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1964-03-05 第46回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月五日(木曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 白浜 仁吉君    理事 押谷 富三君 理事 福井  勇君    理事 勝澤 芳雄君 理事 片島  港君    理事 山田 長司君       鍛冶 良作君    竹山祐太郎君       根本龍太郎君    湊  徹郎君      山口喜久一郎君    森本  靖君       吉田 賢一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         文部政務次官  八木 徹雄君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     安嶋  彌君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         文部事務官         (社会教育局         長)      齋藤  正君         文部事務官         (調査局長)  天城  勲君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君  委員外出席者         文部事務官         (大学学術局審         議官)     村山 松雄君         会計検査院事務         官         (第二局長)  樺山ただ夫君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 三月四日  委員森本靖辞任につき、その補欠として實川  清之君が議長指名委員に選任された。 同日  委員實川清之辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十六年度政府関係機関決算書  昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十六年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十七年度政府関係機関決算書  昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十七年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書(  文部省所管)      ————◇—————
  2. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度決算外三件及び昭和三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は文部省所管について審査を行ないます。  まず、灘尾文部大臣より概要について説明を求めます。灘尾文部大臣
  3. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 昭和三十六年度及び三十七年度決算外三件の概要につきましてはお手元に印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知おきいただきたいと存じます。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 白浜仁吉

    白浜委員長 委員各位のお手元に配付してあります昭和三十六年度及び昭和三十七年度決算説明書は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  次に、会計検査院当局より検査概要について説明を求めます。樺山第二局長
  5. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 昭和三十六、三十七年度の文部省所管決算につきまして検査いたしました結果、検査報告に掲げましたものは三十七年度で補助金関係六件、その他四件、計十件でございます。補助金関係六件を内容別に見ますと、事業量または事業費が過大となっているものが五件、補助対象とは認められないものに補助金を交付したもの一件となっておりまして、このような事態が生ずる原因は、文部省などの指導監督が十分とはいえないことによるものと考えられます。  その他の四件はいずれも国立大学現金経理に関するものでありますが、病院や農場などにおいて検査料農場生産物の売り払い代金などを受領しながら、これを歳入に納付しないで使用いたしましたり、あるいは賃金に付き増しをして資金を捻出し、予算外経理しているものでございます。  一般国立大学には会計法規を無視して経理を行なう傾向がいまだにあとを断っていないのでありまして、会計検査院といたしましては今後も現金経理の面を十分検査してまいりたいと考えております。  三十六年度では不当事項はございませんが、三十七年十一月に文部大臣に対して是正改善措置要求いたしました国立学校国有財産管理については、三十六年度決算検査報告の一〇二ページ以下に記述のとおりでございます。またこれに対して文部省当局がとりました是正状況につきましては、三十七年度の決算報告の一二四ページ以下に記述してございますが、大体におきまして本院の要求趣旨に沿って逐次是正されておるものと考えております。  以上でございます。
  6. 白浜仁吉

    白浜委員長 これにて説明聴取を終わります。
  7. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。押谷君。
  8. 押谷富三

    押谷委員 私は、文部省関係決算に関連をいたしまして、二、三の点について疑義をただしたいと存ずるものであります。  御承知のように、最近新聞や雑誌その他言論機関において、私学授業料が高過ぎるとか、あるいは入学金が高過ぎるとか、いろいろな問題が取り上げられて論議されているのでありますが、これは決して事新しいものではなくて、毎年入学期を控えた時分になりますと、この種の論議がかわされるのであります。そのよってきたるところは、私立学校へ入学する学生生徒やその父兄負担と、国立あるいは公立学校生徒学生費用負担との間において格段の相違があるということであります。そこにすべてが胚胎をいたしているのであります。もちろん同じ国民として納税の義務を果たし、憲法二十六条によって教育機会均等のもとにあるのでありますから、それはでき得る限り平等でなければならぬと思うのでありますが、その間において非常な格差予算の上において、決算の上において認むることができるのであります。試みに三十八年度の予算を見ますと、国立大学においての授業料年間一万二千円であります。公立学校においては一万二千円から最高二万四千円ぐらいであるにかかわらず、私立大学となりますと、高いところは七万円も八万円もしております。平均して五万四千五百円ぐらいになっているのであります。こうした大きな格差があるのであります。  政府は、御承知のごとく、人づくり国づくりという大きな二本の柱の上に日本の政治を行なわれておるのであります。その一番大きな人づくりという観点に立ちまして、公立大学あるいは国立大学私立大学とどちらが大きく人づくり協力しているかとその数を調べてみますと、国立大学は七十二校でありまして、学生の数は二十万人、公立大学は三十三校でありまして、大体三万人ぐらいの学生を収容いたしております。これに比べて私立大学は、この国立公立を合わしたものの倍の数字、百四十五校でありまして、学生の数もやはりこの二つの国立公立を合わしたものの倍に匹敵する約四十五万人にもなっているのであります。また科学技術のために必要な理工系学生の数を調べてみましても、国立大学におきましては約五万人、公立大学が五千人といたしますと、私立大学は八万人も収容いたしているのであります。まさに人づくりのために必要な最高大学教育私立大学が非常な比率をもって負担しているという状況になっているのであります。  こういうような私立大学と、公立大学国立大学との比率になっているのでありますが、さてその学生の一人当たり費用ということになりますと、これがまたたいへん私立大学は不遇にあるのであります。国立大学は一人当たりに国が負担をいたしているものは年間平均二十七万七千円と聞いております。それに対して私立大学のほうにまいりますと、年間平均十四万五千円、大体半分というところになっております。これは朝日新聞の記事であったと思いますが、医学部学生となりますとまた格段の開きがあるのでありまして、国立大学医学部学生に使われている費用年間三百万円だと聞いております。これを私立大学の慶応大学に例をとってみますと、一人の学生について六十万円だと聞くのでありますが、大体四分の一か五分の一というような少ない金で同じように研さんを積まなければならぬのであります。こうしてみると、この一人当たり費用の少ないということは、そのまま学術研究にはね返っているといわなければならぬのであります。人づくりという大きな仕事、大きな役割を果たしている私立大学に対しての処遇というものにつきましては、これは重大な関心を持って是正してもらわなければならぬのではないかと私は考えているのであります。  まず文部大臣にお伺いをいたしたいのは、こういうような状況にあります私立大学国立あるいは公立大学との間における費用格差、これが学生負担になり、父兄負担になって非常に悩んでおり、しかも費用の少ないということはそのまま大学における研究教養課程におきまして、はね返りを受けるという状況にあるのでありますが、これについてはぜひお考えをいただきたいと思うのであります。この費用格差是正するために私学助成ということに格段の御努力を願わなければならぬと思います。年々ふえておることは事実であります。そのふえている中におきまして、国立大学におきましてはすでに特別会計制度も設けられよう、またその特別会計において特に借金をして、債務を負うて、さらにより以上充実した費用をもって研究をしようとする状況にある今日、この国会におきまして特別会計の法案が出されていると考えておりますが、そういうような恵まれたものに、さらにより以上恵まれるような状況におかれているこの法律案考えますと一これは私は反対するわけじゃないのです。まことにけっこうだと思いますが、それに比べて私学に対する助成というものがあまりに薄いのではないか。これは私の調査でありますから、必ずしも的確とは申しませんけれども、公立大学私学との間における費用の差というものは各所において見受けられるのでありまして、これに対して是正をされる御意思があるかどうかをまずお伺いしたいと思うのであります。たしか国立大学におきまして、三十八年度決算の上に国立大学その他の学校のために使われている費用は七百九十三億円であると思います。ところが私学のために使われている国の費用は、私学振興会費用を合わせまして三十八億円、七百九十三億に対して三十八億、しかも学校の数、学生の数等を考えますと、これは全く問題にならぬのでありまして、人つくり、国づくりの大仕事をせられる大元締めであられる文部大臣におかれまして、この私学振興私学助成のための御配慮の御意思を伺いたいと思います。
  9. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいま押谷委員の御質問の御趣旨は、十分私ども了解いたしております。現在の私学状況、ことにまた国立と対比しての御説明も大体そのとおりだと私どもも思います。この問題につきましては、御承知のように明治以来私学につきましては、その建学の精神と申しましょうか、独自の立場において教育を展開していく、こういうたてまえのもとにきわめて自由な活動をやっていただき、同時にまた政府もこれに干渉することもほとんどしない、自由に伸び伸びとやってもらうという形で推移してまいったと思うのであります。したがって政府からその私学に対しまして助成金を出し、これに対しまして、また会計その他についての、あるいは監督をするとかいうふうなこともなくて推移してまいったと思うのであります。その後だんだん時勢の変化に伴いまして、ことに最近の科学技術振興というふうな立場から考えまして、私学に対しまして若干の助成をするようになってき、同時にまた御承知私学振興会等を通じまして私学に対する協力をしてまいっておるというのが今日までの姿であります。ただ私は、しかし、これももはやこのままでは済まされないのではなかろうか、かように思っております。御説明にもありましたが、現在日本大学教育におきます私学の果たしておる役割りはきわめて大きいのであります。学生のほとんど三分の二は私学がお預かりしておる、こういうような状況でもございますので、これはやはりただ単に私学の経営の立場というだけでなしに、この大学教育高等教育を受けようとする国民の側に立ちまして、負担の問題を考えなければいけないんじゃなかろうか、このようにも思っておるわけであります。そういう意味におきまして、従来は御承知のように特定の目的に対する政府補助、それから私学振興会を通じての融資、それから税法上若干の便宜を与える、こういう方式をとっておりますが、私はこの方式はこの方式として、もっと徹底的にやったらよろしいのじゃないかと思うのであります。しかし単に従来の方式をそのまま拡大するというだけでよろしいものかどうかというところに、問題があろうかと思うのであります。私学諸君——これは全部とは私思いませんけれども、私学諸君の中には経常費についての助成であるとか、あるいは人件費についての助成であるとかいうふうなものを要望せられる向きも、今日ではかなり出ておると思うのであります。そういうふうなことでございますが、経常費人件費助成ということになりますと、また私学の本質というところから見て、いろいろ検討しなければならぬ問題もあろうかと思います。にわかに結論は得がたいと思います。私は、とにかく従来の方式をもっと思い切って拡大していく、こういう方向でまず努力をすべきであろうと思いますが、あわせてその他何か適当な方法はないか、どこまでも国民負担という点を考えまして、現在私学に学ぶ学生国立に学ぶ学生の間に非常に負担の差が大きいということは御指摘のとおりであります。そういう点を何とか緩和していく方法考えなければならぬじゃないか、このように考えまして、実は関係の部局に対しましても、従来よりもっと思い切った考え方でもって私学振興私学助成の道を考究してもらいたいということで、いろいろいま検討しておるところでございますが、皆さんの御協力をいただきまして、この私学振興私学助成の面に新しいいわゆる新生面を開きたいという気持ちでもって、目下検討いたしておるところでございます。
  10. 押谷富三

    押谷委員 私学助成につきまして、いま文部大臣よりいろいろと承って安心をするのでありますが、どうかこれはしっかり助成につきましての御配慮をいただきたいと思います。  ところで、私学経理につきましていろいろ疑義があるというので、先般自民党の総務会において、これに対して文部省監督権の発動を促そうじゃないかというような話があったと聞いております。文部省は国の費用助成をし、私学振興会からまた若干の費用も出しているのであるから、当然その財政面については監督権があるんだからしっかり監督をしてもらう、調査をしてもらうというようなことに踏み切ったと聞いておるのでありますが、私学経理につきまして文部省としてどういう監督権調査権があるか、文部大臣にこの機会に伺っておきたいと思います。
  11. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私学につきましては、先ほど申しましたように、できるだけその自主性を尊重したいと考えます。したがいまして文部省としましては、私学に対しましては一応の指導監督の権限は持っておるわけでありますけれども、あまり干渉がましいことは従来やっておらないのであります。私学の適正な運営を念願いたしておるというにとどめておるわけであります。もちろん補助金を出しました施設でありますとか、そういうふうなものにつきましては、補助目的どおりやっておるかどうかというようなことは、これは文部省の当然の義務としてその成り行きは見なければならぬ問題でございます。ごく大ざっぱに申し上げますれば、私学に対しましてはできるだけ自主性を尊重するというたてまえでもって接触をいたしておるような状況ございます。
  12. 押谷富三

    押谷委員 文部省私学に対する指導監督という、その実をしっかりあげていただくのには、やはり発言権を大きくするのには十分の助成をしてもらわなければならぬと思いますから、しっかり助成してもらい、またその経理面についての指導監督等もやっていただきたいと思います。  よく世間にいわれているのですが、理工科系大学では、やはりいろいろ施設も必要であれば、学生一人当たり費用も非常にかさむものでありまして、これを私学にゆだねるということは、経理面において私学は非常に困難、そこは国は、親方日の丸ですからしっかりやれるわけなんでありまして、それに比べて文科系は設備が少なくていい、一人当たり学生に対する費用負担というものもよほど楽でありますから、そこで、世間によくいわれている、理工科系のものは主として国立でこれをまかなうようにする、文科系のものはなるべく私学のほうにゆだねるというような大方針を立てたらどうかといわれているのですが、こういう方針につきまして、さしあたり文部大臣はどうお考えになっているかをお伺いいたします。
  13. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 そういうふうな意見があるということは、私も承知いたしております。しかし、日本学術を高め、教育を進めていく上におきまして、そういう原則を原則的に採用していいものかどうか、こういう問題につきましてはなお検討を要する問題じゃないか。さしあたり現在の状況はどうかということになりますれば、国立のほうにおきまして現在施設拡充整備をやっておりますのは、主として理工系であるということを申し上げることはできると思うのであります。将来の大方針としてそういうふうにやるかやらぬか、これはよほど検討を要する問題だと思います。
  14. 押谷富三

    押谷委員 教育機会均等という立場から、非常に重要な役割りを果たしているものは育英資金制度であると思います。この育英資金制度によりまして、恵まれざる家庭の向学心に燃えている子女は、それによって上級学校に進学できる、一生の方針を立てるというりっぱな制度でありますが、今日のこの段階におきまして、奨学金制度による現在の状況はどうなっているか、利用状況をお伺いしたいと思います。
  15. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 育英奨学のことにつきましても、年々金額改善を加え、あるいは対象の範囲を広げるというような努力をしてまいり、一時は回収状況について非常に悲観すべき状況でありましたが、これも逐次改善をされております。詳細につきましては政府委員のほうからお答え申し上げます。
  16. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 育英資金貸し付け状況でございますが、三十九年度予算について申しますと、政府から八十五億円を支出することといたしております。うち五億五千万円が事務費でございまして、他の約八十億が育英資金貸し付け金でございます。詳しく申し上げますと時間が要りますので、簡単に申しますと、高等学校一般奨学生につきましては、全体の生徒数の二%なし三%に対しまして、普通奨学生といたしまして月額千五百円の貸し付けをいたしております。大学につきましては、一般奨学生につきましては、学生の約二〇%に対しまして月額三千円の貸し付けをいたしております。大学院の学生につきましては、研究者、学者の養成という計画に従いまして、約八千人に対して月額一万円ないし一万五千円の貸し付けをいたしております。ほかに特別奨学生という制度がございまして、高等学校につきましては、約三万九千人に対しまして月額三千円、それから大学につきましては、約三万八千人に対して五千円ないし八千円、それから教育奨学生二千五百人に対しましても、同様月額五千円ないし八千円という貸し付けをいたしております。
  17. 押谷富三

    押谷委員 いま奨学資金金額を承ったのでありますが、千五百円であるとか三千円であるとかという程度の資金貸し付けは、今日の物価高に対して変更しなければならぬのではないかと思うのですが、これはいつきめられたのですか。そうして、それから変更されたのはいつか、その金額の変更されたのがあればお伺いしたい。
  18. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま申し上げました単価は、三十八年度において決定されたものでございます。
  19. 押谷富三

    押谷委員 大臣がお急ぎのようですから、私の質問は一時中断いたしまして、大臣に対する他の方の質問を続行してもらいましょう。
  20. 白浜仁吉

  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣にお尋ねいたしますが、会計検査院からいま報告がありました中で財産管理及び予算外経理、こういう問題につきまして、一般に、国立大学には会計法規を無視して経理を行なう傾向がいまだにあとを断っていない、こういうきびしい指摘がされたわけです。また三十六年、三十七年度のこの検査場報告書を見てみましても、まさにこの指摘どおりだと思うのです。かつて当決算委員会東大ゴルフ場の問題が爼上にのぼりまして、審議をされました。そうして東大ゴルフ場の問題というのをいろいろ審議する中で調べていきましたが、これは二十六、七年時分から、行政管理庁あるいは会計検査院が数度にわたって指摘をされ、なおかっこの決算委員会で取り上げたにもかかわらず、何らその措置が進んでおらず、これではあまりにも国民を愚弄するもはなはだしいということで、決議をされてこの処理がなされました。そういうような事態を起こしながら、いまもなおかつ二十六年、三十七年度のその指摘を見ますと、まさに財産管理無法地帯となって、予算外経理につきましてもおそるべきことが行なわれておる、私はこう思うのです。これはやはりもう少し法律——子供たち教育を行なっているこういう個所につきまして、もっときっちりした経理を行なわせる必要があると思う。これは大臣文部省というのは、そういうところを経理させる——幾ら言っても、やらぬですかな。そういう点について、ひとつきっちりした答弁をしていただきたいと思う。以後こういうばかばかしいことが起こらないように、大臣からひとつ言明をしておいてもらいたい。
  22. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国立学校に所属する国有財産管理につきましては、放任しておるわけでは決してないのでございまして、大学十分連絡をとりましてその改善に努めてまいったのでありますが、しかし、いま会計検査院から御指摘のありましたような事件がなお残っておるということは、私としましてはまことに遺憾に存じます。このようなことのないように極力努力いたしまして、御期待に沿いたいと思います。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いつも各大臣がそういう答弁をされるのです。そうしてまたかわってみますと、また会計検査院から指摘される。実は会計検査院にも問題があると思う。いままで会計検査院は、一度ぐらいは注意しておこう、二回目には注意書きにしておこう、もう一年置こう——大体問題は、検査報告書に載るのは四年か五年ぐらいたたなければ載らないわけです。よほど悪質、違法なものでなければ載らないと思う。たとえば三十六年度を見てみますと、文部省所管国有財産のうち国立学校に所属する財産管理については、昭和三十一年及び昭和三十四年、その是正方について注意を促してきたところであるが、三十七年検査をしたら、十九大学のうち十六件もこういうことが出てきた。行政財産使用目的に沿わないものがある。あるいは遊休と認められるものがある。あるいは許可なく使用されているものがある。別に大学の数はそうたいして多くないはずです。ですから管理をほんとうにきっちりしようとするならば、そう私はむずかしいことでないと思うのです。むずかしいことでないにもかかわらずやられておらなかったということは、そこに何かあるのじゃないかと思う。東大ゴルフ場のように、指摘する行管のほうも東大出身者だった、会計検査をする検査員東大出身者だった、監督をする文部省東大出身者であった、決算委員会指摘をするほうだけが東大出身者じゃなかったので、これはけしからぬじゃないかということになった。これは大臣国民立場からいって許せないことです。もしこれがあとで使う必要があるならば、そのときまた予算なり何なり別に考えればいいことであって、このごろでは大蔵省においても等価交換とかいろいろな方式考えておることですから、必要なものなら使えばよい。しかし財産が放てきされて境界もわからずにその末に無断で借用されておるということは困ると思うのです。それと同時に、ここに出てきます予算外経理です。これは結局金を別会計にしておいた、そしていろいろのものに使っておった、まさに私は言語道断だと思うのです。この処理についても、文部省の処理というのは実になまぬるいわけです。いま子供たちがちょっと何か事件を起こしたら、すぐ学校当局は呼び出して、そういうことはけしからぬから一週間停学だとか、あるいは少し休んでおれとか、きつい処分をしておるわけです。こういうきつい処分をしておる学校当局が、自分たちの行なったことについては何ら反省せずに、文部次官の注意で終わっているわけです。しかも極端に調べていきますれば、結局給料が足りないから助手や教官の旅費に充てたり、手当に充てたりしたなんという、これはどうしてこういうことが発見されたかということも大臣よくあとで聞いておいていただきたいと思うのです。どういうふうに発見されたか、またこういう金がどういうふうに使われたかということで、これは北海道大学の演習林の問題で出ておりますので、どの程度真実かわかりませんけれども、大臣は時間がありませんから、あと大臣がいなくなってからこれは聞きますけれども、会計検査院のもてなしに使うためにこういう裏経理をやったとすら言われているわけですから、そういう点でこの際もう少しきっちりしたものの処理というものをしなければ、これは大学に対する信用はゼロになると私は思うのですが、もう一度いかがでしょう。
  24. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 御趣旨につきましては何ら申し上げることはございません。そのとおりと思います。会計経理を一そう正確にやってもらうように、大学側についても連絡をいたしまして、そのような扱いをいたしたいと思います。また従来の取り扱いが実情に合わないというふう、な点があれば、これは政府上して是正をしなければならぬ点もあろうかと思います。いずれにしましても、はっきりした筋道に沿った経理をやってもらわなければ困ることは当然なことでありまして、そのように指導をしてまいりたいと存じております。  なお、今回御審議をお願いすることにいたしております国立学校特別会計法というようなものを設置したいという趣旨も、一つには経理を明確にしたいというふうな気持ちもございまして、一そうその方面には努力してまいりたいと思います。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 特別会計の問題につきましては、私もいろいろ意見があるわけです。経理を明確にするためにそれをつくるのだという大臣の言い方ですと、特別会計になれば明確になるけれども、特別会計がなければ明確にならない、こういうことばじりをつかまえるわけではないのですけれども、そういう言い方にもなるわけです。ですから、この問題で特別会計が生まれてきたと言われるとたいへん残念ですが、大臣もそういうお気持ちではないと思う。そこでこういう別途会計というものが一般経理の中において問題になるわけですが、一体なぜこういうことが大学に起きたのか、なぜあるのかという原因について大臣はお考えになったことがありますか。
  26. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私はまだその点についてつまびらかにいたしておりませんので、政府委員にひとつよくおただしを願いたいと思います。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 時間がありませんから、大臣に一つだけ最後に申し上げておくのですが、これに対する処分をきつくせよ、処分についてはもう少しきっちりしなければいけないと思うのです。決算委員会で見ていますと、まあまあ処分の至当だというのは法務省ですよ。それでもいろいろ問題がある。しかし文部省のこの出ておる処分のしかたというものについては、やはり問題があると思う。会計検査院にも処分を要求する権限があるのですから、会計検査院も、もう少しこれを考えなければいかぬわけです。ですから、やはり処分についてはもっときっちりと処分をすべきだ。学校当局の児童に対する何かわけのわからぬ——わけのわからぬというとおこられるかもしれませんが、児童に対する処分と同じような程度のものぐらいはやらないと、示しがつかぬと思う。この間、ここへ刑事局長に来てもらいまして、一体青少年犯罪はどこから起きるのかという論議をいたしました。その中で、やはり青少年犯罪の原因はおとなの社会だというように言われました。おとなの社会が青少年に映るのだというように言われました。ましてや学校当局が裏経理をやったりあるいは財産管理についてその筋から何回となく注意されておるにもかかわらず放てきされて、そうしてにっちもさっちもいかなくなって、ようやくいまごろになって、言われて、まあまあ厳重に注意をしておきましょうという程度では、私はおさまらないと思う。そこでいままであったことはしかたがないといたしまして、今後二度とこういうことが起こらないように厳重な注意をさらに私は要望いたしておきます。
  28. 白浜仁吉

    白浜委員長 吉田賢一君。
  29. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣にお尋ねいたします。  昨日も各日刊紙でごらんになったと思いますが、都内における高校生、中学生あるいは高校の中退生など十四歳から十八歳までの非行少年のグループが、日本刀を持って通学する生徒をおどし上げて金品を強奪するという事件が大々的に報道せられたのであります。そこでこの種の傾向は近時著しく増大しつつあるということはあまりにも顕著なことで、実に今日的な重要課題の最たるものではないかとさえ考えます。ところが、現実に小学校、中学校高等学校の在学生徒でこの種非行青少年となっておりますのが、法務省の調査によりますと九十万をこえるのであります。約百万に達しておる。そこで文教行政の元締めであるあなたのお立場といたしまして、青少年、特に小学生、中学生高等学校の生徒などの非行につきましてどういうふうにお考えになっておりますか。
  30. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今日の青少年の非行の状況につきましては、文部大臣といたしましてはもうほんとうに心を痛めておる問題でございます。その対策等につきましても、何か的確な、きき目のある対策はないものかと始終思うわけでございますけれども、事の性質上なかなか急にどうするというわけにも、文部省としてはまいらないものもあるのであります。何にいたしましても、このような状況日本でいつまでも続くということであっては、日本の現在、将来にわたって最も憂うべきことでございますので、文部省としましては、その担当しております学校教育あるいは社会教育等の方面を通じまして、できるだけそのような非行少年の発生しないように、また非行化する前に事前の措置を十分こなしていくようにということを考えてまいりたいと思っておる次第でございます。いずれにいたしましても、これは政府側といたしまして関係各省それぞれ協力いたしまして、その分担する方面に極力努力してまいらなければならない最も心配な、また最も重要な問題だと思います。   〔委員長退席、勝澤委員長代理着   席〕
  31. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 非常に頭を痛めておられる問題ではあるけれども、具体的の対策がどうも明らかになっておらぬようであります。  そこで伺いたいのですが、一つには、今日の義務教育の課程におきまして、日本の青少年の持っておりまするものの価値判断の異常な相違というようなあたりに相当大きな原因がひそむのではないだろうか。たとえばわれわれくらいの年齢の者でありますると、人生観とか世界観につきまして、少年は少年なりに将来に希望を持った何かの、一種のきまったといいまするか、相当しっかりした希望を持ち得たものでありまするけれども、どうもその辺が戦後の新憲法を契機といたしまして、社会的な大きな変革に遭遇いたしまして、そこで人生観、世界観をめぐるものの価値というものに根本的な動揺を来たしたのではないだろうか。しっかりした世界観を持ち得ないのではないだろうか。なるほど個人の自由とか基本的人権というものは憲法にはうたってありますけれども、さてそれなら基本的人権とは何か、それは親は親、子は子だ、個人の自由とは何か、それは放恣な生活も自由じゃないかというような、そのあたりにつきましても、もっとよりどころといいまするか、根本的な人生観、世界観というものを貫く一種のバックボーン的なものが何か欠けるということも原因じゃないか。そういうことを、義務教育の課程の内容になるのかとも思いますけれども、その辺についての具体的な施策は一体どうしたものでしょう、どういうことになるのでしょう。
  32. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 確かにお説のようなことは大きな事実であろうと私は思います。敗戦によりまして国民の価値観、倫理観等について大きな混乱を生じましたことは御承知のとおりであります。その後また産業、経済等の伸展に伴いまして、国民生活の上に非常に大きな変動が起こりまして、現在はその変動のさなかにあると申し上げてもよろしいのじゃないかと思います。そういうふうな客観的な情勢の変化という中にあって、小さな子供さんたちがよるべきものを持たないで生活をしておるという現象を看過するわけにはまいらぬと思います。いわば時代の大きな犠牲者と申してもよろしい、気の毒な子供さんたちであるとも考えられるわけであります。われわれといたしましては、この問題はひとり学校だけで解決できる問題でもないと存じます。また家庭だけで解決できる問題でもない。先ほどお話もございましたが、おとなの世界といいますか、社会全体がかかえる大きな問題でありますから、すべての者がりっぱなあと継ぎをつくっていくという心持ちで、しっかりした生活態度をもって社会生活を営んでいくということが、何よりも大事なことだと思うのでございます。  学校の面におきましては、戦後の混乱期から占領時代を経て今日に至っておるわけでございますが、だんだん学習の基準等につきましても改正を加えてまいりました。また、いわゆる道徳教育というようなものがどうも徹底しないというので、道徳の時間というものも設けまして、道徳教育を推進したわけでありますが、これも率直に申し上げまして、必ずしも十分な効果をあげ得ない状態に今日まだなっておるのではないかと思うのであります。そのためには、現在学校へつとめておる現職教員の再教育といいますか、研修と申しますか、そういうことにも力こぶを入れまして、いわゆる道徳教育趣旨が十分に徹底するようにいたしたいと思います。  と同時に、家庭におきましても、ただ子供さんは学校に預ければそれでいいのだというふうな気持ちではなく、小さなときから一番長時間一緒に暮らしておる親子の間で家庭教育にうんと力こぶを入れてもらわなければならぬということを考えまして、従来からもそのつもりで社会教育をやっておりましたが、今度はいわゆる家庭教育、家庭における子供さんに対するしつけでありますとか、指導でありまけとかいうことを徹底いたしますため、来年度からは予算をいただきますならば、家庭学級というふうなものを全国的に設置いたしまして、家庭における子供さんに対する教育指導という面をさらに徹底いたしたいと考えておるような次第であります。  そのほか社会教育の面におきましては、成人教育、青年教育を通じまして、やはり社会をよくする努力をしてまいらなければならぬと思いますし、またいわゆるスポーツの振興というふうなことも、こういう方面に相当大きな役割りを果たしてくるのではなかろうか、かように考えまして努力をいたしております。同時にやはり個別指導ということも私はきわめてたいせつだと思うのであります。この個別指導を徹底するということがなかなかむずかしい問題でございますけれども、明年度からは小、中学校に学んでおります児童に対する個別指導を徹底したいというので、生活指導を主としてやってもらうような職員も漸次配置していく、その方面の努力を重ねてみたいと思っておるような次第であります。
  33. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私がこの質問をするゆえんは、非行の原因を探求いたしまして、少なくとも日本の文教の府といたしまして重大な責任を持っておられるあなたのほうの抜本的な対策を立ててもらうべく進みたいというのが、その趣意なんです。そこで家庭教育とおっしゃいますけれども、現実面におきましては、実はさっきも世界観を失ったような少年と言いましたが、敗戦のときに生まれましたような、混乱時に生まれたような青少年が大部分であります。年寄りといいますか、親はそれ以前の教育を受けたものでございますので、その大きなギャップがありますし、特にこの青年におきまして新しい憲法、新しい時代に即応すべき教育をまだ身につけていないという面もありますが、このギャップがあります。そこで一方におきまして、家庭教育に力をどんなに入れるといたしましても、たとえば今日の日本のテレビの普及率、これは相当驚くべきものだろうと思います。大体二世帯に一個ぐらいあるのじゃないかと思うのですが、このテレビが毎日殺人を映しております。子供を狭い部屋に置きまして、親が見ている、じいさんもばあさんも見ている、その中で朝から晩まで、一回ぐらいは殺人のテレビを見せてもらう、こういうようなことが一方にありながら、殺伐なそういう無道徳な世界から隔離するような家庭教育というようなものが一体可能なのかどうか。こういうことにつきまして、これは文部省だけの手ではいきますまい。けれども、やはり行政の府といたしまして、政治の責任がありますから、ほんとうに青少年を救おうとするならば、そこらについて文部省は可能な対策もなければならぬ、こう思うのです。どうでございますか。
  34. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 テレビのお話がございましたが、確かに現在のテレビにつきましてはわれわれも心配をするようなものが少なからずあるように思うのであります。目と耳と同時に接するわけでございまして、その影響も非常に大きい。そういう点につきまして、やはり放送をする側において、今日の時代を考えて、良識を持って番組編成等をぜひやってもらいたいものと念願をし、われわれとしても常にその希望を表明しておるわけでございます。願わくは、自主的にやってもらいたいという気持ちがあるわけでございます。同時に、やはり家庭におきましても、常に両親あたりが気をつけまして、どういうチャンネルをあけるかというふうな問題についても、教育配慮が非常にほしいものと、かように考えて、そういう方面についても、世の親御さん方の注意を促したいと思うのであります。
  35. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 少し急ぎまして、要点だけ御質問いたしますから、そのおつもりで要点だけでよろしゅうございますからお答えを願いたいと思います。  義務教育の一つの欠陥といたしまして、最近の新しい科学の進歩時代におきまして、社会的にかなりおのおのがいろいろ分担、分掌するような傾向が強くなっております。したがいまして、そういう面における義務教育はよほど総合的な人間としての能力を持ち得るような方向に教育をしなければ、部分的な知識をそれぞれ持ちましても、それだからといって人間ができるものじゃありませんので、そういうことに対する具体的な対策は立てていかなければならない、こう思うのでありますが、一体その点どうでありますか。
  36. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 われわれとしましては、いまお話しになりましたようなお心持ちと違った教育を行なっているつもりはないのでございます。小学校のときには学級担任の先生が総合的にやっておりますし、中学校になりますと必ずしもそうはいかないわけでございますが、しかしやはり全体的に子供の人格の形成ということを考えまして、道徳の時間その他におきましてこれが総合化をはかっていかなければならぬ、このように考えておる次第でありまして、御指摘のような傾向がもしあるとすれば、われわれもこれは改めていかなければならぬことだと思います。
  37. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから最近の医学的な観察によりますと、小学校の中級の者で月経がある子供が以前より断然ふえたような統計が出ております。こういったことも、これはやはり身体が発達いたしまして、同時に精神的な面がこれに伴って発達しないといううらみがあるのではないかと思う。だから少年の早熟というものが犯罪を誘引するという顕著な事実が随所に見えます。少女がかえって少年をいざなう。いざなった結果、お互いにふざけて子をはらむというようなことさえあり得るのであります。こういうことを見ますと、やはりその辺も心身ともに均斉のとれた者を育ててやらなくちゃいかぬ。これは学校教育だけでは可能なものではありません。教育だけでは可能なものではありませんけれども、その辺につきましても相当深い考慮が必要だと思うのですが、それはどうでしょう。
  38. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 全くそのとおりだと考えます。そういう趣旨でもって学校でしっかりやってもらいたいと思うのでありますが、同時にまた社会環境というものを改善するためにお互いが一そう努力しなければならぬと思います。
  39. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは一応非行少年の問題につきましては、大臣に希望を申し上げて、ひとつ御意見だけ聞いておきますが、実は私は、いま内閣に青少年問題協議会がありますけれども、もうこういったもので扱っておるという時代じゃないと思うのです。したがいまして、非行というものを眼目にしなくて、もっと広い範囲でもよろしゅうございますから、内閣におきまして、全国の青少年の犯罪的傾向の顕著な実情にかんがみまして、有力な審議機関を設置いたしまして、その原因のあるところを探究して具体的に対策を立てる、あらゆる総合的な知識を動員いたしまして、早急にこれが対策を立てるということは、今日だけの問題じゃなしに、日本の将来のためにもきわめて重大なことであると考えるのです。したがいまして、これはやはり内閣といたしましても早急に一つの方針として立ててもらわなくちゃならぬと思うのですが、その点いかがですか。
  40. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 青少年対策を総合的に考えて、そして地方の実情に応じた施策を進めていくという御趣旨につきましては、私は同感でございます。政府としましても一そうの努力を払いたいと存じます。
  41. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は、一そうの御努力になることはよくわかるのでありますけれども、そういうことでなしに、やはり抜本的な対策を立てるということへの決意を表明するまでいってもらいたいのです。そういたしましたら、それは灘尾さんほんとうに大きなお仕事をなさることになると私は思うのです。どうでございましょう。
  42. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 非常に御激励をいただいたわけでございますが、私どもとしましてはさらに一段と努力をいたしまして、御期待に沿いたいと存じます。
  43. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長代理 山田長司君。
  44. 山田長司

    ○山田(長)委員 お急ぎのようですから、二点ほど伺います。  教育会館の新営費について伺いたいのですが、鉄筋、地上六階、地下一階、延べ三千三百九十四坪の教育会館ができるようでありますが、この教育会館の設立目的並びに運営方法についてはどんなふうにおやりになる予定ですか。
  45. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教育会館の設立の目的は、教育の資質の向上をはかっていく、教育力を充実するということが非常に大切なことと思いますので、現在いわゆる研修を盛んに行なっておるわけでございますが、どうも研修に適当な場所がないのでございます。そこで東京に一つその中心となる研修の場所をつくろうというのが最も大きな目的でございます。これを運営するのにつきましては、今回教育会館法ということで法案の御審議をお願いしておるわけでありますが、特殊法人をつくりまして、それによって運営の全きを期したい、かように存じておるわけであります。
  46. 山田長司

    ○山田(長)委員 この教育会館の使用について、日教組の集会には使わせないと文部大臣は発言したというのですが、同じ教育目的でやはり教組としてもやるのじゃないかと思うのでありますが、差別をつける理由、そういうことで教育会館を建てられるとするならば、何か教育趣旨に反するような印象を受けるのです。この点が理解がいきませんけれども、どういうことでありますか。
  47. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 どこから出たお話か存じませんけれども、私は日教組に使わせないとかいうようなことは申した覚えはございません。この法律案の中にも教育会館の業務というのがございますけれども、その中に「教育会館は、前項の業務を行なうほか、第一条の目的、」つまり設置の目的の達成に支障のない限り、その設置する研究施設一般の利用に供することができる。こういう規定がありまして、別に日教組だから貸すとか貸さないとかいうふうな規定はございませんので、問題は、どんなことに利用せられるかというところに問題があるだけのことだろう、さように考えておる次第でございます。
  48. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長代理 押谷富三君。
  49. 押谷富三

    押谷委員 先刻、大臣がお急ぎのために私の質問を中断いたしたのでありますが、中断前に引き続きまして質疑を続行いたしたいと思います。  先ほど育英資金制度について伺ったのですが、昭和三十八年にその金額についての改定が行なわれたやに聞きました。千五百円であるとか、あるいは三千円であるとかいったものでは、実際は今日の物価高の生活費をまかなうのにはあまりにも少額であります。育英資金制度は看板でもなければ、単なる見本でもありませんので、やはり血の通った育英資金の活用ということが眼目でなければならぬのでありますから、この物価高に応じまして適当に改定をする、また許された範囲において増額という道を講じてやっていただきたいと思います。  問題は、育英資金によって進学をし、大学を卒業し、社会に奉職をしたという人が、その育英資金を返すという、政府からいえば回収ということにつきまして、実際はどの程度に実が上がっているかを伺いたいと思うのであります。
  50. 村山松雄

    ○村山説明員 御説明申し上げます。  育英資金の返還を必要とします額は、昭和三十八年度現在におきまして百十四億八千九百九十一万九千円でございます。このうち返還されましたものが七十七億七千五百二十一万九千円になっておりまして、右返還額を差し引きまして三十七億一千四百七十万円でございまして、返還の状況は率にいたしまして六七・七%になっております。  なお、人数にいたしますと、返還を要すべきものが六十五万七千七百九十二人でございまして、三十八年度中に返還いたしましたものは、そのうちで五十三万二千百十九万人でございます。  なお、この返還状況は、過去五年間を通観いたしますと、漸次好転いたしております。たとえば三十四年度あたりでは、返還率が五二%程度でございましたものが、今年度では六七%になっておりますので、漸次上昇はいたしておりますけれども、まだまだ十分ではございませんので、返還を促進する措置につきましては、いろいろ検討して返還率の向上をはかっておるのが実情でございます。
  51. 押谷富三

    押谷委員 五二%から六七%まで上昇したということは、当局の御苦労の結果だと思いますが、育英資金によりまして、大学を出たり専門学校を出て社会に立っておる人がこれを返さないという考え方が、これはたいへんな心得違いだと思うのでありますが、これにつきまして返還をしておらない人にどういう処置をとっておられるか。たとえば催告をする程度かあるいは訴訟を起こすというようなところまでいっているのか。まだ三三%ばかり返還をしておらない、成績があがっておらないものがあるのですが、それに対してどういう手段、どんな処置をおとりになっておるかを伺いたい。
  52. 村山松雄

    ○村山説明員 日本育英会の育英資金は、その性質上、その返還につきましても奨学金を受けた者の良識によって、自発的に返還することを当初は実は期待いたしておりまして、卒業して社会に出る際に、借用証を入れて以後二十年間以内に年賦で償還させる。償還の状況が悪いものは文書で督促をするという程度でやっておったわけでございます。しかしいま申しましたように、返還の状況がはなはだ芳しくないという遺憾な状態になりましたので、通常の貸与金の返還措置にならいまして、返還を促進するような措置をいろいろ進めてまいりました。たとえばはがきだけではなかなか返還する気が——返還をしない気はなくても、自発的に返還するという積極的な気分まで起こさないのではないかということからいたしまして、外務員を置きまして、出向いて直接督促するというような措置を、三十五年ごろから始めました。育英会で奨学金を受けた者の比較的多いところ、たとえば東京だとか、大阪には支所を設けまして、外務員を置いて直接要返還者のところまで出向いて返還を督促するというような措置をとることにいたしました。  それからさらに、育英資金を受けた者は、現実の問題としては大体いろいろな職場に勤めておるわけでございます。職場から直接集金することができれば返還が促進ずる次第でございますので、昭和三十七年十二月の政務次官会議におきましても、返還督促の促進について申し合わせがなされましたので、その線に沿いまして各官庁初め民間の事業体にも協力を求めまして、その同意と協力のもとに、各職場において給与支払いの際に、返還金を月賦で納付するという職場集金制度を実施いたしました。これはまだ発足早々でございますが、現在までのところ官庁関係で十六団体、民間事業体で十九団体が協力されておられるわけでございまして、さらに若干の官庁、会社等がその措置に参加されることが今年度中にも期待されておる次第でございます。   〔勝澤委員長代理退席、山田(長)委   員長代理着席〕  それから三番目に、そのような返還促進の措置を講じましても、なおかつ返還に応じないという者がかなりおるわけでございますが、そのうちから特に悪質なものにつきましては強制的な徴収の措置を進めるために、昭和三十八年に育英会がこの貸与金の回収業務に関する文部省令をつくりまして、要返還者に対しましては六カ月ごとに返還の請求をする。それから返還を延滞しておる者につきましては延滞金を課することといたしました。従来は無利息であったわけでございますが、延滞金を課することにいたしました。それからさらに悪質な者に対しましては民事訴訟の手段によりまして強制徴収を行なうことといたしました。それから雇用主に対しまして返還回収業務の一部の委託ができるようにいたしました。それからさらに積極的に返還を促進する措置といたしまして、繰り上げ償還した者に対しましては報奨金を支払うことができるようにいたしました。  それからさらに昭和三十八年の五月になりまして日本育英会法の施行令の一部を改正いたしまして、悪質な延滞者に対しましては、先ほど申し上げましたように二十年以内の割賦償還になっておりますが、割賦による返還を認めないで一時に全額の返還を請求することができることといたしました。一時に全額の返還を請求して、さらに悪質な者につきましては、当然先ほどの民事訴訟の強制徴収もやるわけでございますが、そのようないろいろな手段を講じまして返還の促進をはかってまいったわけであります。  それから返還につきまして、一般に貸与金は返すべきものであるという当然の認識が必ずしも徹底していないという反省もございますので、育英会の機関誌その他の手段によりまして、官庁、職場、報道機関などの協力も求めまして返還金の重要性の認識を高めるようにいたしまして返還金の促進をはかってまいっております。  なお、育英会の業務組織につきましても、事務の機械化等の措置を講じまして、事務の能率の悪いために返還が進まないということのないようにも配慮をいたしておる次第でございます。  そのような努力をいたしましても、現在なおかつ六七%程度の返還にとどまっていることははなはだ遺憾でございますけれども、さらに努力をいたしたいと思っております。
  53. 押谷富三

    押谷委員 政務次官がお見えになりましたからお尋ねをしたいのでありますけれども、戦後の出産ブームに影響されまして、最近高校入学の志望者が激増をいたしております。そのために収容しきれない状況にあるのでございますが、高校へ全員進学のできるような推進協議会等が全国各地において生まれまして、いろいろな団体が高校の志望者を全員収容できるようにという運動が繰り広げられております。これは基本的な問題として、文部省におかれてもいろいろ苦慮していらっしゃると思うのでありますが、この激増した高校入学志望者に対する収容について抜本的なお考えがあれば、この際お伺いいたしたいと思います。
  54. 八木徹雄

    ○八木政府委員 抜本的な対策と言われますと、なかなか見出しがたいと思うのでありますが、たびたび国会を通じて大臣答弁をいたしておりますように、文部省自体としては全入というものに対して基本的に反対をいたしております。義務教育でない高等学校教育は、一定の学力というものの水準を維持しなければならぬ、向上させていかなければならぬということになるわけでありますから、それに届かないものはやはりやむを得ないという考え方で、選抜の中で落後をするのはしかたがないじゃないか、こういう考え方でございます。しかしながら、能力のある人間、能力のある生徒をできるだけ就学さしてやるという配慮は当然しなければならぬ。その意味において急増対策というものの考え方の中には、いままで以上に急増が激化しないように、言うならは入学率というものを低下させないように、そういう基本的な考え方のもとに、いわゆる急増対策を立てまして、そしていままで配慮し、そしてそれ相応に私学協力も得ながら、また公立格段努力も得て、いわゆる急増なるがゆえに特に能力というものが落ちることのないような配慮をしてまいったつもりであります。この基調を今後も引き続き続けていきたいという基本的な考え方でございます。   〔山田(長)委員長代理退席、福井委   員長代理着席〕
  55. 押谷富三

    押谷委員 高校教育義務教育でないという考え方は了承をしておるのでありますが、この激増いたしておる志望者に対して非常に苛烈な入学試験の、競争が行なわれているのであります。ある程度の実力を持ちながらも、収容能力の関係から落ちていく志望者が相当数あるということが予想されるのでありますが、そういうものに対する具体的な対策というものをお聞かせいただけましたならばけっこうだと思います。
  56. 八木徹雄

    ○八木政府委員 昨年三十八年度からいわゆる高校急増というものの実態が出てきたわけでありますが、本年は中学卒業者の数はすでに少々減ってきております。しかし入学する意欲のある志願者が高まっておりますから、実質的に昨年と本年と入学希望者というものはそう大差ない。本年のほうが少しよけいになるのじゃないかという感じがいたします。そこでいま押谷先生がおっしゃる、特に急増が激化しておるではないかという言われ方の中には、東京とか大阪とかいったような大都市、特に私立学校の収容力を非常に多く持っておる地帯、そこで公立の面において非常に激化しておるということだと思うのであります。公私立一緒にして考える場合に、たとえば一昨年と昨年と本年とを比べた場合に、特に競争が激化したというような数字的なものは出てないんじゃないか。有名校に対して、あるいはまたいま言ったような授業料の安い公立に対して入学者が相当数殺到しておるというのが実態ではないかと思います。そこのところが番困る課題なのでございますけれども、そういうところもまた競争を少なくするようにしてやるべきではないかという意見が一方にあるかと思いますけれども、実際問題としては高等学校教育、あるいはこれは大学にも言えることですけれども、国公私立を通じてやはり全般的にバランスのある措置というものが必要である。公立が非常に充実しますと、それによって私立がだめになるということでもこれはなかなか行政的に困難だと思います。その意味でわれわれは国公私立を通じて、全体の中で競争が激化しないようにという配慮をしながらいままでも努力してまいったのでございますけれども、今後ともその努力を続けてまいります。その結果として一応有名校あるいは公立学校について競争が部分的に激化するという状況、しかたがないといえばしかたがない課題であるかもしれませんけれども、それはやはりある程度御了承願わなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
  57. 押谷富三

    押谷委員 この高校の入学志望者の激増から最近こういう問題が起こっているのですが、すでにお耳にも入っていると思いますが、志望者は国立公立を希望しますが、万一を考えて私立の高校とかけておくわけです。そして私立の高校が先に試験をされまして発表になる。それから公立の高校の試験を受けるのですが、この先に発表をされた私立の高校に入学の手続をいたしまして入学金を納める。それから後に公立高校の受験の結果が発表されてそれに合格をする。そこへ入っていくということになると、せっかくした入学手続、入学金を納めたことがむだにはなりますが、それから後の費用負担等を考えるならば、もちろん公立学校のほうを選んでいく。先に私立学校に納めたことはもう無効にしてしまうというのが今日ある実態なんです。そこで、私立高校の入学手続に際して納めた入学金が相当多額になっているからこれを返してくれという問題が起こっているのであります。これに対して法律専門家、弁護士などが鑑定をしたり法律上の意見を述べたりいたしておりますが、父兄のこの高校入学の苦しい狭い門を考えたそういうところから不当に入学金を取るということは、公序良俗に反するから当然無効だから返してもらえるなどという意見が新聞などにも書かれているのでありますが、そんな意見は別といたしまして、これは相当重要な問題なんです。これも高校の入学志望者の激増からくる一つのあらわれであって、悲劇というほどのものでもありませんけれども、相当重要な社会問題となって、現にこの問題が大阪や西宮の方面におきましても取り上げられて騒がれているのであります。これは法律的に考えればいろいろ理屈はつけられると思いますけれども、文教の総元締めである文部省におかれましては、こういう好もしくない姿、好もしくない問題に対しては何とか御配慮があってしかるべきであると思いますが、すでにお耳にも入っていることと思いますので、こういう入学金の問題についてはどんなお考えを持っていらっしゃるか、一応伺っておきたいと思います。
  58. 八木徹雄

    ○八木政府委員 いま押谷先生の御指摘のありました入学金の問題は、本質的にはやはり入学金が高いではないかという意見が一方あると思います。それからもう一つは、いまおっしゃったように、その学校に行かないのに入学金を先取りすることはけしからぬではないかという意見、二つに分かれるのではないかと思います。確かにおっしゃるとおり、近ごろの私学入学金というものが高等学校大学を含めて相当高騰しておる、常識の域をはずれておるではないかという御批判もありますので、入学金そのものについて抜本的な対策を講じる必要があるという意見については、大いに検討しなければならぬ課題だと思います。文部省としましては、私学自主性というものを一方において尊重しなければならぬ立場にありますが、同時にその私学自主性の範囲内において文部省ができるだけの助成をして学校経営を安定さしていく、そこから入学金なり授業料というものを適正化していくという配慮をしてまいらなければならぬと思います。いままでもそういう見地に立って振興会に対する出資金を増額するとか、あるいは理科研究設備というようなものに対する助成をするとか、でき得るだけのことはしてまいったのでございますけれども、まだそれで完璧に問題がこなせるというところに参っておりませんので、これらをひとつさらに充実することによって私学経営というものを安定し、そうしていま言った入学金なんというものも適正化ならしめるような方策を今後も引き続いてやってまいらなければならぬ、特に再来年から大学急増になるわけでございますから、同様の問題がそこに大学にも出てまいります。それらの問題につきましても、できればここ一、二年の間に問題を前進さすような姿勢で取り組んでまいりたい、こう考えております。  それからいま言った入学金の先取りといいますか、というような問題につきましては、実は昨日自由民主党の総務会のほうの議題に供されて、これが党としても取り上げられるというようにも承っておりますし、また日常新聞の伝えるところでもあるわけでございますので、われわれもこれについては十分に配慮しなければならぬことでございますけれども、しかし現実の問題としまして私学というものに対して入学金を取るなということが法的な問題も含めてなかなか容易でございません。自主性という問題に関することでございますので、やはり自粛していただくように行政指導をする、こちらのほうでお願いをするという形でなければ、簡単にはできがたい課題ではないかと思いますので、おっしゃるように検討する課題でございますから、われわれも十分気をつけて問題の解決に努力してまいりたい、こう考えます。
  59. 押谷富三

    押谷委員 いま政務次官のおことばのうちに、この入学金問題についての原因は何としても金額は多額にわたっている、多いということにあると思いますが、それは学校当局から見れば学校経営のためにはやむを得ないものであるというようなことも加わっていると思います。要は、私立学校に対する政府助成というものが行き届いているかどうかということが、やはり政治的には根源をなすものではないかと思います。そこで私立学校に対する補助金について、決算書にあらわれたところによって調べてみますと、昭和三十四年度におきましては八億五千五百六十五万円ということになっております。また三十五年度におきましては、私学振興会の出資金等が三億円も加わりまして、十五億八千万円と大きく飛躍をいたしております。さらに昭和三十六年度は、この振興会の出資金が八億にもなりまして、これがまた二十八億八百万円余になって年々増加をいたしておりますが、しかし私立学校の数からいきますと千七十校にも及んでいると考えます。公立学校は二千六百十九校であります。国立の高校は二十四校でありますが、この国立の高校に対する国の経費負担は大体一校についてどれくらいになっているか、その点を伺ったらけっこうだと思います。
  60. 村山松雄

    ○村山説明員 御説明申し上げます。国立高等学校につきましてどれだけの予算措置を講じておるかということは、現在国立学校予算のたてまえが大学高等学校と区分してございませんので、いま直ちにお答え申し上げる数字を持ち合わせておりませんので、必要とあれば計算いたしまして後刻御報告申し上げたいと思いますが、一般的に申し上げますと、国立高等学校は十六校が大学の付属学校になっております。それから八校が商船高等学校と電波高等学校というぐあいにたいへん特殊な高等学校になっておりますので、経費につきましても、高等学校の大部分を占めます公私立の高等学校とはかなり違った事情があろうかと思いますので、一応申し上げておきます。  詳細な数字につきましては、後刻調べまして御報告申し上げたいと思います。
  61. 押谷富三

    押谷委員 資料はまた後刻ちょうだいすることにいたしまして、政務次官にお願いをいたしておきますのは、先ほども大臣にお願いをいたしたのでありますが、何と申しましても私学振興というもの、私学助成ということは、声は相当大きく叫ばれており、金額も年々累増されていることは認めるのでありますけれども、事案、公立学校あるいは国立学校に対して使われております費用から見ますと、国が私立学校助成をしている金額はまことに微々たるものでありまして、総教育予算から見ますと——国のやっている仕事私学がやっている仕事との仕事の量なり、その収容している学生生徒の量なりは、私学のほうがうんと多いのであります。倍以上になっていると思いますが、それに対して、人つくりのために国が一面において国立に出している金、また公共団体が公の学校に出している金と比べますと、私学というものの助成はまことに微々たるもので、私は行き届いておらないと考えているのであります。この助成が足りないということ、補助が足りないということが、やがては入学金が多くなってくる、入学金の醜い争いが出てくるという遠因をなしていると思います。そこで、何としても人つくりを大きな目標としている現内閣においては、教育機会均等の精神を生かされて、私学振興のため私学助成のために相当思い切った方策を講じてもらうということが、抜本的なこういう問題の解決になると思いますから、これは希望としてお願いを申し上げて、私の質疑は終わります。
  62. 福井勇

    ○福井委員長代理 勝澤芳雄君。
  63. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 日本育英会の関係で一つだけ御質問を申し上げておきますが、返還免除というのがここに出ておるのですが、これはどういうのですか、どれくらいの金額になっているのですか。
  64. 村山松雄

    ○村山説明員 育英資金の貸与を受けた者で、一定の条件に該当する者は返還免除をするという制度がございます。一定の条件と申しますのは、義務教育の教員になった場合、高等学校の教員になった場合、それから大学の教員ないしは文部大臣が指定する研究機関の研究的な職員になった場合、受けた貸与金の期間に応じまして、何年間それぞれの学校なり研究機関に勤務した場合には、将来に向かって受けた貸与金の返還を免除するという制度でございます。   〔福井委員長代理退席、押谷委員長代理着席〕  現在返還免除額は、予算的に申しますと、三十八年度末で三十八億一千七百万円になっております。それから返還免除予定額といたしましては、同じく三十八年度末で七十八億円になっておるのが実情でございます。
  65. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうするとこの返還免除というのは、貸し付け金の中からは、そういう財産としては引き去りになっておるのですか。あるいは、今度は文部省のほうからは、返還免除の金というものは別にそれだけプラスされて、貸し付け資金がふえるのですか。どういう操作が行なわれておりますか。
  66. 村山松雄

    ○村山説明員 返還免除に該当する金額は、法律上、育英会が国に対して貸し付け金の償還をいたします際に債権が免除ざれるという関係に相なるわけでございます。
  67. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最近の貸し付け金回収状況はどうなんですか。
  68. 村山松雄

    ○村山説明員 先ほど押谷委員の御質問に対しまして御説明申し上げましたように、三十八年度現在で、要返還額が百十四億円、返還総額が七十七億円余、夫返還額が三十七億円余、返還率が六七・七%というぐあいになっております。以上でございます。
  69. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先ほどの御説明、いまの御説明を聞いてみても、私はまだいろいろ検討すべき余地があるんではないだろうか、また検討されておるように思いますので、これはやはり十分検討されて、なるべく常識的な方向で物事が進められるように善処していただきたいと思います。  次に、三十六年度の決算報告に関連いたしまして、この是正改善意見の中で宇都宮大学の演習林の問題ですが、昭和二十四年から約七千二百四十九坪というのが貸し付けられたままになっていますが、これは貸し付け料なり処理はどういうふうになっておりますか。
  70. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 宇都宮大学の演習林でございますが、一万七千三百三十三坪のうち、農耕地として貸し付けております七千二百四十九坪につきましては、現在用途廃止の手続を進めております。残りの鉱業用地として使用させております約一万坪のうち六千九百十六坪は、三十八年三月三十一日をもって返還をさせております。残地の三千百六十八坪でございますが、これは鉱業権者に対しまして必要最小限度の——坑道の入り口、電柱の敷地等でございますが、これは採掘上ぜひ必要なもののようでございますので、当分の間、採掘が終わるまで引き続き使用さしておきたいというふうに考えております。その鉱業権者に対しましては、この土地につきまして必要な使用料を徴収いたしております。
  71. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その農耕地なり鉱業権者に対する貸し付けですね、いつ貸して、それから料金ですか、そういう関係について……。
  72. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 貸し付けの使用許可は毎年行なっておるわけでございますが、鉱業用地につきましては使用料年額これは一万坪の場合の年額でございますが、二万七千七百二十八円、それから農耕地、宅地につきましては、七千二百四十九坪につきまして一万九千九百三十円を毎年度徴収いたしております。
  73. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いまの問題は、あとでまた具体的にもう少しお聞きすることにいたします。  次に、三十七年度の決算報告指摘されている事項でございますが、これについてまず最初にその原因、一体どうしてこういうようなことが起きていたのかという点についてお尋ねいたします。
  74. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 お尋ねの点は別途経理の点についてかと思いますが、このような事項が起こりました理由はいろいろあると思います。  まず第一に考えられます点は、この事務の取り扱い者、これは主として教官系統の職員になるわけでありますが、この関係者の会計法規に対する理解がきわめて不十分であったという点が一つあげられるかと思います。  それから第二は、検査料にいたしましても、農場にいたしましてもそうでございますが、収入がございましてもそれが弾力的に直ちに歳出予算に反映するような予算の立て方になっておりませんので、したがいまして、仕事が現実に出てまいりますと、やむを得ずその収入をもって直ちに歳出に充てて必要な仕事をやってしまうというようなことでございまして、現在の予算の立て方につきましてやや弾力性に欠けておる点があるものでございますから、これがもちろん認められるというものではございませんが、そういう理由からやむを得ず行なわれたという面もあるかと思います。  それからもう一つ、病院につきましては、これは相当膨大な事業でございまして、事務部等におきましても、各医局検査部等における仕事の実施内容を十分把握しがたいというような事情、それから農場につきましては、これは本部等から相当離れた土地にあるわけでございまして、しかもごく限られた員数でその運営が行なわれております関係上、容易に実態が本部で知り得なかったというような事情がございまして、そのような遺憾な事態に至ったことと思っております。
  75. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計検査院にお尋ねいたしますが、二一八の東京教育大学の問題、それから二一九の横浜国立大学の問題でありますが、これを見ますと、昭和三十六年からのものと、片方は三十四年ごろからと、こういう言われ方がしておるのでありますが、これ以前は東京教育大なり横浜国立大というのは、こういう取り扱いがなされていなかったのですか。
  76. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 東京教大につきましては、昭和二十九年度の決算検査報告に、同じく別途経理についてこれと似たような事態があったわけであります。横浜国立大学につきましてはそういうものはございません。
  77. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 二十九年にも同じような別途経理の状態があって、そうしてまた三十六年にこういう事件が起きた。当時の関係者というのは、二十九年と三十六年はかわっておるのですか。
  78. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 この三十七年度の検査報告に書かれました事項は、農学部の坂戸農場事態でございますが、二十九年度の検査事項は、別のところにおいて生じた事態であります。
  79. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 文部省にお尋ねしたいのですが、文部省は、こういう事件が起きたときは、大学に対して、こういうことがあって、こういうふうに注意されたから以後注意しなざいというような通知はしておるのですか。
  80. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 出しております。こういう具体的な指摘がありましたら、当該大学だけでなく、各大学に対しても、同様の事例がないように厳重に注意しております。
  81. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そういう事例のないように注意していながら発生したときの処理のしかたというのは、どういう処分をしたのですか。二一八と二一九です。
  82. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この件につきましては、いずれも事務次官名をもちまして厳重に注意をいたしております。行政上の措置であります。
  83. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その処理は厳重注意ということなんですね。それは国家公務員法のこの罰則ですか。その関係とはどういう関係になるのですか。
  84. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 これは行政上の扱いでございまして、公務員法上の懲戒処分ではございません。
  85. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 たとえば横浜国立大学のような例は、助手に手当を出し、教官に旅費が出た、こういう扱い方になっておるわけですね。こういう扱い方が行なわれていながら、いまのような行政上の厳重注意という程度の処理で文部省としてはよろしいのですか。あるいはまた基準があるならば、その基準をひとつ示していただきたいと思います。
  86. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 特に基準といったものはございませんが、長年の間の取り扱いの例があるわけでございまして、それとの権衡を考えながら、ただいま申し上げましたような取り扱いをいたしておるわけであります。
  87. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、このようなことについては、不正とか不当とか、どういう見解をお持ちになったのですか。
  88. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 検査院の御指摘にもありまするように不当ということでございまして、関係者がその別途経理金を私的に使用したというような事実もないようでございますので、つまりその事業の遂行にその経費が使用されたということでございますので、その点を考慮いたしまして厳重に注意をするという扱いにいたしたわけでございます。
  89. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計法上の取り扱いは間違いであっても、その金が別途経理の中で妥当に使われたならば厳重注意程度でよろしい、こういうお考えなんですね。
  90. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私どもは従来の取り扱いの例から考えましてそういう扱いをいたしたわけでございますが、私どもといたしましては、その程度の扱いでよろしいというふうに考えたわけでございます。
  91. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計検査院は、これは故意であるのか過失であるのか、どういうふうに御理解されておりますか。
  92. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 懲戒処分は、御承知のように任命権者の権限でございまして、特別な場合に会計検査院に懲戒処分を要求することができる権限が与えられておりますが、それは特別な場合でございまして、ここにあげました四件のうち、初めの三件は歳入関係でございます。最後の二二〇号の高知大学が歳出の関係でございますが、この点につきまして予算執行職員等の責任に関する法律に該当する事項があるかどうかにつきましては、現在検討中でございます。
  93. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると会計検査院としては、文部省で処分をしたけれども、その処分の適否については検査院でいま検討している、こういうことなんですか。
  94. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 最後の二二〇号について検討中であると申し上げましたので、最初の三件は歳入関係でございまして、それについて懲戒処分を要求できる権限は会計検査院法の三十一条しかございませんが、それは国に重大なる損害を与えた場合という要件になっておりまして、その三件はおそらくこれには該当しないものと私は考えております。
  95. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あなたの担当している中で、三十一条によって処分要求をしたことがありますか。あったら、その件数をお知らせ願いたいと思います。
  96. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 過去におきまして数件あったと記憶しております。ただいま正確に件数を記憶いたしておりませんので、後ほどお送りいたしたいと思います。
  97. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 政務次官、いまのようなことについてはあとでまとめてお尋ねいたしますので、御検討しておいていただきたいと思います。  それでは次に、北海道大学の演習林の問題でいろいろの話がいわれておりますので、この点について少しお尋ねいたしたいと思うのです。  北海道大学の演習林をめぐりまして、一つの例としては、三十六年度は一億八百万円の予算に対して二億五千万円も収入を得ておる、その差額がいろいろな費用に使われておる、こういう指摘がされておるのでありますが、この内容については会計検査院は御存じですか。もしおわかりでしたら、その概況を御説明願いたいと思います。
  98. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 北大の演習林につきまして北大の組合がいろいろ指摘しております事項につきましては、現在調査中でございます。
  99. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 今日までの調査の概況について御説明願いたいのですが……。
  100. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 北大につきましては、昨年度は実地検査をいたしておりませんで、最も最近に行ないましたものは、三十七年八月に北大の演習林について検査をいたしております。いろいろの関係から見まして、別途資金を捻出したという事項については、おそらく事実ではないかというふうに考えております。それらの点につきまして実地検査の際どういうふうにしていたかということでございますが、三十七年八月の検査は、国有財産管理につきまして改善意見をまとめるため、そういった関係で短期間行なったものでございまして、そういった方面の経費について検査を実施いたしておりませんでしたので、そのような事態が発見できなかったものでございます。  なお、この際一言申し上げておきますが、その別途資金会計検査院調査官が接待を受けたというような事実が記載いたしてあるのでございますが、この点につきまして、検査院といたしましては、実地検査中の調査官の行動につきましては常に理解できるように心配をいたしておりまして、検査の威厳を失墜しないように常に注意をいたしておるところでございます。また宿泊料等は必ず支払うというようにいたしておりまして、それらの点は厳守されておるものと考えております。雨龍の演習林につきましては、奥地でもございますので、特にこれといった旅館らしいものもございませんので、演習林の事務所で便宜宿泊するという形になっておりますが、その際の宿泊の実費につきましては支払いをいたしております。なお、そのほか特に接待を受げたという事実はございません。その点は、特にこの際申し上げておきたいと思います。
  101. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いまの局長の御答弁を聞いておりますと、相当部分の調査が進められている様子じゃございませんか。それだったら、これはいま疑惑を持たれていることですから、やはりいままで調査している概況をここで御説明すべきだと私は思うのです。もし検査院のほうでおわかりにならないならば、それは文部省からでもけっこうですから、ひとつこの概況についてはぜひここで御発表願いたいと思うのです。
  102. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 北大の御指摘の問題でございますが、一月三十日の北海道新聞におきまして御指摘のような事柄が指摘されたわけでございます。私どもも、大学側からそういう事実について報告がございましたので、直ちにこれに対して事実の調査をするように指示をいたしまして、つい最近その報告が参ったわけでございます。その内容によりますと、組合側が指摘をしております事柄、これはいろいろあるようでございますが、この事柄の中には事実に反することも多うございますし、また誤解に基づくと思われる事柄も多いものでございますが、ただ遺憾ながらその全部が事実ではないと言い切れない点があるのでございまして、事柄の扱い上はなはだしく適切を欠いた点があることにつきましては、私どものほうとしましてもはなはだ遺憾に存じております。
  103. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それじゃ中身が何にもわからぬです。何が遺憾かよくわからぬですから、その内容について説明してください。
  104. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この事実の一々につきましてはまだ精細な調査を終えていないのでございますが、一例を申しますと、架空の人員に対して賃金を支払い、あるいは作業をいたきなかった日数につきまして賃金を支払ったことにいたしまして、それをもって余裕金をつくり演習林の運営に充てたといったような点につきましては、これは事実として認めざるを得ないようであります。が、ただ、造材代金のピンはねをしたというような点につきましては、これはピンはねということばの内容にもよるわけでございますが、当然労務者に支払うべき賃金を演習林で削った、それを労務者に渡さなかったというような事実はないようでございます。そういった点をいろいろ調べておるわけでございます。
  105. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 金額的にはどれくらいになるのですか。
  106. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私どもが北海道大学から報告を受けておるところによりますと、これは中間的な集計でございますが、天塩第一演習林について申しますと、三十八年度末における残高が約五十三万九千余あるようでございます。この残高が出てまいりましたその経過でございますが、これはややさかのぼって申さなければならないかと思いますが、三十六年度から三十七年度に繰り越した高は約五十四万円でございました。三十七年度に別途経費といたしまして捻出した金額が約百四十三万円でございます。したがいまして、合計約百九十七万円が三十七年度使用可能な金額であったわけでありますが、そのうち三十七年度に約百十五万、三十八年度に約百二十万使用いたしまして、三十八年度末におきまする残高が約五十三万というような状況でございます。その他の演習林につきましては調査中の事柄が多いのでございますが、三十八年度から三十九年度に繰り越した残高はなかったというような報告を受けております。
  107. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その残高があったとかなかったというのは、それは余裕金のあった、なかったということじゃなくて、余裕金はあったけれども、それを使った残りが年度末でどうこう、こういう意味ですか。
  108. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいまの説明は天塩第一演習林について申し上げたわけでございますが、雨龍演習林、それから天塩第二演習林につきましては、それぞれ約八十万円程度の別途経理金があったようでございまして、それは三十八年度末には払い金になっておるということでございます。苫小牧、和歌山、檜山演習林につきましては、該当する事項がないというふうに私どもは報告を受けております。
  109. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その余裕金は何にどういうふうに使われたのですか。何か演習林の運営に使われたと言うが、具体的にはどういうところに使われたのですか。
  110. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 主として労務関係の経費に使用されたわけでございまして、演習林関係の労務者の確保につきましては、最近非常に苦労をしておるようでございまして、道内で労務者が確保できるのは全体の約六〇%でありまして、約四〇%は東北方面を主といたしまして募集をするそうであります。その際、民間の林業労務者とその募集が競合するわけでございますが、民間におきましては労務者を募集いたします際には、手付を出します、あるいは旅費を支給いたします。そういったような慣行が一般的に行なわれておるということでございます。かつ、これを山に連れてまいります際は、僻遠の地でもございますので、飯場を設定することになるわけでございます。飯場におきましては、これに食事を支給するというようなこと、これも林業界では一般に行なわれておるようでございまして、したがいまして、大学の演習林におきましても、大体民間が慣行として行なっておる程度のことを実施いたしませんと、労務者が実際上確保できないというような事情もございまして、ただいま申し上げました事柄に大部分が充当されておるようでございます。かつまた、演習林の作業は危険な作業でもございますので、けがをするとか、あるいは馬を持っておる人夫の馬がけがをいたしまして使えなくなるといった、いろいろな事故も起こるわけでございます。そういう場合における見舞い金の支給といったようなことにも使われておるようでございます。
  111. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは先ほど地元の新聞にも出された、それに基づいて、文部省としては事実調査についていま北海道大学から出さしている、こういう状態なんですね。文部省としては、直接的にこれを調べてはいない、こういうことなんですか。
  112. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 一月三十日の新聞に出まして、私ども知りましたのは、おそらく二月に入ってすぐだと思いますが、直ちに調査を指示して、ようやく書面による回答が私どものところに届いたような状況でございまして、それを検討いたしまして、さらに実地等につきましても必要があれば検討するような手はずにしたいというふうに考えております。
  113. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その調査しているところと、実際にこういう余裕金というか、こういうものの捻出をやっておるところとどういう関連があるのですか。あるいはそういうふうに調査して真偽の正しいものが出てくるのですか。
  114. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この余裕金の捻出並びに使用は、北海道大学のそれぞれの演習林の現地において処理したことでございまして、大学の本部にございます演習林本部及び事務局の経理部等におきましては関知しないことでございます。現在私どもが調査を命じておりますのは、大学本部の経理部及び札幌にございます演習林本部に命じまして、その調査をさせておるという状況でございます。
  115. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、わりあい重大な指摘がされていると私は思う。一つは、会計検査院が事務局の検査のときに接待に使われているらしいとこう言われているわけです。そうすると、あなたがいま言われた北海道大学の本部なり経理部、こういうところで調査されて、極端な言い方をすると、この辺もそれでは接待されている仲間ではないだろうかなという実は疑問が起こるわけです。特にこういう問題はそうです。ですからやはり北海道大学から出てきているもの——いまあなたがあげた中間的な報告だけでも、現地から指摘されたものと少しは違いがある、こう言われておるわけですから、そういうたてまえからいけば、もう少し公平なといいますか、あるいは外から見てもっと問題ない立場調査しないと、これはやはりますます疑問が起こると思うわけです。その点については北海道大学から出てきてからその実情によって考慮するというお話ですから、私はその点については詳細な資料を出していただきたいと思う。その詳細な資料に基づいて、この問題につきましては、現地で出されているいろいろな資料と、北海道大学から出された資料と突き合わせてみて、やはりもう一回十分検討すべきだと思う。その詳細な資料について御提出願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  116. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私どもが調査いたしました内容につきましては資料として提出いたしたいと思いますが、ただ、これが問題の発端は、北海道大学の教職員組合の指摘でございます。したがいまして、その組合が作成いたしました文書を私どものほうから提出することはいかがかと思います。私どもが調べました内容につきましては御報告するようにしたいと思います。
  117. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この件について会計検査院はどういう調査の仕方をしておるわけですか。
  118. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 この事実を承知いたしましたのはつい最近でございまして、いま直ちに現地に参りまして、帳簿書類等につきまして具体的に、数字的に確認するというようなことははなはだ困難でございます。いろいろな資料を集めているという程度でありますが、なおそういった次期新年度になりますれば、実際に確実な数字等をつかみまして、この事件について全貌を調査いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  119. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 詳細な現地調査のある、ないにかかわらず、会計検査院としては供応されたようなことがない、こういう言い方を前段においてしているわけです。ですから、そこで、私はそういう指摘をされ、疑惑の目を持たれておるときに、会計検査院としてはもう少しき然たる処置をしなければいかぬと思うのです。その点についてはいかがですか。いまのような状態で、時期がきて、また順番がきたらそこに行ってよく見ましょう、この程度で検査院としてはよろしいのですか。
  120. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 いろいろ事務の関係とか旅費の点もございまして、いま直ちに実地検査を行なうということは、はなはだ困難でございます。そういう意味で新年度になりましたら、早々にそういった事項に対する検査を行ないたいというふうに考えております。
  121. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 じゃ、実地検査については、従来と同じような形でさせる、こういう意味なのですか、特別に変わった実地検査のしかたをさせるということなんですか。
  122. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 なおよく検討しまして、必要があれば特別な形でやりたい、こういうふうに考えます。
  123. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 検査院にこういうことがあったではないかと疑られていながら、いまのようなものの考え方でこの問題を進めるというのは、私ははなはだ遺憾です。これは当然検査院というものの存在からいって、そんなになおざりにしておくべきものじゃないと思うのです。早急にこの問題は明確にすべきだと思うんですが、もう一度ひとつ局長のお考えを聞きたいと思います。
  124. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 上司ともよく相談しまして決定いたしたいと思いますが、先ほど申し上げた接待費の件につきましては、これは私ども実地検査に参りました調査官、その他について調査した結果を申し上げたわけでございます。
  125. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 調査官についていろいろ聞いた結果で、あなたのほうでそう判断するのはいいと思うのです。しかし片方のほうから、支出した帳簿のほうで、それが検査官の接待として使われたということになれば、これはやはり私は重大な問題だと思う。そういう指摘がされているわけです。そういう指摘がされているからこそ私はこれは重大な問題として、やはり検査院としてはき然たる処置をしなければならぬというふうに言っているわけであります。局長答弁は、私は検査院の取り扱いとしては至って不十分だと思う。これはやはり院長なり事務総長なりに来ていただいて、この問題の処理はやはりきちっと検査院としての権威を保つ上でも明確にしていただきたいと思う。よく御相談をされて、次の機会にこの処理については明確に御答弁されることを特に要望いたしておきます。  そこで最後に、今度は政務次官にお尋ねいたしますのは、先ほどからお聞きのとおりでありまして、とにかく指摘された二、三の大学を初め、また私が指摘をした北海道大学において二重帳簿というものが行なわれておった。そうしてこのようなことというものは、過去にも全然なかったわけでない。ときどき検査の中で指摘をされてきた事項なんです。検査の中で指摘をされてきながら、なおかつこういう事項が起きてきたということは、先ほどの会計課長の説明ですと、これはやはり会計の担当者がふなれの点があったという指摘だけしかされていないわけでありますが、これはやはり学校における経営の問題に致命的な欠陥があると思うのです。その欠陥をそのままにしておいて、その欠陥があったのだから、まあ厳重処分程度でよろしい、こういうことをやっている限り、私はまだまだこういうことは続くと思うのです。またこういうことを取り締まる力が文部省に実はあるかないか、それは疑問なんです。ですからやはりこれはもっと厳重な処理をしなければならぬと思う。それについて、ひとついままでの問題について再検討を加えると同時に、今後の問題については、やはり厳重な取り締まりを強く要求をいたしますけれども、この点についての御所見を一つ承りたいと思います。
  126. 八木徹雄

    ○八木政府委員 おっしゃるとおり文部省としましてはあやまちを二度と繰り返さないという、この見地に立って努力をしなければならぬと考えます。その意味で、いままでのやり方で十分でない点があるとしますならば、それに対して十分な反省もいたし、善処してまいらなければならぬと思うのですが、扱いといたしましては基本方針として——いままで文部省がとっておる基本方針は、不正な事項については公務員法上のいわゆる懲戒処分というものは断固としてやります。問題はやはり不当事項について先ほど来の御質問、主として不当事項についての態度がなまぬるいではないかということだったと思うのでございますが、基調は、先ほど申しましたように、そのような不当事項が二度と起こらないようにするというのが本旨でございますので、われわれはいままでそれは行政上の注意、それも厳重な注意という表現で次官が次官通牒を出すとか、いろいろな厳重な注意をいたしておりますが、その厳重な注意をさらに厳重にやるように努力をして、そうして同じ間違いが二度と起こらないようにしていくということを考えなければならぬと思います。  同時に、いま一つは、従来の取り扱い上に欠点があるのではないかどうかというようなこともあると思いますので、われわれ自身のほうで、行政上にその欠陥があるかないかということも十分に検討を加えまして、善処いたしたいと思います。特に、いま最後に問題になりました北海道の演習林の問題につきましては、もちろん現在調査中のことでありますので、早急に結論を出すということもなかなかすぐにはできぬと思いますが、できるだけ早く調査が完了するようにわれわれのほうもいたさなければならぬと思います。ただ、言えますことは、近ごろの植林、造林の雇用対策というものが、労働力不足と相まってわれわれが考えておったよりも非常に困難な面があるのではないか、いわゆる予算上の積算及び執行方法等になお検討を加える事項があるのではないか、こういうふうに考えますので、今回の不詳事件を十分な反省の資料といたしまして、今後の改善努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  127. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 もう一回文部省のほうにお尋ねいたしますが、私はこれは不正事件だと思うのです。たとえば、東京教育大の問題でも横浜国立大学の問題でも不正事件だと思うのです。あるいは北海道大学の演習林の問題でも不正事件だと思う。あなたのほうは不当事件だ、あるいは不正事件だというのですか、その点をはっきりお答え願いたい。
  128. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 不正不当の限界につきましては、問題あろうかと思います。私ども、形式的な基準といたしまして、一つには検査院の検査報告において不当と扱われておるか、不正と扱われておるか、そのことを一つの基準としておるわけであります。もう一つは、この点について申せば余裕金を関係者が私的に使用したかいないかという点をもう一つ判断の基準にしておるわけであります。いずれの場合においても、関係者がそれで私腹を肥やしたというようなことはないようでございます。したがいまして、行政上の不当事件というように考えております。
  129. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、鼠小僧次郎吉は罪にならぬということですか。盗んできた行為は悪かったけれども、しかしそれで私腹を肥やさなければよかったというような御答弁のように思うのです。ですから、もう少しそこを何か、会計検査院が不当とか不正とかいうことでなく、もっと解明していただきたいと思います。
  130. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私的に使用しなければよかったと申しておるわけではないのでありまして、それもはなはだいけないことだと思いますが、しかし、段階をつけて考えれば、不正事件に比べればやや情状が軽いわけでございます。したがいまして、扱いといたしましても、やや軽い扱いをするということでございます。
  131. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 文部省としては、こういう事件が起きたときの処理の基準というものがあるのですか。処罰の基準というものがきめてあるのですか。もし、あるとするならば、どういう基準になっているかということについての御答弁でもけっこうですし、あるいは、資料なら資料で、どういうことをやったらどういうことになるのか、こういうことは厳重注意でいいんだ、こういうことは譴責だ、こういうことは戒告だ、こういうことは月給をどうだとか、こういう基準があるのですか。
  132. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 特に、文書にした基準はございません。しかし、過去長い間の取り扱いの例があります。したがいまして、いわばその慣習法ともいうべきものに準拠いたしましてその取り扱いを決定しておるわけであります。
  133. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、このような程度は厳重注意でよろしいというふうにお考えになって、過去の慣習から厳重注意になっておる。そうすると、厳重注意を受ける気になればこういうことはなお続く。厳重注意というのは身分上何の関係もないわけですね。ですからこういうことが何度も続くということが今度は逆説的にいえると思うのですが、その点どうですか。それであなたは取り締まりができると思うのですか。
  134. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 これは関係者の良識の問題であろうかと思いますが、厳重注意程度ならばこういうことをやろう、やってもいいんだというような気持ちで会計事務を処理する者は私は一人もいないと信じております。したがいまして、軽い処置をしたから同じようなことが今後続々起こるであろう、あるいは重い処置をしたからしたがってそれが防げるであろうというふうには必ずしも考えておりません。
  135. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それだったら、文部省はこんな財産管理予算外支出の問題で何回も会計検査院から指摘をされることはないでしょう。文部省がなぜこう指摘をされてきたかということですよ。それは昭和二十四年ごろからですよ。あるいは昭和二十六年、あるいは東大ゴルフ場を見ても、ああいうものがあったならば、全国の各大学に通知をするならば、そのものについて解消されるべきなんですよ。その解消されるべきものが会計検査院からいわれながら、あるいは行管からもいわれながら、あるいはあなたのところから通達を送られながらなおかっこういう事実が起こるというのは、どこかに欠陥があるのですよ。その欠陥については何らいわずに、起きた現象についてただ厳重注意してそのまま終わっているわけですよ。千葉の知事さんみたいに、汚職が起きたら私は自分で自分の月給をとにかく減らします——まことにごりっぱな方ですよ。まことにごりっぱな取り扱い方だと思うのですよ。いまの文部省の扱い方を見ておれば、二年前ですか、東大ゴルフ場でもあれだけ決算委員会で言われたわけでしょう。それと同じようなことがなおかつ起きているということは、一体どこに問題があるのかということなんです。その問題点がまだ何も解明されていないじゃありませんか。それは処分の問題もありますよ。取り扱いの問題もあります。そしてやはり根本的にやらなきゃならぬ問題があるんですから、だから私はここで一番最初大臣に強く申し上げました。政務次官にも申し上げました。しかしこの人だって七月にかわればそれで終わりでしょう。皆さんはかわるわけにはいかないのですから、また決算委員会に呼ばれて同じことを——言う私のほうもいやですよ。あるいは会計検査院でも、見るに見かねてこれを載せているわけですから、こういうことが起きないようにきっちりしなきゃいかぬと思うのです。特に私はこの問題につきましては、もう一度ひとつきっちりと、各大学についてやっぱり財産管理やあるいは経理の問題、ましてや会計法規を無視して経理を行なう傾向が依然として続いているということが検査院から今日ただいままた指摘されているのですから、これではわれわれ決算委員会として、一体文部省決算はどうなっておるかということについて、国民に自信を持って、文部省決算については異常がありませんでしたという国民の負託にこたえた回答というものは出せないですよ。特にそのことを申し上げまして、そして私はこの東京教育大学の問題と横浜国立大学の問題についてはその経過、それから歳入関係あるいはそれを使用した関係という点についてひとつ詳細な資料をお出し願いたいと思う。よろしゅうございますか。特にそれを要求して質問を終わりたいと思います。
  136. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 提出いたします。
  137. 押谷富三

    押谷委員長代理 吉田賢一君。
  138. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 先ほど北海道の件で、検査院のどなたかについて何か費用を受けたかのような発言を聞いたのでございますが、それが誤まりないとするならば、こういう事件がありましたことは実に遺憾なことでございますし、したがいましてこれはやはり検査院の権威のために、泣いて馬を切るということもありますから、憲法九十条に厳として検査院の存在が規定してあるわけでありますし、ことに国会が審査する対象につきましていろいろと各方面から厳重にその収支が究明されていくということもありますので、これはまことに遺憾なことでありますけれども、やはりすみやかに事態を確認せられまして、そしてこれが処置をどうするかということを明白にせられて、検査院の権威を保持するということに努力なさることが必要でないかと思いますのですが、樺山さん、そういうふうにせられてはいかがでございますか。
  139. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 先生のおっしゃるとおりだと考えますが、ただ、ちょっとこの際先ほどの説明に付随しまして申し上げておきますが、いわゆる笹尾メモによりますと、二十二万五千円については接待費に使ったというふうに記載してございます。これは三十七年度中に使ったということになっておりますが、会計検査院が雨龍演習林にまいりましたのは三十七年の八月でありまして、二名で一日の検査をいたしております。そこで宿泊は同演習林の事務所に付随する建物で宿泊いたしておりますが、この間に五百円程度の飲食費と思われるものを飲食いたしておりまして、その分は当該出張官は支払いをいたしております。したがいまして、私どもは接待を受けた事実はないということを申し上げておるわけでございまして、この二十二万五千円がすべて検査院に対するものであるということはもちろん笹尾メモには書かれてはございません。その点だけは明確にいたしておきたいと思います。
  140. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いずれにいたしましても真偽が明確になって、国会が安心して進んでいけることができたらけっこうなんでありますから、そういう趣旨で申し上げておりますのでその辺御了解を願っておきたいと思います。  そこで私は本来の質問に入りたいと思いますのですが、第一に文部当局に伺いたい点は、やはり文部省教育行政に持っておられる体系的な御任務はそれぞれ分野が分かれておるようでありまするが、特に幼児の保護、保育教育の問題は、これはやはり一つの基本的な立場でないかと思われます。私はさきにも非行少年の問題をだんだんと追及してまいったのでありますが、突き詰めてまいりますと、昔のことばではないが、やはり胎教から乳幼児というような段階のときこそ問題でないだろうか。  ひるがえって幼児教育の幼稚園の状態を考えてみますと、政府の発表の資料によりましても、公立国立に比較いたしまして私立の幼稚園が断然多いのであります。その総数は三十八年度におきまして七千五百四十九、そのうちで私立は四千七百九十、七割を占めておるようであります。園児の総数にいたしましても、九十三万五千八百五のうち私立は六十七万五千四百十、こういうことになっております。小学校におけるその入園の率のごときも三割六分強を占めておるのであります。こういうように見てみますと、私立の幼稚園の立場は幼稚園教育においてきわめて重要な役割を持っておると思うのでありますが、この私立幼稚園の運営につきまして、根本的に国といたしましてもっと積極的な関心を持たねばならぬ面があるのではないかと思うのですが、この点はいかがでございましょう。これは大臣がおりませんから、次官、それから専門的に局長、課長にしかるべくお答えを願います。
  141. 八木徹雄

    ○八木政府委員 御指摘のとおり幼児教育の重要性については、もうおっしゃるとおり異論のないところでございまして、大体大臣も就任早々の抱負の中でも述べておりますように、これからの文教行政の大きな一つの柱の中に幼児教育というものを取り上げなければならない、こういうふうに指摘をしておるわけでございますが、率直に申し上げまして、三十九年度予算編成に、それならその意図が十分に生かされるだけの予算措置あるいは準備ができたかというと、まだ十分でございません。おっしゃるとおり現行の幼児教育の実態は、私立幼稚園に負うところが七〇%ばかりである。また一方幼児保育という見地に立って、厚生省所管の保育園との調整の問題もございます。そういうように幼児教育を画期的にやっていこうと思う場合に、それらの保育園との調整をどうするか、あるいは先ほどの押谷先生のお話にもありましたように、国公私立の関係の調整をどういうふうにやっていくか、なお十分に検討し、調査を加えなければならぬ面があるわけでございますので、とりあえず文部省といたしましては、当面の目標を六〇%の幼児教育ができるような方向に持っていきたいということが準備をいたし、検討を加えておるところでございまして、できるだけすみやかに御期待に沿うような成案を得るように準備をいたしたい、こういうふうに考えております。
  142. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 重要性とそれから私立幼稚園の任務の重大であり、またその負担しておる仕事の非常に大きなことは、大体お認めになっておるようでございます。この現行の幼稚園設置の基準等によって見ましても、なかなかむずかしい条件がそれぞれあるようであります。たとえば園地、園舎とか運動場その他におきましても、それぞれ基準があるようでございますが、そういった面を考えますると、これはかなり国が手を出して財政的の措置でも考えるか、もしくはその他の方法考えるか何かしなければ、このままいきますると、やはり幼児教育、保育があるいは禍根の遠因をなすかもわからぬし、さもないとするならば、物的な設備の条件を満たすことに奔走するということにもしなるとするならば、やはりさきにも出ましたように、私立の教育施設がとかく国民に大きな迷惑をかける一面もある、寄付等によりまして。そういうことにもなって、事実目的を達しない教育機関に堕してしまう危険がある、こういうふうに考えられますが、その辺は、現在する七〇%のそれだけでも完全に幼児教育目的を達し得るようなためには、国が何か財政的な方面に考えを及ぼすことが必要ではないか。具体的な内容とか方法は別といたしまして、何かそういう方面を考えることが一つの方向としては大事じゃないか、こう思うのでありますが、その点はいかがでしょう。
  143. 杉江清

    ○杉江政府委員 おっしゃるとおり幼稚園教育において私立幼稚園の占めるウエートは非常に大きいのでありまして、幼稚園教育の普及充実をはかるためには、私立幼稚園の助成考えるべきである、かように考えております。しかしながら現在、私立学校一般に対して国が助成してまいります基本的な立場は、先刻も大臣からお話がありましたように、私立学校は基本的には自己資金で維持経営する、こういう立場をとりまして、特別な目的のものに対しては補助金を支出するが、しかし一般的には補助金は出さない。しかし臨時的な施設の整備については私学振興会から融資する、こういうたてまえをとっているわけでございます。そこで幼稚園につきましてもやはり同様な考え方をとっておるわけであります。いままでのところは幼稚園については直接の補助金はございませんでしたが、三十九年度におきましては、幼稚園教育の普及という見地から、設備の増補、増設の場合の設備費について一部助成がされることになりました。しかし施設費につきましては、やはり一般の原則によりまして、私学振興会からの貸し付けによって措置することにいたしておるわけでございます。この貸し付けにおきましては、従来きわめてわずかであったのでありますが、そのワクは相当大幅にふやす計画で、ただいま振興会と話しております。こういった面で、ただいまのような施設の充実についてできるだけやりやすいように措置してまいりたいと思っております。ただそれで十分であるかという御質問に対しては、これは私立学校全般に対する助成の問題として基本的に考えなければならぬ問題があると考えております。この点については今後十分検討してまいりたいと思っております。
  144. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私学振興会から貸し付ける、その私学振興会に対しましては、国は相当な経費を貸し付けるのですか。あるいは出資の形として固定さすのですか。それはどういうことになるのですか。
  145. 杉江清

    ○杉江政府委員 私学振興会資金は全額国が出資いたします。その国から出資したもののほかに、財政投融資として本年度は二十億円、昭和三十九年度においては四十億円の借り入れ資金、これをもちまして私立学校の主として施設の整備に対して貸し付けを行なっております。これは幼稚園から大学までの施設の整備に対して貸し付けをいたしておりますが、金額は大きくはありませんけれども、設備その他経営費に対しても一部貸し付けを行なっております。
  146. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 四千七百余りの私立の幼稚園に対しましては、しからば一園どのくらいな割合で貸し付けを行なっておりますか。概要でよろしゅうございます。
  147. 杉江清

    ○杉江政府委員 これは施設整備に対する貸し付けでございますので、そういう御要望のあります学校ないし幼稚園に対して貸されるわけでございます。三十九年度においては、一応予定しております金額は、まだ十分確定はいたしておりませんけれども、昨年度よりも相当ふやしまして、七千四百万円を予定しております。
  148. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 三十八年度におきまして、しからば実施いたしました——八年がまだ集計ができないとするならば、七年でもよろしゅうございますが、要するに最近の年度におきまして実施いたしました施設整備費の貸し付けは、概略一校、一園についてどのくらいになりますか。概略つかめればいいのです。精細な数字は要らぬのです。私が尋ねるゆえんは、数字そのものよりも、その背景をなしまして、たとえば一例をあげますと、国が規則によりまして幼稚園設置基準というものを設定いたしまして、この基準によれば、さっき申したように、園地とか園舎とか運動場につきまして、かなり厳格な基準を設けております。かつまた、その他学校教育法七十八条の規定の趣旨等の目的を達し得るために、いろんな負担を要請をいたしております。たとえば職員室、保育室、遊戯室なり保健室、その他飲料水の設備、手洗いの設備その他等々、各九条ないし十条、十一条などにはいろんな規定をいたしております。こういったものを、文部省はこの規定の趣旨に従って設置することを要請しておるもの、こう思うのであります。義務的にという面が全部ではありませんけれども、ありまして、この基準に到達するために、われわれの聞いたところによりましても四苦八苦の幼稚園が相当あるらしい。こういう背景を持っておりますので、はたしてこれは相当潤沢に資金が流されておるのか、二階から目薬の程度であるのかどうか、これをつかみたいのです。
  149. 杉江清

    ○杉江政府委員 まず幼稚園に対する貸し付けにつきましては、法人立のものに貸すというたてまえをとっているわけなんです。しかし法人化を促進するために、個人立のものが法人になるときも、これは取り扱い上、法人とみなして貸し付ける、こういうふうな措置をいたしております。ところが、法人立のものは、全部から見れば、現在のところ必ずしも多くないです。そういうふうなことから、現実に、幼稚園にいく貸し付け資金というのは、そんなに多くならないのであります。金額としましては、いま一件当たりという正確な統計を持っておりませんが、考え方としましては、施設後一定の基準まで整備ずるのに必要な金額の大体四〇%から四五%を貸すというのがたてまえでございます。だから、幼稚園の場合は、施設整備といいましても、基準までの施設整備はそれほど一件当たり多くなってまいりませんので、現実にはあまり多い金額はいっておらないと思います。
  150. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 現実にはあまり多くいっておらぬということは、さもあるべきで、昨年度七千四百万円の原資の額、それから私立幼稚園の数が四千七百九十といたしますると、目の子算で当たりまして一園に一万五千円足らぬことになります。これでは、やっぱり国として、政府として、融資の原資をやっておりますという説明にはならぬと私は思う。何かのごほうびにちょっと上げますという金ならわかりますけれども、かりにも施設は相当な資金が要るものと思います。たとえば建物にいたしましても、おそらくは坪五万円ないし十一万円も要るだろうと思います。あるいは運動場等におきましても簡単に整地はできません。こういうことも考えられるのであります。そういたしますると、これは私学振興会のほうから流している金でも一応検討しなければいけませんが、一体私学振興会自身がどのくらい幼稚園に流しておるのですか。
  151. 杉江清

    ○杉江政府委員 振興会から私立学校への全資金でございますか。
  152. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 幼稚園へ貸し付けておる額です。
  153. 杉江清

    ○杉江政府委員 五千八百八十五万五千円になっております。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで学校法人は何%ぐらいに当たりますか。
  155. 杉江清

    ○杉江政府委員 学校法人立が一七%になっております。そのほか財団法人立が二%くらいです。あとは個人立でございます。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますると、幼稚園の法律上の性格は、学校法人が一割七分にしか当たらない。大部分がそれ以外にたよっている、個人というのですか、学校法人以外であるということになりまして、それで膨大な園児を収容しておる、こういうことであるならば、ますますそれは、あらゆる意味におきまして、保育の施設、物的、人的、あらゆる設備を充実するということでなければこの目的は達せないんじゃなかろうか、こう思われるのであります。あなたのほうでとりますよりも、「幼稚園教育課程の改善について」という教育課程審議会の答申が昨年九月に文部大臣あてで出されておりまするが、これを読んでみましても、具体的内容は持っておりません。学校教育法の規定の趣旨が拡充されたというような、きわめて抽象的なものにすぎません。そこで、やはり現実に幼児教育の重要性を認識する限りは、これは国の力の及ぶ限り、もっと積極的に努力をしなければ、私は、このまま放置するということでありましたならば、極言するならば、幼児そのものが不良、非行少年の温床になるということも今後だんだんと世上あらわれてくるんじゃないか、かように思うのであります。あらゆる意味におきましていまの間に手厚い指導、保護あるいは財政その他の措置を講じるというふうにしなくちゃならぬと思うのであります。そこで、この点はぜひ具体的にどうするかということも、御意見があればぜひ伺っておきたいのですが、その前に、私は、やはり人的な面につきまして、幼稚園の教員ですか、この教職にある人々に対しましても相当な保護を加えてやっていくんでないと、たとえば優遇といいますか、物質的にもあらゆる意味におきましてこれを優遇するということを兼ね実現する必要があるんじゃないかと思うのでありますが、この二点につきまして、これはひとつ政務次官としてお述べ願っておきたいと思う。
  157. 八木徹雄

    ○八木政府委員 御指摘のとおり、幼児教育を充実さしていくときに、先ほど申し上げました一つの観点があると同時に、一つは幼児教員の確保、その前提として幼児の教員の養成制度をどうするか、また、それに付随いたしまして、例の育英会のいわゆる支払い免除の方策をどうするかといったような、数々の問題があると思うのであります。やはり問題は、幼児教育を充実さしていこうと思えば、ほんとうに手間のかかる幼児教育に専心できる人たちが、安心してこれに専念できるような環境をつくってあげるということが必要だと思いますので、その意味で、われわれはいま申し上げました幼児の教員養成制度についての対策並びに育英対策等々、ともに解決しなければならぬ課題だと考えております。先ほどの私立の幼稚園に対する対策がまだ十分でないといったことと同様に、このことにつきましても、まだ十分な成案を得ておりませんので、前段で申し上げましたように、この八月以降前向きの姿勢でほんとうに取り組むという姿勢になったばかりのことでございますので、あと一両年というようなことをはっきり申し上げるのは適当でないかもしれませんが、文部省の意向としては、すみやかにいま申し上げました点を解決するように努力いたしたいということで、いま検討中でございますので、しばらく猶予をいただきたいと思います。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この設置基準にすみやかに到達さすために——財投の金も  それぞれ計画が立っておると思いますけれども、何か償還をさすことにしてもよいが、私は相当な援助的な性格を持った方法で、具体的に何か財政的な、たとえば中小企業について中小企業近代化資金があり、農業について農業近代化資金がありというごとくに、私立幼稚園の財政援助という問題の一つのはけ口といたしまして、少なくとも設置基準に到達せしむるために一つの計画を持って進んでいく要請をするものありとするならば、できるだけそういう線に入れまして手を打つ方法をすぐお考えになって、これは今年の一般予算の計画が立っておるまいと思いますけれども、それならばできるだけ近い機会にこれを予算化し得るところまで持っていくようにせられてはいかがか、こういうふうに思うのです。これはよく省議をまとめてもらいたいと思うのでありますが、政務次官いかがでしょうか。
  159. 八木徹雄

    ○八木政府委員 先ほども局長からお答え申し上げましたように、現行私立幼稚園の設備に対する予算配慮というものは、基調としては、補助金的なものではなくて、いわゆる振興会の融資のワクを拡大するというところから解決していくということがいいのではないか。現在ようやく振興会の金が借りられるようになったという程度であります。しかも、それも、先ほど言ったように法人立のものでなければまだ貸せないといったようなかっこうでございますので——もちろん振興会の金というものは差し上げる金ではなくて、払ってもらわなければならぬ金でございますから、それだけに幾多の制約を受けると思いますけれども、要はこの制度をいまのようなやり方ではなく、もっと飛躍的にふやすという形で解決していくことが望ましいのではないか、そういう見地に立って、いわゆる資金援助というものを考えていくように検討いたしておるところでございます。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、その点はしぼって二つになって、とてもいまの振興会の若干な資金をもちましては、二階から目薬に終わること、それから学校法人に限定するというようなことは間尺に合わず、現実に即しない、この二点はすみやかに切開いたしまして拡充して、具体的に役に立つような方法をまでおとりにならなければいけまい。三十九年の財政計画にないとするならば、できるだけ次の機会に補正予算——おそらくここで出ることでありましょうから、ことに八月から取り組むということなら、先駆的な一つの手としてそういうこともせられてはいかん、こういうふうに言っているのです。具体的にどうでしょうか。
  161. 八木徹雄

    ○八木政府委員 その私学教育全体について振興会の金が十分でないという意見、これは当然ございます。しかし、先ほど申し上げましたように、近時、これが急速に絶対額がふえておるということも事実でございます。今年も、昨年から開いた財投の金が、二十億が四十億にふえており、また資金の十二億も十五億にふえておるというように、ふえておるわけでございます。ただ、いままでふえたものは、概して大学の急増、高等学校の急増といったようなところに重点的に使わざるを得なかった。いわゆる科学技術教育振興といった面もございまして、それらの重点施策のほうに優先的に配分されるというかっこうになっておって、勢いのおもむくところ、幼児教育というものが軽視されておった、そこに吉田先生の指摘する問題があると思うのでございますが、文部省としては幼児教育をこれから前向きの姿勢で取り組んでいこう——これは、大臣の就任のときのあいさつに述べておるところでございますので、その意味で、幼児教育を重点施策の中に入れるという前提に立って考える場合に、当然、いままでおざなりにつけられておったこれらの振興会の予算配慮というものが重点的に措置ざれなければならないことは言うまでもないことでありまして、われわれはその意味において、振興会の資金の絶対額というものを、いままでと同様に考えるのでなくて、これを飛躍的にふやすという配慮をしていく。その中から幼児教育の分野についても前向きで取り組んでまいるようにいたしたい、こう申し上げておるわけであります。ただ、そのやり方をどのようにするかという基本方針というものを、とにかくまだ厚生省との調整——幼稚園と保育園とは違うではないかといっても、末端に行きますと重複する分野があるわけでございますから、厚生省の保育園との調整の問題がある。あるいは未設置個所というのは概して僻地と申しますか、いままで市街地でないところに多いわけでございますから、そういうところは勢い上どうしても公立でやらなければならぬということになるわけでございますから、何としても国・公・私立の調整という問題が当然起こってまいるわけでございます。それらのことをひとつからみ合わせて、私学幼稚園というものを軽視することのないように配慮をして基本方針を確立いたしたい、こういうふうに思っております。その方針が確立すれば、それに見合う財政的、金融的な配慮をしてまいらなければならぬわけでございますから、その結論と相まちまして、先ほど言ったような要領で振興会出資金を増額し、あるいは財投の金をふやし、御期待に沿えるように準備いたしてまいりたい、こう考えておるわけであります。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 もう一点、財政的な一つの方法といたしまして——目下地方公共団体は、いずれも財政上よい状況ではありません。自治省の発表によりましても、ずいぶんたくさんの市町村の赤字区域がふえてまいりました。しかしながら、私立幼稚園の重要性を考えましたならば、地財の方面から援助の手を差し伸べるということも一つの考え方でないだろうか。たとえば地方交付税の積算の基礎といたしまして、幼稚園の経費もあるようでありますが、私立幼稚園も加えてこれを計算さすというようなことも考えてはいかがですか。これは文部省の所管でありませんけれども、横の連絡として自治省としかるべく御協議になってはいかがか。こういうふうに思うのですが、この点の御所見はどうでしょう。
  163. 杉江清

    ○杉江政府委員 基本的には考えるべき問題だと思いますが、ただ私は考えますのに、その点の困難点というものは、私立幼稚園は先ほど申し上げましたように個人立、それから法人立であっても宗教法人立が非常に多い。そういう個人立や宗教法人立に対しては、これは基本的な意味において、それに対する助成がかなり問題になってまいります。また技術的な意味におきましても、たとえば個人立のものに対して貸す場合でも、その担保能力とかいろいろな点で技術的な判断が入るわけであります。そういう意味で、現在国からは——私学振興会からはいわゆる学校法人立のものだけに限定しているわけでありますけれども、地方公共団体が何らかの形で助成いたしますについても、やはり同様な問題が実はからむと思います。その点においてかなり一般的な何らかの形においての助成ということも行なわれなければならぬ。ことに、交付税に一般的に積算するとすれば、やはりかなりのものが、相当多くが助成対象となるということでないとなかなか組み入れにくいという問題もあるわけでありまして、そういった困難点があることを承知しながら、それらも含めてひとつ今後助成方法検討いたしたい、かように私は考えております。
  164. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっといま聞きますと、宗教的な背景といいまするか、そういう経営が国の財政援助にとかく問題がある、こういうふうな御説明だったのですか、同様にそれは地方においても問題になるであろう、こういうふうにおっしゃったのですか。
  165. 杉江清

    ○杉江政府委員 私の申し上げているのは、個人立と宗教法人立に対する取成の問題です。先ほどちょっと申し上げましたが設置者別の数字を申し上げますと学校法人立が一七%であり、それから財団法人立が二%であるわけなんです。ところで宗教法人立は三〇%ございます。そのほかに個人立が五一%ある。非常に多くの部分が個人立と宗教法人立になっておる。宗教法人立については、これは憲法上の疑義があるということで、この助成はいたしておりません。それから個人立については、憲法上の問題もありますが、また同時に技術的な問題もありまして、現在助成は差し控えられているわけでございます。しかし、そこにはかなり基本的な問題もありまして、今後やはり幼稚園教育全般の振興をはかろうとすれば、それらの困難点を何らか解決する方途を考える必要があろうかと思いますが、現状のところを申し上げるとそういうことであります。
  166. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの宗教法人における国の助成の問題ということは、これはもう少し検討を要しますけれども、いまここで問答して結論を得るのはちょっと困難と思います。いずれにいたしましても、憲法の規定と現実に即応するようなたてまえで解決の道を講じていくということは、これは絶対に必要でございます。そこで、要するにじんぜんとこのまま放置することはいけない、来たる八月ごろから本格的に取り組みたいという次官のお話も、これも私は多といたします。ただおそれることは、いいかげんな方法になっていきますると、こういう面が助長ざれるのではないかと心配するのですが、たとえばしかるべき寄付をしてくれるのならば、無条件に十分にあなたの子弟をお世話しますというふうな助長をされてはたいへんだ。そうしますと、そういうふうなことは、ひいては園児の教育の重大な支障の源になるのではないか。これが一面におきまして国が一切の教育機関を掌握できないし、することがいいか悪いかは問題でありますけれども、とかく今日の風潮がお金本位によって教育をされるというようなことが、ひいては小さな児童の精神をはばむもとになりましょうし、情操の教育をする機会もこれがためにだんだん失われることになるのではないかということをおそれるのであります。したがいまして、この幼稚園の問題、特に私立幼稚園をほんとうに強化して立ちいくように国としてはどうあたたかい手を差し伸べられるかということを速急に解決するように鋭意努力せられんことを御要望申し上げておきます。これは別にお答えは要りません。  そこで私はこの機会に、簡単でよろしゅうございまするけれども、残り一、二点だけ聞いておきたいと思うのでありまするが、三十六、七年の決算報告によりますると、概要説明によりまするというと、三十六年度におきましては、予算の不用額は十六億四千九百七万円、それから三十七年度におきましては、同不用額が十億九千百四十四万円、この二つがございます。内容を調べてみますと、国立学校運営におきまして職員の充足ができない。とれがおくれたために人件費が不要になったというようなことらしいのであります。そこで思いまするに、一体わが国におきまして、特に国立大学は非常に大きな地域格差があるのではないか、これは教育の根本の秩序を達していく上におきまして、またひいては教育傾向を支配するところの重大な欠陥になるのではないだろうか。全国で七十二でありますか、大学があるようでありまするけれども、この予算面から見ましても東京大学が断然多い。三十七年度におきましては百億円余りであります。もちろん学生の数が一万三千六百五十一ということになっております。したがいまして、学生の数から比べましても、設備その他の運営にも多額の経費が要っただろうことは想像されるのでありますけれども、よってきたるものは何か、九州の果ての大学やないしは僻陬の地の大学なんかは大学という名に毛恥ずかしいような存在に実態はあるのではないか、ここに大学の地域格差があるのではないか、こういうことも実は考えるのでありまして、これはひいては、同時に、そういうところへ行くことは教職員もあまり好まない。たとえば無医村に行く医者がなかなか出ない。東京にはわんさわんさ医者は来ますけれども、無医村に行ってくれなんて言ったらみんなしかめっつらです。同じようなことが人情の共通として支配しているのではないか。教育の殿堂ともいうべき国立大学においてそういちことがあってはたいへんだという感じが実はするわけです。この不用額が全部大学ではないということはわかっておりますけれども、大学自身にはなはだしい格差があるのではないかという点を指摘してみたいんです。これはいかがでございますか。
  167. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 大学予算に、大学によりまして相当大きい開きがあることは御指摘のとおりでございます。しかしそれが、地域的な格差ということばでございますが、それはむしろ大学の内容自体の相違に基づく予算額の相違であるというふうに私ども理解をいたしております。東京大学予算は非常にばく大でございますが、これは学部の数が多いということのほかに大きな病院をかかえておりますし、かつ共同利用の研究所を含めまして研究所の数が非常に多いわけであります。そういったような内容の大きさに従いまして大学予算が組まれるわけでございまして、おっしゃる意味の地域格差というのは原則としてないというふうに私どもは考えております。原則としてと申しましたが、しからばこれは同じ種類の学部なりあるいは生徒数で構成されておる大学の間において何ら格差がないかと申しますと、これはいろいろな事情によりまして、ある学校につきましては校舎が鉄筋であるとか、ある学校につきましては木造であるとか、そういった程度の地域格差はあるかと思いますが、そういう格差はある意味でいたしかたのない部分もあるわけでございますし、かつまた整備の過程でもございますので、行く行くは大学はすべて同じように整備していきたいというような気持ちでおるわけでございます。
  168. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは全然認識が違うのであります。地域格差がないというようなおことばをあなたは言っておられますけれども、一体それならば、われわれの社会常識、生活常識といたしまして、東京の大学と九州僻遠の地の大学格差がないというようなことを言ったってだれもほんとうにしやしませんよ。第一、一流の会社にしましても、私は東京大学の出身であります、私は遠方の何々大学の出身であります、一体その何々大学という大学日本にあるのですかと反問するかもしれませんよ。これは社会的常識であります。したがいまして、これはやはりそのようなことがなくなるように名実ともにしていくということが、私は教育の秩序を正す根本につながると実は考えておるのであります。ヨーロッパにおきましても、西ドイツにおいても、何もベルリンだけに一流大学があるわけではなし、アメリカにおいても同様でございますが、私どもは、やはり国立大学というものはどこの地にありましても、それぞれ物的、人的の設備は大体均斉がとれている、それぞれ特徴はあろうけれども、ということにするのが一番大事なんじゃないだろうかと思うのです。なぜ私がこれを言おうとするかといえば、実は先ほどの非行少年などの問題にもつながってくるのです。あなたは御承知と思うけれども、最近の東京におきまして——実は私も孫が東京に住んでおりますが、東京における小中高等学校の生徒などが、受験の準備のために追い回されまして緊張を続けており、暮らしの伸び伸びさが何にもない、これは一体何を語るのですか。これは私は、たとえば大学のごときも実に空気清浄な自然の豊かな環境に恵まれたところにもあるといったような、そういう伸び伸びとした教育の配分がされてほしいと思うのです。同様に幼児からずっと伸びていくにいたしましても、そういうようなほんとうに自然と親しみ得るような環境の中で成人さしたいのです。こんなことを思いますと、やはりどうかして大学などの設備も、人間も、物質も、一切が均斉のとれているものでありたいと思うのです。東京は伝統もあるし、歴史もあるし、ぎょうさんのものをかかえておることもよく存じておりますが、できるだけそういったことをなくすることが文教じゃないかと思うのです。あるがままにまかしておくなら、これは会社と同じです。そういうことになりますとあらゆる罪悪が出てまいります。いま現に三十七年の検査報告の二一七によりましても、病理組織顕微鏡の検査料が百七十五万とられましたものが、材料費に入り、雑誌の購入費に入るというようなことになりますので、一体検査料というのは何かと追及していって、その処理のしかたなどを考えていきますと、かなり問題があると思う。しかしここではそれには触れませんが、いずれにいたしましても、やはり大学というものは、教育の秩序といたしましては、根本の最も正しい姿に全体がなるようにしてほしいのです。そういう意味におきまして、地方と中央との大学もかなりいろいろ格差があると思う。したがって社会の見る価値評価も違っておるのではないかと思うのですが、その辺については、最高の行政施策として考えてもらわなければならぬ。秩序を保つということが文教の根本です。文部省自体が秩序に対して感覚が鈍ってくるというのではとんでもないことです。そういう意味におきまして、いまのおことばでございますけれども、非常に大事な点において私と認識が違うなというふうに感じた次第なんです。
  169. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 吉田先生のお話は、私、多少取り違えたと思います。地方大学を整備して充実していかなければならぬという点につきましては、全く先生のお話のとおりであります。
  170. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの問題については、次官、どうですか。
  171. 八木徹雄

    ○八木政府委員 いまおっしゃったいわゆる旧制の七帝大というものと地方の新制大学との間に格差があるのではないか、文部省はその格差是正努力しなければならないのではないかという意味だろうと思うのでございますが、おっしゃるとおりでございまして、文部省もそういう見地に立って措置をいたしつつあるつもりでございます。たとえば学部の増設、学科の増設あるいは新制大学に対する大学院の設置といったような一連の施策を通じまして、地方大学につきましても漸次整備をしつつあるところであります。まだそれが十分でないのではないか。たとえば地方のどこそこの大学東大の間に明らかに格差があるのではないかということだと思うのでございますが、尺度はなかなか困難なところであると思いますけれども、そういう世間の認識があることも間違いないわけでございますから、新制大学はつまらぬ大学だということのないように——新制大学も長い年月を経てきたことでございますから、これから後も一そう整備充実をして、世間の評価が何々大学もりっぱになったと言われるように仕向ける責任、その必要性があると思いますから、そのことにつきましては、いまでも努力をしておりますが、一そう努力することにいたしたいと考えております。
  172. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次に、中小企業の婦人従業者の職業並びに社会教育につきまして、特にちょっと聞いておきたいと思います。  文部省でお出しになっております社会教育に関する各般の施策、特に婦人教育振興ということにつきましていろいろと御報告されておることも拝見いたしました。また青少年の教育とかその他もあるようでありますが、文部省がいまお考えになっておる婦人教育という一般的な全国の婦人教育研究会の仕事であるとかその他研究集会などのお催しだとかいうことも実はよくわかるのでありますけれども、特に問題にいたしたいことは、最近中小企業の労働の問題が次第に深刻化いたしております。手形の不渡りは激増でございまして、先月東京だけで七万枚くらい不渡りになっておりまして、中小企業三月危機とまでいわれるのであります。ところが、同時にこれに従事するところの労働者が中小企業をいとうて、特に中卒などはあまり行かない、大企業ならば行くということになりますので、中小企業は目下経営的に資金に運営に非常に困っておるだけでなしに、労働者自身も中小企業に従事する労働者は待遇は悪いし、厚生施設は乏しいし、給与は将来見込みがないしというのでありますから、行くことを好まない。こういうのでありますので、この方面における婦人労働に対しましては特に職業的に、社会教育的に力を入れねばなるまいことじゃないかと思うのであります。私は陳情するつもりではないのでありまするが、兵庫県におきましても西脇という地方においては、小さな機屋さんに二万ほど婦人が従業しております。こういう方面において、われわれ実見するところによりますと、全国的にやはり、ことに繊維関係の若い婦人労働者——大企業の十大紡のごときはりっぱな工場内に高等学校を持っておりますけれども、このような小さい設備の企業の従事者には全然その機会がないのでございます。婦人の教育と銘打って出られる以上は、特に社会教育の面を充実開拓することが非常に重要だと思うのでありますが、その点につきましてただいまのところ何かやっておいでになることがあるのでありますか、いかがでしょう。
  173. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 先生の御質問の点で二点、私どもの仕事のほうで関係すると思います。一つは、勤労青少年の教育ということで、その中の女子、特に中小企業に働いておる女子の教養の場としての問題、もう一つは婦人学級等で雇用者側あるいは従業員をひっくるめまして、婦人教育の場としてどういうふうにつかまえていくかという問題であろうかと思います。  青少年の関係では三十七年度で青年学級等に所属しております者が大体五十万でございまして、女子青少年が四五%おります。また産業別に見ますと、大体第二次産業が一六%弱、第三次産業が三五%弱という状況でございまして、平均いたしますと、青年学級に学んでおります者は、五十万のうち第二次、第三次産業に関係のある者が十一万余あると推定いたします。それは全般をならした状況でございますが、いまお示しの特に繊維等の事業に従事いたします女子青年の場合につきましては、実は三十八年度に始めました勤労青年学校という教育の場を考えまして、その二十校の中で、たとえば愛知県の半田の繊維の勤労青年学校とか石川県の野々市町の勤労青年学校等は、全くお話の繊維に従事する女子青年のみを対象とする教育機関として設けております。その他青年学級にいたしましても、たとえば兵庫県の八千代町等は織物業者との提携で青年学級を開設しておりますし、京都の長岡でありますとか石川県の小松というようなものは、主としてそういう女子青年を対象にしておるのであります。また婦人教育の面につきましては、米沢の婦人学級のごときは織物に従事しております主婦が主として勉強しておりまして、その中でやはり年少の労働者に対する事柄もお互いに勉強しているような実情でございます。なおそのほかに、特に商店街を中心といたします青年学級の開設は、特に昨年以来助成をいたしまして、そういうものはできるだけ一つの会社ということでなくて、いろいろ小さい事業者が寄ってお互いにやっていってもらいたいということで、それにつきましては、設置いたす場合には特に助成につきまして十分に考慮するというような措置を講じておるのが実情であります。
  174. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 青年学級と申しますと、それは学校の中に併置するのでありますか、あるいは企業者がこれを行なうのでありますか、公共団体がやるのか、それはどうなんですか。
  175. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 青年学級で補助をいたしますものは市町村の教育委員会が開設いたします。その場所は学校等を利用いたすこともございますし、公民館等の社会教育施設を利用することもございますし、また企業等の助けを受けまして、事業場の中に開設することもいたしておりますが、しかし設置の主体としては地方公共団体でございます。
  176. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは三十七、八、九年は各どのくらいの予算もしくは決算になっておりますか。
  177. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 青年学級並びにその大型のものであります勤労青年学校を含めまして、大体一億四千万程度と承知しております。
  178. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは各地方におきまして相当な人数を事実上収容しておるのでしょうか。私も寡聞にしまして、相当人数の婦人の労働者を知っておるのですけれども、そう目立つほどの教育を受けておると思えませんが、事実収容しておる婦人労働者はどのくらいということをおつかみになっておりますか。たとえば一例を兵庫県であげてみてください。兵庫県があげにくうございましたら全国でよろしゅうございます。またあとで資料をもらいます。
  179. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 三十七年度で全部で青年学級の対象が五十万でございます。その中で中小企業に従事しております女子青年という統計をいたしておりませんが、私は第二次、第三次産業に従事しております女子青年が、その五十万の中で全国で大体十一万余ではないかという推算をいたしております。それから個々の青年学級は大体四十人程度を一つのクラスとして持っておるものが多いのでございますが、三十八年度から始めました勤労青年学校はもう少し大きく百二十人程度の者を幾つかのコースに分けて実施しておるわけでございます。したがいまして、先ほども例に申し上げました半田市でありますとか、石川県のような繊維関係の女子労働者を対象といたしますものは、大体百二、三十人程度を対象として実施しておる状況でございます。
  180. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は、女子十一万とおっしゃいますけれども、十一万というのがどのくらいの時間をどの程度にやっておるのか、ちょっとはっきりしません。こちらも少し資料が不備でありますから、あるいは延べであるのか、具体的に個人個人が十一万になっておるのかということも、まだはっきりつかみにくいのであります。現状を見てみますと、その方面における社会教育は欠けておるというふうに考えられます。したがいまして、これは後日またお尋ねする機会があるかもしれませんが、いずれにいたしましてもひとつ資料として出していただきまして、われわれとしては検討させてもらいたいと思います。そういうふうにこの際はしておきます。  これで質疑を終わることにいたします。      ————◇—————
  181. 押谷富三

    押谷委員長代理 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件調査のため、本委員会に参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 押谷富三

    押谷委員長代理 異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人出頭の日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  183. 押谷富三

    押谷委員長代理 異議なしと認め、さよう決定いたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二分散会      ————◇—————