理由を述べられて、いわゆる先行的な道路投資をするのだ、そういうことばを使って、今回の提案を説明しておられるわけです。ですから、私はすでに今回の提案の中にも、ここでいうところの先行的な投資、すなわち全国総合開発計画あるいは新産都市建設、そういうものに即応した体制というのがこの五カ年計画の中にもすでに十分盛られている、こういう状態でなければならぬと思うのでありますが、その点について、どうも私ども手薄のように思います。もちろん、まだこれからもっとその内容についてはやっていくということでありましょうから、予算の配分の際にどういうふうに振り当てていくかということできまるのではないかと思いますが、その際に、いま言われたようなことが十分に考慮されてしかるべきだと考えるのでございます。いま私が言ったことは、大臣は、将来の問題ではなしに、今回提案したこの五年計画の中にも、いまのような先行投資としての道路計画ということを強調されております。この中でも十分それを盛ってもらいたい、こういうことを申し上げたいと思います。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 それは明年度予算の中でも組んでおります。相当部分を入れるつもりでおりますけれども、何を申しますにも、東北とか中国とか九州とか、さらに裏のほうからのこの縦貫自動車道路を手をつけて、これを完成するだけのものをやらなければ、ほんとうの道路計画とは言えない、私はこう思いますので、先ほど申し上げたようなことを申したのですが、いかにせん、いまの五カ年計画では、これらに引き当てる金は非常に少ないというようなことから、先ほど来の答弁をした、こういうことでございます。
  11. 西宮弘

    西宮委員 今日まで道路がおくれてきたのは、明治以来、まず鉄道が輸送の大宗で、道路はいわゆる補充的な役割りを果たしてきたという経過がありますから、ある意味では無理はないと言えるのでありますが、この間道路局長からいただいた資料によりますと、今後輸送役割りは、貨物の場合もあるいは旅客の場合も、自動車が大きな比重を占めるという数字が出ておりまして、そこには特にトラックの場合が非常にふえておるわけですが、それに対応する対策がとられることはもちろんでありますが、私はそういう点で一番問題になりますのは、何といっても重点的な問題として、先行投資という問題を考えるわけですが、もっと具体的な例として、簡単に言うならば高速自動車道の問題ですが、これをまず第一に大きなウエートを置いて完成していく。しかも、それはいま現に手をつけてやりかけておるものもありますけれども、さらにあとからあとから問題は控えているわけですから、ぜひこれにうんと力を入れてもらいたいというのが私の言いたい点なんでありますが、その点について伺いたいと思います。
  12. 河野一郎

    河野国務大臣 高速道路は、御承知のとおり、何ぶん八百億、一千億というような金でございます。したがって、これに手をつけますと、やはり完成するめどがついた上でありませんと、無理じゃないか、私はこういう気がします。したがって、まず東京大阪間を完成する。これはどうしてもやらなければいかぬ。その次には、東京中心にし、大阪中心にし、北九州中心にして、どの程度これを発展さすかということでございますが、これになりますと、財源との関係——財源見通しがつきませんと、ちょっと手をつけかねるのじゃないかと思います。したがって、道路公債を発行するか、外資についても思い切ったいい相談でもできるかというようなことで、道路公団財源的な相当の確信を得るまでは、手をつけにくいんじゃないかという気がしますので、少なくとも五兆とか六兆とかいう予算計画大蔵当局からも承認を受けて、そうしてやるときでなければむずかしいんじゃいなか、こう思います。それよりも、補完的に、まず百億とか二百億というようなもので済むところで有効なところに手をつける——これはできます。しかし、いまお話しのように、高速自動車道になりますと、よほど財源措置確信を得ませんと、なかなか手をつけることはむずかしいんじゃないか。同時にまた、いま東京−青森間、それから中国九州三つが一緒にあがってきておりますから、この三つの中でどれから先にということになりますと、これはなかなかむずかしい問題になりますから、そこで、よほどこれらの調整をとりつつ、少なくとも大多数の人が、これをやることが一番適当だろうということになってまいりませんと、むずかしいんじゃないか、こう思っております。  そこで、中央道の問題にしても、中央道だけ完成するのも、予算見通しが、いまの四兆一千億ではなかなか立たない、こういうことでございますから、これらの四本もしくは五本といいますか、これに手をつけてやるということには、どうしてもガソリン税程度では無理だ、道路公債に踏み切ったときでなければやれないのじゃないか、こういう気がいたします。
  13. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 大臣が、参議院予算委員会に十一時十五分までに行かなくちゃなりません。あと佐野憲治君の質問も残っておりますから、ごく簡単にお願いいたします。
  14. 西宮弘

    西宮委員 それでは、高速道路について、申すまでもないのでありますが、これからの工場配置等については、地価の高いこういう都会地では、もう飽和状態以上に達しておるので、どうしても新しいところにそういう道を発見しなければならぬと思うのであります。そういう意味で、私は高速自動車道に大きな期待を持って——それ以外に、これらの過密、過大都市を解消することもできないし、あるいはバランスのとれた発展なんということももちろんできるはずもない。これによって、たとえば高速道路にことしの道路予算の中の何%をさく、こういうことはまだきまっておりませんか。前の五カ年計画のときには、大体一五%程度というふうに聞いておったのですが、今度はまだきまっておりませんか。もし時間を食うようでしたら、その数字の点はまたあとで伺います。  それでは、私、時間もありませんから、いま申し上げたような点を強く大臣に考えてもらうことを要請をいたしまして、私の質問はこれで終わりにいたします。
  15. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 佐野憲治君。——大臣は十五分に出ますから、大臣に対する御質問を先にお願いいたします。
  16. 佐野憲治

    佐野委員 ただいま議題になっております道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案につきまして、私、特に大臣に一地方行財政の立場から二、三お尋ねいたしたいと思います。  その一つは、この建設委員会においてもしばしば指摘になっておられる点でありますが、道路整備緊急措置法によって、道路整備五カ年計画を樹立するにあたりまして、建設大臣決定をして、閣議の了承を求めるというように、第二条に規定されておるわけです。しかしながら同じ建設行政を見てまいりましても、公営住宅法によりますと、第六条に、公営住宅計画を立てるにあたりましては、県知事市町村長協議をして、住宅需給状況その他を検討して、建設省令で定むる手続によって、建設大臣に提出する、それで建設大臣決定を行なう、こういう法のたてまえになっておるわけでございます。私は、公共事業中央集権制の強い性格を内蔵しておるということは理解するわけですけれども、新しい道路法によりまして、市町村道県道国道という管理区分が明確になっておるわけです。そのときに、一般主要地方道なりあるいは地方道道路整備計画にあたりまして、市町村長管理者である県知事協議をすることなく、建設大臣がこれを一方的に決定して、しかも府県知事にその決定を通知すればそれで済むのだ、こういう考え方は、地方自治のたてまえから考えて、穏当を欠いておるのではないか。だから新しく道路整備緊急措置法を改正する場合に、そうした民主的なたてまえを持つ規定に改めねばならぬのじゃないか、こういう点が指摘されておったと思うのですが、大臣はこの考え方に対してどのように理解しておられますか。また、今度の法改正にあたりまして、そのような措置がとられなかったのはどこに原因があるか、その点をもお教え願いたいと思います。
  17. 河野一郎

    河野国務大臣 全国津々浦々、道路行政が非常に停滞しておる、そしてどこへ参りましても道路に対する要請が非常に強い。この五カ年計画をもってしても、なおかつ地方の満足を得るに至らないというのが現状だと私は思います。したがいまして、計画の小さいことについては異論があっても、大きいことについて異論があるということは、いまだ全国にその例を聞きません。異論があるのは大蔵省だけであって、そのほかからは、全部、もっと大きくせい、大きくせいということばかりでございます。府県におかれましても同様でございます。現に今回の予算割り当てにつきましても、各府県知事さん、市町村長さん、いずれも、もう少しおれのところの道路をやらぬかというお話でございまして、いまお話しのように、地方財政を圧縮するとか、こんな大きなことではだめであるということであれば、そういう社会的なムードでありますれば、いまお話しのような点が必要だろうと思います。また同時に、私どもは、地方要請のないものには割り当てはしないということでございまして、むしろその点は受けて、あとは、地方要請によって、お金だけ割り当てをしておるというのが御承知現状でございます。でありますから、地方に押しつけて、これをやれということは一切いたした例はこれまでないと私は思います。でございますから、住宅のように、地方でその意思があるかないかは別として、ぜひやってくれというようなことと多少違うのではないか。またいまお話しのような段階に入ってきますと、そういうことが必要なことになるのではないかと思いますが、現在におきましては、まだそういうふうなことになっていない。これが実情ではないかと思いますが、そういう声はきょう初めて承るのであります。いままで私聞いたことがないものでありますから、これを変える意思はありませんし、またそれを変えていく意思も持っておりません。
  18. 佐野憲治

    佐野委員 私は財源の問題は後ほどお尋ねしたいと思ったのですが、民主主義基盤である地方自治のたてまえに立って、この法律はどうかという点を大臣にお伺いいたしておるわけです。憲法には、地方自治本旨にもとる法律はつくってはならない、地方自治本旨に従って法律はつくらなければならないとありますが、こういう観点から考えてみますと、公営住宅法の場合と道路整備緊急措置法の場合とのたてまえがどうして違っておるのか。地方自治を尊重するたてまえにおいて、地方道路現況、これには大臣が御指摘になるようないろいろな要素があるでしょうが、やはり道路管理最終的責任者は、町村道の場合は町村長であり、県道の場合は児知事であるわけです。それを管理する自治体首長の意向を、この法案のたてまえからいえば、聞かなくてもいいんだ、おれは決定するんだ、閣議決定したから、これを通達するんだ、こういう形の法のたてまえは、少なくとも憲法の精神にもとっておるのではないか。民主主義基盤である地方自治に対する大臣考え方をお伺いいたしておるわけです。と同時に……。
  19. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。
  20. 佐野憲治

    佐野委員 大臣、時間がありませんから、もう一つ聞いておきましょう。
  21. 河野一郎

    河野国務大臣 参議院のほうの約束の時間がきておりますから、いままでの御質問の点をお答えいたします。
  22. 佐野憲治

    佐野委員 それと関連しておりますから……。
  23. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 簡単に願います。
  24. 佐野憲治

    佐野委員 地方行政委員会から、地方行財政の問題で……(「だから連合審査を要求したんだ」と呼び、その他発言する者あり)地方行財政に重大な影響があるからというので、連合審査声要求したんです。
  25. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 質問を続けてください。佐野君、発言を続けてください。
  26. 佐野憲治

    佐野委員 それでこの法律と関連いたしまして、同じ建設行政の中に都市計画法というのがあるわけです。大正年間にできた機関委任事務だと思います。この場合におきましても、いわゆる都市計画事業としての閣議決定がなされますと、機関委任になってしまう。単に県知事あるいは市町村長機関として委任される。だから首長を罷免することができ、代執行をすることができる。しかも地方自治体は、この予算に対する増額修正の権限を失い、監査委員もこれを監査することができ得ない。決算もこれを決算として審査することを拒否しておる。こういう法律がいまなお存在いたしておるわけですから、公営住宅法が持っておる民主的なたてまえと、いまの緊急措置法に盛られておる管理者であるたてまえをくずして、大臣がこれを決定する。都市計画事業にも、機関委任事務というような考え方に対しても、大臣民主主義基盤としての地方自治のたてまえを一体どう考えておられるか、この点を重ねてお伺いしておきます。
  27. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、そういう必要性が起こっていないということと同時に、御承知のとおり、道路審議会委員には町村長代表も出ておれば、県知事さんの代表も出ておられまして、この議を経て決定しておるのでございまして、決して大臣一存でやっておるのじゃございません。町村長代表者知事代表者の加わった審議会の議を経まして、それを閣議でもって決定するということに一応しておる。ただし、いまお話し住宅のように、地方から異論があり、もしくは地方要請がないのに、これが圧迫的なものである、実情がそうなった場合には、いまお話しのように、変える必要が起こってくるだろうと思っておりますが、さしあたりそういう必要はない、こう考えております。
  28. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 それでは大臣、よろしゅうございます。     —————————————
  29. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 本案審査のため、本日は参考人として、東京大学教授今野源八郎君、全国石油商業組合連合会会長益田晋君の御両君の御出席を願っております。  この際、参考人各位にごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙のところ、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。どうぞ忌憚のない御意見開陳くださいますようお願いいたします。  議事の順序は、まず参考人各位から御意見を承り、御意見開陳が終わりました後、参考人及び政府当局質疑を行ないたいと思います。参考人の御意見開陳は、お一人大体十五分程度とし、後刻、委員からの質疑の際、十分お答えくださるようお願いいたします。  御発言順序は、委員長に御一任願うことといたしまして、益田参考人よりお願いいたします。益田参考人
  30. 益田晋

    益田参考人 私、全国石油商業組合連合会の会長益田でございます。本日本席に私の口述する機会をお与えいただきました理由は、私に関する限り、ガソリン税並びに軽油引取税の石油販売業界に対する影響のあり方ではなかろうか、したがいまして、そうした面につきまして、述べさせていただきたいと思います。  その前に、私どもの石油販売業界の規模とでも申しましょうか、ちょっとお耳にとどめていただきたいと思うのでございますが、私どもの業界は、石油が日本に到来いたしましてから七十年の歴史におきまして、製品を消費者に販売いたす全段階のおよそ九〇%、特に、今回の税金の対象になっておりまするガソリン及び軽油の九〇%以上、を扱っておる業界でございます。昭和三十六年の石油業法によりまして、その第十三条で、石油販売業者の届け出制が採択されまして、その調査の結果、現在石油販売業者は全国でおよそ二万、そしてその事業所はおよそ三万七千、その二万の販売業者のうち一万七千強が私どもの組織に参加されまして、中小企業者としての活動を継続しておるわけでございます。そういう観点に立ちまして、今回のガソリン税ないしは軽油引取税は、私ども業界としましては、道路整備されることはとりもなおさず車両の運行が非常によくなり、石油類の消費もふえることでございますので、本質的には反対するものでは決してございません。しかしながら、この増徴が私どもの業界に非常に大きな影響を与えるということについて、二つの観点から申し上げてみたいと思います。  第一の問題は、ガソリン税が、消費税でありながら、消費者に非常に転嫁しにくいという状況でございます。従来、数次にわたりますガソリン税の増徴にあたりましては、メーカーすなわち精製元売り段階が非常に好況でございまして、その好況の上におきまして、増徴されたガソリン税あるいは軽油引取税の大半は、石油業界が負担してまいったという状況があるのでございます。これは日銀の物価指数でおわかりと思いますが、およそ三分の二は、消費者に転嫁されないままに、石油業界でこれを吸収しておるのであります。しかるに、最近は精製元売りの段階は、御承知だろうと思いますが、非常に不況でありまして、丸善石油の例を見ましても、ないしは出光興産が従来四割配当しておりましたが、一躍無配に転落したという状況から見ましても、すでに恒常化しました石油精製業者の長年にわたる過当競争の結果、もはや精製元売り段階でこの増徴税を吸収する余力がないということでございます。したがいまして、今回の増徴分は、これが消費者に完全転嫁されない限り、中小企業者であるわれわれ販売業者が、これを負担しなければならないという状況でございます。しかるに、政府におかれましては、物価対策としまして、物価抑制策を強く打ち出されており、かたがた軽油あるいはガソリンの非常に大きな消費者であるバス、トラック、ハイタクという団体に対しましては、公共料金の一年間ストップを命令しておるのであります。こういう点から藉口されまして、そういう消費者団体は、すでにして税金の増徴分は、そういう状況下から、のむことはできないという強い意思表示を私どもにしてきておる状況でございます。そういう過当競争下、非常に不安定な状況下から、私どもは、今回の増徴分は、このままでは中小企業者である販売業者が負担せなければならない状況が非常に多いのではないか、ということに非常な危惧を持っておるわけであります。  第二は、金融面の問題でございます。中小企業者の経済基盤が非常に脆弱なことは、もうすでにおわかりのとおりでございます。その脆弱な中小企業者の金融は、ただいまのところ、一般市中金融機関から過酷な取り扱いを受けておるにもかかわらず、最近の公定歩合の二厘引き上げの影響がやがてあらわれるのではないかという状況下におきまして、この増徴ということは、私どもの身にとりまして、非常に大きな負担となってまいるのでございます。私どもの業界で推定した資料によりますと、中小企業者である販売業界のガソリン税の負担額は、およそ年額二百七十億、それから軽油引取税の場合は八十億、合計三百五十億の負担増ということになっておるのでございます。この負担増を打開する方法は、何らか法的措置によりまして、確実な金融のめどをお与えいただかない限り、私どもが非常な困難に逢着するということが言えるのではないかと思うのでございます。中小企業近代化促進法という法律がございまして、これに業種指定をされることに、私どもは若干の希望を持っておりますが、現在の段階では、まだ流通段階で近代化促進法の業種指定を受けた団体はありません。したがって、私どもはまだ受けておらない状況でありますが、そういう幾つかの法律、中小企業者の擁護策がございますので、どうぞそういう意味におきまして、業界の苦境に対する助成策をお願い申し上げたい、これが今回のガソリン消費税ないしは軽油引取税の当業界に与えられる影響の大部分であります。  どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  31. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 どうもありがとうございました。  次に、今野参考人
  32. 今野源八郎

    ○今野参考人 ただいま御紹介いただきました東大の今野でございます。  先生方が、熱心にこの道路整備法案を御審議いただきますことに対しまして、国民の一人としまして、心から敬意を表するものであります。同時に、私、日ごろ考えております考え方をここで申し述べる機会を与えられましたことに対しまして、感謝をいたしております。  この法案そのものに対して、結論的に申しますと、私、希望を述べ、あるいは若干の条件を述べさせていただきまして、賛成するものであります。しかし、ただいま石油業界の代表の方からもお話がございましたように、今後こういうガソリン税のみの財源によって日本の道路金融財政をまかなうということは、だんだん困難になってまいりますので、ここで先生方に私、ぜひ根本的にお考え願いたいという幾つかのお願いをしたいと思います。  申し上げますことは、道路整備五カ年計画で、膨大な四兆一千億でございますが、当局の試算によりましても、わが国の道路を近代化するために二十三兆何がし、約二十四兆円の資金を要するわけでございます。それだけの資金を投下して道路を近代化するという必要は、私、十分あると思います。むしろいままでおそ過ぎたということもございますので、規模はその程度は必要だと思いますが、ただ問題は、私、道路の財政並びに金融制度というものが、その程度のことでいいのだろうかということに不安を持つものであります。と申しますのは、わが国のガソリン税の制度は均一的なガソリン税でございまして、アメリカの例で申しますと、一九二〇年代の税制的な考え方でございます。しかもわれわれは、この高いガソリン税プラス有料道路、大体有料道路によって高速道路をつくるという政策でございますが、これをあわせてとっております。でありますから、まだガソリン税そのものの税率は西欧——イギリス、ドイツ、イタリアに比べまして高いとは申しませんけれども、今後これが高くなってまいりますと、われわれ国民の、自動車のユーザーにとって非常な負担になるということと同時に、そもそも道路をよくするということは、経済成長に役に立つということであり、同時に日本の割高な自動車運賃の国際競争力を国際的に引き下げるということであろうと思います。日本のバスの運賃の原価、あるいはトラックの運賃原価、あるいは乗用車の運賃原価は、国際的にきわめて高いものであります。日本の経済がここまで成長してきたということは、鉄道運賃が国際的に見て安かった、船の運賃が安かったということに一つは原因があるわけでございます。ただし道路に関しましては、運賃原価が高い、これを安くするために、最適の高速道路及び国道地方道整備していただくということは、狭い意味での交通隘路の打開以上に大事なことであって、われわれはそれによってのみ、日本の経済成長を長期にわたって安定的にはかることができると思うのであります。そういう国の経済成長基盤をつくるための道路政策であり、またその財源を捻出するということでありますれば、その財源の捻出の方法がきわめて合理的であってほしいというのでありますが、いままでのところ、低かったとは思いますけれども、均一的にガソリン税を上げてきたということがございます。しかしこれを私たち道路の利用者あるいは自動車の利用者から見ますと、ガソリン税はやや西欧の最高水準に近づいている、有料道路の料金も世界的に最も高い、両方とられますとどういうことになりますか。払える人は払ってもいいのですけれども、しかし、それによって私たちの運賃の原価が高くなるということは、やはりはね返って日本の国際商品の、あるいは人間の活動の、それだけの国際競争力をその面から減殺するということになってまいりますので、ぜひ最適な高速道路中心にする道路網をお考え願いたいと同時に、税金につきましても、しかるべき税制をお考え願いたいというのが、私のお願いしたいことでございます。  たいへん恐縮なんでございますけれども、ちょっと説明の便宜上、先生方のお手元に私のパンフレットをお届けしたことをお許し願いたいのでございます。もしお許しいただければ、その八ページ目をごらんいただきたいのでございますけれども、これはアメリカ的な考え方であり、また私、合理的な考え方だと思うのでございますが、八ページ目のところに、「道路構造に対する車輌の車軸重量別負担基準」という図がございます。こういうふうに、ガソリン税を割り当てる場合に、ただ均一的に割り当てるのではなくして、道路の利用から受ける便宜の度合いに応じてかけるという、コストとベネフィットの比率に応じてかけるという考え方が一つございます。そういう考え方を、将来のガソリン税の中に導入していただけないだろうか、そうすることによって、道路を利用する割合に応じてかけることができるということが一つございます。もう一つはリラティブ・ユース・メソッドと申しますか、通過交通と地元の交通というふうに分けて考えることもできると思います。この図にありますような考え方は、アメリカでは、追増法とでも申しましょうか、インクリメンタル・メソッドと申しております。もう一つは使用の函数法と申しますか、すべての車が共通に負担しなければならない部分、それから車の大きさあるいは道路に対して与えるプレッシャー、スペースというふうなものに比例してとるとり方、あるいは道路の利用度に応じてとるとり方というものもございます。そういうふうな車両によって受ける便益の度合いが違いますので、これはもう一つのとらえ方によりますと、便益差というものを考えてガソリン税をとるというやり方でございまして、ディファレンシャル・ベネフィット・メソッドとも申します。そのほかに、道路を営業のために——これは御反対があるかとも思いますが、アメリカで現に実施している方法でございますけれども、営業のために利用する方が、つまり道路の特別利用者でございまして、これに、スペシャル・ユーザーズ・タックスでございますが、グロス・トン・マイル・メソッドと申しまして、要するに道路をどれだけ利用するかという、利用の度合いに応じてかけるという考え方がございます。そういたしますと、アメリカの計算によりますと、たとえば乗用車が一年間に支払う税が二十六ドルだといたしますと、トラック、これはトラックでもやや大型のトラックが約百ドル払っておる、あるいはダンプが四百ドル近く払っておる、さらに大きな、二台つないだセミ・トレーラーの場合には二千五百三十七ドルも払っておるというふうに、道路をいためる度合い、あるいは道路に対するプレッシャーに応じて、有料道路の料金もガソリン税もとっております。そうしませんと、頭割りで、人頭税のような意味で、ガソリン税をすべての車にかけるという基本的な最初の考え方、一九二〇年代の考え方というものは、一九六〇年代あるいは七〇年代、さらに八〇年代の道路整備を考えますと、限度があるのじゃなかろうか、こういう点を今後におきましては御研究願いまして、合理的なガソリンの税制をお考え願いたいということでございます。それによって公平になる。  もう一つは、道路は、申し上げるまでもなく、自動車だけが利用するものではなくして、道路の便益というものは、やはり一般的な便益もございますので、一般の財政負担ということも必要でございますから、そういうふうな道路の、自動車というユーザーだけではございませんで、非利用者と申しますか、国全体なり地方全体が責任を持って費用を分担する部分もあるわけでございます。それらを勘案いたしますと、財政につきましては、まず一般財源が負担するものと、そして自動車の負担分部につきましても、いま申し上げたようないろいろな答えを出しまして、合理的な税制をおつくり願いたいというのが私の考え方でございます。なお、そういうハイウエーのコストをどういうふうに利用者なり一般の国民に割り当てるかという、アメリカで研究したファイナル・レポート・オブ・ザ・ハイウエー・コスト・アロケーション・スタディという冊子が出ておりまして、当局も御研究なさっておりますけれども、将来こういうふうな徹底した御研究をいただきまして、もっと合理的な税制を確立していただきたいということを、希望として述べさせていただきたいと思います。(拍手)
  33. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 どうもありがとうございました。  以上で、参考人の方々の御意見開陳は終わりました。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  34. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいまお二人の方から貴重な御意見をお聞かせいただきまして、たいへん感謝いたします。  そこで、私は、今回のこのガソリン税なり軽油引取税の引き上げについて、その衝に当たられました大蔵省の担当者もお見えになっておりますが、私は、ただいまの両者の御意見から判断いたしましても、おおよそ今回の軽油引取税なりガソリン税の増徴は一つの限界に達しておるんじゃないか、同時にまた、道路行政全体の面から判断いたしましても、非常に負担の不公平ではないか、こういう御意見、また金融面における石油販売業者の非常な窮地に立っている実情を私は聞いているわけですが、大蔵省当局が今回の道路整備五カ年計画というものの四兆一千億の財源捻出にあたって、一番弱い石油業者なりあるいは自動車関係の業者に、道路整備全体の八三%を占めるくらいの課税をしているということは、どうも、常識論としても、私はなかなか肯定できない面があるわけです。同時にまた、これが諸物価に与える影響というものを考えますならば、いま少し慎重な配慮があってしかるべきでなかったか。この点につきましては、確か昨年の十二月だったと思いますが、関係の業者から、ガソリン税なりあるいは軽油引取税の増税については、これは困る、こういうことで、税制調査会に対して、いわゆる諮問がなされたわけですが、この税制調査会から出された答申も、このような増税については非常に慎重を期すべきだ、というふうな答申がなされたやに聞いておりますが、大蔵当局としては、このような点についてどういうふうな配慮をもって、今回のこのような増税に踏み切られたのか、この点について、ひとつ担当者のほうから御説明を願いたいと思います。
  35. 川村博太郎

    ○川村説明員 お答えいたします。  現在まで揮発油の税負担は、地方道路税を含めて、一キロリットル当たり二万六千百円、軽油につきましては一万二千五百円の税率が課されております。これは諸外国に比べましても確かにかなり高い水準まできておりますけれども、アメリカを除きますと、諸外国、ことに欧州諸国に比べますと、まだ若干引き上げの余地は残る、そういう判断をいたしたわけでございます。  なお、税制調査会におきましても、揮発油及び軽油の最近の市況にかんがみまして、増税にあたりましては相当慎重な考え方を要する、というような意見はかなりあったのでございますが、最近の財政状況等をも勘案いたしまして、道路計画の改定等があれば、物価等への影響をも勘案しつつ、これが引き上げはやむを得ないというような御意見が多数を占めておったと考えます。  なお、先ほどのお二人の参考人の御意見のうちに、かなり税に関連しました御意見がございましたので、それを四点ばかり一応御説明しておきたいと思います。  まず、益田参考人の御意見でございますが、六割は未転嫁であるというお話がございました。三十一年以降現在までに一万三千百円の税率アップがございます。これは当時から、道路計画改定ということを理由にいたしまして、税率が引き上がっておる。一方、税抜きの卸売り価格で言いますと、確かに四千五百円程度の値上がりになっております。したがいまして、差額の六割弱のものが業者負担になったというような御意見だったろうと思うのでございますが、この間原油価格がかなりの低落を見ております。それから三十一年当時に比べまして、操業度がかなり向上しております。しかがいまして精製業者の固定費負担は、一キロリットル当たり相当低下しておるわけでございます。一方人件費等の値上がりがございますので、それを相殺いたしましても、なおかなり販売コストの引き下げがあったと考えられるわけでございます。したがいまして、ガソリン税の税率引き上げの部分が価格に反映しなかった部分は、確かに三割程度はあったと考えられますが、六割というのはやや過大ではないかということでございます。  なお、三割につきまして、転嫁等に関連して、それをどう考えるかということでございますが、御承知のとおり、現在石油の精製業界あるいは販売業界を通じまして、非常に過当な競争が行なわれております。したがいまして、税制においては、もちろん揮発油税は消費税でございますから、転嫁ということが前提となっておりますけれども、これは販売あるいは製造段階における正常なるあり方を前提としての問題でございまして、業界における販売シェアを拡大するための競争、こういうものによって転嫁ができなかった部分は、税制とは無縁のものではないかと一応考える次第でございます。  それから、益田参考人の御意見の中でもう一点、今回の増税で、二百七十億の追加負担が推定されるというお話でございましたが、今回の増税によりまして、三十九年度における収入増を計算してみますと、百八十二億でございます。したがいまして、販売代金の回収等につきまして、おそらく金融機関等で計算されたのだろうと思いますが、今度の税率引き上げに応じて二百七十億の追加負担が起こるというのは、やや当を得ていないのではないかという感じがいたす次第でございます。  それから次に、今野参考人の御意見でございますが、アメリカの税制に比較して、一九二〇年代の税制ではないかとおっしゃる御意見に対しましては、確かに農林漁業用等、あるいは道路事業に関係のない揮発油消費につきましては、アメリカでは還付制度を設けております。これに対しましては、私どもも、引き上げのつど、毎回この問題を検討しておるのでございますが、何ぶんわが国の納税者の記帳等の能力から申しまして、還付制度をしくということについては非常に問題があります。したがいまして、前回衆議院の予算委員会あるいは大蔵委員会でもいろいろ議論されたのでございますが、切符制度による減免というようなことももちろん考えたわけでございます。しかしながら、この切符制度による減免を施行いたしますと、非常に徴税コストがかかる。現在全国で百人程度の税務署員で揮発油税を徴収しておるのでございますけれども、制度を円滑に遂行してまいりますためには、約千人の増員を要するというような事態でございます。したがいまして、間接税の税のあり方から申しまして、徴税コストが著しくかかるようなあり方は、やはり政策としていかがなものであろうかという反省から、従来まで、その税制に減免税を入れるというようなことをいたしてきておらなかったわけであります。しかしながら、これを一方財政支出の面で、何らか負担軽減と同じような実質的効果を与えるというような態度は、大蔵省としてはしてきておるのでありまして、その辺は税制だけの問題でなくて、財政全般を見て御判断をいただきたいと考えるわけであります。  それからもう一点、今野参考人からの御意見でありますが、道路のコストとベネフィットに応じて課税すべきであるということについてでございますが、アメリカにおきましても、揮発油あるいは軽油につきましては、税率をそうした道路のコスト等に応じて変えておるということはございません。やはり日本と同じように、均一の課税でございます。ただ、アメリカにおきましては、重量トン税と申しますか、道路を損傷するような重量車につきましては、自動車税として加重しておる、この事実はございます。この点は確かに、揮発油ないし軽油からの消費税が道路財源に充てられる。しかもそれは道路の損傷負担あるいは受益者負担ということが根拠となっておる見地から考えますと、何らか差別課税をすべきであるということは当然と思います。ただ現在重量車といいますのは、大半大型バスあるいは大型トラックでございまして、その消費する油は軽油でございます。したがいまして、現在の軽油と揮発油とのバランスが著しくとれていないという面での反省は必要であろうと思います。ただ、今野参考人も申されましたように、大型バスないし大型トラックの使用いたします軽油引取税を上げることは、そのまま運賃あるいは料金に影響いたしますので、政府といたしましては、物価対策の見地から、軽油引取税をそこまで上げるというような考え方には踏み切らなかったという点がございます。  なお、重量車税という意味では、自動車税を何らかそうした重量に応じて課税をしてはどうかというような考え方も一理あると思いますが、これもやはり大型バス、大型トラックになりますので、料金あるいは運賃への影響がかなりある。それから自動車税は現在地方税でございますので、そういう面での配慮も今後は何らか考えられてしかるべきと思いますが、現在までのところは、具体的に考えていないという経過でございます。  以上、簡単でございますが、政府としての考え方を申し上げました。
  36. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの御意見を聞いておりますと、先ほどの二人の参考人の方の意見とはかなり基本的な食い違いがあるように思うわけです。  そこで、もう一点、大蔵省に聞きたいのは、税負担の率が西欧に比べてアメリカは別として、まだそんなに高くない、こういう御意見でありますが、たとえば日本よりも率が高いというのは、私どもが調べた範囲では、イタリアとフランスだと思うのです。しかもイタリアもフランスも、私が昨年ちょうどフランスへ行ったときでしたけれども、ドゴールのいわゆる新物価政策によって、相当程度このようなガソリンの税等に対する目的税の減税がなされていることを、私は聞いているわけです。それからもう一つは、負担の率そのものだけでなくして、ガソリン税なり軽油引取税等が増税されることによって、それが国民大衆に与える影響、もう一つは、西欧各国と日本の国民所得の割合から考えましても、このことを一律に論ずることは少し当を得ないのじゃないか。この点が第一です。  第二は、私の持っている資料によりましても、いわゆる現在の西欧先進国と日本を、全体的な道路の状況なり、バス、トラックその他の各種の自動車の保有台数等から比較いたしました場合においても、日本の場合は単位当たりの負担率というのが非常に高いのではないか。こういうことを考えますと、いまあなたの言われました点について、どうしてもわれわれは理解に苦しむ。またいまの説明では、たとえば石油業者のいわゆる負担割合というものが六割と三割ということで、半分も違うという意見を言われたようでありますが、その点についても、私は非常に大きな問題だと思うのですけれども、国民所得の問題、自動車の保有台数の問題、そういう関連性についてひとつ再度御説明を願い、また今野参考人なり益田参考人からも、先ほどの川村課長さんの説明と、私は違いがあったと思うので、その点について御意見を再度聞かしていただきたい。
  37. 今野源八郎

    ○今野参考人 私の意見に対しまして、大蔵省の御専門の方から少し違うのじゃないかという御意見がございました。私の資料が間違っておるかどうかちょっとわからないのでございますけれども、私の調べたところによりますと、アメリカの州の場合に、これは、州道でございますから、国の、連邦政府の財政支出に対しまして、それにマッチした資金を出さなければなりませんので、その徴税のためにとられた政策でございますけれども、一九五六年にバージニア州におきましては、大型車に対してガソリン及びその他の自動車燃料税としてガロン当たり八セント、バスは六セントの税を納めるということになっております。またケンタッキーにおきましても、特別の自動車燃料を使用している車のうち、重い車、一万八千ポンド以上のバス及びトラックにつきましては、特にアクセルが三つ以上の場合には、普通のガソリン税プラス二セントの差別税を課するということになっておりまして、一九五五、六年ごろからノースダコタ、テネシー、オクラホマというような州におきまして、ディファレンシャル・タックスと申しまして、一定のガソリン税プラス、その州道を営業的に利用する大型車に対しまして、プラスアルファの税を課する。それによって州が財源として、あるいは道路債券を発行した場合におきまして、その償還に充てることになっております。そういうふうでございまして、ユニホームなあるいはフラットな、均一的なガソリン税をとることには限度がある。それも必ずしも公平ではない。やはり利用する度合いあるいはそこから受ける便益、ベネフィットに応じて税を負担すべきだ。そうでありませんと、われわれ一般の血税で道路を改良し、それを営業用のトラックが商売のためにお使いになるということで、使用料のようなものを出す。もう一つは、自動車税的なものであって燃料税的なものではないのじゃないかという御意見、これはそういう面もございます。しかし自動車税にいたしましても、タイヤあるいは特別なその他の税金にいたしましても、ほとんど一括して道路財源に使っております。有料道路もまた財政金融制度の一環として、二八〇〇年代から使われておるものでありまして、広い意味で、道路の金融財政というものを一本にして、自動車税、それからガソリン税、道路利用税——つまり有料道路の料金とガソリン税、物品税的な自動車税、この三本をばらばらでなくして、これを一元的に公平に取る。そうしてそれによって道路財源を調達していただきませんと、公債を発行するといいましても、結局公債の財源は多くはやはりこういった財源から支払われるべきものじゃなかろうかと思いますので、その点の御研究を願いたいというのが私の希望でございます。
  38. 益田晋

    益田参考人 ただいま大蔵省の御見解をお聞きいたしましたが、ただいま御発言のございました数字的な問題につきましては、私ここに正しい詳細なデータを持っておりませんので、事務当局で調べましたものについて申し上げます。あるいは基本数、その他の相違もあろうと思います。ただ、お話の中に、現行輸送料金が安くなっておる。あるいは精製操業度が高くなっておることによりまして、販売コストが非常に落ちておるはずだという御発言につきましては、実は、私どもの中小企業販売業者の段階ではないのであります。先ほど申し上げましたように、そういうふうな状況から、非常に好況でございました精製元売りの問題であります。その精製元売り各社が、今日過度の、ないしは非常に長期にわたります過当競争の結果、もはやそういう有利な要素をすでに消化して、なおかつ先ほど申し上げましたような、丸善のような状況がここにあらわれつつある。しかも今度の増徴は、そういう状況から、精製元売り段階では、のむことはできない。元売り各社が好況であれば、私どもはそういう増徴部分は、負担する余力がございませんので、元売り各社にその一部分でもそれをのんでもらいたいということが私どもの主張でございますが、常識的に考えまして、元売り各社が、今日の過当競争の状況から申しますと、負担できないという判断を下さざるを得ないのであります。そういう点が従来と非常に異なる点でございまして、そういう状況、非常に不安定な状況から、この増徴額を消費者に転嫁するということになりますと、転嫁し得ない場合には、遺憾ながら中小企業者である私ども石油販売業者がこれをかぶらなければならないという要素が、非常に深いのであります。にもかかわらず、タクシー、あるいはバスの料金の一年間ストップによりまして、石油代金、ガソリン税増徴分はのめない、軽油引取税増徴分はのめないという態度を、明らかに私どもに表明してまいっておる次第であります。  なお、私どもの金融の非常に負担増となる面につきまして、もう一つの問題点は、精製元売り各社——これはいまに始まったことではございませんが、私どもの取り引き条件は、非常に短い、三十日ないし六十日のサイトの取り引き、しかもその取り引きは担保を入れました制限取り引きであるにかかわらず、消費者に対する取り引きは無担保の信用取り引きである。しかも消費者の倒産その他によりまして、かなり大幅な負担をしいられておるというのが私どもの現況でございます。そうした点を十分御配慮いただきたい、かように申し上げる次第でございます。
  39. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 関連して、西宮君から参考人に対する質問がございます。これを許します。西宮弘君。
  40. 西宮弘

    西宮委員 益田参考人が、たとえば道路がよくなれば走行キロが高くなる、こういうお話をされたのでございますが、そういう観点からいうと、たとえばその分だけガソリン税を値上げをしてもさしつかえない、そういうことに、言いかえればなるんだろうと思いますが、そういう点について何か計算がありますか。たとえば、いま持っております資料では、走行費は、トラックの場合一キロメートル当たり、  一般の道路で五十円九十四銭、高速道路の場合に三十八円、こういう数字が出ておりますが、これだけ走行費が安くなる。したがって、その分だけ、たとえばガソリン税などを上げてもさしっかえない、こういうことが言い得るのかもしれませんが、そういう点について何かありましたら、お聞かせ願いたい。これは今野先生でもけっこうでございます。  それから、今野先生に一つお尋ねいたしますが、たとえば、道路費用は国民所得に比べてどの程度に負担するのが妥当な数字かということなのであります。これは、外国等に比べると、たとえば、アメリカ、ドイツなどよりは低い。しかしフランス、イタリア、イギリスなどから見ると高い。高いというのは、日本が相当負担しておるわけです。そういう数字が出ておりますが、ちょうど日本と並行するのは、いまの舗装率なんかから見たらカナダではないか。そのカナダに比べて日本は低い状態になっておりますが、どの程度に押えたのが妥当か。あるいはもし、もう一つ資料をお持ちでございましたならば、いわゆる道路資産ですね。自動車一台当たりの道路資産はどの程度に計算されているか。最近非常に激減しておるようですが、これをどの程度まで回復したらいいか。その点だけをお尋ねいたします。
  41. 益田晋

    益田参考人 ただいまの御質疑の中で、私の先ほど申し上げました、基本的には道路整備されれば車両の運行も容易になる、石油の消費もふえるので、業界としては非常によくなることからいって、基本的には反対でないということを常識論から申し述べたのでございます。私ども別段それについての資料を持っておるわけではございませんが、しかし石油業界としましては、よけいに消費がふえれば、販売量もふえるという常識論から出たことでございます。
  42. 今野源八郎

    ○今野参考人 お答え申し上げます。  最初の、国民所得の中で道路費がどのくらいの割合を占めたらいいかという合理的な水準と申しますか、パーセントいかんという御質問でございますけれども、大体四、五%くらいじゃないだろうかというのが、各国で多いほうを見てのお話でございますが、大体わが国の現状程度じゃないかという気がいたしますけれども、しかし、比較いたしますのに、国民所得とだけは比較できない。あるいは国民総生産、むしろその国民の全体の経済活動に必要なのが道路であり、鉄道、すべての交通機関でございますから、そういう意味では、GNPと申しますか、国民総生産との比率を考えてもいいんじゃなかろうかというのが一つでございまして、これは、日本のように過去においてほとんど道路投資をしないできた、というと語弊がございますけれども、非常に過小投資をしてきた場合には、それを取り返すために、ちょうど不景気の時代に投資をしないできた工場が、一ぺんに投資をするのと同じようなことで、制度として必要なだけの道路近代化をしなければならないのではなかろうか。それが、道路投資をして経済活動の見返りになってくるといいますか、サポートできるような形にしていただきたい、こういうことなのでございまして、これも私の資料をもとにして申し上げてたいへん恐縮なのですが、御参考にちょうどお手元にお配りいたしました冊子の三ページをお開きいただきますと、三ページ目のところに、アメリカの最適の高速道路の図がございます。三ページに第三図というのがございまして、小さなアメリカの地図がございまして、黒まるが入っておりますが、黒まるのところは製造工業の付加価値の大きさを示しております。つまり原料費やなんかを取った正味の付加価値の額を示しておる。アメリカの高速道路の場合、四万マイルばかりでございますけれども、ほとんど、アメリカの経済成長をささえておる重工業の付加価値の高いところ、というのが一つのねらいでございます。そうしますと、いまそういうところへ投資をしまして、かりに国民所得から見ましてわりあい高い投資をしましても、おおむね五年なり十年なりで国民経済成長という形で元が取れるという考え方でございます。  もう一つは、それじゃ農業のほうはどうするんだということになりますが、農業の場合でも、五ページ目のところにございますが、大体この高速道路中心にしまして、一般の道路を入れますと、この道路によって農産物の五割が運ばれるという計算が、五ページの第五図のところで示されております。でありますから、結局、最適の道路網を早くつくりだすということに向かって集中的に道路投資をいたしますと、わりあいにパーセントが高くても、関連してそれが国民経済のいい意味での循環の輪を広げてくる、経済成長に役に立つということになってまいりますし、まあ無用だとは申しませんけれども、比較的数の少ないところに投資いたしますと、必ずしもその効果が上がってこないのじゃなかろうかということを考えますし、また各国がそういう研究をしております。  なお、表をお開きいただいた最後に、十二ページに、アメリカの十五カ年計画の財政計画が出ておりますけれども、十五カ年計画を立てまして、ガソリン税その他自動車税から入ったものをこの中へ入れて、最後にゼロになるような計算で、道路信託基金といいますか、ハウイエー・トラスト・ファンドという形で独立会計にしてやっておりますが、そういうふうなやや長期の計画を、できれば立てていただきたいし、財政だけではありませんで、金融も含めて、そういう案をお示しいただきたい。そうすれば、国民がそれに対してどれくらいの投資をすれば、どの程度のどこの道路がよくなるのだという、抽象的な文字で示すだけでなくて、路線で示していただきたい。それによって、結局最大多数の国民が最大の便宜を受けるということであり、それによって日本の経済の成長を世界にほんとうに示していかれるという、そういう基盤でなければならないと思うのです。地域開発とか、それはもちろん大事なことでございますが、地域開発の問題を含めて、国民が負担できる程度ということを、広い意味で計算をすべきだろうと思います。
  43. 兒玉末男

    ○兒玉委員 参考人の方にはもうあと一問だけで終わりますが、今野参考人にお伺いしたいのですが、やはり先ほどから指摘されておるように、今後の道路整備は相当の公共投資を必要とするわけですけれども、やはり現在ガソリン税等が目的税として道路整備の全体の八三%を占める、非常に高率を示しておるわけです。ですから、私は道路そのものが整備されることは、国民全体、いま言われたとおり、産業、経済、文化、あらゆる面において影響を受けるわけです。もちろん、私は、自動車業界の人たちも、道路整備されることによって、燃料なりあるいは車の損耗度合いというものを軽減する、そういう直接的な利益を受けるわけでありますけれども、ガソリン税なり軽油引取税の与える影響というものを考えますならば、今後もやはり道路整備財源においてはおのずから限界があるのじゃなかろうかと思います。やはりその負担割合というものはもう少し一般財源に求める方向に、大蔵省としては努力をしていくべきではないかと、私は思うわけです。過去三回にわたる道路整備五カ年計画におけるところの一般財源の割合と、いわゆる自動車等による燃料税の負担割合というのが、だんだん燃料税がふえて、一般財源の率というものはだんだん少なくなってきておるわけです。これは私はむしろ逆の方向にいくべきではないかというふうに考えるわけでありますけれども、これらの負担割合についての先生の御意見をひとつ承りたいと思います。
  44. 今野源八郎

    ○今野参考人 ガソリン税並びに——ガソリン税と申し上げても、軽油引取税を含めてのことでありますけれども、こまかい話から意見を申し述べますと、日本の軽油引取税がガソリン税に比べて不当に安いということ、これは根本的にお考え願いたいと思うのです。産業車あるいは営業車、あるいは大型のトラックは国のためになるのですけれども、われわれ普通の自家用は、中小企業の自家用であっても、トラックであっても、あまりためにはならないとは申せませんけれども、相対的に大きな車は役に立つ、重油を使っているような車はプラスになるけれどもあとの車はぜいたくだというような考えがむしろ古い。そういうこまかい差別じゃなくて、道路税として、道路の費用を調達するために、政府としてお考え願えますれば、やはり道路を使用するベネフィットに応じてかけるということになってまいりますと、先進国のように、やはり受益の程度に応じてかけるという、ガソリン税の内部の合理化、合理的な体系をお考え願いたい。自動車税あるいはトレット・ラバーというかタイヤ税とか、あるいは特殊な大きなタイヤを使っているとか、その他のアクセルの大きさとか、いろいろありますけれども、いろいろな自動車税、軽油引取税、ガソリン税、ともに道路利用税としてもう一度将来——今回の案には、私は賛成でございます。それからガソリン税が——ガソリン税といいますか、揮発油税関係のものが八割を占めているということはやむを得ないと思いますけれども、中においてもう少し将来もっとこまかい合理的なシステムを考えていただきたいと思います。  それから一般税財源から負担すべきだという御意見、これも私はよくわかります。しかし、その前に一般税でもいいのですけれども、土地の値上がりが非常にひどい、極端なわけです。これを土地の価値の増加分から、沿線の受益者負担というような形でとれないだろうかということでございまして、高速道路ができる、あるいは一般の国道でも地方道でも改良されますと、地価が数倍あるいは数十倍、あるいは数百倍増加いたします。こういう笑いがとまらないようなときに、われわれガソリン税を納めている者だけが納めなければならないということも不公平でありまして、徴税の技術が非常にむずかしいのですけれども、何とかそれをお考え願いたい。もしもそれを一般財源の中に入れて、一般税で負担するということになれば、これはけっこうだと思いますけれども、やはり自動車がいまのように一年間に百万台も伸びていくというようなことを考えますと、一九七〇年、八〇年ごろを考えますと、大部分自動車と燃料関係の税金でまかなえるのじゃなかろうか。現にアメリカの場合でもまかなってきております。ただそれには、有料道路の料金というものをあまり高くしていただきたくない。特に道路について、土地まで償却するということは、考える必要が一体あるのだろうかということをお考え願いたい。有料道路の料金について申しますと、アメリカでは一マイル当たり大体一セント半くらいでございまして、キロ当たり三円五十銭から多くても五円程度でございます。これも車の大きさ、重さ、幅、アクセルによって違いますけれども、日本は七円から十円取っている。こういうふうになってまいりますと、非常に自動車に対する圧迫といいますか——自動車を圧迫するというのはいいのですけれども、やはり国際競争力がそれだけ減ってくるということで、鉄道運賃を幾ら安くしても、そのファイナルのコストが高くなることにもなりますので、将来適正な自動車運賃で、国際競争力のある自動車運賃のコストを形成していただくためには、どうしても税制のほうをもう少しお考えを願いたいということになりますが、そういうことで、くどくなりますけれども自動車自動車以外の税金というものと有料道路の料金というものをあわせて御研究願って、合理的な体系のものをつくっていただきたいという結論でございます。
  45. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、本案審査に資するところ大なるものがあります。委員会代表して、厚くお礼を申し上げます。     —————————————
  46. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 政府当局に対する質疑を続行いたします。兒玉君。
  47. 兒玉末男

    ○兒玉委員 川村税制課長に再度御質問をしたいと存じますが、いま今野参考人からの御意見もございましたように、やはり道路整備によって利益を受ける人たちの利益分担率といいますか、そういう点から考えますならば、いまの自動車等に付随する課税の偏重した形を、やはりもう少し合理的に改めていくべきじゃないかというふうに私たち判断をするのです。そこで、特に今後道路整備が日本の建設行政の中において大きなウエートを占めておるのです。同時にまた、この前の本会議における河野建設大臣答弁の中において、四兆一千億の予算では十分でない、まだもっとふやしてもらわなければいかぬ、こういうことになりますならば、なおさら私は、いわゆる課税の公平という点を十分検討する段階にきておると思うわけです。税制を担当する課長のほうとしては、現在の道路整備によって受ける受益率の案分でございますか、そういうような点についてはどういうふうな資料を持っておられるのか。少なくとも課税の率をきめるにおいては、やはり受益者負担というこの原則は貫くべきだと思うのですが、その辺の点について、もしお考えがあったならば、ひとつお聞かせを願いたい。
  48. 川村博太郎

    ○川村説明員 御質問の課税と受益との関係につきましては、数年前に鮎川構想というのがございまして、その資料はございますが、非常に計算の前提と申しますか、バロメーターが多いために、恣意的になりやすくて、私ども実はいろいろ検討しておりますが、まだその関係については結論的な数字を申し上げる段階には至っておりません。なお、いまの税負担との関連での御意見でございますが、揮発油税がなお西欧諸国等に比べて引き上げる余地があるとはいうものの、今回の引き上げによりまして、小売り価格に対しまして六二・七%の負担率になる。西ドイツあるいはイギリスにおきまする負担率が、ともに六三・五%でございます。したがいまして、今後揮発油の引き上げの可能性というものは非常に少ないのではないかという感じはいたします。なお受益との関連で申し上げますと、今野参考人が言われましたように、現在日本の軽油引取税と揮発油税との税負担の差がきわめて大きい、実際の受益との関係でいえば、あるいは損傷負担との関係でいえば、今野参考人が言われましたように、むしろ軽油のほうを重課すべきでございます。その軽油が現在揮発油の半分近くにとどまっておるということは、確かに税負担の公平という面からいいまして、今後是正さるべきものと思います。ただ問題は、軽油の消費者というものが、大型バスとかあるいは大型トラックとか、直ちに料金とか運賃に影響を及ぼす階層でございますので、その辺は、物価に対する影響等を考えながら、慎重に検討をしなければならない問題だろうと思います。ただ、それにつきましても、今回揮発油税につきましては一割の引き上げでございますが、軽油引取税は、そういうことも勘案いたしまして、二〇%と、引き上げの率は若干高めてきめた次第でございます。
  49. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大蔵省関係はこれで終わりまして、次に道路局長にお伺いいたします。  この前、今回の道路整備五カ年計画に基づく中において、特に当初の五兆の予算が四兆一千億に削減された。その場合、大体、当初五兆予算の場合に地方の単独事業は六千八百億でございましたか、これが約千二百億でございましたかふえて、全体で八千億になっておるわけです。それで大臣は、地方から単独でもどんどんやるという積極的な意見があるために、これの消化は決して地方自治体の負担にはならないというふうな答弁をされておるわけです。ところが、五カ年計画を一年平均に割ってみますと、三十七年、三十八年、県の単独事業は大体一千億程度だったと私は記憶いたしております。そういう点からいたしますと、今度の三十九年度を初年度とする地方単独事業というものは、平均千六百億の負担になるわけです。約六割の増になると私は思うのですが、そういうふうな、今日の地方自治体の実態から判断いたしまして、確かに道路整備に対する意欲は旺盛であったにいたしましても、財政負担の面において、この地方単独事業の八千億というものは、消化できる自信を持ち、具体的な計画を立てられるのかどうか、この点について、局長の御見解を承りたいと思います。
  50. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 地方単独事業は、当初五兆円の計画のときには六千六百億という数字を持っておりました。それが凶兆一千億のときにおきまして八千億になっております。確かに御指摘のように、五兆円が四兆円になったにもかかわらず、地方単独事業がふえたことにつきまして御質問があったわけでございますが、この点につきまして、私どもの当初の六千六百億円の見込み数字でございますが、これは若干かた目であったという判断をいたしております。元来、地方単独事業は、地方自治体の財政力に非常に影響を受けるものでございます。最近の実績から申しますと、三十八年度は約千億を若干切れますが、大体九百億台の中間の需要が見込まれております。それから三十九年度は、自治省のほうと私どもいろいろ相談いたしておりますが、おおむね千二百四十億ぐらいの規模を期待いたしております。したがいまして、このような計画からまいりますと、五カ年間八千億という規模は決して不可能な数字ではないということで、自治省と建設省とにおきまして、これの見込み数字につきまして、おおむね意見の一致を見たわけであります。したがいまして、私どもは、十分この八千億の規模は実施可能である、かような判断をいたしております。
  51. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣がお見えになりましたので、二、三点だけ御質問したいと思いますが、その前に、道路局長にもう一点お伺いしたいのは、七月末で車両制限令の猶予期間が切れるわけです。それで東京都内においても、十五線ぐらいバスの営業路線の運行を停止しなければいけない。それによって都内でも約十万人の足がとまるということがこの間の新聞でも発表になっております。単にこれは東京都内だけでなくして、全国的に与える影響はきわめて大きいと思うのですが、これに対して、いよいよ車両制限令の期限までに、どういうふうな具体的な計画と指示をするか。さらにまた、バスの運行等を禁止せざるを得ないという陸運当局等の見解を聞きますと、これは私はきわめて重要な問題だと思うのです。それで、さらにこの制限の期間をある程度猶予するなり、またはその裏づけとなる迂回道路の指定とか、そういうふうな面について、本年度はどのような予算的な措置なり指導をやっておるのか、この点について、局長なり大臣のほうから、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  52. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 車両制限令につきましては、この七月三十一日で路線バス、路線トラックの猶予期限がくるわけでございます。これにつきましては、道路管理者と陸運局、それから警察、この三者をもって構成されます三者連絡協議会によりまして、各県ごとに、できるだけ道路整備をする、あるいは運行路線を変更する、あるいは車両を小型にする、こういう検討をいたしておりますが、何ぶん全国的に非常に延長が多い話でございまして、私どもといたしましては、道路のほうで、待避所を設置する等、道路整備の側から努力をいたしております。三十八年度におきましては約五十三億、三十九年度におきましては百二十二億を予定いたしておりますが、七月三十一日までに、かりにこういうような待避折設置等をやりましても、やはりバス路線等で若干支障ができてくることは予想されます。そういう点につきましては、なるべく早い機会に、この三者連絡協議会等の情報もとりまして、一般国民に支障のないような措置を講じなければならぬ、かように考えております。
  53. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、この前の本会議の御答弁でも大臣が明らかにされましたように、今度の道路整備五カ年計画における四兆一千億では十分でないということを言明されたわけです。先ほど石油業関係と、それから東大の今野先生を呼びまして、いろいろ御意見を聞いたわけですが、やはり揮発油税等の増税ということは、大体日本の国民全体の経済基調から考えても、一つの限界にきているのじゃないか。もう一つは、やはり税制をもう少し合理的に改革をして、道路整備によって受けるいわゆる受益者の負担というものの率を公平にすべきだ、こういういろいろな御意見を伺い、私たちの考えを述べたわけです。こういう点から判断いたしますと、やはりいままでの揮発油税なり軽油引取税等が、多少目的税として偏重した形になっておるのじゃないか。道路整備費の八三%という率は決して妥当じゃないのじゃないか。第一次から第三次における道路整備五カ年計画の一般財源と、いわゆる燃料税との負担の割合というものが逆の方向にきておるということは、特にこのガソリン税に伴う国民生活の影響ということを考えます場合に、今後の道路整備財源を確保する上において、やはりいま少し合理性と、根本的な改革をする段階にきておるのじゃないかと私は思うわけです。これは道路整備上きわめて重要な問題でございますので、大臣の御見解をひとつ聞きたいと思います。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 私もお話の点に異論はございません。ただ、ガソリン税、揮発油税が高いか安いか。これを道路に使うから、使わぬからは別にしまして、日本のようなほとんど資源のない国で、そこのガソリンの価格等から見まして、欧米の同様な国に比べてみて高いか安いかということになれば、まだ高くない。ただ、これをそのまま道路に引き当て、道路に使うからという議論は、これはまた別の議論です。道路に使うために値を上げるのじゃないのであって、二つに分けてものを考えたらいいと思います。決して日本の現状においてそうひどく高い税金——これはたとえば砂糖その他の消費税でもみな考えられると思うのです。たまたま道路の場合には、道路の目的税にしておるというだけです。これは目的税で、ガソリンの金が入ってこなければ道路はやらぬかといえばそうじゃない。道路は当然道路としてやらなければいけないのだ、どういう財源かは別にしてもやらなければならぬのだ、こう私は思います。したがって、道路財源について、いまお話しのとおり、私も大いに今後考慮する必要があるという考えのもとに、たとえば受益者負担については今後考えられるかどうか。たとえば、きのうも東京湾埋め立ての中を通す道路にまいりまして、この埋め立て地の道路ができることによって、埋め立ての利用価値がこれほどはっきりしているものはない。東京都の役人さんもたくさんおられましたが、これほどはっきりしているものがないとすれば、この埋め立てについて負担してもらうことが一番簡単だから、負担してもらおうじゃないか、それに所要の法律をつくるなら法律を書こうじゃないか、こういうことを私はきのう申したのです。これは今後あらゆる面において努力をいたしまして、そうして、より合理的に、より効率の上がるようにしていくべきだ、こう私は考えます。
  55. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員 本案に対する質疑は、この程度で終局せられんことを望みます。
  56. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 ただいまの加藤高蔵君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  57. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 起立多数。よって、本動議は可決され、本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  58. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  59. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 起立全員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕
  61. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 次会は、明二十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後零時三十四分散会