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1964-02-13 第46回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十三日(木曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 白浜 仁吉君    理事 押谷 富三君 理事 福井  勇君    理事 勝澤 芳雄君 理事 片島  港君    理事 山田 長司君       鍛冶 良作君    竹山祐太郎君       湊  徹郎君    山本 幸雄君       神近 市子君    栗原 俊夫君       田中織之進君    田原 春次君       森本  靖君    吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         北海道開発政務         次官      井川 伊平君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小島要太郎君         経済企画政務次         官       倉成  正君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局東北開         発株式会社監理         官)      財前 直方君         会計検査院事務         官         (第一局長)  保川  遜君         会計検査院事務         官         (第三局長)  小原  剛君         会計検査院事務         官         (第五局長)  白木 康進君         北海道東北開発         公庫総裁    北島 武雄君         参  考  人         (北海道地下資         源開発株式会社         取締役社長)  建部 敏雄君         参  考  人         (北海道地下資         源開発株式会社         監査役)    吉川  盛君         参  考  人         (東北開発株式         会社総裁)   伊藤保次郎君         参  考  人         (東北開発株式         会社監事)   塚本  茂君         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   柳田誠二郎君         参  考  人         (海外経済協力         基金監事)   浅海 諒介君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 二月十一日  委員湊徹郎辞任につき、その補欠として相川  勝六君が議長指名委員に選任された。 同日  委員相川勝六辞任につき、その補欠として湊  徹郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十六年度政府関係機関決算書  昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十六年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十七年度政府関係機関決算書  昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十七年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書  総理府所管北海道開発庁経済企画庁及び総  理府関係政府関係機関関係)  国が資本金の二分の一以上を出資している法人  の会計に関する件(北海道地下資源開発株式会  社、東北開発株式会社海外経済協力基金)       ————◇—————
  2. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度決算外三件及び昭和三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管中、北海道開発庁関係経済企画庁関係決算について審査を行ないます。  まず当局より順次その概要説明を求めます。井川北海道開発庁政務次官
  3. 井川伊平

    井川政府委員 昭和三十六年度北海道開発庁経費決算概要について御説明いたします。  昭和三十六年度当初歳出予算額は四百七十三億三千百九十六万八千円でありましたが、これに政府職員給与を改善するため一億四千三百三十九万六千円、公営住宅法に基づき、地方公共団体が実施する公営住宅建設について、建築費の上昇による建築単価の改定に伴い七千五十七万四千円、北海道において発生した河川等災害復旧事業を施行する工事に必要な事務費六百七十一万三千円、計二億二千六十八万三千円の予算補正追加額があり、さらに原子力試験研究のため科学技術庁から移しかえを受けた額六百四十一万一千円、予算移しかえ減少額として厚生省所管厚生本省移しかえた額三千七百十九万円、農林省所管農林本省移しかえた額九十五億一千四十九万七千円、農林省所管林野庁移しかえた額七億五千八百六十一万円、農林省所管水産庁移しかえた額十四億二千五十万円、運輸省所管運輸本省移しかえた額二億六千五百八十万円、建設省所管建設本省移しかえた額十四億五百五十三万八千円。このほか前年度繰り越し額百二十一万一千円、予備費使用額五百九万五千円がありまして、これを増減すると歳出予算現額は三百四十一億六千七百二十三万四千円となります。これに対して支出済み歳出額は三百四十一億八百十一万四千円でありまして、歳出予算現額に比較いたしますと、五千九百十一万九千円の差額を生じます。  右の差額のうち翌年度へ繰り越した額は千二百九十五万三千円、不用となった額は四千六百十六万七千円であります。  支出済み歳出額内訳について御説明しますと、開発事業費では建設省所管治水特別会計繰り入れで四十一億七千二百七十万円、建設省所管道路整備特別会計繰り入れで二百十六億三千三百七十万円、農林省所管国有林野事業特別会計繰り入れで四億一千二百四十四万円、運輸省所管港湾整備特別会計繰り入れで二十二億七千二百万円。工事事務費では開発事業工事事務費で三十八億六千五百九十一万五千円。そのほか一般行政費で十四億一千五百四十八万四千円、開発計画費で九千七百五万七千円、開発事業付帯事務費で二億三千二百四十万八千円、原子力試験研究費で六百四十一万一千円であります。  次に翌年度繰り越し額開発計画費で千二百九十五万三千円。不用額のうち、おもな事項北海道土地改良事業費で百六十八万九千円、北海道開拓事業費で八百六十五万五千円、開発事業工事事務費で千八百七十九万六千円、一般行政費で千六百七十三万七千円であります。  以上、昭和三十六年度北海道開発庁決算概要の御説明を申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。  次に、昭和三十七年度北海道開発庁経費概要について御説明いたします。  昭和三十七年度当初歳出予算額は五百六十二億三千四百二十四万二千円でありましたが、これに政府職員給与を改善するための予算補正追加額二億四千百七十万五千円、予算移しかえ増加額として、原子力試験研究のため科学技術庁から移しかえを受けた額三百四十万三千円、庁舎等特別取得のため大蔵省所管大蔵本省から移しかえを受けた額三千二百六十六万円。また、予算移しかえ減少額として、厚生省所管厚生本省移しかえた額六千百万円、農林省所管農林本省移しかえた額百十七億三千七百六十五万五千円、農林省所管林野庁移しかえた額八億九千六百万円、農林省所管水産庁移しかえた額十五億五千三百二十万円、運輸省所管運輸本省移しかえた額二億二千二百六十万円、建設省所管建設本省移しかえた額十七億三千八百七万八千円。そのほか、前年度繰り越し額千二百九十五万三千円、予備費使用額二千六百二十二万八千円を増減しますと、歳出予算現額は四百三億四千二百六十五万八千円であります。これに対して支出済み歳出額は四百二億六千五百三十一万七千円でありまして、これを歳出予算現額に比較いたしますと、七千七百三十四万一千円の差額を生じます。  右の差額のうち翌年度へ繰り越した額は三千二百六十六万円、不用となった額は四千四百六十八万一千円であります。  支出済み歳出額内訳について御説明しますと、開発事業費では、建設省所管治水特別会計繰り入れで五十五億九千二十六万円、建設省所管道路整備特別会計繰り入れで二百四十七億一千万円、農林省所管国有林野事業特別会計繰り入れで五億八千三百七十万円、運輸省所管港湾整備特別会計繰り入れで二十九億二百七十万円。工事事務費では、開発事業工事事務費で四十五億八千二百二十八万四千月、そのほか、一般行政費で十五億三千八百八十八万九千円、開発計画費で一億三千百七十一万円、開発事業付帯事務費で二億二千二百三十七万一千円、原子力試験研究費で三百四十万二千円となっております。  次に、翌年度繰り越し額庁舎等特別取得費で三千二百六十六万円、不用額のうち、おもな事項北海道開拓事業費で千五百三万六千円、開発事業工事事務費で千七百二十一万三千円、一般行政費で千百三十四万七千円であります。  最後に、会計検査院昭和三十七年度決算報告で指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。関係職員に対しては、それぞれ訓告または厳重注意の処分をいたしましたが、今後は十分な注意をいたしまして事務の処理に当たるよう、厳重に指導してまいる所存であります。  以上、昭和三十七年度北海道開発庁決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 白浜仁吉

    白浜委員長 次に、会計検査院当局より検査概要について説明を求めます。小原第三局長
  5. 小原剛

    小原会計検査院説明員 簡単に御説明申し上げます。  昭和三十六年度決算につきましては、検査の結果、不当と認めまして検査報告に指摘した事項はございません。その他の事項につきましても、特に申し上げることはございません。  次に、昭和三十七年度決算につきましては、札幌開発建設部治水特別会計支出し施行いたしました千歳川筋改修工事におきまして、河川護岸のブロックの基礎を設計と相違して施行いたしましたために、護岸効果が低下しているもの一件を検査報告に不当として掲記してございます。その他の事項につきましては、特に申し上げることはございません。  簡単でございますが、以上であります。     —————————————
  6. 白浜仁吉

  7. 倉成正

    倉成政府委員 ただいま議題となっております経済企画庁昭和三十六年度決算につきまして、御説明申し上げます。  経済企画庁の当初予算額は五十九億四百八十四万九千円でありまして、予算補正追加額二百四十三万三千円、各省所管一般会計への移しかえ額は三十億七千四百九十五万一千円でありますので、予算現額は、二十八億三千二百三十三万一千円であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は二十八億六百九十万八千九百三十九円となっております。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと、二千五百四十二万二千六十一円の差額を生じますが、これは全く不用となった額であります。  次に、項別について御説明申し上げます。  第一に、経済企画庁の項でありますが、歳出予算額歳出予算現額はともに、四億五千二百六十三万九千円であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は四億三千一百四十二万二千四百四十六円、不用額は、二千百二十一万六千五百五十四円となっております。  この不用額が生じたおもな理由職員俸給などを要することが少なかったためであります。  昭和三十六年度のおもな事業としましては、従来に引き続き、総合経済政策の樹立、調整長期経済計画策定国土総合開発の推進、内外経済事情調査等を行ないましたほか、本年度の新たな事業といたしまして、地域経済均衡ある発展を確保するための基本的かつ総合的な長期政策の方向の確立に資するために、地域経済問題調査会が設置されました。また本年度から低開発地域工業開発審議会及び水資源開発審議会が設置され、その運営に当たりました。  第二に、経済研究所の項でありますが、歳出予算額歳出予算現額はともに、六千一百八十四万二千円であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は五千八百三十五万五千二百三十八円、不用額は三百四十八万六千七百六十二円となっております。  この不用額が生じたおもな理由は、職員俸給などを要することが少なかったためであります。経済研究所におきましては、日本経済成長、循環、構造の特質を明らかにするために、内外資料を収集し、理論的研究とともに、国民経済計算を行なってまいりました。  第三に、土地調査費の項でありますが、歳出予算額歳出予算現額はともに、二億六千八百七十九万七千円であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は二億六千八百十二万四千三百三円、不用額は六十七万二千六百九十七円となっております。この不用額実地測量費を要することが少なかったこと等のために生じたことによるものであります。  国土調査につきましては、前年度に引き続きまして、基準点測量地籍調査水文資料整備及び土地分類調査を実施してまいりました。  第四に、国土総合開発事業調整費の項でありますが、歳出予算額は九億五千万円、各省所管一般会計への移しかえ額は五億一千七百七十二万三千円歳出予算現額は四億三千二百二十七万七千円、特別会計への繰り入れ額は四億三千二百二十七万七千円であります。  この経費国土総合開発法に基づく特定地域及び調査地域東北、北陸、中国、四国、九州地方開発促進法に基づく各地方並びに首都圏整備法に基づく首都圏地域における開発事業相互間の不均衡調整して、その総合的な効果を発揮させるため必要な経費でありまして、各省所管一般会計及び特別会計全額をそれぞれ移しかえ、及び繰り入れをいたしたのであります。  第五に、地域経済計画調査調整費の項でありますが、歳出予算額は五千万円各省所管一般会計への移しかえ額は四千八百六十九万六千円、歳出予算現額は一百三十万四千円であります。  この歳出予算現額に対しまして支出済み歳出額は一百三十万三千九百五十二円不用額は四十八円となっております。この経費は、地域経済計画調査に関する各省間の不均衡調整するためのものでありまして、各省一般会計移しかえをいたしますとともに、経済企画庁においても、開発拠点設定基準調査を実施いたしたのであります。  第六に、離島振興事業費の項でありますが、揮発油税財源による離島道路事業費の項を含めて、歳出予算額は四十一億二千四百万四千円、各省所管一般会計への移しかえ額は二十五億八百五十三万二千円、歳出予算現額は十六億一千五百四十二万六千円、特別会計への繰り入れ額は十六億一千五百四十二万六千円、不用額は四万六千円となっております。  この経費離島振興法に基づきまして、国が離島において行ないますところの公共事業に必要な経費と、地方公共団体などが行ないます事業を補助する経費として、経済企画庁に一括計上し、その使用にあたっては各省所管一般会計及び特別会計へそれぞれ全額移しかえ、及び繰り入れをいたしたのであります。  以上で、昭和三十六年度決算説明を終わります。  引き続きまして、昭和三十七年度経済企画庁決算につきまして御説明申し上げます。  昭和三十七年度の当初予算額は八十  一億七千二百十三万円でありまして、移用増加額は六百万円、各省所管一般会計への移しかえ額は三十七億七千  百四十四万五千円でありますので、歳出予算現額は四十四億六百六十八万五千円となります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は三十八億三千二百三十七万四千六百二十四円となっております。この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと、五億七千四百三十一万三百六十六円の差額を生じます。この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は五億六千三十九万四千円でありまして、全く不要となった額は、一千三百九十一万六千三百六十六円となっております。  次に、以上の内容を項別に申し上げますと、第一に、経済企画庁の項でありますが、歳出予算額は四億九千四百四十万円、移用増加額は八百万円、歳出予算現額は五億二百四十万円であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は四億八千九百八十八万四千五百三十円、不用額は千二百五十一万五千四百七十円となっております。この不用額が生じたおもな理由は、職員俸給などを要することが少なかったためであります。  なお、昭和三十七年度の新たな事業としましては、豪雪地帯対策特別措置法の制定により、豪雪地帯指定基本計画策定のために豪雪地帯対策審議会が設置されますとともに、新産業都市建設及び低開発地域における工業開発促進をはかるため地方産業開発審議会が設置され、その運営に当たりました。  また、水資源開発促進法に基づきまして、水資源開発の水系の指定基本計画策定、これに必要な基礎調査調整を行なうとともに、水資源開発審議会運営に関する事務を行なうために、従来の水質保全事務を含めて、新たに水資源局が設置されました。  第二に、土地調査費の項でありますが、歳出予算額歳出予算現額はともに三億六千二百五十九万四千円であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は三億六千二百五十三万三千三百七十円、不用額は六万六百三十円となっております。  国土調査につきましては、前年度に引き続きまして基準点測量地籍調査水文資料整備及び土地分類調査を実施してまいりました。  第三に、経済研究所の項でありますが、歳出予算額は五千四百三十八万九千円、移用減少額は二百万円、歳出予算現額は五千二百三十八万九千円であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は五千一百二十五万二千二百六十四円、不用額は一百十三万六千七百三十六円となっております。この不用額を生じたおもな理由は、職員俸給などを要することが少なかったためであります。  経済研究所におきましては、前年に引き続き、日本経済特質を明らかにするため、理論的研究とともに、国民経済計算を行なってまいりました。  第四に、国土総合開発事業調整費の項でありますが、歳出予算額は十一億五千万円、各省所管一般会計への移しかえ額は五億二千二十五万五千円、歳出予算現額は六億二千九百七十四万千円であります。特別会計への繰り入れ額及び企画庁分は六億二千九百七十四万三千四百七十円、不用額は一千五百三十円となっております。  この経費は前年度に引き続きまして、開発事業相互間の不均衡調整して、総合的な効果を発揮させるため、各省所管一般会計及び特別会計へほとんどをそれぞれ移しかえ及び繰り入れをいたしたのであります。  第五に、地域経済計画調査調整費の項でありますが、歳出予算額は五千万円、各省所管一般会計への移しかえ額は四千八百五十万円、歳出予算現額は一百五十万円であります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は一百五十万円となっております。  この経費は前年度と同様、各省一般会計移しかえをいたしますとともに、経済企画庁においても、所要の調査を実施したのであります。  第六に、離島振興事業費の項でありますが、揮発油税財源による離島道路事業を含めて、歳出予算額は五十一億三千一百三十四万一千円でありまして、その内訳を見ますと、各省所管一般会計への移しかえ額は、三十一億四千二百九万円、予算現額は十九億八千九百二十五万一千円、特別会計への繰り入れ額は十九億八千九百二十五万一千円、不用額は二十万二千円となっております。  このおもな理由は、開拓地改良事業費において一部計画変更があったため、離島振興事業費を要することが少なかったこと等のためであります。  この経費は、前年度と同様、その使用に当たる各省所管一般会計及び特別会計へ、それぞれ全額移しかえ及び繰り入れをいたしたのであります。  第七に、水資源開発事業費の項でありますが、歳出予算額は九億二千九百四十万六千円、通商産業省一般会計への移しかえ額は六千六十万円、歳出予算現額は八億六千八百八十万六千円であります。この歳出予算現額に対しまして、特別会計への繰り入れ額は三億八百四十一万二千円、翌年度繰り越し額は五億六千三十九万四千円となっております。  この経費は、工業用水道事業に必要な経費として、通商産業省移しかえますとともに、治水特別会計繰り入れるものであります。  なお、翌年度繰り越し額につきましては、財政法第十四条の三、第一項の規定による明許繰り越しでありまして、水資源開発公団の行なうダム建設が、雪害により不測の日数を要したことと、用地補償が遅延したため年度内に支出を終わらなかったものであります。  以上で経済企画庁決算説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  8. 白浜仁吉

    白浜委員長 次に、会計検査院保川第一局長
  9. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 経済企画庁の三十六、三十七、両年度経費につきましては、それぞれ書面並びに実地検査をいたしました。その結果、特に不当として指摘いたしました事項はございません。     —————————————
  10. 白浜仁吉

  11. 北島武雄

    北島説明員 お手元にお配り申し上げてございます昭和三十六年度及び昭和三十七年度業務概況につきましての資料がございますが、この要点について簡単に御説明申し上げます。  当公庫昭和三十六年度における業務経費は、出資三億円及び融資百八十七億円、合計百九十億円でございました。  その原資は、債券発行百四十億円及び自己資金五十億円を充てる予定でありました。  御承知のように昭和三十六年度所得倍増計画の初年度にあたり、前年度に引き続いて高度成長が期待されましたが、民間設備投資及び個人消費支出の拡大に伴い、国際収支の悪化を惹起いたしまして、九月を境として逆に景気の引き締め策が打ち出されへ経済の基調は停滞を余儀なくされたのであります。  しかるに、当公庫に対する資金需要はきわめて旺盛でありまして、出融資実績は二百十二件、百九十億円となり、予定額どおりの実行となったのでございます。その地域別内訳を申し上げますと、北海道が百十一件、九十五億円、うち出資が二件八千七百万円、東北が百十件九十五億円となっておるのであります。  当年度中の出融資額の傾向を業種別に見ますと、北海道におきましては紙及びパルプ工業海上運送業、苫小牧港開発事業てん菜糖工業等東北におきましてはガス化学工業金属鉱物の採掘及び製錬業、化学工業等がおもなものとなっております。  昭和三十六年度損益計算につきましては、貸し付け金利息収入等事業益金総額が五十三億八千六百万円となり、これに対し支払い利息事務費等事業損金総額は、四十六億六千三百万円でありまして、七億二千三百万円の差益金を生じたのであります。この差益金から滞り貸し償却引き当て金繰り入れ額三億五千七百万円及び固定資産減価償却引き当て金繰り入れ額三百余万円を差し引いた三億六千二百万円は、北海道東北開発公庫法第二十五条及び公庫国庫納付金に関する政令の規定により、国庫に納付いたしたのであります。  かくして昭和三十六年度末の資産、負債の状況は、出融資残高が六百五十一億六百万円となり、これに対応いたしまして政府出資金二十五億円、政府借り入れ金残高二百四十一億三千八百万円、債券発行残高三百六十億四百万円に達し、滞り貸し償却引き当て金残高は十九億四千万円となっておるのであります。  次に、昭和三十七年度業務の概況について御説明申し上げます。  昭和三十七年度における出融資予定額は、出資三億円、融資二百二十七億円、合計二百三十億円でありまして、この原資は政府借り入れ金二十億円、債券発行百四十億円及び自己資金七十億円を充てる予定でありました。  なお、当年度は前年度からの引き締め政策の進捗に伴いまして、設備投資、在庫投資の減少及び個人消費支出の伸び率鈍化と相まって、わが国経済は前年度に引き続いて停滞いたしたのであります。このような情勢において、公庫に対する資金需要はかなり根強いものがありましたが、自己資金の調達が予定を下回っただめ、出融資実績は、北海道百十四件、百十二億三千万円、うち出資二件で二億七千五百万円、東北におきまして百十六件、百十二億二千万円、うち出資一件四千万円、合計二百三十件、金額におきまして二百二十四億五千万円、うち出資三件で三億二千五百万円となり、予定額を五億五千万円下回ったのであります。  当年度中の出融資の傾向を業種別に見ますと、北海道におきましては紙及びパルプ工業、てん菜糖工業、苫小牧港開発事業海上運送業等、東北におきましてはガス化学工業その他の化学工業金属鉱物の採掘及び製錬業等がおもなものであります。  昭和三十七年度損益計算につきましては、貸し付け金利息収入等事業益金総額が六十五億五千九百万円となり、これに対し支払い利息事務費等の事業損金の総額は、五十九億四千万円でありまして、差し引き六億一千九百万円の差益金を生じたのでありますが、この差益金から滞り貸し償却引き当て金繰り入れ額三億七千三百万円及び固定資産減価償却引き当て金繰り入れ額五百余万円を差し引いた二億四千万円は国庫に納付いたしたのであります。  かくして昭和三十七年度末、資産、負債の合計は、出融資残高七百七十八億七千四百万円となり、これに対し政府出資金二十五億円、政府借り入れ金残高二百三十三億二千万円、債券発行残高四百九十二億四百万円に達し、滞り貸し償却引て当て金残高は二十三億千三百万円となったのであります。  次に、目下実施中でございます昭和三十八年度業務の概況について申し上げます。本年度出資額は出資三億円、融資二百五十二億円、合計二百五十五億円でありまして、その原資といたしましては、政府出資金十億円、債券発行百七十五億円及び自己資金七十億円を充てる予定でありますが、昨年十二月末までの実績は、二百十六件、金額におきまして二百九億三千五百万円でありまして、本年度予定額の八二%の実行をしておるのであります。  かくいたしまして、昭和三十一年六月、当公庫創立以来昭和三十八年十二月末までにおける当公庫の出融資の累計は、千二百五十六件、金額で千二百三十二億円に達し、また昭和三十八年十二月末における出融資の残高は千百四十二件、八百九十九億五千万円となっておるのであります。  なお、明三十九年度の出融資予定額につきましては、現在国会の御審議をお願いしておりますが、出資三億円、融資二百八十七億円合計二百九十億円でありまして、この原資といたしましては、政府出資金十億円、債券発行二百四十億円及び自己資金四十億円を充てる予定となっておるのでございます。  以上が昭和三十六年度以降最近までの業務の概況であります。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  12. 白浜仁吉

    白浜委員長 これにて説明の聴取を終わります。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。福井君。
  13. 福井勇

    ○福井委員 経済企画庁では国土総合開発事業調整費という他の省では見られない予算が組まれておりますが、これはどういうところから出て来たのか、それはどういう意味を盛り込んでおるのか御説明を願います。さらにまたこの調整費の使い道の内訳及びその実績を簡単でよろしゅうございますから御報告を願います。  第二は、あなたの庁でやっておられる唯一の——唯一のと言っては言い過ぎでありますが、一つの事業と申しましょう。例の離島振興事業は、すでに十年前後の歴史を持っおります。そこで三十六年、三十七年両年度の、この事業費の内訳を使途別にお述べを願い、あわせて離島振興事業の進捗状況を御報告願いたいと存じます。これは一言、二言で簡単に済ませてもらっては困りますから……。私、記録をずいぶん勉強して調べましたので、きょうの決算委員会がほかの委員会といろいろ重複しておることも了承しておりまするがゆえに、他日文書で長くなる面は御報告願ってけっこうです。
  14. 倉成正

    倉成政府委員 調整費のお尋ねでございますが、この調整費は御案内のように各省間の事業を総合的に推進してまいりますために、たとえば建設省、農林省両方あわせて事業をやっていくという場合の事業調整をはかるために、経済企画庁としまして、もう少し予算をつければその事業がうまくいく、そういった場合にこれをつけていくというたてまえをとっております。  またこまかいいろいろな各事業費の配分の問題につきましては、開発局長からお答えをいたしたいと思いますが、ちなみに三十九年度につきましは、三十六億の予算でございまして、新産都市建設事業調整費がそのうちで十四億五千、国土総合開発事業調整費が二十一億、この二十一億の中に、一般の事業あるいは低開発地域に対するもの、豪雪地帯、特にことしから産炭地に対する調整費、こういうものを含んでおります。それからそのほかに地域経済計画調査調整費、いろいろな調査をいたしますのに五千万、これを合わせて三十六億でございます。三十八年度が二十二億でございまして、年々この額が増加しておりますが、将来もさらにこの額を増加して行政効果が効率的に行なわれるようにはかりたいと考えております。  それから離島振興事業につきましてお尋ねの趣旨は、項目別に詳しいことをという御指摘のようでございましたが、その点につきましては、後ほど書類をもって提出申し上げたほうが適切ではないかと思いますが、最初の基本的な問題についてはちょっと御質疑が聞き取れなかったのでございますが、恐縮でございますがもう一回……。
  15. 福井勇

    ○福井委員 政務次官の御答弁で大体よくわかりましたから、私自分で申しましたとおり文書でけっこうでございます。  それから離島振興費の内訳についてなお私はお尋ねしたいのでございますが、この離島振興費の費用の内訳は、いずれも各省移しがえがされて使われておるようでございます。企画庁としてその金の使われた先がはたして予定どおりの効果のある間違いのないものに使われておるかどうか。これは決算委員会としての重大な任務でありますから申し上げるわけでございますが、検査とか監督とかしておるのかどうか。またそういう権限が企画庁にあるかどうか、私これを調べてみたいと思っておったのですが、わからないので、そういう権限があるのかどうかもお尋ねしたいし、もしそうでなければ、移しがえ先がどうなっておるのか。はっきりしないものがあったとき、そのままにしておいて、また次の年度予算要求を例年のようにするということがあったのではおかしいではないかという気がいたしますので、それらの点についてこれを明らかに願いたい。
  16. 倉成正

    倉成政府委員 離島振興法に基づきまして予算を計上いたします場合に、御承知のように公共事業につきまして、企画庁で一括計上するようになっております。この計画を立てまた予算を編成いたします際には、各省と十分連絡をとりまして各省間の調整をはかるという建前で、この計画を立てまた予算につきましてもそういうことをいたしておりますので、この移しがえをいたしましたあとで、これがどう使われるかという問題につきましては、企画庁としてはこれを監督するという直接の権限はございませんけれども、しかし離島振興計画を立てまた予算を組みました趣旨にのっとりまして、実際上は間違いのないように、当初の目的に使われるようにということは十分留意いたしておる次第であります。また細部につきましては総合開発局長からお答えいたしたいと思います。
  17. 福井勇

    ○福井委員 大臣がいないのではなはだ残念でありますが、北海道開発庁についての問題について質問いたします。  北海道開発庁の所管事項については、三十七年度において一件の指摘を受けておるたけてありまして——もっとも一件でも不当事項を出したということは決していいことではございません。しかし、ここではその一件についてとやかくの追及をあまりしないことにいたします。  さて、北海道開発もすでに第一期五カ年計画を終えまして、第二期五カ年計画に入っておるわけでありますが、当委員会において北海道開発状況について質問した形跡が私の調べではどうもないように思いますので、私手のないところを図書館でずいぶん丁寧に調べてみましたが、これらのことについて諸先生があまり勉強しておいでにならないのか、勉強しておいでになってわかっておるからお尋ねにならないのかわかりませんが、私一生懸命で調べましたところが、なかなか質問してないので、私は今日勉強したその結果によって質問するわけでございますから、詳細なお答えを願いたいと思っております。  第一期五カ年計画の実績はどういうふうになっておりますか。そうして第二期計画をどのように遂行されておりますか。またそれに要する資金はどれほどでありますか。そういう点を御報告願います。御承知のとおり、世界の情勢は刻々変わってまいっておりまして、日本自体の産業経済情勢も急激に変わってきておる現状でございますから、北海道に対する国民の認識というものは、以前とは全く変わってまいりまして、その開発に対する熱意、期待というものはずいぶん大きなものではないかと思っております。これは相当膨大な御返事を期待することになっておりまするので、先刻申し上げましたように、あまり説明が長くなってもどうかと思いますから、説明が長い点は幾ら膨大な資料でもよろしゅうございますから、別に資料として御提出願うことにいたしまして、御答弁は、簡略に願いたいと思います。  もう一つ、北海道開発予算は、事業事業によって建設省とか運輸省とか農林省とかというふうに移しかえされて使われておるようでありますが、そこでお尋ねしておきたいことは、あなたの庁の予算の編成、そしてその執行の手続はどのようにやっておられますか、その概要を御説明願います。また、いまのようなやり方で差しつかえないか、こういうふうにしたら一そう北海道開発がやりよくなり、予算効果的に使われるのではないかといったような点があれば、この席上で述べていただきたいと思います。当決算委員会としても今後の参考になることと思いまして特にお尋ねしたい次第でございます。これらの点をお含みの上御説明をお願いいたします。
  18. 井川伊平

    井川政府委員 お答えを申し上げます。戦後北海道開発は国民経済の復興、発展の一翼をになう重要な国策とされ、国は昭和二十五年に北海道開発法を制定し、これに基づきまして昭和二十七年から十カ年計画を立てまして、そして前期五カ年、後期五カ年、こういうふうにして十カ年を経過し、昨年以来第二期の八カ年の計画が進められておる次第でございます。  第一期の十カ年計画のうちの前半の五カ年の計画におきましては電源の開発、道路、河川、港湾等の基礎設備の整備、食糧の増産、開発の基本調査、その他いろいろと道開発のために努力いたしたのでありまして、大体この五年間に使いました金が、国費七百七十七億円余りとなっておる次第であります。  それから、最初の一期計画の第二次の五カ年計画、これは三十二年までの第一次五カ年計画に引き続きまして進められたのでありまして、国民経済の著しい発展に伴い非常な努力を重ねてまいられた次第であります。昭和三十三年度を初年度とする新長期計画、これは後期五カ年計画でございますが、この計画を考慮するとともに、第一次の五カ年計画の実績が半ばであったことにかんがみ、第二次の五カ年計画、これは第一期のうちの第二次でございますが、この計画は三十三年度を初年度といたして発足したのであります。この計画は、国の経済に大きく寄与するものの大幅な生産増強を中心として、その他の未開発資源の開発促進するとともに、用地、用水に恵まれた立地条件を生かして、主としてこれらの原料を活用する諸工業を積極的に開発、振興し、産業の構造を高度化の方向に進めて労働人口の吸収と農民所得の増大をはかることを目標といたしたのであります。  この計画に必要な国費は大体投入され、開発目的を相当大幅に進めてまいったのであります。そしてそれに使われました五カ年間の経費は、合計いたしまして国費一千九百三十余億となっておる次第でございます。  ただいま御質問のうちの開発庁に割り当てられた予算移しかえをすることによって何か支障はないか、不便はないかという点でございましたが、この点につきましては、現在のところ何ら不便を感じていない、円満に予定のとおりの進行がはかられておるものである、かように考えておる次第であります。  なお、第二期の八カ年計画につきましては、御承知のように三兆三千億の大きな予算でございますが、このうち国費としては約七千億、それに地方費等を加えまして、公共事業に対しまして、はっきりした数字は忘れましたが、大体九千五、六百億の予算が八カ年間に見積もられておるような次第であります。答弁が十分でないかと存じますが、御要求によりまして、別に資料を差しげて御了解いただきたい、かように存じております。
  19. 押谷富三

    ○押谷委員 この機会に経済企画庁の政務次官にお尋ねいたしたいと思います。  これは大都市の道路行政に関係のある問題でありますから、一応数字として伺っておきたいのであります。昭和三十六年、三十七年、できたら三十八年度までの東京、大阪、名古屋における吸い上げましたガソリン税の総額と、これらの都府県に道路補修のために使われている現実の金額とそのパーセンテージがもしおわかりでしたらこれを伺っておきたいと思います。  それから、これらの都市において、東京と大阪あるいは名古屋等の公の経営にかかります交通機関、特にバス等の経営によって赤字が出ていると聞いておるのですが、あるいは直接の所管ではありますまいけれども、その赤字の状況についてもしおわかりでしたら資料を御提出願いたいと思います。これだけを求めておきます。
  20. 倉成正

    倉成政府委員 第一の、ガソリン税並びに道路に使っている費用の問題につきまして、これは各省との関係がございますので、各省と連絡をとりまして、できるだけ御趣旨に沿う資料を整えたいと思います。  それから第二の、東京、大阪等のバス、おそらく公営企業のお話かと思いますが、これは物価の関係からいたしまして、私どもとしては重大な関心を持っておりますので、それぞれそういったところから資料をいただいておるわけであります。これもただいま手元にございませんので、御趣旨に沿うような資料をできるだけつくって提出いたしたいと思います。
  21. 片島港

    ○片島委員 北海道開発庁について、これは大臣に質問をしたほうがいいと思うのですが、国務大臣も配置せられ、また政務次官、事務次官その他ずっと下のほうにおられるのですが、一体北海道開発庁に従事しておられる公務員、また非常勤ではあるが、常勤的につとめておる職員と言いますか、労務者の数は大体どのくらいおられますか。
  22. 小島要太郎

    ○小島説明員 北海道開発庁の定員といたしましては約一万二千名、一万一千七百名余りでございます。ただいまのお尋ねの非常勤職員につきましては、これは道路その他開発事業を実施いたしますために、その工事のために直接必要な人員を工事事業費によりまして雇用いたしておるわけでございます。したがいまして、これはその事業の進行状況によりまして、時々刻々異なっておるものでございます。工事年度の途中から、初夏のころから逐次増大いたしまして、秋にかけてその工事のクライマックスでありまして、それから冬になりますと、北海道の気候条件等から申しまして、工事の量が減るわけでございます。したがいまして、最盛期におきまして大体三千人見当のそういう職員がおります。
  23. 片島港

    ○片島委員 本庁関係と向こうの事業関係との人数は、どのくらいになりますか。
  24. 小島要太郎

    ○小島説明員 本庁は七十七名でございます。その残りが北海道でございまして、その北海道のうちの約七百名が本局におります。あとは本局の下に開発建設部がございます。それに配置されております。
  25. 片島港

    ○片島委員 私は初めて開発庁の説明を聞いたのでありますが、経済企画庁は、御承知のように予算を確保せられたならば各省関係の事業費の調整のために協議の上これを配分する、それは仕事ですから、あなたのほうは事業をする役所じゃない、調整をする役所、北海道開発庁というのは、北海道開発をする事業官庁であり、したがって本庁にも七十七人しかおらぬで、一万二千人、最盛時が三千人でありますが、そうでないときも相当の数が使われておると思うのであります。ところがこの決算の概況を見ますと、昭和三十六年度の当初予算額が四百七十三億何がし、そのうちほかの省へ移管をした額がざっと計算しまして百三十五億、それから開発庁で支出はしたが、建設省や農林省や運輸省の特別会計繰り入れた額、それは約二百八十数億、合計四百二十億、四百七十三億のうちに、予算はとったが、自分のところの事業でなくて、ほかの省に金を分けてやっている。また特別会計繰り入れる。三十七年も似たり寄ったりです。こういうことをするために国務大臣、政務次官、事務次官以下一万何千人の職員がおるわけですが、あなたのほうで本来で使っておる金額というものは、またことに微々たるものです。一万何千人も使っておれば、人件費だけでも相当なものであります。早く言うならば、ほかの省へ移管をするための予算をとり、またほかの特別会計へ金をとってやるための仕事をやっておる官庁のような気がするのです。そういうことで、北海道開発庁といって開発はしていない。開発をするのは農林省や建設省にみな金をやって、向こうでやってもらっておる。また特別会計に入れる仕事をやっておる。そういうことなら何もわざわざ開発庁というものは要らない。そういう仕事をやる農林省が予算をこの分とればよろしいし、そうするとあなたのほうは一万何千人も要らぬ。また特別会計繰り入れるのも、何も開発庁を通じてから厚生省や農林省、運輸省、そういうところの特別会計繰り入れぬでも、それこそ経済企画庁でもいいし、大蔵省直接でもいい。トンネル官庁なんですね。そういうことは国家行政をやるために非常にむだなことじゃないか、人のところの予算をとらずに、初めからほかのところが予算をとればいいじゃないか、こういう感じが私はするのですが、どうでしょう。
  26. 井川伊平

    井川政府委員 ただいまのお話は一応ごもっともに聞けますが、しかし要は法律がありまして、その法律の内容に基づいてやっているのでありますから、その法律の価値と申しましょうか、あるいは法律の改廃と申しましょうか、そういうような御議論になろう、と存じ上げます。  なお、各省移しかえはするのでありますけれども、北海道が御承知のように立ちおくれておりますので、北海道特有の事情が各般にわたってあるわけでありますから、そういう事情を取り上げて研究をする、そしてそれを政策に移すという、仰せのごとくある意味ではトンネルかもしれませんけれども、そういう必要があるとして法律ができ上がっておるわけでありまして、ただいまその法律を執行をしておるわけでありますから、法律が今後改正されるかどうかの問題として、十分に私どももまた研究いたしたいと存じております。
  27. 片島港

    ○片島委員 法律があるからこうやっておるんだけれども、あなたは事務当局じゃなく、やはり国会に籍を置かれる政務次官ですから——そういうたてまえがむだなことじゃなかろうか。法律が悪ければ変えなければいかぬのですよ。法律が悪ければ、これは国会で変えます。しかし考え方からした場合に、大部分の予算はほかの省のものをとり、また特別会計をとっておる。北海道が立ちおくれておって非常に困るから、北海道には特別の配慮が行なわれなければならぬということは、北海道開発庁の人ばかりが認識をしておったのでは困ると思う。それは農林政策で立ちおくれておるなら、農林大臣が北海道の立ちおくれを認識をしてもらわなければならぬ。また建設行政でおくれておるなら、建設大臣が北海道の立ちおくれを認識するのが当然です、外国じゃないのですから。やはり北海道というものは特殊な存在としてそれを認めていくのがあたりまえのやり方です。——大臣、いま北海道開発庁決算概要説明を承ったわけです。そこで私がふしぎに思ったのは、あなたのほうでせっかく確保された三十六年度の四百七十三億何がしのうち、せっかくあなたのほうで獲得されたがほかの省へ組みかえをして、予算の移管をしておる。さらにまた各省特別会計へ大額の金を繰り入れをしておられるわけです。それは非常にたいへんなパーセントになりまして、むしろ開発庁自体が使っておる金のほうが微弱なものです。そういうことならば、もともとほかのところへ移管をすべき、またほかの特別会計に大部分の金を移し入れるくらいならば、各省が直接この予算を計上してやったらいい。いま政務次官のお話では、一つには北海道は特殊な地域で、立ちおくれておるから、これを特別に見てやる必要がある——それはしかし、もし農林行政で立ちおくれておるならば、農林大臣は、やはり北海道も日本のうちですから、日本のうちの北海道として、立ちおくれておる北海道の農林政策をどうするか、重点的に考えるのは当然でしょう。また建設行政でおくれておるなら、建設大臣が責任を持って北海道開発をやるのが当然で、あなたのほうからもらった金でやるといっておるが、やはり直接要求をし、また大蔵省なり、予算調整をやっておる経済企画庁あたりが総合的にとったものから、北海道はちょっとおくれておるから北海道はこう一あなたは経済企画庁ではないですけれども、そういうところからこういうふうに分けてやる、こうすればわざわざ専属の国務大臣、あるいは、あなた兼務かもしれませんが、わざわざ国務大臣を置いて、政務次官を置いて、事務次官を置いて、人員は、いま聞いてみますと、本職員で一万二千人くらいです。そうして工事の最盛期には何千人も使っておる。最盛期でないときでも相当な人が常勤的非常勤としているわけです。ただ予算のトンネル官庁としてはあまりにも、大物大臣を配し、また事務次官、政務次官、各おえら方以下一万何千人もあなたのほうで使っておるが、予算の大部分はそういう事務的な費用、人件費等に使われるのであって、金額はどうも少ないです。それは、法律がそうなっておるから法律どおりにやりますという政務次官ですが、事務次官が言うのならば別ですが、少なくとも政治家が、法律が間違っておるなら法律を直せばいいのであって、国の予算をむだな使い方をする必要はない。筋の通ったやり方をやったらどうか。いままで蒸し返されたことならば私はたいへん恐縮でありますが、どうもふしぎでありますから大臣の所見を一つお伺いしたい。
  28. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 たいへん私おくれて参りまして、二度も説明をさして、たいへん申しわけございません。ただいまお話しのように、それぞれの省で取ってくれるならばもうそれで事足りる。また北海道は特別な地域だから、これを全部北海道予算を計上し、北海道開発庁のうちにそれをつけたらどうだ、こういう御意見はしごくもっともですが、そこまではなかなかできなかった。それでただいまのように農林省、建設省あるいは運輸省、それぞれのところへ予算をまた返しておりますが、しかしこれはいわゆる割合で北海道の持ち分が幾ら幾ら、こういうようなことではなくて、持ち分といいますか、北海道の特殊性から特別に、人口割りにしたのではそうならないものも、北海道の特殊性だということでもとへ返してやる、そうしてそこで実施をしておる、この程度の法律が−北海道開発庁ができ上がったのです。しかしこれができ上がりましてからの北海道開発というものは、事実進んできておる。北海道開発庁がなかったときよりも、これができたことが非常に役立っておる。道民の方からも非常に喜ばれておる。したがって、制度そのものとしては中途はんぱのような御批判を受けますが、現在においては北海道としては、この種の機構によってまずまず要望を達しておる、そういう意味で理解していただきたい。これは経済企画庁あたりが全部の予算をあんばいしてくれる、これも一つの方法でございます。そうして北海道開発庁という役所をなくするということですが、それではどう北海道民としての特殊的な地位から皆さん方にも納得がいかないという状況でございますので、経済企画庁だけで予算をあんばいする、調整する、これだけではどうも不十分なように思います。私は、ただいま相当多額の予算を使い、また中途はんぱな官庁ではありますが、これが今日その目的を達しつつある、しかしさらにこれを強化するような気持ちはございません。ただいまの状況でいわゆる各省の分野を乱すことはしない、そういう方向で参りたいと思います。ただいまは、いま御意見が述べられたように、それほど不得要領なまたよけいなものではないのです。十分効果を発揮しておりますから御了承願います。
  29. 片島港

    ○片島委員 開発庁ができてから非常によくなったとこういうことでありますが、それじゃ開発庁をつくる前は政府が北海道開発について非常に不熱心だったということですね。北海道が人口的な割合などから見て予算を配分したら、北海道は少なくなるから、どうしても特別な基準を認めなければならぬということは、開発庁があろうとなかろうと政府として当然考えるべきことなんであって、開発庁ができればよくなるというのじゃなく、これは政府全体の責任じゃないですか。それができなくたって、やろうと思えばできないことじゃないことです。私は、北海道庁を通じてやれというのじゃなくて、直接農林省、建設省、運輸省というところがその特殊性を十分勘案をしてやりさえすればいいんじゃないか。これができたら、なるほど私行って旅館など泊まってみると、開発庁の役人のほうが道庁の役人よりも丁重に扱われております。それだけ北海道では開発庁はおそれられております。それはいろいろな権限を持っておるからでしょう。しかし、それは農林省がやるべきこと、建設省がやるべきこと、運輸省がやるべきことをあなたのほうでただトンネル的に取ってやっておるから、金を取ってくれるのは開発庁以外にないくらいに考えておる。あなたのほうがなくても当然建設省や農林省や運輸省は金を取ってやらなければいかぬのです。それをあなたのところがあるから取ってやるんだ、おれのほうがあるから開発ができるんだ、それでは私は政府全体として非常に無責任な考え方じゃないかと思うのです。一方何千人という職員を擁して、そうして北海道庁よりもむしろ開発庁のほうが非常にえらく見られておるが、そういうようなことは国家全体として予算の使い方などから見ても、また筋から考えても、もしそういうことを言うてどこどこ開発庁というものができさえすればそこがよくなるというならば、南九州開発庁、中国四国開発庁、そういうものをつくればあそこがよくなるならば、全国おくれたところではみな開発庁をつくってもらったらいいじゃないですか。私たちのほうではつくってもらわぬものですからさっぱりよくならぬ、それをつくったらよくなるのではなくて、政府の腰の入れ方が、あまり力を入れないからやらぬのじゃないですか。その点を私はもっとはっきり筋の通った話をしていただかないと困る。
  30. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 別に政府が開発庁をつくる前は施策が弱かった、こういうことを申し上げておるのじゃ実はございません。在来から十分注意はしておりましたが、さらに北海道北海道として特別な上にも特別に見よう、これが今日北海道開発庁を設けたゆえんでございます。このことがらは、その他の地域におきましても、議員立法その他でしばしば行なわれ、東北方面がまずそれに入ってくるとか、あるいは九州開発をひとつやれとか、あるいは中国開発をやれとか、こういうことになってくると、全部の行政は上がってまいりますが、全部特別になってくるなら、これは意味がない。したがって、そういうことこそ、いわゆる農林省なり建設省なりの基本的な問題だ。それで全体の行政は上がっていくが、さらに上がった上においても、おくれを取り返す、こういう意味で、特別にかけ足をしなきゃならないだろう、そういう意味の開発庁、かように御理解をいただきたいと思います。
  31. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連をして佐藤大臣に伺いますが、北海道開発庁ができたということは、やはり沿革的に言えば、昭和二十二年から北海道の知事が社会党の田中君であったそういうところに、やはり自民党の北海道への浸透、いわゆる、多分に党利党略的な考え方の上に開発庁が発足した。これは沿革というものは無視するわけにはいかないと思います。しかし、いまそれをわれわれがとやかく言う考えはないのですけれども、開発庁ができたということは、いわゆる北海道開発を総合的に行なうということが主眼だったと思うのです。その意味で、各省にまたがる関係の予算も当然あるわけで、それを北海道開発庁予算だということで予算を組んでおることもわかります。ところが、それをまた各省へ移管する。こういうようなことでは、当初のねらいである総合開発ということが、はたして貫き通されているかどうかというところに問題があるのではないか。こういうことから片島委員の質問も出ておるわけです。現在のような形で開発庁の予算として相当額を確保するけれども、農林関係は農林省の出先機関によって仕事を進める。建設省の関係はこう、運輸省の関係はこうだ、こういうような形では、いわゆる北海道の総合開発としての施策を進めるというねらいが貫かれるかどうかというところに問題が出てくるんじゃないか。そういう意味で、率直に言って開発庁のできて以来の約十年近い間というものの実績を検討した上で、北海道開発計画というものについても検討を加える時期にも来ているんではないか。またそういう意味で、開発庁の現在の行政運用というものについても考え直すべきものが——決算報告の面から見て、これでは一体開発庁をつくった意義があるのかどうかということを、われわれに疑問を抱かせるような実態について、開発庁自体として考えるべき問題があるのではないか、こういう意味で質問をされていると思うし、私はそういう点について、佐藤開発庁長官が、現在の開発庁の行政というもの、あるいは予算の組み方、それの実施というものをどう考えておるかということをこの際伺いたいと思います。
  32. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほど来お答えしましたが、あまり理論的にお答えしていないので御不満のようですが、申すまでもなく、先ほど来申し上げておるように開発庁におきましては、総合開発計画を立てる、同時にそれが総合開発をする必要があるかどうか、そうして、そのことは行政が分かれることになるんじゃないだろうか。したがって、私どもは、計画は立てます、その計画を立てたところで予算を要求する、それから実施の面では、それぞれの官庁において実施するほうが便利だ、かように思いますと、農林省なりあるいは運輸省なりに予算をつけかえて返して、そうしてそのほうで実施していく、しかし、私どもが握っております総合開発計画、それは十分責任を持ってそれの遂行をしておる、こういうことでございますので、現状においての区分その他は、行政の総合開発計画、同時にその官庁は総合開発を実施する、それまで必要なのかどうなのか非常に問題があるんじゃないか。ことにただいま言われますように、中央官庁もさることながら、地方の自治体が分担しておる部分も多分にございます。したがって、北海道開発庁としては、その計画を持つということ、その範囲になるべく限定したい、こういうのがただいまの機構でございます。      ————◇—————
  33. 白浜仁吉

    白浜委員長 次に、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件について調査を行ないます。  本日は、本件調査のため、関係当局のほか、北海道地下資源開発株式会社より取締役社長建部敏雄君、同監査役吉川盛君、東北開発株式会社総裁伊藤保次郎君、同監事塚本茂君、海外経済協力基金より総裁柳田誠二郎君、監事浅海諒介君、以上六名の方が参考人として御出席を願っております。  参考人各位には、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席くださいましてまことにありがとうございます。  なお、参考人各位に申し上げますが、発言をされる場合には、委員長の許可を得て行なっていただきますようお願いいたしておきます。  次に、委員各位に申し上げます。参考人よりの意見の聴取は、委員の質疑により行ないたいと存じますので、そのように御了承願います。   これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを順次許します。勝澤君。
  34. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣がお忙しいようですから、特にはしょりまして質問いたしますので、あと残りました分についてはまた後ほどお願いしたいと思うのです。大臣の所管されておる会社の中で、北海道地下資源開発株式会社、それからもう一つ科学技術庁のときにお尋ねいたしますが原子燃料公社がある。それから今は御関係ありませんけれども経済企画庁関係の東北開発株式会社、この三つの会社は、政府としてたいへん検討しなければならぬ会社だと思うのです。きょうは、その一つである北海道地下資源開発株式会社について大臣の御所感を賜わりたいと思うわけでありますが、それは三十三年の八月に、この会社が資本金十億ででき上がりまして、三十三年、三十四年、三十五年、三十六年、三十七年と五カ年間、この会社が赤字が累積してきたわけであります。御案内のように、初年度におきましては、資本金に対して約一割、三億の資本金に対して三千四百六十万の赤字を出しておる。二年度におきましては、六億の資本金に対して九千九十一万円の累積赤字になっておる。そこで三十七年末には、資本金十億に対して二億五千三百九十万の赤字になっておる。まさに二割五分、資本金の食いつぶしが行なわれておる。したがいまして、北海道の地下資源だけではもはやこの赤字を解消することは困難だということで、本来この会社が発足した方向を改正をして、今度は内地のほうも少しやろうではないかということでなってきたのでありますけれども、まだまだこの会社の見通しとしては不安定であります。しかも会社の発足当時から、この会社は採算がとれない運命の中に発足されてきたわけであります。やはりこの際根本的に、この会社は私は検討すべき時期にきておるのではないか、こう思うのでありますが、この点についてのお考えをまず伺いたいと思います。
  35. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 お話のとおり、この会社は、なかなかむずかしいというか、三十三年から三十七年まで累積赤字二億五千四百万、とにかく膨大な赤字を持っております。これを今日の状況のままで、もっと業績をあげるような方法はないだろうか、三十八年度はよほどくふうして——この赤字も、計画から見ると一千万程度の赤字、そういうように業績をひとつあげるようくふうしてもらおう。しかしながら、いまのところ三十八年度の見込み額としても、依然として三千万程度の赤字になるんじゃないだろうか、かように考えております。  そこで、ただいまお話のごとく、将来についても、こういう際に、ただ部内の業績をあげるばかりでなく、もう少し事業の内容を変えることによって、この会社が助かるような方法はないだろうか、ただいまそういうことをいろいろ研究しております。もちろん、ただいまどういうようにするという、それだけのものはございませんが、何か今日考えざるを得ざる状況にきているのじゃないだろうか、かように思います。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、大臣に申し上げておきたいのは、こういう会社というものは、発足してからやはり二年、三年を見なければいけないと思うのですが、見た中で、そこでどうするかという検討を加えておかないと、どうしてもこうなると思うのです。  もう一つの例が、あとで経済企画庁にお尋ねをするんですが、東北開発株式会社——決算委員会で問題になった。問題になる前に、やはり会計検査院で問題にしておった。それが今日では、三十八年の決算の予想ですと、資本金三十億以上の赤字になるような見通しです。この北海道地下資開発も、私はやはり累積してきた赤字の経過を見れば、そのときの大臣なり何なりがもう少し手を打つものの考え方をしなければならなかったのじゃないだろうか、こう思うのです。ですから、三十七年五月にこの会社は法律改正をいたしまして、この法律改正をしたときに、当時の川島長官は、とにかく最初の計画が一この会社がつくったときの見込み違いが赤字の原因なんだ。だから、赤字にしないためには、もう少し事業範囲を広めなければならぬ、こういうことで、とにかく内地のほうの探鉱もやることになったわけであります。しかし広げてみたけれども、今度は民間との競合の問題が出てくる、こういうことで私は悩みになっておると思う。ですから、やはりこの際——いま直ちにということはいろいろ問題があるとしても、ここ早い間にこの問題について根本的対策を講じないと、会社の説明を聞いているだけではこれは納得できないわけです。これはひとつ大臣、あなたの担当と離れて、将来のことをお考えいただきたいと思うのですが、私は、最近における経営者の責任といいますか道義といいますか、こういう点について考えなければならぬ点が多々あると思うのです。これは、会社でいうならば無配会社です。無配の原因は何かということになれば、ある程度経営責任というものについて追及しなければならぬと思う。その経営の衝に当たっている人たちが、無配の会社にあるにかかわらず、三年か四年たって、任期が来てやめるときには、二千万、三千万の退職金をもらってやめておる。そうして次のところに移っておる。これはやはり経営者の道義としてこれは政治的なものもあるでありましょうけれども、国の公社や公団、公庫やこういう国策会社というものは、親方日の丸で、赤字になっても何をしてもいいんだ、あとは何とかしてくれるんだということで、寄ってたかって食い物にしたり、寄ってたかって——結局責任を転嫁するようなことではいけないと思う。やはりそういうものについてきちんとしなければ、これは、国民の血税というものがむだな使用をされておると思う。その点について、大臣、やはり役員の責任——倫理といいますか道義といいますか、こういうものについてきっちりした考え方というものは、私は、実力を持っておる佐藤大臣ですから、望みたいと思うのですが……。
  37. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 この会社は、経営者側の責任と申しますよりも、事業計画自身に相当無理があった、これは考えてあげなければ——いまの経営者自身、よほど何とかして業績をあげようと、そういう意味では、ほんとうにみずから身をすり減らすような気持でやっておられます。しかしながら、ただいまお話のありましたように、民間事業をこれで圧迫するんじゃないか、こういう意味で、民間の探鉱会社そのものの受け持ちの範囲もありましょうし、また会社によりましては、自分のところの鉱業権あるいは鉱区というものを外へは出さない、これは秘密として自分のところで持っておるということもありますので、いろいろ事業計画に無理があった。ただ私どものねらいからいえば、北海道みたようなところで——非常に広いんだ、だからそういうところに地下資源開発の会社をつくり、しかも政府が出資すれば、幾らかずつでも新しい資源の開発ができるんじゃないか、これをねらったわけです。その意味では、場合によりましては、大きく見れば、資金をすり減らしても、それだけ北海道として残るものがあるんじゃないか、かように実は思いますけれども、しかし今日までの掘さく状況その他を見ますると、必ずしも予定どおりにはいっておらない。その予定どおりにいかない原因は、みずからの鉱区は他のものの、資源開発会社の手をからないで、みずからが掘る、こういうこともありますし、また民間の掘さく——資源開発だけをやっておるものの圧迫もしないように、こういうことを強く要望されるものですから、自然にこの会社も縮まらざるを得ない。そういうところに本来の計画のそごがある、かように思いますので、これはたいへん苦しいお仕事を、責任を負わしてやらしておる。むしろ、私、ただいまの経営者の方々には、ほんとうに心から同情をしております。今日ではもう政府の出資も十億程度が限度だ、事務当局もかように申しておりますから、それから見ると、次の段階として、こういうことについてのくふうを新たにしないと、この種の会社はうまくいかないだろう。いずれにいたしましても、北海道が利益を受けるというが、その前に、これは国民の血税だ、こういうことを考えてみますると、これをむだに使ってもらっては困る。どこまでも有効に生きてくる、こういうことでなければならない。今日その段階に到達していると考えなければならない時期に来ている、私、かように思います。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 経営者が努力しているという点については、私も大臣と同じですが、では、経営の内容について二、三、私は会社あるいは会計検査院から聞きますから、大臣ちょっと聞いていていただきたいと思います。  会社のほうにお尋ねいたしますが、一般管理費が、三十七年度を見てみますと、一年間に役員の報酬が千三百万、社員の給料が千五百万、役員と社員の比率はどうなっておりますか。
  39. 建部敏雄

    ○建部参考人 お答え申し上げますが、仰せのような状態でございます。役員といたしましても、人の数をできるだけ減らしまして、現在のところは七人の取締役の定員に対しまして、社長と常務が一人と、それから取締役が一人、非常勤の取締役が一人、合計四人であります。監査役といたしましても、二人の定員に対しまして、常勤監査役一人というふうに、できるだけ経費の節減をはかってやっておるような状態でございます。数字の上では、いわゆる社員の給与と、それから役員の給与との内訳はそのような形になっております。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 人件費を節約せねばならぬために、役員を欠員までおいて努力されている点については私も認めます。しかし、役員が六人か七人で千三百万円、従業員が百八十人で千五百万円ですね。
  41. 建部敏雄

    ○建部参考人 それはいまお話をしました管理要員は、いわば事務に関連しておる人々の給与で、現場に従事しております者はその中に入っておりません。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員 数字のものですから、あとでまたよく検討願いたいと思うのですが、次の、今度は探鉱原価の実態なんです。これは会計検査院にお尋ねしたいのですが、検査院いらっしゃいますか。わかりますね。探鉱原価を調べてみますと、北海道内では三十六年度で二十の工事のうち十一、それから三十七年度は二十の工事のうち十六、これが工事の原価は、契約原価を上回っておるし、あるいはまた直接工事原価を上回っているものがある。言うならば北海道の探鉱はやればやるほど赤字になっている。こういうふうに三十六年度、三十七年度工事費の実績で出ているわけでありますが、この実情と原因はどこにあるのかという点について、検査院としての見解を伺います。
  43. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 お答え申し上げます。北海道地下資源開発株式会社については、私どもその内容について検討しております。ただいま御指摘の探鉱費が契約額に対して実績が上回っている、あるいは他の探鉱事業者の事業費等から見て、相当高いものについておるのではないか、こういう御質問であろうかと思いますが、個々の条件によってたいへん違いますので、はたして必要以上に高いものについておるかどうか、民間には若干そういうものもあるということを聞いておりますけれども、先ほど来御審議がありましたように、事業の条件が必ずしも十分でない、こういうことから機械の稼働率、あるいは技術職員の稼働率、そういったものが必ずしも十分でない。管理費が比較的に高くついておる。それから実際の探鉱の事情につきましても、私どもから見まして若干適当でないのじゃないかという意味で、会社に御質問したこともございますけれども、いずれも会社の責任に基づいて不当と認めたような事態はございません。
  44. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十七年度損益計算書によりますと、受託探鉱の収入が九千二百八十六万で、受託探鉱の原価が九千五百九十二万、収入より原価のほうが上回っているわけですね。ですから、いま会計検査院が、工事契約額よりも工事原価のほうが上回っている、それはいろいろの問題がある、こう言われましたが、私も専門屋ではありませんからそこまで突っ込んでわかりません。ですから、私がいま二、三指摘いたしましたそういう点などについても、北海道の地下資源という今日の経営の問題、それからこれができてきたときの探鉱事情と今日の事情の違い、あるいはこれからの開放経済に向こう日本の鉱山事情というものから考えて、やはり相当いまのうちから検討しておかないと——ことしはとにかく三千万くらいの赤字である。そうすると、約三億の赤字になるわけです。それが来年は、これは事務的な説明を聞いてみますと、少しは黒字になるかもしれないという言い方をしておりますけれども、私は黒字になるとは思いません。ですから、そういう点から考えて、ひとつこれは大臣に宿題を預けておきますから十分御検討いただきたい、こう思います。質問を終ります。
  45. 山田長司

    ○山田(長)委員 関連。何か急いでいるようでありますが、これは重大問題であるから聞いていただきたいと思う。実は、昨年東北開発会社を当決算委員会で調べたところが、黒字三億という報告だった。実際調べてみたところが、これが逆に五千万の赤字だったという事例がある。北海道のこの場合の人減らしをしたというのは昨年のことだ。さらに役員の問題ですが、役員はほとんど東京にいるのです。これは現地を離れている関係もありますから、やはり実績をあげるには役員が現地に乗り込んで、働いている人たちの生活環境から一切の事情というものをよく把握しなければそう成績のあがるものではないと私は思うのです。これはほとんど国策会社にひとしいものであります以上、普通の会社の場合よりもより一そう国民の血税でやられている以上、担当の役員の人たちというものが現地に乗り込んでいろいろ督励するような気持がなければだめです。これは大臣に要望しておきます。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 東北開発株式会社についてお尋ねいたしますが、三十七年度決算ですと、累積赤字が二十二億四千三百万円、こうなっておりますが、三十八年度末の、三十八年度決算による赤字と総額累積赤字はどのぐらいになりますか、これは会社でわかったら会社でお答えいただきたい。
  47. 塚本茂

    ○塚本参考人 お答えを申し上げます。  三十八年度はさらに約十億赤字が増加する見込みでございます。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、三十二年発足から三十八年までの累積赤字はおおむね三十二億九千三百万円になる、資本金が三十億、こういうことですね。
  49. 塚本茂

    ○塚本参考人 資本金は三十六億一千万でございます。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 赤字はいいですな。
  51. 塚本茂

    ○塚本参考人 よろしゅうございます。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣にお尋ねしたいのですが、三十七年の決算のときには資本金が三十億、その七割五分の二十二億が赤字なんです。三十八年のいまの見込みでも十億の赤字になる。累積が三十二億。まさに資本金の食いつぶしです。この会社の見通しといいますか、経済企画庁として今後どういうふうにお考えになっているか、まずその点をお尋ねいたします。
  53. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のような状態でございますから、これが民間の企業であれば当然企業としては倒産をする、あるいは会社更生法の適用を受けざるを得ないだろうと思います。しかしながら、私どもこの一年余りこの状態を見ておりまして、やはり会社設立の目的というものが古い沿革もございますし、最近は東北開発法あるいは北海道東北開発公庫、それとこの東北開発株式会社の三つの柱で東北開発振興をはかろうというのが、私どもの基本的な考え方でございますので、この際政府といたしましても、もう一度基本的な再建計画を考えまして、財政援助をするとともに、会社の経営者に対しましても思いを新たにして、会社設立の本来の目的のために御精進を願いたい、こういうことを要望しつつ、片方で再建のための諸施策を予算案におきまして国会に御審議を願っておるわけでございます。
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 具体的に何をやれば、この会社は再建できると存じますか、具体的にお答え願いたいと思います。
  55. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 会社が今日の状態を招きましたのには幾つかの理由があると思うわけであります。これらの理由を発見いたしますために、私どもの役所のみならず、会社当局はもちろんといたしまして学識経験のある人々何人かに集まってもらいまして、過去半年余り検討を続けてもらいました。それらの総合した結論はただいまから申し上げるようなことであります。  第一は、人件費、償却費、金利、これらの割合というものが非常に多いということであります。たとえば人件費の割合は一五%、金利が一八%、償却費が二%。普通の企業と比べることもいかがかと思いますが、企業の常識としては人件費はせいぜい一割でありましょうし、金利なら三、四%、償却も四、五%くらいと思いますが、人件費の一五%、金利の一八%といったようなことはいかにも大き過ぎる。いかに国策会社でありましても大き過ぎると思います。  そこで、そういうことが何から起こったかということでございますが、一つは会社の総売り上げに対して管理機構が大き過ぎるのではなかろうかということが一点であります。第二点は、会社の直営事業として従来やっております部門の中に、たとえば亜炭でありますとか、カーバイドでありますとか、かつては相当需要のあったものでありますが、経済の伸展とともにいわゆる斜陽産業に堕しつつあるといったようなものがある。それから一部の建設費の中に非常に割り高になっておるもの、あるいはまた別途販売対策そのものが不備であるといったような、そういう幾つかの事情があるというふうに考えるわけであります。  そこで基本的に申しますれば、こういう要因をいかにして除くかということがこれからの再建の基本的な方針でなければならぬ、そういうふうに考えるわけであります。   〔委員長退席、押谷委員長代理着席〕
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまの大臣の御答弁は、三年前藤山経済企画庁長官から聞いたのですよ。それからまた赤字が累増しておるわけです。あのとき、この会社をつぶしてもらえば二十億くらいもうかったわけです。二十億のお金を東北の人にくれたほうが助かるわけです。食いつぶしをしておるわけです。あなたもこの計画を見ていただきたいと思いますけれども、三十六年度決算報告の計画を見ますと、新規事業二十九億を計画しておる。二十九億のうち実施したのは二億です。あとの二十六億余は繰り越しになっておるわけです。それから三十七年度を見てみましても、計画が二十七億です。十億実施をしてあとは繰り越しになっておるわけです。これほど事業が行なわれていないわけです。これは東北開発会社にまかせておったら、幾らたっても食いつぶしになるだけです。大臣はやる気があるかないか。言うならば、これこそ池田内閣の政治責任だというのです。ほったらかしておくんですよ。大臣も、おれの任期中は会社を再建するその再建案だけをつくって、そうしてやめて次の大臣がくる——これについては、まさに大臣も無責任大臣ですよ、先ほども佐藤長官に申し上げましたけれども、私が検討した中で、北海道の地下資源開発株式会社は、十億の資本金で二億五千万円資本金食いつぶしをやっておる。この会社は、まさに資本金以上も食いつぶしになろうとしておる。それから原子燃料公社です。それはどこに原因があるか。この会社自体にも原因があるし、会社とそれから民間企業との問題があります。結局会社を通じて独占に奉仕をしておる。私のものの言い方が極端であるかもしれませんが、一つの論拠としては言えると私は思うのです。そういうやぼなことは言いませんけれども、やはり金が有効に使われるようにしなければいかぬと思うのです。そのためには、大臣としても相当決意を持ってもらわなければいかぬと私は思う。いまのようなお話ですと、私は——三年前決算委員会で、当時の決算委員長がこれはひど過ぎるじゃないかといって、東北開発の幹部に来てもらいまして、ここに何回となく審議をいたしました。審議をしておる中から、総裁が検察庁に呼ばれ、あるいは担当をやった理事が検察庁に呼ばれて、そのまま汚職でひっかかって裁判になったという中でこれは行なわれたわけです。それから洗いざらいやって新しい総裁を迎えた。これならいけるだろうということで二カ年やった実績がまた十億、こう赤字じゃ幾ら国民だってたまったものじゃない。−東北の人だって、こんなにかかるのだったら、その金を東北六県に分けてくれといったほうがはっきりしておると私は思います。これはもう少ししっかりしたものの考え方を大臣してもらわなければいかぬ。私が声を大にして言うことは、大臣が無関心だからということより、もっと関心を持って、もっと真剣にこの問題をやってもらわなければ困るということを申し上げておるわけであります。経営者だって一生懸命努力していますよ。しかし努力しておりますけれども、東北開発に対する政府の考え方というのは、ただ単なる監理官にまかせきりでもうお手上げですよ。これからの三十九年度、四十年度の見通しについても、もし大臣がこれについてのお考えがあったら聞かせてもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
  57. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 事情をつまびらかに申し上げておりませんので、そういう御指摘があることはごもっともだと思います。先ほど申し上げましたような数点が今日の会社の現状を招いた原因でございます。そこでそれに対する対策というものが具体的に行なわれなければならないわけでございます。このたびの予算を通じまして再建資金を流しますことを御承認いただきたいということを国会にお願いしておるわけでありますが、元来こういう現状の会社に納税者の金を今後何年かにわたって再建資金として出すか出さないかということは、相当政治的な決断を要することであります。ことに私としてはどちらかといえば、そういう金を使いますことを好まないほうであります。しかし冒頭に申し上げましたような会社の設立の目的から考えまして、再建資金を今後数年間にわたって会社に出す決心を政府としてはいたしたわけであります。その初年度がこのたびの三十九年度予算案で御承認をお願いしております最初の部分であります。そういう再建資金を国として出そうと決心いたますためには、その裏づけになっております幾つかの条件がございます。その第一点は、先ほど申しましたように、管理部門が非常に大きいということであるわけでございますから、そこで大幅な人員整理と機構の縮小をしなければならないということであります。それから第二点として、直営事業の中にいわゆる斜陽化しつつあるものが相当あるわけでありますので、これらは思い切って切り捨てなければならないということであります。及び助成をしておりますいわゆる子会社の中で将来見込みがないというものにつきましては、その整理を行なうということが第二点であります。第三点として、再建の方途が立ちますまで、まことに残念ではありますが、再建に直接関係のない新規事業は行なわないということでありまして、こういう三つの条件が満たされなければ、国費をさらに乱費をすることになると思うわけであります。これらの問題について、国会に予算を提出いたしますまでの段階において、会社の首脳部と私どもと何度か話し合いをいたしました。会社の首脳部においては、ただいま申し上げました幾つかの条件を満たすために最善の努力をされるということを私に確約をしておられますので、そういう条件が満たされるという前提において、再建資金の初年度分を国会に御承認をお願いしておるわけであります。
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、じゃ再建計画について具体的に数字をあげてください。再建計画として数字はこういうふうに考えて、ここへいけばこういうふうになるのだという一つの案を——あなたは今年度予算を出したのでしょうから、それに基づく再建計画を説明してください。
  59. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは詳細な計画がございますのでお目にかけることができると思います。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大まかな数字をひとつ御説明願いたい。もし大臣が数字をお持ちでなかったら、どなたでもけっこうですから、御説明願いたいと思います。
  61. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 よろしゅうございます。政府委員から御説明いたします。
  62. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 政府から再建資金といたしまして、初年度十二億東北開発会社に出資いたすことにいたしております。なお会社の経理内容を再建勘定と整理勘定に分けまして、再建勘定といいますのは、先ほど長官から申し上げたように、いま持っておる事業の中でこれから伸びる事業については極力販売網その他を強化して、事業を有利に導いて、仕事をやっていこう、そういう新しくといいますか、どんどん事業を伸ばしていこうという面につきましては、大体金利水準を——現在の水準はかなり高くなっております。先ほど申し上げましたように、いろいろ赤字その他についての面を借入金、社債で補っておりますものですから、金利水準がかなり高くなっております。それをいま申しました再建資金十二億でいわば肩がわりをして、新しい事業の金利水準を下げながら、一つの採算ベースに持っていこうという考え方でございます。全体として東北開発会社は来年五十億の資金でもって大体仕事をいたしますが、いま申し上げました十二億の出資はその内訳であります。そのほかに子会社のむつ製鉄関係の事業を今後計画いたしております。あるいはセメント事業をやる、あるいはまだ検討いたしておりますが、ハードボード事業なども強化しようかと考えておりますので、そういう点につきましての資金量が、残り三十六億、三十八億でありますが、三十八億のうちの二億分が出資になっております。大体そのような形で、一方かなり事業を大幅に整理いたしますとともに、伸ばす事業につきましては、積極的に資金手当てをいたしまして、事業を有利に収益をあげていきたいということでございます。管理機構その他につきまして整理、縮小して、その経費を軽減するということにつきましては、目下会社のほうで詳細に検討いたしておる最中であります。
  63. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまのお話を聞きましても、何も数字がないじゃありませんか。何も納得できませんよ。三十二年の発足からずっと赤字になってきている。そして三十四年、三十五年当時の監事なり監理官なりがもう少ししっかりしておれば、この会社は赤字です、将来たいへんなことになりますと勧告すればいいやつを、しなくて、見せかけの決算をしておいて、そして決算委員会で指摘されて初めて赤字が五億も六億も出てきて、あわを食ったわけです。そのときにしっかりやっておけば、今日のように、三十六年度の十二億はともかくとして、その次の七億五千、その次の十億、こういう赤字は出ないはずなんですよ。いまのお話を聞いても何も再建計画はできていないじゃないですか。いまだけの計画で大臣がことしの予算を盛ったら、これはたいへんな問題ですよ。自信を持ってこの会社が再建できるという案が出ていないじゃないですか。もし自信があるならもっと具体的に教えていただきたいと思うのです。これは大臣、ここの会計検査報告書に出ております。各事業が全部赤字なんですよ。三十七年度でハードボードが二億、カーバイド一が一億七千万、セメント関係で千九百万、亜炭で三千五百万、土地造成で三千七百万、全部の事業が赤字になっているわけです。そして金利負担が一億六千八百万もあるわけですから、これはなまやさしいことでは再建ができないわけです。それから考えてみると、実に安易な処理しかしていない。これはあれだけわれわれがこの決算委員会で何回となく会社に来てもらって、幹部の総入れかえまでやって、そして政府が何とかしなければならぬと決意したときから比べてみると、また同じ愚を繰り返しておる。あのときは内部のごちゃごちゃ、総裁や副総裁派の内部のごちゃごちゃ、あるいは政治がそれにからまってにっちもさっちもいかなかった。今度の総裁には何もそういう点のからみ合わせばないので、実にきれいな事業ができるはずだ、きれいな事業ができるにもかかわらず、事業運営ができないということについては、二年間もほったらかして、ことしもまた十億の赤字であります。資本金三十億に対して三十二億の赤字になりましたが、それではあまりみっともないから、ことしは出資をふやしました。それでは納得できない。もう少ししっかりした再建計画を出してもらいたい。もしないなら、再建計画というものを次の機会まで出すということをはっきり約束してもらいたいと思います。
  64. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 結論をお急ぎにならずに、少し説明をお聞き願いたいと思います。非常にきびしい再建計画がございます。あるいは説明にかなり長い時間を要するかもしれませんので、場合によっては、別に資料で差し上げることが適当かと思いますが、ただいまから政府委員が御説明をいたします。  なおこの再建計画を実行するにあたりまして、総裁としては政府の了解を得て、現在の経営陣を一新される決心をしておられるということを承知しております。これを申し添えておきます。
  65. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは私は再建計画というものが出されて、そして十分それを審議さしていただいて、そのときに、もう一回大臣に再建計画がどのようになっているかという点について質問いたしたいと思います。これは保留いたしておきます。資料としてひとつ再建計画を出していただきたいと思います。よろしゅございますね。
  66. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私どもとしても、再建計画を詳細に御検討願いました上でお尋ねをいただきましたほうがよろしいと思いますので、できるだけ会社と再建計画を最終的なものに早くいたしまして、資料として提出をいたします。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまの大臣の答弁はおかしいですよ。会社と早くいたしまして再建計画を出しますと——再建計画がなったから資金要求したのでしょう。再建計画ができないうちに資金要求したなんて、けしからぬじゃないですか。これは藤山長官だって、三年前ですよ。毎年毎年赤字の会社をつくっておいて、どうなんですか。
  68. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 よくお考えの上御質問をいただきたいと思いますが、再建計画の中には、当然どこで何人退職をさせなければならぬというようなことを含んでおります。それらについては、やはりその該当する人々に対してそれを申し渡すことも必要でありますし、その就職先等についても、ある程度会社と私ども一緒になりましてめんどうを見てやらなければなりません。その詳しいところまでは申し上げられないかもしれませんが、資金的なものは、これはいつでもと申してはなんでありますけれども、早い機会にお目にかけられます。
  69. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連して。ちょうど伊藤総裁がお見えになっておるので、再建計画の資料を出される前に、一つだけ伺っておきたいのです。  私も一二年前の決算委員会には、決算委員として出まして、伊藤さんにはいろいろ人事の派閥などもあってやりにくいだろうけれども、勇気を出してやりなさいということで、激励をした一人なんです。あなたは非常な決意で再建に当たられたのですが、あなたが総裁に就任されてから依然として七億五千万、三十八年度決算予想では十億という赤字が、あなたが異常な決意で再建にかかったにもかかわらず出たということは、一体どこに原因があるのですか。あなたは実際にやってこられて、今度三十九年度予算にあたって新たに十二億の政府からの出資その他の融資を受けて再建に当たられる。長官からいま聞くところによれば、それ、をやるのには経営陣の一新もやるんだと言っていますけれども、あなたは二年前にそのことをやられることを国会で約束されておって、努力をされたのでしょうけれども、努力をされた結果がさらにかれこれ二十億近い赤字がこの二年間に出ているということの原因が一体どこにあるとあなたは見られているのですか。その点をあなたは、やはりそのときからの引き続きの総裁なんですから、当決算委員会に、こういう努力をしたけれども、どうにもならなかった——赤字の出る根本的な問題を、抽象的には宮澤長官が述べられましたけれども、あなたは実際の業務をやって、それを抽象的な表現にすれば宮澤長官の言われたような五つの点に帰着するのかもしれないけれども、実際にあなたも三菱切っての手腕家だと言われた事業家なんです。これがやはり東北開発の機構の上に欠陥があるということで、自分が民間でやったときと勝手が違うのだというのも一つの答えかもわかりません。伊藤さん、ひとつその点あなたは率直に——ここて政府か出してきたということになれば、いまの国会の情勢から見ればそのまままた国民の血税がつぎ込まれることは必至です。たまたまあなたは三年前の新任早々の総裁であったのですから、私は率直なことをこの場を通じて国民に明らかにする責任があると思う。
  70. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 ただいまの御質問に対しましてもはっきり申し上げたいと思いますし、なお本件に関しましては私の意見もありますから、これもなるべく簡略に申し上げたいと思います。  第一番の問題としましては、三年前に皆さんに申し上げたことにたいへん違反いたしまして、この点は私まことに申しわけありません。皆さんからもたいへん期待をかけられました。先ほど勝澤委員のお話にありましたとおり、これならば何とか食えるのじゃないかというような御期待のもとでやってまいりましたけれども、さっぱり食いものにならぬという結果を今日招いたことは、まことに申しわけありません。ざんきにたえないのであります。ことに、先ほど企画庁長官から申されましたように、政府はたいへん力を入れてくれまして、各方面の援助をいただきましたが、この答申の中にもいわれましたとおり、この会社のマネージメント、ことにトップマネージメントには、もっとはっきりした線を出さなければいかぬのだという結論が出ています。トップマネージメントの責任者は、全く私自身であります。自分が、要するに総裁がしっかりしていないのだということが結論と私は感じております。しかしながら、私一身のことなんかはどうでもかまいませんが、へたなことをやって、あとは食い逃げしたということでは、国民に対し、皆さんに対してすまぬと思いますから、私は今回、自分の欠点はさておいたのかという非難はありましょうけれども、責任を果たすためには、もう一ぺんひとつ自分の続く限りやってみたいという決意を当局に表明いたしました。したがって、決してほかの方々がいけないということではありませんけれども、空気一新の意味で私を残らしていただきまして、そしてこの仕事をやっていきたいという決意を表明したのであります。しかし、これは御承認を得ますか得ないかわかりませんけれども、一応そういう表明をいたしております。  それにつきまして具体的に申しますと、やはり赤字というものは理由があってもなくても国民の税金を年々にわたって食いつぶしているということで、ほんとうにこれは国民として、また会社経営主体として申しわけないわけであります。したがって、どこに注目するかとなりました結果、現状としましてはセメント事業とカーバイド事業を直営にそのままいたしまして、これでもって会社の収入源としてかっきりする。収入源とする以上は、赤字の出るような収入源というものは意味をなさぬのでありますから、今年度から着手しまして、二年、三年後には必ず黒字に転換するという約束をしたのであります。私どもは全身を込めてこの約束を果たすつもりで、約束をいたしました。この点は、はたしてお前そんなことを言ってもできるのかという懸念はあるかもしれませんけれども、しかし私ども、何のためにこれまで赤字が出たかという原因をいま先生からお聞きになりましたが、この産業界において競争の熾烈な事業は、やはり現在はセメント事業であります。ハードボード事業も、新しい日本の事業としても競争が熾烈であります。その間に立って、まあしろうとと言ってははなはだ悪いのでありますけれども、不なれなわれわれ、皆さん一緒にやっても、なかなかこの難関は突破しきれないじゃないかという懸念は確かにあります。ありますけれども、しかし相当会社の人たちもなれましたし、それから欠陥がどの程度あるかということもわかりました。年年でしたか、指摘されましたセメントについては、硬化セメントというのが固有名詞のように使われて、どうもはなはだ私ども赤面したのでありますが、その点も全然なくなりましたし、セメントの質も市製品と比べまして遜色がないということになりましたので、ここにひとつ奮闘いたしまして、あくまで冗費を省いてやるということで、欠点の一部を私が率直に申し上げたわけであります。しかしながら、決していまさら弁明はいたしたくありませんけれども、これをやって会社の収入源とするという決意ははっきりしていますので、この約束はほんとうに果たせるのかどうかということになりますが、私どもは来年から必ず黒字を出すということは約束できません。できませんが、ちょうど三年目におきましては、必ず両事業とも黒字に転換して、これを収入源としていく、しかしこの会社の使命というものは、これもわざわざ申し上げる必要はないと思いますけれども、東北開発というものは、北海道開発とは多少違っているのじゃないかと思うんです。これは弁明になるようなきらいもありますけれども、東北三法という法律がありまして、東北の未開発、低開発地域には、やはり政府の援助をもって新しい事業を植え付けなければならぬということを私ども承知して就任したわけであります。しかしこれを今日の赤字の弁明に使おうとは、私は決して思っておりません。しかしながら会計が一本である以上は、この赤字はどういうふうに出たのかということを克明に分析してかからないといけません。その分析をいま申し上げますと、われわれは収入源としての二つの事業というものは、私はほんとうは民間事業であるべきものと思いますけれども、しかし、この会社が収入なしで、国民の税金だけ食いつぶすということはいかぬのでありますから、将来を考えますと、この二つの事業だけは黒字に転換できるということで出発したいというのが今回の案であります。その他幾多の事業はありますけれども、整理するものは勇敢に整理し、事業は着々と進めておりますが、まだ全体は完了しておりません。それをはっきり区別した場合には、われわれが約束したものがはっきりこのあとできると思いますが、約束といいますか、この会社の使命を果たす問題は、私、皆さんから別途に考えてもらわないと、この点を区別してわれわれは経営に当たりたいと思うのであります。どっちだかわからぬところから出た赤字だというごまかしは、私は一切考えておりません。この点は厳格な御批判のもとに私は決意を新たにしまして、これまではどうも大へん皆さんの御期待にそむいたことを、これは幾度言っても何にもなりませんから申し上げませんが、あいつはどうも食わせ者だというようなことは、絶対に私の心の中にはいまありませんから、その点はひとつ御了承を願いたいと思います。
  71. 田中織之進

    ○田中(織)委員 いろいろ弁解がましくなるがということで言われている点で、私の質問に端的にお答えしていただいていないのを非常に遺憾に思います。私は、やはりあなたが非常な決意で臨まれても、すでに表へ出てこない腐りが東北開発には入っておったのでありますから、あなたにどんなに天才的な経営手腕があっても、やはり三十七年度、八年度に相当な赤字が出てくるというのは、やはり腐りが入っておっても事業体として動いておるのでありますから、その点は私も多少はわかるのです。そういうようなことについては、あなたは率直にお答えになっていませんが、大臣の委員会への出席の時間もあるようですから、この点については先ほど大臣が約束した再建の方針、しかも私は基本的な見通しを持った計画を示していただきたいというのです。その点から、それが出たときに、いずれ私も質問をいたしますけれども、問題は、この最近の赤字の問題も惰性として出てきた部分がすべてであるのか、あるいはこの間に新たな赤字が出る原因がやはり会社内に生まれておるのかどうか、こういう点まで、総裁もまた担当の企画庁長官としてもメスを入れなければ、こう薬ばりの再建計画というようなものでは、またこれは三年後じゃなしに、来年の委員会でわれわれか——あなたはそのときまて経済企画庁長官であるかどうかわからぬけれども、われわれは議論しなければならぬ心配があると思うので、計画と同時に具体的な、赤字が出る原因についてメスを入れたものをやはり委員会に明らかにしていただきたい。質問はその機会に譲ります。
  72. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 実は広範な人事を含みますし、また、相当大量の退職者を出さなければならないということを再建案は含んでおりましたために、今日までこの問題について世の中に申し上げることを差し控えておったような事情があったわけであります。しかし、会社当局はもちろん私初め私の役所といたしましてもこのくらいおうのうし続けてきた問題はなかったのであります。御質問の機会がございましたからいろいろなことを申し上げかけたわけでありますが、なお、もう一言付言させていただきますならば、実は、昨年十二月に伊藤総裁自身からも過去二年余りの実績にかんがみて、この際進退を考慮させてくれないかというお申し入れがあったわけであります。私もかなり長いこと考えましたが、この会社の再建をほんとうに可能ならしめますためには、伊藤さんをおいて最高の責任者を見出し得ないというふうに考えましたので、御本人の意に反したかもしれませんけれども、私から再建の方途がつきますまで、任にとどまっていただくことを非常に強く要請をいたしました。御本人としてもそういう心境でおられることだと思うわけであります。  再建の具体的な内容につきましては、先ほど申し上げましたとおり当委員会に資料として提出をいたします。御指摘のように再建ができますまで私が任におりますということはあり得ないことであまりして、それだけにこのたびの再建が間違いなくできますようによけい責任を私自身も感じております。
  73. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 吉田君に申し上げますが、宮沢長官が参議院に御出席になる時間が迫っておりますから、集中的にやってください。吉田賢一君。
  74. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そのつもりでなるべく簡単にやります。宮沢長官に東北開発株式会社会計経理について一、二伺ってみたいと思います。なお、その前に、その前提といたしまして、会社の当事者並びに会計検査院から説明並びに所見を伺うことにします。これはごく簡単にします。  伊藤さんに伺います。あなたのほうで発表しておられます三十八年三月末現在の営業報告、財産目録によりますと、これは投融資といたしまして十八億二千一二百万円、内訳が他会社の株式の所有が九億五千七百余万円、関係会社に長期の貸し付けが八億二千八百万円ということになっておりますが、現在はなおふえておりますか。大体でいいのです。
  75. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 ただいまの数字は私どもはっきりしておりませんが、いま調べて申し上げますとすぐわかりますが……。ただいま吉田委員からのあげられました数字はほとんどふえておりません。ここ一年ぐらいは横ばいの状況です。
  76. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 三十七年三月末の決算によりますと、ただいまの他会社への長期貸し付けが七億五千三百万円、ところがその一年後には八億二千八百万円となっております。だからこれらの関係から見ましてもかなり漸増しておるのではないかと思いますが、間違いありませんね。
  77. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 若干ふえておりますが、多くは、ふえておりません。
  78. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで検査院の当局に伺いたいのでありますが、検査院も本年度、三十七年の決算報告東北開発株式会社の批難事項を指摘されておるのであります。そこでこの会社が他の会社に長期の資金を貸し付けするということは、これは東北開発株式会社法に違反する権限外の行為でないのかどうか、この点を聞きたいのです。なぜこれを聞くかと申しますと、長官のお話によりますと、かなり企業自体のいろいろな過失とか失敗等が多くの理由によって指摘されておりましたけれども、こういったふうな重要な会社の法律上の権限等の重大な逸脱があったのではないか、こう思うのですが、検査院の御説明を聞きます。
  79. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 お答えいたします。東北開発株式会社は法律の規定に基づきまして必要と思われる会社に融資あるいは投資することができることになっておりまして、経済企画庁の認可を得まして融資したものが、三十七年度末で十二会社ございます。
  80. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 東北開発株式会社法、これは三十七年の四月の二十日改正の、最近のものと思うのですが、第一条には当会社の事業目的を総則に規定しておりまして、これによりますと、「東北地方開発促進シ国民経済ノ発展二寄与スル為同地方二於ケル殖産興業二必要ナル事業ヲ営ム」となっております。融資とか投資とかいうことは規定されておらぬのでありますが、その点いかがですか。
  81. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 ただいまばく然と法律に基づきましてと申し上げたのでございますが、法律の規定としまして、東北開発のために行なう業務のうち融資ということが明文では入っておりません。しかし業務の一環として融資ということも当然含まれるものと思います。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 長官に聞きますが、ただいまの点は、このような会社の行ない得る能力の問題は法律によってできてある会社においては特に厳重に解釈すべきものではないか、こう考えております。事業の内容といたしまして融資、投資ができるというような見解もあるかに思えますけれども、しかしこれは文理解釈からいたしましても何らそれは余地はないと思います。したがいまして、こういう点は個人的な営利会社なら別といたしまして、国家が二分の一以上出資するような国民の投資による会社におきましては厳重に解釈すべきが当然だと思うのです。政府の見解を明らかにしておいてもらいたいのです。これはやはり今後再建にしろあるいは幾多の新しいもくろみにしろ、ないしは五十億円の新しい財投の資金も出るようでありまするから、こういう重要な段階に立っておりますので、この点は明白にしておきたいのでありますが、法解釈についてはどういう御見解ですか。
  83. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 会社が投融資をなし得るということは、会社の設立の目的の範囲内であれば私どもは当然だというふうにいままで考えておりました。また現実にそうやっておりますし、いまもそう考えております。しかし、なお御指摘がございましたから、万一のこともございますので、法制局の見解もただしてみます。もし私の見解が間違いでございましたら、あらためてさように申し上げますが、私は、それは会社の目的の範囲内であると考えております。もっともそういう投融資の内容が適当なものであったかどうかということにつきましては、これは別問題でありまして、適当でないものも幾つかあったということは先ほど申し上げたわけでございます。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうはこれをこまかく私は追及する時間がございませんけれども、ほとんど焦げつきのようであります。ことに融資の問題につきましては、御承知のように北海道東北開発公庫がございますし、公庫におきましても東北地域におきましては、最近の三十八年十二月のこの事業報告によりますと、四億五千百万円にすぎないのです。このような事態にかんがみましても、これは別の機関が国家の関与するものとしてあるわけでありますから、この膨大なる借金を背負っておる会社が、左前の幾多の蹉跌した会社が八億数千万円の融資をしておるということは、とんでもないこれは見当違いと思います。これは十分に警告をしたいと思います。なお、いろいろな資料が出るのでありますから、これにつきましては他の法制局等の御見解も聴取された上、あらためて明確にしたいと思います。
  85. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 法律問題を離れますれば従来投融資の中で適当でなかったと思われるものが確かにあるように思われます。なお、北海道東北開発公庫との問題も御指摘のようにございますので、再建のこれからの問題といたしましては十分にそういうことも検討いたさなければならないと考えております。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 別の問題でありますが、海外経済協力基金の問題につきまして長官に少し伺ってみたいのであります。これはまだ低開発地域に対する経済協力の多くの事業が推進しない状態でありまするから、必ずしも最終的なたくさんな結論的なことは申し上げにくいのでありますけれども、いずれにいたしましても、現在では百六十九億余円の総資本を持っておりまして、百四十四億円が余裕になって余っておるという現状でございます。これはかなり見込み違いでなかったか、こう思うのであります。この点につきましてはなお別の機会に少し伺いたい点があるのですが、そこで、去る二月六日の日本経済の伝うるところによりますと、第三回の日米経済合同委員会の結果によりまして、政府が対韓経済援助としまして、無償三億、有償二億、これを近く米国のAID、国際開発局と協議するということが伝わっております。そのうち有償二億ドルは海外経済協力基金から十年の割合で供与する、こういうような計画だと伝わっておるのでありますが、このような事実はあるのでありますか。
  87. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 日米経済合同委員会でそのような議論がなされたことはございません、それから将来経済協力基金から韓国に対して援助をすることがあるかないかということは、日韓の協定が最終的にきまりません現在の段階では、いずれとも申し上げることができないと思います。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さきに問いかけました主として東南地域でありますが、東南地域に対していま三十一億円余りの貸し付けが事実行なわれておる様子であります。これはいま一言申しましたようにかなり見込み違いであったのではないかということが一つと、それからどうもその辺は、日本輸出入銀行の職制との間にかなり混淆した面があるのではないだろうか。こういうことがとかく貸し付けについての伸展しない一つの原因ではないだろうか、こういうふうに思われますが、この点はいかがでしょうか。
  89. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 従来、御指摘のようなことが、事実としてはやはりあったというふうに私は考えておるわけであります。一つは、やはりこういう性格の基金でございますから、受け入れ先の状況が必ずしも整わない。希望がありましても、状況が整いませんために、相当寛大に考えましても、金融の筋に乗ってこない。話が幾つかございますが、なかなか乗ってこないというような場合が多かった、ことに東南アジアの場合多かったように考えます。  それから輸出入銀行の権限なり業務の範囲なりにつきましても、過去何年かの間に必ずしも明確でなかったところもございました。しかしこの後者の問題は、この一年ぐらいの間に両者の協調態勢が相当に改善されまして、現在の段階においてはその問題はほぼ解決したというふうに考えております。  それから方々からございます話につきましても、最近はだんだんと金融の筋に乗るようなものが出てきております。したがって、これから先従来よりはやや早いテンポで協力基金の活動が行われるものと考えております。従来はそのような事情がございました上に、これも国民の金でございますから、慎重にそこを運営してまいった。その慎重の態度を今後もくずすつもりはございませんけれども、輸銀との関係及び引き合いをよこします先の基金の持っております条件等に話が合うような持ち出し方をしてくる体制も整いつつございますので、これから先はやはり基金の活動が活発になるのではないか、こういうふうに思っております。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なぜ私がこの点を聞くかといいますと、一つはこんなに金融も逼迫しておるからでありますので、百四十数億円が余裕金としてずっと手持ちになっておるというようなことであるならば、これは何らかの大きな見込み違いが原因でなかったか、こういう点をついてみたかったわけであります。
  91. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 実はそういう事情にもかんがみまして、昨年度昭和三十九年度も基金には新しい出資の追加がないわけでございます。しかし、ただいま申し上げましたような事情から判断いたしまして、これから先は基金の筋に乗り得るような活動が、かなり活発になるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  92. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 この際午後二時まで休憩をいたします。    午後一時三十四分休憩      ————◇—————    午後二時二十二分開議
  93. 白浜仁吉

    白浜委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  東北開発株式会社伊藤総裁より答弁に対して訂正したいという申し入れがありますので、発言を許します。
  94. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 先ほど田中先生からお話がありましたとき、会社の将来の根幹事業としまして、セメントとハードボードの二つを根幹として進めると申し上げたつもりだったのですけれども、あとから注意されましたが、ハードボードでなくカーバイドを入れたという話でありまして、間違いでありますから、会社の事業としては、今後根幹事業として取り上げるのはセメントとハードボードを取り上げると訂正さしていただきます。
  95. 白浜仁吉

    白浜委員長 勝沢君。
  96. 勝澤芳雄

    勝澤委員 北海道地下資開発会社の監事の方にお尋ねしたいのですが、最近公社、公団、公庫、あるいは政府機関の監事の問題というものをたいへん私たちとしては重要視しているわけです。あなたの場合は任命はどうかよく知りませんけれども、たとえばほかの公社、公団になりますと、総裁と監事というのは大臣任命になるわけです。それからあと理事、副総裁は総裁任命によって主務大臣の認可ということになる。それほど監事というものが実は重要視をされているわけでありますが、実際の仕事ぶりというのは、監事というのはあまり実績をあげてないといいますか、仕事をしてないというんですか、そういう実情で、これではいけない。会社の将来というものも、総裁も考えると同時に、やはり監事も真剣になって考えなければいかぬという意見が出てまいりまして、いろいろ法律改正まで発展をしているわけです。そういう観点から、あなたは監事として、この北海道地下資開発の会社に対して、会社それ自体についてのあり方といいますか、こういうものについての御意見があろうと思います。あるいはまた執行機関に対する監事としての御意見、あるいは業務運営についての御意見、こういう点などについてお気づきの点があったらひとつ賜わりたいと思います。
  97. 吉川盛

    ○吉川参考人 勝澤先生の御質問にお答えいたします。当初のお話の監事の問題につきましてはただいま、行政管理庁のほうでいろいろ御計画があるやに伺っておりますが、私のほうは会社なのでございますから、第五部会と伺っております各公社、公団の監事のお集まりには正式には入っておりませんが、非常にいい御会合だと承っておりますので、この前の常会のときには御案内状をわざわざいただいたのでありますが、ほかに差しつかえがございまして出席ができませんでしたが、なるべくそういう機会には出席をして、監事の勉強をいたしたい、かように考えております。それからお尋ねの会社の執行部に対する考え方の問題は商法の、御承知のとおり二百七十三条から二百八十条までの監査役の条章にのっとりまして、許された権限の範囲内で執行部に計算書その他の書類の提出を毎月求めております。しこういたしまして、具体的に申し上げますと、残高合計、残高資産表、その他の残高資産表の細部にわたって提出を求めて、伝票等突き合わせて、毎月月次決算を審査いたしております。もし間違いがありますれば、期末までにまだ直す余裕がございますので、これらについては執行部に、もしございますれば勧告をいたすような次第でやっております。そのほか、総会その他に対する報告の責任、または監査役がなまけたために会社に損害を及ぼした場合の損害賠償の責任等につきましては、申し上げるまでもなく相当深い覚悟をもって当たっております。  それから会社の現状について云々という話がございますが、これは社長もおりますので、執行部のほうに対して、これはいかぬ、あれはいいと申し上げるまて——私はまだ昨年の五月の総会で監査役になったばかりでありますので、そう強い勧告はまだ申し上げておりませんが、もしさような運営上気づきました問題がありますれば勧告をいたしたいと考えております。検査院とも不断に御連絡を申し上げて、検査院の御意向を体して常時監査に従事いたしております。
  98. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この会社経営にあたって累積してきた赤字の原因というものは、監査役としてはどういうふうにお考えになりますか。
  99. 吉川盛

    ○吉川参考人 お答えいたします。赤字の原因と申しますといろいろございますが、先ほど午前中ちょっと先生からお話がありました三十六年ですか三十七年ですかの事業原価も割っているじゃないかというお話につきましては、三十三年は別といたしまして、四年、五年、六年と漸次成績もよくなってまいっているのですが、三十六年あたりには、この一工事ごとの内容から申し上げますと、いろいろな原因があると思うのでございます。むずかしいボーリングでございますので、たとえば技術の未熟もございましたろう。あるいはそのほかにいろいろ段取りの手違いその他四、五くらいの原因もございましたが、会社といたしましては、一工事ごとの黒字になることはもちろん心がけなければなりませんし、また事故の多い工事でございますから、事故をなくしてかかれば必ず損はしないのでありますから、契約書と事業原価というものが適切に行なわれれば赤字にはならない。そういう事故は別といたしまして、何といたしましても一工事ごとの黒字を心がけていかなければならないのはもちろんでありますが、何せまだ開店日が浅かったものでありますから……。最近におきましてはだいぶ技術が上昇いたしましたし、さような原因がだんだん減ってまいっておりますので、もう少し見ていたならば何とか赤字を解消していけるのじゃなかろうか、最近の昭和三十八年度の七、八月ごろから下期にかけましての実績からさように考えておる次第でございます。
  100. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたがいないときの話ですからそういう認識でもいいと思うのですが、三十四年、三十五年、三十六年というものは、あなたが言っているようによくなってきたのじゃないのです。三十一二年が三千四百万の赤字、三十四年が五千六百万、その次が五千百万、その次が五千八百万。赤字は同じようにふえているわけですから、経営がよくなってきたのではないのですから、これはひとつ監査役としてはちょっと経営を勘違いされていると思うのですが、そうなってきているわけです。三十八年の決算見込みで少しはよくなる見通しがついてきた、こういう実情なんですから。そこで三十九年の予定を見てみますと、二億五千万累積赤字を償却までに持っていくのには何年ぐらいかかると思いますか、どうでしょうか。
  101. 吉川盛

    ○吉川参考人 今後の業績によることもちろんでありますので、いまの累積赤字二億五千万円が何年で償却できるということをはっきり申し上げることはいかがかと思うのでありますが、だんだん三十八年度以降上向きになってまいりますれば七年近くなってまいりますので、大かたの償却も片づきますので、ふところのほうもだいぶ楽になってくるということで、そう長い年月を要さない。五年かかったものを一年で償却ということはもちろんございませんけれども、大体今後五、六年ないし七年くらいの間には、民間の株主のほうに多少でもというようなところに目標を置いてやっております。私ももちろんそれに対して検討を加えつつ作成しておる次第であります。  なお、先ほどことばがちょっと足りませんでしたが、あれは直接工事費に対しましていろいろな原因があったということを申し上げましたので、赤字は何といたしましても、午前中御質問もございましたような一般管理費が相当かかるものでありますから、これを三十七、八年あたりから、法律改正になりますときの一つの改善案といたしまして、事業所における管理的な経費は全部事業費に配分をして、そうして  一般管理費をなるべく少なくしていくというようなことで改善をいたしておりますので、私の申し上げましたのは、事業収入と事業原価、要するに直接原価におきましては漸次よくなっているということでありまして、ことばが足りませんでした。失礼いたしました。
  102. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、私はある程度長期といいますか五年ないし十年の見通しをもってこの会社の将来というもの、それから事業の伸びぐあいというものを推定をしていただきまして、極端な言い方をしますと、役員の方々がそのままやっていてくれればいいけれども、役員の方々がぽこっとやめれば、役員の退職金というものがあるから、一年に三千万、五千万も赤字が出るわけですね。ですからそういうことを考え合わせながら、総括的に五年後の実情なり十年後の実情というものを監督官庁とよく相談をして計画を立てて、おおむねその計画をわれわれのほうに出していただきたいと思いますが、監督官庁はどうでしょうか。
  103. 小島要太郎

    ○小島説明員 承りました。  五年、十年先の計画はいろいろとわかりにくい要素を含んでおるものではございますが、十分に念査いたしましてそういう計画を作成いたしたいと思います。
  104. 勝澤芳雄

    勝澤委員 黒字の目標で私が聞いているのは、月四千メートル、年間五万メートルぐらいやれば大体黒字に転化していくというような計画が出されておるようであります。私はしろうとでわかりませんけれども、いろいろ疑問点がありますので、その点はまたいつかの機会に説明していただきたいと思います。ぜひお願いします。  それで少し聞いておきたいのですが、探鉱原価の実情でございます。これは先ほど大臣がいらっしゃるときに伺いましたけれども、北海道内におきましては、探鉱原価の中で、契約原価と工事原価は、いつも安く請け負っては高い原価になっておるわけですね。その比率が、三十六年度は二十工事のうち十一、それから三十七年度は二十工事のうちの十六も契約よりも原価が高くなっておるわけですから、探鉱収入を見ても、探鉱収入と探鉱原価とは、原価のほうが高いわけです。内地のほうを見てみますと、これは請負原価のほうが高くて少しはもうけになっておるという現況なんです。そうすると、北海道における契約原価の立て方が少し問題があるのだなとしろうと考えで思うわけであります。北海道のほうは、工事そのものを一つ一つ見ても損をしておるけれども内地はもうかっておる。ですから、その点についての御解明をひとつしていただきたい。どちらでもいいです。
  105. 小島要太郎

    ○小島説明員 会社のほうから説明を求めたほうがよろしいかと存じますので、私簡単に申し上げます。  監督官庁といたしましてもその点一応の不審を持って会社側に問いただしてまいっておるわけでありまして、これは原因はいろいろあるわけでございますが、そのうちの一つ、いまのお話の北海道の場合と内地の場合とを比べてそういう面での相違という点に大きく関係のあります部分を申し上げますと、この実際の工事原価の上に建設費の割り掛けをいたします。それでその建設費の割り掛けにつきまして、この機械設備の割り掛け、これは機械設備の遊休状態があるわけでございますが、その程度が北海道のほうにおいて多くて内地のほうにおいて少ない、こういうことでございます。これは事業の本体を北海道に置いておりますので、所要の機械の主力を北海道に置いておるという関係でございます。そういう面がただいまの原価につきましての相違という面に相当大きく響いておるというわけでございます。内容の点につきましては会社側から……。
  106. 勝澤芳雄

    勝澤委員 会計検査院のほうでちょっとそれを解明してくれませんか。
  107. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の工事原価とそれから工事収入、この関係の個々の詳細の資料をいまちょっと私持ち合わせておりませんけれども、各年度の総体としての推移を見ますと、大体工事原価に見合った程度の収入となっておるようでございます。それに対しまして一般管理費がかさんでおりまして、ここで大きく赤字になっておる。そこで内地との比較ということは、実はここでまだ資料を持ちませんので、明確に申し上げられませんのですが、先ほどの答弁で申し上げましたように、北海道地下資源の探鉱の仕事のやり方と申しますか、条件があまり恵まれていないと申しますか、良好でない、こういうことがやはり基本的にあるのではないかと存じまして、今度の事業の質、量の適当な措置によりまして、これの採算が好転するということは十分期待できるのではないか、こういうふうに存じております。
  108. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ここに詳細な資料があるのですけれども、検査院でも十分御指摘になっているようです。ですから私はこれ以上言いませんから、ひとつ検査院のほうも内地と北海道の場合、やはりもう少し詳細に検討されて、天候の事情が悪いとか資金事情が悪いということは当然ですから、そういうものは契約のときには考慮されているべきではないだろうかと思うのです。それでほかの民間の会社との競合の問題もありますから、高ければやっていけないという問題もあるでしょう。安ければこっちでやるんだということもあるでしょう。そういう点はよくわかりません。わかりませんけれども、とにかく原価が、契約よりも費用が要り過ぎている、それをやれば赤字になっているという点が、実は理解できないわけです。  それから内地の場合においてはみんな一つ一つの工事で赤になっている、そういう点にも実は問題があるのじゃないだろうか一これはちょっとした資料だけを見て判断するのは早計かも知れませんけれども、そう思うわけです。ですから会社そのものが、相当役員自体も欠員のような状態で御苦労されている。会社ができたとき自体が、もう計画したときから二年もおくれておりますから、そのとき自体から市場も変わっておるわけでありますから、そういう点からいえば、この会社の発足自体が実は相当無理だったのじゃない、だろうかなという気がするわけです。そういう点で、ぜひひとつもう少し注意をして検討して、再建といいますか、あるいは会社経理がもう少し上向きな形になるように、ぜひ協力をするようにしてやっていただきたいと思います。そうしなければこの会社自体はまたいつかの日に問題になるのじゃないだろうか、私はこう思うのです。
  109. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 御指摘のように、北海道地下資源開発株式会社は、最近毎年五千万円程度の欠損になっておりますので、当然会計検査院といたしましてもその原因並びに事業の執行状況については従来も検査を相当徹底しております。若干の見解も実は持っておるわけでございますが、御承知のように法律の改正というようなことで、業務の内容も若干改善の方向、措置がとられておりますので、その間の経緯を見てなおわれわれも考えたいと考えております。  それから探鉱費の単価のほかの場合との比較の関係、これは実は私ども相当やっております。それはただいま御指摘のような点もありますので、もう少し広い範囲について探鉱費の検討をやっていきたい、かように考えております。
  110. 勝澤芳雄

    勝澤委員 北海道地下資源のほうは私は終わります。
  111. 白浜仁吉

    白浜委員長 だれか北海道地下資源の関係はありませんか——北海道地下資源のほうはいいですね。それでは御苦労さまでした。
  112. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、伊藤総裁にお尋ねしたいのですが、先ほどいろいろとお聞きいたしまして、再建方策というものが出てくる、その再建の中身が出てきてから少し論議したほうがいいとは存じますけれども、二、三の点などにつきまして、お聞きしたいと思うのです。  先ごろの決算委員会でいろいろと決議をされて、そしてそれについて要請をいたしておいたわけでありますが、それらの点についての執行経過といいますか、そういう点はどうなっておりますか。
  113. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 ただいまの御質問はたいへん広範な質問だと思いますが、私のいままで了解している面から言いますと、会社の粛正といいますか、もっとりっぱな精神でやってもらわなければいかぬというのが、この前の決算委員会で御要望のあった主眼点だと私は考えておりました。その点につきましては、微力ながら十分その意を体してやったつもりであります。ただ世間から見ますと、一ぺんああいう事件を起こしますと、何となく会社の内部といいますか、いまどうなっておるか、どうなっておるかという疑問をあれからずっと皆さんから御心配をいただき続けたと思います。その点につきましては、私いま断言できますことば、十分あの当時の決算委員会の御注意なりを体してやっておる、完全だとは申し上げませんが、あの御指摘のことに対しては十分改むべきものは改めたと思っております。  もう一つ、あの当時申し上げたことは、会社の再建についての具体的な方針が言われましたが、やはりあのときは少しがんばればやれるのじゃないかというつもりで申し上げたわけであります。しかしながら東北開発自体の特有な仕事というものは、考えれば私が申し上げたとおりいったかもしれませんが、やはり民間の非常な競争の苛烈な状態の中に突入してやれる仕事は、それだけのほんとうの実力がなければやれなかったということははっきり申し上げなければならぬ状態にあったと思います。現在もそうあると思います。したがって、やはり今回のいろいろな整理問題がありますが、冗費の節約もあります。むろんこれは大事なことでありますが、根本問題は、この人の問題、それから力の問題、それを主眼点に考えておきませんと、ただ経費の節約をやったからこれは成功するだろうということでは、皆さんの御期待には沿えないだろうと思うのです。したがって私どもは今後、先ほど長官も言われましたとおり、会社の整理というものは非常に大幅にやるのだ、やってもらうのだ、やらしめるのだというお話でありましたが、それはごもっともです。しかしながら、やはり会社の人というものは大きな財産だと思うのです。財産をただ数の上で切ってしまえとか捨ててしまえというような簡単な結論では、この会社の再建は非常にむずかしい、だろうと思うのです。やはり会社には非常に有能な人、りっぱな人材がたくさんおりますから、この点の整理というものはそう簡単にいかぬと思うのです。ただ数を減らせばいいのだというふうにはいかないのじゃないか。もっとわれわれは真剣に、もっと問題の核心に触れて考えないと、やはり皆さんの御期待には——また何年か過ぎたら何だというような御批判を受けてはたいへんなことであるという考えでおります。  その他金の問題でありますが、金の使い方はどうだということになりますけれども、それは決して私の見るところではぜいたくなことはしておりません。また余分な金は使ってはいないと思うのです。ただ収入が少ないから問題であって、収入をいかにふやすかという問題がやはり重点だと思います。経費の節約を軽んずるのではありませんが、経費の節約とともに収入をふやす、能率をあげる。能率の点からいいますと、これはいろいろな批判があります。これはほんとうにベテランの熟練した人から見れば、この会社の能率はどうも悪いという批判が多分にあると思いますが、しかし、これも先ほど申し上げましたとおり、この会社はある一つの事業指定して成り立った会社じゃないのです。東北全体の開発というものを目ざして発足した会社でありますから、その点については、やはり寛大——寛大ということを申し上げるのはどうかと思いますが、ほんとうに熟練した人だけがそろっておる会社であるから、それと同じくらいの能率があげ得られるのじゃないかという観点に立たれますと、少し無理があると考えます。その点は、これからわれわれ幹部たる者は、十分に人の養成も心得まして、早く御期待に沿うようにこの大事な人を育てていく、これがやはり再建の一番根幹問題と私は考えております。
  114. 勝澤芳雄

    勝澤委員 検査院のほうにお尋ねをしたいのですが、この三十七年の営業収益から見まして、損失金についての事業別の点が説明されておるわけでありますが、この原因というものを検査院としてはどういうふうに把握されておりますか。
  115. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 赤字の原因を端的に申せというふうに仰せられますが、私どもとしてはちょっと簡単に申し上げかねますけれども、全体としまして東北開発で行なっております事業各部門につきまして、生産の規模と申しますか——もちろん業種自体の問題もございますけれども、規模その他が民間企業などと比べましてはたして採算規模で行なわれておるかどうか。いかに会社のほうで経営に御努力になっても、この程度の企業規模では採算が非常にむずかしいのではないか、そういった面がかなりあるのじゃないか。経営の不手ぎわとかなんとかいうことよりも、むしろそういった企業規模とか、あるいは企業の業種、それから全体としましては、御承知のように一般管理費あるいは金利、こういった総係費的なものの占める比率が生産規模に比べましてあまりにも大き過ぎる、こういったことで具体的には、これは業種によっていろいろ赤字の原因も私どもとしては若干の見解を会社のほうへ申し上げたこともございますけれども、ここで特に取り上げて申し上げることはただいまその程度に考えております。
  116. 勝澤芳雄

    勝澤委員 院法の三十四条でしたか、是正意見を申し上げろということになっている。こういう会社についても意見を具申することはできるわけで  すね。
  117. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 国及び公社等の経理につきまして、直接不当と認められるもの以外につきまして、法令あるいは制度あるいは運営につきまして改善の意見を述べることができることは法律の規定のとおりでございます。  なお、この会社につきまして若干補足的に申し上げますと、御承知のとおりに、三十五年度の会社の決算につきまして、当委員会においてもいろいろ御審議になりましたし、私どもも検査報告にかなり具体的な記述をいたしたわけでございます。  三十六年度につきましても、引き続き狭い意味において会社の経営上の不手ぎわと申しますか、あるいは経理上のミス、こういったものについて相当やはり指摘をいたしまして、これを会社にいろいろ御指導申し上げますとともに、もう少し抜本的なことを東北開発株式会社については会計検査院も言うべきではなかろうかということをいろいろ検討したわけでございますけれども、御承知のように、当時ほとんど役員も新たにかわられまして、新しい陣容、それから新しい経営の考え方で再建に乗り出されるというような時期でございましたので、あえて改善意見あるいは検査報告の記述等においても私どもの具体的な意見を差し控えたわけでございます。  なお、三十七年度につきましてもせっかく御努力ではございましたけれども、なお会社の状況はますます悪化するということで、これにつきましてもやはり私どもいろいろ考えまして、経済企画庁に対してもかなり具体的な質問をいたしております。ところが、これも御承知のとおり、企画庁におきましても抜本的なことをお考えになりまして、会社の今後の再建につきまして民間機関に経営内容を調査させるとか、いわゆる八人委員会の御調査の結果を待つとか、そういったいわば最終段階的な措置に入られましたので、われわれもその措置を静観すべきではないか。なお、そういう御調査の結果が現在まだ出ておりませんので、昨年三十七年度決算について経済企画庁に私どもから質問いたしました具体的な事項については、まだ回答をいただいておりません。いただく時期がおくれておるのも、ただいまのような事情からやむを得ないというふうに考えております。
  118. 勝澤芳雄

    勝澤委員 再建計画についての質問についての答弁がまだなされていない、こういうことでしたが、もうちょっと……。
  119. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 三十七年度におきまして、会社あるいは企画庁のほうで再建についていろいろ手を打たれておるわけでございますが、その結果が必ずしも思わしくない。そこで私どもとしても、現在の会社の事業内容その他につきまして、かなり率直かつ具体的な意見を述べまして質問をいたしておるわけでございます。それに対する回答がまだいただいておらぬ、こういうことでございます。
  120. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いつ出したのですか。
  121. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 昨年の九月でございます。それに対しましては、先ほど申し上げましたように、監督官庁におかれましても、従来にない民間専門機関の御調査その他によって最終的な再建対策を立てようという段階であるから、もうしばらく答弁を待ってくれ、こういうことでございますので、私どもとしては了承しておるわけでございます。
  122. 勝澤芳雄

    勝澤委員 どうも再建計画の立て方についてあまり——さっき大臣ははっきり再建計画がつくられているような言い方をされておったようですが、どうもまだ十分でないように思うのですが、経済企画庁のほうでどの辺までつくられておるのでしょうか。
  123. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 再建計画につきましては、先ほど長官からも申し上げたかと思いますが、民間の機関に委託しまして経営内容を詳細に調査していただくと同時に、民間の学識経験者八人の方に集まっていただきまして、長時間をかけていろいろ御審議願って、今後再建はどういうふうにやっていくかということの基本的な対策を、数回にわたって会合していただきまして、かなり議論を詰めていただいたわけです。その大体の御方針が出たところで、私ども予算的な意味でのいろんな措置も考えたわけであります。いわば再建の計画の骨子、方策の方向、そういったものにつきましてはまとまっております。またそれを立てるについての裏づけとなるいろんな意味での計算なり試算なり、こういった検討というものはできておりますから、ある意味におきましては、再建の方向なり方法をきめる方策、方針、それに伴ういろんな検討の資料というものは整ってきております。ただ再建計画はあくまで会社が主体になってお立てになるべきものだというふうに思っておりますので、われわれもそういった八人の学識経験者方の御意見の大体の意向、見解を会社のほうにもお伝えして、具体的に、詳細に、会社の再建計画をいま会社側でお立てになっておるわけです。それにつきましては、先ほど長官も申し上げましたように、人員、機構その他につきまして、非常に詳細な、具体的な計画を、今度いわば一種の実施計画的なものをつくりにかかっておるわけです。その実施計画がよるべき基本的な方向なり考え方というものについては、単に抽象的な議論じゃなくて、かなり詳細な、裏づけのデータをもって検討した結果を出しておる、こういうわけであります。  いまの検査院のほうのお話の点でございますが、確かにかなり前に検査院のほうからそういう御質問があったわけです。それに対しまして、いま申し上げましたように、民間機関にかけて実態の調査をしたり、あるいは学識経験者の方々の意見をまとめておるところなんです。そういったまとまった意見が出て、再建の方針なり方向なり、具体的な対策の基本的なことについてはっきりしたところができたところで御連絡をとるということにいたしておりまして、また事実そういうことをただいま検査院のほうに報告すべく手続中でございます。
  124. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと関連しまして。現在の検査院のお立場からしましても、今回の東北開発株式会社の事態の推移にかんがみまして、また院の検査の結果にもかんがみまして、私は検査院の立場というものに根本的な大事な点がのしかかってくると思うのです。と申しますのは、検査院は申し上げるまでもなく、憲法九十条によりまして政府に対して独立の地位を有します。これは検査院法もその精神でありますし、内閣に対して独立の地位を持って、検査院は国の収支について検査をするという地位を持っております。といたしますと、これはたとえば三十九年度財政投融資五十億円がこれに投ぜられるということにもかんがみまして、きわめて重大な問題を含んでおりますから、私は内閣のその当該会社の再建案のいかんにかかわらず、やはり独自の立場においてしかるべき意見をお出しになる、改善意見を適当にお出しになるということが必要ではないだろうか。そういたしますと、たとえば国の財政投融資の計画におきましても、検査院の意見をぞれぞれ参考にしてやっていくということにもなりますので、これこそほんとうに検査院が国政に対する重要な使命の一役を果たしなさるゆえんではないかと思うのです。ですから内閣に敬意を表して、信じてお待ちになるのもさることながら、このような重大な国会の問題としまして数年継続しておるということである以上は、やはりそのときどきの内閣のそれにかかわらず、独立してお出しになるということが必要だろうと思います。この点院長の御意見を聞くべきだと思いますけれども、白木局長にもぜひ伺っておかなければならぬと思います。ちゅうちょ逡巡して待っている案件ではないので、やはり独自の意見を出すべきである。時日を待っておるべきではない。それもおととし問題になって去年解決した、去年問題になって次第に改善された跡が見えるというならいいけれども、いまなお尾を引きまして、依然として膨大な国費がこれに投ぜられていく。五十億円の巨額が投ぜられていくということはえらいことですよ。ですからそういう点にもかんがみまして、私は検査院の積極的な改善意見があってしかるべきものだと思いますが、いかがでしょう。
  125. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 お答えいたします。  私、所管局長としての立場から申し上げますと、先ほど勝澤先生にお答え申しました以上のことはちょっと申し上げかねるわけでございますが、この会社につきましては、諸先生も御承知のように、設立当初からいろいろな経緯がございまして、今日に至るまでには設立の趣旨等についてもたびたび御論議になっておるわけでございます。私どもとしましては、個々の事業、現在の会社の事業が的確に行なわれておるかどうか、それが通常私どもの検査の主たる対象になるわけでございまして、さらに会社全般としまして経営が非常に悪化しておる、その原因がどこにあるか、経営上改めるべき点がどこにあるかといったことも、当然私どもとして関心を持ち、また結論を得れば、政府に対して、あるいは会社に対しても意見を表示すべきでございますけれども、何分にも問題が非常に困難でございますのと、再建あるいは個々の計画につきましても、これをどういうふうに持っていくかということについては、こうあらねばならぬというような結論的なことがまだ非常にむずかしいといったことで、ただいまの先生のおことばからしますと、やや私どもの立場がちょっと手ぬるいというふうにお考えだと思いますけれども、われわれとしてはそのときそのときの状況に応じまして、考え方は監督官庁にはそのつど申し上げております。ただ全般的にこれをどうするかということについては、先ほど勝澤先生に申し上げたようなことで、ややその最終的な見解あるいは情勢を待っておっておくれておる、そういう状態になっておるわけであります。
  126. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はその点を結んでおきたいのですが、やはり監督官庁の企画庁に対してしかるべき意見をお述べになる、それもけっこうと思いますけれども、こういう重大な課題に対しましては、検査院の報告におきましても、この会社の報告書が出ておりますから、そういったときにもほんとうに国民に、国会に知らすべき、報告すべき立場、関係におありだろうと思います。何も経営の内容あるいは事業の内容に突っ込んで、進んで意見をお述べになったらいかがかと申しておるのではないのです。検査院の関係における収支の関係におきまして、会計経理が適切であったかどうか、また国が大きな金を投じたものが適切に使われておるかどうかということは何ぼでも出てくるのですから、ずばずばとおやりになることが望ましいのです。ぜひ今後はこうしなくちゃならぬと思うのです。何かの機会に、これはひとつこの会社のみにとどまらず、公団、公社、事業団というものは、これは雨後のタケノコのように出てきますので、こういったときにみんなあれよあれよといって食い散らかしたあとからかれこれ言っておるだけでなしに、もっとやはり頂門の一針でぴたっとするようなことは会計検査院にできることだろうと思います。そういう意味で申し上げておるのです。やはりそこはもっと積極的に態度、意思表明は明らかにしてもらいたいと思うのです。
  127. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 先生の御趣旨よく了解いたしました。なお今後御趣旨の点も考慮しまして、出資団体等の会計経理につきましては、経営全般についていろいろ私ども勉強して、これから検討してまいりたいと思います。
  128. 栗原俊夫

    ○栗原委員 関連して。東北開発の三十七年の決算が七億五千万円ばかり赤字が出ておる。これに関連して、続いて三十八年は約十億くらいというお話があったわけですが、会計検査院の報告によりますと、七億五千万円の赤字を事業別にここでうたってあります。ハードボードで二億二千余万円、カーバイドで一億七千余万円、セメント関係で千九百余万円、こういう関係で出ておるのですが、続いて三十八年の約十億というもの、これはまだきれいに締め切ってはないだろうと思いますけれども、十億が予見できるということは事業別にも予見できると思いますので、事業別に概算どんな形になっておるのか、ひとつお伺いをしてみたいと思います。
  129. 塚本茂

    ○塚本参考人 お答え申し上げます。  セメントのほうでございまして、これが見込みが二億六百万円、百万円単位で申し上げます。それから福島工場、これはカーバイド、石灰窒素、アセチレン等をやっておりますが、ここで二億四千九百万円、それからハードボードでございますが、これが二億二千四百万、それから木友鉱業所、これは亜炭の関係でございますが、六千四百万、それから投融資関係、これで六千八百万、それから土地造成でございますが、これが一億一千万、その計、これは関連事業の投融資と土地造成の計でございますが、それが一億七千九百万円、それから本社関係で五千四百万円、それと臨時損失、これは整備の関係でございますが、一億九千万円、合わせまして十億五千九百万円、こういう見込みでございます。
  130. 栗原俊夫

    ○栗原委員 なかなかこれは容易ならないもので、こういう事態だからこそ再建案が出てきたと思いますが、その再建の方向の中で、先ほど伊藤総裁は、セメント、ハードボードを中心に二本の柱にして再建をしていこう、こういうことをおっしゃったように承ったのですが、そのとおりなんでございますか。
  131. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 さようでございます。
  132. 栗原俊夫

    ○栗原委員 ここずっと事業をやってきて、いろいろと全体的には赤字が出るが、その中でセメント、ハードボードは見通しが明るいからこれを柱にひとつ再建しようというのが、普通の常識的な考えだと思うのですが、三十七年に続いて、三十八年も続いて大きな赤字をしょい込んだものを二本の柱にしてやっていく、私らしろうとですから、どうもちょっと納得しかねるのです。そこで、これは企画庁にお聞きするのですけれども、先ほど総裁のお話の中に、後進地域である東北開発するために東北開発株式会社あるいは東北開発公庫、こういう三本の柱があって、そして後進の地域開発をやるのだ、こういう考え方を強く持っているらしいのですね。そのことは、言い方を変えれば、民間がコマーシャルベースで開けないものをおれたちがやるのだ、したがって会社経営とすれば赤字が出るのがあたりまえではないか、こういう認識があるように受り取れるのですけれども、この辺は企画庁としては、むろん開発をしていくのだからある程度損失することはやむを得ない、こう考えてはおっても、そのことで赤字が出るのは当然なんだ、こういうたてまえをとっておられるのですか、この辺をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  133. 倉成正

    倉成政府委員 東北開発会社は御指摘のように東北地方開発のために設立されたものであり、これに政府が出資しているわけでありますけれども、この会社が事業をやる場合に赤字が出るのがあたりまえと思っているかということを端的に御質問いただきますと、本来やはり会社の経営としては赤字が出ないことが望ましいし、またそういうことをたてまえとしてやっていかなければならないということは当然であります。しかしながら、やはり新しい事業をやり、あるいはその地域開発のためにどうしても必要な事業を進めていく場合に赤字が出る、民間の事業ではなかなかやりにくいというような場合には、多少の赤字が出てもやっていくということも、やはり会社設立の趣旨として当然のことではないかと思います。しかし、原則としては赤字が出ないたてまえでいくのはもう当然のことでございます。
  134. 栗原俊夫

    ○栗原委員 まあほうっておいてももうかるものなら、あえて政府ないしはこれに連なる機関がやらなくとも、これは民間が積極的にやるのだから、もうからないところをあえていろいろ議論をされながら政府資金を使って開発していく、こういうことだろうと私は実は思っておるのです。しかし、そういう中で特にセメント、ハードボード、これも三十七年から三十八年と赤字がさらに加算されておるようなものを柱にやっていこう、こういう方向を立てておられるようですが、これはもちろんそうした再建計画が近く出たときにあらためて同僚等からも徹底的に論議されると思いますが、会計検査院がいろいろと事業等を考えてみて、セメント、ハードボードというところに、言うならば世間のことばでいえばボロ会社で、どろ舟会社みたいになっている、これが再建ということばでやっていけるという見通しが、この二つの柱を中心に見通せますか、ひとつ所見を伺いたいと思います。
  135. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 むずかしい御質問で私一存ではちょっとお答えいたしかねますが、現在の実情から申しますと、事業内容から見て一番成績の良好なものは御承知のとおりセメントでございます。それからハードボードのほうは、これも実は私あまりよく存じない、と申してはなはだ申しわけないのでございますが、商品としてはこれから大いにこの事業が期待できるもののようでございます。ただこの会社の場合では、当初の資本の投下額が生産量と比べてちょっと大き過ぎたのではないかとか、あるいは製造、企画の面でいろいろ問題があったというようなことを聞いておりますので、こういった面を改めて、もう一つ新しくハードボードをやり直すというようなことであれば、これはあるいは可能性があるのではないか。見込みがあるとかなんとかいうことはちょっと私お答えいたしかねます。
  136. 栗原俊夫

    ○栗原委員 いずれ再建案が提出されたときにあらためてやることとし、それまで留保いたします。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 会社の当事者に伺いたいのですが、さっき私が指摘して、政府並びに検査院に出しておきましたいわゆる関係会社に対する長期貸し付け、主としてこれですが、あるいは短期貸し付けという別項目もあるかと思いますが、これは会社としましては何を根拠にして行なったのですか。
  138. 塚本茂

    ○塚本参考人 会社法の第十条に「会社ハ左ノ事業ノ経営又ハ之二対スル投資其ノ他ノ助成ヲ為スモノトス」この条文に根拠してでございます。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは金利を取っておるのか取っておりませんか。
  140. 塚本茂

    ○塚本参考人 金利は取っております。中には一部取っていない分もあると思いますが、取ることがたてまえとなっております。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 法律はずいぶん古い法律らしいのでありますけれでも、およそ金利を取って八億円、十億円という金を他のものに貸し付けるという、そんなことが一体できるというふうにほんとうにお思いになっておったのですか、あるいは何か前にやっておったのの惰性で、拡張解釈でやってきたということになるのでしょうか。これは疑義を生じなかったのですか。
  142. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 私から、私のわかっている限り申し上げますが、この金額の非常に大きな部分は、東北造船という造船会社があります、この造船会社に対しましては、たしか六億程度の金を融資しておると思うのです。これはなぜしましたかというと、東北造船という会社は、東北にはその当時唯一の造船会社であったわけであります。しかるに、ほかの会社がその当時ないものですから、これは各関係の県も共同しまして融資をしたことがありますが、この会社だけは、ぜひ東北に造船会社を一つ立てたいということで融資をしたのであります。したがってその金額が非常に大きいというのは、ほかの会社にもありますけれども、そのほとんど八%ぐらいのもの、この東北造船に融資したのが大部分である、その意味でこれは金額が非常に大きくなった、そういうふうに考えております。その会社がそれではどういうふうになるかというのは別の問題でありますが、その会社は相当注文も最近海運関係で多くなっていますが、東北にはほかにないものですから、やはりこの会社を育てていくべきじゃないかという考えを持っていますが、しかしこれ以上金を貸すことは当社として極力避けなければならぬという考えを持っております。しかし、それならその結果どうしていくのかという問題はありますが、これは現在企画庁にもいろいろ御助力を得ておりますが、やはりりっぱな公庫であるとかそれから普通の銀行であるとかいう金融機関がありますから、そちらのほうの融資を仰いでやって、こっちの貸した金はなるべく早く引き揚げたいという考えを持っております。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 東北造船はいま四億一千二百万円の貸し付けがあるようでありますが、一体これらの幾つかの会社はそれぞれみな現在経営されておるのですか。
  144. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 東北造船の経営は、注文を取るほうは相当いっておると思います。ただ最近前もって金をもらえないものですから、その関係の余裕がないと注文が取れないということで、非常に苦しんでおります。したがって、どの造船会社を見ましても、先延べというか、そういう金がないと造船というものはできませんけれども、それをどういうふうにして援助していくのかというのが現在問題になっています。しかし当社としましては、もう融資のほうは限度に来ておると思っておりまして、むしろ今後は会社の現況から見て、なるべくこれを引き揚げる方向をとるべきだという考えを私どもは持って、その方向に進みつつあります。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 監事の方に伺うのですか、金融業でないあなたの会社、事業会社なんですね。ことに総則には事業会社となっております。十条においてはそのような他の事業にする助成ということもありましょうけれども、あくまでもあなたのほうは事業会社なんで、三十億円前後の資本金の会社が六億円の貸し付けを金利をとって他会社にするというようなことは、まるきり金融業です。ましてやあなたのほうの決算の報告書によりますと、十以上の会社に八億数千万円貸している。さらに短期融資で一億一千万円貸し付けをやっておる。ことごとく金利をとってやっておるということであるならば、そういった限界はどこに置くのか。本末転倒ということにもなります。金融業じゃないのですからね。助成ということをどう解釈すべきかということは別にいたしまして、いずれにしましても、この数字の割合から見まして、膨大な資金の融資というものは少なくとも逸脱ではないか。普通の民間の営利会社であるならば、絶対にこういうことはないのです。どんなに関係の密接な子会社、系統会社に対しましても、そんなことはありません。何となれば、それぞれ金融機関はそこにあるのですから。金融業者じゃないのですからね。そういたしますと、やはりこれはあなたのほうとしては少なくとも逸脱した業務に属するのではないか、こういうことを監事として相当厳格にお考えになるべきではなかったか、そういうふうに考えるのです。いかがですか。
  146. 塚本茂

    ○塚本参考人 これはこの会社ができましたときからの経緯もあるかと思います。この会社は、東北興業という会社がございまして、それを引き継ぎました、そのときの経緯もありましたし、それからそのときにこの国会でも、当時の経済企画庁から提案の説明といたしまして、コマーシャルベースに乗るような仕事は公庫のほうへ持っていきなさい、それが非常に乗りにくいものはこの会社でめんどうを見てやるようにしたいというような答弁もございました、そういうような関係で、これは金融業という意味じゃなくて、地場産業を助成するという見地のもとに資金的な援助をする、こういうことでございました。したがって、これは非常に高い金利をとるというのじゃなくて、一ぱい一ばい、まあ本社のほうも損をせぬ、それから先方の借りるほうも町から借りるよりも安い、こういうような考えで今日になったものだと私は思っております。それで、これが従来から引き続いております関係で、私はこれに対して、今後この再建計画について、公庫とこの会社をどう扱ったらいいかという政策の問題は別といたしまして、いままでのところ、これをこの会社がやっていたから法令違反であるという二とは、私は考えませんでした。
  147. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その貸し付けの内容を一言いなさい。
  148. 塚本茂

    ○塚本参考人 貸し付けの内容のこまかいものをきょう持ち合わせておりませんので、書類でお答えいたしたいと思います。
  149. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大体概略はわかるのですか。
  150. 塚本茂

    ○塚本参考人 これはたとえば東北ホモボード工業、これは貸し付けの日が三十三年十二月から。それから東北造船は三十二年十二月。金額は、その当時ホモボードは最初に貸しましたのは  一億四千万、それから東北造船——これは三十八年ではかなりたくさんございますが、総合計を申し上げます。  三十八年度末で八億三千万——融資額としては当期融資が九億三千四百万です。残高としまして十六億一千四百万ございます。
  151. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなた、投融資をごっちゃにして言っておるんですね。
  152. 塚本茂

    ○塚本参考人 失礼いたしました。
  153. 財前直方

    ○財前説明員 融資金、出資金の別に申し上げます。  融資金が総額で八億四千五百万、それからその内訳を申し上げますと、東北ホモボード二億三千四百万円、東北造船四億五百万円、北日本機械五千七百万円、気仙沼内燃機三千二百万円、特殊コンクリート千五百万円、新東北窯業四千八百万円、これはラウンドで、切り捨てております。東興石灰四百万円、日本絨緞一千百万円、それから東北窯業二千万円、東北天然スレート二百万円、東北合板千三百万円、これが融資でございます。  出資金は、総計で九億五千万円でございます。その内訳は、東北ホモボード五千万円、東北造船が六千七百万円、北日本機械が二千七百万円、気仙沼内燃機が五百万円、特殊コンクリートが千五百万円、新東北窯業が三百万円、東興石灰が〇・六、ほかのものは切り捨てました。日本絨緞が四百万円、南部縦貫が六千五百万円、東北窯業が四百万円、東北天然スレートが八百万円、東北合板が六百万円、そのほか最近認可されておりますむつ製鉄が三億九千九百万円、これは四捨五入で四億のほうが近うございます。それから砂鉄が二億九千九百万円でございますが、四捨五入いたしますと三億になります。それで投融資合計十八億になります。これは昨年の九月末の数字でございます。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると、いまの法解釈の点ですが、それを説明してください。
  155. 財前直方

    ○財前説明員 先ほど監事のほうから御説明がございましたように、法律の第十条で、「会社ハ左ノ事業ノ経営又ハ之二対スル投資其ノ他ノ助成ヲ為ス主ノトス」というふうにいたしております。これに基づく総理府令でもって、助成に関する規程を定める必要があるというふうに規定いたしまして、これに基づきまして、会社は助成規程をつくっております。その助成規程におきまして、開発会社の行なう助成は投資を原則とするが、あわせて融資またはその他の助成を行なうことができるというふうに規定いたしております。  さらに、この会社が再発足いたしましたときの審議会、昭和三十二年の九月十二日の東北開発審議会の決定で、東北開発株式会社事業基準というのが定められております。その中に、会社が実施する事業は、直営によるもののほか、他の企業に対する必要な投資その他の助成を行なうものとす、そして、会社が他の企業に対して行なう投資その他の助成は、当該企業が技術その他の理由により、直営で行なうよりも、他企業に経営を行なわせたほうが適当である等の場合を原則とするということになっております。  これらの規定によりまして助成会社に投融資をいたしてまいっておるわけでございます。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 東北造船株式会社の経営内容、事業内容等について、資料を出してほしい、これを監事のほうにお願いしておきます。
  157. 塚本茂

    ○塚本参考人 承知いたしました。
  158. 白浜仁吉

    白浜委員長 それでは、参考人各位に一言御礼申し上げます。  本日は長時間にわたり、委員会の調査に御協力をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして委員長より厚く御礼申し上げます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会