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1964-03-24 第46回国会 衆議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十四日(火曜日)    午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 白浜 仁吉君    理事 押谷 富三君 理事 鈴木 善幸君    理事 田中 彰治君 理事 竹山祐太郎君    理事 片島  港君 理事 勝澤 芳雄君    理事 山田 長司君       菊池 義郎君    湊  徹郎君       栗原 俊夫君    森本  靖君       吉田 賢一君  出席政府委員         農林政務次官  丹羽 兵助君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房企画         室長)     大和田啓気君         農林事務官         (畜産局参事         官)      吉岡  茂君         会計検査院事務         官         (第四局長)  小沢 定司君         会計検査院事務         官         (第五局長)  宇ノ沢智雄君         農林漁業金融公         庫総裁     清井  正君         農林漁業金融公         庫監事     河井大治郎君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 三月十八日  委員栗原俊夫君及び森本靖辞任につき、その  補欠として野口忠夫君及び松浦定義君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員野口忠夫君及び松浦定義辞任につき、そ  の補欠として栗原俊夫君及び森本靖君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十六年度政府関係機関決算書  昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十六年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十七年度政府関係機関決算書  昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十七年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書  (農林省所管農林省関係政府関係機関関係)      ————◇—————
  2. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度決算外三件及び昭和三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は、農林省所管について審査を行ないます。  まず、丹羽農林政務次官より概要について説明を求めます。
  3. 丹羽兵助

    丹羽政府委員 昭和三十六年度及び昭和三十七年度決算外三件の概要につきましては、お手元に印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知おきいただきたいと思います。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 白浜仁吉

    白浜委員長 委員各位のお手元に配付してあります昭和三十六年度及び昭和三十七年度決算説明書は、便宜委員会会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  次に、会計検査院当局より検査概要について説明を求めます。小沢会計検査院第四局長
  5. 小沢定司

    小沢会計検査院説明員 昭和三十六、三十七両年度の決算検査報告概要について御説明申し上げます。三十六年度は工事が三件で一千五百七十六万九千余円、物件が十二件で五千六百四万余円、保険が二十三件で三千六百六十三万一千余円、補助金が百七十四件で七億四千二百十九万三千余円、役務が一件で百三万四千余円、計二百十三件、八億五千百六十七万一千余円となっております。  三十七年度は工事が三件で五百六十万円、物件が八件で三千六百十二万八千余円、保険が三十件で一億五千七百八十二万六千余円、補助金が二百四十九件で十一億八百九十五万三千余円、計二百九十件、十三億八百五十万八千余円となっておりまして、三十七年度の件数、金額が三十六年度に比べまして増加いたしましたのは、主として保険及び補助金においてでありまして、保険のうちでは、農業共済保険において農業共済金経理が適正を欠いていたもの一億二千一百四十七万余円の増加があり、補助金のうちでは災害復旧事業工事完成前に早期検査を行ないましたところ、現地確認が十分でなかったため、設計過大となっているものなどが多数見受けられたもので、三億一千八百十万八千余円の増加があったためであります。  ただいまから個別案件につきまして、検査報告に記載いたしてございます順序に従いまして、簡単に御説明申し上げます。  まず工事費についてでございますが、三十六年度の一八五号は、仙台農地事務局水路隧道工事施行にあたりまして必要以上に工事準備期間を見込みましたために、ひいて予定価格の積算において請負業者の持ち込みます機械器具の損料、それから坑内水かえその他保安管理費等経費におきまして余分の工事費を計上する結果となったという事案でございます。  一八六号も、同じく仙台農地事務局で、隧道工事予定価格を積算する際に、工事に使用いたしましたドリフターの性能を過小に見込みましたことなどによりまして、一日当たりの掘さく速度を低めに見込みましたために、工事費が高価になっていると認められるものでございます。  一八七号は、高知営林局松山営林署で、村有林道官行造林地とを結びます林道の新設にあたりまして、この種の林道につきましては地元公共団体工事費の三分の一相当額を負担させる取り扱いになっておりまするのに、国が全額負担工事をいたしたいという事案でございます。  次は三十七年度の工事でございまするが、二三五号は、京都農地事務局で、堰堤工事施行にあたり、別途遊休している大型機械の活用を考慮しないで掘さく土量に比べ小型の積み込み機械を使用いたしましたために、ひいて積み込み運搬費が不経済になったという事案でございます。  二三六号は、秋田営林局で、林道路面の不陸ならしの経費を誤って過大に計上したというものでございます。二三七号は、東京の農地事務局におきまして、茨城県に施行させている代行干拓建設事業におきまして、サンドポンプ排砂管及び同受けワクの敷設の設計が適切でなかったために工事費が不経済になっているという事案でございます。  次に物件について申し上げます。  三十六年度一八八号から一九〇号まで及び三十七年度の二三八号と二三九号は、いずれも当該食糧事務所におきまして、一定の条件をつけて売り渡しました原麦について、売り渡し後の条件履行確認処置が適切でなかったために違約金を徴収する要があると認められる事案でございます。  また、三十六年度の一九一号、三十七年度の二四〇号の両件は、自作農創設特別措置特別会計に所属いたしておりまする財産管理が適切を欠いているという指摘でございまして、これにつきましては、別途三十七年六月農林大臣に対しまして、三十六年検査報告の百八ページ以降に記載してございますような是正改善措置要求いたしております。  それから三十六年度の一九二号から一九九号まで及び三十七年度の二四一号から二四五号までは、国有林野事業特別会計に所属いたします土地を有償で貸し付けているものにつきまして、その貸し付け料の算定が妥当を欠いているために貸し付け料が著しく低額となっていると認められるものでございます。  次は役務について申し上げます。  三十六年度の二〇〇号は、輸入ふすまの保管料支払いにあたりまして、すでに当該ふすまが内国貨物となっておりまするのに誤って外国貨物としての割り増しを含めましたために過払いとなっているというものでございます。  三十七年度については役務の案はございません。  次は保険について申し上げます。  三十六年度の二〇一号から二一七号まで及び三十七年度の二四六号から二六八号までは、農業共済保険事業運営が適切でないという事案でございまして、これにつきましては、毎年検査報告指摘してまいりましたが、さきの国会におきまして農業災害補償法の一部改正が行なわれ、本制度の運営に著しい改善が加えられておりまするし、また農林省当局におかれましても一そう強力な指導監督をするということでございまするので、このような不当な事例は逐次改善されるものと期待いたしております。  それから三十六年度の二一八号から二二三号まで、及び三十七年度の二六九号から二七五号までは、漁船再保険支払いにあたりまして、組合損害調査が十分でなく、てん補額が過大に認定されているのをそのまま認めて過大な支払いをいたしましたり、あるいは保険事故でないものに対しまして再保険金支払いをしているという事案でございます。  次は補助金について申し上げます。  三十六年度の二二四号から二七八号まで、及び三十七年度の二七六号から五二四号までは、いずれも公共事業関係のものでございまして、工事施行が粗漏となっているもの、工事の出来高が不足しているもの、あるいは事業主体が正当な自己負担をしていないものなどでございまして、事態といたしましては毎年指摘しておりまするのと大体同様でございまするが、この種、不当な事例が近時かなり増加の傾向にございまするのは、相次ぐ大災害などのために工事量が漸増いたしておりまするのに対しまして、事業主体、特に市町村、組合などにおきまして、工事実施体制が不十分なために現場の指導監督が十分に行なわれなかったり、あるいは請負人の選定が当を得なかったりしましたことが、そのおもなる原因となっていると思います。  また三十六年度の三七九号、三十七年度の五一〇号は、災害復旧事業費査定を了したものに対しまする早期検査の結果でございまして、農林建設両省重複査定をいたしておりますもの、被災していないものまたは被害が軽微であったりしているのに災害復旧査定を受けて改良工事施行しておるものなどについて検査の結果を当局注意いたしましたところ、その注意に基づきまして当局査定額減額是正をいたしましたものでございます。これも三十六年度が前年に比べて増加いたしておりますのは、三十六年災害が三十八年災害に次ぐ大規模災害でございました関係で、関係者現地調査が不十分でありましたこと、特に被災施設の原形、及び被害原因等についての調査が不十分なままに改良的な設計によって復旧されることとしたいこと等によるものと認められます。また三十七年度の指摘が三十六年度の指摘に比べましてさらに増加しておりますが、これは三十七年発生災害が、特定地域に集中いたしまして、関係者査定時に現地調査を十分に実施できなかったことによるものと認められます。  次に、三十六年度の三八〇号から三九七号まで、三十七年度の五一一号から五二三号までは一般補助関係のものでございまして、補助対象と認められない事業に対して補助金を交付しておるもの、補助目的を達していないもの、または事業量が不足しているもの、過大な精算を行なっているものなどを指摘しておりますが、三十七年度におきましては農業委員会農家台帳の補正並びに農業労働力調整協議会の設置及び運営を行なう農業委員会特別事業につきまして特に調査を行なった結果を掲記いたしております。  三十七年度の五二四号は、食糧庁全国販売農業協同組合連合会に対しまして交付いたしましたなたね生産者団体等交付金調査が十分でなかったため、交付対象としてならないものに交付されたり、あるいは生産者に交付されなかったりしたものが見受けられたという事案でございます。  以上申し上げましたように、公共事業を含めまして補助金全般経理につきまして例年同様適切を欠く事例が多いので、関係当局における指導監督をなお一そう強化する要があるものと認められます。  次に改善要求及び意見表示を行ないましたものについて申し上げます。  三十六年度におきまして改善処置要求または改善意見を表示いたしましたものは、全文を同検査報告の百二ページ以下に掲記してございますが、改善意見のほうから申し上げますと、百四ページの二号は、土地改良事業によって造成いたしました埋め立て地を転用する場合における造成費の回収についての意見表示でございまして、その概要を簡単に申し上げますと、土地改良事業によって造成いたしました埋め立て地等を国から農地に使う目的で買い受けましたものなどを、取得後直ちに、または取得後間もなく工場用地等に転売いたしました場合、当初国が農業の用に供する目的で多大な費用を投下して造成いたしました土地が、農業目的にほとんど供されないまま他の目的に転用されたにもかかわらず、当該造成費相当額の大部分が回収されていないという不合理な結果を来たす事柄がございましたので、法令改正など適切な処置を講ずる要があるという意見でございます。  三号は、国営農業水利事業とこれに付帯いたします都道府県営及び団体営補助事業施行計画について改善を要するものでございますが、国営農業水利事業とこれに付帯いたします都道府県営及び団体営補助事業施行にあたりましては、基幹施設工事付帯施設工事とが、その進捗が跛行しておりますために、すでに完成をいたしている基幹施設が十分な効果を発揮できないで不経済な結果を来たしているということで、これらについて適切な方途を講じられるよう改善意見を表示いたしております。  それから改善処置要求のほうは、先ほど申し上げました自作農特別会計所属財産管理が適切でないという点につきまして改善処置要求をいたしております。  次に、三十七年度につきまして改善処置要求または改善意見を表示いたしましたものにつきましては、その全文を三十七年度検査報告の一〇七ページ以下に掲記してございますが、一一六ページの四号は、都道府県における各種補助事業等施行するため、事務費補助金経理にあたりまして、数種の国庫補助事業あるいは県の単独補助事業経費、こういうものを一括経理しておりまして、その区分経理が明確でないという点につきまして適正な経理方法をとるよう改善処置要求をいたしたものでございます。  それから次に五号は、米穀販売業者に売り渡しました米穀販売業者が販売いたしました場合の価格が、物価統制令に基づきまして農林大臣がその統制額を指定することができることになっておりまして、これによりまして、その統制額を改定した場合販売業者が手持ちしておりました米穀新旧価格の間に開差を生じ、差損あるいは差益を生ずることになりますが、この差損あるいは差益処理につきまして何らの処置が講ぜられておりませんので、これについて適切な処置を講ずる要があるというものでございます。  六号は、国有林野事業特別会計所属行政財産のうち用途または目的を妨げないものとして地方公共団体貸し付けているもののうち、実際に恒久的な施設に使用させておりまして、将来においても長期間にわたり国における森林経営の用に供される見込みがないというものが多数ございます。これらのものにつきましてやはり適切な処置を講ぜられる要があるのではないかという点の改善処置要求をいたした事案でございます。  簡単でございますが、これで説明を終わります。
  6. 白浜仁吉

    白浜委員長 次に、政府関係機関当局である農林漁業金融公庫より、資金計画事業計画等についての説明は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  7. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順序これを許します。勝澤君。
  8. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計検査院にまず最初にお尋ねいたします。  ここ数年間の農林省会計検査実施状況によって、国の予算の中におけるところの不正、不当指摘事項が増大をしているようでありますが、この経緯と原因等について、まず最初に御説明願いたいと存じます。   〔委員長退席、 押谷委員長代理着   席〕
  9. 小沢定司

    小沢会計検査院説明員 近時農林省関係検査報告が増大しております点等につきまして、先ほど概要説明の中で少し申し上げましたが、いわゆる事前検査というものを行ないます場合の査定金額が飛躍的に非常に増大してきております。三十六年度分の査定金額が非常に増大してまいっておりますのは、先ほども申し上げましたように、三十六災が二十八災に次ぎます大災害で、当局査定金額も非常に多くなっておる。これも二十八年以来、全然見られない大きな査定金額になっておりまして、したがいまして、こうした不時の際における当局査定ということが十分に行きわたらないというような関係が主たる原因じゃないかと思います。  それから三十七年度の金額がふえましたのは、これも先ほど申し上げましたように、特定地域と申しますと、北海道、佐賀、長崎でございまするけれども、こうしたところに災害が集中したという事情がございます。したがいまして、そういう関係で総体的に査定官の活動と申しまするか、そういったことが手薄になってくる。それから長崎県について申し上げますると、三十二年災がありましたあとのさらに災害でございましたので、当局におきましても気を配りまして、基本的な設計——十年確率あるいはそれ以上の百年確率というような確率を見込んだ非常ながんじょうな水路復旧というような計画を立てて、これを流しておりますが、その流しました結果を、被災のないようなところあるいは被災の非常に軽微なところあるいは上幅二メートル程度のほんのわずかな水路で立てましたような計画による復旧というような災害復旧として適しないというようなものまで申請してきている。そういうものについてやはり非常に集中的な災害でございまするので、査定のほうにおきましても、手が行き届かなかったというような点をわれわれのほうで指摘したというような点が、増加してきているおもな原因かと存じます。そのほか考えられますることは、国の財産管理につきまして、特に二、三年来相当力を入れて検査をいたしてまいっております。この財産管理問題等についての指摘も、近時私どものほうで注意をしてまいっております関係で、非常にふえてきておるという次第でございます。
  10. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 相撲の位で言うと農林省横綱だ、こう言われておりますが、まさに横綱格検査院から指摘された事項が多いと私は思うわけであります。しかもその多い中で、検査院指摘をされてもそれが数年間放てきされておって、それに対して何ら是正する意欲がない。これは一体どこにそういう原因があるのですか。農林省という役所は、会計検査院はどういうふうにお考えになりますか。
  11. 小沢定司

    小沢会計検査院説明員 それはいろいろ事態によって異なるかと思いまするが、先ほど申し上げましたように、たとえば自作農創設特別会計所属財産につきまして、数年来、三十三年に一回やりましたが、そのときはかなり小規模であった。ここ二、三年相当規模検査をいたしまして、相当大きな指摘をいたしております。その自作農創設土地管理と申しまするものは、農地法にも都道府県知事に委任することができるという委任規定がございまするし、それから農地委員会、これは法的にはどの程度か私よく存じませんけれども、とにかく国、都道府県それから農地委員会という三者がそれぞれの形で管理している仕組みになっておりまして、その管理体制というものが、その重点の置きどころといいますか、そういうものが必ずしも明確でなかったということと、それからこの問題は、御承知のように終戦直後からの問題でございまして、相当長年にわたったその土地についての権利、義務関係というようなものも生じてまいっておるような関係でございまして、農林省当局におかれまして体制を整えて、これから本腰を入れて解決するという御意向のように私聞いております。またその方向におそらく逐次進んでいくものと思っておりますが、いま申し上げましたような関係で、直ちに抜本的にこれが一挙に解決できるという性質の問題ではないように感じております。ただ、私どものほうといたしましては十分調査をいたしまして、調査した結果を検査報告にも掲記し、農林省当局に対しましても注意を促して、できるだけ早くこういう事態の解決ができるように期待している次第でございます。
  12. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は、会計検査院のなまの率直な意見を言っていただけばいいと思うのです。別に農林省の弁護をする必要はないと思う。私がなぜこう言うかといいますと、これは会計検査院であなたがいま内輪の御説明をされましたが、その内輪の御説明であるこの検査報告書を見てさえも、実は国民の一人として腹が立つような経理状態だとこれに書かれておるわけです。  政務次官もいらっしゃいますから、一つ一つ私具体的に申し上げますと、たとえば農林漁業金融公庫昭和二十八年以来貸し付け後の管理について改善をせよと要求されてきた。それが昭和三十七年までほったらかされておる。三十七年十月二十二日に改善要求が出て、それに対する回答書を見ましたら、この回答書でこのことが実行できるとするならば、一体この総裁というのは何をしておったのか、監督官庁である農林大臣は何をしておったのかと言わざるを得ないような結果になっている。それから農業共済保険事業不正事件を取り上げてみますと、これももう数年間ずっと指摘をされているわけです。目的外に使用されている。どんなところに使っているか。温泉に行くのに保険金が使われておったというような事実も出ておるわけであります。あるいは今度は国庫補助金を見ますれば、三十七年度に指摘された中身を見れば、都道府県事務費に対する補助金については、農林省は今日まで指導した形跡なしと意見書に書かざるを得ないところまでほったらかされておったわけであります。あるいはまた国営農業水利事業、三十二年に指摘をしたが、三十七年度までほったらかしておりました。前の会計検査院長は、あまり是正改善意見については出すのが好きでなかった。今度の検査院長になって、決算委員会指摘をしたら、それならといってようやくぼつぼついま内輪指摘をされておるのが、今日の状態でございます。あるいはまた今度は食糧庁、三十六年度に原麦を違法な処置をして返還命令まで、罰金までとられておきながら、三十七年に検査したら同じような状態で放てきされておった。見られたところが損して、見られないところが得したと思ったら、その翌年にやられた。やられたら返せばいいだろう、こういう処理の仕方をしておる。あるいは林野庁はどうか。土地貸し付け料がまさに常識外に安いままほったらかされておる。いま会計検査院自作農創設を言いました。まさに終戦当時の状態に放てきされている。これだけではないのです。これが今日の農林省会計検査院検査をした実情なんです。これは私は国民の一人として黙視するわけにはいかないわけです。そういう点で政務次官も、私がこれから一つ一つ具体的な問題について指摘をしていきますので、いままで十年かかって直らないことですから、あしたに直すというのは無理かもしれませんけれども、せめて大臣なり政務次官なりが役人をきっちり取り締まって、そうしてやはり不正、不当な使用というものは厳に慎まなければいけないと思うのです。  そこで私は、特に一番露骨な問題から取り上げてみますと、三十六年度の土地改良事業についての指摘をされております、岡山農地事務所で扱った倉敷地先公有水面関係であります。この関係は、三十四年の三月、これで見ますと、六十三名に二十四万三千六百坪の配分通知をした。それが三十六年十月に岡山県開発公社に六億一千万円で売られてしまった。しかし実際には造成費を一億八千百三十二万四千三百八十六円使って、時価六億一千万円でこれが売られて、国は二千万円しか回収することができない。この二千万円の回収金は、どういう形で何年間でとるのですか。
  13. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 農民に干拓地を配分いたします場合に、農業に使用いたします場合には二十五年賦でもって回収をいたす、こういう制度に相なっております。  ところで本件の問題は農業用に配分をいたしましたので、農業者はいま申し上げました年賦額で払えばいい。そうしてその限りにおいて所有権を取得いたします。ところがこの土地は他用途に転売をされました関係上、農業用に売る目的でそういう安い値段で売ったのに対して、それを配分いたしましたあとで他用途に売ったのは不当ではないか、こういう御指摘でございましたので、私どもといたしましてはいろいろ検討いたしました結果、今国会に、農民に配分いたしましたものを八年以内に他用途に売る場合には、造成費を特別徴収をすることができる法律の改正案を提出いたしておる次第であります。
  14. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 一億八千万使ってとにかく農地をつくった。一億八千万使った。それを二千万円で売った。その二千万円を回収するのは十五年ですよ。二千万円を十五年間で取るのですよ。二千万円で買った土地を六億一千万円で売ったのです。六億一千万円で。一体農林省というのは、農民に金もうけをさせるところですかな、国の税金を使って。それで三十六年に指摘をされて、一億八千万を回収するように法律改正をしますというのです。片一ぽうは六億で売ったのですよ。一億八千万の回収は実際はできないのですよ。これで責任がどこにもない。一体これは政務次官いかがですか。これは重大な問題だと私は思う。国の金を一億八千万円使って昭和二十二年に着工して、三十三年に一部入っておる。昭和二十二年に着工して十年かかって一億八千万の金を使って、そして二十四万三千六百坪でき上がった。でき上がって農民に分けた。それが六億一千万円で売られた。農民は、六億一千万円に対して払う金は二千万円を十五年間で払えばいいというのです。これが農林省の法律で違法ではないというのですか、いかがですか、もう少し御説明があるでしょう。
  15. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 干拓地を造成いたしまして農民に売ります場合に、農業として採算のとれる値段で売るという仕組みでございまして、当初反当二万五千円で農民に売るという時代がございました。その後いろいろ変わりまして、現在では反当九万をこす場合には、九万円にとめて農民に売る、こういう制度に相なっております。この地区は古い地区でございまして、農業用の二万五千円の地区と存じますが、そういうふうに農業用として売る場合に、二万五千円で売る。これは政策としてそのように決定をされており、制度としてできておる次第でございます。ただ事業をいたします場合に、そのように金が反当十万、三十万もかかるものを造成いたしまして、九万で売ることがいいか悪いか、これはいろいろ御批判も存するところと存じますが、私どもといたしましては、反当があまりかかる地区はなるべくやらないようには心がけてはおりますが、現在のところ事業費を相当要しましても、やはり農業用に売る場合は、農業の採算に見合って売る。こういうことをいたしておるわけでございます。そこでこの地区の問題点は、先生御指摘のとおり、そのように反当事業費が非常にかかるものを、たとえば二万五千円で売ることの当否の問題のほかに、実は農民に売った、農業をやってもらうならば、御指摘のとおり、そういう政策として干拓地を造成し売っておるのでございすから、それはいいとして、この地区は売ったあとで、すぐそれをよそに売ってしまったではないか。農業をやるために安く売ってやった。しかるに工場敷地として売ってしまったではないか。この点は会計検査院からの御指摘事項に相なっておるわけでございます。農業用に安く売るということ自身は、やはり一つの制度として成立し得るかと存ずるのでございますが、農業以外に売る場合に、不当にもうけるということは、まことに御指摘のとおり、当初からのその趣旨に沿いませんものでございますから、今後こういう場合は、投下した金に見合うまで特別徴収いたしたい。こういうふうに制度を改めることにいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  16. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あなたは、局長としてでなく、国民の一人としてこの事件を見てどう思いますか。私は腹が立って腹が立ってしかたがないのです。あなたは局長でなくて国民の一人として、税金を納める立場からいってどうですか。国が一億八千万の金を使ってでき上がったものを六億で売られて、そしてその代金二千万円を十五年間で、これから取るのだ。こういうことを聞いてに国民の一人として義憤を感じませんか。
  17. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 当時私どもも、ずいぶんこの問題につきましては考えたわけでございます。ただ法律制度といたしまして、事業が完了いたしますと原始取得をする。竣工通知をすると原始取得をするという法律でございまして、結局所有権が自動的にそこに入っております人間に帰する法制でございます。したがって非常に考えたわけでございますが、法律がこういう形のものを予定いたしておりませんために、干拓地に人々が入りまして工事が竣工いたしますと原始取得をする法制に相成っておりましたので……。国民の一人といたしましてどう思うかという御質問については、やはりどうもおかしい、そこで法律を直そう、こういうふうに考えた次第でございます。
  18. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 どうもおかしいどころじゃないですよ。腹が立って腹が立ってしょうがない。農林省という看板を掲げて町を歩けないでしょう。事故があって汽車がとまったら国鉄の職員は制服制帽で町を歩けないというのです。農林省でこういうことが起きたら、一体農林省という役所は何をやっておるんだと、国民が腹を立てて農林省へ火をつけるのはあたりまえですよ。火をつけない国民が麻痺しておると思う、極端な話ですが。  これは売買の契約はいつなされて、それから所有権の移転がいつなされたかおわかりになっておりますか。おわかりにならなければ私が申し上げますが……。
  19. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 資料もございますが、三十六年の三月、売買と申しますか、原始取得をいたしましたあとで、その干拓地に入りました人間が公社と売買をいたしましたのは、報告に書いてございますとおり三十六年三月、ところがこれらの人々が原始取得をいたしました時期がその若干前。現実に一時使用として入っておりましたのは、私の記憶では、三十四年当時から逐次一時使用としてこの地区に入植者が入っておる、こういう実情にあったと記憶いたしておる次第でございます。
  20. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 局長、こういうことですよ。三十六年の三月に売買契約されておるのです。それから移転登記されて所有権が移転されたのが三十六年十月です。三十六年の三月に岡山の開発公社と売買契約がされておって、それから所有権の移転登記されたのが三十六年の十月です。常識的に考えてもこういうことは許さるべきことではないのですよ。ですから農林省という役所はそういう問題について麻痺しておるのです。どこを見てもみなそうですよ。  次の問題に移ります。次の(二)というやつです。これもまた驚いたことですね。これは三十四年の三月、それから三十六年の二月、百六十一名に対しまして売り払った。これが御案内のように予約でもって売買されている。しかもこの事業費が一億六千六百万円かかっている。一億六千六百万円かかっているのが四億で売られて、そして三百二十万しかとらない。ここでも一緒になって金もうけをさしているではありませんか。一体この原因は何ですか。
  21. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 再三の御指摘でございますが、問題点は、干拓地に入りました人間に土地改良法では原始取得農地法では、三十二年以前は農地法処理をいたしておりましたが、農業用の売り渡し価格で売り渡す、こういう制度に相なっております。法律の制度は当然農業用に使うというたてまえで、農業に成り立ちます価格で売り渡し、あるいは原始取得をさせる、こういう法制に相なっておったわけでございます。ところが法の予期いたしません姿におきまして、水島地区等におきまして非常に工業化の問題が起きてまいりました。そこで干拓事業といたしまして相当の金をかけて農地を造成いたしまして、農業に成り立つように、農地法で参りますれば一万円程度土地改良法では当時二万五千、現在では九万程度でございますが、それで農民に与えまして農業を営んでもらう、こういう法制になっておりました。ところが、御承知のように瀬戸内海方面等におきまして工業化が非常に進みまして、まわりが全部工場化いたす、そこで無理に農業をやらせるということについて当不当の問題もございました。いずれにいたしましても、このケースにつきましては土地改良法または農地法で入った人が所有権を持ってしまっておるわけでございます。所有権を持っております者が第三者に転売をする、そのときに水島地区なりコンナビートができて地価が非常に上がった、その結果非常に高く売れた、この問題は実は所有権を持っている人間が他に売る値段そのものに私どもとしては干渉いたしかねますので、今後の問題として、立法論といたしまして、八年以内にそういうことをやるような場合においては、法律であらためて最初から取り返しますよという法律を制定して前向きに問題を解決しない以外には、過去にさかのぼって法律をいじくるわけにまいりませんので、こういう事態を防止するために立法措置を講ずる、こういう処置をいたした次第でございまして、本件につきましては、ともかく所有権を持つ者が第三者に売る、その値段が高過ぎるということについては、ちょっとこの法律ではいかんともなしがたい。やはり前向きに法律改正をいたすということの必要を認めて法律的に解決をいたす、こういう立場に立ったわけでございます。
  22. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 農林省という役所は昔からずっとあるんですよ。そしていつどういう事態が来るかということを予想されているわけですよ。新しい今日の時代の中でいまの法律がどうかという検討をしながら、やはり新しく進んでいかねばならぬわけです。人から言われ、あるいは国会から、あるいは会計検査院から言われて初めて法律を直す、ここに、私は一体農林省というのは何をやっているんだと言うんですよ。こういう事態というのは起こるべくして起きたんだから、起こるべくして起きた事態に対してほったらかしておいて、会計検査院から言われてようやく法律改正をいたします、その法律改正をあなたは前向きだと言うが、私は後向きだと言う。まさに今日土地改良事業そのものを再検討しなければならぬ事態にきているんですよ。農林省は一生懸命何をやったか。工業用地をつくっているじゃありませんか。それを自分が直接売れないから、その間に農民を入れて、そして農民に金もうけをさして、割り戻しをもらっているかどうかよく知らないですけれども、そういうやり方をしているじゃありませんか。それが指摘をされなければわからぬほど農林省の役所というのは経済の先の見通しが立たないのですか。まさにやっていること、やったことがみんな後向きじゃありませんか。それはあとから申し上げるが、畜産の問題でも、あるいは森林の問題でも、あるいは農業改善事業の問題にいたしましても、みな後向きですよ。そしてとにかく五年か十年、経済からおくれてやっているじゃありませんか。それで農村の味方の農林省だ、そういうやり方はちゃんちゃらおかしいと私は思うのです。一体この農地転用というのはいつなされましたか。あなたは当時まだ担当者ではなかったから、見ながら御答弁されているから、たいへんお気の毒ですから私から申し上げますよ。三十六年四月にこれは契約がされているわけです。その農民の人たちから岡山県開発公社に三十六年四月にやられているわけです。そうして三十六年五月には日本鉱業株式会社、川崎化成、積水化学、ここに売り渡しをしたいということで、農地転用の事前審査の申し出が三十六年九月に岡山農地事務局長に出されている。岡山農地事務局長はやむを得ないという回答をしている。そうして三十六年九月に知事が内示を与えているじゃありませんか。自分のところで百姓をさせるということで売った土地を、工業用地にするのだがどうだろうと言ったら、よろしゅうございますと回答しているじゃありませんか。一体この矛盾はどこにあるのですか。
  23. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 御指摘の点、私どもいま非常に苦しんでいる問題でございますが、干拓事業は御承知のとおり十年前後かかっております。干拓を始めます場合に、その水島工業地帯の発展もなかなか予想いたしかねておったわけでございますが、この地区におきましては相当先に進みまして、人間が入ってしまった。入ってしまった結果、法律的に所有権を持ってしまった。そうしてそこに工場が進出いたして所有権に基づいてこれを転売する、この場合にいろいろの事情があったと存ずるのがございます。ここの農民の方々が全部あげて転売に必ずしも賛成したわけでは当初ございませんでした。やはり政策として工業地帯をつくるのだということで、まとめて工場の敷地を岡山県の政策としてつくるのだ、そこに一部の方々には強制的な要請もあったように承知をいたしておりますが、いずれにいたしましても、この地区は、相当早く干拓地へ人が入ってしまったケースだ、ところで昭和三十四、五年あるいは三十三年ごろからこういうケースが非常に出てまいりましたので、私どもは、人間を入れてこれをやられるとこういう問題が起こる、そこで事前に、人間を入れないうちに、そういう地帯はもう農民に分けない、最初から工業用地に国の手で売ってしまうというふうに思い切って切りかえてまいりました。そこで、たとえば鍋田の干拓地、御存じでございましょうと存じますが、愛知県の南部の干拓地はもう農民に分けない、第二工区は分けない、そうして工業用に売るものは国の手で売って回収してしまう。それから、そのほか九州におきましても、最近のやり方といたしましては、そういうおそれを予想される工場発展あるいは新産、分けるともうこういう問題が起こる、したがって、分ける前に政府の手で売ってしまう、そうして地価の値上がり等は政府に回収してしまう、こういうことで処理をいたしておるわけでございます。さらに、しかし万々一こういうケースも今後経済の発展で出てまいろう、したがって農民がその差額をふところに入れることは所期するところでございませんので、法律を改正してその際は回収をしよう、こういうふうに改正を整理いたしておる次第でございまして、この件につきましては、まことに御指摘のとおり、人が入りまして所有権を取得した、ところがその後の経済発展によって工場化した、このケースでございますので、このケースは今後干拓地につきましては人を入れないで政府の手で売って回収してしまう、そういう方針で三十四、五年から進んでおります。ただ、いまも申しましたとおり、問題はやはり干拓事業が十年近くかかる、そこで経済の変化というものをなかなか予想しかねるというところに実は一つの問題点がありまして、この点につきましてはわれわれも経済の今後の変化を考えながら干拓地をやることは十分留意しなければならぬと常々存じておるわけでございます。そのように処理をいたしておる、こういう点を申し添えさしていただきます。
  24. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 関連して。どうも局長の言うことがふに落ちないのだが、いかに何でも三十六年の四月に契約をして六月にもう売れるという話をして、九月にもう知事がそういうものを出しているとすると、百姓というものは一年もやらないのだ、ほんとうの農業はやっておらないで、これを売り渡しているということは、非常にぼくはおかしいと思う。いまあなたの考え方が、こういうものをもしやられるときに、法律なんか改正しなくても、しろうとでも物を安く売ったり何かする場合には、何年間は売らないとか、売るならば自分のほうへ売ってくれとか、小さい個人でさえも契約書があるのに、役所が、何も法律がなくても十年間なら十年間売ってはならぬとか、十年のうちに売ったら取り上げるとか、そんなことは向こうの契約書に入れておけばいいことであって、別に法律改正をしなければできないなんということはないと思う。幾ら役所だって個人だって契約をする場合には普通の値段で売るならいいけれども、安く所有権を移転して農業をやらせよう、もし農業をやらないで土地を売る場合には、私のほうで取り上げるとか、罰則とかということは、別に法律改正をなさらぬでもできる。これは個人の女同士の契約だって、小さい土地の売買の契約というものはあるはずだと思う。  それから、もう一つ委員長に申し上げておきますが、ここの管轄の国税庁官か税務署の署長を呼んでもらいたい。この売った利益に対してどれだけの税金をかけてあるかという問題です。そういうことをして不当にもうけたならば、あなたのほうですぐ税務署に連絡をして、あれに対してはこれだけあるのだからこれだけ税金をかけるというくらいの処置を、たとえ契約書がなくても、国民の金で、国民の泣いて納めた税金でそういうことをやったとすれば、それだけの処置農林省がとらなければならぬ。どうもおかしいですね。それは農地法なんかで取った土地に対しても制限なんか加えてあったけれども、あれなんかいまかってに売ろうと何しようとかってなんです。だから都会の周囲にある農地法によって土地を取った人なんというのは、いまみんな村会議員、町会議員、市会議員です。土地の一反も売れば相当な値段になるから、四年ずつやれるから、こういう人がみんな農地法で取った土地を売って、そういうものに堂々としてなっておる。全く非常に矛盾をしているのですね。そうして一生懸命になって百姓をして、不平を言わぬでおる者に対しては、金がほしくたって小作人とか小さい農民には金をなかなか貸さない。貸すとすれば、農民がつくれないようなむずかしいものをつくって、何カ月もかかって貸す。これらに対しては援助もなければ何もない。そういう農林省の考え方はほんとうに誤っているのだと私は思う。いま日本であなた方のようなお考えを持って農業の行政をやられたら、まず農民なんというものはもう五、六年たったら農民が赤旗を立てて、不平を言い出したり、あるいはまた農業を放棄して、ほんとうにまじめに百姓をしてくれるような農民はなくなるのじゃないかと私は思う。そうして、いまのような小りこうな、土地を所有して百姓をやるといいながら売ってしまう。農林省は法律がございませんからと言うが、私はそんな言いわけをする必要はないと思う。何も法律がなくても、農林省がしっかりしていれば、これを払い下げをして八年なり十年なりは売ってはいけない、売った場合にはこうやるのだということを、契約書だから書けば有効なんでしょう。役所だって法律がなければ契約書は有効でないなんということはありませんよ。どうなんですか、そういう考え方は。農林省は、そういう契約をしたから有効でないとおっしゃるのですか。有効だとあなたは認められるのですか。それをひとつお話し願いたい。
  25. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 二つのお話がございまして、まず第一点の三十六年の四月に売ったという問題は、契約は実は岡山県の公社と所有者の間でやったわけです。第二のケースは、少なくとも昭和三十二年以前に売ったものであることは間違いないわけでございます。というのは、三十二年から法律改正をいたしました。したがって三十二年以前に第二のケースのほうは、農地法によりまして売ったわけです。そこで問題点は二つございます。それからもう一つ、第一のケースは、実は三十二年から法律を変えまして売るという法制をとっておりません。原始取得という法制をとっております。というのは、こういう水面に突如として干拓地ができるのでございますから、土地配分は、竣工通知をいたしますと、そこに割り当てられた人間が原始取得をするという法制をとっております。そこで実は原始取得でございますから、なかなか法制技術的に条件がつけられない形になっております。しかしそこでいろいろ研究をして、やはり原始取得でも徴収するという法制を特に新しく設けるということで当初つくればよかったのじゃないかという御批判に対しては、私どもも頭を下げざるを得ないわけでございますが、一応売ったというようなことでなくて、原始取得という法制になるのじゃないか。そしてもう一つ、御議論の前提として、先ほど来三十六年三月、三十六年四月というような日が出ておりますが、これは原始取得した者に対して岡山県の公社が売買契約をしたという時点でございます。
  26. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうじゃないですよ。三十六年二月、四月、五月じゃないか、そして九月で解決しておるのじゃないか、二十三名のやつは。
  27. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 二月、四月、五月というのは、ちょっとお尋ねしますが、岡山県公社の相手方との契約ではないのでございますか。
  28. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この第二項の問題は、三十四年三月に百三十六名に売って、三十六年二月に二十三名に売っておるでしょう。三十六年二月に売ったものが四月には契約が結ばれて、五月には農地転用について申し出があって、九月に岡山事務所が許可をして、そしてそのまま県知事が内示を与えておるのじゃないか。だから同じ月なんです、三十六年の二月の二十三名の分は。これははっきりこの報告書に書いてあるとおりですよ。
  29. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 そんなものは月だとか日だとかいうことではないのだ。やり方が悪いということを指摘されておるのだろう。いまの契約書もそのとおりなんです。月や日が違ったとか、そんなことじゃないのだ。やり方が悪くて——農業をさすために干拓地をつくったものが、農業をしないでほかへ売って利益を得ておる。それも短期間にやっておるのです。国民が泣いて納めた税金でそういうことをやって、一人の知恵のある者が、一つの団体がもうけておるということはおかしいじゃないか、こういうことを指摘されているのだから、ぼくの言っておるのは、法律なんか改正しなくてもあなたのほうが気がつくならば——百姓をするというためにたいへんだから農民にやるのだ、たくさん金がかかってもやるのだから、十年間なら十年間は売ってはいけないということをあなたのほうでつけ加えたって——この法律がないから農林省と農民が契約した、そういう項目を入れた契約条件が有効であるのかないのか。有効なら、あなたのほうでやらなかったということだから手落ちだということになる。これは個人でもいいのだから、農林省がやったって民法に照らしても相互の契約だから契約は有効です。それをしないで法律改正をして、法律の上に乗ってやるという考え方——それからもう一つ局長、あなたの考え方は間違っていますよ。今度は干拓したら農民にやらないで工場地帯にしてやるということは、あなたは埋め立ての業者なのか。農林省が干拓をして、埋め立てて工場地帯なんかにして売ったりするのは、農林省局長の仕事じゃないです。それは土方のやることだ、建設省のやることだ、そういう考え方をあなたが持っておるからこんな事件を起こすのですよ。どうなんですか、あなたは、法律がなくてもそういう条項を入れて契約しなかったことをいいと思っておるのか、悪いと思っておるのか。条項を入れてもその条項が役所であるために、民間でやった条項が有効であると思っているのか、無効だと思っているのか、まずこれが問題です、月日なんかどうでもいいのです。
  30. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 この点でございますが、やはり法律的に所有権を取得いたしますので、それでも行政指導として両者の納得ずくで判こを押させておいたらどうかという問題はあろうかと存じます。行政指導としてでもそういうことをやるべきだ、入れるときに、あるいは所有権を取得する時点におきまして、数年以内にほかに売れば取りますよ、そういうことを相対で契約をやっておくべきではなかったかという点につきましては、あるいはそうやっておくほうが行政としてよろしかったかという点については反省をいたしたいと存じますが、ただこれを強制いたすわけには法制的に参らなかったというケースであったと存ずるわけでございます。法律的には、その竣工通知をしたら、そこに入っておる一時取得者は原始取得をするのだという法制に相なっております関係上、原始取得をしても必ず八年後にほかに売ったら金を返せということを行政的な契約なり一札をとっておくべきではなかったかという点でございますが、少なくとも私どもの目下の考えは、御批判、お小言をちょうだいしておりますが、このケースにつきましては、入るときにはそうやっておりません。したがいまして、所有権を持ってしまう。所有権を持ったから、所有権に基づいて第三者に売ったというケースでございますので、法制的にそれを防いでまいりたいということが先ほど来申しておることでございます。  それからもう一つ、工場用に売るために干拓をやっているのは、おまえ土建業者じゃないかというもう一点の問題でございます。先ほど来るる申しておりますとおり、干拓に手をつけまして、竣工までやはり十年近くかかります。いま申し上げておりますのは、農業用に手をつけてずっとやってまいった、ところが、三河湾にいたしましても、あるいは北九州の一部にいたしましても、その後非常に工業化が進展いたしまして、これをそのまま農民に売るか、それともこの際ここで農業をやることとはどう考えても客観的に問題である、そういうふうに事情が変更してまいっておる地区につきましては、予期しているところでございませんが、入れてまた農民の手で転売するということはたいへん問題があろうということで、思い切って最初から人を入れないということでございます。それで先ほども申しましたとおり、これから着手する地区につきましては、そういう地区は当然避けるという趣旨でございますので、その点はひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。
  31. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 所有権の移転は、それは移転したっていいじゃないですか。しかし、所有権が移転したからそれをかってになにしてもいいのだ、そういう場合は、やはり時価の相場で売ったとか、何をしてもいいとかいう条件土地なら別ですが、農民に農業をさせるために、農業はもうからないから、相当金をかけた——これは農林省の金じゃないのです、国民の納めた税金の金をかけたものを安く損をしてやるのだから、これで農業をやらぬで他に売る場合には、損害賠償を取るとか、契約違反に対する違約金を取るとかいうことは当然じゃないですか。たとえばミシンを買うでしょう。ミシンを買えば、ミシンはその人の所有権でああいうものは家に持って帰れる。持って帰ったものは所有権でちゃんと取得しているのです。けれども、彼が月賦を払わぬ場合はミシンを取り戻すとか、あるいはそのミシンの所有権がなくなるとか、とにかく外国のミシンなんかは、家に入って持っていったって家宅侵入で訴えないとか、窃盗罪で訴えないとかいう条件をつけて月賦販売をしているのじゃないですか。いやしくも農民に百姓をさすために干拓してやったのだから、それをしないで他に売った場合は、これに対して契約違反で違約金を取るとか、あるいはなにするという手をつけることは当然です。別に法律改正しなくったって、あなたはいま会計検査院に責められているから法律改正法律改正と言っているが、これは民間契約でいいじゃないですか、これは有効なものです。それから、いま埋めたものを、周囲に工業地帯が発達したから、ここで百姓ができないからこれをほかに売る場合には、大蔵省に雑地として返すなり、大蔵省で売らすなり、あるいは建設省なら建設省にやらせたらいいでしょう。農林省が直接に百姓をさせようと思って埋め立てたところを工場地に売ることはできませんよ、 これは目的が違うのだから。あなたのほうで埋めたけれども、周囲が全部工業地帯になってしまって、干拓したが開拓者を入れられないという場合には、雑地にされて大蔵省に返して、大蔵省がそれを管理して売るとか、あるいは建設省に、これはどうも埋め立てたけれどもだめだから、君のほうに返すからということで、農業がだめな場合には、工業地帯が発達しておるところはそういうところにやるとか、あるいは通産省が工場のほうに関係しておれば通産省にあれするのなら別だけれども農林省が直接埋めたものを周囲が発達したから工業地帯に売るということは、全く筋違いの仕事ですよ。土建業者とか建設省とかがやる仕事でしょう。そういう考え方を持ってやれば、これからやられるところの位置を選ぶ場合にはどうしても軽率になります。どうしてもこれを埋める以上は十年かかる、八年かかる。しかし八年かかっても、ここで農業ができるという自信がある土地でなければ埋めないという考え方で——いや、だめだったならばああいう工場地帯に売ってしまったっていいじゃないかというような考え方でこういうものを選ばれるということになると、これは土建業者であるのか何であるのかわからぬということになる。それから税務署も、その売った管轄の税務署の署長を呼んで聞かれたらいい。それでこっちに回答してください。どれだけの利益を得て、どれだけの税金がかかって、どれだけの税金を取り立てて、どうしているかということです。それだって、そういう契約書がなかったら、そうして彼らのほうでもうけていることがわかったら、あなたのほうですぐに税務署に連絡して、そうして税金を取っていれば、国民の金を使ってもある程度税金として回るからいいということになる。一体役人というものは国民の金に対する観念がない。少しめんどうになるとどこかに行ってしまえばいい、職責が変わればいい。政務次官も、やはりそうやって国会の席を汚しておられるのだから、そういう点を大いに指摘されておやりになったほうがぼくはいいと思うのです。みんな一年か半年しかいないもんだから、あの役人の複雑な機構に迷わされて、だまされて、いろいろなことをやってしまう。これはもう局長の考え方が違っている。この次に、局長のほうで税務署の係を呼んで、どれだけもうけたか報告してください。これは必要じゃないですか。安く払い下げたものをほかに高く売ってもうけたら税金を払うのがあたりまえだ。どれだけ税金を取ったのか、どういう報告をしたのか、その報告に不徹底なところがあれば、みんなその売った人も買った人も組んでやったことになるのだから、これは脱税で処分しなければならぬ。そういうぐあいにやっていけばいいのです。どうも考え方が違っておりますよ。私は、これは材料を調べないで、とにかくあなたに関連質問でやっているのだが、ぼくがもしこれを専門でやるのだったらこのままでは済みませんよ。  まあ、このくらいにしておきましょう。
  32. 栗原俊夫

    栗原委員 関連して。第一のケースは原始取得で所有権を得た、こう言うのですが、原始取得をしたときの所有権を獲得した人が金を払うという事由の発生、その金額、またその原始取得したときの地目はむろんこれは農地だと思うのですが、農地を地目変換するときに、一体こういう土地についてどういう論議がなされて、地目変換を許可されているのかという点をひとつ明らかにしていただきたい。
  33. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 原始取得をいたしまして、農地でございますから、今度は農地法の五条の農地転用の問題に相なります。いずれも所有権に基づいて第三者に農地を売るというケースでございますので、農地転用の角度からの許可が別途行なわれる、そして農地転用の角度から申しますと、工場化が自明であるところにつきましては農地転用を許可する方針をとっておりますので、このケースについては許可が出た、こういう次第でございます。  お答えを漏らしました点がございましたら……。
  34. 栗原俊夫

    栗原委員 それは工場化が確実であることがはっきりしているから農地転用を許すのだ、一般論としてはそういうことが言えると思いますが、農地をつくるために国費を多額につぎ込んで、そして農業を営むということで、かかった経費よりもはるかに安い営農の可能な金額で売り渡した土地を、工場転用が確実であるからといって簡単に一般の農地と同じ立場でこれが論議され、許可されていいのかどうか。ここにもやっぱり問題があると思うのです。この辺は確かに工場に転用すればいい場所ではあるけれども、かくかくの次第で農地をつくるために国費を投入した土地なんだ、したがって、というような議論が当然そこに展開されなければならぬと思うのだけれども、この辺はどうなんですか。
  35. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 御指摘を待つまでもなく、実はこのケースについては私ども当然頭に浮かんだわけであります。それでどうも問題があるということはよくわかったわけでありますが、先生方の御指摘もありましたとおり、それでも行政で回収すべきであったではないかという点につきましては、行政的な立場として不徹底であった、間違いであった、もっとやるべきであったという御議論も十分わかるわけでございますが、当時の判断といたしましては、どうしても入るときに——実は入るのはもっと前なのでございまして、入るときにそういう一札なり契約をしておればあるいはできたかと思いますが、実はこの人たちも入るときは初めはやるつもりで入ったというケースでございますものですから、率直に申しまして行政的な手段で回収という措置を講じなかった。それがやはり小役人的な考えであって判断が間違っているという御指摘を受けますれば、私どもも大いに反省しなければならぬところでございますが、検討いたしました段階におきましては、やはり法制的に所有権を持ってしまうものですから、どうもいまいましいけれどもやむを得ない、それで立法措置を考えたい、こういうふうにものの考え方は進んだ次第でございます。
  36. 栗原俊夫

    栗原委員 農地転用にはいろいろ段階があって、末端行政地区の農地委員会の承認あるいは知事段階の承認さらには農林大臣の承認と、こういう段階があろうかと思うのですが、問題は、転用することが確実であれば何でも申請どおり全部やっていいものなのかどうなのか。やはり拒否する事由があれば拒否する場合もあるのだと私は思う。だから審議をして許可をするとかせぬとかこういうことがあり得るので、したがって、工場になることが確実なんだからこれは申請があれば許可しなければならないのだ、今日の農地に対する態度というものはこういう態度なんですか。
  37. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 実はこの地区は、最初から図面もよく見ましたわけですが、御承知の水島地区工業地帯コンビナート地区でございまして、そこへぽかっとコンビナートをつくろうという計画の地区のまさにそのものの地区でございます。先生御指摘のとおり、農地転用の立場から見て、どこかに工場ができる、それをここで許可するかどうかということはもちろんやっておるわけでございますが、この岡山、倉敷地先ケースはまさしくこのコンビナートの地区で、考えようによりますと、そこに大きな干拓地があるからそこにコンビナートをつくろう、こういうケースでございましたものですから、この農地のものを認めないということは水島地区のコンビナートを認めないということに相なりまして、私どもいろいろ考えたわけでございますが、水島地区のコンビナート造成そのものは、やはり国としても政策として援助いたしておりました地区でございまするので、農地転用の角度からは当然許可をすべき地区、こういうふうに判断をいたした次第でございます。
  38. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先ほどからの局長の答弁、所有権が移ったのでしかたがない、こう言っておる。しかし、所有権が移らない前に売買されておるじゃありませんか。この第一はそうでしょう。第一は所有権がまだ移転されてないでしょう。配分通知で売買されておるじゃありませんか。所有権が移動したのは三十六年十月です。売買契約のされたのは三月ですよ。これはどう説明いたしますか。
  39. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 実は農地を売買いたしますケースにつきまして、農地転用の許可を条件といたしまして仮契約をやるケースがあるわけであります。岡山県公社がその地区と売買をしたかどうかという問題につきましては、正式に所有権移転は転用の許可が要るわけですから、その正規の売買とは私どもは見ておりません。その場合に、仮契約ということが事実行為といたしまして岡山県公社あるいはその農民との間に進むといたしましても、実は、そこまでは私どものほうとしてはなかなか追っかけ切れなかった、こういう実態でございます。
  40. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 だけれども、この倉敷地先は三十六年十月に所有権の登記がされたのでしょう。三十六年十月ですよ。売売契約は三月にされておるじゃありませんか。そうすると、あなたは先ほどどう言っておるかと言いますと、先ほどの答弁を聞いておって、法律的に所有権が農民に渡っておるのでしかたがない、しかたがない、しかたがない、とこう言っておる。まだ所有権が移転されてない。先に契約されておったならば、これが所有権を移転されたら売買されることはわかっておるのですから、それについての防護措置を当然とってしかるべきじゃありませんか。それをなぜとらなかったのですか。
  41. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 問題は二つございまして、実は岡山県公社にいたしましてもあるいは工場にいたしましても、農地転用あるいは停止条件つきで契約をするケースはいろいろあるわけでございます。実はそれは私どもの行政面ではなかなかとらえ切れないわけでございます。そこで、正規に登記するときには当然農地転用許可証が要りますから、その農地転用許可の段階で私のほうとしてはチェックし得るという態勢をとっておるわけです。そこで、いま詳細をちょっとあれでございますが、三月に売買が行なわれたというお話しでございますが、よく調べさしていただきたいと存じますが、転用許可を停止条件とする仮契約と考えざるを得ない次第でございます。なぜかならば、一時使用者につきまして所有権がないからでございます。それからもう一つ、本件につきまして、実は私ども非常に困りました問題は、原始取得をいたします前に、工事がある程度できまして竣工通知をします前に、一時使用という時期が入るわけでございます。この一時使用は、実はこの地区についてもいろいろ調べたのでございますが、三十四年ごろから一時使用を開始しておる。そこで実体的には三十四年ごろからそこに居ついて耕作をしておった。ただ、工事が終わりませんから、竣工通知が延びておった。そうして工事が終わった三十六年に竣工通知をいたしました。その結果、法律的に原始取得をした、こういうかっこうに相なっております。その三十六年に人間を入れるような問題でございましたら、私ども当然考え直した問題でございますが、一時使用という形で相当前から入って現実に耕作をしております。その関係がございましたので、その配分通知をするかしないかということで非常に議論も重ねたわけでございますが、数年間すでに入って耕作をしておる実態を見ますと、どうしても配分通知をせざるを得ない。いまから出ていけというわけにはちょっとまいらない。こういうケースであった次第でございます。
  42. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 局長、まことにこれはけしからぬ話ですよ。三十三年に一部入植しておるのですよ。三十四年三月に配分通知書を出しておる。この配分通知書に基づいて売買がされたのですよ。売買契約がされたわけですよ。売買契約がされていながら、実際にそれが三月にされて、竣工通知が十月で、そのときに所有権が移転しておるわけです。ですから所有権移転をさせる時期、法律的に所有権を農民が持つ時期には、もう事前に売買されておる。農林省知っておるのじゃないですか。七カ月たっているわけですから。とにかく一億八千万かけたものを六億で売るという契約が、配分通知に基づいてされているわけですよ。そうして移転を登記することによって六億で売った農民から二千万円を十五年間でしか取れないということがはっきりわかっているじゃありませんか。所有権を移転をしなければ押えることができるじゃありませんか。この土地を所有権を移転をしたら一億八千万かかったのだけれども六億で売られる。実際には、売られたら二千万円しか、その二千万円も十五年間の年賦でなければ取れない。それがわかっていながら所有権の移転を行なっているじゃありませんか。そこに問題があるというのですよ。
  43. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 御指摘のとおりでございます。私、三十四年と思いましたが、先生三十二年からという御指摘でございましたが、三十三年から入りまして実際に耕作をやっておる。ほんとうならば、そのときに売るべきであった。ところが、この法制は、工事が全部終わりまして竣工通知をした瞬間に原始取得するという法制に相なっておりますので、その間、一時使用というフィクションといいますか、形になっておるわけであります。そこで、私どもが配分通知を決定して竣工通知をすれば原始取得になってしまうということはわかっていた。わかっていながら——ただ問題は三十三年、四年から入っている。現実に田をつくっておる人間が入っておる。そこで問題は二つに分かれまして、配分通知をしない、お前ら出ていけ、こうやるか、三十三年なり四年からやっておりました事実の上に配分通知、竣工通知をして原始取得させるかという問題に当時当面した次第でございます。そこでその判断といたしまして、その現実を尊重いたしまして配分通知をせざるを得ない、かつ竣工通知はどうせやらざるを得ない。そうしました結果、原始取得してしまった、こういう実態でございます。  そこでいま、それでも行政措置としてその相対で金を取る措置を講ずるべきではなかったかという点につきましては、私どもも検討いたしましたが、当時の判断として、どうも三十三年からそういう一札を取っていないから無理があろうということで、御指摘のように結果的にその方々が非常にもうけてしまった、こういうケースでございます。
  44. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 関連して。どうも農地局長の話を聞いているとおかしいんだよ。三十三年に入ろうが三十二年に入ろうが、たとえ一部百姓しておろうが農業しておろうが、所有権はその人は持っておらぬわけだ。所有権持っておらぬうちに売買契約をした。あなたに言わせると売買契約というものはほんとうの契約でないから、売買したのじゃないから、こうおっしゃるけれども、日本の国では手金打ったり契約書書いたりしますけれども、外国ではそんなことしませんよ。これをお前に売った、買ったでいいんだから、それで売買契約が成り立っているのですよ。しかも契約書で仮契約をした以上は、自分の所有権のない土地農業地以外——農村に売買をしたのならまだいい。工場を建てるときに売買したのだから、それがあなたのほうでおわかりになれば、所有権の移転を許さなければどうすることもできない。それを知りながら移転を許してやった。たとえ移転を許しても農地の転用に対して断固としてこれに反対されればどうすることもできない。買った人も契約を破棄するのです。そういう点をずいぶん抜けたことをやっておられて、そしてああでもない、こうでもないとおっしゃると、われわれもやはりそう矛盾したものをこの委員会では通されませんから、やはりあなたと戦わざるを得なくなってくる。そうでしょう、簡単なことじゃないですか。百姓が何年入っていようが、そんな期日はどうでもいいのです。所有権が移転しておらぬうち、まだ全部でき上がっておらないうち、金も払わぬうちに売買契約して農業以外の人に売ったということです。それもこれも仮契約をしておる。それがあなたのほうでわかっておったら所有権の移転をしない、移転しても、違約したのだから、この土地に限って農地の転用はしない、そのくらいの処置は、もしあなたの財産ならあなたはきっととりますよ。国民が納めた税金でやられたので、あなたに関係ないことだから、あなたのところはふろしき一つなくならないから、あなたが勝手に判断されて判を押された、こういうことになるのですよ。あなたの財産ならそんなことをなされませんよ。そうでしょう。自分の土地をどんどん造成してやっておるのを、早く入った人もあるだろうが、あなたの目的に反したところに売って売買契約をしてしまった、それで金も払わない、それがわかったら、あなたはその人に所有権を移転して金もうけさせますか。違法なことをやりますか。しかも農地の転用というものは、あなたのほうの手によってやらぬ気なら断じてできないのです。やらなければこれはみんな解約になって、百姓やらなければならぬことになるのですよ。あなたのほうはいろいろな工場と組まれてじゃんじゃんやられるから——もう農地局長に限って代々、名前は言わないけれども、みんな工場に買収される。こういう例が幾つもありますよ。あなたがないとおっしゃるなら出してみましょうか。私の選挙区に三つぐらいありますよ。百姓の転用願いが出る前にもうすでに農地局長とかその下の幹部とこれは工場にするという約束ができているんだ。それから書類を出すのですから、農民なんか突然にそんなものは出しませんよ。この土地だってそうですよ。工場に売るという契約をする前にちゃんと了解を得てあるのですよ。得ないで百姓が、金を払わぬ土地を売買契約をして工場に売るなんということができますか。陰に踊っている土地を買って工場をつくる業者と、農林省の幹部とのつながりによってこういう話ができているから、おまえたちこうやれというからそのとおりやるだけですよ。だから御答弁なさる必要はないじゃないですか。やったことが悪いんでしょう。それをあなた御答弁されることになれば、これを調べ直して、やり直そうじゃないですか。そうなれば向こうに行って現地調査して、農民がそんなことをやったかどうか調べればいい。農民がそんなことをやる力ありませんよ。政務次官どうですか。あなたも衆議院に出ておわかりでしょう。そんな金も払わぬうちに土地を、まだでき上がっておらぬやつを工場に売るという、そんなず太い農民はおりませんよ。ちゃんと工場にする買い主と農林省との間に一脈の連絡ができてやったのですよ。そうでしょう。政務次官どうです。
  45. 丹羽兵助

    丹羽(兵)政府委員 ただいま干拓地の転用につきましていろいろと御意見もあり、また経過についてのお尋ね等もございまして、お尋ねに対しては、その経過の一部をお話し申し上げたのでございます。しかし、御指摘のように、ただ会計検査院から御指摘を受けたので恐縮しておるという意味でなくして、委員各位から、国民の代表としてかような結果を、いかに現行法がどうなり、制度がどうなっておりましても、目的から考え、生んだ結果から考えて、国民として承服しかねる結果になっておるという議員として、国民の代表の立場に立っての御指摘、もっともと考えております。ただ、私は、先ほどお話にありましたように、政務次官といたしまして、かような結果になっておりますことをはなはだ遺憾に思い、恐縮に存じております。国民の税金によりまして干拓をいたします、そうして、食糧政策、農業政策としての立場に立って考えまして、大きな金をかけたそのものをわずかな金で農民に売り渡す、開拓者に売り渡す、これは農業政策として当然なことでございましょうが、しかし、これが他のほうに転用されるとか、あるいはそのことによりまして目的が変わって、非常な利益を入植した者が受けるということになりますれば、これはもう当然措置として考えねばならないと思うのでございます。もちろん無断で入植したとか人が入ったとかいうような、事務当局——無断ではないけれども、ぼんやりと聞いておりますとそういう感を受けるような言い方をしておりますが、これとて決して無断で入っておるものではなくして、仮配分とか県とかの了解の上に入って耕作をしており、適当な努力をして竣工検査を受けて、そこで初めて自分のものになるわけであります。なったからといって、いま申し上げましたように、それは農業で使われるなら当然でありましょうが、なると同時に、あるいはなるであろうことを待って、それをその先に転用契約等をするということは、これは感心したことではない。またそれによって得た利益——国民に大きな迷惑をかけることでありますから、もちろん国税庁というお話もございましたが、それによって大きな利益を上げておりますれば当然国税庁のほうも個人に対しての税措置はとっておると思うのでございますが、私のほうでも考えていきたい、調査をしていきたいと思います。根本的には御指摘のようにございまして、まことに私どもは恐縮に存じております。今後かようなことの起きないように、法律の改正をいたしまして、しっかりとひとつやってまいりたいと思っております。お許しをちょうだいいたしたいと存じます。
  46. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 政務次官、これは法律以前の問題だと思うのですよ。これは常識ある人間が聞いたら、だれでも腹が立つ問題ですよ。所有権がない者が契約をして、そしてそれが契約が結ばれたら六億八千万円に売られる、そのうちから十五年間で二千万円しか取れない、農林省は一億八千万金をかけたんだ、この話だけ聞いても腹が立って腹が立って、税金を出すのがいやになりますよ。これが私は実情だと思うのです。それからこの金は一体どこから出たかというと、これはみんな会社から出ているのです。公社はただトンネルだけなんです。これも事実として出ているわけです。ですからこれはほんの氷山の一角です。この一、二の問題についてはもっと、いまの局長がおったとかおらないとか、よくわかりませんけれども会計検査院よりもっと別の立場から徹底的に調べていただいて、ひとつ経過と、それからいま田中委員からも言われた問題を含めて、明後日また農林省関係決算をやりますから、それまでにしっかりした報告とそれからそちらの気持ちを聞かしていただきたいと思うのです。  それで次の問題に移りますが、このおかげでみんな罪人が出ているわけです。補償成金が情婦殺人を犯すまでの二年間、この補償金を一千万もらったために、持ちなれないお金を持ったために愛人をつくって、妻子を離縁をしてそうして愛人にバーを開かせて、とどのつまり二年間で金を使い切っちゃって、これは自殺未遂です。まさに農林省は百姓に金をくれて、そうして浮かれた家庭不和まで起こさして、そうしてとどのつまりが東海道線に自殺だとか、これじゃあまりにも私は酷な役所だと思うんですよ。  そこで次に会計検査院にお尋ねいたしますが、これに対する回答が三十七年度に出されておりますが、これについてのお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  47. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 先ほど来岡山の土地改良事業の転売に関して御意見がございました。それで三十六年度に御案内のような会計検査院意見を出しましたところが、その後農林省といたされましても先ほどいろいろ御意見がございましたが、行政措置でやれないかというような点、いろいろ法制当局その他も慎重に御検討になった結果だと思うのでありますが、やはり現行の土地改良法を改正しなければ、会計検査院改善意見を出したような事態についての合理的な解決はできないということで、改正法案を御提出になったようなわけで、今後はこういう事態は、この法律を完全に実施されることによって未然に防げる、こういうふうに検査院としては考えております。
  48. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この法律改正においても、私は国民の一人として納得できない改正があると思うのです。これは会計検査院よくわかっていると思うのです。かけた金の回収だけいたしますと——かけた金の回収だけでいいかどうかという、私は疑問が残ると思うのです。ですから法律というものは、私は常識が法律になっていると思うんですよ。ですから常識にはずれている法律なんというものは、価値がないと思う。ですから私はその意味で、いま会計検査院にお尋ねしたわけです。ですから十年かかって一億かけてできたから、十年たった今日一億回収すればいいんだ、こういう改正だけでいいだろうかどうだろうか、これはやはり検討すべき問題だと思う。その問題も明後日までの間にぜひ私は聞かしていただきたいと思う。そこで先ほどから局長からもしばしば出てまいりました国営土地改良事業において、農地として売り渡したものが他用途に転用されたもの、この現況についておわかりになりますか。
  49. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 特定土地特別会計で直轄事業で干拓をやっております、これを他用途に転売をいたしました実績は四件ございまして……。
  50. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 質問が違うんだ。質問は、いまあなたが御答弁するのは、次にぼくが聞くわけです。いま聞くのは、農地として売り渡したものが他用途に転換されているものの状態がおわかりになりますか。もしおわかりにならないようでしたら、お調べになって、あとで資料を出していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  51. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 農地といたしまして所有権を国が持つ、したがって、売り渡しの対象となりますものとしては開拓事業、干拓事業がございます。開拓事業の分は、実は資料を探せばありますが、いますぐには出てまいりませんので、後ほど資料として提出させていただきます。したがって国が買いまして開拓しまして開拓者に売ったもの、それから公有水面を埋め立てまして農地にいたしまして他用途に売るもの、この二つにつきまして後刻資料で提出いたします。
  52. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは次に、いまあなたが資料を持ったやつをひとつお尋ねいたします。特定土地改良工事の特別会計の他用途の転売状況です。いまあなたが申されました四件、資料として出されております、このうちで一つだけ御質問いたしましょう。曽根・草見の直轄干拓事業が二十七年から着工をして三十七年までかかった、十年間かかった。総事業費が四億一千五百八十三万一千円、土地は三十一万八千六百二十六坪で、全部他用途に転売された、こういう報告になっておりますが、この経過、売買の会社、坪当たりの単価はどういうふうにおやりになりましたか。これは先ほど申しました農林省で、どういう形式でおやりになったのですか。
  53. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 曽根は御承知のとおり福岡県の豊後水道に臨みました海岸にございまして、二十七年から着工いたしておったわけでございますが、北九州におきまして、水の関係で工場立地を求めるところがなくなった。そこで、実は一、二、三工区とございまして、草見は一工区でございます。第三工区を河口の貯水池にしたい、そこで水を非常にためまして、その周辺を工場地帯として造成したいということが県庁から北九州開発計画として三十六年に出されました。それで私どものほうとしては、ここを本来は地元の方々の農業用の干拓地として考えておったわけでございますが、その話が起きましたので、三十六年以来二工区、三工区の工事はとりやめまして——一工区につきましてはでき上がっておりますが、小倉市がこれを売ってくれということでございましたので、昨年末売る契約をいたしました。事業費はいま先生のおっしゃいました四億一千五百万でございますが、売る値段は五億七千九百万で売ることにいたしました。坪はちょっといま正確に覚えておりませんが、私の記憶では千八百円見当と存じております。売る値段は、周辺の土地を不動産鑑定士その他等から評価をいただきまして、干拓地は地盛りをしなければなりませんので、その地盛りの経費を引いた相場を想定いたしまして、国有財産法の処分の原則に従って算定をいたした値段でございます。
  54. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それではあなたも資料をお持ちのようですから、この四カ所に対する転売先について御説明願いたいと思います。
  55. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 四カ所と申しますのは、第一番に岡山県の笠岡でございますが、これを岡山の県開発公社に売ることにいたしました。県開発公社の考え方としては、笠岡地区は非常に住宅地のないところでございますので、これを宅地用に、市営住宅を建てるたてまえに承知しております。  それから高梁川、福田・西はいずれも岡山県開発公社でございまして、コンビナートの関連の地区でございまして工場用地に、岡山県開発公社は先ほどトンネルというお話がございましたが、私どももさように承知いたしております。
  56. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その場合の売買については、やはり転売するとかしないとかいう条件はきっちりおつけになっておるんですか。用途については明確にされておるんですか。
  57. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 岡山県開発公社がコンビナート工場用地として使いたいから売ってくれという申請でございますので、それを認めた、こういうわけでございます。
  58. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それで売買価格については、この資料によると、市場価格よりも相当安いというふうに思うんですが、その点については、これは公正妥当な計算がされておるんですか。
  59. 丹羽雅次郎

    丹羽(雅)政府委員 御承知のとおり国有財産処分でございますので、国有財産処分に関するいろいろの原則がございまして、その原則に従って私どもとしては算定した値段で、当然各方面の御審査も受けるわけでございます。私どもは十分妥当な値段と考えております。
  60. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あとでまた質問することといたしまして、土地改良の財産管理状態が不良だということが指摘されていますが、具体的に会計検査院のほうから御説明願いたいと思います。
  61. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 ちょっと勝澤先生、土地改良財産ですか。
  62. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いや、注意書きの事項です。
  63. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 どの分でございますか。
  64. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 三十七年です。あなたのほうから出た注意書きですよ。
  65. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 注意書きですね。いま私所管がかわりまして、それで何ですが、そこにございましたら拝借させていただいて申し上げます。
  66. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これを読むんだったら、これに書いてあるとおりだったら必要がないんです。
  67. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 御質問によって、私のわかる範囲内で資料を取り寄せます。
  68. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは資料がないから、もう少し詳細に書面で資料として出してください。  そこで、土地改良事業のあり方ですね。こういう問題について、政務次官にこの際検討していただきたいと思います。やはり長い年月かかっておるわけですから、長い年月の間に変化があるわけですが、その変化に即応した体制がなされていないわけです。いまこういう問題が起きておるわけですから、国営の土地改良事業というものはどうあるべきか十分検討すべきもので、いまのまま惰性でいくべきときではない。これはまたあとで水産庁のときに御質問いたしますが、漁港修築の場合も、私は予算委員会で河野さんに質問したことがあるんですが、あなたのような実力のある大臣が出ている小田原の港でも、十年たっても、まだ波が高ければはしけもつけられない、あとこれからの見通しではまだ十五年かかりますよ、二十五年間に小田原漁港ができたときに一体漁港なんてどうなんでしょうか、これじゃ国もかけ損ですし、地元でもかけ損ですよ、それをもっと総合的に検討してみたらどうですか、こういうお話をしたことがあるんですが、土地改良、干拓事業はまさに検討すべきときにきておると思う。しかもことしは米が足りないと言っておる。農業政策というものは相当大きく転換されておるわけですから、一つの方向が変わっておるにもかかわらず、それにつらなっておるものはまだ何ら変わっていない。そういう点でぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  69. 丹羽兵助

    丹羽(兵)政府委員 国営土地改良について政府は前向きの姿勢で検討を加えたらどうかという御意見でありますが、お尋ねの中にちょっと御意見が出たようでございますけれども、そのお尋ねの中に出ました御意見に私も全面的に賛成でございます。何となれば、非常に長いことかかって、できたころには時勢が変わる。しかもその長い期間にロスが非常にありますから、ただ一点、御意見に出ました早くということだけで考えましても、これは特別会計の制度をとっておりまするが、根本的にひとつ検討を、しかも御意見にありましたような意をくんで検討してまいりたい。できるだけそこまで、先生が考えていらっしゃるようなことが私もわからぬわけではありませんので、そういう方向にひとつ進めるように検討してまいりたいと思います。
  70. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 ちょっとこれはこの問題と筋違いなんですが、委員長もやはり決算におられたときに虎ノ門のニューエンパイアの事件を決算委員会で長く取り扱ったわけです。それがこのほど雑地として払い下げになって、払い下げになったものが会社をそのままくっつけて、これは金も払っていない。五カ年で一部しか払っていない。そうしてほかに売られておる。それをまた買ったものが会社のままで買ったから、今度は会社が合併しまして、いまやはりその二倍くらいの値段で売りに出している。これには裁判なんかが取りざたされていろいろ複雑な問題もございますから、一応材料が全部そろいましたらこれをひとつ聞いてみたいと思うのですが、今度の委員会では間に合いませんから、来週の委員会に本省の管財局長、それから国際興業の小佐野という重役、この人がこれを買っているのですが、それから、これの中に入っているのは船橋のヘルスセンターの丹沢、これらが介在している。もちろん政治家もたくさん介在しています。これを一応聞いてみたいと思うのです。来週の火曜の委員会に、どうしても火曜に間に合わぬければ木曜でけっこうですから、この委員会に三人を呼んでいただいて、私どもは材料を全部持っておりますから、ひとつ一応聞いてみたいと思います。ちょっと聞き捨てならぬ問題がありますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  71. 押谷富三

    押谷委員長代理 後刻理事会にかけまして、理事会の承認を得てさように取り計らいたいと思います。
  72. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 次に、今度は農業共済についてお尋ねいたします。  農業共済保険事業不正事件問題、これも毎年のことです。三十六年、三十七年度を見てみますと、会計検査院検査した事項の四割以上が不正、不当事項がある、こう指摘をされているのでありますが、まことに私は残念なことだと思います。これについての対策はどうなされておりますか。
  73. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 御指摘のありましたとおり、農業共済保険事業につきましての指摘事項が毎年相当数ございますことは、まことに申しわけなく思っております。  これにつきましては、まず原因から私ども考えて常に是正のための努力をいたしておるのでございますが、原因といたしましては、まず第一に制度そのものにかなり問題があったと思うのでございます。これは非常に複雑でわかりにくい制度であります。運営の当事者自身もわかりにくい。ましてメンバーになっております農家の人々にはなおわかりにくいというような面が相当あったように思います。特に農家にとって不満でありましたのは、低被害地におきまして災害がわりあい少ないのに相当の掛金の負担をする、また事務費を賦課金として取られるということから、農家がなかなか協力しがたいという事情があったのであります。その結果としまして、制度の運営に、これは悪意のない場合もございますけれども、無理が出てくるというような面が相当あったかと思います。この点につきましては、幸いにしまして、昨年の通常国会において農作物共済についての大改正の法律を通していただきまして、今年から実施に移ることにいたしております。低被害地に対しましてはいろいろな対策も講じておりますので、農家の不満はかなり緩和されるかと思っております。それから、やはり運営当事者自身の心がまえ、仕事に対する熟練というようなものも必要でございますので、それらについては研修、講習等の措置を講じたり、いろいろと指導に当たっておるのでございます。いろいろ対策もとっておるわけでありますが、すでに生じた指摘事項につきましては、毎年その是正をはかっておりまして、三十六年度までにつきましては完全に是正をいたしております。三十七年度分につきましては半分程度是正措置を終わっておりますが、なお半分まだ終わっていない部分がございます。
  74. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この是正措置の中で正規支払いとなっておりますのはどういう意味でしょうか。会計検査院から指摘をされて目的外使用になっている、それを今度は正規支払いをした、これはどういうような形の処理をされたことになるのですか。
  75. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 正規支払いと申しますのは、たとえば災害査定が少し違っておった、違っておったというよりもよけいな査定があったりして、その浮いた金を事務費に充てた、よけいと必ずしも限りませんが、そういうものにつきましては、事務費は事務費として徴収して払うべきものは払う、こういうような是正をいたしておるわけであります。
  76. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 目的外に使用しておったということは、大体どういうふうな目的外使用があったのですか。
  77. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 たとえば、事務費に充てるものは、国の補助金と農家から徴収します賦課金とが充てられるわけでございますが、それにつきまして、災害が起きましたときに支払われる保険金からそれを差し引いて充ててしまった、こういうふうな事例がございます。
  78. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それ以外にどういうことが行なわれておったですか。
  79. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 これはいろいろな諸経費に充当いたしましたり、たしか、中には建物をつくる金の一部に充てたような事例が、過去においてはあったようでございます。
  80. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この合併の負担金にしたり、県連合会の寄付金にしたり、旅行の費用に使ったりしたものがあったということが私の調査に出ておりますが、こういうことがあったのですか。
  81. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 そういう例もあったようでございます。
  82. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そういうような場合には、これは補助金等適正化法には関係がないのですか。
  83. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 関係がある場合がございます。
  84. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 補助金等適正化法で処分をした例がございましたら、ちょっと出していただきたいと思います。
  85. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 いままでのところはございません。
  86. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、この補助金等適正化法にひっかかるものはいままでなかった、こういうことですか。
  87. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 具体的な事例としてはございません。
  88. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いま私が言いましたように、合併の負担金に使ったりあるいは県連合会の寄付金に使ったり、温泉の旅行費に使った、こういうことに補助金が使われておりながら、これが法律違反でないということになると、これは重大な問題ですよ。ですから、やはりこういうものは、保険金保険金、偽りの申告をして余分にとったりすることのないようにしなければならないということをきっちり農林省でやらないと、いつまでたってもこういう例は絶えないわけです。ですからいつまでたっても、会計検査院が調べれば出てくるわけです。極端にいうと農林省はこういう調べをやっていない。ですから、調べないときは出てないですよ。こういう指導をすら何も考えていない——これは私が言うのじゃないのです。会計検査院が今日までの検査の結果で言っているわけです。それほど実は補助金に対するものの考え方、こういうものに対する考え方の不十分さがあると思うのです。ですからやらなければならぬものはきっちりやる、それ以外のものは余裕を持つなら余裕を持つ、こういう取り扱いが必要だと思うのです。ですから私はやはり今後法律の改正も——あなたは法律改正に伴ってこういうことは相当なくなると思っておるようですけれども会計検査院から指摘されたような事項については、法律改正になったからといって直ちにこういうものがなくなるとは限らない。そこに人的問題があるとこう指摘をされております人の問題があります。ですからその人の問題についてやはりこれは私は不正事件だと思うのですよ。極端に言うとこれは公金横領になる。あるいは極端に言うと公文書偽造になる。こういう疑いのあるものですよ。ですからこれは補助金等適正化法にひっかかって当然処罰をしなければならぬものがあるわけです。あるにかかわらず、実はこれを見ますと正規支払いとしか処理されていないわけです。正規支払いにしても、見つからなかったらいいのかということなんです。このことが今日の道義の退廃を来たしている。この間ある雑誌を見ましたら、高校生が、非行少年、非行少年といって、子供の青少年のことばかり言う。おとなは何をしているのだ。そしてこの場で刑事局長の答弁は、おとなの世界が子供に影響するんですよと、こう言っておる。保険金をだまして、うちのおとうちゃん温泉に行ったんだよ、こういうことじゃ私はたいへんなことだと思うのです。そしてそれが白昼堂々と行なわれて、それが何ら農林省で問題にされていないで、そのまま、いや、それは正規の支払いをやって金は金で別に取りました、こういう処分のやり方はいけないと思う。やはり今後は、特にこういうものについては厳重にすべきことを私は要望いたしておきます。いかがでしょう。
  89. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 まことにごもっともでございまして、今後こういうことが起きないように厳重に指導してまいりたいと思います。それと同時に、そういう事態が発生しないようにするということは、これは制度だけの問題でなくて、お話にありましたように人の問題、特に心がまえの問題もございますので、その辺につきましても、さらに十分注意してまいりたいと思っております。ただ、これは決して言いわけとして申し上げるわけではございません。末端の経理事務等につきましてやや十分に熟練していないという面もございます。また少し安易に考えておるというようなことも確かにあるようでございます。これはたとえば保険金としてちゃんと払って、それからいただくべきものはいただくという形式をとるべきものを、その間差っ引いて差し上げよう、こういうような安易な考え方をとるために、それが漸次いろいろな形の流用になってくるという、ちょっとした心がまえの問題から出ている場合も相当あると思います。それらの点につきましては、今後十分指導してまいりたいと考えております。
  90. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 百円盗んだとか二百円盗んだとかということになると世間は処罰が重いが、しかし忘れておったとか、うっかりしておったとかいう場合には、それにかりに故意や過失があってもわりあいに寛大なのです。そこにやはり問題があると私は思う。いまあなたが言ったように、そういう簡単なものの考え方をしておって、そういう取り扱いをしておったら、なおさらそれはこういうものだというきつい——やはり実績を積み重ねていかなければ直らない。だからいまでもいなかに行くと、旅行の金がなければ保険金で行けばいいじゃないかという話が出るわけです。それはまことに私は農林省の行政としてはまずいことだと思うのです。それはどこに原因があるかといえば、農林省がきっちりしないからだということになる。事務がむずかしいとか、いろいろあるだろうけれども、結局人の問題で、なあに会計検査院につかまったら返せばいいんだよ、農林省は見っこないというようなことで、事実見てないし、指導もしていないですから、そこにやはり問題があるわけです。だから結局農林省はいい役所で、銭をくれっぱなしで、おれたちの旅行の費用まで出してくれる。会計検査院というのはけしからぬ、見つけては取り上げる、こうなるのです。その上決算委員はまたたいへん……(笑声)こういうことになるわけです。これはやはり国民の金だという認識を持ってもらわなければいかぬと思う。  次に、今度は国庫補助金関係についてお尋ねしたいと思います。毎年この国庫補助金が、これまた不当な使用が指摘をされているわけです。中にはここに出ていますように、補助対象とは認められない事業に対し補助金が交付されている、あるいは補助金を出したけれども目的外に使用されている、あるいはそれが半分に削られて使用されている、こういう例があるわけでありますが、これは一体どういう原因で、こういう状態が起きるのですか。
  91. 昌谷孝

    昌谷政府委員 年々農林省が行ないます農村の振興についての各種の補助金につきまして、御指摘のようなことがあります。私どもはこういった問題の発生の原因をよくきわめて、問題が繰り返し起こりませんよう、いろいろと注意をしておる次第でございますが、私ども補助金の交付をいたします過程におきましては、おおむねこの種補助金は直接の国庫補助であります場合よりも、御承知のようにいわゆる間接補助でございまして、県が事業を起こします場合に、その県の行ないます事業に対して国が一定割合の補助を行なっておる場合が大部分でございます。そこでやはり根本的には、県が現地事業計画を認定いたしまして補助金の交付決定をいたします。その計画の審査なりあるいは計画の指導なり、そういった補助事業計画の立て方あるいは事業実施の指導、そこらのところに十分の手が届く親切な指導が行なわれていくということが基本であろう。その辺のところがややもすれば多少形式に流れてしまうといったようなことが、こういった間接補助事業の遺憾な結果を生む一つの原因ではなかろうか、さように考えまして、その辺のところを今後とも注意をしてまいりたいと思っております。
  92. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 畜産局がおられるようですが、三十六年度の三九三というものが青森県で指摘をされておる。豚を四百三頭購入して農家百八十六戸に預託したことにしているが、実際は事業実施していない。こういう場合はどういう処理をされるのですか。
  93. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 お答えいたします。これは中小農家畜産預託事業の一環といたしまして、青森県の組合に対しまして補助金三十一万二千円を交付をいたしましたのでございますが、この制度の趣旨といたしますところは、ここにありますように中小農に対して組合が購入してこれに預託をする、そしてみずからの力で家畜を持つという資力に乏しい者に対して家畜を持たす、そうして畜産振興をはかっていく、あわせて畜産の振興と農家所得の安定、そういうことを目的として考えた制度でございますが、この青森県の例でございますと、実際にはそういう事業実施いたしたということになっておりません。その意味におきまして国庫補助金を不当に受け取っておるというものでございます。したがいまして、三十八年の二月十四日に国庫補助金につきましては一応返納してもらって、三十八年二月十四日収納済み、こういうように整理をいたしておるわけでございます。
  94. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 不当な事業費をもらって、そして見つかったから国庫に返した、それだけでよろしいかどうか。適正化法の関係はどうなりますか。どういうふうに御認識になっておりますか。違反をいたさないのですか。
  95. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 この事件につきましては、私どもといたしましてもいろいろ調査したところでございますが、一応適正化法で処罰するという段階にはないのではないか、そういうことで補助金を返還させるということで一応終わっておるわけでございます。
  96. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、この補助金の申請をした公文書は偽造であった。そしてそれについての完成報告が出ておったけれども、これもうそであった。それで実際に見たけれどもやっていないから返還さした、こういうことでございますかな。
  97. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 確かに公文書を出して補助金を受領した、そうして調べた結果、その補助金の申請のような該当の事実がなかったということでございますので、形式的に申し上げますと公文書が真実に違っておったということは、確かに御説のとおりであろうかと思いますが、それではそれを適正化法に基づきまして処分すべきかどうかという問題についてはどうするかという問題があるわけでございますが、私たちといたしましては、これは金額の多寡によってこういうことを言うのも間違いでございますが、一応現地のほうでも間違いであった、そういうことも認めておりますし、補助金も返還しておる、そういうような事態でございますので、この点につきましては一応不問に付す、そういうことで三十八年二月十四日収納済みということにいたしておるわけでございます。
  98. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 法律の違反をしておるということはお認めになりますか。
  99. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 確かに形式的に申し上げますと、金額の多寡によりませんで、法律の趣旨なり精神にもとっておるということは、これは間違いなかろうと私は考えておる次第でございます。
  100. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 形式的というと、実質的には間違いじゃないということですか。ことばじりを取り上げて申しわけないと思うのですが、これは補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に違反をするものと私は思いますが、間違いございませんか。
  101. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 私のいまのことばの使い方がいささか不適切でございまして、形式的というなら実質的にはどうか、こういう御質問でございますが、そういう形式とか実質とかいうことを離れまして法律に違反をしておる、そう思うわけでございます。
  102. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計検査院は、こういうものについて院法によって措置要求ができるわけでありますね。やはりそこまでものを考えて指摘をしないと直らないですよ。それはもう検査院が毎年やって、検査院は件数を上げるためにはなるべくそういうものがいつまでもあったほうがいいでしょうけれども、しかしそういう必要性はないのです。やはりもっと能率的にやって、不正の行為というのはどんどんなくならなければいかぬと思うのです。しかしこれが毎年毎年この制度がかりにおやめになったからといって、不正行為があった事実というものは、やはりこれは追及をしなければいかぬと思うのです。いま金額の点からいきまして三十一万円だから——しかし三十一万円ここで盗んだら、その人は間違いなく首になって刑務所に引っぱられていきます。しかし三十一万円の公文書偽造をして、そうしてそれをもらって発見されて返したら罪にならない、これでは私はこの法律は要らないと思うんです。こんな法律をわれわれが国会で幾らつくっても、都合のいいところは採用します、都合の悪いところは採用しません、こういうふうに役人が解釈されておったら、一体国会は何で法律をつくっておるのか、法律というのはどこからどこまで守るのかということをもう一回聞かなきゃいかぬ、検察庁を見てみますと、課長なら十万までですよ、局長なら二十万までですよ、いやそれは代議士なら五十万ですよと、汚職の限度があるかもしれませんけれども、やはりこれじゃひど過ぎると思うのだ。先ほどの話と一緒です。国庫補助金がこういうように取られて、そしてそれについて農林省はほったらかしにしておいて、会計検査院から指摘をされたら、それだけ回収したらそれで終わりだということになったら、いつまでたっても示しはつきません。国の金は注がれっぱなしです。これははなはだ残念です。この点もこの次までにしっかりとひとつきめていただいて、この適正化法というのはどこまで違反をしたらこの法律を適用するのかどうかという基準をひとつ農林省でつくってください。よろしゅうございますか。
  103. 昌谷孝

    昌谷政府委員 先ほど冒頭の御質問にお答えいたしましたように、ここにございます種類のものは、おおむね県を事業地帯といたします間接補助金でございます。そこで、私どもといたしましても、こういった事例の発見、あるいは検査院指摘を受けました場合には、間接補助金としての適正化法に定めました手続によっての返還を命じておる次第でございます。なお、適正化法に基づきます罰則関係の適用等につきましては、これはそれぞれの向きにおいてお考えいただく問題かと存じますが、私どもとしては、間接補助金の徴収、返納を命じます場合には、法の手続に従ってやっておる次第でございます。
  104. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 ただいま勝澤委員からの御意見、まことにごもっともだと思います。私、農林省の立場を弁護するわけではございませんが、中小農家向け家畜預託、この事業が私のいままで聞いた範囲では非常にむずかしい。つまり、最初この事業を協同組合あたりにやらせる場合には豚の値段が高くて、これをやれば必ずもうかる、ところが、御承知のように農産物並びにこういった酪農関係のものの値段というものは非常に変動が激しいので、半年も立たぬうちに豚の値段が非常に下がってしまった。せっかく補助金はもらいながら、農家として最初は、申請書を出すときは非常に熱意を入れてこの仕事をやろうと思っていたところが、いざ実行の段階になってみると、せっかく補助金はもらったが、農林省で示されたとおりの補助事業がなかなかやれないというようなことで、そこら辺の農林省の指導というような点に多少欠ける点があるじゃないかということで、確かに先生のおっしゃるとおり、これは形式的にも実質的にも補助金適正化法に違反する事態ではございますけれども、違法というようなことで補助金適正化法をそのまま適用して処罰するというよりも、むしろそのようないろいろな事態もあったので、おそらくそういう事態であったろうと思うのです。それで、このような事態に対しては、やはりそこまで追及することはともかくとして、不当事項として、今後農林省当局のこういったような事務に対する考え方を再検討してもらうというようなことで、検査院としては検査報告に報告してございます。
  105. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私もあなたと同じように思いますよ。これを調べてみたらそういう結果です。しかし、やはり検査院検査をしなければ金を返さない、ほったらかしになっている。農林省でもそれを調べない。ここに私は問題があると思うのです。ですから、金がきたけれども、金の使い道がなかったものでということはいいですよ。あるいは個人で使うものを共同で使うんだと申請をして、そして個人で使っておった。それもいいでしょう。いいけれどもやはり上から下った書類、下から上がった書類を見れば、それが偽造されておる、うそ偽りの申告が出ておるというようなことを農林省の役人も知っていながらほったらかしたところに問題があると言うんですよ。ですから、不正を見ながら目をつぶっている、そのことが農林省が農民の上に乗っかって行政をやっている、上にのほほんと乗っかっているわけですよ。農民のためにものを考えているわけじゃないですよ。検査院もお立場上そういうお話をするのもけっこうだし、私もその実情についてはよくわかっております。  そこで、時間もありませんからもう一つ最後に、三十七年度に指摘された都道府県の事務費に対する補助金であります。都道府県の事務費に対する補助金につきましてもこう書かれております。「その経理補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の趣旨に従って行なわれているものとは認め難い。」と書いてある。違反だと書いてある。これは法律違反だ。しかもそのあとでは、「農林省においても、事務費補助金経理についてとくに指導した実績もみられず、」こうなっている。金を出しっぱなしになっているというのです。この補助金の事務費は明らかに適正化法に違反をしている。そうして農林省は、何ら今日までこれについての指導をした実績もない。ここに至っては、農林省はまさに補助金をくれてやっているようなものじゃありませんか。その点いかがですか。
  106. 昌谷孝

    昌谷政府委員 都道府県の事務費の補助金につきましては、農林省の各局にそれぞれの事業に応じてそういった予算がございます。そこで、直接私どもの局がやっているものだけではございませんけれども都道府県の事務費について、県が事業について補助金をもらったという意識と同時に、財源を付与されたというような意識とまではいかないのかと思いますが、部全体として、補助金を受けました県庁全体として事業目的を果たしておれば、個々の人員の配置その他については多少ずれがあっても許されるのではなかろうか。あるいはいろいろ下級の事務の繁閑等の関係で、そういった補助金目的の業務と、それからそれに関連をして、繁閑に応じて県内で機動的に事務をさばく際の体制と、その間のギャップがある。それが一時的なものであります場合はやむを得ないといたしましても、それが固定化してしまったというような事例が見られたわけでございます。私どもその点に関しましては、農林省としても何ら実効のあがる指導をしておらないというおしかりを受けているわけでございますが、その点につきましては、県当局を今後とも十分指導いたしますと同時に、また農林省のそういった事務費の補助金の予算の組み方自体にも、あまりにも事柄別に細分化をしておって、県庁が事務を遂行する場合の便宜という点から見て反省すべき点もあろうかというような御注意も受けております。そこらの点を今後十分考えまして、現在内部におきまして、そういった県に出します事務費についても、もっと効率的な、しかも実態によく合った予算の編成を行なって、そういう予算上のたてまえを実行の段階でのずれといったようなことが、いささかでも起こりませんように予算の段階から十分注意をいたしまして、なお実行の段階でもそういうことがありますれば直ちに予算を直すなり、あるいは実行を改めていただくなり、その辺のところを抜かりなく怠りなくやってまいりたい、さように考えておる次第でございます。
  107. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 まあどこの省でもそうですけれども農林省というのは長い間指摘をされながら放任をされておった問題というのはたくさんあるわけです。この問題も会計検査院が違法とは言わないけれども、法律の趣旨に沿っていない、こういう言い方すらしなければならぬ。その上しかも農林省は何らこれについての指導をやっていかなかった。これは実に私はたいへんなことだと思う。ですから、会計検査院もひとつ、農林省の問題もむろんのことでありますけれども、こういう事実をしっかり見詰めて、どんどん悪いところは指摘して直させなければいかぬ。ですから検査院についてもこの検査報告書へ載せることをそうおそれる必要はない。どんどん出せばいいのですよ。そうしてさらけ出してその省を直してもらわなければならぬ。そうしないと、検査報告書をずっと十年間ながめてみますと、十年間指摘されていることが、十年後になっても同じ指摘を受けて、最後にこういう改善要求意見になっているわけです。   〔押谷委員長代理退席、田中(彰)委員長代理着席〕意見になって初めて、一年くらいたって少し是正の形が見えるなんていうとこでしょう。特に農林省が私はひどいと思うのです。  いろいろ御質問いたしました。まだほかの局に対する質問が残っております。しかし本会議関係もありますから、きょうはこれで終わりまして、また引き続いてあとの質問をさしていただきます。      ————◇—————
  108. 田中彰治

    ○田中(彰)委員長代理 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件中、農林省関係調査のため、本委員会に参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 田中彰治

    ○田中(彰)委員長代理 御異議なしと認め、さように決定いたしました。  なお、参考人出頭の日時及び人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 田中彰治

    ○田中(彰)委員長代理 御異議なしと認め、さように決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会      ————◇—————