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1964-05-22 第46回国会 衆議院 外務委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十二日(金曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 安藤  覺君 理事 椎熊 三郎君    理事 正示啓次郎君 理事 古川 丈吉君    理事 穗積 七郎君       愛知 揆一君   小宮山重四郎君       佐伯 宗義君    竹内 黎一君       渡海元三郎君    濱地 文平君       三原 朝雄君    森下 國雄君       帆足  計君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         外務政務次官  毛利 松平君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君  委員外出席者         外務事務官         (アメリカ局北         米課長)    中島 信之君         外務事務官         (条約局外務参         事官)     兼松  武君         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 五月二十二日  委員宇都宮徳馬君及び福井勇辞任につき、そ  の補欠として小宮山重四郎君及び渡海元三郎君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員小宮山重四郎君及び渡海元三郎辞任につ  き、その補欠として宇都宮徳馬君及び福井勇君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国アメリカ合衆国との間の領事条約の締  結について承認を求めるの件(条約第五号)(  参議院送付)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  日本国アメリカ合衆国との間の領事条約締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。穗積七郎君。
  3. 穗積七郎

    穗積委員 大臣お尋ねしたいこともありますけれども、あとにいたしまして、まずその前段として条約局長お尋ねいたしますが、外交官領事官というものの区別並びに領事官任務ですね。これは慣例国際的に理解があると思うのですけれども、その区別外務省としてどういうふうに規定をしておるか国際上そういうことに対しての了解事項みたいなことがございますか。
  4. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 日本国内法でも条約でも定義的に規定したものはございませんけれども、大体、慣習国際法といいますかそういうものとして、はっきりした区分がございまして、外交というのは政府政府関係領事は、在留民保護に関連して地方当局交渉する、あるいは貿易の増進をはかるというふうに、レベルが違うということになっております。ただ、場合によって、大使館の館員が領事を兼任せしめられまして、領事館で行なう仕事便宜大使館でやるということはございます。
  5. 穗積七郎

    穗積委員 私も常識的に理解をしておったのですが、特に私がなぜこういうことを聞くかということを大臣も御理解いただきたいが、領事任務並びに権限ですね、職務といいますか、そういうものを明確にしておくことが必要だと思いましたことは、いろいろな免除特権を与えておるわけでございますが、それは、この間のウィーン条約外交官に関する一般の取りきめが成文化された、それとの関連でわれわれが妥当であるかどうかを検討する場合に必要だと思ったものですからお尋ねしておる。他意はないわけです。いろいろ文章に書いて、それが別にあれだというふうには思いませんが、いろいろしてみて、私どもとしては次のように理解をしたところが常識的ではないかというふうに思うのですが、お聞きの上で条約局長の御意見を聞きたいのです。  つまり、接受国、リシーブド・ステーツの産業、経済通商に関するいろいろの諸事情視察、調査する、そして本国及び自国民でその接受国に在留しておる者にこれをインフォームする、知らせる、そしてまた本国接受国との間の経済条約あるいはまた通商航海条約等受け入れ国における状況を観察、監視するというのが大体その地位に与えられた任務一つではないか。それから、もう一つは、今度はその接受国に在留いたします自国民保護あるいは便宜の問題がありますが、保護のためには旅券の発行または査証、その他必要な措置、それから、ことに港や海岸等管轄区域とする領事にあっては、自国船舶保護監督ということは重要な任務一つではないか。それから、船舶書類の検閲、紛争の調停、海難の証明脱走船員の取り押え等々が職務の中で考えられるのではないか。それからまた、在留民の出生、死亡、婚姻の届け出の受理とかあるいは契約及び遺言の証明調べ訴訟書類の送達などの事務、これらが大体領事職務として考えられるのではないか。大別いたしますと、やはり、経済文化交流に伴ういろいろな事務、並びに接受国に在留いたしております自国民保護、便益をはかっていく、ここらが大体領事職務として理解してよくはないかというふうにちょっと整理をしてみたわけですが、これに対して条約局長はどういう御意見でありますか外務省としてのお考えを伺いたい。
  6. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 大体そのとおりでございます。ただ一つ、これをさっき落としましたけれども接受国国民派遣国に行こうとする者に対して査証を与えるというようなことが重要なこととしてございます。
  7. 穗積七郎

    穗積委員 大体そこらで理解の一致を見たと思いますから、それをたてまえとして続いてお尋ねをいたしますが、いままで、領事に関しましては、二カ国間で領事条約というものを成文化して結ぶというよりは、慣例に従って実際上取り扱っておったのが実情ではないかと推測するわけです。それであるのに今度二国間条約にしようというのですが、形式としては、やはりこの際、いろいろな限界なり特殊な任務あるいはそれに伴う特権を与える場合に、この間の外交関係に関するウィーン条約のような多数国条約にしたほうがむしろ国際的に相互平等で、しかも明快でよくはないか。ある国にはある特権を与えて、他の国の領事にはそれと同様の内容特権を与えられない、権限の制限もするというようなことは必ずしも好ましいことではないわけですから、こういうことでなくて、多数国間条約にしたほうがよくはないか。そこで、特にアメリカ日本の間で二カ国間の領事条約成文化して領事条約を結ぶということに至りました必要性を伺いたいわけです。だから、質問は二点あるのです。一点は、いままでは成文化されてなかったのに、特にこの際成文化する必要がどこにどういうことを原因としてそういうことが必要を生じてきたか、それが一点。それで、もし結ぶ、すなわち成文化するということなら、ウィーン条約のように多数国間条約にしておいたほうが平等公明でよくはないかというふうに思うのですが、二カ国間の条約にした理由ですね。その二点についてお尋ねをいたします。
  8. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 いままでも一応無事にいっておったわけでございますが、特にアメリカの場合には各州によって外国領事に対する取り扱いが違いまして、領事条約がございますというとそれに全部のっとるわけでございますが、アメリカについては特に各州によって取り扱いが違うという不便がございます。大体、英米法系の国では、領事というものは外交官と違いまして国際法上の権利として特権免除を享有するものではないんだという基本的な考え方があるわけであります。ただ、さっきも申し上げましたように、事実上は相当程度特権免除を認められておりますけれども、はっきりした法律上の根拠がない。したがって、州によって取り扱いが区々になるというようなこともあった次第でございます。  それから、第二の御質問の、なぜ一般条約によらないで二国間条約によるかということでございますが、これは第一点とやはり関係がございまして、英米では、さっき申し上げたような根本的な考え方からして、これは一般条約によるものじゃなくて個々の国同士合意によってきめるべきが当然の事項であるということで、領事官に関するウィーン条約というのが案はできておりますけれども、まだ批准発効する見通しが全然立っておりません。イギリスなどは、自分はこれに入るつもりはないというような意向当局者が漏らしたりいたしております。そういう、国際法上における制度として、外交官という制度ほどはっきり確立しておらないものでございますから、領事に対して法律上明確な特権免除お互いに享有せしめるためには、現在のところは二カ国間条約締結によるほかないという次第でございます。
  9. 穗積七郎

    穗積委員 第一の、ちょっとその点まだ御説明不十分で納得がいかないのですけれども日本アメリカとの間における慣習による相互領事受け入れ並びにその活動というものはたいした支障なしに行なわれてきたのに、この際特に成文化しておく必要があるということの理由は、どういう点でございましょうか。もうちょっと実情の御説明がいただきたいと思うのです。特にこういうふうに日米間において条約成文化しておく必要があるということをですね。
  10. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 全般的にはなかなか申し上げかねますが、それじゃ具体的に一つの例をとって申し上げますと、アメリカにおいては、日本人が身柄を拘禁されております場合に、遅滞なく領事としてこれを訪問して立ち会い人なしで面会したいということがしたいわけでございますが、アメリカの州によってはそういうことは弁護人だけができるというところがある。それが一つの例でございます。
  11. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、この際アメリカとの間に条約を結んで州の間における違いをなくするということが主たる原因だとするならば、そうすると、この条約日本側の主張、日本側要望日本側利益によってこれが提案され、そしてその条約上の効果ということはおもに日本側にあるというふうになりますか。その実情と並びに経過についてもうちょっと説明していただきたいと思うのです。
  12. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 経過を申し上げますと、通商航海条約アメリカ締結いたしました際に、アメリカ側では領事条約を別個に結びたいという意向を示したわけでございます。と申しますのは、先ほどから申し上げておりますように、米英法系の国では領事というものは相互の間で合意された範囲特権免除だけを持つということになっておるものでございますから、通商航海条約の中で一条か二条の簡単な規定では不十分である、別個に領事条約を結びたい、これはアメリカ側から言ってきたわけでございます。それに対しまして日本側が応じましたのは、さっき申し上げたような事情で、これは日本としてもやはり領事特権免除というもの、職務内容をはっきり合意したほうが、アメリカ側でそういう事情があるならば日本側として有利じゃないかまあお互い利益が合致したわけでございます。
  13. 穗積七郎

    穗積委員 次にお尋ねいたしますが、現在日本アメリカ相互派遣をしております領事の数、これをちょっとお知らせいただきたい。
  14. 兼松武

    兼松説明員 御説明申し上げます。  わが国米国派遣しております総領事の数が七名、領事が二十三名、副領事が四名、領事官補が二名、そのほかに名誉総領事が二名ございます。それから、米国日本派遣しておる者は、総領事が三名、領事が十五名、副領事が二十一名、情報官というタイトルを持った領事館職員領事館仕事をしている者が五名ございます。
  15. 穗積七郎

    穗積委員 名誉領事はないですね。
  16. 兼松武

    兼松説明員 ございません。
  17. 穗積七郎

    穗積委員 今後これは相互に増員される予定はありますか。
  18. 兼松武

    兼松説明員 これは、この条約をお読みになりますと、大体全体の職員の数につきましては両国で調整するような仕組みになっておりますが、わが国といたしましては、毎年度予算を御承認いただきまして、その予算の中に予算定員としてお認めいただいた数の者を派遣する。したがいまして、翌年度予算を編成いたします際に、ある特定の領事官につきまして仕事が非常にふえ、したがいまして領事館職員を増員しなければならなぬ、そういう際には、予算に織り込みまして実際上増員をはかっておるということでございまして、領事だけの関係で申しますと、全体としての数が不相応に多くならなければお互いに異議を申し立てない、そういう関係になっております。
  19. 穗積七郎

    穗積委員 次にお尋ねいたしますが、今度アメリカとの間に結びましたけれどもアメリカ以外の国と今後領事条約を結ぶ計画がありますか。
  20. 兼松武

    兼松説明員 せんだってイギリスバトラー外務大臣が来訪されました際に大平外務大臣との間に日英間に領事条約調印されましたことは新聞でも発表されているとおりでございます。そのほかに、わが国といたしましては、一番在外在留民の多いのはブラジルでございまして、ブラジルとの間にできれば同じような条約をつくりたいということで数年前から予備的な折衝を開始しております。ただ、先方政府事情によりまして、まだ話し合いはそれほど進んでおりません。お互いにそういう方向で取りはからうことになっております。
  21. 穗積七郎

    穗積委員 いまの二、三の国との間にすでに条約を結びまたはこれから結ぼうという場合に、それができておりますと、他の国から成文化した条約を結んでもらいたいという要望がありましたときに、これは法理的にはおそらく双方の合意を必要としますから断わることはできるというたてまえにはなると思うが、政治的には、英米あるいはブラジルと結んでいるのにおまえの国とは結ばないということは非常に言いにくくなるのじゃないかと思うのですが、見通しはどうですか。
  22. 兼松武

    兼松説明員 その点につきましては、相手国わが国と非常に密接な通商関係がある、あるいはわが国在留民が非常に多い、そしてわが国としてもまた相手国とそのような利害関係があるという場合には、相手国の申し出によって交渉に応ずるという考え方でおります。
  23. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、見通しとしていかがでございますか。相当多数国との間に二カ国間領事条約が今後次々に結ばれる可能性があると見てよろしゅうございますか。
  24. 兼松武

    兼松説明員 先ほど藤崎条約局長から御答弁申し上げましたとおり、ウィーン条約というものが昨年成立と申しますか採択されたわけでございますが、この条約外交官に関するウィーン条約と同じような国際的な一種の法典化目的を持ったものとして作成されたのでございますけれども外交官領事官制度の沿革が、先ほど条約局長の御説明のように多少異なっておりまして、かなり立法的な要素を含む条文が盛り込まれましたために、たとえばイギリスのごとく、必ずしもこのウィーンでできました多数国間条約に入ることを快しとしないというような意向を漏らしている国もあるという状況でございまして、ウィーン条約というものがどの程度早く一般国際法として認められて多くの国が入るかわからない状況でございます。したがいまして、そういう状況におきましては、やはり、従来の慣行によりまして領事条約を結ぶことが相互利益があるという国の間同士では、今後も二国間の条約というものが結ばれる可能性が多いと考えられるわけでございます。わが国といたしましては、ウィーン条約がもし早期に発効するような見通しになりますれば、そのときまた考え直すわけでございますが、現状におきましては、ウィーン条約の発効の見通しというものは全然立っておりませんので、必要に応じて、先ほど申し上げましたように、ブラジルなりその他関係国からの要望があれば、その要望に応じて交渉を進めていきたい、現在ではさように判断いたしております。
  25. 穗積七郎

    穗積委員 アメリカ側日本以外と二カ国間の領事条約を結んでおるのはどのくらいで、どことどこの国になりますか。
  26. 兼松武

    兼松説明員 数で申しますと二十三でございます。日本を除いて、いままで二十三でございます。
  27. 穗積七郎

    穗積委員 それで、ちょっとここでお尋ねいたしますが、日英間の領事条約はすでに調印が終わっておるということだが、実はまだ国会にも提案されておりませんから、内容を拝見してないわけです。それで、日本イギリスとの間で結びました条約内容と、このアメリカとの間でこれから批准をしようとする条約内容と何か違っているところがあるか、同じであるかこれが一点。それから、続いてブラジルとの間でも予定しておるということであるが、これはまだ成文化はできていないようですけれどもイギリスまたはアメリカとの条約内容と同じものにするつもりであるか違った内容のものにするつもりであるか日本側事情をひとつお尋ねいたしておきますす。
  28. 兼松武

    兼松説明員 イギリスとの条約でございますが、イギリスは、従来第二次大戦前までは二国間の条約というものを結びませんで、先ほど条約局長が申されましたように、通商航海条約の中に簡単な一カ条を設けて、そこに最恵国待遇であるとかそういう程度一般的基準だけを置く、と申しますのは、イギリスでは領事官に対しまして一般特権を認めないという考えが支配的でございます。したがいまして、二国間通商航海条約を結びましてその間に最恵国条項を入れますと、イギリス側は、条約を結んだ相手国においてはその相手国が第三国と結んでいる条約によって外国領事待遇に均霑できる、しかし自国においてはほとんど実質的な利益を与えていないということから、イギリスにとって非常に都合のいいようなかっこうで第二次大戦まではまいったわけでございます。その後、第二次大戦の途中及びその後から、国内でいろいろ、領事関係というものをそういう単純な取り扱いでは不適当である、在留英国民もふえてくるし、また、イギリスに在留するアメリカ人その他も多く、国際関係が緊密化いたしまして、領事関係というものはもう少し正確でかつ自国民保護に遺漏のないようなきびしい規定にしたほうがいいのじゃないかという動きが出てまいりまして、一九四〇年代に五回ほど領事制度に関する立法をいたしまして、その立法に基づきまして各国と条約を漸次締結していき、現在までに約十二ほどの、日本を加えますと十三くらいになりますか二国間の条約を漸次拡充していこうという方針をとっております。ところが、イギリス側は、先ほど申しましたように、外国領事に従来から制限的な扱いをしているということがございますので、イギリス日本との条約、それから日本アメリカとの条約を比較いたしますと、アメリカ戦前から多数の二国間条約を諸外国と結んでおりまして、領事に対してある程度の、いわば国際慣行的に認められたもの、もちろんそれぞれの条約によりまして内容は違いますけれども、課税であるとかあるいは不可侵権であるとか、その他の範囲につきまして相当きびしい条約を持っておったわけでございます。そういう関係で、日米条約におきましては、従来のイギリス以外の欧州ないしアメリカ圏諸国の間で結ばれておりました条約と同じような領事待遇というものが規定されたわけでございます。ところが、イギリスのほうは、歴史的にそういう関係でございましたので、多少制限的であるという関係が残っておりまして、英米法系という、先ほど条約局長の御説明の趣旨では大きな差はございませんけれども、こまかい点につきますと、やはり日米条約一般規定されている領事特権あるいは領事職務範囲の問題につきましても、比較してみますと制限的であるということが申せると思います。  それから、第二の御質問の、日本ブラジルとの条約を結ぶ場合にそれではその内容はどうなるかということでございますが、これはまだブラジル側一般的な交渉を申し入れている段階でございまして、向こうからはっきりした対案というものは出ておりませんし、先方の提案を見た上でこちら側の態度をきめなければならない、そういう段階でございます。
  29. 穗積七郎

    穗積委員 いまの御答弁ですと、日本側態度相手国によって条約内容は違ってくる、こういうことであるわけです。  次にお尋ねいたしますが、アメリカはすでに日本を除く二十三カ国との間に条約成文化されて発効しておるようでありますけれども、その二十三カ国との間の条約と、今度日本との間で結びました条約との間に、条約内容についての差異はありますかどうか。あるとすればどの点であるか、それをお示しいただきたい。
  30. 兼松武

    兼松説明員 米国日本と今回結びましたこの条約は、従前の条約に比較いたしますと、米国先例としては非常にきびしい、非常にと申しますか、比較的にきびしいほうに入っております。と申しますのは、戦前のものと戦後のものとございますが、戦前のものは比較的簡単であった。というのは国際交流関係一般に戦後の世界ほどひんぱん緊密でなかったのが、戦後におきましては、いろいろな関係で、外国に在留する自国民の数が、文化の面でも経済の面でもその他の各般の面で非常に多くなっております。その関係領事館の数もふえておる、それから職員の数もふえておる、それから保護すべき国民範囲も数もふえておる、また、外国において行なわれる自国民活動範囲もふえておる、そういうことから、必然的に、多少従来に比較いたしまして詳細な規定を設けたほうがお互い利益になるという点がございまして、多少きびしくなっておるということは申せると思います。  具体的にどういう条項かということでございますが、これは、たとえば領事特権に関しまして、従来、アメリカ先例を見ますと、かなりいわば抽象的に原則的な条項が多かった。ところが、今度の日米条約では、特権につきましてもなるたけ具体的に、それから職務範囲につきましてはなおさら、現在及び今後の両国間の国交関係の実態に見合うようにきびしく書いていこう、そういうふうなお互いの気持ちがございましたので、そういう意味できびしい規定が置かれておるということになっております。
  31. 穗積七郎

    穗積委員 大平外務大臣お尋ねいたします。  以上お聞きのとおりでございまして、領事というものは外交官とは非常に区別された、しかも国際慣習によってさして差しつかえの実情はなかった、こういうものであるし、それからまた、同時に、外交官と違いますから、それに与える特権内容範囲程度におきましても、これは軽い取り扱いをしておる。すなわち、実情から見まして必要以上の特権をあえて与える必要はないというふうに理解すべきではないかということが質疑応答の中で大体理解ができたと思うんです。  そうなりますと、日本アメリカとのこの条約内容についてこれから私はお尋ねいたしますが、その冒頭に、原則的に言い得られることは、従来相互領事が持っておりました事実上の慣行上認められていた特権あるいは便宜、それ以上のものを条約締結にあたって新しく付加して、そうして、先ほど申しました目的に差しつかえない程度特権を与えるのはいいけれども、新しい特権をこの際付加するということは、この条約の性格、たてまえからいたしまして必要はない、むしろ不適当ではないかというふうに理解するのが正しいことではないかというふうに私は思うわけです。と申しますことは、いま事務当局の御説明にもありましたように、この二カ国間の成文化による条約締結というものは、これは単にアメリカとだけに限らないで、今後他の諸国との間においてもこれから当分二カ国間の条約取り扱いでふやしていくつもりであるということになりますと、やはり、ある一国に与えました、たとえばアメリカに与えました特権範囲というものが一応のスタンダード、基準になり、てこになり、踏み台になっていくように思われる点をあわせ考えまして、従来の日米両国領事官職務、行動の実情からいたしましても、今後ふえるであろうところの他の国との間における条約締結にあたりましても、その両方から見まして、従来より新しい特権を付与していくということは必ずしも必要がない、というよりはむしろ適当ではないのではないか、こういうふうに私どもとしては結論せざるを得ないわけですが、それについて外務大臣はどういうお考え交渉に当たられ、調印に当たられましたか。その御方針を伺っておきたいと思います。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 この条約は、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、アメリカのような、一つの国ではございますけれども各州いろいろの自治権の強い性格を持った自治体をかかえておる広大な国との領事関係の接触面で、条約のような形に統一することが適当である、また、そのほうが能率的であるというように考えたのでございます。これを機会に新しい特権を特別に付与しなければならぬというように私は思いませんで、このような形にまとめあげて統一したほうが便宜であると考えておるわけです。ただ、考えておかなければならぬことは、航空機等の非常な発達によりまして、各国民の間の接触が非常にいまから多くなるわけでございます。したがって、領事関係もまた仕事が多くなっていくわけでございますから、接触面が多くなってきたことに対応して、領事事務が円滑に行なわれるという仕組みにはしておかなければならぬと思うわけでございます。端的に申しますれば、そういう考え方で、特に政治的にどうこうという考え方は毛頭持っていないわけです。
  33. 穗積七郎

    穗積委員 それだけを総論といたしまして、内容についてお尋ねをしてまいります。  これはちょっと余分なことでございますけれども、レシービング・ステートというのを接受国と訳しておる。実は、私は、法律語というのは大体国民の日常の用語になるべく合わしたほうが条約にしても法律でもいいのじゃないかと思います。条約局長、これは定式化されているのですか。英語で見ると、センディング・ステートとかレシービィング・ステートとか、日常語ですぐわかるわけですが、派遣国はわかりますが、接受国ということばは普通ならばあまり使わぬわけです。これは必要上私は受け入れ国としたほうがいいと思います。これは定式化されているものですか。定式化されておったとしても、条約のタームというのは、やはりなるべくすぐ国民理解できるような常識語にだんだん直していかれることが、私は新しい時代の行き方ではないかと思う。これはささいなことですけれども、ちょっと感じたものですから。これだけにとらわれるわけではないが、これからそういう心がまえでひとつお願いしたい。日本語の訳語というものは、昔から、ドイツの哲学を見ましても、アウフヘーベンにしても何でも、小学生がそのまま使っていることばを日本語に訳しますとわからない。条約法律語というのも、特殊な翻訳語を、明治時代の初期の法律家が苦心惨たんの結果漢語辞典を引きずり出してわけのわからぬむずかしい表現をとったわけですが、そういう点について少しこれから心がけてもらいたいと思います。たまたまここへぶつかったものですから、これはちょっとささいなことですが、お尋ねいたしまして、われわれの意のあるところもこれから理解して翻訳は処置してもらいたいと思うのですけれども、どんな御見解ですか。
  34. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 一般論としては先生の御意見に私も全然賛成でございます。ただ、接受国という文字は、なるほど一般的にはまだ耳新しいかもしれませんが、外交関係に関するウィーン条約でもこの字を用いましたし、それから・外務省設置法でもやはり派遣・接受としておりますので、ここであまり新例を開かないでも、ここはかんべんしてそのまま使わしていただきたい、こういうぐあいに考えております。
  35. 穗積七郎

    穗積委員 ここのところはかんべんしますが、これからはちょっと検討してもらいたいものですね。  それから、次に、条約を審議して、われわれわからぬで審議しては悪いからちょっと伺っておきますが、同じ第二条の第三項の(a)のところでございますが、原文を見ますとホエア・ザ・コンテクスト・パーミッツ、つまり日本語で「文脈上許容されるときは、」云々と書いてありますが、文脈上許容されるときはこの条約が適用される云々、その「者」というのは自然人だけでなくて法人を含むという意味だと思うのだが、どういう意味ですか。この訳もちょっと日本語ではわからない 「文脈上許容されるときは、」というのは何という意味ですか。
  36. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 くだいて言えば、前後の関係からしてそう読むことが正当であるときにはそう読む、そういう趣旨でございます。
  37. 穗積七郎

    穗積委員 そう理解されるときは、という意味ですね。日本語で正確に言えば、法人を含むという意味ですね。それだけの意味でしょう。
  38. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 さようでございます。
  39. 穗積七郎

    穗積委員 それから、船と舟艇はどう使い分けておりますか。シップとクラフトですね。これは通常語としてはなんですが、法律語として出てくるときは船と舟艇をどう使い分けておるのか。字句のことですが……。
  40. 兼松武

    兼松説明員 法律上の意味といたしましては、船及び舟艇ともに船舶法第五条の船舶をさす意味で用いられておりまして・船と舟艇と二つ用語がありますが、法律上の意味の区分はございません。
  41. 穗積七郎

    穗積委員 日本語で言えば、船と舟艇は一括船舶理解していいということですね。
  42. 兼松武

    兼松説明員 さようでございます。
  43. 穗積七郎

    穗積委員 今度は内容にわたりますが、第三条第二項で領事管轄区域というものが設定されることになっておるわけでございますが、これは慣例上どういうことになっておりますか。管轄区域外においても職務の執行について申請が非常に多い場合がございますか。これは、第三条第三項に、この管轄区域外の職務執行を接受国すなわち受け入れ国側が異議を申し立てない実場合にはかってにできるというふうに、無制限規定になっております。職務内容によってではなく、無制限規定になっておる。そうすると、管轄区域というものの設定の意味が薄れていくわけですけれども、そこらは慣例上・事実上どういうことになっておりますか。
  44. 兼松武

    兼松説明員 御質問の点は、実際の慣例から申しますと、幾つも領事館がございまして、ある一つ領事館につきましてはそれぞれ管轄区域がきまっておりますが、その特定の領事館に、たとえば職員が疾病その他いろんな事故があった、そして館務が十分に行なえないというようなときには、その国にある他の領事館の応援を求める、そういう場合には、他の領事館職員がいま事故が起こった領事館のある管轄区域に行っても仕事をすることができる、そういうことを可能にするために設けられた規定でございます。
  45. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、管轄区域外において、たとえばA管轄区域を持っておる領事官、B管轄区域を持っておる領事官が、そのいずれでもないところへ行ってむやみに職務執行と称してこの自由を要請するというようなことは考えられないわけですか。考えられませんね、いまのお話ですと。
  46. 兼松武

    兼松説明員 そういう趣旨ではございません。
  47. 穗積七郎

    穗積委員 実例はどうですか。
  48. 兼松武

    兼松説明員 従来管轄区域内においてのみ仕事をするということで認可状を与えるというのがたてまえでございまして、認可状を受けた領事は、その認可状の趣旨に従った管轄区域において仕事をするということでございますから。
  49. 穗積七郎

    穗積委員 そういたしますと、A地区、B地区にいたしましても、領事官というものは管轄区域外においての行動というものはほとんどないというふうに理解してよろしゅうございますね。そういう地区においては大使館がこれを処理するという理解にしておかないと、これを無制限にやられますと、管轄区域の設定ということが全然意味がなくなってしまって、それで一方的にいわば片務的にこれの乱用が行なわれますと、非常にいろいろな問題を生ずると思うのです。事をかまえて管轄区域外のところまで情報収集に出たとか事のついでにそういうことが行なわれないとも限らない条文というものはやはり最悪の場合を想定して解釈しておかなければいけないと思うので、念のために伺うわけです。
  50. 兼松武

    兼松説明員 通常の場合には、たとえば二つか三つ領事館がありますと、その国の領域を大体カバーするように、二つか三つの管轄区域に分けるわけでございます。したがいまして、どれかの領事館管轄区域の中に入るというのが原則でございます。もちろん例外がございまして、特定の地域は、——日米の場合は一般に予想しておりませんけれども一般国際慣例で申しますと、特定の区域はどこの区域の領事管轄区域にも入れさせないという例がないわけではありませんけれども、非常にまれな例でございまして、いまの御指摘のような懸念は一般に起こりません。特に日米条約においてはそういうことは予想されておりません。
  51. 穗積七郎

    穗積委員 次に第四条についてお尋ねいたします。  第四条第二項、これは認可状または臨時の許可制度がここで明記されておるわけでございます。そしてこれはすみやかに無料で与えるという義務規定があるわけで、相互にあるわけですが、第三項では、正当な理由がある場合にはこれを拒否することができるという裏解釈ができることになっておるのですね。そこで、お尋ねいたしますが、一般的に、これは国際的に申しまして、認可状または臨時の許可行為がなければその領事は正当な職務の執行ができない、この点は厳格にお互いにやっており、またこれからやるわけでございましょうか。
  52. 兼松武

    兼松説明員 御指摘のとおりでございます。
  53. 穗積七郎

    穗積委員 これは他国のことでございますから日本外務省の関知しないところであるかもしれませんが、たとえば台湾におるイギリス領事ですね。あれは、私も訪問したことがあるが、私の記憶では淡水かと思いますが、この英国の領事に対しましては、いまの政治的な理由国民政府は認可状を与えていないと思うのです。ところが、実情は、領事職務を行ない、その機能を遂行しておるわけです。いまでもおそらくそういうことが継続されていると思うのですが、ここらは一体、国際条約上特殊な例外ではあると思いますけれども、一種の奇異な感を抱かざるを得ないわけですね。日本の場合におきましても、たとえば中国との間に国交が正常化されたというような場合に、在台湾の領事に対しましてそういうような認可状の取り消しというようなことも考えられることが決してないことではないと思う。これは事のついでにお尋ねするのです。今後いろいろな場合をわれわれが判断いたします場合に参考になることですから。この認可状の効力の問題を一体どういうふうにお考えになっておられるか。
  54. 兼松武

    兼松説明員 御指摘の問題は、全くこれは事実関係であるとわれわれは了解しておりまして、法律上の関係では何ら正規な国際法的な慣行にも沿っていないし、そういうものであっても国民政府と英国との間にそういう事実上の関係があることが黙認されておる、あるいはそれに対してお互いに異議を唱えてないというだけの事実状態であると判断いたしております。
  55. 穗積七郎

    穗積委員 そうなりますと、これは一般外交上または国際条約上では解釈のできないことであって、その両国間における、この場合で言えば国民政府イギリス政府との間で事実上の了解として処理されておるにすぎない、事実行為にすぎない、こういうふうに理解すべきでございましょうか。そうなりますと、もし日本の場合にそういう問題が起きた場合、この第一項の認可状の効力に対して日本の場合はどう理解をされますか。そこらは多少政治的な問題も含みますので、大臣からお答えいただいてもいいし、条約局からお答えいただいてもけっこうですけれども、どう御理解でございましょうか。兼松さんからでも、どちらでもけっこうです。
  56. 兼松武

    兼松説明員 その点は全く特殊な事例と了解しておりまして、これが先例になり、あるいはこれによってまたわが国が将来どうするかということに影響があるというふうには一般的には考えられません。
  57. 穗積七郎

    穗積委員 そういたしますと、日本外務省としては、認可状の効力というものは今後も厳密な解釈、厳密な方針で進むつもりである、こう理解してよろしゅうございますね。
  58. 兼松武

    兼松説明員 日米領事条約につきましては、この条約規定のとおりでございます。また、一般国際慣例といたしましても、日本は従来忠実に国際慣例によっておるという実績を持っておる国でございますので、その点御懸念は要らない、こういうふうに了解いたします。
  59. 穗積七郎

    穗積委員 外務大臣も御異存はないと思うが、そういう政治的なデリカシーな問題が出てこぬとも限らぬわけですが、そういう場合に、やはりいまの認可状の効力の問題、これなきもののあれは、いま兼松事官がお答えになりましたことを政府の政治方針として理解してよろしゅうございますか。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 いま兼松君がお答え申し上げたとおりでけっこうだと思っております。
  61. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、議事促進のために前へ進みましょう。  第八条をごらんください第八条の四項です。これは不可侵の特権を与えておるわけでございますが、これは外交官ウィーン条約によりますと第二十二条に当たると思うのです。ところが、ここで一つちょっと奇異に感じますことは、第四項の中段以後でございますが、「火災その他の災害の場合又は身体若しくは財産に対する暴力を伴う犯罪が、領事事務所内で、既に行なわれ、現に行なわれており、若しくは行なわれようとしていることを接受国の当局が信ずるに足りる合理的な理由がある場合には、責任のある領事官の同意があったものとみなす。」、そして同意を得ずして行動をとることができる。すなわち、立ち入りその他の捜査その他逮捕もあるでしょう。そういうことができるというふうに特にこういう条文がここに出てきているわけです。これは、何といいますか不可侵特権に対する事実上の例外措置であって、これは外交官の場合にも大使館の場合においても当然に考えられることではないか、こう思うのです。だから、ウィーン条約二十二条ではそういうことは一々書いてない、原則だけ書いてある。ところが、ここの第四項にはそれを特に付加してある。これは一体どういうことでございましょうか。
  62. 兼松武

    兼松説明員 御指摘の点は、まず第一点は、ウィーン条約におきましては、従来の国際慣習法上大公使の公館の建物の敷地が不可侵であるということは長い間の国際慣行で全く確立して疑問がないとされておる点でございます。したがいまして、ウィーン条約では二十一条でそのように簡単に書いてございます。ただ、外交官条約を採択いたします際のウィーン会議におきましては、いま穗積先生の御指摘のような火災とか災害というような場合には実際上立ち入るという問題が生ずるのじゃないかという問題が出まして、従来の慣習からその程度のただし書きをつけたらどうか、国際慣行としてもその程度でいいじゃないかという意見もあったわけでございます。ところが、ウィーン外交官条約採択会議の際におきましては、いや、そういうただし書きをつけたのでは本来の外交使節団の公館の持っておる特権というものに穴があくじゃないか、それはやはり大きな原則というものを害するような解釈を生んではいけないというので、そこで、ウィーン条約におきましては、特にこの外交関係条約ではそれは書かないということになったわけでございます。これがウィーン条約に関する御説明でございます。  それから、領事条約に関しましては、一般にそういう公館の不可侵というものはいろいろ問題がございまして、きわめて制限的にしか国際慣例上認められていなかったというのが実情でございます。特にイギリスなどでは制限的に書いておる。それから、フランス、アメリカ等では、フランスが一番ある程度広く認めるという考えでございますが、それでも外交官に比べれば非常に制限的である。この日米条約規定いたしましたのは、その従来の国際法一般的に欧米諸国考えられておりますそういう制限的な領事官の公館の不可侵権内容を明示的に書こうということでございまして、この問題につきましては、領事関係に関するウィーン会議がやはり昨年ございまして、そのときにやはり外交官と同じように直したらどうかという意見もございましたけれども、いや、それは一般国際慣習法では領事関係につきましては公館にそれほどの権威は認めてないんだという意見が多数を占めまして、これは国際法委員会でつくりました原案ではあくまでも外交官関係条約と同じように非常に広い規定だったのでありますが、この点、欧米諸国及びわが国国際慣行に沿うように直して、ちょうどこの日米条約と同じような趣旨に沿うようにウィーン領事関係に関する国際条約を修正したわけでございます。日米条約そのものは、従来の欧米諸国の狭い慣行というものをわりあい忠実に映してあるわけでございます。この程度の条件のついた不可侵権しか領事の公館には認められないという、伝統的な欧米諸国で通用している不可侵権に関する考え方をそのまま日米条約で取り入れた次第でございます。
  63. 穗積七郎

    穗積委員 後学のために伺っておきますが、火災または暴力その他こういうような事実が、大使館外交官公館、これに対して行なわれる、現行犯が行なわれつつあるという場合、すなわち、このただし書きといいますか例外規定のような場合が、大使館外交官公館の区域内において事実行なわれた場合の慣例はどうなっておりますか。
  64. 兼松武

    兼松説明員 接受国側の当局におきましては権利として大公使館に立ち入ることはもちろんできません。したがいまして、大公使館側から、そういう災害があった、援助を求めるという場合に、その範囲接受国の当局が大使館に求めに応じて入るなり行くなりする。その程度慣行上なっております。
  65. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、たとえば現に大使館の玄関において暴行が行なわれつつある、あるいは暴行が行なわれつつあることを大使館の区域外からこれを望見することができた場合に、それでもやはりいまの向こう側からの要請がなければこれに対する接受国の協力または行為は行なわれない、それは厳密にその原則がとられているわけですか。
  66. 兼松武

    兼松説明員 さようでございます。
  67. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、この条約では、つまり外交官公館の場合よりは不可侵原則というものは軽くしてあるということで理解してよろしゅうございますね。
  68. 兼松武

    兼松説明員 さようでございます。
  69. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、続いて第五項をごらんください。第五項は、「逃亡犯罪人に避難所を与えるために使用してはならない」、これもウィーン条約にはない規定になっておるわけであります。このことは常識的に割り切ったことなんですけれども、これが特にここに挿入されている特別な理由は一体何であるか、どういう経過でこういうことが出てきておるのかそれを伺っておきたいと思います。
  70. 兼松武

    兼松説明員 先ほどもちょっと触れましたけれども、最近ウィーンにおきます領事関係に関する条約が採択されました際に、たまたま国際連合憲章第十三条a項によりますと国際法法典化という目的があるわけでございますが、その際に国際法の漸進的な発達及び法典化ということになっておりまして、その漸進的な発達という字句の解釈について、かなり多くの国が、これは領事官特権についても従来の慣習国際法は狭いけれどももっと広くしたらいいじゃないかという意見を表明した事実がございました。しかし、日米条約におきましては、やはり領事官特権というものは、特にこの領事事務所の不可侵権ないし特権というものはそれほど広いものではない、立法的にいま特に広げることは適当ではない、従来の国際慣習法で認められたワク内のことをはっきり日米間で念のために明記しておこう、こういう趣旨でこの規定が設けられた次第でございます。
  71. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、同様に不可侵特権に対する領事事務所と大使館その他の外交官公館との区別として理解いたしておきます。  次に、第十一条第(1)の(a)項です。接受国の裁判管轄権の問題についてちょっとお尋ねいたしますが、派遣国領事を任命いたします場合に、自国国籍人だけでなくて接受国の国籍のある者を任命することもできるし、またあり得るわけですね。その場合の裁判管轄権、(a)項の第四行目でございますが、これはどういうふうに理解されておりますか。
  72. 兼松武

    兼松説明員 ただいまの御質問は、最初のただし書きではなく本文のことでございますか。
  73. 穗積七郎

    穗積委員 そうです。
  74. 兼松武

    兼松説明員 本文の点に関しましては、六十二ページをごらんいただきますと、その第二十五条におきまして、第十一条の(1)の(b)その他はいまの外国国民に対しては及ばないということになっております。しかし、公務を行なう正式の領事官及びその職員につきましては、ただし書きによって除外例が設けられない範囲では裁判権からの免除があるという趣旨が、この第十一条(1)項(a)の規定でございます。
  75. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、本国人としての権利義務関係との抵触は生じませんか。
  76. 兼松武

    兼松説明員 その点は、領事館職員であるということで、しかもそれが外国領事官の公務の遂行に関係しているということで、この点は従来の慣習国際法上もいろいろ領事に関する慣行が分かれておりますけれども、その分かれております慣行の中でほとんど不一致がないという点が、この領事官の公務に関する行為につきまして裁判権からの免除を認めるという点でございます。したがいまして、その点は、本国との関係というお説もございましたが、その観点は、むしろ国際慣習法上も、相手国領事官の公の仕事をするという見地のほうが優先して国際慣行が成立しておるというように了解いたしております。
  77. 穗積七郎

    穗積委員 続いて、(b)項は逮捕・訴追の免除の問題でございますが、これも実は外交官条約取り扱いとは違った区別になっておるわけです。大使館領事館区別して、そうして領事事務所または領事特権を低く制限しておる。これはウィーン条約にはないものがここに出てきておるわけですが、そういうふうに理解してよいわけですか。
  78. 兼松武

    兼松説明員 この(b)項の趣旨は、本来外交関係ことに外交官特権については公務であろうがなかろうが刑事上の裁判権から免除されるということがはっきりしておるわけでございます。例外がないわけでございます。ところが、領事官につきましては、国際慣習法上、あるいは二国間の領事に関する国際条約上、そういう慣行が全然ございませんで、ある国は、たとえばここに書いてございますように、軽罪であれば逮捕・訴追を免除するという規定がある。ある国は訴追は免除しないまた、ある国は若干外交官に近いように特殊な有利な待遇をする。待遇関係につきまして慣行が確立しておらず、かつ条約例も非常にまちまちになっておる部分でございまして、全くこれは領事条約の特殊の領域であります。したがって、この日米間ではどのような制度を採用したらよいかということを考慮いたしました際に、やはり、この点については、米国がすでに戦前から結んでおります多くの条約のように、大体公務外の軽罪につきましては訴追と逮捕を免除する、そうすることによって、領事が公務外で行なった行為についても、そういう接受国の管轄権の行使によって結果的に領事官としての職務の遂行に支障を来たすことがなるだけ少ないようにしよう、いわばこれは本来国際法上それほど確立したものではないが、やはり領事として国の代表なんだから、その範囲ではなるべく接受国の管轄権の行使の結果としての迷惑が及ばないようにしようというかっこうで、アメリカがいままでやっておりましたその慣行のラインに沿いまして、ここに軽罪につきましては訴追・逮捕を免除するという規定を設けた次第でございます。
  79. 穗積七郎

    穗積委員 これは、従来わが国派遣されております諸外国領事取り扱いよりは、いままでの慣行から見てきびしくなっておりますかゆるやかになっておりますか。
  80. 兼松武

    兼松説明員 お尋ねの点でありますが、実際上、外国領事が犯罪を犯すという例は、特に刑事事件になるという例はきわめてまれでございます。もちろんないわけではないのでございますが、実際上、そういう刑事事件に立てないで、たとえばその者が退去するとか非常に問題が起こればそういう形になるということで処理されておる例が多うございまして、厳密に申しますれば、刑事訴訟法の規定によるわけで、それは全く検察当局の法律の判断の問題でございますが、事実問題としては、実例が非常に少ないということと、それから、検察当局が、領事に関しまして、ある程度国際慣行的に、決してゆるやかという意味ではなくて、不起訴処分を適用してしかるべきだという判断をされる場合がかなりあるということでございまして、実例とこの規定とにそれほどの軒輊があるというふうには解釈できないわけでございます。
  81. 穗積七郎

    穗積委員 十七条は、この前から問題になっていて、ちょっと大事な規定でございますが、率直に言いまして、私どもとしては、従来領事官に与えてなかったこういう特殊な、しかもわれわれとして見ますといささか汚らわしいような重大な行為をわが国において行なわしめることを特に権利として与えておる、これは実はどう考えてみましても納得がいかないしかも、二国間の領事条約というものは、アメリカのみならず、他の国に対してもこれからどんどん結んでいこうというような御方針であることが先ほど明らかになったわけです。そうなりますと、よけいそういうことに対してわれわれは不安を感ぜざるを得ない特にこの(b)項の権利を、いままで与えてなかった権利が付加されるということは相当重大な問題ではないか。しかもこれは片務的なものである。日本の立場から見ますとアメリカのみならずどこの国に対してもそうですが、全く片務的な権利を相手にのみ与える。条約のたてまえからいきましてもそうでありますし、それから、内容からいきましても、はなはだしく不適当な権利を与えておる条項である。したがって、われわれは、他の条項について一々けちをつけたり反対するわけではありません。先ほどからの質問の趣旨、態度から理解していただけると思います。ところが、この(b)項だけは、私どもも相当いろんな場合を検討してみましたけれども、これが出てきた経過、今後これが及ぼす影響、効果、これらから見まして、どうしても納得がいかないで、これを一番重要視しておるわけです。多くを言いませんが、この政治的な権利が突如として出てくるに至りましたことは、領事条約というものは外交官並みではない、従来慣行上行なわれておったものをありのままに条文化して混乱混淆を避けておるだけであるという御趣旨で臨まれたと先ほど大臣からお話がありましたが、その点から見ましてもいささか納得がいかない(b)項であるわけでございます。  以上私どもの気持ちを申し上げまして、大臣から、この条項を挿入してアメリカに対して新たなる権利を設定いたしました動機、経過並びにお見通しについて伺っておきたいと思います。
  82. 大平正芳

    大平国務大臣 私はこの条項をそのように重大にはちっとも考えていないわけでございます。すなわち、ここに書いてありますとおり、国民的服役義務に関する派遣国の法令により必要とされるところに従って領事がその派遣国国民に対しまして通知を発したり届け出を受理したりその派遣国国民の身体検査をするということなんでございまして、そういう派遣国の法令がそのようになっておる。その法令の執行を日本国内においてやる。もし日本のほうでそれがいけないということになりますと、この派遣国の法令を執行するために、日本におる派遣国国民はわざわざ海を越えて帰らなければいかぬという、そんな不便までかける必要は毛頭ないのではないかと思うのでございます。穗積さんの言われるのは、服役義務のために関連して身体検査を行なうことが何か問題のようでございますが、日本がそういうことをやるということを言っておるわけではございませんで、ここに書いてあるとおり、派遣国の法令においてその必要とされるところに従って領事派遣国国民に対して行なうわけでございまして、わが国と別に関係はないわけでございます。相互主義のたてまえから申しますと、厳密に言いますと、あなたの論理を徹底さすと、日本の法令も相手国の法令も一緒でないと相互主義にならぬと思うのでございます。おのおのの国はそれぞれの必要に応じて法令を持っておるわけでございまして、それは各国がその主権に基づいて立法いたしておるところでございまして、それと日本制度が違うからというて、それをけしからぬというてこちらがとめる理由は毛頭ないのではないかと思うのです。私が先ほどあなたの御質問に対してお答え申し上げましたように、われわれ政治的な意図を全然持っていないので、領事事務というものが非常に関係が緊密になってきたときに円滑に行なわれるように配慮するという趣旨から申しまして、こういうことを派遣国のほうでやりたいという場合に、それはいけないなんというようなことは、私は全然常識に反すると思うのです。何か私のほうが間違っているのでしょうか。私は全然そう思わぬのでございます。
  83. 穗積七郎

    穗積委員 これは考え方の相違でございますね。ですから、私ども考え方でいきますと、失礼でございますけれども、間違っていると思うのです。これは、われわれにもし賛成を求められるならば削除していただきたいと思うのです。それで、私どもが常識に反したり、あるいは不当な言いがかりをつけるというのではないという趣旨を明らかにするために、少し事務当局お尋ねいたします。その上でまたあなたにお尋ねします。よくお聞き取りください。  いままでの日本派遣されておりましたアメリカ領事官にこの権限が与えられておりましたかどうかそれを事務当局お尋ねいたします。
  84. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 これまでこのことは領事は行なっておりません。
  85. 穗積七郎

    穗積委員 もう一点お尋ねいたします。日本に在留しておるアメリカ国民、これは、こういういままでやっていない権限を特に与える必要が生ずるような情勢の変化がございましょうか。
  86. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 別に在留アメリカ人の間について情勢の変化があったということも聞いておりません。
  87. 穗積七郎

    穗積委員 続いて予備的な御質疑でございますけれども日本に在留しております外国人、すなわち日本国籍を持たざる外国人の数を国別に数に従ってお示しをいただきたいと思うのです。
  88. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 いま手元に数字を持っておりませんので、至急調べて申し上げます。
  89. 穗積七郎

    穗積委員 的確な数字は、これは次の機会に資料としていただきますが、およそ常識的に外務省で掌握せられておるところによって、まず朝鮮人が一番多かろうと思うのです。それから次には、アメリカ人であるかあるいは中国人であるか、おそらく中国人のほうが多かろうと思っておりますけれども、特に多い国々はどういうことになりましょうか。
  90. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 仰せのとおりであると思います。
  91. 穗積七郎

    穗積委員 続いて、条約のことですから伺っておきますが、すでに調印をされておると承りました日英条約の中には、イギリス領事官に対してこの権限が与えられておりますか。
  92. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 同様の規定になっております。
  93. 穗積七郎

    穗積委員 イギリス日本に在留する国民数は、アメリカと比べましておよそどのくらいになっておりましょう。
  94. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 先ほどの調べがつきましたら申し上げます。
  95. 穗積七郎

    穗積委員 私は審議を引き延すのが目的お尋ねしておるのではないですから、先へ進みましてお尋ねをいたしますが、そうなりますと、ラウンド・ナンバーを推定しただけでも、イギリスにもこの権限が与えられておる、アメリカにも従来より特に情勢の変化はないのにこの権限が与えられておるとすると、南朝鮮あるいは台湾、その他の国との間に二カ国間の領事条約がやがて締結されるということになりますと、当然この条項が入ってくる。また、要求があればこれを拒否する正当な理由も必ずしもない先ほど大臣の御答弁でありますと、ただ一方的であっても、相手にできるだけ便宜を与えるのが外務省方針であるという趣旨の御答弁に承らざるを得ないわけですね。そういうふうに今後見通しがされ理解して、この規定を審議しなければならぬと思います。いかがお考えでございますか。
  96. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 先ほど申し上げました国以外の国とは、さしあたり領事条約締結するということ自体をまだ考えておらない次第でございます。  それから、この身体検査につきまして、領事権限ということからとらえての御発言でございますけれども先ほどから大臣からもお話がありましたように、もっぱら在留のアメリカ人イギリス人に対する便宜を供与してやることができるようにする、わざわざ、イギリスとかアメリカとか日本から遠く離れた国まで帰らなくちゃならない不便を除いてやろうという趣旨の規定でございます。かりにさっきのお示しのようなことが具体的な日程に上がってきた場合にも、日本からの距離なんということは当然考慮に入れられるものと思います。
  97. 穗積七郎

    穗積委員 私はその政治的判断は大臣の御判断を伺いたいと思ったのです。私の局長にお尋ねいたしておりますのは、先ほどからの答弁で、領事条約に関する一般的な多数国間条約というようなものは、ここ当分の間見込みがない、したがって、今後日本外務省方針としては、交流の多い、経済文化的または人事交流の多い諸国との間においては二カ国間領事条約を結んでいく方針である、こういうふうに一般方針として御答弁になったわけでございまして、したがって、条約取り扱いからいきますと、すでにもう第二のイギリスとの間においてもこれが先例になって挿入をされてくる、第三、第四、第五、ことごとくこれが先例になって入り込んでくる可能性がある。こういうふうにしますと非常に問題になるわけでございますから、私がいま局長にお尋ねいたしましたのは、第二のイギリスにおいてはすでにこの条項が入っておる、しかもイギリス国籍のある国民日本に在留する人必ずしも多数ではない、従来よりふえていない、にもかかわらず、これが先例になって、すでに新たなる権限領事官に与えられる、こういうことになりますと、私のお尋ねしておるのは、そのことのよしあしの判断というよりは、むしろ第三、第四、第五、第六というふうに順次に締結されることが予想される二カ国間の領事条約の中にこれが先例となって入ってまいることは当然の理として想定がつくわけでございましょう。その見通しを伺っておるわけです。
  98. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 私は別にこれがいまわしいことだという前提でお話しするわけではございませんけれども先ほどから領事条約の今後の締結の見込みについて御説明した中で、在留邦人の数、英米法系の国において特に領事条約を結ぶ必要があるということを申しましたので、イギリスの場合には在留邦人の数はそう多くない、しかし英米法系の国だから結んだということを申し上げたわけでございましても、英米法系以外の国では領事というものの特権免除を特に条約によらなくても一般に認めておりますので、英米法系以外の国についてはそれほどの必要性は少ないわけでございます。
  99. 穗積七郎

    穗積委員 それは第三、第四、第五、第六等々のこれから結ぶであろうところの二国間領事条約にこの条項は入るときまっていないということですが、それはいまの答弁をもってわれわれはそういう心配がないという保証にはならぬと思うのですね。したがって、いまの御答弁によってこの条項を挿入したことをジャスティファイする材料にはならぬということに私は伺わざるを得ないわけであります。  次に、大臣お尋ねする前に、もう二つだけ事前質問としていたしておきます。日本相手国との二重国籍を持っておる国民に対するこの条項の処置はどういうふうになりましょうか。
  100. 兼松武

    兼松説明員 日本の国籍を持っておる者に対してはこの条項を適用しないというふうに、交渉中了解しております。
  101. 穗積七郎

    穗積委員 ところが、その本人が同時にアメリカの籍も持っておる場合には、アメリカ国内法に対して服する義務を当然持っておる。したがって、領事官はその国民に対してこの条項を適用執行する権限が当然あると私は思いますけれども、どういうことでございますか。
  102. 兼松武

    兼松説明員 米国政府としてそういうことは行なわないというふうに、交渉中確認いたしております。
  103. 穗積七郎

    穗積委員 それは議事録とか文書等により確認されておりますならば、その点については納得がいきますが、もしありますならばその文書をここへ示していただきたい。
  104. 兼松武

    兼松説明員 交渉中に通常の外交交渉の過程で確認しておるということでございます。
  105. 穗積七郎

    穗積委員 日本側が確認されておると理解をし解釈をされても、相手側のアメリカ側がそれを確認しておるかどうか。また、政権がかわり担当当局がかわりましても、その取りきめが口頭によるものか文書によるものか知りませんが、その取りきめに向こう側がオブリゲーションをはっきり認めますということがわれわれには証明されていない。したがって、お尋ねいたしますが、それは口頭でございますか文書による確認でございましょうか。
  106. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 文書はございませんが、一般に、国際法上、二重国籍の者がその二つの国籍のうちの一つの一方の国におる場合には、他方の国は全然それに対して権限を及ぼさないということが大原則になっておりますので、特に文書による確認の必要ということがなかったわけでございます。
  107. 穗積七郎

    穗積委員 二重国籍の場合、そのA並びにBの国内法に従ってその国民のA国、B国に対する権利義務関係をどう処置するか競合した場合に、それはわれわれはこういうふうに理解しておるわけです。すなわち、その二重国籍を持ちました国民は、国際慣行上、より多くの保護を受けておる国の側に立ってその国の国内法に服するのが取り扱い上常識的ではないか。そう理解してよろしゅうございますか。
  108. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 それは、第三国に在留する場合などは、そういう考え方で本人の意思にまかせるということでいくのが最も実際的かと思いますけれども日本人としての国籍を持っておる者が日本の領域内におるという状態でございますから、その人がかりにほかの国籍をもう一つ持っておる場合でも、これは純粋に日本人として日本国内では扱わるべきが当然でありまして、同じことがアメリカの場合についても言えるわけですが、そういう場合に、一方の国におる場合には、二重国籍者はその在留しておる国の法権に完全に服する、ほかの国は権限を及ぼさないというのが大原則だと了解しております。
  109. 穗積七郎

    穗積委員 たとえば、アメリカで生まれ、アメリカで相当長期にわたって教育も受け在留もしておった、それが商売上あるいは文化活動の必要によって現在は日本に来て住まっておるというような場合、いまおっしゃいました第三国に在留する場合だけでなくて、二国間のいずれかに在留する場合におきましても、いずれの国内法に服するかという問題は、A国、B国、すなわち日本アメリカ両国間におけるより多くの保護を受けておるその国に服する、これは常識じゃないでしょうか。現在その瞬間において日本に在留しておるということの事実だけで、日本国民として取り扱われるからその心配はない、こういう解釈は日本側の一方的解釈またはひとりよがりの安心ではないかというふうに私は理解するわけです。私の解釈、理解に誤りがあれば正していただきたいそうして、その理由を明らかにいただきたいのです。すなわち、私の言うのは、単にその瞬間に日本に在留するというだけでなくて、やはり在留する期間、あるいは在留する条件、あるいは在留するシチュエーション、こういうものが問題になるのではないか。そうなりますと、第三国に在留するのではなくて、二国間いずれかに在留する場合におきましても、いま申しましたように、より多くの利益保護を受けておる国の側の国内法に対して服する義務を持つのが当然ではないか。そうなりますと、一重国籍を持ちました者がこの条項に入ってくる可能性がある。それに対して外務省はどう処理されるおつもりであるかということでございます。もう少し、ただ在留するというだけでなくて、私の申しました原則からちょっと明らかにしていただきたい。
  110. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 私も全く同じような趣旨で申し上げておるわけでございまして、在留するということは相当の期間ということを当然の前提にしてお話し申し上げておった次第でございます。そして、問題のこの条項が実際に適用になるのも、相当期間その人がこちらにいる場合の話でございまして、旅行者とかなんとかいう場合には働く余地もないわけでございます。
  111. 穗積七郎

    穗積委員 そのとおりだと思うのです。そうなりますと、日本国籍を持ちアメリカ国籍を持った青年が日本におる場合でもこの条項に入る、そういうことが出てまいりますね。
  112. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 その人が相当の期間日本に在留するような場合にはこの条項は適用がないということでございます。
  113. 穗積七郎

    穗積委員 そういたしますと、領事の判断行為に対して、日本外務省との間でトラブルが起きることが考えられる。日本側としては、相当期間日本にいる、血液も日本人の血液であるということを主張いたしましても、先方で、いやそうではないという主張が出てくれば、ここでこれはどちらの国内法によってこの国民は処置をさるべきであるかということに対する明確な基準がないこういう規定を入れる以上は、明確なメルクマールといいますか基準がなければ、こういうことによって非常な混乱錯綜を来たすことになると思います。
  114. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 それは場合場合によることでございますが、大体この規定が強制的に身体検査をやるというような趣旨の規定ではございませんで、かりに純粋のアメリカ人でございましても、領事館に出頭しないで、身体検査を受ける便宜を利用しようとしない者に対しては、領事は手も足も出ないわけでございまして、そういうトラブルなんというものが起こるような場が生じないと私は考えております。
  115. 穗積七郎

    穗積委員 そう簡単にいけばけっこうでございますが、いささか甘いのじゃないかと思うのです。それは押し問答いたしましても何ですが、続いて、大臣にお答えをいただく前に、予備的に質疑をして、明らかにしておいていただきたいと思います。  この身体検査の通告を受けました在日アメリカ人が拒否をして、そして日本人がこれをかくまう場合ですね、その場合に、その領事官と、徴兵なら徴兵拒否をいたしましたアメリカ人をかくまいます日本人との権利義務関係というのはどういうことになりますか。
  116. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 かくまうと言うと、アメリカの官憲の手からのがれるような感じがいたしますけれどもアメリカの官憲の手は、日本領域内にその人がおります限りは及び得ないわけでございます。かくまうということ自体が起こらないわけでございます。
  117. 穗積七郎

    穗積委員 たとえば、従来の住所に通告をした、そして身体検査をするから出頭しろという通知を出した、これは軍事的服役義務の身体検査ではないかと考えて、本人がその住所から逃亡する、そして、本国へ帰れば直ちに身体検査を受けなければならないし、また逃亡のこと自身も法に問われなければならない、そういう点で、日本人の友人なり知人なりに、しばらくここで世間に知らせないで置いておいてもらいたいというような事実はあり得るわけです。そういたしますと、領事官日本人との間における関係がそこに介入してまいりますね。そういうことになるじゃありませんか。しかも、強制といって、派遣国の法令はどの法令によるか知りませんが、アメリカの法令によってその身体検査を受ける義務を強制されている場合には強制になります。したがって、領事官アメリカ本国に対してそれを執行する権限・義務を持っておるわけですね。そうすると、当然これを捜査あるいは追跡をする事実関係というものは出てくるわけです。
  118. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 日本アメリカに対して領事警察というものを認めておらないわけでございますから、そういう、法令に要求されたとおりのことをある個人について実行するために強権を発動するということは起こらないわけでございます。
  119. 穗積七郎

    穗積委員 こういう場合はどうなりますか。その場合に、その事実が領事官によって確認をされた、されておるけれども、それを追跡逮捕する警察権は執行ができないということでありますならば、その事実を本国にも報告し、在日アメリカ大使館にも報告し、あるいは在日軍司令官にも報告をする、そうすると、これはどういうことになるか知らぬけれども、身体検査の目的、それを義務づける根拠となるアメリカ国内法律のいかんによりましては、大使館が今度は警察権を行使する、あるいは軍司令官がそれを行使するということにも移し得るわけじゃないでしょうか。どの法令によるとは書いてない、「派遣国の法令」と抽象的・一般的に書いてあるわけですから。
  120. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 この法令と申しますのは、身体検査というものがこういう内容のものでなくちゃならないとかいつまでに届け出をしなくちゃならないとかいうやり方が規定してあるわけでございまして、この法令がアメリカ領事日本アメリカ人に強権を発動する力を与えるものじゃないわけでございます。大使館ももちろん警察権を持っておりませんし、米軍の軍人仲間の警察力というのも、もちろん在留一般米人には及ばないわけでございます。
  121. 穗積七郎

    穗積委員 それは法律によってですね。そうなりますと、日本警察に移して、日本の警察の執行によってその者を出頭せしめるという可能性もあるわけです。
  122. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 そういう義務はこの条項から日本は負うわけじゃないわけでございます。
  123. 穗積七郎

    穗積委員 そんなことはないでしょう。たとえば、戦時中の例を伺いますが、日本国籍を持ってアメリカに在留する者に対して日本が徴兵検査をしたいというのに対して、向こうで逃亡をしてアメリカ人がかくまっているという事実が判明いたしました場合には、一体どうしたのですかそのまま黙っておりましたか。
  124. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 何もいたしませんでした。
  125. 穗積七郎

    穗積委員 その者の本国送還を要請するなり、あるいはまた領事館に出頭をせしめるように要請するということは権限でできるでしょう。
  126. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 いまお示しの例で、アメリカ日本人がそうしておった場合、若い者がおった場合に、アメリカ政府に援助を求めるということはできなかったわけでございます。日本政府としてもそういうことを申し出たことはございません。
  127. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、逃げっぱなしですか。過去の事実で、先ほど戦時中と言ったのはことばの誤りで、戦前徴兵制度わが国にあり、ちゃんとした法律があって行なわれた場合ですね。それは当然なことじゃないでしょうか本国に対して強制送還を要求するということは。現在あなたあそこでやっているじゃないですか。韓国は大村収容所に対しても強制送還を要求してきているでしょう。
  128. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 さっき申し上げたとおりでございまして、いまの大村収容所にいるのは、日本に対して不法入国した者を日本が強制送還しようとするのに対して韓国政府に協力してもらいたいということで話をしておったわけでございます。
  129. 穗積七郎

    穗積委員 例が悪ければ、何も韓国のあれの例を引く必要はございませんけれども、それとこれと違うかもわからぬが、いまのあなたのおっしゃるのは違いますよ。韓国政府からは強制送還を外務省に要求してきているじゃないですか。北に送らないで南に送ってよこせということを言っているじゃないですか。この委員会でも幾たびかそういう例があって、それは亡命者取り扱いにすべきであるということをわれわれ外務委員会、法務委員会で主張して、その問題が問題になった例というのは枚挙にいとまなくあるわけです。あなたの認識は違いますよ。そんなことで議論しようというのではないのであって、二重国籍の日本人、日本国籍を持つ在留アメリカ人取り扱いの問題について、いまこういう条項を置いておけばトラブルが発展するという心配をわれわれはしてお尋ねしているわけです。そういう場合に対して何々ということで安心しろということを言われましても、いままでの御説明では安心ができないわけです。アメリカが、そういう者に対して、逃げたら逃げっぱなしだ、大使館領事館も在日軍指令官も、身体検査に服すべき義務のあるアメリカ人日本人のある人のところに逃亡してかくまわれているということがわかって、それを追及しないなんということは常識的にも考えられないおそらく法律的にもその権限があると思うのです。そうでないと、この条項というものは、いわゆる鎌倉の何とか寺みたいなもので、そこに入るというとこれは治外法権になるわけです。アメリカにとってはそういう条項になるわけです。アメリカの徴兵忌避青年にとっては、日本へ逃げてきて、この条項で逃げられるということになる。そんなばかな条項にはなっていないと思うのです、この条項は。あなたのいまの御説明だと、やがて軍の身体検査が行なわれるかもしれないというようなことを想定した青年が日本へ渡航してきて、そして日本人のあるところにかくまわれておる、そうすると、領事はそれを追跡逮捕する権限はない、アメリカ大使館もない、在日軍指令官もない、そうすると逃げっぱなしになるわけですね。この条項はそういうことになりますか。おかしいじゃないですか。
  130. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 日本と全然関係ないことがずっと書いてあるわけでございまして、いまの関係は、身体検査という一項をここに入れたからどうなるという違いが生ずる問題じゃないのです。
  131. 穗積七郎

    穗積委員 違いが出るのです。本国への召還だけならいいですよ。だけれども、これは法律違反者になる。派遣国の法令に違反する容疑者になるわけだ。そうなると日本のその事情を知ってかくまった者はどうなるかということを聞いているのです、私の言うのは。
  132. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおりでございますが、たとえば、身体検査のためとしましても、通知を受け取ったのにその届け出をしないとかいうことは、いままでだってあり得たわけでございます。
  133. 穗積七郎

    穗積委員 それは本国へ帰ってこいという命令だけですね。それだけですよ。身体検査を受けるために本国へ帰ってきなさいという通告だけになるわけだ。ところが、もっときびしいこの条約によって日本国内において身体検査をする。非常な強制力を持った他の法律によるこういう権限領事が持っておるとすれば、そこまで発展してくるわけでしょう。帰国の通知だけなら問題はないわけですよね。
  134. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 詳しいことはまた係の者から説明いたさせますが、実際のやり方といたしましては、最初に何か書き込む紙を送ってくる、それにいろいろなことを書き込んで届け出をする、それをアメリカ政府のほうで見て、また届け出者の適当なよさそうな者に身体検査を受けなさいと言ってやる、それを受けてから第二回目の届け出をするというようなやり方になっておる模様でございますが、そういうような一連の通知、届け出とかいうようなことは、やる本人がそのつもりになりませんと別に強制はできないという事態がいままであるわけでございます。
  135. 穗積七郎

    穗積委員 いままでは本国へ帰ってこいという通知だけなんですよ。ところが、日本政府が在日アメリカ領事官に対してそういう権限を与えておる以上は、それに便宜を与えるというのが一般原則になっておるわけです。便宜を与える義務がお互いにあるわけですから、そこでひっかかってくるわけです。しかも、この国でそういう検査が行なわれるということになる。そうすると、通知があったのに本国に帰ることをサボタージュしておるだけのものではなくて、そういう軍事的服務規律の法律があり、またはできたといたします、と、そういう場合におけるこの忌避青年というものは、これは単に従来のように通知をして本国へ帰ってこいというのにサボタージュしておったりするのとは違った法律違反者になる。もっと重い法律違反者になりますね。そうすると、その逃避に便宜を与えました日本人との関係はどうなるかということですよ。こういうものを置くからよけいにそういうふうになるというのです。
  136. 大平正芳

    大平国務大臣 この条項は、いま藤崎さんが言われた場合に、日本にあるアメリカ領事館でも身体検査の便宜を与えますよということで、それをいやな人は本国へ帰ったらいいので、別にこの条項によって領事領事警察権を持っているものじゃないのですから、あなたがいろいろ言っている逃げ回っているやつは全然かかわりがないこれは本国へ帰るのはなかなか経費がかかってめんどうだから領事館でやる身体検査を受けられるというだけのことなんです。何ぼ突っ込んでもそれだけのことなんですよ。
  137. 穗積七郎

    穗積委員 私は必ずしもそう思わないのですよ。こういう権限領事官に与えられておる場合と与えられていない場合と、いろいろなトラブルの深さが変わってくる。
  138. 大平正芳

    大平国務大臣 ちっとも変わらない。
  139. 穗積七郎

    穗積委員 変わらないという御判断は少し甘いと思うのです。いろいろこまかなことは、末梢的と言っては語弊がありますけれども、枝葉の議論でございますから、いつまでもあなたをとめておいてそういう議論をするよりも、事実実問題をいろいろ想定してみて、その場合の法律関係はどうなるかという話は、次に事務当局とまたゆっくりやりましょう。  そういたしますと、以上お聞きのとおりでございまして、私が冒頭に言ったように、領事というものは、経済的・文化交流を促進する、それから、もう一つは、その接受国に在留する自国民にいろいろな身分関係便宜を与えたり、監督をするということが領事としての主たる任務であるわけです。それが国際的な一つの通念として理解されているものである。したがって、いままでもこういう権限アメリカその他の国の領事に一切なかった権限であります。それをここでこういう権限を付加するということは、これは領事としての権限に大きな異質の新たな権限を付与することにもなるし、特に、日本が不戦国を宣言しておりますこの憲法のもとにおいて、こういうものをやるという権限を新たに設定するということは、どう考えましても、必要性もないし、同時にまた間違っておる、こう思わざるを得ないわけです。おわかりになりませんか。
  140. 大平正芳

    大平国務大臣 国際政治に非常に精通された穗積さんがおっしゃることといたしましては、私はあなたらしくないという感じがするわけです。つまり、この条項によって派遣国国民に対して身体検査を強要する権限派遣国領事に付与するなんという大それた条約を結ぼうなんてわれわれはちっとも思っていないわけであります。そんなことはできません。これは、領事がやる仕事といたしまして、便宜上その派遣国国民が身体検査を便宜と思えば受けられるという領事仕事を書いただけの話なので、そういう便宜な道があるのに、日本ではそういうことをやってもらいたくないんだといって逆に断わるというようなことは、そういう国際的なおつき合いをしないというようなことは、私はあまり名誉にならぬのじゃないかと思うのです。これは常識的にそうじゃないかと思います。私は何も政治的ではないということは冒頭にも申し上げましたとおりで、そういう便宜的な問題として便宜をおはかりするということ以外に厘毫も出ていないわけなので、そこを食いついて、何かありそうだということであなたはいろいろ究明されますが、究明されることはけっこうですけれども、なんぼ究明しても出てきませんから、これはいいかげんでかんべんしてください。
  141. 臼井莊一

    臼井委員長 先刻の在留外国人の数を御報告させますから、しばらく……。
  142. 兼松武

    兼松説明員 入国管理局におきまして調査した結果を御報告申し上げます。  本年の二月末日現在で六十日以上日本に在留する外国人の数は次のとおりでございます。  米国人一万五千二十五人、英国人二千二百十三人、韓国人五十七万四千三百二十一人、中国人四万七千九百五十一人、カナダ人一千三百五十三人、ドイツ人一千六百七十四人、オーストラリア人三百九十五人、フランス人七百六十一人となっております。  以下こまかい点については、別に追ってまた御報告いたしますが、おもな点はさようなところでございます。
  143. 穗積七郎

    穗積委員 そのうちの韓国人というのは、北朝鮮の人も入っておりますね。
  144. 兼松武

    兼松説明員 そうでございます。在留朝鮮人という意味でございます。
  145. 穗積七郎

    穗積委員 そうしますと、これでいきますと、中国または北朝鮮、それから最も多い国になって韓国ですが、この点、今後二国間の条約を結ぶということになりますと、当然同様な便宜を与える可能性が十分考えられるわけですが、大臣のお見通しはいかがでございますか。
  146. 大平正芳

    大平国務大臣 いまそういう予定はないわけでございます。そのときになって先方から申し出があった段階で——申し出があるかないかわかりませんし、全くまだわかりません。
  147. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、すなわち、未確定であって、こういう条項を入れないという保証はない、こういうことでございます。そうなりますと、ますますこれは非常な混乱を生ずる危険があるわけでございます。そして、同時に、朝鮮、中国ともに一つに分かれております場合には、例の法的地位の問題をどう処理するかということ等と関連してまいりまして、非常な混乱が生ずると思うのです。あわせて見まして、先例としての(b)項の規定というものは非常に不安、危険、しかも不当なものである、これはお考え直しになるのがお互いのためだと思うのですが、どんなものですか。
  148. 大平正芳

    大平国務大臣 先のことはわかりませんが、万一そういうことになっても、身体検査を受ける便宜を得たい人は受けるであろうし、受けたくない人は受けないであろう、それだけのことじゃないかと思います。それだけのことなんで、あなたの言う、これに関連して頭に描いている事態とは全然無関係だと思います。
  149. 穗積七郎

    穗積委員 議事進行についてちょっと御相談いたしたいのですが……。
  150. 臼井莊一

    臼井委員長 それでは速記をとめてください。    〔速記中止〕
  151. 臼井莊一

    臼井委員長 速記を始めて。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後一時六分散会