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1964-05-26 第46回国会 衆議院 決算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十六日(火曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 白浜 仁吉君    理事 押谷 富三君 理事 鈴木 善幸君    理事 竹山祐太郎君 理事 片島  港君    理事 勝澤 芳雄君 理事 山田 長司君       仮谷 忠男君    田川 誠一君       根本龍太郎君    神近 市子君       田中織之進君    吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         防衛政務次官  井原 岸高君         防衛庁参事官         (経理局長)  大村 筆雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  伊藤 三郎君         防衛施設庁長官 小野  裕君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部長)    沼尻 元一君  委員外出席者         会計検査院事務         官       樺山ただ夫君         (第二局長)         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月十四日  委員田中織之進君辞任につき、その補欠として  野口忠夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野口忠夫辞任につき、その補欠として田  中織之進君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員萬田尚登辞任につき、その補欠として  仮谷忠男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員仮谷忠男辞任につき、その補欠として一  萬田尚登君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十七年度政府関係機関決算書  昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十七年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書  総理府所管防衛庁関係)      ————◇—————
  2. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより会議を開きます。  昭和三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は総理府所管防衛庁関係決算について審査を行ないます。  まず福田防衛庁長官より概要についての説明を求めます。福田防衛庁長官
  3. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 昭和三十七年度決算概要につきましては、お手元に印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知おき願いたいと存じます。何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 白浜仁吉

    白浜委員長 委員各位のお手元に配付してあります昭和三十七年度決算説明書は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  次に、会計検査院当局より検査概要について説明を求めます。樺山会計検査院第二局長
  5. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 三十七年度検査報告に掲げましたものは、物件四件、補助金三件、計七件でございますが、まず物件関係で、二号は、海上自衛隊木船に使う下塗り塗料につきまして、在庫の量や消費実績をよく調べないで購入したため、数年分に当たる大量の塗料を買い込んだ結果となったものでありまして、また、三号は、海上自衛隊補給所で実爆雷発火装置などを修理不能品として多数保管しておりますが、これは訓練用爆雷には十分使えますものであるのに、これを活用しないで別に新しく訓練用爆雷を製造したもので、いずれも不経済と認めたものであります。  四号と五号は、航空自衛隊購入物品受領検査が不十分であったため、塗装が剥離していたり部品が不足しているものをそのまま受領していたものと、防衛大学購入していた輸入機械が経費の年度区分を乱っていたばかりでなく、関係書類などの調査が不十分であったために過払いとなっていたもので、本院の注意によりいずれも是正されておりますが、防衛庁物品購入につきまして依然としてこのような事態が見受けられますのは、注意を要する点と存じます。  補助金関係の三件は、教育施設防音工事補助金につきまして、工事費から差し引く金額計算を間違って補助金を過大に交付していたもの、特損防止のための補助工事の施行がよろしくなかったために、これが目的を達していなかったものでございますが、いずれも本院の注意により是正されております。  以上の不当事項のほかに、防衛庁に対して改善処置を要求したものが一件ございます。防衛庁不用不急物品調達している事態につきましては、これまでにもたびたび検査報告に掲げるなどして注意を促してきておりまして、防衛庁でもこのような事態改善相当努力あとが見受けられるのでありますが、なお、陸海空の三自衛隊調達を総合してみますと、共通して使用できる機材について不十分な点が認められるのであります。これは各自衛隊の間で共通機材について相互に融通するような処置が積極的にとられていない結果でございまして、このような不経済な事態を改めるためには、現在実施しております物品整理番号統一を急ぐと同時に、共通機材について融通調整をする機構をつくるとか、その他適切な処置をとる必要があると認められるものであります。  以上簡単でございますが、御説明を終わります。     —————————————
  6. 白浜仁吉

    白浜委員長 これにて説明聴取を終わります。
  7. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
  8. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は、過般の町田市の米軍ジェット機墜落事故に対する補償の件についてお尋ねをいたしますが、補償状況といいますか、現在までどのように進められておりますか。
  9. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 現在請求権者として確認されておりますものが七十名ございます。そのうち三十八名が五月二十五日現在で防衛施設庁請求書を提出いたしました。残余の請求権者に対しましても請求書提出につきまして努力中であります。なお、すでに請求書が出されております三十八件のうち、一部につきましては補償金支払いが開始されまして、その他につきましても近く補償金を決定して支払う事務を進行中でございます。
  10. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 今度の補償につきましては、政府相当慎重に従来よりも補償方式を変えるというようなことが言われてまいりましたけれども、どういうような形で補償方式というものが改正されたのでしょうか。
  11. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 従来の補償基準につきましては、御承知のとおり実情に沿わない非常に低いものでございました。数年来、その引き上げにつきまして努力しておったのでありますが、なかなか解決を見なかったのであります。今回の事故を契機といたしまして、大蔵省その他と折衝いたしまして、従来の基準方式を改めてホフマン方式を採用するということに意見が一致いたしました。大体来週あたりに一切の事務的な折衝を終えまして、発表を見る段取りでございます。
  12. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 伺うところによりますと、ホフマン方式で、最高補償額というのが従来百五十万であったのが三百万だということを聞いておりますが、ホフマン方式というのは、私もしろうとでよくわかりませんけれども、その人その人によって金額というものは相当高くなっているのでしょうか。何か聞くところによりますと、三百万で打ち切りだというようなことを言われておりますが、この点いかがでしょうか。
  13. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 従来は御承知のとおり百五十万が最高の額でございました。今度はそういうことをやめまして、いま御指摘の三百万を最高額とする考え方はないわけでございます。ごく要点だけを申し上げますと、賠償の算定の根拠になる平均収入日額、これも最低三百円を五百円に引き上げる。さらに最高額は千五百円まで引き上げる。なおまた傷害及び遺族賠償を算定する場合にもホフマン方式を採用する。第三には医療、傷害遺族賠償にあたりまして、それぞれ賠償額に合わせて慰謝料も支払うことができるようにいたしましたので、場合によりましては三百万をこえる場合も十分考えられるわけでございます。
  14. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いまのお話ですと、有職者平均日額ですか、それを千五百円で押えるということですか。そうすれば、その点が、ちょっといまのお話ですと、ホフマン方式でもある程度制限額をつくられているということになるのですが、その点いかがですか。
  15. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 ちょっと説明のしかたが不当でございました。従来の最高額の千五百円というのを今度撤廃いたしまして、なくすわけでございます。
  16. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、いま何か伝えられているように三百万で打ち切るというようなこともなく、いま国鉄なりその他で行なわれているような形で、ホフマン方式計算をされて、それによって補償額というものが算定される、こういうことですね。
  17. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 そのとおりでございます。
  18. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、これはお話できるのかどうかよくわかりませんけれども、いまおなくなりになった中で、補償額というのは最高はどのくらいの金額までですか。
  19. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 政府委員より答弁させます。
  20. 沼尻元一

    沼尻政府委員 現在の被害者について、今度の新基準で具体的に幾らになるかということをまだ計算いたしておりませんけれども、考え方といたしましては、なくなられた方の中には、有職者、それから妻、赤ん坊というような方々がございますが、その人たちの、たとえば古物商をやっている方が一人おるのでございますが、そういう方の収入幾らに見るかというようなことについて、現在役場とかその他の関係から、平均収入日額がどの程度になるかというようなことを聞いている段階でございます。したがいまして、そういう資料が整い次第、今度の新しい基準によってすみやかに計算することになるわけでございますが、さらに今度の新しいこの基準によりますと、こういう補償金のほかに、たとえば遺族補償について申しますならば、その補償金のほかに慰謝料というようなものも相当程度支給されることになりますので、そういうものをプラスした額が、全体として遺族の方に支給される額ということになるわけでございまして、そういった点、はっきりした数字を出すためには、もう少し時間が要るかと存じます。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 まだ何もわからぬということでしょうけれども……。それでこの補償金分担はどういうことになるのですか。アメリカが全額なんですか。日本との比率はどうなりますか。
  22. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 米側が七五%、わがほうは一五%でございます。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この補償金額一つ一つについても、米側と了解が成立しなければきまらぬ、こういうことになるのですか。日本側が独自の立場金額をきめて、あなたのほうの分担すべきものはこれだけだ、こういうことになるのですか。その点いかがですか。
  24. 小野裕

    小野政府委員 米軍公務上の関係で起こしました事故については、私のほうで決定いたしました額を米軍側はそのまま受け入れることになっておるわけであります。ただ、いままでの手続といたしましては、非常にその計算内容等について正確であるかどうかということを米軍側はこまかく検討してまいったわけであります。そのためにあるいは多少こちらの計算が修正されるというようなこともあり得たわけであります。しかし原則といたしましては、当方の計算を、これに間違いがない限りは先方は了承する、こういうことになっております。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いま基準改正が行なわれてというお話ですが、その基準改正については相談されておるのですか。
  26. 小野裕

    小野政府委員 この賠償支払い基準につきましては、御承知のように地位協定の十八条で、米軍事故の場合は自衛隊の例によるという規定がございますので、自衛隊側がはっきりした規定ができます、あるいは改正されますならば、米軍側は当然これを了承するということでございます。ただ、私ども一つの義理合いといたしまして、現在の改正の過程は知らせてはおりますけれども、先方はそれが多いとか少ないとか、いいとか悪いとか、こういうことは申せない立場になっております。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これまた御回答できるのかよくわかりませんけれども、無理でしたらけっこうですけれども、基準がきまってそれで被害者との話し合いがつかない場合、被害者はどういう手続——かりに裁判を起こすとしたら国が相手になるのですか、それとも米軍がなるのですか。こういう点はいかがですか。
  28. 小野裕

    小野政府委員 公務上の事故でございましたならば、これは第一次的には日本政府が払うのでございますから、被害者のほうは日本政府相手どって民事裁判民事請求をなさる。その結果によりまして、また二五%、七五%という分担割合が出てまいりますが、いずれにいたしましても最終的には日本政府相手になると思います。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 事故が起きて補償取り扱いというのは、たいへんむずかしいことだと思うのです。しかし被害者から言えば、なるべく早く、なるべく十分な補償をということになると思うのです。そういう点で政府のほうもお考えになり、また被害者のほうも、有利な条件にしてもらうためには少しぐらい延びてもと、こういうお考えになっていると思うのです。しかし、こういうことは十分お考えをいただいて、なるべく早く決定をして、不満のないような話し合いで問題を解決さしていただきたい。大臣によくお願いしたいと思うのです。
  30. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、とりあえず緊急支払いをいたしまして、被害者の方二十三名に対しまして総額三百四十五万円、すでに一部払い、内払いという形で差し上げました。最終的には、先ほど事務当局から答弁さしましたように、最後の詰めをいたしておりまして、大体、来週中には話し合い関係当局の間で——特に主として大蔵省でございますが、話し合いができて、近く結論が出るんじゃないか、こう考えております。
  31. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 次に、防衛庁会計検査の結果いろいろと指摘されている事項を過去見てまいりますと、総理のほんのわずかな注意が十分行なわれなかったために、国に大きな損害を与えている点がたくさんあるわけです。そういう点から見てみまして、今度会計検査院から、陸海空——縦になっている、横の面からも十分検討して、そして機材購入等についても、あるいは在庫問題等についても十分な注意を払わなければいかぬということが指摘されておるわけであります。このことは、大臣、数年間言われているわけです。陸海空防衛庁、こう一つにはなっておりますけれども、古い昔からの、戦前からといいますか、新しいものだといっても戦前からの流れがあるわけでしょうから、なかなかうまく調整がいかないようでありますけれども、これはいつかの時代に、そういう経理事務というものについてきっちり見直してやっておかないと、むだというものが絶えないと思うのです。会計検査院も、従来遠慮しながら書いておったようですが、今度は、一応改善意見というものをきっちり出しておるわけです。私はこういう機会に、経理物品調達——年間約七千億といわれておるわけでありますが、そういうようなものをしっかりした見方をして、もう少しここに重点的な人といいますか、たんのうな人たちを入れて間違いのないような方向にぜひしていただきたい。具体的な内容につきましてはまたあとでお聞きしますが、そういう点について、まず大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  32. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 今般、三十七年度に関しまして会計検査院から不当事項指摘され、まことに申しわけないことだと思っております。御指摘のとおり、厳重な内部監査と並行して、制度的にも相当改める点があるんじゃないか。三十九年度予算折衝にあたりましても、実は補給管理本部という考え方をつくりまして、各幕における共通した資材の融通の面あるいは統一化画一化の問題について、ぜひ制度化して改善いたしたいと考えたわけでございますが、残念ながら三十九年度予算では獲得できませんでした。しかし、御指摘のとおり単なる内部監査とかあるいは各幕に対するいろいろな今後の厳重な注意を行なうだけじゃなくて、制度自体につきましても、たとえばいま申し上げた補給管理本部式制度上における、組織上における改善も、ぜひとも近いうちに実施いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  33. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先般も私、決算委員会の締めくくりのときに総理にも申し上げたのですが、たとえば検査院から注意をされておることで、国産品で十分間に合うというようなものがあるにかかわらず、わざわざイギリスから買ったり、フランスから買ったりしておる、こういう例が、ときどき検査院から注意をされておるわけでございます。こういう点を見たり、あるいは今度物品調達なんか見ましても、やはり日本で十分間に合うやつが、わざわざ外国から買っておる。こういう点などにつきましても、ほんのちょっとした注意でできるんじゃないかと思うのです。こういうことについての取り扱い処理のしかたが案外、いいかげんというかあるいは簡単に取り扱われているように思うのです。ちょっと百万円を何か損害をかけたら、それについて十分な注意が行なわれたかどうかということをやって、その職務が忠実に行なわれたかどうかという判断をしてそれについての取り扱いをしないと、まあこっちにあるからこっちで買え、いや、こっちにあった、それで申しわけありません、今後注意します——実は検査院から指摘された事項防衛庁処分状態を見ると、そういう取り扱いをしているわけです。しかし、考えてみますと、百万円国に損をかけているわけですね。あるいは二百万円国に損をかけているわけです。それについての取り扱いとしては、私はこれでいいだろうかという疑問を実は持つわけです。たとえばこの第一に指摘されている木船用塗料の問題です。これは検査院意見を見ましても、これから十四年間も在庫がある——検査院説明を聞いても、せいぜい一年ぐらいだ。防衛庁説明を聞けば、いや、三年ぐらいはいいだろう。ほかの説明を聞いてみると、うんと在庫品を使うように指導する、こういうことが言われているわけです。しかし、扱った当事者について十分な注意を常にさせるような指導もしなけりゃならぬし、やはりある程度経理上の処分といいますか処理といいますか、こういうものはもう少し——ただ注意しおく程度でいいだろうかということについて疑問があるわけです。一番問題になりますのは、輸入品購入防衛大学のような場合ですね。これは三月三十一日に、品物が入っていないにもかかわらず払っておる。そうして七月になって決算をしたら、余分に払い込みになって、取れないものがある。これなんか、私は明らかに法律上問題がある事項だと思う。それについての取り扱いといいますと、注意をしましたという程度処理しか実はされていないのです。こういうことが、経理を担当している人たちに対する厳正なものの考え方がされていない。こんなのが幾らでも起きてくる原因だと思う。もう一つには、その経理事務というものを重要視せずに——いまあなたが言われました、ことし予算要求したけれども、大蔵省が認めなかった、こういう点にもあると思うのです。ですから、ものの考え方というものを、一度やったら、その誤りを繰り返さないように、そしてまたあやまちをおかした場合においては、もう少し厳重な処分を行なうことによって、その与えられた任務を完全に行なえるようにしてやらなければいかぬと思う。いや、これ、間違ったっていいんだ、あやまっておけばいいんだ——この程度では、私は困ると思う。ですから、そういう点についてもう少し——不正ということではないでしょう。不当事項というんでしょう。誤りというんでしょうけれども、しかし、これはまかり間違ってもう少し事を突き詰めていくと、かりに相手会社防衛庁の先輩がおったというような会社がありとするならば——あった例もあるわけですから、これは不当事項ではなくて不正事項じゃないだろうかなという疑問が起きるわけです。ですから、そういう点についてはただ単なるしかりおくだけではなくて、もっと経理担当者に、経理担当者任務といいますか、職責というものが重要なものだということを認識さして、そして経理上のいろいろなそごについては厳正なやり方をすべきだ、こう私は思うのですが、その点、いかがですか。
  34. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御指摘のとおりと私も存じます。信賞必罰と申しますか、不正は当然でありますが、不正事項につきましてもやはり罰すべきは罰し、ただすべきはただす、御指摘のとおりと存じますので、その方向で今後も厳重にただすべき点はただしていきたいと考えておるわけであります。
  35. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それではこの指摘された事項についてちょっと質問を進めてみたいと思うのです。  まず第一に木船用塗料購入実績以上に買っておるということでありますけれども、この会計検査院説明からあなたのほうの答弁を見てみると相当食い違ったことになっておるようでありますけれども、一体こういうことはどういう結果起きてきたのですか。
  36. 大村筆雄

    大村政府委員 お答え申し上げます。  本塗料の使用につきましては、実は消費基準というものを三十五年度の末でございましたか設けまして、三十六年度消費実績を得たわけでありますが、そういう消費実績の上にさらにまた改正消費基準を設けまして、それによって三十七年度調達を行なったものであります。たまたま消費基準徹底が十分でございませんで、そのほか消費実績の把握も十分でなかった、あるいは改正消費基準適用対象が従来以上に拡大されてきた、そういういろいろのふぐあいの点がこういう結果にあらわれたわけでございまして、まことに遺憾に存じている次第であります。これが今後の問題といたしましては、改正消費基準をさらに徹底することによりまして、こういうことのないよう十分注意してまいりたいと存じます。
  37. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この在庫品あと何年で消費できるのですか。相当廃棄処分というか、こういうことにするのがあるのじゃないですか。それはどんなふうな結果になりますか。
  38. 大村筆雄

    大村政府委員 検査院の御指摘によりますと、三十七年度消費量基準としてやりますと、六・九年分の在庫となるというふうに御指摘ございますが、先ほど御説明申し上げましたように、三十七年度消費量改正消費基準徹底が十分でございませんで、したがいまして、この改正消費基準徹底して行ないまして使用いたしますれば、あと二年ないし三年でもって消費できるものかと存じます。
  39. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いまあまりつついて無理して使ってもらってもあれですから、ひとつ良識的なことでこれは十分な注意をしてもらう以外にはしかたがないと思うのです。  その次に輸入品購入の問題でありますけれども、これは三月三十日に納入したことにしてしたんだけれども、実際にはあと品物が入ってきたということなんですが、法律的にはこういう措置というものはどういうことになるのですか。
  40. 大村筆雄

    大村政府委員 品物に六月に納入になっておるわけでありまして、使用した予算は三十七年度予算でございますので、したがいまして年度所属区分を誤ったわけでございまして、明らかに会計法違反でございます。これまたきわめて遺憾な事案でございます。
  41. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その会計法違反を行なった人たちについての処分というのは、この程度処分でよろしいのですか。これは防衛庁基準なんですか。
  42. 大村筆雄

    大村政府委員 本件の事情についてさらにもう少し御説明申し上げたいと存じますが、東ドイツのカール・ツアイス・イエナ社日綿実業を通じまして発注した本件は、実は横浜港に三十一日に入港しておりまして、当時の日綿実業関係社員の話ですと、まあ三月末くらいまでには納入できるでしょうということであったのでございます。そこで担当会計職員は、年度末でもございますので、一応年度末に小切手を切って物品納入を待っていたのでございますが、たまたま通関手続あるいは学術免税申請本件について行なっておりました関係で意外に納入の日数がかかりまして、六月に納入を見たような次第でありまして、会社側の手続の遅延のほかに通関手続あるいは学術免税申請手続が意外にかかったというのが実情でございます。それから本件は、契約金額は一応きまっていたのでありますが、実際精算いたしますときは実輸入価格によるという契約条項になっておりまして、その実輸入価格によらずに一応契約金額でもって相手に支払っていた、それを後刻実輸入価格によって精算したという点もございました。その諸般の事情にかんがみまして、関係職員に対しまして、三名につきまして訓戒処分、五名につきまして厳重注意処分を行なった次第でございます。
  43. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは日綿実業が契約違反を行なった、契約どおり実施されなかった、こういうことになると思うのですが、そうですね。
  44. 大村筆雄

    大村政府委員 予定の納入期日までに納入を見なかったという点で、さようでございます。
  45. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうした契約違反を行なった場合は、どういうことになるという契約になっておるのですか、契約書は。
  46. 大村筆雄

    大村政府委員 納入期日を遅延して納入されたものにつきましては、業者の責めに帰する点につきまして延滞料を徴しておる次第でございます。
  47. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それで延滞料はおとりになっているのですか。どういうふうにやっておりますか。
  48. 大村筆雄

    大村政府委員 延滞料につきましては千分の二の延滞日数分を徴しておるわけであります。合計いたしまして八万六千円の延滞料を徴しております。
  49. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それはいつからいつまでのことですか。
  50. 大村筆雄

    大村政府委員 本件防衛大学に六月二十七日に納入を見ておりまして、約予定より八十八日の延滞を見ておるわけでございますが、その間業者の責めに帰する分が四十二日と見まして、四十二日分につきまして延滞料を徴しておる次第でございます。
  51. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これはどういうわけで納入がおくれたという理解をしておりますか。
  52. 大村筆雄

    大村政府委員 まず第一は、ドイツから送ります場合の船積みが若干おくれております。それから業者の、横浜港に入港いたしましてから輸入申告書の提出も、若干おくれておるようであります。その後通関手続あるいは学術免税申請手続等を行なっておるのでございますが、その間において業者の責めに帰すべきものを四十二日と認定した次第でございます。
  53. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 過払い額の返納が、会計検査院から指摘された三十八年の十月になって返納された、こういうふうに書かれておるのですが、それはどういうわけでこう遅延したのですか。
  54. 大村筆雄

    大村政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、品物は六月に納入を見たのでございますが、たまたま本件防衛大学の研究教育用に使用するものでございまして、その使用を急いでおりました関係と、大体契約金額が市価と比べましてまず間違いなかろうということで、とりあえず契約金額に基づいて支払いをいたしますと同時に、外貨割り当て申請その他の輸入価格を立証する精算書類の提出を求めたわけでありますが、業者のほうからなかなかその書類が出ませんで、相当おくれまして輸入価格を立証する書類が出てまいったわけでありまして、その立証する実輸入価格が契約金額相当差がございました。したがって、そこで精算をしたという次第でございます。
  55. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計検査院にお尋ねいたしますが、これは検査院がいつ検査されて防衛庁のほうに御注意をされ、どうい経過をたどって全額返納されたのですか。
  56. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 実地検査は三十九年の九月二日でございますが、その際にこの契約によりまして、実際の輸入価格が変更があった場合は、会社からそういう書類を提出させるという契約になっておるわけでございますが、業者がそれを提出しておらないという事情でございましたので、もしそういう場合ならば、防衛大学のほうで積極的に業者からそういう書類を提出させて、契約どおりの精算を行なうべきではないかというような照会をいたしまして、その結果過払い額が返納になったわけでございますが、当時の実際の事情ははっきりいたしませんが、まず第一に、本件が三十九年度中に納入がなかったのに全額について小切手を切ってしまっておったということと、それからなお六月二十七日に大部分が入っておりますが、若干の未納品があったというような事情がございまして、そのような事情からなおそういう手続をとっていなかったのではないかというふうな推察をいたしておるわけでございます。
  57. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この返納された額については、これは収入のほうであげているのですか、どういう処理をされていますか。
  58. 大村筆雄

    大村政府委員 昨年の十月二十五日に、歳入のほうに受け入れてございます。
  59. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 費目は何ですか。
  60. 大村筆雄

    大村政府委員 たしか、間違っておりましたらあとでまた訂正申し上げますが、雑収入になっておるわけであります。
  61. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 表面的に出ている話は、いままでで大体わかりました。しかし中身につきましては、このコスト・アンド・フレートの証明、これがなぜおくれたかという点につきましては、いささか実は疑問があるわけであります。そこでこれは三月三十一日に間違って支払ったために、それを整理するために御苦労された経過だと思うのです。ですから、こういうものを輸入した場合においてはどの程度の日数がかかり、どの程度経理上の処置がかかるかというのは十分おわかりになっていると思うのです、何回もやっているわけですから。何回もやっているにかかわらず、とにかくまだ荷物が入ってないうちに支払いをしてしまったという点について、私はまだ相当これは疑問があるわけです。それは明らかに会計法上の違反だと思います。会計法上の違反をそこで行ないながら、次に荷物が入ってきた。一部の部品もまだ入っていない。それがそのままずっと延ばされて、三月三十一日のがようやく会計検査院から指摘をされて、検査院検査に行く九月でさえもその整理がまだされていない。そして十月になってようやくいまのような処理がされたということからいきましても、これは明らかに経理上の問題だけでない点が私はうかがえるわけであります。これはぜひひとつ契約書の関係の資料をこの決算委員会にお出しいただきたいと思います。  以上で終わります。
  62. 大村筆雄

    大村政府委員 承知いたしました。
  63. 白浜仁吉

    白浜委員長 山田長司君。
  64. 山田長司

    ○山田(長)委員 去る二月二十八日の予算委員会で大臣にお尋ねをしたことがあるのでありますが、伺った内容はロッキードの生産高のことでした。その後ロッキードの生産状況についてのことと納入状況、これはどんなふうになっておりますか、伺っておきます。
  65. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 お尋ねの140J並びにDJの納入実績はどうかという点でございますが、本年の四月末の総計は、Jのほうが九十二機、DJが十九機ということに相なっております。最初はやはりなかなか部品でありますとか検査でありますとかいろいろな点でおくれておりました。大体三カ月程度のおくれを見ておったわけでありますが、幸い本年に入りましていろいろな欠点も是正されまして、いまのところ順調に進んでおる次第でございます。
  66. 山田長司

    ○山田(長)委員 協定によってこの飛行機の負担は日本側が六百九十八億、アメリカ側が二百七十億ということになっておるようでございますが、御承知のように最近の経済事情からいいまして値増しのことが、これは常識的に考えられるような気がしますけれども、この値増しについては、契約上から全然もとどおりで差しつかえないということになりますか。それとも何かこの間において問題が起こってきておりますか。
  67. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 契約では最高限度をきめました概算契約になっております。契約をした際における経済情勢その他著しい変動があった場合には、予算の範囲内で変更をするという契約になっておりますことは、御承知のとおりでございますが、現在までのところそういう情勢はございません。資材、部品等の手当ては早期にいたしておりまして、現在までほとんど手配を終わっております。その状況を見ますと、契約当時予想された価格で進んでおります。一方加工費でございますが、これは契約当時賃金上昇を年率五%という程度で見ております。実際の賃上げはそれよりも高いようでございます。でございますが、他方操業度が予想よりも向上いたしました関係で、レート全体としては契約時に予想したものでいっております。ただ今後の見通しでございますが、そういう加工費の関係でどうなるかということにつきましては、今後の情勢を見なければならないわけでありますが、現在のところ、われわれといたしましては、予算増の必要はないというふうに判断いたしております。
  68. 山田長司

    ○山田(長)委員 たいへんけっこうな報告でございますが、この点、その姿で最後まで結論が出ることを私としては望む次第であります。  それから大臣が私の質問に対しまして生産の状況を申されたときに、専門家筋の話では二、三カ月おくれるかもしらぬというふうな意味のことを言われておるわけでありますが、これは、契約当初におきましても、一機欠けても国防にならぬということを言っておったのが、たまたま当委員会で質問をしているうちに、その後二百機に減ったわけです。そういう点でどうも私は疑問を持っているのです。一機欠けても国防にならぬと言ったのが、いつの間にか二百機になった。それは二百機で済んでいるのですから、そのことは国費をそれだけ少なくすることで、別に異存は差しはさみませんが、やはりおくれるという状態になりますと、国防上からいってもゆゆしい問題だろうと思うのです。その場合に、伊藤政府委員からこの前答弁が出ておりますことは、これは納期の終わりは来年の一月になっておるわけです。そこでもしおくれた場合には履行延滞金をとる、こういうことを言われておるのです。まあ私は延滞金などをとることをちっとも望むわけじゃないのですけれども、やはり期日までにきちっとできることを望みますが、この点については、来年一月までには全部完納される見通しですか。これは大臣に伺っておきます。
  69. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 最初のいろいろな困難な事情、不利な条件から、大体専門家筋の見方で二、三カ月遅れるであろうといわれているという御答弁をしたことはお話のとおりでございます。ただ問題は、最近そういう悪条件が非常に克服できましたので、大体目標に向かって順調に生産されております。何とか遅延ないし延滞のないように、最後まで予定どおり実施できるよう努力する考えを持っております。
  70. 山田長司

    ○山田(長)委員 委員会における御答弁の中に、世界でも各国でこのロッキードが使用されておるという御答弁でありましたけれども、調べてみますると、最近の世界の航空事情はロッキードの104の時代はもう終わっておるような印象を受けます。そこでさらに聞くところによると、五十機の追加が明年度予算に要求されるのではないかといわれておりますが、この五十機の生産というものにつきまして、来年度要求されるものなんですか。これはやはり飛行機の変わり方も非常に激しくなっておるという今日、意味のないものであるならば、私はやはり形を変えた国防上の飛行機が考えられてしかるべきと思いますが、この点についてはもっと角度を変えた形における見通しというものをお立てになるべきではないかという印象を持ちます。国防上の見地から考えてみまして、いわゆる既存の設備がつくられたから、それで工場を遊ばせてはいかぬというような、育成上から見て、続いて五十機つくるのだというようなことであるとすれば、たいへん無意味なことであると私は思いますが、この点について大臣はどうお考えになりますか。
  71. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 これは山田委員も御案内と存じますが、104のジェット機は、大体自由国家群で最近のうちに総計約二千機を目標に生産いたしております。現在の時点では大体約千二百機近くできておるわけでございます。わがほうといたしましても、いろいろな点を検討いたしまして第二次防といたしまして二百機生産、しかも昭和四十六年ぐらいには104Jの第七箇飛行隊は維持していきたい、これが二次防の基本構想でございます。したがいまして、第七箇飛行隊で、二百機を維持していくということになりますと、明年度減耗の補充分として約五十機程度が必要ではないかということで、四十年度予算を目標にその計画を考えておるわけでございます。なるべく近いうちにあらゆる点からの検討を終えまして国防会議にも審議をしていただきたい、こう考えておるわけであります。
  72. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうなりますと、先ほど話されました部品等の問題について、予算面の支障が起こってくるのではないかと思われますが、部品その他で、二百機を限度とした形の部品であるのか、あるいはそれが将来も同じような形の104の目安のもとにそれが進められるとすると、単価の点において非常に違いが出てくるだろうと思いますが、これらの点についてはどういう目安でありますか伺っておきたい。
  73. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 五十機の第二次生産を行ないます場合に、全部国産ということにはまいりませんので、依然として相当部分輸入を必要とするものがあろうと考えております。輸入部品につきましてその後どういう状況になっておるか調査をいたしておりますが、やはり値上がりがあるようであります。また国内でやります分につきましても、三十九年度末に生産が終わりまして、二次生産が始まりますまでに一年以上の空白がありますので、どうしても生産費は上昇してくると思います。そういう点も現在検討をいたしておりますが、どのくらい値上がりするかという確実な数字はまだ出ておりませんので、御了承願います。
  74. 山田長司

    ○山田(長)委員 次にこれは別な問題ですが、大臣一つ伺っておきたいのです。それは前の志賀長官の時代の、栃木の南端、群馬の東の端、埼玉の北方、茨城の西方に属します赤麻遊水池の問題です。この遊水池につきまして、志賀防衛庁長官が当時この上空を旋回して飛んだということから、いまだに住民の間では、この遊水池が投下演習地に使われるのだという印象を持っておるわけです。それで農民の間ばかりでなしに、周囲の自治体でいまだに米軍の演習地になることに反対だというので、役場には懸垂幕を掲げてこれが実反対の運動をやっているわけです。実は数日前現地を私は見てきているのです。現地を見てきての印象は、やはり非常に不安がっているわけです。そこで建設省の利根川水域の所長も同道いたしまして、この遊水池の中に現在堤防をこしらえているわけですが、堤防をつくる前の作業場の一つとして、七メートル幅で千メートルの直線コースがつくられているわけです。現在それは完成しております。これは私たちが見れば、専門家に伺えば全く納得できるのです。道路であるという印象であるし、それから堤防をつくるための、これは材料を運ぶ場所とか人が運搬される場所であるということは、了解されるのですけれども、とにかくいずれにしても、三千六百町歩という広大な面積の中にそういう直線道路が一本まずできた。それからまたさらに藤岡町の周辺にも一本千メートルばかりのができた。両方とも将来つながっていくだろう、こういう目安を地元の人は持って、不安がっているわけです。  そこでこの遊水池の中に、防衛庁の投下演習場としての施設契約というものが実際あるのかないのか、これは地元の人たちはほんとうに真剣に知りたいことです。なぜかというと、この中で耕作しておる農民は、県庁と一年ごとの契約で、カヤを刈る場所も麦をつくる耕作の場所も借りているわけです。そういう関係で、ことしの暮れにはやめられてしまうのではないかという不安があって、生活に非常に脅威を持っておるわけです。この点防衛庁としては、これは福田長官のときのことではなく、志賀長官がこの上を旋回しておるということから、いまだにこの結論が出てないので、福田長官に聞いておかなければならぬことになるわけですが、一体防衛庁はどんな計画でお使いになろうという計画が現在あるのですか、大臣からお伺いしたいと思います。
  75. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 渡良瀬川の遊水池の問題でございますが、これは御案内のとおり太田、小泉飛行場返還問題にからみまして、それにかわるべき代替地として候補地となったわけであります。しかし、御指摘のとおり受け入れ側の地元の反対が非常に強うございまして、私も就任以来しばしば実情につきまして陳情も承っております。現在のところ代替地の候補地ではありますが、地元の反対が非常に強いので、なかなか困難であるというような感じを持っております。こういう飛行場でありますとか、演習地は、あくまで地元の納得をいただかなければ円満にできませんし、その線から申しまして非常にむずかしい問題だという感じを受けます。現在これ以上申し上げるのはどうかと思いますが、私の感じといたしましては、候補地として検討もけっこうではあるけれども、地元の陳情を伺いましても非常に強い反対をしておられるという現状から見まして、現存の米軍の施設あるいは自衛隊の施設で何とかこれを転用できないものだろうか。ここまで申し上げるのはどうかと思いますが、実はそういう観点からも、ただいま米軍側折衝中でございます。まだ見通しにつきまして明確にお答えできないのは残念でありますが、一応角度を変えまして努力をいたしておるのが実情でございます。
  76. 山田長司

    ○山田(長)委員 聞くところによると、太田のいままでの場所も投下演習場としてほとんど使われていないという話を伺っておるわけなんですが、どのくらいいままで使われておるものなのですか。もしろくに使われていないものであるとするならば——やはり実はいま栃木県としては、この遊水池についてどうこれから処理していくかということについて何かいろいろ計画もあるようです。ですから農民も実際はその危険をおかしながらも、三年に一ぺんとか五年に一ぺんとか大水があって、せっかくつくった農作物も皆無に帰するようなことがあっても、やはり赤麻遊水池というのは御承知のように田中正造翁で有名な家中村の埋没した地点でありまして、この地点の人はこの周囲の演習場に今日も居住しておりまして、この中で耕作しておる人は相当数おるわけです。そういう人たちが耕作ができなくなるということになりますと、たいへん死活問題に及んでくるわけです。ですからこの点もしも群馬の太田の場合が、ろくに使われていないように、使われていないものならば、いま大臣が申されましたように、よその土地に現在ありますものをより一そう効果的に使っていただいて、新規の使用をなさらないように願いたい、こう思うわけですけれども、この点いかがなものでしょうか。
  77. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 米軍側にいたしましても、パラシュートによる人員並びに物資の投下演習でございますので、その演習も私たち必要を認めておりますので、全然演習することを断わるということは不可能でございます。必要な演習はどうしてもやってもらうたてまえでありますが、ただいま御指摘のとおり、太田、小泉飛行場がどうしても地元の関係で返還をしなければならぬということになりますならば、代替地を見つけなければならぬ。ところが代替地の遊水池については非常に強い反対がある、こういうことでありますので、先ほどお答えしましたとおり、いままでの考えを少し変えまして、これはこれで検討を続けますが、何とか現存のほかの場所でできないだろうかと、実は米軍側折衝いたしておるわけであります。まだはっきり話し合いは妥結しておりません。したがってお答えする段階ではございませんが、もしそうなりますれば、私どもとしても地元の方々に非常に安心していただけるわけであります。その方向でいま実は努力をいたしておるわけでございます。  なお昨年米軍は、月九回、九日間、本年に入りましては六・三日というのが演習の回数でございます。面積あるいは回数等につきましても、私どものほうから、やはり航空自衛隊からも専門家を出しまして、米軍の専門家ともいろいろな点で検討を実はいたしておる次第でございます。
  78. 山田長司

    ○山田(長)委員 米軍側との交渉で見通しがつかないというお話しでございますが、一体安心して農民が農業に携わるようにしてもらう目安、結論はいつごろまでに出ますか。
  79. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 大体いつということは具体的に申しかねますが、相手がありますので残念ながらはっきり申し上げられませんが、私どもの立場からいえば、一日も早くいたしたい。実は水戸射爆場等とも関係がありまして、何とか一日も早く具体的な話し合いを煮詰めまして、関係の地元の方々にも納得いただける線を出したいと、実は鋭意努力いたしておるというのが現状でございます。
  80. 山田長司

    ○山田(長)委員 どうぞひとつ一日も早く安心して農民が農業に携われるように、それからまた、この土地の第一調整池、第二次調整池、第三次調整池というのが、十年以上の歳月がかかるということが建設省の人たちから言われておりますけれども、この点についても建設省に頼んで、もっとこれが早く完成するような方途にしたいと思っておるわけですけれども、おそらく建設省としてもこれをやりながら、いつ防衛庁に使われてしまうんだというようなことが頭の中にあったとするならば、これはやっているものだって何百億とかけているのですから張り合いがなくなると思います。どうぞ一日もすみやかにこの結論が出ますように、心からお願いしておきたいと思います。
  81. 白浜仁吉

    白浜委員長 吉田君。  ちょっとお願いしますが、長官は渉外関係で四十五分に出なきゃいけませんので、済みませんが、長官に対する質問を先にお願いします。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣に伺いまするが、F104J購入等をめぐりまして、今後また新たな購入契約ができるやに伺っておりますが、そこで、いま世界の、特に民間飛行界を中心とします超音速機時代に入る。またその開発がなかなか盛んにアメリカあたりやヨーロッパあたりでも行なわれておるのでありますが、この種の購入しておる機の機能の面ですね、速度そのほかについてどういう性能になるのでしょうか、超音速機と比較いたしまして。
  83. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 現在の104Jの最高速度は約二マッハでございます。現在アメリカその他で新しく研究いたしておりますのは、もっと速度の早い、あるいは三マッハというような話も聞いております。ただ、こういう飛行機が実際にそれぞれの国に装備される時期というのは、もっと将来のことでございます。アメリカはじめ各国で研究開発をいろいろやっておるという段階でございます。したがいまして、104Jがやはり昭和四十五、六年度くらいまでは有効な戦力であるというふうに考えておる次第であります。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただ、航空機界の開発の作業というものは、かなり大じかけに官民の協力を通じてやっておるらしいのです。といたしますると、本年度予算を見ましても、相当大きな購入費の予算が作成されました。またすでに支払いつつあるようであります。これが、たとえば、七〇年、七二、三年にはすでに宇宙を飛んでおるというようなことが一般にいわれているわけです。そういう時代に突入せんとするときに、この膨大な設備が廃物になるということになるんじゃないか。といたしますると、追っかけていってまたばく大な経費、またばく大な経費をというふうに結局なるんじゃないかということも、ちょっとしろうとながら想像するのですが、ミサイルもしくは新しい研究体制に入るとか、そういったマッハ三・五とかいうことも目標として伝わっておるのでありますが、そういうところへ目をつけて戦闘機などの購入の計画を立てるということが、国の会計の面から見ても、ないしは防衛庁における諸般の計画から見ましても適切な面じゃないかと思うが、その辺が何か欠けているんじゃないか、こういうふうに思われるのですが、大臣どんなものですか。
  85. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先ほど装備局長から答えましたとおり、現在の二次防の基本構想では、昭和四十六年度ぐらいまでは104Jジェット戦闘機七飛行隊、これを維持することが日本の防空体制上適切であるという結論でございます。もちろん、申し上げたとおり日進月歩でございまして、各国とも非常な速度で機種の改良その他をつとめ、またその成功も見ておるようでありますが、何といいましても、日本の持つ総合的な力から申しますと、大体二次防の基本構想で七飛行隊を昭和四十六年度まで維持する、これが大体日本のいまの国力、国情に合うんじゃないかということを考えておるわけでございます。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 アメリカにおいては、ケネディ大統領も特に超音速機の開発については、特別に予算教書も出すというような熱意の入れ方でありまして、また一方、防衛庁は民間のパイロットの養成にも相当予算をさいて力を入れておるらしい。言いかえると、防衛庁はそういったことにかなり専門的に開発研究に入り得るべき立場でないか、こうも考えるのですが、いまのように、この飛行機をもって戦闘機の用をなし得るような見方よりも、さらに進んで開発研究するということにしかるべき手を打つべきじゃないかと思うが、研究しておるのかいないのか、いかがですか。
  87. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御承知のとおり、日米間には二年前から技術に関する情報交換、共同研究という申し合わせができております。先般もブラウン博士その他が来たのもその趣旨に沿ったものでありますが、将来の日本の持つべき航空機の性能なりあるいは性格というものにつきましても、当然私どもも研究はいたしております。ただ、まことに遺憾ながら、基礎的な研究に対する予算も残念ながらきわめて少ないものでありまして、アメリカなどは全国防予算の約一割を基礎的研究に投じておりますが、日本では残念ながら一%に及ばない。これは十分に私ども反省して、もっと基本的な問題、将来長期にわたる計画的な、基本的な研究に取り組むべきである、この欠点は私ども率直に認めざるを得ないのが現状でございます。ただ、自由陣営の一国として、大体カナダにしろ、またドイツにしろ、イタリアにしろ、大体二千数百機の104といういまの機種を整備しようというのが各国の現状でございまして、大体半数をこしましたが、現在のところ一応主力の戦闘現役機としては104が大体自由陣営のいままでとっております政策でございます。今日も変わっておらないようであります。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 たとえばマッハ三などの戦闘機を購入するというときには、かなり予算のけたが違うということになるのではないでしょうか。日航あたり、十機で手付だけで五十億円も現在アメリカに払っておるらしい。だから、そのような民間航空とは違いますけれども、かなり予算のワクが根本から変わってくるんじゃないだろうか。  それからまたそういったことに対処するために必要な研究開発の機関を内部に設置するということが、やがて民間の航空界の刺激といいますか双方助け合って、その面に大きな貢献をなし得るのではないか、これは積極的に手を打っていかれるべき段階にきておるのじゃないか、ことにいまは歩兵制度というものはないのでありまして、全員ほとんど技術屋をもって埋めるような感じがするのです。それほど技術を尊重する防衛庁でありますれば、相当進んだ研究機関というものを置くべき段階にきておるのじゃないか、いま調査、研究しているとおっしゃいますけれども、見るところ、特別なことはわれわれには見えませんけれども、特にいま申した超音速機等をねらった研究、調査に踏み出すべき機関あるいは計画等をしてはどうなんでしょうか。
  89. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 二次防の構想はいまのところ変更をする考えは持っておりませんが、御指摘のように将来にわたっての超音速の問題につきましては、先ほど申し上げたとおり技本並びに航空自衛隊を中心に研究を進めさしております。なおこの問題は、御指摘のとおり世界の大勢と申しますかいろいろな新しい要素がたくさんございますので、実は第三次防を中心に検討される一つの重要な事項ではございます。基本的な問題、あり方について責任の部局に検討をいたさしておるわけでございます。十分今後も本質的な問題について本格的な調査なりあるいは分析を進めてまいりたいと考えております。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 問題は、一つは飛行機の購入につきまして国庫債務負担行為として国会の承認を得ておられるわけですが、そのうちたとえば電気などはそうではなしに、一般会計支出をしてなさっておられるのでしょうか。
  91. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 航空機のように生産期間が長期にわたりかつ金額の大きなものにつきましては、五年以内の国庫債務負担行為で契約しております。搭載品の一部につきましては短期間、一年以内ででき上がるものもございますので、そういうものについては単年度の契約をするということで処理いたしております。
  92. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それからさっきの山田委員の質問に答弁せられまして、例の104の引き取り支払い完了時にはあらかじめ人件費が年間五%ほど上がるものということを想定した契約のようにちょっと拝見しておったのですが、いろいろと材料費などが物価趨勢等によりまして相当変動しておると思いますので、三十六年のものを本年度中に決済するという場合には当然原価の変動が見込まれる、そのうちに物価の面についても相当考慮するということが一般の常識のようでありますが、この点は間違いないでしょうか。言いかえますと当初の契約概算によって支払いは完了し得るということに間違いないでしょうか。
  93. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 材料、購入部品等の支払いにつきましては、契約当初に大部分いたしております。したがいまして、その後の値上がりというのは影響ないわけでありまして、現在までに材料、部品等につきましては九〇%以上のものが会社へ予定の価格で納入されておるわけでございます。そういう意味におきまして、契約時以後の物価の変動というものは、それほど影響はないということでございます。
  94. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後に大臣に一点伺っておきたいと思いますが、先年来民間のパイロットの養成にいろいろ力を入れておられます。これは自衛隊法を見ましてどこからくるのかと考えてみましたが、自衛隊法三条には自衛隊任務規定されております。しかし、これは悪いことでありませんので、私ども歓迎はいたしております。しかし、こういうような委託によって、人命を多数預かる民間のパイロット養成に一役買って出られるという以上、さらに最近の自衛隊の発達のあとが、さっきも一言したごとく技術面において相当力を入れておられることは衆目の見るところであります。しからば自衛隊において十分に研究されておる面、民間の技術援助、そういったことに相当踏み出すようにせられてはどうか。最近文教の面におきまして、大学におきましても工学部等に相当力を入れておることは御承知のとおりであります。そういうような民間の科学、産業、技術等の発達に協力すべき面が相当あるのではないかと思うのであります。あなたのほうの調査研究機関あるいは機構、実態等も詳しくいたしませんので、責任をもって断定的に言いかねますけれども、民間パイロット養成に協力する以上は、そのような面にも相当一役お買いになってはどうかと思うのですが、それはどうでしょうか。
  95. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、パイロット養成につきましては、民間側と取りきめを結びまして一定の費用を負担させて優秀なパイロットを養成しております。これに関連して御指摘の技術の開発向上についても力を入れるべきではないかということは、私も全然同感でございます。従来もやっておりますが、予算額の面から見てまだまだ各国に比べればきわめて低いのであります。各国とも防衛産業には技術面から非常な指導もし、また豊富な研究費を委託してやっておるのが現状でございます。日本の全工業生産に占める防衛生産額はわずか〇・六%という低い率から見ましても、せめて基礎的な研究面においては、もう少し防衛庁が積極的に民間側に協力する必要があると私ども考えております。この点におきまして、実は来年度予算もそろそろ三次防にからんで研究させておりますが、重点施策の一つに指定いたしまして研究いたしておる次第でございます。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの点につきまして、本年度予算はないとするならばこれはやむを得ませんけれども、もしあるとするならば、また来年度予算編成に織り込む御予定もあるならば、民間のほうにおきまして、あるいはまた地方公共団体等におきまして、相当適切と思われるべき要請がありましたら、基礎的な科学技術等の研究とか協力とか、そういうことには協力なさることはやぶさかではない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  97. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 防衛産業と平和産業は紙一重でありまして、技術の面から見るとお互いに非常に不可分の関係にあり、これは各国とも共通した現象でございます。御指摘のとおり今年度予算はわずか十四、五億しか計上いたしておりませんが、私どもといたしましては、一そうの努力を払って、少なくとも各国の標準に近づけるような予算額で民間の技術向上に協力し、また指導もいたしたいと考えておる次第でございます。
  98. 白浜仁吉

    白浜委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十分散会      ————◇—————   昭和三十七年度防衛庁関係歳出の   決算に関する説明  昭和三十七年度における防衛庁関係歳出の決算につきまして、その概要をご説明申し上げます。  経費の説明を致します前に昭和三十七年度におきましては当庁の行政組織が一部改廃されましたのでご報告致します。  すなわち、自衛隊および駐留軍関係の施設の取得、維持管理、その他これに関連する業務は、従来防衛庁建設本部と調達庁とにおいてそれぞれ行なっておりましたが、この両者を統合して昭和三十七年十一月一日防衛施設庁を設置し、業務の一元的かつ効率的な運営を図ったものであります。  つぎに経費につきましては  まず昭和三十七年度(組織)防衛本庁の経費についてご説明申し上げます。  当初の歳出予算額は、千九百九十三億九千八百四十七万九千円でありまして、これに昭和三十七年十月以降政府職員の給与を改善するための予算補正追加額五十一億六千三百二十五万八千円、成層圏における放射能調査等のため科学技術庁から移替えを受けた額八百八十八万一千円、代替庁舎等の取得のため大蔵省から移替えを受けた額三千四百九十一万九千円、オリンピック東京大会実施準備のため文部省から移替えを受けた額九千九百七十五万九千円、前年度からの繰越額五十八億六千百五十二万六千円を加え、防衛施設庁設置にともない防衛庁建設本部の経費を防衛施設庁え移替えた額五億二千二百八十八万一千円を減じますと、差引歳出予算現額は二千百億四千三百九十四万一千円となります。  この歳出予算現額のうち、支出済歳出額は二千五十六億七千五百十八万八千円でありまして、これを歳出予算現額に比較いたしますと四十三億六千八百七十五万三千円の差額を生じます。この差額は、繰越額と不用額でありまして、繰越額は三十六億二千七百九十九万八千円、不用額は七億四千七十五万四千円であり、これを昭和三十六年度決算と比較いたしますと、繰越額において二十二億三千三百五十二万八千円の減少となっており、不用額において四億三千六十一万円の増加となっております。昭和三十七年度予算につきましては、昭和三十六年七月に国防会議で決定された第二次防衛力整備計画に従い、その初年度の諸目標を円滑に達成するための経費を使用しました。その主なるものは次のとおりであります。  陸上自衛隊につきましては、防衛力および警備力の向上を図るため、北部、東北、西部方面隊の管区隊二、混成団三を五箇の師団に改編して、昭和三十六年度に着手した十三箇師団態勢を完成いたしましたほか、ナイキ大隊、通信運用大隊等所要部隊の新改編を行なうとともに、前年度に引き続き第七師団の機甲化を中心として装備の充実改善を図りました。また施設部隊の諸器材、軽渡橋セット、その他災害救援用器材を整備する等民生協力面の強化を図りました。  海上自衛隊につきましては、第二次防衛力整備計画の初年度として計画した甲型警備艦一隻、駆潜艇一隻、中型掃海艇二隻、高速救命艇一隻、雑船七隻、計十二隻四、四三五屯の建造に着手いたしましたほか、大型対潜哨戒機(P2V−七)の国産最終年度として十五機の生産を行なうとともに、新たに同機六機の継続生産を開始し、ヘリコプター十一機、練習機十八機を購入することにいたしました。また定員につきましては、三十七年度就役艦の海上要員、航空機の増強に伴う航空要員ならびに後方補給および教育関係要員確保のため、自衛官千百九十五名、自衛官以外の職員五百十八名の増員を図りました。  航空自衛隊につきましては、F−一〇四戦闘機の配備、警戒管制および航空保安管制部隊の整備ならびに教育および後方支援態勢の充実によって、全国防空警戒態勢の基盤を確立するため、F−一〇四飛行隊および術科教育本部を新たに編成するとともに、通信電子部隊および後方部隊の増強を図り、これに要する自衛官七百二十一名、自衛官以外の職員八十三名を増員することといたしました。航空機につきましては、既定計画によるF−一〇四J、DJ戦闘機ならびにT−一Aジェット中間練習機の生産を引き続き行なうとともに、救難ヘリコプター機の購入を図りました。  以上のほか、自衛官の募集を推進するための経費、対空誘導兵器の導入に備えG・Mの研究を推進するための経費、航空機騒音防止対策を進めるための経費をそれぞれ使用いたしました。また定員につきましては官房各局、統合幕僚会議および技術研究本部等附属機関において自衛官以外の職員二百五十三名の増員を図りました。  繰越額三十六億二千七百九十九万八千円のうち、主なものは器材費等十二億五千百二十四万六千円、航空機購入費三億五千三百八十九万八千円、艦船建造費等六億九千十三万円、施設整備費十億四千六百九十二万六千円などでありますが、この繰越を生じました理由の概要を申しあげますと、器材費等および航空機購入費につきましては、装備品の大部分および航空機が一般市販品と異なり、特殊の規格、性能が要求されますので調達に際して、規格の決定、仕様書の調整に慎重を期したこと、また有償供与を主とする輸入品手続等にやむをえない日数を要したために、契約または約入が遅延したこと等に基づくものであり、艦船建造費等につきましては、要求性能の決定および設計の作成等に長期の日数を要したことに基づくものであり、施設整備費につきましては、用地の取得に際し所有者の納得を得ることが困難であり、また補償折衝に意外の日数を要したこと等により、工事が遅延したことに基づくものであります。  また不用額七億四千七十五万四千円の主なるものは、人件費、器材費および装備品等の維持費でありますが、人件費につきましては特別退官退職手当を要することが少なかったこと、器材費および装備品等の維持費につきましては、契約価格が予定価格より低かったこと、計画の変更により維持費を要することが少なかったこと等によるものであります。  不用額は前に述べましたように、前年度に比較して四億三千六十一万円の増加となっておりますが、繰越額につきましては前年度に比較して一十二億三千三百五十二万八千円の減少となっております。これは昭和三十七年度予算におきまして、防衛力整備計画に基づく自衛隊任務遂行に必要な予算でこれが適正な執行を図るために年度内消化可能なもののみを歳出予算に計上いたし、その執行にあたりましても計画的、合理的運営を図った結果、前年度にくらべ大幅に圧縮することができたものと思っております。  つぎに昭和三十七年度(組織)防衛施設庁の経費についてご説明申し上げます。  当初の歳出予算額はゼロでありまして、これに昭和三十七年十月以降政府職員の給与を改善するための予算補正追加額八千百八十二万二千円、行政組織の改廃に伴い移替えを受けた額、(組織)防衛本庁より五億二千二百八十八万一千円、(組織)調達庁より八十七億九千百三十六万三千円、前年度からの繰越額を(組織)調達庁より七億二千五百十七万四千円、板付飛行場拡張に伴う基地周辺整備に要する経費等として予備費を使用した額四億二千二百五十六万一千円を加え、提供施設周辺土地等改修事業等に要する経費として移替えた額、農林省所管(組織)農林本省へ五億一千七百九十三万二千円、建設省所管(組織)建設本省へ二億四千九百六万七千円を減じますと、差引歳出予算現額は九十七億七千六百八十万二千円となります。  この歳出予算現額のうち、支出済歳出額は九十一億六千四百六十四万八千円でありまして、これを歳出予算現額に比較いたしますと六億一千二百十五万三千円の差額を生じます。  この差額は繰越額と不用額でありまして、繰越額は三億三百九十一万五千円、不用額は三億八百二十三万八千円であります。  支出済歳出額の主なるものについて概略ご説明申し上げますと、まず(項)調達労務管理事務費で六億九千三百九十万九千円を支出しております。  これは「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」に基づく「地位協定」の規定により駐留米軍の使用する従業員の労務管理事務等に必要な経費でありまして、その主なるものは労務管理事務および離職者対策としての職業訓練を都道府県に委託した経費であります。  つぎに(項)国際連合軍等関係補償費で三億七千四百三十三万七千円を支出しております。これは国際連合軍の使用により荒廃した広島県原村演習場の復旧工事に対する補助金、占領期間中における連合国軍等の不法行為により人身被害を受けた被害者および遺族に対する見舞金等に要した経費であります。  つぎに(項)施設提供等諸費で五十七億五千四百七十五万円を、(項)防衛支出金で九百五十八万円を支出しております。これは「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」に基づく「地位協定」の規定により駐留米軍の使用する「施設及び区域」等の提供に必要な経費として、民公有の土地、建物、動産等の借上、買収費およびこれらに関連しての補償費等、また駐留米軍またはその構成員等の行為によって受けた損害に対する補償費等に要したものであります。  その他所管事務の執行のための人件費、物件費等として、(項)調達庁で  十七億九千百九十四万七千円、(項)防衛本庁で五億二千十九万一千円を支出しております。  翌年度繰越額三億三百九十一万五千円は(項)施設提供等諸費でありますが、これは補助金工事等におきまして、気象、用地の関係により工事が遅延したこと、また買収および各種補償等で額の確定、相手方との折衝に不測の日時を要したこと等に基づくものであります。  不用額三億八百二十三万八千円につきましても、その主なるものは(項)施設提供等諸費でありますが、これは提供施設の移設予定土地の造成が未完成のため移設工事ができなかったこと、また施設の提供に伴う補償においてこれに要する経費が少なかったこと等に基づくものであります。  以上昭和三十七年度の主な経費の概要についてご説明申し上げましたが、  予算の執行につきましては、国民一般から多大の関心を寄せられておりますので、特にこれが執行にあたりましては、諸法規を遵守することは勿論、最も効果的に運用するよう戒め、また綱紀の粛正にも留意し、国民の信頼に応えるよう努力して参ったところでありますが、会計検査院昭和三十七年度決算検査報告におきまして、不当事項として指摘を受けましたもの七件、改善意見を表示されましたもの一件がありましたことは、まことに遺憾に存ずるしだいであります。  指摘事項の内訳は、物件四件、補助金三件、改善意見を表示されましたものは、陸上、海上、航空各自衛隊間における共通器材の融通および調達調整についてでありますが、これらの趣旨につきましては、よく部内に徹底させ、将来再びこのような過誤を繰り返さないよう万全の措置を講ずるとともに、改善を要するものにつきましては、速かに改善のための諸施策を推進する考えであります。  以上をもちまして説明を終わります。  何とぞよろしくご審議のほどお願いいたします。