○阪田
説明員
昭和三十六
年度の
日本専売公社の
決算及び業務の
概要につきまして、簡単に御
説明申し上げます。
昭和三十六
年度の
日本専売公社の
収入済み額三千五百五十四億円、これから
支出済み額千九百六十億円を差し引きますと、収支差額千五百九十四億円となっております。これは収支の
計算でありますが、総収益から総
損失を控除しました純利益で
計算いたしますと、その額が千六百七十七億円となります。
この純利益から専売公社法の
規定によりまして積み立てました固定資産及び無形資産の
増加額三十八億円を控除いたしますと、
専売納付金の額といたしまして千六百三十九億円となりまして、
予算に対しましては百五十億円、約一〇%の
増加と相なったわけであります。この
専売納付金は、専売公社法の
規定によりまして、
昭和三十七年五月三十一日に国庫に納付いたしました。
先ほどの純利益の額と地方に納めておりますたばこ消費税の額、この両者を
合計した額で申し上げますと、前
年度に比しまして二百七十七億円、一三・四%と
増加しておりまして、公社といたしましては三十五
年度に引き続きまして好成績のうちに
決算を終えることができましたわけでございます。
このような好成績をおさめました原因は、主としてたばこ事業でございまして、たばこの売り上げは三千二百八十六億円、
予算に比べましては二百二十四億円の
増加、前
年度に比べましては三百六十二億円の
増加となっております。前
年度に比べまして約一二・四%の
増加であります。
内容といたしましては、銘柄別に見ますと、ピース及びいこいの伸長が目立ちまして、またホープ、ハイライトのフィルターつきのたばこが大幅に
増加いたしております。
このため、たばこ事業の利益といたしましては、二千三百四十五億円、
予算に比べまして百九十八億円、九・二%の
増加となりまして、前
年度に比べましても約一一・二%の
増加になっておるわけであります。
たばこ事業の関係におきましては、製造たばこに対する需要が旺盛でありますので、なおかつ消費性向の変化にも対処いたしますために、製造面では設備の拡充、合理化をはかりまして、府中、茂木両刻み工場を近代的な両切りたばこ工場に転換いたしまして、また長期的展望に立ちまして製造能力の増強、生産性の向上、あるいは品質の向上を期しまして、たばこ事業の長期経営
計画を策定いたしました。この長期
計画におきましては、さきに平塚の試験場におきまして研究、テストいたしておりましたスレッシング方式の成果に基づきまして、これを逐次全工場に導入することにいたしまして、三十六
年度といたしましては、名古屋工場ほか五工場につきましてこの準備に着手いたしたわけでございます。
葉たばこの生産につきましても、将来の原料需要の増大、あるいは農業経営の近代化に対応いたしまして、増反対策への転換、省力耕作法の研究、普及並びに品種の改良等、前
年度に引き続きましてさらに積極的に
実施に移してまいりました。
塩事業のほうにおきましては、総売り上げ高は二百五十三億円で、
予算よりも七億円
減少いたしましたが、売り上げ原価におきましても
予定に比し、九億円の
減少でございまして、差し引きいたしますと、売り上げ総利益では、
予算に比べて二億円の
増加になっております。また、
経費面におきましては、極力経営の簡素化に努めまして、
予算に比べて二億円の
経費を節減いたしました結果、以上差し引きまして、営業利益におきまして、
予算よりも四億円
増加いたしました。
その他の営業外の損益を加減いたしますと、結局純利益は
予算に比べ四億円
増加いたしまして、一億円という額が出ましたので、塩事業といたしましては、ほぼ収支の均衡を保ったという
計算になっております。
これを前
年度、三十五
年度に比べますと、四十二億の利益の
増加ということになっております。三十五
年度におきましては、四十三億円を塩業整理に伴う
交付金として支払っておりますので、これを考慮いたしますと、三十六
年度はほぼ三十五
年度と同程度の成績であったといえると思います。
なお、国内塩の収納価格につきましては、三十六年十二月以降、包装白塩ベースで、トン当たり一万九百五十円と、従前に比べ、六百円の引き上げを行ないましたが、物価、賃金等の変動、企業の能率等に基づいて調整いたしました結果であります。
なお、塩業整理につきましては、三十五
年度をもって完了いたしまして、所期の目的をほぼ達成し、国内塩過剰といったような問題は解消いたしました。今後は塩の品質の向上、包装の改良等に意を用いてまいりたいと思っております。
なお、残されました国内の塩産業の合理化につきましては、三十六年五月に塩業
審議会から塩産業合理化方策要綱が答申されまして、塩産業が近代的な産業として自立、発展することができますよう、具体的な方策、
基本線が示されておるわけでありますが、公社といたしましてはこの
基本線を尊重しつつ、今後の具体的な実情をも十分しんしゃくして努力いたしたいと考えておるわけであります。
しょう脳事業につきましては、総売り上げ高八億七千万円、
予算よりも三千七百万円程度
増加いたしましたが、売り上げ原価も同じ程度
増加いたしましたために、売り上げ総利益は
予算に比べ二百万円余の
減少となりました。その他経営の簡素化につとめましたが、一方、造林仮勘定の除却等で雑損が出ましたので、結局しょう脳事業の利益は千四百万円の赤字となりまして、
予算に対しましては、千九百万円の
減少となりました。
なお、しょう脳専売制度につきましては、最近におけるしょう脳専売事業の実情にかんがみまして、三十六
年度をもってこの専売を廃止するという方針に基づきまして、しょう脳専売法を廃止する法律が第四十回
国会に提案、可決されまして、三十七年三月二十三日法律第十九号をもって公布され、同年四月一日から
施行されることに相なりました。
以上をもちまして三十六
年度の御
説明を終わりまして、次に
昭和三十七
年度について簡単に御
説明申し上げます。
三十七
年度の公社の
決算といたしましては、
収入済額は三千八百十四億円、
支出済額は二千三百三億円でありまして、差し引き千五百十億円、これを同様に損益
計算をいたしました純利益の額で申し上げますと千六百九十九億円となります。この純利益から、同様固定資産、無形資産の
増加額六十八億円を控除いたしますと、
専売納付金の額としては千六百三十億円となりまして、
予算に対しましては四十一億円、約二・六%の
増加となりました。この
専売納付金は、
昭和三十八年五月三十一日国庫に納付いたしましたわけであります。
事業の
内容につきまして申し上げますと、たばこの売り上げは、この年は三千五百四十六億円でありまして、
予算に比しまして二十五億円、〇・七%ほど
減少いたしました。前
年度に対しましては二百六十億円約七、九%の
増加であります。
予定よりも多少鈍化いたしたわけでありますが、
内容といたしましてはフィルターつきたばこの
増加が依然として著しく、またピース、いこい等も依然堅調でありましたわけであります。こういった関係で売り上げの総利益、たばこ事業の利益二千四百九十七億円、
予算に比して二十二億円の
増加、前
年度に比し、百五十二億円の
増加と相なりましたわけであります。
製造事業の関係におきましては、前
年度に引き続まして設備拡張
工事を進めておりました府中、岡山両工場がそれぞれ完成、操業を開始いたしました。また、長期
計画に基づくスレッシング作業方式導入工場といたしまして、名古屋、高槻、上田各工場の増改設
工事を進めまして、
年度末にはほぼ
工事が完成いたしまして、三十八年四月新方式による操業を開始し、また、フィルターつきたばこの旺盛な需要に対応するために、各工場につきまして、所要機械設備の充実をはかりましたわけであります。葉たばこの生産におきましても、前
年度に引き続きまして、原料需要の増大、農業経営
改善の方向に対処するため、各般の
施策を行ない、また増反を推進し、この
年度におきましては六千五百八十五ヘクタールの増反をいたしましたわけであります。
塩の事業におきましても一売り上げ高二百五十七億円、
予算より二十一億円
減少いたしましたが、売り上げ原価におきましても、二十八億円
減少いたしましたので利益の点では、七億円の
増加となっております。その他経営方面の
経費の節減に極力つとめまして、在庫の
減少その他もありまして、四億円の節減をいたしましたので、
予算では塩事業は六億円の
損失を計上しておったのでありますが、二億円の
損失にとどまりました。
なお国内塩の収納価格につきましては、塩業
審議会あるいは塩収納価格
審議会の答申に従いまして、三十七年四月以降、白塩(包装)ベースでトン当たり一万六百円と改定されました。これは実質的に言いますとトン当たり三百五十円の引き下げとなっております。これは企業能率があがってまいりましたこと、あるいは
経済条件の変わってまいりました点などを勘案して、調整したわけであります。
塩の売り渡し価格につきましても、
昭和三十七年四月以降上質塩の売り渡し価格を従前の白塩の売り渡し価格のベースまで下げましたので、これはトン当たり千円の引き下げとなったわけであります。
以上のほか、三十七
年度におきましては、公社が持っております唯一の直営製塩工場であります小名浜工場、これはパイロット・プラントとしてつくったものでありますが、その目的を達成したこと、並びに、最近の塩業事情などにかんがみまして、これを廃止する方針に決定いたしまして、三十七年九月以降操業を全面的に停止いたしますとともに、この工場の財産
処分につきましては、第四十三回通常
国会の議決を求めました結果、三十八年五月二十三日に可決されたわけでございます。
最後に、しょう脳事業につきましては、先ほど申し上げましたしょう脳専売法を廃止する法律が公布されまして三十七年四月一日から廃止されましたが、経過措置としまして粗製しょう脳の買い入れ、販売その他の業務を
年度途中まで行ないました。この
年度のそういう残務整理のための
損失といたしましては九億円、
予算に対しましては千五百万円の
損失の
減少ということになっております。
しょう脳専売法を廃止する法律の附則第六条の
規定によりましてしょう脳業者に交付した
交付金は、製造業者四百八十九人に対しまして五億五千五百万円、製造業者の組織する団体二十五団体に対しまして四百万円、
合計五億五千九百万円でありました。これによりましてしょう脳専売事業廃止に関する諸般の業務を全部終了いたしたわけでございます。
以上、簡単でありましたが、両
年度の
決算及び業務の
概要につきまして御
説明申し上げました。
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