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1964-05-12 第46回国会 衆議院 決算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十二日(火曜日)    午後零時五十九分開議  出席委員    委員長 白浜 仁吉君    理事 押谷 富三君 理事 鈴木 善幸君    理事 田中 彰治君 理事 竹山祐太郎君    理事 福井  勇君 理事 勝澤 芳雄君       鍛冶 良作君    菊池 義郎君       吉川 久衛君    登坂重次郎君       原 健三郎君    細田 吉藏君       山本 幸雄君    秋山 徳雄君       川村 継義君    千葉 七郎君       森本  靖君    山中 吾郎君       山本 幸一君    吉田 賢一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         法 務 大 臣 賀屋 興宣君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  福田  一君         郵 政 大 臣 古池 信三君         自 治 大 臣 赤澤 正道君         国 務 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 山村新治郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 林  修三君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     浜中 英二君         科学技術政務次         官       鹿島 俊雄君         外務政務次官  毛利 松平君         大蔵事務官         (主計局次長) 澄田  智君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      江口  穣君         大蔵事務官         (管財局長)  江守堅太郎君         文部政務次官  八木 徹雄君         厚生政務次官  砂原  格君         運輸政務次官  田邉 國男君  委員外出席者         会計検査院長  芥川  治君         会計検査院事務         官         (事務総局次         長)      白木 康進君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月八日  委員栗原俊夫君、森本靖君及び吉田賢一辞任  につき、その補欠として井谷正吉君、米内山義  一郎君及び中村時雄君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員井谷正吉君、米内山義一郎君及び中村時雄  君辞任につき、その補欠として栗原俊夫君、森  本靖君及び吉田賢一君が議長指名委員に選  任された。 同月十二日  委員萬田尚登君、田川誠一君、千葉三郎君、  原健三郎君、神近市子君、栗原俊夫君、田中織  之進君、松原喜之次君及び森本靖辞任につき、  その補欠として登坂重次郎君、吉川久衛君、山  本幸雄君、細田吉藏君、山本幸一君、山中吾郎  君、千葉七郎君、秋山徳雄君及び川村継義君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員吉川久衛君、登坂重次郎君、細田吉藏君、  山本幸雄君、秋山徳雄君、川村継義君、千葉七  郎君、山中吾郎君及び山本幸一辞任につき、  その補欠として田川誠一君、一萬田尚登君、原  健三郎君、千葉三郎君、松原喜之次君、森本靖  君、田中織之進君、栗原俊夫君及び神近市子君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十六年度政府関係機関決算書  昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十六年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度決算外三件を一括して議題とし、審査を進めます。  御承知のごとく議題といたしました各件は、第四十三国会において提出されてより、今日まで長期間にわたり、予算が効率的に使用されたかどうか、またその経済的効果はいかにあがったかどうか等を中心として、超党派的に審査を行ない、今日まで一応各省所管別審査も終了しております。したがいまして、本日は今日までの審査の経過に基づき、各件についての総括質疑を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 きょうは、三十六年度の決算全体につきまして、これを議決するために、総理以下各大臣おいでを願ったわけでありますが、これは決算という問題について、もう少し国会をはじめ政府も重要視してもらいたいという年来の要望によりまして、先般参議院で行なわれました。きょうは衆議院で行なわれることになったわけであります。総理はすでに御承知だとは存じますけれども、この際、私はほかの大臣おいでになっておりますので、特に申し上げておきたいと存じますが、決算委員会は第一に、決算審議のやり方としては、従来会計検査院報告に基づいて、予算執行上の不当もしくは不正の支出を中心に検討いたしてまいりましたが、決算審議の結果を予算編成に考慮させるべきだというふうに考えまして、予算執行が適正に行なわれているかどうか、行政効果経済効果は予定どおり行なわれているかどうかという執行体制についても審議を進めてまいってきたわけであります。特に、最近会計検査院もわれわれ決算審議方向に沿って、従来の不正、不当事項指摘にとどまらず、積極的に会計検査院法に従いまして、是正改善処置要求や、改善意見の表示を行なってまいったわけであります。  第二に、他の委員会と違いまして、問題点は事実行為でありまして、いま委員長から述べられましたように、与野党の対立というよりも、むしろ一致して行政姿勢を正し、真に国民の負託にこたえるための、党派を離れて、正すべきは正し、公正な審議を行なっておるのであります。したがって、私のこれから申し上げる意見も、社会党という立場の意見というよりも、決算委員会意見であるというふうにお考えを願って御答弁を願いたいと存じます。  最初に、決算に対する総理のお考え方でありますが、総理決算委員会に参りますと、決算予算も重要でありますので、私もできるだけ出席したいと思いますとしばしば御答弁されております。しかし、総理出席要求を求めますと、年一回でいいじゃないか、締めくくり質問だけで、こういうようなお話が出ました。せめて会計検査院から報告があったときも出てきたらどうだろうということを申し上げておるのでありますが、なかなか実現をいたしません。予算委員会にはどんな御無理をしても御出席になる、しかし、決算委員会には無理ができない。予算あるいは法律は議案であり、決算はただ単なる承認事項ではなくて、報告事項であるから、別に無理をしなくてもいいというふうにお考えになっているのではなかろうか。まさに私は決算軽視のあらわれだ、こう思わざるを得ないのであります。だから、大臣の中にも、三十分か一時間でも決算委員会に出られる方はいいほうで、政務次官が出たり、きょうも出ていないから、実は三十六年度の決算をめぐって、一回も決算委員会に出ない大臣もおられるわけでありまして、これでは私は、血眼になってとった予算ですから、その予算がどのように使われたかということについて、もう少し真剣にお考えをいただきたいと思うのです。そこで、私どもがやはりこの際考えていただきたいことは、予算要求をしておる、その要求をした結果がどのように使われたかということについて、十分お考えをいただかなければ、綱紀粛正、あるいは行政能率向上、あるいは官僚政治でない国民のための政治というものは行なえないのじゃないだろうか、こう思うわけでありまして、このためには、やはり私は特にこの決算委員会総理のおことばのとおり、ひとつ重要視されまして、しばしばおいで願って、決算委員会におけるいろいろな意見について、ぜひ決意を述べていただきたい、かように思うわけであります。この問題については何回もお聞きいたしておりますけれども、私はやはりあらためて再度確認するために御質問をする次第でございます。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 予算決算は最も重要なことでございまして、政府といたしましても、予算をとった場合においてそれがいかに使われ、いかに有効に使われているかということにつきまして、相当関心を持たなければならぬことはお話のとおりでございます。したがいまして、私が常に申し上げておりますごとく、決算委員会のみならずほかの委員会にもできるだけ出席はいたしますが、ことに決算委員会におきましては、行政能率向上の点からも、いろいろな点から十分御審議を願い、政府もこれに対して御説明または御意見を承ることが適当だと考えております。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 次に、毎年会計検査院から不正、不当事項指摘をされております。しかし、依然として改善をされずに数年間も放置をされ、責任者はかわっていく、大臣はつんぼさじきで知らされていない。デカンショ節じゃないけれども、意見をするときは、頭を下げろ、下げれば意見が通り越す、かような官僚機構無責任体制になっておると思う。たとえば防衛庁中古エンジンでもって騒がれました。しかし、今日なおかつ在庫の調査が不十分で、依然として不要品不急品を買ったり、特に木船用の塗料を十五年間分も先買いをしておる。そして買った責任者関係会社に入ったり、あるいは出世をしておる。文部省では国立学校国有財産管理について会計検査院から三十一年、三十四年の二回にわたって書面で注意をされておるにもかかわらず、ほっておいて、ようやくこのごろ改善要求が出されて、これについて検討し始めておる。あるいは農林省自作農創設特別会計、この財産管理は三十三年、三十五年に会計検査院から指摘をされ、三十六年に改善要求を出されておる。あるいは農林漁業金融公庫昭和二十八年以来貸し付け方法が不良だと指摘をされておる。ようやくこのごろになって改善意見を検討されておる。これはただほんの一つの例であります。驚くべき行政の怠慢だといわなければなりません。おざなりの答弁、におざなりの回答、そして処分は形式的で、これでは行政の弛緩を直し、綱紀粛正は私は不可能だと存じます。したがいまして、会計検査院の不正、不当事項指摘昭和三十四年には二百九十二件で十二億九千万円であった。それが三十五年には三百三十八件で八億七千万円に減りましたけれども、三十六年度は五百七十九件の十八億八千万円でまさに激増しております。あなたの所得倍増計画とともに、不正倍増しておると言っても私は過言でないだろうと思うのです。指摘事項に対する処理を明確にさせなければならないと同時に、不正や不当事案についての責任者処分というものをやはり厳重に行なうべきであると思うのです。これについての総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 会計検査院指摘事項お話のとおりだんだん減る傾向にありましたことは喜ばしいことでございますが、最近におきましてまたふえつつあることはこれまた遺憾なことでございます。われわれとしてはできるだけこういうことのないように努力はいたしておるのであります。そういうことが起こった場合の責任問題につきましては、これはわれわれとしても常に当局に向かってそれをよく言っておるのであります。今後も十分責任を追及し、不正、不当の根絶を期していきたいと思います。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計検査院からの指摘事項に対する処理のしかたというものをもう一度御検討を願いたいと思うのです。  そこで次に、綱紀粛正に伴う汚職事件の問題についてお尋ねいたしたいと存じます。汚職事件というものは、依然として続発をいたしております。しかも事件はいつも氷山の一角を見せただけで、その全貌というものが、隠されております。うやむやになっております。これはいろいろ汚職の内容について決定的なものがないと当然把握がむずかしいということになろうと思います。ところが東海道新幹線汚職を取り上げた「夢の超特急」という推理小説が出されております。あるいは武州鉄道事件では「埼玉鉄道事件」として、これもまた推理小説が出されておる。新潟県の地盤沈下地下水規制をめぐっては「赤い燈台」、こういうように汚職事件中心とした推理小説はまさにベストセラーになって、国民の中には多くの疑問が持たれておるのであります。汚職がなぜ起こるのか、それは役人業者のくされ縁であります。資材の納入、あるいは建設請負、あるいは許可、認可をめぐる業者過当競争、天下り、横すべりの人事、役人業者とのなれ合いであります。業者はかつての自分の上司であったというような例が各所に出ておりますし、極端な例が、かつて経済企画庁東北開発株式会社監理官が退職されて、今度は東北開発株式会社監事になっておる。そうして、今度はあとがまた経済企画庁から来たら、その監事理事になった。こういうことが行なわれておるわけでありますから、それは十分な監督ができないのは当然であります。  この不正事件を調べてみますと、必ず役人経歴者がおる。その中にはおみやげを持った就職ということが考えられるのであります。各省公社、公団あるいは公庫事業団等直接の省の出先機関をきそってつくって、そして高級官僚のはけ口とし、補助金を出して外郭団体をつくり、あるいは委託費を出すために団体をつくったりいたしております。まさに複雑怪奇な機構であります。官僚によって政治が動かされ、大臣政治家血眼になっているという状態、先ほど友納千葉県知事は県の土木部汚職に対しまして、監督不行き届きで申しわけないと知事みずからが減俸処分を行なって県民におわびしたという例もあります。汚職被害者のない犯罪だといわれておりますが、被害者はわれわれ国民であり、納税者であるわけであります。汚職者に対する処分をもつと厳格にするとともに、汚職業者に対しても事件後も入札に参加させるようなことは、断じてこれは許さるべきことではないと存じます、それと同時に政治姿勢を正すことが特に必要だと思うわけでありまして、このために汚職事件に対する政府態度を私はお尋ねいたします。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 汚職の絶滅を期することは、これは政府として国民に対しての責任でございます。だから、そういう事件が起こりましたら、厳正に処理し、将来に向かってそういうことのないよういたさなければなりません。お話の点は当然のことでございます。その方向で今後とも努力いたしたいと思います。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先ほど私は検査院から指摘された不正不当事項についての政府の取り扱い、そして、それが何年となく放任をされておるという実情と、それについてのき然たる処置を要望いたしました。いままた汚職事件につきまして、汚職事件処理のしかたというものが寛大といいますか、いいかげんといいますか、こういう実情があるので私は申し上げたわけであります。そうしてまた、その汚職業者が依然として入札に加わっているというようなことも現実にあるわけでありますから、ひとつこういう点につきましては、総理の御答弁はおざなりのものではない。今後こういうことが起きたときには厳重にそういうものについては処理されるものだ。処理されなかった場合においては総理に対して十分その点については御質問を続けたいと存じます。  次に、この際特に、最近決算委員会で取り上げた問題について、総理並びに各大臣に知っていただきたいというために、私は各省ごとに、ここで問題になった点について申し上げてみたいと存じます。  まず大蔵省関係です。大蔵省税金を取り過ぎている。歳入超過になっている。三十三年度が千二百億、三十四年度が千億、三十五年度が二千百億、三十六年度が四千五百億、三十七年度が三千九百億、大蔵大臣は税の自然増収で、取り過ぎではない、見込みよりも多くなったのだ、こういう御答弁をされております。しかし余分に取過ぎた税金というものは今日でさえ税金が高いと言っておるのでありますから、それは返してもらわなければならぬと思う。それから国有財産が、土地民間会社に払い下げられて、払い下げた後に事業計画のとおり実施がされずに十日間たってほかの会社に転売されておる、こういう事例が出ております。あるいは厚生省では、健康保険原生年金保険あるいは船員保険保険料徴収方法について、昭和二十九年から指摘をされておるにかかわらずそのままになっておる。今日推定をされておる保険料徴収不足額は十数億円あろうということを会計検査院でも計算を立てておるわけであります。  第三に農林省関係であります。これは食糧管理特別会計が赤字だと言われております。しかし三十七年の十二月一日、消費者米価の値上げの際に、米穀業者価格差益として十六億七千万円も不当に利得をされておるのであります。卸業者は三百九十六軒で十二億利益をしておる。一業者当たり三百万円とにかくこの価格差益が入っておるということであります。  次に国有林野事業特別会計国有財産は、大正三年ごろから貸し付けになったまま放てきされておる。この間火事のあった北海道の登別温泉の第一滝本館には昭和八年から二千五百坪を建物敷として貸し付けが行なわれておるということを私も初めて知りました。  次に土地改良事業におきまして、特に岡山県の倉敷市の公有水面を一億八千万円かけて埋め立てをした。そうしてそれを農民に配分したら、農民はその配分通知で六億でもってこれを工場に売りました。政府は一億八千万円かけた土地農民から二千万円しか取り上げていないのです。一人当たり農民は一千万円もうかったということであります。そのために奥さんと離縁をして、女狂いをしてそして懲役に行ったという事件すら出てきたわけでありまして、一体土地改良というものは、工場用地をつくっては売っておる。まさに農林省は建設省と同じような仕事をやっているのではないだろうか、こういうことが明確になっております。  次に郵政省であります。郵政省特定郵便局における横領事件というものが最近起きております。特に郵政犯罪につきましては会計検査院からも厳重に犯罪をなくするように指摘をされておるわけでありますが、なかなかいまもってその是正は行なわれておりません。過般の品川の南浜川郵便局では七年間千六百九十万円という金が横領されておる。最近の例では静岡の七問郵便局では十一年九カ月、三千六十三万円が、郵便局長奥さんが局員になってこういう使い込みが出ておった。しかも奥さんはかつて表彰された人である。この郵便局長名古屋郵政局特推連理事をやっておって、特定郵便局長会ブロック会長をやっておる。この間郵政監察は九回もやっておって、この事件がわからなかったという。郵便局長は金庫のかぎのあけ方すら知らなかった。結局郵便局長大家でもって、そうしてたな子で、郵政省がまたそのたな子になっておる。そして事件が起きても、大家さんですから簡単な処理ができない、こういうことであります。  次に外務省であります。  外務省海外移住計画を三十九年度で八百世帯いたしております。八百世帯海外移住計画に対して、予算は二十一億五千八百万円の計画でございます。八百世帯を移住させるために二十一億五千八百万円の金が使われています。あるいはまた、日本国際問題研究所において年間五千万円の委託費が出ておる。しかし委託費が出ている会社に対しまして、経理が不十分だということで外務省会計課の職員を一年間この会社に出向させて経理のめんどうを見ている。一体何を委託しているのかわかりません。  次に、電源開発株式会社であります。これは電源開発調整審議会の決定をする前に、総裁の独断で建設地点道路をつくるという約束を奈良県にした。そのために計画変更になったけれども、道路をつくるという約束をしたのだから、期待権補償だといって、三億円のお金が支払われているわけです。過般、これは公共用地取得特例違反になるということが明確に答弁されたのであります。  次に首都高速道路公団は、東京都が東京競馬場に貸しておる土地使用権解除に対して、道路にまで補償金を払っております。  国鉄では、東海道新幹線工事関係で、用地買収近江鉄道景色補償として一億五千万を支払い、伊豆箱根鉄道では三島−下土狩間の工事認可が出ないうちに工事をやって補償金を取ろうとしたわけであります。  箱根の山では、国土計画興業株式会社所有地送電線を通過さしてもらうために、西熱海ホテル梅園用地を将来売る約束をさせられました。これらはどうも西武鉄道の関係会社だといわれております。新大阪駅、新横浜駅付近の土地を買い占めた資本金三百万円の日本開発株式会社中地新吾に対して数十億の融資をしたという黒幕が出ております。これらの関連性は、私が申し上げるまでもなくよくおわかりになっておると思う。  次に、原子燃料公社における燃料国産化の政策であります。これは今日十分検討しなければならぬときに来ておる。原子力発電会社は今日原子炉をつくりました。しかしその濃縮ウランは十年間イギリスから購入するということになっておる。日本原子燃料公社天然ウラン計画を持っておる。いつ実用になるか、十年後になったら、こう言っております。かつてある大臣原子力というのは神代の時代だということを言われておりましたけれども、もう少し政治家として十分この点については国全体の中で検討すべきときに来ていると思う。  こういう点がこの決算委員会で起こってまいりました。私は、今日、総理以下決算についてもう少し真剣にお考えいただきたい、そのために申し上げたわけであります。総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 いまお話しの点は、決算に対しての態度というのでなしに、金の使用あるいは職務執行についての心がまえの問題だと思います。決算委員会の問題になったのは、そういう心がまえやそういう不当不正なことをすることがいけない。これは決算委員会の問題とは違います。役人なりその人の心がまえになる。それを直さなければいけない。しこうしてそれを直すために、決算委員会でいろいろ議論せられることは、決算委員会の問題として適当であります。そうしなければならぬのであります。したがいまして、万般のいまのお話の点は、私も新聞その他で耳にしております。また、直接にも聞いておりますが、今後そういうことのないように、また不正は早急に是正するようにいたしたいと考えます。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 時間がないから、議論してもしかたがありませんから、次の問題でありますけれども、国際収支改善についていろいろ総理も御努力されております。決算委員会に出てきた問題だけでも、たとえば国産品の愛用という問題でも、防衛庁調達実施本部では英国ラングゼロックス社から乾式帯電複写機を購入しておる。あるいはまた、フランスからアクアラング型自給潜水具を購入している。しかしこれと同等以上の性能の国産品をかつて買ったことがあるわけであります。わざわざ外国から高いものを買っておる。あるいは首都高速道路公団では、道路工事費積算にあたって、国産のくい打ち機械使用しているにかかわらず、外国輸入機械を使ったということで、高い積算をしている。これは会計検査院指摘された一つの例にすぎません。  あるいは海外渡航日本航空の利用であります。三十六年の十月、三十八年の八月に次官会議で申し合わせをした結果、今月六一・四%になりましたけれども、まだまだ問題があります。これはやはり積極的な解決をしようとすれば、方途はあるわけであります、研究すれば。ここですから申し上げませんけれども、研究すべきだと思うのです。  次に、来訪外客にドルを落とさせるにはどうしたらいいかという点につきましては、先般運輸委員会の議事録を読みましたら、観光小委員会でガイド協会の遠藤常務理事あるいは国際観光旅館の八州園の石川社長、こういう方が見えて、ドルを落とさせるにはどうしてたらいいか、みやげ物を買わせるにはどうしたらいいか、こういうことについて述べておるわけであります。こういう問題についても少しきめこまかくお考えをいただくべきではなかろうかということを実は決算委員会審議を通じて感じましたので、その点を申し上げておきたいと思います。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 その点は全く同感でございまして、国産品の愛用あるいは海外払いの節約等につきましは、政府におきましてもあるいは立法あるいは閣議決定等によりましてお話しの点を実現するように努力をいたしておるのでございます。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 拝啓池田総理大臣殿という作家の水上勉さんが出してきた一つの手紙から、最近いろいろ反響を呼びまして、このごろでは渥美清さんの「拝啓総理大臣様」という映画がいまかかっております。圧力団体のない一庶民のささやかな願いというものは、こういう形で出ていると思う。かつて安保騒動の際に声なき声の代表というようなことがいわれまして、こういう力のない人たちの意見というものについてささやかな願い、要望というものを国の政治を行なっておるわれわれとしては、当然聞かななければならぬと思うのです。機構的には国会に請願制度があります。あるいは行政管理庁の中で苦情相談制度というものが行なわれております。しかし、これもまだまだ問題があります。こういう庶民の一筆啓上運動といいますか、こういうものが出てきたということについては、新たな角度からわれわれは当然考えなければならぬ問題だと思うのです。国会の場というものは、こういうものについての取り扱いをきめるべき場所だと思う。あなたは立法府でない、行政府である総理だから、それは国会考えてくれと言われるかもしれませんけれども、あなたは総理であり、自民党の総裁であるわけでございます。政治家としてこういう問題についてあなたのお考えなり、これについて何かの方法、その他についてお考えがあれば、お聞かせを願いたいと思うのでございます。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 国民の代表は国会でございますから、国会議員の方々の御意見を十分拝聴しております。また私は私なりに、特別に私のところへお手紙をよこしてくださる人のみならず、新聞の投書欄、ラジオでは、私は毎朝六時五十分からの「私たちのことば」、日曜日は休みでございますが、毎日三人ずつのあれを聞いております。その一つの効果は、定時制高等学校卒業生の就職の問題、これは私はあれを聞いてから、閣議で話したのでございます。できるだけそういうことを聞いております。中には取り入れる意見でないものもございますが、また閣議にはからなくとも、自分の心がまえとして非常に得るところがありますので、耳から目からいろいろそういう国民意見を聞くように努力いたしておるのであります。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 総理、私の質問したのは、一つの現象を取り上げて申し上げたにすぎないわけであります。いまあなたが朝のラジオを聞いている。その中から定時制高校を取り上げた。決算委員会に来てあなたに聞いていただきたいことも、あなたは新聞やラジオで知っていられるかもしれませんが、まだまだやらなければならぬ問題がたくさんある。せめてこういうところにはなるべく何回も来ていただいて、新しい立場からものを聞いていただくことでございます。ですから委員長も言いました。とにかくここでは党派性よりももっと別の国民的な立場からものをながめておりますから、新しい角度からものを言う委員会にも、おじゃまでもあるいはどうも鬼門だと言わずにどしどし出ていただいて、一時間しかないということではなく、もっとたくさんの時間をさいていだだいて、特に決算委員会にきていただくことを要望して、私の質問を終わります。
  16. 白浜仁吉

  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十六年度の決算は本日上げる予定になっておりますので、一、二の点につきまして総理大臣にお伺いをしたいのであります。  第一には、年々会計検査院指摘しまする国政上、予算執行上の不当事項は、三十年前後にはずいぶん膨大なものでありましたが、その後やや減り、最近ここ三、四年来またずっとふえてまいったのでございます。同時にまた不正事項も相当ございますし、とりわけ補助金などが相当な多量にのぼっております。政府機関の関係におきましてもまた公団がずいぶんたくさんできましたし、したがいまして、この様子をもって見ればさらに漸増の傾向をたどるのではないかというふうに実は考えております。窮極するところ原因はどこにあるのであろうか、官紀の弛緩であるのではないか、綱紀粛正すれば直るのであろうか、あるいはまた予算の作成あるいは予算審議、執行の段階におきまして相当大きな何か欠陥でもあるのではないであろうかというふうに、われわれ国民納税者の立場からしますると相当深刻な疑問も持ちながら、憂いをもってこの傾向を見ておるのでありますが、総理大臣は財政の専門家でもありますので、その点率直にひとつ御答弁を願いたいのであります。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 制度の欠陥もあるかもわかりません。改善しなければいけますまい。しかし問題はやはり心がまえの問題でございます。したがいまして、お話しのようにまず綱紀粛正をはかる。そして制度もそれによって変えていかなければならぬ。何ぶんにも最近は相当仕事の量もふえてまいっております。私は政府の仕事をもっと簡素化し、またいまお話しの補助金もうんと整理して、そしてすっきりした予算決算にしなければならぬ、そういう方向に向かって進むべきだと思います。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やがて、きょうは三十六年の決算につきましては相当大きな注文が、当委員会においては決議せられるであろうと思う。外国の例によって見ますと、イギリスあたりにおきましては、決算委員会一つの任務といたしまして、高い倫理性を予算執行の面に要求するということが伝えられております。したがいまして、あたかも決算委員会審査日本でいうならば何か司法官的な印象さえ受ける。これはいい悪いは別といたしまして、ともかく非常に厳粛に、予算の執行のあとを国会が顧みるということにつきましては、高い倫理性を要求するということが伝えられておりますが、私はもしきょうどのような結論が出るかは別といたしまして、相当政府に警告するような内容であるとしまするならば、やはり内閣といたしましてもこの高い倫理性に基づきまして、今日の予算執行、過去の予算の執行のあとにかんがみまして、このような要望を全公務員に、行政機関に求める。こういうような態度に出られることは適切でないかと考えるのですが、いかがなものでありましようか。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 お話のとおりでございます。御決議の点は全公務員に伝えまして、将来誤りなきことを期したいと思います。  それから先ほど勝澤さんのお話もありましたごとく、与野党一致して決算についての御審議をいただく。これは予算のような政策とかああいう問題でなしに事実問題を根拠としてですから、非常に私はけっこうなことだと思います。ただここで議員のあなた方と政府とが、事柄の非違をただすことに急にして、将来三度と繰り返さない、建設的な意見が述べられれば、そしてまた過去の実績についてそれがいかに改められたか、いろいろな、何といいますか、公務員のいくべき道を教えるような気持ちでこの決算委員会お話しいただければ、より効果があるのじやないか。非違を見つけるよりも、非違のあと始末をどうしたか、今後どういうようにやるべきかということについての意見なんかもひとつ十分承らせていただきたいと思います。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点につきまして、たとえば最近の私の受ける感じといたしましては、これは率直に申しますが、行政府国会の立法権を独占する立場を軽視する傾向はないであろうか。たとえて申しますると、今度河川法が改正になりましたが、非常に重要な事柄が政令にまかされております。私どもはやはり国会は立法の唯一の府でありますので、できるだけ国民の権利義務に影響することは法律をもって規定しなければいかぬ。ところが役人にまかせて政令に一任するという傾向が助長されてまいりますると同時に、国家の意思、国民の意思であります予算の執行につきましてもとかくそれが軽視せられまして、公私混同せられるという危険が生じはしないだろうか。そこにまた綱紀の弛緩するおそれがある、こういうようなことを思いまするので、これもたしかイギリスの例のようでありますが、政令を調査するというようなことも、これは側面的な方法ではありますけれども、一つの案ではないであろうか。あるいはアメリカあたりにおきまして、政府活動を調査するような機関がございますようでありますが、わが国は各委員会におきまして国政調査権を持っておりまするからそれに及ばぬということになるかもわかりませんが、いずれにいたしましても、予算執行の段階におきまして、直接に何かこれを適正に最も効率的に合法的に執行せしめるという、さらに新しい第三の手がこの際考慮されていいのではないだろうかということを考えるのですが、この点はいかがなものでしょう。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 国会は国権の最高機関で、予算はもちろんに行政につきましても監査できるわけでございます。私はいまの国会の権限だったらもうこれは万能くらいに考えております。特にふやそうという必要はない。私は反対にこう思っております。大体予算できめ得られることを法律にみなきめてしまって予算を縛るということは、少し行き過ぎじゃないか。昔は予算でいろいろな点をきめればいい。それを将来によって予算を確保する手段として法律を設けるという場合が、ここ数年間非常に多くなってまいりました。あなたは前から御存じでございます。その傾向が特に多くなった。私はこれは国権の最高機関たるものが予算審議でやるべきことをまた別に法律でやってどうかという気がしておるものがたくさんございます。あるいはまた御反対の方もあるかもわかりません。私はそういうことはやっぱり合理的な方法で考えるべき問題じゃないか。いま私はやめろとは申しません。国会は最高の権威だからいかなることをおやりになってもあれでございますが、あまりあの手この手で法律で縛り上げて、そうして肝心なところが抜けるというような結果になるのではないかというふうなことは、私は長い経験からいいまして、そして戦前の状況と戦後の状況、また終戦直後の状況と最近の状況、予算できめればいいことを法律にしてしまう。そうして法律案件が多くなってくる。予算が通っても法律が通らぬから、国家の意思が行なわれぬというふうなことが間々あるということは、私は考えなければならぬ問題だと思います。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 法三章といいまして、やはり法は簡単にしくはなし。昔、満州では法匪ということばがございまして、やたらに満州で法律をつくって縛ったらしいのですが、そういう意味におきましては同感ですが、しかし同時にまた、そういうような法律をたくさんにせねばならぬというような客観情勢も、まことに困ったものであります。  そこで私はこの点を伺ってみたいのでありますが、私は、予算が適正に効率的にまた合法的にほんとうに行ない得るというために、背景といたしましてこういうような一つ政治経済の事情が検討さるべきではないだろうか。それはともかく、最近の傾向は少し首都中心に財政配分があり過ぎるのではないだろうか。この間も問題になったのでありますが、たとえば青山通りにおきまして一キロ百億円を投資いたしまして道路を完成しようとしておる、これはけっこうなことであります。やむを得ません。オリンピックを背景といたしましてやらなければならぬことはたくさんありますが、同時にまた、地方における市町村道というものはインドと同じくらいだという批評さえされるのであります。要するに財政の配分が均整がとれていくということが、地方財政を圧迫しない一つのゆえんである。地方財政を圧迫しますと無理がある、無理がありますと、たとえば補助金その他等につきましても、そこにいろいろな批難事項が起こる危険性があるということになりますので、これはさかのぼって考えると、財政の配分が中央に偏重しておるのではないだろか、こういうふうに思うのであります。この点はいろいろと数字をあげて論証していくというのが筋でありますけれども、時間もありませんので、私感じのようなことだけ申して申しわけございませんけれども、とかく最近地方におきましては、地方を無視されて中央、東京のみにいろいろと偏重しておるという声が強いのであります。やはり国民の率直な素朴な声というものをできるだけ傾聴するということが政治の要諦であろうと私は考えますので、その点について、これも財政の専門家の総理からひとつ率直な御意見を聞かせていただきたい。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 オリンピックもあることだからという前提がございました。私もそうだと思います。またそのほかに、あまりに都会、大都市に集中し過ぎて困り抜いているという点もオリンピックと同様にある。そういう関係からお話のような結果になっているということは、私はうすうす心配しております。そして昔のように地元が地元でやるという力を持ちながら、えてして国にたよりたいというふうなことで、お話のような結果が出ているということは、あなたが数字をもってお示しにならなくても私は感じておる次第でございます。したがいまして、今後におきましてはやり大都市中心ということよりも大部分のいなか、農村ということが必要でございますから、私はいまのあなたのお話を十分——大蔵大臣もここにおることでございます。参考にしてまいりたいと思います。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結論的に一言伺っておきますが、私は、しばしば言われて、しかしてこれが実現しない、つまり決算をほんとうに国民は尊重する、国会は尊重する、政治全体が尊重するということは実に重要なことでありながら、何となくこれが軽視され、あるいはまたあまり興味のない審査のようになっておるのでありますが、私はやはりこの機会に一番大事な点をひとつしっかりときめておかなければならぬと思うのです。国権がいま国会、司法、行政と三権分立でございますが、同時に検査院の立場が政府と独立いたしておりますので、憲法の条章によって見ましても、また検査院の職責からかんがみてみましても、四権分立ということばさえあるくらいでございます。検査院の地位を尊重いたしまして、検査院行政に介入するという意味じゃなしに、神聖に適切な予算の検査をなし得るという地位を一そう尊重するということを名実ともに行なっていくということ、それには必要ならば権限の強化もよかろう、あらゆる手をもって協力すべきでないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがなものでしょう。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 会計検査院行政機関と独立して存在するものでございますから、予算その他の機構につきましても独立性を保っておる。われわれといたしましても、会計検査院予算につきましては、十分そういう意味で考慮を払っておる次第でございます。
  27. 白浜仁吉

    白浜委員長 これにて昭和三十六年度決算外三件に対する質疑を終局いたします。     —————————————
  28. 白浜仁吉

    白浜委員長 昭和三十六年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき委員長において作成いたしました。  議決案は各位のお手元に配付いたしてありますとおりであります。
  29. 白浜仁吉

    白浜委員長 この際、議決案の要旨を御説明申し上げます。  すなわち、議決案は昭和三十六年度決算予算の効率的使用及びその実績の観点から審査した結果、次の諸点について特に留意して適切な措置をとるべきであると指摘しております。  第一に、補助金委託費等について、(イ)地方公共団体等が国の補助金等により行なっている公共事業は、完成までに長期間を要し、その利用価値に疑問が持たれ、所期の事業効果が十分にあがっていないと認められる。  政府は、実施計画の樹立にあたっては、事業個所の選定に留意し、集中的に工事を行ない、可及的に工期を短縮し、事業効果の早期発揮をはかるよう心がけるべきである。  (ロ) 環境衛生対策、農山漁村建設総合対策事業、中小企業対策、失業対策事業等について国が交付する各種補助金において、補助対象外事業、事業量または工事出来高不足等の不当経理の事例が認められる。  政府は、指導、監督、検査の強化をはかり、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律を励行する等、補助金経理の適正化につとめるべきである。  (ハ) 補助金等の交付を受けている公益法人等の団体は多数存在しているが、事業成績のあがっていないもの、経理処理上遺憾な事例が見受けられる。  政府は、これらの団体に対し、業務、経理について適切な指導、監督を行ない、補助効果を的確に把握して、不要のものは整理し、補助金等交付の効果を十分生かし、真に公共の福祉に貢献するよう育成につとめるべきである。  第二に、国有財産の管理について、土地貸付料の低廉、他用途に転用、許可なく使用、境界不明等の事例があり、事務処理に迅速、的確を欠く点が認められる。  政府は、管理、監督体制の強化をはかり、財産の確認、維持管理に万全を期し、所管がえ、所属がえ、売り払い等必要な措置を講じ、国有財産の有効な活用をはかるべきである。  第三に、公社公庫等の監事の活用について、監事制度活用意識の低調、監査業務体制不備等のため、その機能が十分に発揮されているとは認めがたい。  政府は、監査の運営方式の明確化及び監査組織の整備等の措置を講じ一その機能を強化し、企業、業務の適正化及び能率向上に資すべきである。  また、会計検査院が不当と認めた事項についてはこれを不当と認めております。  以上が議決案の要旨であります。     —————————————
  30. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより議決案に対する討論を行ないます。  討論の通告がありますので、これを許します。押谷富三君。
  31. 押谷富三

    ○押谷委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算外三件について、委員長から提案されました議決案のとおりこれを議決するに賛成の討論をいたしたいと存ずるものであります。  決算委員会は、決算審議にあたりまして国会が議決した予算がいかに執行されたかを中心として、決算全般について予算と対比して審査するとの方針のもとに、歳入歳出は予算のとおり執行されたか、予算は効率的に執行されたか、予算は適正に執行されたか、その実績はどうなっているか等の問題につきまして審査を進めてきたのでありますが、今回はそのほかに新たに公社公庫政府関係機関の決算についてその資金計画事業計画及びその実績等を重点といたしまして論議を進めるとともに、公団、事業団、その他特殊法人の会計経理につきましても、必要に応じ関連して調査を行なってきたのであります。  右のように、あらゆる角度から密度の濃い審査を行ないましたが、その結果、私たちの目に映った著しく、そして悲しむべき特徴と申すべきは、毎年決算審議の際繰り返し政府に対し警告や注意を与えてきたところの予算執行の効率化、不正、不当事項等の問題について、依然として是正改善のあとが見られないことであります。また会計検査院の検査報告につきましても、その内容が一定の型にはまり過ぎている、いわゆる定型化してきたうらみがあるということであります。特に補助金等の予算執行につきましては、その経理、補助効果等の点から幾多改善を要すべき事項も認められますし、また国有財産の管理及び処分につきましても、なお考慮すべき事項が少なくないのであります。そのほか、公社、公団、事業団等の業務監査に当たる監事の機能向上につきましても、なお一そうのくふうと努力の必要が痛感されるのであります。特に今回、会計検査院によって指摘されました不当事項は五百七十九件の多きを数えまして、前年度の三百三十八件に比べまして二百四十一件も増加している事実は、たとえその内容についていかなる理由があろうとも、またいかに弁明しようとも、ただ遺憾と申す一言に尽きると思います。  由来、役人というものは、ある種のなわ張り根性から、ないしは自分の功績を思うのあまり、予算の獲得にはきわめて熱心であります。時には狂奔の姿を呈するのでありますが、さてその予算使用に至りましてはきわめてルーズであります。国民の血税がいかにむだ使いをされているかは、無責任なほど関心が薄いのであります。内閣はときおりかわるものでありますが、行政事務の担当者はおおむねかわりません。しかるに予算執行にあたりましては同じような誤りが毎年繰り返されているということは、何としてもその職にある者の責任でありまして、ここに強く反省を要求するものであります。  また、いずれの政府におきましても、一般に決算は単なる清算であるとしてあまり関心を示さず、むしろ軽視する傾向があるのは残念なことでありまして、決算は過去の政府行政実績を示すものであります。政府に対する国民的監督の指標ともいうべきものであります。決算についての国会審議は、予算施行に対する政府責任を追及するものであり、国民的立場から政府行政効果の批判であります。政府は、したがって決算及び国会審議については、予算のそれに劣らず重大な関心を払うべきものであります。毎年本院において行なわれる決算についての審査及びその議決の内容は、政府の過去の政治の姿を写した写真ともいうべきでありまして、政府はこの写真を常に身につけて、座右に置いて同じ誤りを重ねて繰り返さないよう、不断に自粛、自戒せらるべきものであると存ずるものであります。今回の決算議決案は、その結論において「政府は、今後予算の作成並びに執行にあたっては、本院の決算審議の結果を十分に考慮して、財政運営の健全化を図り、もって国民の信託にこたえるべきである。」と結んでおるのは、本院の政府に対する要請であると同時に、国民の声でもあると存ずるのであります。  以上、私は国の財政の運用にあたって政府に対しあえて苦言を呈しましたが、それは、こういう問題については政党政派を越えて国民的見地に立って判断するのが至当と考えたからであります。政府は今後決算についてより一そう重大な関心を寄せられるよう要望いたしまして、私の討論といたします。
  32. 白浜仁吉

  33. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は日本社会党を代表いたしまして、昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算外三件について、議決案のとおり賛成をいたしたものであります。  先ほどから総理にいろいろと御質問いたしました。総理からも明確な御答弁がありました。いま与党から、押谷委員からいろいろと意見が述べられました。まさに決算委員会は与野党を通じて国民の負託にこたえるための委員会であるわけであります。議決案の趣旨に沿い、ただいまの与党の押谷委員の賛成討論を熟読玩味されまして、特に政府に善処を要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。
  34. 白浜仁吉

  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ごく簡単に賛成の意見を述べておきたいと思います。  私は納税者の場を代表いたしまして、また国民の立場を代表いたしまして、以下の意見を述べるのでございます。  今日のわが国におきまして、会計検査院が国の行政予算執行上の非違事件といたしまして、三十六年度に五百七十九件、これは全体の事項の二割しか検査をいたしておらない結果であります。したがいまして、これをもしその五倍調査するとするならば、そのままの積算すれば五倍になるわけであります。まことに驚くべきことと申さねばなりません。こういうような見方もありまして、私はこの不当、非違事件というものを重視していただきたいのでございます。  もう一つは、やはり予算の作成にあたりまして、この事項などを十分に参酌するということをぜひ実行せられることが本議決の趣旨であろうと思いますので、その点重ね重ね政府当局に御要望を申し上げておかねばなるまい、こう思うのであります。また私どもといたしましては、国民の立場がこのような非違事件の発見あるいはまた適正化を求める機会によりまして、だんだんとこのような委員会において論議の種がなくなるということを欲しておるわけでありますから、これらの点につきましても今後とも論議のありました点につきましては、一そう十分に反省を求めなければならないと思うのであります。要するに当委員会におきましては与野党一致いたしまして如上の議決をするわけでありますので、これは本院のただいまにおける三十六年度を顧みた最大の決算上の意思表示としてお受け取り願うことを強く御要望申しまして、右決議案に賛成する次第でございます。     —————————————
  36. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより採決いたします。  昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算昭和三十六年度特別会計歳入歳出決算昭和三十六年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十六年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 白浜仁吉

    白浜委員長 御異議なしと認め、議決案のとおり決しました。  次に昭和三十六年度国有財産増渡及び現在額総計算書昭和三十六年度国有財産無償貸付状況計算書昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書、以上三件を一括し、討論に入る順序でありますが、討論の通告もございませんので、直ちに採決に入ります。  各件はいずれも是認すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 白浜仁吉

    白浜委員長 御異議なしと認め、各件はいずれも是認すべきものと決しました。  この際、大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。田中大蔵大臣
  39. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま御議決の点は十分尊重いたしまして、各省庁とも連絡をいたし、その趣旨の徹底をはかりまして、万遺憾なきを期したい所存でございます。     —————————————
  40. 白浜仁吉

    白浜委員長 次におはかりいたします。  すなわち、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 白浜仁吉

    白浜委員長 御異議なしと認めます。よってさように決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕
  42. 白浜仁吉

    白浜委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後二時一分散会