○帆足
委員 そういうことでありますならば、わが親愛なる菅原通濟さんのこの書物の
内容はきわめて非科学的なものとして、菅原さんのお気持ちを害しないような方法において多少啓蒙しておいていただくことが私は必要であろうと思います。と申しますのは、香港情報というものが問題だと思う。それから、台湾も、蒋介石さんなどは上の人ですからこういうことまで手を出さないでも軍資金があると思いますけれ
ども、私が承知しておりますのは、
日本国内で土地ブローカーでもうけたり、色彩好ましからざるあくどい喫茶店をつくったり、パチンコ屋を流行さしたり、それから赤線地帯を復活させたりする者の中には、
国籍不明な不良第三国人が充満しているように思います。これらの世界がすなわちアヘン密売の巣くつと
関連のあることは一目瞭然たることでございます。したがって、問題はその問題に持ってくるべきであって、一方ではケネディ前大統領が民主主義を主張し、他方ではフルシチョフ氏が社会主義を主張している、そういう政治問題とこれは現
段階においては
関係がないと思っております。そうではなくして、こういう国際的ルンペンブローカーが、
日本においても、これが終戦後多少の特権を持っていた時代の余勢をかってばっこしていると同時に、インフレ
経済下における貧苦の者たちの絶望感、その心理的弱さと結びついて、従来戦前にはこれほどでなかったアヘンという害毒、当初はヒロポン、後にはアヘンという害毒で広がっている、こういう現象だと思うのです。問題の本質を菅原さんのこの書物ではそらしておる。一体この香港の情報の軍資金はどこから出ておるかといえば、これは暗黒街から出ておる。暗黒街の軍資金はアヘン密売者から出ておる。アヘン密売者がアヘン撲滅の本に対して資料を提供した、こういうことになっておることを、ひとつ皆さんもよく
考えていただきたい。
それから、第二には、中国または
朝鮮政府がアヘン密売に
関係したという記事がときどき周期的に新聞の社会面に出ます。私は警視庁の外事課に対して注意を促したい。新中国は、御承知のように、長所もあり、また他国から見ればだれしも欠点があるでしょう。しかし、私
ども多くの議員の人たちがまいりまして、長所として数えておるものは、潔癖であり、そして儒教的である点です。男女
関係においても非常に美しく、それから、つばきを吐くことすら禁止され、
子供たちの教育は、三歩退いて師の影を踏まず、私は逆に教育勅語の御精神がそのまま中国で採用されておるような錯覚をすらときどき抱くくらいです。これくらい東洋的道義においてかたくなっております。もちろん、それを諸君が好むか好まないかは、趣味の問題ですから、あえて深く立ち入りません。北
朝鮮にまいりまして痛感いたしましたことは、革命直後の
朝鮮の混乱状況については皆さんも御承知のとおりですが、その後たいへんよくなっております。おそらく中国から非常に学ぶところがあったのでしょう。
朝鮮の諸君はやはり長い間苦しみましたために感情に激しく、そして当初は徳性において欠くるところが多少ありはしないかという偏見もわれわれ持っておりました。しかし、
朝鮮の農村にまいりますと、非常に牧歌的な、古代的な、コミュニティ的な空気が濃厚であることを見て驚くと同時に、都会におきましては、中国の影響を受けまして、非常に道徳的というか、むしろかた過ぎるくらい道義的になっている。私
どもから言わせるならば、もう少しやわらかくてもいいのではないかと思うくらいでございます。こういう状況でありますから、北
朝鮮、いわゆる
朝鮮民主主義人民共和国並びに中華人民共和国がアヘン密売でもうけて、それを国内建設に使うということは道義的にもあり得ないし、そういうことの
一つでもあったならば、
国民の信用を失なってしまう、そういう緊張した空気でございます。いわんや、アヘン戦争で苦しんだ国でありますから、アヘンを憎むこと中国・
朝鮮ほど激しいものはないという風景を見てまいったのでございまして、アヘン患者矯正の機構は秋霜烈日のごときものでありまして、いまはもはや世界で最もアヘン患者のない国の
一つでございましょう。そういう事情であるにかかわらず、北
朝鮮国籍の者、すなわち、北
朝鮮国籍といっても、名目上の
国籍でなしに、そこで教育を受けた者または中国で教育を受けた者がひそかに脱出して、アヘンでもうけて、
経済建設の資金を求めるということは、犯罪人でない限りは、私はノーマルにはあり得ないことであると思っておりますが、周期的にときどきそういう記事が新聞に出る。これは警視庁外事課または調査庁の中に
アメリカのCIAの手が伸びているのではあるまいかという説を唱える者があるくらいでありまして、私は確証なきことによってわが誠実なる官僚諸君に恥を与えようとは思いませんので、あえてそのことを断言いたしませんが、それについての相当の資料をわれわれに提供し、そうして相当の警戒を必要とするという助言をしてくれた信用ある人たちの
ことばも、また資料も多少手にいたしていることをまことに残念に思う次第でございます。私が無事の罪で憲
兵隊に投獄されましたときに担当しておりました思想検事さんな
ども、お心持ちは後悔されておるかどうか知りませんが、やはりそれぞれ局の中に御在任あって、そしてときどき
アメリカにおもむかれているというような様子を新聞で伺いまして、よき
日本人に立ち返ってくださっているならばいいことであるけれ
ども、悪にも強ければまた悪にも強い、どうせやけのやんぱちで、昔はファッショであったから、今度はひとつ
アメリカのCIAにでもサービスをしようというようなお心持ちになっておられたならば、お子さんのためにまことに不幸なことであるし、当人のためにもまことに不幸なことであると、ときどき新聞の辞令などを読んで私は心配しているような状況でございます。また、周期的に北
朝鮮及びソ連のスパイ事件の報告が出ております。最近、
朝鮮赤十字が
日本に来るというその時期を逸せず、「東京にいた北
朝鮮スパイ、ホテルを根城に暗躍」という記事が二日にわたってどの新聞にも出ております。私がこのことを述べましたことの
一つは、先年もまた、たぶん新潟海岸だったと思いますが、
朝鮮のスパイが漂流してきた、そうして、一人は死骸になっていかだに浮いている、数名はテントの中でふるえていて、
日本語もろくにできない、ドルと暗号電報と無線電信機を持っていた、こういう記事がありました。私は普通の常識から
考えてきわめてけげんにたえないのでありますが、
朝鮮戦争の最中であるならば、非常事態としてそういうこともまた
考え得るかもしれません。一国が死活の境に置かれたときにはいかなる非常事態が起こるか想像の及ばぬこともあり得るかもしれません。しかし、今日の事態においてそういうことがあり得るか。それは、
日本の一般情勢を知りたい点もあるでしょう。また、彼らの一般的・軍事的情勢をわれわれの防衛機関が知りたいという点もあるでしょう。しかし、それはそれにふさわしい合法的方法がある。特に、
日本はいま、機密のない国として、共産党も公認されておりますし、あらゆる種類の政治的団体も公認されております。自己の政治信念のもとに自分の得たところの知識を送達するということは、言論及びジャーナリズムの自由として許さておりますから、ことさら
ことばのわからない人間が流れ漂ったり、天幕の中でふるえたり、暗号電報をつくって急いで通知しなければならぬというような事情はないと思います。通信するならば、わずか一週間で、いまは飛行便でしかも秘密に通信はできるわけです。常識で
考えられざる事件が大々的にしかも十分なる真偽も確かめずに新聞に出るということは、私は、このカンパニアを起こしている勢力があるということを
考えることは、別に推理小説の愛読者でなくても、やはり常識で憂慮するところであろうと思います。したがいまして、こういうような事件に対しては警視庁当局はもう少し慎重であってもらいたい。裁判の結果そのようなことがあったならばやむを得ないけれ
ども、
相手が小国であるからといって、軽率なる記事を大々的に新聞に発表するというような
ことばやめてもらいたい。これがもしフランス、イタリアまた
アメリカが
相手だったら、こんなことはしないでしょう。私は常識で申してこういうことはまずあり得ないことであると思います。先年、柏崎のほとりでしたか、
日本海を流れただようたという事件も、竜頭蛇尾と聞いておりますが、なぜ警視庁はこういうような発表のしかたをされるか。警視庁はただ事件があったというような発表をしたのを、新聞記者諸君がちょっと大きく取り上げたのであるから
責任は新聞社側にあると言われればそれまででありますけれ
ども、だれしも、常識ある者としては、どうもこういう現代のおとぎ話のような記事が出ることは好ましいことでないと思うでしょう。私は、日をあらためて、こういう事件が幾つあってその結末がどうなったかということを、いずれ法務
委員会と相談して伺いたいと思っております。私は
日本の警視庁及び公安調査庁にアヘン勢力がまだ侵入しておるとまでは思っておりませんけれ
ども、
アメリカのCIAとの
関係は相当あろうと思っております。それがよい
仕事のためにあること、たとえばアヘン密売を禁止する、また国際的ギャングを取り締まる等のために提携をすることはよいことですけれ
ども、変な政治的策動を強制され、資金が流れ、そのCIAのカンパニアに参加するということは慎しむべきことであると思います。
アメリカのCIAが行なった罪悪の数々は、ラジオやテレビでわれわれは知っております。また
アメリカ人の書いた小説の中でも知っておりますし、南ベトナムにおいて、
アメリカの諜報機関がいかなる罪悪を犯しつつあるかということは、もう世界周知のことで、フランスの文献によって詳しく発表されておるとおりです。そのフランスがまたアルジェリアにおいていかなる暴虐なことをしたかということも、いまはドゴールが認め、そのあやまちを二度と繰り返してはならぬとマンデス・フランスが叫んでおることも御承知のとおりです。満州事変のときに
日本軍が張作霖をどういうような殺し方をしたかは皆さんの御承知のとおりです。私
どもは、警視庁の方々を全部敵に思ったり、警察庁の方を敵に思ってはおりません。夜道井之頭公園の近所を娘が帰ってくるときに、巡らのおまわりさんたちをどれほど心強いものに思い、私たちはたよりにしていることでしょう。政治的デモンストレーションのときなどは互いに衝突いたしますけれ
ども、これは
歴史の宿命でありまして、個人的にお互いに憎むべきことではなく、お互いにやむを得ない
歴史上の摩擦であると思います。しかし、アヘン問題またはギャング退治、暴力団退治等に対しては、互いに誠実であって、いやしくも暴力団とつながりを持ったり、アヘン密売者とつながりを持ったり、または
アメリカのCIAのカンパニアに乗って隣邦諸国と政体が違おうとも、平和共存の今日、原爆の今日、その
国交を阻害するような記事をわざわざ流すような軍資金なり機密資金なりまたは現金が流れておるとするならば、私は
日本人として恥ずかしいことであると思います。この問題について多少の資料をわれわれは用意いたしておりますから、次の機会に
関係当局にお尋ねしますが、どうか、過去においてそういうことがあったことはやむを得ないとしても、今後ないとしても、今後はもう少し慎んでいただきたい。今後同じようなことをされるならば、私
どもは断固としてその根源を追跡し、そして
日本の官吏として
責任をとっていただかなければならぬ日が来ると思います。私
どもは
日本の国
会議員ですから、
アメリカの圧力などはおそれておりません。また、ソ連、中国に対しては、正当なことを言われるならば、それは理あることとして聞きます。また、かりに正当でありましても、
日本の
国民的利害と一致しない点は、一致するように話をつけて、われらの祖国の敷島の大和の国といわれるこの
日本をよい国にして、
子供たちによい遺産を残したいという気持ちは、野党、与党を問わず、外務
委員全員の心持ちであると思っております。
アヘン国際
条約をいま審議し批准する前夜にあたって、私はこういうような複雑な問題がからんでおるということを御出席の
関係官庁の皆さんにきょうは申し上げまして、この次は具体的例をもって多少御
質問いたしますから、皆さんのほうでもわれわれをこわがらずに、過去において多少の行き届かぬ点があったのは終戦直後以来の惰性であると存じますが、今後はひとつ一そう清らかな警視庁になり、一そう清らかな公安調査庁になっていただきたい。政治のための意見の相違は、それはやむを得ない。いつの時代でもあることです。しかし、不正なことがあっては、卑怯なことがあっては、不潔なことがあってはよくないと思います。たとえば、公安調査庁にいたしましても、
朝鮮人帰国の問題につきまして、あのとき、この外務
委員会で、まあ三千人から三万人くらい帰るであろうと証言しましたが、あれは希望的観測で、帰らぬほうがいいと思っているからそういうことを言う。私は、役所というものは、やがて社会党が
政権を取ることもありますし、自民党が
政権を取ることもある、そのときに急に腰を抜かしたりすることのないように、常に法律と
憲法に忠実に、中立の立場で
仕事をなさる、そして指図は上司の指図を受ける、しかし、法律と
憲法に関する限りはそれに忠実に職務をなさって、ことさらに人為的なことはされない、
朝鮮人帰国の
見通しはどうかと聞かれたならば、正確な統計を取って、
朝鮮人の貧窮の状況がどのくらい、犯罪状況がどのくらい、そしていま目ざめつつある状況はどのくらい、混乱に陥って
見通しを失っている人の数はどのくらい、それから類推してこれくらいの数の者が安定した場所へ帰りたいと思うであろう、こういうふうに客観的資料を出していただくようにお願いしたい。その資料をどう処理するかは、これは
政府の
仕事である。現在すでに
朝鮮人帰国者の数は八万人をこえております。しかるに、当時最高三万人と言った公安調査庁の諸君の顔色いずれにありや。良心というものがあるならば、おれは調査マンになるよりも別な職業を選んだほうがよかった、こう後悔なさるべきであろうと思います。また、こういうような記事を軽率に流布する警視庁外事課の態度は改めていただきたい。ダレス全盛のときならば、共産圏の悪口を誘発するような記事を書けばまあ金鶏勲章がもらえたでしょう。しかし、いまは、吉田さんも、もはや原子力のもとでは政体、国体、
経済体制が違っても互いに内政干渉しないで平和共存しようというふうに変わり、また、
アメリカも、ケネディ大統領のなきあと、ジョンソン大統領は、やはり論理と合理性を持って話し合っていこうということで、そういう方向に世界が向かいつつあることは御承知のとおりです。そして、
アメリカにおいてCIAの総裁であったところのアレン・ダレスは恥ずかしめを受けて
国民嘲笑のもとに彼はついにやめさせられたということも、諸君は十分に
考えておいていただきたい。いまはダレス国務長官の時代ではなくして、なきケネディの志を受け継いだジョンソン大統領の時代です。
アメリカに多くの欠陥はありますけれ
ども、
アメリカにはなおかつ開拓者精神及び理性の一片というものが残っておることをわれわれは期待しておる状況です。したがいまして、CIAと結託して奇妙な情報を流すというようなことは、ひとつ今後は慎んでいただきたい。
たとえば鹿地亘君の事件でもそうです。私は鹿地君に対しては別に関心を持っておりません。しかし、
アメリカのCIAにつかまって、あげくの果て神宮外苑かどこかに捨てられたという事件を見て、私は怒髪天をつきました。これはひどいことです。こういうようなことの中に、また三橋という奇妙な人物があらわれて、もうわけのわからぬ状況になっておる。そして、だれもこのなぞを解く人はないでしょう。ないけれ
ども、奇妙きてれつだということは明らかです。いやしくも一国の司法機関が犯人として人をつかまえておきながら、沖繩に連れていって拷問して、あげくの果て、そのコックさんに見つかって、帰すに帰されず、殺すに殺されず、神宮外苑に車で捨てて帰ってしまうとは何事ぞ。そして、そういう機関を追及する努力を
日本の外務省は怠っておるとは何事ぞ。これが文明国と言えるか。しかし、もうそれは
アメリカ自身がさばきました。その
責任を負ってアレン・ダレスは首になり、そして、CIAに対しては、
アメリカ国務省及び
アメリカ大統領がみずから
権限を縮小し、その再調査を命じ、その悔い改めを要求しておる。しかるに、まだその尾てい骨が残っておる。南ベトナムでは、ゴ・ジンジエムを殺し、バーベキュー夫人という魔女を生み、そしてその魔女がまた反逆してフランスに逃げ出す、まことに複雑怪奇な国際情勢でありまして、私は沖繩における
アメリカのスパイ訓練機関の
内容についての報告書を外務
委員として入手をいたしましたが、驚くべき諜報機関の残虐ぶりであって、われわれ文明人をして目をおおわしめるような訓練がそこで行なわれておる次第でございます。軍備の存在しておる今日、世界どこでもそういうことがあるというならばそれまでのことでありましょうけれ
ども、こいねがわくは、
わが国における司法機関も警察機関も清潔でありたい、こう私は思っておる次第でございます。(「腹がすいたよ」と呼ぶ者あり)腹がすいたという声がいよいよ盛んになってまいりまして、この点は超党派でございますから、きょうは私は警告の意味でこれだけ申し上げまして、この次具体的に
質問いたしますから、ひとつ皆さんは、外務
委員会を別にこわがる必要はありませんから、率直に説明をしていただいて、今後は平和共存時代にふさわしい清らかな検察機関になっていただく。また、厚生省御当局の涙ぐましい御努力に対しては、
仕事のしやすいようなふうに外務
委員からも大蔵省その他に警告を発して、予算の裏づけその他警官職員の待遇改善等には御協力いたしますから、きょうは
質問の皮切りに心持ちだけ申し上げておきます。大体、国会というところは
政府の意見を聞くところのように思っておりますけれ
ども、そうではなくて、
国民の心を皆さんに伝えるのが国会の役割りでありまして、あとは問いただして意見を承ればいいのでありますから、さよう御了承願いたいと思います。