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1964-06-10 第46回国会 衆議院 外務委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 安藤  覺君 理事 正示啓次郎君    理事 高瀬  傳君 理事 古川 丈吉君    理事 戸叶 里子君 理事 松本 七郎君       菊池 義郎君    鯨岡 兵輔君       竹内 黎一君    森下 國雄君       黒田 寿男君    田原 春次君       帆足  計君    松井  誠君       山本 幸一君    永末 英一君       川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         外務政務次官  毛利 松平君         外務事務官         (経済局長)  中山 賀博君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局北東         アジア課長)  前田 利一君         専  門  員 豊田  薫君     ――――――――――――― 六月五日  委員平岡忠次郎辞任につき、その補欠として  小松幹君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小松幹辞任につき、その補欠として平岡  忠次郎君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員松井誠辞任につき、その補欠として重盛  寿治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員盛寿治辞任につき、その補欠として松  井誠君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月六日  沖繩施政権返還に関する陳情書  (第五〇八号)  同(  第六三五号)  同(  第七二四号)  同(第  七二五号)  沖繩及び小笠原諸島施政権返還に関する陳情  書(第五〇九号)  在日朝鮮公民祖国との往来実現に関する陳情  書(第五一〇  号)  同(  第五一一号)  同(第五一二  号)  同(第五一三号)  同(第五一四号)  同(第  五一五号)  同(第五一六号)  同(第五一七号)  同外六十二件  (第五一八号)  同(第六三六号)  同(第六三七号)  同  (第六三八号)  同(第六三九号)  同外二十四件  (  第六四〇号)  同(第七一二号)  同(第七一三号)  同  (第七一四号)  同外三十六件  (第七一五  号)  日中国交正常化に関する陳情書  (第五一九号)  同(第五二〇  号)  同(第五二一  号)  同(第六二六  号)  同(第  六二七号)  同(第六二  八号)  同(第六二九号)  同(第七一〇号)  同(第七一一  号)  竹島の領土権確保に関する陳情書  (第五二二号)  日本固有北方領土回復に関する陳情書  (第五二三号)  沖繩祖国復帰に関する陳情書  (第六三〇号)  同(第  六三一号)  同(第  六三二号)  同(  第六三三号)  同(第  六三四号)  同(  第七一六号)  同(第  七一七号)  同(第七一  八号)  同(第七  一九号)  同(第  七二〇号)  同(  第七二一号)  同(第  七二二号)  同(第七  二三号)  F一〇五D戦闘爆撃機横田基地移駐に関する  陳情書  (第六四一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件(日韓及びラオス問題等)      ――――◇―――――
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  田原春次君。
  3. 田原春次

    田原委員 ラオス米軍機爆撃に関連した諸問題をお尋ねしたいと思います。  今朝の朝日新聞毎日新聞等によりますと、ラジオプレス東京の九日夜に聞いたところとして、ラオス米軍機爆撃状況が出ております。大臣もお読みになったと思いますが、いかがですか。読んでいますか。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 読んでおります。
  5. 田原春次

    田原委員 それでは、大臣にお尋ねするが、ラオス中立に関してジュネーブで十四カ国協定を結んだということですが、ひとつその内容についてお話ししてください。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 ジュネーブ協定内容につきましては、条約局長から説明させます。
  7. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 一九六二年七月、ラオス中立に関して十四カ国の会議があったわけでございますが、この会議の際には、まずラオス政府のほうからの宣言といたしまして中立の意思を表明しました。それを各国政府が尊重するという趣旨のこのラオス宣言を盛り込んだ参加十四カ国の宣言をいたした、そういう形になっておるわけでございます。
  8. 田原春次

    田原委員 その十四カ国というのはどことどこですか。
  9. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 ABC順になっておりますが、ビルマ、カンボジア、カナダ、中国、ピープルズ・レパブリック・オブ・チャイナ、ベトナム民主主義共和国フランス、インド、ポーランド、レパブリック・オブ・ベトナムとなっておりますベトナム共和国、タイ、ソ連、英国、アメリカ、これだけでございます。
  10. 田原春次

    田原委員 このジュネーブ協定参加した十四カ国の中で、もし協定を守らぬ、協定を破棄するような行動に出た場合に、制裁のようなものは協定の中に入っておりませんか。   〔臼井委員長退席高瀬委員長代理着席
  11. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 罰則みたいなものでございますか。
  12. 田原春次

    田原委員 そうです。
  13. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 そういう罰則みたいな規定は、この宣言の中に入っておりません。
  14. 田原春次

    田原委員 けさの新聞の報ずるごとく、アメリカ爆撃機が「九日午前九時五十分(現地時間)同時にカンカイフォンサバン地区に侵入、旋回偵察を行い、続いて下向けに掃射し、フォンサバン村に十二発の爆弾を投下し、二発のロケット弾を発射した。カンカイフォンサバン地区に駐在するラオス愛国戦線党パテト・ラオ)と真正中立勢力防空部隊はこれに発砲して反撃し、爆撃、掃射中の米機二機を撃破した。」となっています。一体こういう行動が許されるものかどうかについて、私ども国民は非常に心配しておるのでありますが、外務大臣はどういうようにお考えですか。
  15. 大平正芳

    大平国務大臣 パテト・ラオは、中立協定に基づく国際休戦監視委員会によるいわゆるパテト・ラオ地区の査察を認めておらないようでございまして、五月中旬にはジャール平原で大規模軍事行動を展開いたしているようでございます。すなわち、ラオス内戦を防止すべき前記委員会が事実上無能力化しているために、プーマ首相は五月二十一日アメリカに対しまして、中立協定に違反してラオスに侵入しようとする勢力動きを視察することを要請いたしました結果、米国艦載機による偵察を開始したと伝えられております。伝えられているアメリカカンカイに対するロケット攻撃が事実とすれば、これはその地区における攻撃に対する反撃として行なわれたものだと思います。右プーマ首相米国に対する偵察要請については、プーマ首相並びに米国は、国際休戦監視委員会活動に対するパテト・ラオ側の妨害に対抗する措置としてかかる偵察を行なっているというように説明をいたしているようでございます。
  16. 田原春次

    田原委員 いまの大臣お話でちょっとおかしいと思うのは、どこに向かってそういう説明をしているのですか。  もう一つは、偵察と申しながら、爆撃機を用意し、爆弾を用意し、ロケット砲も用意して行ったというのはどういうことですか。
  17. 大平正芳

    大平国務大臣 私どもがいままで知り得た情報によって判断いたしますならば、いま申し上げたように、休戦監視委員会活動ができない状態にある、それでプーマ首相のほうからアメリカ偵察を依頼したということ。そこで、もし攻撃が行なわれたことが事実とすれば、その地区偵察に入った場合に、攻撃を受け、それに反撃したのだろうと思われるわけでございまして、それ以上詳しい報道に接しておりませんが、いずれにいたしましても、偵察が行なわれたということは、休戦監視委員会活動が無能力化しているということに対する救済措置としてプーマ首相要請したというように関係者説明をしておるということでございます。
  18. 田原春次

    田原委員 大臣も御承知と思いますが、ジュネーブの十四カ国協定参加国会議ジュネーブで開けという動きと、現地において関係六カ国の会議を開けということが新聞に報じられております。どちらも情勢平和的解決を目ざすものであろうと思うのであります。したがって、これらの会議参加し、十分討議をし十分事情を聞いた後に解決方法を見つけるべきでありまして、途中で爆弾携帯偵察するということは行き過ぎではないか、こういうように思いませんか。
  19. 大平正芳

    大平国務大臣 田原先生おっしゃるように、ラオスばかりでなくインドシナ半島全体の問題、これは一体として処理すべき性質のものを含んでおると思うのでございます。各種提案がなされておるわけでございまして、各種提案は一長一短がございまして、まだ関係国が受諾してこういう会議でひとつ事態収拾をはかってみようというところまでいっていないようでございます。私どもといたしましては、そういった権威のある国際会議が開かれ、そこに平和的な収拾の方途が見出されてまいることをこいねがっておるわけでございます。いまはそういった政治的な解決の段取りがまだできない段階で起こっておる事態であると思うわけでございます。
  20. 田原春次

    田原委員 政治的な解決に終始すべきでありまして、政治的な解決方法としてジュネーブにおける会議開催要望または現地における六カ国会議開催要望等が出ていることは大臣も御同意願えると思います。しかるに、これらの会議を開かずして直ちに武力を伴う偵察機を出すということはアメリカ側行き過ぎではないか、これはだれでも常識上そう思いますが、大臣はどうお考えになりますか。
  21. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、プーマ首相アメリカに対する要請によってなされたわけでございまして、問題はラオス政府アメリカ政府との関係でございます。そういうことに対して日本政府がとやかく申し上げるべきものではないと私は思います。
  22. 田原春次

    田原委員 従来アメリカが中米、南米等で侵略した場合の例をとりますと、まずパピット政府をつくって、そこから要請をさせて、要請によって出るという形をとっているのであります。いま大臣の御観測の中にも、プーマ政府アメリカ側出動要請した、したがって、要請に応じてやったと言う。これは言いのがれでありまして、すぐ近くの米軍基地には爆撃機その他をたくさん持っておるのでありますから、したがって、かっこうをつくったにすぎない。これが第一点です。  第二点は、しからば、プーマ政府から、もう少し偵察爆撃してくれ、もっと奥へ行ってくれ、もっと多量の爆弾を用意してきてくれという要請があれば、さらに出るのかどうか。これは国際常識上の立場からひとつ日本側としての考え方を聞いてみたいと思います。
  23. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申し上げましたように、ラオス政府アメリカ政府との間の話し合いで行なわれて、先方の説明は、休戦監視委員会活動ができない状態にあるために、そういうことの要請をしたということになり、それに応じたということになっておる。それ以上のことを私は存じないわけでございます。先ほど申し上げましたように、各種国際会議提案がなされて、国際的に政治的な解決をしようというもくろみが行なわれておるということでございますが、まだ帰一するに至っておりませんけれども、そういう動き自体日本政府として歓迎いたしております。ただ、政治的解決と一口に申しましても、現地実態から遊離した解決というものはあり得ないことだろうと思うのでございまして、政治的解決に至る道程におきましてはいろいろなことがあろうと思うのでございまして、現地実態を踏まえた上でそれに対して有効な措置がとられなければまた政治的な解決にならぬわけでありますので、今日インドシナ半島に生起しておる事態というものと政治的解決というものと全然別個の問題ではないので、今日現にいろいろなことが行なわれておりますけれども、そういう過程を通じまして、みなが英知を出しまして、それで政治的解決の有効な方式を見出していくように、われわれは期待し希望いたしておるわけでございます。
  24. 田原春次

    田原委員 今度の出動の中には沖繩からF104または102が数機出ておる形勢であり、マニラからも出ておる形勢になっておる。したがって、大臣ラオス問題はアメリカラオスとの関係だから見物するというようなまことに冷淡な答弁をしておりますが、そうではなくて、日米安保条約というものをたてどり、多数の空襲用の兵器を沖繩に置き、そこを基点として、あるいはサイゴンにも——去る三月の大演習にはサイゴンに多数行っておることは現地新聞にも出ております。今度はまた、六月になって、こういう政治的解決糸口が二つあるにもかかわらず、それらを飛び越えて、現地政府要望したからこれにこたえるという意味で偵察機並び爆撃機を出す、しかもそのうちの何機かは沖繩から出ておるというに至っては、これは米国ラオスだけの関係とはとれない。ただ見物しておるわけにいかない。一体これがどこまで発展するものか。もしそれに応戦してくる、するとアメリカはさらにまた出す、こうなりましたならば、ラオス発火点となりまして、本来中立でいっておる国が、中立三カ国のみなが、熱意と理解と協力がないために結局は戦火にあうのではないか。戦火になった場合に日本は一体黙って見ておれるか。少なくともアジアにおける戦火になる危険なところを次々消していくような努力をするのが外交でなければならぬ。従来、日本の外務省の外交方針を見ますと、事いやしくもアメリカが関与し、アメリカの利害に関係のあることは、一切遠慮して手を引くというような感じにしかとれない。ラオスの問題こそ、直ちに日本政府き然たる態度をもって、ジュネーブ協定参加国会議の再開を要望するなり、あるいは現地の六カ国会談要望するなり、あるいは他の何かの方法による、いま大臣の言われる政治的解決の方向に努力すべきものでありまして、よその火事のようなかっこうをしておるのは、その実腰を抜かしておるのではないか、方針がなくてアメリカの顔色を見ておるのではないか、こういうように心配し憤慨するのは国民一般の感情であると思う。これらの不安と憤慨に対して安心のいくようなき然たる態度日本政府はとるべきでありまして、よそのごたごたについては存じませんではいかぬ。アメリカ爆撃によってアメリカ自身も二機撃墜されておるというのでありますから、さだめしひどい戦闘があったものと想像できますが、これがきょうの新聞に報じただけでおさまるのでなく、第二次、第三次、第四次と来た場合に一体どこまで発展するか、これを考えたときに、いまのうち日本アメリカに対して、こういう出過ぎた行為をやめろ、引き揚げろと言うべきでありますが、これに対する大臣のお考えはどうでありますか。
  25. 大平正芳

    大平国務大臣 中立協定を結んで、それが守られて、ラオス中立独立と平和が維持される状態が一番いいわけなんでございますが、不幸にいたしまして中立協定が守られていないという悲しい現実があるわけでございまして、これに対してどのようにしてラオス中立を保障していくかという階梯においていろいろなことが行なわれておるわけでございまして、アメリカをはじめ関係国自体がだんだんと拡大することを希望するわけでもないし、インドシナに平和が返ることを希求いたしておるわけでございます。私どもは、あなたが考えておるように、これがだんだんと進んでまいりましてたいへんな事態になるとも思いませんし、みんながせっかく分別を出して解決しようという機運も出てきておるわけでございますから、そういう機運が結実を見るように希望するわけでございます。  それから、日本といたしましては、安保条約の運営にあたっておる者といたしまして、日本防衛という立場から考えまして、この事態アメリカに注意を喚起するというような重大な事態とは私ども考えておりません。
  26. 田原春次

    田原委員 これは実におかしいお話だと思うのです。事態というものは、いきなり日本爆弾が落ちるというようなことで起こる場合と、それから、よもやこまいと思っているうちに次々に波及してくる場合がありまます。いまサイゴンにおいて出されておる新聞等をわれわれが見ましても、アメリカのいわば出しゃばりの行動で、ベトナム問題は解決に至りません。至らぬどころか非常に悪化してきておる。アメリカの兵隊だけでも三百人戦死しておるといわれておる。アメリカ国内においても問題になりつつある。大統領選挙を控えてジョンソンは苦慮しておるといわれておる。どういうかっこうで引くか解決するか苦慮しておるところです。そこにもってきてラオスの問題が起こった。しかるに、これが政治的解決ができぬから偵察爆撃をやったというのでは理由にならぬと思うのです。それはしかしアメリカベトナムラオスでかってにやっておるから日本関係ございませんでは済まぬと思うのですね。少なくとも極東における戦火の危険を防ぎ、そしてアジア全体が平和共存でいくためには、起こってきた問題をまずその根から解決しなければいかぬと思う。あなたはさっきの御答弁の中で、平和が来ることを日本は希望していると言うが、平和は来ない。一方では外国の軍隊が行って爆撃して、そして平和にせよと言うことは、征服を意味するのであります。平和は来ない。平和が来ないところに現地における苦慮があるのであります。したがって、譲り合いで中立条約を守らせるとか、現地会議を開くとかいうことに努力すべきものである。そういう勧告さえも日本政府ができぬということは、やがては火の粉が日本にふりかかるものと覚悟しておかなければならぬ。私は、あなたを特に池田内閣の有能な外務大臣と一応とるにやぶさかでないのでありますけれども、それが事米国行動に対しては全く一言半句も批評さえせぬということでは、国民は失望すると思うのです。この際あなたは政府を動かし、アメリカに対して質問をして、即時撤退してあらためて現地会議を開くなりジュネーブ会議を開くなりするように、場合によっては東京会議でもいいから、これこそあっせんして、事態の円滑な解決をはかるべきであります。御答弁の中に平和とか円満解決ということばがありましたが、これは実際はそういうことではなくて逆に悪化するばかりということを心配するわけです。あなたの決断を望むのでありますが、現状の上でどうしたら解決するかをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  27. 大平正芳

    大平国務大臣 私の承知しておる限りでは、アメリカインンドシナ半島に軍事的な野心も持っていないし領土的な野心も持っていないと思います。あの地域から他国勢力介入というものを排除して、真の平和が回復してくる、独立が維持されるという状態を希求しておると思うのでありまして、そのために最小必要限度措置をとられておるわけでございまして、私はアメリカ政府の意図するところを疑うものではございません。そうして、現地政府アメリカ政府協定を結びましてそのようなことをやられておることに対して、日本政府がこれこそおせっかいをやくことは行き過ぎだと思います。いま御指摘のように、政治的解決という問題は、アメリカ自身努力いたして、外交的な努力もいろいろやっておるようでございますし、国際会議の問題につきましても、いろいろな提案がなされて、いまそれが国際場裏で討議されておる段階でございまして、真に政治的解決というものを希求しておることは、アメリカが熱心にそれを支持いたしておるわけでございますから、田原さんのおっしゃるように、アメリカのやっておることに対して私のほうから、日本政府から一々御注文をつけるというようなことば、私は非常におせっかいだと思います。
  28. 田原春次

    田原委員 大臣はさっきもいまもお答えの中に他国介入を排除し云々と言ったけれども、これはアメリカがやっておるのが他国介入でありまして、パテト・ラオはともあれそれはラオスの人民なんです。どういう考えを持っておるか行動は別といたしまして、パテト・ラオがやっていることをいかんときめて、そうして要請があったから出動するということは、これが介入なんです。介入を排除することが平和的解決でいく通なのでありまして、アメリカがやっておることだから遠慮しておるということにならぬと思うのです。どうしてもこれはいま日本側が進んで解決糸口をつくってやるという考え方でなければならぬと思う。あなたのお考えは少し私はおかしいと思う。  次に、それに関連してお尋ねしますが、先般アメリカハワイで大規模会談をやっております。会談後にこのラオス出動が出ておるわけであります。どういう会談をやったかは想像するだけでありますが、少なくともアメリカ方針が世界に見せるためであるか国内選挙対策か存じませんが、十数年前朝鮮戦争の場合はマッカーサー中国大陸爆撃しなければ解決しないと称して一つ方針を立てた。これに対して米国内では硬軟両様の意見があり、ついにマッカーサー自身の解任となったわけであります。今回は、われわれどうも事情が心配であります。それは、ハワイ会談をやった後に、ラオス政府要請と称し、これにこたえると称して、ぬけぬけと他国領土偵察し、おまけに爆撃した。爆撃する場合は、いま大臣が言うのは、攻撃されたから爆撃したというのですが、よその国に飛行機が来れば、その国の国民攻撃するのはあたりまえのことなんです。問題は、ラオス国内アメリカ飛行機を一機も入れずに、その政治的解決を何度も執拗に熱意を持ってやることなんです。それ以外に方法はありませんと私は思います。もしこのままでいって戦争に巻き込まれた場合に、日本は一体どうなりますか。そういう点を今朝来各界で心配しております。そのことに対するお答えとしてはまことに不十分であります。政府はこの機会に断固たる態度をとって、米軍をして引かせる、そして会議を開かせる、これをやるべきであると私は確信しますが、大平さんのいまの答弁では不満足でありますから、もう一回国民の納得するような答弁をいただきたいと思います。
  29. 大平正芳

    大平国務大臣 アメリカが引けば事態が片づくというような簡単な性質のものでないところに問題があるように私は思うのでございます。中立協定に基づく国際休戦委員会活動ラオス国内で守られていない、それが活動ができない、そういうことは平和のためによくないことだと思うわけでございます。そういう状態を解消いたしまして、中立協定の働き得るような環境をつくるための行動を開始しておるというのがアメリカ立場だと思うのでございます。したがって、問題は、中立協定をどちらが先に違反したかということになるわけでございます。また、アメリカ介入だけをいまお取り上げになりますけれどもラオスに対するアメリカ以外の国の介入という証拠もいろいろ取りざたされておるわけでございまして、問題は、せっかくできました中立協定でございますから、それが有効に働きまして、ラオス中立国として平和を楽しめるように、独立を享受できるような環境をどうしてつくり上げるかということに努力焦点を置いてやるべきであって、アリカの行動もそれに焦点を合わしてやっておるわけであると了解いたしておるわけでございます。したがって、こういった過程を通じまして、真に中立協定が働くような状況をどうしてつくるか、関係国が、休戦協定参加国はもとよりでございますけれども分別を出して、有効な保障ができ上がることをこいねがっておるし、また、そういう機運が醸成されつつあるというように見ておるわけでございます。日本にとって非常に重大な事態が起きておる、日本防衛にとりましてそういうふうに深刻な状態であるとは私は思っておりません。
  30. 田原春次

    田原委員 ラオスに関するジュネーブ協定が円満有効に動かぬから出動するというのは重大なことだと思います。なぜならば、十分有効に発動せぬならば努力して発動するようにすべきでありまして、もうこの辺でだめだから武力に訴えるという考え方は、これこそ戦争になる。第一点のあなたのお考えは、第三国が介入しているような取りざたもされている、これが重大だと思うのです。アメリカは第三国である。アメリカ関係のないラオスにおいて出動しますと、対抗的にやはり救援を求めてくるではないかと思います。第三者同士が代理戦争みたいなことをやり出したら、それこそ日本は危険なことであります。したがいまして、やはりあなたのほうがアメリカに勧告をして、武力による他国の干渉を慎み、あくまでジュネーブ協定の会合を開かしめる、ないしは現地会議を開かせるという会議方式による解決努力すべきでありまして、いまのあなたの御答弁では、いろいろおかしい問題が入っている。うまくいかぬからというのですが、うまくいかぬというのは一体どういうことであるか。どっちに約束を実行しないという点があるのかそれを排除して平和的に解決する方法はないだろうか。もしうまくいかぬのであれば、そういうふうに努力をするのが外交である。大平さんの考え方は、アメリカに追随して、武力進駐やむなし、戦争の拡大やむなしというようにとれるのですが、どの辺かで打ち切ってもらわなければならぬと思います。再三申し上げておりますように、会議の早急な開催、そのためには、ジュネーブであろうと現地であろうと、その他の土地であろうと、進んで日本があっせんしてもよいのであります。平和維持のためのものでありますからやるべきであると思いますが、いかがでありますか。
  31. 大平正芳

    大平国務大臣 たびたびインドシナの情勢につきましてはアメリカ側と話し合う機会を持ちましたわけでありますが、アメリカ側が言っておるのは、ラオスがどこの国からの介入も受けない状態に置くということになれば自分のほうも一日も早く手を引きたいというわけで、問題は中立協定が有効に働くような状況が一日も早くつくられることを望んでおります、そのために私ども努力いたしておりますという答えでございます。でございますから、その点は、私どもは、先方と話したときの先方の御意見をそのままお伝えいたしておきたいと思います。  国際会議につきましては、いまポーランド案が出、カンボジア案が出、フランス案が出、中共案が出、いろいろ一長一短がございまして、まだきまっておりません。けれども、せっかくの努力が払われているようでございますが、わが国に対しては別にどちらからも参加の招請を受けておりません。
  32. 戸叶里子

    戸叶委員 関連質問。
  33. 高瀬傳

    高瀬委員長代理 戸叶君。
  34. 戸叶里子

    戸叶委員 私ども安保条約審議のときに極東の平和ということをめぐってたいへんいろいろと議論をいたしました。やはり今度のような問題が起きてまいりますと国民は無関心でいられないと思うのです。アメリカ爆弾を落としたとか、あるいはそういった爆撃機を持ってどんどん入っていくということになりますと、一体安閑としていられるかどうかということを非常に心配するわけでありまして、いま田原委員からの大平外務大臣に対する質疑応答を伺っておりまして、全く矛盾したものを感じて、すっきりしたものが感じられないわけです。  そこで、お伺いしたいことは、このアメリカが平和的な解決を熱心に望んでいるのだ、だからおせっかいをしたくないのだ、こういうふうなことをおっしゃるわけでございますけれども、そういうふうにして爆撃機などをどんどん入れても黙っていてもいいものかどうかということは、非常に疑問だと思いますし、いまのお話の中で、もう一つの点は、そういう中立協定を働かせるような行動をいまとっているのだということなんですけれども爆弾を落としたり爆撃機を持っていくことが中立協定を働かせるような役割を果たすことだと心から大平外務大臣はお考えになっていらっしゃるのですか。この点を伺いたいと思います。
  35. 大平正芳

    大平国務大臣 そういうことを申し上げたのじゃなくて、休戦監視委員会活動ができない状態になっておるから、プーマ首相のほうから偵察を頼まれた、偵察に行ったら攻撃を受けたから反撃したまでの問題だということを申し上げておるわけです。
  36. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、いまアメリカがやっておりますことは平和の方向へ行く努力であるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  37. 大平正芳

    大平国務大臣 アメリカ自身はそう信念を持って言っておるわけでございまして、何も軍事的な野心領土野心もない、インドシナに平和と自由が返ることをこいねがっておる、それまではわれわれは防衛していく、そういうことをアメリカは言っておるんです。
  38. 戸叶里子

    戸叶委員 アメリカ自身はそう考えているからこそそういう行動をとっていると思うのです。日本外務大臣は、こちらから見て、それが平和的解決の方向に向かっているというふうにお考えになっていらっしゃいますか。私は、むしろそうでないとするならば、やはりもっと話し合いのほうに持っていくべきであって、爆弾などを落とすようなことはすべきでないということぐらいはお話しになってもいいのじゃないかと思うのですけれども、この点は一体外務大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  39. 大平正芳

    大平国務大臣 たびたび私も申し上げておりますように、アメリカ政治的解決を望んでおるわけです。また、先ほど申しましたように、外交的な努力もいろいろ展開いたしておるわけでございます。ただ、田原さんにも申し上げましたとおり、現在進行している事態から遊離した解決はあり得ないと思うのでございまして、このように進行しておる事態の中で解決の方式を生み出されると私は思うということをかねがねから申し上げておるところでございます。したがって、こういう方式がいい、ああいう方式がいいという抽象論でなくて、現在進行中の事態の中でいかにすればという分別を出さなければならぬじゃないか、それが関係者の課題じゃないか、そう思っております。
  40. 戸叶里子

    戸叶委員 私どもから考えますれば、中立協定が動くようにするには、攻撃的な態度でやるべきじゃなくて、もっと話し合いを進めるべきであるということぐらい、日本として何でも言えるのですからアメリカに進言すべきだというふうに考えるわけです。  そこで、もう一つの点をお伺いしたいのは、きょうの新聞を見ますと、南ベトナムの首相が朝日新聞の記者の方に語っているところによりますと、いろいろ言われているわけですけれども、ジョンソン米大統領が南ベトナムにもっと多くの国旗を立てるようにしたいということを言われているわけでございまして、それに対して、この委員会で前に私も質問しましたら、日本も援助をするというふうなことを言っていられますけれども、その援助の内容はまたいずれかの機会に聞くにいたしましても、事こういうふうな状態になったときにおいては、アメリカがいかに援助をしてほしいということを言われましても、こういうふうな形の中で日本が援助をすることは、平和の方向へ向かっての努力じゃなくて、かえって対立を激化するような結果になるわけでございますから、援助というようなことは差し控えるべきであるというふうに私は考えますけれども、この点を念のために伺っておきたいと思います。
  41. 大平正芳

    大平国務大臣 今日の南ベトナムの方々が、ああいう治安の不安定のところにおきましていろいろ困難を感じておられるわけでございます。われわれといたしましては、アメリカ要請があるとかないとかということにかかわりなく、これを傍観しておるわけにはまいらぬと思うのであります。先方の政府要請、具体的要請はまだまいっておりませんけれども、真に必要な援助要請がございますれば、それも吟味した上で、またわれわれの援助能力というものもよく見た上で、具体的に考えてみたいと思っております。検討いたしておるところでございます。戦争介入とか、そんなつもりは毛頭ないのでございまして、ベトナム国民に対するわれわれの友情であるというように考えております。
  42. 戸叶里子

    戸叶委員 関連ですから、これで終わります。
  43. 田原春次

    田原委員 いままでの大平さんの御答弁から見ると、国民としては不安を深めるのみでありまして、ベトナム及びラオスの緊迫した情勢に対する解決策の案とは全く見えません。先ほどのお話の中にも、ポーランド案、何々案があるということだけでありまして、日本の案というものは一つも知ることができません。したがって、戦争に引き入れられる危険を防止する意味におきまして、日本国民及び国会においてベトナム及びラオスの戦局に深入りをしないための何か決議その他の態度をとるべきだと思います。  このことば後日また御相談することといたしまして、時間の都合で、一応これで私の質問を終わります。
  44. 高瀬傳

    高瀬委員長代理 松井誠君。
  45. 松井誠

    松井(誠)委員 時間がございませんので、日韓関係の中で経済協力の問題一点だけお伺いをいたしまして、あとはいろいろな資料要求をするにとどめたいと思います。  先般のこの委員会でもお尋ねをいたしましたし、きのうも本会議で黒田先生から御質問がございました。それによると、いわゆる日韓間の経済協力というのは、民間の経済協力、したがって商業ベースによる経済協力ということに限定をする、したがって、当然のことであるけれども、それは商業ベースによる経済協力であって、そういうものであれば、特に韓国だから不利益な差別待遇をしなければならぬという理由はないのではないかというのが、いままでの大臣の御答弁であったと思います。その御答弁の限りではむしろ当然のことで、大臣が先般言われたように、天気のいい日に、きょうは天気がよろしゅうございますというあいさつをするという、それだけの意味でしかない。しかし、それが特にニュースの意味を持ったのは、実体がそうではなかったということがあるのではないか。そのことをなぜ私はしつこくお尋ねをするかといいますと、これは御承知でしょうけれども、韓国の中では、例の有償・無償五億ドル、経済協力一億ドルを含めてすでに一億数千万ドルの前取りがある、それだけはすでに韓国へ行っているという非難がある。さらに、それに関連をすることでしょうけれども日韓の経済協力というのは、新しい植民地主義、新しい帝国主義の進出だ、そういう受け取り方をされている。一体その具体的な実態はどこにあるのかということを私たちはいろいろ追及したいために、それも一つの原因でそのことをもう少し詳しくお尋ねをしたいのです。  先般私はこの委員会で、あの当時のニュース、五月の中旬でありましたけれども日韓交渉が当分とだえてくる、それで経済協力というものを積極的に推し進めようという空気が外務省の中にあるという新聞報道をつかまえて質問をいたしました。現実にセメントのプラント輸出だとか、あるいは、私はあのときプラスチックと言ったかもしれませんけれども、大韓プラスチックという会社に対する何か塩化ビニールのプラント輸出、そういうものを、いままでは認可がためらわれておったけれども積極的に認可すべきだ、そういう意向が外務省の中にある、こういう具体的な問題を考えると、いままでは商業ベースに乗らなかった、商業ベースに乗らないから認可を控えておる、この延べ払い輸出の認可を控えておる、しかし、五億ドルの借款というものをあてにしたその延べ払い輸出がだめになるということになると、やはりここで商業ベースというものを離れて認可をするということが必要ではないかというような動きが外務省に出てきたという趣旨なんです。ところが、そういう点については、この間大臣は、あくまでも商業ベースだということで、認められなかった。ところが、私、けさの新聞を見ますと、ちょうどこの間お尋ねをした問題なんですけれども、塩化ビニールのブラント輸出、それからアクリル系繊維プラント輸出、それからもう一つセメントのプラント輸出、この三つで合計約一千万ドル近くになるわけですが、これはもう成約ができておる、それの認可について大蔵省や通産省は渋っておるけれども、外務省ではいままではそれを促進する立場にあった、ところが、いよいよ最近の政情不安から、この輸出の商談が立ち消えになりそうだというニュースがある。そして、それの具体的な条件としては、この延べ払いは二年間据え置きの八年間の延べ払い、そして韓国銀行の保証があるという、そういう条件の延べ払い輸出なんです。そういうものがすでにできておって、日本政府の認可を待つだけになっておるという新聞報道があらためてけさ出ておる。これは、二年間据え置きの八年間の延べ払いというのは普通の商業ベースによる取引なのかどうか、あるいはこういうものがおそらくはこれ以外にもっとたくさんあると思いますけれども、そういうものが五億ドルの有償・無償の経済協力が無期延期になった実情に合わせて現在どういう動きをしておるか、そういうことについて、大臣御存じでしたら、ひとつ最初にお伺いいたしたいと思う。
  46. 大平正芳

    大平国務大臣 前段のほうで、純商業ベースのものであれば韓国を除外する理由はないということまでは松井さんも御理解いただいたと思うのでございますが、対韓経済協力の民間経済協力の問題で、いままでこれにからんだ問題としては、一つ日韓交渉というものがございまして、日韓交渉のたとえば漁業交渉などで向こうが非常に強い態度で出ておるとかいう場合に、日本政府としては、こちらといたしましては、これに対応して経済協力なんか甘くしてはいかぬじゃないかというような空気が政府部内にありましたことも事実でございまして、そういう日韓交渉とのからみ合いというのが一つ新たに認可する当局のほうの側のサイコロジーとしてありましたことは事実でございます。それは理屈でなくてそういう問題があった。  それから、第二点は支払い能力の問題でございます。支払い能力の問題では、いろいろ委員会でも、国際収支は非常にピンチじゃないか、あぶないじゃないかという御指摘もございましたが、ただいままでのところ、去年、一九六三年も対韓輸出は一億五千七百万ドル輸出いたしているわけでございますが、半分くらいは現金決済、半分くらいがオープン勘定の決済でございましたか、そうなっていると思いますが、これはいまちゃんちゃんと支払いができておるわけでございます。したがって、一九六一年以来、あのこげつき債権のたな上げ以来、新しい協定を結んで支払いをやっておりまするこの運営は、実績的には何ら支障なく回っているわけでございます。これは、私がたびたび申し上げますように、韓国側がいろいろ、自分の信用を失いますと自分の不利益になることでございますから、非常にナーヴァスに考えておることだろうと思うのでございます。  第三の問題は、いま御指摘のように、日韓交渉が停滞しておる段階におきまして、経済協力を外務省が推し進め、他の省は比較的消極的であるという御印象のようでございますが、私どもが立っておる立場は、原則に返りまして、そういういろいろの対韓経済協力についてのからんだ問題がございましたが、しかし、原則は原則であって、対韓経済協力を常にエクセプショナルなケースとして取り扱わなければならぬ理由はないじゃないか、こういう状況におきましても純商業ベースの判断によりまして進めるべきものがあれば進めて差しつかえないと私は思うということを指示いたしておるわけでございます。それを具体的にどのように実行してまいるかは業界の判断と政府部内のこれに対する反応でございますが、いま私がお尋ねいただけば、私といたしましては、そういう原則は原則じゃないかというように理解して、この問題についてはすなおに取っ組んだらどうだ、こう申し上げているわけでございます。
  47. 松井誠

    松井(誠)委員 時間がございませんので、御答弁はひとつ簡単に願いたいのでございますけれども、私がお尋ねをしたのは、この具体的な商談にあらわれておる条件、すなわち二年据え置き・八年年賦というのは普通の商業ベースであるかどうかということが一つ。それから、いままで五億ドルというものを引き当てにしてすでに多くの借款あるいは輸出信用によるそういう経済協力の約束ができておるだろうと思うけれども、一体それの全貌はどんなもので、それが具体的にどうなっているかということ。このセメントや塩化ビニールなどのブラント輸出が今度はだめになるかというこのニュースからわかるように、いままでそういう約束をしたものが現在どういう段階にあるかということ。つまり、日韓交渉というものの先行きについてこういう商社がどういう見通しを持つようになったかということを知るために、いままで大体どれくらいのものが日韓交渉待ちで成約になっておって、そしてそれが現在どういう動き方をしておるかということ。最初は、二年据え置きの八年年賦というのは商業ベースであるのかどうかということ。その二点をお伺いしたい。
  48. 中山賀博

    ○中山政府委員 われわれのいま持っております情報では、韓国側で綿紡の工場と、それからセメントの工場と、それから塩化ビニールの工場と、それから綿紡の織機の関係、こういうものについて発表して、これはすでに韓国側では承認を与えたということになっております。その申請が大蔵省にも出ておりますけれども、しかし、必ずしもその要求が商業ベース以上のものといいますか、非常に自分のほうに都合のいい条件が要求されておって、たとえば、頭金なしというようなこととか、非常に長い期間の延べ払いということになっておりますので、これは研究中ではございますが、何ら大蔵省でもあるいは通産省でも決定に到達していないというように承知しております。
  49. 松井誠

    松井(誠)委員 もう一点。普通の商業ベースなら差しつかえないと盛んに言われるものですから伺うのですが、現実に商談が成立したあと認可を待つばかりになったものとして、この塩化ビニールのプラントは対韓輸出の中で最大のものなんです。それの条件が二年据え置きの八年間の延べ払いということになるのですけれども、これは一体ほかの諸外国に対する延べ払いの普通の条件から見てどうかということなんです。
  50. 中山賀博

    ○中山政府委員 これは、たとえば、五年から七年あるいは場合によっては八年の延べ払いをプラントのものによっては認めているケースはございます。しかし、問題はむしろケース・バイ・ケースで、相手の国の事情、それからこちらの事情というようなものも勘案してやりますので一がいには言えないと思いますが、延べ払いの長さとしては、七年、八年もあることは事実でございます。
  51. 松井誠

    松井(誠)委員 大臣のあとの予定があるそうですので、私はむしろこの際資料を具体的に要求したいと思うのです。  先ほど申し上げましたように、日本と韓国との間の経済関係というのが非常に暗い黒い霧に包まれておる。たとえば韓国日報に、ことしの二月に、日本と韓国との間の民間のそういう借款が、延べ払いが主でしょうけれども、承認をしたもの、いま推進中のものを合わせて約五千万ドルだという発表がある。それに見合うような実態が具体的にあるのかどうかわかりませんけれども、いま局長が読み上げられたようなそういう日韓の民間の経済協力の具体的な実態。  それから、それだけではなくて、たとえば最初は二年くらい前には保税加工という形で相当向こうへ資本なり出ていったやに聞いておりますけれども、保税加工という名前で具体的に日韓の経済関係がどのような動き方をしたのか。  あるいはさらに、これはたとえばアメリカの法人としてアメリカで成立した日本のいわゆる現地法人、丸紅飯田とか野村だとかいろいろな現地法人があるわけですが、そういう現地法人が韓国へ進出する。現実には日本資本だけれどもアメリカ現地法人という形で日本資本が韓国へ進出しておる実態はどういうものか。  それから、さらに、この間いろいろ具体的にお伺いいたしましたけれども、具体的には必ずしもはっきりわかりませんけれども、先般いただきました日韓の貿易関係で、一九六〇年から六三年までの統計をもらってありますけれども、これの通関統計と為替統計との差が、六〇年、六一年には非常にはなはだしく大きい。六二年、六三年になると通関統計と為替統計とは大体似たような形になっておりますけれども、六〇年、六一年は非常に違いが激しい。これは具体的にはどういう事情によるものなのか。つまり、金の受け払いのない品物だけが行ったというのがどうしてこれだけ大きくなってきたのかというその実態も、ひとつこの次までに具体的な資料として提出をしていただきたい。  そこで、最後に一点もう一度質問を申し上げますけれども、いまの局長の御答弁ですと、五年とか七年とか八年とかいう延べ払いの条件はある、必ずしも二年据え置き八年年賦というものは異例ではないということですが、しかし、二年据え置きの八年年賦というものが、例の五億ドルの十年年賦というものにちょうど符節を合わせておる。日韓交渉の結果による五億ドルのうちの無償でしたか有償でしたか、何か十年間の年賦という条件であったと思いますが、ちょうどそれに歩調を合わせた延べ払いの期間になっておる。だから、これは五億ドルというものの成立を当てにした商談であったということには間違いないと思うのです。そういうことから抜き差しならない形で日韓協力というものがすでにできてしまっておる。そのあとを追っかけて無理をして日韓交渉をまとめようということになったのではたいへんだと思う。たとえば共産圏に対する場合には五年以上の延べ払いは遠慮してもらいたいという声さえある中に、二年据え置きの八年年賦というものが必ずしも異例ではないという言い方になると、大平大臣がしょっちゅう言っておるように、中国に対しても別に延べ払いについて特段の条件の違いというものは認むべきではないという考え方からいけば、むしろ五年以下に縮めようとするそういうアメリカの圧力があるようですけれども、そういうものに対して一体どうするかという問題も出てくると思います。  まあいろいろな問題がありますけれども、時間がないので、この次に資料をいただいて詳しいことをお尋ねいたしたいと思います。   〔高瀬委員長代理退席、委員長着席〕
  52. 臼井莊一

    臼井委員長 川上貫一君。
  53. 川上貫一

    ○川上委員 大臣は非常にお忙しいそうですから、それにも同情します。聞きたいことがたくさんあるのですけれども、しかし、きょうは二、三点だけ質問します。  外務大臣がおられるのですが、どうも日本外交アメリカに追従するだけで自主性はさっぱりない。そうじゃないとおっしゃるでしょうけれども、これは重大な問題ですから具体的にちょっとお聞きしますが、北のベトナムです。ベトナム民主共和国の経済代表の入国を拒否しておるのですが、あれはどういう考えでしょうか。  そこで、これは一々聞けば時間がかかりますから、ついでに一緒に聞きますが、あなたのところのアジア局ではこういうことを言うておる。アメリカが南ベトナムで血を流しておる時分に北ベトナムの経済代表団を入国させることはできない、自由陣営の一員としてベトナム民主共和国との貿易はやめるつもりである、ココムの禁輸品目以外でも今後は禁止するつもりである、そのほかたくさん言うておるのです。時間の関係上一部言いますが、これは外務大臣が指示したのですか、閣議で決定したのですか、これを聞きます。
  54. 大平正芳

    大平国務大臣 川上さんの所属する政党から自主外交がないなんと言われることは非常に心外に思うのですが、それは別にいたしまして、北越の視察団の入国問題は目下検討中でございまして、結論は出しておりませんから、いまあなたがお述べになりましたアジア局の見解云々につきましては、私は承知いたしておりません。
  55. 川上貫一

    ○川上委員 しかし、これは外交上きわめて重要な問題です。アジア局の人々がはっきり言うておるのを外務大臣は知らぬとおっしゃる。これは非常に重要じゃないですか。いま私が一部中身を述べましたが、詳しく述べたらもっとひどいことを言うておる。これを外務大臣は知らぬ。閣議で決定したものでもなさそうだ。しかし、アジア局の人が言うておる。これはどういうことになるのですか。外交上の重大な問題です。南ベトナムアメリカが血を流しておると言う。血を流しておるのは南ベトナムの人民です。アメリカは無法な干渉をして介入をして戦争をしている。ベトナムの人民にこそ血を流さしておるのです。アメリカは少しぐらい流したって自業自得です。しかるに、政府のほうはそうじゃない。いま私が述べたようなことを言うて、入れぬということを言うておる。ココムの禁輸品目以外でもとめるとはっきりと言うておる。もっと言うておりますよ。政経分離以上の次元である、こう言っておる。もっと高いと言う。もしこの人を入れたら精神的影響をアメリカに与える、こう言う。これはアメリカにしかられるということじゃないですか。これは外務大臣知りませんか。責任のある答弁をしてください。外務省の責任のある地位のアジア局の人々が言うておるのです。
  56. 大平正芳

    大平国務大臣 外務省を代表して国会に責任を持っておるのは私でございますから、私を相手にやっていただきたいと思います。私といたしましては、まだその問題については検討中でございます。
  57. 川上貫一

    ○川上委員 それでは、アジア局の人が言うたのはうそですな。こう理解してけっこうですな。問違いである、外務大臣は知らない、外務大臣委員会政府を代表しているのだ、わしの言うことを信用せい、そうすれば、アジア局で言うておるこれは間違いだ、これでいいですか。
  58. 大平正芳

    大平国務大臣 外務省の中の取りまとめは私がいたしておりますので、私におまかせいただきたいと思います。
  59. 川上貫一

    ○川上委員 こういう応答ではどうも話にならぬ。私は委員長にお願いします。この次の国際情勢の時分にアジア局の人を呼んでもらいたい。アジア局の稲田南東アジア課長、ほか二名ありますが、一人でよろしい。同時に、日越貿易会の専務理事中川武保、この参考人を要求します。いまのようなことを言われてはかなわぬ。大臣は知らぬと言うのですが、下僚がこんなことを言うて、外交上の重大な問題にかってほうだいを述べておる。これを委員会で質問すると、大臣は、知らぬ、政府を代表しているのはわしだから、わしの言うことを聞いておれというようなことを言う。あんたの言うことを聞いておれぬじゃないですか。こんなことをやられたら事実上この経済視察代表団は来れぬことになる。来させぬと言うておる。現にビザを出さぬではないですか。これはどうなるのですか。はっきりしてください。
  60. 臼井莊一

    臼井委員長 川上君の御要望の参考人につきましては、理事会に相談の上決定いたします。
  61. 大平正芳

    大平国務大臣 いまあげられた課長は私の指揮のもとにあるわけでございますから、一々課長がどう言ったこう言ったということでそれをあげつらうことのないようにお願いいたしたいと思います。先ほど申しましたように、国会に対しては私が責任を持っておるわけでありまして、その案件につきましてはいま検討中であるということを言っておるわけでございますから、私が結論を出しましたら、それを御批判いただきたいと思います。
  62. 川上貫一

    ○川上委員 たいへん時間がなくて気の毒ですが、それなら、アジア局の人々が言うておるのはどうするのですか。対外的に政府を代表してはっきり言うておる。私がいま述べた以外のことをもっと言うておる。これはどう処理しますか。日本の人民は、外務大臣なかなか会うてくれぬから、しかたがないから課長に会うたり局長に会うたりしよる。その課長がこんなにはっきり言うておる。政経分離以上の次元だ、お前らぐずぐず言うてもだめじゃと言う。どうしたらよいのです。外務大臣にまかせますか、どのようにしてくれますか。
  63. 大平正芳

    大平国務大臣 政府もたくさん人がおりまして、いろいろな議論があるのでございます。しかし、きめるのは私でございますから、私のほうで処理いたします。
  64. 川上貫一

    ○川上委員 そういうようなことを外務大臣が外務委員会で言われては困りますな。国民、人民は一体どうするのです。そうすれば、この代表団については目下考慮中、検討中であって、アジア局で言うたことは全部間違いだということになっていいのですかどう理解したらよいのですか。
  65. 大平正芳

    大平国務大臣 川上先生もお聞き分け願いたいのですが、部内にはいろいろな意見があります、ありますが、いま私のところで検討をいたしております、私がきめます、こう申し上げておるわけでございまして、一々たくさんいる公務員がどう言ったこう言ったというようなことを問題にされては困るわけでございまして、国会に対して責任を負っておるのは私でございますから、私の御言明を御信頼いただきたいと思います。
  66. 川上貫一

    ○川上委員 どうも時間をとりますが、下僚が言うたのを取り上げられては困ると言いますが、国民、人民はここと折衝しておるのです。政府を代表してこの課長がはっきり述べておる。それがいま大臣のところで考究されておると言うのなら問題はない。はっきり言うておるじゃないですか。私は実際のそのもっと詳しいものを提出してもよろしい。これが間違いであるのか。これは、大臣としては、そういうことを指示したのではないとか、これは政府方針でないとか言うてくださらなければ、大臣を信用せいとおっしゃっても、国民の側に立ったら始末に負えぬじゃないか。国民が行くとこう言われる。委員会で質問をすると、大臣は、わしにまかせと言われる。どないすればいい。大臣は、大臣の一人であると同時に国民ですから、国民立場になってみてください。どうなると思いますか。
  67. 大平正芳

    大平国務大臣 もっと申しますと、その問題は私どもの省議の問題にいまなっておりますから、いま検討いたしておりますから……。
  68. 川上貫一

    ○川上委員 そうすれば、アジア局の課長その他が言うたことは、あれは間違いだ、政府としては最後的な決定は何もしておらぬ、こう了解します。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 そのとおりです。
  70. 川上貫一

    ○川上委員 そうすれば、この次の委員会に参考人は要りませんから、稲田課長だけ呼んでください。どういう資格で言うたか。外務大臣は、そういうことは政府は決定しておらぬと言う。課長ははっきり言うておるのですから、この課長がどういう資格で言うたのか、だれに指示を受けて言うたのかこれをここで聞きたいから、これは委員長にお願いをします。  あと二点だけです。たいへん心外だとおっしゃいますけれども、朴政権は朝鮮学生、市民、人民の猛烈な反撃にあって戒厳令をしきました。軍隊二個師が出動している。あの軍隊の指揮権はだれが持っているのですか。朴政権に指揮権がありますか。ないはずです。アメリカ軍最高司令官の指揮下にある。戒厳令一つでも、軍隊が出動しなければ戒厳令は施行できません。自分には指揮権さえない。これが二個師出ている。この戒厳令はアメリカがしいたんじゃないですか。朴にはこれを遂行する実力実も資格もないじゃないか。こんなものを相手にあなたは外交をしようとしておられる。しかも、総理大臣大平外務大臣も、理解をし同情すると言うておる。だれに同情するのですか。人民に同情するのですか、かいらい政権の朴に同情するのですか、実際に戒厳令を遂行するアメリカに同情するのですか。これどう思いますか。これでも自主外交だと言えますか。日韓会談ではない、日米会談じゃないですか。こんなのが朴政権じゃないですか。いろいろのことを聞きましたが、一体、この戒厳令、軍隊の出動、指揮権、朴にどういう権利があるか、せめてこれだけ答えてください。
  71. 大平正芳

    大平国務大臣 韓国の問題でございますから、韓国のほうにお尋ねいただきたいと思います。私のほうの問題は、日韓交渉の私は当事者といたしまして、日韓交渉という場面を通じまして接触を持っておるにすぎないわけでございまして、韓国の内政、外交につきましては、韓国のほうで責任を持っておるわけでございます。私のほうからあなたに対して御答弁申し上げる立場でないわけでございます。
  72. 臼井莊一

    臼井委員長 川上君に申し上げますが、理事会で申し合わせの時間がまいりましたから……。
  73. 川上貫一

    ○川上委員 もう一つで終わります。
  74. 臼井莊一

    臼井委員長 では、もう一問だけ。
  75. 川上貫一

    ○川上委員 沖繩の問題ですが、一つだけお聞きしておきます。沖繩のキャラウェー高等弁務官は、アジアに緊張が続く限りは沖繩は放棄しない、沖繩の占領は永久的である、最近あらためてこう言いました。政府はこれを認めますか。認めないとしたら、何か抗議をしましたか。これをどうするつもりですか。さらに、沖繩の永久占領と言うておる。これの法的根拠は何ですか。アメリカ沖繩を永久占領すると言う。これの法的な根拠。  時間がないから、ついでにもう一つだけ。沖繩には核ミサイルを置いておる。これは距離が北ベトナム中国、北朝鮮、この範囲にしか達しない。もちろんソ連には行かない。この相手国は核武装した国でない。そうすると、このミサイルは何に使う。先制攻撃以外には使えない。相手は核兵器を持っておらぬ。そこへだけしか行けぬミサイルだ。こういうことをしておいて永久占領する。これを政府は認めますか。これが平和に貢献する道ですか。これを簡単にお答えを願いたい。  抗議をしたかどうか、この高等弁務官の言うておることを認めるのかどうか、もう一つは、永久占領とはっきり公言したが、この法的根拠は何か、これだけです。
  76. 大平正芳

    大平国務大臣 アメリカ政府の従来の言明は、極東に緊張が続く限り沖繩を保持するということはかねがね言っております。それから、沖繩日本との関係につきましては、沖繩日本領土である、日本に返さなければならぬ、その返す場合の困難を減殺するために、日本と協力いたしまして民生、福祉、経済の水準を上げていこう、これが基本的なアメリカ立場であると承知いたしております。キャラウェー弁務官がどう言われたか、一々私は承知いたしておりません。私どもアメリカ政府を相手にやっておるわけでございまして、私が承知いたしておる限りにおきましての公式の見解は、いま申し上げたとおりでございます。  第二点といたしまして、沖繩の軍事施設のことに言及されましたが、私は、かねがね申し上げておりますように、東西の間と申しますか、世界の平和というのは、いまあるがままの軍事施設と軍事力というものが一応のバランスを持っておるから維持されておるものと思うのでございまして、沖繩にいたしましても、日本にいたしましても、そういう軍事力の一つの重要な一環をなしておると思うのでございまして、これは平和のためにあるわけでございます。現に、過去安保条約が結ばれましてから長い間たちましたけれども、平和は維持されてきましたし、これは川上さんも否定はしないだろうと思うのでございまして、先制攻撃なんかしたためしはありませんし、平和のためにあると思います。
  77. 臼井莊一

    臼井委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる十三日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会