○吉田(賢)
委員 ではお尋ねいたしますが、
行政管理庁が昨年の十月から十二月まで、農業構造の
改善事業促進対策の運営状況について実地の調査をいたしました。その結果、全部で七項目にわたりまして相当辛らつな勧告をいたしております。これは
行政のあり方としまして注目すべき
一つの状況なり傾向を示すものでありますから、以下、その概要と趣旨だけを申し上げてみたいと思います。
そこで、
行政管理庁といたしましては、農業構造の
改善事業が三十七年の発足以来軌道に乗りつつありますけれ
ども、必ずしも効果的にまた円滑な進捗がせられておらぬという認定をいたしております。そこで、これは農民自身のこの
改善事業に対する自覚とかあるいは意欲、そういうものの不十分ということにも
一つの原因はあるかもしれないけれ
ども、さらにこの
行政の運営の面においても次の諸点の
改善が最も必要である。なお、これに関連いたしまして構造
改善事業の促進を最も有効に推進して構造
改善の総合的効果を
期待するために、たとえば農林助成事業などとの総合性を一そう強化するように検討する必要があろう。あるいはまた基本施策といたしましては、農畜産物の
価格の問題、流通の対策問題、労働力の対策問題、農地制度の問題等、あるいはまた内外の経済諸般の情勢にもかんがみてこれを並行的に
改善充実する必要がある、こういうふうな
一つの断定をいたしております。そこで、以下七項目を一応列挙いたします。
第一は、農業発展の地帯性に応ずる構造
改善事業の進め方でありまして、農業の発展は自然的、経済的条件に応ずる合理的地帯形成によって
期待せられる。そこで構造
改善の事業におけるこの基幹作目の選定状況は、各種主産地形成計画等と必ずしも十分な関連性がないと見られるものがある。計画作成にあたっては、基幹作目の選定についても適地適産あるいは主産地形成を助長するなど、適正な地域的態様の実現を指向するよう一そう指導する必要がある。これらにつきまして立地条件あるいは経済力あるいは農家が兼業化しつつある地域、あるいは都市付近における工業化の影響、そういったあらゆる社会経済等の実情も十分な考慮をしなければなるまいという点。
第二点といたしましては、この実施体制についての指導に欠くるところがある。市町村におけるこの指導体制は一般的に弱体であるほか、国であるとかあるいは都道府県における指導体制は一応整っておりますけれ
ども、運用必ずしも
実効的ではない。市町村に対する指導が人によってまちまちでありますこと。あるいは総合結集のための各種協議会等の運営がまことに形式的である。計画の内容が実情に即しない。だから事業の実施に行き悩んでおる。近代化施設が遊休化しておるものの事例は相当ある。試験研究機関の協力あるいは普及員の資質の向上などに一そう努力をする必要がある。
第三点といたしましては、関連する各種事業等との総合性の確保であります。この点につきましては直接に関連するたとえば土地の改良事業、河川の改修事業等との調整など、あるいは農協その他の諸団体との連携など、または国有林野の活用に関する営林当局との連携等も依然として不十分であって、構造
改善事業の進捗を欠くところの一原因をなしておるのではないか。いまの段階においてこれらの事業との調整及び関連機関との意思疏通などをはかるよう一そう努力する必要がある。
さらに第四といたしましては、この大規模経営に関する技術体系の確立を要望する点であります。これは大型機械あるいは大規模施設に関する技術体系におきまして部分的には不安定のあることは、それは構造
改善事業を推進する上の障害となっておる。これらの技術体系の確立に一そう積極的な努力を傾注する必要があろう。これは特にこの技術近代化、いろいろな大型機械の導入等によりまして当然起こる問題で、いまこれに打ち当たっておる感が切実なのであります。
第五点といたしまして、もっと認定の事務を簡素迅速化する必要があろう。計画の認定に関する一切の事務のうち、地方農政局と都道府県の協議に最大のウエートが置かれてきたのは、事業発足当初の
期待上やむを得なかったのではあるけれ
ども、しかし都道府県における
審査能力も非常に向上しておるものと見られる今日、国における内容
審査を一そう重点的に行なって、都道府県の自主性強化、その認定の促進をはかるべきではないか。まことに切実な点であります。
さらに第六点といたしましては、融資について農林漁業金融公庫の資金及び農業近代化資金の融資が末端の段階においてとかく円滑を欠いておる。これは事業を阻害しておる
一つの大きな原因であって、
関係機関について十分な指導が必要である。もっともこの点につきましては、私自身の私見を加えるならば、日本の農林漁業における融資は世界的に金利が高いのではないか。こういった点については
大臣とも問答したような次第でありました。この点には触れておりませんけれ
ども、とかく融資の問題が構造
改善事業の大きな障害になっておるという事実はいなむことはできません。
そこで七は、啓蒙宣伝の徹底でありますが、
改善事業の実施地域におきましても、一部農民の反対のため事業が行き悩んでおるという事例が若干見られるのであります。これは農民の理解と熱意を推進するために農業団体等を一そう活用いたしまして末端まで徹底的にPRするという必要があろう、こういったふうに結んでおります。これは前段申しましたとおりに文書をもって御
答弁を願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。