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古池国務大臣 お尋ねに対しましてお答えを申し上げるに先立って、私の防がまえを簡単に申し上げてみたいと存じます。
仰せのとおり、郵政事業におきましては、
郵便にしましてもあるいは
貯金にしましても、
保険にしましても、その他あらゆる
仕事がすべて国民の日常生活に直結した
仕事ばかりでございます。したがって、日常私どもはいかにすれば国民に対してよりよきサービスができるかということを心に置いて努力をしてまいっておるのでございます。したがって、事業についての合理化という問題、近代化という点につきましても、今日まで先輩の方々がいろいろと苦心をされて
計画を立てられておることも十分承知しております。またその線に沿って今日まで
郵政省として努力を続けてきたわけでありまするけれども、御承知のように社会の一般情勢あるいは経済情勢というものは最近飛躍的な発展を見ておりますので、どうしてもこの社会環境に対応するように、郵政事業を一そう近代化していくためには、よほど大きな決意をもってこれと取り組まなければならないと私は考えた次第でございます。そこで、昨年就任しまして以来さっそく九月に全国の
郵政局長を集めまして、そうして問題を出しました。それは郵政事業の近代化についての方策いかん、こういう問題を出しまして、それぞれの局に
自分の知識、経験に基づいた案を持ち寄ってもらって協議をいたしたのでございます。その中にはいろいろな意見が出てまいりましたが、私はこれを分類いたしまして、まず、すぐに着手でき、すぐに実行できるもの、それからいますぐに実行はできないが、それのためには法律的な処理あるいは予算的な
措置を要する、またもう少し
調査検討を加えねばならない問題、こういうふうに分類をいたしまして、直ちに実行に移し得るものはすぐにやりなさいということで、直ちに実行に移してまいっております。しかしながら、かようなことではとうてい十分ではもちろんございませんので、本年一月に至りまして、省内に設置されております郵政審議会がございますが、これは御承知のように
郵政省の設置法に基づいた法律的な機関でございます。この郵政審議会に対しまして、郵政政事業の近代化についての御意見を伺おうというので諮問をいたしたわけでございます。私は、郵政事業は非常に
関係するところが多い事業でありますから、簡単に短時間のうちに結論が出ようとは考えておりません。画期的な大きな体質の
改善をやっていくというには、少なくとも一年あるいは二年くらいの日時をかけて、じっくりと腰を据えて、ほんとうの徹底した近代化を行なうべき御意見を承りたい、こういう態度で臨んでおります。しかしながら、その意見が出ますまで待っておるわけにはむろん参らぬ問題もありますから、それらについては並行的にこちらでいろいろ
計画を立てておる次第でございます。それから郵政事業については、もちろん近代化といえばすぐに機械化ということが頭に浮かんでまいりますけれども、やはり電信電話の事業などとは違いまして、人間の手足に依存する部面の
仕事がたいへん多いのでございます。今日、郵政事業の経理
状況から見ましても、経常支出のうちで八〇%は人件費に使っておるということを見てもおわかりいただけると思いますが、そういうふうな性質の事業でありますけれども、なおかつ機械化できるものはあらゆる方法を講じて機械化をしていこう、こういうふうな見地から、ただいま御指摘になりましたような問題についても着々実行に移しております。そこで、先般
郵便局としまして、いろいろの機械化を集中してモデル的な局を建てようというので、京都の中央
郵便局を指定いたしまして、これが建設されたわけでございます。この局におきましては、局内のもろもろの作業をできる限り機械化をいたしまして、近代的な設備を備えたわけでございます。これを全国的に及ぼすということが必要になると思いますけれども、これも一時に行ないますことは予算の
関係上許しません。逐次重要な地点から、かような新しい設備を拡充してまいりたいと考えておるような次第でございます。
余談にわたりますが、先般カナダ国の郵政
大臣が日本に来られまして、日本における代表的な
郵便局を視察したいという御希望でありましたので、私どもは京都の中央
郵便局に案内をして見ていただきましたが、その視察後の感想としては非常にりっぱな施設である、かような近代化された
郵便局はカナダにも見られないというような感想を漏らしておられたようであります。もちろん外交的辞令も幾分はあると思いますけれども、しかし現実に相当進んだ施設を用いていることは事実でございます。
なお、先ほどの押印機その他の機械化の具体的な問題につきましては、
関係事務当局が参っておりますから、そのほうからお答えいたさせたいと思います。