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1964-03-24 第46回国会 衆議院 決算委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十九年三月二十四日(火曜日) 午前十時二十七分
開議
出席委員
委員長
白浜
仁吉君
理事
押谷
富三君
理事
鈴木 善幸君
理事
田中 彰治君
理事
竹山祐太郎
君
理事
片島 港君
理事
勝澤
芳雄君
理事
山田
長司
君 菊池 義郎君 湊 徹郎君
栗原
俊夫
君
森本
靖君 吉田 賢一君
出席政府委員
農林政務次官
丹羽
兵助君
農林事務官
(
大臣官房長
) 中西 一郎君
農林事務官
(
農林経済局
長) 松岡 亮君
農林事務官
(
農政局長
)
昌谷
孝君
農林事務官
(
農地局長
)
丹羽雅次郎
君
委員外
の
出席者
農林事務官
(
大臣官房企画
室長)
大和田啓気
君
農林事務官
(
畜産局参事
官) 吉岡 茂君
会計検査院事務
官 (第四
局長
)
小沢
定司君
会計検査院事務
官 (第五
局長
) 宇ノ
沢智雄
君
農林漁業金融公
庫総裁
清井 正君
農林漁業金融公
庫監事
河井大治郎君 専 門 員 茨木 純一君
—————————————
三月十八日
委員栗原俊夫
君及び
森本靖
君
辞任
につき、その
補欠
として
野口忠夫
君及び
松浦定義
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員野口忠夫
君及び
松浦定義
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
栗原俊夫
君及び
森本靖
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
参考人出頭要求
に関する件
昭和
三十六年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
三十六年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
三十六年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
三十六年度
政府関係機関決算書
昭和
三十六年度
国有財産増減
及び現在額総
計算
書
昭和
三十六年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
昭和
三十六年度
物品増減
及び現在額総
計算書
昭和
三十七年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
三十七年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
三十七年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
三十七年度
政府関係機関決算書
昭和
三十七年度
国有財産増減
及び現在額総
計算
書
昭和
三十七年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
昭和
三十七年度
物品増減
及び現在額総
計算書
(
農林省所管
、
農林省関係政府関係機関関係
) ————◇—————
白浜仁吉
1
○
白浜委員長
これより
会議
を開きます。
昭和
三十六年度
決算外
三件及び
昭和
三十七年度
決算外
三件を一括して議題といたします。 本日は、
農林省所管
について審査を行ないます。 まず、
丹羽農林政務次官
より
概要
について
説明
を求めます。
丹羽兵助
2
○
丹羽政府委員
昭和
三十六年度及び
昭和
三十七年度
決算外
三件の
概要
につきましては、お
手元
に印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知おきいただきたいと思います。 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
白浜仁吉
3
○
白浜委員長
委員各位
のお
手元
に配付してあります
昭和
三十六年度及び
昭和
三十七年度
決算
の
説明書
は、
便宜委員会会議録
に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。 次に、
会計検査院当局
より
検査
の
概要
について
説明
を求めます。
小沢会計検査院
第四
局長
。
小沢定司
4
○
小沢会計検査院説明員
昭和
三十六、三十七両年度の
決算検査報告
の
概要
について御
説明
申し上げます。三十六年度は
工事
が三件で一千五百七十六万九千余円、
物件
が十二件で五千六百四万余円、
保険
が二十三件で三千六百六十三万一千余円、
補助金
が百七十四件で七億四千二百十九万三千余円、
役務
が一件で百三万四千余円、計二百十三件、八億五千百六十七万一千余円となっております。 三十七年度は
工事
が三件で五百六十万円、
物件
が八件で三千六百十二万八千余円、
保険
が三十件で一億五千七百八十二万六千余円、
補助金
が二百四十九件で十一億八百九十五万三千余円、計二百九十件、十三億八百五十万八千余円となっておりまして、三十七年度の件数、
金額
が三十六年度に比べまして
増加
いたしましたのは、主として
保険
及び
補助金
においてでありまして、
保険
のうちでは、
農業共済保険
において
農業共済金
の
経理
が適正を欠いていたもの一億二千一百四十七万余円の
増加
があり、
補助金
のうちでは
災害復旧事業
の
工事
の
完成
前に
早期検査
を行ないましたところ、
現地
の
確認
が十分でなかったため、
設計過大
となっているものなどが多数見受けられたもので、三億一千八百十万八千余円の
増加
があったためであります。 ただいまから
個別案件
につきまして、
検査報告
に記載いたしてございます
順序
に従いまして、簡単に御
説明
申し上げます。 まず
工事費
についてでございますが、三十六年度の一八五号は、
仙台農地事務局
で
水路隧道工事
の
施行
にあたりまして必要以上に
工事
の
準備期間
を見込みましたために、ひいて
予定価格
の積算において
請負業者
の持ち込みます
機械器具
の損料、それから
坑内水
かえその他
保安管理費等
諸
経費
におきまして余分の
工事費
を計上する結果となったという
事案
でございます。 一八六号も、同じく
仙台農地事務局
で、
隧道工事
の
予定価格
を積算する際に、
工事
に使用いたしましたドリフターの性能を過小に見込みましたことなどによりまして、一日当たりの掘さく速度を低めに見込みましたために、
工事費
が高価になっていると認められるものでございます。 一八七号は、
高知営林局松山営林署
で、
村有
の
林道
と
官行造林地
とを結びます
林道
の新設にあたりまして、この種の
林道
につきましては
地元公共団体
に
工事費
の三分の一
相当額
を負担させる取り扱いになっておりまするのに、国が
全額負担
で
工事
をいたしたいという
事案
でございます。 次は三十七年度の
工事
でございまするが、二三五号は、
京都農地事務局
で、
堰堤工事
の
施行
にあたり、別途遊休している
大型機械
の活用を考慮しないで掘さく
土量
に比べ小型の
積み込み機械
を使用いたしましたために、ひいて
積み込み運搬費
が不
経済
になったという
事案
でございます。 二三六号は、
秋田営林局
で、
林道路面
の不陸ならしの
経費
を誤って過大に計上したというものでございます。二三七号は、東京の
農地事務局
におきまして、茨城県に
施行
させている
代行干拓建設事業
におきまして、
サンドポンプ
の
排砂管
及び同受けワクの敷設の
設計
が適切でなかったために
工事費
が不
経済
になっているという
事案
でございます。 次に
物件
について申し上げます。 三十六年度一八八号から一九〇号まで及び三十七年度の二三八号と二三九号は、いずれも
当該
の
食糧事務所
におきまして、一定の
条件
をつけて売り渡しました
原麦
について、売り渡し後の
条件
の
履行確認
の
処置
が適切でなかったために
違約金
を徴収する要があると認められる
事案
でございます。 また、三十六年度の一九一号、三十七年度の二四〇号の両件は、
自作農創設特別措置特別会計
に所属いたしておりまする
財産
の
管理
が適切を欠いているという
指摘
でございまして、これにつきましては、別途三十七年六月
農林大臣
に対しまして、三十六年
検査報告
の百八ページ以降に記載してございますような
是正改善
の
措置
を
要求
いたしております。 それから三十六年度の一九二号から一九九号まで及び三十七年度の二四一号から二四五号までは、
国有林野事業特別会計
に所属いたします
土地
を有償で
貸し付け
ているものにつきまして、その
貸し付け料
の算定が妥当を欠いているために
貸し付け料
が著しく低額となっていると認められるものでございます。 次は
役務
について申し上げます。 三十六年度の二〇〇号は、輸入ふすまの
保管料
の
支払い
にあたりまして、すでに
当該
ふすまが
内国貨物
となっておりまするのに誤って
外国貨物
としての割り増しを含めましたために過払いとなっているというものでございます。 三十七年度については
役務
の案はございません。 次は
保険
について申し上げます。 三十六年度の二〇一号から二一七号まで及び三十七年度の二四六号から二六八号までは、
農業共済保険事業
の
運営
が適切でないという
事案
でございまして、これにつきましては、毎年
検査報告
で
指摘
してまいりましたが、さきの国会におきまして
農業災害補償法
の一部
改正
が行なわれ、本制度の
運営
に著しい
改善
が加えられておりまするし、また
農林省当局
におかれましても一そう強力な
指導監督
をするということでございまするので、このような不当な
事例
は逐次
改善
されるものと期待いたしております。 それから三十六年度の二一八号から二二三号まで、及び三十七年度の二六九号から二七五号までは、漁船再
保険
の
支払い
にあたりまして、
組合
の
損害調査
が十分でなく、
てん補額
が過大に認定されているのをそのまま認めて過大な
支払い
をいたしましたり、あるいは
保険事故
でないものに対しまして再
保険金
の
支払い
をしているという
事案
でございます。 次は
補助金
について申し上げます。 三十六年度の二二四号から二七八号まで、及び三十七年度の二七六号から五二四号までは、いずれも
公共事業関係
のものでございまして、
工事
の
施行
が粗漏となっているもの、
工事
の出来高が不足しているもの、あるいは
事業主体
が正当な
自己負担
をしていないものなどでございまして、
事態
といたしましては毎年
指摘
しておりまするのと大体同様でございまするが、この種、不当な
事例
が近時かなり
増加
の傾向にございまするのは、相次ぐ大
災害
などのために
工事量
が漸増いたしておりまするのに対しまして、
事業主体
、特に市町村、
組合
などにおきまして、
工事
の
実施体制
が不十分なために現場の
指導監督
が十分に行なわれなかったり、あるいは請負人の選定が当を得なかったりしましたことが、そのおもなる
原因
となっていると思います。 また三十六年度の三七九号、三十七年度の五一〇号は、
災害復旧事業費
の
査定
を了したものに対しまする
早期検査
の結果でございまして、
農林
、
建設両省
で
重複査定
をいたしておりますもの、
被災
していないものまたは
被害
が軽微であったりしているのに
災害復旧
の
査定
を受けて
改良工事
を
施行
しておるものなどについて
検査
の結果を
当局
に
注意
いたしましたところ、その
注意
に基づきまして
当局
が
査定額
の
減額是正
をいたしましたものでございます。これも三十六年度が前年に比べて
増加
いたしておりますのは、三十六年
災害
が三十八年
災害
に次ぐ大
規模
な
災害
でございました
関係
で、
関係者
の
現地調査
が不十分でありましたこと、特に
被災施設
の原形、及び
被害
の
原因等
についての
調査
が不十分なままに改良的な
設計
によって
復旧
されることとしたいこと等によるものと認められます。また三十七年度の
指摘
が三十六年度の
指摘
に比べましてさらに
増加
しておりますが、これは三十七年
発生災害
が、
特定
の
地域
に集中いたしまして、
関係者
が
査定
時に
現地調査
を十分に
実施
できなかったことによるものと認められます。 次に、三十六年度の三八〇号から三九七号まで、三十七年度の五一一号から五二三号までは
一般補助関係
のものでございまして、
補助
の
対象
と認められない
事業
に対して
補助金
を交付しておるもの、
補助
の
目的
を達していないもの、または
事業量
が不足しているもの、過大な精算を行なっているものなどを
指摘
しておりますが、三十七年度におきましては
農業委員会
が
農家台帳
の補正並びに
農業労働力調整協議会
の設置及び
運営
を行なう
農業委員会特別事業
につきまして特に
調査
を行なった結果を掲記いたしております。 三十七年度の五二四号は、
食糧庁
で
全国販売農業協同組合連合会
に対しまして交付いたしましたなたね
生産者団体等交付金
の
調査
が十分でなかったため、
交付対象
としてならないものに交付されたり、あるいは
生産者
に交付されなかったりしたものが見受けられたという
事案
でございます。 以上申し上げましたように、
公共事業
を含めまして
補助金全般
の
経理
につきまして
例年同様適切
を欠く
事例
が多いので、
関係当局
における
指導監督
をなお一そう強化する要があるものと認められます。 次に
改善要求
及び
意見表示
を行ないましたものについて申し上げます。 三十六年度におきまして
改善
の
処置要求
または
改善
の
意見
を表示いたしましたものは、
全文
を同
検査報告
の百二ページ以下に掲記してございますが、
改善
の
意見
のほうから申し上げますと、百四ページの二号は、
土地改良事業
によって造成いたしました
埋め立て地
を転用する場合における
造成費
の回収についての
意見表示
でございまして、その
概要
を簡単に申し上げますと、
土地改良事業
によって造成いたしました
埋め立て地等
を国から
農地
に使う
目的
で買い受けましたものなどを、
取得
後直ちに、または
取得
後間もなく
工場用地等
に転売いたしました場合、当初国が
農業
の用に供する
目的
で多大な費用を投下して造成いたしました
土地
が、
農業目的
にほとんど供されないまま他の
目的
に転用されたにもかかわらず、
当該造成費相当額
の大部分が回収されていないという不合理な結果を来たす事柄がございましたので、
法令改正
など適切な
処置
を講ずる要があるという
意見
でございます。 三号は、
国営農業水利事業
とこれに付帯いたします
都道府県
営及び
団体営
の
補助事業
の
施行計画
について
改善
を要するものでございますが、
国営農業水利事業
とこれに付帯いたします
都道府県
営及び
団体営補助事業
の
施行
にあたりましては、
基幹施設工事
と
付帯施設工事
とが、その進捗が跛行しておりますために、すでに
完成
をいたしている
基幹施設
が十分な効果を発揮できないで不
経済
な結果を来たしているということで、これらについて適切な方途を講じられるよう
改善
の
意見
を表示いたしております。 それから
改善処置要求
のほうは、
先ほど
申し上げました
自作農特別会計所属財産
の
管理
が適切でないという点につきまして
改善処置
の
要求
をいたしております。 次に、三十七年度につきまして
改善処置要求
または
改善
の
意見
を表示いたしましたものにつきましては、その
全文
を三十七年度
検査報告
の一〇七ページ以下に掲記してございますが、一一六ページの四号は、
都道府県
における
各種補助事業等
を
施行
するため、
事務費補助金
の
経理
にあたりまして、数種の
国庫補助事業
あるいは県の
単独補助事業経費
、こういうものを一括
経理
しておりまして、その
区分経理
が明確でないという点につきまして適正な
経理方法
をとるよう
改善処置要求
をいたしたものでございます。 それから次に五号は、
米穀販売業者
に売り渡しました
米穀
を
販売業者
が販売いたしました場合の
価格
が、
物価統制令
に基づきまして
農林大臣
がその
統制額
を指定することができることになっておりまして、これによりまして、その
統制額
を改定した場合
販売業者
が手持ちしておりました
米穀
が
新旧価格
の間に
開差
を生じ、
差損
あるいは
差益
を生ずることになりますが、この
差損
あるいは
差益
の
処理
につきまして何らの
処置
が講ぜられておりませんので、これについて適切な
処置
を講ずる要があるというものでございます。 六号は、
国有林野事業特別会計所属
の
行政財産
のうち用途または
目的
を妨げないものとして
地方公共団体
に
貸し付け
ているもののうち、実際に恒久的な
施設
に使用させておりまして、将来においても長期間にわたり国における
森林経営
の用に供される見込みがないというものが多数ございます。これらのものにつきましてやはり適切な
処置
を講ぜられる要があるのではないかという点の
改善処置要求
をいたした
事案
でございます。 簡単でございますが、これで
説明
を終わります。
白浜仁吉
5
○
白浜委員長
次に、
政府関係機関当局
である
農林漁業金融公庫
より、
資金計画
、
事業計画等
についての
説明
は、
便宜委員会議録
に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。 これにて
説明聴取
を終わります。
—————————————
白浜仁吉
6
○
白浜委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の通告がありますので、
順序
これを許します。
勝澤
君。
勝澤芳雄
7
○勝
澤委員
会計検査院
にまず
最初
にお尋ねいたします。 ここ数年間の
農林省
の
会計検査
の
実施
の
状況
によって、国の予算の中におけるところの不正、
不当指摘事項
が増大をしているようでありますが、この経緯と
原因等
について、まず
最初
に御
説明
願いたいと存じます。 〔
委員長退席
、
押谷委員長代理着
席〕
小沢定司
8
○
小沢会計検査院説明員
近時
農林省関係
の
検査報告
が増大しております
点等
につきまして、
先ほど
も
概要説明
の中で少し申し上げましたが、いわゆる
事前検査
というものを行ないます場合の
査定金額
が飛躍的に非常に増大してきております。三十六年度分の
査定金額
が非常に増大してまいっておりますのは、
先ほど
も申し上げましたように、三十六災が二十八災に次ぎます大
災害
で、
当局
の
査定金額
も非常に多くなっておる。これも二十八年以来、全然見られない大きな
査定金額
になっておりまして、したがいまして、こうした不時の際における
当局
の
査定
ということが十分に行きわたらないというような
関係
が主たる
原因
じゃないかと思います。 それから三十七年度の
金額
がふえましたのは、これも
先ほど
申し上げましたように、
特定地域
と申しますと、北海道、佐賀、
長崎
でございまするけれ
ども
、こうしたところに
災害
が集中したという事情がございます。したがいまして、そういう
関係
で総体的に
査定官
の活動と申しまするか、そういったことが手薄になってくる。それから
長崎
県について申し上げますると、三十二年災がありましたあとのさらに
災害
でございましたので、
当局
におきましても気を配りまして、基本的な
設計——
十年
確率
あるいはそれ以上の百年
確率
というような
確率
を見込んだ非常ながんじ
ょうな水路
の
復旧
というような
計画
を立てて、これを流しておりますが、その流しました結果を、
被災
のないようなところあるいは
被災
の非常に軽微なところあるいは
上幅
二メートル
程度
のほんのわずかな
水路
で立てましたような
計画
による
復旧
というような
災害復旧
として適しないというようなものまで申請してきている。そういうものについてやはり非常に集中的な
災害
でございまするので、
査定
のほうにおきましても、手が行き届かなかったというような点をわれわれのほうで
指摘
したというような点が、
増加
してきているおもな
原因
かと存じます。そのほか考えられますることは、国の
財産
の
管理
につきまして、特に二、三年来
相当力
を入れて
検査
をいたしてまいっております。この
財産管理
の
問題等
についての
指摘
も、近時私
ども
のほうで
注意
をしてまいっております
関係
で、非常にふえてきておるという次第でございます。
勝澤芳雄
9
○勝
澤委員
相撲の位で言うと
農林省
は
横綱
だ、こう言われておりますが、まさに
横綱格
に
検査院
から
指摘
された
事項
が多いと私は思うわけであります。しかもその多い中で、
検査院
が
指摘
をされてもそれが数年間放てきされておって、それに対して何ら是正する意欲がない。これは一体どこにそういう
原因
があるのですか。
農林省
という役所は、
会計検査院
はどういうふうにお考えになりますか。
小沢定司
10
○
小沢会計検査院説明員
それはいろいろ
事態
によって異なるかと思いまするが、
先ほど
申し上げましたように、たとえば
自作農創設特別会計所属
の
財産
につきまして、数年来、三十三年に一回やりましたが、そのときはかなり小
規模
であった。ここ二、三年
相当
大
規模
な
検査
をいたしまして、
相当
大きな
指摘
をいたしております。その
自作農創設
の
土地
の
管理
と申しまするものは、
農地法
にも
都道府県知事
に委任することができるという
委任規定
がございまするし、それから
農地委員会
、これは法的にはどの
程度
か私よく存じませんけれ
ども
、とにかく国、
都道府県
それから
農地委員会
という三者がそれぞれの形で
管理
している仕組みになっておりまして、その
管理体制
というものが、その重点の置きどころといいますか、そういうものが必ずしも明確でなかったということと、それからこの問題は、御承知のように
終戦
直後からの問題でございまして、
相当
長年にわたったその
土地
についての権利、
義務関係
というようなものも生じてまいっておるような
関係
でございまして、
農林省当局
におかれまして
体制
を整えて、これから本腰を入れて解決するという御意向のように私聞いております。またその方向におそらく逐次進んでいくものと思っておりますが、いま申し上げましたような
関係
で、直ちに抜本的にこれが一挙に解決できるという性質の問題ではないように感じております。ただ、私
ども
のほうといたしましては
十分調査
をいたしまして、
調査
した結果を
検査報告
にも掲記し、
農林省当局
に対しましても
注意
を促して、できるだけ早くこういう
事態
の解決ができるように期待している次第でございます。
勝澤芳雄
11
○勝
澤委員
私は、
会計検査院
のなまの率直な
意見
を言っていただけばいいと思うのです。別に
農林省
の弁護をする必要はないと思う。私がなぜこう言うかといいますと、これは
会計検査院
であなたがいま
内輪
の御
説明
をされましたが、その
内輪
の御
説明
であるこの
検査報告書
を見てさえも、実は
国民
の一人として腹が立つような
経理状態
だとこれに書かれておるわけです。
政務次官
もいらっしゃいますから、
一つ一つ
私具体的に申し上げますと、たとえば
農林漁業金融公庫
、
昭和
二十八年以来
貸し付け
後の
管理
について
改善
をせよと
要求
されてきた。それが
昭和
三十七年までほったらかされておる。三十七年十月二十二日に
改善要求
が出て、それに対する
回答書
を見ましたら、この
回答書
でこのことが実行できるとするならば、一体この
総裁
というのは何をしておったのか、
監督官庁
である
農林大臣
は何をしておったのかと言わざるを得ないような結果になっている。それから
農業共済
の
保険事業
の
不正事件
を取り上げてみますと、これももう数年間ずっと
指摘
をされているわけです。
目的外
に使用されている。どんなところに使っているか。温泉に行くのに
保険金
が使われておったというような事実も出ておるわけであります。あるいは今度は
国庫補助金
を見ますれば、三十七年度に
指摘
された中身を見れば、
都道府県事務費
に対する
補助金
については、
農林省
は今日まで指導した形跡なしと
意見書
に書かざるを得ないところまでほったらかされておったわけであります。あるいはまた
国営農業
の
水利事業
、三十二年に
指摘
をしたが、三十七年度までほったらかしておりました。前の
会計検査院長
は、あまり
是正改善意見
については出すのが好きでなかった。今度の
検査院長
になって、
決算委員会
で
指摘
をしたら、それならといってようやくぼつぼついま
内輪
な
指摘
をされておるのが、今日の
状態
でございます。あるいはまた今度は
食糧庁
、三十六年度に
原麦
を違法な
処置
をして
返還命令
まで、罰金までとられておきながら、三十七年に
検査
したら同じような
状態
で放てきされておった。見られたところが損して、見られないところが得したと思ったら、その翌年にやられた。やられたら返せばいいだろう、こういう
処理
の仕方をしておる。あるいは林野庁はどうか。
土地
の
貸し付け料
がまさに
常識外
に安いままほったらかされておる。いま
会計検査院
は
自作農創設
を言いました。まさに
終戦
当時の
状態
に放てきされている。これだけではないのです。これが今日の
農林省
の
会計検査院
が
検査
をした実情なんです。これは私は
国民
の一人として黙視するわけにはいかないわけです。そういう点で
政務次官
も、私がこれから
一つ一つ
具体的な問題について
指摘
をしていきますので、いままで十年かかって直らないことですから、あしたに直すというのは無理かもしれませんけれ
ども
、せめて
大臣
なり
政務次官
なりが役人をきっちり取り締まって、そうしてやはり不正、不当な使用というものは厳に慎まなければいけないと思うのです。 そこで私は、特に一番露骨な問題から取り上げてみますと、三十六年度の
土地改良事業
についての
指摘
をされております、
岡山農地事務所
で扱った
倉敷地先
の
公有水面
の
関係
であります。この
関係
は、三十四年の三月、これで見ますと、六十三名に二十四万三千六百坪の配分通知をした。それが三十六年十月に岡山県開発公社に六億一千万円で売られてしまった。しかし実際には
造成費
を一億八千百三十二万四千三百八十六円使って、時価六億一千万円でこれが売られて、国は二千万円しか回収することができない。この二千万円の回収金は、どういう形で何年間でとるのですか。
丹羽雅次郎
12
○
丹羽
(雅)政府
委員
農民に干拓地を配分いたします場合に、
農業
に使用いたします場合には二十五年賦でもって回収をいたす、こういう制度に相なっております。 ところで本件の問題は
農業
用に配分をいたしましたので、
農業
者はいま申し上げました年賦額で払えばいい。そうしてその限りにおいて所有権を
取得
いたします。ところがこの
土地
は他用途に転売をされました
関係
上、
農業
用に売る
目的
でそういう安い値段で売ったのに対して、それを配分いたしましたあとで他用途に売ったのは不当ではないか、こういう御
指摘
でございましたので、私
ども
といたしましてはいろいろ検討いたしました結果、今国会に、農民に配分いたしましたものを八年以内に他用途に売る場合には、
造成費
を特別徴収をすることができる法律の
改正
案を提出いたしておる次第であります。
勝澤芳雄
13
○勝
澤委員
一億八千万使ってとにかく
農地
をつくった。一億八千万使った。それを二千万円で売った。その二千万円を回収するのは十五年ですよ。二千万円を十五年間で取るのですよ。二千万円で買った
土地
を六億一千万円で売ったのです。六億一千万円で。一体
農林省
というのは、農民に金もうけをさせるところですかな、国の税金を使って。それで三十六年に
指摘
をされて、一億八千万を回収するように法律
改正
をしますというのです。片一ぽうは六億で売ったのですよ。一億八千万の回収は実際はできないのですよ。これで責任がどこにもない。一体これは
政務次官
いかがですか。これは重大な問題だと私は思う。国の金を一億八千万円使って
昭和
二十二年に着工して、三十三年に一部入っておる。
昭和
二十二年に着工して十年かかって一億八千万の金を使って、そして二十四万三千六百坪でき上がった。でき上がって農民に分けた。それが六億一千万円で売られた。農民は、六億一千万円に対して払う金は二千万円を十五年間で払えばいいというのです。これが
農林省
の法律で違法ではないというのですか、いかがですか、もう少し御
説明
があるでしょう。
丹羽雅次郎
14
○
丹羽
(雅)政府
委員
干拓地を造成いたしまして農民に売ります場合に、
農業
として採算のとれる値段で売るという仕組みでございまして、当初反当二万五千円で農民に売るという時代がございました。その後いろいろ変わりまして、現在では反当九万をこす場合には、九万円にとめて農民に売る、こういう制度に相なっております。この地区は古い地区でございまして、
農業
用の二万五千円の地区と存じますが、そういうふうに
農業
用として売る場合に、二万五千円で売る。これは政策としてそのように決定をされており、制度としてできておる次第でございます。ただ
事業
をいたします場合に、そのように金が反当十万、三十万もかかるものを造成いたしまして、九万で売ることがいいか悪いか、これはいろいろ御批判も存するところと存じますが、私
ども
といたしましては、反当があまりかかる地区はなるべくやらないようには心がけてはおりますが、現在のところ
事業
費を
相当
要しましても、やはり
農業
用に売る場合は、
農業
の採算に見合って売る。こういうことをいたしておるわけでございます。そこでこの地区の問題点は、先生御
指摘
のとおり、そのように反当
事業
費が非常にかかるものを、たとえば二万五千円で売ることの当否の問題のほかに、実は農民に売った、
農業
をやってもらうならば、御
指摘
のとおり、そういう政策として干拓地を造成し売っておるのでございすから、それはいいとして、この地区は売ったあとで、すぐそれをよそに売ってしまったではないか。
農業
をやるために安く売ってやった。しかるに工場敷地として売ってしまったではないか。この点は
会計検査院
からの御
指摘
事項
に相なっておるわけでございます。
農業
用に安く売るということ自身は、やはり一つの制度として成立し得るかと存ずるのでございますが、
農業
以外に売る場合に、不当にもうけるということは、まことに御
指摘
のとおり、当初からのその趣旨に沿いませんものでございますから、今後こういう場合は、投下した金に見合うまで特別徴収いたしたい。こういうふうに制度を改めることにいたしたい、かように存じておる次第でございます。
勝澤芳雄
15
○勝
澤委員
あなたは、
局長
としてでなく、
国民
の一人としてこの事件を見てどう思いますか。私は腹が立って腹が立ってしかたがないのです。あなたは
局長
でなくて
国民
の一人として、税金を納める立場からいってどうですか。国が一億八千万の金を使ってでき上がったものを六億で売られて、そしてその代金二千万円を十五年間で、これから取るのだ。こういうことを聞いてに
国民
の一人として義憤を感じませんか。
丹羽雅次郎
16
○
丹羽
(雅)政府
委員
当時私
ども
も、ずいぶんこの問題につきましては考えたわけでございます。ただ法律制度といたしまして、
事業
が完了いたしますと原始
取得
をする。竣工通知をすると原始
取得
をするという法律でございまして、結局所有権が自動的にそこに入っております人間に帰する法制でございます。したがって非常に考えたわけでございますが、法律がこういう形のものを予定いたしておりませんために、干拓地に人々が入りまして
工事
が竣工いたしますと原始
取得
をする法制に相成っておりましたので……。
国民
の一人といたしましてどう思うかという御質問については、やはりどうもおかしい、そこで法律を直そう、こういうふうに考えた次第でございます。
勝澤芳雄
17
○勝
澤委員
どうもおかしいどころじゃないですよ。腹が立って腹が立ってしょうがない。
農林省
という看板を掲げて町を歩けないでしょう。事故があって汽車がとまったら国鉄の職員は制服制帽で町を歩けないというのです。
農林省
でこういうことが起きたら、一体
農林省
という役所は何をやっておるんだと、
国民
が腹を立てて
農林省
へ火をつけるのはあたりまえですよ。火をつけない
国民
が麻痺しておると思う、極端な話ですが。 これは売買の契約はいつなされて、それから所有権の移転がいつなされたかおわかりになっておりますか。おわかりにならなければ私が申し上げますが……。
丹羽雅次郎
18
○
丹羽
(雅)政府
委員
資料もございますが、三十六年の三月、売買と申しますか、原始
取得
をいたしましたあとで、その干拓地に入りました人間が公社と売買をいたしましたのは、報告に書いてございますとおり三十六年三月、ところがこれらの人々が原始
取得
をいたしました時期がその若干前。現実に一時使用として入っておりましたのは、私の記憶では、三十四年当時から逐次一時使用としてこの地区に入植者が入っておる、こういう実情にあったと記憶いたしておる次第でございます。
勝澤芳雄
19
○勝
澤委員
局長
、こういうことですよ。三十六年の三月に売買契約されておるのです。それから移転登記されて所有権が移転されたのが三十六年十月です。三十六年の三月に岡山の開発公社と売買契約がされておって、それから所有権の移転登記されたのが三十六年の十月です。常識的に考えてもこういうことは許さるべきことではないのですよ。ですから
農林省
という役所はそういう問題について麻痺しておるのです。どこを見てもみなそうですよ。 次の問題に移ります。次の(二)というやつです。これもまた驚いたことですね。これは三十四年の三月、それから三十六年の二月、百六十一名に対しまして売り払った。これが御案内のように予約でもって売買されている。しかもこの
事業
費が一億六千六百万円かかっている。一億六千六百万円かかっているのが四億で売られて、そして三百二十万しかとらない。ここでも一緒になって金もうけをさしているではありませんか。一体この
原因
は何ですか。
丹羽雅次郎
20
○
丹羽
(雅)政府
委員
再三の御
指摘
でございますが、問題点は、干拓地に入りました人間に
土地
改良法では原始
取得
、
農地法
では、三十二年以前は
農地法
で
処理
をいたしておりましたが、
農業
用の売り渡し
価格
で売り渡す、こういう制度に相なっております。法律の制度は当然
農業
用に使うというたてまえで、
農業
に成り立ちます
価格
で売り渡し、あるいは原始
取得
をさせる、こういう法制に相なっておったわけでございます。ところが法の予期いたしません姿におきまして、水島地区等におきまして非常に工業化の問題が起きてまいりました。そこで干拓
事業
といたしまして
相当
の金をかけて
農地
を造成いたしまして、
農業
に成り立つように、
農地法
で参りますれば一万円
程度
、
土地
改良法では当時二万五千、現在では九万
程度
でございますが、それで農民に与えまして
農業
を営んでもらう、こういう法制になっておりました。ところが、御承知のように瀬戸内海方面等におきまして工業化が非常に進みまして、まわりが全部工場化いたす、そこで無理に
農業
をやらせるということについて当不当の問題もございました。いずれにいたしましても、このケースにつきましては
土地
改良法または
農地法
で入った人が所有権を持ってしまっておるわけでございます。所有権を持っております者が第三者に転売をする、そのときに水島地区なりコンナビートができて地価が非常に上がった、その結果非常に高く売れた、この問題は実は所有権を持っている人間が他に売る値段そのものに私
ども
としては干渉いたしかねますので、今後の問題として、立法論といたしまして、八年以内にそういうことをやるような場合においては、法律であらためて
最初
から取り返しますよという法律を制定して前向きに問題を解決しない以外には、過去にさかのぼって法律をいじくるわけにまいりませんので、こういう
事態
を防止するために立法
措置
を講ずる、こういう
処置
をいたした次第でございまして、本件につきましては、ともかく所有権を持つ者が第三者に売る、その値段が高過ぎるということについては、ちょっとこの法律ではいかんともなしがたい。やはり前向きに法律
改正
をいたすということの必要を認めて法律的に解決をいたす、こういう立場に立ったわけでございます。
勝澤芳雄
21
○勝
澤委員
農林省
という役所は昔からずっとあるんですよ。そしていつどういう
事態
が来るかということを予想されているわけですよ。新しい今日の時代の中でいまの法律がどうかという検討をしながら、やはり新しく進んでいかねばならぬわけです。人から言われ、あるいは国会から、あるいは
会計検査院
から言われて初めて法律を直す、ここに、私は一体
農林省
というのは何をやっているんだと言うんですよ。こういう
事態
というのは起こるべくして起きたんだから、起こるべくして起きた
事態
に対してほったらかしておいて、
会計検査院
から言われてようやく法律
改正
をいたします、その法律
改正
をあなたは前向きだと言うが、私は後向きだと言う。まさに今日
土地改良事業
そのものを再検討しなければならぬ
事態
にきているんですよ。
農林省
は一生懸命何をやったか。工業用地をつくっているじゃありませんか。それを自分が直接売れないから、その間に農民を入れて、そして農民に金もうけをさして、割り戻しをもらっているかどうかよく知らないですけれ
ども
、そういうやり方をしているじゃありませんか。それが
指摘
をされなければわからぬほど
農林省
の役所というのは
経済
の先の見通しが立たないのですか。まさにやっていること、やったことがみんな後向きじゃありませんか。それはあとから申し上げるが、畜産の問題でも、あるいは森林の問題でも、あるいは
農業
改善
事業
の問題にいたしましても、みな後向きですよ。そしてとにかく五年か十年、
経済
からおくれてやっているじゃありませんか。それで農村の味方の
農林省
だ、そういうやり方はちゃんちゃらおかしいと私は思うのです。一体この
農地
転用というのはいつなされましたか。あなたは当時まだ担当者ではなかったから、見ながら御答弁されているから、たいへんお気の毒ですから私から申し上げますよ。三十六年四月にこれは契約がされているわけです。その農民の人たちから岡山県開発公社に三十六年四月にやられているわけです。そうして三十六年五月には日本鉱業株式会社、川崎化成、積水化学、ここに売り渡しをしたいということで、
農地
転用の事前審査の申し出が三十六年九月に岡山
農地事務局
長に出されている。岡山
農地事務局
長はやむを得ないという回答をしている。そうして三十六年九月に知事が内示を与えているじゃありませんか。自分のところで百姓をさせるということで売った
土地
を、工業用地にするのだがどうだろうと言ったら、よろしゅうございますと回答しているじゃありませんか。一体この矛盾はどこにあるのですか。
丹羽雅次郎
22
○
丹羽
(雅)政府
委員
御
指摘
の点、私
ども
いま非常に苦しんでいる問題でございますが、干拓
事業
は御承知のとおり十年前後かかっております。干拓を始めます場合に、その水島工業地帯の発展もなかなか予想いたしかねておったわけでございますが、この地区におきましては
相当
先に進みまして、人間が入ってしまった。入ってしまった結果、法律的に所有権を持ってしまった。そうしてそこに工場が進出いたして所有権に基づいてこれを転売する、この場合にいろいろの事情があったと存ずるのがございます。ここの農民の方々が全部あげて転売に必ずしも賛成したわけでは当初ございませんでした。やはり政策として工業地帯をつくるのだということで、まとめて工場の敷地を岡山県の政策としてつくるのだ、そこに一部の方々には強制的な要請もあったように承知をいたしておりますが、いずれにいたしましても、この地区は、
相当
早く干拓地へ人が入ってしまったケースだ、ところで
昭和
三十四、五年あるいは三十三年ごろからこういうケースが非常に出てまいりましたので、私
ども
は、人間を入れてこれをやられるとこういう問題が起こる、そこで事前に、人間を入れないうちに、そういう地帯はもう農民に分けない、
最初
から工業用地に国の手で売ってしまうというふうに思い切って切りかえてまいりました。そこで、たとえば鍋田の干拓地、御存じでございましょうと存じますが、愛知県の南部の干拓地はもう農民に分けない、第二工区は分けない、そうして工業用に売るものは国の手で売って回収してしまう。それから、そのほか九州におきましても、最近のやり方といたしましては、そういうおそれを予想される工場発展あるいは新産、分けるともうこういう問題が起こる、したがって、分ける前に政府の手で売ってしまう、そうして地価の値上がり等は政府に回収してしまう、こういうことで
処理
をいたしておるわけでございます。さらに、しかし万々一こういうケースも今後
経済
の発展で出てまいろう、したがって農民がその差額をふところに入れることは所期するところでございませんので、法律を
改正
してその際は回収をしよう、こういうふうに
改正
を整理いたしておる次第でございまして、この件につきましては、まことに御
指摘
のとおり、人が入りまして所有権を
取得
した、ところがその後の
経済
発展によって工場化した、このケースでございますので、このケースは今後干拓地につきましては人を入れないで政府の手で売って回収してしまう、そういう方針で三十四、五年から進んでおります。ただ、いまも申しましたとおり、問題はやはり干拓
事業
が十年近くかかる、そこで
経済
の変化というものをなかなか予想しかねるというところに実は一つの問題点がありまして、この点につきましてはわれわれも
経済
の今後の変化を考えながら干拓地をやることは十分留意しなければならぬと常々存じておるわけでございます。そのように
処理
をいたしておる、こういう点を申し添えさしていただきます。
田中彰治
23
○田中(彰)
委員
関連して。どうも
局長
の言うことがふに落ちないのだが、いかに何でも三十六年の四月に契約をして六月にもう売れるという話をして、九月にもう知事がそういうものを出しているとすると、百姓というものは一年もやらないのだ、ほんとうの
農業
はやっておらないで、これを売り渡しているということは、非常にぼくはおかしいと思う。いまあなたの考え方が、こういうものをもしやられるときに、法律なんか
改正
しなくても、しろうとでも物を安く売ったり何かする場合には、何年間は売らないとか、売るならば自分のほうへ売ってくれとか、小さい個人でさえも契約書があるのに、役所が、何も法律がなくても十年間なら十年間売ってはならぬとか、十年のうちに売ったら取り上げるとか、そんなことは向こうの契約書に入れておけばいいことであって、別に法律
改正
をしなければできないなんということはないと思う。幾ら役所だって個人だって契約をする場合には普通の値段で売るならいいけれ
ども
、安く所有権を移転して
農業
をやらせよう、もし
農業
をやらないで
土地
を売る場合には、私のほうで取り上げるとか、罰則とかということは、別に法律
改正
をなさらぬでもできる。これは個人の女同士の契約だって、小さい
土地
の売買の契約というものはあるはずだと思う。 それから、もう一つ
委員長
に申し上げておきますが、ここの管轄の国税庁官か税務署の署長を呼んでもらいたい。この売った利益に対してどれだけの税金をかけてあるかという問題です。そういうことをして不当にもうけたならば、あなたのほうですぐ税務署に連絡をして、あれに対してはこれだけあるのだからこれだけ税金をかけるというくらいの
処置
を、たとえ契約書がなくても、
国民
の金で、
国民
の泣いて納めた税金でそういうことをやったとすれば、それだけの
処置
を
農林省
がとらなければならぬ。どうもおかしいですね。それは
農地法
なんかで取った
土地
に対しても制限なんか加えてあったけれ
ども
、あれなんかいまかってに売ろうと何しようとかってなんです。だから都会の周囲にある
農地法
によって
土地
を取った人なんというのは、いまみんな村
会議
員、町
会議
員、市
会議
員です。
土地
の一反も売れば
相当
な値段になるから、四年ずつやれるから、こういう人がみんな
農地法
で取った
土地
を売って、そういうものに堂々としてなっておる。全く非常に矛盾をしているのですね。そうして一生懸命になって百姓をして、不平を言わぬでおる者に対しては、金がほしくたって小作人とか小さい農民には金をなかなか貸さない。貸すとすれば、農民がつくれないようなむずかしいものをつくって、何カ月もかかって貸す。これらに対しては援助もなければ何もない。そういう
農林省
の考え方はほんとうに誤っているのだと私は思う。いま日本であなた方のようなお考えを持って
農業
の行政をやられたら、まず農民なんというものはもう五、六年たったら農民が赤旗を立てて、不平を言い出したり、あるいはまた
農業
を放棄して、ほんとうにまじめに百姓をしてくれるような農民はなくなるのじゃないかと私は思う。そうして、いまのような小りこうな、
土地
を所有して百姓をやるといいながら売ってしまう。
農林省
は法律がございませんからと言うが、私はそんな言いわけをする必要はないと思う。何も法律がなくても、
農林省
がしっかりしていれば、これを払い下げをして八年なり十年なりは売ってはいけない、売った場合にはこうやるのだということを、契約書だから書けば有効なんでしょう。役所だって法律がなければ契約書は有効でないなんということはありませんよ。どうなんですか、そういう考え方は。
農林省
は、そういう契約をしたから有効でないとおっしゃるのですか。有効だとあなたは認められるのですか。それをひとつお話し願いたい。
丹羽雅次郎
24
○
丹羽
(雅)政府
委員
二つのお話がございまして、まず第一点の三十六年の四月に売ったという問題は、契約は実は岡山県の公社と所有者の間でやったわけです。第二のケースは、少なくとも
昭和
三十二年以前に売ったものであることは間違いないわけでございます。というのは、三十二年から法律
改正
をいたしました。したがって三十二年以前に第二のケースのほうは、
農地法
によりまして売ったわけです。そこで問題点は二つございます。それからもう一つ、第一のケースは、実は三十二年から法律を変えまして売るという法制をとっておりません。原始
取得
という法制をとっております。というのは、こういう水面に突如として干拓地ができるのでございますから、
土地
配分は、竣工通知をいたしますと、そこに割り当てられた人間が原始
取得
をするという法制をとっております。そこで実は原始
取得
でございますから、なかなか法制技術的に
条件
がつけられない形になっております。しかしそこでいろいろ研究をして、やはり原始
取得
でも徴収するという法制を特に新しく設けるということで当初つくればよかったのじゃないかという御批判に対しては、私
ども
も頭を下げざるを得ないわけでございますが、一応売ったというようなことでなくて、原始
取得
という法制になるのじゃないか。そしてもう一つ、御議論の前提として、
先ほど
来三十六年三月、三十六年四月というような日が出ておりますが、これは原始
取得
した者に対して岡山県の公社が売買契約をしたという時点でございます。
勝澤芳雄
25
○勝
澤委員
そうじゃないですよ。三十六年二月、四月、五月じゃないか、そして九月で解決しておるのじゃないか、二十三名のやつは。
丹羽雅次郎
26
○
丹羽
(雅)政府
委員
二月、四月、五月というのは、ちょっとお尋ねしますが、岡山県公社の相手方との契約ではないのでございますか。
勝澤芳雄
27
○勝
澤委員
この第二項の問題は、三十四年三月に百三十六名に売って、三十六年二月に二十三名に売っておるでしょう。三十六年二月に売ったものが四月には契約が結ばれて、五月には
農地
転用について申し出があって、九月に岡山事務所が許可をして、そしてそのまま県知事が内示を与えておるのじゃないか。だから同じ月なんです、三十六年の二月の二十三名の分は。これははっきりこの報告書に書いてあるとおりですよ。
田中彰治
28
○田中(彰)
委員
そんなものは月だとか日だとかいうことではないのだ。やり方が悪いということを
指摘
されておるのだろう。いまの契約書もそのとおりなんです。月や日が違ったとか、そんなことじゃないのだ。やり方が悪くて——
農業
をさすために干拓地をつくったものが、
農業
をしないでほかへ売って利益を得ておる。それも短期間にやっておるのです。
国民
が泣いて納めた税金でそういうことをやって、一人の知恵のある者が、一つの団体がもうけておるということはおかしいじゃないか、こういうことを
指摘
されているのだから、ぼくの言っておるのは、法律なんか
改正
しなくてもあなたのほうが気がつくならば——百姓をするというためにたいへんだから農民にやるのだ、たくさん金がかかってもやるのだから、十年間なら十年間は売ってはいけないということをあなたのほうでつけ加えたって——この法律がないから
農林省
と農民が契約した、そういう項目を入れた契約
条件
が有効であるのかないのか。有効なら、あなたのほうでやらなかったということだから手落ちだということになる。これは個人でもいいのだから、
農林省
がやったって民法に照らしても相互の契約だから契約は有効です。それをしないで法律
改正
をして、法律の上に乗ってやるという考え方——それからもう一つ
局長
、あなたの考え方は間違っていますよ。今度は干拓したら農民にやらないで工場地帯にしてやるということは、あなたは埋め立ての業者なのか。
農林省
が干拓をして、埋め立てて工場地帯なんかにして売ったりするのは、
農林省
の
局長
の仕事じゃないです。それは土方のやることだ、建設省のやることだ、そういう考え方をあなたが持っておるからこんな事件を起こすのですよ。どうなんですか、あなたは、法律がなくてもそういう条項を入れて契約しなかったことをいいと思っておるのか、悪いと思っておるのか。条項を入れてもその条項が役所であるために、民間でやった条項が有効であると思っているのか、無効だと思っているのか、まずこれが問題です、月日なんかどうでもいいのです。
丹羽雅次郎
29
○
丹羽
(雅)政府
委員
この点でございますが、やはり法律的に所有権を
取得
いたしますので、それでも行政指導として両者の納得ずくで判こを押させておいたらどうかという問題はあろうかと存じます。行政指導としてでもそういうことをやるべきだ、入れるときに、あるいは所有権を
取得
する時点におきまして、数年以内にほかに売れば取りますよ、そういうことを相対で契約をやっておくべきではなかったかという点につきましては、あるいはそうやっておくほうが行政としてよろしかったかという点については反省をいたしたいと存じますが、ただこれを強制いたすわけには法制的に参らなかったというケースであったと存ずるわけでございます。法律的には、その竣工通知をしたら、そこに入っておる一時
取得
者は原始
取得
をするのだという法制に相なっております
関係
上、原始
取得
をしても必ず八年後にほかに売ったら金を返せということを行政的な契約なり一札をとっておくべきではなかったかという点でございますが、少なくとも私
ども
の目下の考えは、御批判、お小言をちょうだいしておりますが、このケースにつきましては、入るときにはそうやっておりません。したがいまして、所有権を持ってしまう。所有権を持ったから、所有権に基づいて第三者に売ったというケースでございますので、法制的にそれを防いでまいりたいということが
先ほど
来申しておることでございます。 それからもう一つ、工場用に売るために干拓をやっているのは、おまえ土建業者じゃないかというもう一点の問題でございます。
先ほど
来るる申しておりますとおり、干拓に手をつけまして、竣工までやはり十年近くかかります。いま申し上げておりますのは、
農業
用に手をつけてずっとやってまいった、ところが、三河湾にいたしましても、あるいは北九州の一部にいたしましても、その後非常に工業化が進展いたしまして、これをそのまま農民に売るか、それともこの際ここで
農業
をやることとはどう考えても客観的に問題である、そういうふうに事情が変更してまいっておる地区につきましては、予期しているところでございませんが、入れてまた農民の手で転売するということはたいへん問題があろうということで、思い切って
最初
から人を入れないということでございます。それで
先ほど
も申しましたとおり、これから着手する地区につきましては、そういう地区は当然避けるという趣旨でございますので、その点はひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。
田中彰治
30
○田中(彰)
委員
所有権の移転は、それは移転したっていいじゃないですか。しかし、所有権が移転したからそれをかってになにしてもいいのだ、そういう場合は、やはり時価の相場で売ったとか、何をしてもいいとかいう
条件
の
土地
なら別ですが、農民に
農業
をさせるために、
農業
はもうからないから、
相当
金をかけた——これは
農林省
の金じゃないのです、
国民
の納めた税金の金をかけたものを安く損をしてやるのだから、これで
農業
をやらぬで他に売る場合には、損害賠償を取るとか、契約違反に対する
違約金
を取るとかいうことは当然じゃないですか。たとえばミシンを買うでしょう。ミシンを買えば、ミシンはその人の所有権でああいうものは家に持って帰れる。持って帰ったものは所有権でちゃんと
取得
しているのです。けれ
ども
、彼が月賦を払わぬ場合はミシンを取り戻すとか、あるいはそのミシンの所有権がなくなるとか、とにかく外国のミシンなんかは、家に入って持っていったって家宅侵入で訴えないとか、窃盗罪で訴えないとかいう
条件
をつけて月賦販売をしているのじゃないですか。いやしくも農民に百姓をさすために干拓してやったのだから、それをしないで他に売った場合は、これに対して契約違反で
違約金
を取るとか、あるいはなにするという手をつけることは当然です。別に法律
改正
しなくったって、あなたはいま
会計検査院
に責められているから法律
改正
法律
改正
と言っているが、これは民間契約でいいじゃないですか、これは有効なものです。それから、いま埋めたものを、周囲に工業地帯が発達したから、ここで百姓ができないからこれをほかに売る場合には、大蔵省に雑地として返すなり、大蔵省で売らすなり、あるいは建設省なら建設省にやらせたらいいでしょう。
農林省
が直接に百姓をさせようと思って埋め立てたところを工場地に売ることはできませんよ、 これは
目的
が違うのだから。あなたのほうで埋めたけれ
ども
、周囲が全部工業地帯になってしまって、干拓したが開拓者を入れられないという場合には、雑地にされて大蔵省に返して、大蔵省がそれを
管理
して売るとか、あるいは建設省に、これはどうも埋め立てたけれ
ども
だめだから、君のほうに返すからということで、
農業
がだめな場合には、工業地帯が発達しておるところはそういうところにやるとか、あるいは通産省が工場のほうに
関係
しておれば通産省にあれするのなら別だけれ
ども
、
農林省
が直接埋めたものを周囲が発達したから工業地帯に売るということは、全く筋違いの仕事ですよ。土建業者とか建設省とかがやる仕事でしょう。そういう考え方を持ってやれば、これからやられるところの位置を選ぶ場合にはどうしても軽率になります。どうしてもこれを埋める以上は十年かかる、八年かかる。しかし八年かかっても、ここで
農業
ができるという自信がある
土地
でなければ埋めないという考え方で——いや、だめだったならばああいう工場地帯に売ってしまったっていいじゃないかというような考え方でこういうものを選ばれるということになると、これは土建業者であるのか何であるのかわからぬということになる。それから税務署も、その売った管轄の税務署の署長を呼んで聞かれたらいい。それでこっちに回答してください。どれだけの利益を得て、どれだけの税金がかかって、どれだけの税金を取り立てて、どうしているかということです。それだって、そういう契約書がなかったら、そうして彼らのほうでもうけていることがわかったら、あなたのほうですぐに税務署に連絡して、そうして税金を取っていれば、
国民
の金を使ってもある
程度
税金として回るからいいということになる。一体役人というものは
国民
の金に対する観念がない。少しめんどうになるとどこかに行ってしまえばいい、職責が変わればいい。
政務次官
も、やはりそうやって国会の席を汚しておられるのだから、そういう点を大いに
指摘
されておやりになったほうがぼくはいいと思うのです。みんな一年か半年しかいないもんだから、あの役人の複雑な機構に迷わされて、だまされて、いろいろなことをやってしまう。これはもう
局長
の考え方が違っている。この次に、
局長
のほうで税務署の係を呼んで、どれだけもうけたか報告してください。これは必要じゃないですか。安く払い下げたものをほかに高く売ってもうけたら税金を払うのがあたりまえだ。どれだけ税金を取ったのか、どういう報告をしたのか、その報告に不徹底なところがあれば、みんなその売った人も買った人も組んでやったことになるのだから、これは脱税で処分しなければならぬ。そういうぐあいにやっていけばいいのです。どうも考え方が違っておりますよ。私は、これは材料を調べないで、とにかくあなたに関連質問でやっているのだが、ぼくがもしこれを専門でやるのだったらこのままでは済みませんよ。 まあ、このくらいにしておきましょう。
栗原俊夫
31
○
栗原
委員
関連して。第一のケースは原始
取得
で所有権を得た、こう言うのですが、原始
取得
をしたときの所有権を獲得した人が金を払うという事由の発生、その
金額
、またその原始
取得
したときの地目はむろんこれは
農地
だと思うのですが、
農地
を地目変換するときに、一体こういう
土地
についてどういう論議がなされて、地目変換を許可されているのかという点をひとつ明らかにしていただきたい。
丹羽雅次郎
32
○
丹羽
(雅)政府
委員
原始
取得
をいたしまして、
農地
でございますから、今度は
農地法
の五条の
農地
転用の問題に相なります。いずれも所有権に基づいて第三者に
農地
を売るというケースでございますので、
農地
転用の角度からの許可が別途行なわれる、そして
農地
転用の角度から申しますと、工場化が自明であるところにつきましては
農地
転用を許可する方針をとっておりますので、このケースについては許可が出た、こういう次第でございます。 お答えを漏らしました点がございましたら……。
栗原俊夫
33
○
栗原
委員
それは工場化が確実であることがはっきりしているから
農地
転用を許すのだ、一般論としてはそういうことが言えると思いますが、
農地
をつくるために国費を多額につぎ込んで、そして
農業
を営むということで、かかった
経費
よりもはるかに安い営農の可能な
金額
で売り渡した
土地
を、工場転用が確実であるからといって簡単に一般の
農地
と同じ立場でこれが論議され、許可されていいのかどうか。ここにもやっぱり問題があると思うのです。この辺は確かに工場に転用すればいい場所ではあるけれ
ども
、かくかくの次第で
農地
をつくるために国費を投入した
土地
なんだ、したがって、というような議論が当然そこに展開されなければならぬと思うのだけれ
ども
、この辺はどうなんですか。
丹羽雅次郎
34
○
丹羽
(雅)政府
委員
御
指摘
を待つまでもなく、実はこのケースについては私
ども
当然頭に浮かんだわけであります。それでどうも問題があるということはよくわかったわけでありますが、先生方の御
指摘
もありましたとおり、それでも行政で回収すべきであったではないかという点につきましては、行政的な立場として不徹底であった、間違いであった、もっとやるべきであったという御議論も十分わかるわけでございますが、当時の判断といたしましては、どうしても入るときに——実は入るのはもっと前なのでございまして、入るときにそういう一札なり契約をしておればあるいはできたかと思いますが、実はこの人たちも入るときは初めはやるつもりで入ったというケースでございますものですから、率直に申しまして行政的な手段で回収という
措置
を講じなかった。それがやはり小役人的な考えであって判断が間違っているという御
指摘
を受けますれば、私
ども
も大いに反省しなければならぬところでございますが、検討いたしました段階におきましては、やはり法制的に所有権を持ってしまうものですから、どうもいまいましいけれ
ども
やむを得ない、それで立法
措置
を考えたい、こういうふうにものの考え方は進んだ次第でございます。
栗原俊夫
35
○
栗原
委員
農地
転用にはいろいろ段階があって、末端行政地区の
農地委員会
の承認あるいは知事段階の承認さらには
農林大臣
の承認と、こういう段階があろうかと思うのですが、問題は、転用することが確実であれば何でも申請どおり全部やっていいものなのかどうなのか。やはり拒否する事由があれば拒否する場合もあるのだと私は思う。だから審議をして許可をするとかせぬとかこういうことがあり得るので、したがって、工場になることが確実なんだからこれは申請があれば許可しなければならないのだ、今日の
農地
に対する態度というものはこういう態度なんですか。
丹羽雅次郎
36
○
丹羽
(雅)政府
委員
実はこの地区は、
最初
から図面もよく見ましたわけですが、御承知の水島地区工業地帯コンビナート地区でございまして、そこへぽかっとコンビナートをつくろうという
計画
の地区のまさにそのものの地区でございます。先生御
指摘
のとおり、
農地
転用の立場から見て、どこかに工場ができる、それをここで許可するかどうかということはもちろんやっておるわけでございますが、この岡山、
倉敷地先
ケースはまさしくこのコンビナートの地区で、考えようによりますと、そこに大きな干拓地があるからそこにコンビナートをつくろう、こういうケースでございましたものですから、この
農地
のものを認めないということは水島地区のコンビナートを認めないということに相なりまして、私
ども
いろいろ考えたわけでございますが、水島地区のコンビナート造成そのものは、やはり国としても政策として援助いたしておりました地区でございまするので、
農地
転用の角度からは当然許可をすべき地区、こういうふうに判断をいたした次第でございます。
勝澤芳雄
37
○勝
澤委員
先ほど
からの
局長
の答弁、所有権が移ったのでしかたがない、こう言っておる。しかし、所有権が移らない前に売買されておるじゃありませんか。この第一はそうでしょう。第一は所有権がまだ移転されてないでしょう。配分通知で売買されておるじゃありませんか。所有権が移動したのは三十六年十月です。売買契約のされたのは三月ですよ。これはどう
説明
いたしますか。
丹羽雅次郎
38
○
丹羽
(雅)政府
委員
実は
農地
を売買いたしますケースにつきまして、
農地
転用の許可を
条件
といたしまして仮契約をやるケースがあるわけであります。岡山県公社がその地区と売買をしたかどうかという問題につきましては、正式に所有権移転は転用の許可が要るわけですから、その正規の売買とは私
ども
は見ておりません。その場合に、仮契約ということが事実行為といたしまして岡山県公社あるいはその農民との間に進むといたしましても、実は、そこまでは私
ども
のほうとしてはなかなか追っかけ切れなかった、こういう実態でございます。
勝澤芳雄
39
○勝
澤委員
だけれ
ども
、この
倉敷地先
は三十六年十月に所有権の登記がされたのでしょう。三十六年十月ですよ。売売契約は三月にされておるじゃありませんか。そうすると、あなたは
先ほど
どう言っておるかと言いますと、
先ほど
の答弁を聞いておって、法律的に所有権が農民に渡っておるのでしかたがない、しかたがない、しかたがない、とこう言っておる。まだ所有権が移転されてない。先に契約されておったならば、これが所有権を移転されたら売買されることはわかっておるのですから、それについての防護
措置
を当然とってしかるべきじゃありませんか。それをなぜとらなかったのですか。
丹羽雅次郎
40
○
丹羽
(雅)政府
委員
問題は二つございまして、実は岡山県公社にいたしましてもあるいは工場にいたしましても、
農地
転用あるいは停止
条件
つきで契約をするケースはいろいろあるわけでございます。実はそれは私
ども
の行政面ではなかなかとらえ切れないわけでございます。そこで、正規に登記するときには当然
農地
転用許可証が要りますから、その
農地
転用許可の段階で私のほうとしてはチェックし得るという態勢をとっておるわけです。そこで、いま詳細をちょっとあれでございますが、三月に売買が行なわれたというお話しでございますが、よく調べさしていただきたいと存じますが、転用許可を停止
条件
とする仮契約と考えざるを得ない次第でございます。なぜかならば、一時使用者につきまして所有権がないからでございます。それからもう一つ、本件につきまして、実は私
ども
非常に困りました問題は、原始
取得
をいたします前に、
工事
がある
程度
できまして竣工通知をします前に、一時使用という時期が入るわけでございます。この一時使用は、実はこの地区についてもいろいろ調べたのでございますが、三十四年ごろから一時使用を開始しておる。そこで実体的には三十四年ごろからそこに居ついて耕作をしておった。ただ、
工事
が終わりませんから、竣工通知が延びておった。そうして
工事
が終わった三十六年に竣工通知をいたしました。その結果、法律的に原始
取得
をした、こういうかっこうに相なっております。その三十六年に人間を入れるような問題でございましたら、私
ども
当然考え直した問題でございますが、一時使用という形で
相当
前から入って現実に耕作をしております。その
関係
がございましたので、その配分通知をするかしないかということで非常に議論も重ねたわけでございますが、数年間すでに入って耕作をしておる実態を見ますと、どうしても配分通知をせざるを得ない。いまから出ていけというわけにはちょっとまいらない。こういうケースであった次第でございます。
勝澤芳雄
41
○勝
澤委員
局長
、まことにこれはけしからぬ話ですよ。三十三年に一部入植しておるのですよ。三十四年三月に配分通知書を出しておる。この配分通知書に基づいて売買がされたのですよ。売買契約がされたわけですよ。売買契約がされていながら、実際にそれが三月にされて、竣工通知が十月で、そのときに所有権が移転しておるわけです。ですから所有権移転をさせる時期、法律的に所有権を農民が持つ時期には、もう事前に売買されておる。
農林省
知っておるのじゃないですか。七カ月たっているわけですから。とにかく一億八千万かけたものを六億で売るという契約が、配分通知に基づいてされているわけですよ。そうして移転を登記することによって六億で売った農民から二千万円を十五年間でしか取れないということがはっきりわかっているじゃありませんか。所有権を移転をしなければ押えることができるじゃありませんか。この
土地
を所有権を移転をしたら一億八千万かかったのだけれ
ども
六億で売られる。実際には、売られたら二千万円しか、その二千万円も十五年間の年賦でなければ取れない。それがわかっていながら所有権の移転を行なっているじゃありませんか。そこに問題があるというのですよ。
丹羽雅次郎
42
○
丹羽
(雅)政府
委員
御
指摘
のとおりでございます。私、三十四年と思いましたが、先生三十二年からという御
指摘
でございましたが、三十三年から入りまして実際に耕作をやっておる。ほんとうならば、そのときに売るべきであった。ところが、この法制は、
工事
が全部終わりまして竣工通知をした瞬間に原始
取得
するという法制に相なっておりますので、その間、一時使用というフィクションといいますか、形になっておるわけであります。そこで、私
ども
が配分通知を決定して竣工通知をすれば原始
取得
になってしまうということはわかっていた。わかっていながら——ただ問題は三十三年、四年から入っている。現実に田をつくっておる人間が入っておる。そこで問題は二つに分かれまして、配分通知をしない、お前ら出ていけ、こうやるか、三十三年なり四年からやっておりました事実の上に配分通知、竣工通知をして原始
取得
させるかという問題に当時当面した次第でございます。そこでその判断といたしまして、その現実を尊重いたしまして配分通知をせざるを得ない、かつ竣工通知はどうせやらざるを得ない。そうしました結果、原始
取得
してしまった、こういう実態でございます。 そこでいま、それでも行政
措置
としてその相対で金を取る
措置
を講ずるべきではなかったかという点につきましては、私
ども
も検討いたしましたが、当時の判断として、どうも三十三年からそういう一札を取っていないから無理があろうということで、御
指摘
のように結果的にその方々が非常にもうけてしまった、こういうケースでございます。
田中彰治
43
○田中(彰)
委員
関連して。どうも
農地局長
の話を聞いているとおかしいんだよ。三十三年に入ろうが三十二年に入ろうが、たとえ一部百姓しておろうが
農業
しておろうが、所有権はその人は持っておらぬわけだ。所有権持っておらぬうちに売買契約をした。あなたに言わせると売買契約というものはほんとうの契約でないから、売買したのじゃないから、こうおっしゃるけれ
ども
、日本の国では手金打ったり契約書書いたりしますけれ
ども
、外国ではそんなことしませんよ。これをお前に売った、買ったでいいんだから、それで売買契約が成り立っているのですよ。しかも契約書で仮契約をした以上は、自分の所有権のない
土地
を
農業
地以外——農村に売買をしたのならまだいい。工場を建てるときに売買したのだから、それがあなたのほうでおわかりになれば、所有権の移転を許さなければどうすることもできない。それを知りながら移転を許してやった。たとえ移転を許しても
農地
の転用に対して断固としてこれに反対されればどうすることもできない。買った人も契約を破棄するのです。そういう点をずいぶん抜けたことをやっておられて、そしてああでもない、こうでもないとおっしゃると、われわれもやはりそう矛盾したものをこの
委員
会では通されませんから、やはりあなたと戦わざるを得なくなってくる。そうでしょう、簡単なことじゃないですか。百姓が何年入っていようが、そんな期日はどうでもいいのです。所有権が移転しておらぬうち、まだ全部でき上がっておらないうち、金も払わぬうちに売買契約して
農業
以外の人に売ったということです。それもこれも仮契約をしておる。それがあなたのほうでわかっておったら所有権の移転をしない、移転しても、違約したのだから、この
土地
に限って
農地
の転用はしない、そのくらいの
処置
は、もしあなたの
財産
ならあなたはきっととりますよ。
国民
が納めた税金でやられたので、あなたに
関係
ないことだから、あなたのところはふろしき一つなくならないから、あなたが勝手に判断されて判を押された、こういうことになるのですよ。あなたの
財産
ならそんなことをなされませんよ。そうでしょう。自分の
土地
をどんどん造成してやっておるのを、早く入った人もあるだろうが、あなたの
目的
に反したところに売って売買契約をしてしまった、それで金も払わない、それがわかったら、あなたはその人に所有権を移転して金もうけさせますか。違法なことをやりますか。しかも
農地
の転用というものは、あなたのほうの手によってやらぬ気なら断じてできないのです。やらなければこれはみんな解約になって、百姓やらなければならぬことになるのですよ。あなたのほうはいろいろな工場と組まれてじゃんじゃんやられるから——もう
農地局長
に限って代々、名前は言わないけれ
ども
、みんな工場に買収される。こういう例が幾つもありますよ。あなたがないとおっしゃるなら出してみましょうか。私の選挙区に三つぐらいありますよ。百姓の転用願いが出る前にもうすでに
農地局長
とかその下の幹部とこれは工場にするという約束ができているんだ。それから書類を出すのですから、農民なんか突然にそんなものは出しませんよ。この
土地
だってそうですよ。工場に売るという契約をする前にちゃんと了解を得てあるのですよ。得ないで百姓が、金を払わぬ
土地
を売買契約をして工場に売るなんということができますか。陰に踊っている
土地
を買って工場をつくる業者と、
農林省
の幹部とのつながりによってこういう話ができているから、おまえたちこうやれというからそのとおりやるだけですよ。だから御答弁なさる必要はないじゃないですか。やったことが悪いんでしょう。それをあなた御答弁されることになれば、これを調べ直して、やり直そうじゃないですか。そうなれば向こうに行って
現地調査
して、農民がそんなことをやったかどうか調べればいい。農民がそんなことをやる力ありませんよ。
政務次官
どうですか。あなたも衆議院に出ておわかりでしょう。そんな金も払わぬうちに
土地
を、まだでき上がっておらぬやつを工場に売るという、そんなず太い農民はおりませんよ。ちゃんと工場にする買い主と
農林省
との間に一脈の連絡ができてやったのですよ。そうでしょう。
政務次官
どうです。
丹羽兵助
44
○
丹羽
(兵)政府
委員
ただいま干拓地の転用につきましていろいろと御
意見
もあり、また経過についてのお尋ね等もございまして、お尋ねに対しては、その経過の一部をお話し申し上げたのでございます。しかし、御
指摘
のように、ただ
会計検査院
から御
指摘
を受けたので恐縮しておるという意味でなくして、
委員各位
から、
国民
の代表としてかような結果を、いかに現行法がどうなり、制度がどうなっておりましても、
目的
から考え、生んだ結果から考えて、
国民
として承服しかねる結果になっておるという議員として、
国民
の代表の立場に立っての御
指摘
、もっともと考えております。ただ、私は、
先ほど
お話にありましたように、
政務次官
といたしまして、かような結果になっておりますことをはなはだ遺憾に思い、恐縮に存じております。
国民
の税金によりまして干拓をいたします、そうして、食糧政策、
農業
政策としての立場に立って考えまして、大きな金をかけたそのものをわずかな金で農民に売り渡す、開拓者に売り渡す、これは
農業
政策として当然なことでございましょうが、しかし、これが他のほうに転用されるとか、あるいはそのことによりまして
目的
が変わって、非常な利益を入植した者が受けるということになりますれば、これはもう当然
措置
として考えねばならないと思うのでございます。もちろん無断で入植したとか人が入ったとかいうような、事務
当局
——無断ではないけれ
ども
、ぼんやりと聞いておりますとそういう感を受けるような言い方をしておりますが、これとて決して無断で入っておるものではなくして、仮配分とか県とかの了解の上に入って耕作をしており、適当な努力をして竣工
検査
を受けて、そこで初めて自分のものになるわけであります。なったからといって、いま申し上げましたように、それは
農業
で使われるなら当然でありましょうが、なると同時に、あるいはなるであろうことを待って、それをその先に転用契約等をするということは、これは感心したことではない。またそれによって得た利益——
国民
に大きな迷惑をかけることでありますから、もちろん国税庁というお話もございましたが、それによって大きな利益を上げておりますれば当然国税庁のほうも個人に対しての税
措置
はとっておると思うのでございますが、私のほうでも考えていきたい、
調査
をしていきたいと思います。根本的には御
指摘
のようにございまして、まことに私
ども
は恐縮に存じております。今後かようなことの起きないように、法律の
改正
をいたしまして、しっかりとひとつやってまいりたいと思っております。お許しをちょうだいいたしたいと存じます。
勝澤芳雄
45
○勝
澤委員
政務次官
、これは法律以前の問題だと思うのですよ。これは常識ある人間が聞いたら、だれでも腹が立つ問題ですよ。所有権がない者が契約をして、そしてそれが契約が結ばれたら六億八千万円に売られる、そのうちから十五年間で二千万円しか取れない、
農林省
は一億八千万金をかけたんだ、この話だけ聞いても腹が立って腹が立って、税金を出すのがいやになりますよ。これが私は実情だと思うのです。それからこの金は一体どこから出たかというと、これはみんな会社から出ているのです。公社はただトンネルだけなんです。これも事実として出ているわけです。ですからこれはほんの氷山の一角です。この一、二の問題についてはもっと、いまの
局長
がおったとかおらないとか、よくわかりませんけれ
ども
、
会計検査院
よりもっと別の立場から徹底的に調べていただいて、ひとつ経過と、それからいま田中
委員
からも言われた問題を含めて、明後日また
農林省関係
決算
をやりますから、それまでにしっかりした報告とそれからそちらの気持ちを聞かしていただきたいと思うのです。 それで次の問題に移りますが、このおかげでみんな罪人が出ているわけです。補償成金が情婦殺人を犯すまでの二年間、この補償金を一千万もらったために、持ちなれないお金を持ったために愛人をつくって、妻子を離縁をしてそうして愛人にバーを開かせて、とどのつまり二年間で金を使い切っちゃって、これは自殺未遂です。まさに
農林省
は百姓に金をくれて、そうして浮かれた家庭不和まで起こさして、そうしてとどのつまりが東海道線に自殺だとか、これじゃあまりにも私は酷な役所だと思うんですよ。 そこで次に
会計検査院
にお尋ねいたしますが、これに対する回答が三十七年度に出されておりますが、これについてのお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
宇ノ沢智雄
46
○宇ノ沢
会計検査院
説明
員
先ほど
来岡山の
土地改良事業
の転売に関して御
意見
がございました。それで三十六年度に御案内のような
会計検査院
の
意見
を出しましたところが、その後
農林省
といたされましても
先ほど
いろいろ御
意見
がございましたが、行政
措置
でやれないかというような点、いろいろ法制
当局
その他も慎重に御検討になった結果だと思うのでありますが、やはり現行の
土地
改良法を
改正
しなければ、
会計検査院
が
改善
意見
を出したような
事態
についての合理的な解決はできないということで、
改正
法案を御提出になったようなわけで、今後はこういう
事態
は、この法律を完全に
実施
されることによって未然に防げる、こういうふうに
検査院
としては考えております。
勝澤芳雄
47
○勝
澤委員
この法律
改正
においても、私は
国民
の一人として納得できない
改正
があると思うのです。これは
会計検査院
よくわかっていると思うのです。かけた金の回収だけいたしますと——かけた金の回収だけでいいかどうかという、私は疑問が残ると思うのです。ですから法律というものは、私は常識が法律になっていると思うんですよ。ですから常識にはずれている法律なんというものは、価値がないと思う。ですから私はその意味で、いま
会計検査院
にお尋ねしたわけです。ですから十年かかって一億かけてできたから、十年たった今日一億回収すればいいんだ、こういう
改正
だけでいいだろうかどうだろうか、これはやはり検討すべき問題だと思う。その問題も明後日までの間にぜひ私は聞かしていただきたいと思う。そこで
先ほど
から
局長
からもしばしば出てまいりました国営
土地改良事業
において、
農地
として売り渡したものが他用途に転用されたもの、この現況についておわかりになりますか。
丹羽雅次郎
48
○
丹羽
(雅)政府
委員
特定
土地
特別会計で直轄
事業
で干拓をやっております、これを他用途に転売をいたしました実績は四件ございまして……。
勝澤芳雄
49
○勝
澤委員
質問が違うんだ。質問は、いまあなたが御答弁するのは、次にぼくが聞くわけです。いま聞くのは、
農地
として売り渡したものが他用途に転換されているものの
状態
がおわかりになりますか。もしおわかりにならないようでしたら、お調べになって、あとで資料を出していただきたいと思うのですが、いかがですか。
丹羽雅次郎
50
○
丹羽
(雅)政府
委員
農地
といたしまして所有権を国が持つ、したがって、売り渡しの
対象
となりますものとしては開拓
事業
、干拓
事業
がございます。開拓
事業
の分は、実は資料を探せばありますが、いますぐには出てまいりませんので、後ほど資料として提出させていただきます。したがって国が買いまして開拓しまして開拓者に売ったもの、それから
公有水面
を埋め立てまして
農地
にいたしまして他用途に売るもの、この二つにつきまして後刻資料で提出いたします。
勝澤芳雄
51
○勝
澤委員
それでは次に、いまあなたが資料を持ったやつをひとつお尋ねいたします。
特定
土地
改良工事
の特別会計の他用途の転売
状況
です。いまあなたが申されました四件、資料として出されております、このうちで一つだけ御質問いたしましょう。曽根・草見の直轄干拓
事業
が二十七年から着工をして三十七年までかかった、十年間かかった。総
事業
費が四億一千五百八十三万一千円、
土地
は三十一万八千六百二十六坪で、全部他用途に転売された、こういう報告になっておりますが、この経過、売買の会社、坪当たりの単価はどういうふうにおやりになりましたか。これは
先ほど
申しました
農林省
で、どういう形式でおやりになったのですか。
丹羽雅次郎
52
○
丹羽
(雅)政府
委員
曽根は御承知のとおり福岡県の豊後水道に臨みました海岸にございまして、二十七年から着工いたしておったわけでございますが、北九州におきまして、水の
関係
で工場立地を求めるところがなくなった。そこで、実は一、二、三工区とございまして、草見は一工区でございます。第三工区を河口の貯水池にしたい、そこで水を非常にためまして、その周辺を工場地帯として造成したいということが県庁から北九州開発
計画
として三十六年に出されました。それで私
ども
のほうとしては、ここを本来は地元の方々の
農業
用の干拓地として考えておったわけでございますが、その話が起きましたので、三十六年以来二工区、三工区の
工事
はとりやめまして——一工区につきましてはでき上がっておりますが、小倉市がこれを売ってくれということでございましたので、昨年末売る契約をいたしました。
事業
費はいま先生のおっしゃいました四億一千五百万でございますが、売る値段は五億七千九百万で売ることにいたしました。坪はちょっといま正確に覚えておりませんが、私の記憶では千八百円見当と存じております。売る値段は、周辺の
土地
を不動産鑑定士その他等から評価をいただきまして、干拓地は地盛りをしなければなりませんので、その地盛りの
経費
を引いた相場を想定いたしまして、国有
財産
法の処分の原則に従って算定をいたした値段でございます。
勝澤芳雄
53
○勝
澤委員
それではあなたも資料をお持ちのようですから、この四カ所に対する転売先について御
説明
願いたいと思います。
丹羽雅次郎
54
○
丹羽
(雅)政府
委員
四カ所と申しますのは、第一番に岡山県の笠岡でございますが、これを岡山の県開発公社に売ることにいたしました。県開発公社の考え方としては、笠岡地区は非常に住宅地のないところでございますので、これを宅地用に、市営住宅を建てるたてまえに承知しております。 それから高梁川、福田・西はいずれも岡山県開発公社でございまして、コンビナートの関連の地区でございまして工場用地に、岡山県開発公社は
先ほど
トンネルというお話がございましたが、私
ども
もさように承知いたしております。
勝澤芳雄
55
○勝
澤委員
その場合の売買については、やはり転売するとかしないとかいう
条件
はきっちりおつけになっておるんですか。用途については明確にされておるんですか。
丹羽雅次郎
56
○
丹羽
(雅)政府
委員
岡山県開発公社がコンビナート工場用地として使いたいから売ってくれという申請でございますので、それを認めた、こういうわけでございます。
勝澤芳雄
57
○勝
澤委員
それで売買
価格
については、この資料によると、市場
価格
よりも
相当
安いというふうに思うんですが、その点については、これは公正妥当な
計算
がされておるんですか。
丹羽雅次郎
58
○
丹羽
(雅)政府
委員
御承知のとおり国有
財産
処分でございますので、国有
財産
処分に関するいろいろの原則がございまして、その原則に従って私
ども
としては算定した値段で、当然各方面の御審査も受けるわけでございます。私
ども
は十分妥当な値段と考えております。
勝澤芳雄
59
○勝
澤委員
あとでまた質問することといたしまして、
土地
改良の
財産管理
の
状態
が不良だということが
指摘
されていますが、具体的に
会計検査院
のほうから御
説明
願いたいと思います。
宇ノ沢智雄
60
○宇ノ沢
会計検査院
説明
員 ちょっと
勝澤
先生、
土地
改良
財産
ですか。
勝澤芳雄
61
○勝
澤委員
いや、
注意
書きの
事項
です。
宇ノ沢智雄
62
○宇ノ沢
会計検査院
説明
員 どの分でございますか。
勝澤芳雄
63
○勝
澤委員
三十七年です。あなたのほうから出た
注意
書きですよ。
宇ノ沢智雄
64
○宇ノ沢
会計検査院
説明
員
注意
書きですね。いま私所管がかわりまして、それで何ですが、そこにございましたら拝借させていただいて申し上げます。
勝澤芳雄
65
○勝
澤委員
これを読むんだったら、これに書いてあるとおりだったら必要がないんです。
宇ノ沢智雄
66
○宇ノ沢
会計検査院
説明
員 御質問によって、私のわかる範囲内で資料を取り寄せます。
勝澤芳雄
67
○勝
澤委員
それでは資料がないから、もう少し詳細に書面で資料として出してください。 そこで、
土地改良事業
のあり方ですね。こういう問題について、
政務次官
にこの際検討していただきたいと思います。やはり長い年月かかっておるわけですから、長い年月の間に変化があるわけですが、その変化に即応した
体制
がなされていないわけです。いまこういう問題が起きておるわけですから、国営の
土地改良事業
というものはどうあるべきか十分検討すべきもので、いまのまま惰性でいくべきときではない。これはまたあとで水産庁のときに御質問いたしますが、漁港修築の場合も、私は予算
委員
会で河野さんに質問したことがあるんですが、あなたのような実力のある
大臣
が出ている小田原の港でも、十年たっても、まだ波が高ければはしけもつけられない、あとこれからの見通しではまだ十五年かかりますよ、二十五年間に小田原漁港ができたときに一体漁港なんてどうなんでしょうか、これじゃ国もかけ損ですし、地元でもかけ損ですよ、それをもっと総合的に検討してみたらどうですか、こういうお話をしたことがあるんですが、
土地
改良、干拓
事業
はまさに検討すべきときにきておると思う。しかもことしは米が足りないと言っておる。
農業
政策というものは
相当
大きく転換されておるわけですから、一つの方向が変わっておるにもかかわらず、それにつらなっておるものはまだ何ら変わっていない。そういう点でぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
丹羽兵助
68
○
丹羽
(兵)政府
委員
国営
土地
改良について政府は前向きの姿勢で検討を加えたらどうかという御
意見
でありますが、お尋ねの中にちょっと御
意見
が出たようでございますけれ
ども
、そのお尋ねの中に出ました御
意見
に私も全面的に賛成でございます。何となれば、非常に長いことかかって、できたころには時勢が変わる。しかもその長い期間にロスが非常にありますから、ただ一点、御
意見
に出ました早くということだけで考えましても、これは特別会計の制度をとっておりまするが、根本的にひとつ検討を、しかも御
意見
にありましたような意をくんで検討してまいりたい。できるだけそこまで、先生が考えていらっしゃるようなことが私もわからぬわけではありませんので、そういう方向にひとつ進めるように検討してまいりたいと思います。
田中彰治
69
○田中(彰)
委員
ちょっとこれはこの問題と筋違いなんですが、
委員長
もやはり
決算
におられたときに虎ノ門のニューエンパイアの事件を
決算委員会
で長く取り扱ったわけです。それがこのほど雑地として払い下げになって、払い下げになったものが会社をそのままくっつけて、これは金も払っていない。五カ年で一部しか払っていない。そうしてほかに売られておる。それをまた買ったものが会社のままで買ったから、今度は会社が合併しまして、いまやはりその二倍くらいの値段で売りに出している。これには裁判なんかが取りざたされていろいろ複雑な問題もございますから、一応材料が全部そろいましたらこれをひとつ聞いてみたいと思うのですが、今度の
委員
会では間に合いませんから、来週の
委員
会に本省の管財
局長
、それから国際興業の小佐野という重役、この人がこれを買っているのですが、それから、これの中に入っているのは船橋のヘルスセンターの丹沢、これらが介在している。もちろん政治家もたくさん介在しています。これを一応聞いてみたいと思うのです。来週の火曜の
委員
会に、どうしても火曜に間に合わぬければ木曜でけっこうですから、この
委員
会に三人を呼んでいただいて、私
ども
は材料を全部持っておりますから、ひとつ一応聞いてみたいと思います。ちょっと聞き捨てならぬ問題がありますので、ひとつよろしくお願いいたします。
押谷富三
70
○
押谷
委員長
代理 後刻
理事
会にかけまして、
理事
会の承認を得てさように取り計らいたいと思います。
勝澤芳雄
71
○勝
澤委員
次に、今度は
農業共済
についてお尋ねいたします。
農業共済
の
保険事業
の
不正事件
問題、これも毎年のことです。三十六年、三十七年度を見てみますと、
会計検査院
の
検査
した
事項
の四割以上が不正、不当
事項
がある、こう
指摘
をされているのでありますが、まことに私は残念なことだと思います。これについての対策はどうなされておりますか。
松岡亮
72
○松岡(亮)政府
委員
御
指摘
のありましたとおり、
農業共済保険事業
につきましての
指摘
事項
が毎年
相当
数ございますことは、まことに申しわけなく思っております。 これにつきましては、まず
原因
から私
ども
考えて常に是正のための努力をいたしておるのでございますが、
原因
といたしましては、まず第一に制度そのものにかなり問題があったと思うのでございます。これは非常に複雑でわかりにくい制度であります。
運営
の当事者自身もわかりにくい。ましてメンバーになっております農家の人々にはなおわかりにくいというような面が
相当
あったように思います。特に農家にとって不満でありましたのは、低
被害
地におきまして
災害
がわりあい少ないのに
相当
の掛金の負担をする、また事務費を賦課金として取られるということから、農家がなかなか協力しがたいという事情があったのであります。その結果としまして、制度の
運営
に、これは悪意のない場合もございますけれ
ども
、無理が出てくるというような面が
相当
あったかと思います。この点につきましては、幸いにしまして、昨年の通常国会において農作物共済についての大
改正
の法律を通していただきまして、今年から
実施
に移ることにいたしております。低
被害
地に対しましてはいろいろな対策も講じておりますので、農家の不満はかなり緩和されるかと思っております。それから、やはり
運営
当事者自身の心がまえ、仕事に対する熟練というようなものも必要でございますので、それらについては研修、講習等の
措置
を講じたり、いろいろと指導に当たっておるのでございます。いろいろ対策もとっておるわけでありますが、すでに生じた
指摘
事項
につきましては、毎年その是正をはかっておりまして、三十六年度までにつきましては完全に是正をいたしております。三十七年度分につきましては半分
程度
是正
措置
を終わっておりますが、なお半分まだ終わっていない部分がございます。
勝澤芳雄
73
○勝
澤委員
この是正
措置
の中で正規
支払い
となっておりますのはどういう意味でしょうか。
会計検査院
から
指摘
をされて
目的外
使用になっている、それを今度は正規
支払い
をした、これはどういうような形の
処理
をされたことになるのですか。
松岡亮
74
○松岡(亮)政府
委員
正規
支払い
と申しますのは、たとえば
災害
の
査定
が少し違っておった、違っておったというよりもよけいな
査定
があったりして、その浮いた金を事務費に充てた、よけいと必ずしも限りませんが、そういうものにつきましては、事務費は事務費として徴収して払うべきものは払う、こういうような是正をいたしておるわけであります。
勝澤芳雄
75
○勝
澤委員
目的外
に使用しておったということは、大体どういうふうな
目的外
使用があったのですか。
松岡亮
76
○松岡(亮)政府
委員
たとえば、事務費に充てるものは、国の
補助金
と農家から徴収します賦課金とが充てられるわけでございますが、それにつきまして、
災害
が起きましたときに支払われる
保険金
からそれを差し引いて充ててしまった、こういうふうな
事例
がございます。
勝澤芳雄
77
○勝
澤委員
それ以外にどういうことが行なわれておったですか。
松岡亮
78
○松岡(亮)政府
委員
これはいろいろな諸
経費
に充当いたしましたり、たしか、中には建物をつくる金の一部に充てたような
事例
が、過去においてはあったようでございます。
勝澤芳雄
79
○勝
澤委員
この合併の負担金にしたり、県連合会の寄付金にしたり、旅行の費用に使ったりしたものがあったということが私の
調査
に出ておりますが、こういうことがあったのですか。
松岡亮
80
○松岡(亮)政府
委員
そういう例もあったようでございます。
勝澤芳雄
81
○勝
澤委員
そういうような場合には、これは
補助金
等適正化法には
関係
がないのですか。
松岡亮
82
○松岡(亮)政府
委員
関係
がある場合がございます。
勝澤芳雄
83
○勝
澤委員
補助金
等適正化法で処分をした例がございましたら、ちょっと出していただきたいと思います。
松岡亮
84
○松岡(亮)政府
委員
いままでのところはございません。
勝澤芳雄
85
○勝
澤委員
そうすると、この
補助金
等適正化法にひっかかるものはいままでなかった、こういうことですか。
松岡亮
86
○松岡(亮)政府
委員
具体的な
事例
としてはございません。
勝澤芳雄
87
○勝
澤委員
いま私が言いましたように、合併の負担金に使ったりあるいは県連合会の寄付金に使ったり、温泉の旅行費に使った、こういうことに
補助金
が使われておりながら、これが法律違反でないということになると、これは重大な問題ですよ。ですから、やはりこういうものは、
保険金
は
保険金
、偽りの申告をして余分にとったりすることのないようにしなければならないということをきっちり
農林省
でやらないと、いつまでたってもこういう例は絶えないわけです。ですからいつまでたっても、
会計検査院
が調べれば出てくるわけです。極端にいうと
農林省
はこういう調べをやっていない。ですから、調べないときは出てないですよ。こういう指導をすら何も考えていない——これは私が言うのじゃないのです。
会計検査院
が今日までの
検査
の結果で言っているわけです。それほど実は
補助金
に対するものの考え方、こういうものに対する考え方の不十分さがあると思うのです。ですからやらなければならぬものはきっちりやる、それ以外のものは余裕を持つなら余裕を持つ、こういう取り扱いが必要だと思うのです。ですから私はやはり今後法律の
改正
も——あなたは法律
改正
に伴ってこういうことは
相当
なくなると思っておるようですけれ
ども
、
会計検査院
から
指摘
されたような
事項
については、法律
改正
になったからといって直ちにこういうものがなくなるとは限らない。そこに人的問題があるとこう
指摘
をされております人の問題があります。ですからその人の問題についてやはりこれは私は
不正事件
だと思うのですよ。極端に言うとこれは公金横領になる。あるいは極端に言うと公文書偽造になる。こういう疑いのあるものですよ。ですからこれは
補助金
等適正化法にひっかかって当然処罰をしなければならぬものがあるわけです。あるにかかわらず、実はこれを見ますと正規
支払い
としか
処理
されていないわけです。正規
支払い
にしても、見つからなかったらいいのかということなんです。このことが今日の道義の退廃を来たしている。この間ある雑誌を見ましたら、高校生が、非行少年、非行少年といって、子供の青少年のことばかり言う。おとなは何をしているのだ。そしてこの場で刑事
局長
の答弁は、おとなの世界が子供に影響するんですよと、こう言っておる。
保険金
をだまして、うちのおとうちゃん温泉に行ったんだよ、こういうことじゃ私はたいへんなことだと思うのです。そしてそれが白昼堂々と行なわれて、それが何ら
農林省
で問題にされていないで、そのまま、いや、それは正規の
支払い
をやって金は金で別に取りました、こういう処分のやり方はいけないと思う。やはり今後は、特にこういうものについては厳重にすべきことを私は要望いたしておきます。いかがでしょう。
松岡亮
88
○松岡(亮)政府
委員
まことにごもっともでございまして、今後こういうことが起きないように厳重に指導してまいりたいと思います。それと同時に、そういう
事態
が発生しないようにするということは、これは制度だけの問題でなくて、お話にありましたように人の問題、特に心がまえの問題もございますので、その辺につきましても、さらに十分
注意
してまいりたいと思っております。ただ、これは決して言いわけとして申し上げるわけではございません。末端の
経理
事務等につきましてやや十分に熟練していないという面もございます。また少し安易に考えておるというようなことも確かにあるようでございます。これはたとえば
保険金
としてちゃんと払って、それからいただくべきものはいただくという形式をとるべきものを、その間差っ引いて差し上げよう、こういうような安易な考え方をとるために、それが漸次いろいろな形の流用になってくるという、ちょっとした心がまえの問題から出ている場合も
相当
あると思います。それらの点につきましては、今後十分指導してまいりたいと考えております。
勝澤芳雄
89
○勝
澤委員
百円盗んだとか二百円盗んだとかということになると世間は処罰が重いが、しかし忘れておったとか、うっかりしておったとかいう場合には、それにかりに故意や過失があってもわりあいに寛大なのです。そこにやはり問題があると私は思う。いまあなたが言ったように、そういう簡単なものの考え方をしておって、そういう取り扱いをしておったら、なおさらそれはこういうものだというきつい——やはり実績を積み重ねていかなければ直らない。だからいまでもいなかに行くと、旅行の金がなければ
保険金
で行けばいいじゃないかという話が出るわけです。それはまことに私は
農林省
の行政としてはまずいことだと思うのです。それはどこに
原因
があるかといえば、
農林省
がきっちりしないからだということになる。事務がむずかしいとか、いろいろあるだろうけれ
ども
、結局人の問題で、なあに
会計検査院
につかまったら返せばいいんだよ、
農林省
は見っこないというようなことで、事実見てないし、指導もしていないですから、そこにやはり問題があるわけです。だから結局
農林省
はいい役所で、銭をくれっぱなしで、おれたちの旅行の費用まで出してくれる。
会計検査院
というのはけしからぬ、見つけては取り上げる、こうなるのです。その上
決算
委員
はまたたいへん……(笑声)こういうことになるわけです。これはやはり
国民
の金だという認識を持ってもらわなければいかぬと思う。 次に、今度は
国庫補助金
の
関係
についてお尋ねしたいと思います。毎年この
国庫補助金
が、これまた不当な使用が
指摘
をされているわけです。中にはここに出ていますように、
補助
の
対象
とは認められない
事業
に対し
補助金
が交付されている、あるいは
補助金
を出したけれ
ども
目的外
に使用されている、あるいはそれが半分に削られて使用されている、こういう例があるわけでありますが、これは一体どういう
原因
で、こういう
状態
が起きるのですか。
昌谷孝
90
○
昌谷
政府
委員
年々
農林省
が行ないます農村の振興についての各種の
補助金
につきまして、御
指摘
のようなことがあります。私
ども
はこういった問題の発生の
原因
をよくきわめて、問題が繰り返し起こりませんよう、いろいろと
注意
をしておる次第でございますが、私
ども
が
補助金
の交付をいたします過程におきましては、おおむねこの種
補助金
は直接の国庫
補助
であります場合よりも、御承知のようにいわゆる間接
補助
でございまして、県が
事業
を起こします場合に、その県の行ないます
事業
に対して国が一定割合の
補助
を行なっておる場合が大部分でございます。そこでやはり根本的には、県が
現地
の
事業
計画
を認定いたしまして
補助金
の交付決定をいたします。その
計画
の審査なりあるいは
計画
の指導なり、そういった
補助事業
の
計画
の立て方あるいは
事業
の
実施
の指導、そこらのところに十分の手が届く親切な指導が行なわれていくということが基本であろう。その辺のところがややもすれば多少形式に流れてしまうといったようなことが、こういった間接
補助事業
の遺憾な結果を生む一つの
原因
ではなかろうか、さように考えまして、その辺のところを今後とも
注意
をしてまいりたいと思っております。
勝澤芳雄
91
○勝
澤委員
畜産局がおられるようですが、三十六年度の三九三というものが青森県で
指摘
をされておる。豚を四百三頭購入して農家百八十六戸に預託したことにしているが、実際は
事業
を
実施
していない。こういう場合はどういう
処理
をされるのですか。
吉岡茂
92
○吉岡
説明
員 お答えいたします。これは中小農家畜産預託
事業
の一環といたしまして、青森県の
組合
に対しまして
補助金
三十一万二千円を交付をいたしましたのでございますが、この制度の趣旨といたしますところは、ここにありますように中小農に対して
組合
が購入してこれに預託をする、そしてみずからの力で家畜を持つという資力に乏しい者に対して家畜を持たす、そうして畜産振興をはかっていく、あわせて畜産の振興と農家所得の安定、そういうことを
目的
として考えた制度でございますが、この青森県の例でございますと、実際にはそういう
事業
を
実施
いたしたということになっておりません。その意味におきまして
国庫補助金
を不当に受け取っておるというものでございます。したがいまして、三十八年の二月十四日に
国庫補助金
につきましては一応返納してもらって、三十八年二月十四日収納済み、こういうように整理をいたしておるわけでございます。
勝澤芳雄
93
○勝
澤委員
不当な
事業
費をもらって、そして見つかったから国庫に返した、それだけでよろしいかどうか。適正化法の
関係
はどうなりますか。どういうふうに御認識になっておりますか。違反をいたさないのですか。
吉岡茂
94
○吉岡
説明
員 この事件につきましては、私
ども
といたしましてもいろいろ
調査
したところでございますが、一応適正化法で処罰するという段階にはないのではないか、そういうことで
補助金
を返還させるということで一応終わっておるわけでございます。
勝澤芳雄
95
○勝
澤委員
そうすると、この
補助金
の申請をした公文書は偽造であった。そしてそれについての
完成
報告が出ておったけれ
ども
、これもうそであった。それで実際に見たけれ
ども
やっていないから返還さした、こういうことでございますかな。
吉岡茂
96
○吉岡
説明
員 確かに公文書を出して
補助金
を受領した、そうして調べた結果、その
補助金
の申請のような該当の事実がなかったということでございますので、形式的に申し上げますと公文書が真実に違っておったということは、確かに御説のとおりであろうかと思いますが、それではそれを適正化法に基づきまして処分すべきかどうかという問題についてはどうするかという問題があるわけでございますが、私たちといたしましては、これは
金額
の多寡によってこういうことを言うのも間違いでございますが、一応
現地
のほうでも間違いであった、そういうことも認めておりますし、
補助金
も返還しておる、そういうような
事態
でございますので、この点につきましては一応不問に付す、そういうことで三十八年二月十四日収納済みということにいたしておるわけでございます。
勝澤芳雄
97
○勝
澤委員
法律の違反をしておるということはお認めになりますか。
吉岡茂
98
○吉岡
説明
員 確かに形式的に申し上げますと、
金額
の多寡によりませんで、法律の趣旨なり精神にもとっておるということは、これは間違いなかろうと私は考えておる次第でございます。
勝澤芳雄
99
○勝
澤委員
形式的というと、実質的には間違いじゃないということですか。ことばじりを取り上げて申しわけないと思うのですが、これは
補助金
等に係る予算の執行の適正化に関する法律に違反をするものと私は思いますが、間違いございませんか。
吉岡茂
100
○吉岡
説明
員 私のいまのことばの使い方がいささか不適切でございまして、形式的というなら実質的にはどうか、こういう御質問でございますが、そういう形式とか実質とかいうことを離れまして法律に違反をしておる、そう思うわけでございます。
勝澤芳雄
101
○勝
澤委員
会計検査院
は、こういうものについて院法によって
措置
要求
ができるわけでありますね。やはりそこまでものを考えて
指摘
をしないと直らないですよ。それはもう
検査院
が毎年やって、
検査院
は件数を上げるためにはなるべくそういうものがいつまでもあったほうがいいでしょうけれ
ども
、しかしそういう必要性はないのです。やはりもっと能率的にやって、不正の行為というのはどんどんなくならなければいかぬと思うのです。しかしこれが毎年毎年この制度がかりにおやめになったからといって、不正行為があった事実というものは、やはりこれは追及をしなければいかぬと思うのです。いま
金額
の点からいきまして三十一万円だから——しかし三十一万円ここで盗んだら、その人は間違いなく首になって刑務所に引っぱられていきます。しかし三十一万円の公文書偽造をして、そうしてそれをもらって発見されて返したら罪にならない、これでは私はこの法律は要らないと思うんです。こんな法律をわれわれが国会で幾らつくっても、都合のいいところは採用します、都合の悪いところは採用しません、こういうふうに役人が解釈されておったら、一体国会は何で法律をつくっておるのか、法律というのはどこからどこまで守るのかということをもう一回聞かなきゃいかぬ、検察庁を見てみますと、課長なら十万までですよ、
局長
なら二十万までですよ、いやそれは代議士なら五十万ですよと、汚職の限度があるかもしれませんけれ
ども
、やはりこれじゃひど過ぎると思うのだ。
先ほど
の話と一緒です。
国庫補助金
がこういうように取られて、そしてそれについて
農林省
はほったらかしにしておいて、
会計検査院
から
指摘
をされたら、それだけ回収したらそれで終わりだということになったら、いつまでたっても示しはつきません。国の金は注がれっぱなしです。これははなはだ残念です。この点もこの次までにしっかりとひとつきめていただいて、この適正化法というのはどこまで違反をしたらこの法律を適用するのかどうかという基準をひとつ
農林省
でつくってください。よろしゅうございますか。
昌谷孝
102
○
昌谷
政府
委員
先ほど
冒頭の御質問にお答えいたしましたように、ここにございます種類のものは、おおむね県を
事業
地帯といたします間接
補助金
でございます。そこで、私
ども
といたしましても、こういった
事例
の発見、あるいは
検査院
の
指摘
を受けました場合には、間接
補助金
としての適正化法に定めました手続によっての返還を命じておる次第でございます。なお、適正化法に基づきます罰則
関係
の適用等につきましては、これはそれぞれの向きにおいてお考えいただく問題かと存じますが、私
ども
としては、間接
補助金
の徴収、返納を命じます場合には、法の手続に従ってやっておる次第でございます。
宇ノ沢智雄
103
○宇ノ沢
会計検査院
説明
員 ただいま勝
澤委員
からの御
意見
、まことにごもっともだと思います。私、
農林省
の立場を弁護するわけではございませんが、中小農家向け家畜預託、この
事業
が私のいままで聞いた範囲では非常にむずかしい。つまり、
最初
この
事業
を協同
組合
あたりにやらせる場合には豚の値段が高くて、これをやれば必ずもうかる、ところが、御承知のように農産物並びにこういった酪農
関係
のものの値段というものは非常に変動が激しいので、半年も立たぬうちに豚の値段が非常に下がってしまった。せっかく
補助金
はもらいながら、農家として
最初
は、申請書を出すときは非常に熱意を入れてこの仕事をやろうと思っていたところが、いざ実行の段階になってみると、せっかく
補助金
はもらったが、
農林省
で示されたとおりの
補助事業
がなかなかやれないというようなことで、そこら辺の
農林省
の指導というような点に多少欠ける点があるじゃないかということで、確かに先生のおっしゃるとおり、これは形式的にも実質的にも
補助金
適正化法に違反する
事態
ではございますけれ
ども
、違法というようなことで
補助金
適正化法をそのまま適用して処罰するというよりも、むしろそのようないろいろな
事態
もあったので、おそらくそういう
事態
であったろうと思うのです。それで、このような
事態
に対しては、やはりそこまで追及することはともかくとして、不当
事項
として、今後
農林省当局
のこういったような事務に対する考え方を再検討してもらうというようなことで、
検査院
としては
検査報告
に報告してございます。
勝澤芳雄
104
○勝
澤委員
私もあなたと同じように思いますよ。これを調べてみたらそういう結果です。しかし、やはり
検査院
が
検査
をしなければ金を返さない、ほったらかしになっている。
農林省
でもそれを調べない。ここに私は問題があると思うのです。ですから、金がきたけれ
ども
、金の使い道がなかったものでということはいいですよ。あるいは個人で使うものを共同で使うんだと申請をして、そして個人で使っておった。それもいいでしょう。いいけれ
ども
やはり上から下った書類、下から上がった書類を見れば、それが偽造されておる、うそ偽りの申告が出ておるというようなことを
農林省
の役人も知っていながらほったらかしたところに問題があると言うんですよ。ですから、不正を見ながら目をつぶっている、そのことが
農林省
が農民の上に乗っかって行政をやっている、上にのほほんと乗っかっているわけですよ。農民のためにものを考えているわけじゃないですよ。
検査院
もお立場上そういうお話をするのもけっこうだし、私もその実情についてはよくわかっております。 そこで、時間もありませんからもう一つ最後に、三十七年度に
指摘
された
都道府県
の事務費に対する
補助金
であります。
都道府県
の事務費に対する
補助金
につきましてもこう書かれております。「その
経理
は
補助金
等に係る予算の執行の適正化に関する法律の趣旨に従って行なわれているものとは認め難い。」と書いてある。違反だと書いてある。これは法律違反だ。しかもそのあとでは、「
農林省
においても、
事務費補助金
の
経理
についてとくに指導した実績もみられず、」こうなっている。金を出しっぱなしになっているというのです。この
補助金
の事務費は明らかに適正化法に違反をしている。そうして
農林省
は、何ら今日までこれについての指導をした実績もない。ここに至っては、
農林省
はまさに
補助金
をくれてやっているようなものじゃありませんか。その点いかがですか。
昌谷孝
105
○
昌谷
政府
委員
都道府県
の事務費の
補助金
につきましては、
農林省
の各局にそれぞれの
事業
に応じてそういった予算がございます。そこで、直接私
ども
の局がやっているものだけではございませんけれ
ども
、
都道府県
の事務費について、県が
事業
について
補助金
をもらったという意識と同時に、財源を付与されたというような意識とまではいかないのかと思いますが、部全体として、
補助金
を受けました県庁全体として
事業
目的
を果たしておれば、個々の人員の配置その他については多少ずれがあっても許されるのではなかろうか。あるいはいろいろ下級の事務の繁閑等の
関係
で、そういった
補助金
の
目的
の業務と、それからそれに関連をして、繁閑に応じて県内で機動的に事務をさばく際の
体制
と、その間のギャップがある。それが一時的なものであります場合はやむを得ないといたしましても、それが固定化してしまったというような
事例
が見られたわけでございます。私
ども
その点に関しましては、
農林省
としても何ら実効のあがる指導をしておらないというおしかりを受けているわけでございますが、その点につきましては、県
当局
を今後とも十分指導いたしますと同時に、また
農林省
のそういった事務費の
補助金
の予算の組み方自体にも、あまりにも事柄別に細分化をしておって、県庁が事務を遂行する場合の便宜という点から見て反省すべき点もあろうかというような御
注意
も受けております。そこらの点を今後十分考えまして、現在内部におきまして、そういった県に出します事務費についても、もっと効率的な、しかも実態によく合った予算の編成を行なって、そういう予算上のたてまえを実行の段階でのずれといったようなことが、いささかでも起こりませんように予算の段階から十分
注意
をいたしまして、なお実行の段階でもそういうことがありますれば直ちに予算を直すなり、あるいは実行を改めていただくなり、その辺のところを抜かりなく怠りなくやってまいりたい、さように考えておる次第でございます。
勝澤芳雄
106
○勝
澤委員
まあどこの省でもそうですけれ
ども
、
農林省
というのは長い間
指摘
をされながら放任をされておった問題というのはたくさんあるわけです。この問題も
会計検査院
が違法とは言わないけれ
ども
、法律の趣旨に沿っていない、こういう言い方すらしなければならぬ。その上しかも
農林省
は何らこれについての指導をやっていかなかった。これは実に私はたいへんなことだと思う。ですから、
会計検査院
もひとつ、
農林省
の問題もむろんのことでありますけれ
ども
、こういう事実をしっかり見詰めて、どんどん悪いところは
指摘
して直させなければいかぬ。ですから
検査院
についてもこの
検査報告書
へ載せることをそうおそれる必要はない。どんどん出せばいいのですよ。そうしてさらけ出してその省を直してもらわなければならぬ。そうしないと、
検査報告書
をずっと十年間ながめてみますと、十年間
指摘
されていることが、十年後になっても同じ
指摘
を受けて、最後にこういう
改善要求
意見
になっているわけです。 〔
押谷
委員長
代理退席、田中(彰)
委員長
代理着席〕
意見
になって初めて、一年くらいたって少し是正の形が見えるなんていうとこでしょう。特に
農林省
が私はひどいと思うのです。 いろいろ御質問いたしました。まだほかの局に対する質問が残っております。しかし本
会議
の
関係
もありますから、きょうはこれで終わりまして、また引き続いてあとの質問をさしていただきます。 ————◇—————
田中彰治
107
○田中(彰)
委員長
代理 この際、
参考人出頭要求
の件についておはかりいたします。すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件中、
農林省関係
調査
のため、本
委員
会に参考人として
関係者
の出頭を求め、
意見
を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田中彰治
108
○田中(彰)
委員長
代理 御異議なしと認め、さように決定いたしました。 なお、参考人出頭の日時及び人選等につきましては
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田中彰治
109
○田中(彰)
委員長
代理 御異議なしと認め、さように決定いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三分散会 ————◇—————