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1964-02-11 第46回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十一日(火曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 福井  勇君    理事 押谷 富三君 理事 勝澤 芳雄君    理事 片島  港君 理事 山田 長司君       鍛冶 良作君    園田  直君       湊  徹郎君    神近 市子君       栗原 俊夫君    田中織之進君       田原 春次君    吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 山村新治郎君  出席政府委員         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  山口 一夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   秋吉 良雄君         会計検査院事務         官         (第一局長)  保川  遜君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 二月七日  委員森本靖辞任につき、その補欠として加藤  清二君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員加藤清二辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十六年度政府関係機関決算書  昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十六年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十七年度政府関係機関決算書  昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十七年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書  (総理府所管行政管理庁関係)      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長代理 これより会議を開きます。  白浜委員長本日病気のため出席できませんので、その指名によりまして、私が委員長職務を行ないます。  昭和三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。  総理府所管決算について審査を進めます。  まず野田総務長官より、総理府所管決算概要について説明を求めます。野田総務長官
  3. 野田武夫

    野田政府委員 昭和三十七年度における総理府所管歳出決算について、その概要を御説明いたします。  総理府所管昭和三十七年度歳出予算現額は四千三百十二億四千九百七十二万四千円でありまして、支出済み歳出額は四千百七十二億四千四百五十五万一千円であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと百四十億五百十七万二千円の差額を生じます。  右差額のうち翌年度繰り越した額は百二十四億二千八十万六千円であり、不用となった額は、十五億八千四百三十六万六千円であります。  総理府所管支出済み歳出額は、総理本府のほかに、公正取引委員会国家公安委員会土地調整委員会及び首都圏整備委員会の四つの委員会と、宮内庁、行政管理庁北海道開発庁防衛庁経済企画庁及び科学技術庁の六庁の外局に関するものでありますが、国家公安委員会行政管理庁北海道開発庁防衛庁経済企画庁及び科学技術庁につきましては、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局につき申し述べますと、歳出予算現額は一千三百五十二億五千三百五万七千円でありまして、支出済み歳出額は一千二百七十七億六千六百五十六万八千円であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと七十四億八千六百四十八万八千円の差額を生じます。  右差額のうち翌年度繰り越した額は、七十三億三千三百四十万七千円であり、不用となった額は一億五千三百八万一千円であります。  以上申し上げました経費のうち大部分は恩給関係経費であります。  恩給関係経費総額は一千七百九十八億四千三百二万三千円であり、そのおもなるものは、  文官等に対する恩給費百七十八億七千五百五十九万六千円、旧軍人遺族等に対する恩給費一千百四億六百七十二万六千円でありまして、これに対する支出済み歳出額は、総額一千二百三十一億二千百十五万五千円であります。  右のうち文官等に対する恩給支給における支出済み歳出額は百七十八億七千五百五十九万五千円でありまして、この経費恩給法等に基づいて、退職した文官またはその遺族に対し支給した年金及び恩給並びに国会議員互助年金法に基づいて、退職した国会議員またはその遺族に対し支給した互助年金に要したものでありまして、恩給法等の一部を改正する法律による恩給増額に要した経費支出も含まれております。  次に、旧軍人遺族等に対する恩給支給における支出済み歳出額は一千三十六億八千七百四十六万九千円でありまして、この経費恩給法等に基づいて、旧軍人またはその遺族に対し、支給した恩給に要したものでありまして恩給法等の一部を改正する法律による恩給増額に要した経費支出も含まれております。  また、翌年度繰り越し額のおもなるものは、旧軍人遺族等に対する恩給費における六十七億一千九百二十五万七千円でありまして、これは旧軍人遺族等恩給調査決定に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものの繰り越しであります。  不用額のおもなるものは、沖縄援助等に必要な経費における一億一千四百十八万円でありまして、これは疎開船対馬丸遭難学童及び沖縄戦戦闘協力死没者見舞い金支給対象者が当初の予定より少なかったこと等のため不用額となったものであります。  以上をもちまして決算概要説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  4. 福井勇

    福井委員長代理 次に、昭和三十六年度決算外三件及び昭和三十七年度決算外三件を一括議題とし、総理府所管行政管理庁関係決算について審査を行ないます。  まず、山村行政管理庁長官より概要についての説明を求めます。山村行政管理庁長官
  5. 山村新治郎

    山村国務大臣 昭和三十六年度における行政管理庁関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は、二十億五千五百五十七万六千円でありまして、支出済み歳出額は、二十億五千二百二十五万六千円、不用額は、三百三十二万円であります。  支出済み歳出額のおもなものは、人件費九億七千九百五万三千円、事務費一億四千六百八万三千円、統計調査事務地方公共団体委託費九億二千七百十三万円であります。  不用額を生じましたおもな理由は、職員欠員がありましたので、職員俸給等給与費を要することが少なかったこと等のためであります。  以上、昭和三十六年度行政管理庁関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。  引き続き、昭和三十七年度における行政管理庁関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は、二十三億四千四百四十七万五千円でありまして支出済み歳出額は、二十三億三千九百四十五万七千円、不用額は、五百一万八千円であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額二十二億八千四十七万五千円、予備費使用額六千四百万円でありまして、予備費使用額は、退官退職手当の不足を補うために必要な経費であります。  支出済み歳出額のおもなものは、人件費十一億四千九百十七万円、事務費一億七千百四十万円、統計調査事務地方公共団体委託費十億一千八百八十八万七千円であります。  不用額を生じましたおもな理由は、職員欠員がありましたので、職員俸給等給与費を要することが少なかったこと等のためであります。  以上、昭和三十七年度行政管理庁関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。よろしくお願いします。
  6. 福井勇

    福井委員長代理 これにて説明の聴取を終わります。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますのでこれを許します。勝澤芳雄君。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 長官にまずお尋ねしたいと思うのですが、時間もないですからなるべく簡単にやります。  一つは、行政監察によって各省にいろいろの勧告が行なわれておるわけでありますが、その勧告に対する実施状況を見てみますと監督が不十分ではないだろうかという点が実は感じられるわけであります。そういう点について、せっかく行政監察をやりまして各省もっともだというような意見が出て、実施しよう、こういわれておるにかかわらず、それが実はそのままに放てきされて、また次の機会会計検査院から指摘をされる。会計検査院から指摘をされて、それがまたそのままにほっといておかれて、今度は決算委員会へきて、国会でもって二回か三回くらい呼ばれて、ようくや是正される、実はこういう状態になっているわけです。これは実は私はたいへん残念だと思うのです。行政管理庁としても相当な力を持っているわけでありますから、やはり行政監察勧告された事項というものは、完全に実施されるまで監察面から十分監督をして指導すべきだ、こう思うのでありますが、その点についての長官のお心がまえをまずお聞きしたいと思うのです。
  8. 山村新治郎

    山村国務大臣 行政監察に対する御理解のある御質問で、非常にありがたく考えております。  この日本の行政監察は日本独特のものでございますが、同時にまたこの効果というものは相当成果をあげておる次第でございます。大体いままでの勧告をいたしました案件のうち、勧告のとおりに実施されたものはおおよそ七〇%が実施されておる状況であります。なお、一部分の実施がなされたのが約一五%程度でございまして、未解決のものが残りの一五%という程度でございます。したがいまして、その勧告の結果というものは行政面相当好影響を与えておると考える次第でございます。なお、未解決のものにつきましても再勧告、再監察等の方法がございますので、これらにつきましては以後十分意を用いまして勧告成果をあげてまいりたい所存でございます。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 長官、七割くらいが実施されておるという認識を持たれておるようですが、事務的な軽い仕事というものは大体そういうように実施されておると思うのです。しかし各省にまたがっている問題、それから制度的な根本的な問題、こういう問題は実はなかなか実施されないわけです。  そこで、次に私は最近この決算委員会あるいは予算委員会でも問題になりましたけれども、公社公団公庫あるいは事業団等監事あり方の問題であります。一体監事というものが各会社監査役と同じような役割をしているのかどうかという点で調べたところが、それは行管でお調べになりましたとおり、監事というものは何ら監査役割をしていなかったという結論が出たのであります。そこで第一に、監事職務権限、これを明確にしなければならぬということで法改正をすべきだという意見が出され——それは当然だと思うのです。総裁監事主務大臣任命なのです。それから副総裁理事総裁任命によって主務大臣の認可、こうなっておるわけでありますから、それほど監事というものはこの会社から選出するというよりも大臣が選出する。私はまさに国民の代表といいますか、こういう意味にもとれると思うのです。そういう点で、この監事の問題の中で、法改正でも意見があったように、主務大臣に対する意見具申権監事が直接主務大臣意見具申する権利があるのかないのかというような点も問題になっております。実際の運用の問題といたしましては、道路公団とか、住宅公団というのは、これは監察局でお調べになった結果によりますと、法律には明確になっていないけれども、直接主務大臣に対する意見具申権と同じようなことが行なわれておるわけですね。ですから、その省の大臣、その省のやり方によって実施され、その省がなおざりにしているところは何にもやっていなかったということになるわけです。その法改正促進の問題、それから運営方式の問題で、やはり主務大臣がある程度運営というものを規定化してやらなければいかぬと思います。先般ここに国民金融公庫、それから二、三の監事に来ていただきまして聞きましたところが、総裁も規定化すというものの考え方よりも、監事のほうがそういうことをやるべきだというものの考え方が強いのじゃないか。それはそうじゃなくて、監督官庁主務大臣がそういうものを規定化する、あるいは全体が同じなのですから、ひな型として行管がそういうところまで指導することがいいことか悪いことかよくわかりませんけれども、そういう点も考えなければならぬ。  それからもう一つ第三の問題は、処遇の問題だと思うのです。それは、長官も御存じのように、総裁理事監事、それから各省監理官がおるわけですね。監理官をおやめになった人がその公団指導をする監事になる。その監事になった人が理事になっていき、理事の中から副総裁総裁とが選ばれてくる。人事はこういう運用をされているわけであります。それで、監事理事の月給を比べてみますと、理事のほうが十六万円、監事が十三万円。それで総裁監事主務大臣任命だということから考えて、監事自体理事の取り締まりをしなければならぬ。場合によっては総裁を取り締まらねばならぬわけですから、そういう点が実際によくやられておらぬ。東北開発株式会社のように、三十億の国の出資に対して、二十二億も赤字が出ておる。こういう状態は、相当以前に監事としては責任を持てない、もう少し運用を変えるべきだということを、主務大臣に申告することができたと思うのです。そういう点から、私は、いろいろ権限の問題、仕事やり方の問題、それから処遇の問題、こういうものが結びついて行なわれなければならぬと思う。  それから最後に言われておるのは、内部監査監査室の問題、それから内部監査監事監査という問題の相違点というものは、やっぱりあるべきなのです。ですから、こういう点について今度の法改正を見てみますと、一、二のところは少し出しているようでありますけれども、まだまだ全般にこういうものが行き渡っていないように思います。行管からこれを監査をした結果について、各公団公社からいろいろ回答を求められております。実はごもっともという答弁なのです。ごもっともですからすぐ実施をしますという答弁が出ているところはあまりないわけです。こういう点でも、せっかく去年一年かかって、公団公庫監事の問題は、相当大きく指摘をし、それから行管としても取り上げていい実情というものを知っているわけでありますから、これをぜひひとつ長官としてもう少しきわめていただきまして、結論的に法改正すべきもの、処遇の問題、大蔵省と関係のあるようなものについても、やっぱり手とり足とりして調整してやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  10. 山村新治郎

    山村国務大臣 公団公社監事制度の問題につきましては、ちょうど私が行管へまいります前の大臣の当時に、この監察並びに勧告をいたしております。その結果といたしまして、ただいま御指摘のような問題につきましての監察をいたしたのであります。幸いにこれに対しましては、各関係省とも行管勧告を体されまして、実は四十四国会以来できておりまする公団公社につきましては、この行管勧告の線に従いました。いままでの監事制度の欠陥について改められた制度になっております。あるいは主務大臣に対する直接監事意見具申の問題、あるいは待遇の問題、スタッフの問題等について十分整えられております。そのほかの公団公社の問題につきましても、逐次これからの法改正の際にこれを改める方針で各省ともやっておるようでございますので、だんだんに御期待に沿うような監事制度が確立されることと存じます。しかし、いずれにいたしましても、行管といたしましては勧告をした問題でもございますので、その成果につきまして十分今後とも見守ってまいりまして善処いたしたいつもりでございます。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あとまだありますけれども、局長に質問することにして吉田君に譲ります。
  12. 福井勇

  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 長官苦情処理の問題で根本的なあり方を聞いてみたいと思います。これは、すでにあなたが昨年就任せられた壁頭の各行政監察局長会議の際にも指摘せられましたごとく、行政相談業務は、最近の行政民主化の面から見まして非常に国民が大きな期待を持っているわけであります。また同時に法律の根拠から見ましても、政府並びに政府関係機関その他公団公社から事業団等に至るまで、およそ一切の政府関係行政行為並びに地方公共団体行政行為につきましても苦情を持ち込み得るような対象になっております。こういうようなきわめて広範な行政対象になっておりまする苦情問題でありますが、この問題につきましては、あなたのほうの行政管理庁の問題の処理機構ないしは処理能力、そういったものが、この重大な目的にかかわらずこれに全然ふさわしくない、微力なもののように感ずるのです。その点についてまずあなたの御意向を聞いてみたいと思います。
  14. 山村新治郎

    山村国務大臣 時間がありませんのでまことに申しわけありませんが、苦情相談の問題につきましては、最近非常に国民皆様方活用——活用と申しますか、利用されるような傾向がございまして、相談が持ち込まれます案件は、一昨年は三万件、昨年は四万件の多きに達しておる次第でございます。したがって、この苦情相談相当皆さん方のお役に立つということを政府といたしましても認識いたしまして、十分今後ともその仕事内容の充実につきまして心してまいりたいつもりでございます。したがいまして、ちょうど今度の予算におきましても、行政相談員の方々の人数を九百十五名ほどふやしておるわけでありますし、なお本庁関係におきましても、いままでの職員をそう一そう機動的に働いてもらうことによりまして、その成果をあげてまいりたい所存でございます。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただ申し上げたいことは、すでに法律制度化いたしておりますし、当時の閣議決定にも出ておりますし、あるいはまた年々予算を組んで一応看板をお出しになっております。したがいまして、全国担当者の数から見ましても、専任が二百名余りと計算いたします。それから相談員にしましても、全国で三千六百人しかおりません。二百人の専任担当官、三千六百人の相談員で、一体六千万の国民対象として、三百万人の国家並びに地方公務員その他の従業者行政並びに準行政行為に対する苦情処理が、そういうもので一体できるのかどうか。これは法律の規定がないものなら別であります。行政管理庁訓示等によって出ておるなら別ですけれども、すでに法制化して一つ行政民主化の政策の一環として打ち出している以上は、これに対応する機構体制を整えるということは当然なんです。ことに今年の予算を見ましても、苦情処理についての概算要求は九千二百万円ほどしておりますが、これが五千三百万円しか査定されておりません。一体なぜこういうことになるのか。これは苦情処理事務業務に対する人間が政府間において統一化されていないのか。もしくはあなたのほうでこのような看板を出しておるけれども、実は実行のできないようなものであるとおっしゃるのか。看板倒れになるべきでないというのがわれわれの根本的な期待なんです。これにそぐわない実態ですから、これは十分に究明しておかなければならぬ。いたずらに五千万円をどぶに捨てるようなことはだめなんです。三万件というほど件数が多いとおっしゃっていますけれども、二万や、三万の数は地方公共団体相談者で全部扱っおります。ですから全国対象にしまして、全国のあなたの機関を動員してやるというような仕組みの場合、この程度の実績しかあがらないということは、それは機構が貧弱であり能力が足りない、これに対する熱意がない、こういうことに帰するのじゃないかと思うのですが、一体どうされますか。はっきりしておいてもらいたい。
  16. 山村新治郎

    山村国務大臣 実は率直に申しますが、予算委員会から呼び出しが参っておりますので急ぎますけれども、苦情相談に対する御理解ある御激励ありがとうございます。今後とも現在の機能を十分に活用いたしまして成果をあげてまいるつもりでございます。なお、今年度九百十五名と飛躍的に認められたということは、やはり政府としてのこれに対する熱意のあらわれだということを御理解願いたいと存ずる次第であります。これについてはまたの機会にひとつお願いいたします。あとは局長がおりますから、よろしくお願いします。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは順を追いまして、第一に機構、それから能力等についてあなたのほうの御説明をお聞きいたします。
  18. 山口一夫

    山口政府委員 最初に機構の点につきましては、現在行政管理庁専任監察官を置きまして、その下に数名の部下を配置いたしまして、これが全体の企画並びに中央での受付管区地方指導等業務担当いたしております。全国の八管区監察局並びに四十しの地方監察局にそれぞれ行政相談専任担当いたします職員として、管区におきまして平均約五名、地方におきまして平均四名程度職員、総計いたしまして、ただいま御指摘のように全国約二百人の職員がこれに従事いたしております。そのうち管区につきましては、管区総務課の中に行政相談室を設けまして、これに室長以下、先ほど申しました所要の定員を配置し、地方におきましては、地方監察局地方監察官の中の一人が行政相談専任職員となり、その部下指導いたしましてこの仕事に当たっております。先ほど長官から答弁のございましたように、現在のところ、年々相談案件が増加してまいりまして、その状況につきましてはお手元に資料をお配りいたしておいたのでございますが、三十六年が件数におきまして一万九千五百六十五件、続いて三十七年が三万九百四十九件、三十八年の九月までが三万二百二件、三十八年を通じまして年間約四万二千件と推計をいたしております。このような状況受付件数が増加してまいってきたのであります。したがって、ただいま申しました中央並びに管区地方処理体制をもっていたしましては全く手一ぱいという状態でございますので、新年度におきましては、さらに現在配置されております管区地方専任に従事しております以外の監察官のもとに属する職員兼任等の形式によりまして機動的にこの業務を応援させることにいたしまして、とりあえず昭和三十九年度における処理体制を整えたいと考えております。ただ、われわれといたしましては、このように件数が増加いたし、またこれを取り次ぎます行政相談員も、新年度九百十五人の増員をお願いいたしておりますので、それが実現いたしますれば三千六百人をこえる行政相談員を介して苦情が申し出られてまいりますので、かなりよくなると考えております。しかしながら国民苦情から申しますれば九牛の一毛にすぎないかもしれませんが、現在のところ、与えられました人員をフルに活用いたしまして苦情処理に当たりたいと考えております。特に苦情内容につきましては、これまた御指摘のございましたように、いろいろな問題が含まれておりますが、われわれといたしましては、各市町村に原則として一名の行政相談員が配置されます機会に、数の問題もさることながら、その内容につきまして、より適切な苦情を申し出てもらうように指導もし、またその苦情をさらに今後の行政に活用し、その苦情解決するという質の向上という面にこの機会に努力をいたしたいと考えております。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 逐次伺ってみます。一体東京にはこの事務処理する場所はどこにあるのですか。
  20. 山口一夫

    山口政府委員 東京は、行政管理庁地方支分部局として関東管区監察局東京都にあります。関東管区一般の管轄は関東ブロックの各県にわたっておりますので、苦情処理関係におきましては、東京都の問題は関東管区処理する、なお問題によりましては中央でお受けするという体制になっております。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 全国の各都市に一名ずつ相談員を置くという、そういう規模になるようでありまするが、一体これは一名の相談員を置いて、それで市民の全部、国民の全部を対象にして周知し得る能力があるのですか。
  22. 山口一夫

    山口政府委員 原則として市区町村一人というたてまえでございますが、東京都のような巨大都市におきましては、かりに区に一名配置いたしましたにいたしましても、決して十分とは考えておりません。ただ、地方の小さな村等におきましては、現在のところでは、十分とは申せませんが、一応の、最小限度の機能は果たせるのではなかろうかと考えております。都市におきましては人口も多いし、問題も多いし、多分に問題があると考えております。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は、この問題の処理国民の持っておる全行政機関の行動に対する不平不満を吸い上げようというような規模になることがほんとうは望ましいので、それを対象にしないで、さっきのあなたの御発言ですが、九牛の一毛のようなことならば、それは政治でも行政でもないと思うのです。特殊な人が利用するにとどまると思うのです。そうお考えになりませんか。たとえば現実に東京に何名配置されておるか。人口割にすると一体どうなんですか。
  24. 山口一夫

    山口政府委員 東京都内の配置状況につきましては、調べまして申し上げたいと思います。ただ行政苦情ということは比較的個人的の問題が多いわけであります。したがって、私どもといたしましては個人的の苦情を通じまして、その個人的の苦情の背後にあるもの、あるいはその個人的な苦情国民の多数に共通する問題であるという点を十分にくみ上げていく努力をいたしたいと思っております。苦情そのものは行政機関業務に対する不平不満でございまして、本質上はかなり個人的の色彩が強いものであるわけであります。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 本質上個人的な色彩が強いというのは、それは逆なんです。個人的な色彩がだんだん強くなっていけば、ついに行政ではない面のほうが強くなってまいります。たとえば家庭の内部の問題、それはそれで別に処理機関を持っております。御承知のとおりに調停委員もございますし、その他民生委員もございますし、それぞれ委員は国が委嘱しておるのですから。だから行政苦情処理機関はまた別個の独特の広い分野がなければならぬ。つまりいまの行政の民主化しない面が多分にあるということから根ざしてくるのじゃないか。現に今日におきましても国会開会中に全国から殺到する陳情団を見てごらんなさい。全部苦情とは申しませんけれども、何分の一かはやはり苦情なり不満があるから来るのです。そういうことを思いますと、相談員の配置なんかにつきまして、この事業を本気におやりになるつもりならば、抜本的に考え直さなければならぬ。たとえばいま申しました調停委員にいたしましても、全国でざっと四万人くらいあります。あるいは司法保護司なんかにしましても約五万あります。それでもなお手不足です。まして行政に対する不平とか苦情とかいうようなものは、こんな二階から灰をまくような、目薬のような、針の穴のような細いパイプで吸い上げていくことはとても不可能で、いまのようなことならば羊頭狗肉になると私は思うのです。それならば五千万円の金も国家のためには惜しい。いっそこれは返上してしまって、取りやめて閉鎖してしまってもいいのじゃないか。もし本気でおやりになるのなら、相当膨大な機構能力内容を持ったもので対処するのでなければ、国民に対する偽りです。こういう根本的な考えを持っておるのです。それであなたに相談員の数のことも一応機構内容として聞いたのです。わしらにしても、東京に何年か住んでおりましたけれども、苦情処理する機関一体どこにあるかということをいま人に尋ねられたら答えることはできません。おそらく各府県にも一カ所はあるにしても、一カ所あるのはどこの何町のどの辺の辻のかどにあるということを答え得る人は千人に一人もないでしょう。そういうふうなもので国民の持っておる三百万公務員の行政行為に対する不満を吸収していこう、吸い上げていこうということは大それた話なんです。そういうことは全くわれわれとしては許すことはできないと思うのです。相談員を九百名ふやすことをもって、大蔵省その他も理解するかのごとき山村長官のお話がありましたけれども、根本的に考えが違うのです。御承知と思うけれども、道路予算のごときは一キロ十億円も投じているところもあるのです。五千万円しか金なしに全国の六千万の国民苦情処理いたしますというのでは、これはやはり政治政策の、国会の問答じゃないですよ。紙の上の子供の話なら別でありまして、ともかくきょうは国民対象にした政策論議が基礎になっておるのですから、苦情処理行政管理庁という役所の一つの重要な行政業務であるということになっておるのであるならば、もっと根本的にこれは土性骨を入れかえるくらいの気持ちでこの問題に対処しなければならぬと思うのですよ。だからいまの相談員の数なんてことは、答弁にも何にもならないですよ。そんなことならばやめてしまいなさいと私どもは言いたい。それならこの相談員がどこにおるかということを東京都民が一体知っておりますか。おそらくは知っておる人はいないでしょう。また総理府のいかめしい役所の中に行政管理庁もあって、あそこで相談を受けるのでしょうけれども、一体だれがあんなところに相談に行きますか。みすぼらしい者が行ったならば、おまわりさんに突き飛ばされてしまうということになりますので、私は相談員の配置につきまして、こんなことでは、ほんとうに羊頭狗肉だと思ってお尋ねしておるのです。だからこの能力ではとても処理不可能だということの結論から出発をするなら、それならそれで話はわかるのです。けれども自信を持ってやってもらわなければ、こんな行政は助長的なものですから、やれば幾らでも成果がある、やらなければ看板だけで終わってしまう。局長、どうなんですか。
  26. 山口一夫

    山口政府委員 お尋ねの御趣旨につきましては、私どもも確かにそうだと思います。その趣旨に向かってさらに今後努力してまいりたいと思っております。  なお先ほど申し落としましたが、都内の委員は七十七人でございます。非常に少ないのでおしかりを受けるかもしれません。現在の全国の三千六百五人に増加いたしました場合には、若干これもふえるかと思いますが、いずれにいたしましても、国民苦情に対しましては決して十分な体制であるとは考えておりません。しかし人間をふやし、さらにそれに応じまして定員をふやし、事務処理してまいりますためには、いろいろ予算関係等もございまして、一挙にはなかなか手当てできませんが、今日まで少ないながらかなりの率で伸びてきておりますので、今後さらに努力いたしまして、御趣旨の線を十分われわれも生かすようにいたしたいと思います。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どんな方法で国民に周知宣伝をしておるのですか。それはどういう方法をとっておりますか。
  28. 山口一夫

    山口政府委員 行政相談のみならず、全体のすべての行政につきまして、特に都市に対する施策の浸透は非常にむずかしいのでございまして、人口が多いということだけでなしに、都市に住む人のいろいろな行政に対する考え方なりその他からいたしましてむずかしいのでございます。都市、地方を含めまして、直接行政にタッチしておられます市町村の市役所、町村役場、市町村長というような方々を通じまして、そこの機関紙を利用させてもらう、あるいは管区地方局におきまして日を定めて地方に巡回をいたしまして、そこでPRをするとか、あるいは現在発令されております行政相談員自身が、各種の関係の会合に出席するなり、あるいはいろいろな委員がおられますが、民生委員、児童委員、人権擁護委員等の各種の委員の会合に行政相談員が列席し、あるいはその会合が開かれます場合に、その場を利用して相談をするというような方法によりまして周知徹底を、全国を通じてはかっております。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの御説明を聞くと、かなり周知の方法は講ぜられておるように思うんですけれども、しかし現実は、そんなら各地方自治体等の機関紙を利用するといったって、機関紙に何か掲載でもするという意味なのか、そういうふうな方法でも実際全国でおとりになっておるんですか。そんな方法をするくらいならば、独自に、自分自身で何でおやりにならぬのか。他の機関に便乗しなくても、国家機関なんですから、総理府の機関なんだから、なぜ自分でおやりにならないのか、そういうことも一体どういうふうになっておるんですか。
  30. 山口一夫

    山口政府委員 いま申しましたような他の機会を利用する方法とあわせまして、さらに行政管理庁自体といたしましては、必要な機関紙も発行いたしております。また各地のラジオ・テレビ等のマスコミ機関につきましても、機会のあるごとに利用をいたしております。しかし現在の状態で、先生御自身御存じなかったというような状態でございますから、決して十分とは思っておりませんが、予算の範囲内において努力をしておるつもりでございます。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省の主計局から見えておるそうですからちょっと尋ねますが、内容の詳しいことはわからぬが、予算要求九千二百万に対して五千三百万に切っちまった。要するにこれは、この苦情処理という行政事務が非常に重要な、最近の行政民主化への期待に沿う一つあり方として歓迎されているということに対して理解が足りないんじゃないか、こういうふうにも実は思うんですが、要らぬものを要求したから切ったのか、今日の国家のこのような一般会計等から見ましても、この程度のものならば、こういった方面にはできるだけこれを潤沢にするというくらいな理解がなければならぬ、こう思うんですが、どんな事情がそこにあったのだろうか、おわかりでしたらひとつ説明しておいてもらいたい。
  32. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 苦情相談の問題につきましては、予算措置といたしましては三十六年度以降毎年逐次増額措置を講じて、相当な配慮をいたしておるつもりでございます。三十九年度予算につきまして御審議をいただいておりますように、昨年に比べまして千百二十八万八千円の増額になっておりますが、これは主といたしまして先ほど来お話がございましたように、九百十五人の苦情相談員の増加の経費が大部分でございます。そこで御質問の三十九年度の要求は、九千二百万に対しまして五千三百万円で、相当の差があるじゃないかという御指摘でございますが、この御要求の一番大きな重点と申しますのは、やはり苦情相談員の増員でございまして、要求は三千六百三十二人の要求でございます。これは増加でございませんで、全体といたしまして三千六百三十二人の増加の要求でございます。それに対しまして私どもの査定といたしましては、種々行政管理庁とも御相談いたしました。折衝の結果、三千六百五人の数字に相なっておりますが、その若干の食い違いが二十七名ございますが、これは市町村合併に伴う町村数の減少の数字でございます。  以上、重点的には行政管理庁の御要求を十分勘案いたしまして、今度のように五千三百九十一万八千円ということにいたしたわけでございます。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こまかくなりますので、しいてお尋ねしませんけれども、私の聞きたいのは、ほとんど半額、といったら少し言い過ぎですけれども、相当大きな切り方をしておりますので、これは全く理解のない態度じゃなかったのかという実は疑いを持ったのです。やはり少額であっても芽は伸ばしていかなければなりませんので、やはりそこは大蔵省専権ではないのでありますから、主管庁の要求に対しましてはできるだけそこは綿密に、忠実に検討する必要があったと私は思うのです。何も私はこの際行管の肩を持って言うのではないのですけれども、この事業自体の重要性にかんがみまして、どうしてこんなに切ってしまうのであろうか。これは水増しのでたらめな要求をしたのか、実にずさんな概算要求であったのだろうかとも一面に考えて、あなたにほんとうのところをお聞きしたのです。なお、つけ加えて、その辺について主計局のこういう問題の扱い方を説明してもらえればいいと思いますね。
  34. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 多少こまかな点に入るかもしれませんが、特に行政管理庁の当初の概算要求と結果的に違っておるところを一、二御説明いたしたいと思います。  一つは庁費でございます。庁費について若干差のございますのは、印刷記録のキャビネット、そういったたぐいの経費が落ちております。それからもう一つ大きな点は、苦情相談員の実費支弁につきまして、交通費の増額要求がございました。その点につきまして私どもいろいろ種々御相談申し上げて、結局、本年度予算計上を見送ったわけでございます。この趣旨は、実は、三十七年度において、従前千五百円でありましたのを三千円に引き上げた直後でもありますし、それからやはりこういった問題は民間の委員さんの積極的な自発的な努力を相当期待できるのではないかというような点を勘案いたしまして、本年度見送りといたした次第でございます。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 相談員の活動というのは、この場合非常に重要だと思いますが、相談員に三千円を給付して、別に実費は弁償するということになるのですか。局長どうなんです。
  36. 山口一夫

    山口政府委員 行政相談員一人に対しまして年間三千円の実費弁償をいたしております。そのほか、管区地方局で会議を催しますとき等の旅費といたしまして、平均四千円程度のものが支給されております。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、月に二百五十円です。このごろの失対の給与にいたしましても五百円では足らないという時代でありますし、大工さんは一日二千円で来ない時代でありますので、どんなもの好きな人でも——人選の基準等について見ますると、やはり地方の信望もあるし、あるいは何か社会的な理解も豊富にあるしといったような人たちを一市で一人選ぼうという、それは金を持って遊んで気楽にやっておる人なら別です。しかし、必ずしもそういう人ばかりがほんとにその苦情を吸収し得る者じゃないですから、二百五十円というのも、何でこんなけちくさいことをなさるのであろうか。ほかの委員との比較もあるということもあるかもしれませんが、そういうようなことにかかわらず、一体この仕事に対する根本的な理解といいますか、使命感が足りないのではないか。どうもそこが疑問なんです。一体大蔵省にしても、もっと人間らしい待遇ができないものなんですか。一カ月に二百五十円というようなもので失札ではないでしょうか。どうなんですか。
  38. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 実費弁償費が少ないではないかという御指摘でございますが、確かにそういった面も私どもも否定し得ないと思うのでございます。ただ先ほどお話もございましたように、こういった実費弁償費につきましては、やはり他とのバランスというものもございます。御承知のように、法務省につきましては、人権擁護委員という制度がございまして、これの実費弁償金は、やはり先ほど申し上げましたように年間三千円ということに相なっております。そういった点を考慮しまして、また三十七年度において二倍の増額を見たというようなことも勘案いたしまして、本年度は従前どおりの御審議を願っておる次第でございます。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はほかとのバランスから御質問するのではないのでありまして、やはり今日の生活の実感なり、ないしは物価なり、通常の経済的サービス料金からいたしましても、一カ月二百五十円というので人材が一体得られるのでしょうか。これはたとえ管理庁がこういう要求をいたしましても、この重要性にかんがみると、もっと積極的に優遇するのでないと人は得られない。実効はあがらない。実効があがらなければ羊頭狗肉になる、こういう悪循環をすることも考えるべきでないかと思う。これは主計官と問答をしてもほんとうはしようがないのです。ほんとうはしようがないのだが、きょうはやむを得ないからするのですけれども、一体局長、こんなことでは、二万件ありますとか、四万件ありますとかいう報告をしたって何にもなりません。つまり、さきに私もちょっと申しましたように、各市がいろいろな相談所を設けています。そんな相談所の事件の件数だけでも、やはり一年に数十件は持っています。そういうことを思いますと、これは国です、国の唯一の機関だから、処理件数の少ないことも、処理能力のないことに原因し、能力のないことは熱意のないこと、その機構自体が貧弱に過ぎる、予算もない、一体あるのかないのかわからぬといったようなことでは、大きな抱負に基づく総理府の重要な機関の、きわめて重要な行政民主化の一環としての任務が遂行できないと思うのです。これは長官に聞かなければしょうがない点だけれども、あなたとしては、これではどうもいかぬ——できるだけやりますということはおっしゃるかもわからぬけれども、とても需要に応じきれない、必要を満たされない、国民の多くの不平不満を吸い上げることができない、こういうふうにお考えになりませんか。これは、今後どうするかは別です。来年どうするかは別です。また政府の方針をどう変えるべきかということも別です。しかしあなたの、一応事務担当監察局長といたしまして、今日のこの国の実情にかんがみまして、津々浦々、ちまたのあらゆる不平事項を——もちろんあなたの報告を読んでみましても、これはちまたの問題が九割を占めております。端的に行政の中心部に向かっての不平不満が出てこないのです。こういうことも問題ですが、これはきょうは問題にしませんが、こんなようなことは全く掃くほどあるのです。この掃くほどあるような問題を、毎月三つか、五つか報告しておられる。毎月三つか、五つか報告しておられるということで私も奇異に感じたのです。どうしてもっと膨大な報告が出ないのだろうかというくらいに思うのですが、要するにあなたといたしましては、この社会的な必要に応じる能力はいまのところはほんとうにないというふうにお考えになりませんか。そうしてこの人員と予算とこの機構をもってしましては、さらに成果を上げていくということはなかなか困難であるし、ことに統計によりますと、政府関係機関のほうの苦情問題というものは非常に少ない。各事業団のごときはほとんどありませんね。三十七年のごときは各事業団は八、三十八年のごときは四月から九月までで十、こんなばからしいことはないはずです。それほどしか吸収能力がないということです。その私の結論にあなたは御同意なさいませんか。政策がどうあるべきかということは、これはあとにしますけれども、ともかく監察局長のお立場といたしまして、あるからしようがないとはいうものの、私の結論的な認識につきましては、御同意なさるのではないかと思いますが、どうでしょう。
  40. 山口一夫

    山口政府委員 三千円は委員の活動に対する報酬として支給されておるものではないのでありまして、したがって、委員の活動の価値をこれによって評価するということは私たちはいたしておりません。一種の名誉職的なものでございますので、委員の活動に対しましては、かりに金銭的に評価いたしますれば、この数十倍のものを考えなければいかぬかと思っております。そういう意味で報酬ではないのでありますが、実費弁償として調査に必要な交通費、通信費、その他の実費を弁償するという趣旨で三千円を支給しておるわけであります。しかし現在平均いたしまして、各委員が年間二十件前後の申し出を処理されておるのであります。一件にいたしますと百五十円ということになります。手紙を出しあるいは調査に行きあるいは電話をかけるということになりますれば、一件の処理自体が百五十円ではとてもできないということは当然でございまして、結局はみ出す分につきましては、事実上委員の御負担になっておるわけでございます。この点につきましては、私ども非常に申しわけないと思っております。さらにより多く苦情を集め、またよりよい、より行政関係のある苦情を今後発見してまいりたいという考えのもとにおきましては、決して十分な実費弁償とは考えておりません。今後十分その点努力いたしまして、委員の方々が活動によって御負担をこうむることのないように、活動に必要なだけの実費弁償は差し上げるような努力をいたしたいと考えております。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 行政監察も同趣旨と理解しまするが、行政監察というものが各行政庁の行政行為が能率的でないということがやはりその対象になるのです。また地方の実情に適しないようなことをやっておるということは、またその対象になる。ここで苦情処理機関自身が遺憾に思いながらやっておるというようなことで、一体他を是正できるのでしょうか。改善というなまやさしいことばを使っていますけれども、いずれにしましても、そんななまやさしい状態ではない。このあなたのほうで報告しておられる苦情処理処理状況、申し出の状況をずっと書いておられるが、ああいうような問題を見ましても、個人的なことでありましても、ともかく持っていき場がないので困り抜いているという問題はざらにあるのです。それほど深刻なんです。深刻であるとするならば、それを解決するのには、それだけの熱意をもってかからなければいけません。こっちも気の毒だと思い、これも何とかしてやらなければならぬと思いながら、へっぴり腰でやっているというのでは、行政機構の能率の改善とかあるいは実際の実情に適するように能率を上げていくとかいうような、行政改善、改革というような、そんな行政事務はできはしませんよ。ともかく私どもは、行政管理庁の、ことに監察局というものは戦後できました一つの特異な存在であると認めるのです。であればこそ、こんないわば苦言も呈するのですが、実際、いいかげんなことならやめちまいなさいと言いたいのですよ。やめちまえば、もっと悪ははんらんしますよ。悪がはんらんしたら、うんだものがつぶれる時期がきますよ。別のところが出ますよ。なまじっかやるものだから内攻していくわけです。とこの問題ではないけれども、少年の非行増加の問題にいたしましても、裏を見てみましたならば、行政に遠因するところが相当あるのです。そんなことも考えましたときに、私はこの苦情処理というものはまたとない一つの大きなよい機関だと認めるのです。それなら、いかぬところはいかぬとしてどんどんとなぜ上申、忠言しないのだろう。行政監察局長はもっとやはりしゃんとしなければいけないと思う。監察局長はすわっておられるだけじゃないのですから。あなたの部下監察官はどんどんやって、けしからぬじゃないか、お前予算を乱費しているじゃないか、行政能率をあげておらぬじゃないか、もっと適正化しろ、もっと改善しろと、じゃんじゃんよその役所には言うべきじゃないですか。ことにこれを読んでみても、地方公共団体に対して、これを指導するとかあるいは監督するとか、いろいろやっておられる。よそに監督したり指導するのならば、あなたら自身がほんとうにみずからもって仕事をなし得る体制を充実していくことが先決ですよ。それができなかったら、私は店締めなさいと言うのですよ。そのくらいな勇気が役人になければだめですよ。役人というものは結局独善に陥る。ぬる湯に入っている。法律によって法律を背景にして、国の財政によってお互いに安定しておるのですから、ぬる湯に入っていることになってしまう。国民は被害者ですよ。とんでもないことですよ。そういうことを思いますと、私どもはやはり決算委員会の立場といたしましても、相当厳密に追及していかなければならぬ、こう思うのです。私は、この問題はやはり一つの芽だと見ておるのです。芽という意味は、一つ行政の欠陥の芽だと見ておるのです。せっかく出ようとしておりながら十分に活躍しておらぬ。非常に大事なことなんです。大事なことと取り組んでいってもらいたいのです。自分自身と取り組むことなくして他を是正することはできません。どこから考えましても、こんな機構能力予算と、こんなような運営の実情をもっていたしましては、こんな大それた看板を出していくことはできないと思うのです。そう思いますので、ひとつあなたの立場からは善処してもらわなければしょうがないのです。終わります。
  42. 片島港

    ○片島委員 各地方を私回ってみまして、監察を受ける側の立場からいくと、内部監査が一番こわいと言うのです。その次にこわいのが会計検査院監査なんです。その次に行政監察監察がこわい。これはどういうことかというと、内部監査をやる人は仕事が非常に詳しいから小さいところまでよく目が届く。会計検査院も非常に歴史も古いし、各課にそれぞれ非常に詳しいベテランがおって勘どころをちゃんとついている。行政監察のほうはわからぬで困るというのですね。一々よく教えて、それから監察をしてもらう。しかし待遇、処遇はやはり会計検査院が検査するのと行政監察が来たときにいろいろもてなすのとは——近ごろは非常に気風も変わりまして、会計検査院のほうにも全然晩のもてなしなんかを断わるという人もおります。また行政監察にもそういう人もおりますが、通例からいって、そのもてなし方といいますか待遇は同じように取り扱わなければならぬ。しかし仕事はさっぱりわからぬ。さっぱりわからぬのじゃないが、いま言ったように内部監査、会計検査、その次が行政監察ということで、これは各省なり、公共企業体などもありますが、その仕事の実態、行政の実態を十分監察できるようにどういうふうにして研修というか教えられておるのでしょうか。農林検査一課、農林検査二課と会計検査院にあるのですが、私はこれからいろいろとやりますけれども、今度しばらくぶりで決算委員会に戻りまして事情がよくわかっていないのです。そのあたりを御説明してもらいたいと思います。
  43. 山口一夫

    山口政府委員 行政管理庁監察は、行政各般にわたりまして、毎年度計画を立てまして、その計画に従いまして実施をいたしております。各省の内部監察各省限りの内部の監察であるというのと同じ意味におきまして、行政管理庁監察政府部内として見ますれば政府部内の監察でございます。ただ監察内容が、行政全般の問題にわたります関係上かなり問題が大きな問題で、また各省庁も数がたくさんございますので、ときによりまして各省ごとに重要なテーマをとらえていくという関係上、どうしても監察に入ります前に一応いろいろな調査等の必要がございます。各中央管区地方を通じまして、それぞれ担当監察官は専門の分野を担当いたしておりますが、なおいろいろな調査等の関係で、あるいはただいまおっしゃいましたような疑問が調査を受けるほうの側からは起こっておるのじゃないかと思います。しかしすでに十数年の経験を積んでおりますので、各省の実情等につきましてはかなり把握いたしておるつもりでございます。わからなくて困るというようなことにつきましては、そういうことがなるべく少なくなるように、今後さらに部内の教養研修等に努力をいたしてまいりたいと考えております。  待遇と申しますか、いろいろいわゆる接待等の点につきましては、行政管理庁におきましてはかたくこれを戒めておりまして、この点につきましてはむしろ潔癖過ぎるのではないかいうような批判が外部からもありまするし、われわれも内部におってそのような感じがいたすのでありますが、その点は仕事の性質上、今後とも従来同様十分にかたく戒めて、監察それ自体に関係のないいろいろな接待等につきましては今後とも受けないように指導してまいるつもりであります。お答えになったかどうか……。
  44. 片島港

    ○片島委員 接待なんかをかたく断わるということは非常にいいことだと思うのです。あまりかたくしなくても、ある程度のことはやむを得ません。私が国会からよく調査に行きますと、ところによって非常に接待過剰なのに迷惑をすることがある。国会議員ですから向こうは万全のあれをやるようになっておるのでしょうけれども、迷惑千万なことがあるのです。これはあなたたちのほうではそう窮屈にならぬでもいいけれども、やはりその点はできるだけ締めていただきたい。  それと、私が申し上げました仕事に詳しくなるためには、人事院が当初各省からそれぞれ交流人事をやっておったことがあります。私も各省の実態がわからなければ交流人事もやむを得ないと思っておったのです。これが一番仕事の実態に詳しいのでありますけれども、しかし、今度、自分の親元に帰ったときのことを考えて、手心を加えるのです。そういう例はいまでもあります。ぐあいが悪いこともありますから言いませんけれども、そういうことはやらぬほうがいい。やはり行政管理庁として独自の立場で、あそこにベテランがおるから、ちょっと借りてきて監査してもらう。そんなけちなことはやらぬがいい。ただ、各省行政事務でも同じでありますが、特に公共企業体、事業体といったようなものになりますと、いささか一般行政事務と異なってくるわけです。そうしますと、見学をなさったりするのはいいのでありますが、私は、やはりあなたのほうからそういう計画を立てて、各企業体、あるいは政府機関、そういったようなものの実態、事業の実態について——これは行政とちょっと変わるのです。事業の実態について研修をする。それには各政府機関なり公共企業体の専門家を呼んで、現場見学もやる。またこういうふうな実態になっておる、こういうことの講義も受ける。いま、もうすでに十何年だから非常にベテランもそろっておるとおっしゃいますけれども、その人たちばかりがやるのではなくて、新しく入ってきた人も、毎年採用する人もおりますでしょう。そういうふうな人は、ただ先輩から話を聞いて受け継いでいくということでなくて、実態をよくつかむために、そういったような一つの正規の、事業体なり政府機関の事業がよく把握できるような研修制度というものをつくって、それも一回だけでなく、ベテランの人にもときどき再研修もする。こういうようなことをやったならば、なかなか日にちも少ないし、監察個所も少ないのでありますから、少ない個所で、少ない日数で監察されるのに、非常に実効が上がるのじゃないか。そういうような、いわゆる新規者に対する研修制、あるいは再研修、こういったようなものを、いまやっておられるのですかどうですか。これは非常に必要だと思うのです。
  45. 山口一夫

    山口政府委員 最初の、監察官各省に将来のことを考えて遠慮するのじゃないかというような御懸念でございますが、この点は全くございません。各省庁に対しまして平等に、しかも全然遠慮せずに監察実施いたしております。
  46. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 やっぱり各省からずっと入っておるのですか。
  47. 山口一夫

    山口政府委員 監察官関係におきましては、各省との交流は現在のところ、各監察局に来て、また各省に帰るというような人事は監察局に関する限りほとんど行なわれておりません。現在の監察官以下庁員は、いずれも局員は監察局が親元でありまして、ほかに帰るところがありませんので、親元のために専念仕事をいたしております。  それから後段の御指摘の公共企業体等の特定の対象に対する研修の問題ですが、これは私たちもその点を全く同様に痛感いたしております。特に政府機関等と、政府各省庁とは異なりまして、これらの企業体におきましては、監察の目のつけどころも経営という面、公共性という面、双方から監察をしてまいる必要も十分にございます。したがって、その仕事の実態につきましても、そういう面の知識があり、そういう面の見方が必要であるということを痛感いたしておるのでございます。企業会計、その他これらの対象に対して、特有の問題につきましては十分注意を払いまして、現在におきましても、常時研修会等を開いて、新任者あるいは現任者を問わず、毎年その面の研修をいたしております。また部内におきましても、この面の専門の公認会計士、その他の資格を持っておる者も庁員の中におりますので、この点の実態の把握につきましては特に意を用いておるところでございます。
  48. 片島港

    ○片島委員 そのときどきやっておる研修と言われますが、正規の制度としてやっておられるのですか。新規の者については、たとえば半月なり、一カ月なり、もっと長いか知りませんが、それからまた、現職の者につきましても、一年に一回とか何時間とかいうような正規の制度としてやっておられるのですか。そうしてまた、そういうのは自分たちだけから討議をするような形か、それとも各事業体ごとのベテランの講師を呼んで、正規の制度としてそういう研修をしておられるのか。ただときどき来てもらって講演でも、話でもしてもらう、そういうような制度になっておるのか。私は正規の制度として、新規者、現職者等に対する、特に私が言いますのは、公共企業体とか政府機関とかいうようなものは、一般行政事務と違っておりますから、これをつかまなければ実際やっていけない、ただおざなりになってしまう。伏魔殿に入ったような気持ではなかなか行政監察もできないと思うから、そういうものを制度として正規にやっておられるか。
  49. 山口一夫

    山口政府委員 行政監察全般の問題につきましては、最近年に一回やや長期の研修を、全国監察局から人を集めまして一週間ないし二週間程度実施しておりますが、そのほか、ただいまお話しの、特に公共企業体等に対する特別の企業会計等の研修につきましては、これは毎週監察局の部内において実施をいたしております。
  50. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先ほど大臣に質問した残りで、もし重複しておったらあとで議事録を見さしていただきますが、行政苦情相談委員任命でありますけれども、行政苦情相談というものが、たいへんいま重要な役割りをしておるし、そうしてまた期待を持たれているということはよくおわかりになろうと思いますけれども、そういう意味からいきまして、これはやはり拡充しなければならぬ、強化しなければならぬということになろうと思うのですが、この委員をどういうふうに人選するかということがたいへん重要なことになっておるんじゃないだろうかと思うのですけれども、人選などについてはどういう形の任命の仕方が行なわれておるのですか。
  51. 山口一夫

    山口政府委員 委員につきましては、委員の条件といたしましては、社会的な信望のある方、それから行政相談に対して熱意があり、また理解のある方というような条件に該当する方を選ぶことになっております。実際の人選にあたりましては、結局市町村長さんと相談をいたしまして人をきめる。御相談の結果、ただいま申しましたような条件に当てはまる方が出てまいりますれば、その方にお願いするし、また御相談してどうもこの条件には欠けるというような方がございますれば、さらに御相談をし直して幾人か人を推薦していただきまして、そのうちからきめるというような方法で、いまのところ委嘱は行政管理庁長官の名前をもっていたしますが、事実上管区あるいは地方行政監察局の局長が市町村長さんと御相談をして市町村ごとにきめるという方法をとっております。
  52. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この委員任命というのはたいへんむずかしい問題だろうと思うのです。たとえば具体的にあった例ですが、公明選挙推進連盟の委員をやっているのが、昼間は公明選挙運動をやって、夜は特定候補の戸別訪問をやっている、こういうことがあるわけです。ですから、そういう意味からいえば、相談員をどういうふうに任命するかというのは、たいへんむずかしい問題です。特に局長のおられた静岡県なんか、まあまあ八十点から九十点ぐらいの任命だなと私は思うのですが、いまのようなやり方でもたいへんけっこうだと思うのですけれども、仕事そのものが反行政的といいますか、そういう性格があるわけですね。ですから市町村のやっていることをやはり批判をしなければならないぬわけです。そういう立場の選び方というものもたいへん大事なことじゃないだろうかと思うのです。そこで事件を押えるということではないわけでありますから、むしろそれは政治の問題になって、行政の問題ですから、手続の誤りの問題ですから、そうしてまた結果から見まして、いろいろ月報を見さしていただきまして、いろいろ出ている問題、一つ一つ詳細に見てみますと、なかなか手間のかかる仕事だと思う。一つ仕事をやるにもなかなか念には念を入れて、たいへんな仕事だという点を感ずるわけです。こういう観点から、いま言われたような方式で任命する以外にはないのではないかと存じますけれども、やはりこの趣旨を生かして、相談がどしどしくるということにひとつ心がけていただきたいと思うのです。最近では、「拝啓池田内閣総理大臣様」なんというのが出てくるということは、行管行政苦情相談というのを取り上げて、行政国民と密着をした、あるいは政治と国民と密着するという方法は別の角度でまた検討しなければなりませんけれども、そういう点があろうと思うのです。それからまた、先ほど長官に質問した中で、監事の問題でありますけれども、法改正について、いま具体的にどこが進んでいるかということについてお尋ねしたいのです。
  53. 山口一夫

    山口政府委員 行政相談員任命につきましては、御指摘の点十分考えて、今後増員の分につきましてもそういうような方針でまいりたいと思っております。特に私どもが民間人をお願いしておるという趣旨は、役所自体にも片寄らないという趣旨でありまして、さらに民間人としての立場において政治的に忠実であるということを最も厳重な条件の一つに考えております。忠実な立場において、純粋な立場に立って民間の御意見を取り継ぐということに今後さらに十分配慮をいたしてまいりたいと考えております。  次に監事制度の問題でございますが、先ほどお話のございました監事職務権限がはっきりしていないという点につきましては、長官からの答弁のとおりであります。四十三国会で新設されました公団事業団等の特殊法人につきましては、全部従来の監事公団なり事業団なりの業務監査するという条項を改めまして、さらに「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長」——理事長が総裁の場合もございますが、「理事長又は理事長を通じて主務大臣意見を提出することができる。」という条項をそれぞれの特殊法人の基本法に入れるということにいたしております。すでに金属鉱物探鉱融資事業団、日本原子力船開発事業団並びに海外移住事業団の三事業団につきましては、いずれも四十三国会で御審議を経て成立をいたしました。これらの事業団の基本法の中に、ただいま申しました趣旨の条文を入れて、監事の責任を明確化しております。なおそれ以外の公団事業団等につきましては、毎年の法律案の改正の際にも入れるということにいたしまして、現に、当国会にも北海道、東北開発公庫、医療金融公庫、農林漁業金融公庫、石炭鉱業合理化事業団、中小企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、特定船舶整備公団、中小企業退職金共済事業団、日本住宅公団、住宅金融公庫及び公営企業金融公庫等の各特殊法人はいずれも資本金の増その他の法律改正が提案されておりますので、その提案の機会にあわせまして、ただいま申し上げました監事権限を明確にする規定を改正条項として挿入する案の御審議をお願いいたしております。なお、今国会に初めて新設の特殊法人として提案をいたしております中央児童厚生施設こどもの国事業団並びに日本鉄道建設公団の二つにつきましては、それぞれの基本法に同じく監事権限規定を明記いたしまして、基本法の御審議をお願いいたしておるような状況でございます。自余の公団につきましては、今後改正の機会のあるごとに監事規定を整備いたしまして、新設並びに既設すべてにわたって、いま申しました条項が二、三年のうちに整備される見込みでございます。
  54. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、監事は、いまのお話の中で、総裁なり理事長を経由して主務大臣に、こういうことを言われているのでありますが、行管勧告では、監事が直接主務大臣意見を出す、必要があったら総裁にも出す、こういうふうに勧告がなされておるのでありますが、実際の経過はそれと食い違っているように思うのですが、その点いかがでしょう。
  55. 山口一夫

    山口政府委員 監事は、その職務権限から申しまして、最初にお話がございましたように、政府から直接任命され、理事機関から独立した一つ監査機関として存在しているわけでございます。したがって、その任務の執行におきましては、当然理事機関と並列して職務が実行されるべきでございますし、ただいまの改正の趣旨もそういう線から出ていたわけであります。ただ、この条文がこのように決定いたしますまでの過程におきまして、その趣旨から直接大臣に対しての意見提出ということも検討いたしたのでございます。また一面、公団事業団等の特殊法人等の一体性の確保という点から考えまして、終局において主務大臣に提出されるわけでございますので、その提出の過程におきまして、やはり一応理事長なり総裁なりのところを通っていくということが公団、事業団の運営上適当ではないかという判断に立ちまして、お話のような点も途中においてございまましたが、最後の決定は理事長あるいは総裁に対して、あるいは総裁を通じてというルートをきめて法案をつくったのでございます。
  56. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ですから、それは行管から勧告した事項とは食い違っている。理事長や総裁を通して主務大臣に出す場合と、監事が直接主務大臣に出す場合とは本質的に私は内容が違うと思うのです。実際問題として、あなたのほうの資料によりますと、日本道路公団あるいは住宅公団、こういうものは、監事が必要があると認めたときには直接建設大臣意見を出せ、こういうことが建設大臣の内部通達で行なわれておるにかかわらず、今度の法律はそれより下がった、監事の地位を低めた、職務権限を縮小した、こういうことになるのじゃないですか。その点は行管でわざわざ勧告しながら、監事の地位というものを、道路公団や、住宅公団監事の地位、この二つを大臣通達からいくならば私は縮小したものと思うのですが、その点いかがですか。
  57. 山口一夫

    山口政府委員 一つの点は、先ほど申しました特殊法人の事業の一体性ということでございます。お話しのように、直接いくということは形の上におきましては非常に監事権限にふさわしいような感じもいたします。  それから監事大臣に提出すべく、その意見理事長を通じて出しますと、大臣にいく途中で理事長がそれを握りつぶす、あるいはそれを拒否するという権限理事長にはないわけであります。理事長は経由をするだけであります。その内容を承知して、それが理事長を経由して拒否されずにそのまま大臣のところへいくわけでありますから、事実上におきましてはただいまお話しのような点はないというふうに考えております。
  58. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 局長、そんなことを言ってもらっちゃ困ると思うのです。これは局長が出した勧告がそうなっておるのですから。行管が出した勧告は、とにかく監事は直接主務大臣意見具申ができるのだというふうに法改正すべきだと勧告しておるのですから。その勧告しておるのが経由するだけなんだ、経由するかしないかということはたいへん重大な問題なんです。ですから現実にいま行なわれておる住宅公団や、あるいは道路公団では、経由をせずに直接大臣に出ておるわけです。あるいは国鉄の最近の監察命令を見ても同じようなことがいわれるのでありますから、それがただ経由するだけなんだからということによってこの法改正が行なわれたということは、これは私は行管としては大失敗だと思うのです。わざわざ監察結果で各省に、各公団に出しておるわけでありますから、そして総裁監事というものは直接大臣任命になっているわけですから、監事の地位を高めなければいかぬ。監事の地位を高めないからこそ、監事理事長、あるいは総裁、副総裁が極端に言うと一緒になって、あるいは公団監理官まで一緒になって、そして公団内容が不明確になっておる。ようやく出てきたときには、これは三十億のうち二十二億も赤字会社になっておったという例も出てくるのでありますから、監事に力を持たして、そうして監事監事独自の立場から大臣に対してこういうふうに思うという意見を出さなければ、それをただ通過させるだけだからチェックをしないといっても、これはチェックされている。チェックするようになる。しかもまた今日まで、監察においては、そういうことが行なわれていないわけでありますから、むしろ通牒の改悪に法改正が行なわれた。それを行管として快しとしているということはちょっと遺憾だと思うのですが、いかがでしょうか。
  59. 山口一夫

    山口政府委員 先ほど申しましたような経過はございましたが、行管といたしましては、勧告の最もねらいとする精神は十分に生かされておるというふうに考えております。
  60. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 局長、そういう答弁ですけれども、しかし現実にここに出ている勧告とは——ではこういうふうに聞きましょう。  行管として勧告をした、しかし勧告どおりに法改正が行なわれていない、こういう事実はお認めになりますね。
  61. 山口一夫

    山口政府委員 形の上では若干変わっておりますが、精神はそのまま生かされておるというふうに考えております。
  62. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 形の上では違うけれども精神は貫かれておるということですが、形の上で違うということは、総裁理事長のところを通過することが形の上で違う。しかし精神の上で統一がされておるというのは、それはそこでチェックされるものではないから直接主務大臣に出すのと何ら変わりはない、こういうことなんですね。
  63. 山口一夫

    山口政府委員 さようでございます。
  64. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、住宅公団や道路公団あるいは首都高速道路公団監事は、三十四年十二月二十一日、建設大臣から、監事は必要があると認めるときは重要な事項につき建設大臣意見を提出するという訓令が出されておる。この訓令から見ると、法改正は、形の上では改悪だ、監事権限を縮小した、こう私は見るのですが、いかがですか。
  65. 山口一夫

    山口政府委員 権限の縮小ということには私らは解釈いたしておりません。もし主務大臣のところにいかない、あるいは理事長を通過した場合に、理事長がそれをさらに何らかのかっこうでゆがめるというようなことであれば権限は縮小されておるわけでありますが、大臣に提出されるという終局の目的は達しておるわけでございますから、その点につきましては権限の縮小というふうには考えておりません。
  66. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、職務権限を明確にせよということで各公社公団に出しました趣旨というものは、監事は独自の立場を持っておるものだと理解をしながら、直接主務大臣に出すということをあなたのほうではおきめになって、そういう法改正が好ましいということで勧告したわけですね。しかし、そうしながら実際には、監事というものが形式的に総裁なり理事長を通ることは何も問題がないのだという考え方はどうしても出てこないと思うのです。これはずっとあとのほうを見ますと、監事意見提出権というようなものについての巻頭言から出ておるわけです。現実に行なわれておるのはずっと出ておるわけです。出ておるのからみると、局長はだいぶお困りになっておる答弁だと私は思うんですよ。ですから、私はこれでいいんだという意見を聞きたいわけです。これでいいんだとあなたがもし思っておるならそれは無理に思っておるだけで、それはいろいろな過程の中から、最終的にそうなったのだ、行管はこう思っておった、最初からいま言ったふうに思っていなかった、行管意見としては、この勧告はこのとおりだ、このようなやり方のほうがいい、そういうふうに私は思っておる——もし思っていないとするならば、勧告そのものが誤りだ、こういうような論議をしてきたこと自体が誤りだということになりますから、結論的に、いまやっておることについて、精神というか、形式というか、なかなか苦しい御答弁をされておるのはわかるわけでありますけれども、経過をもうちょっとざっくばらんに言えませんかね。どうでしょうか。
  67. 山口一夫

    山口政府委員 勧告のねらいは、結局監事意見主務大臣に通ずる、必要な場合には理事長にとどまらず任命をされました主務大臣に通ずるという点にねらいがございます。したがって、私どもが最も重きを置きました点は、主務大臣に対する意見提出権を認めるという点に最も重きを置いて考えたわけでございます。確かに主務大臣にいきますまでの間に、理事長を通らないで直接いくということのほうが、形の上から申し上げればなお意見の提出権が強いし、またそれが確保されておるような感じも受けるのでございます。われわれのねらいとした主務大臣のところに監事意見が通ずるという点につきましては、それぞれの基本法に定められましたところの監事職務権限のしかたによって、われわれは目的を達しておるというふうに判断をいたしております。特にこれに合わせましてその条文を決定いたしますまでの過程におきまして、公団一体性の問題なりあるいは事実上理事長に拒否権がない、またかりにそのようなことがありますれば、それはまた別途われわれのほうの勧告に従いまして、それぞれの主務大臣から是正の措置が講ぜられると思います。形におきまして勧告のねらいました直接の行き方が中間で一つの過程を経るというふうに変わりました点につきましては、御指摘の点もあるのでありますが、われわれとしては、終局の目的である大臣に対する意見の提出権が実現したということで、勧告の趣旨がこの改正に反映しておるというふうに解釈いたしております。
  68. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 監事大臣に対する意見具申権がなかったというふうに理解をすれば、そうなると思うのです。しかしあったのかなかったのかということは不明確なんですね。しかしあったところはあったのです。たとえば建設大臣訓令によって建設省所管の道路公団住宅公団、首都高速道路公団であったら、それは大臣訓令という形でできた。法律でなくともできたわけですね。あるいは国鉄の場合にも私は同じことが言えると思うのです。ですから大臣に対する意見具申権というものは、ここで初めて法律改正したからできてきたものではない。現実には法律が改正せられる以前から、もう実際に省々によって行なわれてきた。ですから行なわれてきた事実をそのまま認めればいいと思うのです。行なわれてきた事実の上に立って、行管はこれが正しいものだと出したと私は思うのです。それで今度取り上げてみていろいろやってみたところがこういうことをやらない。都合の悪いところは、いやそれは総裁を経由しなければという意見が出てきた。しかし総裁監事大臣任命だというところに大きな問題があるわけです。そしてまた監事というものはその公団公庫なりあるいは公社なりに、都合の悪いこともやはり言わなければならぬこともあるわけです。しかしそれを一々総裁に出し、理事長を経由するということがやはり問題だということであるわけでありますから、結局極端な言い方をすれば法改正をしないほうが建設省の場合にはよかった。法改正をすることによって、今度はおくれたところは上がったかもしれないけれども、おくれたところが上がったということでなくて、それは当然なことだったわけです。ですから私は監事制度というものはますます悪くなったというふうに解釈せざるを得ないわけです。局長にこれ以上質問したってこれはあれですから、この意見は次の機会に譲ることといたします。  それから運営方式というものは、ある程度やはり主務大臣が規定化してやらなければいかぬじゃないか、規定化する場合の考え方なりあるいは指導、こういうものについてはおやりになっているのですか。もしやっていないとするならば、これからおやりになりますか。
  69. 山口一夫

    山口政府委員 運営方式につきましては、やはりある程度のルールをきめまして、それにのっとって実施をしてもらうことが必要と考えております。したがって、勧告の中にその趣旨が盛られておりますので、それによって今後各監督官庁が措置をするというふうに考えております。
  70. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 監察局長のほうはそういうふうにお考えになっているようでありますが、各省や各公団はそういうふうにお考えになっていないようであります。監事はそれは実質的につくるものだというふうに——どうも前回ここへおいでになった総裁なり監事のお答えぶりを見て、そういうふうに思っておりますので、その点は、ひとつせっかくこういうものが出たのですから、推進をするようにしていただきたいと思う。  それから次に処遇の問題です。やはり力を持たせると同時に処遇というものは、監事大臣任命だというような立場からこれは引き上げなければならぬと思うのですが、三十九年度予算の中ではそういうことはどういうふうに取り扱われたのですか。
  71. 山口一夫

    山口政府委員 前段の点につきましては、さらに現在の状況を確かめまして一そう推進をいたしたいと考えております。  処遇の問題でございますが、監事制度監察の結論の一つといたしまして、任務の重要性に対応する処遇の問題を指摘をいたし、各監督官庁勧告をいたしたのでございます。現在の状況は、先ほどお話しになったような状態でございまして、若干理事に比べて差がついておるのでございます。結局勧告を受けました各主務の大臣勧告に対する回答として十分検討をする態度を示しておりますので、その結果の実現するのを見守っておるわけでございます。これは予算措置といたしましては、監事差額の増加でございますので、特に別段の措置を講じないでも現在主務大臣監督のものとに編成されておりますそれぞれの特殊法人の範囲内で金額的にはできるのではないかというふうに考えております。ただ幾らにするということの決定自体は、やはりそれぞれの法人が大臣監督のもとに決定をいたすのでございますが、その決定によってこちらの勧告の趣旨が実現するように強く期待をしておる状態でございます。
  72. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 行政管理庁の限界のような御説明なんですけれども、そこでもう一つ監事の問題とくるめて考えられるのは、各省にある公団等の監理官の問題なんです。監理官がいまのままでよろしいかどうか。やはり監理官というものについてのあり方といいますか、責任といいますか、あるいはその省における地位といいますか、こういうものについてはどうお考えになっておりますか。もし御検討されているようでしたらその点についてお聞かせを願いたいと思うのです。
  73. 山口一夫

    山口政府委員 各省庁に置かれております監理官につきましては、現在のところ十数人の監理官がおるというふうに承知しておりますが、実は監理官制度につきましては、いろいろな面から検討する問題があると思っております。特に初めてわが国に公団事業団等制度ができました時期におきましては、かなり監理官の必要性も多かったのでございます。もともと監理官仕事は、各省庁におきまして主務大臣のもとにおきまして特殊法人の監督に関する業務関係した事務を一括して窓口的に処理をしている立場にございます。監理官仕事が実際の公団あるいは事業団に対する指導ということになりますと、監理官を通じて、あるいは局長なり大臣なりそれらの意思によって決定される部面が多いのでございますが、若干監理官によりまして、大きな公社等に対する監理官組織と公団、事業団に対する場合とは若干の相違がございますが、監理官全体のあり方をどうするか、さらに今後、将来増設されてまいります公社公団事業団等に対する監理官をどうするかというのは、一つの検討の問題でございまして、これは監察の立場からも、あるいは行政管理の立場からも、十分検討すべき問題として、いま俎上に上がっております。ただ現在の監理官の活動がどうかという点につきましては、三十七年に実施いたしました監察におきましても一応の結論が出ておるのであります。監理官仕事、すなわちこれらの特殊法人に対する監理の仕事につきましては、法人の性格にかんがみまして、一面において法人の自主性を認める線に沿って仕事をやっていく必要がある、言いかえますならば、あまりこまかい指導をするということは場合によりましては法人の自主性をそこなうというような点がございますので、この点を十分に考えていかなければならぬという点があります。同時にまた、法人は公共性を持った団体でございますので、やはり公共の立場から国民の意向を十分に反映した運営をやっていくという面の考慮が必要だ、自主性と公共性、この二つを指導仕事の基本方針としてやってもらう必要があると思うのであります。そういう立場から現在監理官のやっておられます仕事監察いたしました結果は、省庁によりましては必ずしも十分ではない。たとえば建設省のごときは関係公団に対する監理官仕事につきまして一定の基準を訓令によってきめておりまして、ただいま申しました自主性並びに公共性の見地から仕事やり方をある程度規定化して、それにのっとってやっておるところもございますが、他の省庁におきましては、極端な表現をいたしますれば、監理官が思い思いに判断をして、そのときどきの指導をしておる面も見受けられました。少なくとも現在の監理官仕事あり方としては、建設省でやっておるような何らかのルールによってやっていく必要があるというふうに考えまして、この点を勧告の中に織り込みまして、一種の規定によってルール化された監督をやってもらうようにという線で勧告をいたし、その実施各省庁に勧めておる状況でございます。現在の監理官あり方につきましてはそうでありますが、さらに監理官そのもののあり方をどうするかという問題はまた別途の問題として十分に検討しなければならぬ問題だ、かように考えております。
  74. 福井勇

    福井委員長代理 田原春次君。
  75. 田原春次

    ○田原委員 先ほど来聞いておりましたが、苦情処理運用で行き先が不明になってしまっておるものがあるわけです。具体例を申し上げますが、それは海外移住事業団ができる前の問題で、南米のボリビアで起こった事件です。南米のボリビアに海外協会連合の支部というものがございまして、そこに現在も少しずつ日本から移住者が行っておりますが、昭和三十六年かの若槻という支部長時代に、これは非常に性格の片寄った男で、約二カ年の間に三家族の日本人をそれぞれ理由をつけて、内地に強制送還したわけです。そのうちの一名は植田、もう一名は白木という男です。植田はいま香川県に帰っております。白木は佐賀県に帰って、いま医者をやっております。これらが外務省に抗議を申し込んでも具体的な回答がない。そこで法務省の人権擁護局に書類を出したが、これまた今日まで少しも回答になっておりません。海外に移住する者は先祖代々の家屋敷を売り、将来の希望を托して家族を連れていくわけです。その行っておる者に対して、いまでいえば海外移住事業団、そのころは海外協会連合会の現地の職員はよい意味の相談相手となって、土地を買う場合にはその所有地の点をよく調査をするとか、資金が必要な場合にはそれぞれのグループを通じて営農資金を借りてやるとか、相談相手にならなければならないのに山の中に入ってしまって、自分だけが何だか代官のようなつもりになって、好かぬ者は理由をつけて追い返しておる。ほかの地方ではあまりありません。最近起こっておるものは、ボリビアの三家族の追放事件と、それからその二年ほど前に中米のドミニカで多数の人々が帰ってきた事件、いずれもどこに苦情を持っていっていいかわからないままになってしまっておる。今日海外移住が毎年大体一万二千人くらいを、旅費等の補助金は大蔵省から出しておるにもかかわらず、特にことしは千六百人しか行かないというのは、そういう出先の親切な世話が届かない、親切にやっていないのみならず、きらいな者は事をかまえて追放するというような暴挙をやっておる。それをどこにも責任の持っていき場がない。その植田事件は、若槻という支部長が生活協同組合の店を開いた。たいへんお役所仕事で、物価が高い。そこで植田君は別にその近くに個人の商店を開いた。値段が三割くらい違うというので、どんどんその個人商店に物を買いに行く。そこで非常に怒りまして、事をかまえていろいろ圧迫しております。それまでその前を通っておる道路をつぶしてしまうとかさまざまな圧迫をした結果、最後には事をかまえて——その内容はいまあなたのほうで調べればわかるわけですが、一晩のうちに急に飛行機に乗せて送り返してしまった。家族は自分たちは残りたいということを言ったが、残さない。ボリビアの政府国会に陳情したら、家族は残ってもいいと言ったにもかかわらず、これも強制的に送り返した。植田君という夫婦は帰ってきまして、三度ばかり自殺を考えたそうです。あるいは外務大臣を刺し殺してしまうということまで言ったけれども、一応ルートがあるからというので、法務省の人権擁護局に出したら、約二年間かかって何の音さたもない。こういう目に見えざるところに手を伸ばしていかなければならないにかかわらず、これは行政管理庁に何ら申告しておらぬと思います。先ほどのあなたのことばの中に出たと思いますが、海外協会連合会と資金面を担当する海外移住振興会社は、いずれも十年ばかりの間に成績が悪くて解体いたしまして、新たに海外移住事業団が発足したわけであります。大部分の役職員はほとんどみな退職させられました。現在海外移住事業団をやっておる者は全然新しい人がやっておる。それは今後の行動を見なくちゃわかりませんから、一応新しい人に対しては私ども期待をしておるわけでありますが、そういう解体、新発足の前後にたまたま起こった事件に対して、外務省は責任のがれで苦情をどこへ持っていっても返事をしてくれない。それから法務省に持っていったが、これが調査だけで一年半もかかる。何でも事件の起こった土地を見なければわからないというわけで、そこで今度はいろいろな費用の面、補助金等の使途の面に不明があるということになって、去年会計検査院から二名行って調査しております一これはいずれここの決算委員会でまた問答が起こると思っておりますが、会計検査院の調査も不当な支出をやっておるという。支出でも、補助でも、それと関係のない行政面でも——同一人が国費の乱費、この点では会計検査院が調査しておる。それから居住民に対して非常な権力をふるう、ない権力をあるようにしてふるっている。強制的に送還して路頭に迷わしておる。どこにも苦情の持っていきようがない。法務省に持っていったら、法務省は調査ばかりしておって何の回答もしていない。その場合には、たとえば行政管理庁にこういう苦情処理を持っていった場合に、法務省と外務省とそれから現地と、現地は大使館ですが、こういうものに対する調査まで——帰ったものはしようがないのであきらめろということであったならば、一面で海外発展を計画しながら、実際は行くところがなくなってくるということになる、こういう場合にどうなるか。いま思いつきで質問するのですが、管理庁に持っていけばずっともとをトレースして外務大臣に持っていかれるのかどうか。外務大臣というよりか、外務省が責任のがれになっておるのでありますから、ただ大臣に遺憾であると言われてみたところでどうにもならないわけですね。こういう場合の処置を苦情処理に出した場合、とことんまでいって、行政運用の間違ったやり方によって迷惑をこうむり、泣きの涙で帰ってきた者に対する救済措置がどこから出てくるか。これはいま思いつきですけれども、一応申し上げておきます。また他の機会にもっと詳しく申し上げますが、そういう場合の管理庁としてとるべき態度、これをひとつ承っておきたいと思います。
  76. 山口一夫

    山口政府委員 海外移住事業団の業務関係した苦情でございまして、非常に重要な問題であると考えております。お話しの点はしかし個別的の問題でございますので、よく具体的な実例をさらに伺い、またあるいは地方監察局苦情の申し出が着いているかもしれませんが、いまのところ中央ではこの件につきましては承っておりません。しかし申し出がありますれば、それに従いまして処理をいたしたいと考えております。      ————◇—————
  77. 福井勇

    福井委員長代理 この際参考人出頭要求の件についておはかりいたします。すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件調査のため、本委員会関係者を参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 福井勇

    福井委員長代理 御異議なしと認め、さように決定いたしました。なお、参考人出頭の日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 福井勇

    福井委員長代理 御異議なしと認め、さように決定いたしました。  暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕