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1964-02-26 第46回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十六日(水曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 木村 守江君    理事 瀬戸山三男君 理事 廣瀬 正雄君    理事 岡本 隆一君 理事 兒玉 末男君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    大倉 三郎君       木村 武雄君    正示啓次郎君       田村  元君    根本龍太郎君       服部 安司君    堀内 一雄君       堀川 恭平君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    勝澤 芳雄君       金丸 徳重君    中嶋 英夫君       西宮  弘君    原   茂君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         総理府技官         (首都圏整備委         員会事務局長) 谷藤 正三君         防衛施設庁長官 小野  裕君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    鈴木  昇君         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (管財局長)  江守堅太郎君         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     吉兼 三郎君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建設技官         (河川局長)  畑谷 正実君         建設技官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君         建設技官         (営繕局長)  建部 仁彦君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   青鹿 明司君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     坪井 為次君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     上村健太郎君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     佐藤 寛政君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     藤森 謙一君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 二月二十六日  委員原茂辞任につき、その補欠として勝澤芳  雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員勝澤芳雄辞任につき、その補欠として原  茂君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件建設行政基本施策  (道路に関する問題)に関する件     —————————————
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際おはかりいたします。  本件調査のため、日本道路公団総裁上村健太郎君、理事佐藤寛政君、同藤森謙一君の三君を参考人として、意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人諸君からは、質疑応答の形式で意見を聴取いたしたいと存じますので、御了承願います。     —————————————
  4. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。堀内一雄君。
  5. 堀内一雄

    堀内委員 国土建設、特に所得倍増所得格差の是正、貿易の振興というような池田内閣の声明しておる政策実行する基礎として、道路建設港湾整備が必要であることは申すまでもありません。この見地から、建設省が、おくれておる日本道路状態をすみやかに欧米並みに追いつかせるという意味から、先般、十八年間に二十三兆九千億の永久計画を立てたということは、まことに時宜に適したことと存ずるのであります。われわれはこの計画の実現を大いに期待しておるのでありますが、この問題について、二、三まずお伺いしたいと存じます。  まず第一に、建設省の立てました十八カ年二十三兆円という永久計画概貌についてお伺いいたしたいと思います。
  6. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいま御質問のありました道路長期計画につきましては、建設省におきまして、昨年来国土建設基本構想を立てまして、おおむね二十年先の道路河川その他の施設計画に対するビジョンを想定したのでございます。その中におきまして、道路につきましては、昭和五十五年度まで、したがいまして、ことしからですと十七カ年になりますが、この間に、わが国道路ヨーロッパ先進諸国並みの水準まで上げたい、こういう想定のもとに、それに必要な道路投資額を計算したのでございます。それによりますと、いろいろ道路性格によって違いますが、大きく三つの方向に分けまして、第一番目は、国土の全般にわたります幹線的な自動車道路網、これをおおむね六千五百キロくらいと想定いたしまして、これに対する投資を四兆七千億ぐらいに見たのでございます。第二は、国道都道府県道あるいは市町村道という一般道路網整備に要します費用といたしまして、おおむね十一兆三千億ほどを見たのでございますが、これはただいま申しましたように、現在ございます国道網県道網市町村道網、こういうものを整備いたしまして、できるだけ全国土にわたりまして、その整備率、特に舗装の整備率を上げたい、こういうことで積算したものでございます。第三番目には、大都市交通緩和のために必要なる都市内の高速道路、あるいは交差点の立体化、あるいは必要な街路面積の確保、こういうような観点で積算いたしまして、これに要しますものがおおむね四兆七千億、以上三つの大きな柱を立てまして、そのほかに必要な諸費を計上いたしまして、昭和五十五年までにおおむね二十三兆八千億円の投資が必要である、こういうような構想を立てたのでございます。ただいまお話しの十八カ年と申しますのは、三十九年からいいますと十七カ年になります。五十五年を目標にした長期的な道路投資見通しを、いま言いましたような方法で立てたのでございます。
  7. 堀内一雄

    堀内委員 日本道路現状が、ヨーロッパに比較して五十年おくれておるといわれておる時期におきまして、建設省がこの永久計画日本国土を思い切って直そうという計画は非常に適当であると思うのでございますが、この計画は、いまお伺いすると大体十七カ年、二十三兆八千億であるということでございますが、私は、この道路状態からいえば、早ければ早いほどいいので、十七カ年というのはあまりに長過ぎると思うのですが、その十七カ年というような長い計画を立てられたそのもとはどこにあるか。これが資金関係にあるか、または日本の技術並びに資材等関係にあるか、その辺、十七カ年というような長い期間を立てた根本の原因をお伺いしたい。
  8. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 十七カ年と申しますのは、ただいま申しましたように、国土全体にわたります建設基本構想によりまして、五十五年あたりを想定した、ということは、いろいろこの作業をいたしますには、統計的な一つ見通しが要るわけでございますが、そういう長期にわたります見通しといたしましては、経済企画庁で立てております所得倍増計画その他にあげられております経済的な指標が参考になります。われわれがそういうものを利用いたしますにあたりましては、一応五十五年という時点におけるもの以上にはちょっと得られませんでしたので、さしあたりそういうものを利用した関係上、五十五年という時点をとったのでございます。  それから、投資の大体の規模でございますが、もちろんこれは道路等おくれております関係上、多々ますます弁ずるわけでございますが、一つには、従来経済計画の際道路計画考えられました手法、すなわち道路の原単位方式によります積算の方法、これも一つ考えてみたのでございます。したがいまして、必要なものを全部積み上げるということになりますと、もっと膨大になると思いますが、一応与えられました経済規模、並びに従来の考え方、すなわち原単位考え方参考にいたしまして、ただいま申し上げましたような数字を積み上げてみたわけでございますが、また一方、これはあくまで長期的な見通しでございますので、道路につきましては、今国会にもお願いいたしておりますように、五カ年計画として実行計画を立てたい、こういう考え方でございますので、その財源的な背景等については、この二十三兆八千億円というものについては、そういう考慮は特にいたしておりません。現実の実行計画としての五カ年計画において、そういうことを考えるという立場に立っておりますので、この長期計画においては、特に財源的な裏づけからこういう規模のものを出したということはございません。
  9. 堀内一雄

    堀内委員 建設省で出しておりますこの「欧米なみ道路をめざして」という資料から見ますと、いまの二十三兆、十七年計画というものについて、でき上がるのは、名神高速道路と、東海道幹線道路と、国土開発縦貫自動車道というものが四兆七千億円、国道地方道街路というのが十一兆三千億円というようなことで書いてありますが、これででき上がるいわゆる高速自動車道というものは、現在の名神と東名と、いわゆる国土縦貫自動車道の中の東京から神戸までというものだけが目標になっているようで、その延長四千四百キロとかいうことになっておりまして、それも八〇%できるというようなことになっておるのだが、将来の交通関係を見るときに、こういった幹線道路というものはもっともっとつくらなければいけない。金さえあったら、もっとつくり、もっと早くやるということが、私は現在の道路政策根本でなければならぬと思うが、金のために計画を延ばしたのじゃない、この程度にやったのだというならば、金が幾らあってもこれ以上やる必要がないということであるかどうか、ことにいまの、開放経済とか所得倍増とか、いろいろな問題のあるときにおきまして、私は、この点について、ことに高速自動車道に関しまして、こういう計画を立てた根本考えをお伺いしたいと思います。
  10. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまお話し数字は、何かお間違いではないかと思いますが、私どもで出しました二十三兆九千億円の基礎の中には、自動車道路は全国にわたりまして、名神東海道中央道等はもちろんでございますが、合わせまして約六千七百キロぐらいを考えておるわけでございます。ですから四千四百キロという数字はちょっと持っておりません。そのほかに四千四百に近い数字では、ちょっとオーダーが違いますが、都市内の高速道路として四百四十キロぐらいを考えております。でございますから、いまお話しのような数字よりもっと大きなものを考えております。  それから全体の規模でございますが、もちろん大きいにこしたことはございません。私どものとりあえずの目的は、そういうことよりも、来たるべき五カ年間にどうするかということが必要でございまして、これらをもとにいたしまして、実は、御承知のように、当初五兆円の五カ年計画をお願いしたのでございますが、諸般の事情がございまして、四兆一千億になったのは御承知のとおりでございます。でございますから、必ずしも二十三兆九千億円というものにとらわれておるということではございません。
  11. 堀内一雄

    堀内委員 私は、道路問題について、根本的な考え方として、現在の道路というものは馬車や緩速車両の通った道路であって、いわゆる自動車道路ではない。だから、ちょうど電車や汽車のために鉄道をつくるように、自動車のためにはやはり高速自動車道という専用の道路をつくるということが、根本考えであって、現在の道路を一応改修するということは、それはそれとして、やはりいま言ったように、汽車のためには鉄道をつくる、自動車のためには自動車道をつくる、という根本的な考えが私は必要だと思うのでございますが、この点について、建設省当局の御意見をお伺いしたいと思います。
  12. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 これは建設省だけでお答え申し上げるのが適当であるかどうか、非常に重要な問題だと思いますが、私どもといたしましては、鉄道並びに道路につきましては、それぞれの特殊性がございますので、輸送の性格に応じまして、鉄道の必要なところには鉄道をやるということであろうと思います。しかし最近の国内交通情勢からいきますと、何といいましても、おくれておりますのは道路でございますので、積極的に道路をやらなくていいという個所はほとんどない、かような考え方を持っております。
  13. 堀内一雄

    堀内委員 大臣が御出席になりましたので、いままで局長からお伺いしてきた問題について、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。  先般おつくりになった十七年二十三兆九千億という計画について、資金あるいはそのほかの事情が許すなれば、もっと早く仕上げたいというお考えでありますか。さもなければ、もうこれで十分だというお考えでありますか、その点、大臣の御意見をお伺いしたい。
  14. 河野一郎

    河野国務大臣 金さえ都合がつけば、早いほどけっこうだと考えております。
  15. 堀内一雄

    堀内委員 そこでお伺いするのですが、ただいま道路局長からもお話のありましたように、この第一次五カ年計画予算は、政府原案では、初め五兆六千億というような数字であったやに聞いておったのでありますが、それが結局四兆一千億ということになったように今度の予算面で出ておりますが、この四兆一千億になったために、従来永久計画である十七年、二十三兆九千億円の計画支障を来たしますかどうですか。その点ちょっとお伺いしたいのでございます。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 支障を来たしません。
  17. 堀内一雄

    堀内委員 来たしませんということになりますと、そのために最初の予定と変更になった点がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 いまも申し上げましたとおりに、これだけの仕事をするのに何年かかるということではないのでございまして、幾らの金で道路をやるのには何年かかるということなんでございまして、金がもとなんでございます。したがって、金さえできれば短期で仕上げることができる。したがって、いま金がありませんから、ちょっと先にずれておりますけれども、実は私は、この予算編成にあたりましても、大蔵大臣大蔵当局と懇談いたしまして、五年を待たずして、財政事情が許すようになったならば——私は許すようになると考えておりますが、そういうことになれば、この五カ年計画の組みかえをやるということについて、大蔵当局の了解を得ているくらいでございまして、この五年間組みかえをやらないということではございません。事情の許す限り、なるべく早くなるべくたくさんの金を使って、この二十三兆九千億にいたしましても、早くつくり上げることが国家のためだと考えております。
  19. 堀内一雄

    堀内委員 この際、私は大蔵当局に、道路公債発行する意思ありゃいなやということについて、お伺いしたいと思います。  道路は、いわゆる一般行政と違って、政府のやります一つの企業だと私は考えております。現に昭和三十三年ごろ、鮎川道路研究所の発表によりましても、道路整備することによって二十キロの速度のものが七十キロになれば、交通費は四〇%節約ができるとか、また道路に対する投資は年間三割三分の利益があるというようなことを発表しておりますが、同時に、建設省で先般つくりました「道路整備計画とその具体的発展」という小冊子の中にも、この十七年、二十三兆円計画が完成すれば、一年間に四兆円の利益があり、八年間で償還できるというようなことが述べてあるのでございます。そういうようなことから考え、ことに現在のわが国道路状態、そうして政府の主張しておる所得倍増なり、所得格差の是正なり、ことに開放経済に備えるというような点からいたしまして、私は、どうしてもこの際道路公債発行する必要がある、こう考えるのですが、まずその点についてお伺いいたします。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 大蔵省からもお答えがあると考えますが、便宜私からもひとつ……。  私は大蔵省とも話し合っておりますし、政府内部におきまして道路公債の問題については常時話し合っております。道路公債を出すことに、現内閣反対ではございません。ただその時期は、いつ、どういう経済事情のときになれば発行していいか悪いかの問題でございまして、道路公債そのものに本質的に反対だということじゃございません。
  21. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 ただいま建設大臣からお話がございましたように根本的の問題といたしまして、堀内委員も御承知のように、道路が非常におくれておりますから、できるだけ早くやりたいということは、大蔵省としても考えておるわけでございますが、御承知のように、開放経済に向かうというような状態でございまして、まだ経済全体の安定も見ておりませんので、大蔵省といたしましては、一応健全均衡財政を堅持しておるわけでございます。さような意味合いからいたしまして、いまのところ、直ちに道路公債発行するという意思は、大蔵省としては持っておりません。
  22. 堀内一雄

    堀内委員 ただいま纐纈政務次官からもお話があったように、健全財政を維持していくということは、私はいいことだと思う。しかしこれもときによりけり、ものによりけりだと私は思うのでございます。一般行政費赤字財政というようなことはもちろんいけないが、企業的な性格を帯びておる道路港湾とかというような問題についてはことに開放経済へ立ち向かうというような場合において、いつまでもそうした融通のつかない原則というか、そういうものにとらわれておるのはどうかと私は思うのであります。
  23. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 お説ごもっともだと拝承しますが、いまの経済状態におきましても、やっぱり公債を募るということが相当財政上の困難があるようなことも、大蔵省といたしましては考えておるわけでございまして、最初申しましたように、根本的に、道路公債発行するということについては、反対はしておらぬということでございますから、御了承願いたいと思います。
  24. 堀内一雄

    堀内委員 根本的な問題を、いま建設大臣からのお話もあり、了承いたしましたが、現状においてこれをやるかやらぬかということは、あなたのお話だと、日本経済界状況だということがあった。日本経済界状況だということであれば、これは、公債発行することによってインフレを起こすおそれがあるとか、さもなければ、日本の現在の民間財源政府に吸収してしまうとか、さもなければ、民間がその負担にたえないとかという問題がありましょうが、道路公債によって起こる一番大きい問題は、国際収支の問題でありましょう。ところが道路公債といったようなものによって起こるところのいろいろな現象を考えましたときに、輸入増加というようなことになる心配はない。資材等の問題におきましても、私がここで申すまでもありますまい。と同時に、現在の政府がこの際経済縮小考えておるというようなことになれば、経済的な民間の金を非常に逼迫させるというような問題は、むしろ逼迫させることによって政府考えが実現できるというようなことになり、そしてまた、同時に、そういうふうに経済縮小に伴うところの資金の余裕というようなものが出てくるということを考えますれば、現在公債発行することは一石二鳥の価値があるのじゃないかというふうに私は考えるのでございますが、その点いかがでございましょうか。
  25. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 先ほど来申し上げますように、大蔵省といたしましては、公債発行してはたしてそれで効果があがるかどうかという問題も、まだ経済も安定しておりませんので、いまのところは、先ほど申しましたように、直ちに公債発行するという考えはございませんが、今後経済が安定し、また今後公債発行の成果をあげ得るようなことに相なりますれば、これは発行する時期があるだろうと思います。根本的には反対ではございませんから、そういう点はひとつ御了承願いたいと思います。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 実はこの予算編成いたしますに先立ちまして、道路公債の是非につきましては、いろいろ関係方面とも懇談をいたしました。また国内におきまして、民間のしかるべき諸君意見も十分聴取いたしました。大体、堀内さんのように民間財界において仕事をしていらっしゃる人は、道路公債発行は是だという意見が多いようでございます。しかしその反面において、そうでない諸君は、おおむねにわかに道路公債発行には賛成はいたしかねるという意見が多いのでございます。それこれいたしまして、私といたしましては、御承知のように、明年度予算は、国際収支その他の関係から、健全財政編成をしようということに基本方針をきめました際でございますから、この際は適当でなかろうという立場に立ちまして、道路公債について、私どものほうで強く主張することを差し控えまして、先ほどお答え申し上げましたように、その時期の至るのを待ちまして、道路公債のある程度の発行財源として、道路長期計画の練り直しをするということに腹をきめて、明年度予算編成をいたした次第でございます。したがってこれにつきましては、絶対にすべきでないというわけでもなし、また絶対やれという意見ばかりでもないように受け取りましたので、結局はいずれも理屈があるようでございますが、しかしいま申しましたように、政府予算全体の編成方針からまいりまして、私は控えたほうがよかろうという立場に立って、道路公債発行を控えた、こういう事情でございますので、御了承願いたいと思います。
  27. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまの建設大臣の御説明で、御方針もわかったのでございますが、開放経済に伴って、民間人たちは、非常に施設整備して生産コストを下げようとして努力しておる。そういう場合に、政府がこれに協力の意味において、道路並びに港湾整備というようなことを急がなければならぬ。それで、今度さらに将来を考えますならば、現在貿易収支状態から見ましても、将来の貿易外収支というような問題から、海運というようなものに対する費用は相当大きくなってくる。そう考えますれば、道路等に対する財源も非常に窮屈になってくると考えなければならぬ。そういうような意味から、いろいろな条件において適しておる道路公債はすみやかに発行すべきものであると私は考え、ことに、実は田中大蔵大臣は、昨年の予算編成の当時に、ある責任のある席上におきまして、将来公債考える、もちろんそれは外国債もあり、日本銀行引き受けというようなこともありましょうが、そういうことも言われており、かたがたもって、私はこの問題について、大蔵当局はもちろんのこと、ぜひ建設大臣の御推進をお願いいたしたいと希望するわけでございます。  その次に、新税についてお伺いしたいと存じます。現在の道路費用というものはほとんどガソリン税一本で出ておるようでございますが、私はやはり道路現状から見て、新しい税を起こすことも考えなければならぬと思うのでございます。現に道路法の第六十一条には、著しく利益を受ける場合には、それに負担をさしていいというような問題も書いてあります。また、建設省においていま実行中の土地区画整理法原則といたしましては、その区画整理にあたっては、没取される道路並びに公共施設等に対しては、その関係地域のものにこれを負担させるようになっておるのでございます。建設省発行いたしました先ほどの「欧米なみ道路をめざして」という書きものの中にも、現に名四——名古屋から四日市へ行くあの道路のインターチェンジの状態、並びに将来あの沿線における開発状態等もいろいろ書いてありますが、私はそういうような意味から、この区画整理事業というものを広い意味考えて、未開発のところに道路を新設するとかいうような場合には、その受益者に対して相当の負担をさしてもいいじゃないか、かように思うのでございます。この問題については、いろいろ実行上の困難もありましょうが、私はぜひとも——とにかく知能の集まっている建設省大蔵省ですから、その辺で考えてやってもらったならば必ずできるじゃないかと思いますが、この点に対する建設省の御方針をお伺いいたします。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、道路予算が非常にかさみますので、とりわけ用地費等が非常にだんだんかさんでまいりますので、受益者負担もある程度考えたらどうかということはしばしば話題になりまして、これについては常に検討を加えておるのでございます。しかし、何ぶん——この席を拝借して申し上げてよろしいかどうかわかりませんが、いまわれわれが道路について、画期的な予算をもって、画期的な道路整備をいたそうと考えておりまするゆえんのものは、日本経済事情が急激に変わってまいります。そのために、たとえば中小の商工業者の諸君、農村の諸君、これらの人がこれから新しい時代に、新しい産業、新しい職業を一体どこでどういうふうにおやりになるかという経済条件が変わってまいりますので、すみやかにこれらの人に将来の安定の方向、条件をきめて差し上げる必要がある。たとえば大工場、大企業は、みずから工場予定地を選びまして、そうして自分で道路をつくって自分の工場を動かすことができます。中小の工場はそうはまいりません。そこにどういう条件の道路が生まれて、そして自分のところが、はたしてこれで将来の日本の産業の中に適切であるかどうかというような問題が、新たに起こるわけであります。新しい道路ができますと、いままで表通りであったものが裏通りになる場合があるというようなことのために、経済条件が非常に変わってきます。農村にしても同様でございます。したがって、受益をするという人もむろんございますけれども、受益の程度をこえまして、条件が非常に変わってくる。つまり公開経済の結果、非常に日本国内産業に与えた、各種の産業に与えた条件の変化、さらにこれに対応するような道路網の整備、その道路網の整備を基盤として、そこに新しい自分の将来の生業の基盤を定める必要があるということが、いま政治の問題として一番大きな問題だと私は考えます。でございますから、農村の方が、新しい道路ができて、そこに新しい農業がりっぱにできるという立場にありながら、それがまだできない、きまっていないということのために、家を離れ、郷土を離れて都会に出られる人も、今日ではないことはないというようなことでございますから、可及的すみやかに道路計画を決定して、そうして、この地方にはこういう道路ができます、この地方は大体こういうことになります、したがって、この地方ではこの程度の農業、この程度の産業が適当でございます。そうしてここにこういう中小工場をおつくりになればこういうことになります、という基盤をきめて差し上げるということが必要であると私は考えまして、むしろ受益者負担よりも優先して、公共投資というような意味において大規模な公共投資を行なって、そうして日本中で、工業適地、農業適地、各種の産業適地というものの目安を立てて、そこに、自由企業の原則にのっとって、国民諸君が生業の基盤をお持ちになるということにして差し上げることが必要じゃないかというふうに考えて、道路計画を急いでおるのでございます。いま堀内さんのお話のような点も、十分考えないことはございませんが、あわせて、いま私の申し上げましたようなことを考えつつやっておるのでございまして、どうかひとつ一そうの御協力をちょうだいいたしたいと考えます。
  29. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 ただいま建設大臣からお述べになりましたが、以前は、御承知のように、受益者負担というものが非常に多くなって、そういうことから、寄付金とか、そういうようなものが行なわれておったのでございますが、最近は、ただいまも大臣からお話がありましたように、道路というものは、もちろん個々に、いま地元の者がよけい負担するというようなこともありますけれども、今日の道路行政といたしますと全国的の問題になるわけでございまして、これは産業を発展さしていくという意味におきまして、やはりその地元だけのものでない。そういう意味から、受益者負担というようなものをどの程度にするかということは、これは非常に事務的にもむずかしい問題がありますし、やはりこれは全国的に何ですから、そういう意味におきまして、いまの堀内先生のお話につきましては、私も検討の余地があると思うのでございますが、いま即座に御返事はできませんので、よろしくお願いいたします。
  30. 堀内一雄

    堀内委員 次に、有料道路の問題についてお伺いします。  先ほども申しましたように、いまの道路というものは、緩速車両または人馬の通った道路であって、鉄道にレールが必要であるように、自動車には自動車の通る専用道路、高速自動車縦貫道路というものがあるべきだということを前提としておるのでございますが、そういう意味から、今度の五カ年計画で、建設省が、前の計画においては有料自動車道が四千五百億円であったのを、一挙に一兆二千億円に増加されたということは、まことにけっこうだと思うのでございます。しかし、先ほど大臣からお話のありましたように、道路は金さえ許せばもっともっと急いでやりたいという御意図を実現する上におきましても、私はこの際、民間の有料自動車道というものを少し奨励したらどうかと思うのでございます。鉄道に国有あり、民有があると同様に——ことにイタリア等におきましては、すでに民間高速自動車道が三千キロをこえておる。フランスにおいても相当進んでおる。ところが日本におきましては、道路運送法ができて今日までずいぶんたちますが、ただ百九十二キロできておるだけである。この点につきましては、私は大いに考えなければならぬと思うのでございますが、まずこの点につきまして、建設大臣の御意見を伺いたいと思います。
  31. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、お話のように、無理に道路公団もしくはその他の公団に有料道路をやらさなくても、できるだけ民間がおやりになることはけっこうである、まず第一に、民間でやっていただけることなら、なるべく民間でやっていただくほうがいい、こう考えております。ただお話のように、諸外国ほど日本ではいっていないじゃないか——やはり道路は非常に金がかかります。したがって、外国ほど資本のスケールが大きくありませんから、日本の場合には外国の場合のようにはいきませんけれども、さればといって、今後民間からそういう要望がありますれば——民間と限らず、都道府県等からそういう要求がありますれば、なるべくこれを許可し、奨励していくということにいたしたい。これに所要の補助をするとか、もしくはこれについての管理の法律が必要であるということになりますれば、遅滞なくそういうこともいたしまして、できるだけ民間の有料道路を奨励してまいるということを考えることは適当であると思っております。
  32. 堀内一雄

    堀内委員 そこで、この民間の有料自動車道の問題については、運輸省と建設省との共管のようなことになっておるようでございますが、私は、根本の理論として考えますのは、鉄道をつくった上に列車を運転させると同様に、自動車道をつくった上に自動車が運転されるのですから、やはり道路建設行政自動車行政とは一本になっていくべきものだと思うのであります。だから、鉄道が、鉄道をつくる建設と運営とが一体でやっておるように、自動車道路をつくる問題については、その上の自動車の運行に関することはやはり同じ系統でやらなければならぬので、やはり自動車道仕事——言うなれば、建設省道路局と運輸省の自動車局は一本になって運営することが、いろいろな点において有利だと思うのでありますが、その点について大臣の御意見をお伺いしたい。
  33. 河野一郎

    河野国務大臣 自動車に関する交通運輸は、これは運輸省でおやりになるのが適当だと考えますが、ただだんだん道路が発達してまいりまして、初期におきまして、有料道路は、その目的がそこにバスの専用道路をつくるというような、堤さんがおやりになった時代から、今日では非常に時代が変わってきておると思います。したがって、たとえて申せば、箱根の十国峠がそのいい例だと思います。初期において、堤さんが自分のバスを専用で走らすためにおつくりになった有料道路について、静岡県知事から、あれでは困る、もし堤さんが依然としてその態度をおとりになるならば、私はもう一本静岡県として、あのわきに道路をつくりたい、一般の観光の目的でつくりたいという御要望がございました。そこで私は、御両所でよくお話し合いになって、善処していただきたい、どうしても堤さんがお引きにならぬということなら別でございますけれども、という態度を申し上げました。幸いにして、堤さんの理解ある御協力馬よりまして、静岡県のほうにこの道路を売り渡して、今度一般の有料道路として使われる日が近いように聞いております。こういうふうに、いまお話しのように、法律上は共管になっておりまして、その間に多少の紛淆する点があるかもしれませんが、これはひとつ、私といたしまして、すみやかに検討いたしまして、その点は法律の上におきましても明確になるように、自動車交通の取り締まりは取り締まり、道路建設建設ということにして、そうして御期待にこたえるようにいたしたいと思っております。
  34. 堀内一雄

    堀内委員 そこで、民間自動車道ということになりますると、実はいまの道路公団の場合より非常に困難があるのでございまして、次に述べるガソリン税の問題のところにおいて私はそのことを申し上げたいと思いますが、民間自動車の問題には、いわゆる不動産取得税から法人税、それから固定資産税というようなことで、非常に負担が多いということもありますので、こうした問題について、ぜひやはり鉄道の発展の初期におけるような補助政策をとることが必要だと思うのでございますが、それについてお伺いしたい。
  35. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど申しましたように、私もある程度そういう配慮は必要だろう、また配慮することが適当だろうと考えておりますので、この法律をつくる際に考慮するつもりであります。
  36. 堀内一雄

    堀内委員 その次に、私はガソリン税の問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。  その前提として、一体道路公団の有料道路の通行料金というものの算出の基礎はどこにあるかということを、これは建設省の許可事項でございますが、道路公団でもいずれでもよろしゅうございますが、お答えを願いたい。
  37. 上村健太郎

    ○上村参考人 有料道路の料金の基準につきましては、法律その他で定まっておりまして、その道路を通ることによって受ける便益の額を基準といたしまして、大体現実にはその六割ないし七割ぐらいを料金として取っております。そのほかに、法律その他では、建設費、管理費、修理費等の総額をこえてはいけないという規定がございます。こういう規定で料金を定めております。
  38. 堀内一雄

    堀内委員 これは申すまでもなく、道路整備特別措置法の施行令の中にいろいろきめておりますが、 ここで私は、時間の関係で端的にお伺いしますが、道路建設する財源の八五%はガソリン税なんです。そしてそのガソリン税が中心となって——もちろん、有料道路には、政府出資そのほか財政投融資というような関係もありまするが、そういうものが中心となって道路ができる。そこで、建設のためにはガソリン税というものが非常に重要な位置を占めておるのですが、そのできた道路を走るガソリンを使う自動車がまた料金を払う。言うなれば、自分の出した税金で道路をつくって、またそこで通行料を取られる。いわゆるガソリン税の二重徴収というようなことが現在一般に言われておるのですが、これは端的に言いまして、もしこれが民間道路であったらどうなるかと言いますれば、民間資金でつくった、いわばいまのお話の新設もしくは改築に要する費用をこえてはならないというような条件とか、いろいろの条件を入れて通過料を出すのでございますが、道路公団の場合では、それがもう一度、先にガソリン税として出しておる関係等があるのですが、その辺については、これは建設当局でもよし、道路公団でもよし、現状とそれに対する解釈をお伺いしたいと思います。
  39. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、道路公団並びに政府の施策いたしますも、のは、採算を度外視して行ないます。そろばんの合わぬものはやらないというわけにはまいりません。ところが、民間堀内さんおやりになる場合は、そろばんが合わなければ実行をなさらぬ、そろばんの合うものだけおやりになる。いいところだけおやりになる。こちらはいいところも食べれば悪いところも食べなければなりません。そこでその条件が違う、こうだろうと私は思うのです。したがって、いま民間のほうも奨励してとこう申しますから、民間のほうでいいところをどんどんおやりいただきまして、民間でおやりになれぬもの、たとえば民間の手に余るような、東海道幹線道路とか、東北自動車道路、中国縦貫、九州縦貫というようなものは、なかなかそろばんに合いにくいと思います。当然こういう大規模な長距離のものは政府がやらなければならぬ、こう思います。したがって、いま一部をおとりになってお話しになりますと、何かそこに矛盾があるようにお考えになるかもしれませんが、必ずしもそうではない、道一つをとっても、欧米においてもそのとおり行なわれておる、こう私は考えます。
  40. 堀内一雄

    堀内委員 そこで、いまの通過料金に対する算出の基礎ということになってくるのでございますが、この問題は、時間の関係もありますので、私は、大蔵当局においても、税金の関係と関連がありますから、一応御検討を願いたいと思います。  次に、私は中央道の問題についてちょっとお伺いしたいと存じます。  御承知のように、中央道は昭和三十二年にその路線が決定され、昭和三十七年に、東京−富士吉田間が、もう命令も出て着工しておるのでございますが、最近になりまして、中央道の路線を、北回り線、いわゆる北回りという甲府、諏訪を通る線のほうに変えたいという意見が出てまいりましたために、ややともすれば、大月から富士吉田に行きますすでに施工命令も出ておる道路が、廃止になるのではないかという不安が非常にあるのでございますが、この道路は、将来中央道の路線を変更するかせぬかにつきましても重大な問題であり、すでに、われわれ自由民主党としては、これは変更しないということに政調で現在決定しておるような状態でございます。これにつきましては今後いろいろ検討されることと存じますが、それにつきまして、私は、たとえこれを変更するようなことがあっても、大月−富士吉田間の道路は、東京−富士吉田間におきましてきわめて重要の路線でありまするので、これはそういう変更するようなことがないというふうに考えておるのでございますが、これに対して政府のお考えをお伺いしたいと存じます。
  41. 河野一郎

    河野国務大臣 これは私からお答えするよりも、むしろそちら側でおきめいただいたほうがよいと思うのでありまして、皆さんのおきめになりました議員立法から始まって、この路線が出てきておるのでございます。その路線が、進行の過程におきまして、必ずしも適当でない個所が調査の結果出てまいった、そこでこれをどういうふうに今後するかという問題でございます。部分的にはいろいろ問題もございましょうが、それらはあげてまず議員さんのほうで、この議員立法をどういうふうにお変えになるか、この法律改正の道がきまりまして、そうして、それについて政府として、いろいろ調査をした結果、どういうふうな計画でやるかということになるのが筋だと思います。私のほうから、あれはやる、これはやらぬというようなことを申し上げる筋合いではない、こう思いますので、なるべくひとつ早目にお話し合いがまとまるように願いたい、こう思います。まとまりますれば、決してそれに反対をしたり、やらないというようなことは申し上げません。どうか、なるべくひとつ早目におまとめを願います。
  42. 堀内一雄

    堀内委員 次に、これは建設当局、ことに道路局長にお伺いしたいのでありますが、本年度の予算に、大月または富士吉田といいますか、あの付近の中央道の一部から、甲府、諏訪、飯田を通るいわゆる北回り線という方面の調査費が計上されておるのでございますが、これは路線の変更をしなければ、その調査は開始できないのか、そういうものが変更になっても、いわゆる比較路線として調査ができるものなのか、法制的にどんなことになっておるかをちょっと伺いたい。
  43. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 調査費につきましては、大蔵省と事務的に打ち合わせまして、比較線として調査できるということで進めております。
  44. 堀内一雄

    堀内委員 その次に、首都圏整備委員会の委員長としての大臣にお伺いしたいのであります。時間の関係で簡単に申し上げますけれども、この東京の首都を各地に分散させるという御方針はいろいろお伺いしておるのでございますが、やはりこういう衛星都市的に分散する場合において、土地の取得ということが非常に重大な関係を持ってくると存ずるのでございます。まず、この計画において、首都の疎開といいますか分散といいますか、そういうような範囲はどのくらいの範囲になるか、または距離はどれくらいのところまでというふうに考えておられるか、大体のところをお伺いしたいと思います。
  45. 河野一郎

    河野国務大臣 実は、明後日も、委員諸君と、関東一円について、空中からさらにいろいろ調査しようということになっておるのでございますが、道路のないところに首都圏の延長、拡張ということはなかなか困難でございます。またしたところで意味はございません。そういう関係にございますので、首都圏整備の法律ができて、この機関ができた当時と今日では方向が相当に違ってきた。当時は首都を整備しようということであった。今日では、整備には違いはありませんけれども、首都をいかにして疎開するかということの方面に目的が変わっておると私は思います。道路にしても、いまのままで首都の道路整備することはなかなか困難でございます。したがって、ある程度間引きをした上で整備をしていくということでなければならぬ。第一義は、いかにして首都の人口を分散するかということにあるだろうと思うのでございまして、そういう意味において、あらゆる角度から検討しなければならぬ。したがって、いまお話しの点につきましても、その変わってまいるものにつきましては、相当の遠距離でもよろしいと思いますし、ものによってはあまり遠くては困るというものもございます。たとえば、羽田の飛行場もしくは国際飛行場をどこにつくるかという一つの問題だけとって考えましても、現在のようなアメリカの航空隊とこの飛行場との関係がどういうふうになっているだろうかというようなことも検討しなければなりませんしいたしますので、いろいろな一つ一つに相当困難がございます。できるだけすみやかに何とかしなければいかぬということで追い詰められてはおるものの、さて実行するということになりますと、そのやり方がなかなか困難でございます。いまのお話のお答えになるかどうかわかりませんが、ひとつできるだけ抜本的にものを考えて断行しなければいかぬのじゃなかろうかと思いますけれども、これはなかなか一長官、一議員の力ではどうにもなりません。したがって、世論の趨勢がどういうふうなものを要求し、どういうものに支持があるかということが一番大事だと思います。首都圏の整備につきましても、東京都民諸君の理解ある御協力がさらに一段とわいてきません以上は、御案内のとおりオリンピック道路の青山の通り一本をやるだけでも、あのくらいめんどうで、あのくらいのやかましいのでございます。したがって、これを整備していくということはなかなか容易なことじゃないと思いますので、ひとつ私といたしましても、思いを新たにして、異常な決意を持ってやってみようと、いませっかく構想を練っておるところでございます。
  46. 堀内一雄

    堀内委員 この問題につきまして、私は、やはり将来、道路はもちろん基本的な問題が必要でございますが、土地取得という問題が非常に困難、重要な問題のように考えるのでございまして、そういう点から考えて、私は自分の選挙区云々の問題は別といたしまして、富士山ろく一帯の演習場というものがやはり一つの対象になるのではないかと思います。あそこには、北富士演習場というものが六千町歩、東富士演習場が一万一千町歩というものが、いま荒廃のままに演習場となっておるのです。しかも自衛隊の演習は、従来は一万メートル以上の大砲の試験射撃をするためにはどうしても三万メートルの距離が必要であるということで、あれが日本唯一のそうした試験上の演習場になっておったのでございますが、現在は北海道の矢臼別にすでにそれができておるのでございます。そういうような意味から、ああした演習場のような一応利用価値の少ないものは、むしろそういうところに移して、東京の近郊にある価値の高いものは、いまの首都圏の整備そのほかのようなものに使ったほうがいいと思うのでございます。しかもこれに関しましては、米軍との関係があるのでございますが、米軍の現在使っておる実情を申しましても、一年間に二週間ばかりほか使っていない。あそこで撃ったたまは十九発撃っただけだというような状態にありますれば、やはり安保条約の改定を待たないでも、日米経済懇談会というような時期におきましても、ひとつ関係大臣各位からアメリカのほうとも御交渉になりまして、こうしたものを早く他の目的に使えるようにしていただくことが非常に必要じゃないかと思いますので、われわれの選出地区の問題にもからみまして、お願い申し上げる次第でございます。  なお、この際、大蔵当局にお伺いしたいのですが、戦時中、または駐留軍がまいったというような場合において、強制買収といったようなことで、引き揚げて、民間から買い上げた土地を、その後、農地またはその他の目的のために使っておらぬというような土地に対しては、大蔵省としてはどんなふうな考え方を持っておられますか。それもお伺いしたいと思います。
  47. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 戦争中、当時の軍がいわゆる強制買収をいたしました農地でございますが、その多くの部分はすでに農林省に所管がえをいたしまして、農地として、農地法に基づいて処分いたしてございます。またそのある部分は、進駐軍に提供財産として提供いたしております。その残りの部分を現在大蔵省が普通財産として管理、処分しておるわけでございますが、そのうちさらに農地として適当であると認められるものにつきましては、これを農林省に所管がえをいたしまして、農業者にお売りするというようにしたいと思っております。その残りの部分につきましては、これは国有財産の一般の処分の原則に従いまして、管理、処分をするということでございます。その際、戦争中に強制的に買収されましたもとの地主の方あるいは耕作者の方に対してその土地を売り戻してはどうかという御趣旨と思いますが、この点につきましては、財政法に基づく予決令というのがございまして、もとの所有者である、もとそこを耕しておったというだけの理由で、その方に随意契約でお売りをするということはできないのでございます。でございますが、旧軍財産につきましては、特に二百万円までの価格の土地につきましては、随意契約でお売りできるということになっておりますので、そういったもとの地主の方あるいは現在農耕しておられる方、お申し出があれば、その範囲内で御趣旨のようにもとの方々に売り戻すということは可能かと思います。一般的に、もと持っておったから優先して売り戻すということは、現在できないというふうに考えております。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 富士山ろくを首都圏の施策の対象にするかどうか、私も、御承知のとおり調査をしてみましたが、観光の目的には非常に適当と思いますが、あの地区に首都圏の工場とか官庁とかいうようなものを持ってまいることは、まだそこまで調査も十分ではございませんし、そういう意味調査はしておりません。むしろ調査をしておりますのは、富士の南側の方面、比較的水質のよろしい方面の調査をある程度進めておりますが、いまお話しの北側の演習地については、寒うもございまするし、あそこへ官庁が越していってどうだろうかというようなことからしまして、官庁をあそこに越そうというほどの調査はまだ実はしてありません。
  49. 堀内一雄

    堀内委員 ただいま大臣からいろいろ御説明もありましたことでございますが、とにかく中央道の問題並びに演習場の問題等につきましては、今後とも特別に御留意をお願いいたします。
  50. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 金丸徳重君。
  51. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私がお伺いいたそうと思っておりましたことの大部分は、ただいままでの質疑応答の中に出てまいりました。私も了解できた点もあります。ただ一、二の点につきまして、なお念には念を入れるという意味も加えまして、お伺いをいたしておきたいのであります。  その一つは、ただいま問題になりました国土開発縦貫自動車道についてであります。これの予算が、先ほども問題になったようでありますが、五兆六千億が四兆何千億に、予算折衝の中で削られておる。これにつきましては、もちろん国の財政状況もあるでありましょうが、もしかすると、国土開発縦貫自動車道建設法と申しますか、その法の精神が、最近の経済の急速な発展に伴いまして、先ほど大臣のおことばの中にありましたが、もう一日一日に変化をしておるというようなことからして、あの夢の道路をつくって、当時沈滞した国民の士気をこの道路計画によって一気にひとつ引き上げようというような法の精神がややゆらいできたというような気がいたすのでありますが、大臣は、あくまでもこの国土開発縦貫自動車道の精神は堅持なさって夢を国民に与えつつ、これを基幹として産業の開発なり、文化の向上なりを推進なさろうというお気持ちには変わりないか、ひとつお伺いいたします。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 私も全く同感でございまして、実のところを申しますと、これも新聞でごらんになったと思いますが、当初、建設省の事務当局のつくりました五カ年計画は四兆だったのでございます。四兆だったものを、私が、しろうとでわかりませんけれども、こういうものは大きいほどいいのだ、早いほどいいのだ、四兆なんてけちなものはだめだ、こう言って、五兆にして大蔵省と折衝したのです。できれば、私は大きいほどいいと思って折衝しましたが、諸般の情勢から、だんだんいたしまして、四兆一千億ということで、大蔵省のほうでもおっしゃいますし、各方面でもその程度がよかろうという御意見でございましたので、四兆一千億にいたしたのでございます。これはいま申し上げますように、事務当局が手がたく数字を入れ計画を立てました数字とは、たいした違いはないのでございます。したがって、私は、先ほど来申し上げましたように、もっと積極的に大きくいこう、というのは、ことしは年回りが悪いからもっと年回りがよくなったら大きくいこう、こういうつもりでございますので、お考えになっておられますことと、私自身の持っております主張との間には、少しも違いはないということで、御了承いただきたいと思います。
  53. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 なるべく多く、またなるべく早くこれを完成したいという大臣の御熱意につきましては、深く敬意を表するのでありますが、同時にまた、この道路につきましては、多少財政的な困難があっても、また技術上のむずかしさがあっても、あえてこれを克服しつつ、将来の日本全体の国土の平均的な開発、むしろ未開発地点に重点を置いて、それに力を注いでいこうというようなことにつきましても、変わりなき理想を持っておられるかどうか。これは念のためでございますが……。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほども申し上げましたように、いま日本全体の農工商、ことに中小の諸君が、非常に経済の伸展、経済の変革に対し危惧の念を持っていらっしゃいます。これらをほんとうに安定して、そして百年の計を立てて、ここで百姓をしておるのがいいか悪いか、ここで商業、工業をやっておるのがいいか悪いかというようなことでなく、安定した気持ちにして差し上げるためには、この計画、この将来の大理想、これをすみやかに一般の方々に御理解いただくこと、同時に実現すること、これが一番必要であると私は考えておりますので、このためには最善を尽くしていきたいと思っております。  先ほど、堀内さんから道路公債お話が出ましたが、道路公債等につきましても、可能な限り、私は早期にその実現を期して、そしてこの予算の再編成長期計画の再編成をやることが適当である、ぜひそうせなければいかぬじゃないかという情熱におきましては人後に落ちないものがある、ということを御了解いただきたいと思います。
  55. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そこで、四兆一千億の実行計画の進度でありますが、これは道路局長からでよろしいのでありますが、東名、中央道などを主体とし、さらに北海道から青森、九州まで、大体の進行計画というようなことについてのお見通し、御計画をお漏らしいただいておけばありがたいと思います。これは大臣からちょうだいできればなおいいと思います。
  56. 河野一郎

    河野国務大臣 実は昨年道路局長が欧米を視察いたしまして帰りまして、報告を聞きましてから、道路政策を従来と変えました。その変えました基本のものは、第一は、まずすみやかに一級、二級国道、主要幹線、県道、これまでを全国的に現状において舗装を完成するということ。現状においてと申しますけれども、全然手直ししないとは申しませんが、従来のように幅を広げたり角を直したりしてやっておりますと、なかなか全国完成することが困難でございますから、それは第二義的に考えまして、全部舗装をしてしまうということに優先的に考慮を置きまして、昭和四十五年までにいま申し上げました一級、二級国道から主要県道、このすべてを全国一斉に補装を完了する。これに一番大きな目標を置いて、おります。  第二には、これとは別に、新たなる道路として産業道路考えております。ただしこれは非常に金がかかります。したがってだんだん御説明申し上げておりますように、有料道路によりましておもなものはやっていこうというふうに考えておりますが、この有料道路につきましては、何ぶん東京−大阪間につきまして非常にたくさん金がかかります。これと現在計画して来年から着手いたします有料道路その他のもので約九千億かかります。全額で一兆一千億でございますから、剰余の予定が約二千億弱でございます。この二千億弱のものをもって東北、中国、九州というものに引き当てておるわけでございます。したがいまして非常に不十分でございます。そこで私は、先ほど来だんだん申し上げますように、早急にこの五カ年計画を改定して、これらに完ぺきを期するようにしたい、こう中しておるのでございます。
  57. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 この夢の道路計画につきましては、すでに実行に着手せられたものばかりでなく、その他のものにつきましてもすみやかに調査を完了せられて、その熱意のほどを国民の前に示されることは、非常に建設行政全般の上に大切なことのように思われるのでありまするから、調査及びその決定につきましては、なるべく早くされんことを念願するのであります。  そこで、それと同時に、この道路計画を進める際に、縦貫道路はそういう形で進めるといたしましても、それではそれに関連する肋骨道路とでも申しますか、表日本と裏日本、裏日本ということばをいま使っていいかどうかわかりませんけれども、俗にかつて言われました裏日本とをつなぐ道路、それが山脈によってじゃまされておったということのために、非常に迂回しておった。   〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕 交通あるいはその他の面に障害になっておるものも、あえて克服してやらなければならない。その肋骨道路についての計画も進められ、縦貫道路と相ともに国土開発に努めなければならないということであったのでございますが、このいうところの肋骨計画につきましては、どういう構想を持って進められておりますか。今度の道路計画の中にどの程度にその考えを進められておるか、伺います。
  58. 河野一郎

    河野国務大臣 横断の道路につきましては、中部の高山線をまず第一に着手したい。これはいま現に着手しておりますが、いまやっておりまするいわゆる一級国道の完成を期する。この一級国道をまず五カ年計画で拡幅いたしましたりっぱな無料の道路にして、その他のものにつきましては、たとえば東京−新潟間でございますとか、東北の仙台−何とか間でございますとか、それから中国の広島−島根、鳥取間でございますとかいうようなもの、さらに福井−大阪間とかいうようなもの、いろいろ御要望がございます。これらはおおむね一級国道のすみやかな完備、完成によりまして一応おこたえ申し上  げておきまして、そうしてほんとうの有料の大道路は次の計画にならざるを得ない、こう思っておりまして、一応裏と表とをつなぐ道路は完備した一級国道でこれをつないでいく、こういう  ことに考えております。
  59. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そうしますと、この二十三兆何千億円、二十四兆円に近い計画の中には、いまの肋骨道路とでも申しますか、一級国道外の、高速度道路に継ぐべき道路としての計画は入っておらないと了解しなければならぬのかどうか。
  60. 河野一郎

    河野国務大臣 金はどこときめずに入れてあります。どの道路をやるときめずに余裕を持っております。余裕を持っておりますが、はたしてどの方面に一番そういう交通のウエートがかかってくるかということにつきまして、まだ確たる調査見込みが立ちません。資金的に余裕はございますから、全部はむろんできませんけれども、一部はやることになる、こういうつもりでございます。
  61. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そういたしますと、たとえば、当時縦貫道路計画のときにはちょっと予想のかたかったところの大陸との関係ですね。大陸との今後における交通貿易などの伸長発展に伴いまして、裏日本といいますか、酒田をはじめ新潟、伏木、七尾敦賀方面の港湾整備、これに伴う表日本の重要産業都市との短絡線というものが、あらためて考えられなければならないように思われるのであります。東京−新潟間もその一例でございましょうが、東京、甲府、諏訪、松本から、あの裏のほうの富山のほうへ抜けるところの道路計画もなければ、ほんとうの、将来を目途としての道路計画というものは出てこないように思うのであります。この点についてはどういう御構想を持っておられるか。
  62. 河野一郎

    河野国務大臣 東京−高崎間はすでに計画に入れてやるわけでございます。ハイウエーをつくります。高崎から長野を通って裏日本へ出ることがいいか、それともすぐに関越のあの新潟へ直接抜けるのがいいかということについては、まだ方針をきめておりません。いずれにしても、これは確定はいたしておりませんが、やる予定でおります。それから、裏日本を通りまして、そうしてこれを神戸、大阪、阪神間に抜くというものも、ある程度予定はいたしておるわけであります。
  63. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 その道路は高級な産業道路として考えられ、したがって縦貫道路の、国土開発を重点に考え道路とは趣旨において、若干の差があるわけでしょうが、その使用効率においては、あるいは道路建設の程度においては、高速道路ということを目途として、なるべく短絡するというようなことの方針もとに、今後計画を進められると思うのでありまするが、その点はいかがですか。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 こんなことを申してどうかと思いますが、名神国道が神戸からずっとこう、やってまいります。尾張一宮までは九月に開通いたします。これは日本で一番いい道路ということになっております。ところが、名古屋−一宮間に一級国道のバイパスの形式でいま道路が半分以上できております。この道路は有料道路ではございませんけれども名神間を走ってきた道路よりも私は行ってみてりっぱだと思いました。したがって日本道路——道路公団のやりますものには一つの規格があってやっておりますけれども、いま申し上げまする一級国道には、非常に優秀なものがございますので、いまお話のように私は高山線のようなものは非常にりっぱな道路をつくるつもりで、予算をこれに入れて設計をしてまいるつもりでございます。無料でございますから、有料ではございませんけれども、私はこの一級国道も非常に効率のある道路だと思います。一方積雪寒冷地帯の道路整備するということを、また別途考えなければならぬわけでございます。これによってやるものは、いま申し上げたように、裏日本の一帯を通って神戸に至る道路、この道路のごときも相当りっぱな道路をつくって、完成の暁には、初期にできたいまの神戸−名古屋間のものよりもむしろりっぱなものになるだろう、こういうふうに期待いたします。
  65. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そこで、縦貫道路の趣旨が、どういう一時的な経済の動きによって変更を求められても、国土開発という大精神については露ほどのゆるぎなし、こういう考え方に立って、当初あの法案が問題にされました当時の路線の大綱については、これは変更さるべきでないと考えまするが、ただ巷間たまたまいろいろの説が伝えられるところの原因は、いま現実の問題として、道路建設が急がれているような面が出てまいります。国土開発という精神はゆるいでも、当面の産業なり経済なりの需要にこたえるべく、というようなことからして、路線の変更をも考えなければならないような事態になっておるのでありますが、それをもあえて克服して、縦貫道路という精神を保たんとすれば、私は、まず当面の緊急な産業道路について、いままでの二級国道を一級国道にするとかいうようなことによって、その方面の需要にこたえておく必要があろうかとも思われるのであります。もしこれがないというと、まあそれなら縦貫道路などはあとでもいいから、それを曲げていったらいいじゃないかというような意見も出てまいる心配があるのでございますが、これらについて、建設大臣としては、どういうようなお心がまえで進んでおられるか。
  66. 河野一郎

    河野国務大臣 何分地元の御協力がございませんと建設は不可能でございます。したがって、私ひとり意気込んでこれでなければと考えましても、なかなかそのとおりいきにくい場合が相当あることは御了解いただけると思います。私はどこまでも、既存の道路はともかくとして、これから新たに建設する道路につきましては、なるべく最短距離ということでいきたいという考えでございますけれども、これとても、いま申し上げますように、地元の御協力を得るために多少は妥協してまいらなければならぬ点もあります。問題は、いまのお話でございますが、私はそのために一応二十カ年後の日本日本の産業というようなものを想定して、これにこたえるような道路計画というものを基盤に置いてやっておりますけれども、これとても、いまお話し申し上げましたように、ある程度の妥協をしつついくのでなければ完遂は困難ではないか、こう思っておりますので、できるだけひとつ皆さま方の御理解ある御協力をちょうだいいたしたい、こう考えます。
  67. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 このことであまり時間を費やすと、ほかの先生方に相済まぬですけれども、私は、実は大臣に繰り返してお願いしておきたいと思いますことは、当面の必要のために大方針が曲げられるようなことのないようにということを念願し、したがって当面の需要をまず満たしていくことも大切ではなかろうか。それがおくれておりますと、ついそのほうのために大方針が曲げられなければならないようなことになる心配があるからなのであります。中央道につきまして、先ほどもお話の中に出てまいったのでありますが、地元といたしまして、そういうことについて心配をいたしておりますのは、北回りのものにつきましても、産業的に考えましたらもちろん大切であり、それは一刻も急いでもらわなければならないけれども、それは産業道路として、何ものよりも先にやってもらいたいという考えが先に立つからであります。だからといって、国土開発縦貫道路の理想を曲げてということについては非常なさびしい感を持たざるを得ない。それについて、この大方針は堅持しつつ、産業の開発のために、もしくは表日本と裏日本とをつなぐ大道路建設のためにも大いに力を尽くされんことを念願申し上げるのであります。同時に、これらのことにつきましては、地方といたしましても、全力をあげて協力ということをお願いしなければならないと思います。  私、実は九州のほうで、日田市付近の皆さんからお話を聞いたのでありますが、九州の国土開発縦貫道路に伴う路線の決定の問題でありますが、日田がのけられるというようなことから非常に心配をいたしております。それは別府−日田、将来に向かっておそらくこれは長崎のほうに通じまして、大陸との貿易交通などが盛んになってまいりますと、長崎から別府へ通ずる一番近い道路として、いい道路をつくらなければならない必要が緊急に迫っておると思うのであります。この計画がすみやかに示されますと、いまの九州の縦貫道路についての問題はもう解消してまいるのではないかと思うのであります。こういうことは随所に起きてくる問題だと思います。地元の緊切なる問題をまず解決して、大方針を曲げずに進められるというようなことにつきまして、大臣のあらためての決意御表明をちょうだいできればありがたいと思います。
  68. 河野一郎

    河野国務大臣 九州の場合に、だんだんのお話があったようでございますが、私は建設大臣の責任におきまして、将来永久に日本道路網の一環として建設されますものが、私としてどうしても了承しかねるものであれば、私の次の建設大臣になって実行してもらうよりほかにしかたがないと私は思います。したがって妥協にも限度がございます。あくまでも縦貫道路であります以上は、先ほども申し上げましたように、最短距離を通過いたしまして、必要なものは、その縦貫道路から枝葉を出すということでごかんべんを願うよりほかにしかたがない。この方針については、地元の御要望がいろいろございましょうけれども、たとえば九州の場合に、右に曲がり左に曲がって各県に一カ所ずつ寄るというような案がおありのようでございましたが、これはこのままでなければ絶対いけないということでございますれば、私、建設大臣に在任中は手をつける意思は実はございません。幸いに皆さんの非常な御理解ある御協力を賜わりまして、いまお話しのようなことになりましたことは非常に喜ばしい次第でございます。これをいまお話しのように、妥協をしてどうこうというような、そういう意味の妥協は、私はする意思はないと同時に、地元の御要望にはまた別途こたえるということについては、できるだけひとつ御協力を申し上げるということでやっていきたいというふうに考えておりますので、あまりなまいきな強がったことを申し上げて恐縮でございますけれども、たとえば中国の場合でも、東北の場合でも、今回、東海道の新幹線が静岡県内においてA案、B案いろいろございました。いろいろやかましゅうございましたが、はなはだなまいきのようですが、私、建設大臣になりまして、全然従来のA案、B案をおやめいただきまして、別途C案を定めまして、これによって目的を達成するということにいたしておるようなわけでございまして、将来のことを考えますと、一時の、どなたさまがどうおっしゃったとか、こうとかいうようなことを離れて、日本全体から見て、どうあらねばなるまいというような、おのずから定着する路線があるべきはずだと思うのでございます。その線をはずしてはやってはいかぬ、いまお話しのように、みだりに妥協してやることは避けなければならぬという点については全く同感でございます。そういうふうにやる意思は毛頭ございませんので、御了承いただきたいと思います。
  69. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 もう私のお尋ねいたすこともあと一点でありますが、いまの肋骨道路整備も急いでいただかなければならないと思いますが、そういう点も関連してでございますが、さらに道路当局のすみやかな御調査と、地元の皆さんの協力ができるような方針をとっていただくようにお願いを申し上げまして、あと一点であります。これも先ほど問題が出たようでありますが、東名高速道路の完成及び中央道の竣工に伴いまして、岳ろく付近の様相はずっと変わってまいると思います。これを関係三県のそれぞれの計画構想などを待っておりますと、うまくまいらない場合もあるのではないかをおそれるのであります。これを建設大臣立場から、より高い立場に立っての計画を進めてくださるといいますか、そういう計画を進める必要が出てまいるのではないか。これらにつきまして、何か協議会を持つとか、推進体をつくられるとかというようなことについて構想がありますれば、お漏らしをいただきたいと思います。
  70. 河野一郎

    河野国務大臣 また別に具体的に私からお願いをして、こうしたほうがいいとか、こうしなければならぬとかいうような段階に立ち至っておる問題ではございません。まだそういうことを聞いておりません。先ほど堀内さんにお答えいたしましたように、この路線はもともと議員さんでおきめになりました路線でございますから、議員さんでこの路線をどっちにつける、こっちにつけるということは御決定願いたい。吉田から先のことにつきましては、まだ政府としては考えておりません。
  71. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私のお伺いいたしたのは、その道路計画の竣工あるいは完成を見込んで、あの岳ろく全体の広い土地が、それに伴って、産業的にも文化的にも、あるいは観光資源開発的にも相当様相を変えてまいるのではないか。一方先ほど大臣は、首都はどう疎開するか、入口疎開、事業疎開あるいは官庁、職場疎開の段階に入っておるとしますれば、あの首都圏に入っておる岳ろく一帯は、その疎開用地としての重大な役割りを果たすべき要件を備えておるのではないか。北のほうは寒いからとかおっしゃいますが、寒いことは決していまの時代に障害にはならないと思うのです。砂漠地帯に一大都市をつくっておる先進国の例もあるわけであります。寒いなどということは何ら障害にはならない。そういうことをも考えられながら、そういう構想の中で、いま大臣考えておられるところの東京都の疎開をも横目ににらみながら、あの辺での高い立場からの構想があってしかるべきであろう。もちろん関係三県といたしましては、それぞれ進めておられるのでありますが、国土保全、建設の最高責任を持っておられる建設大臣としては、これに対して何らかの積極的な行動をとられてもいいではないかと思うのであります。腹の中にお持ちになっておることがありますれば、お漏らしをしておいていただけますれば、現地においていろいろ措置するのに楽ではないか、かように思うのです。
  72. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどは問題を間違えまして、失礼いたしました。  実はすでに昨年から富士山ろくの基本的な調査にかかっております。そしていま主として水がどの程度にあるか、その水はどういうふうに流れるか——火山地帯で水に非常にむずかしいところのようでございます。したがって、この水の調査をいま岳南についてやっております。むしろ岳南から富士山の西側の方面にかけていたしております。これらをだんだん調査の結果、これをどういうふうに利用するか、利用できるかということについては、調査の進むに従ってこの案ができるだろう。これにつきましては、お話しでございましたが、静岡、山梨両県とも非常に御協力をいただいておりまして、両県の意見の扞格はない。むしろおれのほうを早く利用しろ、おれのほうを早く利用しろ、早くくればこうしてあげる、ああしてあげる、というような御協力でございまして、障害になるようなものはございません。要はすみやかに調査が完了して計画を立てるということになっておるわけであります。
  73. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 次に井谷正吉君。
  74. 井谷正吉

    ○井谷委員 私はまず最初に高速道路についてお伺いをしたいと思います。  昨日の降雪は、都心で五センチといわれております。このために江戸橋と浜崎橋の両インターチェンジの付近が氷結いたしまして、高速道路が全面交通禁止になったという報道がなされ、職員が五十人余りスコップで氷を割ったというようなことが出ていたのですが、五センチくらいの雪で高速道路の交通を全面とめなければいけないということは、私は考えものだと思うのです。この高速道路の設計のときに、こうした降雪とか氷結とかいうことについての考慮がなされていたのであるかどうか、あるいはまた、勾配が幾らのときにおいて、雪が降るとこれが氷結して交通をとめければならなくなるか、ということについての技術的な面の御説明をひとつお願いしたいと思います。
  75. 河野一郎

    河野国務大臣 技術者から技術上の説明はいたすかもしれませんが、建設大臣として一言御了解を得たいと思います。  御承知のとおり、勾配をどうするか、インターチェンジをどの程度に広くとるかということは、経費の点からもばく大なものがあるわけであります。したがって、そういうふうなものをかけて日常高い通行料をとることがいいか、たまたま一年に一回か二回の雪降りの日に休んでもしかたがないというほうがいいかということについては、私は考慮の余地があると思います。第二は、首都高速道路公団は、御承知のようにまだ本格的に営業開始の段階に至っておりません。したがって、これからオリンピックを目前にいたしまして、大体の路線が完了いたしますと同時に本格的な営業開始をいたしますれば、道路の掃除もむろんしなければならぬと同時に、いまのような雪の場合にはどうするか、風の場合にはどうするかというようなこと等につきましても——いまならば、あまり風が強いからきょうは高い道路を走ることをとめたらいいだろうということで、臨時開設をいたしておりますから、すぐとめると思います。しかし今後はこういうことにつきましても、科学的に十分検討しなければならぬでございましょうし、また雪に備えて排雪、除雪等についても、相当の機械を用意することも必要でございましょう。諸般の準備万端整えて、さあどうぞいらっしゃいということになっていない、その過程であると私は承知いたします。私自身が、とにかく通れるところは通すようにしなさい、そしてなるべく便益をはかるようにして差し上げなさいということでやっておりますが、いまお話しのように、全部の準備万端整って、さあこれでよろしいというように至っていない点がありますために、スコップで雪をのけたというようなことがあったかもしれませんが、また一時交通をとめるというようなこともあったかもしれませんが、それはそういうことで御了承いただきたいと思います。しかしいま申し上げますように、この狭い東京の中で、あまり大きなインターチェンジをとられることは、都民も欲しないであろうし、またわれわれとしても、建設費が大きくかさみ過ぎることは希望しないところであるという、ある程度の妥協でいっておることも御了解いただかなければなるまい、こう思うのでございます。御了解願います。
  76. 井谷正吉

    ○井谷委員 それから、やはりこれに関連してですが、地方国道の場合に、山間地をよく通りますが、そういう場合に、自動車がタイヤにチェーンを巻く、そうすると相当道路がいたむということを聞いております。それで鋪装の場合に、そういうことに対する何か技術面の方法があるかないかということをお聞きしたいと思います。
  77. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 チェーンをつけることは、舗装の面からいきますと、好ましいことではございませんので、本来ならばスノー・タイヤのようなタイヤにされますことを、私どもといたしましては希望いたします。しかし現実問題といたしまして、まだ舗装されました道路面が統計的に短うございますから、チェーン車が舗装の上に乗るという機会は非常に多いと思います。従来、地方の道路が、このためにコンクリートの舗装面がこわれる、あるいはアスファルトの軽易な舗装面がこわれることがございましたけれども、チェーンによって破壊されないためには、どうしても高級の舗装をする以外に方法がなかろうと思います。ある程度いたむことはいまのところ避けられない、かように考えております。
  78. 井谷正吉

    ○井谷委員 これは大臣にお伺いしたいのですが、先般御配付をいただきました新道路整備五カ年計画案の中に、四ページの(2)に、「国土開発縦貫自動車道等の調査の促進並びに本州四国連絡架橋及び東京湾環状道路調査の推進」とありますが、この中で、本州と四国の連絡架橋についてお伺いをいたしたい。聞くところによりますと、明石−鳴門、それから高松−岡山、今治−尾道、大体この三本が計画されておるということを聞いておるし、また人によりますと、五本だという話も聞いておる。どれがどれやらわからないのであります。そこで、四国経済審議会というものが最近できまして、いずれの線になろうとも、四国四県が協力して、建設省の技術的、経済的な御勘案においておきめになったものを支持するという申し合わせをしております。ところが、つい先日、愛媛県におきましても、今治−尾道間の促進の運動をする会が持たれ、すでに明石−鳴門間は鳴門大橋、それから高松−岡山間は瀬戸大橋、先般愛媛県、広島県で集まった会議におきましては、瀬戸内海大橋というように、まだ構想が十分きまっていないのに、はや橋の名がついたということで、地元としてはなかなか先走った傾向にあるように思うのでありますが、建設省としては、この四国と本州との連絡橋がかりに三本あるとすれば、順次一本ずつやっていくのか、あるいは一本でお進めになるのか、そういうことについての御構想を承りたいと思います。
  79. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろ考え方があると思いますけれども、私は建設大臣として、三本全部かけるのがよろしい、こう思います。しかしこれはあたかも九州縦貫道路、中国縦貫道路、東北縦貫道路と同じように、早くできればそれに越したことはございません。ところが道路と違いまして、東京から仙台までできたから、それで十分効果をあげる、先が早く伸びれば伸びるほどいいが、それだけでも効果をあげるというものと違いまして、橋の途中まででは効果があがりません。したがって、これは一つの橋にどう少なく見ても一千億以上かかります。一千億以上かかる橋を三本一ぺんに始めて、途中でそれがぶらぶらしておるということにはいきません。したがいまして、私は一本ずつやるべきものだと思います。結論は、三本全部やるべきものでございますけれども、着手するのは一本ずつやるべきであって、同時に二本、三本着手すべきものじゃない、こう考えます。その意味において、まず阪神間に近いところから順にやっていくことが順序じゃないか。四国の品物全体が、阪神間との経済関係が一番密接であるとすれば、まず阪神間に一番近いところの、可能なものからやっていくがよろしいのじゃないかという意味において、まず第一に明石−鳴門の調査にかかっておる。これが、本州の中部縦貫道路のように、非常な長いトンネルでもって困難だ、変えなければいかぬというようなことにぶつかりましたと同様に、いまの明石のところが、海底の岩盤その他の関係、もしくは、橋の長さが、将来の日本の想定できる台風に耐えるか耐えぬか、というような科学的技術的な調査の結果、危険があるということであれば、次にいく、こう思うのでございまして、いま、さしあたり明年度六億の調査費を盛っておりますが、順次調査を続けて、なるべく早期に完成したい、そして順次やっていったらいい、こういうふうに考えております。
  80. 井谷正吉

    ○井谷委員 いまのお話の六億というのは、明石−鳴門間だけですか、三本含めて六億ですか。
  81. 河野一郎

    河野国務大臣 これは明石−鳴門、三本を含めて、ということに、いずれにも解釈はできます。といいますのは、ここに長い橋をかけた場合に、それが風圧はどういうようにかかるかというようなことで、主として風洞をつくる金がおもなものになっておりますから、どれにも利用できるということになっております。まず私は、所要の風洞をつくって、四億くらいかかるそうでありますが、それで調査をする、一方、明石−鳴門については、いま海底調査を進めておりますから、この海底調査をどんどん進めていくというつもりでございます。
  82. 井谷正吉

    ○井谷委員 いまのお話はよくわかるのでありますが、地元では明石−鳴門間が一級国道、それから高松−岡山間も一級国道になっておる。それで、今治−尾道間も一級国道に編入してもらいたいという要望書が来ておるのですが、これは二本ともそういうふうになっておるのでございますか。
  83. 河野一郎

    河野国務大臣 私はいま、道路審議会等の議を経て、できればこの国会に道路法の改正を提案いたしたいと、実は鋭意準備中であります。何ぶん非常にいろいろの問題がございますから、国会に間に合いかねるかもしれませんが、私自身の考えとしては、道路法の改正はどうしてもやりたいという考えを持っております。この道路法考えておるところのものは、一級、二級国道の撤廃であります。どれを一級にしなければならぬ、どれを二級にしなければならぬ、従来はそういう観念がだいぶんございましたけれども、今後、先ほどからもお話のありますとおりに、地方の産業事情の変化によりまして、どんどん変わってまいります。したがって、これは二級だ、これは一級だと言って区別しておるのがおかしいというようなものがどんどんできてまいります。要は、予算規模によりまして、一級国道からまず政府は手をつけておりますが、一級国道が全部済めば、二級国道をやるということになっておるわけであります。しかし二級は二級でまた別にやっております。これは実はおかしいのじゃないか、こういうふうに考えまして、一級、二級国道を撤廃して、そしてただその道路の管理を、中央で手の回らないものは、従来どおり、国道といえども地方に管理してもらうことができるということにして、地方で管理を願う場合もありますが、いずれにしても国道の設計につきましては、中央において、政府において、全国一貫して国道の設計をやるということにいたしてまいりたい、こう考えております。したがって、いま、二本の道路は一級、一本は二級じゃないか、これを一級にするかしないか——もう一級、二級の差別を私はあまり考えておりませんので、この瀬戸内海を渡る橋は三本必要だ、三カ所が非常に架設に適当なところだというふうに考えておりまして、ただ順序は多少前後はいたしますけれども、全部かけべきものだ、こう考えております。
  84. 井谷正吉

    ○井谷委員 次に道路公団にお伺いしたいのですが、一月二十八日に道路公団の鹿島企画調査部長と福岡支社の星野工事部長が愛媛県の八幡浜に出張になりまして、突端の佐田岬から大分県の佐賀関へ渡るフェリーボートについて、記者団に談話を発表しております。それによると、九四連絡のフェリーボートは、三十九年度に九百トン級を一隻建造して、四十年度より就航する、地元にもフェリーの計画があるらしいが、どの程度の影響を受けるかわからぬけれども、かりに民間が就航しても、道路公団としては予定どおり四十年度より就航する計画であるという発表をいたしておりますが、これはお認めになってよろしゅうございますか。
  85. 河野一郎

    河野国務大臣 私から建設大臣としての見解を先にお話し申し上げておきます。  私は、先ほどもお話のありましたとおり、民間でやる意思のあるところ、しかもそれが特に不適当でないというものにつきましては、民間でなるべくやっていただくことがけっこうだと思います。資金が少ないのでございますから、なるべく道路公団には、民間でやらないところについて、全力をあげて、所期の目的達成のために活躍してもらう必要がある。たまたま佐田岬のところにつきましては、地元の愛媛県におかれましても、もしくは大分県におかれましても、そういった話があることも聞いております。ないしはまたある民間の会社でぜひこれをやりたいといっておるものもあることを聞いております。したがって、これらを十分検討いたさなければなりませんけれども、これが地元の人もしくは全体から考えて、同じ条件でいけるものならば、私は道路公団に許す意思はございません。民間のほうに優先してこれを許可してやらしたい、こう考えております。
  86. 井谷正吉

    ○井谷委員 もう一つこれについて伺いたいのは、かりに岬から佐賀関へできましても、八幡浜から岬までは約十三里の県道があるわけですが、これが非常に悪路、狭隘でありまして、年に一回、二回はバスが落ちて旅客の死傷が出てくるわけです。この道路の二級国道への編入を運動しておるようでありますが、かりにこれがフェリーボートの就航までに完成いたさないとして、道路がそのままであっても、かりに公団の場合に、フェリーボートだけ御運航になるかどうか、そのことをお聞きしたい。
  87. 河野一郎

    河野国務大臣 いま申し上げましたようなことでございまして、その前後の取りつけ道路につきましては、地元の県と十分意見を交換いたしまして、善処いたしたい。また、県の知事さんのほうから、いま民間で県と合弁でやりたいという申し出があるがどうかという話は、私聞きましたから、たいへんけっこうなものですなという返事はいたしました。しかし、まだ地元の検討の不完全なものにつきましては、これについての話し合いをいたしておりませんから、なるべく早急に話し合いをいたしまして、地元にどういうお考えがあるか、また建設省としての予算の分配がどういうふうになるかということにつきましても十分検討を加えたい、こう考えます。
  88. 井谷正吉

    ○井谷委員 もう一つ、一点ございますが、それは国道五十六号線であります。これがミミズ切りで、遅々として進行してないのでございますが、これは松山から大州、宇和島、宿毛を経て高知へ行く海岸回りであります。いまの状態だと、これは相当長くかかるので、五カ年計画もむずかしいのじゃないかと思いますが、これはあの地方の幹線道路でありまして、非常に地域開発の上にも期待しておる地域であります。建設省の肱川工事事務所の話によりますと、いまの状態であるならば七、八年はかかるだろうというのでありますが、これはなるべく早急にやっていただくお考えがあるかどうかを承りたいと思います。
  89. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、どの程度に拡幅するか、どの程度に改良するかということは別にいたしまして、いずれにいたしましても、一級国道でありますれば四十三年までに全部終わりたい、二級国道は四十四年までに全部終わりたい、主要県道は四十五年までに終わりたい、この基本方針に沿って工事をやっていく、こういうつもりでおります。
  90. 井谷正吉

    ○井谷委員 時間もないですから、私は一応これで終わります。
  91. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 次会は来たる二十八日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会