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1964-03-25 第46回国会 衆議院 外務委員会大蔵委員会運輸委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十五日(水曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員  外務委員会    委員長代理 理事 安藤  覺君    理事 正示啓次郎君 理事 高瀬  傳君    理事 古川 丈吉君 理事 戸叶 里子君    理事 穗積 七郎君       宇都宮徳馬君    菊池 義郎君       鯨岡 兵輔君    佐伯 宗義君       竹内 黎一君    野見山清造君       福井  勇君    三原 朝雄君       松井  誠君    永末 英一君  大蔵委員会    理事 臼井 莊一君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君       宇都宮徳馬君    小松  幹君       佐藤觀次郎君    竹本 孫一君  運輸委員会    委員長 川野 芳滿君    理事 西村 直己君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君       高橋清一郎君    高橋 禎一君       内海  清君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         外務事務官         (経済局長)  中山 賀博君         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (海運局長)  若狹 得治君         運輸技官         (船舶局長)  藤野  淳君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    鈴木 秀雄君         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  経済協力開発機構条約締結について承認を求  めるの件(条約第一号)      ————◇—————
  2. 安藤覺

    安藤委員長代理 これより外務委員会大蔵委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  本日は、都合により委員長が出席できませんので、委員長の指名により理事である私が委員長の職務を行ないます。  経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  前会に続いて審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 OECDに関連して、海運対策、そういうものに中心を置いて二、三お尋ねするのですが、この前の連合審査松平委員からおおよその質問がありましたので、私は簡単にお伺いしたいと思います。  まず第一に、OECD加盟を決意されたのはたしか昨年の初めだと思うのであります。そのときに、海運の問題についても、やはり一昨年の秋以来の懸案事項として、言うならば二年ほど前からの懸案事項として、昨年の当初においては海運再建二法ということで、集約を中心にした政策を固めたわけだと思うのであります。そのときに、OECD加盟を決意されたとするならば、当然OECD加盟についての、いわゆる今日問題になっております外国用船規制解除というか、緩和というか、そういうものがどういう情勢になってくるかを織り込んだ海運対策があってしかるべきだと思うのであります。これは運輸大臣がおられませんから政務次官にお尋ねしたいと思うのであります。その当時、そういう要素を織り込んで、計算済みの上で再建二法を昨年の通常国会傍頭にお出しになったのかどうか、これをお尋ねしたい。
  4. 田邉國男

    田邉政府委員 海運再建整備法案の当時においてはさような考慮を払っておったかというお話でございますが、当時においてはさような問題については考慮をしておらなかったわけでございます。しかしながら、海運については、当然、世界開放経済の上に立って、そして世界競争に立っていかなければならぬということで、あの二法案が出たわけでございますから、その方向に沿ってあの二法案を推進をしたということになるわけでございます。
  5. 久保三郎

    久保委員 大体OECD海運に対する原則論はどういうようになっておりますか。これは外務大臣にお尋ねしたいと思います。OECD海運に対する対策ですか、政策ですか、その基本はどういうふうになっておりますか。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 海運自由の原則でございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 自由の原則というのは、言うならば、一切の規制はない、たとえば外国用船に対する今日あるところの規制は、そういうものは自由に反する、こういうふうに認めておったかどうかですね、これはいかがですか。
  8. 中山賀博

    中山政府委員 考え方としては、海運自由、それから無差別ということが基本になっていると思います。しかし、御案内のとおり、いろいろ例外がありますが、考え方はあくまで自由、無差別にするということでございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 そうすると、経済局長に重ねてお尋ねしますが、いまの御説明だと、原則としては無差別、自由である、こういうことだと思うのでありますが、もちろん、OECD加盟国の中でもそれぞれの留保をつけておる。その中には特にアメリカがございますね。あるいは実際的に国内法でドイツなりあるいはフランスがそういうものをやっておるのもあります。そういうものと比較して日本用船規制はあまり抵触しない、こういうふうにお考えになっておられたかどうか。
  10. 中山賀博

    中山政府委員 OECD加盟の話はだいぶ前からあるわけでありますが、二つ規約につきまして具体的な話が出てまいりましたのは、去年の六月OECD事務当局の人が来まして、いろいろ御照会しているわけであります。もちろん、われわれといたしましては、それまでに規約は研究しておりましたけれども、先方の考え方、あるいは具体的な運用等についてはそのとき詳しく承知したわけでございます。そこで、仰せのとおり、アメリカが重大な留保をしておりますし、あるいはフランス等においても留保しないで実際上、慣行上いろいろ規制をしておるというふうにも聞いております。ただ、考え方といたしましては、わが国の根本的な海運政策というものから考えて、やはり世界は自由にし、無差別ということを今後も主張していくというためには、わがほうとしてもできるだけ自由な海運政策は従来からとっているわけでございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 いまのお話ではよくわかりませんが、諸外国でそういうようなことをやっていたのも事実わかっていた、しかし、原則として日本海運政策はいわゆる海運の自由という原則でいく、こういうお話でありますが、海運の自由ということになりますれば、当然のごとく、用船規制などは実際にはあるべき筋合いではないのです。だから、そういうものは認められるものとして大体作業を進めてきたのかどうか、私の聞きたいのはこういうことなんです。
  12. 中山賀博

    中山政府委員 各国それぞれの事情がございますから、一応自由の原則に立っておりますけれども、相手方と交渉してみて、相手方考え方も聞き、またわが国の置かれておる特別の事情も説明して、話し合いで合理的な解決をはかりたい、かように考えてまいりました。
  13. 久保三郎

    久保委員 それでは重ねてお尋ねしますが、北欧三国、ノルウェーその他日本造船所で約百万トンくらいの造船を今日発注してやっておるという事実は御存じであったかどうか。そうして、しかもこの百万トン程度の船は日本を基点にする極東海運市場に出す、こういう情勢御存じなかったかどうか、いかがですか。
  14. 中山賀博

    中山政府委員 北欧の三国その他の国から日本造船所に対してたくさんの注文が来ておるということは存じております。また、これらの多くのものが近辺の航路に使われるということも承知しております。
  15. 久保三郎

    久保委員 海運局長おられるから、いまのような情勢がわかっておるとすれば、当然のごとく、OECD加盟となれば、この北欧三国はまず第一に先頭を切って日本用船規制をはずせという要求が出ることは予測するに何もかたくはないと思うのです。そう思いませんでしたか、いかがですか。
  16. 若狹得治

    若狭政府委員 OECD加盟に際しましてそういう要求が出るということも当然予想されたわけでございますけれども、先ほど政務次官からお話しいたしましたように、海運というものはそもそも自由な競争によってその経営を行なうということが本来でございまして、海運整備というものもそういう目的のためにつくっておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、日本海運企業再建整備ができました暁におきましては、もちろんそういう制限は撤廃するということでございますので、そういうことで御了解を得て、できれば留保していただいてOECD加盟していただくということが日本の国情にも合いますし、また、OECDの従来の経緯から申しましても、そんなに大きな困難があろうというふうには考えておらなかったわけでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 大きな困難がないだろうと思っていたが、では、今日大きな困難があるかどうか、いかがですか。
  18. 若狹得治

    若狭政府委員 御承知のように、この前の委員会でも御指摘がありましたように、アメリカOECD海運自由化等につきましては全面的に留保しておる。それから、フランスにつきましては、留保しておりませんけれども、実質的な規制を加えておるというような状況でございましたので、日本特殊事情というものを説明していけば、これは了解していただけるんじゃないかというふうにわれわれとしては感じておったわけでございます。問題は、北欧諸国日本石油会社等長期用船契約をすることによって一つシェアを持ってしまうということにあるわけでございまして、そういうものがそう多数に出てくるかどうかという点についてわれわれは大きな関心を持っておりましたけれども、現実的にいろいろ石油業界情勢その他を検討してみますと、日本船競争力がまだついておらないという事実がございましたので、われわれは想像以上にこれはシリアスな問題であるということで真剣に検討したというような経緯でございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 ずいぶん甘い見方をしておられたと思うのです。専門分野であるところの運輸省北欧三国の出方も知らぬ。外務省は、これはもちろんそれを受けて立つのでありましょうから、知らなかったといえばそれまでであります。少なくとも、われわれから見れば、海運再建という二つ法案の成立さえできれば何とかここで日本海運は立ち直るというだけであって、OECD加盟に伴うところの影響あるいはほかの加盟国出方、こういうものについては非常に甘く見ておったと私は思うのですが、それはいまになってそう思いませんか。どうです。
  20. 若狹得治

    若狭政府委員 ただわれわれは海運について制限を加えるということが趣旨ではございませんで、そういう制限を加えるといたしましても過渡的な問題でございますので、本来海運の自由という目的のもとにあらゆる政策を集中的にやっておるわけでございますので、そういう意味におきましては、北欧三国の主張もわれわれよくわかるわけでございます。これを現実問題として、国内問題としてどう処理するかという問題が残るわけでございます。したがいまして、できるだけ早く海運再建を推し進めよう、ことに、いま問題になっておりますような長期用船契約についての対策をはっきり立てていくことによって、この問題は処理できると考えたわけでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 それはあとからつけ足した話であって、通産大臣はいまおいでになりませんが、当時通産大臣も、OECDということでありませんが、開放経済になったとき、IMF八条国に移行した場合に用船規制はどうなるか、こういう質問に対して、私に答えたのは、これは本会議だと思うのですが、何らかの形でこれは残さなければならぬ、こういうふうな政府答弁をしているのですよ。そうだとすれば、いわゆる海運再建のためには用船規制はある程度残していくという原則に立っていたわけです。そうでしょう。あなたの言う原則論というか、海運の自由の問題はもちろんわかりますが、海運の自由がありながらも、日本海運再建のためには用船規制はやはりどうしても存続する必要がある、IMF八条国移行の後においてもそうだというなら、OECD加盟後もそうだといまでも思っているのですか、それはどうですか。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 いま久保委員が御指摘のとおり、運輸省当局からは終始留保をつけてという強い御要請がございました。OECD事務局日本政府との間で話し合いが進みまして、最後に残ったのは、いま御指摘長期用船契約期間の問題が残ったわけでございます。それで、これを生かして加盟を見送るべきか、この場合海運当局に御理解をいただいて加盟を進めるべきかという選択に政府は迫られたわけでございます。そこで、政府といたしましては、いま久保委員が御指摘のように、海運再建二法を軸とした海運政策のフレームはきまっているわけでございますが、この際思い切って、三十九年度予算編成を目睫に控えておりました段階でもありますし、この際一連の海運政策というものをず太く推し進めるという方法を講じることによって、わが国海運業体質を強化して、そうして、最初運輸省が予定されておりました留保程度でなくても乗り切れるだけの体質を整備してまいるという方針によりまして、御案内のように、本年度予算につきましては、海運に格段の御心配をいただいたわけでございます。したがって、御理解いただきたい点は、運輸省当局は終始いま御指摘のような態度でまいりましたが、ことしの予算編成から、政府といたしましては、海運政策について特段の配慮を新たに加えることによってこの困難を克服していくという態度に踏み切って、そうしてOECD加盟ということもあわせて実現するという決断をいたしたわけでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 外務大臣お話運輸省をかばっておられますので、たいへん仲のいい態度でありますが、現実の問題としては、政府として一つ大きな政策を立てる場合に、後において条件変更のたびにさらにこれを変えていくということは、同じ時点において二つのものがあるんでありますから、やはりもう少し検討なされて対策を立てるべきだと私はいまでも思っているのです。  それで、OECD加盟の場合のいわゆる用船規制をはずせという主張北欧三国から出るのは火を見るより明らかなんですね。というのは、アメリカ北欧三国とでは、関係はございますが、海運関係では日本アメリカ関係ほど深くはない、こう思うのです。しかも、それに反して、日本海運国であるこの北欧三国は、極東市場において十分な競争というか、シェア取りっこが始まることは当然です。いままでもやったんですから。だから、ここでOECD加盟すれば、当然のごとく北欧三国から、おまえのところの用船規制ははずせという要求が徹底的に出ると思うのです。でありますから、そういうものを含んで、私は、昨年の通常国会で、本会議場海運二法にからんでだめ押しをしたのです。残すんでしょうねと言ったら、残す、こう言う。だから、結局、海運政策というか、対策は大きくこれでまた再び変わってきたということです。先ほど海運局長船腹増強によってこれを何とか乗り切っていくんだと言う。これもあとから御質問申し上げますが、すでに松平委員がこの前の連合審審会でも質問したとおりであります。だから、ずいぶん問題があります。  それから、もう一つは、用船規制をはずすことによって、先ほど外務大臣の御答弁では、三十九年度予算でいわゆる新しい対策を立てたということですが、これはいわゆる新造船に対して開銀融資を一割程度上げるということだと思うのです。海運局長にお尋ねしますが、それだけですね。
  24. 若狹得治

    若狭政府委員 予算的には、問題になっております長期用船契約の対象となるべきタンカー並びに石炭及び鉄鉱石専用船融資率を一割引き上げるということと、具体的には、実際措置といたしまして、開発銀行に対する償還の据え置き期間延長を行なうということでございますけれども、それ以外に、たとえば長期にわたる建造の発注ができますように、実際の行政措置といたしまして、翌年度以降建造するものについても融資承認を与えるという措置をとる、あるいは鉄鋼価格につきまして邦船輸出船との建造価格差をできるだけなくしていくというようないろいろな方策をとりつつあるわけでございます。予算的には、いま久保先生の御指摘になりましたように、融資比率を一割引き上げるという問題だけでございますけれども、それ以外の措置を並行的に推進することによって、外船との差をこの際なくすという方式をとっているわけでございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、それでどの程度の効果があがりますか。
  26. 若狹得治

    若狭政府委員 OECD加盟当時の日本船外国船との競争力の差ということをわれわれ検討したわけでございます。現実長期用船契約についての外船のオファーがございますので、それとの比較を検討してみますと、やはり大体三%程度の差があるんじゃないだろうか。ただ、実際問題として、日本産業界日本船を使用するほうがいろいろな面で利益があるということでございますので、この対策としては、大体一%程度運賃率を引き下げることができれば、それに産業界協力を得て外国船との競争ができるんじゃないだろうかというふうにわれわれ考えまして、われわれの対策目標としては一応一%を目標にしたわけでございます。いま融資率引き上げあるいは据え置き期間延長というような問題、あるいは鉄鋼価格の調整というような問題が出ましたので、われわれとしては、一%程度運賃の引き下げということは可能である。したがって、日本産業界協力があれば十分外船と対抗していくことができるというふうに考えているわけでございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 三ポイント程度のメリットがあるそうでございますが、やってみなければわかりませんけれども、それにしても、簡単にいまあなたがお答えになったような仕組みに日本海運取り巻く諸情勢はなっておりますか、いかがですか。たとえば、一番問題なのは輸入物資の積み取り比率の問題であります。そういったものをとった場合に、いまおあげになったようなことでうまくいくと自信を持ってお答えになることができますか。
  28. 若狹得治

    若狭政府委員 当時、経済団体連合会におきましても、この問題について真剣な討議をお願いしまして、具体的に荷物の積み上げ地輸送経路というものを検討いたしまして、どの程度日本船で積み取ってもらうかということを詳細に検討した結果、昭和四十二年度までの一応の計画ができまして、そういう具体的な資料に基づいて、われわれとしてはこういう対策をつくればその程度まではいけるという確信を持っておるわけでございます。今日までのところ、本年度明年度造船等においても、昨年の秋に経済団体連合会で検討いたしました数字の長期契約のものがどしどし出てまいっておるような状況でありますので、大体現在のところではそういう程度のものは十分こなし得るだろうというふうにわれわれは考えております。
  29. 久保三郎

    久保委員 鉄鉱専用船一年、タンカー二年ということでありますが、この条約発効に基づいてそれぞれの規制がはずれるわけでございます。また、はずしていくものもありますが、そういう時期と、いまもお話があった新しい対策による新造船は時期的に合うのですか。解除の時期とそういうものと合うのですか。
  30. 若狹得治

    若狭政府委員 昨年の暮れに決定いたしましたOECD対策による融資率引き上げあるいは据え置き期間延長等の問題はすでに実施いたしておるわけであります。われわれは、用船規制が撤廃されるまでの間にはっきりした基礎をつくってまいりたいということで現在進めておるわけでございますので、昨年合理化審議会等におきまして決定いたしました対策はすでに実施いたしておるわけでございます。したがいまして、用船規制解除されるまでの間には、日本船シェアというものも確立しまして、また、解除されましても十分これに対抗して日本船の積み取り比率を増加していくことで問題を解決することができるというふうに確信を持っている次第でございます。
  31. 久保三郎

    久保委員 あなたのことばを疑うわけじゃありませんが、それじゃ、その対策に基づいて発注している船はいつ第一船ができるのですか。
  32. 若狹得治

    若狭政府委員 昨年の暮れから、すでに融資率引き上げるということによって建造した船舶が、十九次船の後半期はほとんどそれでございますが、本年半ばごろからすでに就航するということになるわけでございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 そこで、もう一点お尋ねしますが、これは外務大臣にお尋ねしたほうがいいと思うのですが、OECD加盟会議において、日本用船規制の問題をしつこく要求はした。しかし、いれられないので、一年、二年ということで、あとはみんなオープンにするということになった。しかし、将来にわたって海運は自由であるというこの機構原則、そういうものについて、特にシップ・アメリカンについては日本側としては主張しただろうと思うのですが、主張したことについて、関係各国の間で、アメリカはもちろん除いたでしょうが、たとえば北欧三国なら三国、これは強硬に用船規制をはずせと言ったんだから、反対給付と言っては語弊がありますが、これらの国々に対してシップ・アメリカンの撤廃の協力について何か確約でもお取りになりましたか。
  34. 中山賀博

    中山政府委員 シップ・アメリカンの話も出ましたけれども、確約というものはございません。ただ、すでに、この海運問題につきましては、ヨーロッパの国とわが国とは、多くの場合に、ことにシップ・アメリカンの問題に関しましては利害が一致しておりますので、あるいは共同動作をとったり、あるいは単独動作ですけれども、ヨーロッパの国に並行的な動作を従来からとってまいっております。したがって、まだOECDには加盟いたしておりませんけれども、いまでもすでに、シップ・アメリカンの問題につきましては、たとえば最近の海事法二十一条の問題等につきまして、共同動作をとっております。
  35. 久保三郎

    久保委員 共同的なものをとっておるとおっしゃったが、当然、私は、用船規制をはずす条件と言っては語弊がありますが、それはそれなりにやはり協力を求めるという固い約束なり具体的な方策があってしかるべきだと思うのです。共同動作をとったということは、抗議を申し入れるというだけでしょう。それでは意味がないのじゃないですか。どうですか。
  36. 中山賀博

    中山政府委員 二月の十二日から十四日までパリでOECD海運特別議会がありましたし、その後も二月の中旬に引き続いて専門家会議が開かれております。問題は非常に専門的になりますし、かつアメリカとの関係もありますので、公表されていない部分もあるわけでございますけれども、私は、やはり、日本ヨーロッパの国と組んで一緒になってアメリカに当たることは、具体的な利害、具体的にあらわれている点もありますけれども、また精神的にも大きなわが国に対する支柱になっておると思います。
  37. 久保三郎

    久保委員 あなたがおっしゃる、公表できないものもあるというのは、公表できないものは最も大事なものかもしれませんけれども、ことばじりをつかまえるわけではありませんが、精神的支柱じゃなかろうかと思うのです。精神的支柱だけではめしは食えないのじゃないですか。海運問題はいわゆる経済の問題です。私はそういう点を聞いておるのですよ。具体的にどういう方法をとるのか、どういう約束をされたのか、それはありませんか。何もなかったですか。
  38. 中山賀博

    中山政府委員 御存じと思いますけれども、アメリカ運賃同盟のきめた運賃に対してある程度の干渉をするために、諸外国に対して文書提出を求めている。ことに、アメリカにある文書だけではなくて、外国にある文書等についても提出を求めておる事件がございます。こういう問題につきましては、一緒抗議もし、また具体的な成果をあげていくんじゃないかと期待しております。
  39. 久保三郎

    久保委員 海事法に基づく書類の提出についてのお話ですね。それは当然である。これは外交的問題であって、海運の直接の問題ではないと私は思うのですよ。なるほど海運には関係していますが、これは外交の問題です。海運対策というか、そういうものに直接つながるものじゃないのですね。シップ・アメリカンで一番困るのは何か。自国船主義でやられているところに問題があるわけですね。たとえば、この間の小麦の輸送についても、 コマーシャルベースでさえ手を出してくるというところをどうするかが問題でしょうね。もちろん、あなたのいまの御答弁になった問題も大事ですよ。日本という国、これからとにかくわが国にあるところの書類提出までも求めることは、国際慣例にも反するでしょう。国際法というか、そういうものに対しても疑義があるのですから、それはそれでいいのですよ。  海運局長に聞きますが、シップ・アメリカンの壁は薄いか厚いか、どうです。
  40. 若狹得治

    若狭政府委員 いま小麦の問題について御指摘がございましたが、これにつきましては、わが国から数回にわたって抗議しておりますし、また、シップ・アメリカン自体につきまして、わが国のみではなしに、ヨーロッパ諸国も共同いたしまして抗議を続けておるわけでございます。ただ、実際問題としては、アメリカの援助物資あるいは借款物資等につきましては、むしろ原則的に一〇〇%米船で運ぶというような考え方で問題を処理しつつあるということは事実でございます。こういう方向で海運の自由を妨げるということも事実でございますので、今後とも根強くわれわれとしてはその修正を迫っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、先ほど経済局長からシッピング・アクトの問題についてのお話がございましたが、現に、OECDの特別委員会におきましては、わが国も参加いたしまして、具体的な運賃調査の問題についても各国の共同した歩調をとるための協議を現在行なっておるような状態でございますので、これは単に文書の問題だけではなしに、具体的な運賃の決定をアメリカ政府として行なうということについての国際慣行に反する問題でございますので、これについての具体的な措置というものをOECDの中で検討していただこうということで、現在わが国もこれに参加しておるわけでございます。そういう意味におきまして、OECD海運の自由化条項というものによって、われわれとしても今後ともいろいろな施策を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  41. 久保三郎

    久保委員 会議に参加してやっているということでありますが、これは今日に始まったことでありませんで、いままででもやっていることでありましょうが、どうもわれわれよくわかりませんけれども、会議さえ開いて文書か何か持っていけばそれで事足りたというふうにも考えられる。それ以上のことというのは、海運の自由にしても、いわゆる自分の自由が制約されることを除くということも自由だと思うのですね。海運の自由というのは何でもみなオープンだ。大体、海運の自由というのは、御承知のように、言うならばイギリスが先べんをつけた思想でありましょう。イギリスは海運の自由を唱えたほうが当時としては実際よろしかった。いまでもそうでしょうが、世界の一大海運国という立場を利用して、海運は自由である、こういう形をとっておった。最近の傾向は、海運の自由といっても別な形が出てきたというふうにわれわれは考えております。ところが、日本海運の自由というのは、初期におけるところの海運自由化、そういうものだけに今日固執されておりはしないかという考えを私は持っているのです。たとえば、運輸省内部でもここ二、三年来多少論議されているようでありますが、海上運送法の改正によっていわゆるシップ・アメリカンに多少でも対抗するという、政府の口からは言えないでしょうが、そういう考えをわれわれ自身は持つべきだと思う。そこで、外務大臣にお尋ねしますが、海上運送法の改正によって、いわゆる報復手段と言っては誤弊があるが、やはりわがほうの権益を守るというようなことを考える必要があると思うのです。事実運輸省内部ではそういうことをやって外務省と何回か折衝されたと思う。ところが、今日まだ日の目を見ないのが現実です。こういうことに対してどう思いますか。
  42. 大平正芳

    大平国務大臣 シップ・アメリカン政策に対していろんな抗議はしておるが、一向実効があがらないじゃないかという御指摘でございますが、ただいままでのところは、おっしゃるとおりだと思うのです。OECDの仕組みから申しますと、アメリカOECDの自由化コードでどれを留保するかということはアメリカの主権に属することでありまして、OECDが押しつけるわけにはいきませんので、したがって、有権的にOECDアメリカにぐうの音も言わせないように押えつけることはできないことは御承知のとおりでございます。ただ、先ほど経済局長海運局長からもお話し申し上げましたとおり、欧州の海運国わが国とが一緒になりまして常時プレッシャーをかけてまいるということによってどれだけ効果が期待できるかという問題であろうと思うのでございます。これは相当時間がかかるし、相当精力がかかることではございますが、われわれはそういう目標に対して執拗にやっていこうということでございます。OECDのメカニズムばかりでなく、あらゆる機会を通じてやらなければならぬことであると心得ております。それから、あなたが御指摘のように、外交問題でもございますので、これはあらゆる機会をとらえて私どもとしては努力すべき問題であります。  それから、第二点として、アメリカに対してこちらがいかなる対抗措置を講ずべきかという問題でございます。これは、アメリカシップ・アメリカン政策というのが世上で非常に問題になっておりますけれども、まあ声を大にして言われるほど実績もあがっていない。積み取り率もだんだん落ちてきているし、船腹の調達もなかなか容易ならぬという、アメリカ自身の海運業が置かれている立場もなかなか容易でないものがあると思うのでございますが、それはそれとして、われわれがこれに対しての対抗措置を講ずる場合に、これは、日本全体の経済的な利益を踏まえて、各般の関係を見て、実行可能であり、しかも有効な措置を考えなければいけないのでございまして、観念論でなくて考えてまいらなければならぬと思います。と申しますのは、アメリカわが国との間柄というのは、非常に分厚い関係、いろいろな関係がございまして、私ども、対米関係を処理しておりまして、一つの国として対処しておりますが、一つの国にしては大きな経済圏でございますし、事実わが国の三分の一くらいの貿易量を持っておる国でございまして、いろいろな関連を持っておりますので、その関連の網の目の中でわれわれがとる措置というものはどのように位づけていくのがいいか、そしてどういう方法が有効かというような点については、十分考えた上で措置すべきものと私は考えます。それでは、いま日本政府としてどういう措置を具体的に考えておるのかという御質問でございますれば、私の手元までまだそれはまいっておりませんので、いまお答えができませんけれども、考えている方向としては、私はそういうふうに考えます。
  43. 久保三郎

    久保委員 いま外務大臣がおっしゃった、シップ・アメリカンの影響というか、そういうものは大したことはないという一つの側面の見方もあります。これは事実です。しかし、もう一つの側面としてあるのは、対米航路のいわゆるオープン・コンファレンス等の航路の撹乱作用が一番困るということなんです。この撹乱作用に対しても、やはりわがほうの権益擁護のためには海上運送法なり何なりを改正してやるべきだと私らは年来主張しておりますが、そういうことについてまだあなたのお手元へは行ってないとおっしゃるのでありますから、ここであらためて海運局長に聞くが、そういうことはどういうふうになっておるのか。
  44. 若狹得治

    若狭政府委員 海上運送法を改正いたしましてアメリカのシッピング・アクトに対抗するような措置をとれるような規定を置くということは、われわれの手元におきましても従来検討いたしてまいっておったわけでございます。ただ、最近のOECD会議におきまして、アメリカ側から、個別的な各海運会社に対する文書提出要求はこれを取りやめて、集団的にあるいは国と国との関係においてこれを処理していこうという提案がなされておるというような状況でございますので、これについて現在OECDの先ほど申し上げました海運の特別委員会において検討を加えておるというような段階でございますので、われわれが長い問欧米の各国とシッピング・アクトの問題につきまして抗議を繰り返してきた成果が少しずつあらわれようとしているのではないかということで、そういう推移も見きわめました上で海上運送法等の問題については最終的な結論を出していくというふうに考えておるわけでございます。本来各国がそういう個別的な法律規制海運について加えるということは決して望ましいことではございませんので、なるべくならばこういうような法律規制をない状態にしていきたいということがわれわれの年来の考え方でございますので、アメリカのシッピング・アクトの運用がOECD会議等において表明されたように今後変わってくるということが想像されるならば、海上運送法は急いでこれを改正する必要はないのではないかというような考え方で、目下その問題の推移を見ておるというような段階でございます。
  45. 久保三郎

    久保委員 あなたのお話だと、どうもつかまえどころがないようなお話で、OECDの出ようというか、それらの国の成果に期待しているというところに力点があるようでございますが、そういう情勢であるかどうかは、これからよく見ればわかると思うのであります。そういうことで情勢を見るというならば、用船規制がはずれても何にも問題はないというふうに、極端に言えぱとれますよ。私が聞きたいのは、そういうOECDの国々が、いまアメリカを除いての国々が一致してこれからさらに行動を起こすということに期待を持っているのだというならば、それほどにアメリカシップ・アメリカンという壁は薄いのか、こう聞きたいのです。そういうもので対抗できますか、こう聞きたいのです。端的にいかがでしょう。
  46. 若狹得治

    若狭政府委員 もちろん、シッピング・アクトの問題につきましては、たとえばわが国のニューヨーク航路の問題等がございますが、これにつきましては、現在御審議いただいております予算によりまして、ニューヨーク航路の現在経営しておる会社を一本にいたしまして、完全なるプール計算のシステムを実行することによって盟外船に対抗していこうというような措置もあわせてとっておるわけでございます。同時に、OECDへの加盟によりまして、欧米の各国とともにシッピング・アクトの運用面の緩和という面について今後とも努力を続けるという、二つ方策をあわせ行なうことによって、この問題に対処してまいりたいと考えております。
  47. 久保三郎

    久保委員 お話でありますが、ニューヨーク航路の一本化は、あなたがおっしゃる効果をねらっての対策ではないでしょう。日本海運界の基盤強化には五年という期限がつけてある。五年以前には、あるいは効果が出るかもわからぬが、なかなかそう簡単には、一年や二年でこれが回復するとは思っておらないのであります。そうだとすれば、いわゆるシップ・アメリカン政策に対抗するのに、ニューヨーク航路一本化ということは筋が通らぬのであります。やはり日本の航路はそれぞれいくのでありますから。そう思っているのですが、それは間違いでしょうか。
  48. 若狹得治

    若狭政府委員 シッピング・アクトの関係で、なかなか同盟が安定しないということでございますので、それに対応する措置として、日本船の徹底的な合理化を行なうということと、日本船が全体として盟外船に対抗するというようなことをあわせ行なうわけでございますので、われわれとしては、十分この一本化によってニューヨーク航路のシェアを確保し、また今後ともわが国の積み取りをふやしていくことができるというように考えておるわけであります。
  49. 久保三郎

    久保委員 二面を持ったと言うが、基盤強化ができて、なおかつ余裕があって、初めて盟外船に対抗ができると私は思うのです。二つあわせてなんて器用なまねができますか。いかがですか。
  50. 若狹得治

    若狭政府委員 そういう方向で今後とも努力してまいりたいと思います。
  51. 久保三郎

    久保委員 努力するということでありますが、私も精神的な希望だけは持っていましょう。  それから、もう一つ関連してお伺いしたいのは、先ほど海運局長がおっしゃったように、船腹の増強をこれからやって、それで対抗していくというか、やっていこう、こういうことにとったわけですが、伝えられるところによれば、四十二年までに海運収支は大体とんとんにしていこう、それには大体三百七、八十万トン建造しなければいかぬというので、建造の方式と保有の方式でいま運輸省の内部ではそれぞれ案を練っているそうでございますが、そのとおりでございますか。
  52. 若狹得治

    若狭政府委員 海上運賃だけでございますけれども、一応昭和四十二年度運賃の収支をバランスさせるにはどの程度建造したらよろしいかという試算はいたしておるわけでございます。現実的にわが国海運企業の基盤の問題もございますので、そこまでなかなか急激に伸ばすことができないという実情でございますし、また、各虚業界のいろいろな要求もございまして、現在具体的な計画を策定しておるという段階でございます。
  53. 久保三郎

    久保委員 船腹を増強すれば海運収支は黒字になりますか。いかがでしょう。
  54. 若狹得治

    若狭政府委員 もちろん、計画どおり増強することができるならば、海運収支はバランスすることができると考えております。
  55. 久保三郎

    久保委員 そんなに簡単にいくというお考えの基礎はどこにありますか。簡単に言えば、いわゆる船が足りないから外国の船に載せてくるから、それで赤字だ、だから、船をつくればかってに自由に積めるのだから、海運収支は赤字から黒字に転換できる、こういうふうにおとりになっているのですか。いかがですか。
  56. 若狹得治

    若狭政府委員 もちろん、船腹増強にはいろいろな問題がございまして、ただ船をつくりさえすればということを申し上げておるわけではございませんで、具体的には各産業界の需要にマッチしたものをつくっていく、それから、長期運賃あるいは積み荷の保証というものを前提にして現在建造いたしておりますので、そういう面からどの程度の余裕があるかということを現在検討している段階でございます。
  57. 久保三郎

    久保委員 大体において、ある人の言うことには、輸入の積み取り比率を一〇〇%まで上げても、港湾経費では約二億ないし三億ドルの赤字が出るという。これは容認しますか。
  58. 若狹得治

    若狭政府委員 具体的な数字を見てみませんと何とも申し上げることができませんけれども、現実的な海運収支全体の問題といたしましては、たとえば三国間輸送に基づく外貨収入というものがございます。それからまた、外国用船料の支払いとか、あるいは日本船外国へ貸しておるための収入というようないろいろなものが海運国際収支をきめておるわけでございます。そう単純に、一〇〇%日本船をつくっても港湾経費がマイナスになるからマイナスであるというような結論はむしろ出ないわけでありまして、港湾経費の面から見まするならば、今後大量に建造しようというものは、タンカーあるいは鉄鉱石、石炭の専用船でございます。この港湾経費の比率を見ますと、大体運賃収入について一五%程度の港湾経費の支払いをいたしておるわけでございます。ですから、そういうような、いま一〇〇%日本船をつくっても港湾経費の面でマイナスになるというのは、どういうような仮定に基づいての議論かわかりませんけれども、私はむしろ港湾経費が非常に大きいことに驚いた乱暴な議論ではないかというように考えております。
  59. 久保三郎

    久保委員 この人の言うことは私も十分には真意をはかりかねますが、ただ、日本の船がそれぞれの外国の港に入ると、港湾経費はかさむわけですね。簡単に言えばそうでしょう。しかも、日本の港湾経費に比較して倍あるいは三倍、もっとになるところもあるでしょう。そういうのを計算に入れてのお話だと思うのですが、そういうことは考えられませんか。
  60. 若狹得治

    若狭政府委員 港湾経費は、たとえば定期船におきましては、運賃収入の約四〇%程度の支払いがあるわけでございます。これは非常に大きい額でございます。それから、タンカー専用船につきましては、先ほど申し上げましたように一五%程度でございます。したがいまして、船をたくさん建造するから港湾経費がふえてマイナスになるというようなことは、私はないと考えております。
  61. 久保三郎

    久保委員 そこで、あなたは、海運収支の中で三国間輸送に回す船もある、こうおっしゃいましたが、なるほど理屈だけからいけばそのとおりでありますが、三国間輸送というのは年々歳々ずっと鈍化している傾向ではないでしょうか。だから、あまりこれに期待をかけられないのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  62. 若狹得治

    若狭政府委員 三国間輸送は、御承知のように、たとえば船員の交代の問題であるとか、あるいは船舶の修繕の問題であるとかいうようないろいろな困難があるわけでございまして、なかなか伸びないのが実情でございます。大体年間五千万ドル程度でずっと推移いたしておるわけでございます。昨年度実施いたしました海運対策によりまして日本船のコストを軽減することができるという状態におきまして、今後さらに三国問の輸送奨励制度を強化してまいりますので、われわれとしてはできるだけ三国間輸送を増加さしていこうということを現在考えておるわけでございます。
  63. 久保三郎

    久保委員 三国間輸送については悲観的な見方は同一でありますが、そういうことに期待できないところに日本の貿易あるいは海運の構造の問題があると私は思うのです。だから、これを変えない限りは、どんな対策をとってもだめだと私は思っておるのです。全部ではありませんが、そうメリットは上がらぬ、こういうふうに思うのです。  そこで、船腹増強の問題でありますが、先ほどの、だれかが言ったことば、これは極端な話かもしれないが、日本海運業の基盤強化と船腹増強は必ずしもこれは両立しないと思うのですが、その点はどうでしょう。
  64. 若狹得治

    若狭政府委員 やはり、船舶建造条件によってそういう議論も出るかと思いますけれども、現在のところは、採算的に見て、海運企業の経営基盤の強化に役立つものの建造のみを認めているという状況でございますので、われわれといたしましては、その限度が一体どこまでそれにたえ得られるかということをもっと検討してまいりたい考えております。
  65. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、四十二年度までに海運収支をとんとんにするということは、これはコンクリートな意見ではございませんね。
  66. 若狹得治

    若狭政府委員 さようでございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 そうすると、目標でございますか。
  68. 若狹得治

    若狭政府委員 目標として一応試算いたしました程度でございます。
  69. 久保三郎

    久保委員 そこで、たとえばとんとんにするという船腹量だけはじくことが可能かもしれませんね。これは算術でありますから、算術はやりようで答えが出てまいりますから。ただ、問題は、その場合にはたしてその計画どおりにいくかどうかがやはり一つの論議の的になると思うのです。しかも、いま日本の国を中心にした輸入物資の取引先のおもなところはどこですか。油、鉄鉱、石炭、こういうものはどこですか。
  70. 若狹得治

    若狭政府委員 船舶建造の一番の重点はタンカーでございまして、たとえば、先ほどの試算で申し上げますと、昭和四十二年度までに五百三十八万トン程度の船腹量の建造をするということになりました場合には、約三百十五万トン程度タンカー建造するということをわれわれとしては計算いたしておるわけでございます。したがいまして、主体はペルシア湾と日本との輸送ということにどうしても中心がなってくるわけでございます。それ以外に鉄鉱石等の専用船建造がございます。これも相当の数字にのぼっておりますが、これは主としてアフリカあるいは南米等の鉄鉱資源から日本への輸送ということを考えておるわけであります。
  71. 久保三郎

    久保委員 いまおあげになったように、ペルシア湾中心、いわゆる中近東、これの石油資本は大体アメリカでしょうね。現実にこの油の輸送についてアメリカ資本はどういうふうにやっているか、これは御存じでしょう。あるいは石炭はアメリカから持ってくる。あるいは南米についてもアメリカの影響が強い。こういうところに、海運局は、取引の実態は別として、そこに輸送量が多いから船腹を投入するという。計算から見ればいま御説明のとおりだが、実際に投入しても必ずしも海運局長答弁のようにはうまく乗ってこぬではないかという見方があるが、これはどういうふうに思いますか。
  72. 若狹得治

    若狭政府委員 もちろん、いろいろな困難が想像されるわけでございますけれども、たとえば、いま問題になりました石油につきましては、わが国の輸入いたしております石油の大部分、約九〇%はFOBで買い付けられておるのでありまして、船舶の選択権というのは国内の石油業界自体にあるわけでございます。したがいまして、日本船をどの程度活用できるかということを現在石油業界話し合いを進めておるという段階でございます。
  73. 久保三郎

    久保委員 あなたのお話では、どの船を使うかは国内業者の選択にまかされておると言われるが、そういうふうに簡単なものではないようにわれわれは承知しておるわけでございます。そこにもう少し問題点を展開させる必要が私はあると思うのです。  いずれにしても、この問題も、みんな船足が長くなってくる。船足が長くなるということは、戦前であれば極東の水域で日本は大体原料物資を調達していた、あるいは輸出もそういったところが重点であった、それが今度はアメリカ中心にしたものに置きかえられてきているということです。アメリカを否定するわけではございませんが、少なくとも、足が長くなれば片道空船になるから、空船が長くなる。空船が長くなれば、これは運賃に響いてくるということが常識的に考えられる点であります。でありますから、輸入市場の構造というか、あるいは商品構造というか、そういうものの転換をはかることがまず片方に考えられねばならぬと思うのですが、これは海運局でどういうふうにお考えですか。
  74. 若狹得治

    若狭政府委員 御指摘のように、戦前の貿易構造と現在の貿易構造は非常に変わっておりまして、船舶の航海距離数というものが非常に伸びております。したがって、大量の船腹を建造しなければ国際収支の均衡はとれないというような実情になっております。どこから荷物を運ぶかというのは、これは運輸省の考えることではなしに、むしろ政府全体としてお考えいただくべきことではないかと考えます。
  75. 久保三郎

    久保委員 そのとおりでありますが、海運局としても意見があるだろうと思って聞いたのです。ただ船を動かすのが海運局ではないでしょう。だから、それをお聞きしたのですが、大臣がおられないから、いいです。むしろ外務大臣にお尋ねしたほうがいいと思うのです。  いま申し上げたように、大体、商品市場というか、貿易市場というか、そういうものが非常に長くなっておるというのが決定的な要因だと私は思っております。もちろん、近くにそういう資源がなければこれは別です。資源が近くにあるならば、やはり近くから引き取るということが、効率から言っても、日本の立場から言っても、一番有利だと思うのです。だから、貿易外収支というか、海運収支を改善する、あるいは日本海運基盤を強化するという方法にはいろいろな方法があると思うのですよ。私は、たいへん失礼な話ですが、一番立ちおくれておるのは、それを包んでいくところの経済外交というか、海運外交というものが少しもの足りなかったと、これは当たらぬかもしれませんけれども、従来考えております。そういう意味で、ここで一言お尋ねしたいのは、その足を短くする、そういうくふうとして、たとえば中国との貿易をもう少し真剣に考えていったらどうか。そういうことをすることによって、日本のいわゆる積み取り比率も従来以上に上がってくる、こういうふうに考えるわけです。そういう転換というか、転換と言うと語弊がありますが、そういうところにもう少し積極的な経済外交を進めなければならぬ。側面でそういうことをやりながら、なおかつOECD加盟するならいいのですけれども、OECD加盟ということが先行して、そういうことがどうも後退しておる。これでは少しおかしいじゃないか、こういう考えを持っておるのですが、いかがでしょうか。
  76. 大平正芳

    大平国務大臣 中国貿易につきましては、私どもは別に消極的であるとか制約を加えていこうという頭はないわけでございます。御案内のように、商業ベースでやりましょうという原則を貫いておるわけでございます。したがいまして、価格において、品質においてコンペティティブであれば、共産圏であろうと、原材料をいただくのに少しも差しつかえないのではないかと思っております。いま対共産圏貿易を中国も含めて制約しておるものは何かといえば、むしろ共産圏側の輸出能力の問題だと思います。これはいまの段階で私はそう思います。だんだん経済が発展してまいりましてコンペティティブになってまいりますればわかりませんけれども。したがって、市場の転換というものを考える場合に、そういう実態から遊離して考えるわけにまいりませんので、フレートがかからないところを、船足の短いところを考えるということ、それ自体はけっこうなことでございまして、それがコンペティティブである限りにおいて私は賛成でございます。そういう方向に施策していくのは当然だ、かように思います。
  77. 久保三郎

    久保委員 賛成だというお話でありますが、おことばだけとればなるほど賛成ですが、実態として、たとえば対中共貿易についても必ずしも私は積極的だとは見ておらないのです。たとえばLT協定方式も、一つの積み上げ方式ですが、いいでしょう。これもあなたがおっしゃるとおりの方向でだんだん多くなるかもしれません。しかし、もう少し手を打つというならば、どうしてもやはり政府が介入していくということをとらぬ限りは、残念ながらうまくいかぬじゃないかと思う。  それから、もう一つは、対共産圏貿易の一つの制約は、ココム、チンコムの問題がございますね。そういう問題をどうしてはずしていくかといういわゆる政治的な政府としての対策がなければ、ただ手放しに、民間貿易けっこう、政経分離けっこうと言うだけであってはならぬと私は思うのですが、いかがでしょう。
  78. 大平正芳

    大平国務大臣 LT協定をやる場合も、輸出計画、輸入計画を可能な限り緻密に立ててみてくださいということで、商売でございますから、すなわち民間でやることでございますから落ち度はないと思いますけれども、精一ぱいやったところがあの程度のものなんです。もっとたくさんできるのにあの程度に押えておるというものではないということは御了承いただきたいと思います。  それから、チンコム、ココムの問題は、実のところ、現在私どもがやっている実態を見てみると、一向支障なく貿易ができておるわけでございまして、日本もココム協定には加盟しているわけでございますから、これは時代が進歩するに従ってこれを改定していくということが国際的になれば、日本も参加して私はけっこうだと思っております。ただ、現在実際には支障なく、いまそれに現実に触れて貿易をやめるというケースはないわけでございます。しかし、時代おくれになったものを改正するというようなことについて国際的な協議が行なわれる場合には、われわれは参加いたしたいと思います。
  79. 久保三郎

    久保委員 いまのお話で、なかなかそう思うようにいかぬようでありますが、もうこの辺で日本ももう少し目を別なところへも向ける時期だと思うのです。別に野党だから言うのでなくて、海運という純粋な問題だけとらえて見ているわけです。そういう意味では私はもう少し前向きで取り上げるべきだと思う。たとえば、台湾問題一つとっても、なかなか容易なことでないでありましょうけれども、やはり、思い切りが肝心だということわざもありますから、思い切りが悪くてびりびりして、一番あとから、行っちゃったということで取り残されたかっこうは、少なくともとるべきじゃない。大平外務大臣は、有能な外務大臣でありますから、これから前向きでいろいろやると思います。運輸大臣にはいずれ運輸委員会でまたお尋ねしますから、私はこれで質問を保留して終わりますが、少なくとも、OECD加盟がどういう効果があるか、実際言ってよくわかりませんが、政府お話のとおり、効果がありメリットがあっていいのだ、クラブへ入ることはいいのだというふうにとりましても、たとえば、留保条項をつけたり、用船規制の問題、一年、二年というような期間ぐらいは、いま私が申し上げたような点を含めてもう少ししっかりした対策をとって、その時期にOECD加盟が当然ではないだろうか、こういうふうな認識を持っております。それはどういうふうに考えておりますか。
  80. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのような考え方も確かにあると思うのでございます。もうほかの条件はそろった、長期用船契約期間の問題だけが問題になっておる、これをどう踏み切るかということで選択を迫られたので、先ほど私が御答弁申し上げましたように、日本政府としては前向きな態度をとったわけでございます。しかし、そのときに、政府は、各省をあげて海運を助けて、そして海運企業体制というものの強化をやろうというように、各省いろいろ理解を示していただいておるわけでございまして、私といたしましては、OECD加盟ということが一つの契機になって日本海運の強化の一つの段階を画することができれば、それも一つの歴史的な段階になるのじゃないかというように思っております。
  81. 久保三郎

    久保委員 外務大臣お話では、OECD加盟を機会に日本海運が前進するような方向が出るであろう、こういうお話ですが、大体において、日本海運は、海運二法によってこれからほんとうに基盤強化になるかどうか、これはまだまだ疑問が多い。しかも、その外側を包むものとして用船規制一つあった。外側を包むものが何もないということになった場合、これは国民の側から見れば単純に受け取れないのです。今日まで海運につぎ込んだ金はどれほどか。しかも最終的な対策だといって政府海運二法を出してきたのです。国民の一部でも、まあしかたがない、集約合併で何とかかっこうをつけて前向きになるだろうという期待で、半分手をたたいた者もある。全然手をたたかぬわれわれみたいなのもありました。いずれにしても、集約合併はこの四月一日から一応形としては発足するわけです。ところが、その外側を包む条件というか、その大きい柱と見られるものが一つ離れていく。その対策はどうかというと、海運局長答弁では、これは大体何とかなる、運賃ベースは大体三ポイントくらい下がるだろう、これなら十分対抗できるとは言い切らなかったが、できるだろう、こう言っておった。みんな、だろうで確信がない。われわれ国民の側から見れば、多額の税金を出して海運再建ということになったのです。だから、そこにメリットがないものについては、われわれはどうしても容認しがたい。クラブに入るということもけっこうかもしれない。クラブに入るにはやはり国民に安心させる税金の使い方をしてもらいたい、こう私は思うのです。その一言だけ言って私は終わりますが、少し早くなって、用船規制タンカー二年でありますから、少なくともあと二年もこのまま延ばしておいたらいかがか、こういうふうに考えております。以上です。
  82. 安藤覺

    安藤委員長代理 内海清君。
  83. 内海清

    ○内海(清)委員 今回のOECD加盟に際しまして、主として海運の問題、一部造船の問題につきましてお聞きいたしたいと思います。  いま久保委員からいろいろ御質問がございました。なお、運輸委員会におきましても、私は一月三十一日にこの問題について一部質問をいたしておるのでありますが、多少重複する点があるかもしれませんが、この点あらかじめ御了承を願いたいと思うのであります。  御承知のように、四十三通常国会海運二法が成立したわけで、この成立にはかなりの論議を呼んだことも御承知のとおりであります。この海運二法は、結局、基盤がきわめて脆弱であって不況にあえいでいるところの、しかも慢性的な海運関係の国際収支の赤字を出しておりますこのわが国海運を、五年間に再建整備して、世界海運国の商船隊との自由競争に対処する、こういう意図のもとに日の目を見た法案であります。五年間でわが国海運界の自主体制を整備強化しよう、こういうためには、当然五カ年間の海運の自由化防止ということが一つの前提であったはずなのであります。ところが、政府におきましては、この海運二法が通過成立いたしまして、その後間もなしに、OECD加盟を決定された。しかも、自由化対象の最大の争点でありました海運関係については、一方でわが国海運の五カ年間における再建整備を継続しながら、他方においては、石油関係二年、石炭も鉄鉱石関係一年、いわゆるタンカー二年、専用船一年という海運の完全自由化をきめて、OECD加盟に踏み切った、こういうことであると思うのでありますが、その点、私どもとしては、先ほどもいろいろ論議がございましたけれども、非常に理解に苦しむ点であります。これは、私ども、海運の立場から考えてみますと、政府OECD加盟と引きかえにこれまでの海運対策というものを大きく変更せざるを得ない立場に追い込まれた、したがって、三十九年度予算におきましてもいろいろな手段が講じられておるけれども、はたしてこれでいいのか、言いかえれば、海運産業の、ことばが妥当でないかもわかりませんが、犠牲という高価な代償を払ってOECDへの加盟に踏み切った、こういうことであると思うのであります。こういう大きい犠牲を払ってまで早急にこれに加盟しなければならなかった積極的な理由と、しかもこれによってわが国が得ます利益はどういうものがあるか、この点ひとつ外務大臣に御所見をお伺いいたします。
  84. 大平正芳

    大平国務大臣 OECD加盟の問題は近年われわれの頭にあったわけでございますが、去年の七月二十六日に事務局から全会一致で加盟招請を受けたのでございます。その過程でもごらんいただけますように、わが国経済並びに経済運営の実態がこの加盟にあたっての要件を満たしておると申しますか、先進国水準にまいっておるということが実態としてあるわけでございまして、それからまた、世界のこれに対する評価も、非常に背伸びして入ったとかいうのでなくて、もう当然日本を迎え入れなければならぬ時期が来ておるし、迎え入れないほうがおかしいのだという評価であることも、内外の世論が証明いたしておると思います。したがって、いま御指摘のように、政府加盟を急いだというのではなくて、当然加盟していい時期にまいったという判断で加盟の要請をいたしたのでございます。  それから、利益の問題でございますが、これは、外務委員会等におきましても、これに入ることのメリットについていろいろ論議がかわされたのでございますが、このメリット計算をやれといっても無理でございまして、先進国の広い意味経済政策全体の調整の仲間入りをするわけでございまして、今日の国内の経済政策、——国際経済政策は当然でございますが、国内の経済政策も国際的な関連と傾向を頭に置いてやらなければなりませんので、先進諸国の政策の意図、情報、仕組み等に十分精通しておらなければ、わが国経済政策の立案、運営の責任を十分果たすことはできないという点が第一でございます。  第二点として、今日、世界経済は、各種の、国連並びに国連外の組織で、国際的な組織を通じての運営がはかられてまいっておりまして、ただいまわれわれの当面いたしておる問題といたしましても、国連の貿易開発会議がある、ガットの引き下げ交渉があるというぐあいに、そういった大事な国際交渉に決定的な力を持っておる先進国と、わが国が仲間入りをいたしまして、事前に十分調整・打ち合わせの上、この種会議を成功に導くようにしなければならないと存ずるのでございまして、そういったOECDの持つ事前調整機能をフルにわが国としても享受しておく必要があろうと考えるのでございます。  第三点として、わが国OECD加盟は、わが国自体の国際的信用の象徴になると思うのでございまして、非常な綿密なせんさくをとげてクリアーされた上で入るわけでございまして、このことは金額ではかれないメリットであると感じております。  これのディメリットでございますが、これは約百万ドル内外のクラブ経費がかかるということでございます。
  85. 内海清

    ○内海(清)委員 いまの御説明によりますと、わが国経済の総合的な立場からこれを見られて、海運において一部犠牲があってもこれはやむを得ない、こういうことだと思うのでございます。  そこで、しからば運輸大臣にひとつお尋ねいたしたいのでありますが、こういうOECD加盟情勢は、昨年の海運法案が論議されております。前からすでに大体の見当はついておったのであります。しかるに、この海運法案審議の際には、われわれのほうも十分この問題について事務当局に質疑も行なわなかった面もあると思いますけれども、もしもOECD加盟した場合に、この二法案でよいか悪いか、こういう点についてその際十分なる検討が行なわれておったのかどうか、この点をひとつお伺いいたします。
  86. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 OECD加盟に関しまして、海運法案海運集約化、いわゆる海運助成との関連のような御質問でございますが、私どもといたしましては、OECD加盟によりまして、海運の二法案の成立と矛盾するようなマイナスの面が若干あるといたしましても、日本の国際的地位あるいは今後の開放経済に備える意味におきまして、そののマイナス面を補なって余りあり、そうして、努力によりましては、海運再建の二法案と矛盾をいたさないと考えまして、私どもは、政府の方針に従いまして、大局的見地から同意をいたしたような次第でございます。その点は、大蔵省におきましても、あるいは政府全般といたしましても、相ともに日本の重要産業であるところの海運については御協力を惜しまないという言明もありましたので、私どもは踏み切った次第でございます。
  87. 内海清

    ○内海(清)委員 いまの運輸大臣の御答弁ですが、結局、このOECD加盟の問題は、海運法案審議の際に大体想像できておったと思いますけれども、この二法案には、OECD加盟によってマイナスの出る面を、すでにそのときにカバーするという施策は何らなかったということを私はお尋ねしておるのです。
  88. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 OECD加盟条件等がつまびらかでございませんから、その全体に対する準備というものは、条件がわからないものですから、具体的な考えはございませんが、ただいま申しましたような理由で、こうすることによって、海運法案海運再建にじゃまになる面はあとから政府全体の力で講じていって、それよりもさらに日本の国際的地位確立ということが、私どもの考えといたしましては、日本の置かれたる現時点において必要と考えまして、このOECD加盟に賛成いたしたのであります。
  89. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいまの外務大臣の御答弁で、私は政府がこれに加盟されましたことについてはよくわかるわけでありますが、しかし、その問題につきましては、われわれと多少意見を異にするところもあります。それから、運輸大臣のいまのお話は、結局事後の問題で、加盟したならば何とかそれを政府内でみな応援してくれて、それほどいまは心配することはないのだということだと思うのですが、私どもは、少なくともあれほど論議を呼んだ海運法案、しかも多くの助成措置を講じた海運法案の場合に、このOECD加盟がすでに日ならずして予測されておったら、このことは運輸当局としては十分審議の一つの対象にして当然であったと思うのです。それがなされておらなかったことに対して私は非常に遺憾に思うので、もしその際にこれが運輸当局から提起されて論議されているならば、今日私どもがここであれこれ御質疑申し上げる要もないので、このことは非常に私ども遺憾に思うのであります。  それでは、次にまいりまして、外務大臣にさらにお伺いしたいと思いますが、このOECD加盟、これは、われわれの見解によりますと一政府加盟交渉にあたりまして基本的なあやまちが一つあったのではないかということであります。その一つは、この海運関係については、一年以上の外国用船規制の許可制廃止に五年の留保取りつけられると想定して、ノルウェーとかあるいは北欧海運国の反対的な態度を当初から甘く見ておったのではないか、見通しに一つの誤りがあったのではないかということが第一点であります。第二点としましては、わが国のこの五年案というもの、これがノルウェーその他から強い反対があった場合に、その反対の諸国が石油あるいは石油製品について二年にしなければ絶対に承認しないという方針が決定的であったかどうか。私どもは、その段階では必ずしも決定的ではなかったのではないかというふうに思うのであります。それを、政府においては、二年でも三年でも五十歩百歩だというふうなことで、しんぼう強い外交交渉が行なわれずに、二年、一年ということがきめられたのではないか。さっき外務大臣は、シップ・アメリカンの問題については、加盟ヨーロッパ海運諸国とともにねばり強い交渉をし、プレッシャーをかけてこれを何とか解決したいというような御答弁があったと思うのでありますが、このOECD加盟の際にもう少しねばり強い強力な外交交渉が行なわれなければならなかったのではないか。この二点で私どもは一つの疑問を持つものでありますが、その点につきましての御意見をお聞かせいただきたい。
  90. 大平正芳

    大平国務大臣 第一点の見通しの問題でございますが、海運加盟にあたって問題になるであろうという予想は私どもも持っておりましたが、運輸当局が言われている留保条件が障害になるほど強いものという見通しは少なくとも私にはなかったわけです。その点は御指摘いただいてもやむを得ないと思います。  それから、第二点といたしまして、ねばり強い外交交渉がなかったじゃないかという御指摘でございますが、そのことは、熟した時点と申しますか、天の時というのがございまして、OECD加盟にあたってのすべての条件が整って、この問題だけ残ったという段階に立ち至ったわけです。そこで、運輸省といたしましては、先ほどの御質疑でも繰り返しお聞き取りいただいたように、非常に強く留保条件を御主張されたわけでございます。ただ一点、私どもが考えておりますことは、これは基本的には運輸当局も同感だろうと思うのでございますが、日本海運というのは戦争によって想像を絶した深傷を負ったわけでございますが、しかし、われわれの持っておる、本来持っておりました海運企業の諸条件というのは世界にすぐた諸条件であったわけでございます。したがって、これを再建いたしまして昔の栄光を取り戻さなければならぬ。それには本来海運というのは自由なものでなければならぬということを鼓吹することにおいてどの国にも劣ってはならぬたてまえの国じゃないかという基本の観念がございまして、当面は深い傷を負っておりまして非常な苦悶の中にありますけれども、しかし、これを海運二法を軸といたしました一連の海運施策で乗り切っていって、本来自由な海運、自由の立場に帰って世界に生存権をりっぱに主張するようなものになりたいという願望があったものでございますから、そこで、海運当局の非常に強い御要請がございましたが、これは、先ほど運輸大臣が御答弁申し上げましたように、政府全体が一致してこの際運輸当局をバックアップして、そしてこの困難を乗り切ることにして、そうして、せっかく熟したこのチャンスは失わないようにしようじゃないかという決断をいたしたわけでございます。いわば、OECD加盟というのは、一つのことが触媒になりまして、海運企業再建がより一そう拍車がかかったということになれば、それはまたお許しをいただけるんじゃないかという判断で、ことしの予算編成等に政府全体で当たったわけでございます。御指摘の点は一々ごもっともでございまするが、私どもの当時これを処理いたしました心境といたしましては、そういったところに支点を置いて処理いたしたわけでございます。
  91. 内海清

    ○内海(清)委員 いまの御答弁によりますと、まあタンカーの場合三年も二年もそれほどたいした影響はないであろうというふうなお考えもあったようでありますが、これは海運にとりましてはきわめて重大なことであったと私は思うのであります。この点は私はなはだ遺憾に思うわけであります。運輸省においてもこの問題については十分お考えになったと思う。もちろん、三年か二年かという問題の場合に、ノルウェーその他の北欧諸国あたりも、私あとでも申し上げますけれども、もう少し交渉のしようによっては、これは三年になり得たのではなかったかという節もあるわけであります。そういう点については、少なくとも海運の問題については運輸省は主管省として最も敏感であり、しかも綿密な調査検討が行なわれておらなければならぬと思う。ところが、そういう外務省関係の御意図にここで唯々としてこれに同調された。この点については、そういうふうな詳細な見通しについての検討などが当時運輸当局においては行なわれておらなかったのではないか、どうしても二年でなければいけないというような判断をしておられたかどうか、二年でなければやむを得ないという判断をしておられたかどうか、この点をひとつ運輸大臣に伺います。
  92. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 先ほど申しましたように、海運整備があの二法案によって解決するのは五年間にやろうというのでございますからして、五年間あの留保状況が続いたならば理想的なんです。しかし、それが得られずして二年になった。それによって加盟しないよりも加盟するほうが日本の全体の国策として有効であるからというので私は踏み切ったので、その中間における三年延期に対する一年の短縮については、でき得る限りのアフターケアをやりまして、すなわち、予算を十分配慮していただくようにいたしまして国策の大きな目的に沿う、こういうことが私の考えであったのであります。これについての議論は当然でございます。私は、さような信念のもとに、あえて二年でがまんをしてこの大国策に賛成をした。これは日本の国際信用を高めるという非常な利益がありまして、その利益というのは数字であらわすことはどうもできませんが、ともかく信用というものの偉大なることは申すまでもないことで、これによって日本が名実ともに先進国並みになったということで、私はそのほうがよかったといまでも考えております。
  93. 内海清

    ○内海(清)委員 運輸大臣の御答弁はどうも私の質問の核心に触れぬようなんですが、すでにあなたがその当時そういう心境であったということは、前にもお伺いいたしましてよく承知しておるわけです。ところが、いま私が申しましたのは、外務当局においてはタンカーの場合の三年、二年というものがそれほど海運に大きな影響を与えるとはその当時は別に考えなかったというふうなことで、そこで、運輸当局としては、少なくとも海運の主管省であります。したがって、このOECD加盟についても、ことに西欧の海運国などにおいて、どうしても日本タンカーを二年にしなければ加盟させないのだということなのかどうか、われわれが見ておるところでは、あるいは三年でもいったんじゃないかというふうなことを考えておるのであります。それがどうしても二年でなければいかぬというふうに御判断になったのか、そういう情勢を把握しておられたかどうかというようなこと、それをお聞きしておるわけです。
  94. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 外交上の判断は、二年か三年か、三年でもやれたじゃないかというような判断は、専門家の外務大臣におまかせするよりしようがないのであります。そこで、どうしても三年にはなり得なかった。二年になった。それについて遺憾ではありますが、遺憾だからといってじっとしておるわけにもいきませんから、それをカバーするようなことに全力を注いで、あなたの御心配になっているようなことのないように努力いたしたというのが、現在のところの考え方であるのであります。
  95. 内海清

    ○内海(清)委員 それでは、運輸大臣の御答弁では、その当時そういうことについては運輸省は何ら検討も情勢分析もしないで、外務省の御意向に従っていった、こういうことに理解してよろしゅうございますね。
  96. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私どもはあたなと同じような考えを持っておったのでございますが、全体の外務省の判断に従ったということでございまして、初めからそう投げてかかったというのじゃございません。
  97. 内海清

    ○内海(清)委員 われわれの考えるように考えておられたが、それに従ったということは、その当時におきます、その時点における情勢の分析が不十分であったということに帰着すると思います。  では、次に進みます。さらに、これは外務大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、アメリカあるいはフランス、あるいはポルトガル、そういうふうな諸国におきましては、このOECD加盟に際しまして、個別的な事項について自由化の保留をつけて加盟した。これは御承知のとおりだと思います。特にアメリカに至りましては、海運の自由化条項の全部を保留しておると言ってもいいのだと思います。ところが、わが国加盟にあたりましては、これらの諸国と同様に保留事項を十分付することができなかった、こういうことだと思うのであります。また、その当時の段階で、少なくとも三年をつけることは絶対不可能だったと言い切れるかどうかということです。これは、私ども当時いろいろOECDの問題で向こうにも行かれた人などの話も聞いたのでありますけれども、それによりますると、オランダの代表は、日本はその点でちょっと早まったのではないか、もっと突っぱねて粘り強くやっておるならば、ノルウェーだけが最後に孤立して、三年に延ばせることが可能だったんじゃないかというふうなことを後日述懐しておるということを聞いたわけであります。この点をどうお考えになるか。海運業界にとりましては、一年の差というものはきわめて重大であると思うのであります。あっさり二年にしてしまったということは、外交上から考えますならば、きわめて問題があることと思うのでございます。その点につきましての率直な御所見をひとつ伺いたい。
  98. 大平正芳

    大平国務大臣 自由化規約留保でございますが、私どもは、わが国が必要とする留保をもらっておるだけでございまして、われわれが要求して、どうしても必要だが与えられなかったというようなことはございません。そんなに窮屈に考えておりません。  それから、後段のほうの御質問ですが、三年で押し通せたじゃないかという御議論でございますが、私は、先ほどのお答えにも申し上げましたように、わが国は、本来海運について自由化に留保をしなければならないなんというのはおかしいことなのでございます。そういうことがない日本でありたいわけでございます。したがって、ほかの条件が整えば、こういうことがないほうがいいのでございます。三年より二年がいいし、二年より一年がいいわけです。いっそのこと、ないほうがいいわけで、それだけの用意があればいいわけです。そういうほかの条件をどうつくり上げるかということが政府の責任でございます。そして、私から先ほど申し上げましたように、運輸省を各省がバックして、それでそれだけのカバレッジを十分とるという決意をして、ことしの予算中心とした一連の海運政策をやったわけでございます。運輸大臣がおっしゃったように、ただ外務省が運輸省に要請したことをそのままお聞き取りいただいたというわけじゃ決してない。政府全体として、海運政策が最重点として今度の予算を組まれたわけでございます。したがって、そういう条件が整って、これでやっていけるということであれば、私は早いほうがいいという判断でございます。
  99. 内海清

    ○内海(清)委員 いまの御答弁で、私の申し上げましたのは、その当時運輸当局は、少なくとも留保期間は五年にしてほしいということであったわけでございます。その運輸当局の意を体して外交交渉をやられた。ところが、それが結局二年と一年になった。したがって、その当時の状況から言えば、なるほど外務大臣のおっしゃるように、こういうことが一つもないような日本海運の状態にあることが一番好ましいと思います。これは申し上げるまでもないことであります。しかし、その当時のわが国海運状況においてはこれが必要であった。少なくとも五年が必要だというのが、二年と一年になったのであります。したがって、もしここで三年ということが日本でとれるならば、その当時の状況から言えば、当然タンカーについて三年の留保期間というものを付して加盟すべきであったと思う。ただいまの御議論は、ちょっと私十分納得しかねるわけです。そういう意味で申し上げておるわけです。それがなぜ二年になったか。オランダの代表の言によれば、日本がもっとこの問題で粘り強くやったならば、ノルウェーのみが孤立して、ノルウェーも最後にはその三年案をのまざるを得なかったのではないか、こういうようなことを述懐したということを聞いておるのであります。その点を私はもう一度お伺いしておきます。
  100. 大平正芳

    大平国務大臣 ノルウェーがどう判断しようと、オランダがどう判断しようと、日本海運企業を育成してまいらなければならぬ責任は日本政府にあるわけでございまして、いま私どもがお話し申し上げている条件OECD加盟するにあたって海運業が克服しなければならない困難というものを克服するに十分な対策ができていないという問題でございますれば、問題はその点に論議をいただくわけでございますが、私どもといたしましては、政府全体で海運当局を助けてこの困難を克服するために特段の措置をする。それは、先ほど海運局長からもこれに直接的に関連して融資比率その他の御説明があったことは御承知のとおりでございますが、そのほか、政府全体で海運につきましては特段の配慮をするのだという気合いがかかってきたということは、私は海運政策のたいへんな前進であったと思うのでございまして、その点につきましては、運輸御当局が判断して、このように政府全体が十全な配慮をしてくれるならば責任が持てるという御決断をいただいて、それで私どもとしても加盟に踏み切ったわけでございます。なお、実際の事務総長とOECDの既加盟国の交渉におきましても、北欧側には事務総長自身が非常に親切に説得に当たってくれたわけでございまして、当時私どもの判断では、あのままの状態でありますと、秋までかかっても困難であるというような判断を外務省としてはしておりました。
  101. 内海清

    ○内海(清)委員 私どもは、これは他から承ったことでございますから、はっきりした確証をつかんでおるわけではございません。しかし、二年になってもかまわぬという配慮は、二年で加盟するということが決定されて後に配慮されたものだと私は考えるのです。もしこれが初めの運輸当局要求どおり五年であるならば、三十九年度予算融資比率を上げるとか、あるいは償還期限を延ばすとか、あるいは約定の償還どおりにいかなくても、四年、五年の場合ではいいというふうな措置は行なわれなかったと思うのです。これは事後の措置としてとられたものであって、交渉の過程においては、私は、少なくとも、海運当局が五年要求したことは、五年でなければ十分わが国海運の整備ができない、こういうことであったと思うのです。そこの点、私はいまの大臣の御答弁を十分に理解しかねるわけであります。
  102. 大平正芳

    大平国務大臣 OECD加盟にあたっての手順から申しまして、ほかの問題は全部片づいて海運だけが残ったという段階になったということは、先ほど私が申し上げたとおりでございます。それで、これが加盟を延期すべきか、加盟すべきかという決断を迫られたという段階になったわけでございます。したがって、そういう段階のもとにおいて、海運政策の前進ということが考えられて、そしてこれなれば運輸大臣としても何とかやれそうだという御判断をちょうだいいたしたわけでございます。したがって、内海さんのおっしゃるのは、そういう加盟にあたっての海運整備条件というものの充足状況が、条件が苛烈になった部分をカバーし切っておるかどうかという問題になろうかと思うのでございますが、政府の判断では、それはカバーしておるという判断に立っておるということでございます。
  103. 内海清

    ○内海(清)委員 いま大臣の言われることもわかるわけでございます。ただ、私が申し上げましたのは、タンカー二年となっておるが、三年というものが、当時交渉のしようによっては、われわれに入っておる情報から言えば取り得たのではないかということでございます。もしそうなったならば、その決定後における海運の助成策もなお今日のような状態ではなかったのではないか、これが当時の状況としては三年のほうが好ましかったのではないか、こういうことでございます。  いろいろ意見の相違もあるようで、運輸大臣がお急ぎのようでありますから、ひとつ次に進みたいと思います。  運輸大臣にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、このOECD加盟によりまして、石炭、鉄鉱石、これは一年、つまり専用船一年、石油及び石油製品についてはタンカー二年、この自由化という方向は、五年間で海運業再建整備して国際競争力を付与しようとした海運二法のタイム・テーブルが基本的に変更を余儀なくされた。その後の政府のいろいろな措置を見てもうなずけるわけです。この事実に照らしまして、政府は、一年、二年の自由化方針を是認いたしました以上は、そのテンポに合わして海運対策を考え直さなければならない、改定していかなければならない、こういうふうに考えるのでありますが、その後いろいろ措置が講じられておるようでありますけれども、やはり、私は、基本的には、この海運二法、これを手直しして早急にこれに対処するのが最もベターである、こういうふうに考える。これにつきましてのひとつ運輸大臣の御所見を承りたい。
  104. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 先ほど申しましたように、十分その点について考慮いたしまして三十九年度予算が組まれておりますから、私はこれで十分やっていけるという確信のもとに、しこうして、海運再建に関する方策は、十分とまではいきませんけれども、これで何とかやっていくよう努力すべきであると考えております。
  105. 内海清

    ○内海(清)委員 いろいろ施策が行なわれておるから、十分とまではいかなが、これでやっていこうということでありますが、やはり、この点は、この二法の改定、手直しということによってはっきりその基盤を確立しておくべきだと私は考える。それについて具体的な方針をひとつお聞かせ願いたい。
  106. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 具体的な方針は、海運二法をして日本海運を強化していくべく努力いたして、その方向に向かっておると私は考えております。
  107. 内海清

    ○内海(清)委員 どうも十分わかりかねるのでありますが、私は具体的な方針というものをお伺いしておるわけであります。きわめて抽象的でありますから、もう一度ひとつ……。
  108. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 具体的には、あるいは融資比率を上げるとか、あるいは債務の延長をするとか、その他のことをやりまして、五年間予定のとおりに海運界が努力するならば、私はやっていけると確信いたしております。現にその方向に向かって御承知のように集約が実行され、そうして着々と日本海運の強化について万遺憾なきを期しつつあると私は考えております。
  109. 内海清

    ○内海(清)委員 いま運輸大臣はお急ぎのようですからあれでありますが、私が申し上げておりますのは、三十九年度予算においてもいろいろ手を打たれておるようでございますけれども、これを海運二法の手直し、改定ということによって基本的に明らかにして置く必要があるということを申し上げておるのであります。この点はまた運輸委員会等で論議いたしたいと思います。  次に、お尋ねいたしたいと思いますのは、二年後に完全自由化を行なうということであります。ところが、これは、私どもの見るところでは、海運業の現状からしたら、その打撃はきわめて大きい。この打撃を排除いたしますためには、相当思い切った措置をとられる必要があるのではなかろうか。その第一は、新船建造に対しまする財政投融資の額の引き上げ、利子補給の強化、これが必要であると思うのであります。なるほど、財政投融資におきましては、タンカー専用船については一割の引き上げが行なわれておるのでありますけれども、明年度のこの予算では、財政投融資というものは、外航船舶建造、船質改善を含めて、先般大臣が御答弁になりましたように、二百四十七億円。これではたして現在の日本船舶量の絶対的不足がカバーできるのかどうか。これはきわめて困難であると思う。しかも、今後四十二年までの三年間の問題があるようでありますけれども、明年度の財投予算というものは、五年後にいろいろな矛盾を解消する方針に基づいて組まれており、二年後には完全自由化の方針が押しつけられておるいま、この予算の組み方自体に一つの矛盾を起こしておるのじゃなかろうか。その点について運輸大臣はどうお考えになるのか。船舶建造あるいはビルド対策、これをスピードアップするための具体案を示してもらいたい、こう思うのであります。  さらに、いま一つは、それを可能にするための補正予算を組まれるような御意思があるのかどうか、この点もあわせてお伺いしておきたいと思います。
  110. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 四十年度予算におきまして私どもは遺憾なきを期しておりますが、ただいまのところでは補正予算を組む必要はないと考えております。
  111. 内海清

    ○内海(清)委員 四十年度予算について十分遺憾なきを期しておるが、いまのところ補正予算を組む意思はない、こういうことでありますが、そうすると、これによりましてすべて五年後に海運基盤の強化をやり、そしてわが国海運の立て直しをやろう、この点については全然心配は要らない、こういうことでございますか。
  112. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 現状においてはさように考えております。
  113. 内海清

    ○内海(清)委員 それでは、次にまいりたいと思いますが、この開銀融資の問題であります。これは、先ほど申しましたように、今回の予算では八割、こうなっております。これを、私どもの考えるところでは、もっと引き上げなければ外国との太刀打ちは事実上無理ではないだろうか。また、利子補給の面でも、現在の船主負担金利は、開銀融資の場合が年四分であり、市中金融では年六分、こういうことになっておりますが、この負担率は国際的に見て決して安いものでないと思う。この面ですでに国際競争から脱落せざるを得ないような要素を持っておるのではないか、こう考える。利子補給については、国際金利水準は大体三分五厘だと思う。これ以上のものについては国の責任で利子補給をするという原則をこの際打ち立てるべきではないか、かように考えるのでありますが、この利子補給率の引き上げにつきまする運輸大臣の御所見をひとつ伺いたい。あとでこれに対しまする大蔵当局の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  114. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 現在においては国際の船主の負担する金利は三分五厘かもわかりませんが、日本の現在におきましては、私はこの時点においてこれでやっていけると確信いたしております。
  115. 鈴木秀雄

    ○鈴木説明員 ただいまの大蔵当局考え方でございますが、この問題は理財局あるいは銀行局がやっておるわけで、私為替局の担当でございますが、私どもの聞いております範囲では、現在の融資比率によりまして、現在の利子補給で十分国際競争力はあるというふうに聞いております。
  116. 内海清

    ○内海(清)委員 これで十分国際競争力はあるというが、わが国海運融資に対する金利が国際水準より高いということは、これは御承知だと思います。それであるならば、これで十分国際競争力に耐え得るということになるならば、どこかにそのひずみが来ておる。その点について運輸大臣の御所見をお伺いしたい。
  117. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 ちょっといまの御質問の趣旨がよくわかりませんから……。
  118. 内海清

    ○内海(清)委員 わが国海運金利が国際水準よりも高いということは御承知のことだと思う。それで、ただいまの大蔵当局の考えといたしましても、十分国際競争力は付与することができるという御答弁です。そうするならば、金利が高くてこれで国際競争が対等になし得るということであるならば、この海運企業のどこかにひずみが来ておるはずである。この点ひとつお伺いいたしたい。
  119. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 数字にわたりますので、事務当局をして御答弁させます。
  120. 若狹得治

    若狭政府委員 金利の負担面では、現在の融資比率によりますと大体四分余りでございます。これは国際的に見て決して高い金利であると言うことはできないというふうに、われわれ考えております。問題は、外国の船主はやはり自己資金というものを投入いたしまして、たとえば、償還の非常に巨額にのぼります建造の初期におきましても、十分一般の市況に対抗し得るような低い運賃の契約ができるというところに、やはり問題があるわけでございまして、われわれが最初用船制限を五年間、日本海運企業の整備が終わるまで続けていただきたいということをお願いいたしましたのも、そのころになれば日本海運再建も完了いたしまして、自己資金というものを新造船に投入できるようになる、そうすれば長期にわたる運賃契約につきましてそれに耐え得る能力、競争力というものが出てくるというように考えたわけでございまして、金利自体の水準といたしましては、国際的に見ても現状においては決して高いものであるというふうにはわれわれ考えておらないわけであります。問題は、全額借り入れ金によって船舶建造するというところにあるわけでございます。それをいかにしたらカバーできるかということで、開発銀行融資比率引き上げ、あるいは据え置き期間延長するという措置によりましてその問題を解決しようとしているわけでございます。
  121. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいまの海運局長の御答弁、ちょっと私うなずきかねる。いまのお話では、外国の船主のほうがすべて有利なわけですね。自己資金を持っておる。それと、金利の点についても、大臣もうなずかれておったように、わが国海運に対しまする金利は国際水準よりも高いということは常識だと思う。そうすると、ただいまの海運局長の御答弁ちょっと私うなずけない。そういうことは海運業者のどこかにひずみが来ておる。それはどこに来ておるのか、専門家であるあなたにその点をお尋ねしたいと思う。
  122. 若狹得治

    若狭政府委員 結局自己資金がないということによって競争力がないわけでございますので、やはり、現象的には、全額借り入れ金によって船舶建造する、したがって、負債が非常に増大する、資本構成も悪くなるというような形において海運業界にひずみが来るといえば来ておるということが言えるかと思いますけれども、現在の船舶建造というものは、すべて長期運賃及び積み荷の保証というもののもとにつくられておりますので、決して借り入れ金が過大になるから企業経営が不健全になるというような悪循環はいたさないで済むというようにわれわれは考えております。
  123. 内海清

    ○内海(清)委員 日本の船主のほうが借り入れ金も多い、金利も高い。ただ、あなたのおっしゃるのは、償還期限が長いということ、それで十分カバーできるということでありますが、その点がちょっと私はうなずけない。これは外国建造の場合におきましてもかなり長期の延べ払いその他でやっておる。日本が特別にこの金利のかなりの差というものをカバーするだけのものがあるかどうか、その点もう少し明らかにしていただきたい。
  124. 若狹得治

    若狭政府委員 失礼ですが、もう一度……。ちょっと意味が理解しにくかったのですが。
  125. 内海清

    ○内海(清)委員 質問が悪いのかもしれませんが、外国の船主は自己資金というものを豊富に持っておる、しかも金利が安い、こういう状況です。日本は、借り入れ金が多い、しかも金利は高い、こういうことなんです。いまの局長の御答弁によりますと、それは償還期限が長いというふうなことで十分カバーできるというふうに私は受け取る。それのみで十分カバーできますか。外国船にいたしましても、船の建造というものは、自己資金が多いと申しましてもかなりの長期の延べ払いになっておるのがあるわけです。それらの点から考えまして、ただいまの御答弁はちょっとうなずきかねる。
  126. 若狹得治

    若狭政府委員 国際水準から見て金利が高いというふうには私は考えておらないということを先ほど申し上げたわけでございまして、償還期限の延長によって金利水準を低下させるというようなことを考えておるわけでは決してございません。問題は、先ほど申し上げましたように、自己資金がないために全額借り入れ金によって船を建造しなければならぬ、したがって、償還に追われますために、安い外国船に対抗できるような運賃のオファーができないというところに問題があるわけでございまして、具体的に申し上げますと、償還の非常に多い初期の契約を非常に高くして、償還が少なくなってまいりますと非常に安くするという、そういうような長期の契約がございますが、これはそれを受け取る産業界から見ると非常に始末の悪いものになっておるわけでございます。そういう点をカバーするために、融資率引き上げあるいは据え置き期間延長ということを、自己資金を投入するかわりに、財政融資率引き上げ、あるいはそういう期間を延長することによってこれをカバーしていこうということで考えておるわけでございます。
  127. 内海清

    ○内海(清)委員 局長の答弁によりますと、金利が決して高くないということです。これはひとつ諸外国の例をお示しいただきたいと思います。大臣は高いという答弁、局長は高くないという答弁です。ひとつそれをお示し願いたい。
  128. 若狹得治

    若狭政府委員 大体、外国の水準と申しますのは、たとえばアメリカにおきましては三分五厘の二十年償還というような例もございます。ただ、一般的には現在の輸銀の四分というものが一つの例ではないかというふうにわれわれは考えておりますけれども、これは償還年限が短うございますし、すでに開発銀行も四分ということになっております。それから、融資率も、輸銀の場合は大体五割程度が限度でございますが、開発銀行の場合には八割まで来ておるわけでございます。こういう点においてカバーしておるわけでございます。ただ、問題は、開発銀行の金利四分と申しましても、実質四分ではございませんで、利子補給という形をとって、将来これを返還するという義務がついておるわけでございます。そういう点におきましては、必ずしも輸出入銀行の四分の金利と見合うものということはできないかと思いますが、問題は、今後の問題としてはもちろん問題はあるかと思いますけれども、現在あらわれております四分ということについては、われわれとしては国際水準に十分対抗し得る金利であると考えております。
  129. 内海清

    ○内海(清)委員 わが国の金利が高いというのは、私はすでに常識だと思う。いろいろ御意見はあるようでございますから、かなり時間もたちましたので、この点はまた運輸委員会等で十分論議したいと思います。  次に、この際お伺いしておきたいと思いますのは、計画造船で採用されております積み荷保証期間、これがあるわけでございます。これはいまどの程度になっておるか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  130. 若狹得治

    若狭政府委員 大体十年ないし十五年程度の積み荷契約を持っておるものに限って融資をしておるという現状であります。
  131. 内海清

    ○内海(清)委員 大体いま積み荷保証期間は十年ないし十五年、こういうことでありますが、私はこれはあとからも申し上げますけれども、計画造船で採用されておりまする積み荷保証期間、これは、今日大量建造を計画しておられる際、この点についてはひとつ抜本的に考え直す必要があるのではなかろうか、この十年、十五年という積み荷保証期間をこのまま置いておく以上、大量建造の問題はなかなか困難な問題が出てくるということを私は考えるのであります。この点についてひとつ運輸当局の御所見を伺いたい。
  132. 若狹得治

    若狭政府委員 海運企業の健全化という意味からいきますれば、保証期間は長いほどいいわけでございますが、いま御指摘のとおりの問題がございますので、関係産業界とも協議をいたしまして具体的な方針を今後決定していきたいと思います。
  133. 内海清

    ○内海(清)委員 この問題は産業界ともいまいろいろ話し合いがあるということであります。早急にこの問題は解決しなければ、運輸当局の意図しておられますような大量建造は非常に困難な問題に逢着すると思います。これはひとつ要望いたします。早急にこの問題を解決していただきたいと思います。  それから、OECD加盟につきましていろいろ施策が行なわれているが、この前の運輸委員会でもちょっとお尋ねしたのでありますけれども、長期の計画造船につきまして、いわゆる国内船の建造計画を立てて、そうして現在は融資に対する一年の予約が認められております。これは、一年では、これまた船腹増強、大量の船腹建造ということには支障が出てくる。この点はきわめて重要なことでございまして、今日輸出船と国内船の問題もございますが、御承知のように、輸出船は多くは同時に二はいとか三ばいとか長期の契約が行なわれておる。ところが、計画造船は今日までは一年一年である。ようやく次年度の融資の予約が認められるという程度でございますが、これはひとつ十分根本的に考えられなければ、特にOECD加盟というふうなことから考えましたときに、わが国海運の建て直しの上にきわめて重要なことだと私は考えるが、その点についてひとつ運輸当局の御所見をお聞きしたい。
  134. 若狹得治

    若狭政府委員 御指摘のとおりでございまして、現在外国船はすでに四十年、四十一年度程度建造の契約をいたしておるという状況でございます。この長期建造を一括して発注するというような問題は、建造コストにも影響を及ぼしてまいりますし、また、計画的な建造というような造船所の作業面にも影響してまいります。そういう点から見まして、コストを安くしてつくっていくというためにはどうしても必要でございますので、われわれといたしましては、昨年度OECDの問題に関連いたしましてこの予約制度を初めて設けたわけでございますけれども、今後さらにこれを検討いたしまして、四年先あるいは五年先程度のものまで予約できるような方向で、具体的にたとえば財政法の問題もあるというふうに聞いておりますけれども、そういう問題も解決していただくように、今後各方面の御協力を得て解決をしてまいりたいと考えております。
  135. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいまお話しのように、この問題は、確かに、建造コストの問題、あるいは船台確保の問題、海運造船両々相まってきわめて重要な問題だと思うのです。ようやく一年の融資の予約が認められる程度でありますが、これに対する大蔵当局の御所見をお伺いしたい。
  136. 鈴木秀雄

    ○鈴木説明員 ただいま海運局長が申されました点はまことにもっともな点と思っておりますので、私どもも、いま部内でそういうことができるかどうかということを検討しております。
  137. 内海清

    ○内海(清)委員 これは大蔵当局並びに海運当局話し合いで早急にこの点は御検討いただきたい、こう考えるので、強く要望いたしておきます。  それから、いま一つ私はこの際運輸当局にお伺いいたしておきたいと思いますのは、御承知のように、海運の集約が行なわれておりますが、この海運の集約で今後基盤を強化して、大量建造して、そしてわが国の国際収支を改善していこうということでございます。ところが、いかに集約をいたしましても、企業の設備投資には限度があると思うのです。集約して大きくなったから何ぼでも借金してどんどん船をつくっていいということにはなかなかいかない。国の画期的な助成があればともかく、今日の状態ではそれは不可能であります。したがって、ここ数年前にいろいろ論議されたのでありますが、私はこの問題がいままた起きておると思う。それは何かというと、いわゆる特殊法人の保有会社的なものをつくるか、あるいは公団的なものをつくって、こういう線で増強をしていくかということが、今日また論議されておるのであります。この際この問題についてひとつ運輸当局の御所見をお伺いしておきたい。
  138. 若狹得治

    若狭政府委員 現在われわれのところで船腹拡充をもう少し積極的に考えようということでいろいろ検討いたしておりますけれども、ただいま先生御指摘の、大量建造に伴う海運企業の体制というものにつきましては、具体的に申し上げますと、明年度海運各社の償却前利益、つまり償却に充て得る金額でありますが、大体五百億程度が考えられておるわけでございます。この程度の金額がございますと、大体二百万トン程度までの建造は可能ではないかというようにわれわれは考えております。しかし、実際問題として、問題は二百万トンの建造要望があるかどうかということでございますので、具体的に各産業界と、どの程度建造の需要があり、また長期契約ができるかどうかということを詰めてまいりませんといけないわけでございますので、現在そういうような交渉をいたしておるわけでございます。したがいまして、大量建造を行ないましても海運会社の負債がいたずらにふえて資本構成がさらに悪化するというような状態にはならないだろう。したがって、たとえば公団をつくって共有するというような対策も、われわれとしては現在のところ考えておらないわけであります。
  139. 内海清

    ○内海(清)委員 現在の段階では考えていないということでありますが、わが国の船腹を拡大増強するということは、これはいわば国際収支の改善という面から申しましてきわめて緊要なことだと思う。したがって、どうしても今後大量建造をしていって、運輸省当局の考えによっても四十二年度運賃収支面においてはとんとんにいくという考え方だ。さらに四十五年度になりますと一応の海運のある程度の基盤強化はできると思う。その際になってまだこれが十分計画どおりに建造できないということであとずさりをするのでは、せっかくの基盤強化がまた後退する形になってくるわけであります。したがって、この問題はひとつ十分御検討願いたい、かように考えておるのであります。  次に、最近運輸省が発表されました海運収支の改善策というものが出ております。これによりますと、三年間に五百三十八万総トンを建造する、そうして四十二年度末には運賃収支をとんとんにするという考え方のように私受け取ったのであります。ところが、今回のOECD加盟によりまして、石油関係が二年であり、石炭、鉄鉱関係が一年で自由化されることに相なるわけでありますが、そのために、運輸省の策定されております建造計画でははたしてわが国の商船界というものが、自由化と建造のテンポ、これをうまく調節していけるかどうか、私この点をはなはだ疑問と思うのであります。ひとつこの点につきます御所見をお伺いしたい。
  140. 若狹得治

    若狭政府委員 先ほど久保先生の御質問にもございましたけれども、われわれのほうで建造計画を策定いたしますのは、輸送の貨物につきまして具体的な荷主が決定しているものにつきまして建造計画を策定いたしておるわけでございます。決してただ数字的にこの程度できるであろうという期待数字でもって現在計画を立てておるわけではございません。ただ、いま御指摘ございました四十二年度運賃収支を均衡させるということに仮定した場合、どの程度の船腹量が必要であるかという試算はいたしておるわけでございます。しかし、その試算のものを直ちに建造できるかどうかという問題になりますと、具体的な荷主が決定し、運賃その他がすべてきまってまいりませんと、これをわれわれの具体的な計画として取り上げていかないというような考え方でございますので、具体的な実施計画というものはまた別の形で出てくるだろうと思いますし、われわれも現在それを具体化するように経団連その他と十分連絡をとりながら作業を進めておるわけでございます。
  141. 内海清

    ○内海(清)委員 この問題は、結局、OECD加盟によって、タンカーが二年になり、専用船が一年になった。もともとこれは五年でこれに対する建造計画も当然なされるべきである。それがこういう形になった。たまたま三年間に五百三十八万総トンという一つ目標を立てられたようでありますが、これがはたして自由化とこの建造のテンポが合うだろうか、この問題はきわめて重要だと思うのであります。でありますから、この点についてはまだお考えがまとまっておらぬようでありまするが、これはひとつ早急にまとめていただきたい。またこれも運輸委員会でひとついろいろ論議いたしたいと考えるのであります。  それから、いま一つお尋ねいたしたいと思いますが、海運のこの集約化で大体六つのグループにという青写真ができておるのであります。いろいろ世界各国の場合を見てみまするというと、なおシビアな集約化が実現されておると思うのであります。五つは大体固まったようでありますけれども、しかし、これは少なくとも今度の二法による恩典に浴するということで早急なものである。したがって、その内容については今後十分検討されなければならぬ問題である。いわば暗中模索の状況だと思うのであります。こういう状態ではたして今日までの政府の助成策をもってして外国との太刀打ちができるかどうか、この集約化に対しまするひとつ御所見をこの際お伺いしておきたい。
  142. 若狹得治

    若狭政府委員 集約自体は、御承知のように、過当競争の排除、それから企業の協調提携ということによる合理化ということを考えておるわけでございまして、ようやくこの四月からその実効をあげていくわけでございます。われわれといたしましては、昨年度海運二法制定によりまして、金利その他の面では国際競争力が十分あるということでございますし、今後は、企業間の協調提携と、それから企業の内部における合理化というものをこの集約によって実現するということをかたく決意いたしておりますので、十分国際競争に太刀打ちできると考えておるわけでございます。
  143. 内海清

    ○内海(清)委員 これで十分ひとつ集約によって基盤強化をして国際競争に太刀打ちできる、こういう御意見であります。これは今後現実の問題としてあらわれてくるわけであります。少なくとも海運二法というものを実現させ、しかも、本年度においても、OECD加盟に伴って、海運二法で足らないところをいろいろ補ってやっておるのであります。この集約化が一つつまずきますと、これは国民に対してはなはだ申しわけない事態に相なると思うのであります。この点につきましてはひとつ十分運輸省当局の御善処をお願いしたい、かように考えるわけであります。  それから、ここでひとつお尋ねしたいと思うのですが、海運に対する助成策がいろいろ打ち出されておりますが、今日世界各国状況を見ましても、先ほどもちょっと話が出たと思いますが、自国の海運の育成という立場からそれぞれ国内船の建造については多くの助成策が講じられておる。これは運輸省当局十分御承知のとおりであります。たとえば、カナダでは建造価格の一定割合を補助金で交付する、あるいはアメリカでは差額補助を行なっておる、あるいはまたフランスでは資材の割り当て等について補助政策を行なっておる、というふうなことがあるわけであります。日本でも現在まで行なわれておる助成策で十分であると運輸当局はお考えかもしれませんけれども、各国が競ってこういうふうな助成策を今日行なっておるときに、わが国におきましても国内船の保護政策というものに対しては十分な関心を持たなければならぬ。海運産業の体質改善を行なうということはきわめて困難な問題が多いわけであります。ことに、運賃市況というものは国際的な問題であり、わが国のみでどうこうするわけには参りません。そこに非常な困難性があるのであります。したがって、各国がこういうふうな助成策というものを次次と打ち出しておるゆえんもそこにあると思う。こういう問題に対します政府の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  144. 若狹得治

    若狭政府委員 各国海運補助政策にはいろいろな目的がございまして、たとえば船舶というものを予備兵力というような考え方で補助しているものもございます。あるいは自国のいろいろなコストが高いから、その面についての補助を行なうというようなものもあるわけでございます。問題は、国際的な海運活動というものは運賃の水準ということに象徴されるわけでございますので、そういう面を目標といたしまして、国際競争をすることができるかどうかということで検討した結果、昨年度開発銀行金利については四分、市中銀行については六分という一応の結論を得て、それであとはできるだけ海運企業自体の合理化措置によって外国との国際競争に対抗していこうという方策を出しておるわけでございますので、現在はこれで進んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  145. 内海清

    ○内海(清)委員 現在におきますいろいろな助成策で十分諸外国に太刀打ちできれば、これはけっこうで、その上なお国が多くの資金を投入する要もないと思いますが、こういう問題につきましては、少なくとも諸外国海運国状況を常につまびらかにして、後手を打たないように、常に先手を打っていくというところに、わが国海運の振興ということが生まれてまいると思うのであります。この点につきましては、ひとつ十分運輸当局の今後におきまする善処をお願い申し上げたい、こう思うわけであります。  通産大臣がおいでになりませんから、これはひとつ運輸省に角度を変えてお伺いしてみたいと思うのであります。最近、邦船の積み取り比率を上げるために、荷主が進んで自社船の建造ということを、これは前からありますけれども、最近いろいろ考えておるようであります。ところが、これは、運輸省にはこういう考え方はもちろんあってはならぬし、ないと思うのでありますけれども、この自社船に対して開銀融資をすべきだというふうな議論が通産省部内等においてあるやに承っております。この点、運輸当局がお聞きになっておれば、この様子と、さらに御所見があれば承っておきたいと思います。
  146. 若狹得治

    若狭政府委員 現在、船舶の大量建造に関連いたしまして、石油会社が自分の経営の安定のために自社船を建造したい、しかし、石油会社自身が精製施設の建設に相当の設備資金が必要なわけでございますので、その余力がない、したがって、財政融資をこの船舶建造のためにしてもらいたいというような御意向があるというふうには聞いておるわけでございますが、ただ、現実の問題として、こういう問題は、石油会社自身ではなくて、石油会社の子会社としてつくられましたタンカー会社がこういう運動をやっておるわけでございますので、従来、開発銀行の財政資金につきましては、海運集約に参加するものに限定するというような海運造船合理化審議会の答申もございますので、われわれとしてはそういう方向で問題を解決していきたいと考えておるわけでございます。
  147. 内海清

    ○内海(清)委員 この問題は、わが国海運に荷主の要求するような船腹が提供できない、安全に、運賃が安く、荷主の希望するような条件で運び得ない、船腹が十分でないというところに起きてくると思うのであります。この問題の解決には、やはりわが国におきまする船腹の増強ということが一つの大きなかぎだと思うのであります。自社船にそういうふうな処置がとられるということは、私どもの考え方では、これはいささか筋違いではないかというふうに考えておるのであります。この点につきましても、今後そういうふうな問題が起きないように、十分ひとつ政府部内において御調整願いたい、こう思うのであります。  それから、いま一つ、積み取り比率引き上げるということについては、政府でも非常に真剣になっておられる。ことに、国際収支の改善の面からそういうことが強く要請されておるわけであります。ところが、この問題は、いわゆるシップ・アメリカンに対抗するわけでもございません。ことに、OECD加盟いたしますと、海運自由の原則という条項を承認しておりますので、わが国も表面は言えぬわけでありますけれども、やはり、一つの行政指導として、これは通産省がその任だと思いますが、荷主が進んで日本船を利用するということ、これがきわめて重要なことだと思うのです。これがなければ、わが国の積み取り比率というものはなかなか政府の思うような改善は進んでいかないと思う。しかし、このためには、荷主の希望するような、安全に安く運べる船というものが大量にできてこなければならぬ、かように考えるのであります。この点通産当局と運輸当局においてももちろん関係はあるのでありますけれども、十分連携をとってこういう面の行政指導をやっていただきたい、この点もひとつ強く要望いたします。何かそれについての御所見がありましたらお伺いしたいと思います。
  148. 若狹得治

    若狭政府委員 積み取り比率の向上には、関係産業界協力がなければできないことは当然でございますので、われわれ各種の団体に対して邦船の活用ということをお願いいたしておるわけでございますけれども、問題は、日本船のコストを安くする、安いものを使うというのは経済の当然でございますので、安くするということにすべての問題はかかっているのではないかというようにわれわれ考えておりますので、そういう努力を今後とも続けてまいりたいと考えております。
  149. 安藤覺

    安藤委員長代理 内海さん、藤野船舶局長が参りましたから……。
  150. 内海清

    ○内海(清)委員 船舶局長にお尋ねいたしたいと思います。  海運再建整備、これはもちろん海運業再建整備につながるわけであります。同時に、海運業のもととなります造船業の近代化・合理化、これが一方では進められていかなければならぬと思います。ところが、御承知のように、造船業界は、最近、輸出船の大量受注ということで、この二、三年前のような不況は今日ございません。ところが、こういう時点に十分国策にのっとった造船業の育成強化がされていかなければならぬ。そうしなければ、ここ二、三年前のああいう不況の時代が来たならば、今日も海運業が陥ったような事態に相なってくることは明らかだと思います。そこで、この際お尋ねいたしたいと思いますのは、造船業の近代化・合理化、これがそのためには積極的に進められていかなければならない。ところが、現段階におきます造船業に対する設備投資等の合理化資金、こういうふうなものを見ますと、大体八分七厘だと思うのです。これによって開銀融資を行なっておるということ、これは寒心にたえないのであります。この際、政府におきましては、大型あるいは中小型の造船業を問わず、これの近代化をはかって、わが国海運再建の基礎を築くために、造船業に対する金利等もこの際十分考えるべきではないか、このことがひいては船価の低減の一助にも相なる、こう思うのであります。これらに対する船舶局長の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  151. 藤野淳

    ○藤野政府委員 造船業の近代化・合理化の方法は、船舶の需要が世界的に大型化、また専用船化いたしまして、また船舶の輸出市場における競争が非常に激甚になってまいりましたので、船価を低減いたしますとともに、あらゆる面において合理化・近代化を進めなきゃならぬ。その具体的な方法は、秩序ある設備投資をやるべきであろうということが一つでございます。そのほか、技術面、経営面の合理化もございます。ただいま御指摘の設備投資における金利の問題でございまするが、造船の需要が年により変動の波が非常に大きいことを考慮いたしまして、国内の有力造船所が従来の造船所とは別に新しい最も近代的な大規模な造船所の建設に取りかかっておりまするが、これに対しましては、一部を開発銀行の融資によることを適当と考えまして、私どもはこのあっせんをいたしておるわけでございまして、その金利は八分七厘でございます。  なお、造船における投資過剰の結果、過当競争を誘発いたしまして、船価の赤字受注というようなことを招来いたしましては困りまするので、ただいま造船法という法律がございまして、この適正な運用と行政指導によりまして、秩序ある設備投資をさせるようにいたしております。  なお、新たに加わる造船能力に対しまして、中型以下の船舶建造するに適した造船施設は、撤去あるいは用途の他への転用といったようなことで、できる限り償却を進めることによって、過剰な増大を抑止することをいたしておる次第でございます。
  152. 内海清

    ○内海(清)委員 造船の設備投資に対しましては、いろいろ考えておられるようでありますが、私の特にお聞きしたいのは、この開銀融資の場合の運輸省のあっせんでありまするが、八分七厘というのが、ことに中小型の鋼造船業などに対しては高いのではないか。少なくとも六分五厘程度にされるべきではないか。このことがひいて造船業の安定のみならず船価の低減ということにつながってまいるわけであります。その点に対する御所見をもう一度お聞きしておきます。
  153. 藤野淳

    ○藤野政府委員 中小型鋼船造船業に対する開発銀行等の設備資金はあっせんでございまして、ただいま仰せのような六分五厘というような安い金利が適用できますれば非常にけっこうでございまするが、同様な産業がたくさんございまして、小型造船業だけに特典を与えることが非常に困難でございまするので、今後大いに努力をいたしますが、現在は直ちに実行は不可能という状況でございます。
  154. 内海清

    ○内海(清)委員 これはただいま直ちには困難だということでありますが、もちろん、これは、中小造船所のみならず、大造船所も同様であります。船舶の大型化に伴いまして、今日かなりの設備投資が行なわれておる。こういう面につきましては、ただこれは造船業のみの問題でなしに、海運業につながる問題であり、今後ひとつ強力な御善処を要望いたしておきます。  それから、造船に関しまして、今度のOECD加盟について、これは今後の問題でございますけれども、一、二お尋ねいたしたい。  それは、昨年の五月にOECDの工業委員会に第五作業部会が設けられ、ヨーロッパ造船所の不況を解明して造船振興の共通政策を確立する必要がある、こういうふうなことがうたわれておるようでありますが、こういう観点から、昨年は三回にわたって部会が持たれ、さらに、本年四月でございますか、第四回目の会合が開かれるやに聞いておる。もちろん、運輸当局においてはこの問の事情を十分御研究になっておることと思うのでありますが、第五作業部会の報告が、特に輸出船の延べ払いについて何らかの報告が行なわれるだろうということを考えるのであります。これはわが国にとりまして特に不利になるのではないかということも実は心配いたすのであります。この点についていかに考えられておるか。また、OECD加盟後に、日本が正式加盟していない現在の段階で決定あるいは報告がされた事項についてどういうふうに取り扱うつもりであるか。これは、第五作業部会にはわが国代表もオブザーバーとして御出席になっておることでありますので、何らかの拘束は受けるのではないかという気もいたします。これらにつきましてひとつ御所見をお伺いしたい。
  155. 藤野淳

    ○藤野政府委員 仰せのように、OECDが工業委員会におきまして造船業特別作業部会、後に第五作業部会と改称されましたが、設置をいたしまして、昨年三回会議を持ったわけでございます。その中におきまして、輸出船の延べ払いを規制する方向で何らかの議論が行なわれておるであろう、またそれらに対する今後の考えはどうかという御質問と拝承いたしますが、従来の会議におきましては、これを規制する方向で議論はいまだなされておりません。四月の会議にあるいは新たな議論が起こるかもしれないのでありまするが、しかしながら、第五作業部会とは別個に、貿易委員会におきましても延べ払いに関する作業部会が設置されておるようでございまして、これに対しましてはわれわれは参加をいたしておりませんので格別申し上げることはございませんが、ただ、造船業が延べ払いをもって輸出船舶を売っております関係上、その動向につきましては非常に深い関心を持っておる次第でございます。今後関係当局とも十分協議をいたしまして、わが造船業の公正な輸出活動に支障のないように、国際協調の中で健全な発達ができますように対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  156. 内海清

    ○内海(清)委員 この工業委員会の中の第五作業部会ではまだそこまでいっていないようでありますが、いま船舶局長お話のような、昨年の秋にOECDに設置されました貿易委員会、この中での延べ払い特別作業部会というものがあるようでございます。ここでは船舶の延べ払い輸出についてもいろいろと検討されておるようであります。運輸当局のほうではその点について明らかにされていないようでありまするが、もしこの点について外務省関係で御承知の事柄があればお伺いをいたしたいと思うのでありけれども、延べ払いの特別作業部会の内容について若干私どもが聞いたところによりますと、五年をこえるものについての延べ払いについて何らかの規制を加えるのではなかろうか、五年という年限については、イギリスにおきますイギリス信用保証局というものの存在等のように、西欧諸国では実質的にはそういう規制によって何らの実害を受けない、この実害を受けるのは、すべてわが国のような延べ払い輸出を額面どおりに行なっておる国ではないか、きわめて不利になるのではなかろうか、こういう点であります。この点につきまして、わかっておりますれば、こういう点をいかにお考えになるか、あるいはそれに対してはいかなる対策をお持ちであるか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  157. 中山賀博

    中山政府委員 OECDの中に輸出信用作業部会というものがありまして、それが一月に一回だけ会合を開いたということを承知しております。しかし、まだ一回開会しただけで、具体的に何らの決定に到達しておりません。おのおのその見解を述べている段階だというように承知しております。これはただそういうふうに聞いておるだけでございます。  それから、イギリスの問題でございますが、イギリスその他の欧米にはベルン・ユニオンというものがございまして、そこで輸出信用に関する情報の交換をしているわけでございますが、われわれがいま考えておりますのは、日英の間にそういう輸出信用に関する情報の交換をしてはどうかという議が先般起こりまして、これを研究し、また、向こうと話しております。そこで、実は、非公式にいろいろ出ておるものの印象では、もう少し五年以上のものがあってもいいはずなんだけれども、出てきておる数字はイギリスあたりでもわりあい少ないということでございます。ただ、日英間にそういうものができれば、絶えず相手の状況もよくわかってくる、なぜそれはそういうことになっておるのかというとこも明らかになろうと思いますが、いまのところ具体的につまびらかにいたしておりません。
  158. 内海清

    ○内海(清)委員 この問題は私どもも多少承った程度でよくわりませんが、いずれにしても、この問題はわが国輸出船の問題から言えばきわめて重要な問題であります。イギリス信用保証局等で操作しているが、わが国では輸銀一本であるからその操作ができないというところに問題があるようであります。今後この問題につきましては十分触角を伸ばしていただいて、わが国の輸出産業に何らの支障があっては相ならぬという御善処をいただきたい。このことを強く要望いたしておきます。  いろいろ御質問申し上げましたが、OECD加盟については、特に海運につきましてはいろいろ問題があるようでございます。しかし、今後なお私ども十分納得のいかない点は運輸委員会あたりにおきましてまたお尋ねいたしたいと考えておりまするが、OECD加盟の問題については、今後におきましても十分慎重な態度で、わが国の利益がそこなわれないように御配慮いただいて御善処いただきたい。このことを要望しておきまして、終わります。
  159. 大平正芳

    大平国務大臣 いま御要望のような趣旨に沿いまして、できるだけ慎重に、かつ建設的に対処いたしたいと思います。
  160. 安藤覺

    安藤委員長代理 これにて連合審査会を終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会