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1964-02-06 第46回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十八年十二月二十日)(金 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の 通りである。    委員長 赤澤 正道君    理事 安藤  覺君 理事 椎熊 三郎君    理事 正示啓次郎君 理事 高瀬  傳君    理事 古川 丈吉君 理事 戸叶 里子君    理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君       愛知 揆一君    池田正之輔君       宇都宮徳馬君    菊池 義郎君       鯨岡 兵輔君    佐伯 宗義君       高碕達之助君    竹内 黎一君       野見山清造君    濱地 文平君       福井  勇君    三原 朝雄君       森下 國雄君    岡田 春夫君       勝間田清一君    黒田 寿男君       河野  密君    帆足  計君       細迫 兼光君    永末 英一君       川上 貫一君 ————————————————————— 昭和三十九年二月六日(木曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 赤澤 正道君    理事 安藤  覺君 理事 椎熊 三郎君    理事 正示啓次郎君 理事 高瀬  傳君    理事 古川 丈吉君 理事 戸叶 里子君    理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君       愛知 揆一君    宇都宮徳馬君       鯨岡 兵輔君    佐伯 宗義君       竹内 黎一君    野見山清造君       福井  勇君    三原 朝雄君       森下 國雄君    黒田 寿男君       田原 春次君    平岡忠次郎君       帆足  計君    松井  誠君       永末 英一君    川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警備局          長)     後藤田正晴君         法務事務官         (入国管理局         長)      小川清四郎君         外務政務次官  毛利 松平君         外務事務官         (アジア局長) 後宮 虎郎君         外務事務官         (国際連合局         長)      斎藤 鎮男君         外務事務官         (移住局長)  白幡 友敬君         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君  委員外出席者         外務事務官         (大臣官房審議         官)      藤崎 萬里君         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 昭和三十八年十二月二十日  委員岡田春夫君、勝間田清一君、河野密君及び  細迫兼光辞任につき、その補欠として平岡忠  次郎君、赤松勇君、松井誠君及び田原春次君が  議長指名委員に選任された。  昭和三十九年一月二十五日  委員鯨岡兵輔辞任につき、その補欠として井  出一太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井出一太郎辞任につき、その補欠として  鯨岡兵輔君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 一月二十七日  日ソ平和条約即時締結等に関する請願(湯山  勇君紹介)(第五四号)  日韓会談反対及び米国原子力潜水艦入港拒否等  に関する請願外六件(岡本隆一紹介)(第一  四四号)  米国原子力潜水艦寄港反対及びF一〇五D戦闘  爆撃機撤去に関する請願外一件(華山親義君紹  介)(第二二一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  国際情勢に関する件(日中及び日韓問題)      ————◇—————
  2. 赤澤正道

    赤澤委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、国際情勢に関する事項について調査をいたしたいと存じますので、この旨議長承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤澤正道

    赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  しばらくこのままお待ちください。      ————◇—————
  4. 赤澤正道

    赤澤委員長 これより国際情勢について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  安藤覺君。
  5. 安藤覺

    安藤委員 先般フランス中共との間に外交関係を設定することの決定をいたしました。近く代理大使、ひいてはやがて本格的に大使交換をするというところまで、この両国の間の外交関係が進展してまいりました。このことが世界にかなり大きな波紋を投じておることは、現実新聞報道等によって明らかなところでありますし、たまたま、これにタイミングを合わせてか、中共周総理は、アフリカを四週間の長きにわたって歴訪いたしまして、いろいろと外交工作を行なってきたようであります。このことは、ただいまも申し述べましたように、かなり大きな波紋世界に投じておりますとともに、日本におきましても、たまたま経済閣僚会議が行なわれまして、ラスク長官をはじめアメリカの各閣僚日本を訪問しております。この間におけるさまざまな世界反響、ことには国府においてはかなり大きな衝撃を受けておることじゃないかと存じますが、かねて大平外務大臣は、四十六回通常国会外交演説において、これより先中華民国日本との間に若干の感情のそごといいますか、あるいはお互いの思い違いといいますか等のことなどもあって、これを相互に正しく理解し合うことに今後努力するということのことばをも述べておられますおりからでもありますので、これらについて、その後国府からの反響等について何らかお握りになっているものがあるかどうか、これについてひとつ御説明をわずらわしたいと思います。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 フランス北京政府との間に外交関係を設定することになりましたことは、御指摘のとおりでございまして、そのことが国民政府に相当の衝撃であったということも、御指摘のとおり、想像にかたからぬところでございまして、その具体的な反応がどのようなものであるかということを私どもも注意しておったのでございますが、ただいままでのところ、そういう決定がありましたけれども国府といたしましては、フランス外交関係を断絶するという措置には、ただいまは出ていないということでございます。このことがわが国国府との関係にどういう影響を持っておるかということにつきましては、世上いろいろ報道が行なわれておりますけれども、われわれの外交ルートを通じまして、国府側と正式にお話しいたしたことはございません。外交演説で私が申し上げた趣旨のものは、これまで日本国府との間に、認識のそごと申しますか、誤解と申しますか、私ども中国大陸との間においてとりました措置に対して、先方がある種の対応措置をとっておることは御案内のとおりでございまして、ただいままでのところ、その措置を変改したという知らせにはまだ接していない状況でございます。しかし、いずれにいたしましても、冷却期間が若干必要でございましょうけれども日本国府との関係を正常なものに戻したいということは、私ども念願するところでございまして、それをどのように取り運んでまいるかということは、外務当局として終始念頭に置いて検討しておる問題でございます。
  7. 安藤覺

    安藤委員 このたびのこのフランス態度に対して国府側が受けたショックを正式に外務省としては把握しておられぬということは、現在の時限においてはごもっともなことと存じますが、私たち自身にしましても、このフランス態度については、二つ立場からの解釈をもって、ショックというか、あるいはまた、さらには興味というものも持ったのでありますが、たとえば、中共国府ともどもに、二つ中国はあり得ない、あくまでも一つ中国でなければならぬ、こういう強い主張をいたしておりました。したがいまして、このフランス態度について、国府側においては、中共を認める以上われわれはフランスとつき合いはできないという態度に出るのかと考えられておったのでありますけれども国府においてはその態度にも出ませんでした。同時に、中共側におきましても、あくまで一つ中国でなければならぬ、その実態は中共がこの大陸を完全に支配している以上、当然この中共側が唯一の中国であるべきだ、こういう強い主張をいたすのみならず、若干でも二つ中国というような考え方、においのするものに対しては、手きびしい非難を加えて今日に至ったわけであります。しかるところ、もしフランス中共との間にかような国交の開始をするということであるならば、暗黙のうちに二つ中国承認されておったのではないかという興味をわれわれども持っておったところが、いよいよふたをあけてみると、いずれも口をぬぐってほっかむりをして、このことには触れないという態度に出ておるわけであります。やがては、大使交換までしていよいよ本格的ないろいろな外交交渉が行なわれてくる途上においては、何らかの方向にこれが進められていくのじゃないかとは思われるのですけれども、現状においてはかような姿にあるわけであります。  そこで、時たまたま、先ほども申しましたように、日米経済閣僚会議のためにラスク長官日本を訪問しておるそのときにこのことが発表せられましたゆえをもって、かなり中共について手きびしい判断態度とを持ってきておるアメリカとしても大きな驚きでもあったろうし、同時に、ある意味においては困惑でもあったのではないかと思われる。そのときあたかも外務大臣ラスク長官と会見せらるる機会を持たれ、しかも、われわれが知る範囲において、予定された時間をもこえる長時間にわたるさしでのお話であったということであるとするならば、その間において、さぞかし、外務大臣とされましても、外務大臣自主的立場から日本側考え方について十分意見も述べられましたでしょうし、同時に、アメリカはどうこれを受け取っておるか、また将来これにどう対処していくかというようなことについても、まあ早急の間でありましたから、アメリカ基本的態度というものをさらに変更するとかしないとかいうことにまでまだラスク長官一人で腹をきめかねてはおられましたでしょうけれども、かなり突っ込んだお互いのお話し合いもあったことであろう、日本自由諸国とともに世界の平和を維持していくという上からアメリカとの間に緊密なる常に連絡を保ちつつ事を処していくという基本方針である限り、この点については相当お話し合いもあったことであろうと思うのですが、お差しつかえない範囲においてひとつお漏らしを願いたい、かように考えるわけであります。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 前段のほうの二つ中国論とか一つ中国論、あるいは一つ中国プラス一つ台湾論、いろいろそういうピクチュアを描いての論議が日本ばかりでなく世界の至るところで行なわれておりますけれども、しかし、これはあくまでもピクチュアであって、現実外交は、もろもろの条件をになっておるわけでございまして、一がいに一つの方式で割り切ってしまうというようなことは困難だと思うのでございます。フランスが投じた波紋がどういう影響を持つかということは、ただいまだれもわからぬことでございまして、いまから事態推移に待たなければならないものが多いと思うのでございます。私どもはそれを十分注視しておるというのが、正直にいまの時点における私どもの姿勢でございます。たまたま、フランス北京との外交設定の声明をいたしました時点におきまして、日米貿易経済委員会が東京で開かれるということになっておりました。その機会をとらえてラスク長官と二回にわたって会談をいたしました。私は、ちょうどそういう、先ほど申しましたような時点でございまするので、アメリカといえどもこの問題について確たる見通しがおありになるはずはないわけでございますが、今日の時点においてアメリカはどういうことをこの問題について考えられておるかという、今日の時点におけるアメリカ考え方を伺っておく必要があると思ったことが一つでございます。しかし、この点につきましては、幸いに日米協会晩さん会の席上でラスク長官のポリシー・スピーチがございましたから、これで委曲が尽くされておると思います。第二点として、この間施政演説なり外交演説なりで国民にお示しをいたしました現時点における日本の対中国政策というもののお話は、もとより当然にいたしました。そして、このフランスの投じた問題について日本の朝野がどのように受け取っておるかということを、私の感覚に映じたことはすなおにそのままお伝えはいたしておきました。しかし、それに対してコメントを求めるつもりはございません。ただ、第三点として、 まだこの問題は、ドゴール大統領において一石が投じられたばかりであって、これからどういう発展を示すかということはアメリカもわからぬ、日本もわからぬ状態でございまするから、今後同盟国といたしまして、あらゆる分野においてコンサルテーションをやっておりますが、この問題も、今後事態推移に応じて、データが出るに従いまして密接な協議をやろうということを先方に申し入れ、先方もそれに応諾されたというのが真相でございまして、それ以上のものではございません。
  9. 安藤覺

    安藤委員 過日の大平ラスク会談当時においては、ドゴール一石を投じたというだけの段階であって、まだその後におけるフランス側並び中共側及び世界各国反響もあからさまにはあまり出ておらなかったのでありますが、その後世界各国からのそれぞれの反響もだんだんと新聞報道せられる等の事実もあり、ことには、今朝の新聞によりますれば、周総理アフリカ大陸親善訪問を行なって引き揚げるにあたって新聞記者会見を行なって、記者諸君からそれぞれ適切な質問が出された中において、特に周総理がこれに答えた点でわれわれとして注目すべきことは、中国がもし国連加盟を許された暁においては国連憲章をかたく守るということを断言しておることであります。従来、ともすれば、中共平和国家かあるいは戦争国家侵略国家かということについての判定が、あの朝鮮動乱を契機として、その後におけるインド国境等々、あるいはチベットの問題等々、さらにはインドシナ半島におけるもろもろ行動等から言って、侵略国家である、戦争国家であるということの判断が強く出ておったのでありますが、もし国連に加盟した暁において、あくまで国連憲章を守る、また現在も国連憲章に従いつつあるのだ、こういうことを言っておるのであります。現在国連憲章に従いつつあり、過去もそうであったということについては、われわれ多分なる疑問を持たねばならないのでありますが、将来に向かってこの誓いをするということそれ自体は、かなり中共態度考え方変化ではないか。単なる国連へ加盟するためのゼスチュアであれば別として、世界に向かってこれだけのことを公言することは、とりもなおさず公約でもありするので、これにウエートを置いてわれわれが考えるときに、中共というものの従来の考え方に大きな変化が来たのではないかということが考えられる。しかし、一面、一昨々日かの人民日報に発表いたしました中共ソビエトに対するところの第七回目の公開論文ソビエト自由主義諸国、ことに米国とあくまで共存していくというこの態度は、共産主義陣営におけるところの裏切り者であり、分派行動分裂主義者であるとして極印を押しておる。もしこの論文どおりにいくとすれば、国連に加盟しても、はたしてことばに言うておるがごとく国連憲章を順守していくのかどうか、はなはだ疑問であり、ここに周総理ことばの中に大きな矛盾があると私は思うが、それにしても、中国憲章を守るということをきのうの段階においてはっきり育ったということは、ドゴール一石を投じて以来の大きな変化だと思うのでありますが、これに対して、先般予算委員会においては、中国平和国家戦争国家かという質問も出ておったのですが、予算委員会のあの当時よりも、今日中国憲章を守るということをはっきり言い出したこの変化については、外務大臣はどんなふうにお受け取りになるか、ひとつ承っておきたいと思います。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 周恩来総理の言われたことを代弁する資格は私はありません。ただ、したがって、そう言われた趣旨がどういうものであるかを、私はそんたくして答える資格はないわけでございますが、私は私の意見としてだけお聞き取りいただければ幸いと思いますが、中ソ論争の過程においてあらわになりましたことは、一つドクトリンの問題として、中ソの間には先鋭な対立があるということでございます。それが、言いかえれば、帝国主義国との間に平和共存はあり得ないとか、ソ連はあり得るという、そういう意味対立があることは世界のだれも知っておると思うのでございます。部分的核停条約ソ連提案国にもなったし、署名もした、中共はこれに反対しておるということもまた、これは客観的な事実でございます。   〔委員長退席高瀬委員長代理着席〕  そういうことをとらえて北京政権の性格をドクトリンの問題として取り上げれば、いろいろ批判の余地は立場によってあるのだろうと思います。ただ、現在の問題として、それでは現在の北京政権が非常に冒険的であるかというと、私どもはそのように見ておりませんで、非常に用心深く現実的におやりになっておるんじゃなかろうかという印象を少なくとも持っております。  ただ、安藤先生がお尋ねになった問題は、それより以前に私は問題があると思うのでございます。たとえば国連憲章を守るとか守らぬとかいうことで問題が片づくのでなくて、国連憲章と同じ解釈が成り立たなければいかぬのじゃないかと思うのでございまして、たとえば、ソ連平和共存ということにいたしましても、これは戦略であるのか、信念であるのか、そういうような点が世界の問題であることも私は事実だと思うのでございます。問題は、平和とか、平和共存とかそういう意味・内容が両陣営において完全に一致しないと、なかなか世界の平和は来ないのじゃないか、いまそういうことをいろいろ模索しておる段階じゃないかと思うのでございます。それで、好戦国であるかどうかという問題は、好戦国とは何ぞやという定義を一ぺんきめてもらって、それから議論しないと、いきなり問題を出されたのじゃどなたも答えようがないのじゃないかというような感じが私はいたします。
  11. 安藤覺

    安藤委員 ただいま大平大臣の慎重な御答弁でございまして、一国の外交を預かられる以上、十分慎重にかまえていただくことはけっこうでございますが、世界はこのドゴール一石に激動しつつあるときでありますので、今後ともひとつ十二分に触角を伸ばされて世界情勢を把握されるとともに、わが国わが国として、一衣帯水の間にある中国の問題については、十分なる慎重さと同時に的確なる判断をもって対応していっていただきたい、かように念願するわけであります。  次に、私は、わが国自体中共対策について政府考え方を承りたいと思います。その以前に、よくわが国においては自主外交ということが問題とされました。特に、中国政策については、日本は常に米国追随せずに自主的に決定せよというような声を聞くのであります。ところが、われわれの見るところ、また、われわれが常に与党として政府に接しておる限りにおいて、あくまでも当然自主的な態度において事を処していると信じ、かつまた、そうあると思っておるのでありますが、いやしくも一国の外交が自主的でなければならぬということは、ことさらに声を大きくして言うまでもありません。ところが、それにもかかわらず、しばしば対米追随あるいは自主性の喪失というようなことが、なぜかしきりに言われるのであります。ただ、ここでわれわれが考えなければならぬのは、大平大臣も常々言っておられるとおりわが国自由国家群の一員としてあくまで国連憲章を忠実に守り、しかも、アメリカとの間においては安保条約も締結して、これによって日本の安全とひいてはアジアの安全ということをはかっていかなければならない、こういうときにおいては、一面日本がその場その場の日本のことだけを考えて事を処していくというわけにはいかぬことは言うまでもありません。したがいまして、それらのより大きい意味合いから見れば、日本利益をこのアジアの平和の中においてどういうふうに持っていくか、同時に、この日本の安全を守っていく上においての協力国家であるアメリカがどう考えるか、ここらのところにも協調が必要だと思うのであります。反米的な外交だけが常に自主外交であるというふうにはわれわれ考えるわけに参らぬのであります。この点について、私は、どこまでも日本発展民族の幸福ということを根本に置くべきでありますが、その日本発展民族の幸福ということが、その場限りにおける幸福もあれば、その翌日はすぐそれが不幸にひっくり返ってくることもあるでありますから、より広い視野と深い思索に立ってこの外交というものは考えられていかなければならぬと思うのであります。こうしたときに、ともすると、きょう一日の日本のしあわせ、民族発展かのごとき姿を見て、あしたあさってのそれが不幸にひっくり返ってくることを忘れて、きょう一日を自主外交を喪失しているというような声もしばしば起きがちなのでありますが、これらの点について、外務大臣はどんなふうな考えを持っておられるのか、承っておきたいと存じます。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 自主外交論につきましては、安藤先生が言われた御趣旨と私全く同感でございます。日本の安全と繁栄ということを機軸にして外交は展開すべきものでございます。外交である以上は一〇〇%自主的なもので、自主的ではない外交なんというものは観念矛盾だと思います。結果としてたとえば特定の国と協調することがあっても、その結果だけとらえて、それが追随であるなどと言うことは、若干浅見のそしりを免れないんじゃないかと思います。外交である以上、あくまで一〇〇%自主的である。日本の安全、繁栄というものを踏まえた上で、そして、あくまでそれを踏まえ、それに即してそれを具現すべく最善を尽くしていくというのが自主外交の本質であると私は確信いたしております。
  13. 安藤覺

    安藤委員 こうしたときにあたって、今後のわが国の対中共政策は、長い目で見て、どうすることが真実日本利益と幸福になるかということは、慎重に検討し、かつ一面、琴柱にかわするような固定した考えばかりに終始せず、時運の推移に照らして、歩みはおそくとも、間違いのない道を歩んでいただきたいと思うのでありますが、ただ、この場合、フランス一石を投じたこのことの波紋のかなり大きいことにいたずらにあわてふためいて、世界がこぞってあすにでも中共承認に変わる、そして日本ひとりが孤独に取り残されるような考え方にとらわれて行動を起こすべきではないと私は思うのでありますが、この場合、特に外務大臣として御注意を願いたいと思い、またその辺のところのお考えをただしておきたいと思うのでありますが、先般来台湾日本との間に若干のそごが起きておるというおりから、先ほど申し上げたように、フランス一石に対して、一部の国民の間においては、即時中共承認し、中華民国と絶縁するもしかるべしというような議論も起きてきておるようでありますけれども、あえて終戦時における蒋総統の二百方の将兵を無難に送還してくれた恩義とかいうようなことだけでなしに、中華民国日本に対し賠償の放棄をしておる事実、こうしたことも考えあわせて、十分慎重な態度をこそとられなければならぬと思うのでありますが、たまたま最初に申し上げましたように、一つ中国二つ中国、こうした問題について将来とも十分な慎重な態度をとっていただきたい。ことには、もしそれ当面一番処理しやすい日本立場としては、中共台湾とがそれぞれ別個の主権として地球の上に存在してくれるということであれば、これはわれわれとしては一番気が楽なようなことにもなるわけでありますが、現状においては、先ほども申し上げたとおり周総理ことば台湾態度というものは、ややこの方向に進んでおると、しいて解釈すれば解釈できないこともありませんけれども、いずれにしても、この問題については、現状に停滞されることなく、いわゆる前向きの姿勢をもって将来とも慎重に善処していっていただきたい、かようにも思うのであります。  と同時に、昨今、元総理大臣の吉田茂氏が台湾訪問をされるやの話が伝わっておる。   〔高瀬委員、長代理退席、委員長着席〕  たまたま、これに対して、吉田総理が台湾を訪問されるにしても、それは個人の資格である、あるいは政府が委嘱する特殊の資格である、いろいろと取りざたされておりますが、もし個人の資格で行かれるとするならば、それは、外務大臣としては、個人で行かれるものを、どういう目的で行かれるであろうとか、こういう目的で行かれるであろうとかいうそんたくはできないでありましょう。しかし、政府の委嘱せられるところとして行かれるならば、当然かかることをひとつ台湾話し合いを願いたいというようなことのお考えがあってしかるべきだ。もしまた個人として行かるるにしましても、外交界の長老であり、元総理大臣でもあられる吉田さんが行かれるのに、大平大臣が完全無関心でおられるわけにもまいらぬだろう。この辺のところについて、まだ未決定の問題でありますから、先ばしってどうこうおっしゃれないかもしれませんけれども、かくあるときはかくあってほしいぐらいの予備的なお考えはお持ちになっておられることじゃないかと思いますが、ひとつその点についてもお考えのほどをお漏らし願えるならばお漏らし願いたい。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 中国問題一般、これは世界のうちで日本が一番重大な関係を持っておりますことは客観的な事実でございます。また、いま御指摘の、国民政府との間に国交を持っておるという事実も、そして日本国府との間がこれまでたいへん緊密な関係にございましたことも、御指摘のとおりでございます。したがって、フランスを例にとっちゃ恐縮ですけれどもフランスのように身軽な日本じゃないということは、私は国民全部がよく了承されておると思うのでございまして、安藤先生が御指摘されるように、この問題については慎重にやれというのは、国民一般の世論だと承知いたしております。国府との関係改善につきましては、本会議でも申し上げましたとおり、私どもの希求するところでございまして、したがって、これは本来政府がやるべき仕事でございます。ただ、いま政府のチャンネルを通じまして話し合いができる雰囲気にあるかと申しますと、御案内のように、ややぎごちない雰囲気にあることもまた遺憾ながら事実でございます。したがいまして、私どもとしては、ひとり吉田先生とメンションする必要はないのでございますけれども、フリーなお立場の方々が日本国府との関係改善の雰囲気というようなものを醸成していただくということは、非常に政府にとって歓迎すべきことでございます。ただ、申し上げられますことは、政府が特命全権大使としてお願いするとかそういう性格のものでなくて、一般のぎごちない雰囲気というものが現にあるということ、何かそこをもう少し緩和した空気になるということがいま望ましい状況にあるということでございます。本来政府がやるべきことでございますが、まだ直接そういう雰囲気になっていない状況にありますので、非常に近しい間柄にあるのでございまするから、いろんなルートを通じまして関係改善の機運が醸成されますことは、私どもとして歓迎すべきことであると思っております。
  15. 安藤覺

    安藤委員 ただいまの吉田元総理の訪台についての慎重なお考え方は、御行動を決してとやかく申しませんけれども、ただいま御答弁に出てまいりましたような、かねての台湾日本との間におけるもろもろの行き違い等について、ああした立場におられ、しかも外交についての十二分なる経験練達な方が、一個人の資格において行っていただくことは、まことにけっこうなことでありましょう。ただ、考えねばなりませんことは、その後におけるドゴールの投じた一石が新たに加わっておるわけでありまして、これに対しては、台湾側においても、吉田が来る以上、これについての日本側のかなりすっきりした態度を持ってくるであろうというような御期待もないことはないだろうと思いますが、あえて私のような小僧、しろうとがとやかくなことを申し上げることはありませんが、慎重の上にも慎重を期した御態度をもって願いたい、かように存じておるわけであります。  なお、日韓問題その他二、三お尋ねいたしたいとも存じますけれども、大臣もあまり長くおいでになることができないということでありますし、また、社会党の委員各位からも御質問を通告しておられることでありますから、私はこの程度に切り上げて席を譲りたいと思います。
  16. 赤澤正道

  17. 戸叶里子

    戸叶委員 戦後の日本にとりましての外交上の非常に大きな問題は、何と申しましても中国との関係だと思います。国民は、六億五千万の人口を有する中国と一体どういう関係にするのだろうかということを、ドゴール一石を投じましてから、非常に期待を持って見ているわけでございます。これほど重大な問題でございますので、ただいまも与党の安藤委員から中国との関係について、今後どういうふうな考え方を持っておられるかというようなことについてるる質疑があり、応答があったわけでございますが、私はその質疑応を聞いておりまして、ちょっと疑問に思いましたことがいろいろございますが、その中で特に一点伺いたいのは、政府が、最近、中国との関係は前向きの姿勢をとるのだ、こういうことを言われていたのでございますけれども、いまの質疑応答の中では、大して前向きらしきものがうかがえなかったのでございます。そこで、前向きの姿勢をとるのだということの内容を具体的に説明していただきたいと思います。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 外交は常に前向きでございます。私どもは四六時中前向きで外交をやっておるつもりでございます。
  19. 戸叶里子

    戸叶委員 前向きで外交はやっているとおっしゃるのですが、特に中国との最近の新しい状態、つまり、私どもは早くから中国承認政府に進言してまいりましたけれども、それに対してはあまり反応を見せなかったわけです。ところが、最近になって、中国との関係をどういう形をとるかということに対して、前向きの姿勢をとるのだということを答弁されておるのであります。そこで、中国との外交関係の前向きとは一体何を意味するのかということを私は伺っておるわけです。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど安藤委員との問答の際にも申し上げましたとおり外交は実質的な問題でなければなりませんので、日本の安全、繁栄というものを踏まえてやるわけでございまして、中国問題もその例外ではないわけでございます。戸叶さんが御指摘されましたように、ドゴール大統領の新しい措置が出た、それが日本の朝野にとりまして関心事であることは私は認めます。そしてそれはいろいろな角度から論じられておることも認めます。ただ、私が申しましたように、これがどのような波紋を全世界に及ぼすものかということについては、まだ事態が始まったばかりである。したがいまして、あえて申しますならば、こういう投げられた波紋の射程をあらゆる触角を働かしまして十分見きわめていくというのがいまの私どもの姿勢でございまして、これは、中国問題が重要であればあるほど、より真剣に取り組まなければならぬ問題でございます。そういうことは前向きじゃないじゃないかとは、あなたもおっしゃるまいと思うのでございます。当然やらなければならぬことは、私どもやらなければならぬと思っております。
  21. 戸叶里子

    戸叶委員 中国日本アジア人でございます。アジアの国として、中国を無視しての平和というものはあり得ないと思うわけです。いま大平外務大臣の御答弁を伺っておりますと、世界に投げかけた波紋影響といいますか、そういうものがどういうふうな形で出てくるかということも見ていなければならないということでございますが、それでは私は自主外交とは言えないと思います。やはり、アジアの国である、六億五千万の人口を有する中国、それと日本とは同じアジア民族としてこういうふうな立場をとってやっていきたいという考えを、むしろ世界にはっきりさせて、初めて自主外交と言えるのじゃないか、アジア中心の外交ということをおっしゃるからには、そういう立場に立っていらっしゃるのがほんとうではないか、私はこう思うのですけれども大平大臣の御所見をもう一度伺いたいと思います。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 戸叶先生のおっしゃる感じは私もよくわかりますよ。ただ、アジアの問題だからわれわれがきめて世界に宣明していけばいいじゃないかということが自主外交じゃないか、私はそう考えません。われわれは究明すべきものは十分究明しなければ、実のある自主外交はできぬと私は思います。私どもにかすに時間をもってしていただかないといけないと思います。
  23. 戸叶里子

    戸叶委員 私は、いままでのいきさつを見ておりましても、少し手をこまぬいていたというような観があり過ぎるのではないか、アジアの国である中国に対しては、もっと積極的な何らかの方法を講じながら、むしろフランスの役割りを日本がすべきではなかったかとさえ感じているわけでございます。  その問題はあとからにいたしましても、先ごろ日米貿易経済合同委員会に出席されたラスク国務長官と長い間にわたって中国の問題を話し合ったということがいわれておりまして、この問題は予算委員会でも取り上げられました。ところが、いま外務大臣は、そのことについて、晩さん会でラスク国務長官が意見を言われた、大体あの程度のものであるということをおっしゃいました。このことがラスク長官新聞記者会見の発表と同じであろうと私は思っておりますけれども予算委員会の答弁等におきましては、その当時の雰囲気なり話した内容については、これは外交上のことで話すことはできないんだ、こういうふうな答弁をされております。しかし、日本外務大臣でございますから、日本国民に対して、こういうふうな態度アメリカ側には中国問題については日本としての考えを述べたというくらいのことはおっしゃれるのではないかと思いますが、この点のことはいかがでございましょうか。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 それは、もうすでに申し上げておるとおり日本のいまの方針というものにつきましては、申すまでもなく、御説明申し上げておきました。
  25. 戸叶里子

    戸叶委員 日本から見る中国人なり中国というものと、西洋人の見る中国なり中国人というものとは、私はその見方なり感じ方が違っているのが当然だと思います。そういうふうな、日本人はこういうふうに感じているのだということをはっきり御説明になったのでしょうか。どうでしょうか。はっきりと、たとえば、日本人というのは、アメリカ中国に対してのいろいろな形での憎しみを持っているようには隣国の中国に対しては持っておらないのだ、日本人はもっと積極的に中国とのいろいろな面での外交を望んでいるのだというふうな空気をそのまま向こうにお伝えになったかどうか、この点伺いたいと思います。なぜならば、昨年の暮れだったと思いますが、ライシャワー大使でさえも、はっきりと、アメリカ人が考えているような中国観というものと、それから日本人の考えている中国観なり中国人の見方というものは違っているのだということを、たしかワシントンに行って報告して、それが新聞記事になったことを私は読んでおりますが、アメリカのライシャワー大使でさえもそういうことをはっきりと言われているのでありますから、外務大臣としてもそういう立場に立って中国問題はアメリカ側と折衝をされたのであるかどうか、 この点を伺っておきたいと思います。
  26. 大平正芳

    大平国務大臣 これは折衝の問題でなくて、日本中国に対する感じ方、たとえばアメリカの感じ方、これは、あなたがおっしゃるとおり、違うのはあたりまえです。それからまた、対中国政策が違うのもあたりまえだと思うのです。現に違っております。こういうことは、今度たまたまラスクさんがお見えになったからあらためて言う問題でなくて、私ども日米の会合を通じましてあらゆる機会に申し上げておることなんでございます。これは当然の私どもの任務でありまして、御心配に及びません。そういうことは十分先方にもお話しいたしてございます。
  27. 戸叶里子

    戸叶委員 そういうふうにおっしゃる外務大臣のお答えをそのまま受け取りたいのですけれども、たまたま国連なんかにまいりましての日本態度というものにそういう面があらわれておらないということを私はまことに遺憾といたします。たとえば、一昨年の国連の総会におきまして中国承認の問題におきましても、政策が違うとか中国に対して自分たちは賛成しないからというのはまた別といたしましても、ともかく、アメリカ側と同じ立場に立って、そして、むしろ中国のたな上げ論というようような、あの重要事項指定方式の提案者となった、こういうようなところから考えましても、私は、どうも日本独自の、国民考えている中国観なり中国人に対する感情というものが十分に話されておらないのじゃないかということをまことに懸念をするものでございます。今後においてもこういうふうな国連の場というものがあるのでござますから、こういうような態度をとらないで、もっと国民考えていることを率直に受けて、日本独自の外交をやってもらいたい、こういうふうに考えるわけでございます。たまたま最近特に中国の問題がこういうふうにクローズアップされてまいりましたことしの国連の総会というものは、非常に重大な意義があると思うわけでございます。そこで、日本として国連に出席するにあたりましては、一体中国代表権というものを認めようとするその努力を払われるのか、それとも、中国代表権というものに対しては、たびたび総理大臣の答えておられるように、世界の世論を待ってなどというような、そういう形でいこうとされるのか、日本が独自の考え方で、もう代表権を認めるべきであるという立場に立って他の国を説得するぐらいの立場でいかれるのか、国連での態度はどういう態度をおとりになるか、承りたいと思います。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 ものの順序がちょっとあなたと違うので、中国代表権を北京政府に与えるべきだという前提で動くという態度をこちらはとっていないのです。日本の安全と繁栄の上から考えアジアの平和という点から考えまして、この問題はどういう奥行きを持ち、どういう重さを持ち、どういう影響力を持った問題であるかということをよくはかった上で、それで私どもは、これは重要事項じゃないか、そういう判断に立ったわけです。したがって、たまたまそれがアメリカ側の重要事項指定方式と合致したから、もうアメリカのしり馬に乗ってお前らはやっておるのじないかというようには、どうぞ日本外交の名誉においてそういうことをお考えにならぬように願いたいと思うのでございます。  それで、問題は今度の国連対策でございますが、これは、先ほども私が申し上げておりますように、今度のフランス措置というものに関連いたしまして、まだNATO諸国の動向も一よく見なければいかぬし、アフリカ諸国の向背もよく見なければなりませんし、国府自体態度がまだよくきまっていないわけでございますので、そういった点をまず見きわめないと、今度の国連対策はこうするのでございますと、いまの段階で私がかりに言うたとすれば、大平、お前は非常に軽率じゃないかというて、あなたからおしかりを受けるのが落ちじゃないかと私は思うのです。
  29. 戸叶里子

    戸叶委員 それでは、重要事項指定方式をとったのは、日本考えていたこととアメリカ考えと、違っていたのだけれども一致したのだというふうに外務大臣はごまかされたわけでございますけれども、済んだことは済んだことといたしまして、ここで伺っておきたいことは、この国連で、一九六二年ですか、決議されました重要事項指定方式、あれは継続性のないものだというふうに大平外務大臣はお答えになっていらっしゃる。その会期のものだということを答えていらっしゃいます。それで、予算委員会で同じように総理大臣は、その継続性については議長が何とかそのときに考えるであろうというふうな答弁で、はっきりいたしておりません。一体これは、念のために伺っておきますが、あの重要事項指定方式は継続性のないものだ、こういうふうにやはり解釈していてよろしゅうございますね。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 これは横路さんの質問に私が答えましたとおり憲章の明文からいきましても、また国連の慣行からいきましても、これは継続性があるとも言えないし、ないとも言えないのでございますが、ただ、これが、継続性が問題になった場合に、おそらく総会にかかると思います。そうすると、過半数でそれが継続性があるとかないとか国連自体できめますから、したがいまして、この問題は、議論の問題というよりは、総理がおっしゃったように、議長がそれをどのようにハンドルするかということに事実問題としてなるのじゃなかろうか、かように思います。いまは、憲章解釈として、これは継続性があるものだとも言い切れないし、ないのだとも言い切れない状況でございます。
  31. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、この間の予算委員会でお答えになりました、「原則として、継続性はないのではないかという解釈があるようでございます。」、こういうことは、継続性がないのじゃなくて、あるかもしれない、ないかもしれないと、両方なんですか。日本政府はどういうふうに解釈されるのですか。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 つまり、継続性がかりにあるのだ、それに異議が出たら、今度は総会にかかったら過半数になるから、重要事項より、三分の二でなくて片づくわけでございます。したがって、議論しても大した益がないのじゃないかと私は思うのです。(「日本解釈を聞いているのだよ」と呼ぶ者あり)だから、日本解釈としては、いま申しましたように、慣例から申しましても、憲章から申しましても、継続性があるとも言えないし、ないとも言えない。したがって、国連当局がいまこれをどう解釈しておるか、国連の法務の権威者がどう解釈しているかをこの問題について照会しておりますけれども、いまわれわれが調べたところによると、定立した解釈というものはいままでのところから出ていない。ただ、問題になったら、これは総会で過半数できめることになりますよ、なるのではないかということははっきりしておると思います。
  33. 戸叶里子

    戸叶委員 私、これは別にこだわる必要はないと思うのですけれども、やはり日本態度として一ぺんきめておきたいと思いますのは、あの決議というものが継続性があるかないかによって非常に大きな問題を招く場合があるわけです。たとえば、私は、予算委員会大平外務大臣が継続性が原則的にはないんじゃないかということを言われましたときに、一つ頭に浮んでまいりましたのは、一九五一年の二月十日、国連中国非難の決議をしたわけです。あの決議をいまでもなおかつ日本政府アメリカも引用いたしまして、中国は平和愛好国ではない、こういうふうなことを言われておりますので、決議が継続性があるかないか、この問題だけに限らず、そういうふうな問題と関連してみますと、当然この非難決議というものも継続性がないものであるはずである、それを今日まで引用しているのは、大平さんの論から言えばおかしいじゃないか、こういうことで私は伺ってみたいと思ったわけでございますが、この点はいかがでございますか。やはり、決議というもののどういうものが継続性があって、どういうものが継続性がないかということは、はっきりさせておく必要があるのではないか、こういうふうに思うのです。
  34. 大平正芳

    大平国務大臣 これは、おっしゃるとおり、決議によりまして一つの精神的な宣言というようなものは継続性を持つものとして処理するという考え方が、私の感じではあると思いまするし、具体的な案件については会期ごとに独立して考えていいんじゃないか、そのときの事態に応じていろいろ変わってまいりましょうから、という感じがするのでございますが、先ほど申しましたように、国連憲章の解決からしては決定的にこうだという解釈はまだありませんし、慣行としてもまだ熟成してないという段階でございまして、いまの御質問は、国連がそれをどのようにきめるかという問題になるのではないかと思います。
  35. 戸叶里子

    戸叶委員 今度国連総会に日本が出席する前には、当然中国問題の扱い方というものは独自な形でおきめになると思います。政府のおっしゃることを総合してみましても、結局、いろんな国の影響といいますか、いろんな国からの反響というものを見た上で結論を出して、そうして国連に臨まれる、こういうことでございますけれども、その場合に、日本は独自な形で当然おやりになると思いますけれどもアメリカなり何なりと前もってお話をし合うというような、そういう手段を講じられるかどうか、そしてまた、今度の国連総会には少なくとも前よりは前向きの姿勢でいくのだということをはっきりおっしゃれるかどうか、この点だけを伺っておきたいと思います。
  36. 大平正芳

    大平国務大臣 常に前向きでございます。
  37. 戸叶里子

    戸叶委員 その前のアメリカとの話し合いは……。
  38. 大平正芳

    大平国務大臣 それは、アメリカばかりでなく、あらゆる国と御相談して、御意向も聞いたり意見も聞いたりするのは当然でございます。
  39. 戸叶里子

    戸叶委員 いまのお話を伺っておりますと、何かしら、私たち国民は、いろいろな国の意見を一々聞いた上でいくというような、非常に自主性のなさを感じるわけです。日本はかく考えるのだ、そういうふうなしっかりとしたものをぜひとも打ち出していただきたい、こういうことを申し上げたいと思うのです。  そこで、さっきのお話を伺っておりますと、安藤さん自身も、中国との関係は何とかしなければいけないとおっしゃりながらも、慎重論的な発言をやっていらっしゃったように承ったわけでございます。そこで、大平外務大臣としても、前向きを唱えられ、そしてアジアの平和のためには中国を何とかしなければいけないという気持ちを持たれ、しかも六億五千の人口を有する巨大な国があるということも認められておりますからには、少なくとも前向きの姿勢というからには、何らかの具体的な方法が考えられなければなりませんが、その一つの方法として、正式でなくても何らかの形の政府間の話し合い、これが貿易であろうが何であろうがいいでが、政府間の何らかの話し合いというようなことをおやりになる考え方はないかどうか。たとえば、アメリカでさえも、よく言われることですが、ワルシャワにおいて米中会談をやっているわけでございまして、日本政府がこのときに至ってもなおかつ、政府としての考え方なりあるいは意見の交流でもいいですけれども、そういうふうな方法を講じないでいるということは、中国の意図をよく知るという上においてもまずいんじゃないか、やはり何らかの形での政府間の話し合いというものをなさるべきではないかと思いますけれども、それが、たとえば使節の形になって、行って話し合いをしてもいいし、あるいは貿易の形においてもいいかとも思いますけれども、そういうふうな方法をお考えにならないかどうか、この点を伺いたいと思います。
  40. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいまそういう考えは持っておりません。慎重に考えなければいかぬ問題だと思います。
  41. 戸叶里子

    戸叶委員 いまお考えにならなくても、近い将来にそういうことは考えてもいいというくらいのお考えはおありですか。この点を念のために伺っておきたいと思います。
  42. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいまお答え申し上げたとおり、ただいまそういう考えはございません。どういう接触を持つかというようなことにつきましては、持つべきか持つべからざるか、そういうことにつきましては慎重に考えなければいかぬと思います。
  43. 戸叶里子

    戸叶委員 先ほどの安藤委員質問に対しまして、吉田さんを台湾に訪問させて、そして、いま何となくぎごちない空気があるから、そのぎごちなさを直して新しい雰囲気をつくっていくのだ、こういうことを言われましたけれども、今日そういうことをするということは、いろいろな面で誤解を招くおそれがあると思います。私たちは、むしろ、台湾に吉田さんをやってまた新たに大きな波紋を描くようなことはすべきではない、こういうふうに考えますので、この点も、慎重な外務大臣でございますから、どうぞ慎重にお考えになっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  44. 大平正芳

    大平国務大臣 政府がやるとかやらぬとか言っているのじゃないのでございます。これは吉田先生の御判断の問題でございます。
  45. 戸叶里子

    戸叶委員 さっき大平外務大臣は、どうもなかなかぎごちない空気が政府の間にあるから、これをほぐすために行ってもらうんだ、新しい雰囲気をつくるために行ってもらうんだというような御答弁でございましたけれども、かってに行かれるなら行ったらいいし、行かないなら行かないでいい、こういうお考えでございますか。大体行くということをおきめになったんじゃないですか。私たちはもちろんこれに対しては強く異議を申し上げるつもりでございますけれども、この点はいまどうなんですか。ちょっと先ほどとは少し変わってきたように思いますけれども
  46. 大平正芳

    大平国務大臣 そういうぎごちない空気にあるから、空気がよくなるということは歓迎すべきことだ、こう申し上げたわけであります。
  47. 戸叶里子

    戸叶委員 歓迎すべきことだというので、それで行っていただくことはおきめになったわけなのですか。まだ、吉田さんが行けばいらっしゃってもいいし、いらっしゃらないなら行かないでもいいという、この程度のものでございますか。
  48. 大平正芳

    大平国務大臣 政府が行っていただきたいとか、そういう性質のものではございません。
  49. 戸叶里子

    戸叶委員 先ほどの、もう少し積極性のあったものからは、だいぶ後退されたわけですね、いまの答弁では。
  50. 大平正芳

    大平国務大臣 いや、さっきからずっと一貫しております。
  51. 戸叶里子

    戸叶委員 一貫していません。少しおかしいです、いまの問題。この点私たちはあとからはっきりいたしたい。一応この問題だけで懇談をしたいと思いますから……。  それから、中国の問題ではあとから穗積委員からお聞きになると思いますので、わずかな時間日韓会談の問題を伺いたいと思います。  日韓会談に対しては、たいへんに早期妥結というようなことを大上段にかざして言っていらっしゃるようですけれども一、いろいろな事情を考えますと、いまこの日韓会談を結ぶべきではないという意見のほうが、当然、日がたてばたつほど多くなってくるわけでございますけれども、一体いまどの辺のところにいるのですか。この点を説明していただきたいと思います。
  52. 大平正芳

    大平国務大臣 これは、国会でも御報告申し上げておるとおり、いま漁業問題について専門家レベルでお話し合いをしておる段階でございます。
  53. 戸叶里子

    戸叶委員 漁業問題でいろいろお話し合いをしているようでございますが、きのうたしか農林大臣から外務大臣に、漁業問題で専管水域の範囲とかあるいは漁業共同水域の問題等で韓国だけ特別な扱いをしてもらっては困るという申し入れがあったと思います。この点についてのことを外務大臣は念頭にお入れになっていらっしゃると思いますが、いかがでございますか。
  54. 大平正芳

    大平国務大臣 日韓の間の漁業問題につきまして、農林省の御見解というものを赤城大臣から伺いました。私どもはそれを体して交渉をやるつもりでございます。
  55. 戸叶里子

    戸叶委員 漁業問題での難点にぶつかっているということは、大体において国民も想像をし、知っておりますけれども、具体的にどういうふうな点が問題点になっているかということを、差しつかえない限り説明していただきたいと思います。   〔委員長退席安藤委員長代理着席〕
  56. 大平正芳

    大平国務大臣 この漁業問題を大きく分けますと三つになりまして、一つは専管水域の問題。これは、私どもは国際基準でやろうという提案をいたしておりますが、先方はまだそれに応諾の返事をいたしておりません。  第二の問題は、その専管水域以外、外の共同規制、つまり、日韓の漁業技術が大きな格差がございまするし、同時に、その水域の資源も限られておれますので、ひとつ適正な共同規制の方法を講じよう、その規制の方法をどういう方法によってやるかという点でございます。第三の問題は、漁業協力の問題でございまして、これは、漁業技術の格差が非常にあるし、したがって、日本側として漁船、漁具あるいは加工工場等についてある程度の経済協力を考えてくれないか、こういう問題でございます。  第二点の共同規制の問題につきましては、前々から私ども申し上げておりますとおり、共同規制をやるという原則には私どもも賛成です。資源は限られておるわけでございますから、長きにわたって日韓両国の漁業者がマキシマムな利益を享受していくということを考えなければいかぬわけで、一ぺんにとってしまうというようなことではないようにしなければいかぬ、これは常識だろうと思うのでございます。漁業規制を考えることは賛成だが、しかし、これは両国が平等の規制でなければならぬということと、規制を考えろ場合には、規制方法が可能な規制方法でないと、あいまいな規制方法では困る、こういう二つの方針を中心にいま話し合いをしておりまして、まだ話し合いはついていないわけでございます。  それから、第三番目の漁業協力の問題につきましては、最初韓国は低利、長期の資金の供与を頼んできたわけでございます。低利・長期というのは、去年の通常国会でもいろいろ皆さんから御批判をいただきましたが、三億ドル無償、二億ドル有償というのが経済協力でございまして、これは漁業を除外する思想じゃないので、したがって、そういう条件の金であればそれからお使いになるのが順序である。したがって、それにこぶをつけるようなことは日本側としては困る。いろいろ折衝いたしまして、結局、それでは普通の民間ベースの、民間で漁船とか漁具とか売ります、その場合の輸出金融ということで、輸出入銀行がおやりになる普通の業務方法書による条件であれば、それはある程度日本の融資能力の範囲内において考えられる、また、先方の償還能力の範囲内において考えられる問題であるということでございまして、これにつきましてはほぼ先方も了承はしておるようでございます。問題は、どういう期間にわたってどの程度、やるかということにつきましては、まだきまっておりません。
  57. 戸叶里子

    戸叶委員 基本線をきめる根本的な問題でございますけれども、たとえば漁業規制区域が問題になるわけですけれども、漁業規制区域をきめる場合に、海岸線に沿うてきめるのでしょうか。それとも、基点を置いて、そして線を引いてきめるのか。日本の場合はどちらにおきめになろうとしているのですか。
  58. 大平正芳

    大平国務大臣 これは国際慣行に従わなければいけませんので、原則として低潮線を基点にするわけでございますが、非常に島嶼が多い場合は直線基線という方法をとることも国際的に認められております。したがって、そういった線の引き方につきましては、漁業専門家がいろいろ苦心しておるようでございます。あくまでも国際慣行に許されたそれに準拠してやりたいと思っております。
  59. 戸叶里子

    戸叶委員 直線基線の方式をとられますと、韓国などの場合に対馬等のある辺のことを考えましても、結局最後には李承晩ラインのほうまでずっと線を引かれる、共同区域まで入れますと李承晩ラインのほうまで範囲が伸びるというような形になるようでございますが、こういうふうなことは決して許されるべきではないと思います。私たちは、単に漁業の問題だけでなく、——たとえば漁業の問題だけですと、いま言ったように、沿岸線に沿うての決定をするのか、あるいは直線基線方式をとるのか、あるいはまた漁獲をどうするとか、そういったいろいろな問題はあると思いますけれども、それ以前の問題として、やはり韓国の状態がどういうふうな状態にあるのかというようなことも考えてみた上での日韓交渉を進めていかなければならない、こういう基本的な考え方を持っているわけでございます。ところが、今日までの政府のやってきたところを見ますと、たとえば請求権の問題にいたしましても、結局七千万ドルが祝い金という形で六億ドルになってしまったり、それからまた、今度の漁業の問題などにいたしましても、韓国が非常に今度の日韓会談を急いでいるために、何か日本が向こうの言うことを聞いた形で押されていくのではないかというようなことを非常に危惧する者が多いわけであり、私どももまた危惧するわけです。韓国の実情というものが、今日ストライキが起きたり、物価が上がったり、非常に生活が苦しいわけですから、当然、日本から何らかの形で援助をしてもらわなければならない、日韓会談を急がなければならないという立場をとっているわけですが、そのペースに日本が巻き込まれる必要はない、こういうふうに私は考えるわけでございますので、その点について一体外務大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるかを、もう一度確かめてみたいと思います。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 これは十二年もかかっておる懸案でありまして、私どもとしては、こういう懸案がいつまでもないほうがいいので、国民が納得する解決線が出たら、これは解決すべきものと思ってやっておるわけでございます。韓国の実情がどうだ、韓国の状況を見ながらということでございますが、これは、この間も予算委員会で石野さんの御質問にも答えておいたとおり、韓国の問題は韓国の政府の処理することでございますので、私どもがそれにとやかく申し上げる筋じゃないと思うのでございます。私が専念いたしておりますのは、長い間の懸案でございますから、何とか合理的な、そして国民に御納得のいくような解決がないものかということを一生懸命にやっておるというのが私の心境でございます。
  61. 戸叶里子

    戸叶委員 いままでのところ納得のいかないことばかりされたので、どうも問題が多いと思うわけでございます。日韓会談の問題につきましては、社会党といたしましてもいろいろな角度からあらためてじっくり質問をさせていただきたいということになっておりますので、私はこの点でやめますが、一点伺っておきたいことは、政府が韓国の与野党の議員を招待したいというようなことを申し入れたところが、野党のほうは絶対に行かないということがきめられたようでございますけれども、そういう中にあっても与党の議員だけでも一体お呼びになるつもりなのかどうか、この点だけ確かめておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  62. 大平正芳

    大平国務大臣 自由民主党のほうにそういう話はあるようでありますが、政府のほうにそういう話はありません。
  63. 安藤覺

    安藤委員長代理 帆足君。
  64. 帆足計

    帆足委員 昨今の国際情勢はいよいよ急湍怒濤の勢いを示しておりますし、また日本立場も微妙でありますから、外務大臣の御苦労のほどはよくわかりますが、外務大臣が慎重であられるという点については、みなそれぞれ認識評価しておると思いますけれども、しかし、外交自主性が伝統的に足らぬという点については、国民の皆さんは必ずしも満足していないと思います。私はいまから質問いたしますが、別に外務大臣の生徒ではありませんから、質問して教えを請うというわけではありません。対等の資格で、国会議員として自分の意見を述べ、外務大臣の御意見を問いただし、間違っていることがあれば国民に訴え、そしてまた参考にもしていただきたい、こういう気持ちでお尋ねするわけです。  私どもが不満であるのは、外務省の情報というものが非常に不確かである。第一、日韓会談の問題でも、最初に小坂さんの時代に、もう南朝鮮は安定した、会談も成功は間近いと、使節団として韓国に行って帰ってきてそう報告して、たしかエコノミスト誌で座談会をやっておる最中に、いま韓国で革命が起こった、李承晩はぶつ倒れるということで、座談会はおじゃんになってしまった。また、超党派的に御協力になった朝鮮人帰国の問題のときでも、政府は、帆足君、三千人、最高で三万人帰国すればなどと言われておったが、いまは八万人をこえまして、さらに十万人をこえるでしょう。さらに、最近のドコール政権の中国政権承認に関しましては、ほとんど十日前までは外務省は実情を把握していなかったと伝えられております。この急湍怒濤の世の中ですから、動脈硬化の平沼騏一郎枢密顧問でも生きておられれば、複雑怪奇とわめくところでしょうけれども、論理を明らかにすれば必ずしも怪奇ではない。それ相当の論理をもってやはり世界情勢は流れておる。複雑怪奇と目に映り、そして情勢を把握できないのは、情報が足らない。一体どういうところに問題があるか、これは私は心がけが悪いことも一つの原因だと思うのです。政府の情報局は、乱視の上に近視、視神経が弱いということは、最近の大脳生理学によると、大脳、おつむが弱いことと多少関係があるということが立証されております。したがいまして、外務大臣としては、この幾つかの認識不足に対して、情報局に対して警告を発し、戒め、また反省せられたかどうか、まずそれを伺っておきたい。
  65. 大平正芳

    大平国務大臣 許された人員、予算の制約の中で、私は外務省のわれわれの同僚は最善を尽くしておると思います。情報の把握、情勢の把握に十全でなかったことは認めますけれども、しかし、われわれが仕事を懈怠しておったというわけのものでもございませんし、今後も、仰せのように、この問題につきましては一そう周到にやらなければならぬと思います。
  66. 帆足計

    帆足委員 外務大臣の御謙虚な御答弁に対しては敬意を表しますが、しかし、これは、予算の問題ではなくてさっき申し上げましたように、大脳心理学の問題、すなわち大脳の問題であります。心がけの問題であります。量より質の問題です。自分に都合のいい安易な情報だけを耳にして、きびしい事実には直面しようとしない、また野党のことばにも十分耳を傾けようともしない、こういう伝統的なおつむの弱さがこういうことになったのですから、やはり、ただ反省するだけではなくて、問題点がどこにあったかということを突きとめて、せめて英国程度の認識は持ってもらいたい。英国は保守党の総本山ですけれども、諸兄に私は社会主義の哲学を要求しているわけではないのです。資本主義の生んだ大きな文化の認識をもっとりっぱに継承していただきたい。保守党がりっぱになれば、社会党はもっとりっぱになる。また、勉強せねばならぬことにもなるわけであります。保守党がみみっちければ、わが党のほうもまたその影響を受けるおそれもあるわけです。それでこういうことを言ったわけです。(「社会党がもっとりっぱになれば……」と呼ぶ者あり)お互いさまです。  そこで、第二に、いま日韓会談の最中ですが、韓国の政情不安、こういう不安をあなた方は現段階においてどう認識しておられるか。また小坂さんの二の舞いをすることを私は心配しております。それについて、外務大臣は、韓国の政治情勢、社会情勢、経済情勢、産業構成について、せめて二時間でも目を通したことがあられるか。いま統計をこちらからお出しになりました。それは私が要求した統計ですから、いまごらんになる必要はないのであって、平素このくらいのことは勉強しておかなければならぬので、その点をひとつ……。
  67. 大平正芳

    大平国務大臣 本院でも申し上げておりまするように、李承晩政権崩壊後、いろいろな苦悶の過程がございまして、二年数カ月軍政という段階が続きました。ようやく去年の秋に至りまして新しい民主体制というものが整ったわけでございます。韓国の民主政治が直面している問題というものは、容易ならぬ問題がたくさんあると思いまするが、私どもは、韓国の政府国民も、この困難を克服いたしまして、しあわせなお国をつくっていただくことを希望しておるわけでございます。日本政府といたしまして、これがどう、これがどうというようなことは申し上げる筋合いのものではなかろうということは、たびたび申し上げておるとおりでございます。
  68. 帆足計

    帆足委員 外務大臣の御答弁は、顧みて他を言うというたぐいでありまして、まことに不満足です。というのは、南朝鮮が、韓国がよくなれと私は希望しておる、そんな答弁ってないでしょう。韓国の実情をどういうふうに認識しておられるか。そこで、私は議員としての意見を一言だけ述べますが、やはり、韓国の不幸は、南北に分断されておることです。いわば九州・四国が切り離されておるようなものでしょう。それから、外国の軍隊が駐在して、それによって人為的にかろうじていろいろな操作をしておることです。それが、しかも、国連軍であるならいいけれども、名は国連運、比喩的に言えば、実はアメリカの朝鮮関東軍、いわば板垣ジョンのような軍事力が専制的に内政に干渉しつつやっておるということに問題がある。第三には、これは同僚の議員の皆さんもお聞きになって驚かれると思いますが、昨年統計を取り寄せました。きょうここへいま統計をいただきましたが、南朝鮮の人口は御承知のように二千万。職業についている人口は総数一千一百万。そのうち農民が八百十二万。漁民が十二万。しかるに製造工業はわずか二十七万です。商業の人口八十万。サービス業、これはパンパンを含んで百二万。失業者の人口七十万。実に惨たんたる職業構成で、これでは、李承晩のようなあまり賢くない御老人でなくても、非常に聡明な方が、大平さんのような人が大統領になっても、ちょっと私は韓国はむずかしいと思うのです。そのことを前提にして、どういう外交関係を持ち、どういう経済関係を持ち、事務関係を持つかということをお考えにならねば、五億ドルの援助金をやったところで、キャバレーができて、そしてまた汚職が起こるだけという結果になる。そこで、私は、よくする基礎がないということを言っておるのです。だれがやっても基礎がない。統一しない限り無理がある。そういう無理な事態における南北とわれわれとの事務関係をどういうふうにし、政治関係をどこまでやったらいいかという限界と見通しをつけてやってもらいたい。それは、すでにイギリスが、中国革命が起こったときに、二週間後に北京政府承認して、そして台湾とは単に事務関係を結んだ。私は英国の聡明さをつめのあかほどでも日本の保守党の諸先輩に学んでいただきたいということを痛感する次第です。  そこで、大平さんにお尋ねしますが、一体、南朝鮮には、電力、石炭、鉄鉱石、その他の基礎資源はどのくらいありますか。一言でもいいから伺いたい。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう基礎資源に非常に恵まれていないというように承知いたしておりますが、具体的な数字は政府委員のほうからお知らせいたします。   〔帆足委員「そういうものは書類を繰らなくても覚えておるべき性質のものですよ」と呼ぶ〕
  70. 後宮虎郎

    ○後宮政府委員 恐縮でございますが、いま手元に統計がございませんので……。
  71. 帆足計

    帆足委員 まことに外務委員会として嘆かわしいことです。しかし、忙しい世の中ですから、外務大臣の御苦労のほども察しますが、われわれ野党の言うことの中にもいわれのあることをよくお察しくださって、日韓会談の限界というものをもう少しリアルに考えていただきたいということを要望いたします。こういうような状況のもとで、賠償及び賠償類似五億ドル、すなわち二千億円という多額の経済援助をしよう、その行くえがどうなるであろうということをわれわれは心配しておるわけです。それも、アジア局長、よく心にとめておいてください。  とにかく、朝鮮との長い歴史は御承知のとおりで、王仁博士が三體千字文を届け、百済の王様が観世音菩薩を届け、また、聖徳太子の昔、またそれ以前から、中国とはお互いに文化を交流してきたのです。したがって、朝鮮、中国、インド等とのよい関係なくして、大東亜戦争の痛ましく、むなしくもなってしまった犠牲に報いることはできない。これは、形用詞でなくて、国民感情でもあるし、真実だと思うのです。その真実の中国、朝鮮との間には、われわれとの関係が不幸な関係にあるということも外務大臣に見識を持ってひとつ考えてもらいたい。そして、アメリカとの交渉においては、やはりそういう誠意をもってよく説明してほしい。アメリカにもカリフォルニア大学の諸教授のようなもののわかる人もおるし、ライシャワー博士は学者としては優秀です。彼の職業的地位はいま非常に困難な状況にありますけれどもお話のできる人でしょう。したがいまして、そういう点は誠実に日本自主的立場を述べる必要がある。したがって、アメリカがいまアジアで政策を転換せねばならぬところに来ておる。ダレス外交から明らかにアメリカは百八十度の敵前旋回をしつつあるということを外務大臣は十分御認識ですかどうですか。ひとつ御所見を伺いたい。
  72. 大平正芳

    大平国務大臣 アメリカアジア政策ということにつきましては、終始注意を怠らないつもりでおります。
  73. 帆足計

    帆足委員 医者が病人に対して注意を怠らないのはあたりまえです。外務大臣国際情勢に対して注意を怠らないのはあたりまえです。そうではなくて、ダレス外交は色あせて、すでにアメリカは百八十度の転換をいまジグザグ状でしつつあるという、いまその過渡期であるということをどう御認識なさっておるかと、こうお尋ねしたわけです。
  74. 大平正芳

    大平国務大臣 それは、私からアメリカの政策を申し上げるまでもなく、アメリカ政府のほうから発表されておりますから、それによって御判断いただきたいと思います。
  75. 帆足計

    帆足委員 それではどうも謙虚の精神が強過ぎて、われわれに対して多少無礼だと私は思うのです。そこで、アメリカがいまジグザグ——直線的に退却はできません。しかし、ドゴール中国政府承認、存在するものを認めて、国際連合に加盟させること、それは論理的に当然のことです。したがって、世界の多数はこれに賛成をし拍手を送っておることも事実です。これは外交の突破口と世界は見ております。したがいまして、アメリカがジグザグに退却せねばならぬときに、日本をどのように使うか。まあバスタオルくらいに使うならまだしも、日本ことばで言えば、びろうなことばですが、しりぬぐいに日本が使われてはかなわぬ。もっと紳士的に言えば、アメリカのトイレットペーパーにされてはかなわぬというのが国民の心配している点なのです。アメリカが方向転換をするときに、日本は、自主的立場から、アジアに対する正当な理論と認識を持って平和の道をさがし求めるべきではなかろうか。しかるに、その徴候すら見えないというのが、先ほど戸叶女史が嘆きつつ外務大臣質問したゆえんだと思うのです。もちろん、外務大臣にその勇気と元気が出ない党内の諸情勢日本の財閥の経済的背景の諸情勢どもわれわれにわからぬことはありません。しかし、事情の許す範囲において、この際アメリカのしりぬぐいにならないようにしていただきたい、こう思うわけです。外務大臣の御所見でも伺うことができれば伺いたい。
  76. 大平正芳

    大平国務大臣 外交というのは一〇〇%自主的にやるのが外交だと私は思っております。
  77. 帆足計

    帆足委員 しからば、中国をいまに至るまで承認しない論理的理由は何ですか。もちろんアメリカへの遠慮、いわゆる自由主義諸国との足並みをそろえたい、これはもうおっしゃらなくてもわかっております。露骨に言えばアメリカへの遠慮、それ以外に論理的な理由はどういう理由がありますか。先ほど、中国は好戦国であるというアメリカの理由に対しては、好戦国の定義からかからねばならぬと、まことにみごとな答弁でありましたが、一体中国承認に対して積極的な態度をおとりにならぬ論理的理由を、われわれ人類にわかるように説明していただきたい。日本国民ももはや新憲法以後の人類の一員です。新憲法前には、この国では残念ながら論理が通用せず、論理が通用せぬために軍部に引きずられて国を誤りました。しかし、いまは論理の通用する国になっておりますから、その国民にわかるようなことばでひとつ中国承認に積極的に見受けられない政府の理由をおっしゃっていただきたい。
  78. 大平正芳

    大平国務大臣 もう常識の問題であると思うのでございますが、一つには、国民政府外交関係を持っておるということでございます。日本国民政府との関係は他の第三国と国民政府との関係より非常に濃いものがあるということは帆足先生も御理解いただけると思うのでございます。この問題が一つと、それから、先ほど戸叶先生の御質問にもお答え申し上げておきましたとおり、一九六一年の国連総会におきまして、これは中国代表権の問題という形で出てきた中国問題につきましては、私どもは、これは重要事項であると判断をしまして、アジアの平和という観点から提案国になっておるわけでございます。このあたりはフランスとちょっと違ったわれわれのコミットメントでございます。したがって、私どもの先輩がいろいろ鋭意やってまいりましたそういったコミットメントというものを十分頭に置いて、そして日本の安全と繁栄というものを踏まえてやってまいるというのが私の基本的な姿勢でございまして、いま直ちに中共承認するというようなことはできないことは、たびたび政府から申し上げておるとおりであります。
  79. 帆足計

    帆足委員 そういう御答弁では、私は日本の一般の国民は納得できないと思います。いま世論調査をされれば、中国承認に向かって進むのが日本のためによかろうという回答が国民の大多数であろう。一部の世論調査でもそのことを伝えております。幸いにして、これは文部大臣の功績ではありませんけれども、学校の先生たちが子供をかわいがってりっぱに育てておりますから、この国には文盲はおりません。したがって、いまの大平大臣の御答弁では満足しない。というのは、この問題はアメリカ保守勢力にとって重要事項であるかもしれませんけれども、一般の諸国民にとっては重要事項ではなくて論理的事項です。そうして、また、台湾の焼きイモほどの一つの法的技術にかかずらって、中国七億の国民の感情、信頼感を失うということは、日本の国益阻害です。国益阻害の人物として大平大臣にはもうパスポートは出せないようなことになればたいへんなことです。すなわち、私は、国益を阻害するその一面だけは、よきお人柄であるにもかかわらず、なおその認識が誤っておると思います。台湾との関係の国際的技術的問題もまた、これはそれにかかずらうほど明確ではありません。英国の国際法学者、フランスの国際法学者にわれわれがそうおくれておるとも思いません。英国やフランスがやっておることをわれわれができない理由もありません。とするならば、真実を吐くとアメリカヘの遠慮。むしろそれならそれでまた薬の投薬の方法も私はあろうと思います。投薬するといっても、そう激烈な下剤をかけようというわけでもありませんけれども、トランキライザーでもアメリカに飲んでもらって、アメリカ・ノイローゼをなおす必要があると思う。と申しますのは、一体中国に対しましてアメリカは好戦国だと言っておるわけです。これは、アメリカは百年にわたってほとんど戦争がなかった。経験によってのみ戦争の苦しみというものは知る。百年の間アメリカは他国との間に戦争は行なわれなかった。応援団長として出かけること、他国の女性をかわいがること、そうして好景気、これが不幸にしてアメリカの従来経験した戦争の概念でした。朝鮮戦争で初めて、あの「終わりなき戦争」というすばらしい映画がアメリカにできましたが、初めて敗戦の苦しみをなめた。三十万近くの兵士が死傷いたしました。アメリカでは、日本のように荼毘に付して骨を送るのではなくて、あれは伍長以上ですか、ドライアイスを入れて、しかばねを入れます。どの村にもかわいそうな青年たちのしかばねが送られました。そのために、アメリカの婦人たちは、涙を流し、憤激し、朝鮮戦争を終わらせなければならぬと考えた。それには、洗たく屋のせがれのトルーマン大統領では時局の収拾はつかない。やはり光栄あるアイゼンハワー大統領に職責をゆだねて、光栄ある収拾をはかりたい。そういう空気で選挙戦が行なわれて、長い間の民主党が破れて、アイゼンハワー大統領が登場したことは御承知のとおりです。また、中国を好戦国と言うがその恨みはさか恨み、江戸のかたきを長崎で、これは認識不足であって、中国は、もう満州にマッカーサーが来ようとするその寸前に参加したわけです。マッカーサーが罷免された真相は、大臣御承知でしょうか。トルーマンの書簡、お読みになりましたか。米国のアチソン外務大臣との書簡のやりとり。ちょっとそれを伺っておきたい。
  80. 大平正芳

    大平国務大臣 寡聞にしてよく承知いたしておりません。
  81. 帆足計

    帆足委員 私は、外務大臣に多少の情報をひらめかして、そして外務大臣を責めよう、そういうようないやしい心で言っておるわけじゃありません。しかし、マッカーサーが危険なる将軍としてやめさせられた、そういう状況のもとに、中国義勇軍が参加したという事情も、われわれとしては認識する必要がある。アメリカの一般の市民が、朝鮮を憎み中国を憎む、その経験から来た素朴な感情はわかります。しかし、それはさか恨みというものであって、中国としましては、マッカーサーが鴨緑江を越えようとしたことを制するために、やむにやまれず、利害なきことに犠牲になったということが事の真相で、そのことは英国の保守党の文献に詳しく出ておりますが、一体情報局は何してござる。予算のせいじゃないでしょう。やはり、本を読まないんじゃないでしょうか。したがいまして、アメリカ中国、朝鮮を仇敵のごとくきらう、それはこういう理由から来ている。しかし、同時に誤解もある。現にアメリカの諸大学の教授たちはそのことを多少指摘しております。そして、理性的立場をとらなければならぬと言っておる。アメリカの国務次官の声明によると、中国の論争は、言語の国で非常に論争は激しい、しかし、行なうことは案外やわらかで、柔軟性と良識を持っておる、中国は英国に似ているような古い、経験の深い、伝統を持った国であるということ、アメリカの国務省の次官の声明でもそういう意味合いのことが声明されておるくらいです。これは、先ほど外務大臣からもやはり中国は話のわからぬ国ではなかろうという意味の御答弁があったと思うのです。こういう事情もひとつこのたびの対策について考慮に入れていただき、また、皆さんの下の下僚たちに注意を促していただきたいと思います。  さて、その次に、しからば台湾台湾との条約関係があるから遠慮しているということばでしたが、金門、馬祖が台湾に入っていることを条約上どのようにお考えですか、これが一つ。第二に、台湾は、すでにトルーマン大統領のときの国務大臣が中国に返して、中国の一台湾州になっているんです。これも歴史的事実、確認された事実。第三には、その辺の事情は対華白書という千ページにわたるアメリカ国務省の白書に詳しく述べられております。この三つのことについて外務大臣の御答弁を願いたいと思います。
  82. 大平正芳

    大平国務大臣 条約関係のことは政府委員から答弁させます。
  83. 帆足計

    帆足委員 条約関係のことじゃないんです。これは常識的なことなんです。すなわち、台湾はすでに中国に還付されておる事実を知っておられるか、金門、馬祖が台湾の中に入っておるのはどういう理由であるか。それから、対華白書のことを御存じであるか、この三つのことです。これは条約局長の答えるべきことじゃなくて……。
  84. 大平正芳

    大平国務大臣 政府委員から答弁させます。
  85. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 台湾の帰属の問題につきましては、御指摘のように、カイロ宣言では、中華民国に返させるというカイロ宣言の当事国の意思の表明がありました。これはポツダム宣言で確認されておりますが、最終的な領有権の問題については、日本の平和条約で、日本から放棄されるだけであって、将来の連合国間の決定にまかされておるというのが連合国の見解でございます。  金門、馬祖は、これはもともとの中国領土でございまして、台湾、澎湖島とは全く性格を異にしておるわけでございます。
  86. 安藤覺

    安藤委員長代理 帆足君、ちょっと御相談ですが、大臣は十二時半まで御在席願えます。そこで、あなたのほうで穂積先生もぜひ大臣の在席中に一言二言尋ねておきたいということであられますので、できるだけあなたの御質問を簡潔にしていただくか、この間にはさんでいただくか……。
  87. 帆足計

    帆足委員 それはさっき打ち合わせしておきました。
  88. 穗積七郎

    穗積委員 議事進行について……。  実は、私きょう遅刻して、他の用でやむを得ざる事情ですけれども、申しわけありませんでしたが、中国問題も含む最近の国際情勢に対する政府の認識と、それから、基本的な外交路線、並びに中国にアプローチする具体的な方策について、大臣からとっくりお伺いしたいと思っていたのです。ところが、伺いますと、十二時半というのですが、十二時半はどうしても動かせませんか。もう少し延ばすことができればなにですが、もし延ばすことが政府の要務で不可能であれば、私は、必ずしもきょうでなくて、次の機会に適当な時間をいただいて御質問をしたいと思います。それによって、帆足君に続いてやってもらうようにしたほうが適当ではないかと思うのです。大臣の御都合を……。
  89. 安藤覺

    安藤委員長代理 穂積君にお答えしますが、外務大臣の十二時半の退席は理事会でも御相談申し上げておることでありまして、もしあなたさまが短い時間でここで発言をしておきたいということであられれば、帆足君のこの間に御発言願うのもよし、もしそれが困難であれば、次の委員会機会においてトップにあなたが御発言を求められるということも一つの方法じゃないかと思います。
  90. 穗積七郎

    穗積委員 そういうことでしたら、十二時半は延ばせないということですと、あと十分少ししかありませんから、とうていいま申しましたような問題について質問をし、御意見を伺うことは事実上不可能かと思います。次の機会にぜひ都合をつけていただくことを委員長並びに大臣に御了解いただいて、私の質問は次の機会に……。
  91. 安藤覺

    安藤委員長代理 じゃ、さよう取り計らいましょう。  それでは帆足君。なるべくひとつ簡潔にお願いいたします。
  92. 帆足計

    帆足委員 きょうは三十分ずつの予定で、いまちょうど三十分目です。しかし、時間が中途はんぱになりましたことについて、同僚議員から非常に好意あるお申し出がありましたので、十分間質問を続けます。私の申し上げることは簡潔であるかどうかは、私自身が判断して、まだ委員長の注意を受ける段階ではなかろうと思っております。いま、中国が好戦国であるという理由でアメリカがわめいておるわけですが、理解できる一面はありますけれども、論理が通らないその諸関係を皆さんに申し上げたわけです。外交の仕事の中では、私は、やはり国民的利害というものがあって、外交委員会としては互いに論議を尽くして切磋し琢磨し合いたいという熱意は人後に落ちず持っておりますから、委員長、どうぞ御了解を願います。  そこで、一つ中国一つ台湾、(「それはよけいなことじゃないか」と呼ぶ者あり)それは余分なことです。やじはやめてください。一つ中国一つ台湾という表現を、中国は、これはやはり二つ中国ということになるといって非常にきらっております。これはもう数年前からそうです。これは理由あることでありまして、たとえば、源為朝が伊豆の大島に流された、八丈島を大日本と言えば、京の都は困るでしょう。台湾は人口が最近ふえまして、八百万前後だと記憶しておりますが、中国は七億近くです。したがいまして、これを台湾島にある亡命政権と言うならば、これはドゴール政権に関係のあるマンデス・フランス議員等がそういう見方をしております。そして、台湾は、先ほど外務省の事務当局はお答えにならなかったけれども、トルーマン大統領は一応蒋介石に戻したのです。したがいまして、蒋介石はやはり一つ中国、毛沢東側も一つ中国、これが歴史的事実である。対華白書の中には、蒋介石はみずから、政権が腐敗して残念ながら台湾に亡命したということを詳しく書いております。その後、アメリカは、ダレスに至って、朝鮮戦争が起こって自分の見解を改めまして、そして英国とだいぶ論戦したあげく、その点については英国は同意することはできない、ましていわんや、金門、馬祖が台湾に入っている以上一そうできない、これが国際法上の解釈です。そうむずかしいことでありませんから、大臣もお心にとめておいていただきたいのですが、したがって、アメリカとのつき合い上いま困難にぶつかっている、私はそれも重要な問題だと思うのです。保守政党の外務大臣として、アメリカとのつき合いについて多少の心配をしている。しかし、池田総理は、日本はもはや大国であって、マレーシアの問題なんか仲裁に乗り出すくらいの良識と気魄があるというお心がまえならば、もうそれほど不要な遠慮はこの辺で打ち切ったほうがよかろう。そこで、私ども、これは一般の国民投票に聞いても明らかですが、国民は、やはり、日本外交に対して、自主性がよほど出てきつつあるけれども、まだ不十分である、大平外務大臣は非常に慎重であられて御苦労なさっておられるであろう、それにしてももう少しは自主性を表に出すことはできないものであろうかというのが、おおよその世論のように思います。どうぞこれを参考にして勇気をふるって大いに自主的にやっていただきたい、こう思う次第です。  そこで、申し上げますが、一体好戦国であるから国連に入れない、こういういわれは成り立たない。しかも、チンコム、ココムというものがまだ残っておるそうですか、これが純軍事物資、戦略物資に限るならば、アメリカとしてもアメリカなりの論理がそこにある。しかし、軍事物資のワクをはるかに出た品目が非常にたくさんあるわけです。チンコム、ココムがその後どう修正され、どのように不合理なもの、時代おくれのものが残っておるか、おそらくドゴール大統領はその中の純粋の兵器以外のものは無視するでしょう。そしてまた、われわれは貿易におくれてしまう。日本中国との貿易が将来一割とするならば、一千万の人口を養うほどの数量です。日本は島国ですから貿易なくしては生きていけません。貿易は日本にとって呼吸のようなもので、はく息は輸出、吸う息は輸入、その肺活力で国民経済の総量がきまるわけです。したがって、中国との貿易はおろそかにできない。これは国益に関する問題でありますから、チンコム、ココムのその後の残った状況についての外務大臣の御所見と、次回にはチンコム、ココムがどのように修正されてきたかという一覧表を出していただきたい。外務大臣の所見を……。
  93. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のように、チンコム、ココム協定はいまの時代から申して若干陳腐になっておるではないかという批判もあるようでございます。わが国はこれに加盟いたしておりまするので、そのようにオブソリートになったものを修正するという動きがあれば、それに対して討議に参加してけっこうだと思っております。ただ、現実の問題として、日ソ貿易、日中貿易の場合に、いまのチンコム、ココム協定が非常に陳腐化したから非常に支障があるかというと、現実にはわれわれそんなに支障を感じていないのが実情でございます。  表のほうは後刻出します。
  94. 帆足計

    帆足委員 この問題は多少オブソリートになっておるという世論ないし意見がある、そういうたくみな間接的表現をもって大臣の心持ちのほどもわれわれは了察できました。したがいまして、リストについて検討してみなければ、これが国益を阻害しているかどうかということは明確でありませんから、リストを出していただきたい。それについてわれわれは見解を述べ、そして同僚議員の皆さんとも検討せねばならぬ問題であろうと思っております。  それから、このたびのドゴール中国政権承認は、確かに外務省にとっては寝耳に水のことであって、さっき私はちょっと冗談で申し上げましたように、平沼騏一郎が生きていたならば複雑怪奇とわめいたであろう、こう言いましたが、多少神秘的なインプレッションを与える人柄であるということを外務大臣は言われましたけれども、私は魅力ある人物だと思っております。神秘的とは思いません。魅力ある人柄の人である。宇垣さんと近衛さんと一緒にしたような人で、アルジェリア関東軍をついに弾劾した、こういうことだと思うのです。したがいまして、これは注目すべき大きな事件で、これから国際政局は大きく転回すると思います。  時間があと三分しかありません。委員長はもう注意を与えたいような顔つきになっておりますから、約束どおり三分で外務大臣への質問は終わって、あとは、委員長と約束がありますから、外務大臣なしで十分間ぐらいの程度で諸君をわずらわしますが、外務大臣にお尋ねするのはあと三分間です。(発言する者あり)比喩が多いというやじがありましたけれども、比喩というものは、わかりやすく、国民の皆さんによく知ってもらうために、私はこの院内だけでものを言っているわけではないのです。国民の皆さんによく知っていただいて、そして与党、野党とも考えねばならぬ重大な時局、一歩誤まれば——よく日本の景気も高原地帯に入ったといいますけれども、私は高原地帯よりも山岳地帯に入ったと思います。外交も山岳地帯に入った。ジェット機で飛んでも衝突するおそれがある。(発言する者あり)私は大平さんの政党じゃないから質問だけはしません。自分の見解を述べることはお互いに自由だと思います。議院は自分の意見を述べる場所です。(「縁もゆかりもないことを」と呼ぶ者あり)ないとあなたが思うだけで、思うことは自由です。われ思うゆえにわれあり。穂積君の好意によって三分間まだ許されたわけですから、自由な発言というものは必要で、フランスの国会の速記録を見てごらんなさい。マンデス・フランスやフォールが演説しているその演説の内容や、ビクトル・ユーゴーが十八世紀に国会で語った演説などを見ると、シェークスピアのことを二時間も論じている。(「あと二分だ」と呼ぶ者あり)それは僕が心得ていることです。それはあなたが奥さんに言うことです。僕は家族でもなければ養子でもない。
  95. 安藤覺

    安藤委員長代理 本論にお戻り願います。質問にお戻り願います。
  96. 帆足計

    帆足委員 そこで、問題の要点は、穂積議員がこの次に大いに追及していただくし、われわれも今度具体的数字をもってまた御質問もし、参考にもいたしていただきたいと思いますが、きょうは概論を申し上げたわけで、われわれ野党の者が憂えているゆえんのものが根拠なきことにあらずという印象を大臣並びに諸兄に与えたとすれば、私はそれは非常にいいことであると思って、そういうつもりできょうはお話申し上げたわけです。  したがいまして、最後に、こういう国際情勢ですから、外務省の予算が足らないならば予算をどうぞおとりくださるように。特に、私は外交官というものは少年時代あこがれの的だったわけです。私の家内もあこがれの的で、英語がとてもよくできます。ところが、諸外国の公使館を歩きますと、たいへんつらいお仕事で、ときとしては子供と別れ、転々と転勤するために家財道具にまでお困りになる、そういう事情も知っておりますから、予算委員会で外務省の皆さんの仕事のしやすいような予算を取り、諸条件を整備するためにどういうふうに外務委員が御協力すればいいかということを私は十分説明し、追加予算でも要望したいというような気持ちです。したがいまして、きょうお尋ねしたことでは、中国問題についてアメリカ日本とは異なる特殊の事情があるということ。それから、アメリカはある極端な立場に追い込まれておる、英国やフランスからすら批判されておること。日本アジアの一国として、そして中国、朝鮮に対しては深い友情と理解を持って臨まねばならぬ。いわんや、われわれは中国に対しては戦争の大きなあやまちを犯した戦敗国である。しかるに、アメリカのしり馬に乗っていつしか戦勝国のような錯覚を持っている部分、評論家たちも多少おる。これは痛ましいことだと思います。したがいまして、アジアに対してわれわれは大きなあやまちを犯しましたから、謙虚に自分の立場を反省して、アジアの一員としてこれから事に臨まねばならぬ。したがって、社会党としては、日韓会談について誤解があるから事務的関係くらいにとどめてくれないか、ほんとうに中国に対してはもっとあたたかい深い理解を示してこの国際情勢転換のときにあまりアメリカのしりぬぐいのようなことにならないように希望する、これがわれわれのまず気持ちの出発点です。ただいたずらにデモンストレーションをして内閣をゆさぶるためにやっておるのではありません。そういう前提のもとに本会議でわれわれは多分緊急質問もし、本委員会において実務的に今後徹底的に追及することになろうと思いますから、外務大臣もいれるべき点はいれて、ひとつ与野党の激突なしに済むように、まあ英国保守党程度で話はわかるということにしていただきたいというのがわれわれの希望です。  これで外務大臣への質問は終わりますから、外務大臣はこれについて何か御所見のほどを述べていただいて、それから十分間だけ外務大臣以外の方に事務的なことをお尋ねしたい。
  97. 大平正芳

    大平国務大臣 帆足委員はじめ野党の先生方の御意見、もとより謙虚に傾聴いたすつもりでございます。同時に私のほうからもお願いいたしたいのは、私どもが申し上げることもどうぞ偏見なくお聞き取りいただいて、理解すべきは理解していただきたいとお願いする次第でございます。  なお、外務省に勤務しておる者に対する御同情につきましては、感謝いたします。
  98. 帆足計

    帆足委員 それでは、きょう外務次官、通産次官、経済局長、通商局長、警察当局及び移住局長及び入管の責任者に来ていただきましたのは、急ぎのことがあったわけです。これは、先ほど申し上げましたように、中国との貿易は一割になれば一千万人の人口を養える、現状で約五百万の人口をすでに養っているというほどの数量になっております。その貿易拡大の方途の一つとして、北京、上海で見本市を開きましたところが、数百万の観衆が集まりまして、そして、いわゆる日本ブームというような状況で、フランス、イギリス、西ドイツ等から来ている貿易商の方々も大いに驚いた、認識を改めた、こういうことでありました。また、数年前に開きました見本市に比べまして、ちょうど四年ぶりか五年ぶりでしたが、そのために日本商品の進歩のめざましいことに中国国民の皆さんも驚いて、陳毅外相すら、やはり日本民族は偉大な知能を持っている国民である、こうひとり言を言われたということを私は通訳から漏れ聞きました。そして、北京、上海の展覧会に出しました出品物の九五%というものは中国側が全部買い上げまして、持ち帰りのものは、五%とか一〇%程度でございましょう。経費は国が補助金を一億二千万円出されたと伺いますが、なおかつ五、六千万円が不足であると伺っております。この貿易増進に役に立った成果から見まして、展覧会当事者が非常に節約をしておやりになってなお五、六千万円の赤字である、そういう赤字に対して、政府当局もできるだけ好意をもってあっせんするというお気持ちで多少は業界にも訴え、また、地方の五大都市の商品が出ておりますから、五大都市の自治団体にも政府から助言をしていただきますならば、その程度の穴埋めはでき得るのでなかろうか。したがいまして、これは政府、役所、民間よく御協議くだされて、そして善処していただくことを、われわれは国民立場から要望する次第でございます。  第二に、緊急の問題は、この見返りといたしまして、四月に東京、六月に大阪で今度は中国の大商品見本市が開かれます。その準備のために若干の要員がすでに入国いたして準備しなければ四月の花見時に間に合いません。したがいまして、四月一日から開くとすれば、今日すぐに準備技術員がまいらねばなりません。北京、上海の見本市におきましては、約三百五十人の技術要員が日本からまいりまして、商品の説明をしたり、設営をしたり、警備の手伝いをしたり、事務をしたりいたしました。さらに三百五十人ぐらいの方々がそれを参観に行きまして、また、多くの貿易商の人が巨額の貿易取引を行なったと聞いております。そして、短い人は四カ月、長い人はやはりあと始末まで入れますと六カ月ぐらい滞在期間がかかりました。そして一つのいやな空気もなくて両者和気あいあい裏に展覧会を終わりましたことは、安藤委員も御承知のとおりでございます。  そこで、議員有志が集まりまして、与党、野党の議員が懇談いたしまして、これは大体において大成功であった、したがって、展覧会当局の労をねぎらい、適切な指導された通産、外務省当局にも感謝の意を持ちつつ、あと始末についていま一段の積極的御協力を願いたい、これが第一です。  第二に、延べ七百名からの日本人が北京または上海に行き来した。また長きにおいては六カ月どうしてもかかるのです。したがいまして、今度は先方からまいりますのがありまして、香港にただいま待機しております方々が七名、展覧会準備の立地条件とか見取り図とかをつくる必要上二月十日に参りたいというのが八名、十五日に香港を立ちたいというのが十五名程度でございますが、香港で長逗留をいたしますと、まだ香港はコレラの余じんもありますし、治安上も問題がありまして、やはりあまりよくありませんから、香港で判こを押したらすっとそういう先発隊が来られるようにしていただきたい。後発隊のほうは、東京百名、大阪六十名、かれこれ百五十名から二百名の限界で人の入れかわりがときどきあります。御家庭の都合とか、奥さんがお産をしたとか、あるいは、専門の技術のために、早く帰り、またあとの補充員が来るというようなことも起こりますが、経費節約のために船でまいりたいという希望を持っているようでございます。これは治安維持の点から考えましても、経費節約の点から考えましても、考慮の余地のあることである。したがいまして、それについての手続をどういうふうにすればよいか、御研究を願いたいと思います。同時に、香港経由のときに、香港に三、四日も滞在ということになれば、気持もいらいらいたしますし、いろいろ不都合のこともありますが、香港経由でまいります特殊要員、特殊の技術者に対しまして、すらっとパスポートが渡せるように準備を外務省のほうでしておいていただきたい。しかし、これに関連のあります局は法務省、入国管理庁、これは向こうの人名のリストを一応手続上眼を通さねばならぬ。展覧会のほうとしましては、実業及び技術専門家、若干の範囲の許された人数の新聞記者等を考えおりまして、それ以外の、たとえば文化使節等々をいま日程にのぼしているわけではありません。したがいまして、見本市の開催に関連して必要なる技術要員または関係ある職業の人または指導者の方々ということになろうと思いますから、先方がわれわれ日本国民に対してスマートに親切に取り扱ったように、われわれ側もまたスマートに能率的にかつ親切に取り扱う、その準備をしておきませんと、やはり各官庁の手続がありますからまちまちになりまして、予想外のそごを来たす、そして、展覧会のスケジュールに支障を来たすということになりますから、そういうことのないように、北京、上海見本市の成功の実情を申し上げましたし、参考資料も皆さんのところにお送りいたしますから、北京、上海の大きな成果をよくごらんください。また、貿易統計もお送りいたします。そうして、東京、大阪の見本市が和気あいあいのうちに成功するように、しかも不幸にしてまだ国交正常化になっていないときに見本市の果たす役割りの意味するところのもの、またそれを許可した内閣の心持ちをも皆さんが体せられて、これを成功させるというお心持ちで、前向きの姿勢で協力していただきたい。  これにつきまして、誤ったニュースかもしれませんが、国警のほうで、春花見どきには人手がたくさん要って、また自信がないから、少し延ばしてくれとか、多少の雑音があるということも聞きました。わがスマートな国警に、警察方面にそういう認識不足はなかろうと思いますけれども、万一、自己の職責に忠実なるあまり、木を見て森を見ず、やはりつい社会全体の状況に対してはおつむが弱くなって、そして近視眼的になって、仕事の支障になるというようになっては困る。国警の皆さんに手伝っていただいて一緒にやらねばならぬものが、逆に抵抗するように職業的になっては困るというので、責任者の方に来ていただきました。きょうは長官がお見えになっていませんが、長官によろしくお伝え願います。そして、長官は制服でいかめしくやりますと、何事ぞ花見るときの長刀ですか、そういうことになりますから、展覧会では普通のスマートな洋服をお着になって、展覧会から特別の警備員の記章の美しいのを差し上げますから、そして職務を果たされることが望ましいという議論です。また、両国国旗に対して不当な措置をするというような国際常識のない人も、中には、教育の欠陥もあって、これは文部大臣の責任でしょうけれどもおりますから、そういうことの起こらないように、今度は鉄の長い柱を建てまして、両国国旗を立てる必要のあるときはそういうような措置でもして、あやまち、むだなことの起こらないように、日本国民として常識ある人で一人としてこの展覧会を撹乱しようなどというものはありませんけれども、世の中には例外というものがありますから、そういう例外の起らないように、国警当局の御協力を願いたい。  以上のごとく、手続の迅速化、何よりも前向きの姿勢、御理解と御協力をお願いする次第でございます。そして、この展覧会は、島国日本国民としては将来一千万人口を養うくらいの数量に急速にいまなろうとしておるという貿易の一つの一里塚でございますから、そういう国民的認識を持って御協力を願いたい。それぞれ御担当の当局からひとつ御理解と御協力方の意思表示をお願いしたい。こういうことです。
  99. 毛利松平

    ○毛利政府委員 手続並びに御要望の趣旨はよくわかりますので、他の政府委員から、担当官庁からお答えさせます。
  100. 田中榮一

    ○田中(榮)政府委員 ただいま帆足先生からたいへん行き届いた念入りな御要望がございまして、これらにつきましては、私どもも、せっかくの中共見本市でございますから、万遺憾ないようにこれが開催できますように、ひとつ細心の注意と努力をいたしたいと考えおります。  なお、いま御要望がございましたいろいろこまかい点につきましては、実は、本日午後から関係省の事務当局が全員集まりまして、いま御要望のような次第につきまして十分ひとつ遺憾ないようにお互いの連絡を緊密にいたしたい、かように考えておる次第でございます。通産省側といたしましても、せっかくのりっぱな見本市でございますから、できるだけの御協力をいたしまして、開催の趣旨を全うするようにいたしたいと考えおります。
  101. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 通産省といたしましては、ただいま政務次官が申し上げましたような基本的な考え方で、今回の展覧会が順調にかつ成果をあげるように開催されるよういたしたいと考えおります。ちょうど本日午後関係各省お集まりいただきまして、基本的な方針及びその他細目について第一回の打ち合わせをする予定になっております。
  102. 小川清四郎

    ○小川政府委員 ただいま通産省側から政務次官並びに通商局長からお話がございましたように、本日の午後基本的な諸問題につきまして関係省間で協議が行なわれると聞いております。私どもといたしましては、先遣部隊として文書が出ておることも存じておったのでございますが、何しろ基本的な問題につきましてまだきまっていない状態でございましたので、もしも速急にそれがきまりますれば、必要に応じましてすみやかに香港から入国につきまして処置をするつもりであります。
  103. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 ただいま、警察は治安の面から木を見て森を見ずというようなことにならぬようにせい、こういうお話でございましたが、私ども、警察のやり方につきましては、警察はあくまでも、消極行政であって、積極行政ではない、したがって、おのずから守るべき限界を十分心得てやっておるのでございます。この見本市の開催につきましても、そういう考え方でやってまいりたい。ただ、御承知のとおりに、中共貿易をめぐる問題あるいは見本市の開催をめぐる問題、これらについては、現在治安の面からやや心配をしておるような動きも実は底流にございます。したがって、私どもとしては、この見本市を政府としてお開きになる場合に、そういった事故のないように、一体どうすればいいのだということで、現在真剣に検討を加えておるのでございます。会場の警備、いらっしゃる方の身辺の警護、そういったいろいろな問題がございますので、これらを私どもとしても十分検討を加えまして、また、主務官庁とも十分に連絡をとって、遺憾のないような処置を講じてまいりたい、かように考えおります。
  104. 帆足計

    帆足委員 それでは、もうこれで皆さんそれぞれ御誠意ある御答弁をいただきまして、満足でありますが、実は安藤委員長もこの仕事に協力しておる中心の与党の方のお一人ですが、われわれも超党派的に懇談会を常任委員長室で催しまして、みんなで成功させようじゃないか、こういう空気でございます。与党の責任のある議員の方も参加して一緒に語り合いました。これは、もう純粋に超党派的に、どの党派とかどうとかいうことなしに、国民的なこととして、貿易の一環として成功させよう、そして、フランスの貿易展覧会であろうと、アメリカまたはイギリスの展覧会であろうと、商品展覧会は貿易国としては非常に重要なことであるから、同じように成功させたい。そこで、結局、最後に申し上げますと、中国日本それぞれで開きます展覧会に必要な経費のうち、不足分についての補助助成を一そう寛大にしていただきたい、理解を持っていただきたい。地方庁との連関について政府の御助言がありますと非常にやりやすいわけであります。歓迎委員会のほうも相当の経費がかかります。七、八千万円ぐらいかかるでしょう。それを業界だけではしょい切れませんが、政府のほうで少し出していただきますと地方庁もまたおつき合いをしてくれるというような諸関係も、業界から、また見本市から御相談申し上げると思いますが、御理解を持って御指導を願いたいということ。それから、パスポートの点、通関手続、それから滞在期間について無理のないようにすること。それから警備。それから、船で来られるという案もひとつ至急研究して、迅速に要望に応じていただきたい。特に、治安問題につきましては、いま警備局長さんからも言われたとおり台湾系において、国際情勢に刺激されて、いまのドゴール問題に刺激されて、事柄の理非をわきまえないような動きがあり得ることもありますから、御心労のことと思います。われわれも御協力いたしますしまた、不要な刺激をすることも注意して、そして純粋の貿易展覧会として成功いたしますように骨を折りますから、その点についてひとつ格段のお世話にあずかりたいと思います。また、来られるお客さまの中には、最終的にはまだ確定しておりませんが、たぶん向こうの中央銀行の総裁南漢宸氏も見えることと期待されておりすす。この方は純粋の経済人で、中国の戦後のインフレーションを処理し、通貨の安定をはかったということで、経済金融界の大指導者として内外から認められておる人物でございます。したがいまして、その人柄等についてはすでに諸外国でも定評のある、温厚にして篤実な風格のある人物でありますから、できれば通産大臣ともお目にかかり、また通産次官ともお目にかかれるような機会があれば一そういいと思っております。それらの詳しいことは資料を特にごらんくださいますように、通産次官さんにお取り次ぎをお願いいたします。  それから、パスポートの点につきましては、何といっても一応履歴書を見ねばなりませんでしょう。したがいまして、手続上そういうことのために非常におくれるというのでは困りますから、あなたのほうで必要な情報、たとえばある人の経歴とかその他のことを知りたいというようなことがあったならば、迅速に展覧会当局に連絡をとっていただいて、そして、出発まぎわになってまごつくというようなことのないようにひとつお願いしたいと思います。  時あたかも百花らんまんの春でありますから、遊覧にもよい気候でありますので、一定の遊覧に適した場所、また工場見学に適した場所等については、できるだけ御理解ある措置が必要だ。と申しますのは、私にしましても、また与党議員の久野先生にしましても、宇都宮先生にしましても、貿易問題等を語り合ったあとで、それぞれ景勝の地桂林をゆうゆうと観光旅行いたしまして、そうしてあの南画の風光うるわしいところを一カ月もゆうゆう自適いたしました。また、激流を下って海上に船を浮かべ、釣りもし、月もめで、文人墨客の楽しみをいたしてまいりました。世界は互恵平等、相見互いでございます。多くの与党の議員の皆さま、また野党の議員の各位も中国では風流を楽しんでまいりました。芸者のもてなしが必要なわけでは絶対にございません。しかし、日本の山水の美しさを理解していただくことも、時期から言っても四月、五月、六月と一番いいわが敷島のやまとの国の自慢の季節でございますから、梅雨はまだ至らず、花から緑へという時期でありますから、そういうことも入国管理庁のほうでどうぞ風流心を持って御協力のほどをお願いいたします。  委員長、ありがとうございました。
  105. 田原春次

    田原委員 この次の委員会までに次の資料を要求しておきますから、出していただきたい。  第一は、国共合作の歴史について知らしていただきたい。国民党と共産党が、第一次はたしか孫逸仙時代だと思います。第二次がマーシャルのあっせんによるもの、これはいつごろあって、結果はどうなっているかということ。  それから、第二点は、チベットが中華人民共和国の中に入り、高度の自治が行なわれております。これがいつごろそういうことになったのかということもお調べになって知らしていただきたい。  第三点は、香港におけるアメリカの商社、できれば数並びに香港経由で中国に何を売っているか。ゼネラル・モーターズ、ゼネラル・エレクトリック、あるいはその他たくさん、四十八社くらい行っておると言われておりますが、これを総領事館を通じて調べてもらいたい。現在すでに米国は香港に商社を出して中国と何かの形で貿易をまっておるというようなことも聞いておりますが、これも資料を出してもらいたい。  第四点は、ポーランドによって米国中国の大使の間で会談をやっておると、しばしば新聞に出ておりますが、第一回はいつごろから始まって、今回は何回目くらいであるか、その討議された内容等を、一般新聞等で知っておるのでありますが、米軍の捕虜の帰還であるとかいろいろ出ておるようですから、それを知らせていただきたい。  これらの以上四点を次の委員会までに資料として出してもらいたいと思います。
  106. 安藤覺

    安藤委員長代理 田原君にお尋ねしますが、いまのうちの第一点、これは国共合作の歴史ですか。
  107. 田原春次

    田原委員 第一次国共合作と第二次国共合作が、いつの時代に、だれによって、どういう結果になっておるか。ぼくは台湾問題の解決はむしろ第三次国共合作までいかなければいけないのじゃないかと思いますから、第一次、第二次を振り返って、日本がどういう役割をできるかということを知るための資料を出していただきたい。
  108. 安藤覺

    安藤委員長代理 では、外務省は、ただいまの田原君の資料要求に対して、できるだけ忠実に資料を御提出願います。本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十八分散会