○大平
国務大臣 案ずるに、あなたの頭の中には、つまり、アメリカはドル
防衛の必要上軍事援助、経済援助はセーブしていかなければならぬという姿勢である、したがって、その肩がわりを
日本政府は要請されておるんじゃなかろうかという、よく私
どもも耳にする一つの認識があるのではなかろうかと思うのでございますけれ
ども、これは、申し上げるまでもなく、アメリカは軍事援助や経済援助を三十億ドルも四十億ドルもするということによって、
自分の国際収支上の赤字をここ数年間経験してきた。したがって、ドルは
防衛せねばならぬ、セーブせねばならぬ、これはアメリカの国策として当然だれが局に立ちましてもそういうことは
考えられたと思うのです。しからば、わが国が経済援助をやるということは、これはわが国がわが国の国策上わが国の経済能力・財政能力をはかりながらわが国が
考えることでございまして、アメリカの経済援助が多くなっても、——少なくなるとか多くなるとかいうことと関係ないことなんでございまして、何か荷物を背負ってきたんではないかという先入観があるとすれば、それは松井さんの頭の中から取り去っていただきたいとぼくは思うのです。そういうことは全然ないということでございます。
私
どもは、先ほど申しましたように、
日本はいままで賠償を軸として経済
協力を進めてきましたが、これから本格的にだんだんと賠償ばかりでなく経済
協力というものを進めてまいらなければならぬ段階に来ておるということでございまして、その場合は、いままでの実績もごらんになっておわかりのように、インド、パキスタン、インドネシア、ビルマその他とやってきておるわけでございまして、私
どもが特殊な政治的意図を持ってやっておるかどうかということは、もう実績から私は御理解いただけると思うのでございます。
日本は政治的な意図でこの経済
協力をひん曲げたりなんかする意図はないわけでございます。
私
どもといたしましては、アジアにおきまして最も近接な友だち、親切な友だちでありたいということを
考えておるのでございまして、先方の国の政治
体制というようなことのいかんによってわれわれの援助の色合いをいろいろつけてまいるというようなことでなくて、いままでもやってまいりましたし、今後もすなおにやっていくつもりでおるわけでございますので、その点は
日本政府のやってまいりますことに御信頼をいただきたいと思います。