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1964-03-05 第46回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会原子力政策に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月五日(木曜日)    午前十時十五分開議  出席小委員    小委員長 中曽根康弘君       佐々木義武者    西村 英一君       福井  勇君    前田 正男君       渡辺美智雄君    岡  良一君       久保 三郎君    山内  広君       鈴木  一君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   江上 龍彦君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君  小委員外出席者         科学技術振興対         策特別委員   田中 武夫君         原子力委員会         委員      駒形 作次君         参  考  人         (日本原子力産         業会議会長) 大屋  敦君         参  考  人         (東京電力株式         会社取締役副社         長)      吉田 確太君         参  考  人         (関西電力株式         会社取締役副社         長)      加藤 博見君         参  考  人         (中部電力株式         会社取締役副社         長)      三田 民雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  原子力政策に関する件(原子力発電に関する問  題)      ————◇—————
  2. 中曽根康弘

    中曽根委員長 それではこれより原子力政策に関する小委員会を開会いたします。  原子力政策に附する件について調査を進めます。  本日は原子力発電に関する問題について調査を進めることといたします。  本問題調査のために、本日は参考人として日本原子力産業会議会長大屋敦君、東京電力株式会社取締役社長吉田確太君関西電力株式会社取締役副社長加藤博見君、中部電力株式会社取締役社長三田民雄君、以上四名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙のところを本小委員会に御出席くださいまして、どうもありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。  なお、参考人の御意見の開陳は、時間の都合もございますので、お一人約十五分程度とし、後刻小委員からの質疑の際十分お答えくださるようお願い申し上げます。  それでは、本日の議事の順序について申し上げます。まず最初に、駒杉原子力委員より各国原子力発電趨勢またわが国現況等について説明を聴取し、特に経済性問題等について御説明を願いたいと思います。次に、大屋参考人よりレーベンスウッドあるいはイギリスAGR等に対する最近の趨勢について、また吉田参考人加藤参考人三田参考人各位からは、各社の原子力発電計画等について意見を聴取することといたします。  それでは、駒形原子力委員からお願いいたします。
  3. 駒形作次

    駒形説明員 原子力発電世界事情をかいつまんで御説明申し上げます。  各国でとられております考え方というようなものをまず申し上げたいと思うのでございますが、最も豊富低廉なエネルギー資源に恵まれておりますアメリカにおきましても、化石燃料は長期的に見て枯渇する。先般アメリカ原子力委員会大統領に提出いたしました報告書の中におきましては、アメリカ国内において経済的に入手できる化石燃料というものは、大体二十五年ないし百年ぐらいのうちに使い尽くすであろう。現在国内でわかっておりますところの化石燃料全体も、大体百五十年ぐらいから二百年ぐらいの間において使い尽くすであろうということを報告の中にも書いてございます。こういうような化石燃料に対する代替エネルギーといたしまして、その代替エネルギー準備するために原子力発電は必要である。もう一つの事柄は、それまでにおきましても、燃料費の高い地域におきましてエネルギー低廉化というものをはかるために原子力発電が必要である。こういう見解のもとに、アメリカ原子力発電に対して力を入れておるのでございます。  ヨーロッパの諸国におきましては、スエズ動乱以来、各国とも石油安定供給について非常な不安を持っておるのでございまして、特にイギリスにおきましては、そのスエズ動乱の影響が非常に著しくありましたので、エネルギー安定供給の見地から最も強力に原子力発電を推進しておるのでございます。その他の諸国におきましても、この原子力発電必要性ということの認識はイギリスと同様でございましていずれもエネルギー安定供給低廉化エネルギー源多様化という長期的の観点に立ちまして原子力発電開発を進めていくというのが各国考え方でございます。  各国のその計画というものを少しく申し述べてみますと、アメリカにおきましては、アメリカ原子力委員会が一九六〇年二月に発表しました原子力発電開発十カ年計画というものがございまして、一九六八年までには在来火力よりも経済性において優位に立つような、原子力発電技術的に開発しよう、こういうことを一九六〇年三月に発表いたしております。また、私が先ほど申しました、原子力委員会大統領に一昨年の十一月に提出しました報告によりますと、今後の原子力発電開発やり方といたしましては、核燃料有効利用をはかるために増殖炉最終目的にする、であるけれども、それまでには高性能の転換炉というものを開発して、そしてこれらのものは費用の大部分は原子力委員会が負担する、それともう一つは、政府が援助をいたしまして改良をしました設計による実用発電所産業界がつくっていく、こういうふうなことを勧告しておるのでございます。すでにアメリカ加圧水型、沸騰水型の炉が実用化されておりまして、一基当たり三十万キロ以上の大型の炉が建設されつつございます。また、その発電原価キロ当たり一円七十銭ないし二円五十銭というふうに見込まれておるのでございます。  イギリスは、中央電力庁計画によりますと、すでに開発された天然ウラン黒鉛減速型の炉を一九六八年までには五百万キロ建設する予定でありまして、最近は一基五十万キロの計画が具体化いたしておるのであります。このような大容量化というものは、たとえばコンクリート・プレッシャー・ベッセルというようなものを採用することによりまして、だんだん大きくなり、経済性が高まってまいっておるわけでございます。さらに一九七〇年までの五カ年計画というものがありまして、これは大体五百万キロないし七百万キロの原子力発電所建設することしになっております。この第二次の計画におきましては、AGRというものによって始められるようでございまして、中央電力庁はさしあたり二基で九十万ないし百万キロのAGR発電所建設するというふうに言われており、そういうことを動力省のほうに申し出ている、そういう実情でございます。  次にフランスは、イギリスと同様に天然ウランガス冷却型を採用いたしまして、一九六七年までには百五十万キロを開発する、そういう計画でございます。そのあとは、これもまた五十万キロワット程度大型の炉を採用して計画をさらに進めていくことになっております。  イタリアにおきましては、タイプを異にする発電所が三カ所、合計いたしまして六十二万キロ、外国からの導入によりまして建設をいたしておりまして、すでにそのうち二つ運転を開始しておる状況でございます。  次に西ドイツは、これは比較的資源には恵まれてはおるのでございますけれども、現在やはり考え方は長期的の、先ほど申しました考え方をとっていることは同じでございます。そして、エネルギーの価格が高い南部地区におきましてまず始まってまいっておりまして、二十五万キロの発電所建設計画が現在具体化いたしておるところでございます。  わが国におきましては、先般原子力開発利用長期計画の中におきまして、原子力発電開発計画というものを立ててあるのでございますが、この計画によりますと、大体昭和四十五年ぐらいまでに経済ベースに乗るという見通しのもとに、昭和四十五年以降の十年間に六百万キロないし八百五十万キロの発電を想定いたしておるのでございます。その昭和四十五年までの足固めといたしまして、開発段階といたしまして約百万キロというものをこの開発段階にやっていこう、電気事業者が協調してこれに当たっていくようなぐあいにしたい、こういうことにいたしております。これによりまして日本原子力発電株式会社というものにおきまして、現在東海村で出力十五万六千キロワット、天然ウラン黒鉛型の発電所建設中でございます。これは昭和四十年三月、来年三月に完成予定でございます。同社は引き続き出力二十五万キロないし三十万キロの発電所福井県敦賀市に建設する予定でございます。この発電所同社の設立当初の計画に基づいて濃紺ウラン軽水型を採用することになっておりまして、昭和二十九年度に着工、四十三度に完成予定ということになっております。それから、その他の電力会社につきましては、電力会社計画をお持ちになっておりまして、関西電力東京電力中部電力の三電力会社が、それぞれ昭和四十四年ないし昭和四十五年完成の目標で原子力発電所建設予定されておりまして、そのために必要な準備を目下進められておるというふうになっておるのでございます。  以上、世界の大ざっぱなことでございますが、なお日本状況をかいつまんで申し上げました。
  4. 中曽根康弘

    中曽根委員長 どうもありがとうございました。  次に、大屋参考人にお願いいたします。
  5. 大屋敦

    大屋参考人 イギリスAGRと最近の模様アメリカニューヨークのレーべンスウッドの百万キロの原子力発も所の建設見送りといいますか、そういう二つの問題について情報を申し上げます。  最初AGRは、御承知のように、アドバンスドという字がついているくらいで、進歩型でありますが、そのねらいは、従来のイギリスの一貫した発電原子炉計画というのが、御承知のとおり、天然ウランガス冷却というそのやり方ではどうもがかいが大きいものでありますからコスト建設費が高過ぎるというので、それをもっとコンパクトの設計にしたいということと、それから蒸気の温度をもっと高めまして熱の効率をよくしよう、こういうねらいで、もういまから五年くらい前からイギリス原子力委員を中心にしまして、プロジェクトをつくっておりまして、それが三年半ほど前にウインズケールで建設に着手しまして、最近に臨界に達して、いま試運転をしておるのであります。これをやってみますと、なかなかいろんな困難がありまして、炭酸ガス冷却であることば従来の型と変わりはないのでありますけれども、温度が高いものですから、その炭酸ガス減速材であるところのカーボンを腐食するといりような問題がありました。それにつきましては、何かメタンをまぜるとかいうふうな方法で大体解決をした。それからいま一つは、従来は天然ウランの棒みたいなものを燃料に使っておるのでありますけれども、今度は微濃縮の酸化ウランのペレットと申しますか、そういう粒になったものを燃料として使う。それのさやが、最初はベリリウムでやっておったのがぐあいが悪いというので、最近はステンレススチールを使うといりょう改良をした結果、たいへん順調に運転をしておる。イギリス原子力委員のほうとしては、もっと大きなもの、五、六十万程度コマーシャル・サイズのものにやりたいということの希望を持っておるようでありますけれども、原子力発電所を実際つくっておりますのは、何と読むのですか、中央電力庁とでも申しましょうか、それの総裁は日本米たことのありますザー・クリストファー・ヒントンでありますけれども、そのほうの実際家からいいまして、従来の型が、なるほど考え方は旧式であるかもしれぬけれども、もう十くらいの発電所建設もしくは建設中でありますので、どんどん技術的の実際上の進歩があるんだ、それから、最初は小さな十万キロ内外のものだったのが、いまは御承知のとおり一つで五十万キロ程度原子炉を使うようになりまして、普通の火力発電所に比べまして、容量がふえるというと急激にコスト建設費が安くなるということが原子力発電の特色でありますので、そういう大きなものをつくり得るということに引かされまして、そういう新しいAGRというふうなものはもう少し見送ろうというような考えであったようであります。  それで今日、昭和四十三年度でございますか、四十三年までに五百万キロという英国の計画というものは、大体従来のコールダーホール改良型で押すつもりであったのでありますけれども、その最終、もしくは次の段階の一番スタートのダンジネスという発電所がありますが、そのダンジネスでは六十万キロくらいのAGRのものをやろうじゃないかということに、発電庁のほうも踏み切ったような模様であります。  しかし、イギリスは、いま申し上げましたとおり、一つ方法をだんだんに開発をしていって、そうして容量を大きくすることによってコマーシャル・ペースに乗せよう、こういう方針で今日きておるのであります。それでありますから、AGRというものにつきましては、考えもいいし、また相当長く研究もしておりますので、もう実際の段階には近づいてきたのでありますけれども、日本などでこれをすぐ取り上げてやるというところの段階に、はたしてきておるかどうかということは、私は存じません。そういうのがいまのイギリスAGRの状態であります。  その次のアメリカのレーベンスウット、カラス森と訳するわけでございまますが、レーベンスウッドの百万キロの原子力発電所の問題は、もう昨年の春からだいぶ日本でも問題になりました。これはウエスチングハウスでやっておるのであります。ウエスチングハウスは、そのほかロスアンゼルスにも二カ所、相当大きなものも受注をしたということを言っておりますし、原子力発電所をニューコークの町のまん中につくるという画期的の計画に非常に大きな反響を与えておったのであります。原子力発電というものは非常な危険なものであるということをやかましくいわれておった時代に、従来の火力発電所こそ日常に空気汚染をするのであるから、空気汚染を避ける意味においてはむしろ原子力発電の大きなものをベースロードとしてつくるべきものだというような議論がだんだん有力になりまして、ニューヨークコンソリデーテッド・エジソンでありますか、その会社が百万キロの原子力発電所というものをニューヨークの町のまん中につくるということに踏み切ったのであります。これはウエスチングハウスでありますから、加圧水型でありまして、そして原子力発電温度の低いということの対策といたしまして、スーパーヒーターを使って、油でもって原子炉から出ましたスチームをさらに加熱する、こういう仕組みになっておるようであります。そういうものを発表したのでありますが、これは何といっても非常な大きな飛躍でありますので、だいぶ地元の人が反対をしたり何かしております。最初アメリカ原子力委員会としては、いま申し上げました理屈で、これは踏み切るべきものだということで賛成をしておったようでありますが、地元の不安というものも相当あったのでありましょう、たまたまコンソリデーテッド・エジソンでもってこれと並行的に、何かほかに電源がないかということで研究をしておりましたのですが、ちょうどカナダ水力をひとつニューヨークまで持ってきたら、どうかというような話がありまして、カナダの一番近いところ、そこに大きなダムをつくりまして、これはカナダでつくるのでありますが、それを一千百マイルというずいぶん遠方の距離を送電をしてまいりまして、それをニューヨークで売る。こういうカナダ側計画といまの原子力発電というものを並行的に考えておったようであります。ところが、その水力のほうが、従来はカナダ政府外国電力を出すということを禁じておったのでありますが、カナダ政府が出してもよろしいということになった。一千百マイルというのはずいぶん遠い、長距離送電でありますが、それを直流送電という——これは必ずしも新しいものではありませんけれども——直流高圧送電でもって長距離送電技術上差しつかえないということがわかった。しかも、ニューヨークで受け取る値段が原子力発電で期待しておるよりも少し安くもらえる、こういう話になりましたものですから、いろいろうるさい原子力発電よりも、まずそのほうを先にもらおうじゃないかということで、二百万キロの電力カナダからもらうということにすりかえまして、一応原子力発電の仕事は見送る。延期でありましょうか、そこらの事情はよく知りませんですけれども、見送ることになって、申請を取り下げたという報告を聞いておるのであります。大体そういうことであります。
  6. 中曽根康弘

    中曽根委員長 どうもありがとうございました。  次に、吉田参考人にお願いいたします。
  7. 吉田確太

    吉田参考人 東京電力吉田でございます。  先ほど駒形原子力委員からお話がございましたように、今後の総合エネルギー、この中のまた電気事業の持つべき役割り、かような点を考えてみますと、従来水力によって供給しておりましたのが、戦後の需用増加に対応するために電力量的に水力資源だけではまかなえないというので、火力発電が出てまいりました。火力発電につきましては、石炭に依存してまいったのでありますが、今後を想定いたしますと、需要伸びの大半は火力発電、特に、石炭が今後相当出るにいたしましても、需要の飛躍的な伸びに対処するためには、それを電力量的に供給すべき責務を持っておる事業者としましてはぜひとも海外から輸入する原油から精製される重油に依存しなくちゃならぬ度合いが非常にきつくなってくると想定されるのであります。電気供給は、御承知のように安定した供給でなければなりません。また、ある程度の余力を持っておらなければなりません。したがって、そのもとになります海外に大きく依存しようという石油の量的に多くのものを輸入することと、またこれが安定して国内に輸送される、かような観点に立ってまいりますと、やはりわずかな量で多くのエネルギーを出し得る原子力に着目しなければならないのじゃないか、かように考えています。  原子力発電火力発電とを比較して考えますと、きょう現在においては、まだ海外においても実用的になった段階でありまして、重油火力に対して経済性がきょう現在同等かといえば、かような点までには必ずしも至っておりませんが、先ほど申し上げましたように将来のことを考えますと、また国全体の国際収支という点に思いをいたしますと、かつまた、電気事業が連続的にお客さんの需要に応じていくという立場から考えまして、やはりある程度われわれはいまから原子力発電に対して準備をする必要がある、かように考えてまいっております。いま申し上げましたように、原子力発電が将来の、特に総合エネルギー対策として発表されておるものを見ましても、低廉と安定供給、かような原則、並びに国際収支において有利である、かような点から考えまして、ぜひ原子力開発を強力に推進していくべきであろう、かように考えております。  幸いにして、一、二年前、わが国原子力発電の将来の開発計画かまとまりまして、その長期計画によりますと、外国もさようでありますが、わが国でも四十五年ごろになりますれば経済ベースに乗るであろうという見通しがきょう現存では立っておりますので、かような観点に立ちまして、電気事業者としては、やはり将来大きく原子力発に依存しなければならぬことをよく考えまして、やはり業者協調いたしまして、四十五年ごろまでに約百万キロ程度準備的な開発をやりたい、かような決意をしておる次第であります。  東京電力におきましても、御承知のように年々の需要伸びがかなり大きなものがありますが、この魅力を建設していくためには、やはり従来の石炭火力石油火力に依存する度合いがきついのであります。申しおくれましたが、水力はやはりピーク用には必要であることはよく承知しておりますが、先ほど来から申し上げますように、石油に依存する度合いがあまりにもきついことになるであろうという観点に立ちまして、やはり自分の手で建設運転、また各般の原子力に対する経営的ないろいろな経験、もちろん従業員建設訓練運転訓練、かような習得をしたいというつもりで、将来原子力発電が本格的に開発されるようになる場合に備えまして、その場にぜひ効率が上がりますように、また経済的に行ない得ますように、かような考え方をもちまして、前期百万キロという、四十五年ごろまでに開発準備段階としてわれわれがやろうとするこの百万キロの一端を東京電力としてもぜひになって、これを実行していきたい、かような決心をもって進んでまいっております。  この原子力発電準備につきましては、当社といたしましては、過去八年前から研究員、また実際の運転員を習熟させるために、英米にいままでに二十数名の者を派遣して、一年なり二年の訓練をさせてまいっております。また、国内におきましても、原子力研究所に十数名、また原子力発電会社に四十数名の者を派遣して、内外におきまして建設並びに運転訓練につとめさしてきているのでありまして、合計いたしましてきょう現在技術約百人近く、事務四十人近く、約百四十人近くの従業員訓練に当たらせると同時に、またいろいろと各国技術進歩に注目をいたしてきょうに至っております。  いま申し上げましたように、百万キロの一翼をになうために、用地につきましては福島県の大熊地点に、三十五万キロ程度原子力発電建設するつもりで、ただいままでにおおよその地質調査また水量があるかどうか、かような調査もしてまいりまして、近く用地の収得も終わるかと思っております。  炉の型式につきましては、ただいままでのところ、いずれの型式を採用するか決定してはおりませんが、いずれにいたしましても、海外商業規模であり、そのつくるものが経験が豊富であって、技術的に十分信頼の置けるもの、かつまたその社で商業規模的につくっておるもので運転実績のあるもの、かような観点に立ちまして、今後さらにそれぞれの技術進歩を考慮いたしまして、いずれわが国の国情に適するようなものを選びたい、かように考えております。もちろんわが国につきましては特に地震の問題がございますので、十分これを考慮に入れまして地点の選定もいたした次第であります。  以上申し上げましたように、当社といたしましては、社内並びに現地におきまして今後の難建設に必要な準備を着々進めておりますが、さらに地方方々に御理解を一そう深めていきたいと思いますが、幸いにして当社の選定いたしました建設地点は、周囲の条件も極めて良好でありましてて、地方方々発電所について非常によく理解していただいていることを申し添えます。  また、地点がかなり関東地域よりも離れているじゃないかというようなお感じもあるかもしれませんが、当社は御承知のように、一、二年前から電気事業広域運営という立場に立って、東北東京、また電源開発一体になって開発に当たっておりますので、東京東北地域全体としまして、どこで開発されましても、その電気東京の大きな消費需要に対してこれを送電し得て、今後の電源の拡充には十分備え得られる、皆さんに御心配をかけるようなことはない。今日の電気事業広域運営という点を考慮いたしますと、たとえ東北地域でありましても、われわれは十分これと協調して送電線によって有無相通ずるということを申し添えて、御参考に供したいと思います。
  8. 中曽根康弘

    中曽根委員長 どうもありがとうございました。  それでは、加藤参考人にお願いいたします。
  9. 加藤博見

    加藤参考人 加藤でございます。  私の関西電力原子力計画の概要と準備状況がどうなっているかという概要につきまして御説明させていただくと同時に、最後に関西電力原子力に対してどういうふうに考えているかということについて少しつけ加えて申したいと思います。  当社における原子力発電計画は、さきに原子力会議において公表されております原子力発電長期計画の前期百万キロワット開発の一翼をにないまして、大体いまのところ二十五万キロから三十万キロ前後の容量のものを建設いたしたいと考えておりまして、すでに福井県の美浜町に必要用地の十四万坪を昨年購入を終わっております。  ただいまのところ昭和四十年着工で昭和四十四年の完成ということを目途といたしまして、その施工につきましては、先ほど御説明のありました日本原子力発電会社建設計画を十分生かしまして、より安全な、より経済的な発電所建設するよう諸般の準備を進めている次第でございます。  先ほどから問題になっております炉型の選定、これが一番問題になれわけでございますが、先ほど吉田さんの御説明にもありましたとおり、やはり当社といたしましては、先進諸外国において商業規模で良好な運転技術を持っている型式のうちから、その運転実績を十分参考にいたしまして、最も安全な、最も経済的な、その時代における適切なものを選びたいというような基本方針において目下いろいろな型を比較検討いたしている段階でございます。  次に、現地の状況について御説明いたしますと、発電所を設置いたします美浜町の丹生地点というのは、敦賀半島の先端の北西部にございまして、原子力発電会社二号炉の地点とは半島のちょうど反対側にございまして、福井県の半分がちょうど私のほうの供給区域になっておりまして、この丹生地点は私のほうの供給区域内にあるわけでございます。ちょうど昨年の暮れに、この付近黒部から電気を持ってくるために、二十七万ボルトの大黒部幹線という送電線建設いたしておりますので、この原子力発電電気は、この大黒部幹線によって大阪方面に送電することができるわけでございます。  地元状況につきましては、私のほうも幸い福井県浜町並びに丹生部落の積極的な御協力を得ておりますので、工事も順調に進捗することができるのではないかと喜んでおる次第でございます。  最後に、現地の準備状況でございますが、昨年の夏から現地の精密測量、ボーリング等を実施いたしておりますほかに、気象観測、地震に関する調査研究、海洋調査、それから用水の調査等を継続的に実施して、万端の準備を進めておるわけでございます。以上が、大体私のほうの原子力建設の進捗状況でございます。  要員につきましては、私のほうも四、五年前から海外留学へ相当な人を、やり、それからまた、原子力研究所原子力発電株式会社の東海村等にも人を出向させて、それの建設並びに運転経験を経た者をたくさん養成をしておりますので、この面におきましても遺漏がないというふうに考えておる次第でございます。  最後に、原子力発電に対して関西電力がどういうふうに考えておるかということでございます。これは先ほど吉田さんが非常に詳しくおっしゃいましたので、私のほうも全く同じ考えでございますが、要約いたしますと、要するに原子力発電というのは、これからのエネルギー対策としては非常に重要になってくるということだと思います。つまり私のほうのこれからの発電所計画は、大体火主水従ということで、もう火力のほうが約八割、水力は二割くらいに非常に減ってしまうわけでございます。ところが、その火力の八割、大部分が重油または原油の専焼の火力ということになるわけであります。御承知のとおり、重油というのはすべて外国から輸入しなければならぬものでございますので、外貨並びに輸送に使いますタンカーの面その他から非常にこれが重要な問題になってくるわけでありまして、どうしても外貨並びに輸送の面から考えまして、こういうような輸送量が非常に少ない原子力によらざるを得ないということを考えます。現在におきましては、先ほど吉田さんの御説明にもありましたとおり、重油専焼火力までにはまだコストは下がっておりません。大体石炭火力手度のコストではないかというふうに考えておりますが、現在においてやはりこれに踏み切りまして、それの建設並びに運転経験を十分社員にも習得させて、将来の原子力開発に備えたい、こういう気持ちでおるわけでございます。まだ十分見通しもついていないので、少し早いというような声もございますが、われわれとしては、そういう意味においてできるだけ早く第一号炉は着手し、進行させてみたいというふうな熱意に燃えておるわけでございます。  何分、御協力御指導を賜わりたいと存じます。
  10. 中曽根康弘

    中曽根委員長 どうもありがとうございました。  それでは、三田さんにお願いをいたします。
  11. 三田民雄

    三田参考人 ただいま御指名を受けました中部電力三田でございます。  中部電力といたしまして、この原子力発電に対しての考え方というものは、ただいま吉田さん、加藤さんからいろいろお話があったのでありますが、私たちも全く同じような考え方を持って、原子力発電というものをぜひ自分の力でやっていかたければいかぬというふうに考えておる次第でございます。  私のほうでは、昭和三十一年に原子力課というふりたものを社内の組織としてもつくりまして、これで原子力関係の要員の養成、いろんな調査だとか研究ということをやってまいったのでありますが、実は実際の建設計画というものに対しましては、東京電力さんあるいは関西電力さんよりも多少現在のところおくれております。  昨年の秋になりましてから、三重県の御当局から、三重県の南のほうで三カ地点御推薦いただいたのでありますが、現在そのうちの二カ地点に対してボーリングをやっております。ボーリングも大体進んでまいりまして、いままでのところ、いずれも大きな支障があるというふうなことはないように考えております。地元のほうでは、原子力発電というものに対して非常に御協力いただきまして、現在どうしても自分のほうへ早くつくれというふうにおっしゃっていただいているような状態でございます。  計画といたしましては、四十一年の四月から着工いたしまして、四十五年の十月に完成するという一応の目標を持っておるわけでございます。容量といたしましては、二十五万ないし三十万。それから型は——容量とか型につきましては、現在いろいろと各国型式を比較検討中でございます。まだ決定に至っておりません。  そういうような次第でございまして、多少おくれてはおりますが、私たちとしては十分四十五年の末までには完成できるという目標をもって努力をしておる次第でございます。  今後ともよろしく御指導のほどお願いします。
  12. 中曽根康弘

    中曽根委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。     —————————————
  13. 中曽根康弘

    中曽根委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。福井勇君。
  14. 岡良一

    ○岡小委員 議事進行。フリートーキングで、速記をやめてやったらどうなんですか。あったほうがいいですか。
  15. 中曽根康弘

    中曽根委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  16. 中曽根康弘

    中曽根委員長 速記を始めて。
  17. 福井勇

    福井委員 各社の現在の計画を大略、古田さん、加藤さん、三田さんから承りました。非常に概略でございますので、順序の上から東電の吉田さんにお尋ねしたいと思います。  その現在進んでおる計画につきまして、資金計画はどういうふうなお考えを持っておいでになりますか。東電さんだけ、まずお尋ねしたいと思います。
  18. 吉田確太

    吉田参考人 資金につきましては、一応ここに要する資金が約二百八十億程度と思っております。そして、初期段階におきます訓練用でありますので、話が少しはずれるかもしれませんが、幾ぶん今後の経済ベースに乗る備えとしての初期段階開発でございますから、やはりいまの進んでいる石炭火力程度発電単価になるのじゃないだろうか。こういうものに対して資金の内訳と申しますか、やはりメーカーズ・クレジット的な性格が強い、こういうふうな考え方に大きく依存した上での資金計画考えております。
  19. 福井勇

    福井委員 次いで、同じようなお答えを加藤関電副社長さんに願いたい。
  20. 加藤博見

    加藤参考人 私のほうの工事の工事費、それは、いまのところまだ炉型もきまっておらない現状でございますので、はっきりはいたしませんが、吉田さんのおっしゃった大体二百八、九十億くらいを考えております。  それで、この資金をどういうふうに集めるかという問題でございますが、私のほうは大体工事資金のうち三割から三割五分くらいは内部留保によっておりますが、その他はやはり増資、社債、その他の借り入れ金ということで資金をまかなっておるわけであります。この場合特に考えなければいけないのは、先ほど吉田さんのおっしゃった、やはりメーカーズ・クレジットによる外貨を幾分利用するということがあるんじゃないか、そういうふうにありたいというふうに考えておるわけでございますが、これはまだ先の話でございますので、何とも申し上げられません。そういうふうな希望は持っております。
  21. 福井勇

    福井委員 同じようなお尋ねを中部電力三田副社長にお願いいたします。  ただいま三田さんのお話の中に、中部電力の今度の原子力発電の場所の選定を三重県の南部のほうにほぼおきめになって、三カ所のうち現在二カ所とおっしゃったのでありますが、三カ所というのは三重県のうちの三カ所ですか、他にあるものでしょうか。いまの資金計画のこととあわせてお尋ねをしたいと思います。
  22. 三田民雄

    三田参考人 お答え申し上げます。  最初の資金計画のほうでございますが、私たちも建設費というものは、まだメーカーと完全な相談もいたしておりませんので、一応外国の文献その他から拾った数字で考えておる次第でございます。私のほうでは、一応二十五万キロというもので考えまして、二百三十億円、これはキロワット当たり九万一千七百円という数字になっております。しかし、これも先ほど申し上げましたように、容量が大きくなりますと、もう少し費用がふえてまいります。また一方では、最近アメリカの雑誌その他から拝見いたしますと、建設費が非常に下がりつつありますので、実際に私たちがこの機械を購入する場合においてはもう少し安くなるんじゃないかというふうな期待も持っております。一応資金の計画といたしましては、先ほど吉田さんからもお話しありましたように、約その半分程度は外資で、メーカーズ・クレジットといいますか、そういうことでまかないたいというふうに考えております。  それから、第二番目の、三カ地点と申し上げましたのは、実はこれは三重県の御当局から三カ地点の御推薦をいただいたのでございます。具体的に申し上げますと、三重県の熊野灘に面したところでございますが、海山町というところの地点一カ所、それから長島町地内で一カ所、それから南島町、紀勢町にまたがったところに一カ所、この三カ地点を御推薦いただいたのであります。実はこの海山町のほうは、地元の方というよりも、むしろ外部から入り込んでこられた方の反対といいますか、そういうようなものが多少ございまして、現状ではまだ立ち入り許可に相なっておりません。したがいまして、残りました二カ地点に対して立ち入り許可をいただきまして、この二カ地点のほうは、先ほど申し上げましたように、地元の方が非常に協力的にやっていただいておるような次第でございます。
  23. 福井勇

    福井委員 せんだって横山中部電力社長に雑談として伺ったことによりますと、三重県のこれらの地点はまだ決定的な——もちろん決定ということは三田さんもおっしゃっておりませんが、たとえば静岡県と愛知県との間の旧十五師団の演習場付近とか、あるいは愛知県の伊良湖岬付近だとか、あるいは長町県の中心部だとかいう方面から非公式な希望が中部電力に出ておるやに、これは仄聞しておるのですが、それらのほかのところは、現在のところ全くお考えになっておりませんか、どうでございましょう。
  24. 三田民雄

    三田参考人 お答え申し上げます。  ただいまお話のありました静岡県あるいは愛知県の地点でございますが、先ほども御説明申し上げましたように、私たち三十一年ごろから、地図の上、あるいは現地をいろいろ回りまして、地点の選定といいますか、原子力発電所をつくる適当な場所を探してまいったわけでございます。  御承知のように、原子力発電所というものをつくります場合に、先ほどちょっと東京電力吉田さんもお触れになったかと思うのでありますが、普通の火力発電所と同じように、非常にたくさんの冷却水が要るという問題がございます。冷却水が要るという問題と、発電所をつくりまして、それを需要地まで送電する送電線に近いところを選定したいということが、これはいずれも経済的な面から出てくるわけでございます。特に最初の冷却水をとるという仕事がなかなかたいへんな工事でございまして、そういう意味で、どうしても冷却水のとりやすいところということもこの地点選定の必要条件になってくるかと思うのであります。  私たちも、静岡あるいは愛知県方面でもいろいろ調査もいたしておりますが、現在のところ、三重県の南で御推薦いただいた地点というのは、ちょうどぐるりがずっと相当高い山になっておりまして、そういう面からいって、安全の面からいっても非常にぐあいがいいということと、海岸に岩が突出いたしておりまして、冷却水のとり方がわりあいに簡単にいくというふうな意味で、こちらのほうを第一候補地といいますか、そういう考え方で進んでおるのでありまして、ほかの地点を全然あきらめてしまっているというわけでもございません。  それから、長野というお話がございましたが、長野のほうでは、いま申し上げましたように、冷却水をとるという面において非常に困難性がございますので、現在のところ長野県の中で考えるということは私たちは思っておりません。
  25. 福井勇

    福井委員 三電力の各社とも非常な熱意をもって地域の選定等を進めておられまするので、なお一そう、せっかくこの時代にマッチした技術革新の線に沿ってこの計画が早くに実りまするように、特に現地などは、協力を得なければこれがなかなか促進できないことも十分私たち承知しておりますので、それらの点についても御協力できることがあれば、われわれとしても御協力を惜しまないつもりでございます。せっかく本計画が早く軌道に乗るように私も希望しております。  なお、東京電力の副社長さんにお尋ねいたします。各国技術を習得のために、ほかの社の方も同様に陳述されておりまするが、東京電力さんでは、すでに技術系統では百人出し、事務のほうでも四十人、百四十人を修練のために出しておるというお話でございます。各社もそれぞれその方向にやっておられると思います。中部電力さんのほうは非常に遠慮されて、関西電力と東電のように行っておらぬというような、何だか御遠慮になったようなことも表現されておりますが、私たちの調べたところでは、同じように欧米両方に出していらっしゃるように私たちは調べております。  そこで、東電の吉田さんにお尋ねするのです。どんなところに訓練にお出しになっておりますか、ちょっとお漏らし願いたいと思います。
  26. 吉田確太

    吉田参考人 お答え申し上げます。  英国につきましては、コールダーホールができるあの当時、やはり英国としてのコールダーホールのトレーニング用の学校教育がございましたので、そこに相当入れまして、その後もその教育がずっと英国の原子力庁で進んで受け取る体制でおりましたので、これに送りました。  米国につきましては、オークリッジ、またデトロイト・エジソンの、これは少し将来にわたる計画でございますが、向こうから特に頼まれまして、一年間のトレーニングというよりも、設計という方向まで要請されまして、二カ年、その他GEの関係、そういうところに訓練に出しております。
  27. 福井勇

    福井委員 関西電力さんのほうも、その点についてどんなところに訓練に出しておられますか。吉田さんよりもう少し詳しく、あなたはエンジニアで面接担当なさっていると思いますので、関西電力さんとして詳しく。吉田さんのほうが足らぬのじゃございません。
  28. 加藤博見

    加藤参考人 詳しくとおっしゃいましても、私あまり詳しく知りませんのでごかんべん願いたいのですが、一応やはりコールダーホールのほうへ、これはもう三、四年前だと思いますが、四、五人出しております。これは相当長くやっております。半年あるいは一年、ずっと長くやっております。  それから、米国にはウエスチング、GE、その他各発電所の視察等はしょっちゅうやっております。ウェスチングあたりにはことに相当長く工場等も見学させております。  また、御承知のように原子力に対しましては非常に進歩が激しい。毎年どんどん進歩していきますので、ほとんど最近はここにおられます原子力業会議が中心になりまして、経営陣、それから設計者、また原子力の部長級の人々、そういう人をしょっちゅう出しております。毎年、最近はこれは調査団で出しております。その技術の日進月歩の動きというものは大体つかんでおるつもりでございます。福井さんの御質問にちょっとそぐわないと思いますが、技術陣としては万遺漏ないというふうにわれわれは自信を持っているわけでございます。
  29. 福井勇

    福井委員 いまのお話の中に、ウエスチングハウスには特に長くやっておるというおことばでしたが、それはどういう意味ですか。BWRとPWRの何か比較のためですか。どういう意味で、どういう会社の方針で長く研究をやっておられるのですか。
  30. 加藤博見

    加藤参考人 これは向こうのほうの要請がございまして、練習生と申しますか、技術員をそこへやっておるわけでございまして、その炉に対して特に関心があるわけではございません。炉型に対しましては、先ほど私の申しましたように、今度の選定におきましても英国炉のコールダーホール型の改良型、それから軽水型のPW型並びにBW型、これに対しては実績の出たものについて比較検討してやりたいというふうに考えておりますので、留学生について特にやるというのは、やはり向こうから招請があるとか、経費の関係からやっているわけで、ある目的のためにやっているということは決してございません。
  31. 福井勇

    福井委員 たいへん丁寧な御説明で、よくわかりました。  ただいま三社の貴重な方針をそれぞれ伺いましたうちに、大体一口に申しまして、これからの計画については一カ所のキャパシティーは二十五万キロから三十万キロというキャパシティで進めておるということを表現されておりまして、コストの関係からこれがきまったわけではない、もう少し大きくするかもしれぬという御陳述がありました。  私たちの調べておりますところでは、すでに陳述されておる内容にもそれはつけ加えてはありますが、どうもコストダウンを希望するのには五十万キロワットに近づけなければいけない。先ほどのニューヨーク計画なども、百万キロワットというような計画をしておりますのは、発電原価の低下を企図しての問題であることは、すでに御存じのとおりであります。  そこで、何も高いコストの二十五万キロワットということを標準にされなくても、政府機関、あるいは融資機関、あるいは外資などについても、それぞれいままでの御陳述の中にもございましたとおりで、自社だけでまかなってというような計画がない限り、私はやはりこれからは五十万キロワットというような標準でいかなければならぬ。あるいはそれ以上、百万キロワットというような海外の標準に近づいていったほうがいいのではないか。日本のこれから実際代表的な会社の皆さん方のところで、何も十年前のスタートのころのコールダーホール、コールダーホールは十六万キロワットのスタートでありますが、——一口に申しまして十年前のキャパシティーの標準を何もわざわざおとりにならなくても、融資関係をいろいろ御考慮になって大型化していかれるように私は希望いたしたいと思っております。もちろんこのことにつきましては、特にこの席は、原子力発電については特別の関心を以前から持っておられる中曽根委員長をはじめ各委員とも、いろんな点で協力される態勢を持っておりますから、大屋さんともども、会議のほうと協力して、日本一つの国策のためにもこれらの点を十分双方とも、双方と申しますのは片方は国会側をさして申しておりますが、いろいろと協力してお互いにわが国エネルギー資源のために貢献したらと、こう希望する次第でございます。  もう一つお尋ねしたいと思いますのは、少し詳しく技術的に入ろうと思いましたけれども、西村委員がどうも長いぞというようなことを言いますので、少し省略することにいたしましょう。東京電力吉田さんにお尋ねしたいと思います。これらの計画を実現されますために、コールダーホールだとかGEだとかウエスチングハウスだとかいう方面からいろいろと力を借りるというようなことは、従来のとおり予想されるところでありまするが、国産技術というものをどのぐらい取り入れようというお考えを持っておられるかということと、それから、国産技術に対してどのぐらいの評価を吉田さんは持っていらっしゃるでしょうか。その点を漏らしていただきたいと思います。
  32. 吉田確太

    吉田参考人 お答え申し上げます。  ただいまのお尋ねに対しまして、すでにいまコールダーホール型の東海村の発電所ができつつありますが、かりに東海村のあのコールダーホール型について申し上げますと、あの中の材料につきまして、特に放射性による熱からくる鉄の材質の変化、そういうものの研究が幸いにして原子力研究所で尽くされたものでありますれば、また一部そういうことの影響の少ないもの、かつまた日本の肉一厚の製鋼技術が今後どう進むか、きょう現在の進み方も承知いたしておりますが、それらが熱的な変化、特にエラディエーション・エフェクトといいますか、放射性からくる影響というものの研究国内で十分尽くされておるようなもの、まだ未知数のものについては私は十分とは申し上げかねますので、使用部品につきましては、これは当然従来の火力技術を私二十八年ごろから輸入して日本技術の国産化に努力したつもりでおりますが、あの過程から見ましても、特にこういうふうなニュークリアの影響のない部分については国産というような点について十分これを考慮に入れる余地がある、かように考えております。
  33. 福井勇

    福井委員 これらの点につきましても、私は吉田さんと全く同感でありまして、初期の時代には十年計画あるいは五年計画というタイトルで、それぞれ科学技術庁におき、あるいは東海原子力研究所において、日本国内においても研究を続けておる際でございますので、いま吉田副社長のおっしゃったような国産技術ということをないがしろにいたしますれば、いつまでたってもやはり日本の円流出ということになります。これらの点については、代表的なお立場の皆さんの会社並びに各位がそのおつもりでなお一そう、国産技術の飛躍については従来も御努力くださっておりまするが、より一そう御着目の上御協力を相願いたいと、一委員立場から申し上げたいと思います。  そういう国産の技術ということを非常に強調しておるのは、私の知っておりまする程度では、フランスが非常に自分のところの技術というものを高く評価し、また自信を持って、米国、英国、ソ連などと比べて、人の力をなるべく借りずにやろうという大きい一つの方針を立てております。特にフランシス・ペランなどは、シャティヨンやサクレーをああいうふうに急速に仕上げて、今日においてもフランスの天然ウラン・カーボンダイオキサイド・クーリングの方針を立てておるのは、自分のところの力、自分のところの研究を高く評価して、そうしてできるだけウランの海外流出を防ごうということに努力しておるということがわかります。日本も早くその域に達したいものと私たちは考えております。  そこで、いろいろの参考人の方にお尋ねするのには若干話が飛躍するかもしれませんが、こういうお歴々の方がおいでになるという機会がなかなかないので、もし御存じであればひとつ答えていただきたいという項目がございます。これは場合によっては速記を停止してもけっこうでございますが、中国の原子力の問題の現状でございます。少し場違いの問題かと思いますが、私は、いま調べておりますと、中国の原子力状況というものがどうしても手に入らぬのでございます。想像では、もちろん初期の時代にはソ連との技術交流が行なわれておったということは、プルトニウムの生産を目途としていまから十年くらい前には着手して、場所も大体甘粛省かその付近であろうと考えておりますが、これも当たっていないかもしれません。  しかし、日本には今日秘密の調査機関というものは、政府にも、自民党にも、社会党にも、あるいは政府機関にもございませんので、なかなかわかりにくくて困っておるのであります。困っておるというのは、いろいろな海外の情勢を知らずにおるということで困っておるわけでございます。たとえば私が最近シーボーグ原子力委員長に会いました。そうしたら、日本は海を隔ててすぐ近くだから、中共のプルトニウム生産の状況をたぶん福井君は知っているだろうから、調べただけ資料を提供してくれないだろうかということで、人を通じてでなくて、実際直接言われたくらいでございますが、そういうふうにニュースが伝わらなくて困ります。日本はごらんのとおり自主、公開という原則に従いまして、きょう研究しておることもすぐ世界中にわかるようになってしまっております。特許関係で、はなはだ困るという点も多々あります。平和利用に関するものである限り公開していいということは当然でございますが、特許関係の利害関係になると、野放図に公開というようなことについては、非常な問題が今後残ると私は思っております。  話が飛びますが、中共のその研究状況については、初めソ連から技術を提供し、最近はごらんのとおりフランスとの国交が今日実現しておりますので、自信を持っているフランスから資料の提供ということは行なわれておるかもしれません。これらについて、参考人の皆さん方、ここは委員長に話して速記を停止してもらってもけっこうですから、差しつかえない面の御存じの点は、こういう機会がなかなかございませんから、披瀝願いたいと思います。
  34. 中曽根康弘

    中曽根委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  35. 中曽根康弘

    中曽根委員長 速記を始めてください。
  36. 福井勇

    福井委員 私の質問はこれで終わります。
  37. 中曽根康弘

    中曽根委員長 前田委員
  38. 前田正男

    ○前田(正)小委員 一つだけ、せっかくですからお聞かせ願いたいと思うのです。  この原子力発電について、民間の産業会議か何かで、この間も通産省の計画の審議会のほうからも、低利融資の問題、減価償却税の問題、それから燃料とか、廃棄物のプルトニウムの政府買い上げの問題、こういった問題の助成的な措置というものについての要望を、われわれのほうも聴取しており、この間も通産省の審議会からもそれらの答申が出ておるのであります。この三社とも、いまお話を伺うと、具体的に発電計画を立てつつあるようでございますけれども、それらの要望事項というものは、もちろん政府として、また、原子力委員会として当然取り上げなければいけないことですが、そういうような要望が実現するというたてまえで計画を立てておられるのか。そういう要望は実現するしないにかかわらず、皆さん方が発電計画を進めておられるのか。この点をひとつ、一番先に進んでおられる関西電力東京電力中部電力、こういう順でお聞かせ願いたいと思います。
  39. 加藤博見

    加藤参考人 お答えいたします。私ども原子力発電をやる上におきましては、現在の日本の国情においてどういうことを希望するかということは、先般の産業合理化審議会その他の審議会を通じて政府にお願いをいたしております。  いま前田先生からお話のありましたように、資金の問題、燃料の取得の問題、再処理の問題、安全の問題、補償の問題と、いろいろございます。けれども、これがこうなければ絶対いけないという問題もございます。たとえば燃料の確保とか、濃縮ウランをアメリカから政府が買われてわれわれに貸与していただくというような問題、こういうような量の問題の確保とか、そういう問題はどうしてもやっていただきたいということであります。その他再処理費用をどうするとか、いまのプルトニウムをできるだけ高く買っていただくとか、そういうような問題は、やはりコストに関係いたしますから、コストをできるだけ安くできるようにという希望でございます。  それから、安全及び補償の問題につきましては、やはりこれはわれわれとしてできるだけこの線に沿うていただくほうが将来の原子力発展のために非常に効果があるだろうということで、将来の原子力発展ということを考えてお願いをしておるのでございます。一号炉というものは、こういう要望を絶対いれなければやらないということにつきましては、非常にこれは慎重に考慮せなければいかぬ問題でございますが、要望として現在は政府並びに原子力委員会のほうにお願いをしておるわけでございます。  議会等におきましては、そういう政府からのいろいろな法律の改正その他が出ましたときに、いろいろ御審議を願いたいと思うわけで、現状におきましてここであまり内容を申し上げる段階ではないと思いますので、この程度にお答えさせていただきます。
  40. 吉田確太

    吉田参考人 お答え申し上げます。加藤さんからお話がございましたので、部分的に省略いたしまして申し上げます。  一番問題になりますのは、やはり燃料を燃やしたあとの処理であります。われわれ準備段階の三電力会社その他がやるもののスペント・フュエル、つまり燃料を燃やしたあとの処理、この問題のために、先般も燃料公社へ行ってこれをお願いをしました。これらを全部つくり上げましても、燃やしたあとの処理、この問題がキー・ポイントだろうと思います。これの促進を、原子力局によく了解を求め、われわれのタイミングと合うように、こういうことをお願いしております。この程度でございます。
  41. 三田民雄

    三田参考人 お答え申し上げます。  いま加藤さん、吉田さんからお話がありましたので、私からあらためて申し上げることはないのでございますが、私たちといたしましては、この希望というものがいれられなければやらないというものではないというふうに考えております。先ほど加藤さんがおっしゃったように、中にはその問題が解決しないとどうしても困難だという問題もあるかと思いますけれども、全部が全部そういうものではないというふうに考えております。
  42. 前田正男

    ○前田(正)小委員 その詳しいことは、われわれも大体お話を伺っておりますから、また個々にいろいろと検討さしていただきます。  ちょうどきょうは原子力局長もおるし、原子力委員もおられますから申し上げます。実は皆さん方が原子力を民間でやっていただくということについては、われわれもできるだけ促進すべく協力しなければならぬと思っておるのですけれども、どうも肝心の原子力発電というものについての政府の基本方針というものがまだ未確定のように思っておるのです。これはこの間もちょっと私は原子力局長にも、科学技術庁長官にもお話はしてありますけれども、通産省の審議会でああいうふうなものを取り上げて答申を要望してくるという、それで解決すべきものではないと思う。これは当然原子力政策作として、科学技術庁のほうにおいて、原子力委員会においてこういうものはどうすべきだということをもっと考えていかなければならぬのじゃないか。これは皆さんおられますから、ちょうどいい機会なので、私端的にお話ししておきます。  われわれのほうといたしましても、民間の原子力発電というものを推進したいというふうに考えてはおりますけれども、原子力委員会をはじめ政府原子力政策をきめる部門においては、三号炉から先は民間のおのおの電力会社でやっていただくという根本方針すらまだ未確定になっております。そういうことですから、それを調整していくという皆さん方の御希望等もまだ進んでいないというような情勢になっております・いま参考人のほうからお話を伺いますと、皆さん方もおのおの相当積極的な計画を立てて、これを推進しようという相当の熱意を拝聴したのでありますけれども、これに対してもっと当局者の側がしっかりしなければ話が進まない。民間の計画ばかり進んで、それを推進して、その方針をきめていくべき政府側のほうは非常におくれてしまっておるというような感じを、いまのお話を伺って非常に受けました。  これは、私たちも大いにこの際、原子力の当局に対しまして——通産政策の問題ではないと私は思っております。そういうふうなことは原子力の方針がきまってから通産省の審議会が答申を出すべき問題であって、このことは何べんも私は申してあるのであります。原子力政策というものがきまっていないで通産の発電計画を出してみたところで意味がない。もう少しその辺のところを政府当局のほうもよく考えていただかなければならぬ。皆さん方せっかく参考人としておいでになって、いろいろと皆さん方の御計画を述べていただきましたけれども、現状はそういうことであります。皆さん方のほうでおやりになることは、われわれもできるだけ協力したいと思いますけれども、皆さんの立場においても、政府当局、特に原子力当局に対しては、皆さんの問題を解決するように極力御努力を産業界の力によって御推進を願いたい。私たちもまた政治関係の者といたしまして、別に責任を回避するものではありません。できるだけ政府当局を督励いたしまして、皆さんの御希望を達成するように努力するつもりでおります。この機会に申し上げておきます。
  43. 中曽根康弘

  44. 岡良一

    ○岡小委員 参考人の方にはたいへん御苦労さまでございます。特に大屋さんは、この間に引き続いてきょうまた来ていただきまして、常勤の説明員、常勤の参考人のようなことで、おそれ入ります。  速記をやめてください。
  45. 中曽根康弘

    中曽根委員長 速記をやめて……。   〔速記中止〕
  46. 中曽根康弘

    中曽根委員長 速記を始めて。  以上で質疑は終わりました。  参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。小委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  次会は公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十八分散会