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穗積委員 関連でございますから、いまの
呉学文の問題について一括して
お尋ねいたしますから、漏れなくお答えをいただきたいと思います。
まず第一に、
外務大臣に御注意申し上げますが、
呉学文の
発言と称せられるものは、
日本の
外交政策について、その部分の特に
中国に対して影響の甚大な部分について
中国側の
意見を言ったにすぎない。こういうことは当然承り得ることです。たとえば、われわれが北京へ参りまして、中ソ同盟
条約の中の対日軍事条項というものは好ましくない、だからこれは
わが国の今後の
外交路線と話し合いの中で修正または削除してもらいたいという
意見を、われわれは堂々と述べています。それに対して向こうは、わがほうの基本的な方針、
外交路線に
反対する
意見であるから困る、お帰りなさい、もうあなたは二度と入れませんよなどとは絶対に言ってませんよ。内政の問題じゃないのです。
中国に直接重大な
関係のある
安保条約というもの、その部分について、日米の協力の問題だけじゃなく、
外交条約の
中国に直接重大な
関係のある部分について
中国側の希望的
意見な言ったのが何が悪いのですか。何が
内政干渉ですか。われわれも外へ行って言っているんですよ。
日本の議員も、
外国へ行ったときに、われわれ
日本の
外交路線は、
自民党は
自民党の
立場、社会党は社会党の
立場で
意見を言っておる。それを言わないで、それで何の一体
友好がありましょうか。何の訪問の価値がありましょうか。いまの
山本委員の要求によって秘密会でもけっこうですから、事実をぜひ明らかにしてもらいたい。しかも、やったのは
外務省の調査じゃないでしょう。このごろの公安調査庁なんというものは、われわれの会合にも尾行をつけて、しかも昔の特高と同じなんだ。あることばじりだけをメモして、好ましくないことを言った、誹謗したと言う。前後の脈絡がない。そんなものを
外務大臣が信用して、それを
呉学文氏のこの時期における——今度の
呉学文の
立場というのは、昨年の原水禁の一員としての
立場とは違うのですよ。
南漢宸の責任における使節団の団員ですよ。そういう
判断を誤るなんということは、もう
外務大臣として、
外務省として失格だと思うのです。最近の公安調査庁の調査と称するものが、いかにも公平・公正で権威のあるかのごとくあなたは言われるけれ
ども、われわれは信用できない。そういう
意味で私は聞くのです。だから、
外交官に対してアグレマンを
拒否した場合に、そういうことを対外的に発表しないのが
国際慣例であることはわれわれも心得ております。しかし、
国内の行政の取り扱いとして、最近公安調査庁の調査と称するものは、もう目に余るものがありますから、先ほど
松本委員の言われたように、場合によってはでっち上げすら可能である。そういう
意味で、一体どこでどういうことを言ったのか。われわれも全部心得ております。一昨々年の三十六年の
呉学文の会合は、どこでどういう会合が行なわれた、どういう規模の程度のものであったということは、われわれのほうにも全部記録がありますから、それと符合するかどうか、明らかにしていただきたい。これは内政問題です。だから、いまのことについて、私は希望を申し述べて、考慮しましょうということですから、御考慮された上の御回答を期待いたしております。
そこで、私が申し上げたいのは、それなら
保証人がついているでしょう。受け入れる団体が
保証書を入れている。そのときに、われわれの聞いているところでは、公安調査庁が調べたのは三十六年に各地において数回にわたりその好ましからざる
発言をしていると言っているが、そうであるなら、なぜ第一回のときにこの
保証人に対して注意をしませんか。注意をしましたかどうか、それを聞きたい。ほんとうに
友好的なら、あなたはお客さんとして来たんだ、だから、あれは言い過ぎですから、今後
呉学文さん注意してもらいたいということを、
保証人を通じて言われるのが、
友好的な儀礼じゃないでしょうか。そのことをやられたかどうか、
法務省に
お尋ねをいたします。その事実を
お尋ねするのです。これが第一点です。
第二点は、特にあなたと
池田さんが、この
呉学文を
拒否することによってどういう結果が生ずるという、その見通しなり
判断をされた上で
拒否を了解されましたかどうか。これは賀屋
法務大臣の所管であります。おそらくは、賀屋
法務大臣は、昨日
石橋さんに会われる前に、すでにあなたやそれから
総理その他
関係大臣には了解を取られたと思うのです。了解なしにやったとは思いません。そのときに、
池田さんやあなた、特にあなたが、これをやれば日中のいまの
外交関係にどういう結果、影響を持ち来たらすかということを御
判断になって
拒否されましたか、これを伺いたいのです。われわれはちょっと参考のためにそのことについて申し上げますと、これは賀屋さんもそう言うのですが、昨年
呉学文さんは原水禁大会に来ると言ったのをお
断わりした。ところが、
中国の諸君は、彼を香港に残して、ほかは入ってきた。だから、これは
個人の問題だ、今度もそうだと言う。あなたも、そういうことを
報告を聞いておられるから、それであるかのごとき御
発言がさっきありましたね、昨年も断わっていると。昨年のときとことしとは違うのです。ことしは、実は、
日本側の団体から向こうを招待して、そして
南漢宸さんどうぞおいでくださいということで、実はそれじゃお伺いいたしましょうというので、
南漢宸使節の団の編成をして、これは非常にりっぱな団です。だから、これは御
承知でしょう。団の名簿を
外務省御検討になっておられなきゃ教えてあげますけれ
ども、これは非常に権威を持った、好意に満ちた団の編成になっているわけです。その一員に対してことでけちをつけるということは、
南漢宸を信用しない、
南漢宸使節団全体に対する非
友好的な態度である、こういうことになるわけです。したがって、
呉学文一人を置いて
南漢宸その他十一人が入ってくるというようなことを一体お考えになってこういう
措置をおとりになったかどうか。私はそういうことはあり得ないと思っているのです。のみならず、この十日からの
見本市が問題になりましょう。この十五日からは広州において交易会が始まります。この交易会もどうなるかわからぬでしょう。あなたのほうの党で、しかも
池田さんに最も近いという松村さんがこの一両日中に北京に行こうと言っておられる。こういうことで行けますか。あなたはそういうもろもろのどういう結果が起きるかということに対しての
外交上の御
判断の上でこういうことをやり、そのはね返りというものを考えてやったのか、
お尋ねいたします。
第二問は何かというと、北京から三十日に
日本の受け入れ団体に対して相当強い電報が来ております。昨日の朝もまた同様の電話がかかってきております。この文章は
関係団体から
法務大臣並びに
外務省にお届けしておるはずですが、これは大臣はごらんになりましたか。そういたしますと、私がいま申しましたように、
呉学文の
入国を
拒否することは
外交上における重大な障害になってくる。日中問題前進のために、その責任をあなたはおとりになる覚悟の上で、いまでもこれを
拒否し続けるつもりであるかどうか。あるいは、そういうような情勢になるならば、ここでよく話し合いの上で、そして、今後好ましからぬ者は好ましからぬと言いますから、そういう点についてはひとつ
友好的にやってもらいたいということで、もっと
友好かつ柔軟な態度をとるべきだと私は思うのです。ここで長崎国旗事件以上のような障害を
池田内閣の
大平外務大臣の手によって引き起こさしめるということを、私はあなたのためにも
日本と
中国とのためにも好ましくないと思うのです。特に、これを断わる
理由については、これから先に明らかにしようということになっておる。それから、
保証人を入れさしてやっておるというが、
保証人に対して、第一回に好ましからぬと思ったときに注意したかどうか。それから、これからこういう問題に対して大きな影響が起きるわけですが、それに対しても、どんな影響が起きてもかまわぬ、
日中関係に非常な障害になってもかまわぬ、こういう態度でお進めになるつもりであるか。その結果に対する
外交上の責任についてあなたに
お尋ねをするわけですから、そういう見通しに立っておったか、そういう事態が起きてもかまわぬといって、今後それを頑強に推し進められるつもりであるかどうか、検討の余地がないかどうか、そのことを
お尋ねいたします。
関連ですからこれでやめますから、一括して漏れなくお答えをいただきたい。