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1964-04-14 第46回国会 衆議院 決算委員会 第18号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十四日(火曜日)    午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 白浜 仁吉君    理事 押谷 富三君 理事 鈴木 善幸君    理事 福井  勇君 理事 片島  港君    理事 勝澤 芳雄君 理事 山田 長司君       一萬田尚登君    菊池 義郎君       田川 誠一君    千葉 三郎君       田中織之進君    田原 春次君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 佐藤 光夫君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     上原  啓君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      廣瀬 眞一君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (第三局長)  小原  剛君         会計検査院事務         官         (第五局長)  宇ノ沢智雄君         日本国有鉄道監         査委員会委員長 岡野保次郎君         日本国有鉄道監         査委員会委員  高橋 末吉君         日本国有鉄道総         裁       石田 礼助君         日本国有鉄道常         務理事     石原 米彦君         日本国有鉄道常         務理事     河村  勝君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十六年度政府関係機関決算書  昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十六年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十七年度政府関係機関決算書  昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十七年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書  (運輸省所管運輸省関係政府関係機関関係)      ————◇—————
  2. 白浜委員長(白浜仁吉)

    白浜委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度決算外三件及び昭和三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は、前会に引き続き運輸省所管及び日本国有鉄道関係決算について審査を行ないます。  まず、政府関係機関当局から資金計画事業計画等について、その説明を求めます。石田日本国有鉄道総裁
  3. 石田説明員(石田礼助)

    石田説明員 きわめて簡単に御説明申し上げます。  昭和三十六年度及び昭和三十七年度日本国有鉄道決算につきましては別に資料を提出しておりますが、私からごく簡単に第二次五カ年計画との関連中心に御説明を申し上げます。  昭和三十六年度にありましては、運賃改定等年度に引き続く経済界高度成長を反映いたしまして、旅客貨物収入とも予算を上回り、約四百六十四億円の利益を計上することができました。また昭和三十七年度は、旅客の順調な伸びに対しまして、貨物の面では、景気調整策による経済界沈滞気運を反映いたしまして、前年度より減収となりましたが、総計においては約四百九十七億円の利益を計上することができ、それぞれ工事経費の財源に充当いたしました。  御承知のとおり、日本国有鉄道といたしましては、日本経済高度成長により輸送力の限界に達しておる実情にかんがみまして、昭和三十六年度から東海道新幹線をはじめとする輸送力の増強を中心総額九千七百五十億円の第二次五カ年計画を策定いたしましてその推進につとめてまいりました。これら建設改良費決算額は、昭和三十六年度においては約二千七十一億円、昭和三十七年度は約二千五百十八億円でありまして、両年度を合計いたしますと約四千六百億円となっております。  しかしながら御承知のように予想以上の経済成長の結果、当初の五カ年計画そのものが過小であったこと、保安対策をさらに強化する必要が生じたこと、設計協議、土地の値上がり等工事費の増額が必要となったことから二回にわたりまして五カ年計画を補正せざるを得なくなり、現計画では総額一兆三千四百九十一億円になっております。これに対しまして昭和三十八年、三十九年、両年度予算措置によりまして東海道新幹線につきましては、所定時期に開業できる見込みでありまするが、五カ年計画を完成するためには昭和四十年度に約四千百億円余を必要とするような現状でございます。  なお、昭和三十六年度予算執行につきましては、会計検査院から不当事項七件、昭和三十七年度につきましては不当事項十件、改善意見表示二件の御指摘を受けましたことはまことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに綱紀の粛正と予算効率的運用に一段の努力をしたいと思っております。
  4. 白浜委員長(白浜仁吉)

    白浜委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。押谷君。
  5. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 総裁におかれましては十七日の大問題を前にしてさぞ御心労のこととお察し申し上げます。  これに関連をして、昨日記者会見をなさいました。そのときに述べられました御意見によりますと、国鉄職員給与ベースは三公社五現業の中で一番低いものである、これは何とかせなければならぬというのが一つ、しかし現在国鉄経理状況は全部の経理の中で人件費が五〇%を占めているという状況では直ちにベースアップは困難ではないかと考えられる御発言、さらに昭和四十年度においてこの国鉄運賃値上げ汽車賃定期パス料金値上げをしなければならぬという御発言、私聞いておりまして大体この三点であったと考えるのでありますが、それから受け取る感じといたしましては、国鉄の今日の経理内容が非常に不健全であるということであります。これはお認めになっていることと思いますが、国鉄諮問機関であります日本国有鉄道諮問委員会から昨年の五月十日に出されました答申書によりますと、これはずいぶん思い切ったことが書かれているのでありまして、国鉄現状を思い切って改善をしない限りは完全な破綻といってもよろしい、破綻ということばが使われておりまして、特にその破綻も、完全破綻という全く致命的なことばを使って、国鉄財政状態を、諮問機関として批判をされているのでありますから、これは総裁もお認めにならなければならぬ。今日の国鉄財政状況は、完全破綻に導きつつある一つのあぶない状況に置かれている、こういうことが考えられるのであります。  そこでこのことを考えますと、さき交通基本問題調査会答申によりますと、この交通機関料金の制度は、原則として、自立採算経営をすることを理想としている。独立採算制国鉄においては、当然この道を選ばなければならぬ。この自立経営自立採算というところからいきますと、この国鉄経営の全部の費用は、国鉄利用者にかぶせていくというのが筋でなければならぬと思うのです。はたして今日の国鉄が、完全破綻がやがてくるであろうといわれておるような危機に当面しておって、こうした自立採算がとれるという料金の立て方をしていらっしゃるかどうか、この点に私は疑問を持っているのでありまして、これは単に私の疑問だけではありません。ただいまの国有鉄道諮問委員会答申の中にも出ております。これはいけないということが出ておる。またいまお見えになっていらっしゃいます国有鉄道監査委員会の提出をされた三十七年度のこの報告書の中にも、料金につきましての不合理を指摘されております。その最も大きな不合理というものは、公共負担状況であります。これは国有鉄道性格からいえば、公共施設でありますから、公共負担の多いということは好もしいことではありますけれども、おのずから限度があります。国有鉄道自体破綻に瀕するような状況にまで追い込まれるという今日の現状において、やはり運賃上の公共負担をこのようにしておいてよいということはできません。公共負担は多過ぎるということを考えてもらわなければならぬと思うのでありまして、これは単に汽車賃だけではなくて、物の貨物運搬にもそういうことは言えるのであります。これは相当大きな赤字が出ておると思うのでありますが、ごく最近における公共負担による赤字と考えられるものは幾らくらいあるか、まずその点を伺いたいと思います。
  6. 石田説明員(石田礼助)

    石田説明員 お答えいたします。昨日調停委員に私が申し上げましたことは、国鉄職員給与というものは、表面においては他の二公社に比べて有利になっておる。しかしその内容を調べてみますと、ことに一番大きなものは、第一に男女の数の比較であります。国鉄においては男子が九七%、女子が三%、ところが他の二公社においては、六六%の三七%というぐあいに、まるきり男女の比例が変わっておる。そこにおいて給与というものも違わなけりゃならぬ。むしろ国鉄のほうが多くなければならぬ。それから作業時間でありますが、作業時間は国鉄のほうがはるかに多い。それから作業の質であります。国鉄仕事というものは夜、昼の仕事であります。それから、専売公社のように朝出て夕方帰るというような仕事とはまるで仕事が違っておる。家庭生活というものをある程度犠牲に供しなければならぬような仕事である、そうして仕事の質から申しましても、外における仕事、重労働が多い。そうしてさらに非常に危険な仕事である、終戦当時におきましては毎日一人以上の者が死んでおる。最近におきましてはだんだん少なくなりましても、なおかつ一年に百人の人が殉職しておるというようなことで、その他のいろいろの事情を考えますと、国鉄職員給与というものは他の二公社に比べて少ない。私はこれは国鉄総裁の責任においてぜひとも是正してもらわにゃいかぬ、是正して、さらにその上にプラスXをひとつ加えてもらいたい。大きなXでなくてもいい。スモールXでいいでしょう、とにかくXを加えてもらいたい、こういうことを私は申し上げたのであります。ただこれを是正するために非常に大きな金がかかる。ということは、それだけ賃金の格差というものは国鉄は低くなっておる。これを是正するためには、どうしたって六百億くらいかかるのではないか。そういうことは今日の国鉄財政状態においてはとうてい許されないでありますから、まずこれを是正するためには、かすに相当の時をもってやってもらわなければならぬ、こういうことを頭に置かれてひとつ善処していただきたい、こういうことを申し上げたのであります。別にストのことについては直接に私は何も触れておりません。それが内容であります。  それから国鉄諮問委員会に出ました国鉄の将来の姿でありまするが、詳しい数字はあとから差し上げますけれども、まず運賃の問題であります。これは特に旅客運賃におきましては、終戦後インフレーションによって物価というものはずんずん上がってきた。賃金も上がっておる。したがって国鉄経費も上がっておる。そこにおいて運賃も当然に適当に上げにゃならぬ。ところがこれが適当に上げられておらぬ。これについてはいろいろな事情がありまするが、時間の関係上詳しいことは申しません。いずれにしても上げられるべき鉄道に上げられておらぬ。その結果は、今日においては物価は三百六、七十倍にもなっておるにかかわらず、国鉄運賃というものは、昭和十一年を一といたしますと、一六二にしかなっておらぬ。ゆえに、つまり運賃値上げというものは値上げではない、是正なんだ。これをぜひやらねばいかぬ。そうして、さらに公共負担でありまするが、この一番大きなものは通勤通学割引の問題であります。その報告にもありまするように、通勤においては八二%、八三%、法律では五〇%ということになっておりまするが、実際においては八二%余りの割引をやっておる。通学においては、法律では五〇%というふうになっておりまするが、それも九二、三%になっておる。そのほかに農産物に対する特別割引、それから新聞雑誌に対する運賃の八割以上の割引、いわく何、いわく何、大体において、三十八年度においては七百億円以上の割引になっておる。これが年々非常な勢いでふえてきたわけです。一体、こんなことをしておるのは日本だけだ。外国でも文教政策そのほかの点からして、そういう割引をしておりますが、鉄道に対しては、これはみんな政府が補償している。補償をしておらぬのはひとり世界において日本あるのみである。こういうようなことで、国鉄というものは独立採算でいかねばならぬというのにもかかわらず、運賃というものは非常に安いところに押えられている。それは産業のためにはいいかもしれない。けれども、国鉄犠牲において産業の発達をはかるとはこれいかに。問題はそこなんだ。公共負担の問題にしても全くそうなんです。これは、公共負担というものは、割引というのは各国とも相当にやっておる。ベルギーのごときは、むしろ学生通学割引なんというのは日本より多い。しかし、これはみんな政府が補償している。ということで、政府政策国鉄犠牲においてやるということは、私は不賛成である。いわんや、独立採算でもって国鉄は新しい線路の敷設とか改良とかをしなければならぬ。それにはなかなか金がかかる。それも経済計算から見て必ずしもプラスになるとは限らない。それが、こういうことをやっておるために、結局そのしりはどこへいくかというと、借金にいかなければならぬ。すでに三十八年度においては七千億以上の借金であります。これは三十九年度になると八千億以上の借金になるというようにその諮問委員会答申ではなっている。つまり運賃というものを値上げしないとして、借金でいくということになると、こういう破産状態になる、こういう点なんです。これをぜひとも是正せねばならぬ。もしも是正しないでそのままでいくということになれば、国鉄破産をするというか、マイナスになる。うしろに日の丸の旗が立っているのですから破産するようなことはないと思いますが、結局政府が補償しなければならぬことになる。つまり、いま公共負担でもって、国鉄犠牲になっておるのは、結局将来においては、いまの状態でいくと、それにプラスXを加えて補償せねばならぬということになるので、そういうことになる前に是正するものはひとつ是正して、そうして借金によって仕事をやっていくということはやめねばいかぬ。こういうことが私の考え方であり、これを昭和四十年から第三次五カ年計画を立てまして、その点も是正したい、こういうふうに考えております。  通勤の問題でありまするが、これはちょっと御参考に申し上げますが、通勤というものは、これをきめた時分には、これはみな各人の通勤者負担においてやられておった。その後だいぶ日本経済情勢が変わりまして、通勤者の足の代というものは雇い主及び官庁で出すということになりましたので、かりにこれが是正されましても、結局これは通勤者負担になるわけじゃない。たとえばある企業なんかでいえば、経費として認めることができますので、それだけ半分は大蔵省の負担になる、こういうようなことになるので、ぜひともこれはやらねばならぬ。通学の問題につきましては、相手が学生なんでありますからこれはちょっとちゅうちょするのですが、これもやはりある程度やらなければならないのではないだろうか。そのほか、農産物などに対しては、議会においても農業関係の議員の勢力がなかなか強いものですから、はたしてこれがうまくいくかどうか知りませんが、理論から言えば、適当なところに是正するということがほんとうではないか、こういうようなふうに考えておりまして、諮問委員会報告に書いてありまするのは、運賃値上げだとか、そういうものはやらない場合においてはこういうふうになる、こういうことを示したものでありますから、やれば別にその心配したことはないのだということを申し上げておきたいと思います。
  7. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 相当決意のほどもうかがわれて全く私も力強いと思いますし、またそうあるべきであり、同感であります。公共負担が七百億をこすというような状況において、国鉄の運営が合理化されていくなどとは言い得ません。特に、御承知のように、国鉄を利用する乗客というものは毎年えらい勢いでふえていく。乗客の一人当たりのキロ数もたいへんふえている。その率は、輸送人員は六八%であり、キロにおいて四六・一%ふえているにもかかわらず、収入はわずかに一七・五%であるということは、どこにそのアンバランスが出てくる原因があるかというと、これは全く公共負担である。ただいま総裁からはっきりとおっしゃいましたが、公共負担ということになるのですが、この一例も出ております。これはかりにこの公共負担の率を事実としてやりますと、いま言われたように、学生のごときは九二%以上の割引率というものが出るのであります。こういうような大きなものを、いまおっしゃいましたように法律の規定によれば大体五〇%、公共負担をするという、公共事業性格からいえば五〇%ぐらいのことはよろしいが、いつの時代にかそれをオーバーして、このままで進んだならば、総裁のおことばをもっていたしましても、国鉄みずから破綻におちいるであろう、こういうことを言われている、そのままを認めることになるのです。そういう状況に追い込まれているのは、いつごろの時代からこんなになったのであるかわかりませんが、これはたいへんな問題となってあらわれてくるのでありまして、これについては断固処置をとってもらいたいと思いますが、特に、諮問機関諮問委員会答申の中で公共負担という意義について解明いたしております。これは私もこのままを全部うのみにするわけではありませんが、少なくともこの公共意義ということついて諮問委員会のこの答申は非常に参考になるのではないか。それは今日の公共負担をされている、その対象の層を見てみますと、国民全体から見るならば全く部分的なものである。部分的な利益である、国家公共国民全体というところに中心を置いてサービスをするのが公共負担である、しかし一部の人にのみ与えられるものは、真実の公共性という名前にはふさわしくないというようにはっきりと書かれておるわけであります。私はこのことは傾聴に値するものだと思っております。よくここまで諮問委員会が判断をしてくれたものだと考えております。一般国民犠牲において、国鉄公共機関でありますから負担をしなければならぬのでしょう。しかしその一面において、ごく一部の人に法律に定められた五〇%をさらに大幅に越して、学生のごときは九〇何%までの公共負担をしている。こういうことを考えますと、これはやはり公共意義、今日いわれている公共負担ということばに疑義があるのじゃないか。私は諮問委員会答申そのままに賛成をいたしておるのであります。もちろん物につきましてもそうです。貨物について公共負担あり方を詳細に考えますと、いろいろ種目はありますが、多くの政治的な性格を持っているものが見られると思います。そしてその貨物について国鉄が苦しみながらしているその負担がはたして消費者大衆にどれだけ利益が与えられているか、あるいは生産者の農家、漁家その他の者にどれだけ利益が与えられているかと考えますと、その中間の搾取者利益に大きく寄与しているような結果になっているのではないかとさえ考えられるのでありますが、この貨物公共負担におきましても特に公共性ということの重点的な考え方を持つといたしますと、多少疑問を持たなければならぬと思うのです。この公共性ということについて、諮問委員会答申をしていらっしゃるこのことについては総裁いかがでございますか。
  8. 石田説明員(石田礼助)

    石田説明員 これはなかなかむずかしい問題でありまして、御承知のとおり国鉄公益事業でありますので、独立採算のたてまえからいって、バランスがとれる範囲においては公益事業をやらなければならぬ。何が公益事業であるかということにつきましては、実は政府なり議会がきめて国鉄に指示することでありまして、国鉄自身がきめることはできないのであります。たとえば農産物に対する特別割引農産物運賃というものは一番安いものでありますが、さらにその上に農業奨励のために特別割引をやる。だれがこれをきめるか、これは国会がきめることで、国鉄唯々としてそれに服従せざるを得ない。これが今日の状況です。これをひとつ了解して、質問者におかれまして国会はどうしたらいいかということを御研究になるべきではないかと私は思うのであります。  それから学生割引さき公共負担の問題でちょっと注釈を加えますが、私が七百億と申しましたのは、たとえば学生通学割引五割以上の差ですね、あれだけでもってそういうことになる。五割というものは全然問題にしていないのです。ということで、これは実際の割引を入れたらたいへんなものだ。この学生通学割引なんかいわゆる文教政策からきておる。また新聞雑誌に対する八割四分の割引についてもやはりこれはある意味の文教政策、だからしてほんとうからいえばこれは文部省がやるべきである。それを国鉄公共事業なるがゆえに、それで独立採算でやっていけるからやれというぐあいに御命令があるので、われわれとしては好むと始まざるとにかかわらずやらなければならぬということになる。これが現状であります。この問題は国会でおきめになることで、国鉄としてはこれはいかんともすべからざることだ、こういうことであります。
  9. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 なるほどいま御答弁のごとき事情もありましょう。質問の際政治的な性格を持っているということばを私は用いたのですが、そういうことは大きな政治の弊害であって、これは是正せなければならぬと考えているのはひとり私だけではありません。むろん割引の現実の事実、これは監査委員会報告逗子東京間の例が出ておりますが、逗子東京間で普通われわれが二等の汽車賃を出したとするならば、片道百六十円、学生の六カ月定期の場合において計算いたしますと、片道十一円八十三銭、百六十円が十一円八十三銭で乗れる、通勤者の場合においては同じく二十五円七十二銭、百六十円が二十五円で通勤者が通えることになっておるのは、サービス過剰であるということは明らかです。それがいま国鉄総裁のお話のように、国会できめるのだからしようがない、政府がきめるのだから天くだりだからと言われますけれども、何といったところで、国鉄経営はあなたの双肩にかかっているのです。不合理は不合理として、求めるものは求める、現に堂々と監査委員会においてはいま具体的な事実をあげてやっているし、諮問機関においてはこれは公共性でないとさえ断定している。こんな一部の人にだけ大きな負担をするのは公共負担ではない、公共負担の一部のあり方ではあるけれども、これをもって公共負担として大手を振って歩けるような公共負担ではないと諮問機関ではいっておるのです。こういう答申が出ておる。また監査委員会においても明らかにこれを非難をしておる。それで公共料金のきびしい負担に、いまこのままでいけば完全破綻になるであろうといわれるような状況にある国鉄総裁として、あなたの双肩にかかっている問題ですから、これは唯々諾々と言われましたが、唯々諾々ということではいかぬと思うのです。唯々諾々国鉄総裁がつとまるものではありません。あなたはなかなかしっかりしていらっしゃる方なんですから、そこでこういうような不合理があったならば、政府であろうと国会であろうと、強く正しく押してもらって、これを是正してもらうようにお願いをいたします。  いま監査委員長に対する質疑を先にしてくれということが来ましたし、勝澤君の質問もありますから、ここらで総裁に対する質問は打ち切りまして、監査委員長にお尋ねをします。  監査委員長はたいへんな御苦労でありまして、私は監査委員会報告書を見るにつけても、実にりっぱな報告であると感心をいたしております。よく思い切って監査をし、また言いたいところはずばりと言ってあることについて敬意を表しているのでありますが、こういうような重要な監査をするお仕事、そして国鉄の運営にあたっていろいろな意見を立てられる、その中には、国鉄の現在の経営内容についての非難も十分出されなければならぬというのが、監査委員会あり方であると思いますが、そういう大切な監査委員会のお仕事を堂々としていらっしゃるその事務機構についてお尋ねをしたいのでありますが、これは国鉄国鉄監査委員会とは全く別個の立場において、監査されるものと監査するものとの立場に置かれているわけであります。そこの事務機構が一体今日のこのあり方でいいかどうかということであります。いずれ監査委員会の事務の職員の方々は、委員のお指図によっていろいろ活動を続けられる、国鉄内容について調査をせられる、また批難の事項も発見すれば申達もせられるという、委員会と事務局とは、一体をなしてこの監査の実をあげなければならぬのでありますが、そういう事務局が国鉄職員と兼務しているように私は承っているのです。片や監査をされる国鉄職員が、片や監査をする監査委員会の事務局の構成メンバーであるということは、今日までは弊害がありません。この監査報告書を見て、さようなことはみじんも考えてはおりませんが、今後長い間において理論的にこの機構はこれでよいか悪いか、独立の事務局を持ち、事務の組織をつくるのが正しいのではないかと思いますが、その点についてまずお伺いをしたいと思います。
  10. 岡野説明員(岡野保次郎)

    ○岡野説明員 ただいま御質問の点についてお答え申し上げます。  監査委員会の事務局は、監察局の局長を事務局長としてやらしておるのであります。このために何か不合理あるいはぐあいの悪いというふうなことがあるかないかという御質問と考えております。監察局は局長以下七十一名でございますが、ここでやっておりますことは、主として内部監察であります。それから監査委員会は、もちろん申し上げるまでもなく独自の使命を持っておりまして、国家というか、一般国民を代表しまして、その立場から、監査委員会として法律に定められたところにもそういうふうに書いてございますが、その運営、方針それからその責務、これを考慮に入れまして、監査委員会は五人委員がございますが、委員会で法律に従った方針その他をきめまして、監察局長を事務局長とする、国鉄内部の人ではありますが、これは監査委員長の命令によってこういうことを調べよ、こういう資料を集めろ、それからまた監査委員会はみずからその国鉄の各機関に対しましてこれを招致するなり、あるいは必要あれば現場に参りまして調べる、こういうようなことで、従来石田現在の国鉄総裁の六年間の時代から私が引き継ぎまして、約一年半やっておりますが、現在の状況におきましてはいまの内部監査と国民的代表というものの立場、これを、委員会としては委員会の立場から明確に指示して、その指示によって実行させる、そういうような方法でやっておるつもりであります。私が委員長になりましてから三十七年度の監査報告一回だけであります。それをその方針に従って監察局長であるが、その事務局長に、こちらの考えを明確に指示して、その方針その他でもって実行させる、それで現在までのところでは私委員長といたしましては、そのために特に不便を感ずる、あるいは不合理である、こういうようなことはないのじゃないか、それはいま繰り返すようですが、監査委員会の方針によって事務局に調査をさせるということになっておりますから、矛盾するところはないように私は考えておるのであります。  何かお気づきの点でもございましたならば、お教え願いたいと思います。
  11. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 別に、この報告書を拝見して感心はいたしますが、事務局が、国鉄と委員会と同じ国鉄職員をもってあてておることによっての弊害は感じません。感じませんが、いまおっしゃいましたように、監察局の局長がこちらの事務局長を兼任しておるというこの形が、一つの機構、組織として不合理ではないかという感じがいたしますので、いまのところ私自身も弊害があるとは感じておりませんが、理論的に、組織というものはあなたがいつまでも委員長に御就任になっていらっしゃるわけではなくて、さらに、どんどんと御栄進になることも予想され、また、あとにはどういう人が来るかもわからない。いろいろ指導者の交流、委員の交流等を考えますと、いつかのときにこの監査される主体と監査をする主体との事務局が同じ職員でやっているというこの形は、私はどうも理論的に形として感心するものではない、一応御研究の余地があるのではないかと考えまして、実はこれは実際の問題、実績をつかまえて申し上げておるのではありません。単に理論的なことだけを申し上げておるのですから、適当な機会にこういう理論的に成り立たない組織は改めるべきであるという私の意見についても御一考をいただきたいということをお願いしておきます。  それからもう一点お願いしておきたいのは、総裁はいろいろ政治的な、上から下ってくる命令には唯々諾々として応じなければならぬので困っていらっしゃるようであります。ところが、日本国有鉄道法の十四条ですね、いまのあなた方の職務内容、この中の四には、この報告書に出されておるような——この報告書の中には相当建設的なりっぱな意見が出ておるのです。そうしてその建設的なりっぱな意見は、単に国鉄総裁だけに求めるのでなくて、その内容政府に求める、国会にも反省をしてもらわなければならぬ、こういう内容がだいぶ含まれておる。この場合において、この意見報告をされるのは、日本国有鉄道の当事者だけではなくして、運輸省にもやはり直接こんなことはだめじゃないか、こういうことをこう改めたらどうか、こんな不合理じゃ大破産になるぞというような意見をお出しになって私はいいと思いますが、今日までそれがなされておらぬように感じるのですが、それはどうなんでしょうか。
  12. 岡野説明員(岡野保次郎)

    ○岡野説明員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。監査委員会報告は、任命者が運輸大臣でありますから、定期報告書も運輸大臣に報告をするのが主であります。それで、同時にその写しを国鉄総裁にお送りする、こういうことになっております。  それからもう一つは、いまのは報告書の問題でありますが、その他の監査委員会の使命の中に、みずから気がついた場合には意見を具申することができる。これも大体において任命者であるところの運輸大臣に報告するのが普通であります。ただ、監査委員長国鉄理事会、これにも出席して意見を述べることを得、こういうことになっております。常平生国鉄経営に対して気がついた点は、総裁に申し上げるのはもちろんでありますが、そのほかに理事会のやり方についても、委員長としてその使命からして、こうあるべしというふうな問題は意見を述ぶることを得というのは、理事会のほうにも述べつつございます。
  13. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 これはあとでもお尋ねするのですが、監査委員長にお尋ねし、並びに総裁にお尋ねする新幹線の問題もあるのです。こういういろいろな問題についておそらく委員長理事会に御出席になりまして、新幹線の非難の的である諸点についていろいろ意見も述べられていらっしゃることと想像はいたします。これは私も敬意を表しておるところでありますが、この法律の十四条の第四項によって、監査委員会においてこういうような報告の中にいろいろと意見も述べられ、まあ批難もされているわけです。こういう批難、意見がたくさんある場合に、それを建設的な一つのりっぱな意見として取りまとめていらっしゃることと思いますが、そういう意見法律の十四条の四項によって運輸大臣に意見を提出するというのがたてまえでなければならぬ。もちろん報告書はいっております。運輸大臣はこの報告書を見るのがたてまえでありましょうから見ておると思いますけれども、しかしこのほかに、報告書という形でなくて、日本国有鉄道監査委員会委員長の名において建設的な意見を運輸大臣に意見書として出されるというのが、法のたてまえであり筋であろうと私は思うのですが、はたしてそういうことを、ここに書かれているような内容について意見書の提出がありましたかどうかをお伺いしたいと思います。
  14. 岡野説明員(岡野保次郎)

    ○岡野説明員 お答えいたします。若干、御質問に対して、御質問そのままの御返事でないような形にあるいはなるかもしれませんが、御参考に申し上げますと、その報告書をでっちあげる前にも、あるいはそのやっておる場合——実を申しますと、綾部君と私とは御同級生なんです。ですから、むしろ少し言い過ぎるくらいに絶えず言っておりはしないか、無遠慮に言っておりはしないか。こういうふうな感じをできるだけ出過ぎないようにということは、私としては十分注意しているつもりでありますが、絶えず先生とは会っていろいろの問題を話しております。ただ、あらためてこれが意見書でございますというようなことで提出いたしましたことは、この一年半の間にはございません。しかし、特別監査命令は二回出ました。このほうが相当——御承知のとおりに東海道新幹線予算不足の問題、矢つぎばやでもないけれども、去年の十一月でしたか、鶴見の事件の特別監査命令が出た、こういうふうに出ましたので、それで、大体その調査の中に含まれているような発言が多うございます。それをもってまとめたということにも申し上げられるし、そのほか報告書にそのまま書かなければならぬというような問題でないような性質のもので相当重要な問題と思われる点は、忌憚なくまた遠慮なく大臣にも、普通の監査委員長の場合よりもいま申し上げたようなプライベートな関係もございますので、ちょっと遠慮がなさ過ぎるじゃないかというくらいに申し上げておるつもりであります。これは御質問に対する直接の御返事ではないかもしれませんが、御参考に申し上げたわけであります。
  15. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 委員長の御意見、私も了承いたしているのです。また綾部運輸大臣との間において御交際上いろいろささやかれる例はたくさんある。しかし役所の仕事というものは、いろいろ御会合の際に口から耳へ、耳から口へとかわされるささやきごとはどうも消えていってしまうのであります。これが国会へ出てくる場合において、監査委員長がこういう意見書を出しているのだから、この意見書に基づいてどうだ、こうだということになりますと、一つの形ができます。政治に形などと、形式にとらわれるのも変ですが、現実の政治はそうなのです。国鉄総裁の御苦労も考えてもう自分でも困るというようなときのお手助けにもなると思いますから、委員長からここにあらわれているような非常に有力な、しかも正しい意見意見書として運輸省に出してもらう。運輸省はそれぞれの機関でこれに目を通されると、なるほどこれはほっとけぬというようなことになると思いますから、十分やってもらっていると思うが、形を整えていただきたいことを希望いたします。  私はまだ質問がたくさんあるのですが、一応関連質問勝澤君に時間を割愛して、あと引き続きます。
  16. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 関運して、委員長に時間がないようですから御質問いたしますが、監査委員長の大臣に対する意見具申権というのは委員長がたいへんお考えになっておると思いますけれども、われわれはもっと大事にしておるわけです。それはこの国会公社、公団の法律がみな出まして、その公社、公団、公庫に対する法律の中で監事の任務ということで、閣議の中でいろいろ論争されました。その結果、政府から出されてきた法律というものは、監事は意見を具申をするときには、総裁なり理事長を通して主務大臣に意見を具申をせよ、こういう監事の任務についての法律が出てきたわけです。その法律に対しまして、決算委員会で行政管理庁から来てもらいまして質問をいたしました。行管は、監事は、監事任命というのは大臣任命だから、当然総裁理事長を通さずに直接意見を具申せよ、こう勧告しておるにもかかわらず、この法律はしかたがありません、こういう答弁をしておった。建設委員会に私が参りまして、首部高速道路公団に対する質問をやったわけです。そうして河野建設大臣に、建設省はいままで、首都高速道路公団とか住宅公団の監事は直接意見具申できるように、これは内部の通達で出ておったにかかわらず、法律によって改悪するんじゃないか、けしからぬじゃないかというお話をいたしましたら、河野建設大臣は、実力がある大臣ですから、それは君が言うとおりだから、修正を考慮しようということで、建設委員会だけはきまりましたけれども、自民党の政調会でもめました。各委員会でかかっている法律が全部ひっかかるわけです。最終的には閣議までもう一回戻りまして、監事というものは、総裁理事長を通過せずに直接意見が具申できる、こういうぐあいに、この国会で出ている法律は全部修正をしたわけであります。それほど監事の意見具申権というのは大事なものなんです。しかし、これはいまの話を聞いていますと、この法律以上の効果がある立場で綾部運輸大臣にいままでお話をしてきたということでありますけれども、いま押谷委員から言われましたように、やはり形式主義的な日本の国である以上、ここに法律できっちりしている以上、法律によって意見具申をすべきだと思う。いままで意見具申がされていなかったとなると、これは前の監査委員長にその責任があるのではないだろうか、こう思うのです。総裁どうでしょう。いままでの監査報告を見てみますと、何にも力のない国鉄総裁に対して一生懸命監査報告を出しておっただけです。やはり力のあるところへ監査報告を出して、そして監査報告に基づく意見をきっちり出しておかないから、実は今日の国鉄公共負担がますますふえたということは、やはり監査委員長の責任もまたあるんではないだろうかと思うのです。前の監査委員長も今日総裁でおられるので、たいへん都合がいいわけでありますから、そういう点で監査委員長は、この監事の任務というものはそれほど重要なものであるということを再認識されて——いままで、就任以来一度も出ていない。出ていない以上にお話はしてきたということでは困りますから、ひとつこの法律に基づいた意見をこれからどしどし出していただきたい。それはなぜ言うかといいますと、会計検査院法にはあるですが、会計検査院はその省についていろいろ問題ある場合は意見具申せよ、改善意見の具申をせよとなっている。しかし、いままで会計検査院長は、どこから圧力を食ったか、あるいは検査院長の考え方か知りませんが、改善意見を出したことが一度もなかったわけです。しかし、いまの会計検査院長になりましてから、改善意見をどんどん検査報告の中に出しているわけですが、そのために、いかに国のお金が効率的に運用され、不当や不正な支出というものが改善されているかというのは、ここ二、三年見るべきものがあるんです。そういう効果がある法律があったにかかわらず、いままで実施されていなかった。まさに会計検査院と同じようなことが、今日国鉄の中では監査委員会で行なわれておるわけでありますから、ひとつ監査委員長の今後の決意をお聞かせ願いたい。
  17. 石田説明員(石田礼助)

    石田説明員 私、非常な責任があるわけです。何となれば、今日監査委員会でやっていることは、私がやっておった時分のことを大体において踏襲してやったことでありまして、その責任は、現監査委員長よりは、元の監査委員長にあるということに考えます。  そこで、勝澤さんの御意見は私はちょっと違っていると思う。監査報告というものは、単に監査をしてそれを報告に出すということじゃないのです。これが要するに国鉄総裁に対する意見書なんです。その証拠には、この報告書が出て、国鉄のやり方についてはいろいろな批判が出るという場合には、国鉄としては必ずこれに対しては答弁しています。これはこういう事情なんだからできないんだ、これはなるほどごもっともだから今後改善をしましょう。中には、ひとつ検討しましょう——検討ということは実はなかなか多いんですがね。これは問題がむずかしいから検討しようというので、できることについては国鉄としてはどしどしと、監査委員会報告意見書に基づいて実行しておるということは事実でありまして、決してこれを単なる雑誌と同じように取り扱っておるわけではない。われわれに対する大久保彦左衛門というようことに監査委員長を見て、その意見を入れて、国鉄改善すべきものは改善する、こういうことであります。これはひとつ勝澤さんにも認識を改めてもらいたいと思います。
  18. 岡野説明員(岡野保次郎)

    ○岡野説明員 大体いま元の監査委員長が言われたことと似ておるのでありますが、意見を開陳していないように御了解のようでありましたけれども、これは独立の意見書として別に出したことがないというだけであります。この年度報告書の中にも相当意見が——ある人から言うと、今度の委員長はちっとシビアに過ぎるんじゃないか、こういう批判をほのかに伺ったぐらいに、相当の批判意見を書いておるつもりであります。かたがた、先ほど申し上げましたように、特別監査をやる際にも、やはりそれに関連した意見をその報告書の中に、相当部分にわたって意見具申をしております。それを運輸大臣に提出いたしまして、運輸大臣からは、監査委員長からこういう報告があったから、その意見具申に対しては、国鉄のほうではそれに対する反駁——というと語弊がありますが、それに対する回答その他、正規の方法をとって提出された——写しはもちろん国鉄総裁のほうにもいっておりますから、それで、その報告が運輸大臣を通して監査委員長のほうに、こさいにわたって返ってきております。だから、意見具申をしないというのじゃない。独立の意見具申書を出したことがあるかどうかということに対して、そういう意見具申書は特別に出しておったことはない。しかし、意見具申は正規の報告書の中に絶えず、また諸所に散見されるだろう思うのであります。その点どうぞ……。
  19. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 この日本国有鉄道法の十四条の四項によって運輸大臣に意見を提出することができることになっているので、今後の取り扱いとしては、この法律に基づいて意見の提出をしてもらいたい、すべきだ、これについての御意見を賜わりたい。するのかしないのか、しないとするならば、いままでと同じようにやるのか。これはせよとなっておるのですから、することができるわけです。ですから私としては、先ほど押谷委員も言われましたように、これに基づいて、書類で正式に運輸大臣に意見を提出すべきだ、こう考えているのでありまして、これにつきましては行政管理庁の勧告の中でこう明示してあるわけであります。ですからそうすべきだと思うのでありますが、あなたの御意見はいかがですか。
  20. 岡野説明員(岡野保次郎)

    ○岡野説明員 押谷さんから、あるいはいまの御質問者からございました点は、非常に妥当であり、もちろん法律の面に基づきましてもいい意見だと考えますので、今後そういう点がございました場合には、また必要ありと思われる場合には、十分考慮して意見の具申をするようにいたします。
  21. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 委員長、遠慮をしなくて言っていいと思うのです。国鉄の中で国鉄総裁に向かって公共負担がどうとかあれがこうとかかれがこうとかいったって、とにかくうちの中でものを言っているだけであって、何も効果がないと私は言っているのです。だから資格のある人が国鉄を監査したけれども、国鉄はここに問題がある、これはこうせよ、こういうことを今度は国鉄の外に向かって言いなさい。それが運輸大臣に対する意見具申だ、だからこの監査報告書と、運輸大臣から監査命令に基づいて監査した報告書というものを二つ比べてみますと、取り扱いが変わっていると思うのです。運輸大臣から監査命令に基づいてやった監査というのは、実によく国鉄に対して詳細にしてきびしいものの考え方をして、あるいはまた全体的に国民に対していろいろの示唆を与えていると思うのです。しかし詳細に見ていくと、極端な言い方をすると、どうもこれは国鉄の代弁じゃないか、こう実は見ざるを得ない節々が各所にあるわけです。それは総裁が、前の監査委員長がよく知っていると思うのですけれども、いや新幹線の予算のことを、統計は事務局の数字を使っちゃったもんでと言わざるを得ないような経過も実はあったわけです。ですから私は思い切って、たとえば公共負担の問題、あるいは今度会計検査院から指摘されているような問題、これは気がついておると思うのです。気がついておるけれども、国鉄だけでは何ともならないというような問題については、やはりきっちりとして監査委員会としての意見をまとめて、運輸省に対して、運輸大臣に対して明確に意見を出すべきだ、そうしなければ、いつまでたったってよくならないということを力説しているわけでございます。  おわかりになったようでございますから、次の問題で、行政管理庁から、国鉄でやっている監察局の監査、内部監査と、それから国民の代表として行なっている監査委員会の監査と、どうもダブッているじゃないか、この関連が明確じゃないじゃないかという点で意見書が出されました。それに基づいて、これは国鉄か運輸省かわかりませんけれども回答が出されておりますが、この回答について御相談にあずかりましたか。あるいは御相談にあずかったとするならば、この回答についての御意見を聞きたいと思うのです。
  22. 岡野説明員(岡野保次郎)

    ○岡野説明員 いまの御質問に対しましては、確かに行監のほうからの意見書が回って、監査委員会にまいり、監査委員長からそれに対して三十八年の二月八日に回答書としてやっておりますので、当然監査委員長としてもこの問題は認識しておるところであります。それでその指摘の中では、ただいま御質問者のおっしゃったように、どうも内部監査とのけじめが明確でない、また「監査自体としても高次元での追求に徹底を欠き、総花的な印象を与えていたきらいがある。」ということを認めております。だからこれを今後できるだけ明確に分けるように、こういうつもりでいま善処しつつあるところであります。「国民的視野にたって、重点的な事項の監査を行なう方針を決定した。」、こういう回答書を出してございます。
  23. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 委員長はよく御存じだと思うのですけれども、この監査委員会とそれから監察局、この仕事の分野といいますか、これは明確になっていないのですよ。だから明確にしなければならぬというのが行監の言い分なんです。明確にすべきだと思っておりますというのが回答なんです。具体的にどうかというと、具体的には中身は先ほどの御答弁じゃ、ないような気がするのです。それじゃいかぬから、監察局、内部監査をやる者と国民的視野に立ってものを考える監査委員会の機構というものはすっかり別々にしなさい、だから人のあれも別にしなさい、こうしないと、実際には監察局でやっておる仕事と何も変わりがないような、実は権威のあるようなないような、国民的視野に立ったような立たないような意見書が出てきてしまうわけです。だからそういう点で、ひとつ監査委員会として、こうすべきだ、こうしてもらわなければ困るということを独自の立場からもっと——行政管理庁からいわれているこの勧告がある上から当然もっとしっかりした体制をいまとるべきときにきていると思うので、委員長としてしっかりやってもらいたい、こういうことなんですけれども、いかがですか。
  24. 岡野説明員(岡野保次郎)

    ○岡野説明員 その後にやりましたことを御参考に御回答申し上げます。  監察局長は、もちろん事務局長でございます。あそこには七十一人おります。監察局の事務員の中の監察役とか、そういちょうなものを、かなりの部分にわたりまして、専門的に監査委員会仕事を専心やらせるような人たちを中で分けております。これは内部監査と外部監査とが共通の場合もございますから、そういうようなものは監査委員会としての独自の立場からこれを判断し、採用するものは採用する、あるいは気に食わぬものは、それは取り上げない、こういうふうなことに、明確に分けて現在やっておるのであります。
  25. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 委員長は時間があれですからもういいです、あと高橋さんに聞きますからけっこうです。
  26. 白浜委員長(白浜仁吉)

    白浜委員長 岡野さん、御苦労でした。
  27. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それでは高橋監査委員のほうにお聞きしたいのですが、この行管の勧告に基づいて具体的に人の面あるいは予算の面あるいは仕事のやり方の面は、どういうふうな改正を行なったのですか。
  28. 高橋説明員(高橋末吉)

    ○高橋説明員 この勧告をいただきましたあとにおきまして、監察局全員が監査委員会の事務局というかっこうになっておるものでございますので、実際の事務をやる人は二重の性格を持っておるわけですが、そういうようなことから、事務処理の場合の監査委員会の事務局としての仕事の事柄を、事務局という処理の内容できちんと整理していなかったような点が従来あったわけでございます。こういった点を明確に整理をいたしまして、先ほど委員長から申し上げました中にもございましたが、監察局の職員が事務局員ということで一緒でございますけれども、監査委員会仕事をやります場合には監査委員会の立場からの線で明確に仕事をやっていただく、そのあとのいろいろな整理や何かも明瞭にわかるように処理するというような体制をはっきりと確立いたしまして、現在やっておるわけでございます。それから予算その他につきましては、別にこの勧告に基づきましてどうやったということはございません。
  29. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 この勧告に基づいて監査委員会の取り扱いというのは、どうも前進をしていないように私は見受けます。ですから、せっかく行管からこういう指摘がされておるわけであります、回答も出されております。回答も出されておりますけれども、この監査委員会と監察局のあり方あるいは先ほど監査委員長の御答弁の日鉄法十四条の四項、この回答についてはこの制度を生かしたいといわれております。ですから三十八年度の監査報告書がまた八月には出るでありましょうから、そのときどういうものが出てくるだろうか、いままでのようなありきたりのもので、たとえば公共負担なんという問題を資格のない総裁に幾ら通知したって仕方がないわけでありますから、公共負担の現況はこうなっている、これはこうすべきだという点をきっちり出して運輸大臣に書面を出すべきだ、あるいはその中に出てくる今後の改善すべきもの、たとえば国営自動車の問題でも意見をきっちり監査委員会としては出しているわけでありますから、それを運輸大臣に出して、国営自動車の国鉄におけるあり方というものについては、監査委員会はこう思うのですということを明確に出して、運輸大臣からその取り扱いをきめていただく、こういうふうにしていかなければならないと思いますので、そういう取り扱いをすると言っておりますので、それを私は期待いたしまして関連ですから監査委員会に対する質問を終わって、あと押谷委員のほうにお譲りいたします。
  30. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 十手時に昼食になって休憩して一時から継続するようでありますが、十五分間もったいないからひとつ質問をいたします。  この東海道新幹線についてのことでありますが、これは戦後日本の交通運輸の計画としてはまさに画期的なもの、歴史的なものであります。その規模の大きさにおきましても予算の大きさにおきましても非常にたいしたものでありまして、当初は国有鉄道の新五カ年計画の一環として、昭和三十四年度からこれを実施することになったと考えておりますが、いま進行中であり、この事業は一定の時限においてどうしても竣工しなければならぬという大きな制約を受けておるわけですから、総裁におかれましても非常な御心労だということは重々お察しをいたします。まあ、一面において竣工の時限がきびしいということも手伝いまして、工事関係においてはいろいろ批難事項が出ているのでありますが、当決算委員会におきましても会計検査院から批難事項として摘記されたものもあり、不当支出もあります。したがって、この問題については相当広範にわたってお尋ねをいたさなければならぬ状態のものがございます。どうかそのつもりでお聞き取りをいただき、御答弁をちょうだいいたしたいと思います。  まず予算につきまして、当初千九百七十二億円の予算をもって着工、計画されたように考えております。これは夢の超特急と言われるのですから、われわれからいえば全く夢のような超特急が実現するわけで、国民の期待もたいへん大きなものがあります。総延べ距離は五百五十キロにも及んでおり、たいへんな御苦労で土地の買収もせられておるようでありますが、それが途中におきまして九百五十四億の補正をせぬばならぬことになり、さらにまた、その予算について重ねて八百七十四億でありますかの補正が行なわれるというような、基本の当初計画より三べんにわたって予算の変更がなされなければならぬということは、この計画が当初相当ずさんであったということが考えられるのであります。私はそれをいまとがめようとするものではありませんが、しかしここに出されております監査委員会報告なり、あるいは諮問委員会答申等によりましても、この点についていろいろとせんさくをして、なぜ夢の超特急といわれる新幹線がこうして大きなそごを来たして、間違いがあって、批難を受けておるかということの原因を究明いたされているようであります。その最も大きなものは、やはりこの超特急の工事計画についての事務機構、組織というものに欠陥があったということが、大体明らかにされているようであります。いわゆるこの工事のための総局という制度に欠陥があったのが原因ではないかと追及されているようであります。総局長に常務理事が当たられて、そうしてこれをもっぱら取り扱われたというところに、十分手の回らないところ、目の届かないところ、その他計画のそごが生じたというふうに批難をされているようでありますが、まずこの事務機構については、これはたびたび運輸委員会等において論議をされているところでありますから深く追及しようとは思いませんが、こういう報告あるいは答申によりまして国鉄においては新幹線の工事についての組織を改められたことと思いますが、その改められた現在の姿はどうなっているか、まずその点から伺いたいと思います。
  31. 石田説明員(石田礼助)

    石田説明員 全く押谷さんの言われるとおり、新幹線の建設につきましては、とにかくきわめて短期間の間にこれを完成しなければならぬ、こういうようなことでありますので、国鉄の在来の組織をもってしては目的を達することができぬ、だからして総局長にできるだけの権限を与えてその自主性においてやらせる、つまり独断を許すというようなことが、つまり予算が倍もかかるというような原因の一つをなしたのでありまして、組織の欠陥ということについてはこれは全く仰せのとおりであります。これにつきましては、この欠陥を是正すべく、私が総裁になりましてから全部匡正いたしまして、現在においてはもとと全く変わった姿とし、普通のほかの線をやるのと同じような組織のもとにやっておりますので、これからはそういうことはないと思います。  さらに、千九百七十二億が三千八百億に変わった、倍に変わったということにつきまして一言ちょっと御説明申し上げまするが、要するに千九百七十二億というような数字は実に甘い数字なのであります。初めからこんな数字でできることではないということは事務当局としてはよくわかっておった。ところが、そこがいろいろ歴史もありまして、国鉄のいままでの予算というものはいわゆるパッサブルの予算だ。大きな数字を出しても必ず削られる。これはいままでずっと歴史的にすべてそうだ。だからして二千億というような大きな数字を出してみても通りやせぬ。通らない数字を出しても意味がないじゃないか。通る数字にしよう。こういうようなことが倍もかかったということの一つの大きな原因をなしておる。それからもう一つは、やはり仕事の性質に対する見方が非常に甘かった。そしてそのほかに、土地の買い上げ値段にしましても、売りたくないのを買おうという。なかなかこれはむずかしい問題である。土地を持っておる人は売りたくない。それを買おうという。しかもそれを短期の間に買わぬというと仕事が間に合わぬ。非常に急いでおる。結局やはり持っておる人に乗ぜられる。ごねられるということ。そうしてインフレーションのために土地の値段が非常に上がってきたということ、労銀が上がってきたということ、それから物価が上がってきた。いわく何々、いわく何々でこういうようなことになりまして、これは組織の欠陥というものも確かに一つの原因でありまするが、そのほかに予算の作成、予算の提出、そのほかいわく何々、いわく何々で、もうこれに対しては弁解の辞もないということを申し上げておきたいと思います。  私十二時に隣の部屋へ参りますので……。
  32. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 もう五分間です。それではその点だけにしぼって申し上げます。いま総裁のお話では、予算を大きく要求しても削られるからというお話でありますが、これは削られることを予定して出すというほうも、また変でありますが、削るということがたてまえのようにお考えになることも私はふしぎな御発言だと思うのであります。正確にこの大事業の予算をお出しになる。しかもそれは時限のきびしい事業であるというところから、土地の買収等についてももたついておられないということも、もちろん計算に入れなければなりません。だから、当初予算においてあらかじめ補正をしてもらわなければならぬのであるというような予定でもってこの予算を出されたとするならば、それは私は国鉄のほうの大きなあやまちであると申し上げなければならぬのです。これはいま総裁のおことばから初めて知ったのですが、やっぱり当初予算でこの大事業をなし遂げるつもりでお出しになった予算であるということをたてまえにしてもらわなければならぬのじゃないかと考えます。  それから、この総局の機構につきまして、責任者も取られておることでもありますから、私はそれについてとやかく言うわけではありませんし、それだけの問題ではあろうとは思いません。それだけがこの予算のたびたびの補正が出てくる原因とは思いません。それは、実際の問題では、責任をとってもらうには気の毒だと思われるような総合した原因があるということはよくわかっております。わかっておりますが、現在の国鉄新幹線の建設の組織機構はどうなっているか、改められたものはどうなっているかということをちょっと伺いたい、こういうことを申し上げたわけです。
  33. 石田説明員(石田礼助)

    石田説明員 これはひとつ当局者にお答えさせます。
  34. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 それでは、ただいまの御質問に対しまして、現在やっております国鉄の組織、新幹線を進めます組織について御答弁申し上げます。  いま総裁から御答弁申し上げましたように、新幹線総局は昨年の六月に廃止いたしまして、その後、新幹線局とそれから新幹線工事監査役という組織を総裁のもとに置きました。新幹線局といいますのは、ほかの局と格は同じ、特別の権限を持っておりません組織でございまして、その下に従来と同じように総務部、営業部それから運転車両部、土木部、電気部、調査室といったようなものが並んでおります。これは予算関係については経理局に御報告する。資材の調達につきましては資材局を通じて調達するというようなことになりますので、結局この新幹線局は下にございます四つの幹線工事局と、それから電気工事局も若干持っておりまして、それらに対しては直接の命令をいたしますが、そのほかの予算のやりとりは一般の工事と全く同じになっております。なお新幹線工事監査役というのを新幹線局長とは別に置きまして、これは技術的な監査を常時やることにしております。それから別に契約審査役というものが従来の新幹線総局の中にはございまして、これは契約をいたします場合にその一件一件の契約を審査いたしておったのでございますが、これは経理局に所属させまして、経理局が独立してチェックできるような方式にいたしました。  なお、理事の分掌といたしましては、私が新幹線関係のことを担当いたしておりますが、もちろん重要事項につきましては関係理事と相談をしてやるという形にしております。
  35. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 伺いまして、前の総局とはだいぶ機構は変わっているようでありますから、よく了承しました。  総局当時においてなされた総局の一切の事業計画あるいは執行のすべてはお引き継ぎになっていらっしゃいますか。
  36. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 工事の施行その他につきましては、総局の仕事をそのまま引き継いでやっておるわけでございます。また中におります局長以下の顔ぶれも変わっておりません。そのまま引き継いでやっております。ただ従来の総局のような特殊な独立した権限を持っておらないというだけでございます。
  37. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 新幹線の工事施行にあたりましての土地買収その他につきまして、会計検査院からの批難事項もあり、具体的にお尋ねをしたいことがたくさんありますが、午後一時三十分からということでありますから、午後続行いたします。
  38. 白浜委員長(白浜仁吉)

    白浜委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ————◇—————    午後一時四十六分開議
  39. 白浜委員長(白浜仁吉)

    白浜委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管及び日本国有鉄道関係決算について質疑を続行いたします。押谷君。
  40. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 午前中に引き続きまして東海道新幹線関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  新幹線の予算がたびたび補正をされたことは午前にお尋ねいたしたのでありますが、その原因の一つに、その幹線の工事につきまして国鉄当局としてはきびしい工事であるということから、いろいろあせりもあったことと思いますが、そのあせりにつけ込んでごね得をやっておる者とか、あるいはいろいろな不当な手段によりまして、当初予定されておった金額をもってしては工事に着手することのできないような事態に導いた者がおって、そのために大きな狂いを生じたと考えられるふしもあるのであります。その中の最も顕著なものとして、会計検査院から指摘されました不当支払いであると認められたものの一つに、近江鉄道に関する問題があります。この近江鉄道関係において支払われたのは、この近江鉄道のローカル線が観光目的の路線であるとして、その観光を害するというような趣旨をもって、並行線の部分に対する減収一億円の支払いがあった。また並行部分に対して、踏切でありますとかその他危険防止の工事その他の施設のために一億五千万円、合わせて二億五千万円が支払われているのでありますが、そのうちの一億円については不当支払いということに会計検査院から認められて批難事項として掲げられているのであります。そこでこの点について私は掘り下げてお伺いをいたしたいと思うのであります。批難をされておりますまず一億円の並行路線の収入減に対する補償でありますが、それはどういう理由で一億円というものが算定されたか。これは運輸委員会においてさきに論議されているところでありますが、決算面においてこうして明らかに不当支払いであるということが指摘されております以上、ここでもう一度お伺いするのが正しいと存じますので、その一億円の支払われた理由を伺いたい。
  41. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 お答えいたします。こういう御指摘を受けました点につきましては、まことに遺憾であると存じます。しかし、これはおことばにありましたように、こちらが相当期限を切られていて買収しなければならないというのにつけ込みました要求でございまして、俗なことばで言えば、結局いくさに負けたということでございます。負けたというとまことになんでございますが、当時の情勢全体から判断いたしませんと、一つのものを単独に買ったという問題と違いまして、いろいろな当時の情勢からやむを得ざる措置として行なったということになります。  まず、近江鉄道のほうとも——大体湖東線と言っておりますが、湖東地方につきましては、用地買収その他については、相当困難な事情が一番初めからございました。三十四年の四月に起工式を行ないまして、直ちに用地買収、それから長大墜道の工事にとりかかりましたが、あの湖東線を通過する工事を地方にはかりましたときも、非常に強い反対を受けました困難な事情がございました。結果的に申しますと、米原から瀬田川までの間は、現在線よりも新幹線のほうが結局キロ程が少し延びてしまいます。これは東海道新幹線の五百十五キロメートルのうちの唯一のところでございまして、他は全部、現在線のように曲がっておりませんで、まっすぐになっております。ところが、あの湖東地区のほうは現在線以上に延びてしまうということになります。それで、まず平野地方を通ります案をこちらから提示しまして、三十四年中にはかりました。地方に説明いたしましたところが、非常に強い反対を受けました。  第一は、当時伊勢湾台風の被害の記憶も残っておりますが、非常にあすこは出水の多い地方でございまして、東海道現在線も、鉄道の上を川が通っているようなところもございますが、そういったような地形になっておりますので、出水の被害が非常に多うございます。国鉄の現在の東海道線も、あすこでよく水害を受けております。そういう状態がありまして、鉄道が築堤をつくりますと、そのために出水が湖のほうに流れていかないので、一そう水害の被害を大きくするということがまず第一、これが絶対反対している理由であります。  それから、もう一つは湖は普通山にはさまれておりますので、比較的狭い地域になります。たてについておりまして、農地が分断されるということになりまして農耕の妨げになる、そういったような理由で、山のほうを通るか、湖岸を高架にして通るか、どっちかにしようというのが、地方をあげての非常に強い運動でございます。実はその前に名神国道もその運動にあいまして、とうとう山のほうを迂回して通ったように聞き及んでおります。同様にしてこちらも山のほうに行くということでございますが、これは山のほうへ参りますと、東海道新幹線はほとんど直線のルートでございますので、谷につくれば高架にしなければならない、山に入ればトンネルにしなければならぬということになり、非常に高いことになります。それから、湖岸を通ればこれは全部高架にしなければ間に合わない。これも築堤に比べましてはるかに工事費がかかる。これはどうしても平地部を通らなければいけないというので——現在線に沿って敷設いたしますのは、現在線の駅を中心にして町が広がっているところが多いのでございますから、用地買収もできない。最終的には、結局近江鉄道に沿って鉄道をつくりますならば、これは農地の分断という問題は、もうすでに近江鉄道ができておりますので、起こりません。もう一つは、近江鉄道は平地ではございますが、鉄道敷地はやはり若干高くなっておりますので、そこである程度水ばけが悪くなる、せきとめるということもございまして、そこに並んでつくることによりましてもう一つ障害物ができるということにならないという判断から、それ以外に道はないという判断をいたしまして、近江鉄道沿いに七キロ半走るという線で進めたのでございます。  したがいまして、近江鉄道に対しましては、三十五年の一月から、こちらでは線路沿いに用地を買いたい——そうなりますと、若干向こうの用地に食い込むところ、あるいは駅でもって向こうの用地を借りるところ、それからあちらの線路を立体交差で横切りますところが四カ所、そのほか建物の移転とかいろいろな問題につきまして、折衝を開始いたしたのでございますが、なかなか返事をよこしませんで、三十五年の十二月、向こうが正式に態度をきめて回答してまいったのでありますが、それは絶対反対。というのは、いろいろな理由があげてありますが、水はけが悪くなる、あるいは日陰になるというようないろいろな事情から、線路保守上困る。それから踏切が、向こうが平地のところに新幹線は高架になりますが、高架の踏切を通ってすぐ近江鉄道の踏切にかかるというようなことで、踏切の危険度が増す。それから赤字の近江鉄道がますます赤字になる。それから観光鉄道としても、そういう線路に沿って大きな壁ができるということは迷惑であるといったようないろいろ理由をあげまして、全部買収してくれるか、百メートル以上離れるか、どっちかにしてくれということで、強く要望してまいりました。しかし、これはさいぜん申し上げましたように、それと沿っていかなければ、今度は地方のほうが納得いたしませんので、近江鉄道承知を待たずに、とにかく用地買収だけは近江鉄道沿いに確保するということにいたしてまいりました。  そのうち、さらに半年、一年の間に、しからば全部買収してくれ、買収しないならば、こちらが築堤になったのでは踏切が困るから、高架にしてくれ、高架にするには四億かかるから、四億で高架にしてくれ——いろいろな問題を言ってきて、こちらの出しました案では容易に承知しないというようなことで、非常に難航いたしたわけでございますが、それで、最後的には七億まで補償その他を出せというような案を向こうは提示してまいりました。  実はこちらとしましては、ただいま申しました直接の買収関係以外にも、そこら辺でこちらの材料を搬入するといったような点で近江鉄道を利用さしてもらうというようなこともございます。また、さいざん申しましたように、立体交差の点なんかもありまして、この工事なんかも、長引きますれば当然間に合わなくなってしまうというような点もございます。また、あれは西武鉄道の系統の会社でございますが、東京のほうには西武との関連問題が先にたくさん控えておりますので、できるだけ早く円満に妥結しよう、それ以外には、将来東海道新幹線を通じまして円満に早く解決していく道がないということで、遂に二億五千万円ということで、御指摘にありましたようなごね得も確かにあったわけでございますが、それで妥結せざるを得なかった、敗戦をせざるを得なかったということになりました。その内訳のことにつきましては、一億と一億五千万と二度に分けて払っておりますが、問題は、結局その総額がその辺で手を打つというような妥結のしかただったと思います。
  42. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 御当局のお話で、この近江鉄道が西武鉄道系統のものである、いわば西武との戦いに負けたというような印象を受けるのですが、まさにごね得であると何人も考えております。この近江鉄道は、滋賀県の湖東の全くの寒村と寒村、農村と農村を結ぶローカル線でありまして、これは観光を目的とする鉄道ではありません。私は選挙区は大阪でありますがこの地方の出身なんです。だからその辺のところはよく承知しておるのですが、観光の関係において新幹線ができるから減収になるので補償をせよということであったが、西武であろうと東武であろうとそんなことはとんちゃくありません。いやしくも日本の国内において交通運輸の鉄道事業等をやっているものは、国鉄のこの画期的な大事業に協力をしようとする態度こそりっぱであり、またそうあるべきであります。現に、たしか京都府の大山崎近くで並行しておるはずです。これは阪急線で、高架にしてあるはずです。この費用のごときも、ごね得などとはみじんも思われない。阪急も相当の費用を負担して新幹線の工事に協力をしている。これがすべての業者の態度でなければならぬにもかかわらず、近江鉄道のみがごね得をやったということは、これは普通の人ではないのであって、鉄道業者であるだけに憎しみを持つのでありまして、こんなことは許されることではないのです。その鉄道業者であるということを考えられて国鉄もこれに負けられたということは無念しごくであります。しまいには七億円くれとか、並行線だけは四億出して全部高架にせよとか、百メートルの間隔を置けとかいうことは、すべて筋の通らない言い分であります。そうしてまた、その筋の通らない言い分を彼らがやかましく強情に主張したために、ときを急ぐという焦燥からついにこの主張に負けられた。しかもそれが筋が通らない出し方であるから、会計検査院においても不当であると指摘されるに至ったのでありまして、観光ということはあり得ない、また減収ということもあり得ません。この湖東地方においてのみ走っておる近江鉄道、また新幹線は滋賀県内においては一つも停車場はないのです。だからそこでお客を減らすとかふやすとかいうようなことは全然考えられない。もちろん交差もありましょうし、また踏切の問題もありましょうけれども、それがために減収などとは考えられない。そこでいろいろと理屈をこねようとしてつくったのが観光の目的であります。新幹線が通るから眺望が悪くなったというのでもありましょうか、そんなことは通りません。それは全然理屈のない事実にそぐわない一つの理由をつけたものにすぎませんから、そこでこいつはだめだというので会計検査院から指摘をされるに至ったのだと思うのであります。これは重要なことです。ただいまのお話では納得ができませんけれども、ただ戦いに負けたということについては、もはや私として追及する勇気がありません。全くお気の毒です。しかし現在において考えてもらわなければならぬことは、その一億五千万円出したほうの分です。これは踏切の関係もありましょうし、まくら木が腐るというようなことも言っておるようでありますが、そんなことは筋が通らないにしても、踏切は幾つ改善をしなければならぬか、その費用は何ぼかということを算定して一億五千万円をとにかく無理ながら算定したものだと思いますが、その踏切の改造工事につきまして何カ所あって現在それはどういう状況になっておるのかということは、これは事後においてもお調べにならなければならぬ事柄ですから、お調べになっておったならばその点を伺いたいと思います。
  43. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 これは二月十八日にちょっと調べたことがありまして、近江鉄道の踏切改良は、二月十八日現在で、遮断機をつけるところが十五カ所、警報機二十三カ所につきまして工事中でございます。年度内に完成する見込みだということでございました。これは大阪の幹線工事局の話でございました。今日ただいまのものは調べておりませんが、おそらく工事中のものは全部工事が完了したものだと思っております。合計いたしまして三十八カ所であります。遮断機十五カ所、警報機二十三カ所、これは実際にその場所を見ましても、築堤のところをくぐってすぐに近江鉄道にかかりますから、警報機をつけないと非常に危険な状態にあるものと思っております。
  44. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 当初この一億五千万円の見積もりをせられた分の踏切の関係は何カ所ですか。
  45. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 いま資料を持っておりませんが、たしか四十何カ所が積算の基礎になっておったかと記憶しておりますが、いま手元に積算資料がございません。それから線路の改良問題につきましては、水はけが悪くなるとか、そういったことによって将来の保守費がふえていくというのが主張のもとになっております。
  46. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 三十八カ所では、当初のお話とは十カ所以上も狂いがあることは私の手元にある資料で明らかでありますが、この近江鉄道問題で批難事項として会計検査院から御報告になっておるのですが、ただいま国鉄よりお話しになりましたことについて会計検査院の御意見を伺っておきます。
  47. 宇ノ沢会計検査院説明員(宇ノ沢智雄)

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 ただいまの先生からのご質問ですが、先ほど来の先生からのご質問、それに対する国鉄当局からの御答弁、さらにそれに対する先生の御見解で、ほぼ両者の御意見は尽きるわけですが、検査院といたしましては、いろいろ東海道新幹線の工事に関しましては、午前中から総裁からも非常に短期間にばく大な費用を投じて工事をやらなければならぬというようなことで、この工事についてはお骨折り、御苦心の点があったことは私たちも十分想像いたされるわけでありますが、本件近江鉄道に関しまして私どもが検査報告として不当として取り上げましたのは、先ほど来いろいろお話がありましたように、一億円の観光旅客収入及び通勤による一般旅客収入の減少に対して、それぞれ五〇%あるいは二五%というような数字をあげまして補償を要求されたのに対して、国鉄が支払わざるを得なかったという点でございまして、先ほど来押谷先生からも御指摘がございましたように、私たちは、これは相手方がそういったようなことで収入が減るということを言っておりますけれども、私どもが調査いたしましたところによりますと、三十五年、三十六年、三十七年と歴年の旅客人員の推移を見ましても、本件建設区間においては減っていないのであります。それで向こうの言いますのは、国鉄新幹線ができますことによって、つまり築堤によりまして風景が阻害されるというようなことを減収の理由にあげておるのでありますが、すでに三十七年ごろには築堤は相当程度、七分どおり——七分どおりか、その辺は私ちょっとはっきりわかりませんが、相当できておったわけです。それ以後、その当時を中心に考えてみましても、先ほど申し上げましたように、三十五年、三十六年、三十七年と、もし向こうの言い分が正当でありますれば、その当時もう相当築堤ができて風景が阻害されておったはずでありますから、お客が減ってきているはずです。それが減っておらないというようなことが不当と見ておりました第一点でございます。  それからもう一つは、向こうの要求に応じなければなかなか設計協議がうまくいかぬという点でございます。この点も一応ごもっともな御意見でございますけれども、一応それはそうといたしましても、地方鉄道法によってその促進をはかった上で、それでもなおかつそういうことでございますれば、私たちはやむを得ない、一応そういう措置も積極的におはかりになったような御説明が、実は国鉄当局からはなかったので、私たちも一応そういう設計協議等につきましては、関係法規によって促進する道があるのだから、そういう促進の道をはかった上で、それでもなおかつそういうような事態であったならば、あるいはやむを得なかったかもしれませんが、そういう措置もとられないで、そういう支払いに応ぜざるを得なかったという点について、不当と認めた次第でございます。
  48. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 この新幹線の工事につきまして、どうもこれも西武鉄道関係だと思われる問題で、静岡幹線工事局内における問題が一つあります。これは三島駅付近の下土狩における伊豆箱根鉄道株式会社所有にかかる伊豆へ行く廃線の鉄道があります。これを、昭和三十七年四月二十五日に名古屋鉄道管理局を通じて三島−下土狩間の一・七キロメートルを復活して軌道を新設したいという申請が出た。この敷設したいという路線は、たしか新幹線と交差するところがあるのじゃないかと思いますが、そういうことについては出ておりますか。
  49. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 お話のございましたのは、下土狩の伊豆箱根鉄道の廃線敷復活の問題だと存じます。これにつきましてのいきさつを申し上げます。  結論を申し上げますと、これはこちらの言い分どおりに押し切りましたが、これは勝ったことになります。御承知のように昭和六年にあれは廃線になりまして、いままで下土狩の——当時の東海道本線に乗り込んでおりましたのが、丹那トンネルが通りまして三島に乗り込むことになりまして、三島−下土狩間の向こうの線路は廃線になったものであります。その当時におきまして、国鉄といたしましては二十万円を会社に交付いたしております。その後に新幹線の工事が進むようになりましてから、その廃線を復活して、もう一度下土狩を通って吉原のほうへ行くという鉄道の認可を伊豆箱根鉄道が持ち出しまして、その認可を待たずに相当高い築堤の工事を始めました。廃線敷の土地はそのまま西武系の伊豆箱根鉄道が持っておったのでありますが、率直に申し上げますと、非常にりっぱな築堤をつくりまして、高さもちょうど新幹線と同じくらいの高さにずっと築堤をつくりました。それに対してこちらが通過する路線も協議いたしましたところ、非常に高い金を出してまいりました。こちらといたしましては、三島の駅には車両の留置線を置きまして、それからまた軌道用地もございます。それらの関係からそう高くは——三島の駅を出てすぐのところでございます。向こうがもしそれを築堤にいたしますと、これを乗り越すという設計がこちらはできませんで、したがいまして、その下をくぐるということにいたしまして、向こうの築堤をもっと高くして向こうの下をくぐるというようなことで交渉をいたしたのですが、この場合にも六億円というような程度の金が要る、その程度でずっと先のほうからつけかえをしてこなければならないというようなことで、容易にこちらの協議に応じないという状況でございます。反面そのときに——三十七年十一月でありますが、名古屋の陸運局長から伊豆箱根鉄道に対して、免許申請して、まだ工事の認可もしていない線路の工事を始めるのは独走のそしりを受けるもので、厳に戒めなければならないという厳重な注意がまいりました。それからまた国鉄といたしましても、その後近江鉄道の問題などが非常に国会の議にのぼりますし、世論の批判も受けましたりいたしまして、私実は昨年の五月からこちらのほうを担当することになりましたが、五月の二日に公文書でもって、これを譲り受けたい、それについてはその用地代として五百二十何万円を支払うということで譲ってもらいたいというのを工事局長名で公文書を出しまして、同時に収用法を前提といたしまして事業認定を受けまして、両方並行して進めております。そのために先方もこれはいかぬと考えたのでありましょう、昨年の八月の十日にこちらの提示額のとおりに五百二十八万五千八百四十円で、こちらは所定の高さのままで向こうへ通していく。向こうの築堤は全然意味のないことになりますが、こういうことでこれは解決をいたしまして、すでにこの工事は完成しております。これは勝ったほうであります。   〔委員長退席、勝澤委員長代理着席〕
  50. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 伊豆箱根鉄道関係におきましては、国鉄のほうが勝利をおさめたことはまことに愉快にたえないことですが、ここでお聞きしたいことは、伊豆箱根鉄道が築堤をいたしますその前か、あるいは鉄道敷設の申請をする前後において、国鉄は新幹線の敷地として買収の申し入れをしていらっしゃるはずなんですが、その買収の申し入れの時期と彼らが築堤を始めた時期と、その時の関係はどうなっておりますか。
  51. 廣瀬政府委員(廣瀬眞一)

    ○廣瀬政府委員 ちょっといま手元に資料がございませんが、至急調べて御報告いたします。
  52. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 私の手元へ提出を願っております資料によりますと、大体時を前後してこの買収の申し入れがある。もちろん伊豆箱根鉄道関係者は、国鉄新幹線はこの伊豆箱根鉄道と交差するものであるということは、これは常識上十分知らなければならぬはずだと思うのです、この人もやはり鉄道関係者なんですから。そういう鉄道経営者であり、交通運輸の関係者であるものが、ここに新幹線が通るのであり、それと交差する線がある、そうしてその交差部分について国鉄は譲ってくれという買収の申し込みをしている、この場合にそれに対して知らぬ顔の半兵衛でここへ築堤をするということ自体が、それはたいへん大きな妨げで、いわばやくざの妨害、やくざの脅迫というような事柄をやっているのです。私は、幸いにこの点は国鉄の言い分が通って伊豆箱根鉄道が後退をしたのですからいいようなものの、こういうことをやってはたして世間で許されるのかどうかというと、全く憤慨にたえぬ。大きな金をかけて築堤をして、これを何億で買え、おれのほうの営業を妨害するのだ、許可を受けないで勝手に築堤をして、そこへ向かってくる国鉄の工事を妨げようとする、この魂胆につきまして私は許しがたいものがあると思うのですが、運輸省の関係におきまして全体の交通運輸の事業をごらんになっているのですが、こういうことについてはこのままに看過するといいますと語弊があるかもわかりませんが、看過せられるよりほかに道がないのか、それとも重大な警告でも発せられるという道を講ずべきではないかと思うのですが、それはどうでしょう。
  53. 廣瀬政府委員(廣瀬眞一)

    ○廣瀬政府委員 いまお尋ねのございました点につきまして私どもきわめて遺憾だと存じております。私どもも現地のほうからただいま御質問ございましたような情報を得まして、名古屋の陸運局を通じまして再三厳重にいろいろ注意をいたしました。途中でいろいろ経過はございましたが、結果においてはやっと私どもの言うことを聞いたわけでございます。こういった点は非常に残念でございます。今後とも私鉄一般につきましては、法規に従って事を処理するように十分注意してまいりたいと考えております。
  54. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 やはり新幹線の関係ですが、大阪の新駅ができましたその付近の土地におきまして、所有者から国鉄が買収をしなければならぬということになったうちに中地新吾という者がおります。これの土地を国鉄が買収せられたのは、これは新聞雑誌等によって必ずしも一致はいたしておりませんが、大体九千九百平方メートルではないかと思います。あるいはもう少し多いかもしれません。この買収せられた金額は相当高い値段でありまして、坪二、三万円から高いものは二十数万円にものぼっていると聞いております。これは昔から持っておった祖先代々の土地であるとかあるいは自分が終戦後苦労してこの土地を持ち続けてきたとかというような所有者ではないのです。国鉄の新駅がこの付近にくるということをあらかじめ勘で押えたか、とにかくこの国鉄の新駅を目安にいたしまして、たちまちその付近で大量の土地を買い占めた。それが中地新吾です。そのバックの会社は三百万円の資本を持っている日本開発株式会社、名前からいうと、何か政府がやっているような名前になっております。ところがこの中地にいたしましても日本開発株式会社にしても、この資本の程度をもっていたしましてはとても及びもつかぬような大きな土地を各所で買っているのです。横浜においてもそうです。横浜の新駅においても中地が国鉄へ売りつけた坪数はずいぶん大きなものだと聞いております。それは三十万平方メートル近くのことを聞いておるのですが、はっきりわかりません。こういうものを各所で買って、自分の資本で足りないところは銀行のバックアップを受けておる。この金額は十数億ないし二十億あるいは二十五億というような大きなものを受けておる。こうなりますと、中地個人としての信用ではとうていなし得ないのである。日本開発は三百万円という資本で、名前こそでかいけれども、資本や信用の量においてはとても及びもつかないのだから、そうすると、ここに黒幕があるということが考えられる。中地はかいらいであって、そのかいらいを使っているかいらい師がある、黒幕があるということを考えますと、この問題はなかなか大きなところに根が伸びているということを思わなければなりません。これはただいま申しました伊豆箱根鉄道にも関係があるかもわかりません。近江鉄道関係にもつながりがあるかもわかりません。こうなってみると、国家が運命を賭して開発しようとする大鉄道計画にだれか黒幕の者がそれを企画して金もうけをしようとする。こういうような大きなはったりをやったり山子をやったりしているということは、許しがたい事柄じゃないかと考えます。  そこで私は、これを聞かなければならないのでありますが、一体中地新吾から大阪の新駅付近においてどれくらいな土地を何ぼでお買いになっているかを伺いたいと思います。同時に、その中地の名前かあるいは日本開発株式会社の名前かわかりませんが、この二つを合わせた坪数、金額を伺いたいと思います。
  55. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 お答えいたします。  最初に新大阪駅付近の日本開発株式会社から買収いたしました数量でございますが、三十六年五月一日と五月十五日の二度にわたりまして九千六百三十七平米の土地を買収いたしました。単価は平米当たりで一万一千三百四十円でございます。両方合わせまして一億九百万円ばかりでございます。その後に八月二十六日に追加払いといたしまして一平米当たり五千二百九十円、合計五千万円余りを支払っております。結局日本開発株式会社に支払いましたのは一億六千万円ちょっとでございます。追加払いをいたしたと申しますのは、用地買収をいたします場合に必ずそういう手を打つのでございますが、まず概算払いをいたしまして、その後にその付近を全部買収いたしました場合、他の土地の一般価格が高く買いました場合には、先に売った者が損をしないように追加払いをするという契約をしておりまして、妥結する者からどんどん妥結していこうとするような形にしております。言いかえますと、この新大阪駅付近につきましては、日本開発から買いましたものは一般のそのほかの者から買いましたものよりも結果において実質的には安かったから、それであとから買いました周囲の者に調子を合わせまして追加払いをしてやったということでございまして、したがって、新大阪駅に関する限りは、日本開発から買いましたものは高いものをつかまされたということにはなっておりません。ただ初めに一般論的に先生から御質問がございましたように、実は横浜にいたしましても、新大阪にいたしましても、羽島にいたしましても、とにかく国鉄が駅をつくるということによりまして土地の価格が百倍も千倍も騰貴いたします。それで少し鉄道事情のわかっておる者ならば、大体ここら辺に駅ができるということは測量している間からわかるわけでございまして、そういう土地を先に買収してしまうというのは少し事情のわかった者ならばできないことはないのでございます。これはさいぜん御指摘になりました近江鉄道の場合のように今後起こりそうもない特殊な事情と違いまして、今後も起こってくる問題だと思います。これはいままでのやり方では防ぎようがなくて、しかも将来起こり得る問題でございまして、国鉄だけではやり得ないのでございます。結局鉄道が通るために土地の利用価値が上がって、その利用価値が上がったということで国鉄が被害者になるという立場になります。これは逆の場合私鉄なんかについて申し上げますれば、先に私鉄が買収しておきまして、駅ができるために土地の価格が上がったということは会社の利益になるというやり方ができると思いますが、国鉄は逆に自分が土地の価格をつり上げるような、土地の利用価値を上げるようなことをしておいて、自分が被害者になるということになりますので、これは何とかそういうことなしに済むような方法を将来考えなければならぬのではないか。これは国鉄だけでやれるものではありませんが、今度の経験に徴しましてそういうことを痛切に感じております。
  56. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 日本開発株式会社からお買い上げになった土地及びその支払われた金額について、それが安いとか高いとかいうことを申し上げているのではないのでありまして、これは適正値段でお買いになったと思うのでありますが、ここに国鉄の駅ができるということはおおよそ関係者ならばだれでも一応の想像はつく、その想像のもとに投機的に土地を買っておくという者は一応賢い人である、これは防げない、せんじ詰めればこういうような御答弁と思われますけれども、ここに問題になるのは、大阪の新駅はそう簡単にあそこにできたものではないのです。実は私が一部関係いたしておりまして、大阪市民の要望としてはただいまの大阪駅に乗り入れてくれというきつい要望であったのです。いろいろの関係でそれはでき得ないのでありましょうが、しかし大阪の要望としては、現大阪駅に乗り入れてくれという問題をかかえておったのですから、どこへ持っていくかということは相当大きな問題であったのです。私は、当時吾孫子さんから一ぺん相談をしたいから来てくれということがありまして、国鉄本社に行ったことがあるのです。そしていよいよ新駅をここにきめたいと思う、だがこれについては地元の代議士と相談をし、地元の代議士の了解を得なければならぬであろうかどうかという相談を受けたのです。私はとんでもないことだ、こんなことで地元の代議士の了解を得られますと、地元の代議士は非常に迷惑をする、国鉄の新大阪駅がどこにできるということを早耳で知ることになるのですから、知ったならば世間からいろいろな目をもって見られるであろう、知らぬところに値打ちがあるのですから、一切言わずに、そういうことは了解を得ないでずばりと国鉄意見できめてくださいと言ったことがあるのです。私は大体そのときに知りましたが、いただきましたこの図面も私の手元にじっと押えて、家族の者にも事務所の事務員にも一切言わずに、国鉄の発表までは隠しておきました。これがほんとうなんです。こういうような配慮を私はしてきたのでありますが、大阪の国会議員全部はたとえ知っても早耳で知るようなことのないようにというみずから配慮をしてきたのが、この駅なんです。そう早く漏れるはずがない。一応土地はじりじり上がってきましたが、そのときに中地がわあっと買い占めたという。この中地の前身を調べますと、国鉄関係者なんです。国鉄職員であったのです。ここに問題があるのでありまして、国鉄職員であった中地がこの付近において一ぺんに大きな土地を買い占めて、しかもどこからか経済の大きな援助を受けて、銀行からのバックアップがあって、何億か何十億かの金あるいはもっと大きな金を横浜や大阪の新駅でもうけておるというのが現実なんです。これは手腕家である、やり手であるといえばそれまででありますが、しかし国鉄職員であったということにかんがみますと、これは容易ならぬことであって、りこうな商人であるとかりこうな金もうけの鋭い男であるということばでもって見のがすわけにいきません。そこでこの問題については大阪の府警本部において手を入れようとして、うまく証拠も上がらない。今度警視庁において手を入れようとしたことは御存じでしょう。この男はいま夫婦で日本の国から外国へ旅行しております。アメリカに行っております。新聞の報道は国外に逃亡したと伝えています。私はここで逃亡などということばは使いたくはありませんけれども、国外に出ているということだけは明らかである。しかもアメリカのニューヨークにいるのです。そういうことは御存じですか。そしてニューヨークにおってどんな生活をしているかということまではお調べにならぬのが普通でしょうけれども、私は一応調べてみました。国鉄職員であった者がこういう大きな買い占めをして、しかも何十億という巨利を博し、それが国鉄の新幹線という事業にからんでおるということを考えますと、いまのあなたの御答弁だけではああそうですかと聞きのがすわけにいきません。中地が国鉄職員であったということで、世間においては国鉄の内部から漏らしたであろうといわれているのです。そこで早耳で彼が聞いてやったのだ、内外呼応してやったと伝えられている向きもあるが、それについていかがなお考えを持っていらっしゃいますか。
  57. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 ただいまのお話は、新聞、週刊誌などで見ましたけれども、その後は私中地がどういう者かも実は存じませんので、調べておりません。国鉄としても特別の調べはしておりません。
  58. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 中地が国鉄職員で、宮原操車場かどこかの運転士か何かであったということは……。
  59. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 そういうことは聞いてはおりましたが、しかしよく存じませんでした。
  60. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 これは鋭い金もうけのじょうずな男の仕事でありますから、適法と考えれば御調査も困難なことだと思います。したがって、的確に私が求めているような御答弁はちょうだいできないこともあらかじめわかりますけれども、しかし何といっても中地が国鉄の元職員であって、そうして早耳で大阪の新駅が現在のところにできるということを知って、百姓の持っている土地を坪二千円とか三千円とかでぞろっと買い集めて、そして国鉄へ売るときにはそれが坪四万円とか五万円とか二十万円とか、場所によってはそういう高値で売りつけて、そして巨利を博したということになりますと、内部から適当に出ているのじゃないかといわれているのです。これは直接御職務に関係のあることとも思いませんけれども、一応最高の責任者の立場にいらっしゃるあなたとしては、十分これにつきましては御調査をなさるべきであり、一応の事態を把握しておられるということが、今後に処す上においても必要だと存じますから、これはお願いをいたしておきます。  新幹線の送電線の問題について、箱根の地区で国土計画興業株式会社の所有地を送電線が通過をしたということがあると思うのですが、この箱根の国土計画興業株式会社——なかなか名前がでかい名前なんですが、この会社所有地の箱根で送電線の塔を建ててやったのですが、これはスムーズにできておりますか、あるいは工事に非常にお困りのようなことがなかったですか、一応お伺いします。
  61. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 お答えいたします。  これもうまくいきましたほうでございまして、だいぶん支障はございましたのですが、折衝の結果承諾を得まして現在工事を進めております。このいきさつを申しますと、これも御承知と思いますが、新幹線は六十サイクルの交流を使いますので、富士川から東のほうは五十サイクルの電源しかございませんので、買電をいたしまして、これを六十サイクルに直しました高圧線を一本通さなければ新幹線が運転できないというはめになっております。それで富士川から東京の近くまで高圧線をずっと引いてまいります途中で、どうしても国土計画興業の敷地を通さなければならないという事態になりまして、これも折衝いたしましたがなかなか話に乗りませんで、長い間かかりましてやっと案をまとめたのでございますが、一応の案を電気工事関係局長と国土計画興業とできめましたあとで、西武鉄道系からこの線は観光開発上障害があるから三年間だけただで貸す、けれども三年以上の契約はしないという申し入れが昨年の十月にございました。それで直ちに理事会にはかりまして、こういう重要な東海道新幹線の電源を運んでくるものに対して、しかもこれは二年越しで折衝してきめたルートに対して、三年の期限のついた契約というようなことには応じられないし、それからただで貸すと言われてもこれはただでは借りられない。これは土地自身といたしましては、電柱を建てるのが十一基だったと記憶しておりますが、十一基の電柱の基礎とそれから線下補償の問題だけでございますけれども、三年後にどうなるかわからぬというようなことでは応じられないということで強硬に西武系と折衝いたしまして、直ちにこれも事業認定を受けることにいたしまして、一方において収用法発動の手続をいたしまして期限を切って折衝いたしました結果、起工承諾を受けまして工事に着工いたしました。現在はもうほとんど完成いたしております。ただしまだ正式の契約は——このときは覚え書きをかわしまして、将来観光開発上必要があった場合は、そのルートを別のルートに変えることの交渉に国鉄は応ずるという覚え書きをかわしまして、着工いたしまして、すでに工事はほとんど完了いたしております。
  62. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 この工事に関してルートの変更をしたことはありませんか。
  63. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 これは何べんもいろいろなルートで変更をいたしまして、初めからでありますと、ずいぶん何べんも変更をいたしました。それで最後的にやっと落ちついたのが昨年の十一月だったと記憶いたしております。
  64. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 まあ国鉄の新幹線の工事なり運営に協力をしようとする人の態度としては、この送電線の塔をつくり、送電線を通すということについて、いろいろルートに注文をつけるまではよろしいけれども、三年間という期限をつけること自体がこれは無理で、国鉄の強腰の態度でもって、ついにここも大体目的を達成せられたことは喜びにたえませんが、しかしこういうことの折衝にあたって、何かほかに条件でもつけて、こうしてくれればまた便宜をはかるとかなんとかいうような、たとえば熱海の丹那トンネルのズリ捨て場がある、ああいうものを貸すとか貸さぬとかいうような条件でもついているのじゃありませんか。
  65. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 これは折衝の過程において、そういうものを条件として出してきた時期がございますが、それを条件として妥結したというわけではありません。ただし、これは高架鉄道鉄道敷にこちらに貸してくれという問題が将来の問題として残ってくると思いますが、そうなりますればこれはその場合で考えなければならぬ問題かと思いますが、条件ということにはちょっとなっておりません。
  66. 勝澤委員長代理(勝澤芳雄)

    勝澤委員長代理 いまの西熱海の問題で関連をして御質問申し上げますが、条件にはなっていないけれども、その出されてきた条件については将来国鉄としては検討しなければならぬようなことになっているのですか、どうですか。
  67. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 ちょっと前の答弁を修正いたします。  御質問のありましたズリ捨て場の梅園の用地でございますが、これは「梅園附近の国鉄用地を伊東線の線増その他国鉄の事業に支障がない範囲において、地方鉄道法に規定する地方鉄道の用に供するための線路敷として、運輸大臣の許可を得た後売却するものとする。」という約束になっております。
  68. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 まあ、むずかしい文章を並べてのいまの御答弁でありますが、ここにもやはりごね得の一つのあらわれがあるのじゃないかと思うのです。そのズリ捨て場というのは梅園ですか、相当問題のあるところでありまして、これを政府関係で使うか使わぬかということは問題なんです。相当の大きな利益があるのです。その利益を提供することが、一つの送電線の、架線の通過、鉄道の建設に条件を付せられたようになると、やはり一つの妥協にあたってのごね得があらわれているような感じがいたしますが、そういうことのないように、国鉄の財産を国鉄利益のためにはあくまでも確保する、一部の権力者のごね得は許さないというき然たる態度をもって臨んでもらいたいと思います。これはまだ未定の問題で、これからの問題にかかっておりますが、そこを私鉄の認可を得、私鉄の用に供するという条件はありますけれども、そういうことで、他にまた適当な口実等を設けて観光用ホテルの施設に使うとかあるいはケーブルカーの建設に使うとか、何かそういうことでどんどん使う道を考えるかもしれない。そうなると、架線を、送電線を通すという条件に大きな利益を与えたということになりますと、やはりゴネ得ということが考えられる。その点は特に御注意を願いたいということを希望いたしておきます。  それからもう一点だけお尋ねをしたいのは、終戦処理の財産関係で、一九六二年十一月の行政管理庁の勧告にあることなんです。終戦処理にあたりまして、調達長官に引き継がれた財産があるのでありまして、これがすこぶる不明確になっておりますから、これを明らかにいたしておきたいと思います。それによりますと、米軍の要求によって国鉄終戦処理費で建設、改造を行なった建物、工作物もあるのですが、それは昭和二十六年四月三十日現在の国鉄の評価からいたしますと、十七億と算定をされているのであります。このほかに終戦処理費で支弁すべきものを米軍の口頭命令によって国鉄が立てかえ支弁をしたものがあります。その支弁額は昭和二十六年の評価時期において、その時点で国鉄は約九億と評価をいたしておるのであります。一つは十七億、一つは九億、これにはほとんど関係文書がありません。どうなっているかもはっきりいたしませんが、それについて過般資料をちょうだいしたのです。その資料によりますと、終戦処理費支弁財産減少額内訳表、こういうようなものをちょうだいしておりますが、「国に引渡したもの」というのがあります。これは国鉄から引き渡されたかどうかはわかりませんが、ここに七百五十四万七千円ですか、この評価額がはっきりいたしませんが、いまお尋ねをいたしますのは、昭和二十六年四月三十日の時点においてこういう国鉄の評価をいたされました十四億並びに同じ時点におきまして九億という評価、これについては誤りがあるかないか、この点をまず伺いたいと思います。
  69. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 昭和二十六年四月現在におきまして五億三千九百九十万一千円ということになっておりまして、その後国に引き渡したもの、それから改良工事等によって撤去したもの、災害等によって滅失したもの等が合計三億七千七十三万一千円というのがございまして、それがなくなりまして残額が一億六千九百十七万ということになっております。
  70. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 私の先ほど言ったのは間違っていましたが、昭和二十六年四月現在においてこの評価額がいま御答弁のように五億三千九百九十万円、こういうことになっておりますね。ところが行政管理庁の勧告の評価は、その時点におきまして十七億と九億と二つになっており、たいへん大きな相違があるのですが、これは御承知でありますか。これはいま言いましたとおり一九六二年十一月の三十八号の月報です。これは月報の号数まで言っておるのですから、間違いないと思うが……。
  71. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 現在その資料を持ち合わせておりませんので、ちょっとどういう数字かわかりかねます。
  72. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 行政管理庁において調べられ、発表いたされている数字と、いま国鉄当局の発表せられた数字との間においては、こうした格段の大きな隔たりが生じておりますので、どちらかが間違いだと思うのです。しかも行政管理庁の「行政監察月報」、ナンバー三十八、一九六二年十一月号ですが、この月報に明らかに書かれている。それは国鉄が当時処理し得る、自分の名前になっておるものです。自分の支配下にあるものの財産の評価が十九億、これは米軍の要求によって終戦処理費でやったものですが、一つは口頭命令によって国鉄が支弁したもので、国鉄の財産になっておるものが九億となっておる。しかもこの間における関係文書がありませんからはっきりしないということになっているのでお尋ねをするのですが、こうした大きな数字の違いがあるということも疑義の一つであります。これはまた後日大蔵省の管財関係でお尋ねをしなければならぬのですが、この引き渡したといわれる三億七千万、これはどういうように大蔵省は処理したかおわかりですか、あるいは渡す手続、その当時の渡し方というものについては御承知でありましたら伺いたい。
  73. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 三億七千万円のうち、国に引き渡したものは七百五十四万円だけでございまして、そのほかは改良工事等によって撤去しました。これはもうなくなったものでございますね。それが三億一千百万円でございまして、災害等によってこれもなくなったものが五千百万円でございます。したがって、国に引き渡しました七百五十四万円以外はもう存在しないものでございます。
  74. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 この国有財産の管理処分というものについての行政管理庁の勧告は御承知だと思いますが、これは大蔵省あてで昭和三十七年八月三十日付で勧告が出されております。行政管理庁からの勧告です。その文書によりますと、日本国有鉄道が管理している終戦処理費支弁により建設または改造した建物、工作物などの処理及び終戦処理費で支弁すべきものを国鉄が立てかえ支払いしたものに対する国鉄の国に対する債権の処理等につき、関係者及び国鉄と協議の上早急に解決をしなさい、こういう勧告が出ております。御承知でしょう。これは昭和三十七年八月三十日です。これはただいま言われました三億七千万円相当のものを国に渡したと言われる、それとの前後の関係はどうなっているがお伺いしたい。
  75. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 いま申し上げました数字は、その勧告とは直接関係がございませんで、その勧告に基づきまして現在大蔵省と協議中でありまして、本年の六月までには全部整理をいたしまして、国に引き渡すべきものは引き渡し、国鉄の財産に帰属すべきものは正式に国鉄の財産に帰属するように仕分けをいたしまして、整理を完了する予定になっております。
  76. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 さきにもうすでに引き渡し済みであって、あとはもう何もないようなお話でありましたが、いまこういう勧告の話をすると関係庁、すなわち運輸省とか、国鉄はもちろんのことですが、その他関係省庁との協議の上、適当にやらなければならぬと御答弁があったのです。このときの回答が出ておりますから、そのときの要旨を読み上げてみますと、本件処理については、本年九月二十八日、運輸省及び国鉄との間で問題処理に関する協議を行なった。できるだけ今後も国鉄及び関係省庁と折衝して、意見調整の上早期に処理解決をしたい考えである、こういうように、まだ未処理のものが残っているような関係省庁の回答になっているのですが、これはよほどお考えになってもらいたいと思います。またその後の善後処置の状況について、本件の処理については運輸省及び国鉄と数年にわたって協議を行なってきたが、本年、昭和二十七年の十月下旬、国鉄との協議がととのい、次のごとく基本的な処理方針を決定したので、現在はこれに基づいて具体的な処理を財務局に対して通達をしたのである、こういうようになされて、そして国鉄は財務局と協議の上、財産を財務局に引き継いだ、こうなっておる。その財務局に引き継ごうとしたこの回答文というのが、十二月二十七日なんですね。これに基づいてなされたのが、ただいま言われた三億七千万円の引き継ぎ、こう聞いていいのですか。
  77. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 私が申し上げましたのはそうではございませんで、先ほど、昭和二十六年四月現在で五億四千万ばかりのものがあります。そのうち三億七千万が国に引き渡したものと、それからなくなったものでありまして、現在残っておりますのは——残っておるということは、すなわち未処理のものですね。これが一億六千九百万円あるというふうに申し上げたわけであります。この一億六千九百万円について、財産の帰属を明確にするのが六月まで、そういうことになっております。
  78. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 三億七千万円のすでに引き継いだものにつきましては、明確になっておるのですね。
  79. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 それが先ほど申し上げましたように、国に引き渡したものが七百五十四万円ございまして、あとは滅失したものであるということになります。
  80. 押谷委員(押谷富三)

    押谷委員 この点については終戦のどさくさということがありましたから、いずれも正確な事実をつかむことは困難だと思いますけれども、すでに日本の権威ある省庁の一つであります行政管理庁において勧告を出し、それが行政監察の月報となって一般に伝えられておる。その金額といま国鉄で私に説明せられました金額との間においては、格段の相違がある。また、こういうようなことがたびたび行政管理庁からの勧告があるにかかわらず、終戦後長い間の今日に至るまで、少しもそれが処理されておらぬ。いまごろになって協議をして何とか片づけますというようなことでは、どうも私はよくないことだと思います。終戦処理の関係の調達庁なんていう名前を言うたところで、人は覚えておらぬくらいです。そんな昔の事柄で、しかも不明確なものがあって、国鉄の財産になって、一方は十九億であるとか、あるいは九億であるとかなんとか、大きなものが言われておるのに、さっぱりその間の消息が明らかでないということは不明朗であります。これは至急明らかにして、私が申しました行政監察の月報によってお調べの上、次の機会にでも書面をもって適当にお答えをいただきたいと思います。  勝澤先生お急ぎのようでありますから、ここで勝澤先生と交代をいたします。
  81. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 仰せのとおりにいたします。  〔勝澤委員長代理退席、押谷委員長代理着席〕
  82. 廣瀬政府委員(廣瀬眞一)

    ○廣瀬政府委員 先ほどお尋ねがございました国鉄から伊豆箱根鉄道に買収の申し込みをいたしましたのが、三十七年の三月三十日、伊豆箱根鉄道から名古屋の陸運局へ鉄道敷設免許申請がありましたのが、三十七年四月二十五日でございます。
  83. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 あまり時間がありませんから、なるべく簡単にお伺いいたしますので、答弁のほうも簡単にお願いしたいと存じます。  最初に、先ほど押谷委員が箱根の送電線の関係で、この送電線と西熱海ホテルですか、この用地とが条件になっていないのかどうか、こういう質問があったわけであります。資料をいまいただいたのを読んでみますと、国鉄のほうが熱海の梅園付近の用地を貸してやる、そのかわり送電線やら、あるいはまた大雄山線の、この辺の線路を通ることについて了解する、こういうように書面がなっておりますが、この書面どおりなんでしょうか。
  84. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 さいぜんの答弁、ちょっと勘違いいたしましたので、訂正いたしたいと思いますが、昨年の二月に、新幹線その他の整備に関係いたします諸問題と、それから梅園の土地の貸し付け等につきまして覚え書きをかわしております。この梅園の土地のいきさつを申し上げますと、駿豆鉄道と申しました時分に、昭和二十七年八月に、来宮から十国峠に至ります鋼索鉄道を敷設するという認可を、当時の駿豆鉄道、いまの伊豆箱根鉄道がとりまして、それに伴って用地を、この場合は借りるのでございますが、貸してくれということで、よろしいという返事をいたしたのでございます。ところが、その後になりまして一向に施工をいたしませんでしたので、これは新幹線のズリ捨てをするのにその土地を使う以外に方法がありませんので、またそのときにはそのズリ捨てに使うぞという条件がつけてございましたので、三十三年の十二月になりまして、東鉄局長から、使用最中の国鉄用地は三十四年度から国鉄が工事を再開する新丹那トンネルのズリ捨てに使うから、三十四年一月三十日限り使用承認を取り消すという通告をいたしました。それに対しまして、伊豆箱根鉄道から抗議を申し込んでまいりまして、ついに三十四年八月に、静岡地方裁判所の沼津支部に、占有妨害禁止仮処分命令の申請というのを伊豆箱根鉄道でいたしましたが、続いて十月十日にはその仮処分申請を取り下げております。そういったようないきさつになっておりまして、伊豆箱根といたしましては、この工事の着工が非常におくれておりましたが、もし工事認可を受けて着工する場合には再びこれを貸してくれというのが向こうの言い分でございます。これに対しましては、その前に過去いきさつがあるというばかりではございませんで、もし、ルート認可も得ますし、工事の認可も運輸大臣から得られました暁におきましては、ほかにルートがおそらくとりにくいと思いますので、その場合にはこれは協議に応じなければならないかと思います。これはあまり利権とか非常な利益とかいう問題ではありませんで、当然それに見合うだけの正当な時価で土地を売り払うということになりますので、特別の利権を与えたとか特別の利益をあらかじめ約束したとかいうことにはなるまいかと思います。
  85. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 伊豆箱根鉄道はそこに何をつくろうとしているのですか。
  86. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 お答えいたします。  これは、昭和二十七年に届け出ましたときには、熱海市来宮——十国峠間の鋼索鉄道敷設ということで認可を求めております。その後、この鋼索鉄道が非常に急勾配なので、その認可についても運輸省で疑義を持っておられたような話も聞いておりますが、いずれにいたしましても着工が非常におくれておりましたので、いまのような取り消しというところまでまいったわけでございますが、何でもいま聞いておりますのでは、従来の鋼索鉄道と設計を変えまして、新しい方式の登山鉄道で認可を求めるつもりだというようなことを聞いております。
  87. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そうすると、これはあくまで鋼索鉄道なりその鉄道関係があることをやるのですか。
  88. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 当然さように了解しております。鉄道に使う用地だけを売り払うということに考えております。
  89. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 相手は国鉄よりも、極端に言いますと、一枚上手の人物ですから、何をやらすかわからないと思うのですよ。この文書を見てみますと、これはあとでたいへん問題になると思うのです。ここ二、三年あるいは四、五年、これを見ますと、二十七年からの問題ですから、問題になると思うのです。ですから、これはやはりもう少しいまの段階できっちり詰めた意見にしておいていただきたいと私は思うのです。そうしないと、運輸大臣の許可があったら、必ずこれは売却するものとする、売り払う、売ったということになっているわけですから、許可があって売り払った、その売り払ったあとどうするかというのは、これまた問題なんです。ですから、これはやはり使用目的にきっちりついた、かりに売らんとするならば、それが実行されない場合には、また取り立てができるようなしかたをしておいてもらわないといけないと思うのですが、そこまでお考えになっておるでしょうね。
  90. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 これは私が締結した条文ではございませんが、これは私取りかわした文面をその後見まして、大体抜けがないのではないかと実は思っております。それがいかに老獪に解釈されましても、大体だいじょうぶだろうと思うのでございますが、それは「甲は、乙に対し熱海市梅園附近の国鉄用地を伊東線の線増その他国鉄の事業に支障がない範囲において、」ということが一つの条件、「地方鉄道法に規定する地方鉄道の用に供するための線路敷として、」というのが一つでございます。それから「運輸大臣の許可を得た後売却する」こういう条件になっております。線路敷に、カッコで条件がついておりまして、「最小限度の附帯施設を含む。」となっております。したがって、これはほかのものにはこちらは売らない。運輸大臣の許可を得た後に、地方鉄道法に規定する地方鉄道の用に供するための線路敷(最小限度の附帯施設を含む。)としてだけ売るのだ。こういう相当厳密な条件がつきまして、さらに伊東線の線増その他国鉄の事業に支障がないという条件をもう一つつけております。いかに老獪にかかってきましても、これで大体抜けが——そうやられることもないのじゃないかと思います。
  91. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それは「運輸大臣の許可を得た後」となっておる。運輸大臣の許可とはいつの時点かということです。
  92. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 これは工事認可の許可を得たということだと思います。
  93. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 工事認可を得なくとも工事を行なったことの経験のある会社なんですね。ですから、法律がどうあろうと、こうあろうと、とにかくやって、負けたら裁判を下げればいい。元っ子だ。かかった分は国鉄が補償してくれる——補償したかどうかよくわかりませんけれども。ですから、ここで運輸大臣の許可を得た、運輸大臣が許可をした、実際には工事認可の許可を得たけれども工事が行なわれなかった、行なわれなかった場合においては当然これは国鉄が買い戻すのだ、その辺ははっきりしたことをしておいていただきたい。これはかつて国有財産の処理で大蔵省にあった例ですから。売った、一週間たって転売された、買い戻しができないという例が現実にいま起きているわけですから、ひとつ国鉄参考のために。それくらいでこの問題は終わっておきます。  次に、ただし来宮構内について貸し付けるものはそのままだ。来宮構内では何を貸し付けておるのですか。
  94. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 これは、この前の計画でございますと、向こうの鋼索鉄道の終端の停車場を駅の前につくるようなことになっておりました。この場合にはこちらの鉄道の将来の計画とも関連いたしますので、売却をしないで貸し付けだけをするという契約になっております。  なお、一言申し落としましたが、国鉄の用地を売却いたします場合には運輸大臣の認可を受けることになっております。したがいまして、工事施行の認可が運輸大臣から向こうにおりまして、こちらが売却の価格その他全部交渉が済みますれば、運輸大臣の認可を得て売却するということになります。
  95. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこで、次に、別紙二の覚え書きというのがありますね。別紙二の覚え書きの中で見ますと、先ほども言っておりました「将来乙の観光開発計画の実施に伴い乙の要請により前項の施設の変更を必要とする場合は、友好的に両者、誠意をもって協議する。」これはこの一札が入っておるわけですね。しかし、これを別紙一の二月の四日に結んだ覚え書きにつけ加えて八月の二十九日に結ばざるを得なくなったということは、どういうわけですか。二月の四日の覚え書きで明確になっているわけですから、その明確になっているのへ八月の二十九日にプラスアルファをして、あなたのほうで、必要なときには相談に乗りますよ、相談に乗りますよと言っておりながら第一の覚え書き、これでは梅園付近の問題がひっかかるじゃありませんか。これは両方とも、また片一方でおどかされてまた今度はこっちのほうを譲るということになるじゃありませんか。そこはいかがですか。
  96. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 お答えいたします。これはさいぜんもちょっと申しましたように、あそこは観光開発の計画を持っております。これは事実持っておりまして、すでにゴルフ場だとか、ヘルスセンターみたいなものをつくっております。そういったような場合に、景色をじゃまをしたとした場合にはルートの変更をすることについて協議に乗ってくれという申し出がございましたのです。さいぜん申しましたように、それは三年間の期限につきであるというようなことは、こちらがけとばしましたのですが、そういう期限なしに、一応つくったからには将来こっちは絶対にルート変更には応じないということではないのだということでございまして、この程度のことは向こうの希望を入れておいても、送電が途中で中断するという問題もございませんし、それから経費の問題につきましては当然原因者負担になるものと考えます。そういったような点がございますので、これはこちらが一度引いた送電線は、幾ら国土計画のほうで言ってきても絶対に変えてやらないといったような意地悪はしないということになりますので、こちらといたしまして格別将来の大きな負担になる問題ではございませんので、向こうの希望どおりに覚え書きをかわしまして、着工いたしたわけであります。
  97. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこで乙の要請があった場合においては友好的に誠意を持って相談に乗らにゃいかぬ。相談に乗った結果、移転をするということになったら、原因者負担だから、この国土計画興業株式会社ですか、ここが負担をするのだということが、国鉄の態度ではっきりいたしました。はっきりしたけれども、友好的に誠意を持って協議するということは、ただ単なる期待だけであるということになると思うのです。期待権だけを持たしたために三億の補償をしたという例があるのです。これは一つ申し上げますと、電源開発株式会社が奈良県にダムをつくるときに、この道をつくりますという約束をしたわけです。そうしたら電源開発株式会社で計画が変更になったわけです。計画が変更になって、こっちへ行くからこの道路はつくらなくてもいいということになったわけです。しかしこの道路をつくるという約束をしたから、この道路をつくる補償をせよと言われて、三億円電源開発株式会社が奈良県に払って、奈良県は三億一般財源に入れた例があるのです。これは会計検査院報告書に載っておるのです。あるいは国鉄も例があるのです。何も影響のないところに景色補償をしたという近江鉄道の例です。近江鉄道という会社と、このいまあなたがやっておる送電線の会社との関係は同じじゃないでしょうか。同じだとするならば、いまあったことがまた将来ないとはいえないと思うのですが、その点をもう少し明確にしておいていただきたい。
  98. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 お話のございましたように、近江鉄道は西武系の会社でございまして、近江鉄道に関する交渉は全部主として西武鉄道の社長がいたしております。したがいまして、これも全く同じ系統でございます。しかし少し違いますのは、国鉄が違っておりまして、今後はこれはあくまで相互に誠意をもって友好的に交渉するのでございまして、先方が友好的、好意的でございませんければ、こちらとしては決して友好的、好意的にやるつもりはございませんし、今後はさような言いがかりにつきましては、少なくともこの問題なんかにつきましては、こちらは近江鉄道の二の舞いをするようなことはいたしません。
  99. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 近江鉄道と伊豆箱根、それから国土計画興業株式会社というものは、同じ立場にある人であるということが明確になりました。そうして伊豆箱根の三島から下土狩まで延ばすことについて、無許可の路盤工事を行なって鉄監局からやめさせられたわけでありますけれども、この用地は幾らでお買いになったのですか、最初の計画とむろん同じでお買いになったでしょうね。
  100. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 お話のありましたように、こちらの算定価格どおりに買収いたしました。数量的に申し上げますと、千四百九平米でございまして、五百二十八万五千八百四十円で買収いたしております。平米当たりにして幾らになりますか、これはこちらのほうで算定いたしまして申し出た価格でございまして、それをそのまま向こうが了承したわけでございます。
  101. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 三十七年の三月三十日に用地の譲り受けを申し込んだときは幾らだったでしょうか。
  102. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 同じ金額でございます。
  103. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 鉄監局長にお尋ねしたいのですが、この会社に対する処置は、具体的にはどういう処置をおとりになったのですか。
  104. 廣瀬政府委員(廣瀬眞一)

    ○廣瀬政府委員 先ほど申し上げましたように三十七年の四月二十五日に免許申請がございまして、もちろん免許をいたしておりません。それで通例鉄道敷設の目的がもうなくなったという場合には、従来運輸省のやり方といたしましては、却下という方法をとる前に免許の取り下げを慫慂いたしますが、目的もなくなったのだから鉄道敷設の免許の申請を取り下げてはどうかという話をしておりますが、いまだに取り下げてはおりません。
  105. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 免許の申請があって許可がないうちに路盤工事だとか、こういうようなことをやることは、法律的にはどうなんでしょうか。
  106. 廣瀬政府委員(廣瀬眞一)

    ○廣瀬政府委員 これはたしかこの前の運輸委員会でございましたか、そこでもいろいろ論議をされましたが、私どもは明らかに鉄道工事であるというふうに考えましても、会社のほうではいろいろ鉄道工事ではないというような言いのがれをいたしまして、事実認定の問題でいろいろむずかしい問題がございます。それで私どもは明らかに鉄道工事らしいということで名古屋の事務局を通じまして、強く工事の中止を指示いたしました。先ほど申し上げましたように会社のほうでは鉄道工事ではないというような強弁を一応しておりましたが、終局的には私どもの言うことを聞きまして工事を中止したというのがいきさつでございます。
  107. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 鉄道工事であったかなかったかというような問題、それから近江鉄道の問題、それから送電線の問題、会社が一つのようで都合がいいわけでありますから、これは次の機会に、決算委員会に関係者にきていただきまして、もう少しよくしっかりと確かめて、やはり正常な業務運営をやってもらうようにいたしたいと思います。そのときにまた対決をさせていただいて、十分ひとつ聞かせていただきたいと思います。  それでは次の問題に入りますが、国鉄の石炭の未収金でございますが、最近石炭の未収金は幾らあって、その処理はどういうふうにされることになっておりますか。
  108. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 昭和三十六年度から三十八年度末までの累計が延べ払いになっておるわけでございまして、これが合計をいたしまして約二十二億円になっております。これにつきましては、昭和三十六年の閣議決定に基づきましてそれぞれ三年の延べ払いになっておりますので、本来ならば本年の四月以降、それぞれ毎月の滞納額を三年の時期が到達したものから順繰りに払うということになるわけでございますけれども、その後さらにこの延べ払いを三十九年以降まで延長してくれというような要求がございました。その理由は、なるほどこの石炭の延べ払いの行なわれました原因が、石炭鉱業政策に基づく合理化の進行過程でいま石炭山が非常に苦しいというところから始まったわけでございますので、その後三十八年度末で合理計画が打ち切られるはずのところが四十二年まで延びた。したがって四十二年までこの措置を延長してもらいたいという要求が通産省その他からあったのでございますが、折衝の結果、結論としましては今後の石炭運賃の延べ払いはやらない。ただ、いままでたまったこの二十二億につきましては四十二年までさらに延長するということになりましたので、結局この二十二億円につきましては通算七年間の延べ払いということになったわけであります。
  109. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そうするとそのたな上げになった二十二億に対する金利は、どういうことになるのですか。
  110. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 これは前からの継続でありますので最初の決定そのままでありまして、金利はつけておりません。
  111. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 国鉄は、二十二億もたな上げにするほど経営事情はよろしいのですか。先ほどの御答弁の中で総裁は、国会でやられるもんでというお話がありました。国会ではこういうことをきめた覚えがないのですけれども、これは国鉄経営としてどうなんですか。
  112. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 国鉄としてはまことに遺憾でありまして、こういうことはやりたくなかったのでありますけれども、諸般の事情——これは国会ではございませんけれども、総裁国会または政府というふうに申されたのだと思いますが、その他との折衝の結果やむなくこういう措置をとったということでございまして、はなはだ残念に存じます。
  113. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 いや、その二十二億も取る運賃を取っていないということで、将来の見通しからいいましても、これは確実に取れる見通しになっているのですか。その点いかがですか。
  114. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 これは前の場合にも当然取れることになっておったので、今度四年延長したわけでありますけれども、これは国鉄の決心いかんでありまして、当然これは取らなきゃならぬというふうに思っています。
  115. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 国鉄の決心いかん、こういうことなんですけど、これは電電公社にも似たような例があるのですよ。警察の電話料の未徴収というのがあるんです。われわれ個人が電話料を納めなかったら直ちに差しとめにする電電公社が、警察の電話だけは長い間かかってもかまわない。キャッシュでなきゃ汽車に乗せてくれない国鉄が、何か知らないけれども法律に基づかずに裏のほうでごそごそやって、それで二十二億もたな上げにするというような経営状態ではないと私は思うのです。これほど経営状態がよかったら、先ほどから言っているように、少しは給料を上げなければならぬし、無理な合理化でなくて、合理化をやるについても十分話し合った形で合理化をしていく余裕があるはずだと思うのですよ。片方では合理化については無理むたいにやって組合とごたごたする。片方では上から押しつけられて、何か——前の木暮運輸大臣はこのことについて何かうまいことばを言いましたよ。「親は泣きよる」とか何とかいうことをこの前の運賃値上げのときに言っておりまして、まあしかたがありません、しかしあとで取れますからと、その当時こう言っておりました。ですから今度は確実に取れるだろうと思ったら、またたな上げになってしまった。総裁と河村理事がおってさえかくのごとくでありますから、これはやはり総裁、この次に確実に取れるようにしておかなければいかぬと思うのです。
  116. 石田説明員(石田礼助)

    石田説明員 勝澤さんに申し上げますが、相手が悪いんだ。とにかく民間ならこれはもう裁判に訴えれば、差し押えなり何なりできますが、政府の差し押えというものはできない。そこにやはり政府というものが信をもってちゃんと行動してくれなければ困る、こういうふうに思う。これはひとつ議会あたりで、官署よ、もう少し真実を守れ、こういうことをひとつきめていただきたい。
  117. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それでは、次に国鉄でできることをお話しましょう。会計検査院から三十七年度報告書に出されております「連絡運輸に伴う貨車使用料について改善意見を表示したもの」こういうことが出ております。そこで、最初に検査院からお尋ねしたいのですが、経過はこれに詳しく出ておりますが、これによって国鉄としては著しい不利益になっているようであります。これを是正することによって国鉄はどの程度の不利益を解消することができると思われますか。
  118. 宇ノ沢会計検査院説明員(宇ノ沢智雄)

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 答えを三つに分けて申し上げますと、まず定額料金を廃止した場合の三十七年度の連絡貨車使用料を計算いたしますと、これは三十七年の十月分の実績を調査した資料によって推定いたしましたものでございますが、増加額が二億二千二百九十八万七千余円となります。それからもう一つ計算といたしましては、片道空車を考慮いたしまして在線時間を七時間までのものに対しまして定額料金を適用いたしました場合の三十七年度の連絡貨車の使用料、これも推定額でございます。調査資料は先ほどの三十七年十月分の実績によるものでございますが、これによりますと約七千五百五十四万七千余円の増加額となる計算であります。それから三番目は、一社ごとに定額料金、走行料金計算しました場合の同様の計算によります推定額は、増加額にしまして四千二十三万四千余円、大体以上のようでございます。
  119. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 いまの御説明に対して国鉄のほうでは回答によりますと、料金改定については従来協議を行なってきた、こういう御答弁がなされておりますが、従来具体的にどういう国鉄の案をもって協議がなされ、今日まで実施されてこなかったか、経過について御説明願いたい。
  120. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 協議の内容は、ただいま会計検査院のほうから御答弁がありましたように、大体二億二千万円ぐらい増資になる内容の提案をして交渉しているわけでございます。それでその交渉のやり方は、私鉄は関係社が非常に多いものでありますから一々交渉するのは非常に繁雑でありますので、私鉄経営者協会、同時に運輸省にお願いいたしまして中に入っていただいて取りまとめをお願いしているのでありますけれども、なかなかスムーズにまいっておりません。今後ともに努力するつもりでございます。
  121. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 総裁お聞きのとおり、二億二千万ばかりもうかる話があるわけですね。これは運輸省だけで話がきまることなんですね。今日までそれが実は行なわれてこない。長い間相談をされてきた。そこで、これはいかがでしょうか。鉄監局長もおるわけですけれども、具体的にいつごろまでにこれは解決できる見通しなのでしょうか。
  122. 廣瀬政府委員(廣瀬眞一)

    ○廣瀬政府委員 ただいま会計検査院から御指摘がございましたように、従来の計算方式は不合理なところがございますので、改善をするように御指示を受けておりますが、従来この方式で国鉄と私鉄の間で計算をしておりましたので、やはり二億何千万円国鉄のほうがもうかる、と申しますことは、逆に申せば私鉄のほうはそれだけ損害をこうむる。その制度が不合理でありましても、従来やはりこういう制度でやっておりましたので、私ども中に入りまして、なるべく両者円満にいくようにというふうに考えております。御承知のように、私鉄も、特に貨車を扱っておりますのは中小私鉄でございますが、非常に経営も苦しゅうございますので、その辺、間に立ちまして両者うまくいくように努力をいたしておるわけであります。
  123. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 会計検査院局長に申し上げますが、お聞きのとおりなんですね。こういう問題はやはりいままでもお気づきになっていると思うんです。しかし積極的に意見が出てきて、いまのような状態なんです。まあ私は、またこれを何年放任されるかということで楽しみにしているのですけれども、従来もやってきたことなんですから、せめて改善意見が出てきたら、もうこれは何としてもそれを実施に移さなければならぬというところまでいかなければ、これはやはり問題だと思うんです。もしそれでもなおかつやらないのだったら、やはり別途の立場でこれを行なわせるようにしなければいけないと思うんです。この改善意見あるいは改善要求、こういうものについての取り扱いについてはぜひ——いまの鉄監局長の言ったことは各省みな共通していることなんです。同じ考え方なんです。検査院から言われ、行管から言われ、また検査院から言われ、そしてこのごろになってようやく改善意見、是正意見が出てきて、それでもなおかつ放任されているというのが実情なんですから、これは私、総理府なり会計検査院長なりに一度来ていただいて、やはりしっかりしてもらわなければいけないと思うんです。どちらがもうかるとかもうからないとかいうことは別問題として、やはり筋を通すやり方をしなければいけないと思いますので、これはひとつ会計検査院のほうでも十分そこをお考えになっていただいて、今後のやはり行政の非違を正す立場から、取り上げ方について積極的に時期を見てやっていただきたいと強く要望いたしておきます。
  124. 押谷委員長代理(押谷富三)

    押谷委員長代理 ちょっと総裁質問漏れがありますから、この際お尋ねをしたいのですが、この新幹線の車両の発注をせられたときの形式は入札であったと思いますが……。
  125. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 これは世界銀行から借款をいたしました関係もございまして、国際入札にするというのが世界銀行からの借款の条件になっております。したがいまして、日本のメーカーは連合しまして外国の商社とともに入札いたしまして、落札という形になっております。
  126. 押谷委員長代理(押谷富三)

    押谷委員長代理 それじゃお尋ねいたしますが、このときには外国の商社は全部入札に来なくて、日本の連合のほうが一つで入札が行なわれたということでありますが、そのとおりですか。
  127. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 そういうふうに了解しております。
  128. 押谷委員長代理(押谷富三)

    押谷委員長代理 そこで伺いたいのですが、この入札の制度におきまして、入札資格者が大ぜい来て、お互いに談合をして、そうしてその落札者をきめるというような裏の行動をした場合においては、これは談合罪で罰せられることになっておることは御承知のとおりなんです。ところがこの国鉄の新幹線の車両におきましては、談合は実は行なわれ得るという形にあって——正確な談合ができるというのは、日本のメーカーの合同の会社、大メーカー全部加わった一つの会社だと思うが、そうじゃありませんか。
  129. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 名前はどういう名前だったか、たしか何々連合という名前だったと思いますが、結局各メーカーの連合体という形で入札をした形式になっております。
  130. 押谷委員長代理(押谷富三)

    押谷委員長代理 わかりました。そうすると、日本の大メーカーが連合して入札は一本に入れるということになるのですね。もちろん外国は入ってきておらぬという場合において、大メーカーが連合したその一つが入札すれば、連合ということは大メーカーの間において十分打ち合わせをしてきているということになると思うのですが、この形は法律に禁止される談合の裏をいくように思われるのです。これは実際の問題じゃないのですよ、これは理論的にどうも公取法にも違反するように思われますが、この連合体一本で入札をさすということの形を認許されるということは、私はちょっと解せないのですが、その辺はどうなっておるのですか。
  131. 石原説明員(石原米彦)

    ○石原説明員 私もその点の法規的な関係は十分に存じておりませんが、この場合は国際競争入札でございますので、外国も、特に欧州などは英、仏、イタリアが合同で入札に応ずるというような場合も多数ございます。たとえばタイの入札とかなんとかの場合そういう形式がございまして、国を異にするものまでもが連合いたしまして応じてきている場合がございます。そういうような大工事の大入札になりますとそういう形がだいぶできてきておりますので、これは外国との競争ということで負ければ日本はゼロになってしまいますので、やはり入札の形式に十分なっているのだと思います。
  132. 押谷委員長代理(押谷富三)

    押谷委員長代理 その点はわかるのですけれども、ところがこの場合においては外国は一メーカーも参加しておらぬのです。日本の連合体一本で入札が行なわれたのです。そうすると、この入札は大メーカーが話し合いをして金額を定めて入札をした、そういうような一つの大問題、これは国鉄の車両の発注でありますから、受注者が日本の大メーカーが集まって連合体一本でやる、それから後の交渉もみな、これは一ぺんで話がまとまらないでいろいろ話し合いをせられたのですけれども、一ぺんで話がまとまることもこれからあり得るのです。そうなると、連合体一本で外国の商社はどこも入らないでやるときには、法律の禁止する談合ということが裏に行なわれているということが現実なんです。そういう形は好ましからざる形だと思うのですが、総裁としては、この車両発注における入札の形式が、連合体でなされたということについて、どうお考えになっておりますか。
  133. 石田説明員(石田礼助)

    石田説明員 私は、その問題についてはあまり詳しく存じませんので、あなたの言うことは、私何だかごもっともだと思います。よく調べてからお答えいたします。
  134. 押谷委員長代理(押谷富三)

    押谷委員長代理 その辺のところをよくお考えいただきまして、これは法律の裏を行くものだと思うのです。入札の場合は、談合を禁止する、談合は犯罪だ、こうなっているんですから、そうすると、競争入札する者が、お互いの間において談合して、何ぼ入れる、だれに落とすということになることはいかぬのです。ところがこれは連合体だったら、話し合いをするもせぬもない、裏でしっかり相談をして入札をするのですから、明らかに談合なんです。それは談合ということばには、法律上はならぬかもわかりませんが、少なくとも一社だけが独占して他の競争入札は一切できないような形において、またしない形においてやっていく。国鉄新幹線の車両の発注、この問題については疑義があると思いますから、ひとつ御研究をいただきたいと思います。
  135. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 国鉄のほうにお尋ねいたしますけれども、この監査報告書の中で、高架下の使用の状態それから不法占拠の現況等が出されておるのでありますけれども、その後の処理状況はどうなっていますか。
  136. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 これは昭和三十三年四月に高架下管理刷新委員会というものの答申がありまして、それに基づいて刷新措置要綱というものをこしらえまして、それによってあやしげなものの整理をその後やってまいりまして、現在高架下の総貸し付け件数が昭和三十三年八月スタートしたときには、貸し付け総件数千九百七十三件でありますが、そのうちいわゆる転貸、賃貸というものに属するものが六百六件あったわけでございます。それが昭和三十八年十二月現在では、貸し付け総件数が二千三百七件でありますが、そのうち転貸、賃貸に属するものが三百一件ございまして、総件数はふえておりますけれども、逆に第三者使用と見られるものは、三百五件を処理してあるということでございます。しかしながら現在まだ三百一件残っておるわけでありますが、そのうちいわゆる転貸、いわば通り抜けで貸している悪質なものが十五件ありますが、なかなか入居者が能力がなくて買い取りが不可能であるとか訴訟中のものとかいろいろなものがございまして、この十五件は非常に難航いたしております。そのほかの二百六十九件賃貸しが残っておりますけれども、これは使用名義人が国鉄から高架下の使用承認を受けまして、これに自分でもって造作をいたしまして、それでいろいろな使用目的でほかに貸しているというものでありますけれども、こういうものはどうも一般の社会常識上、法律的にこれを無理やりに押えるという方法がございませんので、むしろ常識化しているという状態なんでありまして、これはどうもこれ以上追及いたしましても、常識に反する結果になると思いますので、これはやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。したがって純粋の転貸で国鉄から高架下を借りまして、そのまま通り抜けでよそに貸してしまっているという十五件だけは、これから何とか征伐したいと思いますが、そのほかについては、これくらいの程度はやむを得ないというふうに考えております。
  137. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 不法占拠のほうはどうですか。
  138. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 不法占拠の実情は、きょう資料を持ってまいりませんでしたので数字がございませんが、現在まだ東京、大阪付近にある程度残っておりますけれども、いずれもこれは訴訟係属中でございます。
  139. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 両方の高架下の問題、それから不法占拠の状態については、特に悪質なものの概況について資料としてぜひお出し願いたいと思います。よろしゅうございますか。——そこで最後に、新幹線の高架下の問題というのが最近いろいろ言われておるわけでありますけれども、これについての取り扱いはおきめになったのですか。どういう方針なんでしょうか。
  140. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 新幹線の高架下につきましては、現在大体でき上がりつつあるわけでありまして、総延長が高架の部分が百三キロございます。このうち用地買収の際にそこに入れてやるということを条件に用地買収が成立したものがございまして、これが九・九キロございます。そのほかにいわゆる民衆高架、これはたとえば名古屋等で、高架にするとき地元が金を出して、地元の応援を得て工事をした、こういうものについては当然に条件がありますので、この出願者に貸してやらなければならぬ。こういうものが一・八キロございまして、結局残ったものが七十一キロばかりあるわけであります。これらにつきましては、まだ現在貸し付けの方針はきめておりません。とにかく不法占拠されないように管理を厳重にしているわけでございますけれども、大体の方針としましては、これをばらばらに貸し付けますととは、新幹線の美観をそこなうという意味もありまして、また国鉄が一々こまかい相手と長い延長のものを折衝していきますことは、かえって弊害を伴うおそれもありますので、できることならば高架下を一括して管理する会社をこしらえまして、そこでもって新幹線の美観をそこなわないような統一的な造作をやらせまして、その会社を経由して貸し付けをきめる。その貸し付けの方針はもちろんきめますけれども、じかに国鉄が当たることをしないでこの会社にやらしたらどうかというふうなことを現在考えております。いずれにしましてもこれはあわてる必要のないことでありますから、開業をいたしましてからゆっくりやりまして、その間は不法占拠をされないようなことだけ厳重にやっていけばよろしいというふうに考えます。
  141. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 慎重にやらなければならぬことは当然ですけれども、現実にいま貸すことが可能ならば、貸すほうが国鉄としては収入になるのですから、そういう点も勘案して、新幹線が開通前でもあるいは今日でも、貸せばそれだけ収入として国鉄に上がるわけですから、その貸し方が問題にならなければいい。ですからそういう点につきまして、私もいろいろ意見を持っていますけれども、一応とにかく慎重にやらなければならぬことと同時に、やはり必要でないならば、早く貸せることが国鉄としての利益になるということを申し上げておきたいと思います。  あといろいろありますけれども、きょうはこのくらいで。      ————◇—————
  142. 押谷委員長代理(押谷富三)

    押谷委員長代理 この際参考人の出頭要求についておはかりいたします。  すなわち、国が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等の交付をしているものの会計に関する件調査のため、本委員会に参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 押谷委員長代理(押谷富三)

    押谷委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人の出頭の日時及び人選等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 押谷委員長代理(押谷富三)

    押谷委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時一分散会