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1964-05-06 第46回国会 衆議院 外務委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月六日(水曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 安藤  覺君 理事 椎熊 三郎君    理事 正示啓次郎君 理事 戸叶 里子君    理事 穗積 七郎君       宇都宮徳馬君    鯨岡 兵輔君       竹内 黎一君    野見山清造君       濱地 文平君    福井  勇君       三原 朝雄君    田原 春次君       永末 英一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君         外務事務官         (国際連合局         長)      齋藤 鎭男君  委員外出席者         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  梅沢 邦臣君         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 四月二十三日  米国原子力潜水艦寄港反対等に関する請願(井  岡大治紹介)(第三〇六〇号)  同(黒田寿男紹介)(第三〇六一号)  同(井岡大治紹介)(第三一三二号)  同(坂本泰良紹介)(第三一三三号)  同(和田博雄紹介)(第三一三四号)  米国原子力潜水艦寄港反対及びF一〇五D戦闘  爆撃機撤去に関する請願黒田寿男紹介)(  第三〇六二号)  同(稻村隆一君紹介)(第三二三八号)  同(中村重光紹介)(第三二九〇号)  日韓会談即時打切りに関する請願黒田寿男  君紹介)(第三〇六三号)  同(岡田春夫紹介)(第三〇六四号)  同(西村関一紹介)(第三〇六五号)  同(松本七郎紹介)(第三〇六六号)  同外二件(坂本泰良紹介)(第三一三五号)  同(松本七郎紹介)(第三一三六号)  同外三件(稻村隆一君紹介)(第三二三九号)  同外一件(戸叶里子紹介)(第三二四〇号)  米国原子力潜水艦寄港反対及び核兵器完全禁  止等に関する請願外一件(沢田政治紹介)(  第三一三一号)  米国原子力潜水艦寄港反対等に関する請願(  勝間田清一紹介)(第三〇六七号)  日韓会談打切り及び日中国交回復等に関する請  願(山中吾郎紹介)(第三二一九号)  同(加藤進紹介)(第三三四五号)  同外一件(川上貫一紹介)(第三三四六号)  同(志賀義雄紹介)(第三三四七号)  同(谷口善太郎紹介)(第三三四八号)  同(林百郎君紹介)(第三三四九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  大気圏内、宇宙空間及び水中における核兵器実  験を禁止する条約締結について承認を求める  の件(条約第三号)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  大気圏内、宇宙空間及び水中における核兵器実験を禁止する条約締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。
  3. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は、ただいま議題になりました条約について、外務大臣に二、三の点を御質問したいと思います。  一九六三年の七月二十五日、ソ連スピリドノフ宮殿米英ソ三国がこの大気圏内、宇宙空間及び水中における核兵器実験禁止協定仮調印をして、八月の五日にはクレムリンの宮殿で正式の調印をして、すでにこの協定には米英ソを含めて百九カ国が加盟をしているといわれております。原爆の被害をこうむった私たちは、核実験と聞いたときに、幾たびかやめてもらいたいということを願ってまいりましたので、核兵器実験全面禁止全面軍縮のためにあらゆる努力をしなければならないということを、この時代に生きた政治家の一人としてその責任を痛切に感じているわけでございます。残念なことに今回の協定は私たち理想とするものと違っておりますけれども、その目標に達するまでの一歩前進という意味から考えれば、それに賛成をして、さらに理想のために努力していかなければならない、こういうふうに私たち考えているわけでございますけれども、その考え方に対して外務大臣はどういうふうにお考えになるかをまず伺った上で、次の質問に入りたいと思います。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 いま、核爆発実験の禁止問題ばかりでなく、全面的な軍縮問題として、私どもは、核兵器が全面的に廃棄されて、そして人類が安心して平和の状態を享楽できるような事態を招来するためにあらゆる努力を払うことが、今日の時代における第一義的な政治任務であると思います。しかしながら、御指摘のように、関係国話し合いジュネーヴにおきまして続けられておると申すものの、各問題点につきましての理解はまだ相当大きな距離がありまするし、論議それ自体も難航をきわめておりますことも、御指摘のとおりでございます。しかしながら、去年の七月モスクワ米英ソ三国で署名になりました部分核停条約なるものは、御指摘のようにきわめてわれわれの目標からは遠いものでございますけれども、ここまで話が具体的についたということは、人類の英知のいたすところでありまして、私どもは、この成果というものを大事に保存して、そこから次の建設的な歩武を進めてまいるように努力しなければならぬと思うのでございまして、まさにいま戸叶先生が御指摘のとおりの気持ちで私どももおるわけでございます。
  5. 戸叶里子

    ○戸叶委員 当時の新聞を読んでみますと、仮調印段階で、すでに日本に対して在日大使館エマーソン公使から法眼さんに申し入れをしてきたということを書いてございましたし、また、八月五日に本調印をしてから、すぐに日本加盟をすすめてきたようでございます。そのときに、外務省意見といたしましては、いろいろと議論がされまして、入ったほうがいい、入らないほうがいいというふうな議論もあったようでございますけれども、結局はこの条約加盟という形をとったようでございますが、その迷った理由、そして何が踏み切らせたかというその理由を明らかにしていただきたいと思います。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 あの当時政府として全然迷ったわけではないのでございます。当時の委員会におきましても私は申し上げたつもりでおりましたが、条約原文が確認されておりませんので、一応、政府としての責任上、本条約原文を各条ごとに検討させていただきまして、そうして署名するという手順を運ぶのが正当なやり方だと心得まして、若干のタイミングをちょうだいいたしたわけでございます。この条約は歓迎すべきものであり、そして私どもはそれに署名すべきものであるということの根本につきましては何らの疑惑を持っていないわけでございましたが、ただ、手続上、原文につきまして事務的に精査させていただいて署名するという手順を踏ませていただいたというにすぎません。
  7. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いま大臣の御答弁ではございますけれども、当時は必ずしもそうばかりではなかったように思います。外務省の中にもいろいろ意見が分かれていて、そして、別にいま、日本は全面的に核兵器に対しては反対をしているのであるから、加盟しなくてもいいんじゃないかというような意見も相当あったけれどもというようなことも私は聞いているわけでございますが、いまの大臣のおことばは手続上ということであったわけですけれども、ともかく、いろいろと問題になったということが、私は事実ではないかと思う。なぜならば、この条約の中にはいろいろな問題を含んでいるわけでございまして、そういうふうな問題点をよく掘り下げた上で、もっとよいものにしていくということが、私は日本の態度として必要じゃないかと思うのです。ことに、この条約の中には、「いずれの締約国も、この条約改正提案することができる。」と書いてあるわけでございますから、やはり、どこにどういう問題があるかということをはっきりと追及した上で、日本の国は日本の国として、こういう点を早く理想的なものにすべきであるということを具体的に提案しなければならないというふうに私は考えております。ことに、この条約に入ったからは、やはり、日本の国こそ、との二条をフルに使って、そして改正を要求していくとか、あるいは提案をしていくということが必要ではないかと思います。ことに、国連総会もありますことですから、そこにおいて日本理想としている案を持ち出していって、そして改正を求めるというような御意思をお持ちになっておらないかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 いま私どもがやっておりますことは、ジュネーヴにおきまして十八カ国——フランスが参加しておりませんが、ジュネーヴ軍縮委員会進展状況、そこにおける問題点討議状況をよくわきまえておくことが第一と心得えまして、あらゆるチャンネルを通じましてこれをキャッチすることに努力いたしておるわけでございます。そして、世界世論が、核停問題につきましてはどの問題点論議が集中し、そしてどの問題点に建設的な芽ばえが見えてまいりつつあるかというような点についても注意を怠っていないわけでございます。したがって、そういった推移をよく調べました上で、わが国の全体の国連対策といたしまして、その時点におきましてどのように対応してわが国見解を表明するか、またどういうアクションをとるか、そういうことをきめてまいりたいと思うわけでございまして、ただいまの段階は、そういう国連対策をきめてまいるにつきまして必要とされるもろもろデータを精力的に収集いたしつつあるという段階にあるわけでございます。
  9. 戸叶里子

    ○戸叶委員 日本外交というのはいつでも何か積極性がないのですね。たいへんに核実験禁止ということは国民が双手をあげて賛成をしていることであり、全面的に核実験が禁止されるということはだれでも願っていることでございますし、そういうふうな観点に立ちましたときに、はっきりとこの条約の二条でも改正提案することができるというふうにあるのですから、やはり、日本政府などは率先して、先ほど大臣が御説明になったように、この条約そのものは完全なものではないと言っていらっしゃるのですから、積極的に今度の総会等でこの問題を提案するべき立場におありになるのではないかと私どもは期待をしているわけでございますけれども、いつのときにも、いろいろな情勢をにらんで、いろいろな資料を集めてやるのであって、今回はそういうふうなところまでいくべきではないというような、そういうお考え、非常に消極的なお考えのように承っているのでございますけれども、そうでございますか。もう一度念のために伺っておきたいと思います。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 誤解のないようにお願いしたいのは、核停問題を含む軍縮問題についてわれわれが消極的であるとか退嬰的であるとか、そういうものでは決してないのでございます。日本といたしましては、声を大にしてこの問題について大いに主張していい立場に私はあると思います。また、そうありたいと思うわけでございます。問題は、軍縮問題一般、これは非常にむずかしい問題でございまして、各国の安全にかかわる致命的な問題であるだけに、御承知のように、軍縮委員会論議も一向顕著な進展を見ない。それほど腰の重い問題であるということをわきまえてかからなければいかぬと思うのでございまして、やり得ることは、非常に世間を瞠目さすような提案を虚空に振り回すというようなことでは決して建設的ではないと思うのでございまして、世界現状におきまして、どういう角度からどういう歩武を一歩進めるかというところにほんとうの問題があると思うのでございまして、そういった問題についてわれわれがまず見きわめをつけて、そうしてわれわれの可能な外交的能力を傾けてまいるように努力してまいるのがわれわれの責任ではないか、そう考えているわけでございまして、決して消極的であるという意味ではないと思うのでございまして、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  11. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは、この条約の中での問題点指摘しながら、そういう面を日本から提案して、そして完全なものにしてほしいという意味からも、その内容についての分析をしていってみたいと思います。  第一に指摘できることは、この条約の最も消極的な側面というのは、全面完全軍縮ができないうちに核兵器実験だけを禁止するにとどめたということだと思います。すなわち、核兵器開発しておらない国は、この条約加盟することによって、大気圏内外及び水中実験ができなくなって、実質上核兵器保有は不可能となるわけでございますが、現在の核兵器保有国は、この条約加盟しても、無制限生産し、そして保有することができるのであります。そこで、こういうふうな保有している国と保有していない国との間にできてくるみぞというものに対して、日本政府としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるかをまず伺いたいと思います。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 いまの核兵器開発という問題は、核保有国にとりましても非常に巨大な軍事費の重圧になっておることは御案内のとおりでございまして、アメリカにおきましても、ソ連におきましても、そういう国自体としての反省があるわけでございまして、この間も核分裂物質生産抑制についての話し合いができたということも、そういう事情を反映しておると思うのでございます。こういう核保有国核開発が無制限にどんどん続くという事態をどう規制していくかということは、そのように国内的な圧力に加うるに世界世論圧力という両面からの働きかけが必要であると思うのでありまして、国連はもとより、その他あらゆる機会をとらえて、われわれ核を保有しない国々が一致いたしまして、核保有国自省を促す牢固たる世論を形成していくということにつとめることがわれわれの任務であろうと思うのでございます。なるほど、この条約自体は、核の生産運搬貯蔵等について有効な規制の条文を持っていないことを非常に遺憾とするわけでございますが、そういう段階におきましては、そのような角度から各国力を合わせて声を大にして核保有国自省を促すという方向に働きかけてまいる必要があると思います。事実、そのことは相当効果をあげておるわけでございまして、巨大な核保有国自体も、国内的な必要もありまして、核開発について往年のような積極性はだんだんなくしつつあると私は考えておるわけでございます。問題は、いま御指摘のように、そういう世界世論が結晶いたしまして、条約というものがだんだんと有効に働くように改正されてくるような機運をつくりあげてまいることが大事だと思うのでございまして、そういう方向にわれわれも懸命に努力を傾けるべきものと思います。
  13. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまの大臣の御答弁によりますと、できるだけ保有国に対して無制限生産したり保有するというようなことの自省を促すという努力をすべきであるとおっしゃったわけでございますけれども、それは希望だと思います。この条約にはそういう点がないところに非常に問題があるのじゃないか。したがって、そういう点に対しても積極的に日本政府として提案をしていくべきではないかと考えるわけです。  この条約内容を見ましても、地下を除いた実験を禁止するだけであって、核保有国他国にその核兵器を売ったりあるいはまた譲渡したり、買ったりすることは禁止してないわけでございまして、ここに大きな抜け道があると思います。たとえば、アメリカNATO軍核兵器を渡そうとしているのが、実際にあらわれた実例ではないかということを私は考えるわけです。こういうこともあわせて禁止しないでは、核兵器使用による現実の脅威は除かれないように思うのでございますけれども政府としてはそういうことに対する御見解はどういうふうに持っていらっしゃるでございましょうか。
  14. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 この協定核兵器の引き渡しを禁止するところまで及んでいないのは、御指摘のとおりでございます。ただ、御存じのように、この協定は、そういう方向へ向かって一歩でも現在の段階で進めるところだけ進めようという趣旨から、実際に可能なところを取りきめておるというわけでございます。
  15. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまの御答弁と、それから先ほど大臣の御答弁とあわせまして、そこで、私がさっき申しましたように、完全な核兵器の撤廃に至る次善の策として、現在の核兵器保有国他国にこれを売却とかあるいは譲渡、いかなる外国の基地にも置かないというようなことを内容とする条文を本条約に補充するものとして、この二条を適用して提案するような意思をお持ちになるかどうかという初めのところに私は戻ると思うのです。なぜならば、現在すでにわが国の領土である沖繩には核兵器が実際に保有されているということから考えましても、非常に緊急の問題ではないかと思います。したがって、そういう一つ一つの問題をやはりこの条約の中に改正をしていくのが日本役割りではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、この点について大臣はどういうふうにお考えになるでしょうか。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 いま条約局長が御説明申し上げましたように、この条約は不完全なものでございますが、地下実験以外のものを禁止するというだけで、すでに核の開発には相当の制約があるわけでございます。この条約がない以前に比べますと、核の開発については大きなおもしをつけたというメリットは確かにあると思うのでございます。しかし、それにもかかわらず、いま御指摘のような抜け穴がたくさんあるわけでございます。これはどうするんだという話でございますが、したがって、関係核保有国といたしましても、また国連といたしましても、いまこの問題をジュネーヴ軍縮委員会に移しまして、ことしの一月の下旬から討議に入っておるわけでございまして、いま御指摘された問題ばかりでなく、軍縮問題全体の問題点を全部網羅しまして討議が重ねられておるわけでございます。私が先ほども申しましたように、この討議はそれじゃ非常に実質的な進展を見ておるかというと、いまの段階におきましてはそう言えないのでございます。すでにモスクワにおける核停条約ができるまでの委員会も、五百回に及ぶ会議の結果、ようやくここまでのまとまりができたわけでございまして、私ども、一月から始まったジュネーヴ軍縮委員会が目新しい成果をすぐおさめるというようなことは、なかなか軍縮問題の性質上期待できないと思いますが、しかし、非常に牛歩遅々たる討議の間におきましても、そこにおのずからお互いの間に合意芽ばえができてくることが考えられるわけでございまして、そういった討議の間に合意可能性というものを探求しながら、いま先生が御指摘のように、それでは次のステップはどういう問題を条約に具体化していくかということを考えてまいる必要があると思うのでございます。いまちょうど、これを第一段階とすれば、第二の旅に発足したというのが、いまの軍縮問題の現状であろうと思います。
  17. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いま外務大臣がおっしゃったように、次の段階考えていくべきときが来ておるというふうな御発言でございましたので、私も、先ほど申し上げましたように、譲渡とかあるいはまたこれを基地に置くとかというようなことをしてほしくない。たとえば、沖繩だけでなく、日本国民は、安保条約日米間の軍事的提携が非常に強化されればされるほど、わが国の本土にも核兵器を持ってくるのではないかというような危惧の念を深めているものですから、政府が幾らそんなものは持ってまいりませんとおっしゃいましても、やはり非常に危惧の念を持つものでございますから、こういうふうな協定ができているのだし、日本としてもその改正を望むという立場にある点から、いかなる基地にも持ち込まないのだ、あるいはこれを譲渡しないのだというような、そういう一項を当然申し出る権利もあるのですから、申し出てもいいんじゃないか、こういうことを先ほども言っているわけですけれども、いまのところは諸般の情勢を見て申し出ないというお考えなんですか、それとも、いま私が提案しましたようなことは至急に考えてみましょうというお考えでしょうか、この点を念のために伺いたいと思います。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 あらゆる問題について申し出る権利は留保されておるわけでございまして、何らそれをわれわれはちゅうちょするわけではないのでございますが、ただ、問題は、提案した以上それは建設的な結果を生まぬといかぬと思うのでございまして、したがって、軍縮委員会討議等を通じまして、世界世論の動向をよく見ながら、どういうタイミングにおいてどういう提案をすべきかというようなことは、絶えず私どもが日々検討を続けてまいる立場にあるわけでございます。いま御指摘のような問題を日本として具体的に国連等にいま直ちに提案する用意があるかと申しますと、先ほど申しましたように、第十九回国連総会につきましてのもろもろデータをいま収集、整理いたしておる段階でございまして、どういう提案をいつどういうふうにするかということをきめているわけじゃございません。ただ、やりました以上は世界の平和に役立つように、そしてそれが単なるかけ声だけでなくて建設的な結果を生むようにわれわれは働きたい、そう念願しております。
  19. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この条約は、運用によりますと米英ソ核兵器所有国核兵器独占をさらに確立するものだというように解釈をされないわけでもないと思うのです。そういうふうに解釈される向きもあるのじゃないかと思うのです。中共もそういう点を指摘して本条約加盟することに反対をしているように見受けられますけれども、この点はどういうふうにお考えになるでしょうか。フランス中共がこの条約に参加しないというそのことに対して、政府はどういうふうな見解を持っていられるか。たとえば、国際的に非道徳的な行為として非難をされるとか、あるいはまたフランス中国というのは好戦国というふうにお考えになるのか、一体政府としてはこういうものに対してどういうふうな考え方をお持ちになっていられるか。条約そのものが、何か米英ソ三国が核兵器所有国独占をさらに確立するように思われるのではないか、こういう点をはっきりさせておいていただきたいと思います。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 中共は、七月二十五日の本条約の仮署名に先立ちまして、すでに人民日報の社説におきまして条約反対立場を明らかにいたして以来、その後一貫して、本条約がいま御指摘のように現核保有国核保有現状を固定化するものである、各国人民の中に太平無事の錯覚をつくって、帝国主義の陰謀に対する警戒心を麻痺させるという、世界人民に対する裏切り行為であるという激烈な文句で反対を続けております。フランスは、戸叶さんが前段の質問でもお触れになったように、この条約核兵器の製造、貯蔵運搬使用というものを禁止してない、ただ部分的な実験を禁止しただけじゃないか、したがって、全面的な有効な禁止条約ができたらもちろん賛成だ、そうでない段階においてはわれわれはこの部分的な核停条約賛成するわけにはいかない、こういう立場でございます。  この中共フランスの部分核停条約に対しての反対立場についての政府見解でございますが、これはそれぞれの国がその主権に基づいてとられる措置でございまして、とやかく論評すべき性質のものではないと思うのでございます。私どもとしては、この部分核停条約は、なるほど不完全なものではございますけれども、それがない状態に比べますと非常に大きな世界史における進歩だったと思うのでございまして、これを一つの道標としてその次の進展考えてまいるように現実的に考えていくという立場日本政府はとっておるわけでございまして、中共フランスがこれに参加願えないのは非常に遺憾だと思いますけれども、しかし、その国々考え方があるのでございましょうから、とやかくは論評を政府として避けたいと思います。
  21. 戸叶里子

    ○戸叶委員 やはり、世界の平和、それから理想的なものとしては、中国でもフランスでも入れるようなものとしていくべきだと私は考えるわけです。そういうふうな点から考えてみますと、いろいろそれぞれの理由があって入らないにいたしましても、入れるようなものにする努力というものを日本がやはりしていかなければいけないというふうに考えるわけです。なるほど、それぞれの国においてはそれぞれの国の考え方があってということはそのとおりでございますけれども、やはり、入れないからには入れない理由があるわけで、そういうふうな点をよく考えて、日本が入ったからにはこの条約を入れるようにしていくのが日本政府の義務じゃないか、こういうふうに私は考えるわけでございますけれども、この点はどういうふうにお考えになりますでしょうか。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 すべての国が賛成できるような核軍縮についての条約ができることを私どももとより最も歓迎するところでございます。そういうことを目標に着実な努力を続けてまいらなければならぬと思います。
  23. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この条約核実験を禁止するのは、先ほどからお話がありましたように、大気圏の内外と水中ということになっていて、地下実験は除いているわけでございますけれども、こういうことによって地下実験は合法的に許されるという意味なんでしょうか。この点の解釈を伺いたいと思います。聞くところによりますと、現段階においての核兵器開発実験の八〇%までは地下実験で間に合うということさえも言われているわけでございますが、地下実験というものを禁止しない限り、そういう面から見ましても、この核兵器を持っている国の開発あるいはその保有ということには、この条約によってはたいした影響はないんじゃないかというふうにも考えるわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  24. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 核兵器実験をしますことは、現在の国際法上禁止されているとは言えないわけでございます。この条約加盟する国の間では、ここに規定された範囲の実験である限りお互いに禁止される、条約上の義務としてやらないことになるわけでございます。それじゃ、この条約の法的な効果として、ここにあげられてない実験はいままで違法であったものが合法化されるかということじゃなくて、いままでも禁止されてない状態がそのまま続いていくということになるわけでございます。
  25. 戸叶里子

    ○戸叶委員 日本政府としては、それが合法化されたのではなくて、いままで実験をしていたのがそのまま続けられる、そうすると、何にも関係がない、影響はありますけれども、関係がないというふうに考えていらっしゃるわけですか。
  26. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 さようでございます。
  27. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この条約の前文には、「核兵器のすべての実験的爆発の永久的停止の達成を求め、その目的のために交渉を継続することを決意し、また、放射性物質による人類の環境の汚染を終止させることを希望して、次のとおり協定した。」、こういうふうに書いてあるわけでございまして、ここには核兵器と書いてあるのですが、核兵器でなければ、大気圏内外または水中でも核実験そのものは禁止しておらない、こういうふうに解釈なさるわけですか。その場合、これが核兵器実験であるかどうかということを識別するということはなかなかむずかしいことだと思いますけれども核兵器実験禁止とうたって、核実験というふうなこととは違うふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、この点も伺いたいと思います。
  28. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 兵器のみならず、すべての核実験について、第一条に規定されている種のものは禁ぜられるわけでございます。先ほどは、いままでこの第一条に規定されている範囲外のものは従来どおりだと申し上げましたが、これは、御質疑が、禁止されているとか違法であるとか、そういう法律問題の御質疑だったものですから、そうお答えしましたけれども、いま御指摘のように、また前から御説明申し上げておりますように、この条約はより広範な軍縮目的の達成のための第一歩としての意味を持っているわけでございまして、すべての核実験の停止をこの条約の当事国としても目ざしておるものだということは、御指摘のとおりでございます。
  29. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは、いまのをもう一度繰り返さしていただきますと、核兵器実験も、すべての核実験というものも禁止している、こういうふうにおっしゃるわけでございますね。
  30. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 つまり、第一条に掲げられているものは。といいますのは、地下実験というものはまだ禁ぜられてないわけでございます。
  31. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この第一条の1に、「核兵器実験的爆発及び他の核爆発を禁止する」ということが書いてあるわけでございますけれども、他の核爆発というのは何を意味しているのでございましょうか。
  32. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 何も限定はないわけでございますが、たとえばダムを建設するのに核爆発を応用するとかいうようなこともあるそうでございまして、兵器の実験以外のすべての核爆発を意味しているわけでございます。
  33. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、たいへんにあれのようですけれども、念のために伺っておきますが、平和目的だということで核爆発の実験をしようということも当然禁止されている、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  34. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 さようでございます。兵器でないからよろしいということではないわけでございます。
  35. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この第一条の1に、「核爆発を禁止すること、防止すること及び実施しないことを約束する。」と、こう書いてあるわけでございますが、ここで、「防止すること」というのは、この条約加盟国のいずれかが核爆発をしようとするのを防止するということ、すなわち、核爆発をさせないようにすることだと解釈してよろしいわけでございますか。
  36. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 「防止すること」ということばの意味の御質疑だと思いますが、これは、この条約加盟してないものが爆発を起こさせようとするのを防止するという意味ではございませんで、やはり、条約の当事国の領域内で何か当事国政府以外の第三者が爆発を起こさせようとでもする場合にはこれを防止する、そういう義務を負っているわけでございます。実際問題としてはちょっと考えられませんかもしれませんけれども、自分がやらないのみならず、人にもやらせないことについて自分が責任を持てる範囲についてのことでございまして、ほかの締約国でない国がその領域内でやろうとすれば、これを防止することはできないわけでございますから、そこまでの責任を負っている意味ではないわけでございます。
  37. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そういう場合に、どういう手段を使って防止させることができますか。
  38. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 自国領域内のことでございますから、それぞれの国内法によりまして当然できるはずであると思います。
  39. 戸叶里子

    ○戸叶委員 条約自体を見ましたときに、この条約の中には強制措置について規定が書いてないわけです。ですから、具体的に一体どういう方策をとられるかということが非常に疑問になるわけでございますけれども、どういうふうに理解してよろしいのでございましょうか。
  40. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 ちょっと御質疑の趣旨がよくわかりませんでしたが、もう一度……。
  41. 戸叶里子

    ○戸叶委員 さっき前のほうのことは伺ったわけですね。核爆発を禁止し、防止し、実施しないことを約束する。いまお話によりますと、防止させるという、自分のほうもしないし、それから、加盟してない国ではなくて、加盟している国に対して防止をするようにさせるのだ、こういうことでございましょう。ですけれども、それに対する規制というようなものが何もないわけですね、この条約の中には。ですから、どういう手段でもってそれを規制することができるか。罰則規制というものが何もないわけですけれども、それをどういう手段をもって罰則規制をされるかということです。
  42. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 ちょっと私の説明のしかたが悪かったかもしれませんが、この「防止すること」というのは、締約国のAが、締約国の中の他の国Bが爆発を起こさせようとするのを防止する、そういう意味ではございませんで、締約国Aの政府が、締約国Aの領域内において締約国Aの政府以外のものが何か爆発を起こさせようとしている場合に、これを防止する、そういう趣旨でございます。締約国同士間のお互いで悪いことをするのを防止しよう、そういう意味ではございません。
  43. 戸叶里子

    ○戸叶委員 わかりました。そういう場合でも、何人罰則規定というものは必要としないわけですか。一体、具体的な手段として何かの規制をしなければうまくいかないんじゃないかと思うのですけれども
  44. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 罰則というものはございませんが、そういうような条約違反の事態が起こりました場合には、この条約の基礎がくずれてしまうわけでございまして、存立の基礎が失われて、条約の目的がもう達せられない。そこで、ほかの国も、法律論を申し上げると、爆発を自由に起こさせるようになる。そういうことにならざるを得ないと思うのでございます。
  45. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そこで、この条約には第一条の禁止事項の違反に対しまして罰則がないということがはっきりしたわけですけれども、ただ、違反行為に対する対応策あるいは救済措置として四条で脱退の権利という方法が規定されているわけでございます。そうすると、この条約は私どもにとりましてはきわめて重要なものであるというふうに考えますから、この条約の四条の脱退の規定というものがこの条約を非常に不安定にしているように私は思うのです。たとえば、ある国がこの条約加盟している、しかし、何か起きて、どこかでやって、そして自国の至高の利益を危うくしている、そういうふうに認めるときには、三十日前に、私はこの条約からやめてしまいますと言えばそれで済んでしまうというように、非常に重要な条約であるにもかかわらず簡単にやめてしまうというような脱退の権利といいますか、そういうものが規定されている。かえってこういうものがこの条約を軽くするのではないか、こういうふうにさえ私は考えるわけでございますけれども、この点はどうでございましょうか。
  46. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 仰せのとおりでございますけれども、ただ、条約でこういうような実験をしないという約束をある国が安心してするためには、ほかの国が実験をしたら自分もその拘束から免れるということがありませんと、またこういう約束をおいそれとはできないわけでございまして、御指摘のように、それに対して何か罰則でもつくることによって事態が法律的に技術的に救済されるような性質のことでございましたら、そのほうがいいわけでございますけれども実験禁止をしておいて、実験が行なわれれるというようなことになりますと、他の当事国としましては、もう自分も実験して自分の利益を擁護する以外には道がない、そういう客観的な認識に立ってこういう規定の仕組みになっているわけでございます。
  47. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この条約自体は相当重要な条約というふうに政府は見ているわけですね。そういう観点から言いえば、こういうふうに簡単に脱退する権利を有するというのは、何にも話し合いもしないで、ただ三十日前に、私どものほうにとっては不利益ですから脱退しますということで脱退されるというような非常に軽々しいような態度は、むしろこの条約を非常に軽いものにするのじゃないかということを私は心配するわけです。たとえば、ほかの条約などの場合には、その期間に廃棄について協議交渉をするとか、そういうふうな規定があるのじゃないかと思いますけれども、これにはない。その期間中にお互いに話し合って廃棄をするとかなんとかいうことがあるはずですけれども、それがない。アメリカならアメリカが、どこかの国で実験をした、それじゃ私のほうはやめてしまいますというふうなことで、さらっと退くというふうなこともこれで考えられるわけですね。だから、そういうふうな場合に、ここに参加している国と、ほかの条約であるならば話し合いなり何なりをするということになっているのじゃないかと思いますけれども、この条約だけはそういうことがない。そこで非常に軽々しく考えられるのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、この点をもう一度念のために説明していただきたいと思います。
  48. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 この条文にもございますように、異常な事態が起こって自国の至高の利益を危うくしておると認めるときでございまして、これは締約国のその場合における判断に終局的にはまかされておるわけでございますけれども、そういう判断は締約国としては軽々しくなすべきものではないということは御指摘のとおりでございます。しかし、他面、この条約のたてまえから言いますと、脱退することを軽々しくしてはいけないということがある反面に、異常な事態というもの、つまり、実験をするなんということが非常に重大なことなわけでございまして、その両方の重大性がちょうどマッチしていると申しますか、これで均衡をとるよりほかに方法はなかった、そういうように条約作成の参加国の間では認めたわけでございまして、客観的に言ってもそうせざるを得ないような事態になって、通常の条約の場合のある一条項に違反したからすぐ脱退するというような場合と違いまして、条約の本旨自体が根本的にくずれるわけでございますから、やむを得ないのではないかと思うわけでございます。
  49. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いま条約局長指摘されましたように、本旨自体がくずれるというほどの条約であるだけに、どうも、向こうのほうで自分たちの国にとって有利でないようなことをしたから脱退するというような軽々しいものではなくて、ほかの条約とやはり同じように、脱退する場合には話し合うというようなことをこの条約の中にきめられたほうがむしろよかったのではないかと思うのですけれども話し合いでなしにさっと脱退するという通告だけで脱退するというようなことは、この条約を結んで、そうしてこれを効果あらしめようとする国としての考え方としては少し軽々しいのではないか。日本のような国から言えば、少しかって過ぎるのではないかというように考えるわけでございますけれども、こういう点はどういうようにお考えになりますか。
  50. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 見方の問題であるかもしれませんけれども、むしろそれは実験をすることを軽々しくできないようにしたほうが、脱退を軽々しくできないようにするよりも、実験する以上はほかの国に脱退されてしまうぞ、そのほうがむしろこの条約の目的に合うのではないかという見方もあり得ると思うのでございます。
  51. 戸叶里子

    ○戸叶委員 実験をすることをなかなかしないようにするというのは、この条約自体の精神がそうなんでしょう。だから、それとは関係がないと思うのです。条約自体が、何とかして核実験をやめようということから話し合ってきて、大気圏内外水中はしないのだ、——地下実験というものが禁止されていないことはほんとうに残念ですけれども、そういうような方向に、持っていったのですから、この条約自体の精神が禁止しようというのに、今度は、いまおっしゃったように、そういう精神なんだからむしろこういうふうな条項でいいのだというお考えはちょっと違うのではないか。考え方の違いと言えばそれまでだと思いますけれども、ほかの条約と同じように何か話し合っていくというふうな形をとっていったほうがいいのではないかと思いますが、条約局長はそうでないほうがいいというお考えなんですか。もう一度念のために伺っておきます。
  52. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 私は、この条約としてはこれが一番バランスのとれたやり方ではないかと思っております。
  53. 戸叶里子

    ○戸叶委員 その点は私と違うところですけれども、それでは、その次に伺いますけれども、前文で「核兵器のすべての実験的爆発の永久的停止の達成を求め、」とあって、そうして、第一条には、「この条約の各締約国は、その管轄又は管理の下にあるいかなる場所においても、次の環境における核兵器実験的爆発及び他の核爆発を禁止すること、」と書いてあるわけですね。前文の停止という意味と第一条の禁止という意味は、日本の文字から言いますと違っていますね。それから英語も違ったことばを使っております。プロヒビットという語と、もう一つ何か使っているわけですけれども、停止と禁止とを別々に使い分けた理由は何かおありになるのでしょうか。
  54. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 この二つのことばを特に使い分けたというわけじゃございませんで、前文の場合には、実験が行なわれなくなる状態を客観的な立場から述べているディスコンティニュアンスという原語になっております。それから、第一条では、これを締約国に義務づける内容を叙述というかっこうになるものですから、禁止ということにしたわけだろうと思います。
  55. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、前文も禁止でもいいわけですね。禁止と読んでもいいわけですね。
  56. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 禁止と言って間違いであるというわけじゃないと思いますが、永久に停止させられている、永久に行なわれないという状態の達成を求めるという観念でございまして、停止という日本語は若干一時的停止というインディケーションを持つかもしれませんけれども、もとのことばの意味はそうじゃないのでございます。
  57. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私ども日本文しか読みませんから、日本文を読んでみますと、やはり停止と禁止というものは非常に差があると考えるわけですけれども、いまの条約局長の御答弁では、大体同じ内容であるというふうに理解をいたしました。  この第三条の規定に従いましてどこの国でも加入が許されているわけです。そして、これに加入するためには原締約国である米英ソのいずれか一国の政府に加入書を寄託すればいいことになっているわけです。そこで、日本はどこの国に寄託をされたわけでございますか。
  58. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 米英ソ三国政府に寄託いたしました。
  59. 戸叶里子

    ○戸叶委員 どこか一つの国に寄託すればいいじゃないかと思うのですけれども日本が三国に寄託されました理由はどういうところにあるのですか。
  60. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 この条約ができましてからこの三国政府意見を聞きましたところが、みんなにやってもらいたいということでありまして、そういうのがこの原締約国の趣旨であったわけでございます。
  61. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると、日本だけが三国に寄託して、ほかの国はそれぞれ自分の望む国に、つまり三国のうちの自分の望む国に寄託をしている、こういうわけでございますか。
  62. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 大部分の国は三国政府にいたしております。
  63. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そこで、現在分割されている国の加入というものはどういうふうにしているわけでございますか。たとえば東ドイツはソ連政府に加入書を寄託いたしましたけれども、東ドイツの加入と同国を承認しておらない国との条約上の関係はどういうふうになっているのでしょうか。
  64. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 東ドイツはソ連政府に寄託いたした模様でございます。日本政府といたしましては東ドイツを承認いたしておりませんので、日本と東ドイツの関係においては別に何ら法律上の効果はないわけでございます。
  65. 戸叶里子

    ○戸叶委員 法律上の効果はないということになりますと、たとえば国連の機関におけると同じように、国家承認とは別に、この条約に関する限り、条約に規定された権利義務関係はこれらの国との間にも当然発生するというふうに私ども考えるわけでございますが、こういう点はどういうふうになっているのでしょうか。たとえば本条約に関連して日本と東ドイツの間にも条約上の権利義務関係は発生したものというふうに考えてもいいでしょうか。これは今後たとえば北朝鮮なり北ベトナムが加盟したというようなときにも出てくる問題でございますので、念のために伺っておきたい。国連の機関におけると同じような考え方でいいのかどうか。
  66. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 その辺のところがこの条約でこういうような寄託先を三つにしたりした苦心の存したところでございまして、やはり、承認関係がないからといってすぽっと抜けては困る、しかしまた、かといってお互いに承認していないものの間に法律上の権利義務関係が生ずるといっても困る、そういうようなわけで、たとえばいま話に出ております東ドイツのような場合にはソ連政府に寄託する、ソ連政府としては東ドイツをその条約の当事国になったものと認め、したがって権利義務関係は生ずる。別に、加盟国のおのおのの間に、バイラテラリーというか、二国間で権利義務関係が生じないと条約の目的が達成されないというのでなく、たとえばガットみたいなものと違いまして、これはどこかで権利義務関係がはっきり生ずればそれで目的は達成するわけでございますから、こういうような仕組みにいたしているわけでございまして、ほかの多数国間条約で、しかもその多数国間条約の当事国の間でも権利義務関係はお互いに二国間で生じさせなければ目的が達成されないものとは、これは若干内容的に違っておるわけでございます。
  67. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまの条約局長の御答弁、ちょっと私は了解しかねるわけです。条約局長としては、東ドイツなり、それから将来起こるかもしれないだろう北ベトナムなり北朝鮮の加入というふうなことを考えてみて、私はやはりはっきりさしておく必要があると思うのですが、こういう条約に加入したときに、お互いの横の関係はどうでもいいんだということですか。たとえば米英ソというふうに三国のどこの国に寄託してもその国の加盟は認めるんだというふうに苦心をしてきめたわけです。日本の場合にはその三カ国に寄託をした、ところがソ連が認めておる国はソ連に寄託すればいいというような形をとられたにしても、この条約は一本なのですね。そこで、やはり、入った国であるからには、おまえたちは入ってきたけれどもたち承認していないから知らないというふうなものじゃない、やはり横の権利義務の関係というものは当然私は起きてくると思うのです。したがって、そういう点をやはりこの際はっきりさせておく必要があるのじゃないか。認めていない国であっても、たとえば、日本として、北朝鮮に対しては何かあっちのほうにあるらしい、東ドイツに対してもオーソリティーというものを認めたか何か知りませんが、そういう考え方の国にしても、その国が一緒の条約に入ってきた以上は、その国というものを承認しているいないにかかわらず、私はやはり関連があるというふうに考えるわけです。いまの条約局長の御答弁は少しおかしいじゃないですか。
  68. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 私は、私の先ほど答弁で差しつかえないと思います。つまり、この条約上の権利義務関係というものは、当事国である二国の間の関係を律するためのものではなくて、実はこの条約当事国になっているいわば一種の国際社会全体に対してそういう権利義務関係が発生する、内容的に原爆の実験禁止というものはそういうことであると私は考えております。
  69. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そういうお考えに対していろいろな角度からの質問ができると思いますけれども一つたち考えてみましても、こういう条約加盟した国があって、もっとよりいいものにするためにいろいろ議論をし合うかもしれない。そういうふうな場合に、あなた方はソ連のグループなんだからそっちを向きなさいという形で扱うというようなことに、いまの条約局長のおっしゃる答弁ではなってしまうと思うのです。だから、そういうことでなしに、やはり、この条約一つの目的を持って入っている以上は、同じ立場でもって討議をし、同じ権利義務というものが私は生じてしかるべきではないか、こういうふうに考えるわけであって、いや横の連絡は別に考えなくてもよろしゅうございます。ほかの日本承認した国々は同じ形でもって横の権利義務を生じていって、またつき合っていってもいいけれども、こっちの国は別個の形でもって、入ってきたらきただけですというふうな形では、一つ条約に対して解決ができないというか、おかしいんじゃないかというふうな疑問を持つのは私だけじゃないと思うわけですけれども、もう少し具体的に納得のいくように説明していただきたい。また、そういうようなことが一体いままでにあるのですか。
  70. 臼井莊一

    臼井委員長 穗積君に関連質問を許します。
  71. 穗積七郎

    穗積委員 ちょっと関連して局長にお尋ねしますが、この点はっきりしていただけばわかると思うのです。権利義務関係は他の多数国間条約の場合と違うかどうかということです。あとから追加参加した国、つまり、いまでも多数国間ですけれども、新しく参加したその国との間に国交が夫回復であるという場合でも、多数国間条約になるわけでしょう。多数国間条約が成立した場合には、すべての多数国が相互に国交かすべて回復しておる諸国における多数国間条約と、国交が回復してない国が参加しておる多数国間条約との場合においても、相互間の権利義務関係というものに違いはない、あるべきではない、こう解釈するのが条約解釈上・法理上当然だと思うんですね。その点だと思うのです。他の多数国間条約と、これから夫回復国が参加した場合のこの多数国間条約との場合において、参加国各国間における権利義務関係に違いがあるのかないのかということですね。ぼくは違いはないと思うのです。その点だけはっきりしてもらえば、それで一目りょう然じゃないでしょうか。他の多数国間条約と、この条約の場合における相互の権利義務関係に違いがあるかないかということです。それをはっきりしてもらえば、いまの条約上の権利義務関係のあいまいさというものは解明されると思うのですが、その点を御理解の上で答弁をしてもらいたいと思います。
  72. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 原則論を申し上げますと、この条約を一応離れまして……
  73. 穗積七郎

    穗積委員 多数国間条約における相互間の権利義務関係として離して答えていただけばわかる、法理上は。
  74. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 夫承認国のような場合には、そういうような国際法人格というものの存在を認めないわけでございますから、日本としてはその国との間に有効に権利義務関係が生ずるということはあり得ないわけでございます。ただ、私が先ほどから申し上げておりますのは、この条約の場合にはそれでも支障が起こらないということを申し上げておるわけでございまして、たとえばガットのような多数国間条約でございますと、その国と日本との貿易関係がその多数国間条約によって律せられる。しかし、いまの核停条約の場合には、核実験をしないという絶対的な内容のことが、この締約国団といいますか、そういうものに対して生ずるわけでございまして、東ドイツが日本との関係において、アメリカとの関係においてというぐあいに、二国間で問題を分析的に考えないと権利義務関係の実体がわからなくなる、そういうものじゃないわけでございます。
  75. 穗積七郎

    穗積委員 趣旨が違うんですね。こういうことです。私は条約における二カ国間の権利義務関係とこの条約との間における違いを聞いているんじゃないです。他の多数国間条約とこの多数国間条約との間において相互間の権利義務関係に違いがあるかないかということを聞いておる。ないのですよ。あるべきではないのです。だから、それを言えばいいのです。
  76. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 それは、最初に申し上げましたように、未承認国と日本との間には、両方がたまたま一緒にある多数国間条約に入っておりましても、それはその未承認国を承認したという効果は生じないわけでございます。したがいまして、権利義務関係も生じ得ないわけでございます。ただ、先ほど来の問答は、それはそれとして、それじゃ困るじゃないかということだったら、この条約の場合はそれでも困らない、ガットの場合のように困るようなことはないという趣旨の、もう一つ先のことを申し上げておったわけでございます。
  77. 穗積七郎

    穗積委員 私は、先ほど外務大臣のこの条約に対する政策上の御答弁についても、まだ非常に不満ですから、不満というより不明確ですから、お尋ねしたいと思っておりますが、いまは関連質問ですからちょっとお尋ねしますが、私の言っておるのはこういうことですよ。この条約において、アメリカまたは日本が、未承認の国が参加した場合に、この参加を認めたことによってその国の政権を承認したことになるかならぬかということを聞いておるのじゃないのです。そうではなくて、未承認国が入っておる多数国間条約であっても、あるいはすべての国が承認し合った相互の多数国間条約であっても、その多数国間条約に参加しておる各国間の権利義務関係というものに異質はない、違いはないという解釈をすべきではないか。いいですか。それで、未承認国との間の承認前に権利義務関係が生じては困るから、未承認国が入ったときには、その国とわが国の間、その国とアメリカとの間に権利義務関係は生じない、こういうことにあなたはとらわれておるからそういうことになる。一例を言えば、日本中国がまだ未承認国です。いま松村使節団等が提案して話し合っている郵便協定なり気象協定というものが政府間でできても、従来の外務省の解釈、われわれの解釈から言っても、そういう政府間の権利義務関係ができましても、承認とは別個の問題だ。当然承認ということにはならない。つまり、この事実承認になるかならぬかというのは解釈上の問題であって、いわゆる狭義の承認にはならない、こういうことですからね。そういう法理論をやられると、あとあとこれからいろいろな問題に関連をして困るのです。それで私ちょっとしつこく聞いておるわけです。いまのすべての権利義務関係の生ずる条約を結べばそれが直ちに承認になるかならぬかという議論は、また別の機会にしましょう。そういうことをやると混乱するから。それを頭の中に含んで議論はしておるのですよ。議論はしておりますけれども、その議論は別の機会にして、ここで答えてもらいたいのは、他の多数国間条約とこの多数国間条約との間における権利義務関係が同じであるか違うかということをはっきりしてもらえばいい。あなたの解釈だと違うと言われるわけでしょう。違うというなら、何がゆえにどこがどう違うかということをはっきりしてもらわぬと困るということを聞いておるのですから、お答えいただきたいのは、参加しておるすべての国が相互に承認し合っておる場合の多数国間条約と、今度のこの多数国間条約との間に権利義務関係において相違があるかないかということをはっきりしてもらえばよろしい。私はないと解釈すべきだと思うが、あなたの議論から言うと、それは違うという結論が出るかもしれぬ。もし外務省がそういう法理解釈をこの条約についてされるなら、何を根拠にしてどういう権利義務関係の相違が生じておるかという、そういう権利義務関係の違っておるという内容についても説明していただかぬと、これはあとあとの他の問題にも関連をいたしますから、そういう意味で、質問の趣旨をよく理解していただいて、それで御答弁をいただきたい。
  78. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 原則的に申し上げますと、他の多数国間条約とこの条約で別に本質的な違いはないわけでございます。ないという意味は、未認認国との間には条約上の権利義務というものは生じない、つまり、承認関係が起こらないし、したがって条約上の権利義務は生じないという意味において違いはないということでございます。しかしながら、この条約上の義務というものは本質的に二国間の関係を規制するためのものではないということを申し上げたわけでございます。それから、他の多数国間条約と違った寄託のアレンジメントがくふうされているという事実を指摘したわけでございまして、これはいろいろなねらいがあったわけでございますが、そういうようなことは本質的にこの条約をほかの多数国間条約から法律関係において違った性格を与えるものじゃないわけでございます。
  79. 穗積七郎

    穗積委員 まだ不明確ですね。よければ質問をするわけですけれども、私は関連ですから次に譲ってもけっこうですけれども、まだそれじゃ不明確です。
  80. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いま穗積委員からの質問に対して大体言われましたことは、未承認国の入っておらないほかの多数国間の条約における権利義務といいますか、そういうものは二国間には別にないのだから、同じだ、今度の多数国間条約の場合と内容は同じである、ただ、今度の場合に、寄託する場合に三国があって、三国の選び方というものは自分の国に都合のいいような形で選んでいくというようなところが他の多数国間条約内容が違うのだ、こういうふうなことでございますけれども、やはりそこに問題が残っていると思うのです。ほかの多数国間条約の場合に横の権利義務というものは私はあるはずだと思うのです。そういうふうなことを無視して、横の関係の権利義務というものはほかの多数国間条約にはないのだから今度の場合にも問題はないのだというような答弁のされ方では、ちょっと納得がいかないと私は思うのですけれども、この点をもう少しはっきりさせておいていただきたい。
  81. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 たとえば毒ガスを禁止する条約として多数国間条約がある。それから、たとえばガットのように貿易上お互いに無差別待遇を締約国間で与え合いましょうというような意味条約、そういう二つの条約上の義務というものは、これは、二国間の関係でそれにのっとって行動しなければならぬかどうか、二国間の関係を規律するかどうかという点において性質的な差があるわけでございまして、何も今度のこの核兵器実験禁止条約だけのことを私は申し上げているわけじゃないのでございます。それから、そのことと三つの国に寄託するということにしたことの関係でございますが、別にそういう条約だからこういう仕組みにしなければならないということじゃないわけでございまして、ただ、こういう仕組みにしておいたほうがなるべく広く網がかぶせられるといいますか、そういう趣旨からのくふうであろうということを申し上げたわけでございます。
  82. 戸叶里子

    ○戸叶委員 多数国間の条約のいろいろな関係について私はもう少しほかの問題を研究してきて次に質問したいと思います。  そこで、寄託の問題なんですけれども、もしかしたら東ドイツなり北朝鮮なりがソ連でなくてアメリカに寄託したいと言うかもしれない。そういうときにはどうなるのですか。そういうときには、アメリカは認めておりませんから知りませんという形をとるのですか。
  83. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 そういうことはやろうとしてもおりませんが、実際上できないと思います。
  84. 戸叶里子

    ○戸叶委員 できないということはどういうことなんですか。やろうとするかもしれないが、できないということは、受け付けないということですか。
  85. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 アメリカには在外公館もございませんから、かりに郵便かなんかでどこかを通って送ってきた場合にも、受け付ける義務がないわけでございます。
  86. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると、受け付ける義務がないというのは、この条約に別に書いてあるのではなしに、未承認の国だから受け付けないということですか。
  87. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 さようでございます。
  88. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それもちょっと不自由なことですね。入りたいと思って、便利だからアメリカにやろうと思っても、入れてくれないということになりますと、これは世界平和を念願するこの条約の趣旨とは少し変わってくるように思いますね。これはないことだから仮定としてどうのこうのとおっしゃるかもしれませんけれども、私たちはやはりそういうことまで考えておかなければいけないのじゃないかと思うのですけれども、そういう面から言いますと非常に不便な点があるわけでございますね。
  89. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 そこで、第三条二項のように、つまり寄託先を三つ設けておるわけでございまして、苦心の存するところでございます。
  90. 戸叶里子

    ○戸叶委員 三つ設けてあるのだからどこへ申し込んでもいいということになるのじゃないかと私は思うわけなんですけれども、これは私の考え方だけにしておきます。  そこで、外務大臣に最後に一点だけ伺いたいのですが、この条約によりまして核実験が一応大気圏内外水中だけでも禁止されることによって、緊迫した核戦争の心理状態というものを一応緩和して放射能の心配をなくすというような、ある程度の意義というものは評価することはできますけれども、それ以上の効果というものはいままでのいろいろな点から見て期待できない、むしろまだ非常に多くの問題が残っている、一方の核兵器保有国にとってはどういうふうな形ででも保有していけるけれども、それが独占されるような傾向があるというような問題さえもある、こういうことがはっきりしたわけでございます。そこで、大臣としては、この条約加盟するからには、先ほどから繰り返して申し上げましたように、この条約をして理想的なものにするためのあらゆる努力を近い機会にされるように、先ほどから伺っておりますとあまり近い機会におやりになりそうでもないですけれども、近い機会にやるというようなお考えを持って臨んでいただきたい、こういうふうに考えるわけでございますが、その決意のほどを一応伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  91. 大平正芳

    大平国務大臣 この部分核停条約それ自体は完全なものではない。しかし、地下を除く実験が禁止されたということは相当な成功であると思いますが、そればかりでなく、こういう問題について核保有国の間に合意が成立したということ自体は、非常に私どもの希望をつなぐものであると思うのでございます。このことは、こういう問題以外の問題でも、合意が場合によってはできるのだという希望を告げたものだと思うのでございます。したがって、今後、この部分核停条約というもの、これは一つ芽ばえにすぎませんけれども、これをだんだん拡充していく方向に鋭意施策を進める、そういう方向に、いま御指摘のように、日本政府といたしましても努力することは当然だと思います。ただ、問題は、先ほども申しましたように、いまこの問題はジュネーヴ軍縮委員会討議にゆだねられておるわけでございまして、そして、その討議は、現在各国からいろいろ提案が出ておりますけれども一つとしてまとまる方向を見せていないこともまた事実でございます。したがって、国連等でどういう提案をどの時期にすることが建設的であるかということにつきましては、先ほども申しましたように、御討議状況もよく見ながら、問題点をよく踏まえた上で、適時適切な処置を考えてまいらなければならぬわけでございます。いまの段階で、いつどうするというようなことを申し上げる段階ではございません。ただ、御指摘のような方向日本政府としても応分の努力を惜しまないということは申し上げられると思います。
  92. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いつどうするということじゃないんだけれども、御指摘方向に向かってできるだけ努力をいたしますというふうに、たいへんにわかったようなわからないような、肯定的のような否定的のような御答弁でございまして、もう少しきぱっとした肯定的な、国民の望むような返事をしていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
  93. 臼井莊一

    臼井委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる八日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時四分散会